JP3586078B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単相交流電源からの交流電力を単相PWMコンバータにより直流電力に変換し、さらにインバータにより任意の周波数の交流電力に変換して、永久磁石電動機を駆動制御するシステムにおいて、特に単相PWMコンバータの整流に起因した直流リンク電圧の脈動により発生する永久磁石電動機のトルクリプルを効果的に抑制するようにした電力変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、単相交流電源からの交流電力を単相PWMコンバータにより直流電力に変換し、この直流電力を直流コンデンサにより平滑化し、さらにインバータにより任意の周波数の交流電力に変換して、誘導電動機を駆動制御するシステムにおいては、コンバータから直流コンデンサに流れる電流に高調波が重畳するため、直流リンク電圧が脈動する。
【0003】
この場合、直流リンク電圧の脈動の周波数は、交流電源が3相交流電源の場合には、電源周波数fsoの6倍周波数6fsoであり、交流電源が単相交流電源の場合には、電源周波数Fsoの2倍の周波数2Fsoである。
【0004】
一方、インバータにより直流電圧から3相交流を作り出す場合、直流リンク電圧の脈動によって、相電流のビート現象とトルクのリプルが発生し問題となる。この相電流のビート現象とは、直流リンク電圧の脈動周波数2Fsoとインバータ出力周波数Fi との差の周波数で、相電流が振動する現象であり、過電流の原因となる。
【0005】
トルクに関しては、直流リンク電圧の脈動周波数のリプルが生じ、機械共振の起震源となる。
これは、特に交流電源が単相交流電源である場合に、直流リンク電圧の変動周波数が低いため、問題となる。
【0006】
電源周波数が、50Hz,60Hzの場合には、直流リンク電圧の脈動周波数は、100Hz,120Hzとなる。
そこで、最近では、このような電動機に発生するビート現象を抑制する方式として、例えば文献1(「コンバータ・インバータシステムにおけるビート現象の抑制法」電気学会論文誌D部門Vol.109 No.5 P.363)において、相電流のビート現象に関して、その原因が相電圧に重畳する正負間のアンバランス電圧にあるとして、このアンバランスを除去する制御方法が提案されてきている。
【0007】
以下に、従来の相電流ビート現象を抑制するための具体的な方法について、図8を用いて説明する。
図8は、従来の電力変換装置の概略構成例を示すブロック図である。
【0008】
図8において、単相交流電源1からの交流電力を単相PWMコンバータ2により直流電力に変換し、直流コンデンサ3により平滑化し、さらにインバータ4により任意の周波数の交流電力に変換して、誘導電動機23を駆動制御するシステムとなっている。
【0009】
一方、滑り周波数制御器25により滑り周波数基準Fs * が算出され、速度検出器24により検出された誘導電動機23の周波数Fr と加算されることによって、インバータ4の出力周波数基準F1* が算出される。
【0010】
また、電圧検出器26により検出された、直流コンデンサ3の端子電圧である直流リンク電圧Vdcは、平均値演算器21により平均値Vdc* が算出され、バンドパスフィルタ12によりその平均値からの脈動量ΔVdcが演算される。そして、脈動量ΔVdcを平均値Vdc* で除した(割った)値が、周波数調整器20に入力される。
【0011】
さらに、周波数調整器20では、入力となる電源周波数Fsoの2倍周波数 2Fsoの正弦波に、ゲイン補償と位相補償を行なった正弦波が出力される。
この出力は、インバータ4の出力周波数の調整値ΔF1であり、インバータ4の出力周波数基準F1* に加算されて、インバータ4の出力周波数F1となる。
【0012】
さらに、インバータ制御器22では、このインバータ4の出力周波数F1を基に、インバータ4にゲート信号が発生される。
ところで、上記文献1では、電流ビートに関して、周波数調整器22の設定法を解析的に求めている。
さらに、ゲインおよび位相を微調整することによって、トルクリプルが抑制できる点を指摘している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ゲインおよび位相を微調整することで、トルクリプルが抑制できるという点に関しては、シミュレーションの結果からその効果を指摘するのみであり、その根拠については一切述べられていない。
【0014】
また、運転状況に応じた調整、すなわちインバータ4の出力周波数に応じた調整が必要である点を指摘しているものの、その理論的な裏付けがないために調整法が不明確であり、実際の調整は困難であるという問題がある。
【0015】
さらに、誘導電動機の代わりに永久磁石電動機を駆動するシステムでは、電動機の特性が異なること、また永久磁石電動機の場合には、突極性を有する電動機が存在すること等から、その効果は疑わしい。
【0016】
本発明の目的は、単相PWMコンバータとインバータとにより永久磁石電動機を駆動制御するシステムにおいて、単相PWMコンバータの整流に起因した直流リンク電圧の脈動する条件下においても、また永久磁石電動機が突極性を有する場合においても、永久磁石電動機の発生するトルクリプルを効果的に抑制することが可能な信頼性の高い電力変換装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明の電力変換装置は、単相交流電源からの交流電力を直流電力に変換して出力する単相PWMコンバータと、
前記単相PWMコンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コンデンサと、
前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意の周波数の交流電力に変換して永久磁石電動機を駆動制御するインバータと、
前記永久磁石電動機の永久磁石軸の位置を検出する磁極位置検出手段と、
前記磁極位置検出手段により検出された永久磁石軸をd軸とし、かつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸座標系上で、大きさと位相とを持つ出力電圧ベクトル指令を算出して出力する電圧指令演算手段と、
前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令に基づいて、3相固定座標系上での3相出力電圧指令を算出して出力する座標系変換手段と、
前記座標系変換手段により算出された3相出力電圧指令に基づいて前記インバータの出力を制御するインバータ制御手段と、
