JP7064708B2 - 搬送装置、印刷装置及び乾燥装置 - Google Patents

搬送装置、印刷装置及び乾燥装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7064708B2
JP7064708B2 JP2018029388A JP2018029388A JP7064708B2 JP 7064708 B2 JP7064708 B2 JP 7064708B2 JP 2018029388 A JP2018029388 A JP 2018029388A JP 2018029388 A JP2018029388 A JP 2018029388A JP 7064708 B2 JP7064708 B2 JP 7064708B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
suction
paper
transport
transport device
support member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018029388A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018154500A (ja
Inventor
光男 大竹
雅人 小川
幸輝 浅田
良平 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to EP18161556.8A priority Critical patent/EP3375619B1/en
Priority to US15/923,210 priority patent/US10562323B2/en
Publication of JP2018154500A publication Critical patent/JP2018154500A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7064708B2 publication Critical patent/JP7064708B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、搬送装置、印刷装置及び乾燥装置に関するものである。
従来、通気構造を有する支持部材の裏面側の空間を負圧状態にすることで該支持部材の表面上に被搬送体を吸着させて搬送する搬送装置が知られている。
例えば、特許文献1には、支持部材の裏面に対して距離をあけて対向配置される複数の吸引口を介して吸引手段により吸引することで、支持部材の裏面側の空間(負圧空間)を負圧状態にする構造をもった搬送装置が開示されている。
従来の搬送装置のように、同じ負圧空間に開口している複数の吸引口から吸引手段によって吸引する構成では、被搬送体が支持部材よりも小さい場合の搬送性が悪いという課題があった。
上述した課題を解決するために、本発明は、通気構造を有する支持部材の裏面側の空間を負圧状態にすることで該支持部材の表面上に被搬送体を吸着させて搬送する搬送装置であって、前記支持部材の表面に向けて送風する送風手段と、前記支持部材の裏面に対して距離をあけて対向配置される複数の吸引口を介して吸引手段により吸引することで、前記空間を負圧状態にする負圧手段とを有し、前記空間内における前記複数の吸引口と前記支持部材の裏面との間に、各吸引口よりも開口面積の小さい複数の通気孔を備えた区画部材を、前記支持部材の裏面から離間して配置して、前記空間を、前記複数の吸引口に連通する単一の第一空間部と前記支持部材の裏面に連通する単一の第二空間部とに区画したことを特徴とする。
本発明によれば、同じ負圧空間に開口している複数の吸引口を吸引手段によって吸引する構成において支持部材よりも小さい被搬送体を搬送する場合の搬送性を改善することができる。
実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を示す模式図である。 同インクジェット記録装置の乾燥部を示す正面図である。 同乾燥部を用紙搬送方向に対して直交する面で切断したときの断面図である。 同乾燥部の搬送ベルトの一例を示す説明図である。 同乾燥部の搬送ベルトの他の例を示す説明図である。 搬送ベルトが平ベルトである場合、ベルト表面に送風ファンからの風が当たって、用紙搬送方向上流側から送風領域内へ進入してくる用紙の先端部に向かう気流が発生する様子を示す説明図である。 搬送ベルトが平ベルトである場合、ベルト表面に送風ファンからの風が当たって、送風領域を通過した用紙の後端部に向かう気流が発生する様子を示す説明図である。 同乾燥部の構成を示す斜視図である。 同乾燥部の搬送機構を構成する吸引機構を示す斜視図である。 同吸引機構における吸引用チャンバー部の内部構造を示す断面図である。 同吸引機構における空気の流れを説明するための説明図である。 流路抵抗部材が設けられていない吸引機構における空気の流れを説明するための説明図である。 流路抵抗部材を備えた吸引機構と、流路抵抗部材を備えていない吸引機構とをそれぞれ用いたときに、用紙裏面に生じる圧力の用紙幅方向分布を示したグラフである。 ベルト支持ロッドが搬送ベルトの裏面と流路抵抗部材の上面との間に挟持される構成とした場合の空気の流れを説明するための説明図である。 ベルト支持ロッドが流路抵抗部材の上面と離間するように構成した場合の空気の流れを説明するための説明図である。 変形例1における吸引機構を採用した乾燥部の構成を示す斜視図である。 同乾燥部を横方向からみたときの説明図である。 同乾燥部の吸引機構における吸引用チャンバー部の内部構造を示す断面図である。 変形例2における吸引機構における吸引用チャンバー部を用紙搬送方向に沿って切断したときの断面図である。 同吸引機構における吸引用チャンバー部を用紙搬送方向に直交する断面に沿って切断したときの断面図である。 変形例3における吸引機構における吸引用チャンバー部を用紙搬送方向に直交する断面に沿って切断したときの断面図である。 同吸引機構において、上チャンバー部の内部空間を分割する分割壁の壁面を傾斜させた例を示す説明図である。 変形例4の吸引機構における通気孔の一構成例を示す平面図である。 変形例4の吸引機構における通気孔の他の構成例を示す平面図である。 変形例5における乾燥部を示す正面図である。 変形例6における用紙搬送機構を示す説明図である。 変形例7で用いられる前処理手段としての塗布装置の主要部を示す説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
[全体説明]
図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を示す模式図である。
本実施形態のインクジェット記録装置1は、主に、給紙部100、画像形成部200、乾燥部300、排紙部400から構成されている。インクジェット記録装置1においては、給紙部100から給紙されるシート材としての記録材である用紙Pに対し、画像形成部200で画像形成用の液体であるインクにより画像を形成する。そして、用紙上に付着したインクを乾燥部300において乾燥させた後、用紙を排紙部400から排紙する。なお、乾燥部300は、本願発明の「乾燥装置」でもある。
[給紙部]
給紙部100は、主に、複数の用紙Pが積載される給紙トレイ110と、給紙トレイ110から用紙を1枚ずつ分離して送り出す給送装置120と、用紙を画像形成部200へ送り込むレジストローラ対130とから構成されている。給送装置120には、ローラやコロを用いた装置や、エア吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置120により給紙トレイ110から送り出された用紙は、その先端がレジストローラ対130に到達した後、レジストローラ対130が所定のタイミングで駆動することにより、画像形成部200へ給紙される。なお、本実施形態において、給紙部100は、画像形成部200へ用紙Pを送り出すものであれば、その構成に制限はない。
[画像形成部]
画像形成部200は、主に、給紙された用紙Pを受け取って用紙担持ドラム210へ渡す渡し胴201と、渡し胴201によって搬送された用紙Pを外周面に担持して搬送する用紙担持ドラム210と、用紙担持ドラム210に担持された用紙Pに向けてインクを吐出するインク吐出部220と、用紙担持ドラム210によって搬送された用紙Pを乾燥部300へ受け渡す受け渡し胴202とから構成されている。
給紙部100から画像形成部200へ搬送されてきた用紙Pは、渡し胴201の表面に設けられた用紙グリッパによって先端が把持され、渡し胴201の表面移動に伴って搬送される。渡し胴201により搬送された用紙は、用紙担持ドラム210との対向位置で用紙担持ドラム210へ受け渡される。
用紙担持ドラム210の表面にも用紙グリッパが設けられており、用紙の先端が用紙グリッパによって把持される。また、用紙担持ドラム210の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されており、各吸引孔には吸引装置211によって用紙担持ドラム210の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。渡し胴201から用紙担持ドラム210へ受け渡された用紙Pは、用紙グリッパによって先端が把持されるとともに、吸い込み気流によって用紙担持ドラム210の表面に吸着して、用紙担持ドラム210の表面移動に伴って搬送される。
本実施形態のインク吐出部220は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを吐出して画像を形成するものであり、インクごとに個別の液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kを備えている。液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kは、液体を吐出するものであれば、その構成に制限はなく、あらゆる構成のものを採用することができる。必要に応じて、白色、金色、銀色などの特殊なインクを吐出する液体吐出ヘッドを設けたり、表面コート液などの画像を構成しない液体を吐出する液体吐出ヘッドを設けたりしてもよい。
インク吐出部220の液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kは、画像情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。用紙担持ドラム210に担持された用紙Pがインク吐出部220との対向領域を通過する際に、液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kから各色インクが吐出され、当該画像情報に応じた画像が形成される。なお、本実施形態において、画像形成部200は、用紙P上に液体を付着させて画像を形成するのであれば、その構成に制限はない。
[乾燥部]
乾燥部300は、主に、画像形成部200で用紙P上に付着したインクを乾燥させるための乾燥機構301と、画像形成部200から搬送されてくる用紙Pを搬送する搬送機構302とから構成されている。画像形成部200から搬送されてきた用紙Pは、搬送機構302に受け取られた後、乾燥機構301を通過するように搬送され、排紙部400へ受け渡される。乾燥機構301を通過する際、用紙P上のインクには乾燥処理が施され、これによりインク中の水分等の液分が蒸発し、用紙P上にインクが固着するとともに、用紙Pのカールが抑制される。
[排紙部]
排紙部400は、主に、複数の用紙Pが積載される排紙トレイ410から構成されている。乾燥部300から搬送されてくる用紙Pは、排紙トレイ410上に順次積み重ねられて保持される。なお、本実施形態において、排紙部400は、用紙Pを排紙するものであれば、その構成に制限はない。
