以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る印刷装置の概要について図1を参照して説明する。図1は同装置の概略説明図である。
印刷装置1は、搬入部100と、印刷部200と、乾燥部300と、搬出部400とを備えている。印刷装置1は、搬入部100から搬入される被搬送部材であるシート材Pに対し、印刷部200で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部300でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部400に排出する。
搬入部100は、複数のシート材Pが積載される搬入トレイ110と、搬入トレイ110からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置120と、シート材Pを印刷部200へ送り込むレジストローラ対130とを備えている。
給送装置120には、ローラやコロを用いた装置や、エア吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置120により搬入トレイ110から送り出されたシート材Pは、その先端がレジストローラ対130に到達した後、レジストローラ対130が所定のタイミングで駆動することにより、印刷部200へ送り出される。
印刷部200は、シート材Pを外周面に担持して搬送する担持ドラム210と、担持ドラム210に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体を付与する手段である液体吐出部220とを備えている。また、印刷部200は、送り込まれたシート材Pを受け取って担持ドラム210へ渡す渡し胴201と、担持ドラム210によって搬送されたシート材Pを乾燥部300へ受け渡す受け渡し胴202を備えている。
搬入部100から印刷部200へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴201の表面に設けられたシートグリッパによって先端が把持され、渡し胴201の回転に伴って搬送される。渡し胴201により搬送されたシート材Pは、担持ドラム210との対向位置で担持ドラム210へ受け渡される。
担持ドラム210の表面にもシートグリッパが設けられており、シート材Pの先端がシートグリッパによって把持される。担持ドラム210の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されており、各吸引孔には吸引装置211によって担持ドラム210の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。
そして、渡し胴201から担持ドラム210へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸い込み気流によって担持ドラム210の表面に吸着され、担持ドラム210の回転に伴って搬送される。
液体吐出部220は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色の液体を吐出して画像を印刷するものであり、液体の色ごとに個別の液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kを備えている。なお、必要に応じて、白色、金色、銀色などの特殊な液体を吐出する液体吐出ヘッド、表面コート液などの処理液を吐出する液体吐出ヘッドを設けることもできる。
液体吐出部220の液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kは、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。担持ドラム210に担持されたシート材Pが液体吐出部220との対向領域を通過するときに、液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kから各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
乾燥部300は、印刷部200でシート材P上に付着した液体を乾燥させるための乾燥機構部301と、印刷部200から搬送されてくるシート材Pを吸引した状態で搬送する(吸引搬送する)吸引搬送機構部302とを備えている。
印刷部200から搬送されてきたシート材Pは、吸引搬送機構部302に受け取られた後、乾燥機構部301を通過するように搬送され、搬出部400へ受け渡される。
乾燥機構部301を通過するとき、シート材P上の液体には乾燥処理が施される。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
搬出部400は、複数のシート材Pが積載される排出トレイ410を備えている。乾燥部300から搬送されてくるシート材Pは、排出トレイ410上に順次積み重ねられて保持される。
なお、印刷装置1には、例えば、シート材Pに対して前処理を行う前処理部を印刷部200の上流側に配置したり、液体が付着したシート材Pに対して後処理を行う後処理部を乾燥部300と搬出部400との間に配置したりすることもできる。
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液をシート材Pに塗布する先塗り処理を行うものが挙げられる。また、後処理部としては、例えば、印刷部200で印刷されたシートを反転させて再び印刷部200へ送ってシート材Pの両面に印刷するためのシート反転搬送処理や、複数枚のシートを綴じる処理などを行うものが挙げられる。
また、本願における「印刷装置」は、インクジェット記録装置に限らず、シート材の被乾燥面に向けて液体を吐出する液体吐出ヘッドを備え、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではなく、例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するものも含まれる。
また、「シート材」は、材質を限定されるものではなく、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど、液体が一時的でも付着可能なものであればよく、例えば、フィルム製品、衣料用等の布製品、壁紙や床材等の建材、皮革製品などに使用されるものであってもよい。
