JP7006529B2 - 車両下部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両下部構造に関する。
回転電機を駆動源とする電気自動車等には、バッテリユニットが搭載される。例えば特許文献1では、車室の床下(フロア下)にバッテリユニットが搭載される。
回路上、回転電機とバッテリユニットとの間には、昇圧/降圧を行うDC/DCコンバータや交直変換を行うインバータを含む電力変換ユニットが設けられる。回転電機および電力変換ユニットが車両前方の前部コンパートメントに搭載される。
また、前部コンパートメントの両側には前輪が設けられ、前部コンパートメントの下方には前輪を懸架する骨格部材であるサスペンションメンバが設けられる。フロア下にバッテリユニットが搭載される場合、サスペンションメンバはバッテリユニットの前方に配置される。
特許文献2では、フレームに搭載された燃料電池スタックがフロア下に配置され、このフレームが締結部材を利用してサスペンションメンバに締結される。このような構成によれば、締結部材の厚みや形状を変更することで、車高を調整することができる。このため、車高の高い車両と低い車両とにおいて、同じプラットフォームを使用することが可能になる。
国際公開第2014/034377号公報 特開2006-224877号公報
ところで、車両の前面衝突(以下適宜、前突と記載する)の際に、サスペンションメンバが障害物に押されて後退させられる。特許文献1のような構成では、前突時に、サスペンションメンバがバッテリユニットに衝突し、バッテリユニットの破損に繋がるおそれがある。また、特許文献2によれば、前突時のサスペンションメンバの動きに締結部材がどのように作用するかを検討する必要がある。
本発明に係る車両下部構造は、車室のフロア下に設けられたバッテリユニットと、前記車室より前方であって、前記バッテリユニットの前方に設けられたサスペンションメンバと、備える車両下部構造であって、前記フロアを構成するフロア構成部材の下面に設けられ、前端に下方側が後方に位置する前端斜面を有するフロア側拡張部材と、前記バッテリユニットの前部の、前記フロア側拡張部材の後下方に設けられ、前端に下方側が後方に位置する前端斜面を有するバッテリ側拡張部材と、前記サスペンションメンバの後端縁の前記フロア側拡張部材と車両前後方向においてオーバーラップする位置に設けられ、後端に下方側が後方側に位置する後端斜面を有するメンバ側拡張部材と、前記サスペンションメンバと、前記フロア構成部材とを接続するブラケットと、を含み、車両後方に向かって、前記メンバ側拡張部材の後端斜面、前記フロア側拡張部材の前端斜面、前記バッテリ側拡張部材の前端斜面の順で位置しているとともに、前記ブラケットの前端は前記フロア側拡張部材の前端斜面より後方に位置する。
また、前記ブラケットの前端部は、締結部材によってサスペンションメンバの後端部に締結されているとともに、前記ブラケットの前端部には、前記締結部材による締結部より前方に向かって延伸する延伸部が形成されているとよい。
また、前記ブラケットの前端は、前記バッテリ側拡張部材の前端より後方に位置するとよい。
また、前記フロア側拡張部材の下端は、前記バッテリ側拡張部材の上端より下方に位置するとよい。
本発明によれば、前突時に、サスペンションメンバとバッテリユニットとの衝突を回避することが可能となる。
本実施形態に係る車両下部構造を例示する斜視図である。 本実施形態に係る車両下部構造を例示する分解斜視図である。 本実施形態に係る車両下部構造の後方部分を例示する斜視図である。 図3のA-A断面図である。 前突時のサスペンションメンバの挙動を説明する側面図である。 前突時のメンバ側エクステンション、フロア側エクステンションおよびバッテリエクステンションの周辺の様子を説明する側面図(1/2)である。 前突時のメンバ側エクステンション、フロア側エクステンションおよびバッテリエクステンションの周辺の様子を説明する側面図(2/2)である。 バッテリユニットの上方を開放した様子を示す図である。 ブラケットを利用したサスペンションメンバとボディー側の接続を示す図である。 サスペンションメンバの後方側部分を示す斜視図である。
図1には、本実施形態に係る車両下部構造の斜視図が例示され、また図2にはその分解斜視図が例示されている。
