JP7021997B2 - 組成物、フィルム、ひねり包装用フィルム、フィルムの製造方法 - Google Patents
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好ましくは、前記記載の組成物であって、第1ポリエチレン系樹脂が高密度ポリエチレンである、組成物である。
好ましくは、前記記載の組成物であって、第2ポリエチレン系樹脂が低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンである、組成物である。
好ましくは、前記記載の組成物からなるフィルムであって、前記フィルムは、少なくとも一方向に延伸されている、フィルムである。
好ましくは、前記記載のフィルムを用いたひねり包装用フィルムである。
本発明の別の観点によれば、フィルムの製造方法であって、溶融混練工程と、フィルム形成工程を備え、前記溶融混練工程では、第1ポリエチレン系樹脂100質量部と、第2ポリエチレン系樹脂25~70質量部と、ボロン系帯電防止剤0.10~0.60質量部を溶融混練して溶融樹脂を形成し、前記フィルム形成工程では、前記溶融樹脂をフィルムダイに通して押し出して形成したフィルムを冷却ロールに接触させて冷却する、方法が提供される。
本発明の一実施形態の組成物は、第1ポリエチレン系樹脂(以下、「第1PE系樹脂」)100質量部と、第2ポリエチレン系樹脂(以下、「第2PE系樹脂」)25~70質量部と、ボロン系帯電防止剤0.10~0.60質量部を含む。以下、各構成について詳述する。
第1及び第2PE系樹脂は、エチレン系重合体であり、エチレン単独重合体であることが好ましいが、エチレンと他のα-オレフィン、例えば、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセンもしくはこれらの2種の混合物との共重合体であってもよい。第1及び第2PE系樹脂は、エチレン単位の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
ボロン系帯電防止剤は、ボロン原子を含有する帯電防止剤である。本発明の組成物にボロン系帯電防止剤を0.10~0.60質量部含ませることによって、フィルムの製造時に冷却ロールへフィルムが巻き付くことが抑制される。ボロン系帯電防止剤の添加量は、具体的には例えば、第1PE系樹脂100質量部に対して、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
さらに本発明においては、防曇剤、有機あるいは無機フィラー、酸化防止剤、有機あるいは無機系顔料、着色剤、紫外線防止剤、分散剤、核剤、架橋剤などの公知の添加剤を、本発明の特性を本質的に阻害しない範囲で添加することができる。
本発明の一実施形態のフィルムの製造方法は、溶融混練工程と、フィルム形成工程を備える。また、この方法は、延伸工程、熱固定工程、弛緩処理工程を備えることが好ましい。このような工程により、ひねり包装用フィルムとして必要とされる形状保持性、透明性、寸法安定性、及び、剛性のすべての特性をバランスよく兼ね備えたポリエチレン系のフィルムを安定して製造することができる。
この工程では、第1PE系樹脂100質量部と、第2PE系樹脂25~70質量部と、ボロン系帯電防止剤0.10~0.60質量部を溶融混練して溶融樹脂を形成する。つまり、「1.組成物」で説明した組成物を溶融混練して溶融樹脂を形成する。この工程は、単軸押出機、二軸押出機等の連続式溶融混練機を用いて行うことができる。
押出工程では、上記溶融樹脂をフィルムダイに通して押し出して形成したフィルムを冷却ロール(キャストロール)に接触させて冷却する。
延伸工程では、未延伸フィルムを一軸又は二軸延伸して延伸フィルムを形成する。一軸延伸は、横一軸であっても、縦一軸であってもよい。
延伸工程の後、熱固定工程を行うことができる。熱固定工程は、例えば、第1PE系樹脂の融点+10℃~融点+30℃で熱処理することによって行うことができる。これによって、フィルムの熱収縮率の上昇を抑えることができる。
熱固定工程の後、弛緩処理工程を行うことができる。弛緩処理工程では、フィルムの延伸倍率を下げてる。これによって、フィルムにかかる応力を緩和する。これによって、得られるフィルム製品の巻き締まりが改善できる。
表1に示す樹脂及び帯電防止剤を表1に示す質量比に従ってドライブレンドしたものを押出機内に供給し、溶融混練して、溶融樹脂を形成した。この溶融樹脂をフィルムダイに通して押し出して形成したフィルムを表1に示す冷却水温度に設定された冷却ロールに接触させて冷却することによって未延伸フィルムを形成した。未延伸フィルムの厚さは、最終的に得られるフィルムの厚さが25μmとなるように適宜調整した。
Z322:宇部丸善ポリエチレン株式会社製、型式:UBEポリエチレンZ322
KF360T:日本ポリエチレン株式会社製、型式:カーネル(登録商標)KF360T
BN-77:株式会社ボロン研究所製、型式:ビオミセルBN-77
アニオン性界面活性剤:花王株式会社製、型式:エレストマスターHE510
