JP7005931B2 - フッ素系樹脂フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素系樹脂フィルムに関し、より詳細には、プラズマ処理により表面の一領域が改質されたフッ素系樹脂フィルムに関するものである。
フッ素系樹脂フィルムは、一般に、極めて不活性であることから、注射器の滑栓や医薬バイアルの栓等の種々のゴム製品の耐薬品性や滑り性や付着防止性を向上させるために、ゴム基材の表面(脚部や天面部)を被覆するフィルムとして多用されている。また、耐候性に優れることから、太陽電池セルの保護部材としても用いられている。
しかし、フッ素系樹脂フィルムは、極めて不活性であるため、ゴム等の他の部材との接着性および相溶性が悪く、従来、フッ素系樹脂フィルムの表面を予め改質処理を施した後に、ゴム等の他の部材と接着してきた。このような改質処理としては、化学処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理等が挙げられる。例えば、接着性を改善するために、プラズマ処理により、フッ素系樹脂フィルムの改質層におけるフッ素/炭素元素比(F/C)を0.8~1.7の範囲に調節することが提案されている(特許文献1参照)。また、接着性を改善するために、フッ素樹脂は、ゴムとの接合表層部においてフッ素/炭素元素比(F/C)を1.12以下に、かつ酸素/炭素元素比(O/C)を0.08以上に調節することが提案されている(特許文献2参照)。さらには、接着性を改善するために、表面処理部の窒素/酸素元素比(N/O)を0.15以上に調節することが提案されている(特許文献3参照)。
特開昭60-9734号公報 特開平7-178875号公報 特開2013-144759号公報
本発明者らは、特許文献1~3に記載の技術を用いてフッ素系樹脂フィルムの接着性が十分に改善するように表面を改質することにより、フッ素系樹脂フィルムが着色し、外観を損ねる恐れがあるという新たな技術的課題を知見した。
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴムとの接着性に優れ、かつ着色を低減した表面改質フッ素系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、フッ素系樹脂フィルムの一部の領域(表面改質領域)において、炭素、窒素、酸素、フッ素の4元素の割合を特定の範囲内に調節することで、ゴムとの接着性に優れ、かつ着色を低減した表面改質フッ素系樹脂フィルムを提供できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
少なくとも表面の一部の領域に炭素、窒素、酸素、フッ素の4元素を含むフッ素系樹脂フィルムであって、
前記領域において、炭素、窒素、酸素、フッ素の4元素の合計100%に対して、炭素の割合が45%以上70%以下であり、窒素の割合が0.1%以上5%以下であり、酸素の割合が13%以上であり、フッ素の割合が35%以下である、フッ素系樹脂フィルムが提供される。
本発明の態様においては、前記領域において、フッ素/炭素元素比(F/C)が0.70以下であり、酸素/炭素元素比(O/C)が0.20以上であり、窒素/酸素元素比(N/O)が0.01以上0.20以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記領域において、L*a*b*表色系におけるb*が4.0以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記領域において、L*a*b*表色系におけるa*が-4.0以上4.0以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記フッ素系樹脂フィルムが、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体樹脂を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記フッ素系樹脂フィルムが、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体樹脂を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、ゴムにラミネートするために用いられることが好ましい。
また、本発明の別の態様によれば、
上記のフッ素系樹脂フィルムと、ゴムとを備える、複合ゴム成型体が提供される。
本発明によれば、プラズマ処理による表面改質状態を制御することにより、ゴムとの接着性に優れ、かつ着色を低減したフッ素系樹脂フィルムを得ることができる。
本発明のフッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理に用いるプラズマ処理装置を示す概略構成図である。 本発明の複合ゴム成型体(ラミネートゴム栓)の一実施形態を示した断面概略図である。 本発明の複合ゴム成型体(ラミネートゴム栓)の一実施形態を示した外観斜視図である。 本発明の複合ゴム成型体(ラミネートゴム栓)の一実施形態を示した断面概略図である。
