以下に添付図面を参照して、本発明に係る商品収納ラック及び商品収納装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である商品収納装置が適用された自動販売機の構成を模式的に示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、例えばペットボトルや缶等の容器に入った飲料を商品として販売するもので、自動販売機本体である本体キャビネット1を備えている。
本体キャビネット1は、複数の金属板を適宜組み合わせることによって構成したもので、前面に開口(以下、前面開口ともいう)1aを有した直方体状に形成してある。この本体キャビネット1の内部には、前面開口1aを臨む態様で断熱構造の収容室2が画成してある。
本体キャビネット1の前方部分には、外扉3及び内扉4が設けてある。外扉3は、本体キャビネット1の前面開口1aを開閉するものである。内扉4は、断熱構造を有した扉体であり、収容室2の前面を開閉するものである。
収容室2には、商品収納装置10が設けてあるとともに、商品シュータ5が設けてある。商品収納装置10は、詳細については後述するが、商品を収納するとともに、払出指令(販売指令)に応じて該当する商品を払い出すものである。商品シュータ5は、商品収納装置10の下方域に設けてあり、後方から前方に向かうに連れて漸次低くなる態様で傾斜している。この商品シュータ5は、商品収納装置10から払い出された商品を、内扉4に設けられた商品搬出口4aを通じて外扉3に設けられた商品取出口3aに導くためのものである。商品搬出口4aは、商品搬出扉4bにより開閉されるものであり、商品取出口3aは、商品取出扉3bにより開閉されるものである。尚、収容室2は、図示せぬ冷却手段や加熱手段によりその内部雰囲気が所望の温度に調整されている。
商品収納装置10は、図2にも示すように、左右一対のベース側板10a間に、複数の商品収納ラック11が上下方向に沿って設けられて構成してある。
図3及び図4は、それぞれ図1及び図2に示した1つの商品収納ラック11を示すもので、図3は斜視図、図4は分解斜視図である。これら図3及び図4にも示すように、商品収納ラック11は、棚板12と、仕切板13と、払出機構20とを備えて構成してある。
棚板12は、例えば板金を加工して構成したものであり、上記ベース側板10a間において、前方から後方に向けて漸次低くなる態様で傾斜して設けてある。この棚板12は、図5に示すように、左右両端部において上方に向けて延在する棚側壁部12aを有している。また棚板12には、左右方向に沿って例えば20mm程度の所定間隔毎に前後方向が長手方向となる複数の仕切用係止孔12bが形成してある。更に棚板12には、後端部において、左右方向に沿って上記仕切用係止孔12bと同程度の所定間隔毎に複数の機構用係止孔12cが形成してある。
仕切板13は、例えば板金を加工して構成したものであり、前後方向が長手方向となる長尺板状部材である。この仕切板13には、下端部より下方に向けて突出する複数の係止片13aが形成してある。
このような仕切板13の係止片13aを任意の仕切用係止孔12bに上方から挿入することで、仕切板13が棚板12の上面に前後方向に向けて延在する態様で該棚板12に係止される。このような仕切板13を棚板12の棚側壁部12a間に複数係止させることで、図3に示すように、棚板12の上面に複数(図示の例では4つ)の商品収納コラム14を左右に並ぶ態様で構成することができる。
これら商品収納コラム14は、上流側である前方から下流側である後方に向けて漸次低くなる態様で傾斜延在した商品収納通路14aを有し、この商品収納通路14aに商品を横倒姿勢で一列に並ぶよう収納するためのものである。
払出機構20は、左右方向に沿って複数(図示の例では4つ)設けてある。これら払出機構20は、図6及び図7に示すように、左右方向に沿って延在する長尺ロッド状部材である回転駆動軸30にそれぞれが貫通された状態で設けてある。
回転駆動軸30は、例えば六角柱等の多角柱形状を成しており、左端部が略円板形状を成す回転伝達部材31の中心部分に連結してある。この回転伝達部材31は、詳細は後述するが、自身の中心軸回りに回転可能に設けてあり、これにより、回転駆動軸30も自身の中心軸を軸心としてその軸心回りに回転可能である。
次に払出機構20の構成について説明する。尚、図6及び図7では、複数の払出機構20が示されているが、これら払出機構20は共通の構成を有しているので、以下に1つの払出機構20の構成について説明し、その他の払出機構20についてはその説明を割愛する。
図8~図11は、それぞれ図6及び図7に示した払出機構20を示すもので、図8及び図9は斜視図、図10は断面側面図、図11は分解斜視図である。これら図8~図11に示すように、払出機構20は、機構本体部21を備えている。機構本体部21は、例えば樹脂材により構成された筐体であり、レバー部材22、ストッパ部材23、ペダル部材24、伝達機構40及び売切検知部25を収容するものである。
