以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態である、画像処理装置2の故障などを予測する予測システム1の一構成例を示す図である。この予測システム1は、世界各地に設置される複数の画像処理装置2と、複数の画像処理装置2のそれぞれからデータを収集して故障予測を行うサーバー5と、サーバー5からの通知に基づき保守点検員7に対して画像処理装置2のメンテナンス作業を行うことを電子メールなどで通知する通知サーバー6とを備えている。尚、本実施形態では、サーバー5と通知サーバー6とが異なるサーバーである場合を例示しているが、これらは1つのサーバーで構成されるものであっても良い。
サーバー5は、例えばインターネット4を介して世界各地の複数の拠点A1,A2に設置される複数の画像処理装置2のそれぞれと通信可能である。例えば拠点A1には複数の画像処理装置2が設置されており、また拠点A2にも複数の画像処理装置2が設置されている。それら複数の画像処理装置2のそれぞれは、各拠点A1,A2に設けられるローカルネットワーク3に接続される。ローカルネットワーク3はインターネット4に接続される。したがって、複数の画像処理装置2のそれぞれは、各拠点A1,A2のローカルネットワーク3及びインターネット4を介してサーバー5と通信を行うことが可能であり、故障予測のためのデータなどをサーバー5へ送信することが可能である。
画像処理装置2は、例えばMFPなどによって構成される装置であり、スキャン機能、プリント機能、コピー機能などの複数の機能を備えており、ユーザーによる機能選択操作を受け付けると共に、ユーザーによるジョブの実行指示に基づいてジョブを実行する。画像処理装置2において行われるジョブには、例えば、スキャンジョブ、印刷ジョブ、コピージョブなどがある。また画像処理装置2が、FAX機能を搭載している場合には、FAXデータを送受信するジョブを実行することも可能である。また画像処理装置2が後処理ユニットを備えている場合、印刷ジョブの実行時にステープルやパンチなどの後処理を行うことも可能である。
画像処理装置2は、上記のようなジョブを実行するとき、内部に実装されている様々な可動部品を動作させる。それら部品が故障すると、画像処理装置2においてジョブを実行することができなくなる。また、それらの部品は、ジョブの実行に伴って消耗する消耗品であり、一定期間が経過したり、或いは、ジョブが所定回数実行されたりすると、交換時期となる。そのような部品の交換時期をサーバー5において把握できるようにするため、画像処理装置2は、内部に実装されている各種部品を管理・監視するためのデータを取得し、そのデータを所定の時間間隔でサーバー5へ定期的に送信する。画像処理装置2がサーバー5へデータを定期送信するタイミングは適宜設定可能であり、例えば、1日に1回、1週間に1回、又は、1月に1回などとして所定の日時に予め設定される。ただし、画像処理装置2がサーバー5へデータを送信する頻度が増えると、サーバー5の負荷が上がる。そのため、画像処理装置2がサーバー5へデータを定期送信する時間間隔は1月に1回などの比較的長い間隔に設定されることが好ましい。
また画像処理装置2は、所定の時間間隔でデータを送信するだけでなく、例えば部品の故障などの異常の発生を検知したタイミング、或いは、ジョブの実行が終了したタイミングでデータをサーバー5へ送信する。これにより、サーバー5は、各画像処理装置2における可動部品の動作状態の変化をリアルタイムで把握することができるようになる。
サーバー5は、各画像処理装置2から送信されるデータを受信すると、そのデータを分析することにより、各画像処理装置2に実装されている各部品の故障や寿命などを事前に予測する。そして画像処理装置2に実装されている部品に故障が発生する可能性がある場合、或いは、部品の寿命が近づいている場合、サーバー5は、部品の交換時期であることを通知サーバー6へ通知する。この通知を受けて、通知サーバー6は、画像処理装置2の設置拠点の近傍に居る保守点検員7に、画像処理装置2のメンテナンス作業を行う必要があることを通知する。そして保守点検員7が画像処理装置2の設置拠点を訪問してメンテナンス作業を行うことにより、画像処理装置2は、ジョブが実行できる状態を維持することができる。
上記のような予測システム1において、画像処理装置2は、定期送信タイミング、異常発生を検知したタイミング、或いは、ジョブの実行が終了したタイミングなどの送信タイミングであることを検知すると、サーバー5に対してデータを送信する処理を開始する。このとき、画像処理装置2は、他の画像処理装置2と同時にサーバー5へデータ送信を行ってしまうと、サーバー5の負荷が上昇する。これを防止するため、画像処理装置2は、他の画像処理装置2の動作状態を確認し、他の画像処理装置2と同時にデータ送信を行うこととならないようにして、サーバー5の負荷を軽減する。以下、このような画像処理装置2について詳しく説明する。
図2は、画像処理装置2の一構成例を示す図である。画像処理装置2は、装置本体の上部に、スキャナ部10と、自動原稿搬送装置(以下、「ADF」という。)11とを備えている。スキャナ部10及びADF11は、画像処理装置2においてスキャンジョブ又はコピージョブが実行されるときに互いに連携した動作を行う。スキャナ部10は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。ADF11は、スキャナ部10の上部に設けられ、ユーザーによってセットされる原稿を1枚ずつスキャナ部10による原稿読み取り位置へ自動搬送するものである。
また画像処理装置2は、装置本体の下部に、プリンタ部12と、給紙部13とを備えている。プリンタ部12及び給紙部13は、画像処理装置2において印刷ジョブ又はコピージョブが実行されるときに互いに連携した動作を行う。給紙部13は、複数の給紙カセット14を備えており、各給紙カセット14にはそれぞれ異なる方向又はサイズの用紙をストックしておくことができる。そして給紙部13は、印刷ジョブ又はコピージョブの実行開始に伴い、ユーザーによって指定された用紙をストックしている給紙カセット14から1枚ずつプリンタ部12に対して給紙する。プリンタ部12は、入力する画像データに基づいて給紙部13から給紙される用紙に画像形成を行うことにより印刷出力を行う。
