JP7006232B2 - X線分析装置及び分析方法 - Google Patents

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Description

開示の技術は、X線分析装置及び分析方法に関する。
X線を検出する複数の検出素子が単一の面内に配列された2次元検出器を備えたX線分析装置が知られている。
例えば、X線照射手段から被測定結晶の測定面上に照射された特性X線による回折像を検出する検出手段を備えたX線結晶方位測定装置において、検出手段の一部が可動であり、カメラ長が可変とされたものが知られている。
また、試料にX線を照射して得られる広角X線回折または小角X線散乱のパターンを2次元ディテクターでリアルタイムに観察しながら、遠隔操作が可能なゴニオヘッドで試料の位置と角度とを調整する測定方法が知られている。
また、X線ビームで試料を照らすX線源と、試料から発せられた回折されたX線信号を検出する多次元X線検出器と、X線源に対する試料の走査方向に沿った位置を変化させる走査機構と、を備えた分析システムが知られている。
特開2005-265502号公報 特開2003-215068号公報 特表2017-519979号公報
X線回折法は、分析対象である試料にX線を照射し、試料の様々な方位からの回折・散乱プロファイルを解析することで、試料の結晶構造や配向等の情報を取得する分析方法である。従来のX線分析装置では、X線を検出する検出器としてシンチレーション検出器等のいわゆる0次元検出器が使われてきた。0次元検出器を備えたX線分析装置においては、0次元検出器の前方にスリットが設置され、このスリットの幅を変化させることによって、所望の角度分解能を得ている。
近年、X線分析装置において、X線を検出する検出器として、複数の検出素子が単一の面内に配列された2次元検出器が用いられている。2次元検出器を用いることで、広い逆格子空間を一度に測定することが可能であり、分析を高速に行うことが可能となる。
2次元検出器を備えたX線分析装置においては、2次元検出器と試料との間の距離(以下、検出距離という)を変化させることで、角度分解能を調整することが可能である。また、X線分析装置を用いた分析では、検出器によって検出されたX線の強度を、横軸に回折角2θをとり、縦軸にX線の強度をとった座標平面上に表した回折プロファイルを取得することが一般的に行われている。
図1は、2次元検出器によって取得したX線回折像に基づいて作成された回折プロファイルの一例を示す図である。図1には、検出距離の想定を変化させた複数の回折プロファイルが示されている。図1に示すように、同じX線回折像から得られる回折プロファイルであっても、検出距離の想定が異なると、得られる回折プロファイルが変化する。これは、回折角2θと2次元検出器の画素位置との幾何学的に定まる対応関係が、検出距離によって定まるためである。このように、2次元検出器を備えたX線分析装置を用いて回折プロファイルを取得する場合、検出距離の想定が、実際の検出距離から乖離していると、適正な回折プロファイルを得ることができない場合がある。例えば、エピタキシャル膜等の高分解能測定を必要とする試料を分析する場合、想定した検出距離の、実際の検出距離からの乖離が僅かであっても、回折プロファイルに歪みが生じる場合がある。
例えば、レーザ測定により検出距離を測定する対応も考えられるが、この場合、既存のX線分析装置に、レーザ測定器を追加する必要があり、装置規模が大きくなる。また、X線分析装置においては、試料が複数の軸の周りに回転するため、レーザ測定による検出距離の取得が容易ではない。このように、2次元検出器を備えたX線分析装置において、正確な検出距離を取得することは困難であった。そのため、2次元検出器を予め定められた位置に設置することで、検出距離の誤差を抑制する対応がとられていた。または、2次元検出器を備えたX線分析装置は、低分解能測定が許容される試料の分析に限定して用いられていた。
開示の技術は、一つの側面として、装置規模の増大を抑制しつつ2次元検出器と試料との間の距離である検出距離を正確に導出することを目的とする。
開示の技術に係るX線分析装置は、試料に照射され回折を生じたX線の強度を検出する複数の検出素子が単一の面内に配列された2次元検出器と、前記2次元検出器と前記試料との間の距離である検出距離を変化させる距離可変機構と、を含む。X線分析装置は、前記2次元検出器から出力されたX線回折像に基づいて、前記検出距離を導出する検出距離導出部を含む。前記検出距離導出部は、前記X線回折像に基づいて、前記X線回折像を取得する際に設定された前記検出距離を仮定した互いに異なる複数の仮定距離の各々について、X線の回折角とX線の強度との関係を示す回折プロファイルを生成し、前記複数の仮定距離の各々について生成した前記回折プロファイルに基づいて、前記複数の仮定距離の各々についてX線の強度の最大値を導出し、前記複数の仮定距離のうち、X線の強度の最大値が最大となる仮定距離を、前記検出距離として導出する。