そのような機構本体部21においては、図12-1及び図12-2に示すように、本体係合部211及び本体貫通部212を有している。尚、以下においては、機構本体部21、レバー部材22、ストッパ部材23、ペダル部材24及び伝達機構40については、図8に示した方向にしたがって説明する。
本体係合部211は、機構本体部21の前端部に形成してあり、弾性変形可能な樹脂バネ状部分である。この本体係合部211には、前方に向けて突出する係止突起211aと、この係止突起211aよりも下方側において前方に向けて突出する左右一対の係止フック部211bとが形成してある。係止突起211aは、棚板12の機構用係止孔12cに挿入可能なものであり、係止フック部211bは、係止突起211aがいずれかの機構用係止孔12cに挿入する際に棚板12の後端部の下端に係止可能なものである。
本体貫通部212は、機構本体部21における左右両側部の後端部分に左右一対となる態様で形成してある。この本体貫通部212には、回転駆動軸30の最大幅よりも僅かに大きい内径を有する円形状の本体貫通孔212aが形成してあり、かかる本体貫通孔212aを回転駆動軸30が貫通している。
レバー部材22は、例えば樹脂材により構成されており、図13-1及び図13-2に示すように、レバー作用部221及びレバー貫通部222を有している。レバー作用部221は、略平板状部分である。
レバー貫通部222は、レバー作用部221の前方側の左右両端部より前方に突出する態様で形成された左右一対のものである。このレバー貫通部222には、回転駆動軸30の最大幅よりも僅かに大きい内径を有する円形状のレバー貫通孔222aが形成してある。
このようなレバー部材22は、レバー作用部221が機構本体部21よりも後方に向けて突出する態様でレバー貫通部222が本体貫通部212の内方に設置されており、レバー貫通孔222aを回転駆動軸30が貫通することで機構本体部21に収容してある。またレバー貫通部222には、下方に向けて突出するレバー規制突起222bが設けてある。このレバー規制突起222bは、機構本体部21の後端下部に形成された第1規制長孔213(図9参照)に上方より挿通している。この第1規制長孔213は、前後方向が長手方向となる孔部である。これによりレバー部材22は、レバー規制突起222bが第1規制長孔213の前縁部と後縁部とに当接する範囲で回転駆動軸30の中心軸回りに揺動可能である。
ストッパ部材23は、例えば樹脂材により構成されており、図14-1及び図14-2に示すように、ストッパ作用部231、ストッパアーム部232及びストッパ貫通部233を有している。ストッパ作用部231は、左右方向に沿って延在する部分であり、その前端にストッパ作用面231aが形成してある。またストッパ作用部231の後端部には、ストッパ作用部231の上面よりも僅かに窪んだ台座部231bが形成してある。ストッパアーム部232は、ストッパ作用部231の左右両端部より後方に向けて延在する左右一対の部分である。
ストッパ貫通部233は、ストッパアーム部232の後端部より後方に突出する態様で形成された左右一対のものである。これらストッパ貫通部233には、回転駆動軸30の最大幅よりも僅かに大きい内径を有する円形状のストッパ貫通孔233aが形成してある。
このようなストッパ部材23は、ストッパ作用部231が機構本体部21に形成されたストッパ開口214に上方から挿入された態様で各ストッパ貫通部233がレバー貫通部222の内方に設置されており、各ストッパ貫通孔233aを回転駆動軸30が貫通することで機構本体部21に収容してある。またストッパ貫通部233には、下方に向けて突出するストッパ規制突起233bが設けてある。このストッパ規制突起233bは、機構本体部21の後端下部に形成された第2規制長孔215(図9参照)に上方より挿通している。この第2規制長孔215は、前後方向が長手方向となる孔部である。これによりストッパ部材23は、ストッパ規制突起233bが第2規制長孔215の前縁部と後縁部とに当接する範囲で回転駆動軸30の中心軸回りに揺動可能である。
ところで、かかるストッパ部材23とレバー部材22との間には、スプリング部材26が設けてある。このスプリング部材26は、ストッパ規制突起233bが第2規制長孔215の前縁部に当接する方向、すなわち上方に向けてストッパ部材23を付勢するものである。またスプリング部材26は、レバー規制突起222bが第1規制長孔213の後縁部に当接する方向、すなわち上方に向けてレバー部材22を付勢するものである。
ペダル部材24は、例えば樹脂材により構成されており、図15-1及び図15-2に示すように、ペダル基部241、ペダル本体部242及びペダル作用部243を有している。ペダル基部241は、左右方向が長手方向となる円柱状部分であり、回転駆動軸30の最大幅よりも僅かに大きい内径を有する円形状のペダル貫通孔241aが形成してある。またペダル基部241は、その左右方向の中央領域部分が切り欠かれて挿入部241bが形成してあり、該挿入部241bの左側部分には、複数の伝達凹部241cが円弧状に並ぶよう形成してある。
