JP7345778B2 - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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この発明は、電子部品の基体の表面に保護膜が形成される電子部品の製造方法に関するものである。
電子部品の一例であるサーミスタは、温度に応じて電気抵抗が変化する特性を有しており、各種電子機器の温度補償や温度センサ等に適用されている。特に、最近では、回路基板に実装されるチップ型サーミスタが広く使用されている。こうしたサーミスタは、サーミスタ素体(基体)と、このサーミスタ素体の両端に形成された一対の電極部とを有している。
サーミスタ素体は、例えば複数種の金属酸化物などからなり、酸やアルカリに弱く、かつ、還元されやすいという性質を有している。サーミスタ素体の組成が変化すると、サーミスタとしての特性が変動してしまう虞がある。
酸やアルカリなどとの接触によるサーミスタ素体の組成変化を防止するために、例えば特許文献1,2には、サーミスタ素体の表面に保護膜を成膜する技術が開示されている。こうした保護膜は、サーミスタ素体の劣化を抑制するために、めっき液への耐性、耐環境性、絶縁性等が要求される。保護膜の具体例としては、SiO膜、ZrO膜などが知られている。
特開平03-250603号公報 特開2003-077706号公報
しかしながら、特許文献1,2のように、サーミスタ素体にガラスペーストを印刷して厚いガラス層を形成する方法では、保護膜の薄膜化が困難であるため、小型のサーミスタを作製することが難しいという課題があった。
一方、SiO、ZrOなどの保護膜を、SiやZrなどのスパッタリングターゲットを用いて、反応性スパッタリングによって成膜する場合、保護膜の薄膜化は可能であるものの、形成される保護膜が量論比通りの組成にならず、SiO2-xやZrO2-xのように弱還元された状態の膜が成膜されることがある。こうした弱還元状態の膜は、例えば、後工程で電極形成などを目的とした焼成工程がある場合、サーミスタ素体が熱還元されて保護膜とサーミスタ素体との界面に空隙が生じる。こうした空隙によってサーミスタ素体と保護膜との密着性が低下し、保護膜が剥離してしまう懸念がある。
また、ディップコートなど、成膜原料液を塗布する一般的な湿式成膜法によって保護膜を製膜する場合、サーミスタ素体の表面に存在する微細な凹凸に追従した成膜ができず、膜厚が凸部で薄く凹部で厚くなってしまい、均一な膜厚の保護膜を得ることが難しい。保護膜の膜厚が不均一であると、クラックやピンホールが発生しやすく、多孔質な保護膜になってしまう。こうした多孔質な保護膜では、サーミスタ素体へのガスや液体の浸透を充分にバリアすることができず、保護膜としての機能が低くなるという課題があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、均一な膜厚で平滑性および密着性に優れ、かつ簡易な工程で低コストに成膜が可能な保護膜を備えた電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態の電子部品の製造方法は、電子部品の基体と、前記基体の表面に形成された保護膜と、を備えた電子部品の製造方法であって、ジルコニウムアルコキシドと有機溶媒とアルカリと水とを含む反応液に、前記基体を浸漬し、前記ジルコニウムアルコキシドの加水分解及び重縮合反応によって、前記基体の表面にジルコニウム酸化物を析出させることにより、前記保護膜を成膜する保護膜形成工程と、前記保護膜形成工程の前工程として、前記有機溶媒に含まれる水分を脱水する脱水工程と、を有することを特徴とする。
本発明の電子部品の製造方法によれば、ジルコニウムアルコキシドと有機溶媒とアルカリと水とを含む反応液に基体を浸漬することで、ジルコニウムアルコキシドの加水分解及び重縮合反応が進行し、基体の表面に平滑で均一な厚みのジルコニウム酸化物からなる保護膜を容易に形成することができる。
また、本発明では、前記ジルコニウムアルコキシドは、炭素数が3以上であってもよい。
また、本発明では、前記ジルコニウムアルコキシドは、ジルコニウムテトラブトキシドであってもよい。
また、本発明では、前記アルカリはアミンであってもよい。