開示の技術によれば、一つの側面として、装置規模の増大を抑制しつつ2次元検出器と試料との間の距離である検出距離を正確に導出することが可能となる。
2次元検出器によって取得したX線回折像に基づいて作成された回折プロファイルの一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係るX線分析装置の構成の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る検出距離導出部として機能するコンピュータの構成の一例を示す図である。 2次元検出器20によって取得されたX線回折像の一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係るCPUが、検出距離導出プログラムを実行することで実施される処理の流れを示すフローチャートである。 開示の技術の実施形態に係るプロットデータの一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係るプロットデータに対するフィッティングを行うことで導出されたカーブの一例を示す図である。 開示の技術の実施形態に係る回折プロファイルのサンプリングレートと、検出距離との関係の一例を示す図である。 サンプリングレートを変化させて生成した回折プロファイルの一例を示す図である。 サンプリングレートが低すぎる場合のプロットデータの一例を示す図である。 サンプリングレートが高すぎる場合のプロットデータの一例を示す図である。 開示の技術の他の実施形態に係る検出距離導出部として機能するコンピュータの構成の一例を示す図である。 開示の技術の他の実施形態に係るCPUが、最適値導出プログラムを実行することで実施される処理の流れを示すフローチャートである。
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。
[第1の実施形態]
図2は、開示の技術の実施形態に係るX線分析装置1の構成の一例を示す図である。X線分析装置1は、X線源10、2θステージ11、ωステージ12、χステージ13、φステージ14、サンプルステージ15、2θアーム16、検出器ステージ17、2次元検出器20、及び検出距離導出部30を含んで構成されている。
X線源10は、サンプルステージ15またはサンプルステージ15に搭載された試料(図示せず)に向けてX線を照射する。
2θステージ11は、円盤状の形状を有し、2θステージ11の中心を通る鉛直方向に沿った回転軸A1の周りに回転可能である。ωステージ12は、円盤状の形状を有し、2θステージ11のステージ面に搭載されている。ωステージ12は、ωステージ12の中心を通る回転軸A1の周りに、2θステージ11とは独立に回転可能である。2θステージ11及びωステージ12の回転方向は、X線源10から出射されたX線の回折角2θに対応した方向である。
χステージ13は、ωステージ12のステージ面に搭載されており、円弧状のステージ面を備えている。φステージ14は、χステージ13の円弧状のステージ面に搭載されており、この円弧状のステージ面に沿って移動可能である。φステージ14は、更に、自身のステージ面に対して直交する回転軸A2の周りに回転可能である。サンプルステージ15は、X線分析装置1による分析の対象となる試料を搭載するためのステージであり、φステージ14のステージ面に搭載されている。
2θアーム16は、2θステージ11に接続され、2θステージ11及びωステージ12の径方向に伸びている。2θアーム16は、2θステージ11の回転に伴って、回転軸A1の周りに回転する。
2次元検出器20は、X線の強度を検出する複数の検出素子(図示せず)が単一の面内に配列されて構成されている。サンプルステージ15またはサンプルステージ15に搭載された試料に照射され、回折を生じたX線が、2次元検出器20の複数の検出素子によって受信される。2次元検出器20は、受信したX線の強度を示す出力信号を出力する。
