JP7017589B2 - 合成ポリイソプレン共重合体及びその製造方法 - Google Patents

合成ポリイソプレン共重合体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7017589B2
JP7017589B2 JP2019565096A JP2019565096A JP7017589B2 JP 7017589 B2 JP7017589 B2 JP 7017589B2 JP 2019565096 A JP2019565096 A JP 2019565096A JP 2019565096 A JP2019565096 A JP 2019565096A JP 7017589 B2 JP7017589 B2 JP 7017589B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
synthetic polyisoprene
latex
graft
rubber
polyisoprene rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019565096A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019138449A1 (ja
Inventor
典彦 中村
成元 河原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire Corp filed Critical Toyo Tire Corp
Publication of JPWO2019138449A1 publication Critical patent/JPWO2019138449A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7017589B2 publication Critical patent/JP7017589B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08CTREATMENT OR CHEMICAL MODIFICATION OF RUBBERS
    • C08C2/00Treatment of rubber solutions
    • C08C2/02Purification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/12Polymerisation in non-solvents
    • C08F2/16Aqueous medium
    • C08F2/22Emulsion polymerisation
    • C08F2/24Emulsion polymerisation with the aid of emulsifying agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F212/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an aromatic carbocyclic ring
    • C08F212/02Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical
    • C08F212/04Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical containing one ring
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F279/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of monomers having two or more carbon-to-carbon double bonds as defined in group C08F36/00
    • C08F279/02Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of monomers having two or more carbon-to-carbon double bonds as defined in group C08F36/00 on to polymers of conjugated dienes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F36/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, at least one having two or more carbon-to-carbon double bonds
    • C08F36/02Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, at least one having two or more carbon-to-carbon double bonds the radical having only two carbon-to-carbon double bonds
    • C08F36/04Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, at least one having two or more carbon-to-carbon double bonds the radical having only two carbon-to-carbon double bonds conjugated
    • C08F36/08Isoprene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F6/00Post-polymerisation treatments
    • C08F6/14Treatment of polymer emulsions
    • C08F6/16Purification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F6/00Post-polymerisation treatments
    • C08F6/14Treatment of polymer emulsions
    • C08F6/20Concentration
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F6/00Post-polymerisation treatments
