JP7014279B1 - 誘導電動機の制御装置及び電流制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】q軸電流に重畳される振動成分やq軸電流指令値との偏差を低減し、誘導電動機の出力トルクを安定させる。【解決手段】少なくともd軸電流がその指令値に一致するように比例制御を行ってインバータ104の電圧指令値を生成する電流制御手段101と、現在時刻のd軸二次磁束を求める磁束演算手段109と、現在時刻から所定時間後の将来時刻のd軸二次磁束を求める磁束演算手段110と、磁束演算手段109,110による演算結果の差分と、将来時刻と現在時刻との時間差と、の比からd軸二次磁束の時間微分値を求め、これと現在時刻のd軸電流とから将来時刻のd軸電流を予測するd軸電流予測手段111と、d軸電流予測値が入力されるローパスフィルタ112を備え、電流制御手段101は、弱め界磁運転領域において、通常のd軸電流指令値の代わりにローパスフィルタ112の出力をd軸の比例制御用の電流指令値として用いる。【選択図】図1

Description

本発明は誘導電動機の制御装置及び電流制御方法に関し、詳しくは、誘導電動機をベクトル制御する場合に、電圧指令値が制限される運転領域において高い加速度にて加速する際の電流制御技術に関するものである。
インバータを用いて誘導電動機をベクトル制御する際に、定格速度を超えて運転する場合がある。そのような場合には、磁束による誘起電圧が増大するため、電圧指令値を、インバータの直流中間電圧によって決まる出力可能な電圧以下に制限する必要がある。
ここで、非特許文献1、特許文献1及び特許文献2には、電圧飽和領域においてもベクトル制御が可能であり、しかもスムースなトルク出力が可能な電流制御手段が示されている。
図8は、非特許文献1に記載された電流制御手段の構成図であり、例えば、PWM(パルス幅変調)制御インバータによる誘導電動機のたすき掛け電流制御に適用されるものである。
誘導電動機の二次鎖交磁束方向に沿った制御軸をd軸、これに直交する方向の制御軸をq軸とすると、図8におけるiはd軸電流、i はd軸電流指令値、iはq軸電流、i はq軸電流指令値、v はd軸電圧指令値、v はq軸電圧指令値を示している。
また、51はq軸積分手段、52はd軸積分手段、53はq軸リミッタ、54はd軸リミッタ、55は第1のスイッチ、61~66は加減算手段、Kpqはq軸比例ゲイン、Kiqはq軸積分ゲイン、ωid2,ωiq2はたすき掛けゲイン(ωは一次角周波数)、Kpdはd軸比例ゲイン、Kidはd軸積分ゲインである。
図8において、電圧が飽和していない領域では、スイッチ55はONになっている。このため、d軸電流指令値i とd軸電流iとの偏差を積分するd軸積分手段52が有効になり、d軸電流iはd軸電流指令値i に追従することが可能となる。
一方、回転速度が増大して一次角周波数ωが上昇すると、q軸電圧vが飽和状態に達し、q軸積分手段51の出力はq軸リミッタ53によって制限される。また、スイッチ55がOFFになってd軸積分手段52の動作が停止する。
この領域では、d軸電流iを制御することはできなくなるが、誘導電動機内部の誘起電圧とインバータの出力電圧との差によってd軸電流iが自然に減少するため、結果的に弱め界磁運転が実現される。同時に、d軸電圧指令値v に含まれる積分手段の作用によってq軸電流iはq軸電流指令値i に追従することが可能であり、トルク制御が可能となる。
特許第4059651号公報 特許第5633551号公報
牧島信吾・上園恵一・永井正夫,「電圧飽和状態における電動機制御応答特性の検証及び考察」,電気学会論文誌D,Vol.130,No.5,pp.663-670,2010年
