JP2017054997A - コア及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層された電磁鋼板を接合するに際して、加工により生じた材料の磁気特性劣化を、歪取焼鈍を行いながら、同時に材料表面に数μmの薄い絶縁層を生成して接合してなるコア及び製造方法を提供する。【解決手段】コアは、複数の電磁鋼板10が厚み方向に積層して構成され、各電磁鋼板がセラミックス20により接合されている。また、製造方法は、電磁鋼板を所定の大きさに切断する工程と、電磁鋼板の表面にセラミックス前駆体を塗布する工程と、セラミックス前駆体を介して複数の電磁鋼板を厚み方向に積層する工程と、前記積層電磁鋼板を加熱して、セラミックス前駆体を焼成し、各電磁鋼板をセラミックスにより接合する工程と、を含む。【選択図】図12

Description

本発明は積層された複数の電磁鋼板がセラミックスを介して接合されたコア及び、その製造方法に関する。
周知の通り産業界において電力、エネルギーの節減が求められており、例えば電気機器、特に無方向性電磁鋼板がその鉄心材料として使用される回転機(モータ、発電機など)および、変圧器などの分野もその例外ではない。回転機は産業用から家庭用まで広範な分野で使用されており、今後更に幅広く展開されるため、今まで以上の高効率化が望まれている。
回転機の効率を上げることは回転機での損失を低減させることである。回転機での損失のひとつである鉄損は、回転機鉄心(コア)を励磁するとき生じるものであるが、回転機の製造過程にその鉄心材料である電磁鋼板をカシメ・溶接・焼きバメなどにより接合する際の残留応力(熱応力、圧縮応力等)が大きいと増加することになる。
電磁鋼板の接合は、一般にカシメ・溶接によって行われている。例えば、カシメにより電磁鋼板を積層する場合に巻線時に巻線の圧力でティース部の積層間隙間が縮まることなく、巻線にたるみが生じる恐れの少ない固定子鉄心を提供するもの(特許文献1)、製造コストを下げて製造効率を高めることができ、かつ、コアの磁束密度を高めて電動機のトルクを向上することができるコアの製造方法において、積層電磁鋼板を接着剤(アクリル樹脂系樹脂接着剤等)、溶接あるいはカシメ等により接合するもの(特許文献2)などがある。これらはそれぞれの課題を解決するものではあるが、電磁鋼板の接合時に生じる鉄損に関して検討されたものではない。
電磁鋼板の材料面から鉄損を低減する試みとして、電磁鋼板の結晶粒組織を適正にコントロールすることによって、鉄損特性の向上を図るもの(特許文献3)、鉄損低下のためにREM(原子番号57のランタンから71のルテシウムの15元素に原子番号21のスカンジウムと39のイットリウムを加えた合計17元素の総称)を添加し、集合組織改善元素としてSnを同時に添加して高磁束密度かつ低鉄損の磁気特性を有する無方向性電磁鋼板に関するもの(特許文献4)、Al,Si,Mn,Pの添加成分を最適化することにより、硬度が高く、高周波数域で優れた磁気特性を有し、鉄損の低い無方向性電磁鋼板に関するもの(特許文献5)などがある。これらの材料は、それぞれ優れた鉄損低減を実現する電磁鋼板であるが、コアの製造工程に係わるものではない為、積層した後に加えられる応力等の影響については検討する余地があった。
一方、積層電磁鋼板の製造工程を考慮した技術として、特定量のC,Si,Mn,AlおよびREMを含み、残部が鉄および不可避的不純分からなる鋼であって、歪取焼鈍後の良好な鉄損低減を得ることができる低Si無方向性電磁鋼板に関するもの(特許文献6)、複数に分割された電磁鋼板を、組み立て接合してステータコアに作り上げるときに、該電磁鋼板に電磁力を働かせて接合するもの(特許文献7)、斜角加工が施された方向性電磁鋼板を変圧器鉄心の材料として積層させる際、鋼板の寸歩公差及び鋼板の反り量を制御することで、低鉄損かつ優れた励磁特性を有する変圧器鉄心を製造するもの(特許文献8)などが提案されている。
これらの技術により製造工程を通して生じる鉄損が低減されているが、電磁鋼板の素材を制御すること(前者)はコスト面で課題があり、前記提案の後者については無方向性電磁鋼板にも適用できるものではないため、より簡易な方法が求められているのである。
特開2011−120392号公報 特開2005−278322号公報 特開2000−119823号公報 特開2006−131946号公報 特表2011−522963号公報 特開平8−3699号公報 特開2005−333697号公報 特開2014−86597号公報
