JP7010728B2 - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7010728B2
JP7010728B2 JP2018033663A JP2018033663A JP7010728B2 JP 7010728 B2 JP7010728 B2 JP 7010728B2 JP 2018033663 A JP2018033663 A JP 2018033663A JP 2018033663 A JP2018033663 A JP 2018033663A JP 7010728 B2 JP7010728 B2 JP 7010728B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydraulic
hydraulic fluid
brake
cylinder
passage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018033663A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019147484A (ja
Inventor
平 井澤
Original Assignee
ゼット・エフ・アクティブ・セーフティー・ユーエス・インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ゼット・エフ・アクティブ・セーフティー・ユーエス・インコーポレイテッド filed Critical ゼット・エフ・アクティブ・セーフティー・ユーエス・インコーポレイテッド
Priority to JP2018033663A priority Critical patent/JP7010728B2/ja
Publication of JP2019147484A publication Critical patent/JP2019147484A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7010728B2 publication Critical patent/JP7010728B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Braking Systems And Boosters (AREA)
  • Valves And Accessory Devices For Braking Systems (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Transmission Of Braking Force In Braking Systems (AREA)

Description

本発明はブレーキ液圧制御装置に関する。
従来、電動アクチュエータの駆動によって作動液の液圧を発生可能なバイ・ワイヤ式のブレーキシステムを備えたブレーキ液圧制御装置が知られている。
例えば特許文献1に記載のブレーキ液圧制御装置では、ホイールシリンダに作用する作動液の液圧を減圧する際、該ホイールシリンダから逃がされる作動液が上流側に設けられたリザーバタンクに直接戻されるように構成されている。
また、特許文献1に記載のブレーキ液圧制御装置では、吸液制御を行う機能を備えている。吸液制御は、リザーバタンクからスレーブシリンダ内にブレーキ液を積極的に吸液して、スレーブシリンダ内のブレーキ液を確保するための制御である。
特開2016-147645号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車両用ブレーキシステムでは、ホイールシリンダに作用する作動液を減圧制御する際に、高液圧から開放された作動液にキャビテーションが生じる可能性がある。このため、キャビテーションによる気泡を含んだ作動液が吸液制御時にリザーバタンクからスレーブシリンダに供給される可能性があり、ブレーキの昇圧特性が変化してしまうおそれがあった。
本発明は、キャビテーションの影響によって吸液制御時にブレーキの昇圧特性が変化することを抑制できるブレーキ液圧制御装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために創案された本発明のブレーキ液圧制御装置は、作動液を貯溜するリザーバタンクと、前記リザーバタンクに接続され、ブレーキ操作子の操作によって作動液の液圧を発生させるマスタシリンダと、を備えている。また、ブレーキ液圧制御装置は、前記マスタシリンダからの作動液が流入する正圧室、および反力付与部材が収容される背圧室とを含み、前記ブレーキ操作子に擬似的な操作反力を付与するストロークシミュレータを備えている。さらに、ブレーキ液圧制御装置は、前記ブレーキ操作子の操作量に応じて駆動する電動アクチュエータによって作動液の液圧を発生させるスレーブシリンダと、ホイールシリンダに作用する作動液の液圧を制御する制御弁手段と、を備えている。また、ブレーキ液圧制御装置は、前記ホイールシリンダに作用する作動液の液圧の減圧制御時に、前記制御弁手段を通じて前記ホイールシリンダから逃がされる作動液が流入する戻り液路を備えている。さらに、前記リザーバタンクから前記スレーブシリンダに至る作動液補給用の補給路を備えている。前記スレーブシリンダは、前記補給路を通じてシリンダ内へ作動液を補給可能である。また、前記戻り液路は、前記背圧室に連通しており、前記背圧室を通じて前記リザーバタンクに繋がっている。
かかるブレーキ液圧制御装置では、ホイールシリンダに作用する作動液の液圧の減圧制御時に、制御弁手段を通じてホイールシリンダから逃がされる作動液が戻り液路を通じてストロークシミュレータの背圧室に流入する。つまり、キャビテーションによる気泡を含んだ作動液が戻された場合でも、これを一旦、ストロークシミュレータの背圧室に流入させることができる。したがって、キャビテーションによる気泡を含んだ作動液がリザーバタンクに直接戻されてリザーバタンクからスレーブシリンダに補給される場合に比べて、液路を長く構成することができ、気泡同士が集まって大きくなることで排出されやすくなるので、キャビテーションの影響を低減できる。これにより、キャビテーションに起因したブレーキの昇圧特性が変化することを抑制できる。
また、キャビテーションの影響を低減するために、リザーバタンクを大きく形成したり、ブレーキ液圧制御装置の内部構造(液路構成)を複雑に構成したりしなくても、キャビテーションの抑制が可能となる。
また、ブレーキ液圧制御装置に通常設置されるストロークシミュレータの背圧室を利用することで、ブレーキ液圧制御装置の本体を大きくすることなく、キャビテーションの抑制が可能となる。
