JP6304633B2 - ブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は車両用として用いられるブレーキシステムに関する。
従来、ブレーキ操作子の操作量に応じて液圧を発生させるブレーキシステムとして、例えば、特許文献1に示すようなブレーキバイワイヤ式のものが知られている。
このブレーキシステムは、入力装置とスレーブシリンダと液圧制御装置とを有しており、二つのブレーキ系統を備えている。入力装置は、ブレーキ操作子に連結されたピストンによって液圧を発生させるマスタシリンダと、ブレーキ操作子に擬似的な操作反力を付与するストロークシミュレータとを備える。スレーブシリンダは、電動アクチュエータとしての電動モータと、この電動モータにより駆動されるピストンとを備える。
このブレーキシステムでは、ブレーキ操作子の操作量に応じてスレーブシリンダの電動モータが駆動され、電動モータにより駆動されるスレーブシリンダピストンによって車輪ブレーキに液圧が作用される。また、アンチロックブレーキ制御時には、液圧制御装置が作動され車輪ブレーキに作用するブレーキ液圧が調整される。
特開2012−106637号公報
特許文献1のブレーキシステムでは、スレーブシリンダの駆動で液圧系統を昇圧する構成であるので、スレーブシリンダに備わるスレーブシリンダピストンのストローク量を大きくすることによって、高液圧領域まで昇圧することが可能である。つまり、スレーブシリンダピストンのストローク量を大きくすることで、運転者の要求液圧に対応した昇圧機能を有するブレーキシステムが得られる。しかしながら、ピストンのストロークを大きくすると、シリンダの軸長が拡大してしまい、スレーブシリンダの大型化、ひいてはブレーキシステムの大型化を来してしまう。
本発明は、スレーブシリンダの大型化を回避しつつ、高液圧領域まで好適に昇圧することができるブレーキシステムを提供することを課題とする。
このような課題を解決するために創案された本発明のブレーキシステムは、ブレーキ操作子の操作量に応じて駆動する電動アクチュエータによって液圧を発生させるスレーブシリンダを備えている。ブレーキシステムは、前記スレーブシリンダから車輪ブレーキに通じる液路と、前記液路に設けられ、前記液路を遮断可能な遮断弁と、ブレーキ液を貯溜するリザーバタンクと、前記リザーバタンクから前記スレーブシリンダにブレーキ液を補給する補給路と、前記補給路からブレーキ液を吸液する吸液制御を実行する制御手段と、を備えている。前記制御手段は、吸液制御を実行する必要があるか否かを判断し、吸液制御を実行する必要がある場合に、前記遮断弁を閉じるとともに、前記電動アクチュエータによって前記スレーブシリンダを減圧方向に駆動させる制御を実行する。ブレーキシステムは、前記補給路から分岐する分岐補給路を備えている。前記分岐補給路は、前記補給路と並列に設けられ、前記スレーブシリンダからの出力路である前記遮断弁に至る部分の前記液路に接続されて接続されている。前記分岐補給路には、前記リザーバタンク側から前記液路側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁が設けられている。
かかるブレーキシステムでは、吸液制御を実行する必要がある場合に、遮断弁が閉じられ、スレーブシリンダが減圧方向に駆動される。これによって、スレーブシリンダ内(液圧室)が負圧となり、補給路からスレーブシリンダにブレーキ液が吸液される。したがって、スレーブシリンダの軸長を比較的短く設定したとしても、吸液制御によってスレーブシリンダ内に再加圧のためのブレーキ液を補給することができる。これにより、スレーブシリンダの大型化を回避しつつ、高液圧領域まで好適に昇圧することができるブレーキシステムが得られる。
また、前記制御手段は、前記スレーブシリンダのストローク量が所定以上となった場合に吸液制御を行うとよい。このようにすると、高液圧が必要となった場合にだけ吸液制御が行われることとなり、スレーブシリンダの大型化を回避しつつ、高液圧領域まで好適に昇圧することができるブレーキシステムが得られる。
また、前記電動アクチュエータを電動モータとして、前記スレーブシリンダのストローク量を、前記電動モータの回転角を検出する回転角センサに基づいて特定するとよい。このようにすると、電動モータの回転角に基づいて正確なストローク量を特定でき、吸液制御を行うためのタイミングを容易に特定することができる。
また、前記制御手段は、運転者の要求液圧の昇圧量が所定以下となった場合に吸液制御を実行する必要があると判断するのがよい。このようにすると、ブレーキフィーリングに影響がでないタイミングにて吸液制御を行うことができる。
また、前記制御手段は、運転者の要求液圧の絶対値が所定以上となった場合に吸液制御を実行する必要があると判断するのがよい。このようにすると、例えば、通常のブレーキ時よりも大きな昇圧を伴うブレーキアシスト制御時等において良好に昇圧を行うことができる。
また、前記補給路に、前記リザーバタンク側から前記スレーブシリンダ側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁が設けられているとよい。このようにすると、スレーブシリンダの加圧動作を解除した時に、リザーバタンク内のブレーキ液を補給路を通じてスレーブシリンダに補給することができる。また、スレーブシリンダで発生した液圧がリザーバタンク側へ伝達するのをチェック弁によって好適に防止することができる。
また、前記遮断弁を常開型電磁弁とすることで、スレーブシリンダによって車輪ブレーキに液圧を発生させる通常のブレーキ時に、遮断弁に通電する必要がなくなる。したがって、消費電力を最小限に抑えることができる。
本発明によると、スレーブシリンダの大型化を回避しつつ、高液圧領域まで好適に昇圧することができるブレーキシステムが得られる。
本発明の一実施形態に係るブレーキシステムを示す液圧回路図である。 (a)(b)は切替弁および遮断弁の構造を模式的に示す説明図である。 スレーブシリンダのストローク量と圧力との関係を示す図である。 図1に示すブレーキシステムの起動時の液圧回路図である。 ブレーキ液の減少が生じた場合の診断の手順を示すフローチャートである。 吸液制御に至る場合のフローチャートである。 要求液圧と必要ストローク量との関係を示す図である。 システム最大のホイールシリンダ圧が要求された時の吸液制御のタイミングを示すタイムチャートである。 常用のブレーキ時における吸液制御のタイミングを示すタイムチャートである。 アンチロックブレーキ制御時における吸液制御のタイミングを示すタイムチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
ブレーキシステムAは、図1に示すように、原動機(エンジンや電動モータ等)の起動時に作動するバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、原動機の停止時などに作動する油圧式のブレーキシステムとの双方を備えるものである。
ブレーキシステムAは、主として、マスタシリンダ10と、スレーブシリンダ20と、制御弁手段としての液圧制御装置30と、を備えている。ブレーキシステムAは、エンジン(内燃機関)のみを動力源とする自動車の他、モータを併用するハイブリッド自動車やモータのみを動力源とする電気自動車・燃料電池自動車等にも搭載することができる。
マスタシリンダ10は、二つのピストン11,12を有するタンデム型である。マスタシリンダ10は、ブレーキペダルP(ブレーキ操作子)の踏力によって(操作量に応じて)車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに作用させる液圧を発生する。マスタシリンダ10には、ストロークシミュレータ40が接続されている。ストロークシミュレータ40は、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力を付与する。
スレーブシリンダ20は、ブレーキペダルPの操作量に応じて電動モータ24(電動アクチュエータ)を駆動させることで液圧を発生させる。スレーブシリンダ20の発生した液圧(以下、「発生液圧」という)は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに作用する。
液圧制御装置30は、車輪ブレーキに作用する液圧を制御し、車両挙動の安定化を支援する。