前記直流コンデンサの端子電圧である直流リンク電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された直流リンク電圧から脈動の正弦波を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された直流リンク電圧の脈動の正弦波の振幅と位相とを調整し、かつこの振幅と位相とが調整された正弦波を、前記dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令の位相調整量として出力するものであって、前記直流リンク電圧の脈動の正弦波の振幅の補償量K g を下記(1)式に基づいて算出し、位相の補償量K p を下記(2)式に基づいて算出する振幅・位相補償手段とを備えている。
【数2】
【表2】
【0018】
従って、請求項1の発明の電力変換装置においては、直流リンク電圧の脈動に応じて出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整することにより、単相PWMコンバータの整流に起因した直流リンク電圧の脈動する条件下でも、また永久磁石電動機が突極性を有する場合でも、永久磁石電動機の発生するトルクリプルを効果的に抑制することができる。
このトルクリプルを抑制することによって、より繊細なトルク制御を実現することができる。また、トルクのリプルに起因した機械系の共振を抑えることが可能となり、振動、騒音、機械疲労を低減することができる。
また、請求項1の発明の電力変換装置においては、直流リンク電圧の脈動の周波数を特定できるような場合には、他の周波数成分に干渉せずに特定の脈動を抑制することができる。これにより、他の特性に影響を与えずにトルクリプルを抑えることができる。
さらに、請求項1の発明の電力変換装置においては、永久磁石電動機のパラメータが把握できる場合には、調整を容易にすることができる。また、動作状態に応じて調整量を算出するため、さまざまな状況下においてトルクリプルを抑制することができる。
【0020】
一方、請求項2の発明の電力変換装置は、単相交流電源からの交流電力を直流電力に変換して出力する単相PWMコンバータと、
前記単相PWMコンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コンデンサと、
前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意の周波数の交流電力に変換して非突極性を有する永久磁石電動機を駆動制御するインバータと、
前記永久磁石電動機の永久磁石軸の位置を検出する磁極位置検出手段と、
前記磁極位置検出手段により検出された永久磁石軸をd軸とし、かつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸座標系上で、大きさと位相とを持つ出力電圧ベクトル指令を算出して出力する電圧指令演算手段と、
前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令に基づいて、3相固定座標系上での3相出力電圧指令を算出して出力する第1の座標系変換手段と、
前記第1の座標系変換手段により算出された3相出力電圧指令に基づいて前記インバータの出力を制御するインバータ制御手段と、
前記永久磁石電動機に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流からq軸電流の成分を算出して出力する第2の座標系変換手段と、
前記第2の座標系変換手段により算出されたq軸電流の脈動に基づいて、前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整する位相調整手段とを備えている。
【0021】
従って、請求項2の発明の電力変換装置においては、トルク電流の脈動に応じて出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整することにより、単相PWMコンバータの整流に起因した直流リンク電圧の脈動する条件下でも、また永久磁石電動機が突極性を有する場合でも、永久磁石電動機の発生するトルクリプルを効果的に抑制することができる。
これは、永久磁石電動機のパラメータが正確にわからない場合や、永久磁石電動機が非突極性を有する場合において特に有効に作用する。
【0022】
このトルクリプルを抑制することによって、より繊細なトルク制御を実現することができる。また、トルクのリプルに起因した機械系の共振を抑えることが可能となり、振動、騒音、機械疲労を低減することができる。
【0023】
また、請求項3の発明の電力変換装置は、単相交流電源からの交流電力を直流電力に変換して出力する単相PWMコンバータと、
前記単相PWMコンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コンデンサと、
前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意の周波数の交流電力に変換して突極性を有する永久磁石電動機を駆動制御するインバータと、
前記永久磁石電動機の永久磁石軸の位置を検出する磁極位置検出手段と、
前記磁極位置検出手段により検出された永久磁石軸をd軸とし、かつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸座標系上で、大きさと位相とを持つ出力電圧ベクトル指令を算出して出力する電圧指令演算手段と、
前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令に基づいて、3相固定座標系上での3相出力電圧指令を算出して出力する第1の座標系変換手段と、
前記第1の座標系変換手段により算出された3相出力電圧指令に基づいて前記インバータの出力を制御するインバータ制御手段と、
前記永久磁石電動機に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流から、d軸電流の平均値Id * 、q軸電流の平均値Iq * 、d軸電流の脈動の周波数成分ΔId、q軸電流の脈動の周波数成分ΔIqを算出して出力する出力手段と、
前記出力手段で算出された電流と、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqの差ΔL、界磁磁束φFを、下記(12)式に入力して前記永久磁石電動機の発生するトルクの推定値を算出して出力するトルク推定手段と、
