JP6521222B2 - リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステム - Google Patents

リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステム Download PDF

Info

Publication number
JP6521222B2
JP6521222B2 JP2015028526A JP2015028526A JP6521222B2 JP 6521222 B2 JP6521222 B2 JP 6521222B2 JP 2015028526 A JP2015028526 A JP 2015028526A JP 2015028526 A JP2015028526 A JP 2015028526A JP 6521222 B2 JP6521222 B2 JP 6521222B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
passage
fluid
connection path
return
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015028526A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016150639A (ja
Inventor
小林 伸之
伸之 小林
哲生 小堀
哲生 小堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
VEONEER NISSIN BRAKE SYSTEMS JAPAN CO.LTD.
Original Assignee
VEONEER NISSIN BRAKE SYSTEMS JAPAN CO.LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by VEONEER NISSIN BRAKE SYSTEMS JAPAN CO.LTD. filed Critical VEONEER NISSIN BRAKE SYSTEMS JAPAN CO.LTD.
Priority to JP2015028526A priority Critical patent/JP6521222B2/ja
Publication of JP2016150639A publication Critical patent/JP2016150639A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6521222B2 publication Critical patent/JP6521222B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Transmission Of Braking Force In Braking Systems (AREA)

Description

本発明は、リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステムに関する。
従来、電動アクチュエータの駆動によってブレーキ液圧を発生可能なバイワイヤ式のブレーキシステムを備えた車両用ブレーキシステムが知られている。
例えば特許文献1に記載の車両用ブレーキシステムでは、ホイールシリンダに作用するブレーキ液の減圧制御時に該ホイールシリンダから逃がされるブレーキ液が上流側に設けられたリザーバタンクに直接戻されるように構成されている。
特開2007−327509号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車両用ブレーキシステムでは、ホイールシリンダに作用するブレーキ液を減圧制御する際に、高液圧から開放されたブレーキ液がキャビテーションを生じてリザーバタンクに戻される。そして、このキャビテーションによる気泡を含んだブレーキ液を用いてポンプ等の加圧手段で再び昇圧を行うと、キャビテーションの影響によってブレーキの昇圧特性が変化してしまうおそれがある。
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキ液を減圧制御する際に生じるキャビテーションの影響によってブレーキの昇圧特性が変化することを抑制できるリザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための本発明に係るリザーバタンクは、ブレーキ液を貯溜する貯溜室と、液圧を発生させる液圧発生装置にブレーキ液を補給する補給路と前記貯溜室とを接続する補給接続路と、を備える。また、リザーバタンクは、ホイールシリンダに作用するブレーキ液の減圧制御時に該ホイールシリンダから逃がされるブレーキ液が流入する戻り液路と前記貯溜室とを接続する戻り接続路を備える。リザーバタンクには、前記貯溜室内を第一の領域と第二の領域とに区画する仕切り壁が形成されている。そして、前記第一の領域に前記補給接続路が開口し、前記第二の領域に前記戻り接続路が開口している。前記貯溜室と連通する一つの接続ポートに、前記補給接続路と前記戻り接続路とが形成されている。前記仕切り壁は、前記接続ポート内を前記補給接続路と前記戻り接続路とに区画している。前記補給接続路および前記戻り接続路の一方は、車体取付け時に鉛直方向に沿う縦穴を有し、前記補給接続路および前記戻り接続路の他方は、前記縦穴と交差する方向に沿う横穴を有している。
この構成では、補給接続路が貯溜室内に開口する領域と、戻り接続路が貯溜室内に開口する領域とを区画する仕切り壁が形成されているため、減圧制御時にホイールシリンダからリザーバタンクに戻るブレーキ液と、リザーバタンクに既に貯溜されていたブレーキ液とを仕切り壁で区画することができる。これにより、キャビテーションによる気泡を含んだブレーキ液が昇圧対象となる補給用のブレーキ液に直接混入することを抑制することができる。
したがって、ブレーキ液を減圧制御する際に生じるキャビテーションの影響によってブレーキの昇圧特性が変化することを抑制できる。
また、一つの接続ポートに補給接続路と戻り接続路との双方が形成されているため、リザーバタンクに設ける接続ポート数を増やすことなく、補給接続路と戻り接続路とを効率良くリザーバタンクに形成することができる。また、仕切り壁は接続ポート内をも区画しているため、一つの接続ポートであっても補給接続路と戻り接続路とを内部で区画することができる。
また、補給接続路および戻り接続路の一方が縦穴を有し、他方が横穴を有しているため、一つの接続ポート内で補給接続路と戻り接続路とを効率良くレイアウトして区画することができる。
前記リザーバタンクにおいて、前記補給接続路と前記戻り接続路は、2つの異なる方向に形成されているとよい。
この構成では、一つの接続ポート内で、補給路に接続する補給接続路と、戻り液路に接続する戻り接続路とをレイアウトしやすくなる。
前記リザーバタンクにおいて、前記補給接続路は、前記補給路に連通する前記縦穴を有し、前記戻り接続路は、前記戻り液路に連通する前記横穴を有するとよい。
この構成では、補給接続路が補給路に連通する縦穴を有しているため、液圧発生装置にブレーキ液を補給する際に、リザーバタンクから補給接続路の縦穴を通じてよりスムーズにブレーキ液を送ることができる。