    • C08F6/14Treatment of polymer emulsions
    • C08F6/22Coagulation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Description

本発明は、合成ポリイソプレン共重合体及びその製造方法に関するものである。
従来、ゴムを改質する技術として、ゴムラテックスにスチレン系モノマーやアクリル系モノマーなどのビニルモノマーをグラフト共重合させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ナノマトリックス構造を持つ天然ゴムのグラフト共重合体が知られている。例えば、特許文献2には、天然ゴムラテックスを脱蛋白質化した後、天然ゴム粒子表面にビニルモノマーをグラフト共重合させることにより、グラフト鎖により形成された厚さ1~100nmの連続相中に天然ゴム粒子が相分離した状態で分散したナノマトリックス構造を持つ天然ゴムグラフト共重合体が得られることが開示されている。
日本国特開2003-012736号公報 日本国特開2004-155884号公報
本発明者らは、天然ゴムラテックスに代えて市販の合成ポリイソプレンゴムラテックスを用いて、これにビニルモノマーをグラフト共重合させることにより、ナノマトリックス構造を有する合成ポリイソプレン共重合体を得ることを考えた。
しかしながら、市販の合成ポリイソプレンゴムラテックスを用いた場合、室温で遠心分離による精製を行ったゴムラテックスとビニルモノマーとの共重合が進行しづらく、ナノマトリックス構造を有する合成ポリイソプレン共重合体を得ることはできない。
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、合成ポリイソプレンゴムラテックスにビニルモノマーをグラフト共重合させることができる新規な製造方法を提供することを目的とする。また、それにより得られるナノマトリックス構造を有する合成ポリイソプレン共重合体を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る合成ポリイソプレン共重合体の製造方法は、合成ポリイソプレンゴムラテックスを50℃以上の加熱条件下で攪拌し、遠心分離することにより精製すること、及び、得られた精製合成ポリイソプレンゴムラテックスにビニルモノマーを添加してグラフト共重合させること、を含むものである。
本発明の実施形態に係る合成ポリイソプレン共重合体は、合成ポリイソプレンゴム粒子の表面にビニルモノマーがグラフト共重合された合成ポリイソプレン共重合体からなり、グラフト鎖により形成された厚さ1~100nmの連続相中に合成ポリイソプレンゴム粒子が相分離した状態で分散したナノマトリックス構造を有するものである。
本発明の実施形態によれば、合成ポリイソプレンゴムラテックスにビニルモノマーをグラフト共重合させることができる。また、ナノマトリックス構造を有する合成イソプレングラフト共重合体を得ることができる。
実施例1~4に係る合成ポリイソプレン共重合体の作製工程のフローチャート 実施例4で得られたゴム膜の透過型電子顕微鏡写真 実施例3と比較例1のゴム膜の引張試験における歪み-応力曲線のグラフ 実施例5で得られたゴム膜の5000倍と10000倍の透過型電子顕微鏡写真 実施例5で得られたゴム膜の引張試験における歪み-応力曲線のグラフ
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明者らは、市販の合成ポリイソプレンゴムラテックスをビニルモノマーとの共重合に先立って精製する際に、加熱条件下で攪拌することにより、合成ポリイソプレンゴムラテックスとビニルモノマーとが共重合しやすくなることを見出した。加熱条件下で攪拌することによりグラフト共重合が進行する理由は明らかでなく、これにより限定されるものではないが、次のように考えられる。
市販の合成ポリイソプレンゴムラテックスを用いた場合における共重合反応が進みにくい1つの仮説として、合成ポリイソプレンゴムラテックスに含まれるロジン系界面活性剤がゴム粒子を覆っていることによる反応の阻害が考えられる。すなわち、下里錠次他「スチレンゴム乳化重合におけるロジン酸セッケン」有機合成化学、第16巻第11号(1958)、p630-636に記載され、またISO2303:2000にも規定されているように、市販の合成ポリイソプレンゴムラテックスにはロジン系界面活性剤が不可避的に含まれている。ロジン系界面活性剤は軟化点が約80℃と高いため、遠心分離による精製だけでは除去することが困難である。遠心分離前に加熱して攪拌することにより、ロジン系界面活性剤をゴム粒子表面から除去することができ、そのためグラフト共重合が進行しやすくなると考えられる。
(原料ラテックス)
本実施形態に係る製造方法において、出発原料とする合成ポリイソプレンゴム(IR)ラテックス(以下、単にIRラテックスということがある。)としては、シス-1,4-ポリイソプレンゴムを含むゴムラテックスを用いることができる。
一実施形態として、IRラテックスとしては、例えば、市販のものを用いてもよい。市販のIRラテックスは乳化剤としてロジン系界面活性剤を用いて合成されることから、当該IRラテックスにはロジン系界面活性剤が含まれており、そのため、本実施形態による効果が発揮されやすいと考えられる。ロジン系界面活性剤としては、ロジン酸石鹸、不均化ロジン酸石鹸などが挙げられる。IRラテックスに含まれるロジン系界面活性剤の量は、特に限定されず、例えば、合成イソプレンゴム100質量部に対して0.05~2質量部でもよい。
(IRラテックスの精製)
本実施形態では、IRラテックスを50℃以上の加熱条件下で攪拌し、遠心分離することにより精製する。IRラテックスを50℃以上で加熱攪拌するにより、ビニルモノマーとの共重合反応を進みやすくすることができる。
上記加熱条件、即ちIRラテックスを攪拌する際の加熱温度は、60℃以上であることが好ましい。後述する実施例に示されているように、共重合反応の反応率は80℃で低下する傾向があるので、加熱条件としては、60℃以上70℃以下、又は、85℃以上100℃未満であることが好ましく、より好ましくは85℃以上95℃以下である。
IRラテックスを攪拌する際の攪拌時間は、特に限定されず、例えば、10~200分間でもよく、20~120分間でもよい。また、攪拌条件も、特に限定されず、例えば、ゴムラテックスを攪拌可能な攪拌翼を持つ攪拌機を用いて、50~1000rpmで攪拌してもよく、100~500rpmで攪拌してもよい。
IRラテックスを攪拌する際のIRラテックスの濃度は、特に限定されず、例えば、ゴム濃度(DRC:Dry Rubber Content)で10~60質量%でもよく、20~50質量%でもよい。