さて、誘導電動機の用途によっては、急加減速が必要な場合がある。加速度が大きい場合には、弱め界磁運転領域に入って電圧が制限された時に、加速度が小さい場合に比べてd軸電流は急激に減少するので、d軸電流指令値との間に大きな偏差が生じる。このようなd軸電流の変動が外乱として働くことにより、q軸電流に振動成分が重畳して出力トルクが変動するという問題があると共に、q軸電流指令値とq軸電流との間の偏差が大きくなって所望の出力トルクを得ることができないという問題があった。
そこで、本発明の解決課題は、q軸電流に重畳する振動成分やq軸電流指令値とq軸電流との間の偏差を低減し、誘導電動機から安定したトルクを出力させることができる誘導電動機の制御装置及び電流制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る制御装置は、
電力変換器から誘導電動機に供給する電流及び電圧を前記誘導電動機の二次鎖交磁束方向のd軸成分とこれに直交するq軸成分とに分離して制御する制御装置であって、少なくともd軸電流に対し、比例制御を行って前記電力変換器に対する電圧指令値を生成する電流制御手段を備えた制御装置において、
前記誘導電動機の回転速度に基づいて一次角周波数を求める一次角周波数演算手段と、
前記一次角周波数の加速度を求める加速度演算手段と、
前記誘導電動機のq軸誘起電圧と現在時刻の一次角周波数とから前記現在時刻のd軸二次磁束を求める第1の磁束演算手段と、
前記加速度を用いて、前記現在時刻から電流制御の演算周期よりも長い時間をおいた将来時刻の一次角周波数を求めると共に、前記将来時刻の一次角周波数と前記q軸誘起電圧とから前記将来時刻のd軸二次磁束を求める第2の磁束演算手段と、
前記将来時刻のd軸二次磁束と前記現在時刻のd軸二次磁束との差分と、前記将来時刻と前記現在時刻との時間差と、に基づいてd軸二次磁束の時間微分値を求め、前記現在時刻のd軸電流相当値及び前記時間微分値に基づいて前記将来時刻のd軸電流を予測するd軸電流予測手段と、
前記d軸電流予測手段の出力側に設けられたローパスフィルタと、
を備え、
前記電流制御手段は、前記誘導電動機の電圧が制限される弱め界磁運転領域では、通常のd軸電流指令値の代わりに、前記将来時刻のd軸電流予測値が入力された前記ローパスフィルタの出力を、d軸の比例制御演算を行うための電流指令値として用いることを特徴とする。
請求項2に係る制御装置は、請求項1に記載した誘導電動機の制御装置において、前記現在時刻と前記将来時刻との間の時間差を、前記誘導電動機の二次抵抗を二次インダクタンスにより除算した値と、前記二次抵抗を前記誘導電動機の漏れインダクタンスにより除算した値と、の加算値の逆数により表される時間以上としたことを特徴とする。
請求項3に係る制御装置は、請求項1または2に記載した誘導電動機の制御装置において、前記d軸電流予測手段は、前記現在時刻のd軸電流相当値として、前記現在時刻のd軸二次磁束を前記誘導電動機の励磁インダクタンスにより除算した値を用い、当該d軸電流相当値と、前記d軸二次磁束の時間微分値に二次時定数を乗算して前記励磁インダクタンスにより除算した値と、を加算して前記将来時刻のd軸電流を予測することを特徴とする。
請求項4に係る制御装置は、請求項1~3の何れか1項に記載した誘導電動機の制御装置において、前記一次角周波数演算手段は、過去時刻と前記現在時刻とそれぞれの一次角周波数とから求めた加速度と、前記将来時刻と前記現在時刻との時間差と、前記現在時刻の一次角周波数と、を用いて、前記将来時刻における一次角周波数を予測することを特徴とする。
請求項5に係る電流制御方法は、
電力変換器から誘導電動機に供給する電流及び電圧を前記誘導電動機の二次鎖交磁束方向のd軸成分とこれに直交するq軸成分とに分離し、少なくともd軸電流に対し、比例制御を行って前記電力変換器に対する電圧指令値を生成する電流制御方法において、
前記誘導電動機の回転速度にすべり周波数を加算して一次角周波数を求め、
前記誘導電動機のq軸誘起電圧と現在時刻の前記一次角周波数とから前記現在時刻のd軸二次磁束を求め、