さらに画像処理装置2は、装置本体の正面側に、操作パネル8を備えている。操作パネル8は、ユーザーが画像処理装置2を使用する際のユーザーインタフェースとなるものである。
図3は、画像処理装置2の内部構造の一例を示す図である。スキャナ部10は、読取ヘッド20と、駆動ベルト21と、センサー21aとを備えている。読取ヘッド20は、ADF11によって搬送される原稿に対して光を照射し、原稿からの反射光を光電変換素子へと導くように構成される。読取ヘッド20は、プラテンガラス19上に載置される原稿を読み取ることも可能なように構成される。すなわち、読取ヘッド20は、駆動ベルト21によって副走査方向に移動可能であり、プラテンガラス19に載置された原稿の画像を主走査方向に読み取りながら副走査方向に移動していくことにより、原稿の画像を読み取る。またセンサー21aは、駆動ベルト21の摺動距離を計測するセンサーである。例えば駆動ベルト21は、所定距離以上駆動されると、交換時期となる。そのため、センサー21aは、駆動ベルト21の交換時期を予測するために駆動ベルト21の摺動距離を計測して駆動ベルト21の動作状態を監視する。
ADF11は、原稿を載置する原稿トレイ15と、原稿を搬送する搬送路16と、搬送ローラ17と有し、原稿トレイ15にセットされた原稿を搬送ローラ17が1枚ずつ搬送路16に搬送し、排出口18から排出するように構成される。このADF11にも搬送ローラ17などの可動部品が設けられている。そのため、ADF11の内部にも、可動部品の動作状態を監視するセンサーが設けられる。
給紙部13及びプリンタ部12には、用紙23を搬送する搬送路24が設けられる。この搬送路24は、プリンタ部12の上部に設けられる排出口25に連通している。
給紙部13は、給紙カセット14にストックされた用紙23を1枚ずつ取り出して搬送路24に沿って搬送する複数のローラ26を備えており、各ローラ26を回転させることによって用紙23を搬送する。そして給紙部13には、各ローラ26の走行距離(回転数)を計測するセンサー29が設けられる。例えばローラ26は、所定距離(回転数)以上駆動されると、交換時期となる。そのため、センサー29は、ローラ26の交換時期を予測するためにローラ26の走行距離(回転数)を計測してローラ26の動作状態を監視する。
プリンタ部12は、画像形成部27と、定着部28とを備えている。画像形成部27は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のトナーを用いてカラー画像を形成することが可能な構成であり、4色のそれぞれに対応する画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kを有している。
画像形成ユニット30Yは、感光体ドラム31と、画像データに基づいて感光体ドラム31の表面を露光して静電潜像を形成する露光部32と、静電潜像に対してトナーを付与して感光体ドラム31の表面にトナー像を形成する現像部33と、感光体ドラム31の表面を帯電させる帯電部34とを備えている。また現像部33の近傍にはトナー残量を計測するためのセンサー35が配置されると共に、感光体ドラム31の近傍には感光体ドラム31の摺動距離を計測するセンサー36が配置される。例えば現像部33はトナー残量が無くなるとトナーボトルの交換時期となり、感光体ドラム31は摺動距離が所定距離以上になると交換時期となる。そのため、センサー35,36はそれらの交換時期を予測するために設けられたセンサーである。尚、他の画像形成ユニット30M、30C、30Kもこれと同様の構成である。
感光体ドラム31に形成されるトナー像は、中間転写ベルト37に転写される。中間転写ベルト37は、4色のトナー像を順次転写していくことでベルト表面にカラー画像を形成する。中間転写ベルト37に形成されるカラー画像は、給紙部13から給紙される用紙23が転写ローラ39を通過するとき、その用紙23に再転写される。中間転写ベルト37の近傍には、中間転写ベルト37の摺動距離を計測するためのセンサー38が設けられる。また転写ローラ39の近傍には、転写ローラ39の走行距離を計測するセンサー40が設けられる。これらのセンサー38,40は、中間転写ベルト37又は転写ローラ39の動作状態を監視して交換時期を予測するために設けられたセンサーである。転写ローラ39によってカラー画像が転写された用紙23は、その後、定着部28に搬送され、表面に転写されたカラー画像の定着処理が行われる。
定着部28は、定着ベルト42を備えており、カラー画像が転写された用紙23に対して加熱処理及び加圧処理を行うことでカラー画像を用紙23に定着させる。このような定着部28には、定着ベルト42の温度を計測するためのセンサー43及び定着ベルト42の摺動距離を計測するセンサー44が設けられる。すなわち、これらのセンサー43,44は、定着部28に設けられた部品の動作状態を監視して交換時期を予測するために設けられたセンサーである。定着部28においてカラー画像の定着処理が施された用紙23は、その後、排出口25から排出される。
このように画像処理装置2は、内部に設けられた各部品の動作状態を監視するために各種のセンサーを内蔵している。これらセンサーが計測するセンサー計測値は、画像処理装置2が定期的にサーバー5へ送信するデータに含まれる。
図4は、画像処理装置2において電気的制御を行うためのハードウェア構成を示す図である。画像処理装置2は、制御部50と、操作パネル8と、記憶装置51と、ネットワークインタフェース49と、ADF11と、スキャナ部10と、プリンタ部12と、給紙部13とを備え、これら各部がデータバスを介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。
制御部50は、CPU50aとメモリ50bとを備えており、画像処理装置2における各部の動作を統括的に制御するものである。CPU50aは、プログラム52を実行可能なハードウェアプロセッサである。例えばCPU50aは、画像処理装置2に電源が投入されると、記憶装置51に記憶されているプログラム52を読み出して実行することにより、後述する各種の処理部として機能し、各部の動作を制御する。メモリ50bは、CPU50aがプログラム52に基づく処理を実行する際に使用するデータなどを一時的に記憶するためのものである。