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、積層された電磁鋼板を接合するに際して、加工により生じた材料の磁気特性劣化を、歪取焼鈍を行いながら、同時に材料表面に数μmの薄い絶縁層を生成して接合する方法を提案することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係るコアは、複数の電磁鋼板が厚み方向に積層して構成され、各電磁鋼板がセラミックスにより接合されていることを特徴とする
鉄損とは、コアを持つインダクタや変圧器などのコイルにおいて、そのコアの物性の為に発生する損失で、発電機や発動機、変圧器などの効率を低下させる。従来のコアは、前記の通り電磁鋼板がカシメ・溶接によって接合されており、残留応力が大きいと鉄損も大きくなる。これらの残留応力による効率の低下は歪取焼鈍によりある程度回復することができるが、カシメ・溶接により生じた電磁鋼板間の絶縁性の劣化は回復することはできない。
本発明では、セラミックスを介して電磁鋼板が接合されているので、余分な応力がかかることなく、かつ優れた絶縁性を担保することができる。
本発明のコアは、下記の工程を含む製造方法により製造することができる。(i)電磁鋼板を所定の大きさに切断する工程、(ii)電磁鋼板の表面にセラミックス前駆体を塗布する工程、(iii)セラミックス前駆体を介して複数の電磁鋼板を厚み方向に積層する工程、(iv)前記積層電磁鋼板を加熱して、セラミックス前駆体を焼成し、各電磁鋼板をセラミックスにより接合する工程、である。元々所定の大きさに切断済みの電磁鋼板を購入する場合には前記(i)工程が不要であることは言うまでもない。
前記セラミックス前駆体を塗布する前に、電磁鋼板の表面に予め形成されている絶縁被膜を、酸性溶液またはアルカリ性溶液により洗浄して、除去しておくことが好ましい。後工程でのセラミックスによる接合強度が向上するからである。
また、セラミックス前駆体を塗布した後、電磁鋼板を積層した状態で適当な治具により保持・固定することが好ましい。セラミックス前駆体を焼成する前に電磁鋼板の配置が変わらないようにするためである。さらに、セラミックス前駆体を加熱・焼成する前段階として、溶媒を除去するために室温〜200℃で予備的に加熱乾燥する工程を行うことが好ましい。
本発明のセラミックス前駆体は特に限定されるものではないが、チタンテトライソプロポキシド[Ti(iOC3H74]およびジルコニウムテトラブトキシド[Zr(OC4H94]から選択される金属アルコキシドが好ましい。
本発明のコアは、電磁鋼板の接合にセラミックスを利用しているので、残留応力を効果的に抑制することができる。また電磁鋼板に対してセラミックス前駆体を塗布により簡単な方法で付与することができるので、特別な処理、装置等が不要であり、これまでよりも余計なコストをかける必要がない。さらに、セラミックス層の厚みを薄く設定することでコア特性への影響を抑えることができる。
本発明の製造方法によれば、電磁鋼板のサイズ調製の際に生じた切断などの応力を取り除くための歪取焼鈍と同時に、セラミックスの焼結を行うことができるので、非常に効率的に製造することができる。
図1は、TiOで接合した電磁鋼板の積層体に周波数50Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図2は、TiOで接合した電磁鋼板の積層体に周波数100Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図3は、TiOで接合した電磁鋼板の積層体に周波数200Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図4は、ZrOで接合した電磁鋼板の積層体に周波数50Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図5は、ZrOで接合した電磁鋼板の積層体に周波数100Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図6は、ZrOで接合した電磁鋼板の積層体に周波数200Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図7は、Alで接合した電磁鋼板の積層体に周波数50Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図8は、Alで接合した電磁鋼板の積層体に周波数100Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図9は、Alで接合した電磁鋼板の積層体に周波数200Hzの磁界を加えたときのヒステリシス曲線を示す図である。 図10は、積層電磁鋼板の固定用治具の一例を示す図である。 図11は、本発明の接合方法による接合強度を測定する引張試験の概略を示す図である。 図12は、TiOで接合したときの電磁鋼板の端面写真である。