前記リザーバタンクにおいて、前記接続ポートには、前記補給接続路と前記戻り接続路との間をシールするシール部材が装着されているとよい。
この構成では、補給接続路と戻り接続路との間にシール部材が設置されているため、一つの接続ポート内でシール部材によって補給接続路と戻り接続路とを確実に区画することができる。
前記課題を解決するための本発明に係る車両用ブレーキシステムは、前記リザーバタンクを備えている。また、車両用ブレーキシステムは、運転者のブレーキ操作子の操作によってブレーキ液に液圧を発生させるマスタシリンダと、電動アクチュエータの駆動によってブレーキ液に液圧を発生させるスレーブシリンダと、前記ホイールシリンダに作用するブレーキ液の液圧を制御する制御弁手段と、を備えている。また、前記マスタシリンダと前記スレーブシリンダとは、前記液圧発生装置を構成しており、前記リザーバタンクは、前記マスタシリンダおよび前記スレーブシリンダのそれぞれにブレーキ液を補給する。本発明は、かかる構成のような車両用ブレーキシステムに対して用いると好適である。
前記車両用ブレーキシステムにおいて、前記補給接続路は、前記スレーブシリンダにブレーキ液を補給する補給路と前記貯溜室とを接続するものであるとよい。
この構成では、補給接続路はスレーブシリンダにブレーキ液を補給する補給路との接続に適用されているため、マスタシリンダにブレーキ液を補給する補給路に接続するように形成されるポートを、スレーブシリンダ用の補給接続路、および戻り液路との接続用の戻り接続路と、区画することができる。
前記車両用ブレーキシステムにおいて、前記マスタシリンダ、前記スレーブシリンダ、前記制御弁手段および前記リザーバタンクは、一体のユニットで構成されているとよい。
この構成では、マスタシリンダ、スレーブシリンダ、制御弁手段およびリザーバタンクを一体のユニットとして車両に取り付けることができるので、システムとしての大型化、複雑化を抑制することができる。
本発明によれば、ブレーキ液を減圧制御する際に生じるキャビテーションの影響によってブレーキの昇圧特性が変化することを抑制できるリザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステムを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキシステムを示す液圧回路図である。 図2(a)は図1に示される車両用ブレーキシステムに備えられるリザーバタンクを上方から見た平面図、図2(b)は同側面図である。 図3(a)は図2(b)のIIIa−IIIaに沿う水平面で切断した断面図、図3(b)は図2(a)のIIIb−IIIaに沿う鉛直面で切断した断面図を基体の接続部分とともに示す断面図である。 図3(b)に対応する断面斜視図である。 図3(b)に示される仕切り壁周辺におけるブレーキ液の流れを説明するための拡大断面図である。 図6(a)は本発明の他の実施形態に係るリザーバタンクの水平面で切断した断面図、図6(b)は同リザーバタンクの鉛直面で切断した断面図を基体の接続部分とともに示す断面図である。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、同一の部材または同種の部材には同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
図1は、車両用ブレーキシステムAの全体構成を模式的に示したものであり、例えば図1に示すリザーバタンク80は、簡略化された形状で表示されている。
図1に示すように、車両用ブレーキシステムAは、原動機(エンジンや走行用電動モータ等)の起動時に作動するバイワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、原動機の停止時などに作動する油圧式のブレーキシステムとの双方を備えるものである。
車両用ブレーキシステムAは、主として、マスタシリンダ10と、スレーブシリンダ20と、制御弁手段としての液圧制御装置30と、を備えている。車両用ブレーキシステムAは、エンジン(内燃機関)のみを動力源とする自動車の他、モータを併用するハイブリッド自動車やモータのみを動力源とする電気自動車・燃料電池自動車等にも搭載することができる。
マスタシリンダ10は、二つのピストン11,12を有するタンデム型である。マスタシリンダ10は、運転者のブレーキペダルP(ブレーキ操作子)の操作によって(操作量に応じて)ブレーキ液に液圧を発生させる。マスタシリンダ10で発生した液圧は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに作用し得る。マスタシリンダ10には、ストロークシミュレータ40が接続されている。ストロークシミュレータ40は、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力を付与する。
スレーブシリンダ20は、ブレーキペダルPの操作量に応じて電動モータ24(電動アクチュエータ)を駆動させることによってブレーキ液に液圧を発生させる。スレーブシリンダ20で発生した液圧は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに作用し得る。
液圧制御装置30は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに作用するブレーキ液の液圧を制御し、車両挙動の安定化を支援する。
本実施形態の車両用ブレーキシステムAでは、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20および液圧制御装置30が、一つの金属製の基体1に備わる。また、基体1には、ブレーキ液を貯溜するリザーバタンク80が付設されている。そして、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20、液圧制御装置30およびリザーバタンク80は、一体のユニットとして構成されている。
基体1内には、第一ブレーキ系統K1および第二ブレーキ系統K2が備わる。第一ブレーキ系統K1には、マスタシリンダ10から二つの車輪ブレーキFL,RRに通じる第一液圧路2aが設けられ、第二ブレーキ系統K2には、マスタシリンダ10から残りの車輪ブレーキRL,FRに通じる第二液圧路2bが設けられている。
また、基体1内には、分岐液圧路3、共通液圧路4、第一連通路5a、第二連通路5b、マスタシリンダ第一補給路71、マスタシリンダ第二補給路72、スレーブシリンダ補給路73、戻り液路74が形成されている。第一液圧路2aには、第一圧力センサ6が設けられている。共通液圧路4には、第二圧力センサ7が設けられている。
マスタシリンダ10は、有底円筒状のシリンダ穴10aに挿入された第一ピストン11および第二ピストン12と、シリンダ穴10a内に収容された二つの第一弾性部材17aおよび第二弾性部材17bと、を備えている。
シリンダ穴10aの底面10bと第一ピストン11との間には第一圧力室16aが形成されている。第一圧力室16aにはコイルばねである第一弾性部材17aが介設されている。
第一ピストン11と第二ピストン12との間には第二圧力室16bが形成されている。また、第二圧力室16bにはコイルばねである第二弾性部材17bが介設されている。
なお、シリンダ穴10aの内周面には、複数のカップシール10c,10cが装着されている。
