JP7015647B2 - 磁性材料及び電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、コイル、インダクタ等において主に磁心として用いられる磁性材料及びそれを用いた電子部品に関する。
インダクタ、チョークコイル、トランス等といった電子部品は、磁心としての磁性体と、この磁性体の内部または表面に形成されたコイルとを有する。磁性体の材料としては、例えば、NiCuZn系フェライト等のフェライト材料が一般に用いられている。
近年、この種の電子部品には大電流化が求められており、その要求を満足するために、磁性体の材料を従前のフェライトから金属系の材料に切り替えることが検討されている。金属系の材料としては、FeSiCr合金、FeSiAl合金等が知られており、例えば特許文献1には、FeSiCr系軟磁性合金粉の合金相同士がFe、Si及びCrを含む酸化物相を介して結合された圧粉磁心が開示されている。
一方、金属系の磁性材料は、材料自体の飽和磁束密度がフェライトに比べて高い反面、材料自体の体積抵抗率が従前のフェライトに比べて低いため、電気絶縁特性の更なる向上が求められている。例えば特許文献2には、Feを主成分とする軟磁性金属粒子の粒子間にガラス部が介在する軟磁性圧粉磁心が開示されている。ガラス部は、低融点ガラス材料を加圧状態で熱により軟化させることで形成される。低融点ガラス材料は、融点が低く、加熱により軟磁性金属粒子間で拡散反応が起こり、軟磁性金属粒子の表面を覆う酸化物部で埋めきれない大きさの空隙を埋めることができるとしている。
特開2015-126047号公報 特開2015-144238号公報
しかしながら、合金粒子間の隙間をガラスで埋めることは難しく、絶縁の安定性に欠けるという問題がある。また、合金粒子間の隙間をガラスで埋めることができたとしても、合金粒子の酸化反応が不安定となり、かえって絶縁特性を低下させるおそれがある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、絶縁特性を向上させることができる磁性材料及び電子部品を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る磁性材料は、複数の磁性合金粒子と、第1の酸化膜と、第2の酸化膜と、第3の酸化膜と、第4の酸化膜と、結合部とを有する。
上記複数の磁性合金粒子は、Fe、元素L(但し、元素LはSi、Zr、Tiのいずれかである。)及び元素M(但し、元素MはSi、Zr、Ti以外であってFeより酸化し易い元素である。)を含む。
上記第1の酸化膜は、元素Lを含み、上記複数の軟磁性合金粒子各々を覆う。
上記第2の酸化膜は、元素Mを含み、上記第1の酸化膜を覆う。
上記第3の酸化膜は、非晶質であり、元素Lを含み、上記第2の酸化膜を覆う。
上記第4の酸化膜は、Feを含み、前記第3の酸化膜を覆う。
上記結合部は、上記第4の酸化膜の一部で構成され、上記複数の軟磁性合金粒子どうしを結合する。
上記磁性材料において、軟磁性合金粒子の表面は、上記第1~第4の酸化膜で覆われているため、第4の酸化膜の一部で構成された結合部を介して結合される軟磁性合金粒子間の絶縁特性が効果的に高められる。
典型的には、元素MはCrであり、元素LはSiである。
上記第3の酸化膜は、上記第1の酸化膜の厚み以上の厚みを有してもよい。
上記第3の酸化膜の厚みは特に限定されず、例えば、1nm以上20nm以下である。
本発明の他の形態に係る磁性材料は、複数の磁性合金粒子と、第1の酸化膜と、第2の酸化膜と、第3の酸化膜と、第4の酸化膜とを有する。
上記複数の磁性合金粒子は、Fe、元素L(但し、元素LはSi、Zr、Tiのいずれかである。)及び元素M(但し、元素MはSi、Zr、Ti以外であってFeより酸化し易い元素である。)を含む。
上記第1の酸化膜は、元素Lを含み、上記複数の軟磁性合金粒子各々を覆う。
上記第2の酸化膜は、元素Mを含み、上記第1の酸化膜を覆う。
上記第3の酸化膜は、非晶質であり、元素Lを含み、上記第2の酸化膜を覆う。
上記第4の酸化膜は、Feを含み、前記第3の酸化膜を覆う。
本発明の一形態に係る電子部品は、上記磁性材料を含有する磁心を具備する。
本発明によれば、絶縁特性の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るコイル部品の全体斜視図である。 図1におけるA-A線断面図である。 上記積層インダクタにおける部品本体の分解斜視図である。 図1におけるB-B線断面図である。 上記コイル部品における第1の磁性層を構成する磁性体中の酸化膜の微細構造を模式的に示す断面図である。 上記第1の磁性層を構成する磁性体中の酸化膜の層構造を模式的に示す断面図である。 上記コイル部品における第2の磁性層を構成する磁性体中の酸化膜の微細構造を模式的に示す断面図である。 上記第2の磁性層を構成する磁性体中の酸化膜の層構造を模式的に示す断面図である。 上記コイル部品における磁性体層の製造方法を説明する要部の概略断面図である。 3点曲げ破断応力の測定方法を説明する模式図である。 比較例に示す方法で合金粒子の表面に形成されたSiO微粒子の状態を模式的に示す粒子断面図である。 実施例に示す方法で合金粒子の表面に形成されたコート層の状態を模式的に示す粒子断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品としてのコイル部品(積層インダクタ)を示す全体斜視図である。図2は、図1におけるA-A線断面図である。
[コイル部品の全体構成]
本実施形態のコイル部品10は、図1に示すように、部品本体11と、一対の外部電極14,15とを有する。部品本体11は、X軸方向に幅W、Y軸方向に長さL、Z軸方向に高さHを有する直方体形状に形成される。一対の外部電極14,15は、部品本体11の長辺方向(Y軸方向)に対向する2つの端面に設けられる。
部品本体11の各部の寸法は特に限定されず、本実施形態では、長さLが1.6~2mm、幅Wが0.8~1.2mm、高さHが0.4~0.6mmとされる。
部品本体11は、図2に示すように、直方体形状の磁性体部12と、磁性体部12によって覆われた螺旋状のコイル部13(内部導体)とを有している。
図3は、部品本体11の分解斜視図である。図4は、図1におけるB-B線断面図である。
磁性体部12は、図3に示すように、複数の磁性体層MLU、ML1~ML7及びMLDが高さ方向(Z軸方向)に積層されて一体化された構造を有する。磁性体層MLU及びMLDは、磁性体部12の上下のカバー層(第3の磁性層)を構成する。磁性体層ML1~ML7は、コイル部13を含む導体層を構成し、図4に示すように、それぞれ、第1の磁性層121と、第2の磁性層122と、導体パターンC11~C17とを有する。
第1の磁性層121は、隣接する上下の導体パターンC11~C17の間に介在する導体間層として構成される。第1の磁性層121は、軟磁性合金粒子が用いられる。軟磁性合金粒子として本実施形態では、例えばFeSiCr系合金磁性粒子が用いられる。軟磁性合金粒子の組成は、典型的には、Crが1~5wt%、Siが2~10wt%であり、不純物を除き、残りをFeとし全体で100wt%である。
軟磁性合金粒子の体積基準の粒子径として見た場合の平均粒径(メディアン径)は、目的とする磁気特性(比透磁率、インダクタンス、飽和磁化等)、第1の磁性層121の厚み等に応じて適宜設定可能である。一例として、第1の磁性層121の厚みが4μm以上20μm以下の場合、第1の磁性層121を構成する軟磁性合金粒子の平均粒径は、上記厚み寸法において厚み方向(Z軸方向)に4つ以上の合金粒子が並ぶ大きさとされ、例えば、1μm以上5μm以下とされる。
軟磁性合金粒子としては、FeSiCr以外にも、FeZrCr、FeSiAl、FeSiTi、FeZrAl、FeZrTiなどを用いることができる。すなわち軟磁性合金粒子は、Feを主成分とし、Si、Zr及びTiのいずれか1つ以上の元素(以下、元素Lともいう)と、Si、Zr及びTi以外のFeより酸化しやすい、例えばCr、Al等の1つ以上の元素(以下、元素Mともいう)とを含むものであれば良い。このような磁性材料を用いることで、軟磁性合金粒子の表面に後述する酸化膜が安定的に形成され、特に低温度で熱処理を行う場合でも、絶縁性を高くできる。