<表面改質フッ素系樹脂フィルム>
本発明の表面改質フッ素系樹脂フィルムは、表面の一部の領域(表面改質領域)に炭素、窒素、酸素、フッ素の4元素を含むフッ素系樹脂フィルムである。表面改質フッ素系樹脂フィルムは、不活性であり、耐薬品性・耐溶剤性や滑り性に優れるため、ゴムにラミネートすることで、ゴムの表面(脚部や天面部)に優れた耐薬品性・耐溶剤性や滑り性や付着防止性を付与することができる。
フッ素系樹脂フィルムは、表面改質領域において、炭素、窒素、酸素、フッ素の4元素の合計100%に対して、炭素の割合が45%以上70%以下であり、好ましくは50%以上68%以下であり、より好ましくは55%以上65%以下であり、窒素の割合が0.1%以上5%以下であり、好ましくは0.5%以上4%以下であり、より好ましくは1.0%以上3.0%以下であり、酸素の割合が13%以上であり、好ましくは14%以上30%以下であり、より好ましくは15%以上25%以下であり、フッ素の割合が35%以下であり、好ましくは10%以上33%以下であり、より好ましくは15%以上30%以下である。フッ素系樹脂フィルムの表面改質領域において、炭素、窒素、酸素、フッ素の4元素の割合が上記範囲内にあることで、ゴムとの接着性に優れ、かつ着色を低減したフッ素系樹脂フィルムを得ることができる。なお、各元素の割合は、下記の改質処理の条件を制御することにより調節することができる。
フッ素系樹脂フィルムは、表面改質領域において、フッ素/炭素元素比(F/C)が、好ましくは0.70以下であり、より好ましくは0.10以上0.65以下であり、さらに好ましくは0.15以上0.60以下であり、酸素/炭素元素比(O/C)が、好ましくは0.20以上であり、より好ましくは0.25以上0.50以下であり、さらに好ましくは0.30以上0.45以下であり、窒素/酸素元素比(N/O)が、好ましくは0.01以上0.20以下であり、より好ましくは0.03以上0.15以下であり、さらに好ましくは0.05以上0.12以下である。フッ素系樹脂フィルムの表面改質領域において、F/C、O/C、N/Oが上記範囲内にあることで、ゴムとの接着性に優れ、かつ着色を低減したフッ素系樹脂フィルムを得ることができる。なお、各元素比は、下記の改質処理の条件を制御することにより調節することができる。
フッ素系樹脂フィルムは、表面改質領域において、L*a*b*表色系におけるa*が、好ましくは-4.0以上4.0以下であり、より好ましくは-2.0以上2.0以下であり、さらに好ましくは-1.0以上1.0以下であり、L*a*b*表色系におけるb*が、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは-3.0以上3.0以下であり、さらに好ましくは-2.0以上2.0以下である。フッ素系樹脂フィルムの表面改質領域において、L*a*b*表色系におけるa*およびb*が上記範囲内にあることで、着色を低減したフッ素系樹脂フィルムを得ることができる。
本発明に用いるフッ素系樹脂フィルムは、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体樹脂(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体樹脂(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体樹脂(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体樹脂(EPE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらの中でも、プラズマ処理による表面改質を行い易く、また耐薬品性、耐溶剤性や滑り性を備えることから、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体樹脂(ETFE)が好ましい。さらには、変性タイプのエチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体樹脂(ETFE)が使用可能である。変性タイプのエチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体樹脂(ETFE)は、エチレンとテトラフルオロエチレンとこれらと共重合可能な含フッ素ビニルモノマーとを三元共重合させてなるものが好ましい。
<改質処理>
フッ素系樹脂フィルムの表面の改質処理としては、特に限定されないが、薬液による処理、電子ビームによる処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理等があげられる。生産性の観点からコロナ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理等が好ましい。低圧プラズマ処理は、官能基導入のためのガス種の割合を広い範囲で使用できるため特に好ましい。
<プラズマ処理>