また、前記したブレーキ液圧制御装置において、前記リザーバタンク内において前記戻り液路の排出口は、前記リザーバタンク内に貯溜されている作動液の液面よりも鉛直方向上側に位置しているのがよい。このように構成することで、キャビテーションによる気泡を含んだ作動液がリザーバタンク内において大気中に排出されるので、リザーバタンク内の作動液にエアが混入するのを抑制することができる。
また、前記したブレーキ液圧制御装置において、前記背圧室において、前記ストロークシミュレータの中心軸を基準として鉛直方向下側となる面に、前記戻り液路の流入口が開口し、前記背圧室において、前記ストロークシミュレータの中心軸を基準として鉛直方向上側となる面に、前記リザーバタンクへ向けた前記戻り液路の流出口が開口するのがよい。このように構成することで、背圧室内を作動液が下側から上側に向けてスムーズに流れる。また、作動液中にキャビテーションによる気泡が含まれている場合に、背圧室内を作動液が下側から上側に流れる過程で気泡同士が集まって大きくなる。
また、前記したブレーキ液圧制御装置において、前記背圧室には、前記戻り液路の流入口よりも鉛直方向下側となる部位に作動液通流口が開口しているのがよい。このように構成することによって、キャビテーションによる気泡が含まれることを抑制された作動液を背圧室から別途流出することができる。作動液通流口は、戻り液路の流入口よりも下方となる部位に開口しているので、作動液通流口を通じて排出される作動液にキャビテーションによる気泡が含まれることを抑制することができる。
また、前記したブレーキ液圧制御装置において、前記作動液通流口は、前記背圧室の最下部に開口しているのがよい。このように構成することによって、作動液通流口を通じて排出される作動液にキャビテーションによる気泡が含まれることをより一層抑制することができる。
また、前記したブレーキ液圧制御装置において、前記作動液通流口には、前記リザーバタンクに連通する作動液通液路が接続されているのがよい。このように構成することによって、キャビテーションによる気泡が含まれることを抑制された作動液をリザーバタンクに好適に戻すことができる。
また、前記したブレーキ液圧制御装置において、前記制御弁手段は、前記ホイールシリンダに作用する作動液の液圧の減圧制御時に、前記ホイールシリンダから作動液を逃がすための出口弁を備えていることが好ましい。この場合には、前記ストロークシミュレータは、前記出口弁よりも鉛直方向上側に配置されているのがよい。このように構成することによって、キャビテーションによる気泡に起因する戻り液路内のエア溜りを防止することができる。
本発明によると、キャビテーションの影響によって吸液制御時にブレーキの昇圧特性が変化することを抑制できるブレーキ液圧制御装置が得られる。
本発明の一実施形態に係るブレーキ液圧制御装置を示す液圧回路図である。 ストロークシミュレータの構成を示す模式断面図である。 キャビテーションによる気泡が含まれたブレーキ液がストロークシミュレータの背圧室に戻されたときの様子を示す模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に本実施形態のブレーキ液圧制御装置を示す。ブレーキ液圧制御装置は、原動機(エンジンや走行用電動モータ等)の起動時に作動するバイワイヤ(By・Wire)式のブレーキシステムと、原動機の停止時などに作動する油圧式のブレーキシステムとの双方を備える。
ブレーキ液圧制御装置は、主として、マスタシリンダ10と、スレーブシリンダ20と、制御弁手段30と、ストロークシミュレータ40とを備えている。ブレーキ液圧制御装置は、エンジン(内燃機関)のみを動力源とする自動車の他、モータを併用するハイブリッド自動車やモータのみを動力源とする電気自動車・燃料電池自動車等にも搭載することができる。
マスタシリンダ10は、二つのピストン11,12を有するタンデム型である。マスタシリンダ10は、運転者のブレーキペダルP(ブレーキ操作子)の操作によって(操作量に応じて)作動液としてのブレーキ液に液圧を発生させる。マスタシリンダ10で発生した液圧は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに直接作用させることができる。マスタシリンダ10には、ストロークシミュレータ40が接続されている。
スレーブシリンダ20は、ブレーキペダルPの操作量に応じて電動モータ24(電動アクチュエータ)を駆動させることによってブレーキ液に液圧を発生させる。スレーブシリンダ20で発生した液圧は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに作用する。
制御弁手段30は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに作用するブレーキ液の液圧を制御し、車両挙動の安定化を支援する。
ストロークシミュレータ40は、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力を付与するものである。ストロークシミュレータ40には、後記するように、制御弁手段30から逃がされたブレーキ液が流入する背圧室47が設けられている。
本実施形態のブレーキ液圧制御装置では、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20、制御弁手段30およびストロークシミュレータ40が、一つの金属製の基体1に備わる。また、基体1には、ブレーキ液を貯溜するリザーバタンク15が付設されている。そして、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20、制御弁手段30、ストロークシミュレータ40およびリザーバタンク15は、一体のユニットとして構成されている。
基体1内には、第一ブレーキ系統K1および第二ブレーキ系統K2の2つのブレーキ系統が備わる。第一ブレーキ系統K1には、マスタシリンダ10から二つの車輪ブレーキFL,RRに通じる第一液圧路2aが設けられている。また、第二ブレーキ系統K2には、マスタシリンダ10から残りの車輪ブレーキRL,FRに通じる第二液圧路2bが設けられている。
また、基体1内には、分岐液圧路3、共通液圧路4、第一連通路5a、第二連通路5b、スレーブシリンダ補給路(補給路)9a、戻り液路9b、作動液通流路9cが形成されている。第一液圧路2aには、第一圧力センサ6が設けられている。共通液圧路4には、第二圧力センサ7が設けられている。
マスタシリンダ10は、有底円筒状のシリンダ穴10aに挿入された第一ピストン11および第二ピストン12と、シリンダ穴10a内に収容された反力付与部材としての二つの第一弾性部材17aおよび第二弾性部材17bと、を備えている。
シリンダ穴10aの底面10bと第一ピストン11との間には第一圧力室16aが形成されている。第一圧力室16aにはコイルばねである第一弾性部材17aが介設されている。