なお、FeSiCr系合金において、Si及びCr以外の残部は、不可避不純物を除いて、Feであることが好ましい。Fe、Si及びCr以外に含まれてもよい金属としては、Al、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ti、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)などが挙げられ、非金属としては、P(リン)、S(硫黄)、C(カーボン)などが挙げられる。
導体パターンC11~C17は、第1の磁性層121の上に配置される。導体パターンC11~C17は、図2に示すように、Z軸まわりに巻回されるコイルの一部を構成し、ビアV1~V6を介してZ軸方向にそれぞれ電気的に接続されることで、コイル部13が形成される。磁性体層ML1の導体パターンC11は、一方の外部電極14と電気的に接続される引出端部13e1を有し、磁性体層ML7の導体パターンC17は、他方の外部電極15と電気的に接続される引出端部13e2を有する。
第2の磁性層122は、第1の磁性層121と同種の軟磁性合金粒子(本例ではFeCrSi合金粒子)で構成される。第2の磁性層122は、第1の磁性層121を挟んでZ軸方向に対向し、第1の磁性層121上の導体パターンC11~C17の周囲(外周領域及び内周領域)にそれぞれ配置される。各磁性体層ML1~ML7における第2の磁性層122のZ軸方向に沿った厚みは、典型的には、導体パターンC11~C17の厚みと同一であるが、これらの厚みに差があってもよい。
本実施形態において第2の磁性層122は、第1の磁性層121よりも高抵抗の磁性材料で構成される。これにより、導体パターンC11~C17と外部電極14,15との間の所望とする電気的絶縁特性を安定に確保することができる。なお、第1の磁性層121を構成する磁性材料と第2の磁性層122を構成する磁性材料との違いについては、後述する。
第3の磁性層123は、第1の磁性層121と同種の軟磁性合金粒子(本例ではFeCrSi合金粒子)で構成される。第3の磁性層123は、上層の磁性体層MLU及び下層の磁性体層MLDにそれぞれ相当し、磁性体層ML1~ML7の第1の磁性層121、第2の磁性層122及び導体パターンC11~C17(コイル部13)を挟んでZ軸方向に対向して配置される。磁性体層MLU,MLDはそれぞれ複数の第3の磁性層123の積層体で構成されるが、それらの積層数は特に限定されない。また、磁性体層ML7の第1の磁性層121は、磁性体層MLDの最上層に位置する第3の磁性層123で構成されてもよい。また、磁性体層MLUの最下層は第1の磁性層121で構成されてもよい。
続いて、コイル部13は、導電性材料で構成され、外部電極14と電気的に接続される引出端部13e1と、外部電極15と電気的に接続される引出端部13e2とを有する。コイル部13は、導電ペーストの焼成体で構成され、本実施形態では、銀(Ag)ペーストの焼成体で構成される。
コイル部13は、磁性体部12の内部において高さ方向(Z軸方向)のまわりに螺旋状に巻回される。コイル部13は、図3に示したように、磁性体層ML1~ML7上にそれぞれ所定形状に形成された7つの導体パターンC11~C17と、導体パターンC11~C17をZ軸方向に接続する計6個のビアV1~V6とを有し、これらが螺旋状に一体化されることで構成される。なお、導体パターンC12~C16は、コイル部13の周回部に相当し、導体パターンC11,C17は、コイル部13の引出し部に相当する。図示するコイル部13の巻き数は、約5.5であるが、勿論これに限られない。
図3に示すように、コイル部13は、Z軸方向から見たとき、磁性体部12の長辺方向を長軸とするオーバル形状に形成される。これにより、コイル部13を流れる電流の経路を最短にすることができるため、直流抵抗の低抵抗化を実現することができる。ここで、オーバル形状とは、典型的には、楕円または長円(2つの半円を直線でつないだ形状)、角丸長方形状等を意味する。なお、これに限られず、コイル部13は、Z軸方向から見たときの形状が略矩形状のものであってもよい。
[磁性体部の詳細]
次に、磁性体部12の詳細について説明する。
第1~第3の磁性層121~123を構成する軟磁性合金粒子(FeCrSi合金粒子)の表面には、該FeCrSi合金粒子の酸化物が絶縁膜として存在している。各磁性層121~123内のFeCrSi合金粒子は、上記酸化物を介して相互に結合し、コイル部13近傍のFeCrSi合金粒子は、上記酸化物を介してコイル部13と密着している。上記酸化物は、典型的には、磁性体に属するFe、非磁性体に属するFe、Cr、SiOの少なくとも1つを含む。
(第1の磁性層)
図5は、第1の磁性層121を構成する軟磁性合金粒子P1の表面に形成された第1の酸化物F1の概略断面図、図6はその第1の酸化物F1の層構造を説明する模式図である。
第1の磁性層121は、全体としては、もともとは独立していた多数の軟磁性合金粒子P1どうしが結合してなる集合体、あるいは多数の軟磁性合金粒子P1からなる圧粉体で構成される。図5には、3つの軟磁性合金粒子P1の界面付近が拡大して描写されている。
少なくとも一部の軟磁性合金粒子P1にはその周囲の少なくとも一部、好ましくは概ね全体にわたって第1の酸化物F1が形成されていて、この第1の酸化物F1により第1の磁性層121の絶縁性が確保される。隣接する軟磁性合金粒子P1どうしは、主として、それぞれの軟磁性合金粒子P1の周囲にある第1の酸化物F1を介して結合し、結果として、一定の形状を有する磁性体が構成される。部分的には、隣接する軟磁性合金粒子P1が、金属部分どうしで結合していてもよい。なお、第1の酸化物F1を介して結合する場合、及び金属部分どうしで結合する場合のいずれにおいても、有機樹脂からなるマトリクスを実質的に含まないことが好ましい。
個々の軟磁性合金粒子P1は、少なくとも鉄(Fe)と鉄より酸化しやすい2種の元素(元素L及びM)とを少なくとも含む合金である。元素Lと元素Mとは相異なり、いずれも、金属元素又はSiである。元素L及びMが金属元素である場合は、典型的には、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)などが挙げられ、好ましくは、CrまたはAlであり、さらにSi又はZrを含むことが好ましい。
磁性体(第1の磁性層121)全体において、Feの含有率は好ましくは92.5~96wt%である。前記範囲である場合に高い体積抵抗率が確保される。磁性体全体において、元素Lの含有率は好ましくは2.5~6wt%である。磁性体全体において、元素Mの含有率は好ましくは1.5~4.5wt%である。Feおよび元素L及びM以外に含まれていてもよい元素としてはMn(マンガン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)P(リン)、S(硫黄)、C(炭素)などが挙げられる。磁性体全体の組成については、例えば磁性体の断面をプラズマ発光分析することで算出することができる。
第1の酸化物F1は、典型的には、磁性合金粒子P1により近い層(すなわち内側)から順に第1の酸化膜F11、第2の酸化膜F12および第3の酸化膜F13を含む、3層構造の酸化膜で構成される。
第1の酸化膜F11は、元素Mよりも元素Lを多く含む酸化物である。一方、第2の酸化膜F12は、元素Lよりも元素Mを多く含む酸化物である。本実施形態では、元素LはSiであり、第1の酸化膜F11は、SiOである。一方、元素MはCrであり、第2の酸化膜F12は、Crである。第3の酸化膜F13は、元素L及びMよりもFeを多く含む酸化物(Fe)である。Feの酸化物は、典型的には、磁性体に属するFe又は非磁性体に属するFeである。
第1の酸化膜F11に含まれる元素Lおよび第2の酸化膜F12に含まれる元素Mは、いずれも軟磁性合金粒子P1の組成成分であるSiおよびCrが拡散、析出したものに相当する。第3の酸化膜F13に含まれるFeも同様に、軟磁性合金粒子P1の組成成分であるFeが拡散、析出したものに相当する。