なお、図1~図10において、車両前後方向を記号FRで表される軸で示し、車幅方向(車両幅方向)を記号RWで表される軸で示し、鉛直方向を記号UPで表される軸で示す。記号FRはFrontの略であり、前後方向軸FRは車両前方を正方向とする。記号RWはRight Widthの略であり、幅方向軸RWは右幅方向を正方向とする。また高さ軸UPは上方向を正方向とする。
図1に示されているように、これらFR軸、RW軸、UP軸は互いに直交する。以下、本実施形態に係る車両下部構造を説明する際には、これら3軸を基準に適宜説明する。例えば「前端」は任意の部材のFR軸正方向側の端部を指し、「後端」は任意の部材のFR軸負方向側の端部を指す。「幅内側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向内側を指すものとし、「幅外側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向外側を指すものとする。また特に断りのない限り、「幅方向」とは車両幅方向を指すものとする。さらに「上側」は相対的にUP軸の正方向側を指し、「下側」は相対的にUP軸の負方向側を指す。
図1、図2に示す車両下部構造は、回転電機10を駆動源とする、電気自動車に搭載される。車両下部構造は、フロントサイドメンバ12,12、高電圧系アセンブリ14、サスペンションメンバ16、およびバッテリユニット18を備える。
フロントサイドメンバ12,12は、車両の幅方向両側(左右)に設けられる一対の骨格部材であって、それぞれ、車両の前端から後方に延設される。例えばフロントサイドメンバ12,12は、車両前方の前部コンパートメント20から、その後方の車室22(キャビン)の前方部分まで延設される。
前部コンパートメント20には、高電圧系アセンブリ14およびサスペンションメンバ16が搭載される。高電圧系アセンブリ14は複数の高電圧機器を組み付けた組立体である。高電圧系アセンブリ14は、回転電機10、充電器24、および電力変換ユニット26がコンパートメントクロス28に組み付けられて構成される。
回転電機10は車両の駆動源であって、例えばコンパートメントクロス28の下方に組み付けられる。回転電機10は例えば永久磁石型同期モータから構成される。
充電器24および電力変換ユニット26はコンパートメントクロス28の上方に組み付けられる。充電器24は例えば図示しない充電コネクタに接続され、車外の充電スタンド等からの充電が可能となっている。
電力変換ユニット26は回転電機10とバッテリユニット18との間に接続され、電力変換を行う。例えば電力変換ユニット26は電力の交直変換を行うインバータや電力の昇圧/降圧を行うDC/DCコンバータを含んで構成される。電力変換ユニット26は例えば直方体形状のケース内にインバータやDC/DCコンバータを収容する。さらに当該ケースの後面には、バッテリユニット18と接続される高電圧ケーブル30が接続される。また、ケースの底面には、回転電機10と接続される高電圧ケーブル(図示せず)が接続される。
コンパートメントクロス28は、左右一対のフロントサイドメンバ12,12に固定される骨格部材である。コンパートメントクロス28は、例えば略ロ字形状の枠部材であって、中心に上下に貫通する開口が形成される。この開口に、回転電機10と電力変換ユニット26とを結ぶ高電圧ケーブル(図示せず)が配索される。
コンパートメントクロス28に、回転電機10、充電器24、および電力変換ユニット26が組み付けられて高電圧系アセンブリ14が構成される。車両の組立工程において、高電圧系アセンブリ14は例えば下方からリフトアップされる。そしてコンパートメントクロス28とフロントサイドメンバ12,12の上下位置が合わされた後に、図示しないブラケットによってコンパートメントクロス28をフロントサイドメンバ12,12に締結させる。この組み立てにより、図1に例示されるように、電力変換ユニット26はフロントサイドメンバ12よりも上方に配置される。
電力変換ユニット26を含む高電圧系アセンブリ14の下方に、サスペンションメンバ16が配置される。また図1に示されているように、サスペンションメンバ16はバッテリユニット18の前方に設けられる。つまりサスペンションメンバ16はバッテリユニット18と高さ位置(上下方向位置)が揃うような位置関係となっている。