ペダル本体部242は、ペダル基部241よりペダル貫通孔241aの径方向外部、すなわち前方に向けて延在する略平板状部分である。このペダル本体部242の下面には、下方に向けて突出する態様でペダルフック部242aが形成してある。
ペダル作用部243は、ペダル基部241よりペダル貫通孔241aの径方向外部に向けて延在する態様で形成した平板状部分である。このペダル作用部243は、その左右幅がペダル基部241の左右幅及びペダル本体部242の左右幅よりも大きくなるよう形成してある。
このようなペダル部材24は、ストッパ部材23のストッパ貫通部233間においてペダル基部241のペダル貫通孔241aを回転駆動軸30が貫通することで、機構本体部21に収容してある。つまり、ペダル部材24は、回転駆動軸30の中心軸回りに揺動可能となる態様で機構本体部21に収容してある。
伝達機構40は、クラッチモータ41、スライダ42及びドッククラッチ43を備えて構成してある。クラッチモータ41は、機構本体部21のモータ保持部216(図9及び図12-2参照)に保持されることで機構本体部21に収容してあり、ハーネス44(図11参照)を介して制御部60(図1参照)から与えられる指令に応じて正転駆動若しくは逆転駆動するものである。
スライダ42は、例えば樹脂材により構成されており、機構本体部21において左右方向に沿ってスライド可能に設けてある。このようなスライダ42は、図16-1及び図16-2に示すように、スライダ本体部421及びスライダ保持部422を有している。
スライダ本体部421は、略直方体に切欠が形成されることに構成してあり、モータ係合部421a及びフック係止部421bを有している。モータ係合部421aは、内部に雌ネジが形成されており、クラッチモータ41に連結された雄ネジ411と螺合することで該クラッチモータ41と係合する部位である。これによりスライダ42は、クラッチモータ41が正転駆動することで雄ネジ411が一方向に回転する場合には、該クラッチモータ41に近接する態様で左方にスライドする一方、クラッチモータ41が逆転駆動することで雄ネジ411が他方向に回転する場合には、該クラッチモータ41から離隔する態様で右方にスライドするものである。
フック係止部421bは、モータ係合部421aよりも右方側の上部に形成されたスライダ凹部423の開口縁部として構成された平板状部位である。このフック係止部421bは、該スライダ凹部423にペダルフック部242aが進入した場合に、該ペダルフック部242aと係止可能なものである。
スライダ保持部422は、スライダ本体部421より後方に向けて突出する平板の後端に設けてある。このスライダ保持部422は、内部に保持孔422aが形成されることで円筒状の形態を成している。
ドッククラッチ43は、例えば樹脂材により構成されており、図17-1及び図17-2に示すように、クラッチ基部431、クラッチ係合部432及びクラッチ伝達部433を有している。クラッチ基部431は、円筒状部分であり、その外径はスライダ保持部422の保持孔422aの内径よりも大きいものである。
クラッチ係合部432は、クラッチ基部431の右端面より右方に突出する態様で形成された円筒状部分である。これらクラッチ基部431及びクラッチ係合部432には、内部に回転駆動軸30の外形形状に適合する六角形状の連結孔434が形成してある。またクラッチ係合部432の外径は、クラッチ基部431の外径よりも小さく、かつスライダ保持部422の保持孔422aの内径よりも僅かに小さいものである。更にクラッチ係合部432の左右方向の延在長さは、スライダ保持部422の左右方向の長さよりも大きく、該クラッチ係合部432の右端部分にはクラッチフック部432aが形成してある。
クラッチ伝達部433は、クラッチ基部431の外端面の一部において円弧状に延在する部分である。このクラッチ伝達部433の左面には、左方に突出する態様で伝達凸部433aが円弧状に並ぶように形成してある。これら伝達凸部433aは、上記伝達凹部241cに進入可能なものである。
このようなドッククラッチ43は、クラッチ係合部432がスライダ保持部422の保持孔422aに左方から進入し、クラッチフック部432aがスライダ保持部422の右端部に係止することでスライダ42に回転自在に保持されている。そして、ドッククラッチ43は、ペダル部材24におけるペダル基部241の挿入部241bに挿入された状態で、連結孔434に回転駆動軸30が貫通して機構本体部21に収容してある。