操作パネル8は、表示部8aと、操作部8bとを備えている。表示部8aは、例えばカラー液晶ディスプレイで構成され、ユーザーが操作可能な各種画面を表示する。操作部8bは、例えば表示部8aの画面上に配置されるタッチパネルキーによって構成され、ユーザーによる操作を受け付ける。
記憶装置51は、例えばハードディスクドライブ(HDD)などで構成される不揮発性の記憶装置である。この記憶装置51には、上述したプログラム52が記憶される。また記憶装置51には、後述する各種のデータも記憶される。
ネットワークインタフェース49は、画像処理装置2をローカルネットワーク3に接続するためのものである。画像処理装置2は、このネットワークインタフェース49を介してサーバー5と通信を行う。
ADF11は、センサー群11aと、カウンタ11bとを備えている。センサー群11aは、ADF11が原稿搬送を行う際に動作する可動部品の動作状態を監視する少なくとも1つのセンサーを含んでいる。そしてセンサー群11aは、制御部50からの要求に基づいて可動部品の動作状態を計測したセンサー計測値を制御部50へ出力する。カウンタ11bは、ADF11による原稿搬送枚数を累積してカウントするものである。カウンタ11bは、制御部50からの要求に基づいてADF11による原稿搬送枚数のカウント値を制御部50へ出力する。
スキャナ部10は、センサー群10aと、カウンタ10bとを備えている。センサー群10aは、スキャナ部10が原稿読み取りを行う際に動作する可動部品の動作状態を監視する少なくとも1つのセンサーを含んでいる。例えば上述したセンサー21aは、センサー群10aに含まれる。そしてセンサー群10aは、制御部50からの要求に基づいて可動部品の動作状態を計測したセンサー計測値を制御部50へ出力する。カウンタ10bは、スキャナ部10による原稿読み取り枚数を累積してカウントするものである。カウンタ10bは、制御部50からの要求に基づいてスキャナ部10による原稿読み取り枚数のカウント値を制御部50へ出力する。
プリンタ部12は、センサー群12aと、カウンタ12bとを備えている。センサー群12aは、プリンタ部12が印刷出力を行う際に動作する可動部品の動作状態を監視する複数のセンサーを含んでいる。例えば、上述したセンサー35,36,38,40,43,44は、センサー群12aに含まれる。そしてセンサー群12aは、制御部50からの要求に基づいて可動部品の動作状態を計測したセンサー計測値を制御部50へ出力する。カウンタ12bは、プリンタ部12において印刷出力された枚数を累積してカウントするものである。カウンタ12bは、制御部50からの要求に基づいてプリンタ部12よる印刷出力枚数のカウント値を制御部50へ出力する。
給紙部13は、センサー群13aと、カウンタ13bとを備えている。センサー群13aは、給紙部13が1枚の用紙を給紙する際に動作する可動部品の動作状態を監視する少なくとも1つのセンサーを含んでいる。そしてセンサー群13aは、制御部50からの要求に基づいて可動部品の動作状態を計測したセンサー計測値を制御部50へ出力する。カウンタ13bは、プリンタ部12に対して給紙した枚数を累積してカウントするものである。カウンタ13bは、給紙カセット14ごとに設けられるものであっても良い。カウンタ13bは、制御部50からの要求に基づいて給紙枚数のカウント値を制御部50へ出力する。
図5は、制御部50の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部50においてCPU50aがプログラム52を実行することにより、制御部50は、リスト取得部61、ジョブ制御部62、データ取得部63、異常検知部64、タイミング判定部65、動作確認部66、送信可否決定部67及びデータ送信部68として機能する。また図5に示すように、記憶装置51は、故障予測リスト53、ログデータ54、センサーデータ55及びカウンタデータ56を記憶する。
リスト取得部61は、画像処理装置2がサーバー5から送信される故障予測リスト53を受信した場合に、その故障予測リスト53を取得し、記憶装置51へ保存する処理部である。故障予測リスト53は、サーバー5において、故障となる可能性が高い順に、或いは、部品の交換時期が近づいている順に、複数の画像処理装置2のそれぞれが順位付けされたリストである。故障予測リスト53の詳細については後述する。
ジョブ制御部62は、画像処理装置2におけるジョブの実行を制御するものである。ジョブ制御部62は、ADF11、スキャナ部10、プリンタ部12及び給紙部13の動作を制御することにより、ユーザーによって指定されたジョブの実行を制御する。ジョブ制御部62は、ユーザーによって指定されたジョブを実行することに伴い、ログデータ54に、ジョブの実行履歴を記録する。ログデータ54には、ジョブの実行日時、ジョブの種類、エラーなどの異常の発生の有無などの情報が含まれる。
データ取得部63は、装置本体の内部からセンサーデータ55及びカウンタデータ56を取得する処理部である。すなわち、データ取得部63は、センサー群10a,11a,12a,13aのそれぞれに対してセンサー計測値を要求し、センサー群10a,11a,12a,13aのそれぞれから出力される複数のセンサー計測値をセンサーデータ55として取得する。またデータ取得部63は、カウンタ10b,11b,12b,13bのそれぞれに対してカウント値を要求し、カウンタ10b,11b,12b,13bのそれぞれから出力される複数のカウント値をカウンタデータ56として取得する。そしてデータ取得部63は、センサーデータ55及びカウンタデータ56を記憶装置51へ保存する。
例えば、データ取得部63は、例えば数秒又は数分程度の一定の時間間隔で装置本体の内部からセンサーデータ55及びカウンタデータ56を取得し、記憶装置51へ保存する。したがって、記憶装置51に保存されるセンサーデータ55及びカウンタデータ56は、一定の時間間隔で、装置内部に実装された各部品の状態を反映させた最新のデータに更新される。尚、記憶装置51に記憶されるログデータ54、センサーデータ55及びカウンタデータ56のそれぞれは、サーバー5へ送信されるデータ57を構成する要素の1つである。