本実施形態のブレーキシステムAでは、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20および液圧制御装置30が一つの基体1に備わり、一体のユニットとして構成されている。
基体1内には、第一ブレーキ系統K1および第二ブレーキ系統K2が備わる。第一ブレーキ系統K1には、マスタシリンダ10から二つの車輪ブレーキFL,RRに通じる第一液圧路2aが設けられ、第二ブレーキ系統K2には、マスタシリンダ10から残りの車輪ブレーキRL,FRに通じる第二液圧路2bが設けられている。また、基体1内には、分岐液圧路3、共通液圧路4、第一連通路5a、第二連通路5b、補給路9a、戻り液路9bが形成されている。第一液圧路2aには、第一圧力センサ6が設けられている。共通液圧路4には、第二圧力センサ7が設けられている。
マスタシリンダ10は、有底円筒状のシリンダ穴10aに挿入された第一ピストン11および第二ピストン12と、シリンダ穴10a内に収容された二つの第一弾性部材13および第二弾性部材14と、を備えている。マスタシリンダ10にはブレーキ液を貯溜するリザーバタンク15が付設されている。リザーバタンク15は、マスタシリンダ10へブレーキ液を供給する第一供給口15a,15bと、第一供給口15a,15bとは独立した第二供給口15cと、を備えている。第二供給口15cには、補給路9aおよび戻り流路9bが接続されている。
シリンダ穴10aの底面10bと第一ピストン11との間には第一圧力室16aが形成されている。第一圧力室16aにはコイルばねである第一弾性部材17aが介設されている。
第一ピストン11と第二ピストン12との間には第二圧力室16bが形成されている。また、第二圧力室16bにはコイルばねである第二弾性部材17bが介設されている。
なお、シリンダ穴10aの内周面には、複数のカップシール10c,10cが装着されている。
第二ピストン12の端部は、プッシュロッドP1を介してブレーキペダルPに連結されている。第一ピストン11および第二ピストン12は、ブレーキペダルPの踏力を受けてシリンダ穴10a内を摺動し、両圧力室16a,16b内のブレーキ液を加圧する。両圧力室16a,16b内で加圧されたブレーキ液は、シリンダ穴10aに設けられた出力ポート18a,18bを通じて出力される。
出力ポート18aには第一液圧路2aが接続され、出力ポート18bには第二液圧路2bが接続されている。第一液圧路2aおよび第二液圧路2bは、下流側の液圧制御装置30に接続されている。
また、マスタシリンダ10には、第二ピストン12のストロークを検出するストロークセンサSTが組み付けられている。
ストロークシミュレータ40は、シミュレータシリンダ穴41に挿入されたシミュレータピストン42と、シミュレータシリンダ穴41の底面41bとシミュレータピストン42との間に介設された二つの弾性部材43,44と、を備えている。
シミュレータシリンダ穴41内には、圧力室45が形成されている。圧力室45は、導入口46とシミュレータピストン42との間に設けられていて、分岐液圧路3、第二液圧路2bおよび出力ポート18bを介して、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じている。したがって、ブレーキペダルPを操作してマスタシリンダ10の第二圧力室16bで液圧が発生すると、ストロークシミュレータ40のシミュレータピストン42が弾性部材43,44の付勢力に抗して移動する。これにより、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力が付与される。弾性部材43,44が配置される背圧室47には、ポート47aを介してリザーバタンク連通路9が接続されている。リザーバタンク連通路9はマスタシリンダ10のポート19および第一供給口15bを介してリザーバタンク15に連通している。
スレーブシリンダ20は、シリンダ穴21に挿入された一つのスレーブシリンダピストン22と、シリンダ穴21内に収容された弾性部材23と、電動モータ24と、駆動伝達部25と、を備えている。
シリンダ穴21の底部21bとスレーブシリンダピストン22(以下、単に「ピストン22」ということがある。)との間には液圧室26が形成されている。液圧室26にはコイルばねである弾性部材23が配置されている。
液圧室26は、共通液圧路4および第一連通路5aを介して第一液圧路2aに通じるとともに、共通液圧路4および第二連通路5bを介して第二液圧路2bに通じている。
電動モータ24は、電動サーボモータである。電動モータ24は、コイル部24aと、ベアリング24bに支持された回転部24cとを備えている。回転部24cには磁石24dが取り付けられている。
回転部24cの内側には、駆動伝達部25が備わる。駆動伝達部25は、電動モータ24の回転駆動力を直線方向の軸力に変換するものである。駆動伝達部25は、ピストン22に当接しているロッド25aと、ロッド25aと回転部24cとの間に配置された複数のボール25bと、を備えている。ロッド25aの外周面には、螺旋状のねじ溝が形成されており、このねじ溝には複数のボール25bが転動自在に収容されている。ロッド25aの先端部(ピストン22との対向部)は半球状に形成されている(図2(a)参照)。回転部24cは、複数のボール25bに螺合されている。このように、回転部24cとロッド25aとの間にはボールねじ機構が設けられている。
電動モータ24は、基体1に装着される制御手段としての電子制御装置70によって駆動制御される。電動モータ24には、図示しない回転角センサが取り付けられている。回転角センサの検出値は電子制御装置70に入力される。電子制御装置70は、回転角センサの検出値に基づいて、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量を算出する。
電動モータ24の回転部24cが回転すると、回転部24cとロッド25aとの間に設けられたボールねじ機構によって、ロッド25aに直線方向の軸力が付与され、ロッド25aが前後方向に進退移動する。
ロッド25aがピストン22側に移動したときには、ピストン22がロッド25aからの入力を受けてシリンダ穴21内を進動(加圧方向に移動)し、液圧室26内のブレーキ液が加圧される。また、ロッド25aがピストン22とは反対側に移動したときには、弾性部材23の付勢力によってピストン22がシリンダ穴21内を退動(減圧方向に移動)し、液圧室26内のブレーキ液が減圧される。
液圧制御装置30は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに付与する液圧を適宜制御するものである。液圧制御装置30は、アンチロックブレーキ制御を実行し得る構成を備えており、配管を介して各ホイールシリンダWに接続されている。また、液圧制御装置30には、戻り液路9bが接続されている。
車輪ブレーキFL,RR,RL,FRは、それぞれ配管を介して基体1の出口ポート301に接続されている。そして、通常時は、ブレーキペダルPの踏力に対応してスレーブシリンダ20から出力された液圧が両液圧路2a,2bを通じて各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに付与される。
なお、以下では、液圧制御装置30において、第一液圧路2aに接続された系統を「第一液圧系統300a」と称し、第二液圧路2bに接続された系統を「第二液圧系統300b」と称する。
第一液圧系統300aには、各車輪ブレーキFL,RRに対応して二つの制御弁装置Vが設けられており、同様に、第二液圧系統300bには、各車輪ブレーキRL,FRに対応して二つの制御弁装置Vが設けられている。
制御弁装置Vは、スレーブシリンダ20から車輪ブレーキFL,RR,RL,FR(詳細には、ホイールシリンダW)への液圧の行き来を制御する弁であり、ホイールシリンダWに作用する液圧(以下、「ホイールシリンダ圧」という)を増圧、保持または減圧させることができる。そのため、制御弁装置Vは、入口弁31、出口弁32、チェック弁33を備えて構成されている。