前記トルク推定手段により算出されたトルク推定値の脈動に基づいて、前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整する位相調整手段と、
を備えている。
【数17】
【0024】
従って、請求項3の発明の電力変換装置においては、トルク推定値の脈動に応じて出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整することにより、単相PWMコンバータの整流に起因した直流リンク電圧の脈動する条件下でも、また永久磁石電動機が突極性を有する場合でも、永久磁石電動機の発生するトルクリプルを効果的に抑制することができる。これは、永久磁石電動機が突極性を有する場合においても有効に作用する。
このトルクリプルを抑制することによって、より繊細なトルク制御を実現することができる。また、トルクのリプルに起因した機械系の共振を抑えることが可能となり、振動、騒音、機械疲労を低減することができる。
【0025】
さらに、請求項4の発明の電力変換装置は、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、前記インバータが、定電圧可変周波数モードで動作するようにしている。
【0028】
従って、請求項4の発明の電力変換装置においては、請求項1乃至請求項3の発明と同様な作用効果を得ることができる。特に、この場合には、インバータのPWM動作が1パルスモードで、出力電圧が直流電圧に依存する場合においても、有効に作用する。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明では、単相交流電源からの交流電力を単相PWMコンバータにより直流電力に変換し、この直流電力を直流コンデンサにより平滑化し、この平滑化された直流電力をインバータにより任意の周波数の交流電力に変換して永久磁石電動機を駆動制御するシステムにおいて、単相PWMコンバータの整流に起因した状態量を抽出し、この状態量に対して単相交流電源の周波数の2倍成分を取り出し、この状態量の脈動に応じて出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整することにより、単相PWMコンバータの整流に起因した直流リンク電圧の脈動する条件下でも、また永久磁石電動機が突極性を有する場合でも、永久磁石電動機の発生するトルクリプルを効果的に抑制することを特徴とするものである。
【0039】
以下、上記のような考え方に基づく本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態:請求項1乃至請求項4に対応)
図1は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例を示すブロック図であり、前述した図8と同一部分には同一符号を付して示している。
【0040】
図1において、単相交流電源1からの交流電力を単相PWMコンバータ2により直流電力に変換し、直流コンデンサ3により平滑化し、さらにインバータ4により任意の周波数の交流電力に変換して、永久磁石電動機(PM)5を駆動制御するシステムとなっている。
【0041】
一方、制御系としては、いわゆるベクトル制御方式である。
このベクトル制御方式は、電流、電圧、磁束をベクトル量として制御する方式であり、dq軸として定義される回転する座標系(dq軸回転座標系)上で制御を行なう。
【0042】
また、このベクトル制御方式は、例えば文献2(「電気機器工学II」、電気学会)等により公知の技術であり、多くの方式が提案されてきている。
次に、本実施の形態のベクトル制御方式の構成について具体的に述べる。
【0043】
図1において、位置検出器6により、永久磁石電動機5の磁極(永久磁石軸)の位置θm を検出する。
また、位置検出器6により検出された磁極の位置θm から、この永久磁石軸をd軸としかつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸座標系上を導入し、d軸電流の指令値Id Refとq軸電流の指令値Iq Refとを入力とする電圧指令演算器7により、d,q軸電流指令値Id Ref,Iq Refにそれぞれの応答値Id ,Iq が追従するように、出力電圧ベクトル指令を算出する。
【0044】
この出力電圧ベクトル指令は、dq軸座標系上で極座標として表わされるものとする。すなわち、図2に示すように、大きさVとd軸からの位相Pとを持つベクトルになる。
【0045】
一方、座標系変換器8により、永久磁石電動機5の磁極の位置θm を基に、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令、すなわち大きさVとd軸からの位相Pとから、3相固定座標系上での3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * を算出する。
【0046】
また、図示しないインバータ制御器により、この3相出力電圧指令Vu * , Vv * ,Vw * に基づいて、インバータ4の出力電圧を制御する。
一方、電圧検出器26により、直流コンデンサ3の端子電圧である直流リンク電圧Vdcを検出する。
【0047】
また、位相調整器9により、この直流電圧Vdcの脈動に基づいて、上記dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPを算出する。
そして、この位相の調整量ΔPを、電圧指令演算器7から出力されるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相基準P* と加算し、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相Pとして座標系変換器8に入力する。
【0048】
図3は、上記位相調整器9の詳細な構成例を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には同一符号を付して示している。
図3において、電圧検出器26により検出された直流リンク電圧Vdcを、抽出手段であるバンドパスフィルタ12に入力する。
【0049】
このバンドパスフィルタ12の特性周波数は、単相交流電源1の周波数の2倍成分の周波数とする。例えば、単相交流電源1の周波数が60Hzである場合には、その2倍の周波数である120Hz成分のみを抽出するフィルタ特性を有するものとする。
【0050】
このバンドパスフィルタ12の出力は正弦波であり、直流リンク電圧Vdcの脈動成分ΔVdcに相当する。