異常検知部64は、記憶装置51に記憶されるログデータ54、センサーデータ55及びカウンタデータ56が更新される度に機能する。異常検知部64は、記憶装置51において更新されたログデータ54、センサーデータ55及びカウンタデータ56のそれぞれを解析することにより、画像処理装置2における異常の発生を検知する。例えば、ジョブの実行中に異常が発生した場合、その異常はログデータ54に記録される。そのため、異常検知部64は、ログデータ54を解析することにより、ジョブの実行中に異常が発生したことを検知することができる。また、装置内部に実装された各部品に異常が発生すると、センサーデータ55に含まれるセンサー計測値が異常な値を示す。そのため、異常検知部64は、センサーデータ55を解析することにより、装置内部に実装されている各部品の異常を検知することもできる。さらに、装置内部に実装された各部品の交換時期が過ぎると、カウンタデータ56に含まれるカウント値が所定値以上の値を示す。そのため、異常検知部64は、カウンタデータ56を解析することにより、装置内部に実装されている各部品の交換時期が既に経過した異常状態であることを検知することもできる。
タイミング判定部65は、サーバー5に対してデータを送信する送信タイミングであるか否かを判定する処理部である。タイミング判定部65は、異常検知部64によって異常が検知された場合に、送信タイミングであると判定する。この他にも、タイミング判定部65は、ジョブ制御部62によるジョブの実行が終了した場合、或いは、サーバー5に対してデータの定期的な送信を行う時刻(定期送信タイミング)となった場合に、送信タイミングであると判定する。
制御部50は、タイミング判定部65によってサーバー5に対する送信タイミングであると判定されると、動作確認部66、送信可否決定部67及びデータ送信部68を機能させる。
動作確認部66は、タイミング判定部65によってサーバー5に対する送信タイミングであると判定された場合に、自機が通信可能な他の画像処理装置2の動作状態を確認する。例えば、画像処理装置2は、自機と同一のローカルネットワーク3に接続されている他の画像処理装置2と通信を行うことが可能である。そのため、動作確認部66は、自機と同一のローカルネットワーク3に接続されている他の画像処理装置2の動作状態を確認する。
例えば、動作確認部66は、同一のローカルネットワーク3に接続されている他の画像処理装置2に対して動作確認のためのリクエストを送信し、他の画像処理装置2から受信する回答を解析することにより、他の画像処理装置2の動作状態を確認する。そして動作確認部66は、他の画像処理装置2がオン状態であるかオフ状態であるかを判断する。例えば、他の画像処理装置2においてジョブが実行されており、内部の可動部品が動作している状態である場合、動作確認部66は、他の画像処理装置2がオン状態であると判断する。また他の画像処理装置2がサーバー5に対してデータ送信を行っている状態である場合、動作確認部66は、他の画像処理装置2がオン状態であると判断する。これに対し、動作確認部66は、他の画像処理装置2において内部の可動部品が動作しておらず、しかもサーバー5に対するデータ送信も行われていない状態であれば、他の画像処理装置2をオフ状態であると判断する。
動作確認部66は、自機と同一のローカルネットワーク3に接続されている他の全ての画像処理装置2の動作状態を確認するようにしても良い。しかしながら、同一のローカルネットワーク3に多数の画像処理装置2が接続されている場合、他の全ての画像処理装置2の動作状態を確認するには多大な時間を要する。そこで、本実施形態における動作確認部66は、記憶装置51から故障予測リスト53を読み出し、その故障予測リスト53に基づいて動作確認を行う他の画像処理装置2の絞り込みを行うようにしている。すなわち、動作確認部66は、故障予測リスト53を参照することにより、自機が通信可能な他の複数の画像処理装置2のうちから、動作状態を確認すべき他の画像処理装置2を動作確認対象として特定する。具体的に説明すると、動作確認部66は、故障予測リスト53を参照することにより、少なくとも自機よりも順位の高い他の画像処理装置2を動作確認対象として特定する。上述したように故障予測リスト53は、複数の画像処理装置2が故障となる可能性が高い順に、或いは、部品の交換時期が近づいている順に、順位付けられたリストである。そのため、動作確認部66は、自機よりも故障となる可能性が高い他の画像処理装置2、又は、自機よりも部品の交換時期が近い他の画像処理装置2を、動作確認対象として特定する。尚、動作確認部66は、自機よりも順位の高い装置だけでなく、自機と同じ順位の装置も動作確認対象として特定するようにしても良い。そして動作確認部66は、動作確認対象として特定した他の画像処理装置2の動作状態を確認し、他の画像処理装置2がオン状態であるかオフ状態であるかを判断する。
送信可否決定部67は、データ57をサーバー5へ送信するか否かを決定する処理部である。送信可否決定部67は、異常の発生が検知されたことによって送信タイミングであると判定された場合、動作確認部66による動作状態の確認結果にかかわらず、データ57をサーバー5へ送信することを決定する。すなわち、画像処理装置2において異常が発生していれば、データ57を速やかにサーバー5へ送信する必要があるため、送信可否決定部67は、サーバー5に対するデータ57の送信を許可する。
これに対し、画像処理装置2において異常が発生していない状態であれば、緊急性が低いため、送信可否決定部67は、動作確認部66による他の画像処理装置2の動作状態の確認結果に基づいてデータ57をサーバー5へ送信するか否かを決定する。具体的に説明すると、動作確認対象として特定された他の画像処理装置2のうちの全ての装置がオン状態ではなく、オフ状態であると判断された場合、送信可否決定部67は、今回の送信タイミングにおいてデータ57をサーバー5へ送信することを決定する。すなわち、他の画像処理装置2の全てがオフ状態であれば、他の画像処理装置2からサーバー5に対するデータ送信が行われる可能性が低いため、自機がサーバー5に対してデータ送信を行うように決定する。