第一ピストン11と第二ピストン12との間には第二圧力室16bが形成されている。また、第二圧力室16bにはコイルばねである第二弾性部材17bが介設されている。
なお、シリンダ穴10aの内周面には、複数のカップシール10c,10cが装着されている。
第二ピストン12の端部は、プッシュロッドP1を介してブレーキペダルPに連結されている。第一ピストン11および第二ピストン12は、ブレーキペダルPの踏力を受けてシリンダ穴10a内を摺動し、両圧力室16a,16b内のブレーキ液を加圧する。両圧力室16a,16b内で加圧されたブレーキ液は、シリンダ穴10aに設けられた出力ポート18a,18bを通じて出力される。
出力ポート18aには第一液圧路2aが接続され、出力ポート18bには第二液圧路2bが接続されている。第一液圧路2aおよび第二液圧路2bは、下流側の制御弁手段30に接続されている。
また、マスタシリンダ10には、第二ピストン12のストロークを検出するストロークセンサSTが組み付けられている。
ストロークシミュレータ40は、シミュレータピストン42と、二つの弾性部材43,44とを備えている。シミュレータピストン42は、基体1に形成されたシミュレータシリンダ穴41に挿入されている。二つの弾性部材43,44は、シミュレータシリンダ穴41の底面41bに配置された保持部材41cとシミュレータピストン42との間に介設されている。
シミュレータシリンダ穴41内には、正圧室45および背圧室47が形成されている。正圧室45は、導入口46とシミュレータピストン42との間に設けられている。正圧室45は、図1に示すように、分岐液圧路3、第二液圧路2bおよび出力ポート18bを介して、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じている(図2では分岐液圧路3のみ簡略的に図示)。したがって、ブレーキペダルPを操作してマスタシリンダ10の第二圧力室16bで液圧が発生すると、ストロークシミュレータ40のシミュレータピストン42が弾性部材43,44の付勢力に抗して移動する。これにより、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力が付与される。
背圧室47は、図2に示すように、シミュレータピストン42の背面側(後ろ側、正圧室45と反対側)に形成される部屋である。背圧室47は、シミュレータシリンダ穴41の内面と、シミュレータピストン42と、保持部材41cとで区画される部屋である。背圧室47には、戻り液路9bが連通している。背圧室47の前側下面には、戻り液路9bの開口として流入口47aが設けられ、また、背圧室47の前側上面には、戻り液路9bの開口として流出口47bが設けられている。流入口47aには、戻り液路9bをなす第一戻り液路9b1が接続されている。第一戻り液路9b1は、制御弁手段30から流入口47aに至る液路である。なお、背圧室47の前側下面は、ストロークシミュレータ40の中心軸(不図示)を基準として鉛直方向下側となる面である。また、背圧室47の前側上面は、ストロークシミュレータ40の中心軸(不図示)を基準として鉛直方向上側となる面である。
一方、流出口47bには、戻り液路9bをなす第二戻り液路9b2が接続されている。第二戻り液路9b2は、流出口47bからリザーバタンク15内に至る液路である。第二戻り液路9b2の排出口(上端)9b3は、図2に示すように、リザーバタンク15のブレーキ液注入口15eの内側に延在しており、タンク内に貯溜されているブレーキ液の液面15fよりも上側となっている。
また、背圧室47の後側下面には、作動液通流口47cが開口している。作動液通流口47cは、ブレーキ液圧制御装置が自動車の車体(不図示)に取り付けられた状態、つまり、図2に示す後ろ側に傾斜した状態で、流入口47aよりも下側となる部位に形成されている。本実施形態では、背圧室47の最下部となる部位に対して作動液通流口47cが開口している。作動液通流口47cには、作動液通流路9cが接続されている。作動液通流路9cは、図1に示すように、マスタシリンダ10のポート19を介してリザーバタンク15(補給ポート15b)に連通している(図2ではマスタシリンダ10の図示を省略し作動液通流路9cおよび補給ポート15bのみ簡略的に図示)。作動液通流路9cは、背圧室47からブレーキ液を別途流出させるための通流路である。ブレーキペダルPが操作されると、シミュレータピストン42が背圧室47側へ移動することで背圧室47内のブレーキ液が押圧され、作動液通流路9cを通じてリザーバタンク15に戻される。なお、背圧室47の後側下面は、ストロークシミュレータ40の中心軸(不図示)を基準として鉛直方向下側となる面である。
スレーブシリンダ20は、シリンダ穴21に挿入された一つのピストン22と、シリンダ穴21内に収容された弾性部材23と、電動モータ24と、駆動伝達部25と、を備えている。
シリンダ穴21の底部21bとピストン22との間には液圧室26が形成されている。液圧室26にはコイルばねである弾性部材23が配置されている。
液圧室26は、共通液圧路4および第一連通路5aを介して第一液圧路2aに通じるとともに、共通液圧路4および第二連通路5bを介して第二液圧路2bに通じている。
電動モータ24は、電動サーボモータである。電動モータ24は、コイル部24aと、ベアリング24bに支持された回転部24cとを備えている。回転部24cには磁石24dが取り付けられている。
回転部24cの内側には、駆動伝達部25が備わる。駆動伝達部25は、電動モータ24の回転駆動力を直線方向の軸力に変換するものである。駆動伝達部25は、ピストン22に当接しているロッド25aと、ロッド25aと回転部24cとの間に配置された複数のボール25bと、を備えている。ロッド25aの外周面には、螺旋状のねじ溝が形成されており、このねじ溝には複数のボール25bが転動自在に収容されている。回転部24cは、複数のボール25bに螺合されている。このように、回転部24cとロッド25aとの間にはボールねじ機構が設けられている。
電動モータ24は、基体1に装着される電子制御装置70によって駆動制御される。電動モータ24には、図示しない回転角センサが取り付けられている。回転角センサの検出値は電子制御装置70に入力される。電子制御装置70は、回転角センサの検出値に基づいて、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量を算出する。
電動モータ24の回転部24cが回転すると、回転部24cとロッド25aとの間に設けられたボールねじ機構によって、ロッド25aに直線方向の軸力が付与され、ロッド25aが前後方向に進退移動する。
