JP7010902B2 - 限られた免疫グロブリン軽鎖レパートリーを発現するマウス - Google Patents

限られた免疫グロブリン軽鎖レパートリーを発現するマウス Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月13日に出願された米国特許出願第13/798,455号の利益を、米国特許法§119(e)の下で請求し、この出願は、その全体が参照によって本明細書により組み込まれる。
配列表
本出願では、2014年3月13日に「2010794-0550_ST25」という名称のascii.txtファイルとして電子形式で提出された配列表に言及する。この.txtファイルは2014年3月11日に作成されたものであり、サイズは33kbである。
多様なヒト可変/マウス定常重鎖と結合した共通のヒト可変/マウス定常軽鎖を有する抗体を発現する遺伝子改変マウスが提供される。マウスのB細胞のヒト可変領域遺伝子配列からヒト二重特異性抗体を作製するための方法が提供される。
抗体は、一般には、ホモ二量体重鎖成分を含み、各重鎖単量体は同一の軽鎖と結合している。治療用抗体としてはヘテロ二量体重鎖成分を有する抗体(例えば二重特異性抗体)が望ましい。しかし、二重特異性抗体の重鎖のそれぞれと十分に結合することができる適切な軽鎖成分を有する二重特異性抗体を作製することには問題があることが判明している。
1つの手法では、全ての軽鎖可変ドメインに関する使用統計値を調査し、ヒト抗体において最も頻繁に使用される軽鎖を同定し、その軽鎖をin vitroにおいて特異性が異なる2種の重鎖と対合させることによって軽鎖を選択することができる。
別の手法では、ファージディスプレイライブラリー(例えば、ヒト軽鎖可変領域配列を含むファージディスプレイライブラリー、例えば、ヒトscFvライブラリー)における軽鎖配列を観察し、最も一般的に使用される軽鎖可変領域をライブラリーから選択することによって軽鎖を選択することができる。次いで、その軽鎖を2種の異なる目的の重鎖に対して試験することができる。
別の手法では、目的の重鎖の両方の重鎖可変配列をプローブとして使用して軽鎖可変配列のファージディスプレイライブラリーをアッセイすることによって軽鎖を選択することができる。重鎖可変配列の両方と結合する軽鎖をそれらの重鎖に対する軽鎖として選択することができる。
別の手法では、候補軽鎖を重鎖のコグネイト軽鎖とアライメントし、両方の重鎖のコグネイト軽鎖に共通する配列特性により密接にマッチするように軽鎖に改変を行う。免疫原性の機会を最小化する必要がある場合、改変により、既知のヒト軽鎖配列に存在する配列がもたらされ、その結果、タンパク質プロセシングにより免疫原性の可能性を評価するための当技術分野で公知のパラメータおよび方法(すなわち、in silicoアッセイならびにウェットアッセイ)に基づいて、T細胞エピトープが生じる可能性が低くなることが好ましい。
上記の手法は全て、いくつもの先験的な制約、例えば、配列同一性、特定の予め選択された重鎖と結合する能力などを包含するin vitroにおける方法に依拠する。当技術分野において、共通の軽鎖を含むヒトエピトープ結合タンパク質を作製するために、in vitro条件を操作することには依拠せず、その代わりに、より生物学的に理にかなっている手法を使用する組成物および方法が必要とされている。
ヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖可変ドメインを発現する遺伝子改変マウスであって、限定された軽鎖可変レパートリーを有するマウスが提供される。親和性成熟したヒト重鎖可変ドメインの多様なレパートリーと結合し、共に発現するヒト軽鎖可変ドメインを生成するための生物系が提供される。免疫グロブリン可変ドメインを含む結合タンパク質を作製するための方法であって、限定された免疫グロブリン軽鎖レパートリーを有するマウスを、目的の抗原を用いて免疫するステップ、および、マウスの免疫グロブリン可変領域遺伝子配列を、目的の抗原に特異的に結合する結合タンパク質に使用するステップを含む方法が提供される。方法は、多重特異性抗原結合タンパク質の作製において使用するために適したヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインを作製するための方法を含む。
再構成されていないヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントのレパートリーに由来する適切な親和性成熟したヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインを選択する遺伝子操作されたマウスであって、親和性成熟したヒト重鎖可変ドメインが、1つのヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントに由来する単一のヒト軽鎖可変ドメインと結合し、共に発現するマウスが提供される。2つのヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントの選択を示す遺伝子操作されたマウスも提供される。種々の態様では、1つまたは2つの遺伝子セグメントはヒトVκ1-39およびヒトVκ3-20を含む。
ヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントの限定されたレパートリーからヒト軽鎖可変ドメインの限定されたレパートリーまたは単一のヒト軽鎖可変ドメインを発現する遺伝子操作されたマウスが提供される。一部の実施形態では、提供されるマウスは、再構成されて単一の軽鎖を発現する(または2つの軽鎖のいずれかもしくはその両方を発現する)再構成されたヒト軽鎖可変領域遺伝子(または2つの再構成された軽鎖可変領域遺伝子)を形成する単一の再構成されていないヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメント(または2つのヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメント)を含むように遺伝子操作されている。再構成されたヒト軽鎖可変ドメインは、マウスにより選択された複数の親和性成熟したヒト重鎖と対合させることができ、重鎖可変領域は異なるエピトープに特異的に結合する。
ヒト軽鎖可変領域配列の限定されたレパートリーからヒト軽鎖可変ドメインの限定されたレパートリーまたは単一のヒト軽鎖可変ドメインを発現する遺伝子操作されたマウスが提供される。一部の実施形態では、提供されるマウスは、単一の軽鎖の可変領域を発現する(または2つの可変領域のいずれかもしくはその両方を発現する)単一のV/Jヒト軽鎖配列(または2つのV/J配列)を含むように遺伝子操作されている。可変配列を含む軽鎖は、マウスによりクローン選択された複数の親和性成熟したヒト重鎖と対合させることができ、重鎖可変領域は異なるエピトープに特異的に結合する。
一態様では、ヒトJ遺伝子セグメント(1つまたは複数のJセグメントから選択される)と共に再構成することが可能であり、免疫グロブリン軽鎖のヒトVドメインをコードする単一のヒト免疫グロブリン軽鎖可変(V)領域遺伝子セグメントを含む遺伝子改変マウスが提供される。別の態様では、それぞれが、ヒトJ遺伝子セグメント(1つまたは複数のJセグメントから選択される)と共に再構成することが可能であり、免疫グロブリン軽鎖のヒトVドメインをコードする2つ以下のヒトV遺伝子セグメントを含む遺伝子改変マウスが提供される。一部の実施形態では、2つのヒトV遺伝子セグメントはマウスのゲノム内で並列している。一部の実施形態では、2つのヒトV遺伝子セグメントはマウスのゲノム内の異なる遺伝子座に存在する(例えば、第1の軽鎖対立遺伝子に第1のヒトVセグメント、および第2の軽鎖対立遺伝子に第2のヒトVセグメントを含み、第1のヒトVセグメントと第2のヒトVセグメントが同一ではないヘテロ接合体)。一部の実施形態では、2つのヒトV遺伝子セグメントはヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントである。一実施形態では、ヒトJ遺伝子セグメントは、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、Jκ5、およびこれらの対での組合せからなる群から選択される。種々の実施形態では、提供される遺伝子操作されたマウスは、内因性V遺伝子セグメントを含有する免疫グロブリン軽鎖を発現することができない。例えば、一部の実施形態では、提供される遺伝子操作されたマウスは、内因性V遺伝子セグメントの一部または全部が不活化され、かつ/または除去される遺伝子改変を含有する。
一実施形態では、単一のヒトV遺伝子セグメントは、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、およびJκ5から選択されるヒトJ遺伝子セグメントに作動可能に連結しており、単一のヒトV遺伝子セグメントは、軽鎖可変領域遺伝子をコードする配列が形成されるように1つまたは複数のヒトJ遺伝子セグメントのいずれかと共に再構成することが可能である。
一実施形態では、提供される遺伝子改変マウスは、免疫グロブリン軽鎖遺伝子が形成されるように再構成することが可能な内因性マウスV遺伝子セグメントを含まない免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を含み、V遺伝子座は、軽鎖遺伝子のV領域をコードするように再構成することが可能な単一のヒトV遺伝子セグメントを含有する。特定の実施形態では、ヒトV遺伝子セグメントは、ヒトVκ1-39Jκ5遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20Jκ1遺伝子セグメントである。一部の実施形態では、提供される遺伝子改変マウスは、免疫グロブリン軽鎖遺伝子が形成されるように再構成することが可能な内因性マウスV遺伝子セグメントを含まないV遺伝子座を含み、V遺伝子座は、軽鎖遺伝子のV領域をコードするように再構成することが可能な2つ以下のヒトV遺伝子セグメントを含む。いくつかのある特定の実施形態では、2つ以下のヒトV遺伝子セグメントは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメント、ヒトVκ3-20遺伝子セグメント、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一部のある特定の実施形態では、2つ以下のヒトV遺伝子セグメントはヒトVκ1-39Jκ5遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20Jκ1遺伝子セグメントである。
一態様では、免疫グロブリン軽鎖のヒトVドメインをコードする単一の再構成された(V/J)ヒト免疫グロブリン軽鎖可変(V)領域(すなわち、V/J領域)を含む遺伝子改変マウスが提供される。別の態様では、マウスは、免疫グロブリン軽鎖のヒトVドメインをコードすることができる2つ以下の再構成されたヒトV領域を含む。
一実施形態では、V領域は、再構成されたヒトVκ1-39/J配列または再構成されたヒトVκ3-20/J配列である。一実施形態では、再構成されたV/J配列のヒトJセグメントは、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、およびJκ5から選択される。特定の実施形態では、V領域は、ヒトVκ1-39Jκ5配列またはヒトVκ3-20Jκ1配列である。特定の実施形態では、マウスはヒトVκ1-39Jκ5配列およびヒトVκ3-20Jκ1配列の両方を有する。
一実施形態では、ヒトV遺伝子セグメントは、ヒトまたはマウスリーダー配列に作動可能に連結している。一実施形態では、リーダー配列はマウスリーダー配列である。特定の実施形態では、マウスリーダー配列はマウスVκ3-7リーダー配列である。特定の実施形態では、リーダー配列は、再構成されていないヒトV遺伝子セグメントに作動可能に連結している。特定の実施形態では、リーダー配列は、再構成されたヒトV/J配列に作動可能に連結している。
一実施形態では、V遺伝子セグメントは、免疫グロブリンプロモーター配列に作動可能に連結している。一実施形態では、プロモーター配列はヒトプロモーター配列である。特定の実施形態では、ヒト免疫グロブリンプロモーターはヒトVκ3-15プロモーターである。特定の実施形態では、プロモーターは、再構成されていないヒトV遺伝子セグメントに作動可能に連結している。特定の実施形態では、プロモーターは、再構成されたヒトV/J配列に作動可能に連結している。
一実施形態では、軽鎖遺伝子座は、5’側(V遺伝子セグメントの転写方向に対して)がヒト免疫グロブリンプロモーターに隣接し、3’側が、ヒトJセグメントと共に再構成されたヒトV遺伝子セグメントに隣接するリーダー配列を含み、内因性マウス軽鎖定常領域(C)を含むリバースキメラ軽鎖のVドメインをコードする。特定の実施形態では、V遺伝子セグメントはマウスVκ遺伝子座にあり、マウスCはマウスCκである。
一実施形態では、軽鎖遺伝子座は、5’側(V遺伝子セグメントの転写方向に対して)がヒト免疫グロブリンプロモーターに隣接し、3’側が再構成されたヒトV領域(V/J配列)に隣接するリーダー配列を含み、内因性マウス軽鎖定常領域(C)を含むリバースキメラ軽鎖のVドメインをコードする。特定の実施形態では、再構成されたヒトV/J配列はマウスカッパ(κ)遺伝子座にあり、マウスCはマウスCκである。
一実施形態では、改変マウスのV遺伝子座はκ軽鎖遺伝子座であり、κ軽鎖遺伝子座は、マウスκイントロンエンハンサー、マウスκ3’エンハンサーまたはイントロンエンハンサーと3’エンハンサーの両方を含む。
一実施形態では、マウスは、非機能的な免疫グロブリンラムダ(λ)軽鎖遺伝子座を含む。特定の実施形態では、λ軽鎖遺伝子座は、遺伝子座の1つまたは複数の配列の欠失を含み、1つまたは複数の欠失により、λ軽鎖遺伝子座は、再構成して軽鎖遺伝子を形成することができない。別の実施形態では、λ軽鎖遺伝子座のV遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全てが欠失している。
一実施形態では、マウスにより、ヒトV遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したVドメインを含む軽鎖が作製される。一実施形態では、軽鎖は、ヒトV遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したVドメイン、およびマウスCκ領域を含む。一実施形態では、マウスはλ軽鎖を発現しない。
一実施形態では、遺伝子改変マウスは、ヒトV領域配列を体細胞超変異させることができる。特定の実施形態では、マウスは、再構成可能であり、VドメインをコードするヒトV遺伝子セグメントに由来する再構成された免疫グロブリン軽鎖遺伝子を含む細胞を含み、再構成された免疫グロブリン軽鎖遺伝子は、体細胞変異したVドメインを含む。
一実施形態では、マウスは、マウスCκと連結した、体細胞変異したヒトVドメインを含む軽鎖を発現する細胞を含み、軽鎖はヒトV遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したVドメインを含む重鎖と結合しており、重鎖はマウス重鎖定常領域(C)を含む。特定の実施形態では、重鎖は、マウスC1、マウスヒンジ、マウスC2、およびマウスC3を含む。特定の実施形態では、重鎖は、ヒトC1、ヒンジ、マウスC2、およびマウスC3を含む。
一実施形態では、マウスは、内因性マウスV遺伝子セグメントの、1つまたは複数のヒトV遺伝子セグメントでの置き換えを含み、ヒトV遺伝子セグメントはマウスC領域遺伝子に作動可能に連結しており、その結果、マウスは、ヒトV遺伝子セグメントを再構成し、ヒトVドメインおよびマウスCを含むリバースキメラ免疫グロブリン重鎖を発現する。一実施形態では、再構成されていないマウスV遺伝子セグメントの90-100%が少なくとも1つの再構成されていないヒトV遺伝子セグメントで置き換えられている。特定の実施形態では、内因性マウスV遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全てが少なくとも1つの再構成されていないヒトV遺伝子セグメントで置き換えられている。一実施形態では、置き換えは、少なくとも19個、少なくとも39個または少なくとも80個または81個の再構成されていないヒトV遺伝子セグメントによるものである。一実施形態では、置き換えは、少なくとも12個の機能的な再構成されていないヒトV遺伝子セグメント、少なくとも25個の機能的な再構成されていないヒトV遺伝子セグメントまたは少なくとも43個の機能的な再構成されていないヒトV遺伝子セグメントによるものである。一実施形態では、マウスは、マウスDおよびJセグメントの全ての、少なくとも1つの再構成されていないヒトDセグメントおよび少なくとも1つの再構成されていないヒトJセグメントでの置き換えを含む。一実施形態では、少なくとも1つの再構成されていないヒトDセグメントは、1-1、D1-7、1-26、2-8、2-15、3-3、3-10、3-16、3-22、5-5、5-12、6-6、6-13、7-27、およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、少なくとも1つの再構成されていないヒトJセグメントは、1、2、3、4、5、6、およびこれらの組合せから選択される。特定の実施形態では、1つまたは複数のヒトV遺伝子セグメントは、1-2、1-8、1-24、1-69、2-5、3-7、3-9、3-11、3-13、3-15、3-20、3-23、3-30、3-33、3-48、3-53、4-31、4-39、4-59、5-51、6-1ヒトV遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択される。
一実施形態では、マウスは、目的の抗原に特異的に結合する結合タンパク質を発現するB細胞を含み、結合タンパク質はヒトVκ1-39/Jκ5再構成またはヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来する軽鎖を含み、細胞は1-69、2-5、3-13、3-23、3-30、3-33、3-53、4-39、4-59、および5-51遺伝子セグメントから選択されるヒトV遺伝子セグメントの再構成に由来する再構成された免疫グロブリン重鎖遺伝子を含む。一実施形態では、1つまたは複数のヒトV遺伝子セグメントは、1、2、3、4、5、および6から選択されるヒト重鎖J遺伝子セグメントと共に再構成される。一実施形態では、1つまたは複数のヒトVおよびJ遺伝子セグメントは、1-1、1-7、1-26、2-8、2-15、3-3、3-10、3-16、3-22、5-5、5-12、6-6、6-13、および7-27から選択されるヒトD遺伝子セグメントと共に再構成される。特定の実施形態では、軽鎖遺伝子は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つまたはそれ超の体細胞超変異を有する。
一実施形態では、マウスは、2-5/6-6/1、2-5/3-22/1、3-13/6-6/5、3-23/2-8/4、3-23/3-3/4、3-23/3-10/4、3-23/6-6/4、3-23/7-27/4、3-30/1-1/4、3-30/1-7/4、3-30/3-3/3、3-30/3-3/4、3-30/3-22/5、3-30/5-5/2、3-30/5-12/4、3-30/6-6/1、3-30/6-6/3、3-30/6-6/4、3-30/6-6/5、3-30/6-13/4、3-30/7-27/4、3-30/7-27/5、3-30/7-27/6、3-33/1-7/4、3-33/2-15/4、4-39/1-26/3、4-59/3-16/3、4-59/3-16/4、4-59/3-22/3、5-51/3-16/6、5-51/5-5/3、5-51/6-13/5、3-53/1-1/4、1-69/6-6/5、および1-69/6-13/4から選択されるV/D/J領域を含む再構成された免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子配列を含むB細胞を含む。特定の実施形態では、B細胞は、マウス重鎖定常領域と融合したヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、およびマウス軽鎖定常領域と融合したヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む結合タンパク質を発現する。
一実施形態では、再構成されたヒトV領域はヒトVκ1-39Jκ5配列であり、マウスは、(i)マウスC、および(ii)1-2、1-8、1-24、1-69、2-5、3-7、3-9、3-11、3-13、3-15、3-20、3-23、3-30、3-33、3-48、3-53、4-31、4-39、4-59、5-51、6-1ヒトV遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択されるヒトV遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したヒトVドメインを含むリバースキメラ重鎖と結合した、(i)ヒトV/J配列に由来するVドメイン、および(ii)マウスCを含むリバースキメラ軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、体細胞変異した軽鎖を発現する。一実施形態では、CはマウスCκである。特定の実施形態では、ヒトV遺伝子セグメントは、2-5、3-13、3-23、3-30、4-59、5-51、および1-69遺伝子セグメントから選択される。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトVドメインは、1-1、1-7、2-8、3-3、3-10、3-16、3-22、5-5、5-12、6-6、6-13、および7-27から選択されるDセグメントに由来する配列を含む。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトVドメインは、1、2、3、4、5、および6から選択されるJセグメントに由来する配列を含む。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトVドメインは、2-5/6-6/1、2-5/3-22/1、3-13/6-6/5、3-23/2-8/4、3-23/3-3/4、3-23/3-10/4、3-23/6-6/4、3-23/7-27/4、3-30/1-1/4、3-30/1-7/4、3-30/3-3/4、3-30/3-22/5、3-30/5-5/2、3-30/5-12/4、3-30/6-6/1、3-30/6-6/3、3-30/6-6/4、3-30/6-6/5、3-30/6-13/4、3-30/7-27/4、3-30/7-27/5、3-30/7-27/6、4-59/3-16/3、4-59/3-16/4、4-59/3-22/3、5-51/5-5/3、1-69/6-6/5、および1-69/6-13/4から選択される再構成されたヒトV/D/J配列によりコードされる。
一実施形態では、再構成されたヒトV領域はヒトVκ3-20Jκ1配列であり、マウスは、(i)マウスC、および(ii)1-2、1-8、1-24、1-69、2-5、3-7、3-9、3-11、3-13、3-15、3-20、3-23、3-30、3-33、3-48、3-53、4-31、4-39、4-59、5-51、6-1ヒトV遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択されるヒトV遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したヒトVを含むリバースキメラ重鎖と結合した、(i)再構成されたヒトV/J配列に由来するVドメイン、および(ii)マウスCを含むリバースキメラ軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、体細胞変異した軽鎖を発現する。一実施形態では、CはマウスCκである。特定の実施形態では、ヒトV遺伝子セグメントは、3-30、3-33、3-53、4-39、および5-51遺伝子セグメントから選択される。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトVドメインは、1-1、1-7、1-26、2-15、3-3、3-16、および6-13から選択されるDセグメントに由来する配列を含む。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトVドメインは、3、4、5、および6から選択されるJセグメントに由来する配列を含む。特定の実施形態では、体細胞変異したヒトVドメインは、3-30/1-1/4、3-30/3-3/3、3-33/1-7/4、3-33/2-15/4、4-39/1-26/3、5-51/3-16/6、5-51/6-13/5、および3-53/1-1/4から選択される再構成されたヒトV/D/J配列によりコードされる。
一実施形態では、マウスは、再構成されたヒトVκ1-39Jκ5配列および再構成されたヒトVκ3-20Jκ1配列の両方を含み、マウスは、(i)マウスC、および(ii)1-2、1-8、1-24、1-69、2-5、3-7、3-9、3-11、3-13、3-15、3-20、3-23、3-30、3-33、3-48、3-53、4-31、4-39、4-59、5-51、6-1ヒトV遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択されるヒトV遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したヒトVを含むリバースキメラ重鎖と結合した(i)ヒトVκ1-39Jκ5配列またはヒトVκ3-20Jκ1配列に由来するVドメインおよび(ii)マウスCを含むリバースキメラ軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、体細胞変異した軽鎖を発現する。一実施形態では、CはマウスCκである。
一実施形態では、内因性の再構成されていないマウスV遺伝子セグメントの90-100%が少なくとも1つの再構成されていないヒトV遺伝子セグメントで置き換えられている。特定の実施形態では、内因性の再構成されていないマウスV遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全てが少なくとも1つの再構成されていないヒトV遺伝子セグメントで置き換えられている。一実施形態では、置き換えは、少なくとも18個、少なくとも39個、少なくとも80個または81個の再構成されていないヒトV遺伝子セグメントによるものである。一実施形態では、置き換えは、少なくとも12個の機能的な再構成されていないヒトV遺伝子セグメント、少なくとも25個の機能的な再構成されていないヒトV遺伝子セグメントまたは少なくとも43個の再構成されていないヒトV遺伝子セグメントによるものである。
一実施形態では、遺伝子改変マウスはC57BL系統であり、特定の実施形態では、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、およびC57BL/Olaから選択される。特定の実施形態では、遺伝子改変マウスは、上述の129系統と上述のC57BL/6系統との混合である。別の特定の実施形態では、マウスは、上述の129系統の混合または上述のBL/6系統の混合である。特定の実施形態では、混合の129系統は、129S6(129/SvEvTac)系統である。
一実施形態では、マウスは、マウスCκおよび再構成されたヒトVκ1-39Jκ5配列または再構成されたヒトVκ3-20Jκ1配列に由来する体細胞変異したヒトVドメインを含む軽鎖、ならびにマウスCおよび1-2、1-8、1-24、1-69、2-5、3-7、3-9、3-11、3-13、3-15、3-20、3-23、3-30、3-33、3-48、3-53、4-31、4-39、4-59、5-51、および6-1ヒトV遺伝子セグメントから選択されるヒトV遺伝子セグメントに由来する体細胞変異したヒトVドメインを含む重鎖を含むリバースキメラ抗体を発現し、マウスは完全マウス抗体を発現せず、完全ヒト抗体も発現しない。一実施形態では、マウスは、内因性マウスκ軽鎖遺伝子セグメントの、再構成されたヒトVκ1-39Jκ5配列または再構成されたヒトVκ3-20Jκ1配列での置き換えを含み、内因性マウスV遺伝子セグメンの全てまたは実質的に全ての、ヒトV遺伝子セグメントの完全なまたは実質的に完全なレパートリーでの置き換えを含むκ軽鎖遺伝子座を含む。
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ1-39/Jκ5再構成またはヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来する軽鎖遺伝子を含み、抗体が、1-2、1-3、1-8、1-18、1-24、1-46、1-58、1-69、2-5、2-26、2-70、3-7、3-9、3-11、3-13、3-15、3-16、3-20、3-21、3-23、3-30、3-33、3-43、3-48、3-53、3-64、3-72、3-73、4-31、4-34、4-39、4-59、5-51、および6-1ヒトV遺伝子セグメントから選択されるヒトV遺伝子セグメントの再構成に由来する再構成された免疫グロブリン重鎖遺伝子を含む抗体の集団が提供される。一実施形態では、1つまたは複数のヒトV遺伝子セグメントは、1、2、3、4、5、および6から選択されるヒト重鎖J遺伝子セグメントと共に再構成される。特定の実施形態では、軽鎖は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つまたはそれ超の体細胞超変異を有する。
一実施形態では、軽鎖は、1つ、2つ、3つまたは4つの体細胞超変異を有する。一実施形態では、軽鎖遺伝子は1つまたは2つの変異を有する。種々の実施形態では、軽鎖遺伝子は、その配列にそって多数の変異を受けることができる。
一実施形態では、軽鎖が、ヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、軽鎖は少なくとも1つまたは4つ以下の体細胞超変異を有する。一実施形態では、軽鎖は少なくとも2つの体細胞超変異を含む。一実施形態では、軽鎖は少なくとも3つの体細胞超変異を含む。一実施形態では、軽鎖は少なくとも4つの体細胞超変異を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのそのような体細胞超変異は軽鎖の1つまたは複数のフレームワーク領域(FW)に存在する。特定の実施形態では、少なくとも1つのそのような体細胞超変異は軽鎖の1つまたは複数の相補性(complementarity)決定領域(CDR)に存在する。特定の実施形態では、少なくとも1つのそのような体細胞超変異は軽鎖の1つもしくは複数のFWおよび/または1つもしくは複数のCDRに存在する。種々の実施形態では、フレームワーク領域は、フレームワーク1(FW1)、フレームワーク2(FW2)、フレームワーク3(FW3)、および/またはその組合せから選択される。種々の実施形態では、CDRは、CDR1、CDR2、CDR3、および/またはその組合せから選択される。
一実施形態では、重鎖は1つもしくは複数のFWまたは1つもしくは複数のCDRに少なくとも1つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも1つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも2つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも3つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも4つの変異を含む。一実施形態では、重鎖は1つまたは複数のFWおよび1つまたは複数のCDRに少なくとも5つまたは5つ超の変異を含み、特定の実施形態では、重鎖は2つのFWに少なくとも5つまたは5つ超の変異を含み、特定の実施形態では、重鎖は1つのFWおよび1つのCDRに少なくとも5つまたは5つ超の変異を含む。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約9%がFW1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも9%がFW1に存在する1つの変異を含む。一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約25%がCDR1に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも19%がCDR1に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも5%がCDR1に存在する2つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約20%がFW2に存在する少なくとも1つまたは3つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも17%がFW2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がFW2に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がFW2に存在する3つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約10%がCDR2に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも10%がCDR2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がCDR2に存在する2つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約29%がFW3に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも21%がFW3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも5%がFW3に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも2%がFW3に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも2%がFW3に存在する4つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約37%がCDR3に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも27%がCDR3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも8%がCDR3に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がCDR3に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも1%がCDR3に存在する4つの変異を有する。
一実施形態では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来する軽鎖を含み、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約9%がFW1に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約25%がCDR1に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約20%がFW2に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約10%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約29%がFW3に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ1-39/Jκ5由来の軽鎖の約37%がCDR3に存在する1つまたは複数の変異を有する抗体の集団が提供される。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約35%がFW1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも25%がFW1に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも9%がFW1に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも1%がFW1に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも1%がFW1に存在する5つ超の変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約92%がCDR1に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも92%がCDR1に存在する少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも26%がCDR1に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも44%がCDR1に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも19%がCDR1に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも3%がCDR1に存在する4つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約66%がFW2に存在する少なくとも1つまたは3つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも66%がFW2に存在する少なくとも1つ、少なくとも2つまたは少なくとも3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも35%がFW2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも23%がFW2に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも8%がFW2に存在する3つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約70%がCDR2に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも70%がCDR2に存在する少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの変異を有し、一実施形態では、少なくとも34%がCDR2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも20%がCDR2に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも12%がCDR2に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも5%がCDR2に存在する4つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約91%がFW3に存在する少なくとも1つまたは5つまでまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも91%がFW3に存在する少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたは少なくとも5つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも19%がFW3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも33%がFW3に存在する2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも22%がFW3に存在する3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも11%がFW3に存在する4つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも7%がFW3に存在する5つまたはそれ超の変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来し、重鎖の約63%がCDR3に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも63%がCDR3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも54%がCDR3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも9%がCDR3に存在する2つの変異を有する。
一実施形態では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ1-39/Jκ5再構成に由来する軽鎖を含み、重鎖の少なくとも35%がFW1に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約92%がCDR1に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約66%がFW2に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約70%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約91%がFW3に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約63%がCDR3に存在する1つまたは複数の変異を有する抗体の集団が提供される。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、軽鎖遺伝子は少なくとも1つまたは2つ以下の体細胞超変異を有し、一実施形態では、軽鎖遺伝子は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれ超の体細胞超変異を有する。特定の実施形態では、変異は、軽鎖の1つまたは複数のフレームワーク領域に存在する。特定の実施形態では、変異は、軽鎖の1つまたは複数のCDR領域に存在する。特定の実施形態では、変異は、軽鎖の1つまたは複数のフレームワーク領域および/または1つまたは複数のCDR領域に存在する。種々の実施形態では、フレームワーク領域は、フレームワーク1(FW1)、フレームワーク2(FW2)、フレームワーク3(FW3)、および/またはその組合せから選択される。