サスペンションメンバ16は、図示しない前輪を懸架する骨格部材である。サスペンションメンバ16は略井桁形状であって、前端部の幅方向両側および後端部の幅方向両側が幅方向外側に張り出すような形状となっている。この、張り出された前端部両側および後端部両側に支持部材32A,32Bが締結される。支持部材32A,32Bはフロントサイドメンバ12の底面にも締結される。つまりサスペンションメンバ16は支持部材32A,32Bを介してフロントサイドメンバ12に吊り支持される。
また、サスペンションメンバ16の後端には、一対のメンバ側エクステンション34,34(メンバ側拡張部材)が設けられる。図4に例示するように、メンバ側エクステンション34は、サスペンションメンバ16の上面後部16Aから後面上部16Bにかけて取り付けられ、サスペンションメンバ16の後端に鉤状に引っ掛けられた状態で締結される。この締結は、溶接やボルト締めで行えばよい。
例えばメンバ側エクステンション34はアルミ等の金属材料から構成される略箱形状の剛性部材であり、箱の開口をサスペンションメンバ16の上面後部16Aおよび後面上部16Bにて覆うことで閉断面構造が形成される。
メンバ側エクステンション34は、ボルト・ナット等の締結部材によりサスペンションメンバ16に締結されてもよく、また溶接等によりサスペンションメンバ16に接合されてもよい。また、サスペンションメンバ16の一部分として、つまりその後端を上方に隆起させるように加工することで、メンバ側エクステンション34を構成してもよい。
メンバ側エクステンション34はサスペンションメンバ16の上面から上方に突設される。また図1に例示されるように、メンバ側エクステンション34,34は、サスペンションメンバ16の後端縁16Cのうち、フロア側エクステンション36,36(フロア側拡張部材)と車両前後方向で対向する位置に配置される。なお、サスペンションメンバ16は、その車幅方向の両側において後方に伸びて延長部分16Dを構成している。従って、メンバ側エクステンション34,34が設けられるサスペンションメンバ16の後端縁16Cは、車幅方向の両側における後縁端の延長部分16Dより前方側に位置する。図4を参照して、サスペンションメンバ16の上面後部16Aと後面上部16Bとの境界を規定する稜線であって、当該稜線上に、メンバ側エクステンション34,34が配置される。また、図3を参照して、メンバ側エクステンション34,34は、高電圧ケーブル30を挟むようにして車両幅方向に沿って設けられる。
図4を参照して、メンバ側エクステンション34には、フロア側エクステンション36と車両前後方向で対向する対向面34Aが形成される。対向面34Aは、車両後方に向かって下方に傾斜する傾斜面となっている。後述するように、対向面34Aを傾斜面とすることで、前突時にサスペンションメンバ16を車両の下方に落とし込むことが可能となる。
またメンバ側エクステンション34の対向面34Aの、水平面に対する傾斜角θ1は、フロア側エクステンション36の対向面36Aの、水平面に対する傾斜角θ2より大きくなるように構成される。言い換えると、メンバ側エクステンション34の対向面34Aは、フロア側エクステンション36の対向面36Aよりも水平寄りに傾斜される。
このように、メンバ側エクステンション34の対向面34Aを、フロア側エクステンション36の対向面36Aよりも水平寄りに寝かせた構成とすることで、後述するように前突時にサスペンションメンバ16の後端が下方に傾いてメンバ側エクステンション34の対向面34Aが下を向いたときに、フロア側エクステンション36の対向面36Aと、メンバ側エクステンション34の対向面34Aとが側面視で平行に揃えられる。
図1を参照して、車室22はフロアパネル38およびダッシュパネル40により区画される。ダッシュパネル40は上部パネルであるダッシュパネルアッパ40Aと下部パネルであるダッシュパネルロア40Bを備える。
ダッシュパネルアッパ40Aは略垂直に立設される。ダッシュパネルロア40Bはその上端がダッシュパネルアッパ40Aの下端に接続され、さらにそこから側面視で曲線状に延設され、垂直から円弧状または傾斜状に曲げられてその後端は略水平となり、フロアパネル38の前端に接続される。