IRラテックスを攪拌する際には、ビニルモノマーとの共重合反応を阻害しない界面活性剤をIRラテックスに添加しておいてもよい。そのような界面活性剤としては、以下に列挙する様々なアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤を用いることができる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等が挙げられる。
カルボン酸系のアニオン界面活性剤としては、炭素数が6~30であるカルボン酸塩、例えば、脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩などが挙げられる。中でも、炭素数10~20のカルボン酸塩が好適である。カルボン酸系のアニオン界面活性剤の炭素数が6以上であることにより、蛋白質および不純物の分散・乳化作用を向上することができ、また、炭素数が30以下であることにより、水に分散させやすくすることができる。
スルホン酸系のアニオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩等が挙げられる。
硫酸エステル系界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩等が挙げられる。
リン酸エステル系のアニオン界面活性剤としては、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンリン酸エステル塩等が挙げられる。
アニオン界面活性剤における上記化合物の塩としては、金属塩(Na,K,Ca,Mg,Zn等)、アンモニウム塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンエーテル系のノニオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノールエーテル等が挙げられる。前記ポリオールとしては炭素数2~12の多価アルコールが挙げられ、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、シュクロース、ペンタエリトリトール、ソルビタン等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンエステル系のノニオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。多価アルコール脂肪酸エステル系のノニオン界面活性剤としては、炭素数2~12の多価アルコールの脂肪酸エステルまたはポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルが挙げられる。より具体的には、例えばソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物(例えばポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。
糖脂肪酸エステル系のノニオン界面活性剤としては、例えばショ糖、グルコース、マルトース、フラクトース、多糖類の脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
アルキルポリグリコシド系のノニオン界面活性剤としては、例えばアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシド等が挙げられ、これらの脂肪酸エステル類も挙げられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
ノニオン界面活性剤におけるアルキル基としては、例えば炭素数4~30のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2~4のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1~50モル程度のものが挙げられる。脂肪酸としては、例えば炭素数が4~30の直鎖または分岐した飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩型、アルキルアミン誘導体型およびそれらの第4級化物、ならびにイミダゾリニウム塩型等が挙げられる。
アルキルアミン塩型のカチオン界面活性剤としては、第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミンの塩が挙げられる。アルキルアミン誘導体型のカチオン界面活性剤は、エステル基、エーテル基、アミド基のうちの少なくとも1つを分子内に有するものであって、例えばポリオキシアルキレン(AO)アルキルアミンおよびその塩、アルキルエステルアミン(AO付加物を含む)およびその塩、アルキルエーテルアミン(AO付加物を含む)およびその塩、アルキルアミドアミン(AO付加物を含む)およびその塩、アルキルエステルアミドアミン(AO付加物を含む)およびその塩、アルキルエーテルアミドアミン(AO付加物を含む)およびその塩等が挙げられる。前記塩の種類としては、例えば塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、脂肪酸、有機酸、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸、アルキルアミドエーテルカルボン酸、アニオン性オリゴマー、アニオン性ポリマー等が挙げられる。アルキルアミン誘導体型カチオン界面活性剤のうち、酢酸塩の具体例としては、例えばココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。上記アルキルアミン塩型およびアルキルアミン誘導体型カチオン界面活性剤におけるアルキル基は特に限定されるものではないが、通常炭素数8~22の、直鎖状、分岐鎖状またはゲルベ状のものが挙げられる。
上記アルキルアミン塩型およびアルキルアミン誘導体型のカチオン界面活性剤の第4級化物としては、上記アルキルアミン塩およびアルキルアミン誘導体を、例えばメチルクロライド、メチルブロマイド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等で第4級化したものが挙げられる。具体的には、ラウリルトリメチルアンモニウムハライド、セチルトリメチルアンモニウムハライド、ステアリルトリメチルアンモニウムハライド等のアルキルトリメチルアンモニウムハライド; ジステアリルジメチルアンモニウムハライド等のジアルキルジメチルアンモニウムハライド; トリアルキルメチルアンモニウムハライド; ジアルキルベンジルメチルアンモニウムハライド; アルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド等が挙げられる。