[その他の機能部]
本実施形態のインクジェット記録装置1は、給紙部100、画像形成部200、乾燥部300、排紙部400から構成されているが、他の機能部を適宜追加してもよい。例えば、給紙部100と画像形成部200との間に画像形成の前処理を行う前処理部を追加したり、乾燥部300と排紙部400との間に画像形成の後処理を行う後処理部を追加したりすることができる。
前処理部としては、例えば、インクと反応して滲みを抑制するための処理液を用紙Pに塗布する処理液塗布処理を行うものなどが挙げられるが、前処理の内容については特に制限はない。また、後処理部としては、例えば、画像形成部200で画像が形成された用紙を反転させて再び画像形成部200へ送って用紙の両面に画像を形成するための用紙反転搬送処理や、画像が形成された複数枚の用紙を綴じる処理などが挙げられるが、後処理の内容についても特に制限はない。
なお、本実施形態では、印刷装置を、インクジェット記録装置の例で説明しているが、「印刷装置」は、シート材の被乾燥面に向けて液体を吐出する液体吐出ヘッドを備え、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではなく、例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するものも含まれる。シート材は、材質を限定されるものではなく、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど、液体が一時的でも付着可能なものであればよく、例えば、フィルム製品、衣料用等の布製品、壁紙や床材等の建材、皮革製品などに使用されるものであってもよい。また、「印刷装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液等の用途で用いることができる。
また、「印刷装置」は、液体吐出ヘッドとシート材とが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体吐出ヘッド」とは、吐出孔(ノズル)から液体を吐出・噴射する機能部品である。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどの吐出エネルギー発生手段を使用することができるが、使用する吐出エネルギー発生手段が限定されるものではない。
[乾燥部の詳細]
次に、本実施形態における乾燥部300の詳細について説明する。
図2は、本実施形態における乾燥部300を示す正面図である。
図3は、本実施形態における乾燥部300を用紙搬送方向に対して直交する面で切断したときの断面図である。
本実施形態の乾燥部300における乾燥機構301は、主に、搬送機構302によって搬送される用紙Pに向けて送風する送風ファン311と、輻射熱(例えば、赤外線)を放射するヒータである輻射ヒータ312と、送風ファン311により送風される送風領域の周囲を壁部材で囲って形成される乾燥チャンバー313とから構成されている。乾燥チャンバー313は、その壁部材の少なくとも一部が断熱材で形成されており、乾燥チャンバー313の内部温度が下がりにくいように構成されている。乾燥機構301では、乾燥チャンバー313の内部空間へ搬送されてくる用紙Pの画像面に対し、輻射ヒータ312による輻射熱と、送風ファン311による送風とによって、用紙Pの画像面上のインクを乾燥させる。
本実施形態の乾燥機構301は、複数(本実施形態では3つ)の送風ファン311が用紙搬送方向に並んで配置された構成となっているが、送風ファン311の数や配置は任意である。また、本実施形態の乾燥機構301は、複数(本実施形態では2つ)の輻射ヒータ312が用紙搬送方向に並んで配置された構成となっているが、輻射ヒータ312の数や配置も任意である。
本実施形態の搬送機構302は、主に、ベルト搬送機構320と、吸引機構330とから構成されている。ベルト搬送機構320は、2つの支持ローラ322,323に掛け渡された無端状の搬送ベルト325の表面上に用紙Pを担持して、搬送ベルト325の表面移動に伴って用紙Pを搬送する。用紙搬送方向に対して直交する方向(幅方向)における搬送ベルト325の長さは、搬送される用紙Pの幅方向長さ以上に設定されている。
搬送ベルト325は、主に2つの支持ローラ322,323のうちの少なくとも一方が駆動することにより図中矢印の向きに走行して表面が移動する。本実施形態の搬送ベルト325は、その表面に複数の微小な貫通孔(吸引孔)が分散して開口した通気構造をもつ吸引ベルトであり、用紙を担持するベルト部分(第一支持ローラ322から第二支持ローラ323に向けて移動するベルト部分)の内周面側には、吸引機構330が設けられている。
被搬送体としてのシート材である用紙を支持する本実施形態の支持部材は、通気可能な構成であればよく、例えば、図4に示すように線状部材が網目状になっているメッシュ状の搬送ベルト325を用いてもよい。あるいは、図5に示すように複数の支持ワイヤー325’で用紙を支持する構成のものでもよいし、多孔質状部材であってよい。また、支持部材の通気構造は、送風ファン311からの風が通り抜ける隙間が大きいほど、用紙Pの先端部に向かう気流の勢いが減少するため、用紙先端部がバタつくことを抑制する効果が高い。しかも、支持部材が用紙裏面に接触する面積も小さくなるため、用紙Pの乾燥ムラを抑制する効果も高い。ただし、用紙Pを支持する支持面積が減ることによる用紙Pの撓みが発生しないようにする点を考慮する必要がある。
搬送ベルト325の用紙搬送方向上流側部分(第一支持ローラ322に巻き付いたベルト部分)は、画像形成部200の受け渡し胴202に対向するように配置されている。受け渡し胴202によって搬送されてきた用紙Pは、その画像面の裏面が搬送ベルト325の表面に対面する形で搬送ベルト325へ受け渡され、搬送ベルト325の表面上に担持される。そして、搬送ベルト325の表面に担持された用紙Pは、搬送ベルト325の表面移動に伴って、第二支持ローラ323側へと搬送される。
搬送ベルト325における用紙を担持するベルト部分(第一支持ローラ322から第二支持ローラ323に向けて移動するベルト部分)は、乾燥機構301の乾燥チャンバー313の内部を通るように配置されている。したがって、搬送ベルト325の表面上に担持された用紙Pは、搬送ベルト325の表面移動に伴って、乾燥機構301の乾燥チャンバー313の内部を通過し、その後、搬送ベルト325の表面から離れ、ガイド板や搬送ローラなどを介して排紙部400へと受け渡される。
吸引機構330は、主に、吸引用チャンバー部340と、吸引用チャンバー部340内の空気を吸引する吸引装置350とから構成されている。吸引装置350の吸引によって吸引用チャンバー部340内が負圧状態になることで、吸引用チャンバー部340の上方に吸引用チャンバー内部へ向かう吸い込み気流を発生させる。この吸い込み気流により、搬送ベルト325の内周面(裏面)は吸引用チャンバー部340の上部に吸着した状態となり、搬送ベルト325は吸引用チャンバー部340の上部と摺動しながら移動する。
また、吸引用チャンバー部340の上部に生じる吸い込み気流により、搬送ベルト325に形成されている吸引孔にも吸い込み気流が発生する。これにより、受け渡し胴202によって搬送され、搬送ベルト325の表面上に受け渡された用紙Pは、その吸い込み気流によって搬送ベルト325の表面上に吸着する。そして、搬送ベルト325の表面移動に伴って、乾燥機構301の乾燥チャンバー313の内部を通過し、その後、搬送ベルト325の表面から離れ、排紙部400へと受け渡される。
搬送ベルト325の材料には、金属やゴムなどを使用することが可能であり、その材料に特に制限はない。ただし、本実施形態では、乾燥チャンバー313の内部を通過する際に高温に曝されることを考慮して、耐熱性のある材料(耐熱性のゴムや金属など)であるのが好ましい。
なお、用紙Pは、吸引機構330により発生する吸い込み気流による吸引力によって搬送ベルト325の表面に吸着され、搬送ベルト325の表面移動に伴って搬送されるが、搬送ベルト325の表面に対して用紙が相対移動するように用紙を搬送する搬送部材を設けてもよい。例えば、用紙グリッパによって用紙先端を把持して搬送ベルト325の表面に沿って搬送する搬送部材や、用紙に搬送力を付与して搬送ベルト325の表面上を移動させる搬送部材などを設けても良い。このような搬送部材を設ける場合、搬送ベルト325自体は表面移動する構成である必要はない。
本実施形態においては、送風ファン311により送風される送風領域内(本実施形態では乾燥チャンバー313内)に用紙Pが進入する前に、送風領域内に存在する搬送ベルト325の表面に送風ファン311からの風が当たる。このとき、仮に搬送ベルトが非通気構造をもつ平ベルト321であった場合、その平ベルト321の表面に当たった風が平ベルト321の表面に沿って進み、図6に示すように、用紙搬送方向上流側から送風領域内へ進入してくる用紙Pの先端部に向かう気流F1を生じさせる。このような気流F1は、用紙Pが送風領域内へ進入する前の用紙先端部を捲り上げ、用紙先端部が乾燥チャンバー313の外壁などの周囲の部材に引っ掛かったり、平ベルト321から用紙Pが剥離したりするなどして、搬送不良を生じさせるおそれがある。
しかしながら、本実施形態においては、搬送ベルトが通気構造をもつ搬送ベルト325であるため、搬送ベルト325の表面に当たった風は、搬送ベルト325の表面を通過して搬送ベルト325の裏面側へ抜けることができる。したがって、用紙搬送方向上流側から送風領域内へ進入してくる用紙Pの先端部に向かう気流F1の勢いが小さくなり、用紙先端部の捲れ上がりが抑制される。その結果、用紙先端部が乾燥チャンバー313の外壁などの周囲の部材に引っ掛かるなどの搬送不良が抑制され、安定した用紙搬送性が得られる。
また、本実施形態においては、送風領域が乾燥チャンバー313の壁部材によって囲まれている。本実施形態の乾燥チャンバー313には、用紙搬送方向上流側から乾燥チャンバー313の内部へ用紙Pを受け入れるための用紙受入口313aと、乾燥チャンバー313の内部から用紙搬送方向下流側へ用紙Pを排出する用紙排出口313bとが設けられ、その他の箇所には開口部がない。そのため、送風ファン311の送風によって生じた気流F1が、乾燥チャンバー313の内部から用紙受入口313aを通じて外部へ向かって強く吹き出しやすい構造となっている。よって、乾燥チャンバー313の用紙受入口313aから進入する前の用紙Pの先端部には、用紙受入口313aから吹き出す強い気流F1が当たり、用紙先端部が捲れ上がりやすい。
そのため、本実施形態においては、乾燥チャンバー313の用紙受入口313aの用紙搬送方向上流側から下流側にかけて用紙Pを搬送ベルト325の表面に吸着できるように、吸引機構330を配置している。これにより、用紙Pの先端部が用紙受入口313aを通過するまで、用紙Pの先端部が搬送ベルト325の表面に継続して吸着され、用紙受入口313aから強い気流F1が吹き出しても、用紙先端部の捲れ上がりが安定して抑制される。
また、用紙先端部が乾燥チャンバー313内の送風領域内に進入した後においては、用紙先端部は、送風ファン311からの風によって搬送ベルト325の表面に押さえ付けられる。したがって、送風領域内では、用紙先端部の捲れ上がりが起きにくいので、必ずしも吸引機構330によって用紙Pの先端部を吸着させる必要はない。しかしながら、本実施形態では、送風領域が乾燥チャンバー313の内部であるため、送風領域内で用紙Pの先端部が捲れ上がってしまうと、その搬送不良によって乾燥チャンバー313の内部に用紙Pが残留してしまうおそれがある。また、送風領域内で用紙Pの後端部が捲れ上がる場合もあり、その場合も、搬送不良によって乾燥チャンバー313の内部に用紙Pが残留してしまうおそれがある。