ダッシュパネルロア40Bは前席に座る乗員の足が置かれるいわゆるトーボードとして機能する。このような機能から、車室22の床板は、ダッシュパネルロア40Bとフロアパネル38によって構成される。
ダッシュパネルロア40Bおよびフロアパネル38の幅方向中央にはフロアトンネル39が形成される。車両に内燃機関が搭載されている場合には、このフロアトンネル39に排気管が通される。一方、内燃機関が搭載されない電気自動車においては、排気管が不要となるため、フロアトンネル39には例えばバッテリの監視や制御を行うバッテリECU42等が配置される。
また、図3を参照して、フロアトンネル39は、トンネルリーンフォース44と呼ばれる補強部材によって補強される。トンネルリーンフォース44はフロアトンネル39を覆うとともに、幅方向ではフロアトンネル39の両側の床板領域(ダッシュパネルロア40Bおよびフロアパネル38の上面)まで延設される。図3に示されているようにこの延設部分の下にフロア側エクステンション36,36が配置される。つまり、床板を構成するダッシュパネルロア40Bおよびフロアパネル38の少なくとも一方のうち、その上面に補強部材(トンネルリーンフォース44)が設けられた部分の下に、フロア側エクステンション36,36が配置される。
図1に戻り、車室のフロア下、つまりフロアパネル38の下方にバッテリユニット18が配置される。バッテリユニット18は筐体状ケース18Bと、その内部に配置されるバッテリ群18Cを含む。バッテリ群18Cは、複数のバッテリセル(単電池)を含み、バッテリセルは、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池、または全固体電池から構成される。例えばこれらのバッテリセルが複数個並列接続してバッテリグループを構成し、さらに複数のバッテリグループが直列接続されてバッテリ群18Cが構成される。なお、この例では、バッテリECU42もケース18B内(フロアトンネルの下方)に配置されている。
バッテリユニット18は、前端部分の下側(図4参照)の幅方向中央には、高電圧ケーブル30が接続される。高電圧ケーブル30は、バッテリユニット18の前面18Aから上方かつ前方に延設され、高電圧系アセンブリ14の電力変換ユニット26に接続される。例えば図1に例示するように、高電圧ケーブル30は左側を車両前方とする側面視で前方に向けて斜め上方に至るように配索される。なお、高電圧ケーブル30は、バッテリ群18Cからの電力を回転電機10に供給する。
車室22のフロアを構成する床板の一部であるダッシュパネルロア40Bの下面には、一対のフロア側エクステンション36,36(フロア側拡張部材)が設けられる。フロア側エクステンション36,36は、バッテリユニット18の前面18Aより前方に設けられる。例えば図4に示されるように、フロア側エクステンション36は、少なくともメンバ側エクステンション34と対向する対向面36Aが、バッテリユニット18の前面18Aより前方となるように、ダッシュパネルロア40Bの下面に取付られる。
なお、図1の例では、ダッシュパネルロア40Bの下面にフロア側エクステンション36,36を設けたが、本実施形態はこのような形態に限られない。要するに車室22のフロア下面の、バッテリユニット18の前面18Aより前方にフロア側エクステンション36,36が設けられればよい。具体的には、車室22のフロアを構成するダッシュパネルロア40Bおよびフロアパネル38の少なくとも一方の下面の、バッテリユニット18の前面18Aより前方にフロア側エクステンション36,36が設けられればよい。例えばフロアパネル38の下面にフロア側エクステンション36,36を設けてもよいし、ダッシュパネルロア40Bおよびフロアパネル38の両者に跨ってこれらの下面にフロア側エクステンション36,36を設けてもよい。
フロア側エクステンション36は、ダッシュパネルロア40Bの下面から下方に、その対向面36Aとメンバ側エクステンション34の対向面34Aとが車両前後方向に対向するように突設される。例えばフロア側エクステンション36,36はアルミ等の金属材料から構成される略箱形状の剛性部材であり、箱の開口をダッシュパネルロア40Bにて覆うことで閉断面構造が形成される。