すなわち、このバンドパスフィルタ12は、電圧検出器26により検出された直流リンク電圧Vdcから脈動の正弦波を抽出する。
【0051】
また、この抽出された直流リンク電圧Vdcの脈動量ΔVdcを振幅補償器13に入力する。この振幅補償器13は、ゲインKg に基づいて、直流リンク電圧Vdcの脈動量ΔVdcの振幅を補償(調整)し、正弦波ΔP′を出力する。
【0052】
さらに、この振幅補償器13からの出力である正弦波ΔP′を、位相補償器14に入力する。この位相補償器14は、入力された正弦波ΔP′の位相を補償位相量Kp だけ進ませる。
【0053】
そして、この位相補償器14の出力は、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相基準P* への調整量ΔPとなる。
ここで、直流リンク電圧Vdcの脈動成分ΔVdcを補償するゲインKg と補償位相量Kp は、前述した(1)式、(2)式によりそれぞれ算出する。
【0054】
図4は、以上の直流リンク電圧Vdcと直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcと出力電圧の位相への調整量ΔPとの関係の一例を示す波形図である。
次に、以上のように構成した本実施の形態の電力変換装置の作用について説明する。
【0055】
位置検出器6では、永久磁石電動機5の磁極の位置θm が検出され、座標系変換器8に入力される。
一方、電圧指令演算器7では、d軸電流の指令値Id Refとq軸電流の指令値Iq Refとから、d,q軸電流指令値Id Ref,Iq Refにそれぞれの応答値Id ,Iq が追従するように、出力電圧ベクトル指令が算出される。
【0056】
また、座標系変換器8では、永久磁石電動機5の磁極の位置θm から、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令、すなわち大きさVとd軸からの位相Pとから、3相固定座標系上での3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * が算出される。
【0057】
そして、図示しないインバータ制御器では、3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * を基に、インバータ4の出力電圧が制御される。
一方、電圧検出器26では、直流コンデンサ3の端子電圧である直流リンク電圧Vdcが検出される。
【0058】
また、位相調整器9では、この直流リンク電圧Vdcの脈動に基づいて、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPが算出される。
【0059】
そして、この位相の調整量ΔPが、電圧指令演算器7から出力されるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相基準P* と加算され、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相Pとして、座標系変換器8に入力される。
【0060】
以上により、永久磁石電動機5に発生するトルクのリプルを抑制することが可能である。
以下、この点について具体的に述べる。
一般に、永久磁石電動機5の特性方程式は、次のような式で表わされる。
【0061】
【数3】
【0062】
ここで、直流リンク電圧Vdcが単相交流電源1の周波数Fsoの2倍の周波数2Fsoで脈動すると、dq軸の出力電圧にも同一の周波数2Fsoの脈動が生じる。そして、dq軸出力電圧の周波数2Fso成分をそれぞれΔVd ,ΔVq とする。また、永久磁石電動機5の周波数ωM や界磁φF は、同周波数成分の脈動を生じないとする。
【0063】
この脈動の周波数2Fso成分における、永久磁石電動機5の特性方程式は、次のような式となる。
ただし、dq軸電流の脈動の周波数成分を、それぞれΔId ,ΔIq とする。
【0064】
【数4】
次に、上記式をdq軸電流の脈動成分について解くと、次のような式となる。
【0065】
【数5】
ここで、永久磁石電動機5の発生するトルクTm は、次のような式で表わされる。
【0066】
【数6】
【0067】
直流リンク電圧Vdcの脈動がトルクに与える影響ΔTm は、界磁φF を一定とすると、次のような式により近似される。
ここで、Id * ,Iq * はdq軸電流の平均値である。
【0068】
【数7】
次に、トルクリプルを抑制する条件は、以下のようである。
【0069】
【数8】
上記(8),(12),(13)式より、トルクリプルを抑制するためのdq軸電圧の脈動成分に関する関係を得る。
【0070】
【数9】
【0071】
d軸出力電圧の脈動ΔVd とq軸出力電圧の脈動ΔVq とが、上記式を満たすことにより、トルクのリプルを抑制できることがわかる。
ここで、d,q軸出力電圧の脈動ΔVd ,ΔVq と、極座標で表わした出力電圧との関係を示す。
【0072】
例えば、PWM制御が、方形波モードないしは1パルスモードで動作し、出力電圧の大きさが直流リンク電圧Vdcにより一意に決まる場合には、次の(17)式のような関係になる。
【0073】
出力電圧のdq軸座標上での大きさVは(17)式で表わされる、
同式より、直流リンク電圧Vdcが脈動することにより、出力電圧の大きさVにも脈動が生じることがわかる。
【0074】
【数10】
【0075】
上記(17)式において、直流リンク電圧Vdcの脈動周波数2Fsoに関しては、次のような式が成り立つ。
ここで、ΔVdcは直流リンク電圧Vdcの脈動成分であり、ΔPは出力電圧のd軸からの位相の脈動成分である。
【0076】
【数11】
【0077】
ここで、トルク脈動を抑制するためのdq軸電圧の条件式(14)に、上記(19)式を代入することにより、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcと出力電圧位相ΔPの脈動との関係を得る。
【0078】
【数12】
特に、単相交流電源1の周波数の2倍の周波数成分に関しては、次のような式の関係となる。
【0079】
【数13】
【0080】
従って、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcと出力電圧の位相の脈動ΔPとの関係が、上記のような式を満たす場合に、トルクのリプルを抑制することが可能である。
【0081】
ここで、ゲインの補償量Kg を(23)式により算出し、位相の補償量Kp を(24)式により演算する。
図3に示すように、直流リンク電圧Vdcの脈動の正弦波の振幅をKg 倍し、さらに位相をKp 進めることにより、上記(22)式を満たす出力電圧の位相への調整量ΔPを算出することができる。