ロッド25aがピストン22側に移動したときには、ピストン22がロッド25aからの入力を受けてシリンダ穴21内を進動(加圧方向に移動)し、液圧室26内のブレーキ液が加圧される。また、ロッド25aがピストン22とは反対側に移動したときには、弾性部材23の付勢力によってピストン22がシリンダ穴21内を退動(減圧方向に移動)し、液圧室26内のブレーキ液が減圧される。
制御弁手段30は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに作用するブレーキ液の液圧を適宜制御するものである。制御弁手段30は、アンチロックブレーキ制御を実行し得る構成を備えており、配管を介して各ホイールシリンダWに接続されている。また、制御弁手段30には、戻り液路9bの第一戻り液路9b1が接続されている。
車輪ブレーキFL,RR,RL,FRは、それぞれ配管を介して基体1の出口ポート301に接続されている。そして、通常時は、ブレーキペダルPの踏力に対応してスレーブシリンダ20から出力された液圧が両液圧路2a,2bを通じて各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに付与される。
なお、以下では、制御弁手段30において、第一液圧路2aに接続された系統を「第一液圧系統300a」と称し、第二液圧路2bに接続された系統を「第二液圧系統300b」と称する。
第一液圧系統300aには、各車輪ブレーキFL,RRに対応して二つの制御弁手段Vが設けられており、同様に、第二液圧系統300bには、各車輪ブレーキRL,FRに対応して二つの制御弁手段Vが設けられている。
制御弁手段Vは、スレーブシリンダ20から車輪ブレーキFL,RR,RL,FR(詳細には、ホイールシリンダW)への液圧の行き来を制御する弁である。制御弁手段Vは、ホイールシリンダWに作用する液圧(以下、「ホイールシリンダ圧」という)を増圧、保持または減圧させることができる。そのため、制御弁手段Vは、入口弁31、出口弁32、チェック弁33を備えて構成されている。
入口弁31は、第一液圧路2aから各車輪ブレーキFL,RRへ至る二つの液圧路、および第二液圧路2bから各車輪ブレーキRL,FRへ至る二つの液圧路に一つずつ配置されている。入口弁31は、常開型の比例電磁弁(リニアソレノイド弁)であり、入口弁31のコイルに流す駆動電流の値に応じて、入口弁31の上下流の差圧(入口弁31の開弁圧)を調整可能である。入口弁31は、通常時に開いていることで、スレーブシリンダ20から各ホイールシリンダWへ液圧が付与されるのを許容している。また、入口弁31は、車輪がロックしそうになったときに電子制御装置70の制御により閉塞し、各ホイールシリンダWに付与される液圧を遮断する。
出口弁32は、各ホイールシリンダWと第一戻り液路9b1との間に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁32は、通常時に閉塞されているが、車輪がロックしそうになったときに電子制御装置70の制御により開放される。出口弁32が開弁すると、各ホイールシリンダWに作用しているブレーキ液が減圧する。
チェック弁33は、各入口弁31に並列に接続されている。チェック弁33は、ホイールシリンダW側からスレーブシリンダ20側(マスタシリンダ10側)へのブレーキ液の流入のみを許容する弁である。したがって、入口弁31を閉じた状態にしたときにおいても、チェック弁33は、各ホイールシリンダW側からスレーブシリンダ20側へのブレーキ液の流れを許容する。
このような制御弁手段30では、電子制御装置70により入口弁31および出口弁32の開閉状態を制御することで、各ホイールシリンダWのホイールシリンダ圧が調整される。例えば、入口弁31が開、出口弁32が閉となる通常状態において、ブレーキペダルPを踏み込めば、スレーブシリンダ20からの液圧がそのままホイールシリンダWへ伝達してホイールシリンダ圧が増圧する。また、入口弁31が閉、出口弁32が開となる状態であれば、ホイールシリンダWから第一戻り液路9b1側へブレーキ液が流出し、ホイールシリンダ圧が減少して減圧する。さらに、入口弁31と出口弁32がともに閉となる状態では、ホイールシリンダ圧が保持される。
次に、基体1内に形成された各液圧路について説明する。
二つの第一液圧路2aおよび第二液圧路2bは、いずれもマスタシリンダ10のシリンダ穴10aを起点とする液圧路である。
第一液圧路2aは、マスタシリンダ10の第一圧力室16aに通じている。一方、第二液圧路2bは、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じている。第一液圧路2aは、下流側の車輪ブレーキFL,RRに通じている。また、第二液圧路2bは、下流側の車輪ブレーキRL,FRに通じている。
分岐液圧路3は、第二液圧路2bからストロークシミュレータ40の正圧室45に至る液圧路である。分岐液圧路3には常閉型電磁弁8が設けられている。常閉型電磁弁8は分岐液圧路3を開閉するものである。
二つの第一連通路5aおよび第二連通路5bは、いずれも、スレーブシリンダ20の液圧室26を起点とする液圧路である。第一連通路5aおよび第二連通路5bは、共通液圧路4に合流して、シリンダ穴21につながっている。第一連通路5aは液圧室26から第一液圧路2aに至る液路であり、また、第二連通路5bは液圧室26から第二液圧路2bに至る液路である。
第一液圧路2aと第一連通路5aとの連結部位には、三方向弁である第一切替弁51が設けられている。第一切替弁51は、2ポジション3ポートの電磁弁である。第一切替弁51は、図1に示す非通電時の第一のポジションと、これとは異なる通電時の第二のポジションとを選択可能である。図1に示す第一のポジションでは、第一液圧路2aの上流側(マスタシリンダ10側)と第一液圧路2aの下流側(制御弁手段30側、車輪ブレーキFL,RR)とが連通し、第一連通路5aへの通路が遮断される。つまり、第一切替弁51が第一のポジションにあるときの車輪ブレーキFL,RRは、マスタシリンダ10と連通するが、スレーブシリンダ20とは遮断される(非連通状態となる)。また、第二のポジションでは、第一液圧路2aの上流側への連通が遮断され、第一連通路5aと第一液圧路2aの下流側とが連通する。つまり、第一切替弁51が第二のポジションにあるときの車輪ブレーキFL,RRは、マスタシリンダ10とは遮断される(非連通状態となる)が、スレーブシリンダ20とは連通した状態となる。