フッ素系樹脂の表層部を低圧プラズマ処理等により活性化すると、フッ素系樹脂の骨格からフッ素原子が離脱して、炭素ラジカルが生成するようになる。その後、雰囲気中の酸素と結合し、さらに雰囲気中から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の官能基が形成される。また、フッ素系樹脂の骨格に水素原子が結合している場合には、同様にフッ素系樹脂の骨格から水素原子が離脱して、炭素ラジカルが生成する。その後、雰囲気中の酸素と結合し、さらに離脱した水素原子や雰囲気中から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の官能基が形成される。
あるいは、低圧プラズマ処理により雰囲気中に発生した酸素ラジカルにより、フッ素系樹脂の骨格からフッ素原子の引き抜きとフッ素系樹脂への酸素の付加反応が起こり、さらに雰囲気中から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の酸素含有官能基が形成される。また、フッ素系樹脂の骨格に水素原子が結合している場合には、同様にフッ素系樹脂の骨格から水素原子の引き抜きとフッ素系樹脂への酸素の付加反応が起こり、さらに引き抜かれた水素原子や雰囲気中から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の官能基が形成される。
低圧プラズマ処理により活性化した表面は、大気圧に戻した際に、空気中の酸素や窒素由来の官能基が形成される。このため、プラズマ雰囲気中に酸素や窒素がない処理条件であっても、表面に酸素や窒素が検出される。
これらの官能基が存在するようになった表層は、他の樹脂との親和性と反応性が著しく向上するようになり、フッ素系樹脂の接着性が発現するものと考えられる。
一方、プラズマ処理により、表層の炭素濃度が増加すると着色し易くなる。本発明では、プラズマ処理条件を最適化することにより、表層の炭素濃度を制御し、酸素濃度を増やし、窒素を導入し、フッ素を低減することで、接着性を改善した上で、着色を低減することができる。
<プラズマ処理装置>
プラズマ雰囲気の制御のしやすさや使用可能なガスの自由度から、低圧プラズマ処理が可能な装置が好ましい。低圧プラズマ処理装置としては、ICP型のプラズマ処理装置、並行平板型のプラズマ処理装置、ロールツーロール型のプラズマ処理装置等を用いることができる。生産性の観点から、ロールツーロール型のプラズマ処理装置が好ましい。
プラズマ生成に用いる電源としては、高周波電源、パルス波電源等の従来公知の電源を用いることができる。電源の周波数は100kHz以下の範囲であれば、ガスの自由度は高く、官能基を積極的に導入するためのガス種の割合を多く使用できる。そのようなガスとしては、O、CO、CO、NH、NO、SO、HS等が挙げられる。
ロールツーロール型プラズマ処理装置の一例として図1に概略構成図を示す。図1に示すプラズマ処理装置は、フッ素系樹脂フィルム51に対してプラズマ処理を行うことにより、フッ素系樹脂フィルム51に表面改質処理を施して、表面改質フッ素系樹脂フィルム50を作製する装置である。このようなプラズマ処理装置は、チャンバ11と、チャンバ11内に配置されたフィルム供給部12およびフィルム巻取部13と、チャンバ11内にマスク52と磁場発生部60と、チャンバ11内にプラズマ処理用の処理ガスを供給する処理ガス供給部40とを備えている。
このうちフィルム供給部12は、フッ素系樹脂フィルム51が巻装されるとともにフッ素系樹脂フィルム51を供給する供給ローラ12aを含んでいる。また、フィルム巻取部13は、表面改質フッ素系樹脂フィルム50が巻装されるとともに表面改質フッ素系樹脂フィルム50を巻き取る巻取ローラ13aを含んでいる。さらに、フィルム供給部12とフィルム巻取部13との間には、回転式のメインロール14が配置されている。このメインロール14には、その表面に沿ってフッ素系樹脂フィルム51が巻き付けられており、このメインロール14上のフッ素系樹脂フィルム51に対してプラズマ処理が施されるようになっている。さらに、フィルム供給部12とメインロール14との間、およびメインロール14とフィルム巻取部13との間には、フッ素系樹脂フィルム51をフィルム供給部12からフィルム巻取部13へ案内する複数の案内ロール16が設けられている。なお、これらフィルム供給部12と、フィルム巻取部13と、メインロール14と、案内ロール16とにより、ロールツーロール(Roll to Roll)式のフィルム搬送装置15が構成されている。また、チャンバ11には、連結管18を介してチャンバ11内を真空排気する排気ポンプ17が連結されている。また連結管18には、チャンバ11内の真空度(圧力)を調整するバルブ19が設けられている。
さらに、処理ガス供給部40は、処理ガスをチャンバ11内に噴出するガスノズル34と、処理ガスを供給するガス供給管44、45、46と、処理ガスを貯留する処理ガス貯留部41、42、43とを有している。なお、ガス供給管44、45、46には、それぞれガスの流量を制御するマスフローコントローラ(MFC)47、48、49が設けられている。供給ガスとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、酸素の3種を用いることができる。