イミダゾリニウム塩型のカチオン界面活性剤としては、例えば2-ヘプタデセニル-ヒドロキシルエチルイミダゾリン等が挙げられる。
上記例示の界面活性剤は、いずれか1種単独用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。上記例示の界面活性剤の中でも、特に、pHが6.5~8.5の範囲において安定した界面活性を示すものとしては、例えば、ノニオン界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アニオン界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
以上の界面活性剤の添加量としては、IRラテックス中での濃度で0.01~3質量%でもよく、0.05~2質量%でもよい。
上記のように加熱攪拌した後、遠心分離を行うことにより、合成ポリイソプレンゴムが含まれるクリーム分と漿液であるセラム分とに分離する。得られたクリーム分に水を加えて再分散させることにより、精製合成ポリイソプレンゴムラテックス(精製IRラテックス)が得られる。
加熱攪拌と遠心分離は複数回繰り返して実施してもよい。すなわち、IRラテックスを加熱攪拌し、遠心分離した後、クリーム分を再分散させる際にクリーム分に水と界面活性剤を加えて上記加熱条件下で攪拌し、次いで遠心分離を行い、この操作を複数回繰り返すようにしてもよい。繰り返し回数は特に限定されず、例えば、加熱攪拌及び遠心分離を2~5回実施してもよい。
IRラテックスを遠心分離する条件は、クリーム分とセラム分に分離することができれば特に限定されず、例えば、遠心加速度は、5000~50000G(即ち49000~490000m/s)でもよく、7000~30000G(即ち68600~294000m/s)でもよい。また、遠心分離の時間は、例えば10~60分間でもよく、20~40分間でもよい。遠心分離の際の温度は、例えば10~40℃でもよく、20~35℃でもよい。
上記のようにして調製する精製IRラテックスの濃度は、特に限定されず、例えば、ゴム濃度(DRC)で10~60質量%でもよく、20~50質量%でもよい。また、精製IRラテックスには、ビニルモノマーとの共重合反応を阻害しない界面活性剤として、上述した各種界面活性剤を添加してもよい。該界面活性剤の添加量としては、精製IRラテックス中での濃度で0.01~3質量%でもよく、0.05~2質量%でもよい。
(グラフト共重合)
本実施形態では、上記で得られた精製IRラテックスにビニルモノマーを添加してグラフト共重合させる。精製IRラテックス中に含まれる合成ポリイソプレンゴム粒子表面にビニルモノマーをグラフトさせるためには、精製IRラテックスにビニルモノマーを加えるとともに適当な重合開始剤を加えて反応させればよい。
ビニルモノマーとしては、合成ポリイソプレンゴム粒子表面にグラフト可能なものであれば特に限定されず、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ペンチルスチレン等のアルキルスチレンなどのスチレン系モノマー; ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシランなどのビニルアルコキシシランモノマー; (メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸系モノマー; (メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系モノマー; 酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー; アクリロニトリルなどのニトリル系ビニルモノマー; ビニルピロリドン等が挙げられる。これらはいずれか1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸のうちの一方又は両方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートのうちの一方又は両方を意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド及びメタクリルアミドのうちの一方又は両方を意味する。
ビニルモノマーの添加量は、特に限定されないが、合成ポリイソプレンゴム100質量部に対して5~30質量部であることが好ましく、より好ましくは10~20質量部である。このような添加量とすることで、ビニルモノマーのグラフト量を確保して改質効果を高めるとともに、ホモポリマーの生成を抑制してグラフト効率を高めることができる。
重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸カリウムなどの過酸化物が挙げられ、特にレドックス系の重合開始剤が重合温度を低減させる上で好ましい。レドックス系の重合開始剤において、過酸化物と組み合わされる還元剤としては、例えばテトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸などが挙げられる。レドックス系の重合性開始剤における組み合わせ例としては、tert-ブチルヒドロペルオキシドとテトラエチレンペンタミン、過酸化水素とFe2+塩、KSOとNaHSOなどが挙げられる。重合開始剤の添加量は、特に限定されず、例えば、ビニルモノマー100モルに対して0.3~10モル%でもよい。
精製IRラテックス、ビニルモノマー及び重合開始剤を反応容器に仕込み、25~80℃で1~10時間反応を行わせることにより、合成ポリイソプレンゴム粒子表面にビニルモノマーをグラフト共重合してなる合成ポリイソプレン共重合体を含むラテックスが得られる。
得られたラテックスにメタノールを加えて凝固させることにより固形状の合成ポリイソプレン共重合体を回収することができる。あるいはまた、上記ラテックスを用いてキャスト成形により、合成ポリイソプレン共重合体の膜(即ち、シートないしフィルム)を作製してもよい。
(合成ポリイソプレン共重合体)
上記により得られる本実施形態に係る合成ポリイソプレン共重合体は、合成ポリイソプレンゴム粒子の表面にビニルモノマーがグラフト共重合されたものであり、合成ポリイソプレングラフト共重合体とも称される。該合成ポリイソプレン共重合体は、グラフト鎖により形成された厚さ1~100nmの連続相中に合成ポリイソプレンゴム粒子が相分離した状態で分散したナノマトリックス構造を有する。