また、本発明では、前記アミンはメチルアミンであってもよい。
また、本発明では、前記電子部品はサーミスタであり、また前記基体はサーミスタ素体であり、前記サーミスタ素体には、一対の電極部が形成されていてもよい。
また、本発明では、前記保護膜形成工程の前工程または後工程に、前記サーミスタ素体の両端部に金属ペーストを塗布して焼成することにより、前記電極部を形成する電極部形成工程を有していてもよい。
本発明の電子部品の製造方法によれば、均一な膜厚で平滑性および密着性に優れ、かつ簡易な工程で低コストに成膜が可能な保護膜を備えた電子部品の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態であるサーミスタ(電子部品)の概略断面説明図である。 サーミスタ(電子部品)の保護膜付近の要部拡大断面図である。 本発明の一実施形態である電子部品の製造方法を段階的に示すフローチャートである。 保護膜形成工程におけるジルコニウム酸化物からなる保護膜の成長を示す模式図である。 本発明の検証結果を示す電子顕微鏡写真である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の電子部品の製造方法について説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
まず最初に、本発明の電子部品の製造方法によって製造できる電子部品の一例である保護膜付きのサーミスタ(温度センサ)の構造を説明する。
図1は、本発明の電子部品の製造方法によって製造できるサーミスタ(電子部品)の層構造を示す断面図である。また、図2は、サーミスタ(電子部品)の保護膜付近の要部拡大断面図である。
サーミスタ(電子部品)10は、温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体であり、温度センサとして広く用いられている。サーミスタ10は、サーミスタ素体(基体)11と、このサーミスタ素体11の表面に形成された保護膜20と、サーミスタ素体11の両端部にそれぞれ形成された電極部13,13と、を備えている。
保護膜20は、サーミスタ素体11の両端面には形成せず、電極部13,13は、サーミスタ素体11に直接接触し、電気的に接続するように構成されている。
電極部13,13は、例えばAg,Cu,Al等の導電性に優れた金属の焼成体で構成されている。また、電極部13においては、前述した焼成体の上に、NiやSnなどのめっき膜を成膜した構成であってもよい。
サーミスタ10は、例えば、角柱状に成形されていればよい。サーミスタ10の大きさは、特に限定されない。本発明の電子部品の製造方法は、従来の保護膜形成技術と比較して、微小な凹凸にも追従したサイズの小さいサーミスタ素体11への成膜時に特に有用であるため、例えば、サーミスタ10の長さは実現範囲内において、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがさらに好ましい。また、サーミスタ10の長さ方向に直交する断面の断面積の上限は、実現範囲内において0.65mm以下であることが好ましく、0.25mm以下であることがさらに好ましい。
また、サーミスタ素体11は、温度に応じて電気抵抗が変化する特性を有している。このサーミスタ素体11は、酸やアルカリに対する耐性が低く、還元反応等によって組成が変化し、特性が大きく変動してしまう虞がある。よって、本実施形態では、サーミスタ素体11を保護するための保護膜20が形成されている。
保護膜20は、めっき液に対する耐性、耐環境性、絶縁性が求められる。本実施形態では、保護膜20は、ジルコニウム酸化物、具体的には、ZrO(二酸化ジルコニウム:ジルコニア)から構成されている。ジルコニウム酸化物は高い耐熱性、耐摩耗性を有し、かつクラックやピンホールの極めて少ない均一で平滑な薄膜にすることができる。
この保護膜20は、後述する電子部品の製造方法において述べるように、ジルコニウムアルコキシドの加水分解、重縮合反応によって、サーミスタ素体11の表面に薄膜状のジルコニウム酸化物を析出させることによって成膜されたものである。こうしたジルコニウム酸化物からなる保護膜20は、サーミスタ素体11との密着性に優れ、接合界面における剥離部分が少ない。