これに対し、動作確認対象として特定された他の画像処理装置2のうちの少なくとも1つの装置がオン状態であると判断された場合、送信可否決定部67は、今回の送信タイミングにおいてデータ57をサーバー5へ送信しないことを決定する。すなわち、少なくとも1つの他の画像処理装置2がオン状態であれば、自機がデータ送信を開始してしまうと、他の画像処理装置2と同時にデータ送信を行ってしまう可能性がある。これを回避するため、送信可否決定部67は、少なくとも1つの他の画像処理装置2がオン状態であれば、自機からサーバー5へのデータ送信を行わないように決定するのである。これにより、複数の画像処理装置2からサーバー5に対するデータ送信が同時に行われることを防止することができる。
一方、他の画像処理装置2がジョブの実行中であっても、そのジョブの実行が終了するまでに自機からサーバー5へのデータ送信を完了させることが可能な場合もある。そのため、動作確認部66によって他の画像処理装置2のうちの少なくとも1つの装置がオン状態であると判断された場合、送信可否決定部67は、他の画像処理装置2においてジョブが実行されているか否かを判断し、ジョブの実行中であれば、そのジョブの実行が終了するまでに自機からのデータ送信を完了させることが可能であるか否かを判定するようにしても良い。そして他の画像処理装置2におけるジョブの実行が終了するまでの間に、自機からのデータ送信を完了させることが可能な場合、送信可否決定部67は、サーバー5に対してデータ送信を行うことを決定するようにしても良い。
タイミング判定部65は、送信可否決定部67において今回の送信タイミングでデータ送信を行わないことが決定された場合、次の送信タイミングを決定する。この場合の次の送信タイミングは、定期送信を行うための次の送信タイミングよりも早期に訪れるタイミングとして決定される。例えば、タイミング判定部65は、今回の送信タイミングから5分後などの、所定時間が経過したタイミングを次の送信タイミングとして決定する。そのため、画像処理装置2は、今回の送信タイミングでサーバー5に対するデータ送信を行わなかった場合、比較的早期に次の送信タイミングを検知してサーバー5に最新のデータ57を送信することができるようになる。
データ送信部68は、送信可否決定部67により今回の送信タイミングでデータ送信を行うと決定された場合に機能し、サーバー5に対してデータ57を送信する処理部である。データ送信部68は、記憶装置51に記憶されているログデータ54、センサーデータ55及びカウンタデータ56を読み出し、サーバー5へ送信するためのデータ57を生成する。そしてデータ送信部68は、そのデータ57をサーバー5へ送信する。
また異常検知部64によって異常の発生が検知された場合、データ送信部68は、ログデータ54、センサーデータ55及びカウンタデータ56から異常を示すデータだけを抽出してデータ57を生成し、そのデータ57をサーバー5へ送信するようにしても良い。
以上のように画像処理装置2は、サーバー5に対する送信タイミングであると判定すると、同一のローカルネットワーク3に接続されている他の画像処理装置2の動作状態を確認し、他の画像処理装置2の動作状態に基づいてデータ57をサーバー5へ送信するか否かを決定する。例えば、他の画像処理装置2がサーバー5に対してデータ送信を行っている最中であれば、画像処理装置2は、今回の送信タイミングにおいてデータ送信を行わない。また、他の画像処理装置2がジョブを実行している最中であっても、画像処理装置2は、今回の送信タイミングにおいてデータ送信を行わない。なぜなら、他の画像処理装置2がジョブの実行中であれば、そのジョブの実行終了に伴って他の画像処理装置2がデータ送信を開始する可能性があり、複数の画像処理装置2が同時にデータ送信を行う状況が発生し得るからである。したがって、画像処理装置2は、他の画像処理装置2のうちの少なくとも1つの装置がオン状態であれば、今回の送信タイミングにおいて自機からのデータ送信を行わないようにすることで、複数の画像処理装置2が同時にサーバー5に対してデータ送信を行うことを回避し、サーバー5に対して一時にデータ送信が集中してしまうことを抑制することができる。
また画像処理装置2は、動作確認を行う際、上述したように故障予測リスト53を参照して自機よりも順位の高い他の画像処理装置2の動作状態を確認することにより、自機よりも順位の高い他の画像処理装置2にサーバー5へのデータ送信を優先させることが可能である。
図6は、サーバー5のハードウェア構成及び機能構成の一例を示す図である。サーバー5は、そのハードウェア構成として、制御部70と、記憶装置71と、ネットワークインタフェース72とを備えている。制御部70は、図示を省略するCPUとメモリとを備えている。記憶装置71は、例えばハードディスクドライブ(HDD)などで構成される不揮発性の記憶装置であり、プログラム59と、データ57と、装置情報58と、故障予測リスト53とを記憶する。装置情報58は、例えばサーバー5が管理する複数の画像処理装置2を予め登録した情報であり、各画像処理装置2が設置されている拠点に関する情報や、各画像処理装置2が接続されているローカルネットワーク3に関する情報を含んでいる。そのため、装置情報58を参照すれば、同一のローカルネットワーク3に接続されている複数の画像処理装置2を全て特定することができる。ネットワークインタフェース72は、サーバー5を、インターネット4を含むネットワークに接続し、画像処理装置2や通知サーバー6と通信を行うためのものである。
制御部70に設けられるCPUは、プログラム59を実行することが可能なハードウェアプロセッサである。CPUがプログラム59を実行することにより、制御部70は、データ受信部75、リスト作成部76、リスト送信部77及び通知部78として機能する。
データ受信部75は、画像処理装置2から送信されるデータ57を、ネットワークインタフェース72を介して受信するものである。データ受信部75は、画像処理装置2から送信されるデータ57を受信すると、そのデータ57を、記憶装置71に保存する。サーバー5には、複数の画像処理装置2のそれぞれからデータ57が送信される。そのため、記憶装置71には、複数の画像処理装置2のそれぞれから送信される最新のデータ57が蓄積される。