乾燥チャンバー313の内部は開口部の少ない空間であるため、その内部から搬送不良の用紙Pを取り出す作業は容易ではない。したがって、可能な限り、乾燥チャンバー313の内部で搬送不良が生じることを避けることが望まれる。加えて、本実施形態のように乾燥チャンバー313の内部に輻射ヒータ312のような発熱手段が配置されている場合、用紙Pが発熱手段に接触する事態を避けることも重要である。
そこで、本実施形態においては、乾燥チャンバー313の内部(送風領域内)でも吸引機構330によって用紙Pの先端部や後端部が継続的に押さえ付けられる構成となっている。これにより、乾燥チャンバー313の内部でも用紙Pの先端部や後端部が捲れ上がることが安定して抑制され、乾燥チャンバー313の内部に用紙Pが残留したり、発熱手段に用紙Pが接触したりする事態などの発生が抑制される。
更に、乾燥チャンバー313の内部(送風領域内)で吸引機構330により用紙Pが搬送ベルト325に吸着される構成とすることで、その用紙Pの角が折れたりシワが生じたりしていても、その用紙Pを搬送ベルト325によって安定して搬送することができる。これにより、折れが乾燥チャンバー313の内部部品に引っ掛かったり、シワによって用紙Pと搬送ベルト325との密着性が低下したりして発生し得る搬送不良が、乾燥チャンバー313の内部で起きにくい。したがって、用紙Pに折れやシワが生じていても、乾燥チャンバー313の内部に用紙Pが残留する事態の発生を抑制できる。
また、本実施形態においては、送風ファン311により送風される送風領域内を用紙Pが通過した後においても、送風領域内に存在する搬送ベルト325の表面に送風ファン311からの風が当たる。このとき、仮に搬送ベルトが非通気構造をもつ平ベルト321であった場合、その平ベルト321の表面に当たった風が平ベルト321の表面に沿って進み、図7に示すように、送風領域内から用紙搬送方向下流側へ抜けた用紙Pの後端部に向かう気流F2を生じさせる。このような気流F2は、送風領域内を抜けた用紙Pの後端部を捲り上げ、平ベルト321から用紙Pが剥離したりするなどして、搬送不良を生じさせるおそれがある。
本実施形態においては、搬送ベルトが通気構造をもつ搬送ベルト325であるため、搬送ベルト325の表面に当たった風は、搬送ベルト325の表面を通過して搬送ベルト325の裏面側へ抜けることができる。したがって、送風領域内から用紙搬送方向下流側へ抜けた用紙Pの後端部に向かう気流F2の勢いが小さくなり、用紙後端部の捲れ上がりが抑制され、安定した用紙搬送性が得られる。
また、本実施形態においては、上述した用紙受入口313aからの気流F1の吹き出しと同様、送風ファン311の送風によって生じた気流F2が、乾燥チャンバー313の内部から用紙排出口313bを通じて外部へ向かって強く吹き出しやすい。その結果、乾燥チャンバー313の用紙排出口313bを抜けた用紙Pの後端部には、用紙排出口313bから吹き出す強い気流F2が当たり、用紙後退部が捲れ上がりやすい。
本実施形態では、乾燥チャンバー313の用紙排出口313bの用紙搬送方向上流側から下流側にかけて用紙Pを搬送ベルト325の表面に吸着できるように、吸引機構330を配置している。そのため、用紙Pの後端部が用紙排出口313bを通過する前から通過した後も用紙Pの後端部が搬送ベルト325の表面に継続して吸着され、用紙排出口313bから強い気流F2が吹き出しても、用紙後端部の捲れ上がりが安定して抑制される。
本実施形態の乾燥部300は、送風ファン311等の送風手段により用紙Pに向けて送風を行うものであれば、必ずしも輻射ヒータ312等の発熱手段を設ける必要はないが、より短時間でインクを乾燥させるうえでは発熱手段を設けるのが好ましい。発熱手段は、輻射ヒータ312のように輻射熱を発生させるものに限られず、例えば、搬送ベルト325などの用紙Pに接触する部材から用紙Pへ伝達させる熱を発生させる手段であってもよい。また、乾燥チャンバー313の内部を昇温するための発熱手段であってもよく、この場合、送風ファン311により温風を用紙Pへ当てることができる。
本実施形態における送風ファン311には、ヒータが内蔵されており、そのヒータの温度、送風ファン311による風速や風量、送風ファン311と搬送ベルト325の表面との距離などの各種パラメータは、制御部によって設定変更可能に構成されている。各種パラメータの設定値は、例えば、用紙Pの種類、用紙Pへのインク付着量、搬送ベルト325による用紙搬送速度等に応じて変更する。制御部は、例えば、本インクジェット記録装置に設けられる操作パネルによりオペレータが入力した入力情報に基づいて各種パラメータの設定値を変更してもよいし、あらかじめ記憶装置内に記憶されているデータやプログラム等を使用して各種パラメータの設定値を変更してもよい。また、各種パラメータは、オペレータによる手作業での調整も可能である。
輻射ヒータ312についても、出力波長などのパラメータが、用紙Pの種類、用紙Pへのインク付着量、搬送ベルト325による用紙搬送速度等に応じて設定変更可能に構成されている。パラメータの設定変更については、送風ファン311のものと同様、例えば、本インクジェット記録装置に設けられる操作パネルによりオペレータが入力した入力情報に基づいて各種パラメータの設定値を変更してもよいし、あらかじめ記憶装置内に記憶されているデータやプログラム等を使用して各種パラメータの設定値を変更してもよい。また、オペレータによる手作業での調整も可能である。
また、本実施形態における搬送ベルト325は、その全体が乾燥チャンバー313に配置されているのではなく、図2や図3に示すように、その一部が乾燥チャンバー313の外部を通るように配置されている。本実施形態における乾燥チャンバー313の内部は高温になるため、搬送ベルト325の全体が乾燥チャンバー313に配置されていると、搬送ベルト325が長期間高温に曝され、搬送ベルト325の最高到達温度が高まり、寿命が短くなる。本実施形態によれば、搬送ベルト325が乾燥チャンバー313の外部を通るときに冷却でき、搬送ベルト325の最高到達温度を下げて寿命を長くすることが可能である。このとき、乾燥チャンバー313の外部を通る搬送ベルト325を冷却する冷却手段を設けても良い。この冷却手段には特に制限はないが、冷却ファンの空冷方式が安価で好適である。
次に、本実施形態における吸引機構330の構成及び動作について説明する。
図8は、本実施形態における乾燥部300の構成を示す斜視図である。
図9は、本実施形態における乾燥部300の搬送機構302を構成する負圧手段としての吸引機構330を示す斜視図である。
本実施形態の吸引機構330は、主に、搬送ベルト325の内周面(裏面)によって囲まれたベルト内空間に配置される吸引チャンバー341と、ベルト内空間の外側に配置される減圧チャンバー342と、吸引チャンバー341及び減圧チャンバー342を連通させる接続通路としての連結ダクト343と、減圧チャンバー342及び吸引装置350を接続する吸引ダクト344とから構成されている。
図10は、本実施形態の吸引機構330における吸引用チャンバー部340の内部構造を示す断面図である。なお、図10は、用紙搬送方向に直交する断面を示す模式図である。
本実施形態の吸引機構330は、搬送ベルト325における用紙を担持するベルト部分の裏面に対して距離をあけて対向配置される複数の吸引口345a,345bを介して吸引手段としての吸引装置350により吸引することで、搬送ベルト325の裏面側の空間を負圧状態にする負圧手段として機能する。
本実施形態では、吸引装置350により吸引ダクト344を介して減圧チャンバー342内を吸引することで減圧チャンバー342内を負圧状態にし、減圧チャンバー342内の負圧によって、連結ダクト343を介して吸引チャンバー341内を吸引する。吸引チャンバー341内は、吸引口プレート345によって、上チャンバー部341Aと下チャンバー部341Bとに、上下に区分けされている。上チャンバー部341Aと下チャンバー部341Bとは、吸引口プレート345に形成されている複数の吸引口345a,345bによって連通している。
複数の吸引口345a,345bは、用紙搬送方向に沿って長尺な長孔の貫通孔であり、本実施形態では、用紙Pの幅方向両端端部にそれぞれ対向する位置に開口している。本実施形態では、吸引装置350によって吸引される吸引口345a,345bの数が2つである例について説明するが、3つ以上であってもよい。
本実施形態において、吸引装置350により吸引すると、吸引ダクト344、減圧チャンバー342、連結ダクト343、下チャンバー部341Bが吸引され、吸引口プレート345の複数の吸引口345a,345bには、上チャンバー部341A内を吸引する吸い込み気流が発生する。これにより、上チャンバー部341A内の空気(気体)が下チャンバー部341Bへ吸い込まれ、上チャンバー部341A内が負圧状態になる。
ここで、搬送ベルト325上の用紙Pが、上チャンバー部341Aの上部を完全に塞ぐように担持されないサイズである場合、図11の矢印で示すように、上チャンバー部341Aの用紙Pによって塞がれていない部分から搬送ベルト325を介して空気が上チャンバー部341A内へ流入する。これにより、その空気が複数の吸引口345a,345bから下チャンバー部341B内へ流れ込むため、上チャンバー部341A内の負圧状態が低下した状況になる。このような状況であっても、その複数の吸引口345a,345bに近い上チャンバー部341A内の領域では、比較的高い負圧状態を維持することができるので、その複数の吸引口345a,345bが対向している搬送ベルト325の部分(用紙Pの幅方向両端付近)には、用紙Pを吸着させる十分な吸着力を生じさせることができる。また、後述するように、上チャンバー部341A内における複数の吸引口345a,345bと搬送ベルト325の裏面との間に、各吸引口345a,345bよりも開口面積の小さい複数の通気孔347aを備えた区画部材としての流路抵抗部材347を設けている。これにより、各吸引口345a,345bと対向していない搬送ベルト325の部分(用紙Pの幅方向中央付近)にも吸着力を生じさせることができる。よって、搬送ベルト325上の用紙Pが、上チャンバー部341Aの上部を完全に塞ぐように担持されないサイズの用紙Pであっても、搬送ベルト325上に用紙Pを吸着させて搬送することが可能である。
ところが、本実施形態のように複数の吸引口345a,345bを吸引装置350によって吸引する構成においては、その複数の吸引口345a,345bから単位時間当たりに吸引できる空気量(以下「吸引能力」という。)を均一化することは困難である。そのため、搬送ベルト325上に用紙Pを吸着させる吸着力が、吸引能力の高い吸引口が対向している搬送ベルト325の部分に偏ってしまい、吸引能力の低い吸引口が対向している搬送ベルト325の部分の吸着力が不十分となる。
本実施形態では、複数の吸引口345a,345bの各々から共通の連結ダクト343までの吸引流路が、減圧チャンバー342に近い方の吸引口345aよりも、減圧チャンバー342から遠い方の吸引口345bの方が長い。そのため、吸引口345bの吸引流路では、吸引口345aの吸引流路よりも流路抵抗が高くなってしまい、吸引口345bの吸引能力は吸引口345aの吸引能力よりも低いものとなってしまう。
本実施形態においては、吸引口345aと吸引口345bとの間の吸引能力の差を小さくするために、下チャンバー部341Bの内部に、複数の吸引口345a,345bの各々から共通の連結ダクト343へ向かう各吸引流路間を仕切る仕切部材348を設けている。このような仕切部材348を設けることで、仕切られた各吸引流路の流路断面積(流路方向に対して直交する断面積)を調整することが可能となる。具体的には、例えば、吸引流路長が長い吸引口345bの吸引流路の流路断面積を相対的に大きく調整することで、吸引口345aと吸引口345bとの間の流路抵抗の差を小さくでき、吸引口345aと吸引口345bとの間の吸引能力の差を小さくすることが可能である。