売切検知部25(図8参照)は、売切接触子251がストッパ部材23の右方側のストッパアーム部232に形成されたアーム開口232aより上方に向けて出没可能となる態様で機構本体部21に収容している。この売切検知部25は、売切接触子251が押圧されてアーム開口232aより下方に配置される場合には、商品有りを検知する一方、売切接触子251がアーム開口232aより上方に配置される場合には、商品無しを検知するものである。この売切検知部25により検知結果は、検知信号として制御部60に与えられる。
そのような構成を有する払出機構20は、機構本体部21の本体係合部211を構成する係止突起211aが棚板12の任意の機構用係止孔12cに挿入されて係止フック部211bが棚板12の後端部の下縁部に係止することで該棚板12に取り付けられ、商品収納コラム14の商品収納通路14aの下流側に設けられる。
そして、払出機構20は、図8~図10に示すような待機状態においては、スライダ42がクラッチモータ41よりも離隔した位置に配置されており、ペダル部材24のペダルフック部242aがスライダ凹部423に進入してフック係止部421bに係止している。そのため、ペダル部材24は、ペダル作用部243が機構本体部21より上方に突出して商品収納通路14aに進出移動した状態となる。尚、スライダ42がクラッチモータ41よりも離隔した位置に配置されることで、図18に示すように、スライダ保持部422に保持されたドッククラッチ43と、ペダル部材24とは互いに離隔している。
またストッパ部材23は、台座部231bがペダル部材24のペダル本体部242に押圧されて、スプリング部材26の付勢力に抗して下方に揺動し、ストッパ作用部231がストッパ開口214に上方から進入することで、商品収納通路14aから退行移動した状態となる。これにより、ストッパ部材23のストッパ作用部231、ストッパアーム部232及びペダル本体部242の上面は、機構本体部21の上面と同一の平面を構成することとなる。
ところで、レバー部材22は、スプリング部材26の付勢力のみが作用することで、レバー規制突起222bが第1規制長孔213の後縁部に当接するまで上方に揺動した姿勢となり、図1及び図2に示すように、商品収納ラック11の後方側に設けられた上下方向に延在する払出通路50に進出移動した状態となる。
この払出通路50の背面を構成する商品収納装置10のベース背面板10bには、払出通路50に突出する複数のガイド突起51が設けてある。ガイド突起51は、それぞれが各商品収納ラック11の払出機構20の高さレベルよりも下方となる部分に左右方向に延在する態様で設けてあり、より詳細には、上下に隣接する商品収納ラック11において、上方側の商品収納ラック11の払出機構20の高さレベルと、下方側の商品収納ラック11の払出機構20の高さレベルとの中間の高さレベルに設けてある。
また上記回転駆動軸30に連結された回転伝達部材31は、図2に示したように、その外端面が無端状に連結された伝達索条体32の一部に噛合している。この伝達索条体32は、駆動プーリ33に一部が噛合しており、該駆動プーリ33が駆動モータ34の駆動により中心軸回りに回転することにより、その延在方向に沿って変位するものである。つまり、伝達索条体32が駆動プーリ33の回転に伴って変位する結果、回転伝達部材31も自身の中心軸回りに回転し、これにより回転駆動軸30も自身の中心軸を軸心としてその軸心回りに回転することになる。尚、上記駆動モータ34は、電気的に接続された制御部60から与えられる指令に応じて正転駆動若しくは逆転駆動するものである。そして、制御部60は、各回転伝達部材31の近傍に設けた例えばエンコーダ等の回転検知部(図示せず)から与えられる検知結果により回転伝達部材31の回転角度を検出することができる。
次に、上記商品収納装置10による商品の払出動作について説明する。尚、以下においては、説明の便宜上、1つの商品収納コラム14を例示して説明する。
払出機構20が待機状態にある場合には、上述したようにペダル部材24のみが商品収納通路14aに進出移動した状態となるので、図19に示すように、ペダル作用部243が商品収納通路14aの最下流の商品W1に当接する。これにより商品収納コラム14の商品は、商品収納通路14aに沿って一列に収納されており、該商品収納通路14aから離脱することが規制されている。
そして、利用者が商品を選択することにより自動販売機の動作を統括的に制御する自販機制御部(図示せず)から当該商品収納コラム14に収納された商品の払出指令が与えられた制御部60は、該商品収納コラム14の後方側に設置された払出機構20のクラッチモータ41を正転駆動させる。これにより、雄ネジ411が一方向に回転することとなり、図20に示すように、スライダ42がクラッチモータ41に近接する態様で左方にスライドする。このようにスライダ42が左方にスライドすることで該スライダ42に保持されるドッククラッチ43も左方にスライドする。この結果、ドッククラッチ43は、図21に示すように、各伝達凸部433aがペダル部材24の各伝達凹部241cに進入して該ペダル部材24と連結される。またスライダ42が左方にスライドすることでフック係止部421bとペダルフック部242aとの係止状態が解除される。