本発明のコアは、所定の大きさに調製された複数の電磁鋼板が厚み方向に積層して構成され、各電磁鋼板がセラミックスを介して接合されている。電磁鋼板の接合に物理的作用を抑制しつつ、適度な接合強度を化学的に実現することができる。
本発明に用いられる電磁鋼板としては、日本工業規格に規定されている無方向性電磁鋼板帯(JIS C 2552:2014)、方向性電磁鋼板帯(JIS C 2553:2012)のいずれであっても良く、回転機に使用される無方向性電磁鋼板が特に好ましい。
また本発明のセラミックスとしては、金属アルコキシド系の溶液(セラミックス前駆体ともいう)を塗布・乾燥・焼成して得られるものである。金属アルコキシドはジルコニウムアルコキシド又はチタンアルコキシドのいずれか又は両方を用いることが好ましい。
ジルコニウムアルコキシドとしては、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられ、チタンアルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、メトキシエトキシド等が挙げられる。これらのアルコキシド一種以上をアルコール類(例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールなど)に溶解させて使用することができる。例えばチタンテトライソプロポキシド[Ti(iOC3H74]やジルコニウムテトラブトキシド[Zr(OC4H94]などをブタノール中に溶解した試薬が、和光純薬工業(株)や東京化成工業(株)、SIGMA-ALDRICH社などから市販されており、これらを使用しても良い。
前記セラミックス前駆体から焼結されて生じるセラミックスが、電磁鋼板の接着剤として作用する。このセラミックスの厚みは5μm以下に形成させることが好ましい。厚みが厚すぎると、セラミックスの焼結時にワレ、亀裂などが生じ易くなり、薄すぎると電磁鋼板間の絶縁性を確保し難くなるからである。
電磁鋼板表面に対するセラミックスの接合部分の面積としては、鋼板の表面積の80〜100%の程度である。セラミックスの面積比が低いと接合強度が低下することになるので、適度な面積で接合させることが必要である。
本発明のコアを製造する方法としては、以下の工程を含む。
(i)電磁鋼板を所定の大きさに切断する工程、
(ii)電磁鋼板の表面にセラミックス前駆体を塗布する工程、
(iii)セラミックス前駆体を介して複数の電磁鋼板を厚み方向に積層する工程、
(iv)前記積層電磁鋼板を加熱して、セラミックス前駆体を焼成し、各電磁鋼板をセラミックスにより接合する工程、である。
工程(i)では、初めに電磁鋼板を所定の大きさに切断して、目的物に応じてサイズを揃える。最初から目的物に応じたサイズの電磁鋼板を入手できれば、本工程は不要であるが、各種の用途に利用できるように大きなサイズで市販されているので、これを加工して所定の大きさに整える。このときの加工によって電磁鋼板に応力が残存し、これを除くために最終的には歪取焼鈍を行う。本発明ではこの焼き鈍し時の加熱を、セラミックス前駆体の焼結にも利用している(工程(iv))。
電磁鋼板の切断に際しては、ワイヤーカット放電加工、レーザー加工、タレットパンチプレス加工、シャーリング加工、コンターマシンによる加工など一般的な板材の切断加工法が適用される。
工程(ii)では、電磁鋼板の表面に前記セラミックス前駆体を塗布する。塗布方法としては、セラミックス前駆体溶液を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。
前記セラミックス前駆体溶液は、金属アルコキシドをアルコール類に溶解したものである。金属アルコキシドやアルコール類は前記例示の通りであり、好ましい組合せとしては、チタンテトライソプロポキシドやジルコニウムテトラブトキシドなどをブタノールに溶解した溶液である。
セラミックス前駆体溶液中の金属アルコキシドの濃度によって、焼結後のセラミックスの厚みを適宜調製することができる。本発明では、溶媒(ブタノールなど)の種類によっても異なるが、0.5〜4モル/Lが適当である。
また、塗布操作がし易いように、この溶液の粘度を調製することもできる。粘度調製のために添加する物質として、金属アルコキシドとは反応しないことが必要であり、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエーテルイミド、ポリアミド、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル等の有機系添加剤と、ジルコニウム化合物、及びコロイダルシリカ等の無機系添加剤が挙げられる。これらの添加剤の濃度は、用いる化合物の種類によって異なり一概には決められないが、数重量%〜20重量%の範囲内が適当である。