入口弁31は、第一液圧路2aから各車輪ブレーキFL,RRへ至る二つの液圧路、および第二液圧路2bから各車輪ブレーキRL,FRへ至る二つの液圧路に一つずつ配置されている。入口弁31は、常開型の比例電磁弁(リニアソレノイド弁)であり、入口弁31のコイルに流す駆動電流の値に応じて、入口弁31の上下流の差圧(入口弁31の開弁圧)が調整可能となっている。入口弁31は、通常時に開いていることで、スレーブシリンダ20から各ホイールシリンダWへ液圧が付与されるのを許容している。また、入口弁31は、車輪がロックしそうになったときに電子制御装置70の制御により閉塞し、各ホイールシリンダWに付与される液圧を遮断する。
出口弁32は、各ホイールシリンダWと戻り液路9bとの間に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁32は、通常時に閉塞されているが、車輪がロックしそうになったときに電子制御装置70の制御により開放される。出口弁32が開弁すると、各ホイールシリンダWに作用しているブレーキ液が減圧する。
チェック弁33は、各入口弁31に並列に接続されている。チェック弁33は、ホイールシリンダW側からスレーブシリンダ20側(マスタシリンダ10側)へのブレーキ液の流入のみを許容する弁である。したがって、入口弁31を閉じた状態にしたときにおいても、チェック弁33は、各ホイールシリンダW側からスレーブシリンダ20側へのブレーキ液の流れを許容する。
このような液圧制御装置30では、電子制御装置70により入口弁31および出口弁32の開閉状態を制御することで、各ホイールシリンダWのホイールシリンダ圧が調整される。例えば、入口弁31が開、出口弁32が閉となる通常状態において、ブレーキペダルPを踏み込めば、スレーブシリンダ20からの液圧がそのままホイールシリンダWへ伝達してホイールシリンダ圧が増圧する。また、入口弁31が閉、出口弁32が開となる状態であれば、ホイールシリンダWから戻り液路9b側へブレーキ液が流出し、ホイールシリンダ圧が減少して減圧する。さらに、入口弁31と出口弁32がともに閉となる状態では、ホイールシリンダ圧が保持される。
次に、基体1内に形成された各液圧路について説明する。
二つの第一液圧路2aおよび第二液圧路2bは、いずれもマスタシリンダ10のシリンダ穴10aを起点とする液圧路である。
第一液圧路2aは、マスタシリンダ10の第一圧力室16aに通じている。一方、第二液圧路2bは、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じている。第一液圧路2aは、下流側の車輪ブレーキFL,RRに通じている。一方、第二液圧路2bは、下流側の車輪ブレーキRL,FRに通じている。
分岐液圧路3は、第二液圧路2bからストロークシミュレータ40の圧力室45に至る液圧路である。分岐液圧路3にはバルブとしての常閉型電磁弁8が設けられている。常閉型電磁弁8は分岐液圧路3を開閉するものである。
二つの第一連通路5aおよび第二連通路5bは、いずれも、スレーブシリンダ20の液圧室26を起点とする液圧路である。第一連通路5aおよび第二連通路5bは、共通液圧路4に合流して、シリンダ穴21につながっている。第一連通路5aは液圧室26から第一液圧路2aに至る流路であり、一方、第二連通路5bも液圧室26から第二液圧路2bに至る流路である。
第一液圧路2aと第一連通路5aとの連結部位には、三方向弁である第一切替弁51が設けられている。第一切替弁51は、2ポジション3ポートの電磁弁である。第一切替弁51は、図2(a)に示すように、弁体51aが第一弁座51cに着座する第一のポジションと、図2(b)に示すように、弁体51aが第二弁座51dに着座する第二のポジションとを選択可能である。第一のポジションでは、第一液圧路2aの上流側(マスタシリンダ10側)と第一液圧路2aの下流側(液圧制御装置30側、車輪ブレーキFL,RR)とが連通し、第一連通路5aへの通路が遮断される。つまり、第一切替弁51が第一のポジションにあるときの車輪ブレーキFL,RRは、マスタシリンダ10と連通するが、スレーブシリンダ20は、と遮断される(非連通状態となる)。なお、第一のポジションでは、コイル51eが非通電状態であるので、リターンスプリング51bの付勢力によって弁体51aが第一弁座51cに着座している。また、第二のポジションでは、図2(b)に示すように、第一液圧路2aの上流側への連通が遮断され、第一連通路5aと第一液圧路2aの下流側とが連通する。つまり、切替弁51が第二のポジションにあるときの車輪ブレーキFL,RRは、マスタシリンダ10とは遮断される(非連通状態となる)が、スレーブシリンダ20とは連通した状態となる。なお、第二のポジションでは、コイル51eが通電状態であるので、コイル51eの磁力によって弁体51aが第二弁座51dに着座している。
一方、第二液圧路2bと第二連通路5bとの連結部位には、三方向弁である第二切替弁52が設けられている。第二切替弁52は、2ポジション3ポートの電磁弁である。第二切替弁52は、図2(a)に示すように、弁体51aが第一弁座51cに着座する第一のポジションと、図2(b)に示すように、弁体51aが第二弁座51dに着座する第二のポジションとを選択可能である。第一のポジションでは、第二液圧路2bの上流側(マスタシリンダ10側)と第二液圧路2aの下流側(液圧制御装置30側、車輪ブレーキRL,FR)とが連通し、第二連通路5bへの通路が遮断される。つまり、第二切替弁52が第一のポジションにあるときの車輪ブレーキRL,FRは、マスタシリンダ10と連通するが、スレーブシリンダ20は、と遮断される(非連通状態となる)。なお、第一のポジションでは、コイル51eが非通電状態であるので、リターンスプリング51bの付勢力によって弁体51aが第一弁座51cに着座している。また、第二のポジションでは、図2(b)に示すように、第二液圧路2bの上流側への連通が遮断され、第二連通路5bと第二液圧路2bの下流側とが連通する。つまり、切替弁52が第二のポジションにあるときの車輪ブレーキRL,FRは、マスタシリンダ10とは遮断される(非連通状態となる)が、スレーブシリンダ20とは連通した状態となる。なお、第二のポジションでは、コイル51eが通電状態であるので、コイル51eの磁力によって弁体51aが第二弁座51dに着座している。
なお、第一切替弁51および第二切替弁52は、電子制御装置70によってポジションが切り替わる。ちなみに、第一切替弁51および第二切替弁52は、システムの起動時や、マスタシリンダ10からホイールシリンダWに液圧を直接作用させるバックアップモード時には、弁体51aが第一のポジションにある。また、第一切替弁51および第二切替弁52は、スレーブシリンダ20からホイールシリンダWに液圧を作用させる通常のブレーキ制御時等に、弁体51aが第二のポジションにある。
第一連通路5aには、第一遮断弁61が設けられている。第一遮断弁61は常開型電磁弁であり、第一連通路5aを開閉する。図2(a)に示すように、コイル61eに通電しないときは、リターンスプリング61bの付勢力によって弁体61aが弁座61cから離座し、第一連通路5aが連通する。また、図2(b)に示すように、コイル61eに通電したときは、磁力で弁体61aが弁座61cに着座し、第一連通路5aが遮断する。閉弁時の第一遮断弁61の弁体61aは、上流側(液圧発生源側)となるスレーブシリンダ20側から弁座61cに押し付けられる。第一遮断弁61の開閉(コイル61eに対する通電制御)は、電子制御装置70によって行われる。
第二連通路5bには、第二遮断弁62が設けられている。第二遮断弁62は常開型電磁弁であり、第二連通路5bを開閉する。図2(a)に示すように、コイル61eに通電しないときは、リターンスプリング61bの付勢力によって弁体61aが弁座61cから離座し、第二連通路5bが連通する。また、図2(b)に示すように、コイル61eに通電したときは、磁力で弁体61aが弁座61cに着座し、第二連通路5bが遮断する。閉弁時の第二遮断弁61の弁体61aは、上流側(液圧発生源側)となるスレーブシリンダ20側から弁座61cに押し付けられる。第二遮断弁62の開閉(コイル61eに対する通電制御)は、電子制御装置70によって行われる。
二つの圧力センサ6,7は、いずれも、ブレーキ液圧の大きさを検知するものである。両圧力センサ6,7で取得された情報(検出値)は電子制御装置70に入力される。
一方の圧力センサ6は、マスタシリンダ10と第一切替弁51との間の第一液圧路2aに配置されている。圧力センサ6は、マスタシリンダ10で発生した液圧を検知するマスタ圧センサとして機能する。
他方の圧力センサ7は、共通液圧路4に配置されている。圧力センサ7は、スレーブシリンダ20で発生した液圧を検知する。