このようにドッククラッチ43とペダル部材24とが連結されると、制御部60は、駆動モータ34を正転駆動させる。これにより駆動プーリ33が右方から見て時計回りに回転し、伝達索条体32が変位することで回転伝達部材31も右方から見て時計回りに回転する。
このようにして回転伝達部材31が回転することで、回転駆動軸30も右方から見て時計回りとなる態様で中心軸回りに回転することとなる。このように回転駆動軸30が回転することで該回転駆動軸30に適合するドッククラッチ43も右方から見て時計回りに回動する。そして、ドッククラッチ43に連結されたペダル部材24は、図22に示すように後方に向けて揺動する。
ペダル部材24が後方に向けて揺動すると、該ペダル部材24のペダル本体部242により台座部231bが押圧されていたストッパ部材23は、かかるペダル部材24による押圧が解除されることとなり、図23に示すように、ストッパ規制突起233bが第2規制長孔215の前縁部に当接するまで上方に揺動し、ストッパ作用部231がストッパ開口214から上方に突出して商品収納通路14aに進出移動した状態となる。
このようにストッパ部材23が商品収納通路14aに進出移動した状態となることで、図24に示すように、ストッパ作用部231のストッパ作用面231aが商品収納通路14aにおける下流側から2番目の商品W2に当接し、該商品W2が商品収納通路14aの下流側に向けて移動することを規制する。つまり、最下流の商品W1だけ他の商品と切り離すことができる。
そして、駆動モータ34の駆動に伴う回転伝達部材31の回転により回転駆動軸30の回転は維持されており、回転駆動軸30の回転により回動するドッククラッチ43に連結されたペダル部材24は、後方に向けての揺動を継続する。
その後、回転検知部の検知結果を通じて、図25に示すようにペダル部材24が最下流の商品W1を払出通路50に払出可能な姿勢まで後方に揺動したことが回転伝達部材31の回転角度として検出されると、制御部60は、駆動モータ34を一旦駆動停止にさせる。
これにより、最下流の商品W1は、払出通路50に払い出され、レバー部材22に当接する。レバー部材22は、スプリング部材26の付勢力に抗して払出通路50から退行移動する態様で下方に揺動して、当接した商品を直下のガイド突起51に案内する。このようにして直下のガイド突起51に案内された商品は、図26に示すように、該ガイド突起51に当接した後に上記商品収納コラム14を有する商品収納ラック11の下方の商品収納ラック11を構成するいずれかの払出機構20のレバー部材22に当接し、該レバー部材22の直下のガイド突起51に案内されることで、払出通路50を蛇行状に落下する。払出通路50を蛇行状に落下した商品は、その後に商品シュータ5を転動し、商品搬出口4aを通じて商品取出口3aまで導かれる。
尚、ガイド突起51は、払出通路50を落下する商品W1に当接した場合、該商品W1を自身の直下のレバー部材22のレバー貫通部222近傍に案内することが好ましい。レバー部材22を付勢するスプリング部材26の反力(付勢力)は、レバー部材22の揺動軸となる回転駆動軸30が貫通するレバー貫通部222側に近いほど大きく、効果的に商品W1の落下速度を減衰させることが可能になる。
またガイド突起51は、商品シュータ5に落下した商品W1の衝撃をより効果的に減衰させるため、払出通路50に向けての突出高さが、払出通路50の上方側に配設されているものほど大きく、該払出通路50の下方側に配設されているものほど小さく形成されていることが好ましい。
ところで、駆動モータ34を一旦停止させた制御部60は、該駆動モータ34を逆転駆動させる。このように駆動モータ34が逆転駆動することにより、駆動プーリ33が右方から見て反時計回りに回転し、伝達索条体32が変位することで回転伝達部材31も右方から見て反時計回りに回転する。このようにして回転伝達部材31が回転することで、回転駆動軸30も右方から見て反時計回りとなる態様で中心軸回りに回転することとなる。回転駆動軸30が回転することで該回転駆動軸30に適合するドッククラッチ43も右方から見て反時計回りに回動し、ドッククラッチ43に連結されたペダル部材24は、前方に向けて揺動する。
ペダル部材24が前方に向けて揺動すると、該ペダル部材24のペダル本体部242により台座部231bが押圧されたストッパ部材23は、スプリング部材26の付勢力に抗して下方に揺動し、その後にストッパ作用部231がストッパ開口214に進入して商品収納通路14aに退行移動した状態となり、この結果、ペダル部材24は待機状態に戻る。このときペダル部材24のペダルフック部242aがスライダ42のスライダ凹部423に進入する。