第二ピストン12の端部は、プッシュロッドP1を介してブレーキペダルPに連結されている。第一ピストン11および第二ピストン12は、ブレーキペダルPの踏力を受けてシリンダ穴10a内を摺動し、両圧力室16a,16b内のブレーキ液を加圧する。両圧力室16a,16b内で加圧されたブレーキ液は、シリンダ穴10aに設けられた出力ポート18a,18bを通じて出力される。
出力ポート18aには第一液圧路2aが接続され、出力ポート18bには第二液圧路2bが接続されている。第一液圧路2aおよび第二液圧路2bは、下流側の液圧制御装置30に接続されている。
また、マスタシリンダ10には、第二ピストン12のストロークを検出するストロークセンサSTが組み付けられている。
ストロークシミュレータ40は、シミュレータシリンダ穴41に挿入されたシミュレータピストン42と、シミュレータシリンダ穴41の底面41bとシミュレータピストン42との間に介設された二つの弾性部材43,44と、を備えている。
シミュレータシリンダ穴41内には、圧力室45が形成されている。圧力室45は、導入口46とシミュレータピストン42との間に設けられていて、分岐液圧路3、第二液圧路2bおよび出力ポート18bを介して、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じている。したがって、ブレーキペダルPを操作してマスタシリンダ10の第二圧力室16bで液圧が発生すると、ストロークシミュレータ40のシミュレータピストン42が弾性部材43,44の付勢力に抗して移動する。これにより、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力が付与される。弾性部材43,44が配置される背圧室47には、ポート47aを介してリザーバタンク連通路9が接続されている。リザーバタンク連通路9はマスタシリンダ10のポート19およびマスタシリンダ第二補給路72を介してリザーバタンク80に連通している。
スレーブシリンダ20は、シリンダ穴21に挿入された一つのピストン22と、シリンダ穴21内に収容された弾性部材23と、電動モータ24と、駆動伝達部25と、を備えている。
シリンダ穴21の底部21bとピストン22との間には液圧室26が形成されている。液圧室26にはコイルばねである弾性部材23が配置されている。
液圧室26は、共通液圧路4および第一連通路5aを介して第一液圧路2aに通じるとともに、共通液圧路4および第二連通路5bを介して第二液圧路2bに通じている。
電動モータ24は、電動サーボモータである。電動モータ24は、コイル部24aと、ベアリング24bに支持された回転部24cとを備えている。回転部24cには磁石24dが取り付けられている。
回転部24cの内側には、駆動伝達部25が備わる。駆動伝達部25は、電動モータ24の回転駆動力を直線方向の軸力に変換するものである。駆動伝達部25は、ピストン22に当接しているロッド25aと、ロッド25aと回転部24cとの間に配置された複数のボール25bと、を備えている。ロッド25aの外周面には、螺旋状のねじ溝が形成されており、このねじ溝には複数のボール25bが転動自在に収容されている。ロッド25aの先端部(ピストン22との対向部)は半球状に形成されている。回転部24cは、複数のボール25bに螺合されている。このように、回転部24cとロッド25aとの間にはボールねじ機構が設けられている。
電動モータ24は、基体1に装着される電子制御装置70によって駆動制御される。電動モータ24には、図示しない回転角センサが取り付けられている。回転角センサの検出値は電子制御装置70に入力される。電子制御装置70は、回転角センサの検出値に基づいて、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量を算出する。
電動モータ24の回転部24cが回転すると、回転部24cとロッド25aとの間に設けられたボールねじ機構によって、ロッド25aに直線方向の軸力が付与され、ロッド25aが前後方向に進退移動する。
ロッド25aがピストン22側に移動したときには、ピストン22がロッド25aからの入力を受けてシリンダ穴21内を進動(加圧方向に移動)し、液圧室26内のブレーキ液が加圧される。また、ロッド25aがピストン22とは反対側に移動したときには、弾性部材23の付勢力によってピストン22がシリンダ穴21内を退動(減圧方向に移動)し、液圧室26内のブレーキ液が減圧される。
液圧制御装置30は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに作用するブレーキ液の液圧を適宜制御するものである。液圧制御装置30は、アンチロックブレーキ制御を実行し得る構成を備えており、配管を介して各ホイールシリンダWに接続されている。また、液圧制御装置30には、戻り液路74が接続されている。
車輪ブレーキFL,RR,RL,FRは、それぞれ配管を介して基体1の出口ポート301に接続されている。そして、通常時は、ブレーキペダルPの踏力に対応してスレーブシリンダ20から出力された液圧が両液圧路2a,2bを通じて各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに付与される。
なお、以下では、液圧制御装置30において、第一液圧路2aに接続された系統を「第一液圧系統300a」と称し、第二液圧路2bに接続された系統を「第二液圧系統300b」と称する。
第一液圧系統300aには、各車輪ブレーキFL,RRに対応して二つの制御弁装置Vが設けられており、同様に、第二液圧系統300bには、各車輪ブレーキRL,FRに対応して二つの制御弁装置Vが設けられている。
制御弁装置Vは、スレーブシリンダ20から車輪ブレーキFL,RR,RL,FR(詳細には、ホイールシリンダW)への液圧の行き来を制御する弁であり、ホイールシリンダWに作用する液圧(以下、「ホイールシリンダ圧」という)を増圧、保持または減圧させることができる。そのため、制御弁装置Vは、入口弁31、出口弁32、チェック弁33を備えて構成されている。
入口弁31は、第一液圧路2aから各車輪ブレーキFL,RRへ至る二つの液圧路、および第二液圧路2bから各車輪ブレーキRL,FRへ至る二つの液圧路に一つずつ配置されている。入口弁31は、常開型の比例電磁弁(リニアソレノイド弁)であり、入口弁31のコイルに流す駆動電流の値に応じて、入口弁31の上下流の差圧(入口弁31の開弁圧)が調整可能となっている。入口弁31は、通常時に開いていることで、スレーブシリンダ20から各ホイールシリンダWへ液圧が付与されるのを許容している。また、入口弁31は、車輪がロックしそうになったときに電子制御装置70の制御により閉塞し、各ホイールシリンダWに付与される液圧を遮断する。
出口弁32は、各ホイールシリンダWと戻り液路74との間に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁32は、通常時に閉塞されているが、車輪がロックしそうになったときに電子制御装置70の制御により開放される。出口弁32が開弁すると、各ホイールシリンダWに作用しているブレーキ液が減圧する。
チェック弁33は、各入口弁31に並列に接続されている。チェック弁33は、ホイールシリンダW側からスレーブシリンダ20側(マスタシリンダ10側)へのブレーキ液の流入のみを許容する弁である。したがって、入口弁31を閉じた状態にしたときにおいても、チェック弁33は、各ホイールシリンダW側からスレーブシリンダ20側へのブレーキ液の流れを許容する。