検出器ステージ17は、2次元検出器20を載置するための載置台18とリンク部19とを含んで構成されている。リンク部19は、一端が載置台18に接続され、他端が2θアームに接続されている。リンク部19は、2θアーム16の伸長方向に沿って移動可能である。リンク部19が2θアーム16の伸長方向に沿って移動することで、サンプルステージ15またはサンプルステージ15に搭載された試料と、2次元検出器20との間の距離である検出距離が変化する。本実施形態に係るX線分析装置1によれば、リンク部19の可動範囲内において、検出距離を自由に設定することが可能であり、X線分析装置1の角度分解能を調整することが可能である。なお、検出器ステージ17は、開示の技術における検出距離調整機構の一例である。
検出距離導出部30は、2次元検出器20によって検出されたX線の強度に基づいて、検出距離を導出する。検出距離導出部30は、例えば、図3に示すコンピュータ100によって構成することができる。コンピュータ100は、バス110を介して相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置102、補助記憶装置103、インターフェース104、入力装置105及び出力装置106を含んで構成されている。2次元検出器20は、インターフェース104を介してコンピュータ100に接続されている。
入力装置105は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチスクリーン、マウス、ジョイスティック及びトラックボールの少なくとも1つを含んで構成されている。出力装置106は、例えば、ディスプレイ、プリンタ及びプロッタの少なくとも1つを含んで構成されている。
補助記憶装置103は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。補助記憶装置103には、コンピュータ100を検出距離導出部30として機能させるための検出距離導出プログラム120が記憶されている。
CPU101は、検出距離導出プログラム120を補助記憶装置103から読み出して主記憶装置102に展開し、検出距離導出プログラム120が有する各処理を順次実行する。検出距離導出プログラム120を実行したコンピュータ100が、検出距離導出部30として機能する。なお、検出距離導出プログラム120により実現される機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体集積回路によって実現することも可能である。コンピュータ100は、X線分析装置1の全体の動作制御を行う制御部としても機能する。
以下に、検出距離導出部30が、検出距離を導出する動作について説明する。以下の説明では、サンプルステージ15と2次元検出器20との距離を検出距離として導出する場合について説明する。この場合、サンプルステージ15を、開示の技術における試料とみなすことができる。
検出距離導出部30による検出距離の導出処理に先立って、検出器ステージ17を稼働させ、検出距離を任意の距離に設定した後、X線分析装置1において半割調整を行う。半割調整とは、試料表面(ここではサンプルステージ15の表面)の回転中心を、X線源10から出射されたX線ビームの中央に配置するとともに、試料表面をX線ビームと平行となるようにアライメントをとる処理である。半割調整が完了した後、X線源10からX線を出射し、2次元検出器20においてX線回折像を取得する。図4は、2次元検出器20によって取得されたX線回折像の一例を示す図である。図4において横方向が回折角2θに対応する方向である。検出距離導出部30は、2次元検出器20によって取得されたX線回折像に基づいて検出距離を導出する。
図5は、CPU101が、検出距離導出プログラム120を実行することで実施される処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1において、CPU101は、2次元検出器20から出力されたX線回折像に基づいて、検出距離を仮定した互いに異なる複数の仮定距離の各々について、回折プロファイルを生成する。
例えば、検出距離Dの調整可能範囲における最小値がd1、最大値がd2である場合(d1≦D≦d2)、d1からd2までの距離をn等分した各距離を、仮定距離として設定してもよい。すなわち、m=(d2-d1)/nとすると、d1、d1+m、d1+2m、d1+3m、・・・、d2が、それぞれ、仮定距離として設定される。なお、ユーザが、仮定距離の上下限値及び仮定距離の設定間隔(n)を、入力装置105を介して指定してもよい。また、ユーザが、複数の仮定距離を、入力装置105を介して直接指定してもよい。