さらにまた、チャンバ11内のマスク52の開口部に対向する位置に、スパッタリング装置で用いられるようなマグネット61を含む磁場発生部60が設けられている。メインロールには40kHzの高周波電源を接続する。処理ガスの導入、チャンバ11内の圧力の調整、高周波電力の導入により、プラズマPが発生する。磁場発生部60の設置とメインロールへの高周波電力の導入により、フッ素系樹脂フィルム51の近傍にプラズマ密度の高い領域が形成され、効率良くプラズマ処理を施すことが可能となる。なお、チャンバ11内には隔壁65が設けられている。この隔壁65は、発生したプラズマPがフィルム供給部12およびフィルム巻取部13側に広がり、フィルム供給部12およびフィルム巻取部13側にプラズマ処理による発生物が堆積することを抑制する役割を果たす。
<複合ゴム成型体>
本発明の複合ゴム成型体は、上記のフッ素系樹脂フィルムと、ゴムとを備えるものである。フッ素系樹脂フィルムの表面改質側を、ゴムに対向するようにラミネートすることで、両者の良好な接着性を実現しながら、ゴムの表面に優れた耐薬品性、耐溶剤性、滑り性および付着防止性等を付与することができる。
本発明の複合ゴム成型体としては、例えば、上記のフッ素系樹脂フィルムをゴム栓の脚部に被覆したラミネートゴム栓が挙げられる。図2には、ラミネートゴム栓の断面概略図を示し、図3には、本発明のラミネートゴム栓4の一実施形態の外観斜視図を示す。図2に示すラミネートゴム栓1は、表面改質フッ素系樹脂フィルム2の表面改質側を、ゴム栓3の脚部にラミネートしたものである。このような構成とすることで、例えば液体を収容する容器の栓として用いた場合、ゴムに含まれる成分が液体中に溶出することを防ぎつつ、容器に入れた液体が漏出するのを効果的に防ぐことができる。また、本発明によるラミネートゴム栓は、従来の金属ナトリウム錯体による処理によって得られたものと異なり、フッ素系樹脂の着色を生じない点で優れている。
本発明の複合ゴム成型体の他の事例としては、上記のフッ素系樹脂フィルムをゴム栓の天面部に被覆したラミネートゴム栓が挙げられる。図4に、ラミネートゴム栓の断面概略図を示す。図4に示すラミネートゴム栓5は、表面改質フッ素系樹脂フィルム6の表面改質側を、ゴム栓7の天面部にラミネートしたものである。このような構成とすることで、凍結乾燥用のバイアル瓶のゴム栓として使用できる。このゴム栓の使用方法としては、薬液を充填したバイアル瓶の瓶口にゴム栓を半打栓し、その状態で凍結乾燥庫に入れて薬液を凍結乾燥する。そして、同庫内でゴム栓を全打栓する。このとき、フッ素系樹脂フィルムがラミネートしてあることで、打栓用プレス板にゴム栓が付着することを防止できる。
このようなラミネートゴム栓は一般的なゴム栓を、本発明によるフッ素系樹脂積層フィルムとインモールド成形等することによって得てもよい。このようなゴム栓に用いられるゴム素材としては、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。その中でもバリア性の観点から、特に塩素化ブチルゴムが好ましい。
<表面改質フッ素系樹脂フィルムの製造>
[実施例1]
フッ素系樹脂フィルムとして幅300mmのETFEフィルム(ダイキン(株)製、ネオフロンEF-0050)を前記記載のロールツーロール型プラズマ処理装置内に通し、チャンバーを閉めて0.01Pa以下まで減圧した後、Arを200sccm、酸素を1500sccm導入した。排気量を調整して真空チャンバー内の圧力を8Paに調整したのち、電力を370Wとし、プラズマ処理を行った。フッ素系樹脂フィルムの搬送速度は4.2m/minとし、プラズマ処理を繰り返し3回行った。プラズマ処理終了後、放電とガスの供給を止めて、0.01Pa以下まで減圧した後、ベントして大気圧に戻して、表面改質フッ素系樹脂フィルムを得た。
[実施例2~19][比較例1~12]
表1に示したプラズマ処理条件に変更した以外は実施例1と同様にして、プラズマ処理を実施して、表面改質フッ素系樹脂フィルムを得た。なお、実施例17~19および比較例12では、フッ素系樹脂フィルムとしてECTFEフィルム(デンカ(株)製、TEFKA)を用いた。
<表面改質フッ素系樹脂フィルムの性能試験>
実施例1~19および比較例1~12で得た表面改質フッ素系樹脂フィルムについて、下記の各種性能評価試験を実施した。なお、実施例2と実施例11では、プラズマ処理実施後、3ヶ月間常温保管した後に、下記の各種性能評価試験を実施した。
[色の測定]
コミカミノルタ製の分光測色計CM-600dを用いて、白色校正板の上に測定する表面改質フッ素系樹脂フィルムのサンプルを置き、反射光で、L*a*b*表色系で表わされる色を測定し、着色性を評価した。測定条件は、SCE(正反射光除去)、10°視野、D65光源とした。測定結果は、表2に示した通りであった。
[表面組成の測定]