また、「印刷装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液等の用途で用いることができる。
また、「印刷装置」は、液体吐出ヘッドとシート材とが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体吐出ヘッド」とは、吐出孔(ノズル)から液体を吐出・噴射する機能部品である。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどの吐出エネルギー発生手段を使用することができるが、使用する吐出エネルギー発生手段が限定されるものではない。
次に、本発明の第1実施形態における搬送装置である乾燥部について図2及び図3を参照して説明する。図2は同乾燥部のシート材搬送方向に沿う断面説明図、図3は同乾燥部のシート材搬送方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
乾燥部300は、本発明に係る搬送装置を構成し、乾燥機構部301と吸引搬送手段である吸引搬送機構部302とを備えている。
乾燥機構部301は、吸引搬送機構部302によって搬送されるシート材Pに向けて送風する送風手段である送風ファン311と、輻射熱(例えば、赤外線)を放射する発熱手段である輻射ヒータ312とを備えている。これらの送風ファン311及び輻射ヒータ312は、送風ファン311により送風される送風領域の周囲を囲う乾燥チャンバ313内に配置されている。
乾燥チャンバ313は、少なくとも一部が断熱材で形成されており、乾燥チャンバ313の内部温度が下がりにくいように構成されている。
乾燥機構部301では、乾燥チャンバ313の内部空間へ搬送されてくるシート材Pの液体付与面に対し、輻射ヒータ312による輻射熱と、送風ファン311による送風(空気の吹付け)とによって、シート材Pの液体を乾燥させる。
なお、ここでは、複数の送風ファン311がシート材搬送方向に並んで配置された構成としているが、送風ファン311の数や配置はこれに限定されない。また、複数の輻射ヒータ312がシート材搬送方向に並んで配置された構成としているが、輻射ヒータ312の数や配置はこれに限定されない。
吸引搬送機構部302は、ベルト搬送機構部320と、吸引機構部330を備えている。
ベルト搬送機構部320は、支持ローラ322と支持ローラ323に掛け渡された支持部材としての無端のベルト状部材である搬送ベルト325を有している。搬送ベルト325は、支持ローラ322及び支持ローラ323のうちの少なくとも一方が駆動されることにより図中矢印Aの向きに周回移動する。
この搬送ベルト325の周回移動によって搬送ベルト325の表面に担持されたシート材Pが被搬送部材の搬送方向であるシート材搬送方向に搬送される。シート材搬送方向に対して直交する方向(幅方向)における搬送ベルト325の長さは、搬送されるシート材Pの幅方向長さ以上に設定されている。
搬送ベルト325は、複数の微小な貫通孔(吸引孔)が分散して開口した通気性を有する部材である。
搬送ベルト325は、シート材搬送方向の上流側部分が印刷部200の受け渡し胴202に対向するように配置されている。受け渡し胴202によって搬送されてきたシート材Pは、搬送ベルト325へ受け渡され、搬送ベルト325の表面上に担持される。そして、搬送ベルト325の表面に担持されたシート材Pは、搬送ベルト325の周回移動に伴って、第2支持ローラ323側へと移動する。
搬送ベルト325の支持ローラ322から支持ローラ323に向けて移動するベルト部分(正搬送部分)は、乾燥機構部301の乾燥チャンバ313の内部を通るように配置されている。
したがって、搬送ベルト325の表面上に担持されたシート材Pは、搬送ベルト325の周回移動に伴って、乾燥機構部301の乾燥チャンバ313の内部を通過し、その後、搬送ベルト325の表面から離れ、ガイド板や搬送ローラなどを介して搬出部400へと受け渡される。
吸引機構部330は、吸引チャンバ341と、吸引チャンバ341内の空気を吸引する吸引手段340とを備えている。
吸引手段340の吸引によって吸引チャンバ341の内部空間が負圧状態になることで、吸引チャンバ341の上方に吸引チャンバ341の内部へ向かう吸い込み気流を発生させる。この吸い込み気流により、搬送ベルト325の内周面(裏面)は吸引チャンバ341の上部に接触された状態となり、搬送ベルト325は吸引チャンバ341の上部と接触しながら移動する。
また、吸引チャンバ341の上部に生じる吸い込み気流により、搬送ベルト325に形成されている吸引孔にも吸い込み気流が発生する。これにより、受け渡し胴202によって搬送ベルト325の表面上に受け渡されたシート材Pは、吸い込み気流によって搬送ベルト325の表面上に吸着される。
そして、搬送ベルト325の周回移動に伴って、乾燥機構部301の乾燥チャンバ313の内部を通過した後、搬送ベルト325の表面から離れ、搬出部400へと受け渡される。
搬送ベルト325の材料には、金属やゴムなどを使用することが可能であり、その材料に特に制限はない。ただし、本実施形態では、乾燥チャンバ313の内部を通過する際に高温に曝されることを考慮して、耐熱性のある材料(耐熱性のゴムや金属など)であることが好ましい。
なお、シート材Pは、吸引機構部330により発生する吸い込み気流による吸引力によって搬送ベルト325の表面に吸着され、搬送ベルト325の周回移動に伴って搬送されるが、支持部材の表面に対してシートが相対移動するようにシートを搬送する搬送部材を設けてもよい。
例えば、シートグリッパによってシート材Pの先端を把持して支持部材の表面に沿って搬送する搬送部材や、シート材Pに搬送力を付与して支持部材上を移動させる搬送部材などを設けても良い。このシートグリッパを使用した実施形態については、後に詳細に説明する。
ここで、支持部材が通気構造を有することによる作用効果について図4及び図5も参照して説明する。図4及び図5は比較例1の説明に供する斜視説明図である。
本実施形態においては、送風ファン311により送風される送風領域内である乾燥チャンバ313内にシート材Pが進入する前に、送風領域内に存在する搬送ベルト325の表面に送風ファン311からの風が吹きつけられる。
このとき、仮に、支持部材が図4に示すように非通気構造をもつ平ベルト321である場合、平ベルト321の表面に当たった気流が平ベルト321の表面に沿って進み、図4に示すように、シート材搬送方向上流側から送風領域内へ進入してくるシート材Pの先端部に向かう気流F1を生じさせる。