本実施形態に係る合成ポリイソプレン共重合体は、ナノマトリックス構造を有する合成ポリイソプレン共重合体のみからなるものでもよいが、該合成ポリイソプレン共重合体とともに上記ビニルモノマーからなるホモポリマーを含んでもよい。すなわち、上記のグラフト共重合に際しては、グラフト共重合体だけでなく、ビニルモノマーからホモポリマーも通常生成されるので、そのようなホモポリマーを混在した状態で含む混合物でもよい。従って、上記製造方法により得られる重合体は、合成ポリイソプレン共重合体を含むゴム材料ということもできる。ここで、ゴム材料とは、ゴム製品を製造する際に材料として用いるゴムのことをいう。
かかるナノマトリックス構造を有する合成ポリイソプレン共重合体において、合成ポリイソプレンゴム粒子の粒径は、原料のIRラテックスの粒径に依存し、特に限定するものではないが、平均粒径が0.01~20μmでもよく、0.04~3.0μmでもよい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)の画像から、無作為抽出された100個の粒子の直径を計測することにより、その相加平均として求められる。粒子の直径は、例えば、MediaCybernetics社の画像処理ソフト「Image-Pro Plus」を用いて、粒子の外周の2点を結び、かつ重心を通る径を、2度刻みに測定した値の平均値とすることができる。なお、原料であるIRラテックスを用いて合成ポリイソプレンゴム粒子の粒径を測定する場合、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定したD50の値を用いればよい。
上記ナノマトリックス構造において、ビニルモノマーの重合体であるグラフト鎖は、厚さ1~100nmの連続相(即ち、マトリックス相)を形成している。連続相は、合成ポリイソプレンゴム粒子の粒子間に介在してこれらゴム粒子を相分離するものであり、ゴム粒子の間に層状に形成されている。連続相の厚さが1~100nmであり、ナノメートルオーダーであるため、連続相はナノマトリックス相と称することができる。連続相の厚さは、より好ましくは5~50nmである。ここで、連続相の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)の画像から、無作為抽出された100組のゴム粒子間に形成されたグラフト鎖の厚さを計測することにより、その相加平均として求められる。
合成ポリイソプレン共重合体において、ビニルモノマーからなるグラフト鎖の含有率は、特に限定されず、例えば3~30質量%でもよく、5~25質量%でもよく、8~20質量%でもよい。ここで、グラフト鎖の含有率は、合成ポリイソプレン共重合体全体の質量に対するグラフト鎖部分の質量の比率である。
一実施形態において、合成ポリイソプレン共重合体の膜を形成する場合、その膜の厚さは特に限定されず、例えば10~1000μmでもよく、10~500μmでもよい。
本実施形態に係る合成ポリイソプレン共重合体は、ビニルモノマーがグラフト共重合されてなる上記のナノマトリックス構造を持つことにより、合成ポリイソプレンゴムの優れた性質を有するとともに、未変性の合成ポリイソプレンゴムと比較して、破断歪みと破断強度を向上することができる。
本実施形態に係る合成ポリイソプレン共重合体の用途は、特に限定されず、空気入りタイヤなどのタイヤ、防振ゴム、コンドームやゴム手袋などの医療分野や家庭用品等の各種ゴム製品の材料として用いることができる。
以下、実施例により合成ポリイソプレン共重合体及びその製造方法についてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
原料IRラテックスとして、日本ゼオン(株)製のシス-1,4-ポリイソプレンゴムラテックス「ME1100」(TSC(全固形分):約56.4質量%)を用いた。また、ビニルモノマーとして、スチレンを10質量%水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄後、蒸留水で中性になるまで洗浄したものを用いた。
図1に示す手順に従い、IRラテックスを精製し、スチレンのグラフト共重合を行った。詳細は以下の通りである。
原料IRラテックスに、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(1級、キシダ化学(株)製)と蒸留水を加えて、SDSの濃度を1質量%かつTSCを30質量%に調製した。得られたTSC30質量%のIRラテックスに対し、攪拌温度を50℃に設定した上で、攪拌機を用いて、常圧、200rpmで60分攪拌した。その後、IRラテックスに遠心分離(10000G、30℃、30分)を行い、クリーム分とセラム分に分離した。このクリーム分に対し、蒸留水とSDSを加えて、SDSの濃度が0.5質量%かつDRCが30質量%となるように再分散させ、得られたIRラテックスに対し、常圧、50℃、200rpmで60分攪拌した後、遠心分離(10000G、30℃、30分)を行った。この再分散、加熱攪拌及び遠心分離をもう一回繰り返した後、最後の遠心分離によって得られたクリーム分に、蒸留水とSDSを加えて、SDSの濃度が0.1質量%かつDRCが30質量%となるように再分散させて、精製IRラテックスを得た。
精製IRラテックスを30℃かつ200rpmで撹拌しながら1時間窒素置換した。その後、重合開始剤としてtert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHPO)(純度67%、キシダ化学(株)製)及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)(含有率95%、キシダ化学(株)製)を、それぞれIRラテックス中のゴム1kgに対して6.6×10-2モルにて順次滴下した。更に、IRラテックス中のゴム1kgに対して1.5モルのスチレンを滴下した。窒素雰囲気下、30℃かつ400rpmで2時間重合反応を行った。反応終了後のラテックスに対してロータリーエバポレーターを用いて90℃で未反応のスチレンモノマーを取り除き、合成ポリイソプレン共重合体を含むラテックス(IR-graft-PSラテックス)を得た。その後、反応装置内に残ったゴム分をメタノールで凝固させて回収することにより、合成ポリイソプレン共重合体を得た。
(実施例2~4)
実施例1において、IRラテックスの精製工程での攪拌温度を下記表1の通り、実施例2では65℃、実施例3では80℃、実施例4では90℃に変更し、その他は実施例1と同様にして、合成ポリイソプレン共重合体を作製した。
(スチレン含有率、スチレン反応率、グラフト効率)
実施例1~4について、スチレン含有率、スチレン反応率、及びグラフト効率を表1に示す。スチレン含有量及びスチレン反応率の計算式は以下の通りである。
Figure 0007017589000001