このような液圧制御装置30では、電子制御装置70により入口弁31および出口弁32の開閉状態を制御することで、各ホイールシリンダWのホイールシリンダ圧が調整される。例えば、入口弁31が開、出口弁32が閉となる通常状態において、ブレーキペダルPを踏み込めば、スレーブシリンダ20からの液圧がそのままホイールシリンダWへ伝達してホイールシリンダ圧が増圧する。また、入口弁31が閉、出口弁32が開となる状態であれば、ホイールシリンダWから戻り液路74側へブレーキ液が流出し、ホイールシリンダ圧が減少して減圧する。さらに、入口弁31と出口弁32がともに閉となる状態では、ホイールシリンダ圧が保持される。
次に、基体1内に形成された各液圧路について説明する。
二つの第一液圧路2aおよび第二液圧路2bは、いずれもマスタシリンダ10のシリンダ穴10aを起点とする液圧路である。
第一液圧路2aは、マスタシリンダ10の第一圧力室16aに通じている。一方、第二液圧路2bは、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じている。第一液圧路2aは、下流側の車輪ブレーキFL,RRに通じている。一方、第二液圧路2bは、下流側の車輪ブレーキRL,FRに通じている。
分岐液圧路3は、第二液圧路2bからストロークシミュレータ40の圧力室45に至る液圧路である。分岐液圧路3には常閉型電磁弁8が設けられている。常閉型電磁弁8は分岐液圧路3を開閉するものである。
二つの第一連通路5aおよび第二連通路5bは、いずれも、スレーブシリンダ20の液圧室26を起点とする液圧路である。第一連通路5aおよび第二連通路5bは、共通液圧路4に合流して、シリンダ穴21につながっている。第一連通路5aは液圧室26から第一液圧路2aに至る流路であり、一方、第二連通路5bは液圧室26から第二液圧路2bに至る流路である。
第一液圧路2aと第一連通路5aとの連結部位には、三方向弁である第一切替弁51が設けられている。第一切替弁51は、2ポジション3ポートの電磁弁である。第一切替弁51は、図1に示す非通電時の第一のポジションと、これとは異なる通電時の第二のポジションとを選択可能である。図1に示す第一のポジションでは、第一液圧路2aの上流側(マスタシリンダ10側)と第一液圧路2aの下流側(液圧制御装置30側、車輪ブレーキFL,RR)とが連通し、第一連通路5aへの通路が遮断される。つまり、第一切替弁51が第一のポジションにあるときの車輪ブレーキFL,RRは、マスタシリンダ10と連通するが、スレーブシリンダ20とは遮断される(非連通状態となる)。また、第二のポジションでは、第一液圧路2aの上流側への連通が遮断され、第一連通路5aと第一液圧路2aの下流側とが連通する。つまり、第一切替弁51が第二のポジションにあるときの車輪ブレーキFL,RRは、マスタシリンダ10とは遮断される(非連通状態となる)が、スレーブシリンダ20とは連通した状態となる。
一方、第二液圧路2bと第二連通路5bとの連結部位には、三方向弁である第二切替弁52が設けられている。第二切替弁52は、2ポジション3ポートの電磁弁である。第二切替弁52は、図1に示す非通電時の第一のポジションと、これとは異なる通電時の第二のポジションとを選択可能である。図1に示す第一のポジションでは、第二液圧路2bの上流側(マスタシリンダ10側)と第二液圧路2bの下流側(液圧制御装置30側、車輪ブレーキRL,FR)とが連通し、第二連通路5bへの通路が遮断される。つまり、第二切替弁52が第一のポジションにあるときの車輪ブレーキRL,FRは、マスタシリンダ10と連通するが、スレーブシリンダ20とは遮断される(非連通状態となる)。また、第二のポジションでは、第二液圧路2bの上流側への連通が遮断され、第二連通路5bと第二液圧路2bの下流側とが連通する。つまり、第二切替弁52が第二のポジションにあるときの車輪ブレーキRL,FRは、マスタシリンダ10とは遮断される(非連通状態となる)が、スレーブシリンダ20とは連通した状態となる。
なお、第一切替弁51および第二切替弁52は、電子制御装置70によってポジションが切り替わる。ちなみに、第一切替弁51および第二切替弁52は、システムの起動時や、マスタシリンダ10からホイールシリンダWに液圧を直接作用させるバックアップモード時には、第一のポジションにある。また、第一切替弁51および第二切替弁52は、スレーブシリンダ20からホイールシリンダWに液圧を作用させる通常のブレーキ制御時等には、第二のポジションにある。
第一連通路5aには、第一遮断弁61が設けられている。第一遮断弁61は常開型電磁弁であり、第一連通路5aを開閉する。第一遮断弁61は、非通電時には開弁して、第一連通路5aが連通する。また、第一遮断弁61は、通電時には閉弁して、第一連通路5aが遮断される。第一遮断弁61の開閉は、電子制御装置70によって行われる。
第二連通路5bには、第二遮断弁62が設けられている。第二遮断弁62は常開型電磁弁であり、第二連通路5bを開閉する。第二遮断弁62は、非通電時には開弁して、第二連通路5bが連通する。また、第二遮断弁62は、通電時には閉弁して、第二連通路5bが遮断される。第二遮断弁62の開閉は、電子制御装置70によって行われる。
第一圧力センサ6および第二圧力センサ7は、いずれも、ブレーキ液の液圧(ブレーキ液圧)の大きさを検知するものである。両圧力センサ6,7で取得された情報(検出値)は電子制御装置70に入力される。
第一圧力センサ6は、マスタシリンダ10と第一切替弁51との間の第一液圧路2aに配置されている。第一圧力センサ6は、マスタシリンダ10で発生した液圧を検知する。
第二圧力センサ7は、共通液圧路4に配置されている。第二圧力センサ7は、スレーブシリンダ20で発生した液圧を検知する。
図2に示すように、リザーバタンク80は、ブレーキ液を貯溜する貯溜室85(図3参照)を内部に有するリザーバ本体86と、リザーバ本体86に形成されたブレーキ液注入口を覆うキャップCとを備えている。
リザーバ本体86は、樹脂製の上半体86aと下半体86bとを接合面Sで熱融着して形成されている。リザーバ本体86に形成された取付け孔部98と基体1に形成された取付け孔部13(図3(b)参照)とに、ねじ部材(図示せず)を通して締結することによって、リザーバタンク80は基体1に固定される。
リザーバ本体86の下面には、マスタシリンダ第一補給ポート87、マスタシリンダ第二補給ポート88、およびスレーブシリンダ補給ポート89が、それぞれ貯溜室85と連通するように、下方に突出して形成されている。
図3〜図4に示すように、貯溜室85の内部は、3つの仕切り壁75,76,77によって4つの貯溜室81,82,83,84に区画されている。各貯溜室81,82,83,84は、貯溜室85内における仕切り壁75,76,77の上方において連通している。
マスタシリンダ第一補給ポート87には、マスタシリンダ第一補給接続路90が形成されている。マスタシリンダ第一補給接続路90は、マスタシリンダ第一補給路71と貯溜室85の第一貯溜室81とを接続穴14aを介して接続する。マスタシリンダ第一補給路71は、マスタシリンダ10の第一圧力室16a(図1参照)にブレーキ液を補給する液路である。また、マスタシリンダ第二補給ポート88には、マスタシリンダ第二補給接続路91が形成されている。マスタシリンダ第二補給接続路91は、マスタシリンダ第二補給路72と貯溜室85の第二貯溜室82とを接続穴14bを介して接続する。マスタシリンダ第二補給路72は、マスタシリンダ10の第二圧力室16b(図1参照)にブレーキ液を補給する液路である。