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約10%がFW1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも10%がFW1に1つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約53%がCDR1に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも27%がCDR1に1つまたは複数の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の約54%がCDR1に存在する1つまたは2つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約6%がFW2に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも6%がFW2に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも3%がFW2に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも3%がFW2に存在する2つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の少なくとも約3%がCDR2に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも3%がCDR2に1つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約17%またはそれ超がFW3に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも20%がFW3に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも17%がFW3に存在する2つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の少なくとも43%がCDR3に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも43%がCDR3に1つの変異を有する。
一実施形態では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来する軽鎖を含み、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約10%が少なくとも存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約53%がCDR1に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約6%がFW2に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約3%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約37%がFW3に存在する1つまたは複数の変異を有し、Vκ3-20/Jκ1由来の軽鎖の約43%がCDR3に存在する1つまたは複数の変異を有する抗体の集団が提供される。
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約43%がFW1に存在する少なくとも1つまたは2つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも41%がFW1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の約41%がFW1に存在する1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の約2%がFW1に存在する2つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約92%がCDR1に存在する少なくとも1つまたは4つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも43%がCDR1に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも25%がCDR1に存在する少なくとも2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも15%がCDR1に存在する少なくとも3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも10%がCDR1に存在する4つまたはそれ超の変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約46%がFW2に存在する少なくとも1つまたは3つ以下の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも34%がFW2に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも10%がFW2に存在する2つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも2%がFW2に存在する3つまたはそれ超の変異を有する。
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約84%がCDR2に存在する少なくとも1つまたは5つまでまたは5つ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも39%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも18%がCDR2に存在する2つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも21%がCDR2に存在する3つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも3%がCDR2に存在する4つまたはそれ超の変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも2%がCDR2に存在する5つまたはそれ超の変異を有する。
一実施形態では、軽鎖はヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約92%がFW3に存在する少なくとも1つまたは5つまでまたは5つ超の変異を有し、一実施形態では、軽鎖の少なくとも21%がFW3に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも20%がFW3に存在する少なくとも2つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも13%がFW3に存在する少なくとも3つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも20%がFW3に少なくとも4つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の少なくとも18%がFW3に少なくとも5つの変異を有する。
一実施形態では、軽鎖は、ヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来し、重鎖の約7%がCDR3に存在する少なくとも1つの変異を有し、一実施形態では、重鎖の約7%がCDR3に1つの変異を有する。
一実施形態では、本明細書に記載のマウスに由来する抗原特異的抗体の集団であって、抗体がヒトVκ3-20/Jκ1再構成に由来する軽鎖を含み、重鎖の約43%がFW1に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約92%がCDR1に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約46%がFW2に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約84%がCDR2に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約92%がFW3に存在する1つまたは複数の変異を有し、重鎖の約7%がCDR3に存在する1つまたは複数の変異を有する抗体の集団が提供される。
一態様では、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列から免疫グロブリン軽鎖を発現するマウスであって、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列がマウスの生殖系列に存在し、免疫グロブリン軽鎖がヒト可変配列を含むマウスが提供される。一実施形態では、マウスの生殖系列は、再構成された軽鎖配列を含むマウスのB細胞の全てに存在する全ての非代替軽鎖配列と同じVセグメントおよび同じJセグメントに由来する再構成された免疫グロブリン軽鎖配列を含む。
一実施形態では、マウスの生殖系列は、機能的な再構成されていない免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントを欠く。一実施形態では、マウスの生殖系列は、機能的な再構成されていない免疫グロブリン軽鎖J遺伝子セグメントを欠く。
一実施形態では、マウスの生殖系列は、1つ以下、2つ以下または3つ以下の再構成された(V/J)軽鎖配列を含む。
一実施形態では、再構成されたV/J配列はκ軽鎖配列を含む。特定の実施形態では、κ軽鎖配列はヒトκ軽鎖配列である。特定の実施形態では、κ軽鎖配列は、ヒトVκ1-39/J配列、ヒトVκ3-20/J配列、およびこれらの組合せから選択される。特定の実施形態では、κ軽鎖配列はヒトVκ1-39/Jκ5配列である。特定の実施形態では、κ軽鎖配列はヒトVκ3-20/Jκ1配列である。
一実施形態では、マウスは、その生殖系列内に、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列に対して5’側のマウスκイントロンエンハンサー、マウスκ3’エンハンサー、およびこれらの組合せから選択される配列をさらに含む。
一実施形態では、マウスは、再構成されていないヒトV遺伝子セグメント、再構成されていないヒトD遺伝子セグメント、および再構成されていないヒトJ遺伝子セグメントを含み、前記V、D、およびJ遺伝子セグメントは、再構成して重鎖定常遺伝子配列に作動可能に連結した免疫グロブリン重鎖可変遺伝子配列を形成することができる。一実施形態では、マウスは、複数のヒトV、D、およびJ遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態では、内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、内因性マウスV、D、およびJ遺伝子セグメントをヒトV、D、およびJ遺伝子セグメントに置き換えている。特定の実施形態では、マウスは、機能的なマウスV、D、およびJ遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全ての、機能的なヒトV、D、およびJ遺伝子セグメントの全てまたは実質的に全てでの置き換えを含む。
一実施形態では、マウスは、マウス定常配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、ヒト定常配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する。
一実施形態では、マウスは、C1配列、ヒンジ配列、C2配列、C3配列、およびこれらの組合せから選択されるマウス配列を含む免疫グロブリン重鎖を発現する。
一実施形態では、マウスは、C1配列、ヒンジ配列、C2配列、C3配列、およびこれらの組合せから選択されるヒト配列を含む免疫グロブリン重鎖を発現する。
一実施形態では、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列は、内因性マウス免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にある。特定の実施形態では、内因性マウス免疫グロブリン軽鎖遺伝子座において、マウス軽鎖V配列およびJ配列の全てまたは実質的に全てをマウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列に置き換えている。
一態様では、単一のヒトV遺伝子セグメントおよび単一のヒトJ遺伝子セグメントから生成される再構成された軽鎖遺伝子を含む非代替軽鎖配列を含む各B細胞によって特徴付けられるB細胞集団を含むマウスであって、マウスの生殖系列内の軽鎖可変配列のみが単一のヒトVセグメントおよび単一のヒトJセグメントから生成される再構成された配列であり、再構成された軽鎖遺伝子を含む各B細胞はコグネイトヒト重鎖可変ドメインをコードする遺伝子をさらに含み、再構成された軽鎖遺伝子は少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの体細胞超変異を含むマウスが提供される。
一部の実施形態では、成熟B細胞集団が、各成熟B細胞が表面上に非代替軽鎖配列を含み、その配列が2つのヒトV遺伝子セグメントのうちの1つおよび5つ以下のヒトJ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する再構成された軽鎖遺伝子を含むという点で特徴付けられるマウスであって、マウスの生殖系列内の軽鎖可変配列(V配列)のみが2つのヒトV遺伝子セグメントのうちの1つおよび5つ以下のヒトJ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する再構成された配列であり、再構成された軽鎖遺伝子を含む各B細胞がコグネイトヒト重鎖可変ドメインをコードする遺伝子をさらに含み、再構成された軽鎖遺伝子が少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたは5つまたはそれ超の体細胞超変異を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、再構成された軽鎖遺伝子は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの体細胞超変異を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスは目的の抗原を用いて免疫されており、一部の実施形態では、成熟B細胞集団は目的の抗原に結合するB細胞が富化されている。
一部の実施形態では、成熟B細胞集団が、各成熟B細胞が表面上に非代替軽鎖配列を含み、その配列が2つのヒトV遺伝子セグメントのうちの1つおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する再構成された軽鎖遺伝子を含という点で特徴付けられるマウスであって、V遺伝子セグメントが、同一ではない2つのV遺伝子セグメントから本質的になり、V遺伝子座が、2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ遺伝子セグメントを含み、再構成された軽鎖遺伝子を含む各B細胞が、コグネイトヒト重鎖可変ドメインをコードする遺伝子をさらに含み、再構成された軽鎖遺伝子が、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたは5つまたはそれ超の体細胞超変異を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、再構成された軽鎖遺伝子は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの体細胞超変異を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスは目的の抗原を用いて免疫されており、一部の実施形態では、成熟B細胞集団は目的の抗原に結合するB細胞が富化されている。
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来する多能性細胞、人工多能性細胞または全能性細胞が提供される。特定の実施形態では、細胞はマウス胚性幹(ES)細胞である。
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来する組織が提供される。一実施形態では、組織は、本明細書に記載のマウスの脾臓、リンパ節または骨髄に由来する。
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来する核が提供される。一実施形態では、核は、B細胞ではない二倍体細胞に由来する。
一態様では、本明細書に記載のマウスから単離されたマウス細胞が提供される。一実施形態では、細胞はES細胞である。一実施形態では、細胞はリンパ球である。一実施形態では、リンパ球はB細胞である。一実施形態では、B細胞は、ヒト遺伝子セグメントに由来する可変ドメインを含むキメラ重鎖、および再構成されたヒトVκ1-39/J配列、再構成されたヒトVκ3-20/J配列、またはこれらの組合せに由来する軽鎖を発現し、重鎖可変ドメインはマウス定常領域と融合しており、軽鎖可変ドメインはマウスまたはヒト定常領域と融合している。
一態様では、本明細書に記載のマウスのB細胞を用いて作製されたハイブリドーマが提供される。特定の実施形態では、B細胞は目的のエピトープを含む免疫原を用いて免疫した本明細書に記載のマウス由来のものであり、B細胞は目的のエピトープに結合する結合タンパク質を発現し、結合タンパク質は体細胞変異したヒトVドメインおよびマウスCを有し、再構成されたヒトVκ1-39Jκ5または再構成されたヒトVκ3-20Jκ1に由来するヒトVドメインおよびマウスCを有する。
一態様では、本明細書に記載のマウスに由来するドナーES細胞を含むマウス胚が提供される。
一態様では、ベクターの5’および3’マウス相同性アームの配列に関して、転写方向に5’から3’へ、5’マウス相同性アーム、ヒトまたはマウス免疫グロブリンプロモーター、ヒトまたはマウスリーダー配列、および再構成されたヒトVκ1-39Jκ5または再構成されたヒトVκ3-20Jκ1から選択されるヒトV領域、および3’マウス相同性アームを含むターゲティングベクターが提供される。一実施形態では、5’および3’相同性アームにより、マウスCκ遺伝子に対して5’側の近位に存在するエンハンサー配列に関して5’側の配列にベクターがターゲティングされる。一実施形態では、プロモーターは、ヒト免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントプロモーターである。特定の実施形態では、プロモーターはヒトVκ3-15プロモーターである。一実施形態では、リーダー配列はマウスリーダー配列である。特定の実施形態では、マウスリーダー配列はマウスVκ3-7リーダー配列である。
一態様では、上記の通りであるが、5’マウス相同性アームの代わりに、ヒトまたはマウスプロモーターの5’側に部位特異的リコンビナーゼ認識部位(SRRS)が隣接し、3’マウス相同性アームの代わりに、ヒトV領域の3’側にSRRSが隣接するターゲティングベクターが提供される。
一態様では、リバースキメラ抗体が本明細書に記載のマウスから作製され、リバースキメラ抗体は、ヒトVおよびマウスCを含む軽鎖、およびヒトVおよびマウスCを含む重鎖を含む。
一態様では、抗体を作製するための方法であって、単一細胞において、(a)ヒトC遺伝子配列と融合した、本明細書に記載の免疫したマウスの第1のV遺伝子配列、(b)ヒトC遺伝子配列と融合した、本明細書に記載の免疫したマウスのV遺伝子配列を発現させるステップ、および、(c)細胞を、完全ヒト抗体が発現するのに十分な条件下で維持し、抗体を単離するステップを含む方法が提供される。一実施形態では、細胞は、ヒトC遺伝子配列と融合した、本明細書に記載の第2の免疫したマウスの第2のV遺伝子配列を含み、第1のV遺伝子配列は第1のエピトープを認識するVドメインをコードし、第2のV遺伝子配列は第2のエピトープを認識するVドメインをコードし、第1のエピトープと第2のエピトープは同一ではない。
一態様では、エピトープ結合タンパク質を作製するための方法であって、本明細書に記載のマウスを、目的のエピトープを含む免疫原に曝露するステップ、マウスを、マウスが目的のエピトープに特異的に結合する免疫グロブリン分子を生成するのに十分な条件下で維持するステップ、および目的のエピトープに特異的に結合する免疫グロブリン分子を単離するステップを含み、エピトープ結合タンパク質が、マウスCおよび再構成されたヒトVκ1-39Jκ5または再構成されたヒトVκ3-20Jκ1由来のヒトVを含む軽鎖と結合した体細胞変異したヒトVおよびマウスCを含む重鎖を含む方法が提供される。
一態様では、第1のエピトープを認識するエピトープ結合タンパク質を発現する細胞であって、(a)ヒトヌクレオチド配列であって、ヒト免疫グロブリン軽鎖定常ドメインcDNA配列(例えば、ヒトκ定常ドメインDNA配列)と(直接またはリンカーを通じて)融合しており、再構成されたヒトVκ1-39Jκ5または再構成されたヒトVκ3-20Jκ1に由来するヒトVドメインをコードする、ヒトヌクレオチド配列;および(b)第1のヒトVヌクレオチド配列であって、ヒト免疫グロブリン重鎖定常ドメインcDNA配列と(直接またはリンカーを通じて)融合しており、第1のヒトVヌクレオチド配列に由来するヒトVドメインをコードする、第1のヒトVヌクレオチド配列、を含む細胞が提供される。一実施形態では、エピトープ結合タンパク質は、第1のエピトープに、10-6M未満、10-8M未満、10-9M未満、10-10M未満、10-11M未満または10-12M未満の解離定数で結合する。
一実施形態では、細胞は、第2のヒトVドメインをコードする第2のヒトヌクレオチド配列を含み、第2のヒト配列は、ヒト免疫グロブリン重鎖定常ドメインcDNA配列と融合しており(直接またはリンカーを通じて)、第2のヒトVドメインは第1のエピトープを特異的には認識せず(例えば、例えば、10-6M、10-5M、10-4Mまたはそれ超の解離定数を示す)、エピトープ結合タンパク質は第1のエピトープおよび第2のエピトープを認識し、第1の免疫グロブリン重鎖および第2の免疫グロブリン重鎖はそれぞれ(a)の同一の軽鎖と結合している。
一実施形態では、第2のVドメインは、第2のエピトープに、10-6M未満、10-7M未満、10-8M未満、10-9M未満、10-10M未満、10-11M未満または10-12M未満の解離定数で結合する。
一実施形態では、エピトープ結合タンパク質はヒトVκ1-39Jκ5またはヒトVκ3-20Jκ1から選択される再構成されたヒトV領域に由来する同一の軽鎖とそれぞれ結合した第1の免疫グロブリン重鎖および第2の免疫グロブリン重鎖を含み、第1の免疫グロブリン重鎖は第1のエピトープに、ナノモル濃度からピコモル濃度の範囲の解離定数で結合し、第2の免疫グロブリン重鎖は第2のエピトープに、ナノモル濃度からピコモル濃度の範囲の解離定数で結合し、第1のエピトープおよび第2のエピトープは同一ではなく、第1の免疫グロブリン重鎖は第2のエピトープに結合しないまたは第2のエピトープにマイクロモル濃度の範囲よりも弱い(例えば、ミリモル濃度範囲の)解離定数で結合し、第2の免疫グロブリン重鎖は第1のエピトープに結合しないまたは第1のエピトープにマイクロモル濃度の範囲よりも弱い(例えば、ミリモル濃度範囲の)解離定数で結合し、第1の免疫グロブリン重鎖のV、Vのうちの1つまたは複数、および第2の免疫グロブリン重鎖のVが体細胞変異したものである。
一実施形態では、第1の免疫グロブリン重鎖はプロテインA結合残基を含み、第2の免疫グロブリン重鎖はプロテインA結合残基を欠く。
一実施形態では、細胞は、CHO、COS、293、HeLa、およびウイルス核酸配列を発現する網膜細胞(例えば、PERC.6(商標)細胞)から選択される。
一態様では、ヒトVおよびマウス重鎖定常ドメイン、ヒトVおよびマウス軽鎖定常ドメインを含むリバースキメラ抗体であって、本明細書に記載のマウスを、エピトープを含む免疫原を用いて免疫するステップを含むプロセスによって作製され、また、マウスを免疫した免疫原のエピトープに特異的に結合するリバースキメラ抗体が提供される。一実施形態では、Vドメインは体細胞変異したものである。一実施形態では、Vドメインは体細胞変異したものである。一実施形態では、VドメインとVドメインはどちらも体細胞変異したものである。一実施形態では、VはマウスCκドメインに連結している。
一態様では、マウスであって、内因性マウス重鎖遺伝子座における全てまたは実質的に全てのマウスV遺伝子セグメントのヒトV遺伝子セグメントでの置き換え;全てのマウス軽鎖遺伝子セグメントの、再構成されたVκ1-39/Jおよび再構成されたVκ3-20/Jまたはこれらの組合せから選択される1つ以下または2つの再構成されたヒト軽鎖V/J配列での置き換えを含み、ヒト重鎖可変遺伝子セグメントがマウス定常遺伝子に連結しており、再構成されたヒト軽鎖配列がヒトまたはマウス定常遺伝子に連結しているマウスが提供される。
一部の実施形態では、内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、全てまたは実質的に全てのマウス免疫グロブリンV遺伝子セグメントをえるヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメント;全てのマウス免疫グロブリン軽鎖遺伝子セグメントを置き換える2つ以下の再構成されていないヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)の再構成されていないヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントまたは5つのヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントを含むマウスであって、ヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントがマウス免疫グロブリン定数遺伝子に連結しており、再構成されていないヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよびヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントがヒトまたは非ヒト免疫グロブリン定数遺伝子に連結しているマウスが提供される。一部の実施形態では、非ヒト定数遺伝子はマウス免疫グロブリン定数遺伝子である。一部の実施形態では、非ヒト免疫グロブリン定数遺伝子はラット免疫グロブリン定数遺伝子である。
一態様では、マウスES細胞は、全てまたは実質的に全てのマウス重鎖可変遺伝子セグメントのヒト重鎖可変遺伝子セグメントでの置き換え、および1つ以下または2つの再構成されたヒト軽鎖V/J配列を含み、ヒト重鎖可変遺伝子セグメントはマウス免疫グロブリン重鎖定常遺伝子に連結しており、再構成されたヒト軽鎖V/J配列はマウスまたはヒト免疫グロブリン軽鎖定常遺伝子に連結している。特定の実施形態では、軽鎖定常遺伝子はマウス定常遺伝子である。
一部の実施形態では、全てまたは実質的に全てのマウス免疫グロブリンV遺伝子セグメントの、ヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよび2つ以下の再構成されていないヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)の再構成されていないヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントでの置き換えを含むマウスES細胞であって、ヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントがマウス免疫グロブリン重鎖定常遺伝子に連結しており、再構成されていないヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよびヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントが非ヒトまたはヒト免疫グロブリン軽鎖定常遺伝子に連結しているマウスES細胞が提供される。一部のある特定の実施形態では、非ヒト免疫グロブリン軽鎖定常遺伝子はマウス免疫グロブリン定数遺伝子である。一部のある特定の実施形態では、マウスは、5つの再構成されていない免疫グロブリンJ遺伝子セグメントを含む。
一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、少なくとも1つ、一部の実施形態では全てのマウスV遺伝子セグメントが1つのヒトV遺伝子セグメントまたは2つ以下のヒトV遺伝子セグメントで置き換えられているという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、マウスのヒトV遺伝子セグメントは、抗体の免疫グロブリンVドメインをコードするように2つまたはそれ超のヒトJ遺伝子セグメントのうちの1つへと再構成することが可能である。一部の実施形態では、本明細書に記載のマウスの軽鎖遺伝子座のヒトV遺伝子セグメント(複数可)は、2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ遺伝子セグメントに作動可能に連結している。
一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性V遺伝子セグメントをコードする再構成前のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性J遺伝子セグメントをコードする再構成前のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性VおよびJ遺伝子セグメントをコードする再構成前のヌクレオチドを含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性V遺伝子セグメントをコードする再構成後のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性J遺伝子セグメントをコードする再構成後のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、内因性VおよびJ遺伝子セグメントをコードする再構成後のヌクレオチド配列を含有しないという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成前の2つ以下のヒトV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成前の2つ以下のヒトV遺伝子セグメントおよび5つのヒトJ遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成後の2つ以下のヒトV遺伝子セグメントおよび5つまたはそれ未満(例えば、5つ、4つ、3つ、2つまたは1つ)のヒトJ遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成後の2つ以下のヒトV遺伝子セグメントおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトJ遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成後の1つのヒトV遺伝子セグメントおよび5つまたはそれ未満(例えば、5つ、4つ、3つ、2つまたは1つ)のヒトJ遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成後の1つのヒトV遺伝子セグメントおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトJ遺伝子セグメントを含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
種々の実施形態では、ヒトV遺伝子セグメントおよびヒトJ遺伝子セグメントはヒトVκ遺伝子セグメントおよびヒトJκ遺伝子セグメントである。種々の実施形態では、ヒトVκセグメントは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントから選択される。一部の実施形態では、ヒトVκセグメントはヒトVκ1-39およびヒトVκ3-20である。一部の実施形態では、ヒトJκセグメントは、Jκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、Jκ5遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択される。一部の実施形態では、ヒトJκ遺伝子セグメントはヒトJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、およびJκ5である。
一部の実施形態では、構造が図19の参照構造の軽鎖遺伝子座とは、再構成前の図1、図2、図3または図9の構造の軽鎖遺伝子座と実質的に同じ構造を含有するという点で異なる軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、構造が再構成前の図1、図2、図3または図9の構造と同一である軽鎖遺伝子座を含むマウスが提供される。
一態様では、本明細書に記載のマウスにより作製される抗原結合タンパク質が提供される。特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、マウス定常領域と融合したヒト免疫グロブリン重鎖可変領域、およびVκ1-39遺伝子セグメントまたはVκ3-20遺伝子セグメントに由来するヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み、当該軽鎖定常領域はマウス定常領域である。
一態様では、本明細書に記載のマウス由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子配列から生じる完全ヒト抗原結合タンパク質であって、本明細書に記載のマウスの配列に由来するヒト可変領域を含む完全ヒト重鎖、およびVκ1-39またはVκ3-20を含む完全ヒト軽鎖を含む抗原結合タンパク質が提供される。一実施形態では、軽鎖可変領域は、1つ~5つの体細胞変異を含む。一実施形態では、軽鎖可変領域は、マウスのB細胞において重鎖可変領域と対合させているコグネイト軽鎖可変領域である。
一実施形態では、完全ヒト抗原結合タンパク質は第1の重鎖および第2の重鎖を含み、第1の重鎖および第2の重鎖は、それぞれ独立に、本明細書に記載のマウスに由来する同一でない可変領域を含み、第1の重鎖および第2の重鎖のそれぞれがVκ1-39遺伝子セグメントまたはVκ3-20遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖と結合して宿主細胞から発現する。一実施形態では、第1の重鎖は第1の抗原の第1のエピトープに特異的に結合する第1の重鎖可変領域を含み、第2の重鎖は第2の抗原の第2のエピトープに特異的に結合する第2の重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、第1の抗原と第2の抗原は異なる。特定の実施形態では、第1の抗原と第2の抗原は同じであり、第1のエピトープと第2のエピトープは同一ではなく、特定の実施形態では、第1のエピトープに結合タンパク質の第1の分子が結合することにより第2のエピトープへの結合タンパク質の第2の分子の結合は遮断されない。
一態様では、本明細書に記載のマウスのヒト免疫グロブリン配列に由来する完全ヒト結合タンパク質は、第1の免疫グロブリン重鎖および第2の免疫グロブリン重鎖を含み、第1の免疫グロブリン重鎖は第2の免疫グロブリン重鎖の可変領域と同一ではない第1の可変領域を含み、また、第1の免疫グロブリン重鎖は野生型プロテインA結合決定基を含み、第2の重鎖は野生型プロテインA結合決定基を欠く。一実施形態では、第1の免疫グロブリン重鎖は単離条件下でプロテインAに結合し、第2の免疫グロブリン重鎖はプロテインAに結合しないまたは第1の免疫グロブリン重鎖が単離条件下でプロテインAに結合するよりも少なくとも10分の1、100分の1または1000分の1の弱さでプロテインAに結合する。特定の実施形態では、第1の重鎖および第2の重鎖はIgG1アイソタイプであり、第2の重鎖は95R(EU435R)、96F(EU436F)、およびこれらの組合せから選択される改変を含み、第1の重鎖はそのような改変を欠く。
一態様では、二重特異性抗原結合タンパク質を作製するための方法であって、本明細書に記載の第1のマウスを第1のエピトープを含む目的の第1の抗原に曝露するステップ、本明細書に記載の第2のマウスを第2のエピトープを含む目的の第2の抗原に曝露するステップ、第1および第2のマウスにそれぞれ目的の抗原に対する免疫応答を開始させるステップ、第1のマウスにおいて目的の第1の抗原の第1のエピトープに結合する第1のヒト重鎖可変領域を同定するステップ、第2のマウスにおいて目的の第2の抗原の第2のエピトープに結合する第2のヒト重鎖可変領域を同定するステップ、目的の第1の抗原の第1のエピトープに結合する第1の重鎖をコードする第1の完全ヒト重鎖遺伝子を作製するステップ、目的の第2の抗原の第2のエピトープに結合する第2の重鎖をコードする第2の完全ヒト重鎖遺伝子を作製するステップ、第1の重鎖および第2の重鎖をヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来する単一の完全ヒト軽鎖を発現する細胞において発現させて二重特異性抗原結合タンパク質を形成するステップ、および二重特異性抗原結合タンパク質を単離するステップを含む方法が提供される。
一実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は同一ではない。
一実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は同一であり、第1のエピトープと第2のエピトープは同一ではない。一実施形態では、第1の重鎖可変領域が第1のエピトープに結合することにより第2の重鎖可変領域の第2のエピトープへの結合は遮断されない。
一実施形態では、ヒト軽鎖は、第1の重鎖と対合させている場合には第1の抗原の第1のエピトープに特異的に結合し、第2の重鎖と対合させている場合には第2の抗原の第2のエピトープに特異的に結合する。
一実施形態では、第1の抗原は可溶性抗原および細胞表面抗原(例えば、腫瘍抗原)から選択され、第2の抗原は細胞表面受容体を含む。特定の実施形態では、細胞表面受容体は免疫グロブリン受容体である。特定の実施形態では、免疫グロブリン受容体はFc受容体である。一実施形態では、第1の抗原と第2の抗原は同じ細胞表面受容体であり、第1の重鎖が第1のエピトープに結合することにより第2の重鎖の第2のエピトープへの結合は遮断されない。
一実施形態では、軽鎖の軽鎖可変ドメインは2つ~5つの体細胞変異を含む。一実施形態では、軽鎖可変ドメインは、第1の免疫したマウスまたは第2の免疫したマウスのB細胞において第1の重鎖可変ドメインまたは第2の重鎖可変ドメインのいずれかと共に発現する体細胞変異したコグネイト軽鎖である。一実施形態では、細胞の軽鎖は生殖系列配列を含む。
一実施形態では、第1の完全ヒト重鎖はプロテインAに対するその親和性を低下させるアミノ酸の改変を有し、第2の完全ヒト重鎖はプロテインAに対するその親和性を低下させる改変を含まない。
一態様では、第1および第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体を調製する方法であって、(a)第1の抗原に対して特異的である第1のヒト重鎖可変(V)ドメインをコードする第1の核酸配列を同定するステップ;(b)第2の抗原に対して特異的である第2のヒト重鎖可変(V)ドメインをコードする第2の核酸配列を同定するステップ;(c)(a)のV領域と対合させている場合には第1の抗原に特異的に結合し、(b)のV領域と対合させている場合には第2の抗原に特異的に結合するヒト軽鎖可変(V)領域をコードする第3の核酸配列をもたらすステップ;(d)第1の核酸配列、第2の核酸配列、および第3の核酸配列を含む宿主細胞を培養して、第1のヒトV領域および第2のヒトV領域およびヒトV領域を発現させて二重特異性抗体を形成するステップ;ならびに(d)前記二重特異性抗体を回収するステップを含む方法が提供される。種々の態様では、第1および第2の抗原は互いに異なる。種々の態様では、第1の核酸配列および第2の核酸配列は、マウスの生殖系列内にある再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV領域を発現する免疫したマウスから単離される。
一実施形態では、ヒトV領域は、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト軽鎖配列に由来する。特定の実施形態では、再構成されたヒト軽鎖配列は生殖系列配列である(すなわち、V遺伝子セグメント配列内に体細胞超変異を含まない)。
一実施形態では、第3の核酸配列は、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV領域を発現するマウスから単離される。一実施形態では、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列はヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態では、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列はヒトVκ1-39遺伝子セグメントを含む。一実施形態では、ヒト免疫グロブリンV領域は改変された内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現する。
一実施形態では、第1および第2の抗原は1つの分子上に存在する。一実施形態では、第1および第2の抗原は異なる分子上に存在する。種々の実施形態では、第1または第2の核酸配列は、コードされる重鎖のプロテインAに対するその親和性を低下させる改変を含む。
一実施形態では、第1の核酸配列または第2の核酸配列は、V1-2、V1-3、V1-8、V1-18、V1-24、V1-46、V1-58、V1-69、V2-5、V2-26、V2-70、V3-7、V3-9、V3-11、V3-13、V3-15、V3-20、V3-21、V3-23、V3-30、V3-33、V3-43、V3-48、V3-53、V3-64、V3-72、V3-73、V4-31、V4-34、V4-39、V4-59、V5-51、およびV6-1から選択されるヒト重鎖遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト重鎖可変領域配列を含む。特定の実施形態では、重鎖遺伝子セグメントはV2-5、V3-23またはV3-30である。