グラフト効率は次のようにして求めた。なお、いくつかの試料については、FT-IRおよびNMR測定によりグラフトされていることを確認した。合成ポリイソプレン共重合体を含むラテックスをシャーレにキャストし、1週間真空乾燥させ、厚さ1mmのアズキャストフィルムを得た。得られたアズキャストフィルムの約1gを約1mm四方に細かく切り、ソックスレー抽出器を用いて遮光しながら窒素雰囲気下でアセトン/2-ブタノン混合溶液(3:1)溶液を還流することにより24時間抽出を行った。これにより可溶であるスチレンホモポリマーを不溶であるグラフト共重合体から取り除いた。下記計算式によりグラフト効率を算出した。ここで、Wbはソックスレー抽出前のサンプル質量(g)、Waはソックスレー抽出後のサンプル質量(g)、Ymはスチレン含有率(%)である。
Figure 0007017589000002
Figure 0007017589000003
表1に示されたように、より高い温度で撹拌した精製IRラテックスは反応率及びグラフト効率がより高いことが分かる。この結果から、精製工程において高温で撹拌するとIRラテックスに含まれているロジン系界面活性剤を除去できていることが考えられる。また、撹拌温度を90℃にしたものは最も高い反応率及びグラフト効率を示し、57.1質量%のスチレンがグラフト反応した合成イソプレングラフト共重合体を得ることができた。
撹拌温度80℃の場合、50℃の場合よりも反応率が低かった。その理由は明らかではないが、ロジン酸の軟化点が80℃近傍であることから、軟化点で何かしらの反応が起きている可能性が考えられる。この結果より、加熱条件としては、50℃以上70℃以下、又は、85℃以上100℃未満であることがより好ましいといえる。
(モルフォロジー観察)
実施例1~4で得られた合成ポリイソプレン共重合体を含むラテックスに所定のガラス型を浸漬し、加熱乾燥して厚さ約1mmのゴム膜(キャストフィルム)を作製した。得られたゴム膜をOsOにて染色してからクライオミクロトーム(Reichert-Nissi製Ultracut N)を用いて超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM,日本電子(株)製JEM-2100、加速電圧200kV)にて相分離構造を観察した。
その結果、実施例1~4のゴム膜中では、合成ポリイソプレンゴム粒子はグラフトしているポリスチレンと相分離しており、厚さ数nm~数十nmのグラフトスチレン連続相中に直径約1μm程度の合成ポリイソプレンゴム粒子が分散したものであり、グラフトスチレン連続相と合成ポリイソプレンゴム粒子分散相との相分離状態が観察された。図2は、実施例4で得られたゴム膜の透過型電子顕微鏡写真である。黒い相が合成ポリイソプレンゴム粒子、白い相がポリスチレンを示す。
(引張試験)
上記で作製した実施例3のゴム膜と、原料IRラテックスから作製したゴム膜(比較例1)について、JIS K6251に準拠した引張試験(一軸伸長試験)を行い、引張歪みと引張応力との関係を調べた。比較例1では、ラテックスとして原料IRラテックスを用い、その他は実施例3と同様にして、該原料IRラテックスに所定のガラス型を浸漬し、加熱乾燥することにより厚さ約1mmのゴム膜(キャストフィルム)を作製した。
引張試験の結果を図3に示す。引張試験は、実施例3及び比較例2のそれぞれについて5回行い、破断時の引張応力(破断応力)及び破断時の引張歪み(破断歪み)について5回の平均値を算出した。図3は5回の引張試験のうちの1回の歪み-応力曲線を示す。
その結果、比較例1では破断歪み及び破断応力がそれぞれ850%及び0.12MPaであった。これに対し、実施例3では破断歪み及び破断応力がそれぞれ1000%及び0.52MPaであり、比較例1よりも高かった。この結果から、合成ポリイソプレンゴムにスチレンをグラフト共重合させてナノマトリックス構造が形成されたことにより、合成ポリイソプレンゴムの破断歪みと破断強度が大きくなることが分かった。
また、比較例1の歪み-応力曲線において歪み150%あたりで引張応力が大きく下がったのに対し、実施例3では引張応力が下がっておらず、ナノマトリックス構造の形成の有無により物性が大きく変化していた。
(実施例5)
ビニルモノマーとしてケイ素含有ビニルモノマーであるビニルトリエトキシシラン(VTES)を用い、合成ポリイソプレンゴムラテックスに対するグラフト共重合を試みた。ビニルトリエトキシシランは重合によりシリカを生成するため、グラフト共重合により得られるナノマトリックス構造は、厚さ数nm~数十nmのシリカナノ粒子が充填されたマトリックスに、平均直径1μm程度の合成ポリイソプレンゴム粒子を分散させることによって形成されるナノ相分離構造となる。かかるシリカナノマトリックス構造を有する合成ポリイソプレングラフト共重合体(IR-graft-PVTES)の調製を試みた。
実施例3と同様に攪拌温度を80℃として、精製IRラテックスを得た(但し、DRCは20質量%とした)。該精製IRラテックスをセパラブルフラスコに入れ、30分間窒素置換し、更に200rpmで撹拌しながら30分間窒素置換を行った。窒素雰囲気下において200rpmで撹拌しながら、重合開始剤としてtert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHPO)(純度67%、キシダ化学(株)製)及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)(含有率95%、キシダ化学(株)製)を、それぞれIRラテックス中のゴム1kgに対して6.6×10-2モルにて順次滴下した。更に、IRラテックス中のゴム1kgに対して1.05モルのビニルトリエトキシシラン(VTES)モノマーを順次滴下し、30℃で2時間重合を行った。反応終了後、未反応モノマーを80℃で減圧除去し、ラテックスをシャーレ上にキャスト、風乾してから、50℃で減圧乾燥することにより、合成ポリイソプレン-ポリビニルトリエトキシシラングラフト共重合体(IR-graft-PVTES)のフィルムを成膜した。
調整したIR-graft-PVTES試料のモノマー反応率及びシリカ含有率を下記計算式で算出した。
Figure 0007017589000004
灰分含有率は、精製IRラテックスから作製したフィルム(IR試料)中に含まれる灰分の含有率であり、該IR試料1gを細断してから恒量に達したるつぼに移し、蓋をしない状態でガスバーナーを用いて弱火で加熱した。白煙が上がらなくなってから蓋をし、30分間程度強熱後、恒量に達するまで繰り返し強熱した。得られた残留物重量(加熱後灰分の質量)からIR試料の灰分含有率を算出した。シリカ含有率は、IR-graft-PVTES試料に対して、IR試料と同様に求めた残留物重量(加熱後全固体質量)からIR試料の灰分量を減算することにより算出した。