本実施形態においては、保護膜20の厚さは、50nm以上1000nm以下の範囲内とすることが好ましい。なお、保護膜20の厚さの下限は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがさらに好ましい。一方、保護膜20の厚さの上限は、1000nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがさらに好ましい。
この場合、保護膜20の膜厚が50nm以上とされているので、サーミスタ素体11の劣化を確実に抑制することができる。また、保護膜20の膜厚が100nm以上であれば、サーミスタ素体11の劣化をさらに抑制することができる。一方、保護膜20の膜厚を1000nm以下にすることで、保護膜20に亀裂等が生じることを抑制でき、サーミスタ素体11を十分に保護することができる。また、保護膜20の膜厚を800nm以下にすることで、保護膜20に亀裂等が生じることをさらに抑制できる。
次に、本発明の電子部品の製造方法の一実施形態として、上述したサーミスタの製造方法を説明する。
図2は、本発明の電子部品の製造方法の一実施形態である、サーミスタの製造方法を段階的に示したフローチャートである。
(サーミスタ素体形成工程S1)
まず、角柱状のサーミスタ素体11を製造する。本実施形態においては、サーミスタ材料からなる板材を短冊状に切断することにより、サーミスタ素体11を製造している。なお、サーミスタ素体11の形状は特に角柱状に限定されるものではなく、目的に応じて最適な形状に形成すればよい。
サーミスタは、NTC型、PTC型、CTR型等が挙げられ、本実施形態においては、NTC型を用いている。サーミスタ素体11を構成する材料としては、Mn-Co-Cu系材料、Mn-Co-Fe系材料等が挙げられる。なお、PTC型の場合には、サーミスタ素体11を構成する材料として、チタン酸バリウムに微量の希土類元素を添加したものを用いればよい。
(脱水工程S2)
脱水工程S2では、次工程である保護膜形成工程S3で用いる有機溶媒に含まれる水分を脱水し除去する。具体的には、有機溶媒である1-ブタノールおよびアセトニトリルをゼオライトによって脱水する。
保護膜形成工程S3で用いる1-ブタノールやアセトニトリルは、例えば1wt%以下の水分を含んでいる場合がある。こうした水分は、次工程の保護膜形成工程S3において、保護膜20の膜形成速度に影響を与え、保護膜20の平滑性を低下させる原因になる。このため、脱水工程S2において、保護膜形成工程S3で用いる1-ブタノールやアセトニトリルなどの有機溶媒に微量に含まれている水をゼオライトによって脱水し、水分をほぼ含まない高純度の1-ブタノールやアセトニトリルを生成する。
なお、こうした脱水工程S2は、保護膜形成工程S3の前であれば、どのタイミングで行ってもよく、例えば、サーミスタ素体形成工程S1の前に行うこともできる。
(保護膜形成工程S3)
次に、サーミスタ素体形成工程S1で形成したサーミスタ素体11を、ジルコニウムアルコキシドと水と有機溶媒とアルカリを含む反応液に浸漬し、シリコンアルコキシドの加水分解及び重縮合反応により、サーミスタ素体11の表面にジルコニウム酸化物(ZrO)を析出させて保護膜20を成膜する。
具体的には、本実施形態の保護膜形成工程S3では、有機溶媒として1-ブタノールに、ジルコニウムアルコキシドとしてジルコニウムテトラブトキシドの1-ブタノール溶液を加え、更に有機溶媒としてアセトニトリルを加えて撹拌する。そして、この混合液にサーミスタ素体11を投入し、さらに触媒であるアルカリとしてメチルアミン水溶液を添加してさらに攪拌し、ジルコニウムアルコキシドの加水分解、重縮合反応を行う。この時、必要に応じて、反応液を沸点以下で加熱してもよい。その後、水によって洗浄を行う。触媒であるメチルアミン水溶液の添加から洗浄までは、例えば3回程度繰り返して行う。また、洗浄は超音波(例えば100kHz程度)を印加して、30分程度行えばよい。洗浄後、乾燥、熱処理を行ってもよい。