このような気流F1は、シート材Pが送風領域内へ進入する前のシート材Pの先端部を捲り上げ、シート材Pの先端部が乾燥チャンバ313の外壁などの周囲の部材に引っ掛かったり、平ベルト321からシート材Pが剥離したりするなどして、搬送不良を生じさせるおそれがある。
また、図4に示すように、シート材搬送方向上流側から送風領域内へ進入してくるシート材Pの搬送方向に直交する方向に向かう気流F1aも生じさせる。このような気流F1aは、シート材Pが送風領域内へ進入した後にシート両端部を平ベルト321から剥離させたり、シート材Pの両端部が乾燥チャンバ313の内壁などの周囲の部材に引っ掛かったりして、搬送不良を生じさせるおそれがある。
これに対し、本実施形態においては、支持部材が通気構造をもつ搬送ベルト325であることから、搬送ベルト325の表面に当たった風は、搬送ベルト325の吸引孔を通過して搬送ベルト325の裏面側へ抜けることができる。
したがって、シート材搬送方向上流側から送風領域内へ進入してくるシート材Pの先端部に向かう気流F1、F1aの勢いが小さくなり、シート材Pの先端部の捲れ上がりが抑制される。その結果、シート材Pの先端部が乾燥チャンバ313の内壁などの周囲の部材に引っ掛かるなどの搬送不良が抑制され、安定したシート搬送性が得られる。
また、送風領域は乾燥チャンバ313によって囲まれている。乾燥チャンバ313には、図2に示すように、シート材搬送方向上流側から乾燥チャンバ313の内部へシート材Pを受け入れるためのシート受入口313aと、乾燥チャンバ313の内部からシート材搬送方向下流側へシート材Pを排出するシート排出口313bとが設けられている。
そのため、送風ファン311の送風によって生じた気流F1が、乾燥チャンバ313の内部からシート受入口313aを通じて外部へ向かって強く吹き出しやすい構造となっている。したがって、乾燥チャンバ313のシート受入口313aから進入する前のシート材Pの先端部には、シート受入口313aから吹き出す強い気流F1が当たり、シート材Pの先端部が捲れ上がりやすい。
そこで、本実施形態においては、乾燥チャンバ313のシート受入口313aのシート材搬送方向上流側から下流側にかけてシート材Pを搬送ベルト325の表面に吸着できるように、吸引機構部330を配置している。
これにより、シート材Pの先端部がシート受入口313aを通過するまで、シート材Pの先端部が搬送ベルト325の表面に継続して吸着され、シート受入口313aから強い気流F1が吹き出しても、シート材Pの先端部の捲れ上がりが安定して抑制される。
また、シート材Pの先端部が乾燥チャンバ313内の送風領域内に進入した後においては、シート材Pの先端部は、送風ファン311からの気流によって搬送ベルト325の表面に押さえ付けられる。したがって、送風領域内では、シート材Pの先端部の捲れ上がりが起きにくいので、必ずしも吸引機構部330によってシート材Pの先端部を吸着させる必要はない。
しかしながら、乾燥チャンバ313の内部を送風領域としていることで、送風領域内でシート材Pの先端部が捲れ上がってしまうと、搬送不良によって乾燥チャンバ313の内部にシート材Pが残留してしまうおそれがある。また、送風領域内でシート材Pの後端部が捲れ上がる場合もあり、その場合も、搬送不良によって乾燥チャンバ313の内部にシート材Pが残留してしまうおそれがある。
乾燥チャンバ313の内部は開口部の少ない空間であるので、内部から搬送不良のシート材Pを取り出す作業が面倒になる。したがって、可能な限り、乾燥チャンバ313の内部で搬送不良が生じることを避ける必要がある。また、乾燥チャンバ313の内部に輻射ヒータ312のような発熱手段を配置した場合には、シート材Pが発熱手段に接触することを回避することが好ましい。
そこで、乾燥チャンバ313の内部(送風領域内)でも吸引機構部330によってシート材Pの先端部や後端部が継続的に搬送ベルト325に吸引される構成としている。
これにより、乾燥チャンバ313の内部でもシート材Pの先端部や後端部が捲れ上がることが安定して抑制され、乾燥チャンバ313の内部にシート材Pが残留したり、発熱手段にシート材Pが接触したりすることが抑制される。
また、乾燥チャンバ313の内部(送風領域内)で吸引機構部330によりシート材Pが搬送ベルト325に吸着される構成とすることで、そのシート材Pの角が折れたりシワが生じたりしていても、そのシート材Pを搬送ベルト325によって安定して搬送することができる。
これにより、折れが乾燥チャンバ313の内部の部品に引っ掛かったり、シワによってシート材Pと搬送ベルト325との密着性が低下したりして発生し得る搬送不良が、乾燥チャンバ313の内部で起きにくい。したがって、シート材Pに折れやシワが生じていても、乾燥チャンバ313の内部にシート材Pが残留することを抑制できる。
また、送風ファン311により送風される送風領域内をシート材Pが通過した後においても、送風領域内に存在する搬送ベルト325の表面に送風ファン311からの風が当たる。
このとき、仮に、図5に示すように、支持部材が非通気構造をもつ平ベルト321である場合、その平ベルト321の表面に当たった気流が平ベルト321の表面に沿って進み、送風領域内からシート材搬送方向下流側へ抜けたシート材Pの後端部に向かう気流F2を生じさせる。このような気流F2は、送風領域内を抜けたシート材Pの後端部を捲り上げ、平ベルト321からシート材Pが剥離したりするなどして、搬送不良を生じさせるおそれがある。
また、図5に示すように、送風領域からシート材搬送方向下流側に移動するシート材Pの搬送方向に直交する方向に向かう気流F2aも生じさせる。このような気流F2aは、シート材Pが送風領域内へ進入した後にシート両端部を平ベルト321から剥離したり、シート両端部が乾燥チャンバ313の外壁などの周囲の部材に引っ掛かったり、などして、搬送不良を生じさせるおそれがある。
これに対し、支持部材として通気性を有する搬送ベルト325を使用することで、搬送ベルト325の表面に当たった気流は、搬送ベルト325の吸引孔を通過して搬送ベルト325の裏面側へ抜けることができる。
したがって、送風領域内からシート材搬送方向下流側へ抜けるシート材Pの後端部に向かう気流F2、F2aの勢いが小さくなり、シート材Pの後端部の捲れ上がりが抑制され、安定したシート搬送性が得られる。
また、シート受入口313aからの気流F1の吹き出しと同様、送風ファン311の送風によって生じた気流F2、F2aが、乾燥チャンバ313の内部からシート排出口313bやシート材Pの搬送方向と直交するシート両端部313cを通じて外部へ向かって強く吹き出しやすい。その結果、乾燥チャンバ313のシート排出口313bを抜けたシート材Pの後端部には、シート排出口313bから吹き出す強い気流F2、F2aが当たり、シート材Pの後端部が捲れ上がりやすい。