マスタシリンダ第一補給ポート87とマスタシリンダ第二補給ポート88との間における貯溜室85の底面86c上には、第一仕切り壁75が立設されている。第一仕切り壁75は、貯溜室内85を第一貯溜室81と第二貯溜室82とに区画している。そして、マスタシリンダ第一補給接続路90は、第一貯溜室81の底面に開口し、マスタシリンダ第二補給接続路91は、第二貯溜室82の底面に開口している。第一仕切り壁75の高さ寸法は、第一貯溜室81と第二貯溜室82とでそれぞれ独立して確保すべきブレーキ液の量に応じた寸法に設定される。
スレーブシリンダ補給ポート89には、スレーブシリンダ補給接続路92が形成されている。スレーブシリンダ補給接続路92は、スレーブシリンダ補給路73と貯溜室85の第三貯溜室83とを小径穴部15aを介して接続する。スレーブシリンダ補給路73は、スレーブシリンダ20の液圧室26(図1参照)にブレーキ液を補給する液路である。スレーブシリンダ補給接続路92は、スレーブシリンダ補給ポート89の貯溜室85側に形成される車体取付け時に鉛直方向に沿う第一接続穴93(図5参照)と、スレーブシリンダ補給ポート89の貯溜室85から離れた側に形成される車体取付け時に鉛直方向に沿う縦穴94(図5参照)と、を有している。
また、スレーブシリンダ補給ポート89には、戻り接続路95が形成されている。戻り接続路95は、戻り液路74と貯溜室85の戻り液室84とを大径穴部15bを介して接続する。戻り液路74は、ホイールシリンダW(図1参照)に作用するブレーキ液の液圧制御装置30(図1参照)による減圧制御時に該ホイールシリンダWから出口弁32(図1参照)を介して逃がされるブレーキ液が流入する液路である。戻り接続路95は、スレーブシリンダ補給ポート89の貯溜室85側に形成される車体取付け時に鉛直方向に沿う第二接続穴96(図5参照)と、スレーブシリンダ補給ポート89の貯溜室85から離れた側に形成され縦穴94と交差する方向に沿う横穴97(図5参照)と、を有している。横穴97は、具体的には車体取付け時に水平方向に沿っている。
スレーブシリンダ補給ポート89の中心軸上に位置して、貯溜室85の底面86c上には、仕切り壁77が立設されている。仕切り壁77は、貯溜室内85を第三貯溜室(第一の領域)83と戻り液室(第二の領域)84とに区画している。そして、スレーブシリンダ補給接続路92は、第三貯溜室83の底面に開口し、戻り接続路95は、戻り液室84の底面に開口している。仕切り壁77の高さ寸法は、戻り液室84に戻ったブレーキ液中の気泡がほぼ消滅して、気泡を含むブレーキ液が第三貯溜室83に流入することを抑制できる寸法に設定される。
本実施形態では、貯溜室85と連通する一つの接続ポートとしてのスレーブシリンダ補給ポート89に、スレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95とが形成されている。また、仕切り壁77は、スレーブシリンダ補給ポート89内をスレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95とに区画している。
スレーブシリンダ補給ポート89とマスタシリンダ第一補給ポート87との間における貯溜室85の底面86c上には、第二仕切り壁76が立設されている。第二仕切り壁76は、貯溜室内85を第三貯溜室83と第一貯溜室81とに区画している。第二仕切り壁76の高さ寸法は、スレーブシリンダ20へのブレーキ液補給用の第三貯溜室83と、マスタシリンダ10へのブレーキ液補給用の第一貯溜室81および第二貯溜室82とでそれぞれ独立して確保すべきブレーキ液の量に応じた寸法に設定される。
マスタシリンダ第一補給ポート87は、基体1に形成された接続穴14aに挿入されている。接続穴14aは、マスタシリンダ第一補給路71と連通している。マスタシリンダ第一補給ポート87には、マスタシリンダ第一補給ポート87の外周面と接続穴14aの内周面との間をシールするシール部材78が装着されている。
マスタシリンダ第二補給ポート88は、基体1に形成された接続穴14bに挿入されている。接続穴14bは、マスタシリンダ第二補給路72と連通している。マスタシリンダ第二補給ポート88には、マスタシリンダ第二補給ポート88の外周面と接続穴14bの内周面との間をシールするシール部材78が装着されている。
図5に示すように、スレーブシリンダ補給ポート89は、基体1に形成された接続穴15に挿入されている。接続穴15は、奥側に形成される小径穴部15aと、小径穴部15aに連接して開口端側に形成され小径穴部15aよりも内径の大きい大径穴部15bとを有している。
スレーブシリンダ補給ポート89は、先端側に形成される小径部89aと、小径部89aに連接して根元側に形成され小径部89aよりも外径の大きい大径部89bとを有している。第一接続穴93と第二接続穴96とは、それぞれ大径部89bに形成されており、仕切り壁77によって区画される。縦穴94は、小径部89aに形成されており、第一接続穴93と連通している。横穴97は、大径部89bの先端側に形成されており、第二接続穴96と連通している。
スレーブシリンダ補給ポート89の大径部89bには、大径部89bの外周面と大径穴部15bの内周面との間をシールするシール部材78が装着されている。また、スレーブシリンダ補給ポート89の小径部89aには、小径部89aと大径部89bとの段差面に接触して配置されるシール部材79が装着されている。このシール部材79は、スレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95との間をシールする。
図1に戻り、スレーブシリンダ補給路73は、リザーバタンク80からスレーブシリンダ20に至る液路である。また、スレーブシリンダ補給路73は、分岐補給路73aを介して共通液圧路4に接続されている。分岐補給路73aには、リザーバタンク80側から共通液圧路4側(スレーブシリンダ20側)へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁73bが設けられている。通常時、スレーブシリンダ補給路73を通じてリザーバタンク80からスレーブシリンダ20にブレーキ液が補給される。また、後記する吸液制御時には、スレーブシリンダ補給路73、分岐補給路73aおよび共通液圧路4を通じて、リザーバタンク80からスレーブシリンダ20にブレーキ液が吸液される。
戻り液路74は、液圧制御装置30からリザーバタンク80に至る液路である。戻り液路74には、液圧制御装置30の出口弁32を介して各ホイールシリンダWから逃がされたブレーキ液が流入する。戻り液路74に逃がされたブレーキ液は、戻り液路74を通じてリザーバタンク80に戻される。
電子制御装置70は、内部に制御基板(図示せず)を収容し、基体1の側面等に取り付けられている。電子制御装置70は、両圧力センサ6,7やストロークセンサSTの各種センサから得られた情報(検出値)や予め記憶させておいたプログラム等に基づいて、常閉型電磁弁8の開閉、電動モータ24の作動、両切替弁51,52の作動、両遮断弁61,62の開閉、および液圧制御装置30の制御弁装置Vの開閉を制御する。
電子制御装置70は、電動モータ24を駆動制御するとともに、第一切替弁51、第二切替弁52、第一遮断弁61および第二遮断弁62の作動を制御する。