一態様では、第1および第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体を調製する方法であって、(a)第1の抗原に対して特異的である第1のヒト重鎖可変(V)ドメインをコードする第1の核酸配列を同定するステップ;(b)第2の抗原に対して特異的である第2のヒト重鎖可変(V)ドメインをコードする第2の核酸配列を同定するステップ;(c)(a)のV領域と対合させている場合には第1の抗原に特異的に結合し、(b)のV領域と対合させている場合には第2の抗原に特異的に結合するヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖可変(V)領域をコードする第3の核酸配列をもたらすステップ;(d)第1の核酸配列、第2の核酸配列、および第3の核酸配列を含む宿主細胞を培養して、第1のヒトV領域および第2のヒトV領域およびヒトV領域を発現させて二重特異性抗体を形成するステップ;ならびに(d)前記二重特異性抗体を回収するステップを含む方法が提供される。種々の態様では、第1の抗原と第2の抗原は互いに異なる。種々の態様では、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来する再構成された免疫グロブリン配列由来のヒト免疫グロブリンV領域を発現する免疫したマウスから第1の核酸配列および第2の核酸配列を単離し、また、当該再構成されたヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはVκ3-30遺伝子セグメントはマウスの生殖系列内にある。
一実施形態では、第3の核酸配列は生殖系列配列である(すなわち、V遺伝子セグメント配列内に体細胞超変異を含まない)。一実施形態では、第3の核酸配列は、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来するヒト免疫グロブリンV領域を発現するマウスから単離される。特定の実施形態では、第3の核酸配列は、相補性決定領域(CDR)および/またはフレームワーク領域(FWR)内に2つ~5つの体細胞超変異を含む。一実施形態では、ヒト免疫グロブリンV領域は改変された内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現する。
一実施形態では、第1および第2の抗原は1つの分子上に存在する。一実施形態では、第1および第2の抗原は異なる分子上に存在する。一実施形態では、第1または第2の核酸配列は、コードされる重鎖のプロテインAに対するその親和性を低下させる改変を含む。
一実施形態では、第1の核酸配列または第2の核酸配列は、V1-2、V1-3、V1-8、V1-18、V1-24、V1-46、V1-58、V1-69、V2-5、V2-26、V2-70、V3-7、V3-9、V3-11、V3-13、V3-15、V3-20、V3-21、V3-23、V3-30、V3-33、V3-43、V3-48、V3-53、V3-64、V3-72、V3-73、V4-31、V4-34、V4-39、V4-59、V5-51、およびV6-1から選択されるヒト重鎖遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト重鎖可変領域配列を含む。特定の実施形態では、重鎖遺伝子セグメントはV2-5、V3-23またはV3-30である。
一態様では、二重特異性抗体を作製するための方法であって、本明細書に記載のマウスを目的の抗原に曝露するステップ、マウスに目的の抗原に対する免疫応答を開始させるステップ、目的の抗原の第1のエピトープに結合する第1のヒト重鎖可変領域を同定するステップ、目的の抗原の第2のエピトープに結合する第2のヒト重鎖可変領域を同定するステップ、目的の抗原の第1のエピトープに結合する第1の重鎖をコードする第1の完全ヒト重鎖遺伝子を作製するステップ、目的の抗原の第2のエピトープに結合する第2の重鎖をコードする第2の完全ヒト重鎖遺伝子を作製するステップ、第1の重鎖および第2の重鎖をヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来する単一の完全ヒト軽鎖を発現する細胞において発現させて二重特異性抗体を形成するステップ、および二重特異性抗原結合タンパク質を単離するステップを含む方法が提供される。
一実施形態では、第1のエピトープと第2のエピトープは同一ではない。一実施形態では、第1の重鎖可変領域が第1のエピトープに結合することにより第2の重鎖可変領域の第2のエピトープへの結合は遮断されない。一実施形態では、第1の重鎖および第2の重鎖は、第1のエピトープと第2のエピトープに同時に結合することができる。
一実施形態では、二重特異性抗体は第1のエピトープと第2のエピトープに同時に結合する。一実施形態では、二重特異性抗体は第1のエピトープと第2のエピトープにそれぞれ独立に結合する。
一実施形態では、二重特異性抗体の抗原に対する結合応答は第1の重鎖可変領域の抗原に対する結合応答の約2倍高い。一実施形態では、二重特異性抗体の抗原に対する結合応答は第2の重鎖可変領域の抗原に対する結合応答の約2倍高い。一実施形態では、二重特異性抗体の抗原に対する結合応答は第1の重鎖可変領域および/または第2の重鎖可変領域の抗原に対する結合応答とほぼ同じであるまたはほぼ等しい。
一実施形態では、抗原は、可溶性抗原、細胞表面抗原(例えば、腫瘍抗原)および細胞表面受容体から選択される。特定の実施形態では、細胞表面受容体は免疫グロブリン受容体である。特定の実施形態では、免疫グロブリン受容体はFc受容体である。
一実施形態では、軽鎖の軽鎖可変ドメインは2つ~5つの体細胞変異を含む。一実施形態では、軽鎖可変ドメインは、第1の重鎖可変ドメインまたは第2の重鎖可変ドメインのいずれかとともに、免疫したマウスのB細胞において発現する体細胞変異したコグネイト軽鎖である。
一実施形態では、第1の完全ヒト重鎖はプロテインAに対するその親和性を低下させるアミノ酸の改変を有し、第2の完全ヒト重鎖はプロテインAに対するその親和性を低下させる改変を含まない。
種々の実施形態では、二重特異性抗体を作製するための方法は、二重特異性抗体の各重鎖可変領域との対合に共通の軽鎖を使用することにより増強される。種々の実施形態では、本明細書に記載の共通の軽鎖を使用することにより、元のコグネイト軽鎖を使用することと比較して、二重特異性を欠く不適切な種の免疫グロブリンの数が減少する。種々の実施形態では、共通の軽鎖を含む単一特異性抗体から二重特異性抗体の重鎖可変領域を同定する。種々の実施形態では、二重特異性抗体の重鎖可変領域は、ヒト重鎖とコグネイトである限定されたヒト軽鎖レパートリーまたは単一のヒト軽鎖を発現するように予め操作された(engineered)マウスB細胞内にin vivoで再構成されたヒト重鎖可変遺伝子セグメントを含み、目的の抗原での曝露に応答して、可能性のあるヒト軽鎖可変領域の1つまたは2つのうちの1つとコグネイトである複数のヒト重鎖可変領域を含有するキメラ抗体レパートリーを生じ、当該キメラ抗体が目的の抗原に特異的である。
種々の態様では、二重特異性抗体を調製する方法であって、二重特異性抗体が、1)第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドであって、該第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドが二量体を形成することを可能にする多量体形成ドメイン(例えば、免疫グロブリンFcドメイン)をそれぞれが含み、多量体形成ドメインにより第1のポリペプチドと第2のポリペプチドの間の安定な相互作用が促進され、多量体形成ドメインのうちの一方がプロテインAに対するその親和性を低下させるアミノ酸の改変を有し、他方の多量体形成ドメインが当該改変を欠く第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチド、2)第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドのそれぞれの結合ドメインであって、各結合ドメインが可変重鎖および可変軽鎖を含み、第1のポリペプチドの可変軽鎖および第2のポリペプチドの可変軽鎖が共通のアミノ酸配列を有し、共通の配列がポリペプチドのそれぞれの元の軽鎖に対して少なくとも80%の、少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%および最も好ましくは100%の配列同一性を有する結合ドメインを含む方法が提供される。種々の実施形態では、可変軽鎖は、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来する。種々の実施形態では、可変軽鎖は再構成されたヒト軽鎖配列である。種々の実施形態では、可変軽鎖は本明細書に記載のマウスから単離される。
種々の実施形態では、方法は、(i)第1のポリペプチド、第2のポリペプチド、および共通の軽鎖をコードする核酸を含む宿主細胞を培養するステップであって、当該核酸を発現させるステップ;および(ii)二重特異性抗体を宿主細胞培養物から回収するステップを含み、一実施形態では、第1のポリペプチドをコードする核酸または第2のポリペプチドをコードする核酸はプロテインAに対するその親和性を低下させるアミノ酸の改変を有する。一実施形態では、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド、および共通の軽鎖をコードする核酸は単一のベクターまたは別々のベクターに存在する。一実施形態では、前述の段落に従って、宿主細胞を使用して二重特異性抗体を作製する。
一態様では、二重特異性抗体を調製する方法であって、(a)本明細書に記載のマウスから単離された第1のヒト重鎖可変領域をコードする第1の核酸を選択するステップ;(b)本明細書に記載の同じまたは別のマウスから単離された第2のヒト重鎖可変領域をコードする第2の核酸を選択するステップ;(c)本明細書に記載のマウスから単離されたまたは本明細書に記載の再構成されたヒト軽鎖可変領域に由来するヒト軽鎖可変領域をコードする第3の核酸をもたらすステップ;(c)第1の核酸、第2の核酸および第3の核酸を宿主細胞に導入し、第1の核酸、第2の核酸および第3の核酸の発現が起こるように宿主細胞を培養するステップ;ならびに(d)形成された二重特異性抗体を細胞培養物から回収するステップを含む方法が提供される。
一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域および第2のヒト重鎖可変領域は体細胞変異したものである。特定の実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域および第2のヒト重鎖可変領域は、それぞれ独立に、1-2、1-3、1-8、1-18、1-24、1-46、1-58、1-69、2-5、2-26、2-70、3-7、3-9、3-11、3-13、3-15、3-16、3-20、3-21、3-23、3-30、3-33、3-43、3-48、3-53、3-64、3-72、3-73、4-31、4-34、4-39、4-59、5-51、および6-1ヒトV遺伝子セグメントから選択される再構成されたヒトV遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域および第2のヒト重鎖可変領域は、それぞれ独立に、2-5、3-30および3-23から選択される再構成されたヒトV遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域はヒトV2-5遺伝子セグメントに由来し、第2のヒト重鎖可変領域はヒトV3-30遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域はヒトV3-30遺伝子セグメントに由来し、第2のヒト重鎖可変領域はヒトV3-23遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、第1のヒト重鎖可変領域はヒトV3-23遺伝子セグメントに由来し、第2のヒト重鎖可変領域はヒトV3-30遺伝子セグメントに由来する。
一実施形態では、第1の核酸または第2の核酸をステップ(c)の前に、プロテインAに対する親和性が低下するように改変する。
一実施形態では、第3の核酸は、本明細書に記載のマウスから単離される。一実施形態では、第3の核酸は2つ~5つの体細胞変異を含む。一実施形態では、第3の核酸は、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖可変領域をコードする。一実施形態では、第3の核酸は、ヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖可変領域をコードする。
一実施形態では、第3の核酸は、再構成されたヒト軽鎖可変領域に由来する。一実施形態では、再構成されたヒト軽鎖可変領域は、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来する配列を含む。一実施形態では、再構成されたヒト軽鎖可変領域は、生殖系列ヒトVκ1-39配列を含む(すなわち、V遺伝子セグメント配列内に体細胞超変異を含まない)。一実施形態では、再構成されたヒト軽鎖可変領域は、生殖系列ヒトVκ3-20配列を含む。
種々の実施形態では、生殖系列内に再構成ヒト軽鎖配列を欠く改変マウスに由来する可変ドメインを含む第1のヒト重鎖が組み入れられる二重特異性抗体を調製する方法であって、第1のヒト重鎖を、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来する再構成されたヒト軽鎖可変領域を含むコグネイトヒト軽鎖と対合させる方法が提供される。種々の実施形態では、第1のヒト重鎖とは特異性が異なる第2のヒト重鎖を本明細書に記載の免疫したマウスから同定する。2種の重鎖および共通の軽鎖をコードする核酸を、前述の段落に記載の通り、3つの鎖全ての発現が起こるように宿主細胞に導入し、二重特異性抗体を細胞培養物から回収する。
一実施形態では、マウスを、第1のヒト重鎖可変ドメインを生成するために使用したものと同じ抗原を用いて免疫する。一実施形態では、マウスを、第1のヒト重鎖可変ドメインを生成するために使用したものとは異なる抗原を用いて免疫する。
一態様では、二重特異性抗体をコードする核酸および当該核酸を含む宿主細胞を含めた、二重特異性抗体を作製するために単一のヒト軽鎖と対合させることができるヒト重鎖を選択する方法が提供される。
一態様では、細胞培養物中の所望の二重特異性抗体の量を単一特異性抗体などの望ましくない産物を上回って増加させる方法であって、二重特異性抗体の重鎖の1つを、プロテインAに対する親和性が低下するように改変する方法が提供される。
一態様では、単離された宿主細胞であって、(a)第1の抗原に結合する第1のヒト重鎖可変領域をコードする第1の核酸配列であって、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV領域を発現する、第1の抗原を用いて免疫したマウスから単離された第1の核酸配列;(b)第2の抗原に結合する第2のヒト重鎖可変領域をコードする第2の核酸配列であって、マウスの生殖系列内の再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV領域を発現する、第2の抗原を用いて免疫したマウスから単離された第2の核酸配列;(c)(a)の重鎖可変領域と対合させている場合には第1の抗原に特異的に結合し、(b)の重鎖可変領域と対合させている場合には第2の抗原に特異的に結合するヒト軽鎖可変領域をコードする第3の核酸配列を含む宿主細胞が提供される。
種々の態様では、第1および第2の抗原は互いに異なる。種々の態様では、第1、第2および第3の核酸配列の発現により、第1および第2の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体の形成がもたらされる。
一実施形態では、ヒトV領域は、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト軽鎖配列に由来する。特定の実施形態では、再構成されたヒト軽鎖配列は生殖系列配列である(すなわち、可変ドメイン内に体細胞超変異を含まない)。一実施形態では、第3の核酸配列は再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒト免疫グロブリンV領域を発現するマウスから単離され、当該再構成されたヒト軽鎖配列はマウスの生殖系列に存在する。一実施形態では、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列は、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態では、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントは、相補性決定領域(CDR)またはフレームワーク領域(FWR)内に少なくとも1つの体細胞超変異を含む。特定の実施形態では、第1、第2および第3の核酸配列は、再構成された免疫グロブリン軽鎖配列からヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントに由来するヒト免疫グロブリンV領域を発現するマウスから単離され、当該再構成された免疫グロブリン軽鎖配列はマウスの生殖系列に存在する。
種々の実施形態では、マウスは、再構成して免疫グロブリン軽鎖を形成することが可能な内因性軽鎖可変領域遺伝子セグメントを含有しない。
一実施形態では、ヒト免疫グロブリンV領域は改変された内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現する。一実施形態では、第1および第2の抗原は1つの分子上に存在する。一実施形態では、第1および第2の抗原は異なる分子上に存在する。一実施形態では、第1または第2の核酸配列は、コードされる重鎖のプロテインAに対する親和性を低下させる改変を含む。
一実施形態では、第1または第2の核酸配列は、V1-2、V1-3、V1-8、V1-18、V1-24、V1-46、V1-58、V1-69、V2-5、V2-26、V2-70、V3-7、V3-9、V3-11、V3-13、V3-15、V3-20、V3-21、V3-23、V3-30、V3-33、V3-43、V3-48、V3-53、V3-64、V3-72、V3-73、V4-31、V4-34、V4-39、V4-59、V5-51、およびV6-1から選択されるヒト重鎖遺伝子セグメントを含む再構成されたヒト重鎖可変領域配列を含む。特定の実施形態では、重鎖遺伝子セグメントはV2-5、V3-23またはV3-30である。
一態様では、本発明に従って作製されたヒト重鎖可変ドメインを含む抗体または二重特異性抗体が提供される。別の態様では、完全ヒト抗体または完全ヒト二重特異性抗体を作製するための、本明細書に記載のマウスの使用が提供される。
一態様では、本明細書に記載の遺伝子改変マウス、胚または細胞は、内因性調節または制御エレメント、例えば、マウスκイントロンエンハンサー、マウスκ3’エンハンサーまたはイントロンエンハンサーと3’エンハンサーの両方を保持するκ軽鎖遺伝子座を含み、調節または制御エレメントにより、κ軽鎖遺伝子座の発現された配列の体細胞変異および親和性成熟が容易になる。
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成されたまたは再構成されていない免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントに由来する免疫グロブリン軽鎖を有することによって特徴付けられるB細胞集団を含むマウスであって、免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントの野生型相補物を含むマウスとほぼ同じκ:λ軽鎖比を示すマウスが提供される。
一実施形態では、免疫グロブリン軽鎖は、1つ以下または2つ以下の再構成された免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントに由来する。特定の実施形態では、軽鎖は、1つ以下の再構成された免疫グロブリン軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントに由来する。一実施形態では、免疫グロブリン軽鎖は2つの再構成されていない免疫グロブリンV遺伝子セグメントのうちの1つおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの免疫グロブリンJ遺伝子セグメントのうちの1つから生成される。一実施形態では、免疫グロブリン軽鎖は2つの再構成されていない免疫グロブリンV遺伝子セグメントのうちの1つおよび1つの免疫グロブリンJ遺伝子セグメントから生成される。
一態様では、1つ以下または2つ以下のヒトVκ/Jκ配列に由来する免疫グロブリン軽鎖を発現する本明細書に記載のマウスであって、全てまたは実質的に全ての内因性マウス重鎖可変領域遺伝子セグメントの、1つまたは複数のヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントでの置き換えを含み、また、(a)λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19B細胞の(b)κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19B細胞に対する比が約1~約20であるマウスが提供される。
一実施形態では、マウスはヒトVκ1-39Jκ5配列に由来する単一のκ軽鎖を発現し、λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19B細胞の、κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19B細胞に対する比は約1~約20であり、一実施形態では、当該比は約1~少なくとも約66であり、特定の実施形態では、当該比は約1~66である。
一実施形態では、マウスはヒトVκ3-20Jκ5配列に由来する単一のκ軽鎖を発現し、λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19B細胞の、κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現するCD19B細胞に対する比は約1~約20であり、一実施形態では、当該比は約1~約21である。特定の実施形態では、当該比は1~20または1~21である。
一部の実施形態では、本発明は、配列が2つのヒトVκ遺伝子セグメントのうちの1つの、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトJκ遺伝子セグメントとの再構成によって実現される配列と同一である免疫グロブリン軽鎖を発現するマウスを提供する。
一部の実施形態では、2つのヒトVκ遺伝子セグメントのうちの1つおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成により生成する免疫グロブリン軽鎖を発現するマウスであって、全てまたは実質的に全ての内因性免疫グロブリンV遺伝子セグメントの、1つまたは複数のヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメント、1つまたは複数のD遺伝子セグメント、および1つまたは複数のJ遺伝子セグメントでの置き換えを含み、(a)λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する骨髄中のB細胞の、(b)κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する骨髄中のB細胞に対する比が約1~約15であるマウスが提供される。一部の実施形態では、再構成にはヒトVκ1-39遺伝子セグメントが含まれる。一部の実施形態では、再構成にはヒトVκ3-20遺伝子セグメントが含まれる。一部の実施形態では、内因性免疫グロブリンV遺伝子セグメントの置き換えは内因性免疫グロブリンV遺伝子座に存在する。一部の実施形態では、2つのヒトVκ遺伝子セグメントは内因性免疫グロブリンVκ遺伝子座に存在し、一部の実施形態では、全てまたは実質的に全てのマウス免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントを2つのヒトVκ遺伝子セグメントに置き換えている。一部の実施形態では、2つのヒトVκ遺伝子セグメントは内因性免疫グロブリンVκ遺伝子座に存在し、一部の実施形態では、全てまたは実質的に全てのマウス免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよびJκ遺伝子セグメントを2つのヒトVκ遺伝子セグメントに置き換えている。種々の実施形態では、2つのヒトVκ遺伝子セグメントは、2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントに作動可能に連結している。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する骨髄中の未成熟B細胞の、κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する未成熟B細胞に対する比は約1~約13である。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、λ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する骨髄中の成熟B細胞の、κ軽鎖を有する免疫グロブリンを発現する未成熟B細胞に対する比は約1~約7である。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約2.5×10個、3.0×10個、3.5×10個、4.0×10個、4.5×10個、5.0×10個、5.5×10個、6.0×10個、6.5×10個、7.0×10個、7.5×10個、8.0×10個、8.5×10個、9.0×10個、9.5×10個、1.0×10個または1.5×10個を含めた、細胞約2.5×10~約1.5×10個の範囲内のプロB細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.88×10個のプロB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.42×10個のプロB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約9.16×10個のプロB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.19×10個のプロB細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的なプロB細胞は、CD19、CD43、c-kitおよび/またはその組合せの発現(例えば、CD19、CD43、c-kit)によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約1.0×10個、1.1×10個、1.2×10個、1.3×10個、1.4×10個、1.5×10個、1.6×10個、1.7×10個、1.8×10個、1.9×10個または2.0×10個を含めた、細胞約1×10~約2×10個の範囲内のプレB細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.25×10個のプレB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.46×10個のプレB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.64×10個のプレB細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.03×10個のプレB細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的なプレB細胞は、CD19、CD43、c-kitおよび/またはその組合せの発現(例えば、CD19、CD43、c-kit)によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約5.0×10個、5.1×10個、5.2×10個、5.3×10個、5.4×10個、5.5×10個、5.6×10個、5.7×10個、5.8×10個、5.9×10個、6.0×10個、6.1×10個、6.2×10個、6.3×10個、6.4×10個、6.5×10個、6.6×10個、6.7×10個、6.8×10個、6.9×10個または7.0×10個を含めた、細胞約5×10~約7×10個の範囲内の未成熟B細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約5.33×10個の未成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約5.80×10個の未成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約5.92×10個の未成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、マウスは、細胞約6.67×10個の未成熟B細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的な未成熟B細胞は、IgM、B220および/またはその組合せの発現(例えば、IgM、B220int)によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約3.0×10個、3.5×10個、4.0×10個、4.5×10個、5.0×10個、5.5×10個、6.0×10個、6.5×10個、7.0×10個、7.5×10個、8.0×10個、8.5×10個、9.0×10個、9.5×10個、1.0×10個または1.5×10個を含めた、細胞約3×10~約1.5×10個の範囲内の成熟B細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.11×10個の成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.09×10個の成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.16×10個の成熟B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.44×10個の成熟B細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的な成熟B細胞は、IgM、B220および/またはその組合せの発現(例えば、IgM、B220hi)によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントまたはヒトVκ3-20遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する軽鎖を発現し、例えば、細胞約1.0×10個、1.1×10個、1.2×10個、1.3×10個、1.4×10個、1.5×10個、1.6×10個、1.7×10個、1.8×10個、1.9×10個、2.0×10個、2.1×10個、2.2×10個、2.3×10個、2.4×10個、2.5×10個、2.6×10個、2.7×10個、2.8×10個、2.9×10個または2.0×10個を含めた、細胞約1×10~約3×10個の範囲内の総B細胞集団を骨髄中に有し、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.59×10個の総B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.75×10個の総B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.13×10個の総B細胞集団を骨髄中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.55×10個の総B細胞集団を骨髄中に含む。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの骨髄中の例示的な総B細胞は、CD19、CD20および/またはその組合せの発現(例えば、CD19)によって特徴付けられる。
一態様では、単一の再構成されたκ軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、機能的なλ軽鎖遺伝子座を含み、同じ単一の再構成されたκ軽鎖に由来するκ軽鎖を発現するIgκ細胞を含むB細胞集団を発現するマウスが提供される。一実施形態では、マウスにおけるIgκIgλB細胞のパーセントは野生型マウスにおけるものとほぼ同じである。特定の実施形態では、マウスにおけるIgκIgλB細胞のパーセントは約2~約6パーセントである。特定の実施形態では、単一の再構成されたκ軽鎖がVκ1-39Jκ5配列に由来する場合のマウスにおけるIgκIgλB細胞のパーセントは約2~約3であり、特定の実施形態では、当該パーセントは約2.6である。特定の実施形態では、単一の再構成されたκ軽鎖がVκ3-20Jκ1配列に由来する場合のマウスにおけるIgκIgλB細胞のパーセントは約4~約8であり、特定の実施形態では、当該パーセントは約6である。
一部の実施形態では、再構成されたヒト免疫グロブリンVκ/Jκ配列を含む免疫グロブリン軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、機能的な免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座を含み、約1~約8であり、一部の実施形態では約1~約5であるIgλB細胞のIgκB細胞に対する比を含む脾性B細胞集団を含むマウスが提供される。一部の実施形態では、再構成されたヒト免疫グロブリンVκ/Jκ配列は、2つのヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントのうちの1つおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントのうちの1つの再構成によって生成する。一部の実施形態では、再構成されたヒト免疫グロブリンVκ/Jκ配列は、ヒト免疫グロブリンVκ1-39遺伝子セグメントおよびJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、Jκ5、およびこれらの組合せから選択されるヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントの再構成によって生成する。一部の実施形態では、再構成されたヒト免疫グロブリンVκ/Jκ配列は、ヒト免疫グロブリンVκ3-20遺伝子セグメントおよびJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、Jκ5、およびこれらの組合せから選択されるヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントの再構成によって生成する。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約2.0×10個、2.5×10個、3.0×10個、3.5×10個、4.0×10個、4.5×10個、5.0×10個、5.5×10個、6.0×10個、6.5×10個または7.0×10個を含めた、細胞約2×10個~約7×10個の範囲内のCD19脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.74×10個のCD19脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約4.30×10個のCD19脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約5.53×10個のCD19脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.18×10個のCD19脾性B細胞集団を含む。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約1.0×10個、1.5×10個、2.0×10個、2.5×10個、3.0×10個、3.5×10個、4.0×10個を含めた、細胞約1×10~約4×10個の範囲内のCD19、IgDhi、IgMlo脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約1.30×10個のCD19、IgDhi、IgMlo脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.13×10個のCD19、IgDhi、IgMlo脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.15×10個のCD19、IgDhi、IgMlo脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.93×10個のCD19、IgDhi、IgMlo脾性B細胞集団を含む。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約9.0×10個、9.25×10個、9.5×10個、9.75×10個、1.0×10個、1.25×10個、1.50×10個、1.75×10個、2.0×10個を含めた、細胞約9×10個~約2×10個の範囲内のCD19、IgDlo、IgMhi脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約9.52×10個のCD19、IgDlo、IgMhi脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.23×10個のCD19、IgDlo、IgMhi脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.40×10個のCD19、IgDlo、IgMhi脾性B細胞集団を含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.42×10個のCD19、IgDlo、IgMhi脾性B細胞集団を含む。
一部の実施形態では、遺伝子改変マウスであって、2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)の再構成されていないヒトJκ遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、免疫グロブリンκ軽鎖V遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントの野生型相補物を含むマウスとほぼ同じ移行(例えば、T1、T2およびT3)B細胞集団を含む末梢脾性B細胞集団を含む遺伝子改変マウスが提供される。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの脾臓中の例示的な移行B細胞集団(例えば、T1、T2およびT3)は、IgM、CD23、CD93、B220および/またはその組合せの発現によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、約2.0×10個、2.5×10個、3.0×10個、3.5×10個、4.0×10個、4.5×10個、5.0×10個、5.5×10個、6.0×10個、6.5×10個または7.0×10個を含めた、細胞約2×10個~約7×10個の範囲内のT1 B細胞集団(例えば、CD93、B220、IgMhi、CD23)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.16×10個のT1 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.63×10個のT1 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約3.91×10個のT1 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.83×10個のT1 B細胞集団を脾臓中に含む。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、約1.0×10個、1.5×10個、2.0×10個、2.5×10個、3.0×10個、3.5×10個、4.0×10個、4.5×10個、5.0×10個、5.5×10個、6.0×10個、6.5×10個または7.0×10個を含めた、細胞約1×10個~約7×10個の範囲内のT2 B細胞集団(例えば、CD93、B220、IgMhi、CD23)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.30×10個のT2 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.46×10個のT2 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約3.24×10個のT2 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.52×10個のT2 B細胞集団を脾臓中に含む。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、約1.0×10個、1.5×10個、2.0×10個、2.5×10個、3.0×10個、3.5×10個または4.0×10個を含めた、細胞約1×10個~約4×10個の範囲内のT3 B細胞集団(例えば、CD93、B220、IgMlo、CD23)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.08×10個のT3 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.35×10個のT3 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約3.37×10個のT3 B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.63×10個のT1 B細胞集団を脾臓中に含む。
一部の実施形態では、遺伝子改変マウスであって、2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよびJκ遺伝子セグメントの野生型相補物を含むマウスとほぼ同じである辺縁帯および辺縁帯前駆B細胞集団(marginal zone precursor B cell population)を含む末梢脾性B細胞集団を含む遺伝子改変マウスが提供される。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの脾臓中の例示的な辺縁帯B細胞集団は、IgM、CD21/35、CD23、CD93、B220および/またはその組合せの発現によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約1.0×10個、1.5×10個、2.0×10個、2.5×10個または3.0×10個を含めた、細胞約1×10個~約3×10個の範囲内の辺縁帯B細胞集団(例えば、CD93、B220、IgMhi、CD21/35hi、CD23)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.47×10個の辺縁帯B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.49×10個の辺縁帯B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.26×10個の辺縁帯B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.33×10個の辺縁帯B細胞集団を脾臓中に含む。