そこで、乾燥チャンバ313のシート排出口313bのシート材搬送方向上流側から下流側にかけてシート材Pを搬送ベルト325の表面に吸着できるように、吸引機構部330を配置している。
これにより、シート材Pの後端部がシート排出口313bを通過する前から通過した後もシート材Pの後端部が搬送ベルト325の表面に継続して吸着され、シート排出口313bから強い気流F2やF2aが吹き出しても、シート材Pの後端部の捲れ上がりが安定して抑制される。
なお、乾燥部300は、送風ファン311等の送風手段によりシート材Pに向けて送風を行うものであれば、必ずしも輻射ヒータ312等の発熱手段を設ける必要はない。ただし、より短時間で液体を乾燥させるうえでは発熱手段を設けることが好ましい。
発熱手段としては、輻射ヒータ312のように輻射熱を発生させるものに限られず、例えば、搬送ベルト325などのシート材Pに接触する部材からシート材Pへ伝達させる熱を発生させる手段であってもよい。また、乾燥チャンバ313の内部を昇温するための発熱手段であってもよく、この場合、送風ファン311により温風をシート材Pへ当てることができる。
送風ファン311には、ヒータが内蔵されており、そのヒータの温度、送風ファン311による風速や風量、送風ファン311と搬送ベルト325の表面との距離などの各種パラメータは、制御部によって設定変更可能に構成されている。
各種パラメータの設定値は、例えば、シート材Pの種類、シート材Pへのインク付着量、搬送ベルト325によるシート搬送速度等に応じて変更する。制御部は、例えば、印刷装置1に設けられる操作パネルによりオペレータが入力した入力情報に基づいて各種パラメータの設定値を変更してもよいし、あらかじめ記憶装置内に記憶されているデータやプログラム等を使用して各種パラメータの設定値を変更してもよい。また、各種パラメータは、オペレータによる手作業での調整も可能である。
輻射ヒータ312についても、出力波長などのパラメータが、シート材Pの種類、シート材Pへのインク付着量、搬送ベルト325によるシート搬送速度等に応じて設定変更可能に構成されている。
パラメータの設定変更については、送風ファン311のものと同様、例えば、印刷装置1に設けられる操作パネルによりオペレータが入力した入力情報に基づいて各種パラメータの設定値を変更してもよいし、あらかじめ記憶装置内に記憶されているデータやプログラム等を使用して各種パラメータの設定値を変更してもよい。また、オペレータによる手作業での調整も可能である。
また、搬送ベルト325は、その全体が乾燥チャンバ313に配置されているのではなく、その一部が乾燥チャンバ313の外部を通るように配置されている。
つまり、乾燥チャンバ313の内部は高温になるため、搬送ベルト325の全体が乾燥チャンバ313に配置されていると、搬送ベルト325が長期間高温に曝され、搬送ベルト325の最高到達温度が高まり、寿命が短くなる。
そこで、搬送ベルト325の一部が乾燥チャンバ313の外部を通るように配置することで、乾燥チャンバ313の外部を通るときに冷却でき、搬送ベルト325の最高到達温度を下げて寿命を長くすることが可能である。このとき、乾燥チャンバ313の外部で搬送ベルト325を冷却する冷却手段を設けても良い。この冷却手段には特に制限はないが、冷却ファンによる空冷方式が好ましい。
次に、第1実施形態における吸引搬送機構部の詳細について図6ないし図8も参照して説明する。図6は同吸引搬送機構部を含む乾燥部の斜視説明図、図7は同吸引搬送機構部を構成する吸引機構部の斜視説明図、図8は同吸引機構部の吸引チャンバの説明に供するシート材搬送方向と直交する方向の断面説明図である。
吸引機構部330は、搬送ベルト325によって囲まれたベルト内空間に配置される吸引チャンバ341と、吸引チャンバ341内を吸引する吸引手段340とを備えている。
吸引チャンバ341の上部には吸引口部材347が配置されている。吸引口部材347と搬送ベルト325との間(吸引口部材347の上側)を上チャンバ部341Aとし、吸引口部材347の下側を下チャンバ部341Bとする。
吸引口部材347は複数の吸引口347aを有している。吸引口部材347の下チャンバ部341B側(下面)には、複数の吸引口347aの出口側に、吸引口347a毎に吸引口347aを囲む出口側リブ347cが設けられている。
ここで、本実施形態において、「吸引口347aを囲む」とは、吸引口347aの四方が出口側リブ347cで囲われており、各吸引口347aが出口側リブ347cで区画されている構造であることを意味する。
なお、「入口側」は吸引を行っているときに吸引口347a内を流れる気流の流れの方向における上流側であり、「出口側」は吸引を行っているときに吸引口347a内を流れる気流の流れの方向における下流側である。
吸引手段340は、搬送ベルト325によって囲まれたベルト内空間の外側で、シート材搬送方向と直交する方向の側方に配置され、吸引チャンバ341の側方からチャンバ341内部を吸引する。
ここで、吸引手段340は、搬送ベルト325によって囲まれたベルト内空間の外側に配置される減圧チャンバ342と、減圧チャンバ342内を吸引する吸引装置350とを備えている。吸引チャンバ341と減圧チャンバ342とは接続通路としての連結ダクト343で接続されている。また、減圧チャンバ342と吸引装置350は吸引ダクト344で接続されている。
次に、このように構成した吸引搬送機構部302の作用について図9ないし図11も参照して説明する。図9は本実施形態の作用説明に供する説明図、図10は本実施形態における気流の状態の説明に供する説明図、図11は比較例3における気流の状態の説明に供する説明図である。
吸引機構部330の吸引装置350を作動させることにより、吸引ダクト344を介して減圧チャンバ342内を吸引することで減圧チャンバ342内が負圧状態になる。減圧チャンバ342内が負圧になることによって連結ダクト343を介して吸引チャンバ341内が吸引される。
吸引チャンバ341内が吸引されることにより、下チャンバ部341Bが吸引されて、上チャンバ部341A内の空気(気体)が吸引口347aを介して下チャンバ部341Bに吸い込まれる気流が発生する。
これにより、搬送ベルト325上にシート材Pがあるとき、上チャンバ部341A内の圧力が減圧されて、搬送ベルト325上にシート材Pが吸引されて吸着される。
ここで、搬送ベルト325上のシート材Pが、上チャンバ部341Aの上部を完全に塞ぐように担持されないサイズである場合、図9に矢印で示すように、上チャンバ部341Aのシート材Pによって塞がれていない部分から搬送ベルト325の吸引孔を介して空気が上チャンバ部341A内へ流入する。