一方、第二液圧路2bと第二連通路5bとの連結部位には、三方向弁である第二切替弁52が設けられている。第二切替弁52は、第一切替弁51と同様に2ポジション3ポートの電磁弁である。第二切替弁52は、図1に示す非通電時の第一のポジションと、これとは異なる通電時の第二のポジションとを選択可能である。図1に示す第一のポジションでは、第二液圧路2bの上流側(マスタシリンダ10側)と第二液圧路2bの下流側(制御弁手段30側、車輪ブレーキRL,FR)とが連通し、第二連通路5bへの通路が遮断される。つまり、第二切替弁52が第一のポジションにあるときの車輪ブレーキRL,FRは、マスタシリンダ10と連通するが、スレーブシリンダ20とは遮断される(非連通状態となる)。また、第二のポジションでは、第二液圧路2bの上流側への連通が遮断され、第二連通路5bと第二液圧路2bの下流側とが連通する。つまり、第二切替弁52が第二のポジションにあるときの車輪ブレーキRL,FRは、マスタシリンダ10とは遮断される(非連通状態となる)が、スレーブシリンダ20とは連通した状態となる。
なお、第一切替弁51および第二切替弁52は、電子制御装置70によってポジションが切り替わる。ちなみに、第一切替弁51および第二切替弁52は、システムの起動時や、マスタシリンダ10からホイールシリンダWに液圧を直接作用させるバックアップモード時には、第一のポジションにある。また、第一切替弁51および第二切替弁52は、スレーブシリンダ20からホイールシリンダWに液圧を作用させる通常のブレーキ制御時等には、第二のポジションにある。
第一連通路5aには、第一遮断弁61が設けられている。第一遮断弁61は常開型電磁弁であり、第一連通路5aを開閉する。第一遮断弁61は、非通電時には開弁して、第一連通路5aが連通する。また、第一遮断弁61は、通電時には閉弁して、第一連通路5aが遮断される。第一遮断弁61の開閉は、電子制御装置70によって行われる。
第二連通路5bには、第二遮断弁62が設けられている。第二遮断弁62は常開型電磁弁であり、第二連通路5bを開閉する。第二遮断弁62は、非通電時には開弁して、第二連通路5bが連通する。また、第二遮断弁62は、通電時には閉弁して、第二連通路5bが遮断される。第二遮断弁62の開閉は、電子制御装置70によって行われる。
第一圧力センサ6および第二圧力センサ7は、いずれも、ブレーキ液の液圧(ブレーキ液圧)の大きさを検知するものである。両圧力センサ6,7で取得された情報(検出値)は電子制御装置70に入力される。
第一圧力センサ6は、マスタシリンダ10と第一切替弁51との間の第一液圧路2aに配置されている。第一圧力センサ6は、マスタシリンダ10で発生した液圧を検知する。
第二圧力センサ7は、共通液圧路4に配置されている。第二圧力センサ7は、スレーブシリンダ20で発生した液圧を検知する。
リザーバタンク15は、ブレーキ液を貯溜する貯溜室を内部に有し、基体1の上面に取り付けられている。リザーバタンク15は、3つの補給ポート15a~15cを備えている。補給ポート15aは、マスタシリンダ10の第一圧力室16aに通じており、第一圧力室16aにブレーキ液を補給可能である。また、補給ポート15bは、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じており、第二圧力室16bにブレーキ液を補給可能である。さらに、補給ポート15cは、これに接続されたスレーブシリンダ補給路9aを介してスレーブシリンダ20の液圧室26に通じており、液圧室26にブレーキ液を補給可能である。
リザーバタンク15の上部には、図2に示すように、ブレーキ液注入口15eが設けられている。ブレーキ液注入口15eは、キャップ15gで塞がれる。ブレーキ液は、ブレーキ液注入口15eを通じてリザーバタンク15の内部に注入される。ブレーキ液注入口15eの内側には、第二戻り液路9b2の排出口9b3が配置されている。
なお、リザーバタンク15の内部には、図示しないフロート室が形成され、液面検出装置が配設されている。液面検出装置は、タンク内のブレーキ液量が適正貯溜範囲の最低レベルとなったこと(タンク内のブレーキ液量異常)を検出するものであり、図示しないフロートと、検出器と、を備えている。
フロートは、発泡樹脂材等の軽量材からなり、タンク内のブレーキ液の液面の変動に伴って浮動する(上下動する)。検出器は、フロートが下がってタンク内の液量が適正貯溜範囲の最低レベルとなったときに作動する。
スレーブシリンダ補給路9aは、リザーバタンク15からスレーブシリンダ20に至る液路である。また、スレーブシリンダ補給路9aは、分岐補給路9dを介して共通液圧路4に接続されている。分岐補給路9dには、リザーバタンク15側から共通液圧路4側(スレーブシリンダ20側)へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁9eが設けられている。通常時、スレーブシリンダ補給路9aを通じてリザーバタンク15からスレーブシリンダ20にブレーキ液が補給される。また、後記する吸液制御時には、スレーブシリンダ補給路9a、分岐補給路9dおよび共通液圧路4を通じて、リザーバタンク15からスレーブシリンダ20にブレーキ液が吸液される。
戻り液路9bは、第一戻り液路9b1と第二戻り液路9b2とからなり、制御弁手段30からストロークシミュレータ40を介してリザーバタンク15に至る液路である。第一戻り液路9b1には、制御弁手段30の出口弁32を介して各ホイールシリンダWから逃がされたブレーキ液が流入する。第一戻り液路9b1に逃がされたブレーキ液は、第一戻り液路9b1から流入口47aを通じてストロークシミュレータ40の背圧室47に流入する。背圧室47に流入したブレーキ液は、背圧室47の流出口47bを通じて第二戻り液路9b2に排出される。第二戻り液路9b2に排出されたブレーキ液は、第二戻り液路9b2の排出口9b3を通じて、リザーバタンク15のブレーキ液注入口15eの内側に排出される。これにより、各ホイールシリンダWから逃がされたブレーキ液がリザーバタンク15に戻される。
電子制御装置70は、内部に制御基板(図示せず)を収容し、基体1の側面等に取り付けられている。電子制御装置70は、両圧力センサ6,7やストロークセンサSTの各種センサから得られた情報(検出値)や予め記憶させておいたプログラム等に基づいて制御を行う。具体的に、電子制御装置70は、常閉型電磁弁8の開閉、電動モータ24の作動、両切替弁51,52の作動、両遮断弁61,62の開閉、および制御弁手段30の制御弁手段Vの開閉を制御する。
電子制御装置70は、電動モータ24を駆動制御するとともに、第一切替弁51、第二切替弁52、第一遮断弁61および第二遮断弁62の作動を制御する。
また、電子制御装置70は、スレーブシリンダ20で発生した液圧がブレーキペダルPの操作量に対応した液圧まで上昇したか否かを判定する機能を備えている。具体的に、電子制御装置70は、ストロークセンサSTによりブレーキペダルPの操作量を検出する。その後、電子制御装置70は、予め記憶させておいたマップ(図示せず)を参照する。そして、電子制御装置70は、スレーブシリンダ20で発生した液圧がマップのブレーキペダルPの操作量に対応した液圧まで上昇したか否か(予めプログラムされた判定値まで上昇したか否か)を第二圧力センサ7で検出された液圧に基づいて判定する。そして、電子制御装置70は、判定結果に基づいて、スレーブシリンダ20や、両切替弁51,52、および両遮断弁61,62を制御する。