そして、常に上記(22)式を満たすことから、永久磁石電動機5のトルクのリプルを抑制することが可能である。
【0082】
【数14】
【0083】
ここで、前述した(1)式は、上記(23)式に(2)式は(24)式に、(3)式は(21)式に、(4)式は(16)式に、(5)式は(11)式にそれぞれ対応する。
【0084】
以上により、直流リンク電圧Vdcが脈動する条件下において、トルクリプルの脈動を抑制することができる。
上述したように、本実施の形態の電力変換装置においては、直流リンク電圧 Vdcの脈動ΔVdcに応じて、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整するようにしているので、永久磁石電動機5の発生するトルクのリプルを効果的に抑制することが可能となる。
【0085】
また、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcの周波数が特定できるような場合には、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcのうち同周波数成分を抽出し、この抽出された脈動の正弦波に対して振幅と位相とをそれぞれ補償し、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整するようにしているので、他の周波数成分に影響を与えずに、トルクのリプルを抑制することが可能となる。
【0086】
さらに、永久磁石電動機5のパラメータが正確に把握できるような場合には、理論的に算出された補償量Kg ,Kp を与えるようにしているので、なんら調整を必要とすることなく、トルクのリプルを抑制することが可能となる。
【0087】
このようにしてトルクのリプルを抑制することにより、より繊細なトルク制御が必要とされる分野への応用を期待することができる。
また、トルクのリプルに起因した機械共振を抑制することが可能となるため、騒音、振動、機械疲労を低減することができる。
【0088】
(第2の実施の形態:請求項1、請求項5に対応)
図5は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0089】
本実施の形態による電力変換装置では、前述した第1の実施の形態におけるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPの算出を行なう部分の構成のみが異なっている。
【0090】
すなわち、図5において、電流検出器15により、永久磁石電動機5のU相,W相の電流Iu ,Iw を検出する。
また、座標系変換器16により、電流検出器15により検出された電流Iu ,Iw をdq軸座標系上へと変換して、q軸電流Iq の成分を算出する。
【0091】
そして、このq軸電流Iq の成分をq軸電流指令値Id Refから差し引いて、q軸電流の偏差を位相調整器17に入力する。
さらに、位相調整器17により、このq軸電流の偏差に基づいて、上記dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPを算出する。
【0092】
そして、この位相の調整量ΔPを、電圧指令演算器7から出力されるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相基準P* と加算し、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相Pとして、前記座標系変換器8に入力する。
【0093】
次に、以上のように構成した本実施の形態の電力変換装置の作用について説明する。
位置検出器6では、永久磁石電動機5の磁極の位置θm が検出され、座標系変換器8に入力される。
【0094】
一方、電圧指令演算器7では、d軸電流の指令値Id Refとq軸電流の指令値Iq Refとから、d,q軸電流指令値Id Ref,Iq Refにそれぞれの応答値Id ,Iq が追従するように、出力電圧ベクトル指令が算出される。
【0095】
また、座標系変換器8では、永久磁石電動機5の磁極の位置θm から、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令、すなわち大きさVとd軸からの位相Pとから、3相固定座標系上での3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * が算出される。
【0096】
そして、図示しないインバータ制御器では、3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * を基に、インバータ4の出力電圧が制御される。
一方、電流検出器15では、永久磁石電動機5のU相,W相の電流Iu ,Iw が検出される。
【0097】
また、座標系変換器16では、この電流Iu ,Iw に基づいて、dq軸座標系上でのq軸電流Iq の成分が算出される。
そして、このq軸電流Iq の成分は、q軸電流指令値Id Refから差し引かれて、q軸電流の偏差が位相調整器17に入力される。
【0098】
さらに、位相調整器17では、このq軸電流の偏差に基づいて、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPが算出される。
そして、この位相の調整量ΔPが、電圧指令演算器7から出力されるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相基準P* と加算され、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相Pとして、座標系変換器8に入力される。
【0099】
以上により、永久磁石電動機5に発生するトルクのリプルを抑制することが可能である。
すなわち、永久磁石電動機5のトルクTm は、前述した(10)式で表わされるように、q軸電流Iq に大きく依存する。特に、永久磁石電動機5が非突極性を有する場合には、トルクはq軸電流のみに依存する。
【0100】
出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整することで、トルクリプルを抑制できることは、前述した第1の実施の形態において示していることから、トルクに大きく依存するq軸電流の偏差、すなわち脈動に応じて出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整することにより、トルクのリプルを抑制することが期待できる。