リスト作成部76は、データ受信部75がデータ57を受信した場合に機能する。リスト作成部76は、記憶装置71に記憶されている最新のデータ57を読み出し、そのデータ57に基づいて各画像処理装置2に実装されている各部品の故障や寿命などを事前に予測する。そしてリスト作成部76は、複数の画像処理装置2のそれぞれを、故障となる可能性が高い順に、或いは、部品の交換時期が近づいている順に、順位付けを行い、故障予測リスト53を作成する。またリスト作成部76は、部品の故障の可能性や部品の交換時期への到達度を判定する他にも、例えばデータ57に含まれるログデータ54に基づいて各画像処理装置2における部品の異常発生回数を判定し、その異常発生回数に応じて各画像処理装置2の順位付けを行うようにしても良い。
リスト作成部76は、世界各地の拠点に設置されている複数の画像処理装置2を纏めて順位付けした1つの故障予測リスト53を作成しても良い。しかし、世界各地に設置されている複数の画像処理装置2の全てを順位付けするには時間がかかる。そのため、リスト作成部76は、装置情報58を参照することにより、同一拠点に設置されている複数の画像処理装置2又は同一のローカルネットワーク3に接続されている複数の画像処理装置2を特定し、拠点ごとに又はローカルネットワーク3ごとに複数の画像処理装置2を順位付けすることが好ましい。順位付けを拠点ごとに又はローカルネットワーク3ごとに行うことにより、故障予測リスト53を効率的に作成することができるという利点がある。この場合、故障予測リスト53は、拠点ごとに或いはローカルネットワーク3ごとに生成され、記憶装置71に保存される。
例えば、データ受信部75が拠点A1に設置されている画像処理装置2から送信されたデータ57を受信した場合、リスト作成部76は、記憶装置71に記憶されているデータ57のうちから拠点A1に設置されている複数の画像処理装置2のデータ57だけを抽出し、その抽出したデータ57を解析することにより、拠点A1に設置されている複数の画像処理装置2の順位付けを行うのである。この場合、他の拠点A2に設置されている複数の画像処理装置2のデータ57に変更がなければ、拠点A2に設置されている複数の画像処理装置2の順位付けを行う必要がないため、サーバー5における処理負担を軽減することができる。
図7は、故障予測リスト53の一例を示す図である。故障予測リスト53には、順位付けされた複数の画像処理装置2の装置名53aと、アドレス53bと、部品順位53cと、総合順位53dとが含まれる。例えば装置名53aは、複数の画像処理装置2のそれぞれを識別することが可能な識別情報である。アドレス53bは、複数の画像処理装置2のそれぞれと通信を行うためのアドレスである。部品順位53cは、各画像処理装置2に搭載されている個々の部品の故障しやすさを表した順位であり、例えば順位の数値が大きい程、故障の可能性が高い部品又は交換時期の近い部品であることを示している。画像処理装置2には複数の部品が搭載されているため、部品順位53cは、各部品の順位を個別に定義した情報である。総合順位53dは、各画像処理装置2においていずれかの部品が故障する可能性が高いか否かを表した順位であり、部品順位53cを総合的に評価して決定される順位である。
リスト作成部76は、各画像処理装置2から取得したデータ57に基づき、個々の部品の状態を把握して順位を決定し、部品順位53cにその決定した順位を記録する。例えば、画像処理装置2から取得したデータ57において、感光体ドラム31の表面を帯電させる帯電部34が感光体ドラム31を帯電させたときの電圧値にばらつきがあることが判明した場合、リスト作成部76は、帯電部34が故障する可能性が高いと判断し、帯電部34に対応する部品順位53cを高く設定する。また例えば画像処理装置2から取得したデータ57において、プリントカウント値が所定値を超えている場合、リスト作成部76は、感光体ドラム31又は中間転写ベルト37の交換時期が近づいていると判断し、感光体ドラム31又は中間転写ベルト37に対応する部品順位53cを高く設定する。このようにリスト作成部76は、例えば各部品の交換時期への到達度に応じて各部品の順位を決定し、部品順位53cに記録する。
またリスト作成部76は、過去における部品の異常発生回数が多い程、その部品の部品順位53cを高く設定するようにしても良い。例えば画像処理装置2の設置環境などによっては特定の部品の故障発生率が高くなることがある。そのため、部品の異常発生回数に応じて部品順位53cを設定することにより、設置環境などに適した順位を設定することができるようになる。
またリスト作成部76は、総合順位53dを決定するとき、例えば各部品の部品順位53cの平均値を求め、その平均値を総合順位53dとして決定しても良い。しかし、画像処理装置2に搭載される部品には、重要な部品とそれ程重要ではない部品とが混在しているため、単に部品順位53cの平均値を求めるだけでは、部品の重要度を反映させた総合順位53dにはならない。そこで、リスト作成部76は、各部品の部品順位53cをその部品の重要度に応じた重み付け演算を行うことにより、総合順位53dを決定することが好ましい。例えば、ある部品が故障すると、画像処理装置2において印刷ジョブを実行することができなくなる場合、その部品の重要度を予め高く設定しておけば、その部品の故障の可能性の変動に応じて画像処理装置2の総合順位53dが大きく変動するようになる。そのため、リスト作成部76が各部品の重要度を反映させた総合順位53dを決定することにより、故障予測リスト53に記録される総合順位53dは、画像処理装置2においてジョブを実行することができなくなる可能性が高いか否かを表す順位となる。
またリスト作成部76は、データ57に含まれるログデータ54に基づいて各画像処理装置2の稼働状態を確認し、利用頻度の少ない画像処理装置2や、一定期間以上稼働していない画像処理装置2の総合順位53dを低く設定するようにしても良い。