前記一次角周波数の加速度を用いて、前記現在時刻から電流制御の演算周期よりも長い時間をおいた将来時刻の一次角周波数を求めると共に、前記将来時刻の一次角周波数と前記q軸誘起電圧とから前記将来時刻のd軸二次磁束を求め、
前記将来時刻のd軸二次磁束と前記現在時刻のd軸二次磁束との差分と、前記将来時刻と前記現在時刻との時間差と、に基づいてd軸二次磁束の時間微分値を求め、前記現在時刻のd軸電流相当値及び前記時間微分値に基づいて前記将来時刻のd軸電流を予測し、
前記誘導電動機の電圧が制限される弱め界磁運転領域において、通常のd軸電流指令値の代わりに前記将来時刻のd軸電流予測値に対してローパスフィルタ演算を行った結果を、d軸の比例制御演算を行うための電流指令値として用いることを特徴とする。
本発明によれば、誘導電動機を高い加速度で加速しながら電圧飽和領域で運転する場合に、d軸電流の急激な減少によるq軸電流の変動を低減することができる。これにより、誘導電動機の出力トルクの変動を抑制すると共に、指令値通りのトルクを出力させることが可能になる。
本発明の実施形態に係る制御装置の全体構成図である。 図1における電流制御手段の構成図である。 実施形態のシミュレーションにおけるd軸電流指令値i と一次角周波数ωとの関係を示す図である。 実施形態のシミュレーションにおける変調率、一次角周波数ω、回転速度ωre、d軸電圧指令値v 、q軸電圧指令値v を示す図である。 従来技術及び実施形態のシミュレーションにおけるd軸電流指令値i 、d軸電流i、q軸電流指令値i 、q軸電流iの波形を示す図である。 図2の電流制御手段におけるd軸電流比例制御指令値idP 及びd軸電流iを示す図である。 従来技術及び実施形態のシミュレーションにおけるd軸電圧の比例制御出力を示す図である。 非特許文献1に記載された電流制御手段の構成図である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る制御装置の全体構成図である。
同図において、誘導電動機106をベクトル制御する本実施形態の制御装置は、電流制御手段101と、二相/三相座標変換手段102と、三相/二相座標変換手段103と、インバータ104と、電流検出手段105と、一次角周波数・角度演算手段107と、加速度演算手段108と、第1の磁束演算手段109と、第2の磁束演算手段110と、d軸電流予測手段111と、ローパスフィルタ112と、を備えている。
電流制御手段101は、d軸電流指令値i 、ローパスフィルタ112から入力されるd軸電流比例制御指令値idP 、d軸電流i、q軸電流指令値i 、q軸電流i、一次角周波数ωを入力とし、d軸,q軸電流i,iをそれぞれの指令値i ,i に一致させるようにPI(比例・積分)調節演算を行ってd軸電圧指令値v 、q軸電圧指令値v を生成する。この電流制御手段101の詳細な構成及び動作については、後述する。
二相/三相座標変換手段102は、インバータ104の一次角周波数ωに同期した回転座標系のd軸電圧指令値v 、q軸電圧指令値v を、後述する角度θを用いて固定座標系の三相の電圧指令値に変換する。
三相/二相座標変換手段103は、電流検出器105から得られた三相の固定座標系の電流を、角度θを用いて一次角周波数ωに同期した回転座標系のd軸電流i、q軸電流iに変換する。
インバータ104は、二相/三相座標変換手段102から出力された三相の電圧指令値に従ってPWM制御を行い、直流電圧を可変振幅可変周波数の三相交流電圧に変換して誘導電動機106に印加する。
一次角周波数・角度演算手段107は、ベクトル制御を実現するための一次角周波数ω及び角度θを演算するものである。一次角周波数をω、回転速度をωre、第1の磁束演算手段109から出力される推定d軸二次磁束をΦ^dr1、q軸電流指令値をi 、誘導電動機106の二次抵抗をR、励磁インダクタンスをM、二次インダクタンスをLとおいたとき、演算される一次角周波数ωは数式1となる。
Figure 0007014279000002