そのようにペダル部材24が待機状態に戻ると、制御部60は、クラッチモータ41を逆転駆動させてスライダ42を右方にスライドさせてクラッチモータ41から離隔した位置に配置させる。これにより、スライダ42のフック係止部421bとペダルフック部242aとが係止し、新たに最下流となる商品がペダル作用部243に当接してもペダル部材24が揺動することを規制し、商品収納通路14aに商品が収納される。
ところで、すべての回転伝達部材31は、伝達索条体32を通じて駆動プーリ33に連係していることから、駆動モータ34の駆動に伴って回転する。そのため、すべての回転駆動軸30が回転することとなる。このように回転駆動軸30が回転すると、ドッククラッチ43も回動することとなるが、上述した払出機構20以外のその他の払出機構20では、ペダル部材24のペダルフック部242aがフック係止部421bと係止された状態が維持されつつ、ドッククラッチ43とペダル部材24とが連結されていないので、払出機構20の待機状態が維持され、その他の商品収納コラム14から商品が払い出されることはない。
以上説明したような商品収納ラック11においては、棚板12には、左右方向に沿って所定間隔毎に複数の仕切用係止孔12bが形成してあり、任意の仕切用係止孔12bに仕切板13の係止片13aを挿入させて該仕切板13を棚板12に係止させることで商品収納コラム14を構成するので、仕切板13の係止片13aを挿入させる仕切用係止孔12bの位置を変更することで商品収納コラム14の左右幅を変更することができる。しかも払出機構20は、回転駆動軸30に貫通された状態で、左右方向に沿って変位可能であり、任意の商品収納コラム14を構成する商品収納通路14aの下流側に設けることができる。
よって上記商品収納ラック11によれば、複数の商品収納コラム14が、左右方向に並ぶよう設けられるとともに、それぞれの左右幅を変更可能に構成され、払出機構20が左右方向に変位可能に設けられているので、種々の大きさを有する商品を収納して払い出すことができる。
上記商品収納ラック11においては、棚板12の任意の仕切用係止孔12bに仕切板13の係止片13aを挿入させて該仕切板13を該棚板12に係止させることで商品収納コラム14を構成するので、図27に示すように左右方向に4つの商品収納コラム14が並ぶよう構成された状態で、最も中央に配置された仕切板13を取り除くことで、図28に示すように、互いに隣接する一方の商品収納コラム14の商品収納通路14aと他方の商品収納コラム14の商品収納通路14aとを併合してこれら商品収納コラム14を連結させることができ、左右方向に3つの商品収納コラム14が並ぶよう構成することができる。この場合、連結された新たな商品収納コラム14には、他の商品収納コラム14に収納された商品Wよりも商品高さの大きい商品W3を収納することができ、種々の大きさを有する商品を、空きスペースを最小化して収納しつつ払い出すことができる。従って、種々の大きさを有する商品を隙間なく効率的に収納して払い出すことができる。
上記商品収納ラック11においては、回転伝達部材31及び回転駆動軸30が払出機構20に対して各払出機構20を動作させるための共通の駆動力を付与する駆動力付与手段を構成し、伝達機構40が該当する払出機構20のみに駆動力付与手段の駆動力を伝達する駆動力伝達手段を構成している。このような商品収納ラック11によれば、該商品収納ラック11を構成するそれぞれの払出機構20の駆動力源を共通化させることができ、部品点数の削減による製造コストの低減化を図ることができる。しかも、伝達機構40を駆動させる数によっては同一の商品収納ラック11において単独の払出機構20だけでなく複数の払出機構20を同期駆動させることができ、複数の商品収納コラム14から商品を同時に払い出すことができるとともに、1つの商品収納コラム14に複数台の払出機構20を設けた場合にこれら払出機構20を同期駆動させて該商品収納コラム14に収納された商品を良好に払い出すことができる。従って、任意の商品収納コラム14どうしで商品の払出動作の同期を良好に図ることができる。
上記商品収納装置10によれば、各商品収納ラック11に対応して設けられた回転伝達部材31を共通の動力源である駆動モータ34の駆動により回転させるようにしたので、動力源を統一化させることで、部品点数の削減により製造コストの低減化を図ることができる。
上記商品収納装置10によれば、払出機構20により払い出された商品が落下する払出通路50を構成するベース背面板10bに前記商品収納ラック11に向けて前方に突出する複数のガイド突起51が各商品収納ラック11の払出機構20の高さレベルよりも下方に設けてあり、払出機構20のレバー部材22が払出通路50を落下する商品に当接して直下のガイド突起51に案内するので、商品を蛇行させながら払出通路50を落下させることができる。これにより商品の容器が損傷してしまうことを防止することができるとともに、商品が炭酸を比較的多量に含んだ強炭酸飲料である場合に飲料が泡立ってフォーミングが発生してしまうことを抑制することができる。