更に、本実施形態においては、図10や図11に示すように、上チャンバー部341A内における複数の吸引口345a,345bと搬送ベルト325の裏面との間に、それぞれの吸引口345a,345bに対向する部分に各吸引口345a,345bよりも開口面積の小さい1つ又は2つ以上の通気孔347aを備えた区画部材としての流路抵抗部材347を設けている。これにより、本実施形態の上チャンバー部341Aは、流路抵抗部材347によって、第一上チャンバー部341A1と第二上チャンバー部341A2とに、上下に区画される。その結果、本実施形態では、用紙Pによって塞がれない搬送ベルト325の部分から第一上チャンバー部341A1内へ流入した空気は、更に流路抵抗部材347の通気孔347aを通って第二上チャンバー部341A2へ流れ込み、複数の吸引口345a,345bから吸い出されていくことになる。
本実施形態では、各吸引口345a,345bに対向する流路抵抗部材347の部分にそれぞれ備わっている1つ又は2つ以上の通気孔347aは、それぞれの吸引口345a,345bよりも開口面積(当該通気孔347aの数が2つ以上であれば、それらの通気孔の合計開口面積)が小さい。そのため、図12に示すように流路抵抗部材347が設けられていない構成と比較して、上チャンバー部341Aへ流入した空気が各吸引口345a,345bに向かって流れる間の流路抵抗が高まる。これにより、吸引装置350によって吸引される単位時間当たりの空気量のうち、吸引能力が高い吸引口345aから吸い込まれる空気と吸引能力が低い吸引口345bから吸い込まれる空気との比率が替わり、両者の吸引口345a,345b間における吸引能力の差を小さくすることができる。その結果、搬送ベルト325上に用紙Pを吸着させる吸着力の偏りを小さくでき、用紙Pの搬送性を改善することができる。
なお、それぞれの吸引口345a,345bに対する流路抵抗部材347の通気孔347aの開口面積は、複数の吸引口345a,345bの各々から共通の連結ダクト343までの吸引流路の流路抵抗などを考慮して、適宜設定される。通気孔347aの形状や、吸引口345a,345bに対向させる通気孔347aの数なども適宜設定される。
本実施形態において、吸引口345a,345b間における吸引能力の差を小さくする効果を得るには、必ずしも、吸引口345a,345bに対向しない流路抵抗部材347の部分には通気孔347aを形成する必要はない。しかしながら、吸引口345a,345bに対向しない流路抵抗部材347の部分にも通気孔347aを形成することで、用紙Pによって塞がれない搬送ベルト325の部分から第一上チャンバー部341A1内へ流入した空気は、それらの通気孔347aも通って第二上チャンバー部341A2内へと流れ込み、複数の吸引口345a,345bへと吸い出されていく。これにより、吸引口345a,345bに対向しない流路抵抗部材347の部分(例えば用紙Pの中央領域と対向する部分)と搬送ベルト325の裏面との間の第一上チャンバー部341A1内の負圧状態を高めることができる。その結果、吸引口345a,345bに対向しない流路抵抗部材347の部分でも、用紙Pを搬送ベルト325の表面に吸着させる吸着力を発揮させることができ、より安定した搬送性を得ることが可能となる。
更に、本実施形態においては、流路抵抗部材347が搬送ベルト325の裏面から離間して配置されている。これにより、搬送ベルト325の通気構造を流路抵抗部材347の壁面部分(通気孔が形成されていない区画部材部分)で塞いでしまうようなことはない。したがって、流路抵抗部材347を配置したとしても、搬送ベルト325の表面に当たった風が搬送ベルト325の表面を通過して搬送ベルト325の裏面側へ抜けることができる。よって、上述したような用紙先端部や用紙後端部の捲れ上がりの抑制効果は維持され、安定した用紙搬送性も維持される。
図13は、流路抵抗部材347を備えた本実施形態の吸引機構330と、流路抵抗部材347を備えていない吸引機構とをそれぞれ用いたときに、用紙裏面に生じる圧力の用紙幅方向分布を示したグラフである。
このグラフは、用紙幅方向の位置(用紙の幅方向中央からの距離)を横軸にとり、用紙裏面に生じる圧力を縦軸にとったものである。
流路抵抗部材347を備えていない図12に示したような吸引機構を用いた場合、図13のグラフ中の実線で示すように、吸引口345a,345bにそれぞれ対向する用紙部分間の圧力差(吸引力の差)はd’であった。一方、流路抵抗部材347を備えている本実施形態の吸引機構330を用いた場合、図13のグラフ中の破線で示すように、吸引口345a,345bにそれぞれ対向する用紙部分間の圧力差(吸引力の差)がdであった。図13からわかるとおり、本実施形態においては、吸引口345a,345bに対向する用紙部分間の圧力差dが、流路抵抗部材347を備えていない吸引機構の圧力差d’よりも小さくなった。
また、本実施形態によれば、流路抵抗部材347を設けたことで、用紙Pによって塞がれない搬送ベルト325の部分から複数の吸引口345a,345bへ向かう流路抵抗も高まっている。これにより、第一上チャンバー部341A1内へ流入する空気の量が減る結果、用紙Pと対向する部分全体にわたって第一上チャンバー部341A1内の負圧状態が改善される。その結果、本実施形態では、図13に示すように、用紙Pの全体にわたって、用紙裏面に生じる圧力(吸引力)が約40%高められている。
なお、本実施形態においては、流路抵抗部材347が1つであるが、流路方向に複数段の流路抵抗部材347を配置しても良い。
また、本実施形態においては、搬送ベルト325のベルト内空間の外側に位置する減圧空間としての減圧チャンバー342が連結ダクト343を介して吸引チャンバー341に横方向(搬送ベルト325の裏面に略平行な方向であって用紙搬送方向に対して直交する方向)から接続されている。これによれば、搬送ベルト325のベルト内空間という限られた空間内に、減圧チャンバー342やこれに接続される吸引装置350を配置しない構成を実現できる。
また、本実施形態においては、図9に示すように、連結ダクト343が複数の吸引口345a,345bの開口している搬送方向範囲Lにわたって吸引チャンバー341に開口している。これにより、連結ダクト343が複数の吸引口345a,345bの開口している搬送方向範囲Lの一部分のみで吸引チャンバー341に開口している場合よりも、用紙搬送方向における吸引ムラを低減することができる。特に、本実施形態のように連結ダクト343が吸引チャンバー341に開口する用紙搬送方向範囲と、複数の吸引口345a,345bが開口している搬送方向範囲Lとをほぼ同じ範囲に設定するのが好ましい。
下記の表1は、本実施形態における第一上チャンバー部341A1の高さ(搬送ベルト325の裏面と流路抵抗部材347の上面との距離)と用紙Pのばたつき(捲れ上がり)との関係を確認した実験例の結果を示すものである。この実験例では、第一上チャンバー部341A1の高さを0[mm]、10[mm]、20[mm]としたときのばたつきレベルを観測した。ばたつきレベルが大きく、許容範囲を超えている場合を「×」とし、ばたつきレベルが小さく、許容範囲内である場合を「△」とし、ばたつきがない場合を「○」とした。この実験例によれば、第一上チャンバー部341A1の高さが10[mm]以上であれば、ばたつきを抑制できることが確認された。
Figure 0007064708000001
また、この実験例によれば、用紙のばたつきを抑制するうえでは、吸引チャンバー341の第一上チャンバー部341A1の高さをゼロにしない、すなわち、搬送ベルト325の裏面と流路抵抗部材347の上面との間を離間させることが重要である。そこで、本実施形態においては、流路抵抗部材347の通気孔347aからの吸引力によって搬送ベルト325が撓んで搬送ベルト325の裏面が流路抵抗部材347の上面に密着するような事態を避け、第一上チャンバー部341A1の高さがゼロにならないように、図9や図10に示すように、搬送ベルト325の用紙搬送箇所(用紙を担持するベルト部分)を搬送ベルト325の裏面から下支えする下支え部材としてのベルト支持ロッド349を設けている。
本実施形態では、用紙搬送方向に延びる複数本のベルト支持ロッド349を用紙幅方向に並べて張ったものであるが、ベルト支持ロッド349の張り方に特に限定はない。また、ベルト支持ロッド349のような棒状部材に限らず、吸引を妨げない構造であれば、網目状部材などの下支え部材であってもよい。
ただし、図14に示すように、ベルト支持ロッド349が搬送ベルト325の裏面と流路抵抗部材347の上面との間に挟持されるような構成にすると、ベルト支持ロッド349の周りを通る気流がベルト支持ロッド349の下側に位置する通気孔347aを抜けることができない。そのため、ベルト支持ロッド349に当たる送風ファン311からの気流が、図14に示すように、ベルト支持ロッド349の横をすり抜けにくくなり、用紙Pのばたつき(捲れ上がり)を押さえる効果が低くなる。
そのため、図15に示すように、ベルト支持ロッド349が流路抵抗部材347の上面と離間するように構成するのが好ましい。この構成であれば、ベルト支持ロッド349の周りを通る気流がベルト支持ロッド349の下側に位置する通気孔347aを抜けることができるようになる。これにより、ベルト支持ロッド349に当たる送風ファン311からの気流が、図15に示すように、ベルト支持ロッド349の横をすり抜けやすくなり、用紙Pのばたつき(捲れ上がり)を押さえる効果が低下する事態を抑制できる。
また、下記の表2は、本実施形態において、送風ファン311の風速[m/s]と吸引装置350の吸引量[m/min]との関係が用紙ばたつきレベルへ及ぼす影響を確認した実験例の結果を示すものである。吸引装置350の吸引量は、A、B、C、Dの順に少ない。下記の表2に示すように、送風ファン311の風速と吸引装置350の吸引量との関係に応じて、用紙ばたつきレベルが大きく変化することが確認できる。
Figure 0007064708000002
以上の2つの実験例により、送風ファン311の風速と、吸引装置350の吸引量と、第一上チャンバー部341A1の高さと適宜調整することで、用紙ばたつきを抑制することができる。
〔変形例1〕
次に、本実施形態における吸引機構330の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
上述した実施形態では、搬送ベルト325のベルト内空間に位置する吸引チャンバー341に横方向から連結ダクト343を接続して吸引チャンバー341内を横方向から吸引する構成であった。これに対し、本変形例1では、吸引装置350によって吸引される減圧空間としての減圧チャンバー342が、接続通路としての連結ダクト343を介して、搬送ベルト325における用紙を担持するベルト部分の裏面の略法線方向から、吸引通路としての吸引チャンバー341’に接続される構成を採用している。
なお、本変形例1における吸引機構330’の基本構成は、上述した実施形態の吸引機構330と同様であるため、以下、上述した実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図16は、本変形例1における吸引機構330を採用した乾燥部300の構成を示す斜視図である。
図17は、本変形例1における乾燥部300を横方向(搬送ベルト325の裏面に略平行な方向であって用紙搬送方向に対して直交する方向)からみたときの説明図である。
図18は、本変形例1の吸引機構330’における吸引用チャンバー部340’の内部構造を示す断面図である。