補給路9aは、リザーバタンク15からスレーブシリンダ20に至る液路である。また、補給路9aは、分岐補給路9cを介して共通液圧路4に接続されている。分岐補給路9cには、リザーバタンク15側から共通液圧路4側(スレーブシリンダ20側)へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁9dが設けられている。通常時、補給路9aを通じてリザーバタンク15からスレーブシリンダ20にブレーキ液が補給される。また、後記する吸液制御時には、リザーバタンク15(第二供給口15c)から補給路9a、分岐補給路9cおよび共通液圧路4を通じて、スレーブシリンダ20にブレーキ液が吸液される。
戻り液路9bは、液圧制御装置30からリザーバタンク15に至る液路である。戻り液路9bには、液圧制御装置30の出口弁32を介して各ホイールシリンダWから逃されたブレーキ液が流入する。戻り液路9bに逃がされたブレーキ液は、戻り液路9bから第二供給口15cを介してリザーバタンク15に戻される。
電子制御装置70は、内部に制御基板(図示せず)を収容し、基体1の側面等に取り付けられている。電子制御装置70は、両圧力センサ6,7やストロークセンサSTの各種センサから得られた情報(検出値)や予め記憶させておいたプログラム等に基づいて、常閉型電磁弁8の開閉、電動モータ24の作動、両切替弁51,52の作動、両遮断弁61,62の開閉、および液圧制御装置30の制御弁装置Vの開閉を制御する。
また、電子制御装置70は、電動モータ24を駆動制御するとともに、第一切替弁51、第二切替弁52、第一遮断弁61および第二遮断弁62の作動を制御する。また、電子制御装置70は、予め記憶させておいたプログラムとして、図3に示すマップを参照し、スレーブシリンダ20により発生した液圧が、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量に対応した液圧まで上昇したか否か(予めプログラムされた判定値まで上昇したか否か)を判定する機能(判定手段としての機能)を備えている。そして、電子制御装置70は、判定結果に基づいて、スレーブシリンダや、両切替弁51,52、および両遮断弁61,62を制御する。電子制御装置70の判定に基づく制御の詳細は後記する。
また、電子制御装置70は、吸液制御を行う機能を備えている。吸液制御は、補給路9aからスレーブシリンダ20内にブレーキ液を積極的に吸液して、スレーブシリンダ20内にブレーキ液を確保するための制御である。例えば、高液圧領域までスレーブシリンダ20で加圧するためにブレーキ液を確保したい場合や、スレーブシリンダ20の発生液圧が運転者の要求液圧となった状態(以下、この状態を「定常」という)で、それ以降の加圧に備えてブレーキ液を予め確保しておく場合などに実行される。吸液制御の詳細は後記する。
次にブレーキシステムの動作について概略説明する。
(通常のブレーキ制御)
ブレーキシステムAでは、システムが起動されると、分岐液圧路3の常閉型電磁弁8が開弁される。この状態では、ブレーキペダルPの操作によってマスタシリンダ10で発生した液圧は、ホイールシリンダWには伝達されずに、ストロークシミュレータ40に伝達される。そして、圧力室45の液圧が大きくなり、シミュレータピストン42が弾性部材43,44の付勢力に抗して底面41b側に移動することで、ブレーキペダルPのストロークが許容され、擬似的な操作反力がブレーキペダルPに付与される。
また、ブレーキペダルPが操作されたことをストロークセンサSTが検知すると、図4に示すように、第一切替弁51および第二切替弁52が励磁され弁体51aが第二のポジションに移動する(図2(b)参照)。この移動によって第一液圧路2aの下流側(車輪ブレーキ側)と第一連通路5aとが通じるとともに、第二切替弁52によって第二液圧路2bの下流側と第二連通路5bとが通じる。つまり、マスタシリンダ10とホイールシリンダWとが遮断された状態(非連通状態)になるとともに、スレーブシリンダ20がホイールシリンダWと連通した状態になる。
また、ストロークセンサSTによって、ブレーキペダルPの踏み込みが検知されると、電子制御装置70によりスレーブシリンダ20の電動モータ24が駆動され、スレーブシリンダ20のピストン22が底部21b側に移動することで、液圧室26内のブレーキ液が加圧される。
電子制御装置70は、スレーブシリンダ20の発生液圧(圧力センサ7で検出された液圧)と、マスタシリンダ10から出力された液圧(ブレーキペダルPの操作量に対応した液圧)とを対比し、その対比結果に基づいて電動モータ24の回転速度等を制御する。このようにして、ブレーキシステムAでは液圧を昇圧させる。
スレーブシリンダ20の発生液圧は、液圧制御装置30を介して各ホイールシリンダWに伝達され、各ホイールシリンダWが作動することにより、各車輪に制動力が付与される。
ブレーキペダルPの踏み込みが解除されると、電子制御装置70によりスレーブシリンダ20の電動モータ24が逆転駆動され、ピストン22が弾性部材23によって電動モータ24側に戻される。これによって、液圧室26内が降圧され、各ホイールシリンダWの作動が解除される。
(ブレーキ液の減少が生じた場合のブレーキ制御)
次に、スレーブシリンダ20の電動モータ24が駆動している状態で、第一液圧路2aおよび第二液圧路2bのいずれかのブレーキ液が減少した場合のブレーキ制御について、図5のフローチャートを参照して説明する。この場合、以下に説明する三つの段階を経てブレーキ液の減少の診断がなされる。
初めに、ステップS1において、圧力センサ7の検出値P2および予めプログラムされた判定値P5(図3参照)が電子制御装置70に入力される。
その後、電子制御装置70は、ステップS2において、圧力センサ7の検出値P2が判定値P5まで上昇したか否かを判定する。つまり、スレーブシリンダ20の発生液圧(検出値P2)が、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量に対応した液圧まで上昇しているか否かを判定する。ステップS2において、圧力センサ7の検出値P2が判定値P5まで上昇していると判定した場合(ステップS2、Yes)には、ステップS1に戻り、以下のステップS1,S2を繰り返す。
ステップS2において、圧力センサ7の検出値P2が判定値P5まで上昇していないと判定した場合(ステップS2、No、異常であると判定した場合)には、ステップS3に移行し、ブレーキ液の減少に対する第一段階の診断を開始する。
第一段階の診断では、まず、ステップS3において両遮断弁61,62を閉弁するとともに、ステップS4においてスレーブシリンダ20を加圧駆動する(ピストン22が底部21bに向かって移動するように電動モータ24を駆動する)。
スレーブシリンダ20を加圧駆動したら、ステップS5において、圧力センサ7の検出値P2が両遮断弁61,62を閉弁する前に比べて上昇した(回復した)か否かを判定する。
ステップS5において、圧力センサ7の検出値P2が上昇していないと判定した場合(ステップS5、No)には、ステップS7に移行して、マスタシリンダ10からホイールシリンダWに液圧を直接作用させるバックアップモードによる制御を開始する。つまり、ステップS5において、圧力センサ7の検出値P2が上昇していないと判定した場合には、第一遮断弁61および第二遮断弁62からスレーブシリンダ20側の経路においてブレーキ液の減少が生じている可能性があることから、第一切替弁51および第二切替弁52の励磁を解除する。これによって、図2(a)に示すように、第一のポジションに弁体51aがそれぞれ切り替えられる。この切り替えによって第一液圧路2aが連通するとともに、第二液圧路2bが連通する。つまり、車輪ブレーキがマスタシリンダ10と連通し、スレーブシリンダ20と遮断する状態となる。
また、ステップS5において、圧力センサ7の検出値P2が上昇していないと判定した場合(ステップS5、No)には、分岐液圧路3の常閉型電磁弁8が閉弁される(マスタシリンダ10からストロークシミュレータ40への流出を止める)。これによって、マスタシリンダ10で発生した液圧は、第一液圧路2a並びに第二液圧路2bを介してホイールシリンダW(車輪ブレーキ)に直接伝達される。
前記ステップS5において、圧力センサ7の検出値P2が上昇していると判定した場合(ステップS5、Yes)には、第二段階の診断を開始する。この場合、ステップS6に移行して、第一遮断弁61の閉弁を維持するとともに、第二遮断弁62を開弁する。その後、ステップS8において、スレーブシリンダ20を加圧駆動する。