そして、シート材Pによって塞がれない搬送ベルト325の吸引孔部分から上チャンバ部341A内へ流入した空気は、吸引口部材347の吸引口347aを通って下チャンバ部341Bへ流れ込み、吸引チャンバ341から吸い出されていくことになる。
このように、吸引手段340を作動させることにより、吸引口347aからの吸引が行われ、シート材Pが搬送ベルト325に吸着され、搬送ベルト325の周回移動によって搬送される。
そして、送風ファン311から吹き付けられた風は、シート材Pによって塞がれない搬送ベルト325の吸引孔部分から上チャンバ部341A、吸引口347a、下チャンバ部341Bに吸い込まれ、吸引チャンバ241から吸い出されていくことになる。
ここで、図10に示すように、吸引口部材347の下面には、吸引口347aの周囲を囲む出口側リブ347cが設けられている。これにより、上チャンバ部341Aから吸引口347aを通過して下チャンバ部341B内に流入した空気(風)aが整流される。
具体的には、下チャンバ部341Bの内部において、吸引口347aがあるところの気流a1と吸引口347aがないところの気流a2との流速差が小さくなり、気流aの乱れが起きにくくなる。
これにより、下チャンバ部341B内に流入した空気(風)が吸引口347aから上チャンバ部341Aに逆流してシート材Pを浮き上がらせるなどの搬送不良を抑えることができ、安定した搬送を行うことができる。
これに対し、図11に示す比較例3のように出口側リブを有していない構成にあっては、下チャンバ部341Bの内部において、吸引口347aがあるところの気流a1と吸引口347aがないところの気流a2との流速差が大きくなり、気流aの乱れが起きやすくなる。
そのため、下チャンバ部341B内に流入する気流aの一部が、気流bのように吸引口347aから上チャンバ部341Aに逆流し、シート材Pを浮き上がらせるなどの搬送不良を生じさせる。
このように、吸引口部材の吸引口の出口側に吸引口を囲む出口側リブが設けられていることで、安定した搬送を行うことができる。
なお、出口側リブが1つの吸引口を囲む例で説明しているが、出口側リブで2以上の吸引口を囲む構成とすることもできる。ただし、出口側リブで囲む吸引口の数が多くなると、出口側リブによる整流作用が低減するので、出口側リブで囲む吸引口の数は少ない方が好ましい。
次に、本発明の第2実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態における吸引機構部の吸引チャンバの説明に供するシート材搬送方向と直交する方向の断面説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態に構成において、吸引口部材347の複数の吸引口347aの入口側に、吸引口347a毎に吸引口347aを囲む入口側リブ347bが設けられている。
ここで、本実施形態において、「吸引口347aを囲む」とは、吸引口347aの四方が入口側リブ347bで囲われており、各吸引口347aが入口側リブ347bで区画されている構造であることを意味する。
これにより、搬送ベルト325の吸引孔を通じて上チャンバ部341A内に流入した空気が吸引口347aに流入するときに整流される。
したがって、送風ファン311から吹き付けられて搬送ベルト325の吸引孔を通過し、上チャンバ部341A内に流入した空気を、よりスムーズに吸引口347aを通過させて下チャンバ部341Bに流入させることができる。また、上チャンバ部341A内での気流の跳ね返りを抑制できて、搬送安定性が一層向上する。
次に、本発明の第3実施形態について図13ないし図15を参照して説明する。図13は同実施形態における吸引搬送機構部を構成する吸引機構部の斜視説明図、図14は同吸引機構部の吸引チャンバの説明に供するシート材搬送方向と直交する方向の断面説明図、図15は同じく吸引チャンバの拡大断面説明図である。
本実施形態では、前記第2実施形態の構成において、吸引チャンバ341内には、吸引口部材347の下側に、下チャンバ部341Bを形成し、複数の吸引口347aが共通に通じる共通吸引口345a、345bを有する共通吸引口部材345を配置している。なお、共通吸引口345a、345bにおける「共通」とは2以上の吸引口347aに通じるという意味であり、共通吸引口部材345における「共通吸引口」とは共通吸引口345a、345bを意味している。
共通吸引口部材345の複数の共通吸引口345a,345bは、シート材搬送方向に沿って長尺な長孔の貫通穴であり、シート材Pの幅方向両端端部にそれぞれ対向する位置で開口している。なお、ここでは、共通吸引口345a,345bの数が2つである例で説明しているが、1つ又は3つ以上とすることもできる。
共通吸引口部材345の共通吸引口345a,345bの開口面積は、吸引口部材347の吸引口347aの開口面積より大きくしている。
そして、共通吸引口部材345には仕切部材348を設けて、共通吸引口345aを接続通路としての連結ダクト343に通じさせる吸引通路351aと、共通吸引口345bを連結ダクト343に通じさせる吸引通路351bを設けている。
このように構成したので、吸引手段340を作動させることにより、図15に矢印で示すように、吸引口部材347とシート材Pとの間の空気が吸引口347aを通じて下チャンバ部341B内に流入する。また、送風ファン311から吹き付けられ、シート材Pによって塞がれない搬送ベルト325の吸引孔部分から上チャンバ部341A内に流入した空気も吸引口347aを通じて下チャンバ部341B内に流入する。
そして、下チャンバ部341B内へ流入した空気は、複数の共通吸引口345a,345bを介して、吸引通路351a、351bを通じて吸引手段340で吸い出される。
ここで、吸引手段340から共通吸引口345aまでの距離は共通吸引口345bまでの距離より短く、共通吸引口345aにおける吸引能力(単位時間当たりに吸引できる空気量)が共通吸引口345bにおける吸引能力よりも相対的に高くなる。
そこで、複数の共通吸引口345a,345bの各々から共通の連結ダクト343へ向かう各吸引通路351a、351bを形成する仕切部材348によって、吸引通路351a、351bの流体抵抗の差が小さくなるようにしている。
これにより、共通吸引口345aと共通吸引口345bとの間の吸引能力の差を小さくすることができる。