X線光電子分光分析装置(KRATOS社製ESCA-3400)を用いて、X線銃:MgKα、20mA、10kVとして、C1s、N1s、O1s、F1sを表3に記載の条件で測定した。解析ソフトにより、測定で得られた各元素のピークにShirley法でバックグラウンドを引き、各元素のピークの積分強度(面積)から、表面改質フッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理領域における元素濃度を算出した。得られた元素濃度から、必要な元素比を算出した。測定結果は、表2に示した通りであった。
[成型時の接着性評価]
表面改質フッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理面と、未加硫のブチルゴムシートとを相対するように重ね合わせ、脚部長さ10mm、脚径13mm、天面部厚み3mm、天面部外径19mmのゴム栓の寸法に合わせた上下金型で、フィルムがゴム栓の天面側に接触する状態にして真空プレスで加硫成形した。
得られたゴム栓(各2個)について、目視でバリ部での接着性(剥離性)を確認し、下記の基準で評価した。ただし、成形時の金型温度は170±3℃、加硫時間は420秒、フィルムの予備加熱時間は30秒であった。評価結果は、表2に示した通りであった。
(評価基準)
○:ゴム栓のバリ部で、表面改質フッ素系樹脂フィルムが剥離しなかった。
×:ゴム栓のバリ部で、表面改質フッ素系樹脂フィルムが剥離した。
[シートの接着性評価]
表面改質フッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理面と、未加硫のゴムシート(エクソン化学(株)製エッソブチル、厚さ1mm)とを重ね合せ、175℃で30秒間加熱することにより加硫及び加熱圧着ラミネートを行い、複合ゴムシートを得た。
得られた複合ゴムシートについて、フィルムとゴム基材との接着性を調べるために、JIS K 6854-2に準じて、複合ゴムシートのサンプルをテンシロンで剥離角180°で引張り、剥離試験を実施し、下記の基準で評価した。評価結果は、表2に示した通りであった。
(評価基準)
○:剥離強度は、5N/cm以上であった。
×:剥離強度は、5N/cm未満であった。
Figure 0007005931000001
Figure 0007005931000002
Figure 0007005931000003
1:ラミネートゴム栓
2:表面改質フッ素系樹脂フィルム
3:ゴム栓
4:ラミネートゴム栓
5:ラミネートゴム栓
6:表面改質フッ素系樹脂フィルム
7:ゴム栓
P:プラズマ
11:チャンバ
12:フィルム供給部
12a:フィルムローラ
13:フィルム巻取部
13a:巻取ローラ
14:メインロール
15:フィルム搬送装置
16:案内ロール
17:排気ポンプ
18:連結管
19:バルブ
34:ガスノズル
40:処理ガス供給部
41、42、43:ガスボンベ
44、45、46:ガス供給管
47、48、49:マスフローコントローラー
50:表面改質フッ素系樹脂フィルム
51:フッ素系樹脂フィルム
52:マスク
60:磁場発生部
61:マグネット
65:隔壁

Claims (7)

  1. 少なくとも表面の一部の領域に炭素、窒素、酸素、フッ素の4元素を含むフッ素系樹脂フィルムであって、
    前記領域において、炭素、窒素、酸素、フッ素の4元素の合計100%に対して、炭素の割合が45%以上70%以下であり、窒素の割合が0.1%以上5%以下であり、酸素の割合が13%以上であり、フッ素の割合が35%以下であり、
    各元素の割合は、X線光電子分光分析装置を用いた測定で得られた各元素のピークにShirley法でバックグラウンドを引くことにより定まる各元素のピークの面積から算出され、
    前記領域において、フッ素/炭素元素比(F/C)が0.70以下であり、酸素/炭素元素比(O/C)が0.26以上であり、窒素/酸素元素比(N/O)が0.01以上0.20以下である、フッ素系樹脂フィルム。
  2. 前記領域において、窒素/酸素元素比(N/O)が0.07以上0.20以下であり、L*a*b*表色系におけるb*が1.7以下である、請求項1に記載のフッ素系樹脂フィルム。
  3. 前記領域において、L*a*b*表色系におけるa*が-4.0以上4.0以下である、請求項1または2に記載のフッ素系樹脂フィルム。
  4. 前記フッ素系樹脂フィルムが、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体樹脂を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフッ素系樹脂フィルム。
  5. 前記フッ素系樹脂フィルムが、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体樹脂を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のフッ素系樹脂フィルム。
  6. ゴムにラミネートするために用いられる、請求項1~5のいずれか一項に記載のフッ素系樹脂フィルム。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のフッ素系樹脂フィルムと、ゴムとを備える、複合ゴム成型体。
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