本変形例1の吸引機構330’は、搬送ベルト325の内周面(裏面)によって囲まれたベルト内空間に、吸引チャンバー341’と、減圧チャンバー342と、吸引チャンバー341’及び減圧チャンバー342を連通させる連結ダクト343とが配置されている。本変形例1では、搬送ベルト325のベルト内空間の外側に配置される吸引装置350により、吸引ダクト344を介して、ベルト内空間に位置する減圧チャンバー342内を吸引する。これにより、減圧チャンバー342内を負圧状態にし、減圧チャンバー342内の負圧によって、連結ダクト343を介して吸引チャンバー341’内を吸引する。
本変形例1において、連結ダクト343は、図18に示すように、吸引チャンバー341’内の複数の吸引口345a,345bとの非対向箇所で、吸引チャンバー341’に開口している。これにより、連結ダクト343がいずれかの吸引口345a,345bの対向箇所に開口している場合と比べて、吸引口345a,345b間の吸引能力の差を小さくすることができる。特に、本変形例1のように、吸引口345a,345bとの対向箇所間における中間位置に連結ダクト343が開口するように構成することで、吸引口345a,345b間の吸引能力の差をより小さくすることができる。しかも、本変形例1では、上述した実施形態と同様、複数の吸引口345a,345bの各々から共通の連結ダクト343へ向かう各吸引流路間を仕切る仕切部材348’を設けているので、仕切られた各吸引流路の流路断面積(流路方向に対して直交する断面積)を調整することが可能であり、吸引口345aと吸引口345bとの間の吸引能力の差を更に小さくすることが可能である。
しかしながら、このように構成したとしても、吸引口345aと吸引口345bとの間の吸引能力の差を微調整することが難しく、吸引能力の差を許容範囲内に安定して調整することが難しい。そのため、いずれかの吸引口345a,345bが対向している搬送ベルト325の部分において、用紙Pを吸着させる吸着力が不十分になりやすい。その結果、吸引能力が相対的に低い方の吸引口345a,345bが対向している搬送ベルト325の部分に担持されている用紙Pの端部側で捲れ上がりが発生するなどの搬送不良を引き起こしやすい。
本変形例1でも、図18に示すように、上チャンバー部341A内における複数の吸引口345a,345bと搬送ベルト325の裏面との間に、それぞれの吸引口345a,345bに対向する部分に各吸引口345a,345bよりも開口面積の小さい1つ又は2つ以上の通気孔347aを備えた区画部材としての流路抵抗部材347を設けている。これにより、上述した実施形態と同様、搬送ベルト325上に用紙Pを吸着させる吸着力の偏りを小さくでき、用紙Pの搬送性を改善することができる。
なお、本変形例1では、減圧チャンバー342を搬送ベルト325のベルト内空間に配置しているが、搬送ベルト325のベルト内空間の外側まで連結ダクト343を引き出すなどして、減圧チャンバー342を搬送ベルト325のベルト内空間の外側に配置してもよい。
〔変形例2〕
次に、本実施形態における吸引機構330の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
上述した実施形態や変形例1では、吸引装置350が搬送ベルト325のベルト内空間の外側に配置された構成であった。これに対し、本変形例2では、吸引装置350’を搬送ベルト325のベルト内空間に配置される構成を採用している。
なお、本変形例2における吸引機構330’’の基本構成は、上述した実施形態の吸引機構330と同様であるため、以下、上述した実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図19は、本変形例2における吸引機構330’’における吸引用チャンバー部340’’を用紙搬送方向に沿って切断したときの断面図である。
図20は、本変形例2における吸引機構330’’における吸引用チャンバー部340’’を用紙搬送方向に直交する断面に沿って切断したときの断面図である。
本変形例2の吸引機構330’’は、搬送ベルト325の内周面(裏面)によって囲まれたベルト内空間に、吸引チャンバー341’’と、吸引チャンバー341’’内を吸引する吸引手段としての軸流ファン351とが配置されている。本変形例2の吸引チャンバー341’’は、吸引口プレート345’’と搬送ベルト325の裏面との間に形成されており、吸引チャンバー341’’に形成されている複数の吸引口345a,345b,345c,345dにそれぞれ軸流ファン351が取り付けられている。本変形例2では、複数の軸流ファン351によって、複数の吸引口345a,345b,345c,345dから吸引チャンバー341’’内を吸引され、各吸引口345a,345b,345c,345dから吸引された空気(気体)は、排気ダクト352を介して排気される。なお、排気ダクト352は必ずしも設ける必要はない。
このような構成においては、複数の軸流ファン351間における個体差や排気側の流路抵抗の差などによって、吸引口345a~345d間の吸引能力の差を微調整することが難しく、吸引能力の差を許容範囲内に安定して調整することが難しい。そのため、いずれかの吸引口345a~345dが対向している搬送ベルト325の部分において、用紙Pを吸着させる吸着力が不十分になりやすい。その結果、吸引能力が相対的に低い方の吸引口345a~345dが対向している搬送ベルト325の部分に担持されている用紙Pの端部側で捲れ上がりが発生するなどの搬送不良を引き起こしやすい。
本変形例2でも、図19や図20に示すように、吸引チャンバー341’’内における複数の吸引口345a~345dと搬送ベルト325の裏面との間に、それぞれの吸引口345a~345dに対向する部分に各吸引口345a~345dよりも開口面積の小さい1つ又は2つ以上の通気孔347aを備えた区画部材としての流路抵抗部材347を設けている。これにより、上述した実施形態と同様、搬送ベルト325上に用紙Pを吸着させる吸着力の偏りを小さくでき、用紙Pの搬送性を改善することができる。
〔変形例3〕
次に、本実施形態における吸引機構330の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
図21は、本変形例3における吸引機構330における吸引用チャンバー部340を用紙搬送方向に直交する断面に沿って切断したときの断面図である。
なお、本変形例3における吸引機構330の基本構成は、上述した実施形態の吸引機構330と同様であるため、以下、上述した実施形態とは異なる点を中心に説明する。
本変形例3の吸引機構330は、用紙幅方向に4つの吸引口345a~345dが並んで配置された構成である。被搬送体である用紙Pが幅の小さいサイズである場合、図21に示すように、用紙幅方向端部側に位置する2つの吸引口345c,345dは、用紙Pを搬送ベルト325の表面に吸着させる効果にほぼ寄与しない。
そこで、本変形例3では、用紙幅方向端部側の2つの吸引口345c,345dに対し、当該吸引口345c,345dを介して上チャンバー部341A内を吸引装置350で吸引可能な吸引可能状態と、当該吸引口345c,345dを介して上チャンバー部341A内を吸引装置350で吸引不能な吸引不能状態とを切り替える切替手段としての開閉機構360を設けている。本変形例3の開閉機構360は、各吸引口345c,345dを開口状態(吸引可能状態)と閉口状態(吸引不能状態)とに切り替える蓋部材361と、吸引口プレート345の面に沿って蓋部材361をスライドさせる駆動部362とから構成されている。なお、吸引可能状態と吸引不能状態とを切り替える切替手段の構成には、特に制限はない。
本変形例3によれば、図21に示すように、用紙Pが幅の小さいサイズである場合、用紙幅方向端部側の2つの吸引口345c,345dについては開閉機構360により閉口状態(吸引不能状態)にすることができる。これにより、当該吸引口345c,345dから搬送ベルト325を介して空気が吸引されることがなくなり、用紙Pを搬送ベルト325の表面に吸着させる効果に寄与する用紙幅方向中央側の2つの吸引口345a,345bの吸引能力が低下する事態を抑制できる。
一方で、本変形例3によれば、用紙Pが幅の大きなサイズである場合、用紙幅方向端部側の2つの吸引口345c,345dについて、開閉機構360により開口状態(吸引可能状態)にすることができる。これにより、用紙幅方向中央側の2つの吸引口345a,345bからの吸引力だけでなく、用紙幅方向端部側の2つの吸引口345c,345dからの吸引力も利用して、用紙Pの幅方向全体を搬送ベルト325の表面に吸着させることができる。これにより、幅の大きなサイズの用紙Pを搬送する場合の搬送性も確保できる。
また、本変形例3では、用紙幅方向端部側の2つの吸引口345c,345dと、用紙Pを搬送ベルト325の表面に吸着させる効果に寄与する用紙幅方向中央側の2つの吸引口345a,345bとの間で、上チャンバー部341Aの内部空間が分割壁363によって分割されている。用紙幅方向中央側の2つの吸引口345a,345bからの吸引によって、用紙幅方向端部側の2つの吸引口345c,345dと対向するベルト部分から空気が流入する事態を防ぐことができる。よって、用紙幅方向中央側の2つの吸引口345a,345bの吸引能力が低下する事態を更に抑制できる。
特に、本変形例3では、上チャンバー部341Aの内部空間が吸引口ごとに独立した空間に分割されているため、ある吸引口の吸引力によって別の吸引口に対向したベルト部分から空気が吸い込まれることがなく、吸引口ごとの吸引管理が可能である。したがって、用紙サイズや用紙の種類(強い吸着力が必要な種類と強い吸着力が必要でない種類等)に応じて、使用する吸着口を細かく選択して、適切な吸着力、搬送性を得ることができる。
本変形例3において、搬送ベルト325を通過して上チャンバー部341Aに流れ込む空気(気体)を吸引口345a~345dに向けて整流させる整流手段を設けるのが好ましい。具体的には、例えば、図22に示すように、上チャンバー部341Aの内部空間を分割する分割壁363’の壁面を傾斜させるなどして、搬送ベルト325を通過して上チャンバー部341Aに流れ込む空気(気体)が吸引口345a,345bに向けて流れやすくする。これによれば、搬送ベルト325を通過して上チャンバー部341Aに流れ込んだ空気による気流の乱れが上チャンバー部341Aの内部で発生しにくくなり、より安定した吸引力を発揮することができる。なお、このような整流手段は、本変形例3に限らず、上述した実施形態や他の変形例にも採用してもよい。
〔変形例4〕
次に、本実施形態における吸引機構330の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
図23は、本変形例4の吸引機構330における通気孔347aの一構成例を示す平面図である。
なお、本変形例4における吸引機構330の基本構成は、上述した実施形態の吸引機構330と同様であるため、以下、上述した実施形態とは異なる点を中心に説明する。
本変形例3の吸引機構330は、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向する領域の通気孔347aの開口率を、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向しない領域の通気孔347aの開口率よりも小さくしたものである。ここで、開口率とは、単位面積当たりの通気孔347aの開口面積である。本変形例3では、具体的には、図23に示すように、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向する部分の個々の通気孔347aの開口面積を、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向しない部分の個々の通気孔347aの開口面積よりも小さくしたものである。