次に、商品収納ラックの変形例について説明する。図29は、本発明の実施の形態である商品収納ラックの変形例の外観構成を示す斜視図である。
ここで例示する商品収納ラック70は、複数の商品収納コラム70aが左右に並ぶ態様で並設されて構成してある。尚、商品収納ラック70を構成する複数の商品収納コラム70aは、同様の構成を有しているので、以下においては1つの商品収納コラム70aについて説明する。
商品収納コラム70aは、払出機構80を備えて構成してある。払出機構80は、前後一対となる態様で設けられたプーリ81間に、搬送ベルト82が無端状に張設されることにより構成してある。
前方側のプーリ81aは、図30~図32に示すように、円筒状の形態を成しており、中空部811が回転駆動軸71に貫通されている。回転駆動軸71は、例えば六角柱等の多角柱形状を成しており、右端部が略円板形状を成す回転伝達部材72の中心部分に連結してある。この回転伝達部材72は、駆動源である駆動モータ73に連係されており、駆動モータ73からの駆動力が付与されることで自身の中心軸回りに回転可能である。これにより、回転駆動軸71も自身の中心軸を軸心としてその軸心回りに回転可能である。後方側のプーリ81は、左右方向に沿って延在する回転軸74の軸心回りに回転可能に設けてある。
搬送ベルト82は、プーリ81が回転することにより、自身の延在方向に沿って変位するものであり、具体的には、プーリ81間における上方側延在部分82aが前方に移動する態様で変位するものである。上方側延在部分82aは、商品を載置する部分であり、前後方向に直線状に延在する商品収納通路75を形成するものである。
そのような払出機構80には、伝達機構90が設けてある。伝達機構90は、クラッチモータ91、スライダ92及びドッククラッチ93を備えて構成してある。クラッチモータ91は、自身に形成された貫通孔90bが回転駆動軸71に貫通された機構本体部90aに収容してあり、図示せぬ制御部から与えられる指令に応じて正転駆動若しくは逆転駆動するものである。
スライダ92は、例えば樹脂材により構成されており、機構本体部90aにおいて左右方向に沿ってスライド可能に設けてある。このようなスライダ92は、モータ係合部921及びスライダ保持部922を有している。
モータ係合部921は、内部に雌ネジ(図示せず)が形成されており、クラッチモータ91の出力軸91aに連係された雄ネジ91bと螺合することで該クラッチモータ91と係合する部位である。これによりスライダ92は、クラッチモータ91が正転駆動することで雄ネジ91bが一方向に回転する場合には、該クラッチモータ91に近接する態様で右方にスライドする一方、クラッチモータ91が逆転駆動することで雄ネジ91bが他方向に回転する場合には、該クラッチモータ91から離隔する態様で左方にスライドするものである。
スライダ保持部922は、スライダ92本体部より前方に向けて突出する部分の前端に設けてある。このスライダ保持部922は、内部に保持孔922aが形成されることで円筒状の形態を成している。
ドッククラッチ93は、例えば樹脂材により構成されており、クラッチ基部931及びクラッチ係合部932を有している。クラッチ基部931は、円筒状部分であり、その外径はスライダ保持部922の保持孔922aの内径よりも大きいものである。
クラッチ係合部932は、クラッチ基部931の左端面より左方に突出する態様で形成された円筒状部分である。これらクラッチ基部931及びクラッチ係合部932には、内部に回転駆動軸71の外形形状に適合する六角形状の連結孔933が形成してある。またクラッチ係合部932の外径は、クラッチ基部931の外径よりも小さく、かつスライダ保持部922の保持孔922aの内径よりも僅かに小さいものである。更にクラッチ係合部932の左右方向の延在長さは、スライダ保持部922の左右方向の長さよりも大きく形成してある。
上記クラッチ基部931は、右面に複数の伝達凸部931aが設けてある。これら伝達凸部931aは、それぞれがクラッチ基部931の右面から右方に突出する態様で円周状に並ぶよう形成してある。これら伝達凸部931aは、前方側のプーリ81aに形成された伝達凹部811aに進入可能なものである。
このようなドッククラッチ93は、クラッチ係合部932がスライダ保持部922の保持孔922aに右方から進入し、スライダ92に回転自在に保持されている。
このような構成を有する商品収納ラック70においては、次のようにして任意の商品収納コラム70aより商品を払い出すことができる。尚、前提として駆動モータ73が駆動しており、これにより、回転駆動軸71が右方から見て反時計回りに回転しているものとする。またスライダ92は、クラッチモータ91から離隔する態様で左方にスライドしているものとする。