【0101】
これは、特に、永久磁石電動機5が非突極性を有する場合に、トルクはq軸電流のみに依存するため、q軸電流Iq の脈動を抑制する本実施の形態では効果的に作用し、永久磁石電動機5のパラメータが正確に把握できない場合にも有効である。
【0102】
上述したように、本実施の形態の電力変換装置においては、トルク電流の脈動、すなわちq軸電流Iq の脈動に応じて、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整するようにしているので、永久磁石電動機5の発生するトルクのリプルを効果的に抑制することが可能となる。
【0103】
これは、永久磁石電動機5のパラメータが正確にわからない場合や、永久磁石電動機5が非突極性を有する場合において特に有効に作用する。
このトルクリプルを抑制することによって、より繊細なトルク制御を実現することができる。また、トルクのリプルに起因した機械系の共振を抑えることが可能となり、振動、騒音、機械疲労を低減することができる。
【0104】
(第3の実施の形態:請求項1、請求項6、請求項7に対応)
図6は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0105】
本実施の形態による電力変換装置では、前述した第1の実施の形態におけるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPの算出を行なう部分の構成のみが異なっている。
【0106】
すなわち、図6において、電流検出器15により、永久磁石電動機5のU相,W相の電流Iu ,Iw を検出する。
また、座標系変換器16により、電流検出器15により検出された電流Iu ,Iw をdq軸座標系上へと変換して、d軸電流Id およびq軸電流Iq の各成分を算出する。
【0107】
さらに、トルク推定器18により、座標系変換器16により算出されたd,q軸電流Id ,Iq の各成分を基に、前述した(10)式に従ってトルクの推定値Tmhを算出する。
【0108】
そして、このトルク推定値Tmhをトルク指令値Tm Refから差し引いて、トルクの偏差を位相調整器17に入力する。
さらに、位相調整器17により、このトルクの偏差に基づいて、上記dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPを算出する。
【0109】
そして、この位相の調整量ΔPを、電圧指令演算器7から出力されるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相基準P* と加算し、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相Pとして、前記座標系変換器8に入力する。
【0110】
次に、以上のように構成した本実施の形態の電力変換装置の作用について説明する。
位置検出器6では、永久磁石電動機5の磁極の位置θm が検出され、座標系変換器8に入力される。
【0111】
一方、電圧指令演算器7では、d軸電流の指令値Id Refとq軸電流の指令値Iq Refとから、d,q軸電流指令値Id Ref,Iq Refにそれぞれの応答値Id ,Iq が追従するように、出力電圧ベクトル指令が算出される。
【0112】
また、座標系変換器8では、永久磁石電動機5の磁極の位置θm から、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令、すなわち大きさVとd軸からの位相Pとから、3相固定座標系上での3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * が算出される。
【0113】
そして、図示しないインバータ制御器では、3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * を基に、インバータ4の出力電圧が制御される。
一方、電流検出器15では、永久磁石電動機5のU相,W相の電流Iu ,Iw が検出される。
【0114】
また、座標系変換器16では、この電流Iu ,Iw に基づいて、dq軸座標系上でのd軸電流Id およびq軸電流Iq の各成分が算出される。
さらに、トルク推定器18では、このd,q軸電流Id ,Iq の各成分に基づいて、トルクの推定値Tmhが算出される。
【0115】
そして、このトルク推定値Tmhは、トルク指令値Tm Refから差し引かれて、トルクの偏差が位相調整器17に入力される。
さらに、位相調整器17では、このトルクの偏差に基づいて、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPが算出される。
【0116】
そして、この位相の調整量ΔPが、電圧指令演算器7から出力されるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相基準P* と加算され、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相Pとして、座標系変換器8に入力される。
【0117】
以上により、永久磁石電動機5に発生するトルクのリプルを抑制することが可能である。
すなわち、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整することで、トルクリプルを抑制できることは、前述した第1の実施の形態において示していることから、トルクの偏差に応じて出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整することにより、トルクのリプルを抑制することが期待できる。
【0118】
これは、特に、永久磁石電動機5が突極性を有する場合においても有効である。
上述したように、本実施の形態の電力変換装置においては、トルクの偏差、すなわちトルク推定値の脈動に応じて、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整するようにしているので、永久磁石電動機5の発生するトルクのリプルを効果的に抑制することが可能となる。
【0119】
これは、永久磁石電動機5が非突極性を有する場合においても有効に作用する。
このトルクリプルを抑制することによって、より繊細なトルク制御を実現することができる。また、トルクのリプルに起因した機械系の共振を抑えることが可能となり、振動、騒音、機械疲労を低減することができる。
【0120】
(第4の実施の形態:請求項8に対応)