以上の第1ないし第3実施形態においては、搬送ベルト325と吸引口部材347との間に、搬送ベルト325を下支えする下支え部材349を配置している。この下支え部材349はロッド状部材であって、各実施形態では複数本の下支え部材349をシート材搬送方向に沿って配置している。
つまり、シート材Pのばたつきを抑制するうえでは搬送ベルト325の裏面と入口側リブ347bの上面とが接触しないこと好ましい。そこで、吸引口部材347と搬送ベルト325との間に、搬送ベルト325を下支えする下支え部材349を配置して、搬送ベルト325の裏面と入口側リブ347bとの接触を防止している。
ここで、前記第2実施形態及び第3実施形態のように、上チャンバ部341A内に入口側リブ347bを配置する場合、下支え部材349と入口側リブ347bは接触しない方が好ましい。
そこで、例えば図15に示すように、上チャンバ部341A内において、下支え部材349が入口側リブ347bと離間するように配置する。
これにより、下支え部材349に当たる送風ファン311からの気流が、下支え部材349の横をすり抜けやすくなり、シート材Pのばたつき(捲れ上がり)を抑える効果が低下することを低減できる。
なお、第1ないし第3実施形態においては、シート材搬送方向に延びる複数本の下支え部材349をシート幅方向に並べて配置しているが、下支え部材349の配置は特に限定されるものではない。また、下支え部材349はロッド状部材に限定されるものではなく、吸引を妨げない構造であれば、網目状部材などでもよい。
また、第1ないし第3実施形態においては、吸引口部材347が1つであるが、気流の流れ方向に複数段に吸引口部材347を配置することもできる。
また、第1ないし第3実施形態においては、搬送ベルト325のベルト内空間の外側に位置する減圧空間としての減圧チャンバ342が連結ダクト343を介して吸引チャンバ341に横方向(搬送ベルト325の裏面に略平行な方向であってシート材搬送方向に対して直交する方向)から接続されている。
これにより、搬送ベルト325のベルト内空間という限られた空間内に、減圧チャンバ342やこれに接続される吸引装置350を配置しない構成を実現できる。
また、第3実施形態においては、連結ダクト343は、複数の共通吸引口345a,345bが開口しているシート材搬送方向における範囲L(図13参照)にわたって吸引チャンバ341に開口している。
これにより、連結ダクト343が複数の共通吸引口345a,345bが開口しているシート材搬送方向の範囲Lの一部分のみで吸引チャンバ341に開口している場合よりも、シート材搬送方向における吸引ムラを低減することができる。
特に、第3実施形態のように連結ダクト343が吸引チャンバ341に開口するシート材搬送方向の範囲と、複数の共通吸引口345a,345bが開口しているシート材搬送方向の範囲Lとをほぼ同じ範囲に設定するのが好ましい。
次に、本発明の第4実施形態について図16を参照して説明する。図16は同実施形態における吸引口部材の異なる吸引口部分の断面説明図である。
吸引口部材347の入口側リブ347bは、断面形状において、吸引口347aに収束する方向に傾斜する壁面347b1(図16(a)の例)を有し、あるいは、湾曲する壁面347b2(図16(b)の例)を有している。
また、吸引口部材347の出口側リブ347cは、断面形状において、吸引口347aから拡散する方向に傾斜する壁面347c1(図16(a)の例)を有し、あるいは、湾曲する壁面347c2(図16(b)の例)を有している。
このように構成することで、吸引口347aと入口側リブ347b、出口側リブ347cとの間の段差をなくし、或いは、段差を小さくすることができ、空気の流れがよりスムーズになり、気流を安定させることができる。
次に、本発明の第5実施形態について図17を参照して説明する。図17は同実施形態における支持部材の斜視説明図である。
支持部材である搬送ベルト325Bは、線状部材が網目状になっているメッシュ状のベルト部材である。なお、多孔質部材で形成したベルト部材でもよい。
このような通気構造とすることで、送風ファン311からの気流が通り抜け易くなり、シート材Pの先端部に向かう気流の勢いが減少するため、シート材Pの先端部がバタつくことを抑制する効果が高い。また、シート材Pを安定的に保持することができる。
次に、本発明の第6実施形態について図18を参照して説明する。図18は同実施形態における支持部材の斜視説明図である。
支持部材325Cは、複数のワイヤ325Caを網目状に配置した部材である。
このような通気構造とすることで、送風ファン311からの気流が一層通り抜け易くなり、シート材Pの先端部がバタつくことを抑制する効果がより高くなる。しかも、支持部材325Cがシート材Pの裏面に接触する面積も小さくなるため、シート材Pの乾燥ムラを抑制する効果も高い。ただし、シート材Pを支持する支持面積が減ることによるシート材Pの撓みが発生しないように考慮する。
次に、本発明の第7実施形態について図19ないし図21を参照して説明する。図19は同実施形態における吸引搬送機構部を含む乾燥部の斜視説明図、図20は同じく側面説明図、図21は同じく側断面説明図である。
本実施形態では、搬送ベルト325を4本のローラ322、323、324、326に掛け回している。
この搬送ベルト325内の空間に、吸引機構部330を構成している吸引チャンバ341と、吸引機構部330を構成している吸引手段340の内の連結ダクト343、減圧チャンバ342を積み重ねる方向に配置している。
吸引チャンバ341の上部には吸引口部材347が配置されている。吸引口部材347と搬送ベルト325との間(吸引口部材347の上側)を上チャンバ部341Aとし、吸引口部材347の下側を下チャンバ部341Bとする。
吸引口部材347は複数の吸引口347aを有している。吸引口部材347の下チャンバ部341B側(下面)には、複数の吸引口347aの出口側に、吸引口347a毎に吸引口347aを囲む出口側リブ347cが設けられている。また、吸引口部材347の上チャンバ部341A側(上面)には、複数の吸引口347aの入口側に、吸引口347a毎に吸引口347aを囲む入口側リブ347bが設けられている。
そして、減圧チャンバ342に横方向(シート材搬送方向と直交する方向)から吸引ダクト344を接続し、減圧チャンバ342を吸引装置350に接続している。
ここで、連結ダクト343は、吸引チャンバ341内の複数の共通吸引口345a,345bに対向しない位置で吸引チャンバ341に接続されている。
これにより、連結ダクト343がいずれかの共通吸引口345a,345bに直接対向する位置で接続されている場合に比べて、共通吸引口345a,345b間の吸引能力の差を小さくすることができる。