本変形例3によれば、吸引口345a,345bに作用する吸引力が、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向しない部分に作用するようになり、より広範囲にわたって用紙Pを搬送ベルト325に吸着させることができる。
なお、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向する領域の通気孔347aの開口率を、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向しない領域の通気孔347aの開口率よりも小さくする構成としては、本変形例3の構成に限られない。例えば、図24に示すように、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向する部分の通気孔347aの数を、流路抵抗部材347の吸引口345a,345bと対向しない部分の通気孔347aの数よりも少なくした構成であってもよい。
〔変形例5〕
次に、本実施形態における搬送機構302の一変形例(以下、本変形例を「変形例5」という。)について説明する。
図25は、本変形例5における乾燥部300を示す正面図である。
なお、本変形例5における乾燥部300の基本構成は、上述した実施形態の乾燥部300と同様であるため、以下、上述した実施形態とは異なる点を中心に説明する。
本変形例5における乾燥部300は、乾燥チャンバー313内に配置される搬送機構の構成と乾燥チャンバー313の外に配置される搬送機構の構成とが互いに異なっている。具体的には、乾燥チャンバー313内に配置される搬送機構の構成は、その吸引機構が上述した実施形態の吸引機構330であり、吸引装置350が搬送ベルト325のベルト内空間の外側に配置された構成である。一方、乾燥チャンバー313の外、より詳しくは乾燥チャンバー313の用紙搬送方向上流側に配置される搬送機構の構成は、その吸引機構が上述した変形例2の吸引機構330’’であり、吸引装置350’が搬送ベルト325のベルト内空間に配置される構成である。
本変形例5において、乾燥チャンバー313内に配置される吸引機構330と、乾燥チャンバー313外に配置される吸引機構330’’との間には、仕切り壁353が設けられている。この仕切り壁353は、乾燥チャンバー313内に配置される吸引機構330の側壁によって構成されている。仕切り壁353は、乾燥チャンバー313内に配置される吸引機構330と乾燥チャンバー313外に配置される吸引機構330’’とを単一の筐体で構成し、その内部に仕切り壁を設ける構成であっても良い。
〔変形例6〕
次に、本実施形態における搬送機構302の他の変形例(以下、本変形例を「変形例6」という。)について説明する。
上述した実施形態や変形例1~5では、支持部材を無端ベルト状部材である搬送ベルト325で構成し、搬送ベルト325の表面に吸着させた用紙Pを搬送ベルト325の表面移動に伴って搬送する構成であった。これに対し、本変形例6では、通気構造を有するプラテン327で支持部材を構成するとともに、支持部材とは別の用紙搬送機構328によりプラテン327の表面に吸着させた状態で用紙Pをプラテン327の表面に沿って摺動させて搬送する構成を採用する。
なお、本変形例6における吸引機構330の構成は、上述した実施形態と同様であるため、以下の説明では、上述した実施形態におけるベルト搬送機構320に代わる用紙搬送機構328を中心に説明する。
図26は、本変形例6における用紙搬送機構328を示す説明図である。
本変形例6の吸引機構330は、吸引用チャンバー部340の上部を塞ぐように設けられていた搬送ベルト325の代わりに、通気構造を有するプラテン327が吸引用チャンバー部340の上部を塞ぐように設けられている点を除いて、上述した実施形態と同様である。
プラテン327の上方には、無端ベルト状部材からなる移動ベルト329を有する用紙搬送機構328が配置されている。この移動ベルト329の外周面には、用紙Pの先端を把持する爪部329aが取り付けられている。プラテン327の用紙搬送方向上流側部分は、画像形成部200の受け渡し胴202に対向するように配置されている。受け渡し胴202によって搬送されてきた用紙Pは、その画像面の裏面がプラテン327の表面に対面する形でプラテン327上に送られ、用紙搬送機構328における移動ベルト329の爪部329aによって先端が把持される。その後、爪部329aが移動ベルト329の移動に伴ってプラテン327の表面に沿って移動することにより、爪部329aに把持された用紙Pもプラテン327の表面に沿って移動する。このとき、吸引装置350の吸引によって吸引用チャンバー部340内が負圧状態になることで、用紙Pの裏面がプラテン327の表面に吸着した状態となり、この状態でプラテン327の表面を摺動するように用紙Pが搬送される。
〔変形例7〕
次に、本実施形態における乾燥部300の一変形例(以下、本変形例を「変形例7」という。)について説明する。
上述した実施形態(各変形例1~6を含む。)では、インクが吐出されて画像が形成された後の用紙Pを乾燥する乾燥部300の例であったが、本変形例7は、上述した前処理部において所定の処理液501を用紙Pに塗布等により付与する処理を行い、画像形成部200でインクが吐出されて画像が形成される前に、処理液501が付与された用紙Pを乾燥させる乾燥部300に適用したものである。
なお、本変形例7は、上述した実施形態に係るインクジェット記録装置1に対し、給紙部100と画像形成部200との間に、前処理部及び乾燥部300を追加した点を除いて、基本構成については上述した実施形態と同様である。また、追加される乾燥部300の基本構成についても上述した実施形態と同様である。したがって、以下、上述した実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図27は、本変形例7で用いられる前処理手段としての塗布装置510の主要部を示す説明図である。
本変形例7の前処理部は、給紙部100から給紙された用紙Pに処理液501を塗布する塗布装置510を備えている。処理液501としては、例えば、用紙Pの表面に塗布することで用紙Pの表面を改質する改質材が挙げられる。具体的には、予め用紙Pにムラなく塗布しておくことで、インクの水分を速やかに用紙に浸透させるとともに色成分を増粘させ、更には乾燥も早めることによって滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止し、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)を上げることを可能にする定着剤(セット剤)が挙げられる。
処理液501は、組成的には、例えば界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたもの)に対して、水分の浸透を促進するセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース等)とタルク微粉体のような基剤を加えた溶液等を用いることができる。 更に微粒子を含有することもできる。
本変形例7の塗布装置510は、用紙Pを搬送する搬送ローラ511と、搬送ローラ511に対向して用紙Pに処理液501を塗布する塗布ローラ512と、塗布ローラ512に処理液501を供給して液膜(処理液501の膜)を薄くするスクイーズローラ513とを有している。なお、各ローラの回転方向は図中矢印方向である。これらのローラは、搬送ローラ511に塗布ローラ512が接し、塗布ローラ512にスクイーズローラ513が接して配置されている。
本変形例7では、塗布装置510によって用紙Pに処理液501を塗布するとき、スクイーズローラ513が図中矢印方向に回転することで、液トレイ514内の処理液501がスクイーズローラ513の表面ですくい上げられ、液膜層501aの状態でその回転によって移送され、スクイーズローラ513と塗布ローラ512との谷部分(接触部:ニップ部)上に溜まる(処理液501b)。ここで、スクイーズローラ513と塗布ローラ512は一定の加圧力で接しており、谷部分に溜められた処理液501bは両ローラ513,512の間を通過する際に圧力でしごかれ、処理液501の液膜層501cが形成されて塗布ローラ512の回転によって搬送ローラ511側に移送される。塗布ローラ512で移送される液膜層501cは用紙Pに塗布される。
このようにして処理液501の液膜層501cが塗布された用紙Pは、上述した実施形態(各変形例1~6を含む。)の乾燥部300と同様の構成をもつ乾燥部300に搬送され、乾燥処理がなされる。この乾燥部300によって乾燥処理を受けた後の用紙Pは、画像形成部200へ給紙され、画像形成部200においてインクの吐出を受けて画像が形成される。
なお、上述した説明では、被搬送体がシート材としての用紙Pである例であったが、被搬送体は用紙Pでなくてもよく、またシート状の部材でなくてもよい。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
通気構造を有する搬送ベルト325やプラテン327等の支持部材の裏面側の上チャンバー部341A等の空間を負圧状態にすることで該支持部材の表面上に用紙P等の被搬送体を吸着させて搬送する乾燥部300等の搬送装置であって、前記支持部材の表面に向けて送風する送風ファン311等の送風手段と、前記支持部材の裏面に対して距離をあけて対向配置される複数の吸引口345a~345dを介して吸引装置350,350’、軸流ファン351等の吸引手段により吸引することで、前記空間を負圧状態にする吸引機構330,330’,330’等の負圧手段とを有し、前記空間内における前記複数の吸引口と前記支持部材の裏面との間に、各吸引口よりも開口面積の小さい複数の通気孔347aを備えた流路抵抗部材347等の区画部材を、前記支持部材の裏面から離間して配置したことを特徴とする。
被搬送体が支持部材よりも小さい場合、被搬送体によって塞がれない支持部材部分から負圧空間へ気体が流入し、その気体が複数の吸引口へ流れ込むことで、支持部材の全体を塞ぐことのできる大きな被搬送体である場合よりも、負圧空間の負圧状態が低下した状況になる。このような状況であっても、その複数の吸引口に近い負圧空間部分であれば、比較的高い負圧状態を維持することができる。よって、その複数の吸引口が対向している支持部材部分には、被搬送体を吸着させる十分な吸着力を生じさせることができ、支持部材の他の部分の吸着力が不十分であっても、支持部材上に被搬送体を吸着させて搬送することが可能である。
しかしながら、同じ負圧空間に開口している複数の吸引口から吸引手段によって吸引する場合、各吸引口から先の流路抵抗を均一化することが困難である。そのため、被搬送体によって塞がれない支持部材部分から負圧空間へ流入した気体の各吸引口を通る流路間の流路抵抗の差を均一化することが困難であり、各吸引口から単位時間当たりに吸引できる気体量(以下「吸引能力」という。)を均一化することは困難である。そのため、被搬送体が支持部材よりも小さく、被搬送体によって塞がれない支持部材部分から負圧空間へ気体が流入する状況下では、支持部材上に被搬送体を吸着させる吸着力が、吸引能力の高い吸引口が対向している支持部材部分に偏ってしまい、吸引能力の低い吸引口が対向している支持部材部分の吸着力が不十分となり、搬送性の悪化を招く。