第1の磁性層121は、図5に示すように、軟磁性合金粒子P1どうしを結合する結合部V1を有する。結合部V1は、第3の酸化膜F13の一部で構成され、複数の軟磁性合金粒子P1を相互に結合する。結合部V1の存在により、機械的強度と絶縁性の向上が図られる。
第1の磁性層121は、その全体にわたり、隣接する軟磁性合金粒子P1が結合部V1を介して結合していることが好ましいが、部分的に第1の酸化物F1を介さずに、軟磁性合金粒子P1どうしが結合されている領域が存在していてもよい。さらに、第1の磁性層121は、結合部V1も、結合部V1以外の結合部(軟磁性合金粒子P1どうしの結合部)もいずれも存在せず単に物理的に接触又は接近するに過ぎない形態が部分的に含まれてもよい。さらに、第1の磁性層121は部分的に空隙を有していてもよい。
第1の酸化物F1は、磁性体(第1の磁性層121)を形成する前の原料粒子の段階で形成されていてもよいし、原料粒子の段階では第1の酸化物F1が存在しないか、極めて少なくし、成形過程において第1の酸化物F1を生成させてもよい。成形前の軟磁性合金粒子P1に熱処理を施して磁性体を得るときに、軟磁性合金粒子P1の表面部分が酸化して第1の酸化物F1が生成し、その生成した第1の酸化物F1を介して複数の軟磁性合金粒子P1が結合することが好ましい。
特に、第1の酸化膜F11が、軟磁性合金粒子P1の表面全体を覆うように形成されるため、磁性体全体において、元素Mより元素Lの含有率が高いことが好ましい。第1の酸化膜F11が存在することで、安定した絶縁性を得ることができる。また、元素Mの含有率を1.5~4.5wt%とすることで、過剰な酸化を抑えつつ、第1及び第2の酸化膜の厚みを薄くできることにつながっていると推定される。
(第2の磁性層)
一方、図7は、第2の磁性層122を構成する軟磁性合金粒子P2の表面に形成された第2の酸化物F2の概略断面図、図8はその第2の酸化物F2の層構造を説明する模式図である。
第2の磁性層122も同様に、多数の軟磁性合金粒子P2どうしが結合してなる集合体、あるいは多数の軟磁性合金粒子P2からなる圧粉体で構成される。図7には、3つの軟磁性合金粒子P2の界面付近が拡大して描写されている。
少なくとも一部の軟磁性合金粒子P2にはその周囲の少なくとも一部、好ましくは概ね全体にわたって第2の酸化物F2が形成されていて、この第2の酸化物F2により第2の磁性層122の絶縁性が確保される。隣接する軟磁性合金粒子P2どうしは、主として、それぞれの軟磁性合金粒子P2の周囲にある第2の酸化物F2を介して結合し、結果として、一定の形状を有する磁性体が構成される。部分的には、隣接する軟磁性合金粒子P2が、金属部分どうしで結合していてもよいが、絶縁性をより確実なものとするためには、第2の酸化物F2による結合で磁性体を形成することが好ましい。なお、第2の酸化物F2を介して結合する場合、及び金属部分どうしで結合する場合のいずれにおいても、有機樹脂からなるマトリクスを実質的に含まないことが好ましい。
個々の軟磁性合金粒子P2は、少なくとも鉄(Fe)と鉄より酸化しやすい2種の元素(元素L及びM)とを少なくとも含む合金である。元素Lと元素Mとは相異なり、いずれも、金属元素又はSiである。元素L及びMが金属元素である場合は、典型的には、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)などが挙げられ、好ましくは、CrまたはAlであり、さらにSi又はZrを含むことが好ましい。
磁性体(第2の磁性層122)全体において、Feの含有率は好ましくは92.5~96wt%である。前記範囲である場合に高い体積抵抗率が確保される。磁性体全体において、元素Lの含有率は好ましくは2.5~6wt%である。磁性体全体において、元素Mの含有率は好ましくは1.5~4.5wt%である。磁性体全体の組成については、例えば磁性体の断面をプラズマ発光分析することで算出することができる。
Feおよび元素L及びM以外に含まれていてもよい元素としてはMn(マンガン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)P(リン)、S(硫黄)、C(炭素)などが挙げられる。
第2の酸化物F2は、典型的には、軟磁性合金粒子P2を覆う第1の酸化膜F21、第1の酸化膜F21を覆う第2の酸化膜F22、第2の酸化膜F22を覆う第3の酸化膜F23および第3の酸化膜F23を覆う第4の酸化膜F24を含む、4層構造の酸化膜で構成される。
第1の酸化膜F21および第3の酸化膜F23は、元素Lを含む酸化物、典型的には、元素Mよりも元素Lを多く含む酸化物である。一方、第2の酸化膜F22は、元素Mを含む酸化物、典型的には、元素Lよりも元素Mを多く含む酸化物である。本実施形態では、元素LはSiであり、第1及び第3の酸化膜F21,F23は、SiOである。一方、元素MはCrであり、第2の酸化膜F22は、Crである。第4の酸化膜F24は、元素LよりもFeを多く含む酸化物(Fe)である。Feの酸化物は、典型的には、磁性体に属するFe又は非磁性体に属するFeである。
第1の酸化膜F21に含まれる元素Lおよび第2の酸化膜F22に含まれる元素Mは、いずれも軟磁性合金粒子P2の組成成分であるSiおよびCrが拡散、析出したものに相当する。第4の酸化膜F24に含まれるFeも同様に、軟磁性合金粒子P2の組成成分であるFeが拡散、析出したものに相当する。これに対して、第3の酸化膜F23を構成する元素L(Si)は、後述するように予め軟磁性合金粒子P2の表面に形成されたSiO膜で構成される。
第2の酸化物F2の存在については、倍率約5000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)の組成マッピングによって確認することができる。第2の酸化物F2を構成する第1~第4の酸化膜F21~F24の存在については、倍率約20000倍の透過型電子顕微鏡(TEM)の組成マッピングによって確認することができる。第1~第4の酸化膜F21~F24の厚みについては、倍率約800000倍のTEMのエネルギ分散型X線分析装置(EDS)によって確認することができる。
第2の酸化物F2の存在により磁性体全体としての絶縁性が担保される。特に、第2の酸化物F2は、上述の第1の酸化物F1と比較して酸化膜(第3の酸化膜F23)をさらに含むため、第1の酸化物F1よりも高い絶縁特性を得ることができる。
第2の磁性層122は、図7に示すように、軟磁性合金粒子P2どうしを結合する結合部V2を有する。結合部V2は、第4の酸化膜F24の一部で構成され、複数の軟磁性合金粒子P2を相互に結合する。結合部V2の存在は、例えば、約5000倍に拡大したSEM観察像などから視認することができる。結合部V2の存在により、機械的強度と絶縁性の向上が図られる。
第2の磁性層122は、その全体にわたり、隣接する軟磁性合金粒子P2が結合部V2を介して結合していることが好ましいが、部分的に第2の酸化物F2を介さずに、軟磁性合金粒子P2どうしが結合されている領域が存在していてもよい。さらに、第2の磁性層122は、結合部V2も、結合部V2以外の結合部(軟磁性合金粒子P1どうしの結合部)もいずれも存在せず単に物理的に接触又は接近するに過ぎない形態が部分的に含まれてもよい。さらに、第2の磁性層122は部分的に空隙を有していてもよい。
第2の酸化物F2は、磁性体(第2の磁性層122)を形成する前の原料粒子の段階で形成されていてもよいし、原料粒子の段階では第2の酸化物F2が存在しないか、又は極めて少なくし、成形過程において第2の酸化物F2を生成させてもよい。
本実施形態では、磁性体(第2の磁性層122)を形成する前の原料粒子の段階で、第3の酸化膜F23を軟磁性合金粒子P2の表面に形成する前処理が施される。そして、成形前の軟磁性合金粒子P2に熱処理を施して磁性体(第2の磁性層122)を得るときに、軟磁性合金粒子P2の表面部分が酸化して第1の酸化膜F21、第2の酸化膜F22、第4の酸化膜F24および結合部V2が生成される。