特に、共通吸引口345a,345bと直接対向する位置の間におけるほぼ中間の位置で連結ダクト343が開口するように接続することで、共通吸引口345a,345b間の吸引能力の差をより小さくすることができる。
また、複数の共通吸引口345a,345bの各々から共通の連結ダクト343へ向かう各吸引通路間を仕切る仕切部材348を設けているので、仕切られた各吸引通路の流路断面積(流路方向に対して直交する断面積)を調整することが可能である。これにより、共通吸引口345aと共通吸引口345bとの間の吸引能力の差を更に小さくすることができる。
次に、本発明の第8実施形態について図22及び図23を参照して説明する。図22は同実施形態における吸引搬送機構部の側面説明図、図23は同じく吸引機構部の側面説明図である。
本実施形態では、搬送ベルト325のベルト内空間に吸引機構部330を配置している。吸引機構部330は、吸引チャンバ341と、この吸引チャンバ341に開口する共通吸引口345a~345dにそれぞれ配置した吸引手段としての軸流ファン352とを備えている。
吸引チャンバ341の上部には吸引口部材347が配置され、吸引口部材347は複数の吸引口347aを有している。そして、吸引口部材347の下面(軸流ファン352側)には、複数の吸引口347aの出口側に、吸引口347a毎に吸引口347aを囲む出口側リブ347cが設けられている。また、吸引口部材347の上面(搬送ベルト325側)には、複数の吸引口347aの入口側に、吸引口347a毎に吸引口347aを囲む入口側リブ347bが設けられている。
これにより、吸引チャンバ341内が軸流ファン352で直接吸引されることになる。
また、本実施形態では、軸流ファン352から排出される空気の排気を案内する排気ダクト353を設けている。
次に、本発明の第9実施形態について図24及び図25を参照して説明する。図24は同実施形態における吸引搬送機構部を含む乾燥部の側面説明図、図25は同実施形態における吸引搬送機構部の側断面説明図である。
本実施形態では、吸引機構部330と、吸引機構部330の上方に配置したシート搬送機構部328とを備えている。
吸引機構部330は、吸引チャンバ委341と、吸引チャンバ341の上部に配置した通気性を有する支持部材を兼ねる吸引口部材としてのプラテン327と、吸引チャンバ341内を吸引する吸引手段としての軸流ファン352とを備えている。
吸引口部材としてのプラテン327は、複数の吸引口327aを有し、複数の吸引口327aの出口側に、吸引口327a毎に吸引口327aを囲む出口側リブ327cが設けられている。
また、シート搬送機構部328は、を配置している。シート搬送機構部328は、4つのローラ361に掛け回したベルト329を有している。ベルト329の表面には1又は複数の爪部329aが設けられて、爪部329aでシート材Pの先端を把持する。
これにより、ベルト329の矢印B方向への周回移動によってシート材Pはプラテン327上をシート材搬送方向に搬送される。
つまり、プラテン327のシート材搬送方向上流側部分は印刷部200の受け渡し胴202に対向するように配置されている。受け渡し胴202によって搬送されてきたシート材Pは、その印刷面の裏面がプラテン327の表面に対面する形でプラテン327上に送られ、シート搬送機構部328におけるベルト329の爪部329aによって先端が把持される。その後、爪部329aがベルト329の移動に伴ってプラテン327の表面に沿って移動することにより、爪部329aに把持されたシート材Pもプラテン327の表面に沿って移動する。
このとき、吸引機構部330の吸引チャンバ341内が負圧状態になることで、シート材Pの裏面がプラテン327の表面に吸着された状態となり、この状態でプラテン327の表面を擦りながらシート材Pが搬送される。
次に、本発明の第10実施形態について図26を参照して説明する。図26は同実施形態に係る印刷装置の説明図である。
この印刷装置1は、前記第1実施形態の構成において、印刷部200の上流側に、シート材Pに対して液体である処理液を付与する前処理部500を配置し、前処理部500の下流側に乾燥部300Aを配置している。また、印刷部200の下流側には乾燥部300Bを配置している。これらの乾燥部300A、300Bは前記第1実施形態ないし第9実施形態で説明した搬送装置を含む乾燥部を適用することができる。
ここで、処理液としては、例えば、用紙の表面に塗布することでシート材Pの表面を改質する改質材が挙げられる。具体的には、予めシート材Pにムラなく塗布しておくことで、インクの水分を速やかにシート材Pに浸透させるとともに色成分を増粘させ、更には乾燥も早めることによって滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止し、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)を上げることを可能にする定着剤(セット剤)が挙げられる。
処理液は、組成的には、例えば、界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたもの)に対して、水分の浸透を促進するセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース等)とタルク微粉体のような基剤を加えた溶液等を用いることができる。さらに、微粒子を含有することもできる。
次に、前処理部500の第1例について図27を参照して説明する。図27は同前処理部を構成する塗布装置の説明図である。
塗布装置510は、シートを搬送する搬送ローラ511と、搬送ローラ511に対向してシートに処理液501を塗布する塗布ローラ512と、塗布ローラ512に処理液501を供給して液膜(処理液501の膜)を薄くするスクイーズローラ513とを有している。なお、各ローラの回転方向は図中矢印方向である。これらのローラは、搬送ローラ511に塗布ローラ512が接し、塗布ローラ512にスクイーズローラ513が接して配置されている。
塗布装置510によってシートに処理液501を塗布するとき、スクイーズローラ513が図中矢印方向に回転することで、液トレイ514内の処理液501がスクイーズローラ513の表面ですくい上げられ、液膜層501aの状態でその回転によって移送され、スクイーズローラ513と塗布ローラ512との谷部分(接触部:ニップ部)上に溜まる(処理液501b)。