その結果、実施例5で得られたIR-graft-PVTES試料のモノマー反応率は50%、シリカ含有率は5.66質量%であった。
IR試料とIR-graft-PVTES試料のゲル含有率を測定した。試料40mgを秤とり、乾燥トルエン40mlに浸漬してから暗所で一週間静置した。その後、10,000Gで30分間遠心分離することにより、トルエン不溶分(ゲル分)をトルエン可溶分(ゾル分)から分離した。ゲル分は、一週間減圧乾燥してから、精秤した。そして、下記計算式によりゲル含有率を算出した。
Figure 0007017589000005
その結果、原料であるIR試料のゲル含有率が3.58%に対して、IR-graft-PVTES試料のゲル含有率は18.17%であり、大きく増加した。これは、ゴム粒子とモノマーをグラフトし、ゴム粒子が架橋されたことによると考えられる。
IR-graft-PVTES試料について、クライオミクロトーム(Reichert-Nissi製Ultracut N)を用いて超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM,日本電子(株)製JEM-2100、加速電圧200kV)にてモルフォロジー観察を行った。図4にIR-graft-PVTES試料の5000倍及び10000倍で撮影したTEM画像を示す。画像中の白い領域がゴム相、黒い領域がシリカ相である。5000倍の画像(A)には、全体的に明確なナノマトリックス構造を確認できなかったが、一部のシリカ粒子がゴム粒子の周りに存在していることを観察できた。該シリカ粒子はおそらくグラフトしてないホモポリマーの塊であると考えられる。10000倍の画像(B)では、直径数nmのシリカ粒子により形成した薄い凝集相が多少ゴム粒子の間に存在しており、マトリックスを構成するグラフト鎖のシリカであることが分かる。
IR-graft-PVTES試料について、東洋精機製ストログラフVG10Eを用いてJIS K6251に準じて引張試験を行った。IR-graft-PVTES試料をダンベル状7号形で打ち抜き、室温下、引張速度200mm/分で引張試験を行った。
図5にIR試料とIR-graft-PVTES試料の応力―歪曲線を示す。これらの試料は加硫されていないため、引っ張られるとき分子鎖が流れてしまい、そのため滑らかな曲線を得られなかった。更に、破断応力が低すぎるので、試料片が切られても試験機が感知しなかったことから、確実な破断応力を測定できなかった。しかしながら、全体的にIR-graft-PVTESの応力―歪曲線はIR試料を上回っていた。一定の歪でIR-graft-PVTES試料の応力がIR試料の応力より2倍ほど高くなった。また立ち上がり部分の曲線を見ると、IR-graft-PVTES試料の弾性率はIR試料より高くなった。これは、TEM画像からわかった少量のナノマトリックスの形成およびシリカ粒子の充填によりある程度の補強効果を示したためと考えられる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (4)

  1. 合成ポリイソプレンゴムラテックスを、60℃以上70℃以下、又は、85℃以上100℃未満の加熱条件下で攪拌し、遠心分離することにより精製すること、及び、
    得られた精製合成ポリイソプレンゴムラテックスにビニルモノマーを添加してグラフト共重合させること、
    を含む合成ポリイソプレン共重合体の製造方法。
  2. 前記合成ポリイソプレンゴムラテックスが、ロジン系界面活性剤を含む合成ポリイソプレンゴムラテックスである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 合成ポリイソプレンゴムラテックスを50℃以上の加熱条件下で攪拌し、遠心分離することにより精製すること、及び、
    得られた精製合成ポリイソプレンゴムラテックスに、スチレン系モノマー及びビニルアルコキシシランモノマーからなる群から選択される少なくとも1種のビニルモノマーを添加してグラフト共重合させること、
    を含む合成ポリイソプレン共重合体の製造方法。
  4. 合成ポリイソプレンゴム粒子の表面にスチレン系モノマー及びビニルアルコキシシランモノマーからなる群から選択される少なくとも1種のビニルモノマーがグラフト共重合された合成ポリイソプレン共重合体からなり、グラフト鎖により形成された厚さ1~100nmの連続相中に合成ポリイソプレンゴム粒子が相分離した状態で分散したナノマトリックス構造を有する、合成ポリイソプレン共重合体。
JP2019565096A 2018-01-09 2018-01-09 合成ポリイソプレン共重合体及びその製造方法 Active JP7017589B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2018/000217 WO2019138449A1 (ja) 2018-01-09 2018-01-09 合成ポリイソプレン共重合体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019138449A1 JPWO2019138449A1 (ja) 2020-12-03
JP7017589B2 true JP7017589B2 (ja) 2022-02-08

Family

ID=67218936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019565096A Active JP7017589B2 (ja) 2018-01-09 2018-01-09 合成ポリイソプレン共重合体及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20210079148A1 (ja)
JP (1) JP7017589B2 (ja)
WO (1) WO2019138449A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2021292473A1 (en) * 2020-06-14 2023-02-02 Bridgestone Corporation Methods for producing polyisoprene latex dispersions
CN113845778B (zh) * 2021-10-14 2023-01-06 上海云橡油脂工业有限公司 一种高弹耐磨高分子橡胶及其制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003012736A (ja) 2001-04-25 2003-01-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム製品