加圧駆動後、ステップS9において、圧力センサ7の検出値P2が第一遮断弁61を閉弁する前に比べて上昇した(回復した)か否かを判定する(第二段階)。
ステップS9において、圧力センサ7の検出値P2が上昇したと判定した場合(ステップS9、Yes)には、ステップS10に移行して、第二ブレーキ系統K2のブレーキ制御モードに移行する。つまり、第一遮断弁61を閉弁することによって、圧力センサ7の検出値P2が上昇した場合には、第一ブレーキ系統K1の経路においてブレーキ液が減少している可能性があることから、第二ブレーキ系統K2においてスレーブシリンダ20による液圧の昇圧を継続する。つまり、第二ブレーキ系統K2によって、スレーブシリンダ20による制動(ブレーキ制御モード)が確保される。なお、引き続き第一液圧路2aとスレーブシリンダ20との間は遮断される。
一方、前記ステップS9において、圧力センサ7の検出値P2が上昇していないと判定した場合(ステップS9、No)には、第三段階の診断を開始する。この場合、ステップS11に移行して、第一遮断弁61を開弁するとともに、第二遮断弁62を閉弁する。その後、ステップS12において、スレーブシリンダ20を加圧駆動する。
加圧駆動後、ステップS13において、圧力センサ7の検出値P2がステップS12の前に比べて上昇した(回復した)か否かを判定する。
ステップS13において、圧力センサ7の検出値P2が上昇したと判定した場合(ステップS13、Yes)には、ステップS14に移行して、第一ブレーキ系統K1のブレーキ制御モードに移行する。つまり、第二遮断弁62を閉弁することによって、圧力センサ7の検出値P2が上昇した場合には、第二ブレーキ系統K2の経路においてブレーキ液が減少している可能性があることから、第一ブレーキ系統K1においてスレーブシリンダ20による液圧の昇圧を継続する。つまり、第一ブレーキ系統K1によって、スレーブシリンダ20による制動(ブレーキ制御モード)が確保される。なお、引き続き第二液圧路2bとスレーブシリンダ20との間は遮断される。
また、ステップS13において、圧力センサ7の検出値P2が上昇しないと判定した場合(ステップS13、No)には、ステップS7に移行して、マスタシリンダ10からホイールシリンダWに液圧を直接作用させるバックアップモードによる制御を開始する。
なお、スレーブシリンダ20が作動しない状態(例えば、イグニッションOFFや、電力が得られない場合など)においては、第一切替弁51,第二切替弁52、常閉型電磁弁8が初期状態に戻る(図1参照)。第一切替弁51,第二切替弁52が初期状態に戻ると、第一液圧路2aが連通するとともに、第二液圧路2bが連通する。この状態では、マスタシリンダ10で発生した液圧が各ホイールシリンダWに直接伝達される。
(吸液制御)
次に、吸液制御について説明する。吸液制御とは、スレーブシリンダ20の液圧室26内にブレーキ液を確保するためにリザーバタンク15からブレーキ液を吸液する制御である。なお、液圧室26には、急ブレーキ等の特殊なブレーキ時を除いて、通常(常用)のブレーキ制御時に必要な量のブレーキ液が確保されている。
初めに、システム最大発生液圧が必要となる急ブレーキ等の特殊なブレーキ時における吸液制御について説明する。急ブレーキ等の特殊なブレーキ時には、常用のブレーキ制御時の液圧よりも高い液圧が要求される。この場合、スレーブシリンダ20では、シリンダ穴21内を加圧方向にスライドしたピストン22が、シリンダ穴21の底部21bに当接する寸前の位置で減圧方向に戻される(電動モータ24側に戻される)という吸液制御が行われる。以下、図6〜図8を参照して詳細に説明する。図6はシステム最大ホイールシリンダ圧が必要となる吸液制御を説明するためのフローチャート、図7はスレーブシリンダの発生液圧とこれに対する必要ストローク量との関係を示すマップである。
初めに、図6のステップS21において、ストロークセンサSTの検出値ST1を電子制御装置70に入力し、ステップS22において、検出値ST1に基づく運転者の要求液圧P3を算出する。
その後、ステップS23において、図7に示すマップに基づいて、要求液圧P3に対応するピストン22の必要ストローク量STWを算出する。
その後、ステップS24において、算出した必要ストローク量STWが常用最大ストローク量(リミットストローク量)STLを超えるか否かを判定する。リミットストローク量STLは、例えば、加圧時にピストン22が初期位置からシリンダ穴21の底部21bに当接する直前の位置まで移動したときの移動距離として設定されている。つまり、ステップS24では、リミットストローク量STL以内のストローク量で運転者の要求液圧P3を発生することができるか否かを判定している。
ステップS24において、必要ストローク量STWがリミットストローク量STLよりも小さいと判定した場合(ステップS24、No)には、ステップS21に戻り、以下のステップS22,S23を繰り返す。
ステップS24において、必要ストローク量STWがリミットストローク量STLよりも大きいと判定した場合(ステップS24、Yes)には、ステップS25に移行し、ピストン22の戻し量STBを算出する。つまり、リミットストローク量STLで運転者の要求液圧P3をまかなえない場合に、リミットストローク量STLを超えて加圧すべく、ピストン22を減圧方向に一旦戻して再加圧を行う。戻し量STBは、図7に示すマップに基づいて算出することができる。
その後、ステップS26において、スレーブシリンダ20の加圧駆動を開始する。そして、続くステップS27において、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量STR(通算ストローク量)を入力する。
その後、ステップS28において、入力されたストローク量STRがリミットストローク量STL以上となったか否かを判定する。ステップS28において、入力されたストローク量STRがリミットストローク量STL以上ではないと判定した場合(ステップS28、No)には、ステップS27に戻る。
ステップS28において、入力されたストローク量STRがリミットストローク量STL以上となった場合(ステップS28、Yes)には、ステップS29に移行し、吸液制御を開始する。
吸液制御に移行すると、電子制御装置70は、第一遮断弁61および第二遮断弁62を閉弁制御する。この場合、第一遮断弁61および第二遮断弁62は、スレーブシリンダ20側から車輪ブレーキ側に向けて弁体61aが閉弁する(リターンスプリング61bの付勢力を受けて閉弁する)ので、閉弁時には、スレーブシリンダ20側からの液圧を受けて弁体61aを弁座61cにスムーズに着座する(図2(a)(b)参照)。第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧は、第一遮断弁61および第二遮断弁62の閉弁によって保持状態にされる。
その後、前記ステップS25で算出した戻し量STB分、電動モータ24を減圧方向(戻し方向)に駆動する。そうすると、減圧方向にピストン22が戻され、ホイールシリンダWの液圧が保持状態とされたまま、液圧室26が減圧して負圧状態となる。これによって、補給路9aおよび共通液圧路4を通じてリザーバタンク15から液圧室26にブレーキ液が吸液される。この場合、吸液されるブレーキ液の量は、戻し量STBに基づくものであり、加圧を補完することが可能な量とされている。
その後、ステップS30において、ピストン22を加圧方向に再び駆動するとともに、第一遮断弁61および第二遮断弁62を開弁制御する。これによって、ホイールシリンダ圧V1が再び昇圧され、運転者の要求液圧P3に対応するホイールシリンダ圧V1が得られる。
なお、第一遮断弁61および第二遮断弁62の開弁のタイミングは、例えば、ピストン22を戻し方向に駆動した後、加圧方向にピストン22を駆動し、第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧(ホイールシリンダ圧V1)に対してスレーブシリンダ20の発生液圧SCVが同圧となるタイミングで開弁するか、または同圧になる直前のタイミングにて開弁するのがよい。このタイミングで開弁することによって、第一遮断弁61および第二遮断弁62の上流側と下流側との液圧の差圧がない状態のため、開弁動作をスムーズに行うことができるとともに、自然な昇圧特性を得ることができる。なお、第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧に対してスレーブシリンダ20の発生液圧SCVが同圧となった後のタイミングにて開弁することもできる。この場合には、発生液圧SCVにリターンスプリング61bの荷重を加えた圧力になるまでに開弁するのがよい。