前記工程(ii)では、電磁鋼板に直接セラミックス前駆体溶液を塗布しているが、この工程の前に、電磁鋼板を塩酸等の酸により洗浄するか、又は水酸化ナトリウム溶液等のアルカリによって洗浄し、鋼板の表面を洗浄し予め形成されている絶縁被膜を除去することが好ましい(工程(a))。絶縁被膜を除くことにより、セラミックスによる接合強度が向上するからである。
工程(a)では、例えば水酸化ナトリウムの濃度が10モル/Lの水溶液に、70℃で加温しながら、数分〜2時間程度浸漬するだけで特別な処理が必要なわけではない。この工程により電磁鋼板の表面に付着した有機物等の汚れも同時に洗い流すことができる。このようなアルカリ洗浄を行った後に、蒸留水などにより水洗し乾燥して工程(ii)のセラミックス前駆体溶液の塗布を行う。
前記工程(iii)では、セラミックス前駆体溶液を塗布したのちの電磁鋼板を厚み方向に積層する。この段階ではセラミックス前駆体を介して表面張力で電磁鋼板が保持されているにすぎないので、積層状態を維持するための治具を用いることが好ましい。このとき、各鋼板がズレたり離間しない程度に保持すれば良く、治具による抑圧力が強すぎて残留応力を生じないように注意する。また、前記添加剤がセラミックス前駆体溶液に配合されることによる粘性も、積層状体の維持に効果的な役割を果たす。
前記セラミックス前駆体を焼結する前に、室温〜200℃で予備的に加熱乾燥することが好ましい(工程(b))。溶媒(例えばブタノール等)が多量に存在する状態で急に高温に加熱すると、電磁鋼板の間から溶媒が揮発する際に、セラミックスに気泡や亀裂が生じて接合強度に問題が生じうるからである。そのため予備乾燥により、セラミックスの構成分子に関与しない成分を、温和な条件で出来る限り除くことが好ましい。なお、予備的な乾燥の効果向上のために、電磁鋼板に塗布した後ある程度乾燥してから各鋼板を積層することができる。
工程(iv)では、積層された電磁鋼板を加熱して、セラミックス前駆体を焼成し、各電磁鋼板をセラミックスにより接合することとなる。焼成時の加熱温度は600〜1000℃で、加熱時間は数分〜3時間の間で任意に設定される。また、焼成時には不活性ガス(例えば窒素)雰囲気下、好ましくは水素等を含む還元条件下で行うことが望ましい。
このような簡単な製造方法によりコアを作成することができるので、これまでのコアに比較してコストをかけることなく容易に製造可能である。また、焼成と同時に歪み取りもできるので切断等により生じた金属鋼板の残存応力を解消し特性を改善することができる。さらに、セラミックスが確実に金属鋼板の間に存在することで絶縁性を担保しつつ、従来技術のカシメ操作等を行わないので、応力の増加を抑制することができるのである。
以下に、本発明の製造方法を適用した例についてさらに詳しく説明する。
(TiO接合の場合)
無方向性電磁鋼板(35A270)をワイヤーカット加工により、140×20mmに切断し、4枚の鋼板を準備した。この鋼板表面の絶縁被膜を除去するために、10モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液に70℃で2時間浸漬した。
浸漬後の各電磁鋼板を蒸留水で水洗して乾燥し、2.3モル/L濃度のチタンテトライソプロポキシドのブタノール溶液に、5重量%となるようにポリビニルピロリドンを溶解して予め作成したセラミックス前駆体溶液を塗布した。塗布方法は、電磁鋼板を溶液に浸漬して引き上げること(ディップコート法)により行った。
セラミックス前駆体溶液塗布後の電磁鋼板4枚を重ね合わせて、図10に示す治具を用いて積層状態を保持した。この治具1は、中間板2に積層状態の電磁鋼板を入れるための貫通スペース5を有し、これを上下の板3、4で挟み、周囲に形成された貫通孔6にセラミックス製のネジを通して、固定するものである。このときの固定する力を強くし過ぎると、焼結時等の温度による鋼板の熱膨張で余計な応力が掛かってしまうために注意が必要である。また、この治具1の素材はSUS304を用いているが、下記の処理温度における耐熱性を有するものであれば、どのような素材を用いても良い。こうして保持された積層電磁鋼板を乾燥機に入れて、窒素(1.0L/min)と水素(0.2L/min)の気流下で110℃、30分間加熱した。
引き続き、同気流下で温度を750℃に上げて2時間加熱してセラミックスに焼成し、電磁鋼板を接合した。
(ZrO接合の場合)