ここで、スクイーズローラ513と塗布ローラ512は一定の加圧力で接しており、谷部分に溜められた処理液501bは両ローラ513、512の間を通過するときに圧力でしごかれ、処理液501の液膜層501cが形成されて塗布ローラ512の回転によって搬送ローラ511側に移送される。塗布ローラ512で移送される液膜層501cはシートに塗布される。
このようにして処理液501の液膜層501cが塗布されたシートは、上述した実施形態の乾燥部300と同様の構成をもつ乾燥部300Aに搬送され、乾燥処理がなされる。この乾燥部300Aによって乾燥処理を受けた後のシートは、印刷部200へ送られ、印刷部200で液体が付与されて印刷される。
次に、前処理部500の第2例について図28を参照して説明する。図28は同前処理部の説明図である。
ここでは、塗布装置510のシート材搬送方向下流側に、紫外線などの活性エネルギー線を照射する露光手段としての露光光源520を配置している。
これにより、シート材Pに処理液501を塗布した後、活性エネルギー線を照射して処理液501を一部硬化(半硬化)させ、その後に乾燥部300Aにて処理液501を乾燥させることができる。この構成は、光重合開始剤を含有し、さらに水分含有量が高い処理液501を用いる場合に、特に有効である。
処理液501に含む光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好ましく、芳香族ケトン類、ホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
露光光源520で照射する活性エネルギー線としては、紫外線の他、例えば可視光線、α線、γ線、X線、電子線などがある。活性エネルギー線の露光光源520としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード、レーザーダイオードなどが挙げられる。
次に、本発明の第11実施形態について図29を参照して説明する。図29は同実施形態に係る印刷装置の説明図である。
この印刷装置1では、前記第10実施形態の印刷装置1における乾燥部300Aを設けないで、印刷部200のシート材搬送方向下流側に配置した乾燥部300Aによって処理液と印刷用液体とを乾燥させている。
なお、光重合開始剤を含む処理液を用いる場合には、上述した露光光源520を印刷部200と乾燥部300との間に配置することもできる。
次に、本発明の第12実施形態について図30及び図31を参照して説明する。図30は同実施形態における吸引搬送機構部の側面説明図、図31は同じく吸引口部材の要部底面説明図である。
吸引搬送機構部302は、複数の吸引孔を有する搬送ベルト325と吸引機構部330とを備え、吸引機構部330は吸引チャンバ341を有している。吸引チャンバ341の搬送ベルト325側の天面部は吸引口部材347を構成し、吸引口347aが形成されるとともに、吸引口347aの周りを囲む入口側リブ347b及び出口側リブ347cが形成されている。
ここでは、吸引チャンバ341の入口側リブ347の上面に搬送ベルト325が接触しながら、搬送ベルト325が周回移動する構成としている。
また、吸引チャンバ341は吸引手段に接続されて、吸引手段を作動させることによって吸引チャンバ341内に負圧になる。
このように、吸引チャンバ341によって支持部材(ここでは、搬送ベルト)を移動可能に保持する場合でも、吸引口347aの出口側に出口側リブ347cを設けることによって、スムーズが気流の流れを形成することができる。
次に、本発明の第13実施形態について図32及び図33を参照して説明する。図32は同実施形態における吸引搬送機構部の概略斜視説明図、図33は同じく要部断面説明図である。
吸引搬送機構部302は、吸引チャンバを兼ねた円筒状の搬送ドラム700を有している。搬送ドラム700の周面にシートを吸引した状態で搬送ドラム700が回転することによってシートを搬送する。
搬送ドラム700の周面は吸引口部材を兼ねており、複数の吸引口347aが形成されるとともに、吸引口347aの周りを囲む入口側リブ347b及び出口側リブ347cが形成されている。入口側リブ347bの上面にてシートを保持して搬送する。
なお、搬送ドラム700の内部は外部の吸引手段に接続され、或いは、前記第1実施形態で説明したように搬送ドラム700内に吸引手段が配置されて排気が外部に行われる構成とすることができる。
このように構成すれば、吸引搬送機構部の構成が簡単になる。
次に、本発明の第14実施形態について図34を参照して説明する。図34は同実施形態に係る搬送装置の説明図である。
この搬送装置800は、シート材であるプリプレグPPを搬送する装置である。プリプレグPPを収容した搬入部801と、搬入部801からプリプレグPPを1枚ずつ取り出し、プリプレグPPを搬送しながら送風する吸引搬送機構部802とを備えている。
プリプレグPPは、主に積層板や多層プリント配線板の材料として使用される。例えば、ガラスクロス、紙、不織布、アラミドクロス等の長尺基材にエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を主材とする樹脂ワニスを連続的に含浸し、加熱乾燥してから切断することで、シート材に加工したものである。シート状のプリプレグPP(シート)は、搬送されてパレットに積載される。
ここで、長尺状のプリプレグの加熱乾燥工程において乾燥が不十分であると、未乾燥状態のシート状のプリプレグPPをパレットに積載したとき、シート状プリプレグPPの樹脂ワニスが積み重ねられたシート状のプリプレグPPに付着するおそれがある。
そこで、この搬送装置800では、シート状のプリプレグPPをパレットまでに搬送する間の搬送区間において、搬送とともに送風を行っている。
吸引搬送機構部802は、プリプレグPPを搬送する搬送ベルト811を備えている。搬送ベルト811はローラ812~815に掛け回されて周回移動する。
搬送ベルト811で搬送されるプリプレグPPに向けて送風する送風手段821と、搬送ベルト811にプリプレグPPを吸引する吸引機構部830とを備えている。
吸引機構部830は、吸引チャンバ841を有している。吸引チャンバ841の搬送ベルト811側の天面部は吸引口部材847を構成し、吸引口847aが形成され、吸引口847aの周りを囲む入口側リブ847b及び出口側リブ847cが形成されている。
ここでは、吸引チャンバ841の入口側リブ847bの上面に搬送ベルト811が接触しながら搬送ベルト811が周回移動する構成としている。
また、吸引チャンバ841は吸引手段に接続されて、吸引手段を作動させることによって吸引チャンバ841内に負圧になり、搬送ベルト811へのプリプレグPPの吸着が行われる。