こうした保護膜形成工程S3によって、サーミスタ素体11の表面にジルコニウム酸化物(ZrO)が析出し、ジルコニウム酸化物からなる保護膜20が成膜される。図4は、保護膜形成工程S3におけるジルコニウム酸化物からなる保護膜の成長を示す模式図である。保護膜形成工程S3では、ジルコニウムアルコキシドがメチルアミン水溶液によって加水分解、および重縮合(脱水)し、この加水分解体(Zr(OH))がサーミスタ素体11の表面の終端酸素(-O)や水酸基(-OH)と結合して、サーミスタ素体11の表面に薄膜状の緻密なジルコニウム酸化物膜からなる保護膜20が成膜(液相析出)される。なお、図4中のMは金属原子を示している。
保護膜形成工程S3で用いる有機溶媒のうち、アルコールとしては、ジルコニウムアルコキシドを溶解可能なものであればよく、入手及びハンドリングのしやすさ、水との混和性の観点から、炭素数1から8のアルコールやそれらの混合物が適当であり、炭素数2から6のアルコールやそれらの混合物が好ましい。また、溶剤との相溶性や成膜性を制御するために、ニトリルやケトンなどの有機溶媒を必要に応じて混合してもよい。
有機溶媒に用いるアルコールは、炭素鎖が長いと立体障害が大きくなり、メチルアミン水溶液による加水分解の反応性が抑制される。加水分解の反応性が大きすぎると、有機溶媒や触媒であるアルカリを混合した直後に、充分に混合されない状態で加水分解および重縮合が進行し、均一な膜厚で表面が平滑な保護膜を成膜することが困難である。このため、炭素数が大きいアルコール、例えば1-ブタノールを有機溶媒として用いることで、均一な膜厚で表面が平滑な保護膜20を成膜することができる。
また、1-ブタノールやアセトニトリルは、脱水工程S2で水分をほぼ完全に脱水したものを用いる。有機溶媒に水分が含まれていると、この水分によって過剰な加水分解が生じ、保護膜20を均一な膜厚に制御することが困難になる。このため、微量の水分も脱水工程S2で取り除いた1-ブタノールやアセトニトリルを有機溶媒として用いることで、保護膜20の膜厚を均一になるように制御して製膜することができる。
ジルコニウムアルコキシドは、炭素数が3以上のアルコキシドを用いることが好ましい。一般的に、シリコンアルコキシド以外のアルコキシドは反応性が高く、加水分解の反応制御が困難である。ジルコニウムアルコキシドを構成するアルコキシ基(例えば、-OCHCH等)の炭素鎖が長いと立体障害が大きくなり、メチルアミン水溶液による加水分解の反応性が抑制される。
アルカリ液性の下での加水分解及び重縮合反応において、立体障害の大きいアルコキシドは、ゾル-ゲル反応、特に加水分解の反応速度が減少することが知られている。このため、ジルコニウムエトキシドより立体障害の大きいジルコニウムプロポキシドやジルコニウムブトキシドの方が、均一な膜厚で表面が平滑なジルコニウム酸化物の薄膜を成膜することができる。このため、炭素数が大きいジルコニウムアルコキシド、例えば本実施形態のように、ジルコニウムテトラブトキシドを用いることで、均一な膜厚で表面が平滑な保護膜20を成膜することができる。
触媒としてのアルカリは、本実施形態ではメチルアミン水溶液を用いているが、これ以外にも、アルカリとしてアンモニアやNaOH、LiOH、KOHなどの無機アルカリ、エタノールアミンやエチレンジアミンなどの有機アルカリなど用いることもできる。
(電極部形成工程S4)
次に、サーミスタ素体11の両端部に電極部13,13を形成する。なお、前工程である保護膜形成工程S3において、サーミスタ素体11の両端面には保護膜20を形成せず、サーミスタ素体11に直接接触するように、電極部13を形成する。
本実施形態では、導電性の金属ペースト、例えばAg粒子を含むAgペーストをサーミスタ素体11の両端部に塗布して焼成することにより、Agの焼成体からなる電極部13を形成している。また、Agペーストの焼成体の上に、さらに、Snめっき膜やNiめっき膜を成膜してもよい。
電極部形成工程S4でのAgペーストの焼成時には、保護膜20が形成されたサーミスタ素体11は、例えば700℃以上900℃以下の温度範囲にまで加熱される。ジルコニウム酸化物からなる保護膜20は、上述した保護膜形成工程S3において、水分を除去した有機溶媒を用い、また、炭素数の大きな(例えば炭素数が3以上)ジルコニウムアルコキシドを用いることにより、加水分解や重縮合の速度を制御した、サーミスタ素体11に対する密着性の高いジルコニウム酸化物からなる保護膜20を成膜しているので、上述したような温度範囲で加熱処理を行った場合であっても、サーミスタ素体11から保護膜20が剥離しない充分な密着性が保たれる。