また、電子制御装置70は、予め記憶させておいたプログラムとして、マップ(図示せず)を参照し、スレーブシリンダ20により発生した液圧が、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量に対応した液圧まで上昇したか否か(予めプログラムされた判定値まで上昇したか否か)を判定する機能を備えている。そして、電子制御装置70は、判定結果に基づいて、スレーブシリンダや、両切替弁51,52、および両遮断弁61,62を制御する。
また、電子制御装置70は、吸液制御を行う機能を備えている。吸液制御は、スレーブシリンダ補給路73からスレーブシリンダ20内にブレーキ液を積極的に吸液して、スレーブシリンダ20内のブレーキ液を確保するための制御である。例えば、高液圧領域までスレーブシリンダ20で加圧するためにブレーキ液を確保したい場合や、スレーブシリンダ20の発生液圧が運転者の要求液圧となった状態(定常の状態)で、それ以降の加圧に備えてブレーキ液を予め確保しておく場合などに実行される。
次に、車両用ブレーキシステムAの動作について概略説明する。
(通常のブレーキ制御)
ブレーキシステムAでは、システムが起動されると、分岐液圧路3の常閉型電磁弁8が開弁される。この状態では、ブレーキペダルPの操作によってマスタシリンダ10で発生した液圧は、ホイールシリンダWには伝達されずに、ストロークシミュレータ40に伝達される。そして、圧力室45の液圧が大きくなり、シミュレータピストン42が弾性部材43,44の付勢力に抗して底面41b側に移動することで、ブレーキペダルPのストロークが許容され、擬似的な操作反力がブレーキペダルPに付与される。
また、ブレーキペダルPが操作されたことをストロークセンサSTが検知すると、第一切替弁51および第二切替弁52が励磁されて、前記した第二のポジションに移動する。この移動によって第一液圧路2aの下流側(車輪ブレーキ側)と第一連通路5aとが通じるとともに、第二切替弁52によって第二液圧路2bの下流側と第二連通路5bとが通じる。つまり、マスタシリンダ10とホイールシリンダWとが遮断された状態(非連通状態)になるとともに、スレーブシリンダ20がホイールシリンダWと連通した状態になる。
また、ストロークセンサSTによって、ブレーキペダルPの踏み込みが検知されると、電子制御装置70によりスレーブシリンダ20の電動モータ24が駆動され、スレーブシリンダ20のピストン22が底部21b側に移動することで、液圧室26内のブレーキ液が加圧される。
電子制御装置70は、スレーブシリンダ20の発生液圧(第二圧力センサ7で検出された液圧)と、ブレーキペダルPの操作量に対応した要求液圧とを対比し、その対比結果に基づいて電動モータ24の回転速度等を制御する。このようにして、車両用ブレーキシステムAではブレーキペダルPの操作量に応じて液圧を昇圧させる。
スレーブシリンダ20の発生液圧は、液圧制御装置30を介して各ホイールシリンダWに伝達され、各ホイールシリンダWが作動することにより、各車輪に制動力が付与される。
ブレーキペダルPの踏み込みが解除されると、電子制御装置70によりスレーブシリンダ20の電動モータ24が逆転駆動され、ピストン22が弾性部材23によって電動モータ24側に戻される。これによって、液圧室26内が降圧され、各ホイールシリンダWの作動が解除される。
(ブレーキ液の減少が生じた場合のブレーキ制御)
次に、スレーブシリンダ20の電動モータ24が駆動している状態で、第一液圧路2aおよび第二液圧路2bのいずれかのブレーキ液が減少した場合のブレーキ制御について説明する。
スレーブシリンダ20のピストン22がロッド25aからの入力を受けている状態で、第二圧力センサ7の検出値が判定値まで上昇しない場合、電子制御装置70は、まず、両遮断弁61,62を閉弁するとともに、スレーブシリンダ20を加圧駆動する。それでも第二圧力センサ7の検出値が上昇しない場合には、第一遮断弁61および第二遮断弁62からスレーブシリンダ20側の経路においてブレーキ液の減少が生じている可能性がある。この場合、電子制御装置70は、第一切替弁51および第二切替弁52の励磁を解除して、マスタシリンダ10からホイールシリンダWに液圧を直接作用させるバックアップモードによる制御を開始する。このとき、常閉型電磁弁8は閉弁される。
両遮断弁61,62を閉弁してスレーブシリンダ20を加圧駆動すると第二圧力センサ7の検出値が上昇した場合、電子制御装置70は、第一遮断弁61を閉弁するとともに第二遮断弁62を開弁してスレーブシリンダ20を加圧駆動する。その結果、第二圧力センサ7の検出値が上昇した場合には、第一ブレーキ系統K1の経路においてブレーキ液が減少している可能性がある。この場合、電子制御装置70は、第二ブレーキ系統K2においてスレーブシリンダ20による液圧の昇圧を継続する。
一方、第一遮断弁61を閉弁するとともに第二遮断弁62を開弁してスレーブシリンダ20を加圧駆動したとしても第二圧力センサ7の検出値が上昇しない場合、電子制御装置70は、第一遮断弁61を開弁するとともに第二遮断弁62を閉弁してスレーブシリンダ20を加圧駆動する。その結果、第二圧力センサ7の検出値が上昇した場合には、第二ブレーキ系統K2の経路においてブレーキ液が減少している可能性がある。この場合、電子制御装置70は、第一ブレーキ系統K1においてスレーブシリンダ20による液圧の昇圧を継続する。
なお、スレーブシリンダ20が作動しない状態(例えば、イグニッションOFFや、電力が得られない場合など)においては、第一切替弁51,第二切替弁52、常閉型電磁弁8が初期状態に戻る(図1参照)。第一切替弁51,第二切替弁52が初期状態に戻ると、第一液圧路2aが連通するとともに、第二液圧路2bが連通する。この状態では、マスタシリンダ10で発生した液圧が各ホイールシリンダWに直接伝達される。
以上説明した本実施形態では、図5に示すように、リザーバタンク80には、貯溜室85内を第三貯溜室83と戻り液室84とに区画する仕切り壁77が形成されている。そして、第三貯溜室83にスレーブシリンダ補給接続路92が開口し、戻り液室84に戻り接続路95が開口している。
このため、液圧制御装置30による減圧制御時にホイールシリンダWから出口弁32を介してリザーバタンク80に戻るブレーキ液と、リザーバタンク80に既に貯溜されていたブレーキ液とを仕切り壁77で区画することができる。この場合、減圧制御の際に高液圧から開放されたブレーキ液がキャビテーションを生じてリザーバタンク80の戻り液室84に戻されるが、このキャビテーションによる気泡を含んだブレーキ液が戻り液室84の底部から仕切り壁77の上方を通って第三貯溜室83に移動する間に気泡がほぼ消滅する。ここで、図5中の太線の矢印は、ブレーキ液の流れを示す。これにより、キャビテーションによる気泡を含んだブレーキ液が昇圧対象となる補給用のブレーキ液に直接混入することを抑制することができる。
したがって、ブレーキ液を減圧制御する際に生じるキャビテーションの影響によってブレーキの昇圧特性が変化することを抑制できる。
また、本実施形態では、一つの接続ポートとしてのスレーブシリンダ補給ポート89に、スレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95との双方が形成されている。このため、リザーバタンク80に設ける接続ポート数を増やすことなく、スレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95とを効率良くリザーバタンク80に形成することができる。また、仕切り壁77はスレーブシリンダ補給ポート89内をも区画しているため、一つの接続ポートであってもスレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95とを内部で区画することができる。