回折プロファイルは、横軸に回折角2θをとり、縦軸にX線の強度をとった座標平面上に表されるプロファイルであり、2次元検出器20から出力されるX線回折像に基づいて作成することが可能である。図1に示すように、検出距離の想定が異なると、得られる回折プロファイルが変化する。ステップS1では、検出距離を仮定した互いに異なる複数の仮定距離の各々について、回折プロファイルが生成される。なお、本実施形態において、回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートとして、予め定められたサンプリングレートを適用してもよい。また、回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートを、ユーザが入力装置105を介して直接指定してもよい。なお、回折プロファイルにおけるサンプリングレートとは、回折プロファイルにおけるX軸(回折角2θ)方向におけるデータ密度である。
ステップS2において、CPU101は、ステップS1において生成した仮定距離毎の回折プロファイルに基づいて、仮定距離とX線強度の最大値との関係をプロットしたプロットデータを生成する。図6は、本ステップにおいて生成されるプロットデータの一例を示す図である。CPU101は、仮定距離毎の回折プロファイルからX線強度の最大値をそれぞれ導出し、横軸に仮定距離をとり、縦軸にX線強度の最大値をとった座標平面上に、導出した最大値をプロットすることでプロットデータを生成する。
ステップS3において、CPU101は、予め定められた関数を用いて、ステップS2において生成されたプロットデータに対するフィッティングを行うことで、プロットデータにフィットするカーブを導出する。フィッティングに用いる関数としてローレンツ関数を好適に用いることができる。また、ローレンツ関数とガウス関数とを足し合わせたフォークト関数を用いてもよい。図7は、図6に示すプロットデータに対して、ローレンツ関数を用いてフィッティングを行うことで導出されたカーブの一例を示す図である。
ステップS4において、CPU101は、ステップS3において導出されたカーブの頂点Tに対応する仮定距離dmaxを、検出距離Dとして導出する。図7には、カーブの頂点に対応する仮定距離dmax(検出距離D)として1157.52mmが導出された場合が、例示されている。
本発明者らの鋭意研究により、回折プロファイルにおけるX線強度の最大値は、実際の検出距離に最も近い距離を仮定距離とした回折プロファイルにおいて最大となることが判明している。従って、検出距離導出部30として機能するコンピュータ100が、上記の処理を実施することで、検出距離を正確に導出することができる。
その後、2次元検出器20の位置を維持したまま、サンプルステージ15に試料を搭載し、改めて、半割調整を実施した後、試料にX線を照射して回折プロファイルを取得する。この回折プロファイルの取得に際しては、ステップS4において導出された検出距離Dを用いることで、歪みのない適正な回折プロファイルを得ることができる。なお、サンプルステージ15に試料を搭載した後に改めて半割調整を行うことで、試料を搭載しないサンプルステージ15の表面にX線を照射して得られる回折プロファイルに基づいて導出した検出距離をそのまま使用することが可能である。これは、サンプルステージ15に試料を搭載した後に改めて行われる半割調整により、試料の表面の位置が、検出距離を導出したときのサンプルステージ15の表面に相当する位置にアライメントされるからである。
以上のように、開示の技術の実施形態に係るX線分析装置1によれば、検出距離を正確に導出することが可能となる。従って、回折プロファイルの生成を、正確な検出距離に基づいて行うことができるので、歪みのない適正な回折プロファイルを得ることができる。また、検出距離は、2次元検出器20の出力に基づいて導出されるので、レーザ測定器等の検出距離を測定するための機構が不要であり、装置規模の増大を抑制することができる。
[第2の実施形態]
本発明者らは、図5に示すフローチャートのステップS1において、複数の仮定距離毎の回折プロファイルを作成する際のサンプリングレートが、高すぎたり、低すぎたりすると、ステップS4において導出される検出距離の精度が低下することを見出した。すなわち、ステップS1において、複数の仮定距離毎の回折プロファイルを作成する際のサンプリングレートには最適範囲が存在する。
図8は、図5に示すフローチャートのステップS1において取得される複数の仮定距離毎の回折プロファイルのサンプリングレートと、図5に示すフローチャートのステップS4において導出される検出距離との関係の一例を示す図である。図8に示すように、回折プロファイルのサンプリングレートが特定の範囲にある場合に、ステップS4において導出される検出距離は、真値に略一致する。一方、回折プロファイルのサンプリングレートが、上記特定の範囲から外れると、ステップS4において導出される検出距離は、真値から乖離する。