ノニオン性界面活性剤:花王株式会社製、型式:エレクトロストリッパー TS-3B
表1中の各種評価は、以下の方法・基準で行なった。
上記実施例・比較例の条件でフィルムを製造する際に、溶融樹脂をフィルムダイに通して押し出して形成したフィルムが冷却ロールに巻き付いて生産の継続の不可になるまでに生産したフィルムの長さを測定した。この長さが5000m以上のものを○、5000m未満のものを×とした。
上記実施例・比較例の条件でフィルムを製造する際に、フィルムダイにメヤニが付着して生産の継続の不可になるまでに生産したフィルムの長さを測定した。この長さが20000m以上のものを○、20000m未満のものを×とした。
「形状保持性」は、縦10×横10×長さ30mmの長方形部材に縦50×横90mmのフィルムを1回転半(540°)ひねり包装し、温度23±2℃、湿度50±2%RHに設定された恒温恒湿装置内に1時間放置した後、ひねりの戻り角を測定し、以下の式に基いて、形状保持率を算出した。ひねり角は、540°である。
形状保持率(%)={(ひねり角-戻り角)/(ひねり角)}×100
「ヘイズ」は、ヘイズメータ(スガ試験機株式会社製、積分球式)を用いて、JIS K7105に準拠し測定した。
表面抵抗は、実施例・比較例で得られたフィルムについて、株式会社エーディーシー製のデジタル超高抵抗/微少電流計アドバンテストR8340を用いて印加電圧10V、チャージ時間、ディスチャージ時間各10秒として測定した。
帯電減衰率は、実施例・比較例で得られたフィルムについて、90時間以上状態調整(温度23±2℃、湿度50±2%RH)を行い、帯電減衰率測定器(シシド株式会社製、sTATIC HONESTMETER H-0110)にて1Kv帯電させ30秒後の帯電量を測定し、以下の式によって算出した。
帯電減衰率(%)=(30秒後の帯電量/初期帯電量)×100
「破断伸度」は、温度23±2℃、湿度50±2%RHに設定された恒温恒湿装置内で、JIS Z 1702に準拠して測定した。
「延伸方向の弾性率」は、温度23±2℃、湿度50±2%RHに設定された恒温恒湿装置内で、JISK 7127に準拠して測定した。
包装適性は、ひねり包装機における通紙作業、ひねり包装時において、静電気の発生によるロール、カッター刃への巻き付きの有無を示す。具体的には、ひねり包装機(テンチ製)に実施例・比較例のフィルムを取り付け、稼動した時にガイドロールに巻きついたり、包装フィルムサイズに断裁するカッターに巻きついたりする不具合が生じて、ひねり包装ができないものを×とした。
全ての実施例では、全ての評価項目において、良好な結果が得られた。
第2PE系樹脂の配合量が少なすぎる比較例1では、ヘイズが大きかった。
第2PE系樹脂の配合量が少なすぎる比較例2では、生産安定性が×であり、かつ形状保持率が低かった。
ボロン系帯電防止剤の配合量が少なすぎる比較例3では、形状保持率が低く、表面抵抗が大きく、かつ包装適性が×であった。
ボロン系帯電防止剤の配合量が多すぎる比較例4では、メヤニ抑制性が×であった。
ボロン系でない帯電防止剤を配合した比較例5~6では、生産安定性が×であった。
第2PE系樹脂を配合していない比較例7では、ヘイズが大きかった。
帯電防止剤を配合していない比較例8では、形状保持率が低く、表面抵抗が大きく、かつ包装適性が×であった。
Claims (6)
- 第1ポリエチレン系樹脂100質量部と、第2ポリエチレン系樹脂25~70質量部と、ボロン系帯電防止剤0.10~0.60質量部を含み、
第1ポリエチレン系樹脂は、密度が0.940g/cm3以上であり、
第2ポリエチレン系樹脂は、密度が0.870g/cm3以上、0.940g/cm3未満である、組成物。 - 請求項1に記載の組成物であって、
第1ポリエチレン系樹脂が高密度ポリエチレンである、組成物。 - 請求項1又は請求項2に記載の組成物であって、
第2ポリエチレン系樹脂が低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンである、組成物。 - 請求項1~請求項3の何れか1つに記載の組成物からなるフィルムであって、
前記フィルムは、少なくとも一方向に延伸されている、フィルム。 - 請求項4に記載のフィルムを用いたひねり包装用フィルム。
- フィルムの製造方法であって、
溶融混練工程と、フィルム形成工程を備え、
前記溶融混練工程では、第1ポリエチレン系樹脂100質量部と、第2ポリエチレン系樹脂25~70質量部と、ボロン系帯電防止剤0.10~0.60質量部を溶融混練して溶融樹脂を形成し、
前記フィルム形成工程では、前記溶融樹脂をフィルムダイに通して押し出して形成したフィルムを冷却ロールに接触させて冷却し、
第1ポリエチレン系樹脂は、密度が0.940g/cm 3 以上であり、
第2ポリエチレン系樹脂は、密度が0.870g/cm 3 以上、0.940g/cm 3 未満である、方法。
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