図4を参照して、フロア側エクステンション36の対向面36Aは、車両後方に向かって下方に傾斜するような傾斜面となっている。後述するように、この傾斜面は前突時にサスペンションメンバ16を下方に落とし込むための滑り面として機能する。確実にサスペンションメンバ16を落とし込むために、その水平面に対する傾斜角θ2は垂直寄りであってよく、例えば90°以上が好適である。
また上述したように、フロア側エクステンション36の対向面36Aの、水平面に対する傾斜角θ2は、メンバ側エクステンション34の対向面34Aの、水平面に対する傾斜角θ1より大きくなるように構成される。
図3を参照して、フロア側エクステンション36,36は、高電圧ケーブル30を挟むようにして、ダッシュパネルロア40Bの下面に車両幅方向に沿って設けられる。例えば車室22の床面の、フロアトンネル39との境界部分にフロア側エクステンション36,36が設けられる。
<バッテリ側エクステンションの構成>
図4を参照して、フロア側エクステンション36,36の斜め下後方には、バッテリユニット18のケース18Bの前部の下面に取り付けられて、バッテリ側エクステンション50,50(バッテリ側拡張部材:図においては1つだけ示してある)が設けられている。このバッテリ側エクステンション50の前端は、バッテリユニット18の前面より前方に位置する。そして、バッテリ側エクステンション50は、前方側にメンバ側エクステンション34の対向面34Aに対応する斜面50Aを有する。メンバ側エクステンション34が後方に進み、フロア側エクステンション36の対向面を下後方に向けてすべり、さらに後方に移動した場合において、メンバ側エクステンション34に対向してこれをさらに下後方に導く。これによって、サスペンションメンバ16およびそれに付随する部品がバッテリユニット18に衝突して、バッテリ群18C等を破壊することを防止することができる。なお、この際にバッテリ側エクステンション50は上方側後方に移動する。
バッテリ側エクステンション50は、その機能は、フロア側エクステンション36とよく似ており、同様の材料で、同様の形状にできる。メンバ側エクステンション34のフロア側エクステンション36への衝突によって、フロア側エクステンション36が上方に移動するため、バッテリ側エクステンション50も上方に持ち上げられるが、メンバ側エクステンション34は下方に向けて移動する。斜面50Aの角度は、メンバ側エクステンション34が表面の滑り移動するのに適切な角度に設定する。例えば、θ2より小さいことが好適である。なお、ダッシュパネルロア40Bなどの構造によって、変形の仕方は異なるので、適宜最適な形状とするとよい。また、バッテリ側エクステンション50の取付部は後方に向けて余裕があるため、フロア側エクステンション36に比べ後部が長い形状にするとよい。
ここで、図8には、バッテリユニット18の上側を開放した図を示してある。このように、ケース18Bの前方側にバッテリECU42が配置され、後方側にバッテリ群18Cが配置される。また、ケース18Bの下側の両側の下面側にバッテリ側エクステンション50が取り付けられている。そして、バッテリ側エクステンション50が取り付けられている、ケース18Bの床面上には、部品は配置されておらず、この部分が空洞になっている。従って、バッテリ側エクステンション50にメンバ側エクステンション34が衝突して、バッテリ側エクステンション50が上方に移動しても、部品に対する影響を少なくできる。なお、ケース18Bは、通常筐体状であり、上側が閉じている。
<ブラケットの構成>
図2および図10を参照して、サスペンションメンバ16の車幅方向両側の後端には、後方に伸びる細長板状の延長部分16Dが形成されている。そして、この延長部分16Dにはブラケット60の一端が固定されている。また、延長部分16Dの前方は、前方に向けて立ち上がる後壁16Eとなっている。
図9は、ブラケット60の締結状態を示している。このように、ブラケット60の前端部は、サスペンションメンバ16の延長部分16Dにボルト(締結部材)62Aによってボルト締めされ、後端部は、ボディー側のサイドメンバなどの下面にボルト(締結部材)62Bによりボルト締めされる。従って、このブラケット60によっても、サスペンションメンバ16がバッテリユニット18に向けて移動することを抑制することができる。なお、ブラケット60の後端部は、ボディー側の強度のあるフロア構成部材であれば、サイドメンバでなく他の部材に取り付けてもよい。また、この例では、ブラケット60の前端部は、上方側がサイドメンバにも締結されている。