図7は、本実施の形態による電力変換装置の概略構成例を示すブロック図であり、前述した図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0121】
本実施の形態による電力変換装置では、前述した第1の実施の形態における座標変換器8に入力するdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令の大きさVの算出を行なう部分の構成のみが異なっている。
【0122】
すなわち、本実施の形態では、インバータ4が、定電圧可変周波数(CVVF)モードで動作するようにしている。
具体的には、前述した第1の実施の形態では、出力電圧ベクトル指令の大きさVは、電圧指令演算器7により算出しているが、本実施の形態では、図7に示すように、電圧検出器26により検出された直流リンク電圧Vdcを係数変換器19に入力し、ゲインKv 倍された値を出力電圧ベクトル指令の大きさVとして算出するようにしている。
このゲインKv は、次のような式のように与えられる。
【0123】
【数15】
【0124】
次に、以上のように構成した本実施の形態の電力変換装置の作用について説明する。
位置検出器6では、永久磁石電動機5の磁極の位置θm が検出され、座標系変換器8に入力される。
【0125】
一方、電圧指令演算器7では、d軸電流の指令値Id Refとq軸電流の指令値Iq Refとから、d,q軸電流指令値Id Ref,Iq Refにそれぞれの応答値Id ,Iq が追従するように、出力電圧ベクトル指令が算出される。
【0126】
また、座標系変換器8では、永久磁石電動機5の磁極の位置θm から、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令、すなわち大きさVとd軸からの位相Pとから、3相固定座標系上での3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * が算出される。
【0127】
そして、図示しないインバータ制御器では、3相出力電圧指令Vu * ,Vv * ,Vw * を基に、インバータ4の出力電圧が制御される。
一方、電圧検出器26では、直流コンデンサ3の端子電圧である直流リンク電圧Vdcが検出される。
【0128】
また、位相調整器9では、この直流リンク電圧Vdcの脈動に基づいて、dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相の調整量ΔPが算出される。
【0129】
そして、この位相の調整量ΔPが、電圧指令演算器7から出力されるdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相基準P* と加算され、出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相Pとして、座標系変換器8に入力される。
【0130】
さらに、係数変換器19では、電圧検出器26により検出された直流リンク電圧VdcをゲインKv 倍した値が、出力電圧ベクトル指令の大きさVとして算出され、座標系変換器8に入力される。
【0131】
以上により、永久磁石電動機5に発生するトルクのリプルを抑制することが可能である。
すなわち、1パルスモードは、出力周期の間に、スイッチが1回だけON・OFFを行なうPWM制御であり、その基本波が最大となることが知られている。従って、インバータ4の出力電圧の大きさは、直流リンク電圧Vdcによって一意に決定される。この場合、直流リンク電圧Vdcからdq軸座標系上の出力電圧ベクトル指令の大きさVまでの係数がKv となる。
【0132】
以上のように、PWM動作が1パルスモードである場合には、出力電圧ベクトル指令の大きさVは、直流リンク電圧Vdcに比例する。また、PWM動作が多パルスモードである場合には、出力電圧ベクトル指令の大きさVは、直流リンク電圧Vdcの大きさに依存せずに制御することが可能である。従って、1パルスモードにおいては、特に直流リンク電圧Vdcの脈動の影響を大きく受け、トルクリプルが大きく発生する。
【0133】
そして、このような動作モードにおいて、前述した各実施の形態の電力変換装置は、特にその効果を有効に発揮することとなる。
上述したように、本実施の形態の電力変換装置においては、インバータが、定電圧可変周波数(CVVF)モードで動作するようにしているので、インバータのPWM動作が1パルスモードで、出力電圧が直流電圧に依存する場合においても、有効に作用する。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電力変換装置によれば、単相PWMコンバータと3相インバータとにより永久磁石電動機を駆動制御するシステムにおいて、単相PWMコンバータの整流に起因した状態量を抽出し、この状態量に対して単相交流電源の周波数の2倍成分を取り出し、この状態量の脈動に応じて出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整するようにしているので、単相PWMコンバータの整流に起因した直流リンク電圧の脈動する条件下においても、また永久磁石電動機が突極性を有する場合においても、永久磁石電動機の発生するトルクリプルを効果的に抑制することが可能となる。
【0135】
このトルクリプルを抑制することによって、より繊細なトルク制御を実現することができる。また、トルクのリプルに起因した機械系の共振を抑えることが可能となり、振動、騒音、機械疲労を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電力変換装置の構成例を示すブロック図。
【図2】dq軸座標系上での出力電圧のベクトル図。
【図3】同第1の実施の形態の電力変換装置における位相調整器の詳細な構成例を示すブロック図。
【図4】直流リンク電圧Vdcと直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcと出力電圧の位相への調整量ΔPの関係の一例を示す波形図。
【図5】本発明の第2の実施の形態による電力変換装置の構成例を示すブロック図。
【図6】本発明の第3の実施の形態による電力変換装置の構成例を示すブロック図。
【図7】本発明の第4の実施の形態による電力変換装置の構成例を示すブロック図。
【図8】従来の電力変換装置の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1…単相交流電源、
2…単相PWMコンバータ、
3…直流コンデンサ、
4…インバータ、
5…永久磁石電動機(PM)、
6…磁極位置検出器、