JP2004155884A (ja) 2002-11-06 2004-06-03 Nagaoka Univ Of Technology ナノマトリックス分散天然ゴム及びその製造方法
JP2008214481A (ja) 2007-03-02 2008-09-18 Toyota Motor Corp ナノマトリックス分散天然ゴム及びその製造方法
WO2017130889A1 (ja) 2016-01-27 2017-08-03 日本ゼオン株式会社 ラテックス組成物
WO2017159534A1 (ja) 2016-03-15 2017-09-21 日本ゼオン株式会社 重合体ラテックスの製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08301947A (ja) * 1995-05-08 1996-11-19 Denki Kagaku Kogyo Kk ゴム強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003012736A (ja) 2001-04-25 2003-01-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム製品
JP2004155884A (ja) 2002-11-06 2004-06-03 Nagaoka Univ Of Technology ナノマトリックス分散天然ゴム及びその製造方法
JP2008214481A (ja) 2007-03-02 2008-09-18 Toyota Motor Corp ナノマトリックス分散天然ゴム及びその製造方法
WO2017130889A1 (ja) 2016-01-27 2017-08-03 日本ゼオン株式会社 ラテックス組成物
WO2017159534A1 (ja) 2016-03-15 2017-09-21 日本ゼオン株式会社 重合体ラテックスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019138449A1 (ja) 2019-07-18
US20210079148A1 (en) 2021-03-18
JPWO2019138449A1 (ja) 2020-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8048960B2 (en) Monovinylidene aromatic polymers comprising sulfanylsilane functionalized elastomeric polymers
JP7017589B2 (ja) 合成ポリイソプレン共重合体及びその製造方法
CN109476895B (zh) 具有改善的抗裂性和耐化学性的abs模塑组合物及其用途
JP6595603B2 (ja) ゴム質重合体とその製造方法、グラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物
JP5270101B2 (ja) ナノマトリックス分散天然ゴム及びその製造方法
JP2009263417A (ja) ゴム組成物及びその製造方法
WO2008100309A1 (en) Carboxylate terminated polymers and their use in impact-modified plastics
JP5738468B2 (ja) シリカ含有改質天然ゴム材料およびその製造方法
Arayapranee et al. Morphology and mechanical properties of natural rubber and styrene‐grafted natural rubber latex compounds
KR101487573B1 (ko) 개질 천연고무입자, 이의 제조방법, 및 개질 천연고무 라텍스
JP2019108534A (ja) コア‐シェル共重合体の製造方法、コア‐シェル共重合体およびこれを含む樹脂組成物
JP5607065B2 (ja) 物理/機械的性質及び高い光沢を最適なバランスで有するゴム強化ビニル芳香族(コ)ポリマー
JP2004155884A (ja) ナノマトリックス分散天然ゴム及びその製造方法
WO2021261216A1 (ja) バンバリー加工性と射出成型性に優れるアクリルゴムベール
US11884780B2 (en) Modified conjugated diene polymer and polymer composition including said modified conjugated diene polymer
JP4518749B2 (ja) 変性天然ゴムラテックス、変性天然ゴムおよびそれらの製造方法
TW201714899A (zh) 被覆聚合物粒子、樹脂改質劑、橡膠組成物及輪胎
JP2022087684A (ja) 合成ポリイソプレン共重合体の製造方法
JP7146599B2 (ja) 変性ジエン系ポリマー及びその製造方法
JP6515190B2 (ja) 熱可塑性重合体、その製造方法及びそれを含む熱可塑性重合体組成物
JPS61148213A (ja) 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂およびその製造法
WO2021246517A1 (ja) ロール加工性、バンバリー加工性、耐水性、強度特性及び耐圧縮永久歪み特性に優れるアクリルゴムベール
ES2901680T3 (es) Composiciones de copolímero de acrilonitrilo butadieno estireno de flujo ultraelevado
CA2832026A1 (en) Novel composition for the production of vinyl aromatic materials with impact resistance improved by a structure-modifying additive
JP2004018599A (ja) ゴム製品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200611

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210916

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7017589

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150