図8はシステム最大のホイールシリンダ圧V1Mが要求された時の吸液制御のタイミングを示すタイムチャートである。図8に示すように、スレーブシリンダ20のピストン22が加圧方向に駆動され、時刻T1でストローク量STRがリミットストローク量STLに到達すると、吸液制御が開始される(液圧制御の開始タイミング)。つまり、常用圧力最大値VM(太破線で図示)までは、吸液制御なしにホイールシリンダ圧V1が上昇される。
吸液制御では、前記のように、前記ステップS25で算出した戻し量STB分、電動モータ24が減圧方向(戻し方向)に駆動され、液圧室26にブレーキ液が吸液される(時刻T1から時刻T2)。
一方、第一遮断弁61および第二遮断弁62は時刻T1で閉弁される。これによって、ホイールシリンダ圧V1は、時刻T1から時刻T2まで保持される。
時刻T2において、ピストン22が加圧方向に再び駆動されてストローク量STR(通算ストローク量)が再び増加すると、ホイールシリンダ圧V1が上昇を開始する。そして、時刻T3でシステム最大のホイールシリンダ圧V1Mまで上昇し、リミットストローク量STLを超えた加圧が補完される。
本実施形態のブレーキシステムAでは、吸液制御を備えているので、スレーブシリンダ20の軸長を必要以上に確保することなく、システムの最大液圧を高めることができる。
次に、スレーブシリンダ20の発生液圧に影響のないタイミングで行う吸液制御について図9を参照して説明する。図9の吸液制御では、リミットストロークまでピストン22(図1参照)が到達することのない常用のブレーキ時を前提としている。図9の吸液制御では、運転者の要求液圧までホイールシリンダ圧V1が昇圧した後、ブレーキペダルPの操作に変化が生じない場合(保持状態である場合)に、吸液制御を行うものである。なお、吸液制御中に運転者のブレーキペダルPの操作に変化が生じた場合、例えば、ブレーキペダルPがさらに踏み込まれたり、踏み込みが解除されたりした場合には、吸液制御を中止する。以下、電子制御装置70による吸液制御を詳細に説明する。
運転者によりブレーキペダルPが踏み込まれると、前記と同様にして、ストロークセンサSTの検出値ST1に基づき運転者の要求液圧P3(不図示)が算出される。そして、要求液圧P3に基づき、前記図7に示すマップから必要ストローク量STWが算出される。その後、必要ストローク量STWに基づきスレーブシリンダ20が駆動され、加圧方向にピストン22が加圧駆動される。そうすると、ストローク量STRが大きくなるにつれ、ホイールシリンダ圧V1が上昇する。
その後、時刻t1において、ブレーキペダルPの踏み込みが保持され、この保持状態が所定時間継続されると、時刻t2において吸液制御のフラグが立てられ(電子制御装置70により吸液制御を実行する必要があると判定され)、第一遮断弁61および第二遮断弁62が閉弁される。これにより、ホイールシリンダ圧V1が保持状態にされる。
その後、時刻t3において、減圧方向にピストン22が減圧駆動される。なお、戻し量STBは、例えば、前記必要ストローク量STWに基づいて求めることができる。減圧方向にピストン22が減圧駆動されると、スレーブシリンダ20の発生液圧SCVが下降し(時刻t3→時刻t4)、液圧室26が負圧状態になる。これによって、補給路9aおよび共通液圧路4を通じ、ブレーキ液が液圧室26に吸液される(図1参照)。
時刻t4において、加圧方向にピストン22が駆動され、スレーブシリンダ20の発生液圧SCVがホイールシリンダ圧V1(第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧)と同圧となるように加圧される。時刻t5において、スレーブシリンダ20の発生液圧SCVがホイールシリンダ圧V1と同圧になったら、第一遮断弁61および第二遮断弁62が開弁される。
その後、時刻t6において、運転者によりブレーキペダルPが再び踏み込まれると、ストローク量STRの上昇に応じてホイールシリンダ圧V1が上昇する。そして、時刻t7において、ブレーキペダルPの踏み込みが保持され、この保持状態が所定時間継続されると、時刻t8において吸液制御のフラグが立てられ、第一遮断弁61および第二遮断弁62が閉弁される。これにより、ホイールシリンダ圧V1が保持状態にされる。
そして、時刻t9において、減圧方向にピストン22が減圧駆動される。戻し量STBは、例えば、時刻t6から時刻t7におけるストローク量STRの上昇による必要ストローク量STWに基づいて求めることができる。減圧方向にピストン22が減圧駆動されると、スレーブシリンダ20の発生液圧SCVが下降し(時刻t9→時刻t10)、液圧室26が負圧状態になる。これによって、補給路9aおよび共通液圧路4を通じ、ブレーキ液が液圧室26に吸液される(図1参照)。
この状態で、時刻t10において、運転者によりブレーキペダルPが踏み込まれると、吸液制御が中止される。そして、吸液制御の中止に伴い、時刻t10において、第一遮断弁61および第二遮断弁62が開弁される。
スレーブシリンダ20の発生液圧SCVは、ブレーキペダルPの踏み込みによって一気に上昇され、スレーブシリンダ20の発生液圧SCVが再び上昇される(時刻t11)。
その後、時刻t12において、ブレーキペダルPの踏み込みが保持され、この保持状態が所定時間継続されると、前記と同様にして時刻t13において吸液制御のフラグが立てられ、第一遮断弁61および第二遮断弁62が閉弁される。これにより、ホイールシリンダ圧V1が保持状態にされる。
そして、時刻t14において、減圧方向にピストン22が駆動される。この場合の戻し量STBは、例えば、時刻t11から時刻t12におけるストローク量STRの上昇による必要ストローク量STWに基づいて求めることができる。減圧方向にピストン22が駆動されると、スレーブシリンダ20の発生液圧SCVが再び下降し(時刻t14→時刻t15)、液圧室26が負圧状態になる。これによって、補給路9aおよび共通液圧路4を通じ、ブレーキ液が液圧室26に吸液される(図1参照)。
この状態で、時刻t15において、運転者によりブレーキペダルPの踏み込みが解除されると、吸液制御が中止される。そして、吸液制御の中止に伴い、時刻t15において、第一遮断弁61および第二遮断弁62が開弁される。
また、時刻t15において、スレーブシリンダ20の発生液圧SCVがホイールシリンダ圧V1(第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧)と同圧となるように、加圧方向にピストン22が一旦駆動される(時刻t15→時刻t17)。その後、減圧方向にピストン22が駆動され、ホイールシリンダ圧V1が降圧される。
次に、アンチロックブレーキ制御時における吸液制御について図10を参照して説明する。アンチロックブレーキ制御時には、車輪ブレーキに作用する液圧を増圧、保持または減圧する制御が頻繁に行われるため、車輪ブレーキに供給するブレーキ液を確保する必要がある。図10に示す吸液制御は、アンチロックブレーキ制御時にピストン22のストローク量STRが許容リミット(リミットストローク量)に到達した場合に、吸液制御を行うようにしたものである。以下、電子制御装置70による吸液制御を詳細に説明する。
図10に示すように、時刻t21において、運転者によりブレーキペダルPが踏み込まれると、前記と同様にして、ストロークセンサSTの検出値ST1に基づき運転者の要求液圧P3(不図示)が算出される。そして、要求液圧P3に基づき、図7に示すマップから必要ストローク量STWが算出される。そして、必要ストローク量STWに基づきスレーブシリンダ20が駆動され、加圧方向にピストン22が加圧駆動される。そうすると、ストローク量STRが大きくなるにつれてホイールシリンダ圧V1が上昇する。