ここで、車高が高い車両と、車高が低い車両とで、車台などのプラットフォームを共有する場合がある。このような場合に、ボディー側とサスペンションメンバ16の高低差に違いが生じる。ブラケット60は、サスペンションメンバ16とボディー側を接続するものであり、このブラケット60の形状(上下高さ)を変更することで、車高が高い車両と、車高が低い車両でのプラットフォームの共有のための調整が行える。
また、ブラケット60の前端部は、サスペンションメンバ16の延長部分16Dにボルト締めされているが、ブラケット60は、その前端部に延伸部60Aを有している。すなわち、ブラケット60の前端がボルト62Aでボルト締めされる部分より、前方に延長されている。
ここで、延伸部60Aの前端は、フロア側エクステンション36の対向面(前端斜面)36Aより後方に位置し、この例ではバッテリ側エクステンション50の前端より後方に位置する。従って、メンバ側エクステンション34がフロア側エクステンション36の対向面36A上を滑り、さらにメンバ側エクステンション34の対向面34Aがバッテリ側エクステンション50の斜面50A上をすべり後下方に向けて移動することを妨げない。
<車両前突時の挙動>
図4~図7を参照して、本実施形態に係る車両下部構造の、車両前突時の挙動について説明する。図5に例示されるように、車両前面が障害物46(バリア)に衝突すると、フロントサイドメンバ12の前端が障害物を受けて折れ変形(座屈)する。この折れ変形に伴って、サスペンションメンバ16をフロントサイドメンバ12に支持する支持部材32Aが後退させられる。これに伴ってサスペンションメンバ16の前端が上方に持ち上がり、その後端は下方に傾く。
サスペンションメンバ16後端の傾きに伴い、メンバ側エクステンション34の対向面34Aが下向きにされ、当該対向面34Aとフロア側エクステンション36の対向面36Aとが側面視で平行となる。この平行状態が維持されながらサスペンションメンバ16がさらに後退させられ、図7に例示するようにメンバ側エクステンション34の対向面34Aがフロア側エクステンション36の対向面36Aに衝突する。
この衝突の際に、メンバ側エクステンション34の衝突を受けるフロア側エクステンション36には、車室内にめり込むような荷重が入力される。ここで上述したように、フロア側エクステンション36は、補強部材であるトンネルリーンフォース44の下部に設けられている。言い換えると、フロア側エクステンション36は、トンネルリーンフォース44に裏張りされている。したがってフロア側エクステンション36の車室22内への荷重がトンネルリーンフォース44に受け止められ、フロア側エクステンション36の車室22内への進入が抑制される。
さらに前突が進行すると、傾斜面であるメンバ側エクステンション34の対向面34Aとフロア側エクステンション36の対向面36Aとがサスペンションメンバ16を下方にガイドする。つまりメンバ側エクステンション34がフロア側エクステンション36に対して下方かつ後方に滑り、これによってサスペンションメンバ16が下方かつ後方に落ち込む。これにより、サスペンションメンバ16の車室22内への進入が回避可能となる。
サスペンションメンバ16が下方かつ後方に移動すると、図7に例示するように、メンバ側エクステンション34の対向面34Aがバッテリ側エクステンション50の斜面50Aに衝突する。バッテリ側エクステンション50の斜面50Aは、進行してきたメンバ側エクステンション34の対向面34Aとほぼ合致する傾斜となっておりメンバ側エクステンション34が対向面34Aに下方かつ後方にガイドされて、サスペンションメンバ16はさらに下方かつ後方に進行する。この際、サスペンションメンバ16の延長部分16Dなどは、大きく変形するが、サスペンションメンバ16がさらに下方かつ後方に移動するので、サスペンションメンバ16とバッテリユニット18との衝突が回避可能となる。