第3の酸化膜F23を構成するコート材を原料粒子の表面に形成する前処理の方法は特に限定されず、本実施系形態では、ゾルゲル法を用いたコートプロセスが用いられる。典型的には、軟磁性合金粒子P2、エタノールおよびアンモニア水を含む混合液中に、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子P2をろ過・分離し、乾燥させることで、SiO膜からなるコート材が表面に形成された軟磁性合金粒子P2が作製される。
ここで、上記混合液に上記処理液を一度に混合すると、均一核形成が優勢となり、溶液中でSiO粒子が核形成・粒成長して凝集体を形成し、その凝集体が軟磁性合金粒子P2の表面に付着することで、コート材を安定に形成することができない。そこで本実施形態では、上記混合液に上記処理液を複数回に分けて滴下しながら混合することで、SiO粒子の均一核形成を抑制し、軟磁性合金粒子P2表面での不均一核形成を優勢にして、これにより、軟磁性合金粒子P2の表面にコート材を安定に形成することができる。
第3の酸化膜F23(コート材)の厚みは、処理液に含まれるTEOSの量で調整することができ、TEOSの量が多いほど厚い膜を得ることができる。第3の酸化膜F23の厚みは特に限定されないが、好ましくは、1nm以上20nm以下である。厚みが1nm未満の場合、第3の酸化膜F23のカバレッジ性が悪くなり、絶縁特性の向上を図ることが困難になる。また、厚みが20nmを超えると、軟磁性合金粒子P2の充填率の低下により磁気特性が低下する傾向にある。
また、第3の酸化膜F23の厚みは、第1の酸化膜F21の厚みと同等以上でもよいし、第1の酸化膜F21の厚みよりも小さくてもよい。第3の酸化膜F23の厚みを第1の酸化膜F21の厚みと同等以上にすることで、第3の酸化膜F23が存在しない場合と比較して、絶縁特性を効果的に高めることができる。一方、第3の酸化膜F23の厚みを第1の酸化膜F21の厚みよりも小さくすることで、第3の酸化膜F23の存在による磁気特性(比透磁率など)の低下を抑えることができる。
特に、第1の酸化膜F21が、軟磁性合金粒子P2の表面全体を覆うように形成されるため、磁性体全体において、元素Mより元素Lの含有率が高いことが好ましい。第1の酸化膜F21が存在することで、安定した絶縁性を得ることができる。また、元素Mの含有率を1.5~4.5wt%とすることで、過剰な酸化を抑えつつ、第1及び第2の酸化膜F21,F22の厚みを薄くできる。また、ここで得られた第1、第2、第3および第4の酸化膜F21~F24は、それぞれ非晶質、非晶質、非晶質および結晶質である。それぞれは、性質の異なる膜を交互に形成することで、絶縁性と酸化抑制とを併せ持つ酸化膜となり、必要以上の厚みを持たないことで、比透磁率を高くしつつ、絶縁性を併せ持つ磁性体を得ることになる。
(第3の磁性層)
第3の磁性層123を構成する磁性材料は、第1の磁性層121と同様に構成されてもよいし、あるいは、第2の磁性層122と同様に構成されてもよい。典型的には、第3の磁性層123は、第1の磁性層121と同等以上の磁気特性を有する磁性材料で構成される。
[コイル部品の製造方法]
続いて、コイル部品10の製造方法について説明する。図9A~Cは、コイル部品10における磁性体層ML1~ML7の製造方法を説明する要部の概略断面図である。
磁性体層ML1~ML7の製造方法は、第1の磁性層121の作製工程と、導体パターンC10の形成工程と、第2の磁性層122の作製工程とを有する。
(第1の磁性層の作製)
第1の磁性層121の作製に際しては、ドクターブレードやダイコータ等の塗工機(図示略)を用いて、予め用意した磁性体ペースト(スラリー)をプラスチック製のベースフィルム(図示略)の表面に塗工する。次に、そのベースフィルムを熱風乾燥機等の乾燥機(図示略)を用いて、約80℃、約5分の条件で乾燥させて、磁性体層ML1~ML7に対応する第1~第7の磁性シート121Sをそれぞれ作製する(図9A参照)。これら磁性シート121Sは、第1の磁性層121を多数個取りすることができるサイズにそれぞれ形成される。
ここで用いた磁性体ペーストの組成は、FeCrSi合金粒子群(軟磁性合金粒子P1)が75~85wt%で、ブチルカルビトール(溶剤)が13~21.7wt%で、ポリビニルブチラール(バインダ)が2~3.3wt%で、FeCrSi粒子群の平均粒径(メディアン径)により調整される。例えば、FeCrSi合金粒子群の平均粒径(メディアン径)が3μm以上では、それぞれ85wt%、13wt%、2wt%とし、1.5μm以上3μm未満では、それぞれ80wt%、17.3wt%、2.7wt%とし、1.5μm未満では、それぞれ75wt%、21.7wt%、3.3wt%とする。FeCrSi合金粒子群の平均粒径は、第1の磁性層121の厚み等に応じて選択される。FeCrSi合金粒子群は、例えば、アトマイズ法で製造される。
第1の磁性層121は、厚み方向に沿って4つ以上の合金磁性粒子(FeCrSi合金粒子)が並ぶ厚さで作製され、その厚さは、例えば5μm以上25μm以下である。本実施形態では、合金磁性粒子の平均粒径は、体積基準において、d50(メディアン径)が、好ましくは1~4μmとされる。合金磁性粒子のd50は、レーザ回折散乱法を利用した粒子径・粒度分布測定装置(例えば、日機装社製のマイクロトラック)を用いて測定される。
次いで、打ち抜き加工機やレーザ加工機等の穿孔機(図示略)を用いて、磁性体層ML1~ML6に対応する第1~第6の磁性シート121Sに、ビアV1~V6(図3参照)に対応する貫通孔(図示略)を所定配列で形成する。貫通孔の配列については、第1~第7の磁性シート121Sを積層したときに、導体を充填した貫通孔と導体パターンC11~C17とで内部導体が形成されるように設定される。
(導体パターンの形成)
続いて、図9Bに示すように、第1~第7の磁性シート121Sの上に、導体パターンC11~C17が形成される。
導体パターンC11は、スクリーン印刷機やグラビア印刷機等の印刷機(図示略)を用いて、予め用意した導体ペーストを磁性体層ML1に対応する第1の磁性シート121Sの表面に印刷される。さらに、導体パターンC11の形成に際して、ビアV1に対応する貫通孔に上記導体ペーストが充填される。そして、熱風乾燥機等の乾燥機(図示略)を用いて、第1の磁性シート121Sを約80℃、約5分の条件で乾燥させ、導体パターンC11に対応する第1の印刷層を所定配列で作製する。
導体パターンC12~C17及びビアV2~V6についても上述と同様な方法で作製される。これにより、磁性体層ML2~ML7に対応する第2~第7の磁性シート121Sの表面に、導体パターンC12~C17に対応する第2~第7の印刷層が所定配列で作製される。
ここで用いた導体ペーストの組成は、Ag粒子群が85wt%で、ブチルカルビトール(溶剤)が13wt%で、ポリビニルブチラール(バインダ)が2wt%であり、Ag粒子群のd50(メディアン径)は、約5μmである。
(第2の磁性層の作製)
続いて、図6Cに示すように、第1~第7の磁性シート121Sの上に、第2の磁性層122が形成される。
第2の磁性層122の作製に際しては、まず、上述の前処理を施すことによって、表面にシリカ膜からなるコート材(第3の酸化膜F23)が形成された軟磁性合金粒子P2を準備する。そして、この軟磁性合金粒子からなるFeCrSi合金粒子群の磁性体ペースト(スラリー)を、スクリーン印刷機やグラビア印刷機等の印刷機(図示略)を用いて、第1~第7の磁性シート121S上の導体パターンC11~C17の周囲に塗工する。次に、その磁性体ペーストを熱風乾燥機等の乾燥機(図示略)を用いて、約80℃、約5分の条件で乾燥させる。
ここで用いた磁性体ペーストの組成は、FeCrSi合金粒子群が85wt%で、ブチルカルビトール(溶剤)が13wt%で、ポリビニルブチラール(バインダ)が2wt%である。
第2の磁性層122の厚みは、導体パターンC11~C17の厚みと同一又は20%以内の厚みの差となるように調整され、積層方向にほぼ同一平面が形成され、各磁性層に段差を生じることなく、積層ずれ等を生じることなく磁性体部12が得られる。第2の磁性層122は、厚み方向に沿って3つ以上の合金磁性粒子(FeCrSi合金粒子)が並ぶ厚さで作製され。その厚さは、例えば、4μm以上20μm以下である。第2の磁性層122を構成する軟磁性合金粒子P2の平均粒径は、第1の磁性層121を構成する軟磁性合金粒子P1の平均粒径と同一か、またはそれよりも大きくてもよいし小さくてきもよい。本実施形態では、平均粒径は1~4μmである。軟磁性合金粒子P2の平均粒径が小さいほど、比表面積が増加するため、第2の酸化物F2による軟磁性合金粒子P2の絶縁効果が高まる。