その後、時刻t22において、車輪がロック状態に陥りそうになると液圧制御装置30によりアンチロックブレーキ制御が実行される。アンチロックブレーキ制御は、ホイールシリンダWに作用する液圧を減圧状態、増圧状態、あるいは一定に保持する保持状態を適宜選択することで実現される。なお、減圧、増圧および保持のいずれの状態を選択するかは、車輪の近傍に設けられた車輪速度センサから得られる車輪速度等の情報に基づいて、電子制御装置70によって判断される。
アンチロックブレーキ制御において、時刻t22で減圧状態が選択されると、図1に示す液圧制御装置30の入口弁31が閉弁されるとともに出口弁32が開弁され、ホイールシリンダWに作用しているブレーキ液が出口弁32を通じて戻り液路9bに逃される。つまり、スレーブシリンダ20からホイールシリンダWに供給されたブレーキ液の一部が戻り液路9bに逃される。このため、例えば、アンチロックブレーキ制御において、時刻t23で保持状態が選択され、その後、時刻t24で増圧状態が選択された場合等には、増圧に必要な液圧を確保するために、ピストン22のストローク量STRが増やされる。
その後、時刻t25において、ストローク量STRが許容リミットに到達すると、吸液制御が行われる。吸液制御では、第一遮断弁61および第二遮断弁62が閉弁され(時刻t25)、前記と同様にして算出した戻し量STBに基づいてピストン22が、時刻t26において、減圧方向(戻し方向)に減圧駆動される。そうすると、液圧室26が減圧して負圧状態となり、補給路9aおよび共通液圧路4を通じてリザーバタンク15から液圧室26にブレーキ液が吸液される。これによって、許容リミットを超えたストローク量STRが確保され、所望の発生液圧SCVが確保される。
吸液が完了したら、加圧方向にピストン22が加圧駆動され、スレーブシリンダ20の発生液圧SCVがホイールシリンダ圧V1(第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧)と同圧となるように加圧される。その後、第一遮断弁61および第二遮断弁62が開弁制御され(時刻t27)、吸液制御が終了する(時刻t28)。なお、以降のアンチロックブレーキ制御において、再びストローク量STRが許容リミットに到達した場合には、前記と同様にして吸液制御が行われ、許容リミットを超えたストローク量STRが確保される。
以上、ストローク量STRが許容リミットに到達した場合の吸液制御について説明したが、これに限られることはなく、アンチロックブレーキ制御が保持制御または減圧制御となったタイミングで吸液制御を行うようにしてもよい。この場合には、増圧制御以外のタイミングで吸液制御が行われるので、アンチロックブレーキ制御時にブレーキ液を効果的に確保することができる。
また、電子制御装置70に、路面摩擦係数を推定可能な路面摩擦係数推定手段を設け、この路面摩擦係数推定手段によって推定された路面摩擦係数に基づいて吸液制御を行うタイミングを変更するように構成してもよい。この場合には、例えば、路面摩擦係数の低い低μ路においてアンチロックブレーキ制御(減圧制御、保持制御)が比較的長時間継続されると推定される場合には、ストローク量STRが許容リミットに到達するよりも早い所定のタイミングで吸液制御を行うことで、ブレーキ液を効果的に確保することができる。所定のタイミングとしては、例えば、所定のストローク後に保持制御となったタイミングや減圧制御となったタイミングとするとよい。
また、路面摩擦係数の推定としては、例えば、アンチロックブレーキ制御の減圧時点における車輪ブレーキ液圧や、減圧中における車輪の復帰傾向(車輪加速度)に基づいて推定することができる。
以上説明した本実施形態のブレーキシステムによれば、車輪ブレーキに対するマスタシリンダ10とスレーブシリンダ20との接続を第一切替弁51,第二切替弁52によって切り替えることができるとともに、スレーブシリンダ20からの連通を第一遮断弁61,第二遮断弁62によって遮断可能であるので、複雑な構成を有することなく車輪ブレーキに作用する液圧を様々な状態にすることができ、システムの状況や車両の状況に好適に対応した効率のよい液圧制御が可能になる。
そして、複雑な構成を有することなく効率のよい液圧制御が可能になるので、システムとしての大型化を抑制することができる。
また、各系統K1,K2の液圧を別々に昇圧することができるとともに、スレーブシリンダ20から各系統K1,K2に作用する液圧を別々に遮断することができるので、効率のよい液圧制御が可能となる。
また、スレーブシリンダ20に備わる一つの液圧室26で、第一連通路5aおよび第二連通路5bの昇圧が可能であるので、一つの液圧室26による効率のよい液圧制御が可能となる。また、システムとしての大型化を抑制することができる。
また、圧力センサ7を設けることで、スレーブシリンダ20の発生液圧を一つの圧力センサ7で検出することができる。したがって、システムの構成が簡単になるとともに、効率のよい液圧検出が可能である。
また、スレーブシリンダ20の加圧動作を解除した時に、リザーバタンク15内のブレーキ液を補給路9aを通じてスレーブシリンダ20(液圧室26)に効率よく補給することができる。
また、分岐補給路9cにチェック弁9dが設けられているので、スレーブシリンダ20で発生した液圧がリザーバタンク15側へ伝達するのをチェック弁9dによって好適に防止することができる。
また、補給路9aは共通液圧路4に接続されているので、スレーブシリンダ20に補給路用のポートを設ける必要がないので、簡単な構成になる。この場合でも、スレーブシリンダ20で発生した液圧がリザーバタンク15側へ伝達するのをチェック弁9dによって好適に防止することができる。なお、補給路9aは第一連通路5aおよび第二連通路5bに直接接続してもよい。また、補給路9aは、マスタシリンダ10のポート19に接続してもよい。
また、第一遮断弁61および第二遮断弁62は、常開型電磁弁であるので、スレーブシリンダ20によって車輪ブレーキに液圧を発生させる通常のブレーキ時に、これらの第一遮断弁61および第二遮断弁62に通電する必要がなくなる。したがって、消費電力を最小限に抑えることができる。
また、第一遮断弁61および第二遮断弁62の弁体61aは、スレーブシリンダ20側から弁座61cに押し付けられるので、スレーブシリンダ20の加圧動作時に第一遮断弁61および第二遮断弁62を抵抗なくスムーズに閉弁させることができる。
また、出口弁32からリザーバタンク15に通じる戻り液路9bを備えているので、ホイールシリンダWの液圧を減圧した際に、ブレーキ液を一時的に貯留しておくためのリザーバ等を介することなくブレーキ液をリザーバタンク15に好適に戻すことができる。したがって、スムーズなブレーキ液の通流を実現することができる。
また、戻り流路9bは、第二供給口15cを介してリザーバタンク15に直接接続されているので、他の構成要素を経由することなく、リザーバタンク15へブレーキ液を直接戻すことができる。したがって、よりスムーズなブレーキ液の通流を実現することができる。
また、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20および液圧制御装置30を一体のユニットとして車両に取り付けることができるので、システムとしての大型化、複雑化を抑制することができる。
また、電子制御装置70により、第一ブレーキ系統K1および第二ブレーキ系統K2のいずれかにおいて、スレーブシリンダ20によって昇圧された液圧がスレーブシリンダ20のピストン22のストローク量STRに対応した所定の液圧よりも低いと判定された場合に、その系統の遮断弁が閉じられ、他方の系統の遮断弁が開かれる。したがって、二つのブレーキ系統K1,K2の一方でブレーキ液が減少する異常が生じた場合にも、スレーブシリンダ20の駆動によって他方の系統の昇圧性能を好適に確保することができる。したがって、他方の系統の液圧制御を好適に継続することができる。
また、第一遮断弁61および第二遮断弁62のうち、一方を閉じてスレーブシリンダ20を駆動したときの検出値、および他方を閉じてスレーブシリンダ20を駆動したときの検出値に基づいて異常を判定することができるので、各系統の液圧の異常の有無を一つの圧力センサ7で効率よく検出することができる。また、一つの圧力センサ7で異常を判定することができるので、システムの構成が簡単になり、コストの低減、ひいてはシステムの小型化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、第一遮断弁61および第二遮断弁62の両方を閉じてスレーブシリンダ20を駆動したときの検出値に基づいて判定した後に、第一遮断弁61および第二遮断弁62のうち、一方を閉じてスレーブシリンダ20を駆動したときの検出値、および他方を閉じてスレーブシリンダ20を駆動したときの検出値に基づいて判定することができる。したがって、スレーブシリンダ20側に異常があるか否かを判定した後に、遮断弁を順に閉じて液圧の異常の有無を判定することができるため、スレーブシリンダ20側の異常の有無、および各系統の液圧の異常の有無を一つの圧力センサ7で効率よく検出することができる。