また、本実施形態では、スレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95は、2つの異なる方向に形成されている。このため、一つの接続ポートとしてのスレーブシリンダ補給ポート89内で、スレーブシリンダ補給路73に接続するスレーブシリンダ補給接続路92と、戻り液路74に接続する戻り接続路95とをレイアウトしやすくなる。
また、本実施形態では、スレーブシリンダ補給接続路92はスレーブシリンダ補給路73に連通する縦穴94を有し、戻り接続路95は戻り液路74に連通する横穴97を有している。このため、一つのスレーブシリンダ補給ポート89内でスレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95とを効率良くレイアウトして区画することができる。また、スレーブシリンダ20にブレーキ液を補給する際に、リザーバタンク80からスレーブシリンダ補給接続路92の縦穴94を通じてよりスムーズにブレーキ液を送ることができる。ただし、スレーブシリンダ補給接続路92がスレーブシリンダ補給路73に連通する横穴を有し、戻り接続路95が戻り液路74に連通する縦穴を有するように構成することも可能である。
また、本実施形態では、スレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95との間にシール部材79が設置されている。このため、一つのスレーブシリンダ補給ポート89内でシール部材79によってスレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95とを確実に区画することができる。
また、本実施形態では、車両用ブレーキシステムAは、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20、液圧制御装置30およびリザーバタンク80を備え、リザーバタンク80は、マスタシリンダ10およびスレーブシリンダ20のそれぞれにブレーキ液を補給するように構成されている。本発明は、かかる構成のような車両用ブレーキシステムAに対して用いると好適である。
また、本実施形態では、貯溜室85内に開口する領域が仕切り壁77によって戻り接続路95と区画される補給接続路は、スレーブシリンダ20にブレーキ液を補給するスレーブシリンダ補給路73との接続に適用されるスレーブシリンダ補給接続路92である。このため、マスタシリンダ10にブレーキ液を補給する補給路71,72に接続するように形成される補給ポート87,88を、スレーブシリンダ20用の補給接続路92、および戻り液路74との接続用の戻り接続路95と、区画することができる。
また、本実施形態では、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20、液圧制御装置30およびリザーバタンク80を一体のユニットとして車両に取り付けることができるので、システムとしての大型化、複雑化を抑制することができる。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
例えば、図3に示す前記した実施形態では、一つのスレーブシリンダ補給ポート89に、スレーブシリンダ補給接続路92と戻り接続路95との双方が形成されているが、これに限定されるものではない。例えば図6に示す他の実施形態に係るリザーバタンク80aのように、スレーブシリンダ補給ポート89aにスレーブシリンダ補給接続路92aが形成され、スレーブシリンダ補給ポート89aとの間に仕切り壁77を位置させた状態で別途設けられた戻りポート99に戻り接続路95aが形成されていてもよい。つまり、スレーブシリンダ補給接続路92aと戻り接続路95aとが、二つのポート89a,99にそれぞれ分離して形成されていてもよい。
また、図3に示す前記した実施形態では、貯溜室85内に開口する領域が仕切り壁77によって戻り接続路95と区画される補給接続路は、スレーブシリンダ補給路73との接続に適用されるスレーブシリンダ補給接続路92であるが、これに限定されるものではない。貯溜室85内に開口する領域が仕切り壁77によって戻り接続路95と区画される補給接続路は、例えば、マスタシリンダ第一補給路71との接続に適用されるマスタシリンダ第一補給接続路であってもよく、マスタシリンダ第二補給路72との接続に適用されるマスタシリンダ第二補給接続路であってもよい。この場合、一つの接続ポートとしてのマスタシリンダ第一補給ポート87(マスタシリンダ第二補給ポート88)に、マスタシリンダ第一補給接続路(マスタシリンダ第二補給接続路)と戻り接続路95との双方が形成されていてもよい。あるいは、マスタシリンダ第一補給ポート87(マスタシリンダ第二補給ポート88)にマスタシリンダ第一補給接続路90(マスタシリンダ第二補給接続路91)が形成され、スレーブシリンダ補給ポート89aとの間に仕切り壁77を位置させた状態で別途設けられた戻りポート99に戻り接続路95aが形成されていてもよい。
また、図1に示すように、前記した実施形態では、一つのピストンを用いたシリンダによってスレーブシリンダ20が構成されているが、二つのピストンを有するタンデム型のシリンダによってスレーブシリンダが構成されていてもよい。
また、前記した実施形態では、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20、液圧制御装置30およびリザーバタンク80が、一体のユニットで構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば液圧制御装置30がその他と別体に構成されていてもよい。
10 マスタシリンダ(液圧発生装置)
20 スレーブシリンダ(液圧発生装置)
24 電動モータ(電動アクチュエータ)
30 液圧制御装置(制御弁手段)
32 出口弁
71 マスタシリンダ第一補給路
72 マスタシリンダ第二補給路
73 スレーブシリンダ補給路(補給路)
74 戻り液路
77 仕切り壁
79 シール部材
80,80a リザーバタンク
83 第三貯溜室(第一の領域)
84 戻り液室(第二の領域)
85 貯溜室
87 マスタシリンダ第一補給ポート
88 マスタシリンダ第二補給ポート
89,89a スレーブシリンダ補給ポート(接続ポート)
90 マスタシリンダ第一補給接続路
91 マスタシリンダ第二補給接続路
92,92a スレーブシリンダ補給接続路(補給接続路)
94 縦穴
95,95a 戻り接続路
97 横穴
99 戻りポート
A 車両用ブレーキシステム
FL,RR,RL,FR 車輪ブレーキ
P ブレーキペダル(ブレーキ操作子)
W ホイールシリンダ

Claims (7)

  1. ブレーキ液を貯溜する貯溜室と、
    液圧を発生させる液圧発生装置にブレーキ液を補給する補給路と前記貯溜室とを接続する補給接続路と、
    ホイールシリンダに作用するブレーキ液の減圧制御時に該ホイールシリンダから逃がされるブレーキ液が流入する戻り液路と前記貯溜室とを接続する戻り接続路と、
    前記貯溜室内を第一の領域と第二の領域とに区画する仕切り壁と、を備え、