なお、図1では誘導電動機106の回転速度ωreを検出しているが、速度を検出する代わりに速度を推定する手段を用いてもよい。
更に、一次角周波数・角度演算手段107では、数式1により求めた一次角周波数ωを積分して角度θを算出し、この角度θを二相/三相座標変換手段102及び三相/二相座標変換手段103に供給する。
加速度演算手段108は、過去の時刻t及び現在の時刻tにおいて一次角周波数ωをサンプリングし、保存する。時刻tにおける一次角周波数をω(t)、時刻tにおける一次角周波数をω(t)とすると、数式2により、一次角周波数ωの差分を時間差により除算して加速度αを演算する。
Figure 0007014279000003
第1の磁束演算手段109は、q軸電圧指令値v を用いて、現在の時刻tにおける推定d軸二次磁束Φ^dr1を演算する。この実施形態において、q軸電圧指令値v は出力可能な最大値に到達し、加速している場合を説明している。時刻t以降では、誘導電動機106は加速していくが、q軸電圧指令値v は最大値で制限されるため増加しない。
誘導電動機106の一次抵抗をR、漏れ係数をσ、一次インダクタンスをL、励磁インダクタンスをM、二次インダクタンスをLとすると、現在の時刻tにおける推定d軸二次磁束Φ^dr1は、数式3により演算される。
Figure 0007014279000004
次に、第2の磁束演算手段110は、第1の磁束演算手段109と同様に、q軸電圧指令値v を用いて推定d軸二次磁束Φ^dr2を演算するが、将来の時刻tの値を予測するため、時刻tにおける一次角周波数予測値ω^(t)を用いている点が第1の磁束演算手段109と異なっている。この場合の将来の時刻tは、現在の時刻tから少なくとも数式4で表される時間よりも先の時刻とする。
Figure 0007014279000005
将来の時刻tにおける一次角周波数予測値ω^(t)は、加速度αを用いて、αに時間差(t-t)を乗算した値を、現在の一次角周波数ω(t)に加算した次の数式5によって得られる。
Figure 0007014279000006
q軸電流指令値をi とすると、将来の時刻tにおける推定d軸二次磁束Φ^dr2は、数式6のように演算される。
Figure 0007014279000007
d軸電流予測手段111は、推定d軸二次磁束Φ^dr1,Φ^dr2から得られるd軸二次磁束の時間微分値を用いて、将来の時刻tにおけるd軸電流を予測する。
初めに、数式7によりd軸二次磁束Φdrの時間微分値を計算する。
Figure 0007014279000008
次に、数式8を用いて、将来の時刻tにおけるd軸電流予測値i (t)を計算する。ここで、数式8の右辺第一項は、現在の時刻tのd軸電流iとほぼ同じような値(d軸電流相当値)をとるため、将来の時刻tにおけるd軸電流予測値i (t)は、現在の時刻tのd軸電流iと、d軸二次磁束Φdrの時間微分値に所定の誘導電動機二次時定数(L /R を乗算して前記励磁インダクタンスMにより除算した値と、の加算値にほぼ等しい
Figure 0007014279000009
ローパスフィルタ112は、d軸電流予測値i^(t)をカットオフ周波数Kωc[rad/s]にてローパスフィルタ演算し、数式9に示すd軸電流比例制御指令値idP を出力する。なお、数式9において、sはラプラス演算子を示す。
Figure 0007014279000010
次に、図2は、図1における電流制御手段101の構成を示すブロック図である。
従来技術として示した図8と図2との相違点を説明すると、図8では電流制御手段に通常のd軸電流指令値i が入力されているが、図2においては、通常のd軸電流指令値i の他に、前記ローパスフィルタ112の出力であるd軸電流比例制御指令値idP も入力されている。そして、d軸電流指令値i 及びd軸電流比例制御指令値idP の何れかが第2のスイッチ56により選択されて加減算手段64に入力されている。なお、図2では、加減算手段67により通常のd軸電流指令値i とd軸電流iとの偏差が算出されて、たすき掛けゲインωid2に入力されている。