また、電子制御装置70は、吸液制御を行う機能を備えている。吸液制御は、スレーブシリンダ補給路9aからスレーブシリンダ20内にブレーキ液を積極的に吸液して、スレーブシリンダ20内のブレーキ液を確保するための制御である。例えば、高液圧領域までスレーブシリンダ20で加圧するためにブレーキ液を確保したい場合に実行される。また、例えば、スレーブシリンダ20の発生液圧が運転者の要求液圧となった状態(定常の状態)で、それ以降の加圧に備えてブレーキ液を予め確保しておく場合などに実行される。
次に、ブレーキ液圧制御装置の動作について概略説明する。
(通常のブレーキ制御)
図1に示すように、ブレーキ液圧制御装置では、ブレーキペダルPが操作されたことをストロークセンサSTが検知すると、第一切替弁51および第二切替弁52が励磁されて、前記した第二のポジションに移動する。この移動によって第一液圧路2aの下流側(車輪ブレーキ側)と第一連通路5aとが通じるとともに、第二切替弁52によって第二液圧路2bの下流側と第二連通路5bとが通じる。つまり、マスタシリンダ10とホイールシリンダWとが遮断された状態(非連通状態)になるとともに、スレーブシリンダ20がホイールシリンダWと連通した状態になる。
また、分岐液圧路3の常閉型電磁弁8は、システム起動時に開弁される。常閉型電磁弁8が開弁されると、ブレーキペダルPの操作によってマスタシリンダ10で発生した液圧は、ホイールシリンダWには伝達されずに、ストロークシミュレータ40に伝達される。そして、正圧室45の液圧が大きくなり、シミュレータピストン42が弾性部材43,44の付勢力に抗して底面41b側に移動することで、ブレーキペダルPのストロークが許容される。これにより、擬似的な操作反力がブレーキペダルPに付与される。
また、ストロークセンサSTによって、ブレーキペダルPの踏み込みが検知される。そうすると、電子制御装置70によりスレーブシリンダ20の電動モータ24が駆動され、スレーブシリンダ20のピストン22が底部21b側に移動する。これにより、液圧室26内のブレーキ液が加圧される。
電子制御装置70は、ストロークセンサSTの検出値に基づいてブレーキペダルPの操作量に応じた液圧に昇圧させる。
スレーブシリンダ20の発生液圧は、制御弁手段30を介して各ホイールシリンダWに伝達され、各ホイールシリンダWが作動することにより、ブレーキペダルPの踏み込み量に応じた制動力が各車輪に付与される。
ブレーキペダルPの踏み込みが解除されると、電子制御装置70によりスレーブシリンダ20の電動モータ24が逆転駆動され、ピストン22が弾性部材23によって電動モータ24側に戻される。これによって、液圧室26内が降圧され、各ホイールシリンダWの作動が解除される。
なお、スレーブシリンダ20が作動しない状態(例えば、イグニッションOFFや、電力が得られない場合など)においては、第一切替弁51,第二切替弁52、常閉型電磁弁8が初期状態に戻る。第一切替弁51,第二切替弁52が初期状態に戻ると、第一液圧路2aが連通するとともに、第二液圧路2bが連通する。この状態では、マスタシリンダ10で発生した液圧が各ホイールシリンダWに直接伝達される。
(ホイールシリンダWに作用しているブレーキ液を減圧する減圧制御)
ホイールシリンダWに作用しているブレーキ液を減圧する減圧制御は、アンチロックブレーキ作動時に行われる制御である。具体的に、減圧制御は、入口弁31を閉じて出口弁32を開くことで行われる。減圧制御時には、制御弁手段30に備わる出口弁32を介して該ホイールシリンダWから高液圧のブレーキ液が逃される。そして、ホイールシリンダWから逃された高液圧のブレーキ液は、第一戻り液路9b1に流入し、第一戻り液路9b1から流入口47aを通じてストロークシミュレータ40の背圧室47に流入する。その後、背圧室47に流入したブレーキ液は、背圧室47の流出口47bを通じて第二戻り液路9b2に排出され、排出口9b3を通じて、大気圧に開放されているリザーバタンク15に排出される。
このとき、キャビテーションによる気泡Aが含まれたブレーキ液が第一戻り液路9b1に流入した場合には、次のように作用する。すなわち、出口弁32からリザーバタンク15に至る液路(大気圧下の液路)は、図3に示すように、第一戻り液路9b1、背圧室47および第二戻り液路9b2を介した液路となっているので、リザーバタンク15に直接戻されるように構成されたものに比べて、長いものとなっている。これにより、これらの液路および背圧室47をブレーキ液が流れる過程で、ブレーキ液に含まれる気泡Aが集まって(合体して)大きくなりやすい。つまり、本実施形態では、気泡Aが大気圧下におかれる時間が長くなっており、気泡Aが集まって大きくなりやすい構成となっている。なお、背圧室47で大きくなった気泡Aは、背圧室47の流出口47bを通じて第二戻り液路9b2に排出され、その後排出口9b3に移動して、リザーバタンク15内に排出される。このとき、ブレーキ液に含まれる気泡Aは大気に開放されて消滅するか、ブレーキ液とともにリザーバタンク15のブレーキ液注入口15eの内側のブレーキ液の液面15fに流れて液面15f側に漂う状態となる。液面15f側に漂う気泡Aは、補給ポート15cから離れた液面側に存在する状態のまま、その後時間の経過により消滅する。
これにより、補給ポート15cからスレーブシリンダ補給路9aを通じてスレーブシリンダ20の液圧室26に供給されるブレーキ液に気泡Aが混入するのを好適に抑制することができる。
(吸液制御)
例えば、システム最大発生液圧が必要となる急ブレーキ等の特殊なブレーキ時には、常用のブレーキ制御時の液圧よりも高い液圧が要求される。この場合、スレーブシリンダ20では、加圧方向にスライドしたピストン22が、シリンダ穴21の底部21bに当接する寸前の位置で減圧方向に戻される(電動モータ24側に戻される)という吸液制御が行われる。
吸液制御において、電子制御装置70は、第一遮断弁61および第二遮断弁62を閉弁制御する。第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧は、閉弁によって保持状態にされる。
この状態で電動モータ24が減圧方向(戻し方向)に駆動される。そうすると、減圧方向にピストン22が戻され、ホイールシリンダWの液圧が保持状態とされたまま、液圧室26が減圧して負圧状態となる。これによって、スレーブシリンダ補給路9aおよび共通液圧路4を通じてリザーバタンク15から液圧室26にブレーキ液が吸液される。この場合、吸液されるブレーキ液の量は、加圧を補完することが可能な量とされている。