このように、フロア側エクステンション36の下方かつ後方のバッテリユニット18のケース18Bの前部の下面にバッテリ側エクステンション50を設けることで、メンバ側エクステンション34が、フロア側エクステンション36、バッテリ側エクステンション50に順次衝突して、サスペンションメンバ16を下方かつ後方に案内して、車室への浸入およびバッテリユニット18との衝突を回避することができる。
また、ブラケット60の延伸部60Aは、サスペンションメンバ16の延長部分16Dから離れることができる。そこで、図7に示すように、前突の際に、サスペンションメンバ16の延長部分16Dが下方に向かってV字状に折れ曲がり衝撃を吸収できる。また、サスペンションメンバ16の延長部分16Dはその先端部でボルト締めされており、延長部分16Dは先端部を端点として折れ曲がる。このため、後退してくるサスペンションメンバ16の後壁16Eと延伸部60Aの前端が衝突して、それ以上の後退を防止することができる。すなわち、ブラケット60の前端は、サスペンションメンバ16の両側において後方に伸びる延長部分16Dに取り付けられ、この延長部分16Dは前方に向けて立ち上がる後壁16Eの後方に位置する。従って、ブラケット60の延伸部60Aの前端が後壁16Eに対向している。そこで、車両の前突によって、サスペンションメンバ16が後方に移動した際に、延伸部60Aの前端が後壁16Eにぶつかり、サスペンションメンバ16の後方への移動を妨げる。
10 回転電機、12 フロントサイドメンバ、14 高電圧系アセンブリ、16 サスペンションメンバ、16A サスペンションメンバの上面後部、16C サスペンションメンバの後端縁、18 バッテリユニット、18A バッテリユニット前面、20 前部コンパートメント、22 車室、24 充電器、26 電力変換ユニット、28 コンパートメントクロス、30 高電圧ケーブル、32A,32B 支持部材、34 メンバ側エクステンション(拡張部材)、34A メンバ側エクステンションの対向面、36 フロア側エクステンション(拡張部材)、36A フロア側エクステンションの対向面、38 フロアパネル、39 フロアトンネル、40A ダッシュパネルアッパ、40B ダッシュパネルロア、42 バッテリECU、44 トンネルリーンフォース(補強部材)、46 障害物、50 バッテリ側エクステンション(拡張部材)、60 ブラケット。

Claims (4)

  1. 車室のフロア下に設けられたバッテリユニットと、
    前記車室より前方であって、前記バッテリユニットの前方に設けられたサスペンションメンバと、
    を備える車両下部構造であって、
    前記フロアを構成するフロア構成部材の下面に設けられ、前端に下方側が後方に位置する前端斜面を有するフロア側拡張部材と、
    前記バッテリユニットの前部の、前記フロア側拡張部材の後下方に設けられ、前端に下方側が後方に位置する前端斜面を有するバッテリ側拡張部材と、
    前記サスペンションメンバの後端縁の前記フロア側拡張部材と車両前後方向においてオーバーラップする位置に設けられ、後端に下方側が後方側に位置する後端斜面を有するメンバ側拡張部材と、
    前記サスペンションメンバと、前記フロア構成部材とを接続するブラケットと、
    を含み、
    車両後方に向かって、前記メンバ側拡張部材の後端斜面、前記フロア側拡張部材の前端斜面、前記バッテリ側拡張部材の前端斜面の順で位置しているとともに、前記ブラケットの前端は前記フロア側拡張部材の前端斜面より後方に位置する、
    車両下部構造。
  2. 請求項1に記載の車両下部構造であって、
    前記ブラケットの前端部は、締結部材によってサスペンションメンバの後端部に締結されているとともに、前記ブラケットの前端部には、前記締結部材による締結部より前方に向かって延伸する延伸部が形成されている、
    車両下部構造。
  3. 請求項1または2に記載の車両下部構造であって、
    前記ブラケットの前端は、前記バッテリ側拡張部材の前端より後方に位置する、
    車両下部構造。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに記載の車両下部構造であって、
    前記フロア側拡張部材の下端は、前記バッテリ側拡張部材の上端より下方に位置する、
    車両下部構造。
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