図9は、サンプリングレートを変化させて生成した回折プロファイルの一例を示す図である。図9には、サンプリングレートが低すぎる場合、高すぎる場合、適切である場合の3つの場合が示されている。図9に示すように、サンプリングレートが低すぎる場合、回折プロファイルに歪みが生じる。一方、サンプリングレートが高すぎる場合、X線強度のばらつきが大きくなる。このように、回折プロファイルに歪みが生じ、またはX線強度のばらつきが大きくなると、図5に示すフローチャートのステップS2において取得されるプロットデータにおける各プロットの配列が乱れる結果となる。
図10A及び図10Bは、それぞれ、図5に示すフローチャートのステップS2において取得されるプロットデータの一例を示す図である。図10Aは、サンプリングレートが低すぎる場合を示しており、図10Bは、サンプリングレートが高すぎる場合を示している。図10A及び図10Bに示すように、サンプリングレートが高すぎたり、低すぎたりすると、プロットデータにおける各プロットの配列に乱れを生じる。このように、プロットデータにおける各プロットの配列が乱れると、関数を用いたカーブフィッティングにおいて誤差が大きくなり、導出される検出距離の精度が低下する。
そこで、開示の技術の第2の実施形態に係るX線分析装置1は、検出距離導出部30が、検出距離の導出に先立って、回折プロファイルのサンプリングレートの最適値を導出する。
図11は、開示の技術の第2の実施形態に係る検出距離導出部30として機能するコンピュータ100Aの構成の一例を示す図である。コンピュータ100Aの補助記憶装置103には、検出距離導出プログラム120に加え、回折プロファイルのサンプリングレートの最適値を導出するための最適値導出プログラム121が記憶されている。
以下に、検出距離導出部30が、検出距離の導出に先立って、回折プロファイルのサンプリングレートの最適値を導出する動作について説明する。図12は、CPU101が、最適値導出プログラム121を実行することで実施される処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS11において、CPU101は、2次元検出器20から出力されたX線回折像に基づいて、互いに異なる複数の仮定距離毎に回折プロファイルを生成する処理を、サンプリングレートが互いに異なる複数の条件で実施する。すなわち、互いに異なる複数の仮定距離の各々について、サンプリングレートが互いに異なる複数の回折プロファイルを生成する。
ステップS12において、CPU101は、ステップS11において生成した複数の回折プロファイルに基づいて、サンプリングレート毎に検出距離を導出する。検出距離の導出は、図5に示すフローチャートのステップS2~S4における処理と同様の処理を実施することによって行う。上記のように、回折プロファイルのサンプリングレートが異なると、プロットデータにおける各プロットの配列が変化し、プロットデータに基づいて導出される検出距離が変化する。
ステップS13において、CPU101は、ステップS12において導出したサンプリングレート毎の検出距離に基づいて、サンプリングレートと検出距離との関係を示すグラフを作成する。すなわち、CPU101は、サンプリングレートと検出距離との関係を、図8に示すような、横軸にサンプリングレートをとり、縦軸に検出距離をとった座標平面上に表したグラフを生成する。
ステップS14において、CPU101は、ステップS13において生成したグラフにおいて、プラトー領域を特定する。ここでいうプラトー領域とは、ステップS13において生成したグラフにおいて、サンプリングレートの変化に対する検出距離の変化が比較的小さい領域である。プラトー領域は、例えば、ステップS13において生成したグラフにおいて、互いに隣接するプロット間における検出距離の差分の絶対値が所定値以下となる連続した領域を探索することで特定することができる。例えば、図8に示すグラフにおいては、図中点線で囲む領域が、プラトー領域として特定される。
ステップS15において、CPU101は、ステップS14において特定したプラトー領域の中央に対応するサンプリングレートの値を、サンプリングレートの最適値として導出する。図8に示すように、開示の技術を用いて導出される検出距離は、プラトー領域において真値に最も近くなる。従って、サンプリングレートと検出距離との関係を示すグラフのプラトー領域を特定することで、サンプリングレートの最適範囲または最適値を導出することができる。