一部の実施形態では、遺伝子改変マウスであって、2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよび1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含み、免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントおよびJκ遺伝子セグメントの野生型相補物を含むマウスとほぼ同じである濾胞(例えば、FO-IおよびFO-II)B細胞集団(複数可)を含む末梢脾性B細胞集団を含む遺伝子改変マウスが提供される。本明細書に記載の遺伝子改変マウスの脾臓中の例示的な濾胞B細胞集団(例えば、FO-IおよびFO-II)は、IgM、IgD、CD21/35、CD93、B220および/またはその組合せの発現によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞約3.0×10個、3.5×10個、4.0×10個、4.5×10個、5.0×10個、5.5×10個、6.0×10個、6.5×10個、7.0×10個、7.5×10個、8.0×10個、8.5×10個、9.0×10個、9.5×10個、1.0×10個または1.5×10個を含めた、細胞約3×10個~約1.5×10個の範囲内の濾胞1型B細胞集団(例えば、CD93、B220、CD21/35int、IgMlo、IgDhi)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約3.57×10個の濾胞1型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約6.31×10個の濾胞1型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約9.42×10個の濾胞1型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.14×10個の濾胞1型B細胞集団を脾臓中に含む。
一部の実施形態では、本発明のマウスは、例えば、細胞1.0×10個、1.25×10個、1.5×10個、1.75×10個または2.0×10個を含めた、細胞約1×10個~約2×10個の範囲内の濾胞2型B細胞集団(例えば、CD93、B220、CD21/35int、IgMint、IgDhi)を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.14×10個の濾胞2型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約1.45×10個の濾胞2型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、約1.80×10個の濾胞2型B細胞集団を脾臓中に含み、一部の実施形態では、本発明のマウスは、細胞約2.06×10個の濾胞2型B細胞集団を脾臓中に含む。
一態様では、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントに由来する単一の再構成されたκ軽鎖を発現し、単一の再構成されたκ軽鎖配列に由来する単一のκ軽鎖を含むB細胞集団を発現し、体細胞超変異に対して抵抗性にされていない遺伝子改変マウスが提供される。一実施形態では、マウスのB細胞において発現されるκ軽鎖の少なくとも90%が少なくとも1つ~約5つの体細胞超変異を示す。
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成されたκ軽鎖配列に由来する単一のκ軽鎖を発現するように改変された遺伝子改変マウスであって、野生型マウスによって示されるκ軽鎖の使用の、またはκ軽鎖遺伝子セグメントの野生型レパートリーを含む同じ系統のマウスによって示されるκ軽鎖の使用の約2倍もしくはそれ超、少なくとも約3倍もしくはそれ超または少なくとも約4倍もしくはそれ超のκ軽鎖の使用を示すマウスが提供される。特定の実施形態では、マウスは、1つ以下の再構成されたκ軽鎖配列から単一のκ軽鎖を発現する。その他の特定の実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1-39Jκ5配列およびVκ3-20Jκ1配列から選択される。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1-39Jκ5配列である。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ3-20Jκ1配列である。
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成されたκ軽鎖配列に由来する単一のκ軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、完全なまたは実質的に完全なヒトκ軽鎖遺伝子座を有するマウスによって示される同じκ軽鎖の使用の約100倍またはそれ超、少なくとも約200倍またはそれ超、少なくとも約300倍またはそれ超、少なくとも約400倍またはそれ超、少なくとも約500倍またはそれ超、少なくとも約600倍またはそれ超、少なくとも約700倍またはそれ超、少なくとも約800倍またはそれ超、少なくとも約900倍またはそれ超、少なくとも約1000倍またはそれ超のκ軽鎖の使用を示すマウスが提供される。特定の実施形態では、完全なまたは実質的に完全なヒトκ軽鎖遺伝子座を有するマウスは、機能的な再構成されていないマウスκ軽鎖配列を欠く。特定の実施形態では、マウスは、1つ以下の再構成されたκ軽鎖配列から単一のκ軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、再構成されたκ軽鎖配列の1つのコピー(例えば、ヘテロ接合体)を含む。一実施形態では、マウスは、再構成されたκ軽鎖配列の2つのコピーを含む(例えば、ホモ接合体)。その他の特定の実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1-39Jκ5配列およびVκ3-20Jκ1配列から選択される。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1-39Jκ5配列である。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ3-20Jκ1配列である。
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成された軽鎖配列に由来する単一の軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、該マウスにおける軽鎖が、完全なまたは実質的に完全な軽鎖遺伝子座を有するマウスによって示される同じ再構成された軽鎖の発現の少なくとも10倍~約1,000倍、100倍~約1,000倍、200倍~約1,000倍、300倍~約1,000倍、400倍~約1,000倍、500倍~約1,000倍、600倍~約1,000倍、700倍~約1,000倍、800倍~約1,000倍または900倍~約1,000倍高い発現のレベルを示す遺伝子改変マウスが提供される。一実施形態では、軽鎖はヒト配列を含む。特定の実施形態では、ヒト配列はκ配列である。一実施形態では、ヒト配列はλ配列である。一実施形態では、軽鎖は完全ヒト軽鎖である。
一実施形態では、発現レベルは、転写された軽鎖配列のmRNAを定量し、それを完全なまたは実質的に完全な軽鎖遺伝子座を有するマウスの転写された軽鎖配列と比較することによって特徴付けられる。
一態様では、1つ以下または2つ以下の再構成されたκ軽鎖配列に由来する単一のκ軽鎖を発現する遺伝子改変マウスであって、抗原を用いて免疫されると、同じ抗原を用いて免疫した野生型マウスに匹敵する血清力価を示すマウスが提供される。特定の実施形態では、マウスは、1つ以下の再構成されたκ軽鎖配列から単一のκ軽鎖を発現する。一実施形態では、血清力価は総免疫グロブリンとして特徴付けられる。特定の実施形態では、血清力価はIgM特異的力価として特徴付けられる。特定の実施形態では、血清力価はIgG特異的力価として特徴付けられる。その他の特定の実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1-39Jκ5配列およびVκ3-20Jκ1配列から選択される。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ1-39Jκ5配列である。一実施形態では、再構成されたκ軽鎖配列はVκ3-20Jκ1配列である。
一態様では、抗原特異的抗体の集団を発現する遺伝子改変マウスであって、抗原特異的抗体の集団の免疫グロブリン軽鎖の全てが同じ単一のヒトV遺伝子セグメントに由来するヒト軽鎖可変(V)領域を含み、免疫グロブリン重鎖が複数のヒトV遺伝子セグメントのうちの1つに由来するヒト重鎖可変(V)領域を含むマウスが提供される。
種々の実施形態では、ヒトV遺伝子セグメントは、V1-2、V1-3、V1-8、V1-18、V1-24、V1-46、V1-58、V1-69、V2-5、V2-26、V2-70、V3-7、V3-9、V3-11、V3-13、V3-15、V3-20、V3-21、V3-23、V3-30、V3-33、V3-43、V3-48、V3-53、V3-64、V3-72、V3-73、V4-31、V4-34、V4-39、V4-59、V5-51、およびV6-1から選択される。
種々の実施形態では、同じ単一のヒトV遺伝子セグメントは、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントから選択される。種々の実施形態では、免疫グロブリン軽鎖の全てが、Jκ遺伝子セグメントおよびJλ遺伝子セグメントから選択されるヒト軽鎖J(J)遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態では、ヒトJ遺伝子セグメントは、ヒトJκ1遺伝子セグメントおよびヒトJκ5遺伝子セグメントから選択される。種々の実施形態では、マウスは、マウス免疫グロブリンV遺伝子セグメント、マウス免疫グロブリンJ遺伝子セグメント、およびこれらの組合せから選択される配列を欠く。種々の実施形態では、ヒトV領域は、ヒト、マウス、またはラット免疫グロブリン軽鎖定常(C)領域に作動可能に連結している。特定の実施形態では、ヒトV領域はマウスCκ領域に作動可能に連結している。特定の実施形態では、ヒトV領域はラットCκ領域に作動可能に連結している。
種々の実施形態では、ヒトV領域は、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現する。種々の実施形態では、ヒトV領域は、ヒト、マウス、またはラット免疫グロブリン重鎖定常(C)領域に作動可能に連結している。種々の実施形態では、(C)領域は、C1、ヒンジ、C2、C3、C4、および/またはその組合せから選択されるヒト配列を含む。種々の実施形態では、ヒトV領域は、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座から発現する。
一態様では、単一の軽鎖と結合した複数の免疫グロブリン重鎖を発現する遺伝子改変マウスが提供される。一実施形態では、重鎖はヒト配列を含む。種々の実施形態では、ヒト配列は、可変配列、C1、ヒンジ、C2、C3、およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、単一の軽鎖はヒト配列を含む。種々の実施形態では、ヒト配列は、可変配列、定常配列、およびこれらの組合せから選択される。一実施形態では、マウスは、機能しない内因性免疫グロブリン遺伝子座を含み、導入遺伝子または染色体外エピソームから重鎖および/または軽鎖を発現する。一実施形態では、マウスは、内因性マウス遺伝子座において一部もしくは全ての内因性マウス重鎖遺伝子セグメント(すなわち、V、D、J)、および/または一部もしくは全ての内因性マウス重鎖定常配列(例えば、C1、ヒンジ、C2、C3、またはこれらの組合せ)、および/または一部もしくは全ての内因性マウス軽鎖配列(例えば、V、J、定常、またはこれらの組合せ)の、1つまたは複数のヒト免疫グロブリン配列での置き換えを含む。
一態様では、同じ軽鎖を有する抗体の作製に適したマウスであって、該マウスにおいて作製する全てまたは実質的に全ての抗体が同じ軽鎖とともに発現するマウスが提供される。一実施形態では、軽鎖は内因性軽鎖遺伝子座から発現する。
一態様では、ヒト抗体のための軽鎖を作製するための方法であって、本明細書に記載のマウスから軽鎖配列および重鎖配列を得るステップ、およびヒト抗体の作製において当該軽鎖配列および重鎖配列を使用するステップを含む方法が提供される。一実施形態では、ヒト抗体は二重特異性抗体である。
一態様では、本明細書に記載の操作された軽鎖と共に目的の抗原と結合することができるヒト重鎖可変ドメインを同定するための方法であって、抗原に結合することができる第1の抗体に由来する重鎖可変ドメインをもたらすステップ、重鎖可変ドメインを生殖系列軽鎖配列と再対合させ(repairing)、細胞をトランスフェクトし、したがって、それぞれが発現して第2の抗体を形成するステップ、第2の抗体を抗原に曝露するステップ、および第2の抗体の抗原への結合を測定するステップを含む方法が提供される。
一実施形態では、第1の抗体の軽鎖はヒトVκ1-39配列を含む。一実施形態では、第1の抗体の軽鎖はヒトVκ3-20配列を含む。一実施形態では、生殖系列軽鎖配列はヒトVκ1-39配列またはヒトVκ3-20配列を含む。種々の実施形態では、第2の抗体の抗原への結合を第1の抗体の抗原への結合との比較によって決定する。
別段の指定がある場合または文脈から明らかである場合を除き、本明細書に記載されている実施形態および態様はいずれも互いと併せて使用することができる。以下の記載を精査することで他の実施形態が当業者には明らかである。
図1は、内因性マウス免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子セグメントをヒトVκ1-39Jκ5遺伝子領域で置き換えるためのターゲティング戦略を例示する図である。
図2は、内因性マウス免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子セグメントをヒトVκ3-20Jκ1遺伝子領域で置き換えるためのターゲティング戦略を例示する図である。
図3は、内因性マウス免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子セグメントをヒトVpreB/Jλ5遺伝子領域で置き換えるためのターゲティング戦略を例示する図である。
図4は、野生型マウス(WT)、操作された再構成されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖領域についてホモ接合性のマウス(Vκ1-39Jκ5HO)および操作された再構成されたヒトVκ3-20Jκ1軽鎖領域についてホモ接合性のマウス(Vκ3-20Jκ1HO)についての、末梢血由来のCD19B細胞のパーセント(y軸)を示すグラフである。
図5Aは、内因性VκおよびJκ遺伝子セグメントの、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメント(Hκ)での置き換えについてホモ接合性のマウス、野生型マウス(WT)、および操作された再構成されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖領域についてヘテロ接合性のマウス(Vκ1-39Jκ5HET)における、操作された再構成されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖領域の接合部に特異的なプローブ(Vκ1-39Jκ5接合部プローブ)およびヒトVκ1-39遺伝子セグメントに特異的なプローブ(Vκ1-39プローブ)を使用した定量的PCRアッセイでのVκ1-39由来軽鎖の相対的なmRNAの発現(y軸)を示すグラフである。シグナルはマウスCκの発現に対して正規化されている。N.D.:検出されず。
図5Bは、内因性VκおよびJκ遺伝子セグメントの、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメント(Hκ)での置き換えについてホモ接合性のマウス、野生型マウス(WT)、および操作された再構成されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖領域についてホモ接合性のマウス(Vκ1-39Jκ5HO)における、操作された再構成されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖領域の接合部に特異的なプローブ(Vκ1-39Jκ5接合部プローブ)およびヒトVκ1-39遺伝子セグメントに特異的なプローブ(Vκ1-39プローブ)を使用した定量的PCRアッセイでのVκ1-39由来軽鎖の相対的なmRNAの発現(y軸)を示す図である。シグナルはマウスCκの発現に対して正規化されている。
図5Cは、内因性VκおよびJκ遺伝子セグメントのヒトVκおよびJκ遺伝子セグメント(Hκ)での置き換えについてホモ接合性のマウス、野生型マウス(WT)、ならびに操作された再構成されたヒトVκ3-20Jκ1軽鎖領域についてヘテロ接合性(HET)のマウスおよびホモ接合性(HO)のマウスにおける、操作された再構成されたヒトVκ3-20Jκ1軽鎖領域の接合部に特異的なプローブ(Vκ3-20Jκ1接合部プローブ)およびヒトVκ3-20遺伝子セグメントに特異的なプローブ(Vκ3-20プローブ)を使用した定量的PCRアッセイでのVκ3-20由来の軽鎖の相対的なmRNAの発現(y軸)を示すグラフである。シグナルはマウスCκの発現に対して正規化されている。
図6Aは、β-ガラクトシダーゼを用いて免疫した、野生型マウス(WT;N=2)および操作された再構成されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖領域についてホモ接合性のマウス(Vκ1-39Jκ5HO;N=2)におけるIgM力価(左側)およびIgG力価(右側)を示すグラフである。
図6Bは、β-ガラクトシダーゼを用いて免疫した、野生型マウス(WT;N=5)および操作された再構成されたヒトVκ3-20Jκ1軽鎖領域についてホモ接合性のマウス(Vκ3-20Jκ1HO;N=5)における総免疫グロブリン(IgM、IgG、IgA)力価を示すグラフである。
図7Aは、単一特異性抗体(親-1および親-2)ならびに各親単一特異性抗体由来の重鎖可変領域から構築された二重特異性抗体(二重特異性)の概略図である。二重特異性抗体における共通の軽鎖可変領域(濃くしてある)が示されている。
図7Bは、2つの親モノクローナル抗体(親-1および親-2)の目的の抗原に対する結合特性、ならびに各単一特異性親抗体由来の重鎖可変領域を共通の軽鎖と対合させることで構築された二重特異性抗体の結合特性についての概略図である。目的の抗原の2つの別個のエピトープに別々に(左下)または同時に(右下)結合する二重特異性抗体の能力が示されている。
図8は、300nMの二重特異性抗体(濃い棒)および単一特異性抗体(斜線の入った棒および灰色の棒)の、捕捉された単量体抗原E表面への結合のBIACORE(商標)単位(RU)で示す棒グラフである。モノクローナル親-1抗体(P1 Ab)、モノクローナル親-2(P2 Ab)および二重特異性抗体(BsAb)が示されている。
図9は、2つの遺伝子改変内因性免疫グロブリン軽鎖(例えば、κ軽鎖)遺伝子座を示す図である。上の遺伝子座(DLC-5J)は、2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントを含有する操作されたヒトDNA断片(斜線の入った線)を含有する。下の遺伝子座(DLC-1J)は、2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび1つのヒトJκ遺伝子セグメントを含有する操作されたヒトDNA断片(斜線の入った線)を含有する。各遺伝子座は、再構成して、内因性軽鎖定常領域(例えば、Cκ)に作動可能に連結したヒトVκ領域を形成することができる。免疫グロブリンプロモーター(遺伝子座の上の矢印)、リーダーエクソン(黒塗りの矢印)、および2つのヒトVκ遺伝子セグメント(白抜きの矢印)、それら全部の上流(5’)に隣接する(flanked)Frt組換え部位を含有するネオマイシンカセットが示されている。ヒト遺伝子セグメント(VκおよびJκ)のそれぞれを用いて操作された組換えシグナル配列が各遺伝子セグメントに近接した白抜きの楕円により示されている。
図10Aの上のパネルは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)由来の、B細胞およびT細胞(それぞれCD19およびCD3)について染色した骨髄の代表的な等高線図を示す。下のパネルは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)由来の、CD19についてゲーティングし、ckitおよびCD43について染色した骨髄の代表的な等高線図を示す。下のパネルの等高線図にはプロB細胞およびプレB細胞が示されている。
図10Bは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)の大腿骨から採取した骨髄中のプロB細胞(CD19CD43ckit)およびプレB細胞(CD19CD43ckit)の数を示すグラフである。
図11Aは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)由来の、免疫グロブリンM(IgM)およびB220について染色したシングレットについてゲーティングした骨髄の代表的な等高線図を示す。未成熟B細胞、成熟B細胞およびプロ/プレB細胞が等高線図のそれぞれに示されている。 図11Bは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)の大腿骨から単離した骨髄中のB細胞(CD19)、未成熟B細胞(B220intIgM)および成熟B細胞(B220hiIgM)の総数を示すグラフである。
図12Aは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)由来の、免疫グロブリンM(IgM)およびB220について染色したシングレットについてゲーティングした骨髄の代表的な等高線図を示す。未成熟B細胞、成熟B細胞およびプロ/プレB細胞が等高線図のそれぞれに示されている。 図12Bは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)の大腿骨から単離した、IgλおよびIgκ発現について染色した未成熟B細胞(B220intIgM)および成熟B細胞(B220hiIgM)についてゲーティングした骨髄の代表的な等高線図を示す。
図13Aの上のパネルは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)由来の、シングレットについてゲーティングし、B細胞およびT細胞(それぞれCD19およびCD3)について染色した脾細胞の代表的な等高線図を示す。下のパネルは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)由来の、CD19についてゲーティングし、免疫グロブリンD(IgD)および免疫グロブリンM(IgM)について染色した脾細胞の代表的な等高線図を示す。成熟B細胞(WTについて54、DLC-5Jについて56.9)および移行B細胞(WTについて23.6、DLC-5Jについて25.6)が等高線図のそれぞれに示されている。
図13Bは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)から採取した脾臓中のCD19B細胞、移行B細胞(CD19IgMhiIgDlo)および成熟B細胞(CD19IgMloIgDhi)の総数を示すグラフである。
図14Aは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)由来の、CD19についてゲーティングしたIgλおよびIgκ脾細胞の代表的な等高線図を示す。
図14Bは、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)から採取した脾臓中のB細胞(CD19)、IgκB細胞(CD19Igκ)およびIgλB細胞(CD19Igλ)の総数を示すグラフである。
図15Aは、2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウスにおける末梢B細胞発生を示す図を示す。第1(左端)の等高線図はCD19についてゲーティングしたCD93およびB220脾細胞を示し、これにより、未成熟B細胞(39.6)および成熟B細胞(57.8)が示されている。第2(中央上)の等高線図は未成熟B細胞におけるIgMおよびCD23発現を示し、これにより、T1 B細胞集団(33.7;IgDIgMCD21loCD23)、T2 B細胞集団(21.2;IgDhiIgMhiCD21midCD23)およびT3 B細胞集団(29.1)が示されている。第3(中央下)の等高線図は成熟B細胞のCD21(CD35)およびIgM発現を示し、これにより、辺縁帯B細胞を生じる小集団(14.8)および濾胞(FO)B細胞を生じる第2の集団(70.5)が示されている。第4(右上)の等高線図は成熟B細胞におけるB220およびCD23発現を示し、これにより、辺縁帯B細胞集団(90.5;MZ)および辺縁帯前駆B細胞集団(7.3;IgMhiIgDhiCD21hiCD23)が示されている。第5(右下)の等高線図は成熟B細胞におけるIgDおよびIgM発現を示し、これにより、FO-I B細胞集団(79.0;IgDhiIgMloCD21midCD23)およびFO-II B細胞集団(15.1;IgDhiIgMhiCD21midCD23)が示されている。各ゲーティングされた領域内の細胞の百分率が示されている。
図15Bは、野生型マウスにおける末梢B細胞発生を示す図を示す。第1(左端)の等高線図はCD19についてゲーティングしたCD93およびB220脾細胞を示し、これにより、未成熟B細胞(31.1)および成熟B細胞(64.4)が示されている。第2(中央上)の等高線図は未成熟B細胞におけるIgMおよびCD23発現を示し、これにより、T1 B細胞集団(28.5;IgDIgMCD21loCD23)、T2 B細胞集団(28.7;IgDhiIgMhiCD21midCD23)およびT3 B細胞集団(30.7)が示されている。第3(中央下)の等高線図は成熟B細胞のCD21(CD35)およびIgM発現を示し、これにより、辺縁帯B細胞を生じる小集団(7.69)および濾胞(FO)B細胞を生じる第2の集団(78.5)が示されている。第4(右上)の等高線図は成熟B細胞におけるB220およびCD23発現を示し、これにより、辺縁帯B細胞集団(79.9;MZ)および辺縁帯前駆B細胞集団(19.4;IgMhiIgDhiCD21hiCD23)が示されている。第5(右下)の等高線図は成熟B細胞におけるIgDおよびIgM発現を示し、これにより、FO-I B細胞集団(83.6;IgDhiIgMloCD21midCD23)およびFO-II B細胞集団(13.1;IgDhiIgMhiCD21midCD23)が示されている。各ゲーティングされた領域内の細胞の百分率が示されている。
図16は、野生型マウス(WT)ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)から採取した脾臓中の移行B細胞集団、辺縁帯B細胞集団および濾胞B細胞集団の総数を示すグラフである。
図17は、内因性VκおよびJκ遺伝子セグメントの、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメント(Hκ)での置き換えについてホモ接合性のマウス、野生型マウス(WT)、2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)および2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび1つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-1J)における、Vκ3-20遺伝子セグメントまたはVκ1-39遺伝子セグメントに特異的なプローブを使用した定量的PCRアッセイでの骨髄におけるVκ3-20由来軽鎖およびVκ1-39由来軽鎖の相対的なmRNAの発現(y軸)を示すグラフである。シグナルはマウスCκの発現に対して正規化されている。ND:検出されず。
図18は、内因性VκおよびJκ遺伝子セグメントの、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメント(Hκ)での置き換えについてホモ接合性のマウス、野生型マウス(WT)、2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)および2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび1つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-1J)における、Vκ3-20遺伝子セグメントまたはVκ1-39遺伝子セグメントに特異的なプローブを使用した定量的PCRアッセイでの脾臓全体におけるVκ3-20由来軽鎖およびVκ1-39由来軽鎖の相対的なmRNAの発現(y軸)を示すグラフである。シグナルはマウスCκの発現に対して正規化されている。ND:検出されず。
図19は、マウスにおける免疫グロブリンκ軽鎖対立遺伝子のV遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントの組換えおよび再構成前(上)および再構成後(下)の軽鎖遺伝子座の構造の概略図を示す。示されているそのような再構成は、いくつかの可能性のある再構成事象のうちの1つのみである。
記載されている特定の方法および実験条件は変動するので、本発明はそのような方法および条件に限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義されるので、本明細書において使用される用語法は、特定の実施形態を記載するためだけのものであり、限定的なものではないことも理解される。
別段の定義のない限り、本明細書で使用される用語および句は全て、それに反することが明示されているまたはこの用語もしくは句が使用される文脈から明らかである場合を除き、当技術分野においてその用語および句に与えられる意味を包含する。本明細書に記載の方法および材料と類似した、またはそれと等しい任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、特定の方法および材料がここに記載されている。言及されている刊行物は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ジスルフィド結合によって相互接続した2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖の4つのポリペプチド鎖を含む免疫グロブリン分子を含む。各重鎖は重鎖可変(V)領域および重鎖定常領域(C)を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、C1、C2およびC3を含む。各軽鎖は軽鎖可変(V)領域および軽鎖定常領域(C)を含む。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存的な領域が間に入る相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分することができる。VおよびVはそれぞれ、3つのCDRおよび4つのFRを含み、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(重鎖CDRはHCDR1、HCDR2およびHCDR3と省略することができ、軽鎖CDRはLCDR1、LCDR2およびLCDR3と省略することができる。「高親和性」抗体という用語は、その標的エピトープに対して約10-9Mまたはそれ未満(例えば、約1×10-9M、1×10-10M、1×10-11Mまたは約1×10-12M)のKを有する抗体を指す。一実施形態では、Kは表面プラズモン共鳴、例えば、BIACORE(商標)によって測定され、別の実施形態では、KはELISAによって測定される。
「二重特異性抗体」という句は、2つまたはそれ超のエピトープに選択的に結合することができる抗体を指す。二重特異性抗体は、2種の異なるモノクローナル抗体の断片を含み(図7A)、一般には、2種の異なるモノクローナル抗体に由来する2つの同一でない重鎖を含み、各重鎖が、2種の異なる分子上の異なるエピトープ(例えば、2種の異なる免疫原上の異なるエピトープ;図7B、左下を参照されたい)または同じ分子上の異なるエピトープ(例えば、同じ免疫原上の異なるエピトープ;図7B、右下を参照されたい)のいずれかに特異的に結合する。二重特異性抗体が2種の異なるエピトープ(第1のエピトープおよび第2のエピトープ)に選択的に結合することができる場合、第1の重鎖の第1のエピトープに対する親和性は、一般に、第1の重鎖の第2のエピトープに対する親和性よりも少なくとも1桁~2桁または3桁または4桁またはそれ超の桁低く、逆もまた同じである。二重特異性抗体が特異的に結合するエピトープは同じ標的上にあっても異なる標的上にあってもよい(例えば、同じタンパク質にあってもまたは異なるタンパク質にあってもよい;図7Bを参照されたい)。例示的な二重特異性抗体としては、腫瘍抗原に特異的な第1の重鎖および細胞傷害性マーカー、例えば、Fc受容体(例えば、FcγRI、FcγRII、FcγRIIIなど)またはT細胞マーカー(例えば、CD3、CD28など)に特異的な第2の重鎖を有するものが挙げられる。さらに、第2の重鎖可変領域は異なる所望の特異性を有する重鎖可変領域で置換することができる。例えば、二重特異性抗体は、腫瘍抗原に特異的な第1の重鎖および毒素に特異的な第2の重鎖でを対合させ、それにより、毒素(例えば、サポリン、ビンカアルカロイドなど)を腫瘍細胞に送達することができる。他の例示的な二重特異性抗体としては、活性化受容体(例えば、B細胞受容体、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIIA、FcαRI、T細胞受容体など)に特異的な第1の重鎖および阻害性受容体(例えば、FcγRIIB、CD5、CD22、CD72、CD300aなど)に特異的な第2の重鎖を有するものが挙げられる。細胞活性化に関連する治療的状態(例えば、アレルギーおよび喘息)に対してそのような二重特異性抗体を構築することができる。二重特異性抗体は、例えば、同じ免疫原または異なる免疫原の異なるエピトープを認識する重鎖を組み合わせることによって作製することができる(図7B)。例えば、同じ免疫原または異なる免疫原の異なるエピトープを認識する重鎖可変配列をコードする核酸配列を同じ重鎖定常領域または異なる重鎖定常領域をコードする核酸配列と融合することができ、そのような配列を、免疫グロブリン軽鎖を発現する細胞において発現させることができる。典型的な二重特異性抗体は、それぞれが3種の重鎖CDR、その後に(N末端からC末端へ)C1ドメイン、ヒンジ、C2ドメイン、およびC3ドメインを有する2種の重鎖、ならびに、免疫グロブリン軽鎖であって、エピトープ結合特異性は付与しないが各重鎖と結合することができるか、または各重鎖と結合することができ、かつ重鎖エピトープ結合領域が結合するエピトープのうちの1つまたは複数に結合することができるか、または各重鎖と結合することができ、かつ重鎖の一方または両方がエピトープの一方または両方に結合することを可能にする免疫グロブリン軽鎖を有する。
「細胞」という用語は、組換え核酸配列を発現させるために適した任意の細胞を包含する。細胞としては、原核生物および真核生物の細胞(単一細胞または複数の細胞)、細菌細胞(例えば、E.coli、Bacillus spp.、Streptomyces spp.の株など)、マイコバクテリア細胞、真菌細胞、酵母細胞(例えば、S.cerevisiae、S.pombe、P.pastoris、P.methanolicaなど)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、SF-9、SF-21、バキュロウイルスに感染した昆虫細胞、Trichoplusia niなど)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞または例えばハイブリドーマもしくはクアドローマなどの細胞融合物が挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、ヒト、サル、類人猿、ハムスター、ラットまたはマウスの細胞である。一部の実施形態では、細胞は真核生物の細胞であり、以下の細胞から選択される:CHO(例えば、CHO K1、DXB-11CHO、Veggie-CHO)、COS(例えば、COS-7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293 EBNA、MSR 293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC 5、Colo205、HB 8065、HL-60、(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(表皮)、CV-1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS-0、MMT060562、Sertoli細胞、BRL 3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、および上述の細胞に由来する細胞株。一部の実施形態では、細胞は、1つまたは複数のウイルス遺伝子を含む、例えば、ウイルス遺伝子を発現する網膜細胞(例えば、PER.C6(商標)細胞)である。
「相補性(complementarity)決定領域」という句または「CDR」という用語は、通常(すなわち、野生型動物において)免疫グロブリン分子(例えば、抗体またはT細胞受容体)の軽鎖または重鎖の可変領域内の2つのフレームワーク領域間に見られる生物体の免疫グロブリン遺伝子の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列を包含する。CDRは、例えば、生殖系列配列または再構成された配列もしくは再構成されていない配列によって、および、例えば、ナイーブなB細胞もしくはT細胞または成熟B細胞もしくはT細胞によってコードされ得る。CDRは、体細胞変異され得(例えば、動物の生殖系列においてコードされる配列と異なる)、ヒト化され得、かつ/またはアミノ酸の置換、付加または欠失によって改変され得る。一部の場合では(例えば、CDR3に関して)、CDRは、連続していない(例えば、再構成されていない核酸配列内では)が、B細胞核酸配列内では、例えば、配列のスプライシングまたは連結の結果として(例えば、重鎖CDR3が形成されるV-D-J組換え)連続している2つまたはそれ超の配列(例えば、生殖系列配列)によりコードされ得る。
「保存的」という用語は、保存的アミノ酸置換を記載するために使用される場合、アミノ酸残基の、化学的性質(例えば、電荷または疎水性)が類似した側鎖R基を有する別のアミノ酸残基での置換を含む。一般に、保存的アミノ酸置換により、タンパク質の目的の機能的性質、例えば、可変領域の、標的エピトープに所望の親和性で特異的に結合する能力は実質的に変化しない。化学的性質が類似した側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、脂肪族側鎖、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン;脂肪族ヒドロキシル側鎖、例えば、セリンおよびトレオニン;アミドを含有する側鎖、例えば、アスパラギンおよびグルタミン;芳香族側鎖、例えば、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン;塩基性側鎖、例えば、リシン、アルギニン、およびヒスチジン;酸性側鎖、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸;ならびに、硫黄を含有する側鎖、例えば、システインおよびメチオニンが挙げられる。保存的アミノ酸置換群としては、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン、フェニルアラニン/チロシン、リシン/アルギニン、アラニン/バリン、グルタミン酸/アスパラギン酸、およびアスパラギン/グルタミンが挙げられる。一部の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、例えばアラニンスキャニング変異誘発で使用されるように、タンパク質内の任意のネイティブな残基のアラニンでの置換であってよい。一部の実施形態では、保存的置換は、本明細書によって参照により組み込まれるGonnetら((1992年)Exhaustive Matching of the Entire
Protein Sequence Database、Science 256巻:1443~45頁)に開示されているPAM250対数尤度行列において正の値を有するように成される。一部の実施形態では、置換は、置換がPAM250対数尤度行列において負ではない値を有する、中程度に保存的な置換である。
一部の実施形態では、免疫グロブリン軽鎖または重鎖の残基の位置は1つまたは複数の保存的アミノ酸置換によって異なる。一部の実施形態では、免疫グロブリン軽鎖またはその機能性断片(例えば、例えばB細胞からの発現および分泌を可能にする断片)の残基の位置は、本明細書においてアミノ酸配列が列挙されている軽鎖と同一ではないが、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換によって異なる。
「エピトープ結合タンパク質」という句は、少なくとも1つのCDRを有し、エピトープを選択的に認識することができる、例えば、エピトープと約1マイクロモル濃度またはそれ未満(例えば、約1×10-6M、1×10-7M、1×10-9M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11Mまたは約1×10-12MのK)のKで結合することができるタンパク質を包含する。治療用エピトープ結合タンパク質(例えば、治療用抗体)にはナノモル濃度範囲またはピコモル濃度範囲のKが必要であることが多い。