前記TiO接合の例において、2.3モル/L濃度のチタンテトライソプロポキシドのブタノール溶液の代わりに、2.3モル/L濃度のジルコニウムテトラブトキシドのブタノール溶液を用いた他は、前記操作方法(温度、時間、濃度等の条件は同じとした)で、電磁鋼板を接合した。
(Al接合の場合)
前記TiO接合と比較して、以下の2点において変更した他は同様の条件で処理した。2.3モル/L濃度のチタンテトライソプロポキシドのブタノール溶液の代わりに、10重量%濃度のコロイダルアルミナ(Al・xHO)溶液(水86.5重量%、酢酸3.5重量%)を用いて塗布した点。また、110℃の代わりに、95〜100℃で加熱した点である。
こうして得られた3種の接合鋼板について、各鋼板の磁束密度と磁界の強さとの関係(ヒステリシス曲線)を、TiOに関して図1〜図3、ZrOに関して図4〜図6、Alに関して図7〜9に示した。これらの図から理解できるように、本発明のセラミックスによる接合では、電磁鋼板を単に積層したものとほぼ同じ特性を示しているのに対して、カシメにより接合した場合には、ヒステリシス曲線で囲まれた面積が大きいことがわかる。すなわちカシメにより接合した磁性体を、コイルやトランスのコアとして使ったときにはエネルギーの損失(ヒステリシス損)が大きくなり、本発明のコアの優位性が示されている。
図1〜9に示す結果をもとに、各電磁鋼板の積層体(擬似コア)の鉄損を電流の各周波数(50Hz、100Hz、200Hz)において測定したところ下記の表1〜3に示す通りの結果であった。
表1〜表3の結果を基に電流の周波数ごとに鉄損増加率(%)を計算した結果を表4に示す。
表4の結果から明らかなように、本発明の接合によれば鉄損増加を抑える効果があることが判る。特にTiO接合によれば、電磁鋼板を単に積層した場合と同等の物性を示しており、カシメにより接合した場合に比較してはるかに鉄損を抑えることができることが判った。また、高出力のモーターになれば高い周波数の電流を流すことになるが、そのような場合であっても、本発明により鉄損の増加を防止して高効率なモーターが得られることが判る。
(引張試験による接合効果評価)
図11には、引張試験によって接合強度を測定する際のサンプル11の形状および試験装置の概観を示す。140×20mmの2枚の鋼板10を、重なる部分13が20×20mmになるようにして本発明の接合方法によって接合させ、両鋼板の両端部14を治具12で挟んで図面上において上下方向に引っ張り、破断時の強度を求めた。
その結果、TiO接合の場合には、0.29N/mm、ZrO接合の場合には、0.28N/mmの強度で接合していることが判った。
さらに図12には、前記(TiO)で接合したときの電磁鋼板の端面写真を示している。この図に示すように電磁鋼板10が接合部(セラミックス)20を介して、しっかりと接合されていることが判る。
以上説明したように、本発明のコアは簡単な手順で容易に電磁鋼板を接合して製造することができ、また特性の優れたコアを得ることができる。従来のコアは回転機製造時に生じる加工応力によって材料の磁気特性が劣化する。本発明で提案するように、セラミックス前躯体を用いて接合することで材料の磁気特性を劣化させず、高効率な回転機の製造が可能になる。
1、12・・・治具
2・・・中間板
5・・・貫通スペース
6・・・貫通孔
10・・・鋼板

Claims (5)

  1. 複数の電磁鋼板が厚み方向に積層して構成され、各電磁鋼板がセラミックスにより接合されていることを特徴とするコア。
  2. (i)電磁鋼板を所定の大きさに切断する工程、
    (ii)電磁鋼板の表面にセラミックス前駆体を塗布する工程、
    (iii)セラミックス前駆体を介して複数の電磁鋼板を厚み方向に積層する工程、
    (iv)前記積層電磁鋼板を加熱して、セラミックス前駆体を焼成し、各電磁鋼板をセラミックスにより接合する工程、
    を含む請求項1に記載のコアの製造方法。
  3. (a)前記工程(ii)の前に、電磁鋼板を酸洗浄又はアルカリ洗浄して表面の絶縁被膜を除去する工程、
    を行う請求項2に記載の製造方法。
  4. (b)前記工程(iii)の後に、室温〜200℃で予備的に加熱乾燥する工程、
    を行う請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 前記セラミックス前駆体が、チタンテトライソプロポキシド[Ti(iOC3H74]およびジルコニウムテトラブトキシド[Zr(OC4H94]から選択される、請求項2乃至4のいずれかに記載の製造方法。
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