本態様において、被搬送体によって塞がれない支持部材部分から負圧空間へ流入した気体は、区画部材の通気孔を通って複数の吸引口へと流れ込むことになる。本態様では、各吸引口に対向する区画部材部分にそれぞれ備わっている1つ又は2つ以上の通気孔は、それぞれの吸引口よりも開口面積(当該通気孔の数が2つ以上であれば、それらの通気孔の合計開口面積)が小さい。そのため、当該区画部材の無い構成と比較して、被搬送体によって塞がれない支持部材部分から負圧空間へ流入した空気が各吸引口に向かって流れる流路部分の流路抵抗が高まる。このように各吸引口までの流路部分の流路抵抗が高まることで、各吸引口から先の流路部分の流路抵抗の影響が流路全体の流路抵抗に占める割合を相対的に小さくできる。これにより、吸引手段によって吸引される単位時間当たりの気体量のうち、吸引能力が高い吸引口から吸い込まれる気体と吸引能力が低い吸引口から吸い込まれる気体との比率が変わり、両者の吸引口間における吸引能力の差を小さくすることができる。その結果、支持部材上に被搬送体を吸着させる吸着力の偏りを小さくできるので、同じ負圧空間に開口している複数の吸引口を吸引手段によって吸引する構成において支持部材よりも小さい被搬送体を搬送する場合の搬送性を改善することができる。
ところが、支持部材の表面に向けて送風する送風手段が設けられている場合、被搬送体が送風手段による送風領域内へ進入する前に、送風領域内に存在する支持部材の表面に送風手段からの風が当たる。このとき、区画部材が支持部材の裏面に接触するように配置されていると、区画部材の壁面部分(通気孔が形成されていない区画部材部分)が支持部材の通気構造を塞いでしまい、送風手段からの風が支持部材を通過できず、支持部材の表面に沿って進むように気流を生じさせる。この気流が被搬送体の搬送方向上流側から送風領域内へ進入してくる被搬送体の先端部に向かい、被搬送体の先端部を捲り上げ、被搬送体の搬送不良を引き起こすおそれがある。また、支持部材の表面に沿って進むように気流が被搬送体の搬送方向下流側へ向かうと、送風領域を通過した被搬送体の後端部を捲り上げ、被搬送体の搬送不良を引き起こすおそれがある。
本態様においては、区画部材が支持部材の裏面から離間して配置されているため、区画部材の壁面部分が支持部材の通気構造を塞がず、送風手段からの風が支持部材を通過でき、支持部材の裏面と区画部材との間の負圧空間領域内に引き入れられる。これにより、支持部材の表面に沿って進む気流の勢いを低減させることができ、上述した被搬送体の捲り上げ等を抑制して、当該気流による被搬送体の搬送不良を抑制できる。
(態様B)
前記態様Aにおいて、前記負圧手段は、前記複数の吸引口を介して前記空間に連通する下チャンバー部341B,341B’等の吸引通路内を前記吸引手段で吸引することにより、前記空間を負圧状態にすることを特徴とする。
これによれば、複数の吸引口から離れた場所に吸引手段を設置することが可能となり、レイアウトの自由度が高まる。
(態様C)
前記態様Bにおいて、前記負圧手段は、前記支持部材の裏面に略平行な方向であって前記被搬送体の搬送方向に対して直交する横方向から前記吸引通路内を前記吸引手段により吸引することを特徴とする。
これによれば、支持部材の裏面と対向する位置に吸引手段を設けないレイアウトを採用できる。
(態様D)
前記態様Cにおいて、前記支持部材は、搬送ベルト325等の無端ベルト状部材で構成されており、前記無端ベルト状部材の裏面によって囲まれたベルト内空間の外側に位置して前記吸引手段により吸引される減圧チャンバー342等の減圧空間が、連結ダクト343等の接続通路を介して前記吸引通路に前記横方向から接続されており、前記接続通路は、前記複数の吸引口が開口している搬送方向範囲にわたって前記吸引通路に開口していることを特徴とする。
これによれば、接続通路が複数の吸引口の開口している搬送方向範囲の一部分のみで前記吸引通路に開口している場合よりも、被搬送体の搬送方向における吸引ムラを低減することができる。
(態様E)
前記態様Bにおいて、前記負圧手段は、前記吸引手段により吸引される減圧チャンバー342等の減圧空間が、連結ダクト343等の接続通路を介して前記支持部材の裏面の略法線方向から前記吸引通路に接続されており、前記接続通路は、前記吸引通路に開口している前記複数の吸引口との非対向箇所で、前記吸引通路に開口していることを特徴とする。
これによれば、接続通路がいずれかの吸引口の対向箇所に開口している場合と比べて、吸引口間の吸引能力の差を小さくすることができる。
(態様F)
前記態様B~Eのいずれかの態様において、前記吸引通路内には、前記複数の吸引口の各々から前記吸引手段へ向かう各吸引流路間を仕切る仕切部材348,348’が配置されていることを特徴とする。
これによれば、仕切られた各吸引流路の流路断面積を調整して各吸引口間の流路抵抗の差を小さくすることができ、吸引口間の吸引能力の差が小さくなりやすい。
(態様G)
前記態様Bにおいて、前記吸引手段(軸流ファン351等)は、前記複数の吸引口に設置されていることを特徴とする。
これによれば、吸引手段を複数の吸引口に設置したレイアウトを採用できる。
(態様H)
前記態様A~Gのいずれかの態様において、前記支持部材は、搬送ベルト325等の無端ベルト状部材と、前記被搬送体を吸着させて搬送する該無端ベルト状部材の搬送箇所を該無端ベルト状部材の裏面から下支えするベルト支持ロッド349等の下支え部材とから構成されていることを特徴とする。
これによれば、支持部材の裏面と区画部材との間の離間状態を維持することができ、より高い搬送性を得ることができる。
(態様I)
前記態様A~Hのいずれかの態様において、前記支持部材(プラテン327等)の表面に対して前記被搬送体が相対移動するように該被搬送体を搬送する用紙搬送機構328等の搬送部材を有することを特徴とする。
これによれば、支持部材の表面に吸着させた状態で被搬送体を支持部材の表面に沿って摺動させて搬送する構成を採用することができる。
(態様J)
前記態様A~Iのいずれかの態様において、前記複数の吸引口のうちの少なくとも1つの吸引口345c,345dについて、該吸引口を介して前記空間内を前記吸引手段で吸引可能な開口状態等の吸引可能状態と、該吸引口を介して前記空間内を前記吸引手段で吸引不能な閉口状態等の吸引不能状態とを切り替える開閉機構360等の切替手段を有することを特徴とする。
これによれば、被搬送体を支持部材の表面に吸着させる効果に実質的に寄与しない吸引口を吸引不能状態に切り替えることで、その吸引口からの吸い込みを無くして、他の吸引口の吸引能力を確保することができる。
(態様K)
前記態様A~Jのいずれかの態様において、前記支持部材を通過して前記空間に流れ込む気体を前記吸引口に向けて整流させる分割壁363’等の整流手段を有することを特徴とする。
これによれば、支持部材を通過して前記空間に流れ込んだ気体による気流の乱れが前記空間の内部で発生しにくくなり、より安定した吸引力を発揮することができる。
(態様L)
前記態様A~Kのいずれかの態様において、前記区画部材における前記各吸引口に対向した領域の通気孔の開口率は、前記区画部材における前記各吸引口に対向していない領域の通気孔の開口率よりも小さいことを特徴とする。
これによれば、各吸引口に作用する吸引力が、区画部材の吸引口と対向しない部分に作用するようになり、より広範囲にわたって被搬送体を支持部材に吸着させることができる。
(態様M)
用紙P等の被搬送体にインク等の液体を吐出させる液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220K等の液体吐出手段と、前記被搬送体を搬送する乾燥部300等の搬送装置とを備えたインクジェット記録装置等の印刷装置において、前記搬送装置として、前記態様A~Lのいずれかの態様に係る搬送装置を用いたことを特徴とする。
本態様によれば、安定した搬送性を有する印刷装置を実現できる。
(態様N)
前記態様Mにおいて、前記搬送装置は、前記液体吐出手段の被搬送体搬送方向下流側に配置されることを特徴とする。
本態様によれば、液体が付着した被搬送体に送風を行う印刷装置において、安定した搬送性を得ることができる。
(態様O)
前記態様Mにおいて、前記液体吐出手段の被搬送体搬送方向上流側で、前記液体が吐出される前の被搬送体に処理液501を付与する塗布装置510等の前処理手段を有し、前記搬送装置は、前記液体吐出手段の被搬送体搬送方向上流側で、かつ、前記前処理手段の被搬送体搬送方向下流側に配置されることを特徴とする。
本態様によれば、処理液が付着した被搬送体に送風を行う印刷装置において、安定した搬送性を得ることができる。
(態様P)
乾燥装置であって、前記態様A~Lのいずれかの態様に係る搬送装置を備え、前記送風手段は、前記被搬送体を乾燥するための風を該被搬送体に付与することを特徴とする。
本態様によれば、被搬送体を乾燥させる乾燥装置において、安定した搬送性を得ることができる。
1 インクジェット記録装置
100 給紙部
200 画像形成部
220C,220M,220Y,220K 液体吐出ヘッド
300 乾燥部
301 乾燥機構
302 搬送機構
311 送風ファン
312 輻射ヒータ
313 乾燥チャンバー
320 ベルト搬送機構
325 搬送ベルト
325’ 支持ワイヤー
327 プラテン
328 用紙搬送機構
329 移動ベルト
329a 爪部
330,330’,330’’ 吸引機構
340,340’,340’’ 吸引用チャンバー部
341,341’,341’’ 吸引チャンバー
341A 上チャンバー部
341A1 第一上チャンバー部
341A2 第二上チャンバー部
341B,341B’ 下チャンバー部
342 減圧チャンバー
343 連結ダクト
344 吸引ダクト
345,345’’ 吸引口プレート
345a,345b,345c,345d 吸引口
347 流路抵抗部材
347a 通気孔
348,348’ 仕切部材
349 ベルト支持ロッド
350,350’ 吸引装置
351 軸流ファン
352 排気ダクト
360 開閉機構
361 蓋部材
362 駆動部
363,363’ 分割壁
400 排紙部
501 処理液
510 塗布装置
特開2008-280173号公報

Claims (16)

  1. 通気構造を有する支持部材の裏面側の空間を負圧状態にすることで該支持部材の表面上に被搬送体を吸着させて搬送する搬送装置であって、
    前記支持部材の表面に向けて送風する送風手段と、
    前記支持部材の裏面に対して距離をあけて対向配置される複数の吸引口を介して吸引手段により吸引することで、前記空間を負圧状態にする負圧手段とを有し、
    前記空間内における前記複数の吸引口と前記支持部材の裏面との間に、各吸引口よりも開口面積の小さい複数の通気孔を備えた区画部材を、前記支持部材の裏面から離間して配置して、前記空間を、前記複数の吸引口に連通する単一の第一空間部と前記支持部材の裏面に連通する単一の第二空間部とに区画したことを特徴とする搬送装置。
  2. 請求項1に記載の搬送装置において、
    前記負圧手段は、前記複数の吸引口を介して前記空間に連通する吸引通路内を前記吸引手段で吸引することにより、前記空間を負圧状態にすることを特徴とする搬送装置。
  3. 請求項2に記載の搬送装置において、
    前記負圧手段は、前記支持部材の裏面に略平行な方向であって前記被搬送体の搬送方向に対して直交する横方向から前記吸引通路内を前記吸引手段により吸引することを特徴とする搬送装置。
  4. 請求項3に記載の搬送装置において、
    前記支持部材は、無端ベルト状部材で構成されており、
    前記無端ベルト状部材の裏面によって囲まれたベルト内空間の外側に位置して前記吸引手段により吸引される減圧空間が、接続通路を介して前記吸引通路に前記横方向から接続されており、
    前記接続通路は、前記複数の吸引口が開口している搬送方向範囲にわたって前記吸引通路に開口していることを特徴とする搬送装置。
  5. 請求項2に記載の搬送装置において、
    前記負圧手段は、前記吸引手段により吸引される減圧空間が、接続通路を介して前記支持部材の裏面の略法線方向から前記吸引通路に接続されており、
    前記接続通路は、前記吸引通路に開口している前記複数の吸引口との非対向箇所で、前記吸引通路に開口していることを特徴とする搬送装置。