「機能性断片」という句は、発現させ、分泌させることができ、エピトープにマイクロモル濃度範囲、ナノモル濃度範囲またはピコモル濃度範囲のKで特異的に結合するエピトープ結合タンパク質の断片を包含する。特異的な認識とは、少なくともマイクロモル濃度範囲、ナノモル濃度範囲またはピコモル濃度範囲のKを有することを含む。
「生殖系列」という用語は、体細胞変異していない細胞、例えば、体細胞変異していないB細胞またはプレB細胞または造血細胞内の免疫グロブリン核酸配列への言及を包含する。
「重鎖」または「免疫グロブリン重鎖」という句は、任意の生物体由来の免疫グロブリン重鎖定常領域配列を包含する。重鎖可変ドメインは、別段の指定がない限り3つの重鎖CDRおよび4つのFR領域を含む。重鎖の断片はCDR、CDRおよびFR、ならびにこれらの組合せを含む。典型的な重鎖は、可変ドメインの後に(N末端からC末端へ)、C1ドメイン、ヒンジ、C2ドメイン、およびC3ドメインを有する。重鎖の機能性断片は、エピトープを特異的に認識する(例えば、マイクロモル濃度範囲、ナノモル濃度範囲またはピコモル濃度範囲のKでエピトープを認識する)ことができ、細胞から発現させ、分泌させることができ、かつ少なくとも1つのCDRを含む断片を含む。
「同一性」という用語は、配列に関連して使用される場合、ヌクレオチド配列同一性および/またはアミノ酸配列同一性を測定するために使用することができる当技術分野で公知のいくつもの異なるアルゴリズムによって決定される同一性を包含する。本明細書に記載の一部の実施形態では、オープンギャップペナルティ10.0、伸長ギャップペナルティ0.1を使用したClustalW v.1.83(slow)アライメントを使用し、Gonnet類似度行列(MACVECTOR(商標)10.0.2、MacVector Inc.、2008年)を使用して同一性を決定する。配列の同一性に関して比較される配列の長さは特定の配列に左右されるが、軽鎖定常ドメインの場合では、当該長さは、自己会合して標準的な軽鎖定常ドメインを形成することができる、例えば、ベータ鎖を含む2つのベータシートを形成することができ、ヒトまたはマウスの少なくとも1つのC1ドメインと相互作用することができる、軽鎖定常ドメインにフォールディングされるのに十分な長さの配列を含有するべきである。C1ドメインの場合では、配列の長さは、ベータ鎖を含む2つのベータシートを形成することができ、マウスまたはヒトの少なくとも1つの軽鎖定常ドメインと相互作用することができるC1ドメインにフォールディングされるのに十分な長さの配列を含有するべきである。
「免疫グロブリン分子」という句は、2つの免疫グロブリン重鎖および2つの免疫グロブリン軽鎖を含む。重鎖は同一であっても異なってもよく、軽鎖は同一であっても異なってもよい。
「軽鎖」という句は、任意の生物体由来の免疫グロブリン軽鎖配列を包含し、別段の指定がない限り、ヒトκ軽鎖およびλ軽鎖およびVpreB、ならびに代替軽鎖を包含する。軽鎖可変(V)ドメインは、別段の指定がない限り、一般には、3つの軽鎖CDRおよび4つのフレームワーク(FR)領域を含む。一般に、全長の軽鎖は、アミノ末端からカルボキシル末端までに、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含むVドメイン、および軽鎖定常ドメインを含む。軽鎖は、例えば、それらが出現するエピトープ結合タンパク質が選択的に結合した第1のエピトープにも第2のエピトープにも選択的には結合しないものを包含する。軽鎖は、それらが出現するエピトープ結合タンパク質が選択的に結合した1つまたは複数のエピトープに結合し、それらを認識するもの、または重鎖が当該エピトープに結合し、それらを認識することを補助するものも包含する。共通の軽鎖とは、再構成されたヒトVκ1-39Jκ5配列または再構成されたヒトVκ3-20Jκ1配列に由来するものであり、体細胞変異した(例えば、親和性成熟した)バージョンを包含する。
「マイクロモル濃度範囲」という句は1~999マイクロモル濃度を意味するものとし、「ナノモル濃度範囲」という句は1~999ナノモル濃度を意味するものとし、「ピコモル濃度範囲」という句は1~999ピコモル濃度を意味するものとする。
「体細胞変異した」という句は、クラススイッチしたB細胞内の免疫グロブリン可変領域(例えば、重鎖可変ドメインまたは重鎖CDR配列もしくはFR配列を含む)の核酸配列がクラススイッチ前のB細胞内の核酸配列と同一ではない、クラススイッチを受けたB細胞由来の核酸配列、例えば、クラススイッチを受けていないB細胞とクラススイッチを受けたB細胞の間のCDRまたはフレームワーク核酸配列の差異などへの言及を包含する。「体細胞変異した」とは、B細胞内の親和性成熟していない対応する免疫グロブリン可変領域配列(すなわち、生殖系列細胞のゲノム内の配列)と同一ではない親和性成熟したB細胞由来の核酸配列への言及を包含する。「体細胞変異した」という句は、B細胞を目的のエピトープに曝露した後のB細胞由来の免疫グロブリン可変領域核酸配列への言及も包含し、当該核酸配列は、B細胞を目的のエピトープに曝露する前の対応する核酸配列とは異なる。「体細胞変異した」という句は、ヒト免疫グロブリン可変領域核酸配列を有する動物、例えばマウスにおいて免疫原による攻撃に応答して生成し、そのような動物において本質的に作用する選択プロセスによりもたらされる抗体由来の配列を指す。
「再構成されていない」という用語は、核酸配列に関しては、動物細胞の生殖系列内に存在する核酸配列を包含する。
「可変ドメイン」という句は、N末端からC末端へ(別段の指定のない限り)、以下のアミノ酸領域:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4を順に含む免疫グロブリン軽鎖または重鎖(所望の通り改変されたもの)のアミノ酸配列を包含する。
ユニバーサル軽鎖(universal light chain)
有用な多重特異性エピトープ結合タンパク質、例えば二重特異性抗体を作製するための以前の試みは、共通のパラダイムが頻繁に共有される様々な問題:ヘテロ二量体の二重特異性ヒト免疫グロブリンを対合させるための適切な形式を合理的に操作するため、または試行錯誤を通じて操作するための配列のin vitroにおける選択または処理によって妨げられている。残念ながら、in vitroにおける操作手法(engineering approach)の全てではないにしろ大多数では、全ての場合、個々の分子に適するほとんどその場限りの調整(fix)がもたらされる。他方では、複雑な生物体を使用して、ヒト治療薬をもたらすことができる適切な対合を選択するためのin vivoにおける方法は実現されていない。
マウスゲノムにランダムに挿入されたヒト免疫グロブリン遺伝子座、可変領域および定常領域を含有するマウスは当技術分野で公知である。そのようなマウスの最初の系統は、限られた数のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントを含有するものであった。特に、ヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子セグメントを含有する少数の系統は、1つ、3つまたは4つのヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよび5つのヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントを含有するものであった(Taylorら、1992年、Nucleic Acids Research 20巻(23号):6287~6295頁;Fishwildら、1996年、Nature Biotechnology14巻:845~851頁;Lonbergら、1994年、Nature368巻:856~859頁;Greenら、1994年、NatureGenetics7巻:13~21頁;GreenおよびJakobovits1998年、J.Exp.Med.188巻(3号):483~495頁;Green1999年、J.Immunol.Methods231巻:11~23頁)。ほんの少数のヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントを、マウスゲノムにランダムに挿入された完全ヒト導入遺伝子の一部として含有するこれらのマウスでは、B細胞数の減少、B細胞発生の障害および他の免疫不全が実証された。B細胞でのヒトCκの表面発現によって検出されるヒト免疫グロブリンV遺伝子の発現は、野生型と比較して、内因性κ軽鎖よりも低かった。驚いたことに、本発明は、マウスが内因性免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座において1つまたは2つのヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントを含有するように操作されている場合に関してはB細胞数および発生がほぼ野生型であるマウスを提供する(例えば、実施例2および実施例14、表3、表25および表26、ならびに図4、図10A-18)。さらに、一部の実施形態では、本発明によって提供されるマウスは、抗原に応答して、ヒトVドメインおよびVドメインを含有するいくつかの高親和性リバースキメラ抗体を生成することができ、Vドメインはそれぞれ、2つの可能性のあるヒトV遺伝子セグメントのうちの1つおよび5つの可能性のあるヒトJ遺伝子セグメントのうちの1つを含有する(例えば、実施例5-10、実施例12、および実施例14を参照されたい)。したがって、ヒト免疫グロブリン軽鎖ミニ遺伝子座(minilocus)(すなわち、限られた数のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメント)を用いて操作された予備系統の(preliminary strain)マウスとは対照的に、限られた数のヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメント(1つまたは2つ)、および一部の実施形態では2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントを含有する、現在提供される操作されたマウスは、驚いたことに、正常なB細胞数、正常な免疫グロブリン軽鎖発現、および正常なB細胞発生を示す。さらに、そのような提供されるマウスは、限定された免疫グロブリン軽鎖レパートリーの結果として、複数の抗原に対するロバストな免疫応答を開始する能力の低下も障害も示すことがない。したがって、2つ以下の再構成されていないヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメント-または2つ以下の再構成されたヒトVセグメント-を含むヒト化V遺伝子座を含み、数に関して野生型のB細胞集団を示し、野生型B細胞発生を示すマウスが提供される。
一般に、ネイティブなマウスの配列は、ヒト治療用配列の良好な供給源ではないことが多い。少なくともその理由のため、共通のヒト軽鎖と対合させるマウス重鎖免疫グロブリン可変領域の生成の実用的な有用性が限定される。さらなるin vitroにおける操作の試み(engineering effort)は、エピトープ特異性および親和性を保持することを望みながらマウス重鎖可変配列をヒト化する一方で共通のヒト軽鎖とカップリングする能力を維持しようとし、不確実な結果が伴う試行錯誤プロセスに費やされる。そのようなプロセスの最後に、最終産物は特異性および親和性の一部を維持し、共通の軽鎖と結合する可能性があるが、ヒトにおける最終的な免疫原性が恐らくきわめて大きなリスクのままになる。
したがって、ヒト治療薬を作製するために適したマウスは、内因性マウス重鎖可変領域遺伝子セグメントの代わりに、ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントの適切に大きなレパートリーを含む。ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントは、内因性マウス重鎖定常ドメインと共に再構成し、組み換えて、リバースキメラ重鎖(すなわち、ヒト可変ドメインおよびマウス定常領域を含む重鎖)を形成することができるものであるべきである。重鎖はクラススイッチおよび体細胞超変異可能であるべきである。それにより、重鎖可変ドメインの適切に大きなレパートリーをマウスが利用して、ヒト軽鎖可変領域の限定されたレパートリーと結合することができるものを選択することが可能になる。
複数の重鎖に対する共通の軽鎖を選択するマウスは実用的な有用性を有する。種々の実施形態では、共通の軽鎖のみを発現することができるマウスにおいて発現する抗体は、同一のまたは実質的に同一の軽鎖と結合し、共に発現することができる重鎖を有する。これは、二重特異性抗体の作製において特に有用である。例えば、そのようなマウスを第1の免疫原で免疫して、第1のエピトープに特異的に結合する抗体を発現するB細胞を生成することができる。当該マウス(または遺伝学的に同じマウス)を第2の免疫原で免疫して、第2のエピトープに特異的に結合する抗体を発現するB細胞を生成することができる。可変重鎖領域をB細胞からクローニングし、同じ重鎖定常領域および同じ可変軽鎖領域(例えば、共通軽鎖)と共に細胞において発現させて、二重特異性抗体を作製することができ、当該二重特異性抗体の重鎖成分は、可変軽鎖(または共通軽鎖)成分と結合し、共に発現するようにマウスにより選択されたものである。
本発明者らは、重鎖であって、その可変領域が生殖系列配列から離れた、例えば、親和性成熟したまたは体細胞変異した可変領域である重鎖を含めた、重鎖のある程度多様なファミリーと適切に対合する免疫グロブリン軽鎖を生成するためにマウスを操作した。種々の実施形態では、体細胞変異を含むヒト重鎖可変ドメインがヒト軽鎖可変ドメインに対合させ、それによって、ヒト治療薬として使用するために適した親和性の高い結合タンパク質への経路を可能にするマウスを作り出した。
遺伝子操作されたマウスは、生物体内での抗体選択の長く複雑なプロセスを通じて、ヒト重鎖可変ドメインの多様なコレクションと限られた数のヒト軽鎖選択肢の対合における生物学的に適切な選択を行う。これを実現するために、マウスを、限られた数のヒト軽鎖可変ドメイン選択肢を多様性の大きなヒト重鎖可変ドメイン選択肢と併せて提示するように操作する。免疫原を用いて攻撃すると、マウスは免疫原に対する抗体を発生させるために、主にまたはもっぱらそのレパートリーにおける数または軽鎖選択肢によって限定されるそのレパートリーにおける解の数を最大にする。種々の実施形態では、これは、マウスに、それにもかかわらず、特に体細胞変異したヒト重鎖可変ドメインを含めた比較的様々なヒト重鎖可変ドメインと適合する軽鎖可変ドメインの適切かつ適合する体細胞変異を実現させる。
軽鎖選択肢の限定されたレパートリーを実現するために、マウスを、ネイティブなマウス軽鎖可変ドメインを作製または再構成するその能力が非機能的または実質的に非機能的になるように操作する。これは、例えば、マウスの軽鎖可変領域遺伝子セグメントを欠失させることによって実現することができる。次いで、内因性マウス遺伝子座を、外因性ヒト可変領域遺伝子セグメントが内因性マウス軽鎖定常領域遺伝子と組み合わさり、再構成されたリバースキメラ軽鎖遺伝子(ヒト可変、マウス定常)が形成されるように、内因性マウス軽鎖定常ドメインに作動可能に連結した選択された外因性の適切なヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントによって改変することができる。種々の実施形態では、軽鎖可変領域は、体細胞変異可能である。種々の実施形態では、軽鎖可変領域の体細胞変異を獲得する能力を最大にするために、マウス内に適切なエンハンサー(複数可)を保持する。例えば、内因性マウスκ軽鎖遺伝子セグメントをヒトκ軽鎖遺伝子セグメントで置き換えるためのマウスκ軽鎖遺伝子座の改変では、マウスκイントロンエンハンサーおよびマウスκ3’エンハンサーを機能的に維持するまたは破壊しない。
リバースキメラ(ヒト可変、マウス定常)軽鎖の限定されたレパートリーとリバースキメラ(ヒト可変、マウス定常)重鎖の多様性を結びつけて発現する遺伝子操作されたマウスが提供される。種々の実施形態では、内因性マウスκ軽鎖遺伝子セグメントは欠失しており、内因性マウスCκ遺伝子に作動可能に連結した単一の(または2つの)再構成されたヒト軽鎖領域で置き換えられている。複数の実施形態では、再構成されたヒト軽鎖領域の体細胞超変異を最大にするために、マウスκイントロンエンハンサーおよびマウスκ3’エンハンサーを維持する。種々の実施形態では、マウスはまた、非機能的なλ軽鎖遺伝子座またはλ軽鎖遺伝子座の欠失または当該遺伝子座がλ軽鎖を作製できなくなる欠失も含む。
種々の実施形態において、内因性マウス軽鎖VおよびJ遺伝子セグメントを欠き、マウス定常領域に作動可能に連結した、再構成されたヒト軽鎖可変領域、一実施形態では再構成されたヒトV/J配列を含む軽鎖可変領域遺伝子座を含む遺伝子操作されたマウスであって、遺伝子座が体細胞超変異を受けることができ、また、マウス定常領域と連結したヒトV/J配列を含む軽鎖を発現するマウスが提供される。したがって、種々の実施形態では、遺伝子座は、マウスκ3’エンハンサーを含み、これは、体細胞超変異の正常なまたは野生型レベルと相関する。
1つまたは2つの軽鎖が、例えば1つ~5つの体細胞変異を含むヒト軽鎖可変領域を含む実施形態を含めた種々の実施形態では、遺伝子操作されたマウスは、目的の抗原を用いて免疫すると、1つまたは2つの再構成された軽鎖とともに発現し、該軽鎖とともに機能する、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域の再構成の多様性を示すB細胞を生成する。種々の実施形態では、そのように発現したヒト軽鎖は、マウスにおいて発現する任意のヒト免疫グロブリン重鎖可変領域と結合し、それとともに発現することができる。
本明細書に記載の制限された免疫グロブリン軽鎖レパートリー(例えば、単一のヒトV遺伝子セグメントまたは2つ以下のヒトV遺伝子セグメント、および、1つのヒトJ遺伝子セグメントまたは必要に応じて2つまたはそれ超のヒトJ遺伝子セグメント)を含む遺伝子操作されたマウスに加えて、本明細書では、単一のヒトV遺伝子セグメントまたは2つ以下のヒトV遺伝子セグメントを含む他の遺伝子改変非ヒト動物も提供される。一部の実施形態では、そのような非ヒト動物は、再構成されたヒトV配列で構成される単一の再構成されたヒトV領域を含む。一部の実施形態では、そのような非ヒト動物は、2つ以下のヒトV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のヒトJ遺伝子セグメントを含む。種々の実施形態では、ヒト遺伝子セグメントは、非ヒト軽鎖定常領域、例えば、マウスラット軽鎖定常領域に作動可能に連結している。
そのような非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシ、バッファロー)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)からなる群から選択することができる。適切な遺伝子改変可能なES細胞が容易に入手可能ではない非ヒト動物については、本明細書に記載の遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製するために他の方法が使用される。そのような方法は、例えば、非ES細胞ゲノム(例えば、線維芽細胞または人工多能性細胞)を改変し、改変されたゲノムを、核移植を使用して適切な細胞、例えば卵母細胞に移入し、改変された細胞(例えば、改変された卵母細胞)を非ヒト動物において適切な条件下で熟させて(gestating)胚を形成することを含む。
一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は哺乳動物である。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、例えばDipodoidea上科またはMuroidea上科の小さな哺乳動物である。一部の実施形態では、本発明の遺伝子改変動物はげっ歯類である。一部の実施形態では、本発明のげっ歯類は、マウス、ラット、およびハムスターから選択される。一部の実施形態では、本発明のげっ歯類は、Muroidea上科から選択される。一部の実施形態では、本発明の遺伝子改変動物は、Calomyscidae(例えばマウス様ハムスター(mouse-like hamster))、Cricetidae(例えば、ハムスター、新世界ラットおよび新世界マウス(New World rats and mice)、ハタネズミ)、Muridae(真性マウスおよび真性ラット(true mice and rats)、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ)、Nesomyidae(キノボリマウス(climbing mice)、イワマウス(rock mice)、オジロハムスターモドキ(with-tailed rat)、マダガスカルラットおよびマダガスカルマウス(Malagasy rats and mice))、Platacanthomyidae(例えば、トゲヤマネ)、およびSpalacidae(例えば、デバネズミ(molerates)、タケネズミ、およびモグラネズミ)から選択される科の動物に由来する。一部のある特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変げっ歯類は、真性マウスまたは真性ラット(Muridae科)、アレチネズミ、トゲマウス、およびタテガミネズミから選択される。一部のある特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変マウスはMuridae科のメンバーに由来する。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物はげっ歯類である。一部のある特定の実施形態では、本発明のげっ歯類は、マウスおよびラットから選択される。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物はマウスである。
一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、およびC57BL/Olaから選択されるC57BL系統のマウスであるげっ歯類である。一部のある特定の実施形態では、本発明のマウスは、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である系統からなる群から選択される129系統である(例えば、Festingら、1999年、MammalianGenome10巻:836頁;Auerbachら、2000年、Biotechniques29巻(5号):1024~1028頁、1030頁、1032頁を参照されたい)。一部のある特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変マウスは、上述の129系統と上述のC57BL/6系統の混合である。一部のある特定の実施形態では、本発明のマウスは、上述の129系統の混合または上述のBL/6系統の混合である。一部のある特定の実施形態では、本明細書に記載の混合の129系統は129S6(129/SvEvTac)系統である。一部の実施形態では、本発明のマウスはBALB系統、例えばBALB/c系統である。一部の実施形態では、本発明のマウスはBALB系統と別の上述の系統の混合である。
一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物はラットである。一部のある特定の実施形態では、本発明のラットはWistarラット、LEA系統、Sprague Dawley系統、Fischer系統、F344、F6、およびDark Agoutiから選択される。一部のある特定の実施形態では、本明細書に記載のラット系統は、Wistar、LEA、Sprague Dawley、Fischer、F344、F6、およびDark Agoutiからなる群から選択される2つまたはそれ超の系統の混合である。
2つ以上のエピトープに結合するエピトープ結合タンパク質
本明細書に記載の組成物および方法を使用して、2つ以上のエピトープに高親和性で結合する結合タンパク質、例えば二重特異性抗体を作製することができる。本発明の利点としては、重鎖免疫グロブリン鎖であって、そのそれぞれが単一の軽鎖と結合する、適切に高い結合性(例えば、親和性成熟した)の重鎖免疫グロブリン鎖を選択できることが挙げられる。
組換え細胞培養物から二重特異性抗体断片を作製させるためのいくつかの技法が報告されている。しかし、二重特異性結合タンパク質の合成および発現には、2種の異なる重鎖と結合し、共に発現することができる適切な軽鎖の同定に関連する問題に一部起因し、単離の問題に一部起因する問題がある。種々の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法により、成分の安定性/相互作用を増大させることによって従来の免疫グロブリン構造を維持するために特別な改変(複数可)を必要としない全長の二重特異性抗体の利点がもたらされる(図7A)。種々の実施形態では、そのような改変(複数可)は煩雑であり、二重特異性抗体技術の開発、およびヒト疾患の処置におけるそれらの潜在的使用の障害となることが判明している。したがって、種々の実施形態では、複数の特異性という性質が付加された天然の免疫グロブリン構造(すなわち、全長のもの)をもたらすことにより、全長の二重特異性抗体が以前の二重特異性断片には欠けていたそれらの重大なエフェクター機能を維持し、より長い半減期という重要な薬物動態パラメータが実証される治療薬をさらにもたらす。
本明細書に記載の方法および組成物により、遺伝子改変マウスが、他の点では天然のプロセスにより、体細胞変異した(例えば、親和性成熟した)重鎖を含めた2種以上の重鎖と結合し、共に発現することができる適切な軽鎖を選択することが可能になる。リバースキメラ重鎖(すなわち、ヒト可変およびマウス定常)を有する親和性成熟した抗体を発現する本明細書に記載の免疫したマウスの適切なB細胞由来のヒトVおよびV配列を同定し、発現ベクターに適切なヒト定常領域遺伝子配列(例えば、ヒトIgG1)と共にインフレームでクローニングすることができる。そのような構築物を2つ調製することができ、各構築物は、異なるエピトープに結合するヒト重鎖可変ドメインをコードする。生殖系列配列内のまたは配列が体細胞変異したB細胞由来のヒトVのうちの1つ(例えば、ヒトVκ1-39Jκ5またはヒトVκ3-20Jκ1)を適切なヒト定常領域遺伝子(例えば、ヒトκ定数遺伝子)とインフレームで融合することができる。これらの3つの完全ヒト重鎖構築物および軽鎖構築物を、発現させるために適切な細胞に配置することができる。当該細胞は2つの主要な種:同一の軽鎖を伴うホモ二量体重鎖、および同一の軽鎖を伴うヘテロ二量体重鎖を発現する。これらの主要な種の容易な分離を可能にするために、重鎖の1つを改変してプロテインA結合決定基を除き、それによりホモ二量体結合タンパク質のヘテロ二量体結合タンパク質からの示差的親和性をもたらす。この問題に対処する組成物および方法は、本明細書よって参照により組み込まれる、US2010/0331527A1として公開された2010年6月25日提出のUSSN12/832,838、表題「Readily Isolated Bispecific Antibodies with Native Immunoglobulin Format」に記載されている。
一態様では、本明細書に記載のエピトープ結合タンパク質であって、ヒトVおよびV配列が目的のエピトープを含む抗原を用いて免疫した本明細書に記載のマウスに由来するタンパク質が提供される。
一実施形態では、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含むエピトープ結合タンパク質であって、第1のポリペプチドが、N末端からC末端へ、第1のエピトープに選択的に結合する第1のエピトープ結合領域、その後に、IgG1、IgG2、IgG4、およびこれらの組合せから選択されるヒトIgGの第1のC3領域を含む定常領域を含み、第2のポリペプチドが、N末端からC末端へ、第2のエピトープに選択的に結合する第2のエピトープ結合領域、その後に、IgG1、IgG2、IgG4、およびこれらの組合せから選択されるヒトIgGの第2のC3領域を含む定常領域を含み、第2のC3領域が、第2のC3ドメインのプロテインAへの結合性を低下させるまたは消失させる改変を含むタンパク質が提供される。
一実施形態では、第2のC3領域は、H95R改変(IMGTエクソン番号付けによる;EU番号付けによるとH435R)を含む。別の実施形態では、第2のC3領域は、Y96F改変(IMGT;EUによるとY436F)をさらに含む。
一実施形態では、第2のC3領域は改変されたヒトIgG1に由来し、D16E、L18M、N44S、K52N、V57M、およびV82I(IMGT;EUによるとD356E、L358M、N384S、K392N、V397M、およびV422I)からなる群から選択される改変をさらに含む。
一実施形態では、第2のC3領域は改変されたヒトIgG2に由来し、N44S、K52N、およびV82I(IMGT;EUによるとN384S、K392N、およびV422I)からなる群から選択される改変をさらに含む。
一実施形態では、第2のC3領域は改変されたヒトIgG4に由来し、Q15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79Q、およびV82I(IMGT;EUによるとQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419Q、およびV422I)からなる群から選択される改変をさらに含む。
2つ以上のエピトープに結合するエピトープ結合タンパク質を作製するための1つの方法は、本発明による第1のマウスを、目的の第1のエピトープを含む抗原を用いて免疫することであり、当該マウスは軽鎖の再構成および形成が可能な内因性マウスVを含有しない内因性免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座を含み、内因性マウス免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座は、マウス内因性軽鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結した単一の再構成されたヒトV領域であり、再構成されたヒトV領域は、ヒトVκ1-39Jκ5およびヒトVκ3-20Jκ1から選択され、内因性マウスV遺伝子セグメントは、全体的にまたは部分的にヒトV遺伝子セグメントで置き換えられており、その結果、マウスにより作製される免疫グロブリン重鎖は、もっぱらまたは実質的に、ヒト可変ドメインおよびマウス定常ドメインを含む重鎖である。免疫されると、そのようなマウスは、2つのヒト軽鎖可変ドメインのうちの1つのみ(例えば、ヒトVκ1-39Jκ5またはヒトVκ3-20Jκ1のうちの1つ)を含むリバースキメラ抗体を作製する。B細胞が目的のエピトープに結合するVをコードすることが同定されたら、V(および、必要に応じてV)のヌクレオチド配列を取得し(例えば、PCRによる)、発現構築物へと適切なヒト免疫グロブリン定常ドメインとインフレームでクローニングすることができる。このプロセスを繰り返して、第2のエピトープに結合する第2のVドメインを同定することができ、第2のV遺伝子配列を取得し、発現ベクターへと第2の適切な免疫グロブリン定常ドメインにインフレームでクローニングすることができる。第1の免疫グロブリン定常ドメインと第2の免疫グロブリン定常ドメインは同アイソタイプであっても異なるアイソタイプであってもよく、免疫グロブリン定常ドメインのうちの一方は、本明細書またはUS2010/0331527A1に記載の通り改変されていてよく(しかし他方は改変されていない)、エピトープ結合タンパク質は、例えば、US2010/0331527A1に記載の通り、適切な細胞において発現させ、プロテインAに対するホモ二量体エピトープ結合タンパク質と比較したその示差的親和性に基づいて単離することができる。
一実施形態では、二重特異性エピトープ結合タンパク質を作製するための方法であって、本明細書に記載のマウス由来の第1の親和性成熟(例えば、1つまたは複数の体細胞超変異を含む)ヒトVヌクレオチド配列(V1)を同定するステップ、本明細書に記載のマウス由来の第2の親和性成熟(例えば、1つまたは複数の体細胞超変異を含む)ヒトVヌクレオチド配列(V2)を同定するステップ、重鎖1(HC1)を形成するためにV1をUS2010/0331527A1に記載のプロテインA決定基改変を欠くヒト重鎖とインフレームでクローニングするステップ、重鎖2(HC2)を形成するためにV2をUS2010/0331527A1に記載のプロテインA決定基を含むヒト重鎖とインフレームでクローニングするステップ、HC1を含む発現ベクターおよびHC2を含む同じまたは異なる発現ベクターを細胞に導入するステップであって、当該細胞が、ヒト軽鎖定常ドメインと融合したヒトVκ1-39/ヒトJκ5またはヒトVκ3-20/ヒトJκ1を含むヒト免疫グロブリン軽鎖も発現し、それにより、細胞がV1によりコードされるVドメインおよびV2によりコードされるVドメインを含む二重特異性エピトープ結合タンパク質を発現するステップ、ならびに、二重特異性エピトープ結合タンパク質を、単一特異性ホモ二量体エピトープ結合タンパク質と比較した、プロテインAに結合する示差的能力に基づいて単離するステップを含む方法が提供される。特定の実施形態では、HC1はIgG1であり、HC2は、改変H95R(IMGT;EUによるとH435R)を含み、改変Y96F(IMGT;EUによるとY436F)をさらに含むIgG1である。一実施形態では、V1によりコードされるVドメイン、V2によりコードされるVドメインまたはその両方が体細胞変異したものである。
共通ヒトVと共に発現するヒトV遺伝子
4種の異なる抗原に対して生じた親和性成熟した抗体由来の種々のヒト可変領域を、それらのコグネイト軽鎖またはヒトVκ1-39/Jκ5、ヒトVκ3-20/Jκ1またはヒトVpreB/Jλ5から選択されるヒト軽鎖の少なくとも1つのいずれかと共に発現させた(実施例1を参照されたい)。抗原のそれぞれに対する抗体について、異なる遺伝子ファミリー由来の体細胞変異した高親和性重鎖は再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5領域およびVκ3-20Jκ1領域と首尾よく対合し、重鎖および軽鎖を発現している細胞から分泌された。Vκ1-39Jκ5およびVκ3-20Jκ1については、以下のヒトV遺伝子ファミリーに由来するVドメインが好都合に発現した:1-2、1-8、1-24、2-5、3-7、3-9、3-11、3-13、3-15、3-20、3-23、3-30、3-33、3-48、4-31、4-39、4-59、5-51、および6-1。したがって、Vκ1-39Jκ5およびVκ3-20Jκ1の一方または両方由来のヒトVドメインの限定されたレパートリーを発現するように操作されたマウスは、マウスV遺伝子セグメントをヒトV遺伝子セグメントで置き換えるように改変されたV遺伝子座から体細胞変異したヒトVドメインの多様な集団を生成する。
単一の再構成された軽鎖(例えば、Vκ1-39/JまたはVκ3-20/J)と結合したリバースキメラ(ヒト可変、マウス定常)免疫グロブリン重鎖を発現するように遺伝子操作されたマウスは、目的の抗原を用いて免疫すると、ヒトV再構成の多様性を含み、抗原特異的抗体であって、抗原とそのリガンドの結合を遮断するそれらの能力に関して、および抗原のバリアントに結合するそれらの能力に関して多様な性質を有する高親和性の抗原特異的抗体の多様性を発現するB細胞を生成した(実施例5から10を参照されたい)。
したがって、本明細書に記載のマウスおよび方法は、再構成の多様性から生じる体細胞変異したヒト重鎖可変ドメイン、多種多様な親和性を示し(ほぼナノモル濃度またはそれ未満のKを示すことを含む)、多種多様な特異性を示す(同じ抗原の異なるエピトープへの結合を含む)体細胞変異したヒト重鎖可変ドメイン、および同じまたは実質的に同じヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域と結合し、共に発現する体細胞変異したヒト重鎖可変ドメインを含めたヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインの作製および選択において有用である。
共通の軽鎖を有する完全ヒト二重特異性抗体
種々の実施形態における第1のステップとして、それぞれヒト重鎖可変ドメイン(および二重特異性抗体を形成する任意のさらなる核酸配列)をコードする第1の核酸配列および第2の核酸配列を、例えば、異なるエピトープに結合できること(図7Aおよび図7Bを参照されたい)、異なる親和性を有することなどのような所望の特性を有する親モノクローナル抗体から選択する。通常、ヒト重鎖可変ドメインをコードする核酸配列は本明細書に記載の通り免疫したマウスから単離し、ヒトへの投与に適するようにヒト重鎖定常領域との融合を可能にする。二重特異性抗体にさらなる機能性を付加する変異を導入することによって行うことができる配列(複数可)へのさらなる改変を実現することができ、その改変としては、例えば、血清半減期を増加させること(例えば、U.S.7,217,797を参照されたい)および/または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性を高めること(例えば、U.S.6,737,056を参照されたい)が挙げられる。抗体の定常領域への変異の導入は当技術分野で公知である。さらに、二重特異性抗体の一部は組換えによって細胞培養物中で作製させることができ、当該分子の他の部分(複数可)は上記の技法によって作製することができる。
抗体を産生するためのいくつかの技法が記載されている。例えば、種々の実施形態では、本明細書に記載のマウスにおいてキメラ抗体を産生させる。免疫したマウスのB細胞から抗体を直接単離することができ(例えば、U.S.2007/0280945A1を参照されたい)、かつ/または免疫したマウスのB細胞を使用してハイブリドーマを作製することができる(KohlerおよびMilstein、1975年、Nature256巻:495~497頁)。本明細書に記載のマウス由来の抗体(ヒト重鎖および/または軽鎖)をコードするDNAは、従来の技法を使用して容易に単離し、配列決定することができる。本明細書に記載のマウスに由来するハイブリドーマおよび/またはB細胞はそのようなDNAの好ましい供給源として機能する。DNAを単離したら、それを発現ベクターに配置することができ、次いでそれを、そうでなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得る。DNAは、例えば、ヒト重鎖定常ドメインおよびヒト軽鎖定常ドメインのコード配列でマウス配列を置換することによって改変することもできる。
種々の実施形態では、DNAを単離し、所望の特異性/親和性を有する第1のヒト重鎖可変ドメインおよび第2のヒト重鎖可変ドメインをコードする第1の核酸配列および第2の核酸配列、ならびに、ヒト軽鎖ドメイン(再構成された生殖系列配列または本明細書に記載のマウスから単離された軽鎖配列)をコードする第3の核酸配列を選択した後、当技術分野において広範に利用可能な組換え技法を使用して、これらの分子をコードする3つの核酸配列を発現させて二重特異性抗体を形成する。多くの場合、選択される発現系は、哺乳動物細胞発現ベクターおよび宿主を伴い、したがって、二重特異性抗体は適切にグリコシル化される(例えば、グリコシル化された抗体ドメインを含む二重特異性抗体の場合)。しかし、当該分子は原核生物発現系においても産生され得る。通常、宿主細胞は単一のベクターまたは独立したベクター上の第1のヒト重鎖可変ドメイン、第2のヒト重鎖可変ドメイン、ヒト軽鎖ドメインの両者をコードするDNAで形質転換される。しかし、第1のヒト重鎖可変ドメイン、第2のヒト重鎖可変ドメイン、およびヒト軽鎖ドメイン(二重特異性抗体成分)を独立した発現系で発現させ、発現したポリペプチドをin vitroでカップリングすることが可能である。種々の実施形態では、ヒト軽鎖ドメインは生殖系列配列を含む。種々の実施形態では、ヒト軽鎖ドメインは、軽鎖ドメインの軽鎖可変配列に対して1つ以下、2つ以下、3つ以下、4つ以下または5つ以下の体細胞超変異を含む。
種々の実施形態では、2種の重鎖および単一のヒト軽鎖をコードする核酸(複数可)(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)を、さらにクローニングし(DNAの増幅)、かつ/または発現させるために、複製可能なベクターに挿入する。多くのベクターが利用可能であり、一般に、それらは、これだけに限定されないが、以下のうちの1つまたは複数を含む:シグナル配列、複製開始点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列。各成分は、個別にまたは宿主細胞の選択もしくは実験的に決定される他の基準に基づいて選択することができる。各成分のいくつかの例が当技術分野で公知である。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常、宿主生物体によって認識され、また、二重特異性抗体の成分のそれぞれまたは全てをコードする核酸配列に作動可能に連結しているプロモーターを含有する。種々の潜在的な宿主細胞によって認識される多数のプロモーターは周知である。これらのプロモーターは、供給源のDNAからプロモーターを制限酵素消化により取り出し、単離されたプロモーター配列をベクターに挿入することによって二重特異性抗体をコードするDNAに作動可能に連結される。
真核生物宿主細胞(酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞、ヒト細胞または他の多細胞生物体由来の有核細胞)に使用する発現ベクターは、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列も含有してよい。そのような配列は、一般に、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5’非翻訳領域、時には3’非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、二重特異性抗体成分をコードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。種々の実施形態のための適切な発現ベクターとしては、二重特異性抗体をコードするDNAの、哺乳動物細胞における一過性発現をもたらすものが挙げられる。一般に、一過性発現には、宿主細胞において効率的に複製することができ、その結果、宿主細胞に発現ベクターの多くのコピーが蓄積し、今度は、発現ベクターによりコードされる所望のポリペプチドが高レベルで合成されるような発現ベクターの使用が関与する。適切な発現ベクターおよび宿主細胞を含む一過性発現系により、クローニングされたDNAによりコードされるポリペプチドの都合のよい明確な同定、ならびに第1のヒト重鎖可変ドメインまたは第2のヒト重鎖可変ドメインのホモ二量体を有する親抗体と比較して、所望の結合特異性/親和性または所望のゲル移動特性を有する二重特異性抗体の迅速なスクリーニングが可能になる。