図2において、誘導電動機106への印加電圧が飽和していない領域では、第2のスイッチ56によって通常のd軸電流指令値i が選択され、加減算手段64を介して後続するd軸の電流調節手段に入力される。
印加電圧が飽和状態に到達すると、第2のスイッチ56が切り替わって図1のローパスフィルタ112の出力であるd軸電流比例制御指令値idP が選択され、加減算手段64を介して後続するd軸の電流調節手段に入力される。この電圧飽和状態では、前述したように第1のスイッチ55がOFFしているため、加減算手段64の出力である、d軸電流比例制御指令値idP とd軸電流iとの偏差に、d軸比例ゲインKpdを乗算した値が比例制御演算の出力となり、加減算手段66によってd軸電圧指令値v に加算される。
次に、誘導電動機106が電圧飽和状態に到達した場合に、電流制御手段101の挙動が従来技術と異なる点について述べる。
図8の従来技術においては、加減算手段64の出力である、d軸電流指令値i とd軸電流iとの偏差にd軸比例ゲインKpdを乗算した値がd軸電圧指令値v に加算されている。
d軸電流iは、誘導電動機106の加速が緩やかである場合は徐々に減少するものの、高い加速度で加速した場合には急激に減少する。このため、d軸電流指令値i とd軸電流iとの偏差が急峻な傾きをもって増加することとなり、d軸電圧指令値v には急峻な変化分が加算される。
d軸電圧指令値v には傾きに比例した周波数成分が含まれるため、これが外乱として作用することにより、結果的にq軸電流iの振動やq軸電流指令値i との間の偏差に影響する。
一方、図2に示したように、電圧飽和状態でd軸電流比例制御指令値idP を電流制御手段101に入力した場合、このd軸電流比例制御指令値idP は将来の時刻tにおける二次磁束と現在の時刻tにおける二次磁束との差分を用いて計算されており、実際に流れると予測されるd軸電流に相当するため、加減算手段64を介してd軸の電流調節手段の比例制御に入力される電流偏差は、通常のd軸電流指令値i を用いた場合に比べると小さくなる。従って、d軸電圧指令値v の変化が抑制されることになり、q軸電流iに対する影響を低減することができる。
次に、シミュレーションを用いて、従来技術及び本実施形態における電流制御手段の作用を比較し、本発明の効果について検証する。
前述した非特許文献1の図5を参照すると、電圧飽和状態におけるd軸電流指令値は、ほぼ一定値で与えられている。
また、誘導電動機のベクトル制御に関する特許第4065903号公報の図3を参照すると、電圧が飽和に到達する一次角周波数ω以上では、一次角周波数ωに反比例するような軌跡を描く曲線により二次磁束指令値を与えている。
誘導電動機が電圧飽和状態になると、上記特許第4065903号公報の図3のように、実際の二次磁束は一次角周波数ωに反比例する形で減少する。そこで、シミュレーション上のd軸電流指令値i としては、「電圧が飽和状態に到達した時の一次角周波数/現在の一次角周波数」を定格励磁電流に乗算した値を用いた。
図3に、シミュレーションにおけるd軸電流指令値i と一次角周波数ωとの関係を示す。また、q軸電流指令値i には一定値(定格q軸電流100%)を与えた。
電流制御手段に含まれるゲインは、従来技術,本実施形態の何れについても下記に示す同一の値を用いた。すなわち、電流制御手段の応答周波数Kωを、Kω=400[rad/s]とおいて、
pd=Kpq=σLω
id=Kiq=Rω
id2=Kiq2=0.7σLω
と設定した。
図4に、シミュレーション時の変調率、一次角周波数ω、回転速度ωre、d軸電圧指令値v 、q軸電圧指令値v を示す。この場合の変調率は電圧変調率であり、電圧振幅を出力可能な最大電圧によって除算した値である(図4における縦軸の値が400である時の変調率を、100%として表示している)。
図4において、回転速度ωre及び一次角周波数ωが増加し、t=1.25[s]の時に変調率が95%に達しており、これ以降を電圧飽和状態とする。