以上のようにして、磁性体層ML1~ML7に対応する第1~第7のシートが作製される(図9C参照)。
(第3の磁性層の作製)
第3の磁性層123の作製に際しては、ドクターブレードやダイコータ等の塗工機(図示略)を用いて、予め用意した磁性体ペースト(スラリー)をプラスチック製のベースフィルム(図示略)の表面に塗工する。次に、そのベースフィルムを熱風乾燥機等の乾燥機(図示略)を用いて、約80℃、約5分の条件で乾燥させて、磁性体層MLU,MLDを構成する第3の磁性層123に対応する磁性シートをそれぞれ作製する。これら磁性シートは、第3の磁性層123を多数個取りすることができるサイズにそれぞれ形成される。
ここで用いた磁性体ペーストの組成は、FeCrSi合金粒子群が85wt%で、ブチルカルビトール(溶剤)が13wt%で、ポリビニルブチラール(バインダ)が2wt%である。
第3の磁性層123は、上述のように、磁性体層MLU,MLDのそれぞれの厚みが例えば50μm以上120μm以下となるように、その積層数に応じて設定される。本実施形態において第3の磁性層123を構成する合金磁性粒子の平均粒径は、第1の磁性層121を構成する合金磁性粒子の平均粒径及び第2の磁性層122を構成する合金磁性粒子の平均粒径と同一か、またはそれよりも大きくてもよいし小さくてもよい。平均粒径が同じ場合は、比透磁率を高くでき、小さい場合は、第3の磁性層123を薄くすることができる。
(積層及び切断)
続いて、吸着搬送機とプレス機(いずれも図示略)を用いて、第1~第7のシート(磁性体層ML1~ML7に対応)と、第8のシート群(磁性体層MLU、MLDに対応)を、図3に示した順序で積み重ねて熱圧着して積層体を作製する。
続いて、ダイシング機やレーザ加工機等の切断機(図示略)を用いて、積層体を部品本体サイズに切断して、加工処理前チップ(加熱処理前の磁性体部及びコイル部を含む)を作製する。
(脱脂及び酸化物の形成)
続いて、焼成炉等の加熱処理機(図示略)を用いて、大気等の酸化性雰囲気中で、加熱処理前チップを多数個一括で加熱処理する。この加熱処理は、脱脂プロセスと酸化物形成プロセスとを含み、脱脂プロセスは約500℃、約1時間の条件で実施され、酸化物形成プロセスは約700℃、約5時間の条件で実施される。
脱脂プロセスを実施する前の加熱処理前チップにあっては、加熱処理前の磁性体内のFeSiCr合金粒子の間に多数の微細間隙が存在し、当該微細間隙にはバインダ等が含まれている。しかし、これらは脱脂プロセスにおいて消失するため、脱脂プロセスが完了した後は、当該微細間隙はポア(空隙)に変わる。また、加熱処理前のコイル部内のAg粒子の間にも多数の微細間隙が存在し、当該微細間隙にはバインダ等が含まれているが、これらは脱脂プロセスにおいて消失する。
脱脂プロセスに続く酸化物形成プロセスでは、加熱処理前の磁性体内のFeSiCr合金粒子が密集して磁性体部12(図1、図2参照)が作製されると同時に、FeSiCr合金粒子それぞれの表面に当該粒子の酸化物(第1の酸化物F1および第2の酸化物F2)が形成される。また、加熱処理前のコイル部内のAg粒子群が焼結してコイル部13(図1、図2参照)が作製され、これにより部品本体11が作製される。
このとき、第1の磁性層121については、第1~第3の酸化膜F11~F13を含む第1の酸化物F1が軟磁性合金粒子P1の表面に形成され、結合部V1を介して軟磁性粒子P1どうしが結合される(図5参照)。一方、第2の磁性層122については、第1~第4の酸化膜F21~F24を含む第2の酸化物F2が軟磁性合金粒子P2の表面に形成され、結合部V2を介して軟磁性合金粒子P2どうしが結合される(図7参照)。
(外部電極の形成)
続いて、ディップ塗布機やローラ塗布機等の塗布機(図示略)を用いて、予め用意した導体ペーストを部品本体11の長さ方向両端部に塗布し、これを焼成炉等の加熱処理機(図示略)を用いて、約650℃、約20分の条件で焼付け処理を行い、当該焼付け処理によって溶剤及びバインダの消失とAg粒子群の焼結を行って、外部電極14,15(図1、図2参照)を作製する。
ここで用いた外部電極14,15用の導体ペーストの組成は、Ag粒子群が85wt%以上で、Ag粒子群以外にガラス、ブチルカルビトール(溶剤)、ポリビニルブチラール(バインダ)を含み、Ag粒子群のd50(メディアン径)は、約5μmである。
最後に、めっきを行う。めっきは、一般的な電気めっきにより行われ、NiとSnの金属膜が、先にAg粒子群を焼結して形成された外部電極14,15に付けられる。このようにして、コイル部品10を得ることができる。
本実施形態のコイル部品10において、第2の磁性層122を構成する磁性材料は、軟磁性合金粒子P2と、その表面に形成された第2の酸化物F2とを有する。上記磁性材料において、軟磁性合金粒子P2の表面は、第1~第4の酸化膜F21~F24で覆われているため、第1の磁性層121を構成する磁性材料よりも高い絶縁特性が得られる。これによりコイル部品10の絶縁特性が向上し、大電流化にも容易に対応することが可能となる。
さらに、第2の磁性層122は、第1の磁性層121よりも高い絶縁特性が得られるため、軟磁性合金粒子P2間の距離が短くなっても良好な絶縁特性が確保される。したがって磁性材料の圧粉密度(第2の磁性層122の相対密度)を高める処理を追加的に実施してその磁気特性の向上を図る場合にも、所望とする絶縁特性を安定に確保することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を50分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み15nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
圧粉体の作製条件は、以下のとおりとした。
合金粒子100重量部を、PVAバインダ1.5重量部とともに撹拌混合し、潤滑剤として0.5重量部のステアリン酸Znを添加した。その後、後述の各評価のための形状に、6~18ton/cmの成形圧力で成形した。このとき、成形圧力は磁性体における軟磁性合金粒子の充填率が80vol%になるように調節した。次いで、得られた圧粉体を500℃にて1時間の条件で脱脂を行い、大気雰囲気下(酸化雰囲気下)において700℃にて5時間熱処理を行い、磁性体を得た。
比透磁率(μ)の測定のために、外径8mm、内径4mm、厚さ1.3mmのトロイダル状の磁性体を製造した。この磁性体に、直径0.3mmのウレタン被覆銅線からなるコイルを20ターン巻回して測定用試料を得た。Lクロムメーター(アジレントテクノロジー社製:4285A)を用いて、測定周波数10MHzにて磁性体の比透磁率を測定した。
体積抵抗率は、JIS-K6911に準じた測定を行った。ただし、外形φ7.0mm×厚み0.5~0.8mmの円板状の磁性体を測定試料として製造した。上述した熱処理後に、円板状の両底面(底面の全面)にスパッタリングによりAu膜を形成した。Au膜の両面に3.6V(60V/cm)の電圧を印加した。この時の抵抗値から体積抵抗率を算出した。
絶縁破壊電圧の測定のために、外形φ7.0mm×厚み0.5~0.8mmの円板状の磁性体を測定試料として製造した。上述した熱処理後に、円板状の両底面(底面の全面)にスパッタリングによりAu膜を形成した。Au膜の両面に電圧を印加して、I-V測定を行った。印加する電圧を徐々に上げて、電流密度が0.01A/cmとなった時点での印加電圧を破壊電圧であるとみなした。
機械的強度の評価のために、3点曲げ破断応力を測定した。図10は、3点曲げ破断応力の測定の模式的な説明図である。測定対象物に対して図示されたように荷重をかけて測定対象物が破断するときの荷重Wを測定した。曲げモーメントMおよび断面二次モーメントIを考慮して、以下の式から、3点曲げ破断応力σbを算出した。