また、これとは逆の順で判定を行った場合には、遮断弁を順に閉じて液圧の異常の有無を判定した後に、スレーブシリンダ20側に異常があるか否かを判定することができるため、この場合にも、各系統の液圧の異常の有無、およびスレーブシリンダ20側の異常の有無を一つの圧力センサ7で効率よく検出することができる。
また、第一遮断弁61および第二遮断弁62の両方を閉じてスレーブシリンダ20を駆動したときの検出値がスレーブシリンダ20のピストン22のストローク量STRに対応した所定の液圧よりも低いと判定した場合に、第一切替弁51および第二切替弁52をそれぞれ切り替え、ホイールシリンダWがマスタシリンダ10と連通しスレーブシリンダ20側と遮断する状態にされるので、異常の際にマスタシリンダ10からの液圧にてホイールシリンダWを好適に昇圧することができる。したがって、フェールセーフとして好適に機能するブレーキシステムAが得られる。
さらに、吸液制御によって第一遮断弁61および第二遮断弁62が閉じられ、ピストン22が減圧方向に駆動されて、負圧により補給路9aからブレーキ液が吸液される。したがって、スレーブシリンダ20の軸長を比較的短く設定したとしても、吸液制御によって液圧室26内のブレーキ液を確保することができる。これにより、スレーブシリンダ20の大型化を回避しつつ、高液圧領域まで好適に昇圧することができるブレーキシステムAが得られる。
また、アンチロックブレーキ制御に、ホイールシリンダWに作用する液圧を増圧、保持または減圧する制御が頻繁に行われたとしても、吸液制御によってホイールシリンダWに供給するブレーキ液を好適に確保することができる。
また、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量STRが所定以上となった場合(常用最大ストローク量(リミットストローク量)STLとなったタイミング)で吸液制御を行うので、高液圧が必要となった場合にだけ吸液制御が行われる。したがって、スレーブシリンダ20の大型化を回避しつつ、高液圧領域まで好適に昇圧することができるブレーキシステムAが得られる。
また、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量STRは、電動モータ24の回転角を検出する回転角センサに基づいて特定されるので、電動モータ24の回転角に基づいて正確なストローク量を特定でき、吸液制御を行うためのタイミングを容易に特定することができる。
なお、吸液制御は、運転者の要求液圧の昇圧量が所定以下となった場合に、吸液制御を実行する必要があると判断するように構成してもよい。このようにすると、ブレーキフィーリングに影響がでないタイミングにて吸液制御を好適に行うことができる。
また、吸液制御は、運転者の要求液圧の絶対値が所定以上となった場合に、吸液制御を実行する必要があると判断するように構成してもよい。このようにすると、例えば、通常のブレーキ時よりも大きな昇圧を伴うブレーキアシスト制御時等において良好に昇圧を行うことができる。
さらに、吸液制御は、車輪(車輪ブレーキ)の制御状態が保持制御または減圧制御となった場合に行うように構成してもよい。このようにすると、車輪の制御状態が増圧制御以外である場合に吸液を行うことによって、アンチロックブレーキ制御時にブレーキ液を効果的に確保することができる。
また、吸液制御は、スレーブシリンダ20によって昇圧された液圧と、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量STRと、の関係が所定の関係を満たさなくなった場合に行うように構成してもよい。このようにすると、吸液制御によってスレーブシリンダ20内にブレーキ液を補給することができ、スレーブシリンダ20によって昇圧される液圧を、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量STRに対応する所定の液圧とすることができる。
1 基体
2a 第一液圧路
2b 第二液圧路
4 共通液圧路
5a 第一連通路
5b 第二連通路
6 第一圧力センサ
7 第二圧力センサ
9a 補給路
9b 戻り液路
9d チェック弁
10 マスタシリンダ
15 リザーバタンク
20 スレーブシリンダ
22 ピストン
24 電動モータ
30 液圧制御装置(制御弁手段)
51 第一切替弁
52 第二切替弁
61 第一遮断弁
62 第二遮断弁
70 電子制御装置
A ブレーキシステム
K1 第一ブレーキ系統
K2 第二ブレーキ系統
P ブレーキペダル(ブレーキ操作子)
FL,RR,RL,FR 車輪ブレーキ
ST ストロークセンサ
W ホイールシリンダ

Claims (7)

  1. ブレーキ操作子の操作量に応じて駆動する電動アクチュエータによって液圧を発生させるスレーブシリンダを備えたブレーキシステムであって、
    前記スレーブシリンダから車輪ブレーキに通じる液路と、
    前記液路に設けられ、前記液路を遮断可能な遮断弁と、
    ブレーキ液を貯溜するリザーバタンクと、
    前記リザーバタンクから前記スレーブシリンダにブレーキ液を補給する補給路と、
    前記補給路からブレーキ液を吸液する吸液制御を実行する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、吸液制御を実行する必要があるか否かを判断し、吸液制御を実行する必要がある場合に、前記遮断弁を閉じるとともに、前記電動アクチュエータによって前記スレーブシリンダを減圧方向に駆動させる制御を実行する構成であり、
    前記補給路から分岐する分岐補給路を備え、
    前記分岐補給路は、前記補給路と並列に設けられ、前記スレーブシリンダからの出力路である前記遮断弁に至る部分の前記液路に接続されており、
    前記分岐補給路には、前記リザーバタンク側から前記液路側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁が設けられていることを特徴とするブレーキシステム。
  2. 請求項1に記載のブレーキシステムであって、
    前記制御手段は、前記スレーブシリンダのストローク量が所定以上となった場合に吸液制御を行うことを特徴とするブレーキシステム。
  3. 請求項2に記載のブレーキシステムであって、
    前記電動アクチュエータは電動モータであり、
    前記スレーブシリンダのストローク量は、前記電動モータの回転角を検出する回転角センサに基づいて特定されることを特徴とするブレーキシステム。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のブレーキシステムであって、
    前記制御手段は、運転者の要求液圧の昇圧量が所定以下となった場合に吸液制御を実行する必要があると判断することを特徴とするブレーキシステム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のブレーキシステムであって、
    前記制御手段は、運転者の要求液圧の絶対値が所定以上となった場合に吸液制御を実行する必要があると判断することを特徴とするブレーキシステム。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のブレーキシステムであって、
    前記補給路には、前記リザーバタンク側から前記スレーブシリンダ側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁が設けられていることを特徴とするブレーキシステム。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のブレーキシステムであって、
    前記遮断弁は、常開型電磁弁であることを特徴とするブレーキシステム。
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