以上の工程により、本実施形態の電子部品の製造方法によるサーミスタ(電子部品)10が製造できる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上述した実施形態では、電子部品の一例としてサーミスタを示したが、これ以外にも、外部環境の影響により特性が変化する各種電子部品の保護膜を製造する方法として適用することができる。
本発明の有効性を確認するために行った確認実験について説明する。
本発明例として、ゼオライトで脱水した1-ブタノールを14.954ml、濃度85wt%のジルコニウムテトラブトキシドの1-ブタノール溶液を0.065ml、ゼオライトで脱水したアセトニトリル14.954mlをスクリュー管に入れて混合し、この混合液にチップ状のサーミスタ素体を投入した。そして、メチルアミン水溶液(水0.025mlとメチルアミン0.002mlを混合)を加えて振とう攪拌し、水による超音波洗浄(100kHz、30分)を行った。このメチルアミン水溶液の添加から超音波洗浄までを3回繰り返した後、乾燥後大気中で600℃10分間の熱処理を行った。これにより、サーミスタ素体の表面にジルコニウム酸化物からなる保護膜を形成した。
比較例として、チップ状のサーミスタ素体の表面に、ジルコニウム酸化物ゾル(堺化学株式会社製:SZR-K)を塗布し、乾燥後大気中で800℃10分間の熱処理をして、ジルコニウム酸化物からなる保護膜を形成した。
こうした本発明例の製造方法(液相析出法)、および比較例の製造方法(ディップコート法)でそれぞれ得られた、保護膜が形成されたサーミスタ素体(サンプル)を電子顕微鏡によって観察した。
本発明例および比較例のサンプルの保護膜表面(5000倍、50000倍)および断面(50000倍)の電子顕微鏡観察写真を図5に示す。
図5に示す結果によれば、本発明例の保護膜は、表面が緻密で平滑であり、クラックやピンホールなどは見られなかった。一方、比較例の保護膜は、表面に多数のクラックやピンホールが形成され、多孔質な保護膜しか得られないことが確認された。
10…サーミスタ
11…サーミスタ素体
13…電極部
20…保護膜

Claims (7)

  1. 電子部品の基体と、前記基体の表面に形成された保護膜と、を備えた電子部品の製造方法であって、
    ジルコニウムアルコキシドと有機溶媒とアルカリと水とを含む反応液に、前記基体を浸漬し、前記ジルコニウムアルコキシドの加水分解及び重縮合反応によって、前記基体の表面にジルコニウム酸化物を析出させることにより、前記保護膜を成膜する保護膜形成工程と、
    前記保護膜形成工程の前工程として、前記有機溶媒に含まれる水分を脱水する脱水工程と、を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記ジルコニウムアルコキシドは、炭素数が3以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記ジルコニウムアルコキシドは、ジルコニウムテトラブトキシドであることを特徴とする請求項2に記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記アルカリはアミンであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記アミンはメチルアミンであることを特徴とする請求項に記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記電子部品はサーミスタであり、また前記基体はサーミスタ素体であり、前記サーミスタ素体には、一対の電極部が形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
  7. 前記保護膜形成工程の前工程または後工程に、前記サーミスタ素体の両端部に金属ペーストを塗布して焼成することにより、前記電極部を形成する電極部形成工程を有することを特徴とする請求項に記載の電子部品の製造方法。
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