σb=(M/I)×(h/2)=3WL/2bh
3点曲げ破断応力を測定するための試験片は、長さ50mm、幅10mm、厚さ4mmの板状の磁性体を測定試料として製造した。
磁性体中の合金粒子の表面に形成された酸化膜(図7における第1~第4の酸化膜F21~F24に相当)の成分および厚みを測定した。測定には、EDS(エネルギー分散X線分光検出器)を搭載したSTEMを用い、STEM-EDS法で酸化膜の成分を確かめ、STEM-高角度環状暗視野(HAADF)法で、酸化膜の厚さを計測した。測定直前に、集束イオンビーム装置(FIB)を用いて50~100nmとなるように薄片試料を作製し、電子ビーム径0.2~1.5nmの範囲でEDSのライン分析法により酸化膜の成分を、HAADF法で酸化膜の厚さをそれぞれ計測した。各酸化膜の厚みを測定する場所は、合金粒子どうしを結合していない部分で行い、合金粒子の表面に垂線を引く。次に、この垂線上で合金粒子の表面から外側を見て、酸素の存在割合が5%以下である部分を合金粒子の表面とする。更に、合金粒子の表面から外側に向かって見て、元素M(Cr又はAl)より元素L(Si、Zr、Hf又はTi)の量が多い範囲を元素Lの酸化膜(第1の酸化膜)の厚みとした。以降、同様に続けて外側に向かって見て、元素Lより元素Mの量が多い範囲を元素Mの酸化膜(第2の酸化膜)、元素Mより元素Lの量が多い範囲を元素Lの酸化膜(第3の酸化膜)とした。さらに、Feの酸化膜(第4の酸化膜)については、元素Lと比較して、Feの量が多い範囲とした。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は27、体積抵抗率は2.7×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は1.3×10-2[MV/cm]、強度は10[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは15nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは20nm(成分Fe)であった。
(実施例2)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を10分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み1nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は36、体積抵抗率は7.1×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は5.3×10-3[MV/cm]、強度は14[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは1nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは60nm(成分Fe)であった。
(実施例3)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を15分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み5nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は34、体積抵抗率は3.2×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は7.8×10-3[MV/cm]、強度は12[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは40nm(成分Fe)であった。
(実施例4)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を20分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み11nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は30、体積抵抗率は3.2×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は7.8×10-3[MV/cm]、強度は11[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは11nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは30nm(成分Fe)であった。
(実施例5)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のテトラ―i―プロポキシジルコニウム、Zr(O-i-C、エタノールおよび水を含む処理液を50分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み15nmのZrO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は27、体積抵抗率は2.5×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は1.1×10-2[MV/cm]、強度は10[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは15nm(成分Zr)、第4の酸化膜の厚みは20nm(成分Fe)であった。
(実施例6)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のテトラ―i―プロポキシハフニウム、Hf[OCH(CH、エタノールおよび水を含む処理液を50分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み15nmのHfO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は26、体積抵抗率は2.4×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は1.2×10-2[MV/cm]、強度は10[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは15nm(成分Hf)、第4の酸化膜の厚みは20nm(成分Fe)であった。
(実施例7)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のテトラ―i―プロポキシチタン、Ti[OCH(CH、エタノールおよび水を含む処理液を50分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み15nmのTiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は27、体積抵抗率は2.5×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は1.1×10-2[MV/cm]、強度は10[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは15nm(成分Ti)、第4の酸化膜の厚みは20nm(成分Fe)であった。
(実施例8)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiAl合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を50分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み15nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は25、体積抵抗率は3.0×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は1.1×10-2[MV/cm]、強度は11[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは15nm(成分Al)、第3の酸化膜の厚みは15nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは20nm(成分Fe)であった。