種々の実施形態では、二重特異性抗体の成分をコードするDNAを上記の所望のベクター(複数可)に集合させたら、それらを、発現させ回収するために適切な宿主細胞に導入する。宿主細胞のトランスフェクトは、選択された宿主細胞に適した当技術分野で公知の標準の技法(例えば、電気穿孔、核微量注入、インタクトな細胞との細菌プロトプラスト融合、またはポリカチオン、例えば、ポリブレン、ポリオルニチンなど)を使用して実現することができる。
種々の実施形態では、成分を含有する発現ベクターに最も適し、二重特異性抗体種の最も効率的かつ好都合な産生を可能にする宿主細胞を選択する。発現のための例示的な宿主細胞としては、原核生物および真核生物の細胞(単一細胞または複数の細胞)、細菌細胞(例えば、E.coli、Bacillus spp.、Streptomyces spp.などの株)、マイコバクテリア細胞、真菌細胞、酵母細胞(例えば、S.cerevisiae、S.pombe、P.pastoris、P.methanolicaなど)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、SF-9、SF-21、バキュロウイルスに感染した昆虫細胞、Trichoplusia niなど)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞または例えばハイブリドーマもしくはクアドローマなどの細胞融合物が挙げられる。種々の実施形態では、細胞は、ヒト細胞、サル細胞、類人猿細胞、ハムスター細胞、ラット細胞またはマウス細胞である。種々の実施形態では、細胞は、CHO(例えば、CHO K1、DXB-11 CHO、Veggie-CHO)、COS(例えば、COS-7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293 EBNA、MSR 293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC 5、Colo205、HB 8065、HL-60、(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(表皮)、CV-1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS-0、MMT060562、Sertoli細胞、BRL 3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、および上述の細胞に由来する細胞株から選択される真核細胞である。種々の実施形態では、細胞は、1つまたは複数のウイルス遺伝子を含む、例えば、ウイルス遺伝子を発現する網膜細胞(例えば、PER.C6(商標)細胞)である。
二重特異性抗体を産生させるために使用する哺乳動物宿主細胞は、種々の培地で培養することができる。ハムF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地が宿主細胞の培養に適している。培地には、必要な場合、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリンまたは上皮増殖因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、緩衝液(例えば、HEPES)、ヌクレオシド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCIN(商標))、微量元素(通常マイクロモル濃度範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)、およびグルコースまたは同等のエネルギー供給源を補充することができる。当業者に公知の通り任意の他の補充物質も適切な濃度で含めることができる。種々の実施形態では、培養条件、例えば温度、pHなどは、発現させるために選択した宿主細胞で以前に使用されたものであり、これは当業者には明らかである。
種々の実施形態では、二重特異性抗体を培養培地から分泌ポリペプチドとして回収するが、分泌シグナルを伴わずに直接産生された場合には宿主細胞溶解物から回収することもできる。二重特異性抗体が膜に結合している場合には、適切な界面活性剤溶液(例えば、トリトン-X100)を使用して膜から放出させることができる。本明細書に記載の二重特異性抗体は第1の免疫グロブリンC3ドメインおよび第2の免疫グロブリンC3ドメインの使用を伴い、第1の免疫グロブリンC3ドメインと第2の免疫グロブリンC3ドメインは少なくとも1つのアミノ酸により互いに異なり、少なくとも1つのアミノ酸の差異により、二重特異性抗体のプロテインAに対する結合性が、アミノ酸の差異を欠く二重特異性抗体と比較して低下することが好ましい(U.S.2010/0331527A1参照;参照により本明細書に組み込まれる)。一実施形態では、第1の免疫グロブリンC3ドメインはプロテインAに結合し、第2の免疫グロブリンC3ドメインは、プロテインA結合性を低下または消滅させる変異、例えばH95R改変(IMGTエクソン番号付けによる;EU番号付けによるとH435R)を含有する。第2のC3は、Y96F改変(IMGTによる;EUによるとY436F)をさらに含んでよい。第2のC3内に見いだすことができるさらなる改変としては、IgG1抗体の場合には、D16E、L18M、N44S、K52N、V57M、およびV82I(IMGTによる;EUによるとD356E、L358M、N384S、K392N、V397M、およびV422I);IgG2抗体の場合には、N44S、K52N、およびV82I(IMGT;EUによるとN384S、K392N、およびV422I);ならびにIgG4抗体の場合では、Q15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79Q、およびV82I(IMGTによる;EUによるとQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419Q、およびV422I)が挙げられる。上記の二重特異性抗体形式の変動が本発明の範囲内で意図されている。
二重特異性抗体の二重性(すなわち、1つのポリペプチドの異なるエピトープに特異的であってもよく、2つ以上の標的ポリペプチドに特異的な抗原結合ドメインを含有してもよい、図7Bを参照されたい;例えば、Tuttら、1991年、J.Immunol.147巻:60~69頁;Kuferら、2004年、TrendsBiotechnol.22巻:238~244頁も参照されたい)に起因して、二重特異性抗体には、治療への適用に対する多くの有用な利点がある。例えば、二重特異性抗体は、再指向細胞傷害性(redirected cytotoxicity)のため(例えば、腫瘍細胞を死滅させるため)、ワクチンアジュバントとして、血栓溶解剤をクロットに送達するため、酵素により活性化されるプロドラッグを標的部位(例えば、腫瘍)において変換させるため、感染症を処置するため、免疫複合体を細胞表面受容体にターゲティングするため、または免疫毒素を腫瘍細胞に送達するために使用することができる。
本明細書に記載の二重特異性抗体は、酵素イムノアッセイ、2部位イムノアッセイ、種々の疾患(例えばがん)のin vitroまたはin vivoにおける免疫診断、競合結合アッセイ、直接サンドイッチアッセイ、間接サンドイッチアッセイ、および免疫沈降アッセイなどの、いくつかの治療的および非治療的ならびに/または診断的アッセイ方法において使用することもできる。二重特異性抗体に関する他の使用は、当業者には明らかである。
以下の実施例は、本発明の方法および組成物をどのように作製し使用するかを当業者に説明するために提供され、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定するものではない。使用される数字(例えば、量、温度など)に関しては正確さを確実にするための試みが行われているが、いくらかの実験的な誤差および偏差が考慮されるべきである。別段の指定のない限り、部分は重量による部分であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏で示されており、圧力は大気または大気付近の圧力である。
以下の実施例は、本発明の方法および組成物をどのように作製し使用するかを当業者に説明するために提供され、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定するものではない。使用される数字(例えば、量、温度など)に関しては正確さを確実にするための試みが行われているが、いくらかの実験的な誤差および偏差が考慮されるべきである。別段の指定のない限り、温度は摂氏で示されており、圧力は大気または大気付近の圧力であり、部分は重量による部分であり、分子量は平均分子量である。
(実施例1)
選択されたヒトVと結合するヒトV領域の同定
単一の再構成されたヒト生殖系列軽鎖を抗原特異的ヒト抗体由来のヒト重鎖と共発現させることができるかどうかを決定するためにin vitro発現系を構築した。
遺伝子改変マウスにおいてヒト抗体を生成するための方法は公知である(例えば、US6,596,541、Regeneron Pharmaceuticals、VELOCIMMUNE(登録商標)を参照されたい)。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、内因性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結したヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を含むゲノムを有し、その結果、抗原による刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を産生する遺伝子改変マウスの生成を伴う。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスにより産生される抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAは完全ヒトである。最初に、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体を単離する。下記の通り、抗体を特徴付け、親和性、選択性、エピトープなどを含めた望ましい特性について選択する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域で置き換えて、非IgMアイソタイプ、例えば、野生型または改変されたIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4を含有する完全ヒト抗体を生成する。選択する定常領域は、特定の使用に応じて変動してよいが、可変領域には高親和性抗原結合特性および標的特異性特性が存在する。
VELOCIMMUNE(登録商標)マウスを、血管新生を促進する増殖因子(抗原C)を用いて免疫し、抗原特異的なヒト抗体を単離し、当技術分野において認められている標準の技法を使用してV遺伝子使用について配列決定した。選択された抗体をヒト重鎖定常領域およびヒト軽鎖定常領域にクローニングし、3種のヒト軽鎖:(1)ヒトκ定常領域と連結したコグネイトκ軽鎖、(2)ヒトκ定常領域と連結した再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5、または(3)ヒトκ定常領域と連結した再構成されたヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1のうちの1つと対合させるために69種の重鎖を選択した。各重鎖および軽鎖対を、標準の技法を使用してCHO-K1細胞に共トランスフェクトした。上清中の抗体の存在をELISAアッセイにおいて抗ヒトIgGによって検出した。各重鎖/軽鎖対について抗体価(ng/ml)を決定し、異なる再構成された生殖系列軽鎖での力価を親抗体分子(すなわち、コグネイト軽鎖と対合させた重鎖)で得られた力価と比較し、ネイティブな力価に対するパーセントを算出した(表1)。V:重鎖可変遺伝子。ND:現行の実験条件下では発現は検出されず。
Figure 0007010902000001
Figure 0007010902000002
同様の実験において、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスを、いくつかの異なる抗原を用いて免疫し、選択された抗原特異的なヒト抗体の重鎖を、異なる再構成されたヒト生殖系列軽鎖(上記の通り)と対合するそれらの能力について試験した。本実験で使用した抗原は、コレステロール恒常性に関与する酵素(抗原A)、グルコース恒常性の調節に関与する血清ホルモン(抗原B)、血管新生を促進する増殖因子(抗原C)および細胞表面受容体(抗原D)を含むものであった。各免疫群のマウスから抗原特異的抗体を単離し、重鎖可変領域および軽鎖可変領域をクローニングし、配列決定した。重鎖および軽鎖の配列からV遺伝子使用を決定し、選択された重鎖を、それらのコグネイト軽鎖または再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5領域のいずれかと対合させた。各重鎖/軽鎖対をCHO-K1細胞に共トランスフェクトし、上清中の抗体の存在をELISAアッセイにおいて抗ヒトIgGによって検出した。各重鎖/軽鎖対合について抗体価(μg/ml)を決定し、異なる再構成されたヒト生殖系列軽鎖での力価を親抗体分子(すなわち、コグネイト軽鎖と対合させた重鎖)で得られた力価と比較し、ネイティブな力価に対するパーセントを算出した(表2)。V:重鎖可変遺伝子。Vκ:κ軽鎖可変遺伝子。ND:現行の実験条件下では発現は検出されず。
Figure 0007010902000003
これらの実験から得られた結果により、異なる遺伝子ファミリー由来の体細胞変異した高親和性重鎖が、再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5領域およびVκ3-20Jκ1領域と対合して、正常な抗体分子として細胞から分泌され得ることが実証される。表1に示されている通り、抗体価は、親抗体のコグネイト軽鎖と比較して、再構成されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖と対合させた場合には重鎖の約61%(69種のうち42種)で上昇し、再構成されたヒトVκ3-20Jκ1軽鎖と対合させた場合には重鎖の約29%(69種のうち20種)で上昇した。重鎖の約20%(69種のうち14種)については、再構成されたヒト生殖系列軽鎖の両方とも親抗体のコグネイト軽鎖と比較して発現の増加が付与された。表2に示されている通り、再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5領域により、親抗体のコグネイト軽鎖と比較して、様々な異なるクラスの抗原に特異的ないくつかの重鎖の発現の増加が付与された。重鎖の約35%(15種/43種)については、抗体価が親抗体のコグネイト軽鎖と比較して2倍超上昇した。2種の重鎖(315および316)については、上昇は親抗体と比較して10倍を超えた。親抗体のコグネイト軽鎖と比較して発現の増加を示した全ての重鎖の中で、ファミリー3(V3)重鎖は他の重鎖可変領域遺伝子ファミリーと比較して過剰発現する。これにより、ヒトV3重鎖の、再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5軽鎖およびVκ3-20Jκ1軽鎖と対合することとの好都合な関係が実証される。
(実施例2)
再構成されたヒト生殖系列軽鎖遺伝子座の生成
VELOCIGENE(登録商標)技術(例えば、米国特許第6,586,251号およびValenzuelaら(2003年)High-throughput engineering of the mouse genome coupled with high-resolution expression analysis、Nature Biotech.21巻(6号):652~659頁を参照されたい)を使用して種々の再構成されたヒト生殖系列軽鎖ターゲティングベクターを作製して、マウスゲノム細菌人工染色体(BAC)クローン302g12および254m04(Invitrogen)を改変した。これらの2種のBACクローンを使用して、ゲノム構築物を、単一の再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域を含有するように操作し、内因性κ可変遺伝子セグメントおよび内因性連結遺伝子セグメントが欠失するように予め改変した内因性κ軽鎖遺伝子座に挿入した。
再構成されたヒト生殖系列軽鎖ターゲティングベクターの構築。
当技術分野において認められている標準の分子生物学技法を使用して3種の異なる再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域を作製した。これらの3種の領域を構築するために使用したヒト可変遺伝子セグメントは、再構成されたヒトVκ1-39Jκ5配列、再構成されたヒトVκ3-20Jκ1配列および再構成されたヒトVpreBJλ5配列を含むものであった。
マウスVκ3-7遺伝子のエクソン1(リーダーペプチドをコードする)およびイントロン1を含有するDNAセグメントをデノボDNA合成(Integrated DNA
Technologies)によって作製した。5’非翻訳領域の一部から天然に存在するBlpI制限酵素部位までを含めた。ヒトVκ1-39遺伝子およびヒトVκ3-20遺伝子のエクソンをヒトゲノムBACライブラリーからPCR増幅した。フォワードプライマーはマウスVκ3-7遺伝子のイントロン1のスプライスアクセプター部位を含有する5’伸長を有した。ヒトVκ1-39配列のPCRのために使用したリバースプライマーはヒトJκ5をコードする伸長を含むものであり、ヒトVκ3-20配列のPCRのために使用したリバースプライマーはヒトJκ1をコードする伸長を含むものであった。ヒトVpreBJλ5配列をデノボDNA合成(Integrated DNA Technologies)によって作製した。スプライスドナー部位を含むヒトJκ-Cκイントロンの一部をプラスミドpBS-296-HA18-PISceIからPCR増幅した。フォワードPCRプライマーはヒトJκ5配列、Jκ1配列またはJλ5配列のいずれかの一部をコードする伸長を含むものであった。リバースプライマーはイントロンに予め操作されたPI-SceI部位を含むものであった。
マウスVκ3-7エクソン1/イントロン1、ヒト可変軽鎖エクソン、およびヒトJκ-Cκイントロン断片をオーバーラップ伸長PCRによってつなぎ合わせ、BlpIおよびPI-SceIを用いて消化し、ヒトVκ3-15可変遺伝子セグメント由来のプロモーターを含有するプラスミドpBS-296-HA18-PISceIへとライゲーションした。プラスミドpBS-296-HA18-PISceI内のloxedハイグロマイシンカセットをNotI部位およびAscI部位で挟まれたFRTedハイグロマイシンカセットで置き換えた。このプラスミドのNotI/PI-SceI断片を、マウスJκ-Cκイントロン、マウスCκエクソン、およびマウスκ遺伝子座の下流の約75kbのゲノム配列の一部を含有する改変マウスBAC 254m04へとライゲーションし、これによりマウスES細胞における相同組換えのための3’相同性アームをもたらした。次いで、このBACのNotI/AscI断片を、マウスES細胞における相同組換えのために、FRTedネオマイシンカセットおよび内因性κ遺伝子座の上流の約23kbのゲノム配列を含有する改変マウスBAC 302g12へとライゲーションした。
再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5ターゲティングベクター(図1)。
操作された軽鎖挿入物の5’末端および3’末端に、ターゲティングベクターへのクローニングのための制限酵素部位を導入した:5’末端にAscI部位および3’末端にPI-SceI部位。5’AscI部位から3’PI-SceI部位内で、ターゲティング構築物は、5’から3’へ、マウスBACクローン302g12から得た内因性マウスκ軽鎖遺伝子座に対して5’側の5’相同性アーム含有配列、FRTedネオマイシン耐性遺伝子、ヒトVκ3-15プロモーターを含むゲノム配列、マウスVκ3-7可変遺伝子セグメントのリーダー配列、マウスVκ3-7可変遺伝子セグメントのイントロン配列、再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5領域のオープンリーディングフレーム、ヒトJκ-Cκイントロンの一部を含有するゲノム配列、およびマウスBACクローン254m04から得た内因性マウスJκ5遺伝子セグメントの3’側の3’相同性アーム含有配列を含んだ(図1、中央)。内因性マウスκ軽鎖遺伝子座の上流および最も3’側のJκ遺伝子セグメント(例えば、内因性3’エンハンサー)の下流の遺伝子および/または配列はターゲティング構築物によって改変しなかった(図1参照)。操作されたヒトVκ1-39Jκ5遺伝子座の配列が配列番号1に示されている。
再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5領域のBAC DNAへの標的化挿入を、再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域内の配列に位置するプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって確認した。簡単に述べると、マウスVκ3-7リーダー配列に対して3’側のイントロン配列を、プライマーULC-m1F(AGGTGAGGGT ACAGATAAGT GTTATGAG;配列番号2)およびULC-m1R(TGACAAATGC CCTAATTATA GTGATCA;配列番号3)を用いて確認した。再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5領域のオープンリーディングフレームを、プライマー1633-h2F(GGGCAAGTCA GAGCATTAGC
A;配列番号4)および1633-h2R(TGCAAACTGG ATGCAGCATA G;配列番号5)を用いて確認した。ネオマイシンカセットを、プライマーneoF(GGTGGAGAGG CTATTCGGC;配列番号6)およびneoR(GAACACGGCG GCATCAG;配列番号7)を用いて確認した。次いで、標的BAC
DNAを使用して、マウスES細胞に電気穿孔し、再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5領域を発現するキメラマウスを生成するための改変ES細胞を作製した。
陽性ES細胞クローンを、内因性遺伝子座に挿入された操作されたVκ1-39Jκ5軽鎖領域に特異的なプローブを使用したTAQMAN(商標)スクリーニングおよび核型分析によって確認した。簡単に述べると、ネオマイシンマーカー遺伝子内に結合するプローブneoP(TGGGCACAAC AGACAATCGG CTG;配列番号8)、マウスVκ3-7リーダー配列に対して3’側のイントロン配列内に結合するプローブULC-m1P(CCATTATGAT GCTCCATGCC TCTCTGTTC;配列番号9)、および再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5オープンリーディングフレーム内に結合するプローブ1633h2P(ATCAGCAGAA ACCAGGGAAA GCCCCT;配列番号10)。次いで、陽性ES細胞クローンを使用して雌マウスに移植して、生殖系列Vκ1-39Jκ5軽鎖領域を発現する同腹仔を生じさせた。
あるいは、ターゲティング構築物により導入されたFRTedネオマイシンカセットを除去するために、再構成されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5軽鎖領域を有するES細胞にFLPを発現する構築物をトランスフェクトする。必要に応じて、FLPリコンビナーゼを発現するマウスと掛け合わせることによってネオマイシンカセットを除去する(例えば、US6,774,279)。必要に応じて、ネオマイシンカセットはマウス内に保持される。
再構成されたヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1ターゲティングベクター(図2)。
同様に、再構成されたヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1領域を発現する、操作された軽鎖遺伝子座を、5’から3’へ、マウスBACクローン302g12から得た内因性マウスκ軽鎖遺伝子座に対して5’側の5’相同性アーム含有配列、FRTedネオマイシン耐性遺伝子、ヒトVκ3-15プロモーターを含むゲノム配列、マウスVκ3-7可変遺伝子セグメントのリーダー配列、マウスVκ3-7可変遺伝子セグメントのイントロン配列、再構成されたヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1領域のオープンリーディングフレーム、ヒトJκ-Cκイントロンの一部を含有するゲノム配列、およびマウスBACクローン254m04から得た内因性マウスJκ5遺伝子セグメントの3’側の3’相同性アーム含有配列を含むターゲティング構築物を使用して作製した(図2、中央)。操作されたヒトVκ3-20Jκ1遺伝子座の配列が配列番号11に示されている。
再構成されたヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1領域のBAC DNAへの標的化挿入を、再構成されたヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1軽鎖領域内の配列に位置するプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって確認した。簡単に述べると、マウスVκ3-7リーダー配列に対して3’側のイントロン配列を、プライマーULC-m1F(配列番号2)およびULC-m1R(配列番号3)を用いて確認した。再構成されたヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1領域のオープンリーディングフレームを、プライマー1635-h2F(TCCAGGCACC CTGTCTTTG;配列番号12)および1635-h2R(AAGTAGCTGC TGCTAACACT CTGACT;配列番号13)を用いて確認した。ネオマイシンカセットを、プライマーneoF(配列番号6)およびneoR(配列番号7)を用いて確認した。次いで、標的BAC DNAを使用して、マウスES細胞に電気穿孔し、再構成されたヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1軽鎖を発現するキメラマウスを生成するための改変ES細胞を作製した。
陽性ES細胞クローンを、内因性κ軽鎖遺伝子座に挿入された操作されたVκ3-20Jκ1軽鎖領域に特異的なプローブを使用したTAQMAN(商標)スクリーニングおよび核型分析によって確認した。簡単に述べると、ネオマイシンマーカー遺伝子内に結合するプローブneoP(配列番号8)、マウスVκ3-7リーダー配列内に結合するプローブULC-m1P(配列番号9)、およびヒトVκ3-20Jκ1オープンリーディングフレーム内に結合するプローブ1635h2P(AAAGAGCCAC CCTCTCCTGC AGGG;配列番号14)。次いで、陽性ES細胞クローンを使用して雌マウスに移植した。ヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1軽鎖領域を発現する同腹仔。
あるいは、ターゲティング構築物により導入されたFRTedネオマイシンカセットを除去するために、ヒト生殖系列Vκ3-20Jκ1軽鎖領域を有するES細胞にFLPを発現する構築物をトランスフェクトすることができる。必要に応じて、FLPリコンビナーゼを発現するマウスと掛け合わせることによってネオマイシンカセットを除去することができる(例えば、US6,774,279)。必要に応じて、ネオマイシンカセットはマウス内に保持される。
再構成されたヒト生殖系列VpreBJλ5ターゲティングベクター(図3)。
同様に、再構成されたヒト生殖系列VpreBJλ5領域を発現する、操作された軽鎖遺伝子座を、5’から3’へ、マウスBACクローン302g12から得た内因性マウスκ軽鎖遺伝子座に対して5’側の5’相同性アーム含有配列、FRTedネオマイシン耐性遺伝子、ヒトVκ3-15プロモーターを含むゲノム配列、マウスVκ3-7可変遺伝子セグメントのリーダー配列、マウスVκ3-7可変遺伝子セグメントのイントロン配列、再構成されたヒト生殖系列VpreBJλ5領域のオープンリーディングフレーム、ヒトJκ-Cκイントロンの一部を含有するゲノム配列、およびマウスBACクローン254m04から得た内因性マウスJκ5遺伝子セグメントの3’側の3’相同性アーム含有配列を含むターゲティング構築物を使用して作製した(図3、中央)。操作されたヒトVpreBJλ5遺伝子座の配列が配列番号15に示されている。
再構成されたヒト生殖系列VpreBJλ5領域のBAC DNAへの標的化挿入を、再構成されたヒト生殖系列VpreBJλ5領域軽鎖領域内の配列に位置するプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって確認した。簡単に述べると、マウスVκ3-7リーダー配列に対して3’側のイントロン配列を、プライマーULC-m1F(配列番号2)およびULC-m1R(配列番号3)を用いて確認した。再構成されたヒト生殖系列VpreBJλ5領域のオープンリーディングフレームを、プライマー1616-h1F(TGTCCTCGGC CCTTGGA;配列番号16)および1616-h1R(CCGATGTCAT GGTCGTTCCT;配列番号17)を用いて確認した。ネオマイシンカセットを、プライマーneoF(配列番号6)およびneoR(配列番号7)を用いて確認した。次いで、標的BAC DNAを使用して、マウスES細胞に電気穿孔し、再構成されたヒト生殖系列VpreBJλ5軽鎖を発現するキメラマウスを生成するための改変ES細胞を作製した。
陽性ES細胞クローンを、内因性κ軽鎖遺伝子座に挿入された操作されたVpreBJλ5軽鎖領域に特異的なプローブを使用したTAQMAN(商標)スクリーニングおよび核型分析によって確認する。簡単に述べると、ネオマイシンマーカー遺伝子内に結合するプローブneoP(配列番号8)、マウスIgVκ3-7リーダー配列内に結合するプローブULC-m1P(配列番号9)、およびヒトVpreBJλ5オープンリーディングフレーム内に結合するプローブ1616h1P(ACAATCCGCC TCACCTGCAC CCT;配列番号18)。次いで、陽性ES細胞クローンを使用して雌マウスに移植して、生殖系列軽鎖領域を発現する同腹仔を生じさせる。
あるいは、ターゲティング構築物により導入されたFRTedネオマイシンカセットを除去するために、再構成されたヒト生殖系列VpreBJλ5軽鎖領域を有するES細胞にFLPを発現する構築物をトランスフェクトする。必要に応じて、FLPリコンビナーゼを発現するマウスと掛け合わせることによってネオマイシンカセットを除去する(例えば、US6,774,279)。必要に応じて、ネオマイシンカセットはマウス内に保持される。
(実施例3)
単一の再構成されたヒト軽鎖を発現するマウスの生成
上記の標的ES細胞をドナーES細胞として使用し、VELOCIMOUSE(登録商標)法(例えば、米国特許第7,294,754号、およびPoueymirouら(2007年)F0 generation mice that are essentially fully derived from the donor gene-targeted ES cells allowing immediate phenotypic analyses Nature Biotech.25巻(1号):91~99頁を参照されたい)によって8細胞期マウス胚に導入した。操作されたヒト生殖系列Vκ1-39Jκ5軽鎖領域、Vκ3-20Jκ1軽鎖領域またはVpreBJλ5軽鎖領域をそれぞれ独立に有するVELOCIMICE(登録商標)を、対立遺伝子アッセイ(Valenzuelaら、上記)の改変を使用した遺伝子型決定によって同定し、それにより独特の再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域の存在を検出する。
仔の遺伝子型決定を行い、独特の再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域についてヘテロ接合性またはホモ接合性の仔を、再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域の発現を特徴付けるために選択する。
フローサイトメトリー。
共通軽鎖マウスの正常な抗体レパートリーにおける再構成されたヒト軽鎖領域の発現を、共通軽鎖マウスの脾細胞および末梢血における免疫グロブリンκおよびλ発現を分析することにより検証した。野生型マウス(n=5)、Vκ1-39Jκ5共通軽鎖ヘテロ接合体マウス(n=3)、Vκ1-39Jκ5共通軽鎖ホモ接合体マウス(n=3)、Vκ3-20Jκ1共通軽鎖ヘテロ接合体マウス(n=2)、およびVκ3-20Jκ1共通軽鎖ホモ接合体マウス(n=2)から採取した脾臓および末梢血から、標準の方法を使用して細胞懸濁物を作製し、蛍光標識された抗体(BD Pharmigen)を使用してCD19、IgλおよびIgκで染色した。
簡単に述べると、細胞1×10個を、抗マウスCD16/CD32(クローン2.4G2、BD Pharmigen)と共に氷上で10分インキュベートし、その後、以下の抗体カクテルを用いて氷上で30分標識した:APCとコンジュゲートした抗マウスCD19(クローン1D3、BD Pharmigen)、PerCP-Cy5.5とコンジュゲートした抗マウスCD3(クローン17A2、BioLegend)、FITCとコンジュゲートした抗マウスIgκ(クローン187.1、BD Pharmigen)、PEとコンジュゲートした抗マウスIgλ(クローンRML-42、BioLegend)。染色後、細胞を洗浄し、2%ホルムアルデヒド中に固定した。LSRIIフローサイトメーターでデータの取得を実施し、FlowJoを用いて分析した。ゲーティング:総B細胞(CD19CD3)、IgκB細胞(IgκIgλCD19CD3)、IgλB細胞(IgκIgλCD19CD3)。血液試料および脾細胞試料から収集したデータにより同様の結果が実証された。表3には、Igλ、IgκまたはIgλIgκである各群からの代表的なマウス1匹の末梢血由来のCD19B細胞における陽性の割合が示されている。野生型マウス(WT)およびVκ1-39Jκ5またはVκ3-20Jκ1共通軽鎖のいずれかについてホモ接合性のマウス由来の末梢血中のCD19B細胞のパーセントが図4に示されている。
Figure 0007010902000004
共通軽鎖発現。
各共通軽鎖(Vκ1-39Jκ5およびVκ3-20Jκ1)の発現を、ヘテロ接合性マウスおよびホモ接合性マウスにおいて定量的PCRアッセイ(例えば、TAQMAN(商標))を使用して解析した。
簡単に述べると、CD19B細胞を、野生型マウス、マウス重鎖およびκ軽鎖可変領域遺伝子座の、対応するヒト重鎖およびκ軽鎖可変領域遺伝子座(Hκ)での置き換えについてホモ接合性のマウス、ならびに各再構成されたヒト軽鎖領域(Vκ1-39Jκ5またはVκ3-20Jκ1)についてホモ接合性のマウスおよびヘテロ接合性のマウスの脾臓からmouse CD19 Microbeads(Miltenyi Biotec)を製造業者の仕様書に従って使用して精製した。RNeasy Mini kit(Qiagen)を製造業者の仕様書に従って使用してCD19B細胞から全RNAを精製し、RNase-free DNase on-column treatment(Qiagen)を使用してゲノムRNAを取り出した。First Stand cDNA Synthesis kit(Invitrogen)を使用して200ngのmRNAをcDNAに逆転写し、生じたcDNAを、Taqman Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)を用いて増幅した。全ての反応を、プライマーおよび(1)両方の共通軽鎖についてのVκ-Jκ接合部、(2)単独のVκ遺伝子(すなわち、Vκ1-39およびVκ3-20)、ならびに(3)マウスCκ領域にわたるTaqman MGBプローブを使用したABI 7900
Sequence Detection System(Applied Biosystems)を使用して実施した。表4には、このアッセイに使用したプライマーおよびプローブの配列が示されている。相対的な発現をマウスCκ領域の発現に対して正規化した。結果が図5A、図5Bおよび図5Cに示されている。
Figure 0007010902000005
抗原特異的共通軽鎖抗体。
内因性マウスκ軽鎖遺伝子座にVκ1-39Jκ5共通軽鎖またはVκ3-20Jκ1共通軽鎖のいずれかを有する共通軽鎖マウスを、β-ガラクトシダーゼを用いて免疫し、抗体価を測定した。
簡単に述べると、β-ガラクトシダーゼ(Sigma)をtitermax adjuvant(Sigma)中に製造業者の指示通り乳化した。野生型(n=7)、Vκ1-39Jκ5共通軽鎖ホモ接合体(n=2)およびVκ3-20Jκ1共通軽鎖ホモ接合体(n=5)を、100μgのβ-ガラクトシダーゼ/Titermaxを皮下注射することによって免疫した。マウスに50μgのβ-ガラクトシダーゼ/Titermaxを3週間離して2回皮下注射することによって追加刺激を行った。2回目の追加刺激後、麻酔したマウスから後眼窩採血を使用して製造業者の指示通り血清分離チューブ(BD Biosciences)中に血液を採取した。抗β-ガラクトシダーゼIgM抗体または抗β-ガラクトシダーゼIgG抗体を測定するために、ELISAプレート(Nunc)を、1μg/mLのβ-ガラクトシダーゼを用いて4℃で一晩コーティングした。過剰の抗原を洗い流した後、1%BSAを含むPBSを用いて室温で1時間ブロッキングした。血清の段階希釈物をプレートに加え、室温で1時間インキュベートした後、洗浄した。次いで、プレートを、HRPとコンジュゲートした抗IgM(Southern Biotech)または抗IgG(Southern Biotech)と共に室温で1時間インキュベートした。さらに洗浄した後、プレートを、TMB基質(BD Biosciences)を用いて発色させた。1Nの硫酸を用いて反応を停止させ、Victor X5 Plate Reader(Perkin Elmer)を使用してOD450を読み取った。GraphPad Prismを用いてデータを解析し、シグナルを、バックグラウンドを2倍上回る血清の希釈度として算出した。結果が図6Aおよび図6Bに示されている。
この実施例に示されているように、Vκ1-39Jκ5共通軽鎖マウスおよびVκ3-20Jκ1共通軽鎖マウスの脾臓区画と末梢区画のどちらにおいてもκ/λB細胞の比が野生型パターンに近いことが実証された(表3および図4)。しかし、VpreBJλ5共通軽鎖マウスでは、末梢B細胞がより少なく、その約1-2%が操作されたヒト軽鎖領域を発現することが実証された(データは示していない)。内因性κ軽鎖遺伝子座からのVκ1-39Jκ5再構成ヒト軽鎖およびVκ3-20Jκ1再構成ヒト軽鎖の発現レベルは、マウスVκおよびJκ遺伝子セグメントの、ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントでの完全な置き換えを含有する内因性κ軽鎖遺伝子座と比較して上昇した(図5A、図5Bおよび図5C)。VpreBJλ5再構成ヒト軽鎖領域の発現レベルは、ヘテロ接合性マウスとホモ接合性マウスのどちらにおいても内因性κ軽鎖遺伝子座からの同様の高い発現が実証された(データは示していない)。これにより、マウスλ、κまたは両方の内因性軽鎖遺伝子座との直接競合において、単一の再構成されたヒトV/J配列により、内因性κ軽鎖遺伝子座からの野生型レベル発現よりも良好な収量を得ることができ、正常な脾性B細胞および血液B細胞の発生頻度が生じることが実証される。さらに、ヒトVκ1-39Jκ5配列またはヒトVκ3-20Jκ1配列のいずれかを有する操作されたκ軽鎖遺伝子座が存在することはマウスにより十分に許容され、免疫応答の体液性成分中の軽鎖レパートリーの実質的な部分を表すことにより、野生型の様式で機能するようである(図6Aおよび図6B)。
(実施例4)
単一の再構成されたヒト生殖系列軽鎖を発現するマウスの掛け合わせ
この実施例では、本明細書に記載の共通軽鎖マウスの任意の1つと掛け合わせて、複数の遺伝子改変免疫グロブリン遺伝子座を有する複数の遺伝子改変マウス系統を作製することができるいくつかの他の遺伝子改変マウス系統が記載されている。
内因性Igλノックアウト(KO)。
操作された軽鎖遺伝子座の使用を最適化するために、再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域のうちの1つを有するマウスを、内因性λ軽鎖遺伝子座に欠失を含有する別のマウスと掛け合わせる。このように、実施例2に記載の通り、得られた後代は、それらの唯一の軽鎖として、再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域を発現する。掛け合わせは、当技術分野において認められている標準の技法によって実施する、あるいは、商業的なブリーダー(例えば、Jackson Laboratory)によって実施される。操作された、軽鎖遺伝子座および内因性λ軽鎖遺伝子座の欠失を有するマウス系統を、独特の軽鎖領域の存在および内因性マウスλ軽鎖の非存在についてスクリーニングする。
ヒト化内因性重鎖遺伝子座。
操作された、ヒト生殖系列軽鎖遺伝子座を有するマウスを、内因性マウス重鎖可変遺伝子遺伝子座の、ヒト重鎖可変遺伝子遺伝子座での置き換えを含有するマウス(US6,596,541を参照されたい;VELOCIMMUNE(登録商標)マウス、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)と掛け合わせる。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、内因性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結したヒト重鎖可変領域を含むゲノムを含み、その結果、マウスは、抗原による刺激に応答して、ヒト重鎖可変領域およびマウス重鎖定常領域を含む抗体を産生する。抗体の重鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、ヒト重鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結する。次いで、DNAを、抗体の完全ヒト重鎖を発現することができる細胞において発現させる。
内因性マウスV遺伝子座の、ヒトV遺伝子座での置き換えおよび内因性κ軽鎖遺伝子座における単一の再構成されたヒト生殖系列Vを有するマウスを得る。目的の抗原を用いて免疫すると、体細胞変異した重鎖(ヒトVおよびマウスC)を単一のヒト軽鎖(ヒトVおよびマウスC)と共に含有するリバースキメラ抗体が得られる。当該抗体を発現するB細胞のVおよびVヌクレオチド配列を同定し、適切な発現系においてVおよびVヌクレオチド配列をヒトCおよびCヌクレオチド配列と融合することによって完全ヒト抗体を作製する。