7…電圧指令演算器、
8…座標系変換器、
9…位相調整器、
10…dq軸座標系上での出力電圧の大きさ、
11…dq軸座標系上での出力電圧のd軸からの位相、
12…バンドパスフィルタ、
13…振幅補償器、
14…位相補償器、
15…電流検出器、
16…座標系変換機、
17…位相調整器、
18…トルク推定器、
19…係数変換器、
20…周波数調整器、
21…平均値演算器、
22…インバータ制御器、
23…誘導電動機、
24…速度検出器、
25…滑り周波数演算器、
26…電圧検出器。
Claims (4)
- 単相交流電源からの交流電力を直流電力に変換して出力する単相PWMコンバータと、
前記単相PWMコンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コンデンサと、
前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意の周波数の交流電力に変換して永久磁石電動機を駆動制御するインバータと、
前記永久磁石電動機の永久磁石軸の位置を検出する磁極位置検出手段と、
前記磁極位置検出手段により検出された永久磁石軸をd軸とし、かつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸座標系上で、大きさと位相とを持つ出力電圧ベクトル指令を算出して出力する電圧指令演算手段と、
前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令に基づいて、3相固定座標系上での3相出力電圧指令を算出して出力する座標系変換手段と、
前記座標系変換手段により算出された3相出力電圧指令に基づいて前記インバータの出力を制御するインバータ制御手段と、
前記直流コンデンサの端子電圧である直流リンク電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された直流リンク電圧から脈動の正弦波を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された直流リンク電圧の脈動の正弦波の振幅と位相とを調整し、かつこの振幅と位相とが調整された正弦波を、前記dq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令の位相調整量として出力するものであって、前記直流リンク電圧の脈動の正弦波の振幅の補償量K g を下記(1)式に基づいて算出し、位相の補償量K p を下記(2)式に基づいて算出する振幅・位相補償手段と、
を備えてなることを特徴とする電力変換装置。
- 単相交流電源からの交流電力を直流電力に変換して出力する単相PWMコンバータと、
前記単相PWMコンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コンデンサと、
前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意の周波数の交流電力に変換して非突極性を有する永久磁石電動機を駆動制御するインバータと、
前記永久磁石電動機の永久磁石軸の位置を検出する磁極位置検出手段と、
前記磁極位置検出手段により検出された永久磁石軸をd軸とし、かつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸座標系上で、大きさと位相とを持つ出力電圧ベクトル指令を算出して出力する電圧指令演算手段と、
前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令に基づいて、3相固定座標系上での3相出力電圧指令を算出して出力する第1の座標系変換手段と、
前記第1の座標系変換手段により算出された3相出力電圧指令に基づいて前記インバータの出力を制御するインバータ制御手段と、
前記永久磁石電動機に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流からq軸電流の成分を算出して出力する第2の座標系変換手段と、
前記第2の座標系変換手段により算出されたq軸電流の脈動に基づいて、前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整する位相調整手段と、
を備えてなることを特徴とする電力変換装置。 - 単相交流電源からの交流電力を直流電力に変換して出力する単相PWMコンバータと、
前記単相PWMコンバータから出力される直流電力を平滑化する直流コンデンサと、
前記直流コンデンサにより平滑化された直流電力を任意の周波数の交流電力に変換して突極性を有する永久磁石電動機を駆動制御するインバータと、
前記永久磁石電動機の永久磁石軸の位置を検出する磁極位置検出手段と、
前記磁極位置検出手段により検出された永久磁石軸をd軸とし、かつこのd軸に直交する軸をq軸とするdq軸座標系上で、大きさと位相とを持つ出力電圧ベクトル指令を算出して出力する電圧指令演算手段と、
前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令に基づいて、3相固定座標系上での3相出力電圧指令を算出して出力する第1の座標系変換手段と、
前記第1の座標系変換手段により算出された3相出力電圧指令に基づいて前記インバータの出力を制御するインバータ制御手段と、
前記永久磁石電動機に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段により検出された電流から、d軸電流の平均値Id * 、q軸電流の平均値Iq * 、d軸電流の脈動の周波数成分ΔId、q軸電流の脈動の周波数成分ΔIqを 算出して出力する出力手段と、
前記出力手段で算出された電流と、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqの差ΔL、界磁磁束φFを、下記(12)式に入力して前記永久磁石電動機の発生するトルクの推定値を算出して出力するトルク推定手段と、
前記トルク推定手段により算出されたトルク推定値の脈動に基づいて、前記電圧指令演算手段により算出されたdq軸座標系上での出力電圧ベクトル指令のd軸からの位相を調整する位相調整手段と、
を備えてなることを特徴とする電力変換装置。
- 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
前記インバータが、定電圧可変周波数モードで動作するようにしたことを特徴とする電力変換装置。
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