(実施例9)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeZrCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を50分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み15nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は27、体積抵抗率は2.0×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は1.1×10-2[MV/cm]、強度は10[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Zr)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは15nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは20nm(成分Fe)であった。
(実施例10)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeZrCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を70分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み20nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は25、体積抵抗率は4.1×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は1.1×10-2[MV/cm]、強度は10[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは20nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは20nm(成分Fe)であった。
(実施例11)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeZrCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を90分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み24nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は21、体積抵抗率は5.0×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は8.0×10-3[MV/cm]、強度は8[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは24nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは15nm(成分Fe)であった。
(実施例12)
平均粒径(D50)2μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を10分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み1nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は21、体積抵抗率は8.0×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は6.6×10-3[MV/cm]、強度は12[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは1nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは60nm(成分Fe)であった。
(実施例13)
平均粒径(D50)1μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液を10分かけて等量ずつ滴下して混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み1nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は10、体積抵抗率は1.0×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は1.2×10-2[MV/cm]、強度は13[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは1nm(成分Si)、第4の酸化膜の厚みは60nm(成分Fe)であった。
(比較例)
平均粒径(D50)6μmの軟磁性合金粒子(FeSiCr合金粒子)と所定量のエタノールおよびアンモニア水とを含む混合液中に、所定量のTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)、エタノールおよび水を含む処理液をすべて一度に混合、撹拌した後、軟磁性合金粒子をろ過・分離し、乾燥させることで、厚み30nmのSiO膜からなるコート層が表面に形成された軟磁性合金粒子を作製した。実施例1と同一の条件で、その軟磁性合金粒子の圧粉体(磁性体)を作製し、それらの比透磁率(μ)、体積抵抗率[Ω・cm]、絶縁破壊電圧(BVD)[MV/cm]および強度[kgf/mm]を評価した。
測定結果を表1及び表2に示す。比透磁率は20、体積抵抗率は1.1×10[Ω・cm]、絶縁破壊電圧は7.0×10-4[MV/cm]、強度は7[kgf/mm]であった。また、第1の酸化膜の厚みは5nm(成分Si)、第2の酸化膜の厚みは11nm(成分Cr)、第3の酸化膜の厚みは71nmであり、その成分は、Feを主成分にSiとCrが混在したものであった。なお、第4の酸化膜は確認できなかった。
Figure 0007015647000001
Figure 0007015647000002
表1,2に示すように、合金粒子の溶液中に処理液を所定量ずつ滴下混合してコート材を形成する実施例1~11によれば、上記溶液中に処理液を一度に混合してコート材を形成する比較例よりも、高い絶縁破壊特性と高い比透磁率とを得ることができた。これは、第3の酸化膜(コート材)が合金粉末の表面に均質に形成され、酸化膜の厚みは薄いながらも欠陥がほとんど存在しないことによるものと推定される。また、第1の酸化膜と第3の酸化膜を併せ持つことも絶縁破壊特性に寄与しており、第1~第4の酸化膜全体としての厚みを薄くできることにつながっていると推定される。
ここで、実施例1と比較例とを比較すると、合金粒子にSi酸化膜からなるコート層を形成する前処理として、エタノール、アンモニア水、TEOS、水を含む混合液を用いる点で共通する。しかし、この混合液の調製の仕方で、合金粒子の表面に形成されるSiO膜の形態が大きく異なる結果になる。
すなわち、合金粒子、エタノール、アンモニア水、TEOSおよび水を一度に混合する比較例の処理方法では、上述のように、溶液中でSiO粒子が核形成・粒成長して凝集体を形成し、その凝集体が合金粒子の表面に付着する均一核形成が優勢となる。その結果、SiO微粒子は合金粒子全体を覆えず部分的に表面に付着し、軟磁性合金粒子の絶縁耐圧特性を向上させることができない。