(実施例5)
ヒト重鎖および再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域を発現するマウスからの抗体の生成
操作されたヒト軽鎖領域を含有するマウスと他の内因性Ig遺伝子座の改変および欠失を含有する種々の所望の系統と掛け合わせた後(実施例4に記載の通り)、選択されたマウスを、目的の抗原を用いて免疫することができる。
一般に、単一の再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域のうちの1つを含有するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスに抗原を用いた攻撃を行い、リンパ系細胞(例えば、B細胞)を動物の血清から回収する。リンパ系細胞を骨髄腫細胞株と融合して不死ハイブリドーマ細胞株を調製し、そのようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングし、選択して、免疫に使用する抗原に特異的な、ヒト重鎖可変および再構成されたヒト生殖系列軽鎖を含有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、望ましいアイソタイプの重鎖および軽鎖の定常領域と連結する。内因性マウス配列および内因性遺伝子座に存在する任意のさらなるシス作用性エレメントの存在に起因して、各抗体の単一の軽鎖は体細胞変異し得る。これにより、単一の軽鎖配列および多様な重鎖配列を含む抗原特異的レパートリーにさらなる多様性が付加される。その後、生じたクローニングされた抗体配列をCHO細胞などの細胞において発現させる。あるいは、抗原特異的キメラ抗体または軽鎖および重鎖の可変ドメインをコードするDNAを抗原特異的リンパ球から直接同定する。
最初に、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体を単離する。上記の通り、抗体を特徴付け、親和性、選択性、エピトープなどを含めた望ましい特性について選択する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域で置き換えて、体細胞変異したヒト重鎖および本発明の再構成されたヒト生殖系列軽鎖領域に由来する単一の軽鎖を含有する完全ヒト抗体を生成する。適切なヒト定常領域としては、例えば、野生型または改変されたIgG1またはIgG4が挙げられる。
内因性マウス重鎖遺伝子座の、ヒトV、D、およびJ遺伝子セグメントでの置き換え、ならびに内因性マウスκ軽鎖遺伝子座の、操作された生殖系列Vκ1-39Jκ5ヒト軽鎖領域または操作された生殖系列Vκ3-20Jκ1ヒト軽鎖領域(上記)のいずれかでの置き換えを含有するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスの別のコホートを、ヒト細胞表面受容体タンパク質(抗原E)で免疫した。抗原Eを直接マウスの後足蹠に3-4日毎に6回の連続した注射で投与する。注射前に、2~3マイクログラムの抗原Eを10μgのCpGオリゴヌクレオチド(カタログ番号tlrl-modn-ODN1826 オリゴヌクレオチド;InVivogen、San Diego、CA)および25μgのAdju-Phos(リン酸アルミニウムゲルアジュバント、カタログ番号H-71639-250;Brenntag Biosector、Frederikssund、Denmark)と混合する。合計6回の注射を与えた後、最終的な抗原記憶(antigen recall)を与え、その3-5日後に屠殺する。4回目および6回目の注射の後に採血し、抗体免疫応答を標準の抗原特異的イムノアッセイによってモニターする。
所望の免疫応答が実現されたら、脾細胞を採取し、マウス骨髄腫細胞と融合してそれらの生存能力を保存し、ハイブリドーマ細胞株を形成する。ハイブリドーマ細胞株をスクリーニングし、選択して、抗原E特異的共通軽鎖抗体を産生する細胞株を同定する。この技法を使用して、いくつかの抗抗原E特異的共通軽鎖抗体(すなわち、ヒト重鎖可変ドメイン、同じヒト軽鎖可変ドメイン、およびマウス定常ドメインを有する抗体)を得る。
あるいは、その全体が参照により明確に本明細書に組み込まれるU.S.2007/0280945A1に記載の通り、骨髄腫細胞との融合を伴わずに抗原陽性B細胞から直接、抗抗原E共通軽鎖抗体を単離する。この方法を使用して、いくつかの完全ヒト抗抗原E共通軽鎖抗体(すなわち、ヒト重鎖可変ドメイン、操作されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖または操作されたヒトVκ3-20Jκ1軽鎖領域のいずれか、およびヒト定常ドメインを有する抗体)を得た。
この実施例の方法に従って生成される例示的な抗抗原E共通軽鎖抗体の生物学的性質は、下記の節に詳しく記載されている。
(実施例6)
抗原特異的共通軽鎖抗体における重鎖遺伝子セグメントの使用
産生されるヒト抗抗原E共通軽鎖抗体の構造を解析するために、重鎖抗体可変領域をコードする核酸をクローニングし、配列決定した。抗体の核酸配列および予測されるアミノ酸配列から、操作されたヒトVκ1-39Jκ5軽鎖または操作されたヒトVκ3-20Jκ1軽鎖領域のいずれかを含有する免疫したVELOCIMMUNE(登録商標)マウスから得た、選択された共通軽鎖抗体の重鎖可変領域(HCVR)について遺伝子使用を同定した。結果が表5および表6に示されており、これにより、ヒトVκ1-39由来の軽鎖またはヒトVκ3-20由来の軽鎖のいずれかのみから軽鎖を発現するマウスを使用した場合、本発明によるマウスが、種々の再構成に起因して種々のヒト重鎖遺伝子セグメントから抗原特異的共通軽鎖抗体を生成することが実証される。2、3、4、および5ファミリーのヒトV遺伝子セグメントを種々のヒトDセグメントおよびヒトJセグメントと共に再構成して抗原特異的抗体をもたらす。
Figure 0007010902000006
Figure 0007010902000007
Figure 0007010902000008
(実施例7)
LUMINEX(商標)アッセイによる抗原特異的共通軽鎖抗体の遮断能の決定
抗原Eに対して生じたヒト共通軽鎖抗体98種を、抗原Eの天然のリガンド(リガンドY)の,抗原Eへの結合を遮断するそれらの能力についてビーズに基づくアッセイで試験した。
抗原Eの細胞外ドメイン(ECD)を2つのmycエピトープタグおよび6×ヒスチジンタグとコンジュゲートし(抗原E-mmH)、MES緩衝液中20μg/mLの濃度でカルボキシル化ミクロスフェアにアミン-カップリングした。混合物を室温で2時間インキュベートし、その後、1MのTris、pH8.0を用いてビーズを非活性化し、その後、0.05%(v/v)Tween-20を含むPBSで洗浄した。次いで、2%(w/v)BSA(Sigma-Aldrich Corp.、St. Louis、MO)を含有するPBS(Irvine Scientific、Santa Ana、CA)を用いてビーズをブロッキングした。96ウェルフィルタープレートにおいて、抗原E特異的共通軽鎖抗体を含有する上清を緩衝液中1:15に希釈した。抗体上清と同じ培地成分を有する偽上清を含有する陰性対照を調製した。抗原Eで標識したビーズを上清に加え、4℃で一晩インキュベートした。ビオチン化リガンドYタンパク質を、最終濃度0.06nMまで加え、室温で2時間インキュベートした。抗原E-myc-myc-6Hisで標識したビーズに結合したビオチン化リガンドYの検出を、ストレプトアビジンとコンジュゲートしたR-フィコエリトリン(Moss Inc、Pasadena、MD)を用いて行い、その後、LUMINEX(商標)フローサイトメトリーに基づく分析機器で測定した。リガンドYを伴わない試料のバックグラウンド平均蛍光強度(MFI)を全ての試料から引いた。パーセント遮断を、各試料についてバックグラウンドを引いたMFIを、調整した陰性対照値で割り、100を掛け、得られた値を100から引くことによって算出した。
同様の実験において、同じ98種の、抗原Eに対して生じたヒト共通軽鎖抗体を、リガンドYで標識したビーズへの抗原Eの結合を遮断するそれらの能力について試験した。
簡単に述べると、リガンドYをMES緩衝液中に希釈した20μg/mLの濃度でカルボキシル化ミクロスフェアにアミン-カップリングした。混合し室温で2時間インキュベートし、その後、1MのTris、pH8を用いてビーズを非活性化し、次いで、0.05%(v/v)Tween-20を含むPBSで洗浄した。次いで、2%(w/v)BSA(Sigma-Aldrich Corp.、St. Louis、MO)を含有するPBS(Irvine Scientific、Santa Ana、CA)を用いてビーズをブロッキングした。96ウェルフィルタープレートで、抗原E特異的共通軽鎖抗体を含有する上清を緩衝液中1:15に希釈した。抗体上清と同じ培地成分を有する偽上清を含有する陰性対照を調製した。ビオチン化抗原E-mmHを0.42nMの最終濃度まで加え、4℃で一晩インキュベートした。次いで、リガンドYで標識したビーズを抗体/抗原E混合物に加え、室温で2時間インキュベートした。リガンドY-ビーズに結合したビオチン化抗原E-mmHの検出をストレプトアビジンとコンジュゲートしたR-フィコエリトリン(Moss Inc、Pasadena、MD)を用いて行い、その後、LUMINEX(商標)フローサイトメトリーに基づく分析機器で測定した。抗原E含まない試料のバックグラウンド平均蛍光強度(MFI)を全ての試料から引いた。パーセント遮断を、各試料についてバックグラウンドを引いたMFIを、調整した陰性対照値で割り、100を掛け、得られた値を100から引くことによって算出した。
表7および表8には、両方のLUMINEX(商標)アッセイにおいて試験した抗抗原E共通軽鎖抗体98種全てについてのパーセント遮断が示されている。ND:現行の実験条件では決定されず。
Figure 0007010902000009
Figure 0007010902000010
Figure 0007010902000011
上記の第1のLUMINEX(商標)実験において、Vκ1-39Jκ5操作軽鎖(engineered light chain)を含有する共通軽鎖抗体80種を、抗原Eで標識したビーズへのリガンドYの結合を遮断するそれらの能力について試験した。これらの80種の共通軽鎖抗体のうち、68種で>50%遮断が実証され、12種で<50%遮断が実証された(6種が25-50%遮断および6種が<25%遮断)。Vκ3-20Jκ1操作軽鎖を含有する共通軽鎖抗体18種については、抗原Eで標識したビーズへのリガンドYの結合に関して、12種で>50%遮断が実証され、6種で<50%遮断が実証された(3種が25-50%遮断および3種が<25%遮断)。
上記の第2のLUMINEX(商標)実験において、同じ80種の、Vκ1-39Jκ5操作軽鎖を含有する共通軽鎖抗体を、リガンドYで標識したビーズへの抗原Eの結合を遮断するそれらの能力について試験した。これらの80種の共通軽鎖抗体のうち、36種で>50%遮断が実証され、44種で<50%遮断が実証された(27種が25-50%遮断および17種が<25%遮断)。Vκ3-20Jκ1操作軽鎖を含有する共通軽鎖抗体18種については、リガンドYで標識したビーズへの抗原Eの結合に関して、1種で>50%遮断が実証され、17種で<50%遮断が実証された(5種が25-50%遮断および12種が<25%遮断)。
表7および表8のデータにより、表5および表6に記載されている再構成により、リガンドYとそのコグネイト受容体である抗原Eの結合を種々の程度の有効性で遮断する抗抗原E特異的共通軽鎖抗体が生成されることが確立され、これは、抗原Eに関してエピトープ特異性が重複している抗体および重複していない抗体を含む表5および表6の抗抗原E共通軽鎖抗体と一致する。
(実施例8)
ELISAによる抗原特異的共通軽鎖抗体の遮断能の決定
抗原Eに対して生じたヒト共通軽鎖抗体を、リガンドYをコーティングした表面への抗原Eの結合を遮断するそれらの能力についてELISAアッセイにおいて試験した。
リガンドYをPBSで2μg/mLの濃度に希釈して96ウェルプレート上にコーティングし、一晩インキュベートし、その後、0.05%Tween-20を含むPBSで4回洗浄した。次いで、0.5%(w/v)BSA(Sigma-Aldrich Corp.、St. Louis、MO)を含有するPBS(Irvine Scientific、Santa Ana、CA)を用いて室温で1時間、プレートをブロッキングした。別のプレートにおいて、抗抗原E共通軽鎖抗体を含有する上清を緩衝液中1:10に希釈した。同じ抗体の成分を含む偽上清を陰性対照として使用した。抗原E-mmH(上記)を、0.150nMの最終濃度まで加え、室温で1時間インキュベートした。次いで、抗体/抗原E-mmH混合物を、リガンドYを含有するプレートに加え、室温で1時間インキュベートした。リガンドYと結合した抗原E-mmHの検出を、抗ペンタ-His抗体とコンジュゲートした西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(Qiagen、Valencia、CA)を用いて行い、テトラメチルベンジジン(TMB)基質(BD Biosciences、San Jose、CA)を使用し硫酸により中和する標準の比色定量応答によって発色させた。吸光度をOD450において0.1秒にわたって読み取った。抗原Eを含まない試料のバックグラウンド吸光度を全ての試料から引いた。パーセント遮断を、各試料についてバックグラウンドを引いたMFIを、調整した陰性対照値で割り、100を掛け、得られた値を100から引くことによって算出した。
表9および表10には、ELISAアッセイにおいて試験した抗抗原E共通軽鎖抗体98種全てについてのパーセント遮断が示されている。ND:現行の実験条件では決定されず。
Figure 0007010902000012
Figure 0007010902000013
この実施例に記載の通り、Vκ1-39Jκ5操作軽鎖を含有する共通軽鎖抗体80種の、リガンドYをコーティングした表面への抗原Eの結合を遮断するそれらの能力について試験し、22種で>50%遮断が実証され、58種で<50%遮断が実証された(20種が25-50%遮断および38種が<25%遮断)。Vκ3-20Jκ1操作軽鎖を含有する共通軽鎖抗体18種については、リガンドYをコーティングした表面への抗原Eの結合に関して、1種で>50%遮断が実証され、17種で<50%遮断が実証された(5種が25-50%遮断および12種が<25%遮断)。
これらの結果は、抗原Eに関してエピトープ特異性が重複している抗体および重複していない抗体を含む抗原E特異的共通軽鎖抗体プールとも一致する。
(実施例9)
抗原特異的共通軽鎖抗体についてのBIACORE(商標)親和性決定
選択された抗体上清についての平衡解離定数(K)を、BIACORE(商標)T100機器(GE Healthcare)を使用したSPR(表面プラズモン共鳴)によって決定した。HBS-EP(10mMのHepes、150mMのNaCl、0.3mMのEDTA、0.05%界面活性剤P20、pH7.4)をランニング緩衝液および試料緩衝液の両方として使用して、25℃で全てのデータを得た。抗体を、粗上清試料から、標準のアミンカップリング化学を使用して高密度の抗ヒトFc抗体で予め誘導体化したCM5センサーチップ表面に捕捉した。捕捉ステップの間に、上清を抗ヒトFc表面にわたって毎分3μLの流速で合計3分間注入した。捕捉ステップの後に、ランニング緩衝液または濃度100nMの分析物のいずれかを、毎分35μLの流速で2分間注入した。捕捉された抗体からの抗原の解離を6分間モニターした。10mMのグリシン、pH1.5を簡単に注入することによって捕捉された抗体を取り出した。全てのセンサーグラムを、分析物センサーグラムから緩衝液の注入由来のセンサーグラムを引き、それにより、捕捉表面からの抗体の解離によって引き起こされるアーチファクトを除くことによって2重参照した。BIAcore T100 Evaluation software v2.1を使用した質量伝達を用いて各抗体についての結合データを1:1結合モデルに対してフィッティングした。結果が表11および表12に示されている。
Figure 0007010902000014
Figure 0007010902000015
表5および表6に示されている再構成を含む共通軽鎖抗体の結合親和性は変動し、ほぼ全てがナノモル濃度範囲のKを示す。親和性データは、高親和性であり、クローン選択されたものであり、体細胞変異したものである、表5および表6に記載されている再構成された可変ドメインのコンビナトリアル結合によって生じる共通軽鎖抗体と一致する。以前示されたデータと併せて、表5および表6に記載されている共通軽鎖抗体は、抗原E上の1種または複数種のエピトープに対する特異性を示す多様な高親和性抗体のコレクションを含む。
(実施例10)
LUMINEX(商標)アッセイによる抗原特異的共通軽鎖抗体の結合特異性の決定
選択された抗抗原E共通軽鎖抗体を、ヒトタンパク質とはアミノ酸残基のおよそ10%が異なるカニクイザル(cynomolgous monkey)オルソログを含めた抗原EのECDおよび抗原E ECDバリアント(Mf抗原E);ECDのC末端から最後の10アミノ酸を欠く抗原Eの欠失変異体(抗原E-ΔCT);ならびにリガンドYとの相互作用が推測される位置にアラニン置換を含有する2つの変異体(抗原E-Ala1および抗原E-Ala2)に結合するそれらの能力について試験した。抗原Eタンパク質をCHO細胞において産生させ、それぞれがmyc-myc-His C末端タグを含有した。
結合試験のために、培養培地1mLから、抗原E ECDタンパク質またはバリアントタンパク質(上記)を、抗mycモノクローナル抗体(MAb 9E10、ハイブリドーマ細胞株CRL-1729(商標);ATCC、Manassas、VA)を共有結合によってコーティングしたミクロスフェア(LUMINEX(商標))ビーズ1×10個と共に室温で2時間インキュベートすることによって捕捉した。次いで、ビーズを使用する前にPBSで洗浄した。抗抗原E共通軽鎖抗体を含有する上清を緩衝液中1:4に希釈し、96ウェルフィルタープレートに加えた。抗体を含まない偽上清を陰性対照として使用した。次いで、捕捉された抗原Eタンパク質を含有するビーズを抗体試料に加え(ウェル当たりビーズ3000個)、4℃で一晩インキュベートした。翌日、試料ビーズを洗浄し、結合した共通軽鎖抗体を、R-フィコエリトリンとコンジュゲートした抗ヒトIgG抗体を用いて検出した。ビーズ(各抗原Eタンパク質に結合する各抗体試料についておよそ100個のビーズを計数した)の蛍光強度を、LUMINEX(商標)フローサイトメトリーに基づく分析機器を用いて測定し、ビーズ/抗体相互作用当たり少なくとも100個の計数したビーズについての蛍光強度中央値(MFI)を記録した。結果が表13および表14に示されている。
Figure 0007010902000016
Figure 0007010902000017
Figure 0007010902000018
抗抗原E共通軽鎖抗体上清は、抗原E-ECDに連結したビーズに対して高い特異的結合を示した。これらのビーズについて、陰性対照である偽上清では、抗原E-ECDビーズ試料と合わせると無視できるシグナル(<10のMFI)がもたらされたが、抗抗原E共通軽鎖抗体を含有する上清では、強い結合シグナル(抗体上清98種について2627の平均MFI;抗体試料98種のうち91種についてMFI>500)が示された。
選択された抗抗原E共通軽鎖抗体の、抗原EのECD上の異なるエピトープを同定する能力の尺度として、バリアントへの抗体の相対的な結合を決定した。ネイティブな抗原E-ECD結合試験のために抗原Eバリアント4種全てを上記のとおり、抗myc LUMINEX(商標)ビーズに捕捉し、相対的な結合比(MFIバリアント/MFI抗原E-ECD)を決定した。表12および表13に示されている試験した共通軽鎖抗体上清98種について、比の平均(MFIバリアント/MFI抗原E-ECD)は各バリアントで異なり、これはビーズへのタンパク質の異なる捕捉量を反映する可能性がある(比の平均は抗原E-ΔCT、抗原E-Ala1、抗原E-Ala2、およびMf抗原Eについてそれぞれ0.61、2.9、2.0、および1.0であった)。各タンパク質バリアントについて、試験した共通軽鎖抗体98種のサブセットについての結合は、結合の著しい低下を示し、これにより、所与のバリアントを特徴付ける変異に対する感受性が示された。例えば、共通軽鎖抗体試料のうち19種は、Mf抗原Eに<8%のMFIバリアント/MFI抗原E-ECDで結合した。この群の多くが高度または中程度に高い親和性抗体(5種でK<5nM、15種でK<50nM)を含むので、この群のシグナルが低いことは、親和性が低いことではなく、ネイティブな抗原E-ECDと所与のバリアントの間の配列(エピトープ)差異に対する感受性に起因する可能性がある。
これらのデータにより、表5および表6に記載されている共通軽鎖抗体が、抗原E上の2種以上のエピトープを特異的に認識する抗原E特異的共通軽鎖抗体の多様な群を表すことが確立される。
(実施例11)
共通軽鎖抗体における軽鎖シャッフリング
選択された抗原特異的共通軽鎖抗体の重鎖を、重鎖を生殖系列Vκ1-39Jκ5操作軽鎖または生殖系列Vκ3-20Jκ1操作軽鎖のいずれかと再対合させた(実施例1に記載の通り)後の抗原Eへの結合について試験した。
簡単に述べると、抗原E特異的共通軽鎖抗体(Vκ1-39Jκ5およびVκ3-20Jκ1)の重鎖247種に、生殖系列Vκ1-39操作軽鎖または生殖系列Vκ3-20操作軽鎖のいずれかをトランスフェクトし、LUMINEX(商標)アッセイによって抗原Eへの結合について再スクリーニングした(実施例7および実施例10に記載の通り)。抗原Eへの結合をBIACORE(商標)によって確認した(実施例9に記載の通り)。結果が表15に示されている。
この実施例に示されている通り、抗原Eに特異的な共通軽鎖抗体28種が、軽鎖の生殖系列形態と再対合した場合に抗原Eに結合することができた。
Figure 0007010902000019
(実施例12)
共通軽鎖抗体における重鎖遺伝子使用および体細胞超変異の発生頻度
VELCOIMMUNE(登録商標)マウス(例えば、US6,596,541およびUS7,105,348)において生じた抗体の重鎖配列および軽鎖配列(>6000)を、抗体鎖の重鎖遺伝子セグメントの使用および体細胞超変異の発生頻度を比較するために操作された軽鎖マウス(上記)を使用する多抗原免疫スキームによって得られる共通軽鎖抗体の重鎖配列および軽鎖配列(>600)と共にまとめた。
重鎖遺伝子使用。
ヒト細胞表面受容体(抗原E)、2種のヒト細胞表面糖タンパク質のヘテロ二量体(抗原F)、ヒトサイトカイン受容体(抗原G)およびヒト腫瘍分化抗原(抗原H)を用いて免疫した、内因性マウス重鎖遺伝子座のヒトV、D、およびJ遺伝子セグメントでの置き換えおよび内因性マウスκ軽鎖遺伝子座の操作された生殖系列Vκ1-39Jκ5ヒト軽鎖領域または操作された生殖系列Vκ3-20Jκ1ヒト軽鎖領域のいずれかでの置き換えを含有するVELOCIMMUNE(登録商標)マウス(実施例2に記載の通り)から得た重鎖配列および軽鎖配列を、重鎖遺伝子セグメントの使用について分析し、VおよびJ遺伝子セグメントを記録した。結果が表16-18に示されている。表16-18中の百分率は丸めた値を表し、足し合わせたときに100%と等しくならない場合があり得る。
表16には、VELCOIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体(VI)、コグネイトVκ1-39軽鎖を有するVELCOIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体(VI-Vκ1-39)、Vκ1-39操作軽鎖マウス由来の抗体(Vκ1-39)、コグネイトVκ3-20軽鎖を有するVELCOIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体(VI-Vκ3-20)、およびVκ3-20操作軽鎖マウス由来の抗体(Vκ3-20)についてのパーセント重鎖ファミリー使用が示されている。表17には、VELCOIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体(VI)、コグネイトVκ1-39軽鎖を有するVELCOIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体(VI-Vκ1-39)、Vκ1-39操作軽鎖マウス由来の抗体(Vκ1-39)、コグネイトVκ3-20軽鎖を有するVELCOIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体(VI-Vκ3-20)、およびVκ3-20操作軽鎖マウス由来の抗体(Vκ3-20)についてのパーセントVおよびJ遺伝子使用が示されている。表18には、各免疫群(抗原E、F、GおよびH)からのVκ1-39操作軽鎖マウス(Vκ1-39マウス)由来の抗体についてのパーセントV遺伝子使用、ならびに選択された免疫群(抗原EおよびG)からのVκ3-20操作軽鎖マウス(Vκ3-20マウス)由来の抗体についてのパーセントV遺伝子使用が示されている。
この実施例に示されているように、Vκ1-39Jκ5-操作軽鎖マウスにおいて試験した抗原についての重鎖遺伝子使用はVファミリーIIIサブグループ(V3-7、V3-9、V3-11、V3-13、V3-20、V3-23、V3-30、V3-33およびV3-48)が優勢であることによって特徴付けられた。注目すべき他のVファミリーサブグループの使用はV1-18、V1-69、V2-5、V4-59およびV6-1の使用によって特徴付けられた。Vκ3-20Jκ1操作軽鎖マウスにおいて試験した抗原については、重鎖遺伝子使用はVファミリーIII、VファミリーIVおよびVファミリーVサブグループ(V3-11、V3-30、V3-33、V4-39、V4-59およびV5-51)が優勢であることによって特徴付けられた。注目すべき他のVファミリーサブグループの使用はV1-18、V1-69、V2-70およびV6-1の使用によって特徴付けられた。
体細胞超変異の発生頻度。
VELCOIMMUNE(登録商標)マウスおよびに操作された軽鎖マウス(上記)において生じた抗体由来の重鎖および軽鎖を、各重鎖および/または軽鎖について実証された重鎖および軽鎖の遺伝子使用に応じて生殖系列配列に対してアライメントした。各配列の重鎖と軽鎖の両方についての各フレームワーク領域(FW)および相補性決定領域(CDR)のアミノ酸の変化を算出した。結果が表19-22に示されている。表21-24中の百分率は丸めた値を表し、足し合わせたときに100%と等しくならない場合があり得る。
表19には、VELCOIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体の重鎖、Vκ1-39操作軽鎖マウス(Vκ1-39マウス)由来の抗体の重鎖およびVκ3-20操作軽鎖マウス(Vκ3-20マウス)由来の抗体の重鎖の各FW領域およびCDR領域において観察されたアミノ酸(AA)変化の数が示されている。表20には、VELCOIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体の軽鎖、Vκ1-39操作マウス(Vκ1-39マウス)由来の抗体の軽鎖およびVκ3-20操作マウス(Vκ3-20マウス)由来の抗体の軽鎖の各FW領域およびCDR領域において観察されたアミノ酸(AA)変化の数が示されている。表21には、選択された免疫群(抗原E、FおよびH)についてのVκ1-39操作軽鎖マウス(Vκ1-39マウス)由来の抗体の重鎖の各FW領域およびCDR領域において観察されたアミノ酸(AA)変化の数が示されている。表22には、選択された免疫群(抗原EおよびG)についてのVκ3-20操作軽鎖マウス(Vκ3-20マウス)由来の抗体の重鎖の各FW領域およびCDR領域において観察されたアミノ酸(AA)変化の数が示されている。
Figure 0007010902000020
Figure 0007010902000021
Figure 0007010902000022
Figure 0007010902000023
Figure 0007010902000024
Figure 0007010902000025
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(実施例13)
ユニバーサル軽鎖を有する二重特異性抗体の結合親和性
選択された単一特異性抗抗原E共通軽鎖抗体(実施例5に記載)のクローニングされたヒト重鎖可変領域から当技術分野で公知の標準の組換えDNA技法を使用して完全ヒト二重特異性抗体を構築した。表23には、選択された親単一特異性抗体由来のヒト重鎖(HC-1およびHC-2)の対合が示されており、各対を、各二重特異性抗体を構築するために生殖系列再構成されたヒトVκ1-39/Jκ1軽鎖と共に使用した。
二重特異性抗抗原E抗体または親単一特異性抗抗原E抗体の、抗原Eの細胞外ドメイン(ECD)への結合を、BIACORE(商標)2000機器(GE Healthcare)でのリアルタイム表面プラズモン共鳴バイオセンサーアッセイを使用して決定した。EDC-NHS化学を使用して抗c-myc特異的モノクローナル抗体(クローン#9E10)で誘導体化されたCM5 BIACORE(商標)センサー表面を使用してC末端myc-myc-ヘキサヒスチジンタグを付けた抗原EのECD(抗原E-mmh)を捕捉した。およそ190RUの抗原E-mmhがBIACORE(商標)センサー表面上に捕捉され、その後、300nM濃度および50nM濃度の異なる二重特異性抗抗原E抗体または親単一特異性抗抗原E抗体を毎分50μlの流速で注入した。この実験は25℃、HBSTランニング緩衝液(0.01MのHEPES、pH7.4、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20)中で実施した。300nM濃度で抗原E-mmh表面に結合した抗体の量を、抗体注入の終了前に3秒間記録し、プロットした。
表24および図8には各二重特異性抗体(BsAb)および単一特異性親抗体(PAb-1、PAb-2)について観察された結合応答(BIACORE(商標)単位;RU)が記載されている。各抗体を飽和条件下で同一の抗原E-mmh表面にわたって注入したので、結合応答は抗原捕捉表面に結合した各抗体についての結合化学量論を反映する。
この実施例において示されている通り、各二重特異性抗体について観察された結合応答は、各親単一特異性抗体についての結合応答のおよそ2倍であり(表24および図8)、これにより、二重特異性抗体であって、抗原特異的モノクローナル抗体の重鎖および共通軽鎖を使用した、該二重特異性抗体分子の各Fabアームが細胞表面受容体(抗原E;図7B、左下を参照されたい)の細胞外ドメイン上の別個のエピトープに同時に結合する、二重特異性抗体の機能的構築が実証された。
Figure 0007010902000027
Figure 0007010902000028
(実施例14)
2つのヒト軽鎖を発現するマウスの生成および分析
実施例2に記載されている方法を使用して、2つのヒトVκ遺伝子セグメント(例えば、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメント)を含有する2つのさらなる操作された軽鎖遺伝子座を構築した(図9)。1つの操作された軽鎖遺伝子座は、2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントを、再構成されていない立体配置(DLC-5J)で含有した。第2の操作された軽鎖遺伝子座は、2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび1つのヒトJκ遺伝子セグメントを、再構成されていない立体配置(DLC-1J)で含有した。2つのさらなる操作された軽鎖遺伝子座のそれぞれについて、ヒト遺伝子セグメントは3’に組換えシグナル配列が隣接し、B細胞においてヒト遺伝子セグメントのin vivo再構成が可能になった。
マウス配列(すなわち、内因性免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の上流および下流の配列)に作動可能に連結した操作された軽鎖遺伝子座のそれぞれを別々に含有する改変されたBAC DNAクローンを、2つのヒトVκ遺伝子セグメントを含有する各操作された軽鎖遺伝子座内の配列に位置するプライマーを使用したPCRによって確認し、その後、ES細胞に電気穿孔により導入して、2つのヒトVκ遺伝子セグメント(上記)のいずれかを発現するマウスを作製した。上記の操作された軽鎖遺伝子座のいずれかを含有する陽性ES細胞クローンを、操作された軽鎖遺伝子座(上記のとおり)に特異的なプローブを使用したTAQMAN(商標)スクリーニングおよび核型分析によって確認した。次いで、確認されたES細胞クローンを使用して雌マウスに移植して、本明細書では二重軽鎖(DLC)マウスと称される、マウスCκドメインと融合したヒト軽鎖可変ドメインを発現する同腹仔を生じさせた。
あるいは、ターゲティング構築物により導入されたFRTedネオマイシンカセットを除去するために、操作された軽鎖遺伝子座を有するES細胞にFLPを発現する構築物をトランスフェクトすることができる。必要に応じて、FLPリコンビナーゼを発現するマウスと掛け合わせることによってネオマイシンカセットを除去する(例えば、US6,774,279)。必要に応じて、ネオマイシンカセットはマウス内に保持される。
フローサイトメトリー
DLCマウスにおけるB細胞集団およびB細胞発生を脾細胞調製物および骨髄調製物のフローサイトメトリー分析によって検証した。2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(n=4)、2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび1つのヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(n=4)、および野生型マウス(n=4)からの細胞懸濁物を、標準の方法(上記)を使用して作製し、蛍光標識された抗体で染色した(実施例3に記載の通り)。
簡単に述べると、細胞1×10個を、抗マウスCD16/CD32(クローン2.4G2、BD Pharmigen)と共に氷上で10分インキュベートし、その後、以下の抗体カクテルを用いて氷上で30分にわたって標識した:APC-H7とコンジュゲートした抗マウスCD19(クローン1D3、BD Pharmigen)、Pacific Blueとコンジュゲートした抗マウスCD3(クローン17A2、BioLegend)、FITCとコンジュゲートした抗マウスIgκ(クローン187.1、BD Pharmigen)または抗マウスCD43(クローン1B11、BioLegend)、PEとコンジュゲートした抗マウスIgλ(クローンRML-42、BioLegend)または抗マウスc-kit(クローン2B8、BioLegend)、PerCP-Cy5.5とコンジュゲートした抗マウスIgD(BioLegend)、PE-Cy7とコンジュゲートした抗マウスIgM(クローンII/41、eBioscience)、APCとコンジュゲートした抗マウスB220(クローンRA3-6B2、eBioscience)。染色後、細胞を洗浄し、2%ホルムアルデヒド中に固定した。LSRIIフローサイトメーターでデータの取得を実施し、FlowJo(Tree Star,Inc.)を用いて分析した。ゲーティング:総B細胞(CD19CD3)、IgκB細胞(IgκIgλCD19CD3)、IgλB細胞(IgκIgλCD19CD3)。骨髄区画についての結果が図10A-図12Bに示されている。脾臓区画についての結果が図13A-図16に示されている。
この実施例において示されている通り、DLC-5Jマウスでは脾臓区画および骨髄区画内で正常なB細胞集団が実証される(図10A-16)。DLC-5Jマウスでは、骨髄区画内に野生型同腹仔において観察されたものと実質的に同じである未成熟B細胞集団、成熟B細胞集団およびプレ/プロB細胞集団が実証された。実際、DLC-5J遺伝子座は、内因性λ軽鎖遺伝子座と競合して、野生型マウスにおいて観察されたものと実質的に同じであるκ:λ比をもたらすことができた(図14B)。また、DLC-5Jマウスでは、B細胞が脾臓区画内の種々の段階(例えば、未成熟、成熟、T1、T2、T3、辺縁帯前駆体、辺縁帯、濾胞-I、濾胞-IIなど)による進行が、野生型マウスにおいて観察されたものと実質的に同じ様式で起こるので、正常な末梢B細胞発生が実証される(図15A-16)。対照的に、DLC-1Jマウスでは、操作されたκ軽鎖と比較してB細胞の総数の減少およびλ軽鎖の使用の増加が実証された(データは示していない)。
二重軽鎖発現
ホモ接合性のマウスにおいて両方のヒトVκ遺伝子セグメントの発現を実施例3に従って定量的PCRアッセイを使用して解析した。簡単に述べると、CD19B細胞を野生型マウス、マウス重鎖およびκ軽鎖可変遺伝子座の、対応するヒト重鎖およびκ軽鎖可変領域遺伝子座(Hκ)での置き換えについてホモ接合性のマウス、ならびに2つのヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つのヒトJκ遺伝子セグメント(DLC-5J)または1つのヒトJκ遺伝子セグメント(DLC-1J)のいずれかを含有する、操作されたκ軽鎖遺伝子座についてホモ接合性のマウスの骨髄および脾臓全体から精製した。相対的な発現をマウスCκ領域の発現に対して正規化した(マウス群当たりn=3~5)。結果が図17および図18に示されている。
再構成されたヒトVκ3-20遺伝子セグメントまたはヒトVκ1-39遺伝子セグメントを含有する軽鎖の発現はDLC-5JマウスおよびDLC-1Jマウスの骨髄および脾臓のどちらでも検出された(図17および図18)。骨髄区画では、DLCマウスの両方の系統におけるヒトVκ3-20由来軽鎖およびヒトVκ1-39由来軽鎖の両方の発現が、マウスVκおよびJκ遺伝子セグメントの、対応するヒトVκおよびJκ遺伝子セグメント(Hκ;図17)での置き換えを含むマウスと比較して有意に高かった。ヒトVκ3-20由来軽鎖の発現は、Hκマウスにおける発現の約6倍(DLC-5J)~15倍(DLC-1J)高いことが観察された。DLC-1Jマウスでは、骨髄区画においてDLC-5Jマウスよりも約2倍高いヒトVκ3-20由来軽鎖の発現が実証された。ヒトVκ1-39由来軽鎖の発現はHκマウスにおける発現の約6倍(DLC-5J)~13倍(DLC-1J)高いことが観察された。DLC-1Jマウスでは、骨髄区画においてDLC-5Jマウスよりも約2倍高いヒトVκ1-39由来軽鎖の発現が実証された。
脾臓区画では、DLCマウスの両方の系統におけるヒトVκ3-20由来軽鎖およびヒトVκ1-39由来軽鎖の両方の発現がHκマウスと比較して有意に高かった(図18)。ヒトVκ3-20由来軽鎖の発現は、Hκマウスにおける発現の約4倍(DLC-5J)および8倍(DLC-1J)高いことが観察された。DLC-1Jマウスでは、脾臓区画においてDLC-5Jマウスよりも約2倍高いヒトVκ3-20由来軽鎖の発現が実証された。ヒトVκ1-39由来軽鎖の発現はHκマウスにおける発現の約4倍(DLC-5J)~5倍(DLC-1J)高いことが観察された。DLC-1Jマウスでは、脾臓区画においてDLC-5Jマウスと比較して同様のヒトVκ1-39由来軽鎖の発現が実証された。
DLC-5JマウスにおけるヒトV/J使用。
2つの再構成されていないヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つの再構成されていないヒトJκ遺伝子セグメントについてホモ接合性のマウス(DLC-5J)を、脾性B細胞におけるヒトVκ/Jκ遺伝子セグメントの使用について逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって分析した。
簡単に述べると、ホモ接合性DLC-5Jマウス(n=3)および野生型マウス(n=2)から脾臓を採取し、すりガラススライドを使用して10%熱失活ウシ胎児血清を含有するRPMI1640(Sigma)10mL中にメッシュで濾して単一細胞懸濁物を作製した。遠心分離機(1200rpmで5分)を用いて脾細胞をペレット化し、赤血球をACK溶解緩衝液(GIBCO)5mLに3分にわたって溶解させた。脾細胞をPBS(Irvine Scientific)で希釈し、0.7μmの細胞濾過器を用いて濾過し、再度遠心分離して細胞をペレット化し、その後それを1mLのPBS中に再懸濁させた。
AllPrep DNA/RNA mini kit(Qiagen)を製造業者の仕様書に従って使用してペレット化した脾細胞からRNAを単離した。脾細胞RNAに対して、マウスCκ遺伝子に特異的なプライマーを用いて5’RACE(cDNA末端の急速増幅)システムを製造業者の仕様書(Invitrogen)に従って使用してRT-PCRを実施した。マウスCκ遺伝子に特異的なプライマーは、3’mIgκC RACE1(AAGAAGCACA CGACTGAGGC AC;配列番号34)およびmIgκC3’-1(CTCACTGGAT GGTGGGAAGA TGGA;配列番号35)であった。PCR産物をゲル精製し、pCR(登録商標)2.1-TOPO(登録商標)vector(TOPO(登録商標)TA Cloning(登録商標)Kit、Invitrogen)にクローニングし、ベクター内のクローニング部位に隣接する位置に配置されるM13フォワードプライマー(GTAAAACGAC GGCCAG;配列番号36)およびM13リバースプライマー(CAGGAAACAG CTATGAC;配列番号37)を用いて配列決定した。各脾臓試料由来の10クローンについて配列決定した。配列をIMGT/V-QUEST参照ディレクトリーセットからのマウスおよびヒト免疫グロブリンセットと比較してVκ/Jκ使用を決定した。表25には、各脾細胞試料由来のRT-PCRクローンにおいて観察された選択されたクローンについてのVκ/Jκ組合せが示されている。表26には、DLC-5Jホモ接合性マウス由来の選択されたRT-PCRクローンのヒトVκ/ヒトJκ接合部およびヒトJκ/マウスCκ接合部のアミノ酸配列が示されている。小文字は可変領域のアミノ酸配列の変異または組換えの間にNおよび/もしくはP付加によって生じる非鋳型付加を示す。
この実施例において示されている通り、マウスCκ遺伝子に作動可能に連結した2つの再構成されていないヒトVκ遺伝子セグメントおよび5つの再構成されていないヒトJκ遺伝子セグメント(DLC-5J)についてホモ接合性のマウスは、両方のヒトVκ遺伝子セグメントを複数のヒトJκ遺伝子セグメントと生産的に組換えて、限定された免疫グロブリン軽鎖レパートリーを産生することができる。表25に示されているDLC-5Jホモ接合性のマウスにおける再構成の中で、Vκ1-39/Jκ2(1)、Vκ1-39/Jκ3(1)、Vκ3-20/Jκ1(7)、Vκ3-20/Jκ2(4)およびVκ3-20/Jκ3(1)について独特のヒトVκ/Jκ再構成が観察された。さらに、そのような独特の再構成では、発生の間のヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントの変異および/または組換えのいずれかによって生じる軽鎖のCDR3領域内の独特のアミノ酸の存在(表26)による接合部の多様性が実証された。全ての再構成でマウスCκへの機能的なリードスルーが示された(表26)。