回転駆動軸71が回転することによりドッククラッチ93は回転しているが、スライダ92が左方にスライドしているため、図33に示すように、ドッククラッチ93と前方側のプーリ81aとは離隔しており、これにより前方側のプーリ81aは回転していない。この状態では、搬送ベルト82は変位せず、上方側延在部分82aに商品が載置されているだけである。
そして、任意の商品収納コラム70aに収納された商品の払出指令が与えられると、制御部は、該当するクラッチモータ91を正転駆動させる。これにより、雄ネジ91bが一方向に回転することとなり、図34に示すように、スライダ92がクラッチモータ91に近接する態様で右方にスライドする。このようにスライダ92が右方にスライドすることで該スライダ92に保持されるドッククラッチ93も右方にスライドする。この結果、ドッククラッチ93は、各伝達凸部931aが前方側のプーリ81aの各伝達凹部811aに進入して該前方側のプーリ81aと連結される。
このようにドッククラッチ93と前方側のプーリ81aとが連結されると、前方側のプーリ81aには、回転駆動軸71及びドッククラッチ93を通じて駆動モータ73の駆動力が付与されて、右方から見て反時計回りに回転することとなり、搬送ベルト82が変位する。すなわち、搬送ベルト82は、上方側延在部分82aが前方に移動する態様で変位する。これにより、上方側延在部分82aの最も下流側となる最前に配置された最下流の商品が前方に向けて移動し、該商品収納通路75より払い出されることになる。
最下流の商品が払い出された後、制御部は、クラッチモータ91を逆転駆動させる。これにより、雄ネジ91bが他方向に回転することとなり、図33に示すように、スライダ92がクラッチモータ91から離隔する態様で左方にスライドする。このようにスライダ92が左方にスライドすることで該スライダ92に保持されるドッククラッチ93も左方にスライドする。この結果、ドッククラッチ93は、各伝達凸部931aが各伝達凹部811aから離脱して、前方側のプーリ81aとの連結が解除される。このようにドッククラッチ93と前方側のプーリ81aとが連結が解除されると、前方側のプーリ81aは、回転を停止し、搬送ベルト82の変位が停止する。
以上説明したような商品収納ラック70においては、回転伝達部材72及び回転駆動軸71が払出機構80に対して各払出機構80を動作させるための共通の駆動力を付与する駆動力付与手段を構成し、伝達機構90が該当する払出機構80のみに駆動力付与手段の駆動力を伝達する駆動力伝達手段を構成している。このような商品収納ラック70によれば、該商品収納ラック70を構成するそれぞれの払出機構80の駆動力源を共通化させることができ、部品点数の削減による製造コストの低減化を図ることができる。しかも、伝達機構90を駆動させる数によっては同一の商品収納ラック70において単独の払出機構80だけでなく複数の払出機構80を同期駆動させることができ、複数の商品収納コラム70aから商品を同時に払い出すことができる。従って、任意の商品収納コラム70aどうしで商品の払出動作の同期を良好に図ることができる。
このように任意の商品収納コラム70aどうしで商品の払出動作の同期を図れるので、互いに隣接する商品収納コラム70aどうしにおいても払出動作を同期させることができ、この場合には、隣接する商品収納通路75を跨る態様で例えば弁当等の商品を載置させることもでき、該商品を良好に払い出すこともできる。
ところで、そのような商品収納ラック70が上下方向に沿って複数段設けられて構成された商品収納装置100においては、図35に示すように、回転伝達部材72同士を伝達索条体76で連係させることにより、駆動モータ73を各商品収納ラック70の駆動力付与手段(回転伝達部材72及び回転駆動軸71)の共通の動力源とすることができる。つまり、駆動力付与手段は、他の商品収納ラック70を構成する他の駆動力付与手段と共通の動力源から与えられる動力を駆動力として付与することができる。
従って、このような商品収納装置100によれば、各商品収納ラック70に対応して設けられた回転伝達部材72を共通の動力源である駆動モータ73の駆動により回転させるようにしたので、動力源を統一化させることで、部品点数の削減により製造コストの低減化を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態では、回転伝達部材31,72が伝達索条体32,76を介して共通の駆動モータ34,73により駆動させていたが、本発明においては、各回転伝達部材を個別に駆動させるようにしてもよい。
上述した実施の形態では、伝達機構40,90を構成するクラッチモータ41,91が正転駆動又は逆転駆動することによりスライダ42,92をスライドさせていたが、スライダ42,92をスライドさせるアクチュエータはクラッチモータ41,91に限定する必要はなく、例えばソレノイド等であってもよい。
上述した実施の形態では、商品収納装置10が自動販売機に適用された例を示したが、本発明においては、商品収納装置がショーケースに適用されてもよい。