図11は、合金粒子、エタノール、アンモニア水、TEOSおよび水を一度に混合する比較例の場合の軟磁性合金粒子の表面に形成されたSiO微粒子の状態を模式的に示す粒子断面図である。なお、上記混合液の調製によりSiO微粒子の形成を行った場合、均一核形成および粒成長により得られるSiO粒子は、5万倍程度の倍率で高分解能TEM観察した結果、例えば縞状に見える干渉模様が観察される。この干渉模様は結晶の格子縞であり、これが観察されることから比較例の処理方法で得られる凝集体は、結晶性である。
これに対して、合金粒子、エタノールおよびアンモニア水を含む混合液中に、TEOS、エタノールおよび水を含む処理液を複数回に分けて滴下しながら混合する実施例1の処理方法によれば、均一核形成が抑制され、合金粒子表面での不均一核形成が優勢になるため、合金粒子の表面のコート層は、25nm未満の厚みでも、安定に一様な厚みで形成される。この方法を用いることにより、コート膜厚はTEOSの投入量によりシングルナノオーダーで制御することが可能であり、例えば1nmの厚みであっても、安定したコート膜の形成が実現できる。
図12は、実施例1により軟磁性合金粒子にコート層を形成した場合のコート層の状態を模式的に示す粒子断面図である。また、実施例1により形成されたコート層を5万倍程度の倍率で高分解能TEM観察した結果、例えば縞状に見える干渉模様が観察されない。この干渉模様が観察されないことから、実施例1のコート層は非晶質であることが確認できる。一般的に非晶質のSiOの絶縁抵抗値は結晶性のSiOの抵抗値より2~3桁程度高い。したがって、実施例1でコートしたSiOの膜厚が例えば1nmの厚みであっても、比較例より高い絶縁耐圧特性を有することができる。さらに、実施例1~11のコート層の厚みは24nm以下と薄いため、熱処理により合金粒子から鉄(Fe)がコート層の外側に拡散して第4の酸化膜が安定に形成される。これにより、絶縁特性の更なる向上が図られる。
このように、実施例1と比較例1とは前処理としての酸化膜の形成方法が大きく異なるため、得られる酸化膜の膜質が大きく相違する。この酸化膜の膜質の相違が、熱処理後の圧粉体の絶縁耐圧特性や強度の違いとして現れる。
上記評価によれば、実施例1は実施例8より比透磁率を高くできている。これは、CrよりAlの方が酸化反応し易いことにより、この影響によりわずかに熱処理後の充填率に影響したと予測される。比透磁率を高くできる点から元素MはCrが好ましい。また、実施例1は、実施例5及び6より絶縁破壊特性を高くできている。これは、Zr、Hfと同じ厚みの酸化膜でも、Siの酸化膜の均一性が高く、欠陥の少ない酸化膜となっていると予測される。
特に、第1~第4の酸化膜の厚みについては、第1<第3<第4の順の厚みとする場合(実施例1,4~9)、より絶縁性を高くできる。同じ大きさの軟磁性合金粒子、かつ第3≦第1<第4とする場合(実施例2,3)には、比透磁率を高くできる。第4の酸化膜は、バインダを脱脂することで生じる空隙を埋めるものであり、この厚みを厚くしても、大きく比透磁率を低下させるものではなく、空隙を埋める働きから強度を高く、また外部から水などの浸透を少なくでき、信頼性の向上につながる。また、実施例5,6,7の第1及び第2の酸化膜については、軟磁性合金粒子の成分のみで構成されていることがわかり、各酸化膜が独立して形成されていることを示している。
また、実施例11では、実施例10より更に比透磁率の低下が見られ、比較例よりわずかに上回る値となっている。これは、第3の酸化膜を過剰に形成されることで生じているものと予想される。また、ここでの実施例では、第3の酸化膜の厚みを1nmより薄いものは行っていない。1nm未満では、軟磁性合金粒子の表面を覆うような膜の形成ができていない。第3の酸化膜を形成する元素Lによる酸化物は、酸化物としての大きさは0.5nm以上になることが予想され、この大きさの酸化物が連続的に並ぶためには、1nm以上の酸化膜とする必要があったことになる。このため、第3の酸化膜は、1nm以上であって、20nm以下であることが好ましい。
実施例12、13では、第3の酸化膜の厚みが同じ1nmである実施例2が6μmの合金粒子を用いているのに対して、それぞれ2μmと1μmの合金粒子を用いている。合金粒子が微細化したことで比透磁率は低下するが、実施例2と同様の方法を用いて処理することにより、合金粒子の粒径によらず、図12に示したような安定で一様な厚みのコートが形成されるため、絶縁破壊特性を高くすることができている。これに対し、合金粒子、エタノール、アンモニア水、TEOSおよび水を一度に混合する比較例の処理方法では、SiO粒子の凝集体を合金粒子表面に付着させることで絶縁破壊特性を確保するが、合金粒子とSiO粒子の粒子径差が小さくなると、合金粒子表面を緻密に覆うことが困難になり、絶縁破壊特性が向上しない。
また、FeSiAl系、FeZrCr系の各磁性体においても、FeSiCr系磁性体と同様な絶縁特性を得られることが確認された。また、コート材の成分がZr、Hf、Tiの場合にも、Si成分のコート材を有する磁性体と同様な絶縁特性を得られることが確認された。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば以上の実施形態では、第2の磁性層122にのみ本発明に係る磁性材料を適用した例について説明したが、これに限られず、第1の磁性層121、第3の磁性層123、あるいは第1~第3の磁性層の少なくとも2つにも本発明は適用可能である。
また以上の実施形態では、磁性材料としてコイル部品あるいは積層インダクタの磁心を構成する磁性体を例に挙げて説明したが、これに限られず、モータ、アクチュエータ、ジェネレータ、リアクトル、チョークコイル等の電磁気部品に使用される磁性体にも、本発明は適用可能である。
10…コイル部品
11…部品本体
12…磁性体部
13…コイル部
14,15…外部電極
121…第1の磁性層
122…第2の磁性層
123…第3の磁性層
P1,P2…軟磁性合金粒子
F1,F2…酸化物
F21…第1の酸化膜
F22…第2の酸化膜
F23…第3の酸化膜
F24…第4の酸化膜
V2…結合部

Claims (7)

  1. Fe、元素L(但し、元素LはSi、Zr、Tiのいずれかである。)及び元素M(但し、元素MはCr、Alのいずれかである。)を含む複数の軟磁性合金粒子と、
    元素Mよりも元素Lを多く含み、前記複数の軟磁性合金粒子各々を覆う第1の酸化膜と、
    元素Lよりも元素Mを多く含み、前記第1の酸化膜を覆う第2の酸化膜と、
    元素Mよりも元素Lを多く含み、前記第2の酸化膜を覆う非晶質の第3の酸化膜と、
    元素LよりもFeを多く含み、前記第3の酸化膜を覆う第4の酸化膜と、
    前記第4の酸化膜の一部で構成され、前記複数の軟磁性合金粒子どうしを結合する結合部と
    を具備する磁性材料。
  2. 請求項1に記載の磁性材料であって、
    元素Mは、Crである
    磁性材料。
  3. 請求項1又は2に記載の磁性材料であって、
    元素Lは、Siである
    磁性材料。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに記載の磁性材料であって、
    前記第3の酸化膜は、前記第1の酸化膜の厚み以上の厚みを有する
    磁性材料。
  5. 請求項1~4のいずれか1つに記載の磁性材料であって、
    前記第3の酸化膜は、1nm以上20nm以下の厚みを有する
    磁性材料。
  6. Fe、元素L(但し、元素LはSi、Zr、Tiのいずれかである。)及び元素M(但し、元素MはCr、Alのいずれかである。)を含む複数の軟磁性合金粒子と、
    元素Mよりも元素Lを多く含み、前記複数の軟磁性合金粒子各々を覆う第1の酸化膜と、
    元素Lよりも元素Mを多く含み、前記第1の酸化膜を覆う第2の酸化膜と、
    元素Mよりも元素Lを多く含み、前記第2の酸化膜を覆う非晶質の第3の酸化膜と、
    元素LよりもFeを多く含み、前記第3の酸化膜を覆う第4の酸化膜と
    を具備する磁性材料。
  7. 請求項1~6のいずれか1つに記載の磁性材料を含有する磁心
    を具備する電子部品。
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