上記のようにして故障予測リスト53を作成すると、リスト作成部76は、その故障予測リスト53を記憶装置71へ保存する。リスト作成部76によって拠点ごとに又はローカルネットワーク3ごとに故障予測リスト53が作成される場合、記憶装置71は、複数の故障予測リスト53が保存されることになる。そして記憶装置71に保存される故障予測リスト53は、画像処理装置2からデータ57を受信する度に更新される。
リスト作成部76は、既に故障予測リスト53を作成している状態において、故障予測リスト53に含まれる複数の画像処理装置2のうちの一の画像処理装置2からデータ57を受信した場合には、そのデータ57に基づいて、一の画像処理装置2の順位だけを変更して故障予測リスト53を更新するようにしても良い。すなわち、各画像処理装置2の順位は装置内部の部品の状態によって決定される順位であるため、他の画像処理装置2の順位とは相関がない。そのため、リスト作成部76は、データ57を受信した場合にはそのデータ57を送信した画像処理装置2の順位だけを更新することにより、効率的に故障予測リスト53を更新することができるようになる。
またリスト作成部76は、データ受信部75によって受信されたデータ57が部品の異常状態又は警告状態を示すデータであるか否かを判断する。その判断の結果、データ受信部75によって受信されたデータ57が部品の異常状態又は警告状態を示すデータである場合、リスト作成部76は、通知部78を機能させる。尚、警告状態とは、部品が故障して異常状態となる前の状態である。
リスト送信部77は、リスト作成部76によって故障予測リスト53が作成又は更新される度に、その故障予測リスト53を画像処理装置2へ送信するものである。例えば、リスト作成部76によって拠点ごとの又はローカルネットワーク3ごとの故障予測リスト53が作成又は更新された場合、リスト送信部77は、装置情報58を参照し、故障予測リスト53の送信先となる拠点又はローカルネットワーク3を特定する。そしてリスト送信部77は、その特定した拠点又はローカルネットワーク3に設けられている複数の画像処理装置2に対して故障予測リスト53を送信する。これにより、各画像処理装置2は、サーバー5において故障予測リスト53が作成又は更新される度に、サーバー5から最新の故障予測リスト53を入手することができるようになる。
通知部78は、通知サーバー6への通知を行うものである。すなわち、リスト作成部76によって画像処理装置2の部品が異常状態又は警告状態であると判断されると、通知部78は、異常状態又は警告状態である画像処理装置2及び部品を通知サーバー6へ通知する。これにより、通知サーバー6は、保守点検員7の派遣場所、異常状態若しくは警告状態の画像処理装置2、及び、メンテナンス作業を行うべき部品を把握することが可能であり、保守点検員7に対してメンテナンス作業を行うことを通知することができるようになる。
次に上記構成を有する予測システム1の動作について説明する。図8は、複数の画像処理装置2a,2b,2cが故障予測リスト53を入手するまでの動作の例を示す図である。尚、図8では、複数の画像処理装置2a,2b,2cは、同一のローカルネットワーク3に接続されている場合を例示しており、この点は以下に示す他の動作例でも同様である。
まず図8に示すように、画像処理装置2aは、例えばサーバー5に対して定期送信を行う送信タイミングとなったことを検知すると、装置本体からサーバー5へ送信すべきデータ57を取得し、そのデータ57をサーバー5へ送信する(プロセスP1)。その後、画像処理装置2bは、サーバー5に対して定期送信を行う送信タイミングとなったことを検知すると、装置本体からサーバー5へ送信すべきデータ57を取得し、そのデータ57をサーバー5へ送信する(プロセスP2)。さらにその後、画像処理装置2cは、サーバー5に対して定期送信を行う送信タイミングとなったことを検知すると、装置本体からサーバー5へ送信すべきデータ57を取得し、そのデータ57をサーバー5へ送信する(プロセスP3)。サーバー5は、複数の画像処理装置2a,2b,2cのそれぞれからデータ57を受信すると、複数の画像処理装置2a,2b,2cを順位付けした故障予測リスト53を生成する(プロセスP4)。そしてサーバー5は、故障予測リスト53を、複数の画像処理装置2a,2b,2cのそれぞれに送信する(プロセスP5)。各画像処理装置2a,2b,2cは、サーバー5から故障予測リスト53を受信すると、それを記憶装置51へ保存して管理する。これにより、各画像処理装置2a,2b,2cは、故障予測リスト53における自機の順位を把握することができる。図8の例では、画像処理装置2bの順位(総合順位)が最も低く、順位が「1」である。また画像処理装置2cの順位が最も高く、順位が「3」である。さらに画像処理装置2aは、画像処理装置2b,2cの中間順位であり、その順位が「2」となっている。
次に図9は、画像処理装置2aにおいて送信タイミングであることが検知された場合の動作例を示す図である。上述のように画像処理装置2a,2b,2cの順位がそれぞれ「2」、「1」、「3」であるとき、画像処理装置2aにおいて送信タイミングであることが検知されると(プロセスP10)、画像処理装置2aは、他の画像処理装置2b,2cに対して動作状態を確認するためのリクエストD1を送信する(プロセスP11)。画像処理装置2b,2cは、リクエストD1を受信すると、自機の動作状態を示す回答D2を画像処理装置2aへ送信する。この回答D2には、各画像処理装置2b,2cの詳しい動作状態を示す情報が含まれる。例えば、画像処理装置2b,2cがジョブを実行中である場合、回答D2には、ジョブの種類、ジョブの設定、ジョブの実行量、現在の実行状況、ジョブの終了予測時間、ジョブの実行に伴って動作している部品などを示す情報が含まれる。画像処理装置2aは、他の画像処理装置2b,2cから回答D2を受信すると、それらの回答D2に基づき、他の画像処理装置2b,2cがオン状態であるか否かを判定する。そして画像処理装置2aは、その判定結果に基づいてサーバー5に対するデータ送信の可否を決定する(プロセスP13)。このとき、例えば他の2つの画像処理装置2b,2cがいずれもオフ状態であれば、画像処理装置2aは、今回の送信タイミングにおいてサーバー5へデータ57を送信することを決定する。そして画像処理装置2aは、サーバー5に対してデータ57を送信する(プロセスP14)。