その後、ピストン22が加圧方向に再び駆動され、第一遮断弁61および第二遮断弁62が開弁制御される。これによって、ホイールシリンダWの液圧が再び昇圧され、運転者の要求液圧に対応するブレーキ液圧が得られる。
なお、吸液制御後も同様に、ホイールシリンダWから逃された高液圧のブレーキ液は、第一戻り液路9b1に流入し、第一戻り液路9b1を通じてストロークシミュレータ40の背圧室47に流入する。そして、背圧室47に流入したブレーキ液は、第二戻り液路9b2を通じてリザーバタンク15に戻される。したがって、リザーバタンク15にブレーキ液が直接戻される場合に比べて、ブレーキ液に気泡Aが含まれる場合にこれを好適に消滅させることができる。
以上説明した本実施形態のブレーキ液圧制御装置では、ホイールシリンダWに作用するブレーキ液圧の減圧制御時に、制御弁手段Vを通じてホイールシリンダWから逃がされるブレーキ液が第一戻り液路9b1を通じてストロークシミュレータ40の背圧室47に流入する。つまり、キャビテーションによる気泡Aを含んだブレーキ液が戻された場合でも、これを一旦、ストロークシミュレータ40の背圧室47に流入させることができる。したがって、キャビテーションによる気泡Aを含んだブレーキ液がリザーバタンク15に直接戻されてリザーバタンク15からスレーブシリンダ20に補給される場合に比べて、大気圧下の液路を長く構成することができ、気泡A同士が集まって大きくなることで大気中に排出されやすくなるので、キャビテーションの影響を低減できる。したがって、キャビテーションに起因したブレーキの昇圧特性が変化することを抑制できる。
また、キャビテーションの影響を低減するために、リザーバタンク15を大きく形成したり、ブレーキ液圧制御装置の内部構造(液路構成)を複雑に構成したりしなくても、キャビテーションの抑制が可能となる。
また、ブレーキ液圧制御装置に通常設置されるストロークシミュレータ40の背圧室47を利用することで、ブレーキ液圧制御装置の本体を大きくすることなく、キャビテーションの抑制が可能となる。
また、第二戻り液路9b2の排出口9b3は、リザーバタンク15内に貯溜されているブレーキ液の液面15fよりも鉛直方向上側に位置している。したがって、キャビテーションによる気泡Aを含んだブレーキ液がリザーバタンク15内において大気中に排出されるので、リザーバタンク15内のブレーキ液にエアが混入するのを抑制することができる。
また、背圧室47の下面に、第一戻り液路9b1の流入口47aが開口し、背圧室47の上面に、リザーバタンク15へ向けた第二戻り液路9b2の流出口47bが開口している。したがって、背圧室47内をブレーキ液が下側から上側に向けてスムーズに流れる。また、ブレーキ液中にキャビテーションによる気泡Aが含まれている場合に、背圧室47内をブレーキ液が下側から上側に流れる過程で気泡A同士が集まって大きくなる。
また、背圧室47には、第一戻り液路9b1の流入口47aよりも下側となる部位に作動液通流口47cが開口している。これによって、キャビテーションによる気泡Aが含まれることを抑制されたブレーキ液を背圧室47から別途流出することができる。作動液通流口47cは、第一戻り液路9b1の流入口47aよりも下方となる部位に開口しているので、作動液通流口47cを通じて排出されるブレーキ液にキャビテーションによる気泡Aが含まれることを抑制することができる。
また、作動液通流口47cは、背圧室47の最下部に開口している。したがって、作動液通流口47cを通じて排出されるブレーキ液にキャビテーションによる気泡Aが含まれることをより一層抑制することができる。
また、作動液通流口47cには、リザーバタンク15に連通する作動液通流路9cが接続されている。したがって、キャビテーションによる気泡Aが含まれることの抑制されたブレーキ液をリザーバタンク15に好適に戻すことができる。
また、ストロークシミュレータ40は、出口弁32よりも鉛直方向上側に配置されている。したがって、キャビテーションによる気泡Aに起因する戻り液路9内のエア溜りを好適に防止することができる。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
例えば、前記実施形態では、第二戻り液路9b2の排出口9b3をリザーバタンク15内に貯溜されているブレーキ液の液面15fよりも上側としたが、これに限られない。例えば、液面15fの直下や液面15fの下側の近傍位置に排出口9b3を配置してもよい。
また、排出口9b3と、スレーブシリンダ補給路9aとを左右に並べて設けてもよい。この場合、排出口9b3と、スレーブシリンダ補給路9aとの間に、仕切り壁等を設けて気泡Aがスレーブシリンダ補給路9aに流入するのを防止してもよい。
1 基体
9a スレーブシリンダ補給路(補給路)
9b 戻り液路
9c 作動液通流路
10 マスタシリンダ
15 リザーバタンク
20 スレーブシリンダ
24 電動モータ(電動アクチュエータ)
40 ストロークシミュレータ
30 制御弁手段
32 出口弁
45 正圧室
47 背圧室
47a 流入口
47b 流出口
47c 作動液通流口
P ブレーキペダル(ブレーキ操作子)
W ホイールシリンダ

Claims (4)

  1. 作動液を貯溜するリザーバタンクと、
    前記リザーバタンクに接続され、ブレーキ操作子の操作によって作動液の液圧を発生させるマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダからの作動液が流入する正圧室、および反力付与部材が収容される背圧室とを含み、前記ブレーキ操作子に擬似的な操作反力を付与するストロークシミュレータと、
    前記ブレーキ操作子の操作量に応じて駆動する電動アクチュエータによって作動液の液圧を発生させるスレーブシリンダと、
    ホイールシリンダに作用する作動液の液圧を制御する制御弁手段と、
    前記ホイールシリンダに作用する作動液の液圧の減圧制御時に、前記制御弁手段を通じて前記ホイールシリンダから逃がされる作動液が流入する戻り液路と、
    前記リザーバタンクから前記スレーブシリンダに至る作動液補給用の補給路と、を備えるブレーキ液圧制御装置であって、
    前記スレーブシリンダは、前記補給路を通じてシリンダ内へ作動液を補給可能であり、
    前記戻り液路は、前記背圧室に連通しており、前記背圧室を通じて前記リザーバタンクに繋がっており、
    前記背圧室において、前記ストロークシミュレータの中心軸を基準として鉛直方向下側となる面に、前記戻り液路の流入口が開口しており、
    前記背圧室において、前記ストロークシミュレータの中心軸を基準として鉛直方向上側となる面に、前記リザーバタンクへ向けた前記戻り液路の流出口が開口しており、
    前記背圧室には、前記戻り液路の流入口よりも鉛直方向下側となる部位に作動液通流口が開口しており、