CPU101は、サンプリングレートの最適値を導出した後、検出距離導出プログラム120を実行することで、検出距離を導出する。CPU101は、図5に示すフローチャートのステップS1において、サンプリングレートを、最適値導出プログラム121を実行することで導出した最適値に設定し、回折プロファイルを導出する。
開示の技術の第2の実施形態に係るX線分析装置によれば、回折プロファイルのサンプリングレートが最適値に設定されるので、より精度の高い検出距離を導出することが可能となる。
なお、本実施形態では、サンプリングレートと検出距離との関係を示すグラフのプラトー領域の中央に対応するサンプリングレートの値をサンプリングレートの最適値として導出する場合を例示したが、この態様に限定されるものではない。例えば、検出距離導出部30として機能するコンピュータ100が、プラトー領域に対応するサンプリングレートの範囲を、サンプリングレートの最適範囲として導出し、これを出力装置106から出力してもよい。この場合、ユーザが、出力された最適範囲を考慮して、サンプリングレートの最適値を決定してもよい。
以上の第1及び第2の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
試料に照射され回折を生じたX線の強度を検出する複数の検出素子が単一の面内に配列された2次元検出器と、
前記2次元検出器と前記試料との間の距離である検出距離を変化させる距離可変機構と、
前記2次元検出器によって検出されたX線の強度に基づいて、前記検出距離を導出する検出距離導出部と、
を含むX線分析装置。
(付記2)
前記検出距離導出部は、
前記2次元検出器の出力に基づいて、前記検出距離を仮定した互いに異なる複数の仮定距離の各々について、X線の回折角とX線の強度との関係を示す回折プロファイルを生成し、
前記複数の仮定距離の各々について生成した前記回折プロファイルに基づいて、前記複数の仮定距離の各々についてX線の強度の最大値を導出し、
前記複数の仮定距離のうち、X線の強度の最大値が最大となる仮定距離を、前記検出距離として導出する
付記1に記載のX線分析装置。
(付記3)
前記検出距離導出部は、
前記複数の仮定距離の各々について生成した前記回折プロファイルに基づいて、前記仮定距離とX線の強度の最大値との関係をプロットしたプロットデータを生成し、
前記プロットデータに対して所定の関数によるフィッティングを行うことで、前記プロットデータにフィットするカーブを導出し、
前記カーブの頂点に対応する仮定距離を、前記検出距離として導出する
付記2に記載のX線分析装置。
(付記4)
前記検出距離導出部は、前記回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートの設定値の入力を受け付け、前記設定値に応じたサンプリングレートにて前記回折プロファイルを生成する
付記2または付記3に記載のX線分析装置。
(付記5)
前記検出距離導出部は、前記回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートの最適値を導出し、前記最適値に応じたサンプリングレートにて前記回折プロファイルを生成する
付記2または付記3に記載のX線分析装置。
(付記6)
前記検出距離導出部は、前記回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートの最適範囲を導出する
付記2または付記3に記載のX線分析装置。
(付記7)
試料に照射され回折を生じたX線の強度を検出する複数の検出素子が単一の面内に配列された2次元検出器と、前記2次元検出器と前記試料との間の距離である検出距離を変化させる検出距離調整機構と、を含むX線分析装置を用いて前記試料の分析を行う分析方法であって、
前記2次元検出器によって検出されたX線の強度に基づいて、前記検出距離を導出し、
導出した前記検出距離に基づいて、X線の回折角とX線の強度との関係を示す回折プロファイルを生成する
分析方法。
(付記8)
前記2次元検出器の出力に基づいて、前記検出距離を仮定した互いに異なる複数の仮定距離の各々について、前記回折プロファイルを生成し、
前記複数の仮定距離の各々について生成した前記回折プロファイルに基づいて、前記複数の仮定距離の各々についてX線の強度の最大値を導出し、
前記複数の仮定距離のうち、X線の強度の最大値が最大となる仮定距離を、前記検出距離として導出する
付記7に記載の分析方法。
(付記9)
前記複数の仮定距離の各々について生成した前記回折プロファイルに基づいて、前記仮定距離とX線の強度の最大値との関係をプロットしたプロットデータを生成し、
前記プロットデータに対して所定の関数によるフィッティングを行うことで、前記プロットデータにフィットするカーブを導出し、