図5(a)は、図8の電流制御手段を用いた場合のd軸電流指令値i 、d軸電流i、q軸電流指令値i 、q軸電流iのシミュレーション結果を示す。
電圧が飽和した時刻(t=1.25[s])以降、d軸電流指令値i は、一次角周波数ωに反比例する形で減少する一方で、d軸電流iは急激に減少している。この時、q軸電流iとq軸電流指令値i との偏差は17.5[A](定格q軸電流の10%)に達している。また、その後、q軸電流iは振動成分を伴いつつq軸電流指令値i に収束している。
図5(b)は、本実施形態の電流制御手段101を用いた場合の電流及び電流指令値の波形である。なお、この時のd軸電流比例制御指令値idP とd軸電流iとを重ね書きした波形を図6に示す。
図5(b)において、q軸電流指令値i とq軸電流iとの偏差は5.85[A](定格q軸電流の3.3%)であり、図5(a)に比べて、定格q軸電流の6.7%低減している。
図7に、d軸電圧の比例制御出力の比較結果を示す。
図7(a)は、図8の電流制御手段によるd軸電圧の比例制御出力である。この場合、t=1.25[s]後から急にd軸電圧が増加している。図7(b)は、本実施形態の電流制御手段101によるd軸電圧の比例制御出力である。図7(a)と比較すると、t=1.25[s]前後における電圧の変化は少ない。
図6に示したd軸電流比例制御指令値idP は、d軸電流iの減少に沿う形で変化している。しかし、一次角周波数ωの周期に近い振動的な成分は含まれていない。
図2に示したように、電圧飽和状態において、d軸の比例制御手段にはidP とiとの偏差が入力される。一次角周波数ωの周期に近い振動的な成分は、図7(b)においても含まれており、この成分に対する比例制御が働いている。
すなわち、電流制御手段101において、従来のd軸電流指令値i の代わりにd軸電流比例制御指令値idP を用いることにより、高い加速度での加速によって生じるd軸電流の変化に対しては比例制御を働かせないが、一次角周波数ωに近い周波数成分に対しては比例制御が働くため、電流制御手段101の動作を安定に保つことができる。
なお、本発明の実施形態では、非特許文献1に記載された電流制御手段を対象としてd軸電流比例制御指令値idP を適用したが、前述した特許文献2の電流制御手段など、d軸電流指令値とd軸電流との偏差に対する比例制御を少なくとも含む電流制御手段であれば、その比例制御に本発明におけるd軸電流比例制御指令値を組み込むことで同様の効果を得ることができる。
51:q軸積分手段
52:d軸積分手段
53:q軸リミッタ
54:d軸リミッタ
55:第1のスイッチ
56:第2のスイッチ
61~67:加減算手段
101:電流制御手段
102:二相/三相座標変換手段
103:三相/二相座標変換手段
104:インバータ
105:電流検出手段
106:誘導電動機
107:一次角周波数・角度演算手段
108:加速度演算手段
109:第1の磁束演算手段
110:第2の磁束演算手段
111:d軸電流予測手段
112:ローパスフィルタ
pq:q軸比例ゲイン
iq:q軸積分ゲイン
ωid2,ωiq2:たすき掛けゲイン
ω:一次角周波数
pd:d軸比例ゲイン
id:d軸積分ゲイン

Claims (5)

  1. 電力変換器から誘導電動機に供給する電流及び電圧を前記誘導電動機の二次鎖交磁束方向のd軸成分とこれに直交するq軸成分とに分離して制御する制御装置であって、少なくともd軸電流に対し、比例制御を行って前記電力変換器に対する電圧指令値を生成する電流制御手段を備えた制御装置において、
    前記誘導電動機の回転速度に基づいて一次角周波数を求める一次角周波数演算手段と、
    前記一次角周波数の加速度を求める加速度演算手段と、
    前記誘導電動機のq軸誘起電圧と現在時刻の一次角周波数とから前記現在時刻のd軸二次磁束を求める第1の磁束演算手段と、