    前記第一の領域に前記補給接続路が開口し、前記第二の領域に前記戻り接続路が開口しており、
    前記貯溜室と連通する一つの接続ポートに、前記補給接続路と前記戻り接続路とが形成されており、
    前記仕切り壁は、前記接続ポート内を前記補給接続路と前記戻り接続路とに区画しており、
    前記補給接続路および前記戻り接続路の一方は、車体取付け時に鉛直方向に沿う縦穴を有し、前記補給接続路および前記戻り接続路の他方は、前記縦穴と交差する方向に沿う横穴を有することを特徴とするリザーバタンク。
  2. 前記補給接続路と前記戻り接続路は、2つの異なる方向に形成されていることを特徴とする請求項に記載のリザーバタンク。
  3. 前記補給接続路は、前記補給路に連通する前記縦穴を有し、前記戻り接続路は、前記戻り液路に連通する前記横穴を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリザーバタンク。
  4. 前記接続ポートには、前記補給接続路と前記戻り接続路との間をシールするシール部材が装着されていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載のリザーバタンク。
  5. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載のリザーバタンクと、
    運転者のブレーキ操作子の操作によってブレーキ液に液圧を発生させるマスタシリンダと、
    電動アクチュエータの駆動によってブレーキ液に液圧を発生させるスレーブシリンダと、
    前記ホイールシリンダに作用するブレーキ液の液圧を制御する制御弁手段と、を備える車両用ブレーキシステムであって、
    前記マスタシリンダと前記スレーブシリンダとは、前記液圧発生装置を構成しており、
    前記リザーバタンクは、前記マスタシリンダおよび前記スレーブシリンダのそれぞれにブレーキ液を補給することを特徴とする車両用ブレーキシステム。
  6. 前記補給接続路は、前記スレーブシリンダにブレーキ液を補給する補給路と前記貯溜室とを接続するものであることを特徴とする請求項に記載の車両用ブレーキシステム。
  7. 前記マスタシリンダ、前記スレーブシリンダ、前記制御弁手段および前記リザーバタンクは、一体のユニットで構成されていることを特徴とする請求項または請求項に記載の車両用ブレーキシステム。
JP2015028526A 2015-02-17 2015-02-17 リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステム Active JP6521222B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015028526A JP6521222B2 (ja) 2015-02-17 2015-02-17 リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015028526A JP6521222B2 (ja) 2015-02-17 2015-02-17 リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016150639A JP2016150639A (ja) 2016-08-22
JP6521222B2 true JP6521222B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=56695034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015028526A Active JP6521222B2 (ja) 2015-02-17 2015-02-17 リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6521222B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7037959B2 (ja) * 2018-02-27 2022-03-17 ゼット・エフ・アクティブ・セーフティー・ユーエス・インコーポレイテッド ブレーキ液圧制御装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2565276Y2 (ja) * 1992-06-18 1998-03-18 日信工業株式会社 油圧機器用リザーバ
JP4654547B2 (ja) * 2001-07-24 2011-03-23 トヨタ自動車株式会社 ブレーキ装置
JP2008149801A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Advics:Kk 車両ブレーキシステム用リザーバタンク
JP2014213628A (ja) * 2013-04-23 2014-11-17 本田技研工業株式会社 車両の制動システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016150639A (ja) 2016-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9499149B2 (en) Brake hydraulic pressure generator
JP6723048B2 (ja) 液圧発生装置
JP5379112B2 (ja) 電動ブレーキアクチュエータ
US10017168B2 (en) Brake system
JP2002019592A (ja) ブレーキシステム
JP6512695B2 (ja) ブレーキシステム
JP6521222B2 (ja) リザーバタンクおよびこれを備えた車両用ブレーキシステム
JP6399634B2 (ja) 液圧発生装置
JP6245696B2 (ja) ブレーキ液圧発生装置
JP6304633B2 (ja) ブレーキシステム
JP5927093B2 (ja) ブレーキ装置
JP7037959B2 (ja) ブレーキ液圧制御装置
JP6347521B2 (ja) 液圧発生装置
JP6288857B2 (ja) ブレーキシステム
JP6202741B2 (ja) ブレーキ液圧発生装置
JP7010728B2 (ja) ブレーキ液圧制御装置
JP2018149998A (ja) 液圧制御装置及びブレーキシステム
JP6245655B2 (ja) ブレーキシステム
JP6338111B2 (ja) ブレーキシステム
JP6405299B2 (ja) 液圧発生装置
JP6317659B2 (ja) 車両用ブレーキシステム
JP7458271B2 (ja) 液圧発生装置
JP2019026014A (ja) 車両の制動制御装置
JP2017178109A (ja) 液圧発生装置
JP6529006B2 (ja) シリンダ装置およびブレーキシステム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160617

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190416

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6521222

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250