前記カーブの頂点に対応する仮定距離を、前記検出距離として導出する
付記8に記載の分析方法。
(付記10)
前記回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートの設定値の入力を受け付け、前記設定値に応じたサンプリングレートにて前記回折プロファイルを生成する
付記8または付記9に記載の分析方法。
(付記11)
前記回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートの最適値を導出し、前記最適値に応じたサンプリングレートにて前記回折プロファイルを生成する
付記8または付記9に記載の分析方法。
1 X線分析装置
10 X線源
11 2θステージ
12 ωステージ
13 χステージ
14 φステージ
15 サンプルステージ
16 2θアーム
17 検出器ステージ
18 載置台
19 リンク部
20 2次元検出器
30 検出距離導出部
100、100A コンピュータ
101 CPU
102 主記憶装置
103 補助記憶装置
104 インターフェース
105 入力装置
106 出力装置
120 検出距離導出プログラム
121 最適値導出プログラム

Claims (6)

  1. 試料に照射され回折を生じたX線の強度を検出する複数の検出素子が単一の面内に配列された2次元検出器と、
    前記2次元検出器と前記試料との間の距離である検出距離を変化させる距離可変機構と、
    前記2次元検出器から出力されたX線回折像に基づいて、前記X線回折像を取得する際に設定された前記検出距離を導出する検出距離導出部と、
    を含み、
    前記検出距離導出部は、前記X線回折像に基づいて、前記X線回折像を取得する際に設定された前記検出距離を仮定した互いに異なる複数の仮定距離の各々について、X線の回折角とX線の強度との関係を示す回折プロファイルを生成し、
    前記複数の仮定距離の各々について生成した前記回折プロファイルに基づいて、前記複数の仮定距離の各々についてX線の強度の最大値を導出し、
    前記複数の仮定距離のうち、X線の強度の最大値が最大となる仮定距離を、前記検出距離として導出する
    X線分析装置。
  2. 前記検出距離導出部は、
    前記複数の仮定距離の各々について生成した前記回折プロファイルに基づいて、前記仮定距離とX線の強度の最大値との関係をプロットしたプロットデータを生成し、
    前記プロットデータに対して所定の関数によるフィッティングを行うことで、前記プロットデータにフィットするカーブを導出し、
    前記カーブの頂点に対応する仮定距離を、前記検出距離として導出する
    請求項に記載のX線分析装置。
  3. 前記検出距離導出部は、前記回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートの設定値の入力を受け付け、前記設定値に応じたサンプリングレートにて前記回折プロファイルを生成する
    請求項または請求項に記載のX線分析装置。
  4. 前記検出距離導出部は、前記回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートの最適値を導出し、前記最適値に応じたサンプリングレートにて前記回折プロファイルを生成する
    請求項または請求項に記載のX線分析装置。
  5. 前記検出距離導出部は、前記回折プロファイルを生成する際のサンプリングレートの最適範囲を導出する
    請求項または請求項に記載のX線分析装置。
  6. 試料に照射され回折を生じたX線の強度を検出する複数の検出素子が単一の面内に配列された2次元検出器と、前記2次元検出器と前記試料との間の距離である検出距離を変化させる検出距離調整機構と、を含むX線分析装置を用いて前記試料の分析を行う分析方法であって、
    前記2次元検出器から出力されたX線回折像に基づいて、前記X線回折像を取得する際に設定された前記検出距離を仮定した互いに異なる複数の仮定距離の各々について、X線の回折角とX線の強度との関係を示す回折プロファイルを生成し、
    前記複数の仮定距離の各々について生成した前記回折プロファイルに基づいて、前記複数の仮定距離の各々についてX線の強度の最大値を導出し、
    前記複数の仮定距離のうち、X線の強度の最大値が最大となる仮定距離を、前記検出距離として導出し、
    導出した前記検出距離に基づいて、X線の回折角とX線の強度との関係を示すプロファイルを導出する
    分析方法。
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