    前記加速度を用いて、前記現在時刻から電流制御の演算周期よりも長い時間をおいた将来時刻の一次角周波数を求めると共に、前記将来時刻の一次角周波数と前記q軸誘起電圧とから前記将来時刻のd軸二次磁束を求める第2の磁束演算手段と、
    前記将来時刻のd軸二次磁束と前記現在時刻のd軸二次磁束との差分と、前記将来時刻と前記現在時刻との時間差と、に基づいてd軸二次磁束の時間微分値を求め、前記現在時刻のd軸電流相当値及び前記時間微分値に基づいて前記将来時刻のd軸電流を予測するd軸電流予測手段と、
    前記d軸電流予測手段の出力側に設けられたローパスフィルタと、
    を備え、
    前記電流制御手段は、前記誘導電動機の電圧が制限される弱め界磁運転領域では、通常のd軸電流指令値の代わりに、前記将来時刻のd軸電流予測値が入力された前記ローパスフィルタの出力を、d軸の比例制御演算を行うための電流指令値として用いることを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  2. 請求項1に記載した誘導電動機の制御装置において、
    前記現在時刻と前記将来時刻との間の時間差を、前記誘導電動機の二次抵抗を二次インダクタンスにより除算した値と、前記二次抵抗を前記誘導電動機の漏れインダクタンスにより除算した値と、の加算値の逆数により表される時間以上としたことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  3. 請求項1または2に記載した誘導電動機の制御装置において、
    前記d軸電流予測手段は、前記現在時刻のd軸電流相当値として、前記現在時刻のd軸二次磁束を前記誘導電動機の励磁インダクタンスにより除算した値を用い、当該d軸電流相当値と、前記d軸二次磁束の時間微分値に二次時定数を乗算して前記励磁インダクタンスにより除算した値と、を加算して前記将来時刻のd軸電流を予測することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  4. 請求項1~3の何れか1項に記載した誘導電動機の制御装置において、
    前記一次角周波数演算手段は、過去時刻と前記現在時刻とそれぞれの一次角周波数とから求めた加速度と、前記将来時刻と前記現在時刻との時間差と、前記現在時刻の一次角周波数と、を用いて、前記将来時刻における一次角周波数を予測することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  5. 電力変換器から誘導電動機に供給する電流及び電圧を前記誘導電動機の二次鎖交磁束方向のd軸成分とこれに直交するq軸成分とに分離し、少なくともd軸電流に対し、比例制御を行って前記電力変換器に対する電圧指令値を生成する電流制御方法において、
    前記誘導電動機の回転速度にすべり周波数を加算して一次角周波数を求め、
    前記誘導電動機のq軸誘起電圧と現在時刻の前記一次角周波数とから前記現在時刻のd軸二次磁束を求め、
    前記一次角周波数の加速度を用いて、前記現在時刻から電流制御の演算周期よりも長い時間をおいた将来時刻の一次角周波数を求めると共に、前記将来時刻の一次角周波数と前記q軸誘起電圧とから前記将来時刻のd軸二次磁束を求め、
    前記将来時刻のd軸二次磁束と前記現在時刻のd軸二次磁束との差分と、前記将来時刻と前記現在時刻との時間差と、に基づいてd軸二次磁束の時間微分値を求め、前記現在時刻のd軸電流相当値及び前記時間微分値に基づいて前記将来時刻のd軸電流を予測し、
    前記誘導電動機の電圧が制限される弱め界磁運転領域において、通常のd軸電流指令値の代わりに、前記将来時刻のd軸電流予測値に対してローパスフィルタ演算を行った結果を、d軸の比例制御演算を行うための電流指令値として用いることを特徴とする誘導電動機の電流制御方法。
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