  6. 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の搬送装置において、
    前記吸引通路内には、前記複数の吸引口の各々から前記吸引手段へ向かう各吸引流路間を仕切る仕切部材が配置されていることを特徴とする搬送装置。
  7. 請求項2に記載の搬送装置において、
    前記吸引手段は、前記複数の吸引口に設置されていることを特徴とする搬送装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の搬送装置において、
    前記支持部材は、無端ベルト状部材と、前記被搬送体を吸着させて搬送する該無端ベルト状部材の搬送箇所を該無端ベルト状部材の裏面から下支えする下支え部材とから構成されていることを特徴とする搬送装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の搬送装置において、
    前記支持部材の表面に対して前記被搬送体が相対移動するように該被搬送体を搬送する搬送部材を有することを特徴とする搬送装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の搬送装置において、
    前記複数の吸引口のうちの少なくとも1つの吸引口について、該吸引口を介して前記空間内を前記吸引手段で吸引可能な吸引可能状態と、該吸引口を介して前記空間内を前記吸引手段で吸引不能な吸引不能状態とを切り替える切替手段を有することを特徴とする搬送装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の搬送装置において、
    前記支持部材を通過して前記空間に流れ込む気体を前記吸引口に向けて整流させる整流手段を有することを特徴とする搬送装置。
  12. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の搬送装置において、
    前記区画部材における前記各吸引口に対向した領域の通気孔の開口率は、前記区画部材における前記各吸引口に対向していない領域の通気孔の開口率よりも小さいことを特徴とする搬送装置。
  13. 被搬送体に液体を吐出させる液体吐出手段と、
    前記被搬送体を搬送する搬送装置とを備えた印刷装置において、
    前記搬送装置として、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の搬送装置を用いたことを特徴とする印刷装置。
  14. 請求項13に記載の印刷装置において、
    前記搬送装置は、前記液体吐出手段の被搬送体搬送方向下流側に配置されることを特徴とする印刷装置。
  15. 請求項13に記載の印刷装置において、
    前記液体吐出手段の被搬送体搬送方向上流側で、前記液体が吐出される前の被搬送体に処理液を付与する前処理手段を有し、
    前記搬送装置は、前記液体吐出手段の被搬送体搬送方向上流側で、かつ、前記前処理手段の被搬送体搬送方向下流側に配置されることを特徴とする印刷装置。
  16. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の搬送装置を備え、
    前記送風手段は、前記被搬送体を乾燥するための風を該被搬送体に付与することを特徴とする乾燥装置。
JP2018029388A 2017-03-17 2018-02-22 搬送装置、印刷装置及び乾燥装置 Active JP7064708B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP18161556.8A EP3375619B1 (en) 2017-03-17 2018-03-13 Conveying device, printing apparatus, and drying device
US15/923,210 US10562323B2 (en) 2017-03-17 2018-03-16 Conveying device, printing apparatus, and drying device

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017053745 2017-03-17
JP2017053745 2017-03-17

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018154500A JP2018154500A (ja) 2018-10-04
JP7064708B2 true JP7064708B2 (ja) 2022-05-11

Family

ID=63717732

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018029388A Active JP7064708B2 (ja) 2017-03-17 2018-02-22 搬送装置、印刷装置及び乾燥装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7064708B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7322578B2 (ja) 2019-03-14 2023-08-08 株式会社リコー 液体を吐出する装置
EP3784000B1 (en) 2019-08-21 2022-02-16 Ricoh Company, Ltd. Heating device, drying device, and liquid discharge apparatus
EP3960477A1 (en) 2020-08-27 2022-03-02 Ricoh Company, Ltd. Sheet heater, liquid discharge apparatus, and printer
JP2022049414A (ja) 2020-09-16 2022-03-29 株式会社リコー シート材を搬送する装置、シート材を加熱する装置、液体を吐出する装置、印刷装置
CN114603816A (zh) * 2022-03-25 2022-06-10 贺瑞峰 一种滴灌带生产牵引组件
CN115783624A (zh) * 2022-11-30 2023-03-14 比迪铝业(上海)有限公司 一种可吸附真空传动装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008137196A (ja) 2006-11-30 2008-06-19 Canon Inc 記録媒体搬送装置
JP2009184827A (ja) 2008-01-07 2009-08-20 Isowa Corp 被搬送物の搬送装置
JP2009292646A (ja) 2008-05-09 2009-12-17 Seiko Epson Corp 拘束装置及び記録装置
JP2010247530A (ja) 2009-03-24 2010-11-04 Fujifilm Corp インクジェット記録媒体及びその製造方法、並びにインクジェット記録方法
JP2012206304A (ja) 2011-03-29 2012-10-25 Kyocera Document Solutions Inc 乾燥装置及びこれを搭載したインクジェット記録装置
JP2013180511A (ja) 2012-03-02 2013-09-12 Seiko Epson Corp 液体噴射装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6377936U (ja) * 1986-11-12 1988-05-23

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008137196A (ja) 2006-11-30 2008-06-19 Canon Inc 記録媒体搬送装置
JP2009184827A (ja) 2008-01-07 2009-08-20 Isowa Corp 被搬送物の搬送装置
JP2009292646A (ja) 2008-05-09 2009-12-17 Seiko Epson Corp 拘束装置及び記録装置
JP2010247530A (ja) 2009-03-24 2010-11-04 Fujifilm Corp インクジェット記録媒体及びその製造方法、並びにインクジェット記録方法
JP2012206304A (ja) 2011-03-29 2012-10-25 Kyocera Document Solutions Inc 乾燥装置及びこれを搭載したインクジェット記録装置
JP2013180511A (ja) 2012-03-02 2013-09-12 Seiko Epson Corp 液体噴射装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018154500A (ja) 2018-10-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7064708B2 (ja) 搬送装置、印刷装置及び乾燥装置
EP3375619B1 (en) Conveying device, printing apparatus, and drying device
US10569570B2 (en) Conveying device and printing apparatus
JP5529089B2 (ja) 記録媒体搬送装置及び画像形成装置
US10399362B2 (en) Conveying device and printing apparatus
US10150287B2 (en) Conveying device and printing apparatus
US9969580B2 (en) Conveyance apparatus and printing apparatus
US20170266989A1 (en) Conveying device and printing apparatus
US10549567B2 (en) Drying device and printing apparatus
JP5898550B2 (ja) 搬送機構および印刷装置
JP5191337B2 (ja) 画像形成装置
US10919321B2 (en) Dryer and printer
JP7006113B2 (ja) 搬送装置、印刷装置
JP6909422B2 (ja) 搬送装置及び印刷装置
JP6846009B2 (ja) 搬送装置及び印刷装置
JP2010208100A (ja) 画像形成装置
JP6846010B2 (ja) 搬送装置及び印刷装置
JP2010083035A (ja) 画像形成装置
JP6928889B2 (ja) 搬送装置及び印刷装置
JP2014168906A (ja) 画像形成装置
JP5701709B2 (ja) 画像形成装置
JP2018016069A (ja) 搬送装置及び印刷装置
US11117395B2 (en) Drying device and printer
JP2019209594A (ja) 搬送装置、液体を吐出する装置
US11691439B2 (en) Dryer, printer, and blower

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210924

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220407

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7064708

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151