    前記作動液通流口は、前記背圧室の最下部に開口していることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. 前記リザーバタンク内において前記戻り液路の排出口は、前記リザーバタンク内に貯溜されている作動液の液面よりも鉛直方向上側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
  3. 前記作動液通流口には、前記リザーバタンクに連通する作動液通流路が接続されていることを特徴とする請求項または請求項に記載のブレーキ液圧制御装置。
  4. 前記制御弁手段は、前記ホイールシリンダに作用する作動液の液圧の減圧制御時に、前記ホイールシリンダから作動液を逃がすための出口弁を備えており、
    前記ストロークシミュレータは、前記出口弁よりも鉛直方向上側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のブレーキ液圧制御装置。
JP2018033663A 2018-02-27 2018-02-27 ブレーキ液圧制御装置 Active JP7010728B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018033663A JP7010728B2 (ja) 2018-02-27 2018-02-27 ブレーキ液圧制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018033663A JP7010728B2 (ja) 2018-02-27 2018-02-27 ブレーキ液圧制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019147484A JP2019147484A (ja) 2019-09-05
JP7010728B2 true JP7010728B2 (ja) 2022-01-26

Family

ID=67850088

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018033663A Active JP7010728B2 (ja) 2018-02-27 2018-02-27 ブレーキ液圧制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7010728B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010047039A (ja) 2008-08-19 2010-03-04 Advics Co Ltd 液圧ブレーキ装置
JP2011126536A (ja) 2011-02-21 2011-06-30 Hitachi Automotive Systems Ltd ブレーキ制御装置
JP2016147645A (ja) 2015-02-13 2016-08-18 日信工業株式会社 ブレーキシステム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010047039A (ja) 2008-08-19 2010-03-04 Advics Co Ltd 液圧ブレーキ装置
JP2011126536A (ja) 2011-02-21 2011-06-30 Hitachi Automotive Systems Ltd ブレーキ制御装置
JP2016147645A (ja) 2015-02-13 2016-08-18 日信工業株式会社 ブレーキシステム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019147484A (ja) 2019-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20180297569A1 (en) Brake Apparatus
US9499149B2 (en) Brake hydraulic pressure generator
US8167381B2 (en) Brake fluid pressure control device for bar handle vehicle
US7431407B2 (en) Vehicle brake device
JP6723048B2 (ja) 液圧発生装置
JP6756440B2 (ja) 液圧制御装置およびブレーキシステム
JP7037959B2 (ja) ブレーキ液圧制御装置
JP4976724B2 (ja) 車両用ブレーキ液圧制御装置
JP5927093B2 (ja) ブレーキ装置
JP7010728B2 (ja) ブレーキ液圧制御装置
JP2016188037A (ja) ブレーキシステム
JP6304633B2 (ja) ブレーキシステム
JP6521222B2 (ja) リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステム
US7614708B2 (en) Vehicular brake hydraulic control device
JP2012214110A (ja) 電動ブレーキ装置
JP6202741B2 (ja) ブレーキ液圧発生装置
JP6245655B2 (ja) ブレーキシステム
JP6288857B2 (ja) ブレーキシステム
JP6338111B2 (ja) ブレーキシステム
JP4886553B2 (ja) 車両用ブレーキ液圧制御装置
JP2019147458A (ja) ブレーキ制御装置及びブレーキ制御装置用電磁弁
JP6317659B2 (ja) 車両用ブレーキシステム
JP4283755B2 (ja) 車両用ブレーキ液圧制御装置
JP4631377B2 (ja) 液圧ブレーキシステム
JP6648388B2 (ja) 液圧制御装置およびブレーキシステム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20191126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191127

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210226

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20210226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210301

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7010728

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150