総合すると、これらのデータにより、どちらも再構成することが可能な(例えば、1つまたは複数、一部の実施形態では5つまでのヒトJ遺伝子セグメントと)2つ以下のヒトV遺伝子セグメントの選択を提示するように操作されており、免疫グロブリン軽鎖のヒトVドメインをコードするマウスが、全ての態様においてほぼ野生型であるB細胞数および発生を有することが実証される。そのようなマウスは、コレクション内に存在する2つの可能性のあるヒトV遺伝子セグメントのうちの1つを有する免疫グロブリン軽鎖を有する抗体のコレクションを産生する。この抗体のコレクションは抗原による攻撃に応答してマウスによって産生され、リバースキメラ(ヒト可変/マウス定常)重鎖の多様性と関連する。
Figure 0007010902000029
Figure 0007010902000030
(項目1)
マウスであって、
マウスまたはラット軽鎖定常領域に作動可能に連結した2つ以下のヒトV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超のヒトJ遺伝子セグメント;ならびに
非ヒト定常領域に作動可能に連結した1つまたは複数のヒトV遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD遺伝子セグメント、および1つまたは複数のヒトJ遺伝子セグメント
を含み、
該ヒト遺伝子セグメントが、再構成することが可能であって、抗体のヒト可変ドメインをコードしており、
さらに、該マウスが、免疫グロブリン軽鎖が形成されるように再構成することが可能な内因性V遺伝子セグメントを含まない、マウス。
(項目2)
前記軽鎖定常領域がラットCκ領域である、項目1に記載のマウス。
(項目3)
前記軽鎖定常領域がマウスCκ領域である、項目1に記載のマウス。
(項目4)
2つのヒトV遺伝子セグメントが前記マウスまたはラット軽鎖定常領域に作動可能に連結している、項目1から3のいずれか一項に記載のマウス。
(項目5)
2つから5つまでのヒトJ遺伝子セグメントが前記マウスまたはラット軽鎖定常領域に作動可能に連結している、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目6)
5つのヒトJ遺伝子セグメントを含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目7)
前記5つのヒトJ遺伝子セグメントが、ヒトJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4およびJκ5である、項目6に記載のマウス。
(項目8)
前記2つ以下のヒトV遺伝子セグメントが、ヒトVκ1-39遺伝子セグメント、ヒトVκ3-20遺伝子セグメント、またはこれらの組合せから選択される、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目9)
前記2つ以下のヒトV遺伝子セグメントが、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントである、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目10)
前記2つ以下のヒトV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超のヒトJ遺伝子セグメントが、内因性軽鎖遺伝子座に存在する、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目11)
前記1つまたは複数のヒトV遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD遺伝子セグメント、および1つまたは複数のヒトJ遺伝子セグメントが、マウス定常領域に作動可能に連結している、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目12)
機能的なλ軽鎖遺伝子座を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目13)
非機能的なλ軽鎖遺伝子座を含む、項目1から11のいずれか一項に記載のマウス。
(項目14)
マウスまたはラット軽鎖定常領域に作動可能に連結した前記2つ以下のヒトV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超のヒトJ遺伝子セグメントが、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントである2つのヒトVκセグメント、ならびにヒトJκ1、Jκ2Jκ3、Jκ4およびJκ5を順番に含む遺伝子座に存在する、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目15)
図9のDLCJ-5J遺伝子座を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目16)
骨髄中に、CD19、CD43、c-kit発現によって特徴付けられる細胞約2.5×10個~約1.5×10個の範囲内のプロB細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目17)
骨髄中に、CD19、CD43、c-kit発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約2×10個の範囲内のプレB細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目18)
骨髄中に、IgM、B220int発現によって特徴付けられる細胞約5×10個~約7×10個の範囲内の未成熟B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目19)
骨髄中に、IgM、B220hi発現によって特徴付けられる細胞約3×10個~約1.5×10個の範囲内の成熟B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目20)
骨髄中に、細胞約1×10個~約3×10個の範囲内の総CD19B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目21)
細胞約2×10個~約7×10個の範囲内のCD19脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目22)
細胞約1×10個~約4×10個の範囲内のCD19、IgDhi、IgMlo脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目23)
細胞約9×10個~約2×10個の範囲内のCD19、IgDlo、IgMhi脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目24)
CD93B220IgMhiCD23発現によって特徴付けられる細胞約2×10個~約7×10個の範囲内の移行T1脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目25)
CD93B220IgMhiCD23発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約7×10個の範囲内の移行T2脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目26)
CD93B220IgMloCD23発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約4×10個の範囲内の移行T3脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目27)
CD93B220IgMhiCD21/35hiCD23発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約3×10個の範囲内の辺縁帯脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目28)
CD93B220CD21/35intIgMloIgDhi発現によって特徴付けられる細胞約3×10個~約1.5×10個の範囲内の濾胞1型(FO-I)脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目29)
CD93B220CD21/35intIgMintIgDhi発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約2×10個の範囲内の濾胞2型(FO-II)脾性B細胞集団を含む、前記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目30)
前記項目のいずれか一項に記載のマウスの単離された細胞。
(項目31)
胚性幹(ES)細胞である、項目30に記載の細胞。
(項目32)
項目31に記載のES細胞を含むマウス胚。
(項目33)
B細胞である、項目30に記載の細胞。
(項目34)
項目33に記載のB細胞を用いて作製されたハイブリドーマ。
(項目35)
抗体を生成するため、またはヒト重鎖可変領域をコードする核酸配列を同定するための、項目1から29のいずれか一項に記載のマウスの使用。
(項目36)
目的の抗原に結合する抗体を作製するための方法であって、
項目1から29のいずれか一項に記載のマウスを、目的の抗原を用いて免疫するステップ、
該マウスから免疫グロブリン可変領域遺伝子配列を得るステップ、および
該免疫グロブリン可変領域遺伝子配列を使用して、該抗原に結合する抗体を産生させるステップ
を含む方法。
(項目37)
単一細胞において、
(a)免疫された項目1から29のいずれか一項に記載のマウスの第1のV遺伝子配列であって、ヒトC遺伝子配列と融合した第1のV遺伝子配列;および
(b)ヒトC遺伝子配列と融合したV遺伝子配列
を発現させるステップ、
該細胞を、完全ヒト抗体を発現するのに十分な条件下で維持するステップ;ならびに
該抗体を該細胞から単離するステップ
をさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記細胞が免疫された項目1から29のいずれか一項に記載のマウスの第2のV遺伝子配列を含み、該V遺伝子配列がヒトC遺伝子配列と融合しており、前記第1のV遺伝子配列が第1のエピトープを認識するVドメインをコードし、該第2のV遺伝子配列が第2のエピトープを認識するVドメインをコードし、該第1のエピトープおよび該第2のエピトープが同一ではなく、該第1のVドメインおよび該第2のVドメインが前記V遺伝子配列によりコードされるVドメインと相互作用する、項目37に記載の方法。
(項目39)
ヒト二重特異性抗体の作製における、項目1から29のいずれか一項に記載のマウスの使用。
(項目40)
ヒト二重特異性抗体を作製するための方法であって、項目1から29のいずれか一項に記載のマウスを免疫するステップ、および該マウス由来のB細胞のヒト可変領域遺伝子配列を使用して該二重特異性抗体を作製するステップを含む方法。
(項目41)
(a)項目1から29のいずれか一項に記載のマウスのクローン選択されたリンパ球を同定するステップであって、該マウスが免疫され、目的の抗原に対する免疫応答を生じるようにされており、該リンパ球が該目的の抗原に特異的に結合する抗体を発現するステップ;
(b)該リンパ球または該抗体から、該目的の抗原に特異的に結合するヒト重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を得るステップ;および
(c)(c)のヌクレオチド配列を二重特異性抗体の作製に使用するステップ
を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
1回目に第1のヒト重鎖可変領域配列を生成するために目的の第1の抗原に対してステップ(a)から(c)までを実施し、2回目に第2のヒト重鎖可変領域配列を生成するために目的の第2の抗原に対してステップ(a)から(c)までを実施し、該第1のヒト重鎖可変領域配列が第1のヒト重鎖定常領域と融合して発現して第1のヒト重鎖を形成し、該第2のヒト重鎖可変領域配列が第2のヒト重鎖定常領域と融合して発現して第2のヒト重鎖を形成し、該第1のヒト重鎖および該第2のヒト重鎖がVκ1-39遺伝子セグメントまたはVκ3-20遺伝子セグメントから発現した単一のヒト軽鎖の存在下で発現する、項目41に記載の方法。
(項目43)
(a)
-第1の免疫原を用いて免疫された項目1から29のいずれか一項に記載のマウス;および
-第2の免疫原を用いて免疫された同じマウス、または遺伝学的には同じである異なるマウス
由来のB細胞から可変重鎖領域をクローニングするステップ、
(b)細胞において、同じ前記重鎖定常領域および同じ前記軽鎖とともに(a)の可変重鎖領域を発現させて二重特異性抗体を作製するステップ
を含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記第1のヒト重鎖が、前記第1のヒト重鎖のプロテインAに対する親和性を消失させるまたは実質的に低下させる改変を含み、前記第2のヒト重鎖がプロテインAに結合する能力を保持し、該第1のヒト重鎖のプロテインAに対する親和性を消失させるまたは実質的に低下させる改変が、95R(EU435R)、96F(EU436F)、およびこれらの組合せから選択される、項目43に記載の方法。
(項目45)
ヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメイン遺伝子セグメントを選択するための、項目1から29のいずれか一項に記載のマウスの使用。
(項目46)
免疫されている、項目1から29のいずれか一項に記載のマウス。
(項目47)
抗体を産生する方法であって、項目1から29のいずれか一項に記載のマウスを、抗原を用いて免疫するステップ、および結果として生ずる、該マウスにより該抗原に対して産生された抗体から重鎖可変領域アミノ酸配列またはコードするヌクレオチド配列を得るステップ、および該重鎖可変領域アミノ酸配列または核酸配列を抗体の作製に利用するステップを含む方法。
(項目48)
(a)前記マウスを免疫した前記抗原の異なるエピトープに対する2種の異なる抗体から前記重鎖可変領域アミノ酸配列またはコードするヌクレオチド配列を同定するステップ;または
(b)項目1から29のいずれか一項に記載のマウスと同じマウス、またはさらなるマウスを、異なる抗原を用いて免疫し、次いで、該第2の抗原に特異的である、該マウスによって産生された抗体から重鎖可変領域配列アミノ酸配列またはコードするヌクレオチド配列を同定するステップを含み、
該2種の異なる重鎖可変領域を使用して二重特異性抗体を生成するステップをさらに含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記抗体または2つの抗体から軽鎖可変領域配列も同定するステップをさらに含む、項目47または48に記載の方法。
(項目50)
項目49に記載の方法であって、該方法によって産生された抗体において同定された1つまたは複数の軽鎖重鎖可変領域も使用することを含む、方法。
(項目A1)
マウスであって、
免疫グロブリン軽鎖定常領域に作動可能に連結した2つのヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超のヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントであって、ここで、該2つのヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントが、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントであり、該2つまたはそれ超のヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントが、ヒトJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4、およびJκ5からなる群から選択される、2つのヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超のヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメント;ならびに
非ヒト免疫グロブリン定常領域に作動可能に連結した1つまたは複数のヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒト免疫グロブリンD遺伝子セグメント、および1つまたは複数のヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメント
を含み、
該ヒト遺伝子セグメントが、再構成することが可能であって、抗体のヒト可変ドメインをコードしており、さらに、該マウスが、免疫グロブリン軽鎖が形成されるように再構成することが可能な内因性免疫グロブリンV遺伝子セグメントを含まない、マウス。
(項目A2)
前記2つのヒトV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超のヒトJ遺伝子セグメントが、マウスまたはラット免疫グロブリン軽鎖定常領域に作動可能に連結される、項目A1に記載のマウス
(項目A3)
前記軽鎖定常領域がラットCκ領域である、項目A2に記載のマウス。
(項目A4)
前記軽鎖定常領域がマウスCκ領域である、項目A2に記載のマウス。
(項目A5)
5つのヒトJ遺伝子セグメントを含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A6)
前記5つのヒトJ遺伝子セグメントが、ヒトJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4およびJκ5である、項目A5に記載のマウス。
(項目A7)
前記2つのヒトV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超のヒトJ遺伝子セグメントが、内因性軽鎖遺伝子座に存在する、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A8)
前記1つまたは複数のヒトV遺伝子セグメント、1つまたは複数のヒトD遺伝子セグメント、および1つまたは複数のヒトJ遺伝子セグメントが、マウス定常領域に作動可能に連結している、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A9)
機能的なλ軽鎖遺伝子座を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A10)
非機能的なλ軽鎖遺伝子座を含む、項目A1からA8のいずれか一項に記載のマウス。
(項目A11)
マウスまたはラット軽鎖定常領域に作動可能に連結した前記2つのヒトV遺伝子セグメントおよび2つまたはそれ超のヒトJ遺伝子セグメントが、ヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントである2つのヒトVκセグメント、ならびにヒトJκ1、Jκ2Jκ3、Jκ4およびJκ5を順番に含む遺伝子座に存在する、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A12)
図9のDLCJ-5J遺伝子座を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A13)
骨髄中に、CD19、CD43、c-kit発現によって特徴付けられる細胞約2.5×10個~約1.5×10個の範囲内のプロB細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A14)
骨髄中に、CD19、CD43、c-kit発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約2×10個の範囲内のプレB細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A15)
骨髄中に、IgM、B220int発現によって特徴付けられる細胞約5×10個~約7×10個の範囲内の未成熟B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A16)
骨髄中に、IgM、B220hi発現によって特徴付けられる細胞約3×10個~約1.5×10個の範囲内の成熟B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A17)
骨髄中に、細胞約1×10個~約3×10個の範囲内の総CD19B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A18)
細胞約2×10個~約7×10個の範囲内のCD19脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A19)
細胞約1×10個~約4×10個の範囲内のCD19、IgDhi、IgMlo脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A20)
細胞約9×10個~約2×10個の範囲内のCD19、IgDlo、IgMhi脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A21)
CD93B220IgMhiCD23発現によって特徴付けられる細胞約2×10個~約7×10個の範囲内の移行T1脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A22)
CD93B220IgMhiCD23発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約7×10個の範囲内の移行T2脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A23)
CD93B220IgMloCD23発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約4×10個の範囲内の移行T3脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A24)
CD93B220IgMhiCD21/35hiCD23発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約3×10個の範囲内の辺縁帯脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A25)
CD93B220CD21/35intIgMloIgDhi発現によって特徴付けられる細胞約3×10個~約1.5×10個の範囲内の濾胞1型(FO-I)脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A26)
CD93B220CD21/35intIgMintIgDhi発現によって特徴付けられる細胞約1×10個~約2×10個の範囲内の濾胞2型(FO-II)脾性B細胞集団を含む、前記項目Aのいずれか一項に記載のマウス。
(項目A27)
前記項目Aのいずれか一項に記載のマウスの単離された細胞。
(項目A28)
胚性幹(ES)細胞である、項目A27に記載の細胞。
(項目A29)
項目A28に記載のES細胞を含むマウス胚。
(項目A30)
B細胞である、項目A27に記載の細胞。
(項目A31)
項目A30に記載のB細胞を用いて作製されたハイブリドーマ。
(項目A32)
抗体を生成するため、またはヒト免疫グロブリン重鎖可変領域をコードする核酸配列を同定するための、項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスの使用。
(項目A33)
目的の抗原に結合する抗体を作製するための方法であって、
項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスを、目的の抗原を用いて免疫するステップ、
該マウスから免疫グロブリン可変領域遺伝子配列を得るステップ、および
該免疫グロブリン可変領域遺伝子配列を使用して、該抗原に結合する抗体を産生させるステップ
を含む方法。
(項目A34)
単一細胞において、
(a)免疫された項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスの第1のV遺伝子配列であって、ヒトC遺伝子配列と融合した第1のV遺伝子配列;および
(b)ヒトC遺伝子配列と融合したV遺伝子配列
を発現させるステップ、
該細胞を、完全ヒト抗体を発現するのに十分な条件下で維持するステップ;ならびに
該抗体を該細胞から単離するステップ
をさらに含む、項目A33に記載の方法。
(項目A35)
前記細胞が免疫された項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスの第2のV遺伝子配列を含み、該V遺伝子配列がヒトC遺伝子配列と融合しており、前記第1のV遺伝子配列が第1のエピトープを認識するVドメインをコードし、該第2のV遺伝子配列が第2のエピトープを認識するVドメインをコードし、該第1のエピトープおよび該第2のエピトープが同一ではなく、該第1のVドメインおよび該第2のVドメインが前記V遺伝子配列によりコードされるVドメインと相互作用する、項目A34に記載の方法。
(項目A36)
ヒト二重特異性抗体の作製における、項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスの使用。
(項目A37)
ヒト二重特異性抗体を作製するための方法であって、項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスを免疫するステップ、および該マウス由来のB細胞のヒト可変領域遺伝子配列を使用して該二重特異性抗体を作製するステップを含む方法。
(項目A38)
(a)項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスのクローン選択されたリンパ球を同定するステップであって、該マウスが免疫され、目的の抗原に対する免疫応答を生じるようにされており、該リンパ球が該目的の抗原に特異的に結合する抗体を発現するステップ;
(b)該リンパ球または該抗体から、該目的の抗原に特異的に結合するヒト重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を得るステップ;および
(c)(c)のヌクレオチド配列を二重特異性抗体の作製に使用するステップ
を含む、項目A37に記載の方法。
(項目A39)
1回目に第1のヒト重鎖可変領域配列を生成するために目的の第1の抗原に対してステップ(a)から(c)までを実施し、2回目に第2のヒト重鎖可変領域配列を生成するために目的の第2の抗原に対してステップ(a)から(c)までを実施し、該第1のヒト重鎖可変領域配列が第1のヒト重鎖定常領域と融合して発現して第1のヒト重鎖を形成し、該第2のヒト重鎖可変領域配列が第2のヒト重鎖定常領域と融合して発現して第2のヒト重鎖を形成し、該第1のヒト重鎖および該第2のヒト重鎖がVκ1-39遺伝子セグメントまたはVκ3-20遺伝子セグメントから発現した単一のヒト軽鎖の存在下で発現する、項目A38に記載の方法。
(項目A40)
(a)
-第1の免疫原を用いて免疫された項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウス;および
-第2の免疫原を用いて免疫された同じマウス、または遺伝学的には同じである異なるマウス
由来のB細胞から可変重鎖領域をクローニングするステップ、
(b)細胞において、同じ前記重鎖定常領域および同じ前記軽鎖とともに(a)の可変重鎖領域を発現させて二重特異性抗体を作製するステップ
を含む、項目A39に記載の方法。
(項目A41)
前記第1のヒト重鎖が、前記第1のヒト重鎖のプロテインAに対する親和性を消失させるまたは実質的に低下させる改変を含み、前記第2のヒト重鎖がプロテインAに結合する能力を保持し、該第1のヒト重鎖のプロテインAに対する親和性を消失させるまたは実質的に低下させる改変が、95R(EU435R)、96F(EU436F)、およびこれらの組合せから選択される、項目A40に記載の方法。
(項目A42)
ヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメイン遺伝子セグメントを選択するための、項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスの使用。
(項目A43)
免疫されている、項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウス。
(項目A44)
抗体を産生する方法であって、項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスを、抗原を用いて免疫するステップ、および結果として生ずる、該マウスにより該抗原に対して産生された抗体から重鎖可変領域アミノ酸配列またはコードするヌクレオチド配列を得るステップ、および該重鎖可変領域アミノ酸配列または核酸配列を抗体の作製に利用するステップを含む方法。
(項目A45)
(a)前記マウスを免疫した前記抗原の異なるエピトープに対する2種の異なる抗体から前記重鎖可変領域アミノ酸配列またはコードするヌクレオチド配列を同定するステップ;または
(b)項目A1からA26のいずれか一項に記載のマウスと同じマウス、またはさらなるマウスを、異なる抗原を用いて免疫し、次いで、該第2の抗原に特異的である、該マウスによって産生された抗体から重鎖可変領域配列アミノ酸配列またはコードするヌクレオチド配列を同定するステップを含み、
該2種の異なる重鎖可変領域を使用して二重特異性抗体を生成するステップをさらに含む、項目A44に記載の方法。
(項目A46)
前記抗体または2つの抗体から軽鎖可変領域配列も同定するステップをさらに含む、項目A44またはA45に記載の方法。
(項目A47)
項目A46に記載の方法であって、該方法によって産生された抗体において同定された1つまたは複数の軽鎖重鎖可変領域も使用することを含む、方法。

Claims (32)

  1. そのゲノム内に、
    マウス免疫グロブリン軽鎖定常領域配列に作動可能に連結された、ちょうど2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントと、5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントと
    を含むように遺伝子改変されたマウス胚性幹(ES)細胞であって、該2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントがヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントであり、該5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントが、ヒトJκ1遺伝子セグメント、ヒトJκ2遺伝子セグメント、ヒトJκ3遺伝子セグメント、ヒトJκ4遺伝子セグメントおよびヒトJκ5遺伝子セグメントである、遺伝子改変されたマウスES細胞。
  2. そのゲノム内に、
    内因性重鎖遺伝子座においてマウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に連結された、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントと、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンD遺伝子セグメントと、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントと
    をさらに含む、請求項1に記載の遺伝子改変されたマウスES細胞。
  3. 前記ES細胞の前記ゲノムが、再構成して免疫グロブリン重鎖可変領域を形成できる内因性マウス免疫グロブリンV遺伝子セグメントを含まない、請求項2に記載の遺伝子改変されたES細胞。
  4. 前記2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントと、5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントが、内因性免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子改変されたES細胞。
  5. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞の前記ゲノムが、機能的なλ軽鎖遺伝子座を含まない、請求項1または請求項2に記載の遺伝子改変されたES細胞。
  6. 前記マウス軽鎖定常領域がマウスCκ定常領域である、請求項1または請求項2に記載の遺伝子改変されたマウスES細胞。
  7. 前記マウスCκ定常領域が内因性マウスCκ定常領域である、請求項6に記載の遺伝子改変されたマウスES細胞。
  8. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞のゲノム内の前記ヒトVκ1-39遺伝子セグメントがヒト生殖系列Vκ1-39遺伝子セグメントであり、前記遺伝子改変されたマウスES細胞の前記ゲノム内の前記ヒトVκ3-20遺伝子セグメントがヒト生殖系列Vκ3-20遺伝子セグメントである、請求項1または請求項2に記載の遺伝子改変されたマウスES細胞。
  9. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞の前記ゲノムが、前記ヒトVκ1-39遺伝子セグメント、前記ヒトVκ3-20遺伝子セグメント、前記ヒトJκ1遺伝子セグメント、前記ヒトJκ2遺伝子セグメント、前記ヒトJκ3遺伝子セグメント、前記ヒトJκ4遺伝子セグメント、および、前記ヒトJκ5遺伝子セグメントを順に含む、請求項1または請求項2に記載の遺伝子改変されたマウスES細胞。
  10. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞の前記ゲノムが、DLC-5J遺伝子座を含み、該DLC-5J遺伝子座が、配列番号38~49より選択されるhVκ/hJκ/mCκ接合部配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の遺伝子改変されたマウスES細胞。
  11. 請求項1または請求項2に記載の遺伝子改変されたES細胞に由来するマウス胚。
  12. 代理母において請求項11に記載のマウス胚を懐胎させ、該代理母に、全体的にまたは部分的に前記遺伝子改変されたES細胞に由来する子孫を出産させることを含む、マウスを作製する方法。
  13. 遺伝子改変されたマウスES細胞を作製する方法であって、ES細胞を、そのゲノム内に、
    マウス免疫グロブリン軽鎖定常領域配列に作動可能に連結された、ちょうど2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントと、5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントと
    を含むように遺伝子改変することを含み、ここで、該2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントがヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントであり、該5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントが、ヒトJκ1遺伝子セグメント、ヒトJκ2遺伝子セグメント、ヒトJκ3遺伝子セグメント、ヒトJκ4遺伝子セグメントおよびヒトJκ5遺伝子セグメントである、方法。
  14. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞が、そのゲノム内に、
    内因性重鎖遺伝子座においてマウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に連結された、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンV遺伝子セグメントと、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンD遺伝子セグメントと、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンJ遺伝子セグメントと
    をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記マウス軽鎖定常領域がマウスCκ定常領域である、請求項13または請求項14に記載の方法。
  16. 前記マウス軽鎖定常領域が内因性マウスCκ定常領域である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記遺伝子改変されたES細胞の前記ゲノムが、再構成して免疫グロブリン重鎖可変領域を形成できる内因性マウス免疫グロブリンV遺伝子セグメントを含まない、請求項14に記載の方法。
  18. 前記2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントと、5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントが、内因性免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に存在する、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞の前記ゲノムが機能的なλ軽鎖遺伝子座を含まない、請求項13または請求項14に記載の方法。
  20. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞の前記ゲノム内の前記ヒトVκ1-39遺伝子セグメントがヒト生殖系列Vκ1-39遺伝子セグメントであり、前記遺伝子改変されたマウスES細胞の前記ゲノム内の前記ヒトVκ3-20遺伝子セグメントがヒト生殖系列Vκ3-20遺伝子セグメントである、請求項13または請求項14に記載の方法。
  21. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞の前記ゲノムが、前記ヒトVκ1-39遺伝子セグメント、前記ヒトVκ3-20遺伝子セグメント、前記ヒトJκ1遺伝子セグメント、前記ヒトJκ2遺伝子セグメント、前記ヒトJκ3遺伝子セグメント、前記ヒトJκ4遺伝子セグメント、および、前記ヒトJκ5遺伝子セグメントを順に含む、請求項13または請求項14に記載の方法。
  22. 前記遺伝子改変されたマウスES細胞が、DLC-5J遺伝子座を含み、該DLC-5J遺伝子座が、配列番号38~49より選択されるhVκ/hJκ/mCκ接合部配列を含む、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 遺伝子改変されたマウスを作製する方法であって、マウスの生殖系列ゲノムを、
    マウス免疫グロブリン軽鎖定常領域配列に作動可能に連結された、ちょうど2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントと、5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントと
    を含むように遺伝子改変することを含み、ここで、該2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントがヒトVκ1-39遺伝子セグメントおよびヒトVκ3-20遺伝子セグメントであり、該5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントが、ヒトJκ1遺伝子セグメント、ヒトJκ2遺伝子セグメント、ヒトJκ3遺伝子セグメント、ヒトJκ4遺伝子セグメントおよびヒトJκ5遺伝子セグメントであり、
    該遺伝子改変されたマウスが、そのゲノム内に、
    内因性重鎖遺伝子座においてマウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列に作動可能に連結された、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンV 遺伝子セグメントと、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンD 遺伝子セグメントと、1つまたは複数の再構成されていないヒト免疫グロブリンJ 遺伝子セグメントと
    をさらに含む、方法。
  24. 前記マウス軽鎖定常領域がマウスCκ定常領域である、請求項2に記載の方法。
  25. 前記マウス軽鎖定常領域が内因性マウスCκ定常領域である、請求項2に記載の方法。
  26. 前記遺伝子改変されたマウスの前記ゲノムが、再構成して免疫グロブリン重鎖可変領域を形成できる内因性マウス免疫グロブリンV遺伝子セグメントを含まない、請求項2に記載の方法。
  27. 前記2つの再構成されていないヒト免疫グロブリンVκ遺伝子セグメントと、5つの再構成されていないヒト免疫グロブリンJκ遺伝子セグメントが、内因性免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座に存在する、請求項23~2のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記遺伝子改変されたマウスの前記ゲノムが非機能的な免疫グロブリンλ軽鎖遺伝子座を含む、請求項2に記載の方法。
  29. 前記遺伝子改変されたマウスの前記ゲノムが機能的なλ軽鎖遺伝子座を含まない、請求項2に記載の方法。
  30. 前記遺伝子改変されたマウスの前記ゲノム内の前記ヒトVκ1-39遺伝子セグメントがヒト生殖系列Vκ1-39遺伝子セグメントであり、前記遺伝子改変されたマウスの前記ゲノム内の前記ヒトVκ3-20遺伝子セグメントがヒト生殖系列Vκ3-20遺伝子セグメントである、請求項2に記載の方法。
  31. 前記遺伝子改変されたマウスの前記ゲノムが、前記ヒトVκ1-39遺伝子セグメント、前記ヒトVκ3-20遺伝子セグメント、前記ヒトJκ1遺伝子セグメント、前記ヒトJκ2遺伝子セグメント、前記ヒトJκ3遺伝子セグメント、前記ヒトJκ4遺伝子セグメント、および、前記ヒトJκ5遺伝子セグメントを順に含む、請求項2に記載の方法。
  32. 前記遺伝子改変されたマウスが、DLC-5J遺伝子座を含み、該DLC-5J遺伝子座が、配列番号38~49より選択されるhVκ/hJκ/mCκ接合部配列を含む、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
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