サーバー5は、画像処理装置2aからのデータ57を受信すると、必要に応じて通知サーバー6への通知処理を行う(プロセスP15)。これにより、通知サーバー6によって保守点検員7を派遣するための処理が行われる。またサーバー5は、画像処理装置2aから受信したデータ57に基づいて故障予測リスト53を更新し(プロセスP16)、更新後の故障予測リスト53を複数の画像処理装置2a,2b,2cのそれぞれへ送信する(プロセスP17)。これにより、各画像処理装置2a,2b,2cは、自機において保存している故障予測リスト53を更新する。
図9に示した動作例では、画像処理装置2aが同一のローカルネットワーク3に接続されている全ての画像処理装置2b,2cに対してリクエストD1を送信する。つまり、画像処理装置2aは、故障予測リスト53を参照することなく、全ての画像処理装置2b,2cに対してリクエストD1を送信するため、自機よりも順位の低い画像処理装置2bに対してもリクエストD1を送信することになる。しかし、画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い画像処理装置2cの動作状態だけを確認してデータ送信を行うか否かを決定するようにしても良い。
図10は、画像処理装置2aが自機よりも順位の高い画像処理装置2cの動作状態を確認する動作例を示す図である。上記と同様に、画像処理装置2a,2b,2cの順位がそれぞれ「2」、「1」、「3」であるとき、画像処理装置2aにおいて送信タイミングであることが検知されると(プロセスP20)、画像処理装置2aは、まず故障予測リスト53を参照し(プロセスP21)、故障予測リスト53において総合順位53dが自機よりも高い画像処理装置2cを特定する。そして画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い画像処理装置2cに対して動作状態を確認するためのリクエストD1を送信する(プロセスP22)。このとき、画像処理装置2aは、自機よりも順位の低い画像処理装置2bに対してリクエストD1を送信しない。したがって、画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い画像処理装置2cから動作状態を示す回答D2を受信することができる(プロセスP23)。
画像処理装置2aは、回答D2を受信すると、自機よりも順位が高い画像処理装置2cの動作状態に基づき、サーバー5に対するデータ送信を行うか否かを決定する(プロセスP24)。例えば画像処理装置2bがオフ状態である場合、画像処理装置2aは、今回の送信タイミングにおいてサーバー5へデータ57を送信することを決定する。そして画像処理装置2aは、サーバー5に対してデータ57を送信する(プロセスP25)。したがって、画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い画像処理装置2cがオフ状態であれば、今回の送信タイミングにおいてデータ57を速やかにサーバー5に送信することができる。このとき、画像処理装置2aは、他の画像処理装置2cと同時にデータ送信を行うことがないため、サーバー5に負荷をかけることなく、効率的にデータ送信を行うことが可能である。
図11は、画像処理装置2aが自機よりも順位の高い画像処理装置2cの動作状態を確認する他の動作例を示す図である。上記と同様に、画像処理装置2a,2b,2cの順位がそれぞれ「2」、「1」、「3」であるとき、画像処理装置2aにおいて送信タイミングであることが検知されると(プロセスP30)、画像処理装置2aは、まず故障予測リスト53を参照し、故障予測リスト53において総合順位53dが自機よりも高い画像処理装置2cを特定する(プロセスP31)。画像処理装置2aにおいてこれらのプロセスが進行しているとき、画像処理装置2cにおいてジョブの実行が開始される(プロセスP32)。
画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い画像処理装置2cを動作確認対象として特定すると、画像処理装置2cに対して動作状態を確認するためのリクエストD1を送信する(プロセスP33)。このとき、画像処理装置2cは、ジョブの実行中である。そのため、画像処理装置2cは、ジョブの実行中であることを示す回答D2を生成し、その回答D2を画像処理装置2aへ送信する(プロセスP34)。
画像処理装置2aは、回答D2を受信すると、その回答D2に基づいて画像処理装置2cの動作状態を把握し、サーバー5に対するデータ送信を行うか否かを決定する(プロセスP35)。このとき画像処理装置2cがオン状態であるため、画像処理装置2aは、今回の送信タイミングにおいてサーバー5に対するデータ送信を行わないことを決定する。そして画像処理装置2aは、次の送信タイミングを決定する(プロセスP36)。
その後、画像処理装置2cにおいてジョブの実行が終了する(プロセスP37)。そして画像処理装置2aは、次の送信タイミングとなったときに、上記と同様のプロセスを行うと、画像処理装置2cがオフ状態となっていることを把握するので、サーバー5に対してデータ57を送信する(プロセスP38)。すなわち、画像処理装置2aは、送信タイミングであることを検知したときに、自機よりも順位の高い他の画像処理装置2cがジョブを実行中であって可動部品を動作させている場合には、他の画像処理装置2cにおいて実行されているジョブが終了してからサーバー5に対するデータ送信を行うのである。ただし、他の画像処理装置2cがジョブの終了後にサーバー5に対するデータ送信を行うときには、そのデータ送信の完了後に、画像処理装置2aがデータ送信を開始することが好ましい。これにより、複数の画像処理装置2がサーバー5に対して同時にデータ送信を行うことを防止することができるため、サーバー5の負荷を軽減することができる。
ところで、画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い他の画像処理装置2cにおいてジョブが実行中である場合であっても、そのジョブの実行途中又は実行終了時に、画像処理装置2cに搭載されている部品が警告状態又は異常状態とならないのであれば、自機が優先的にデータ送信を行うようにしても良い。そのため、画像処理装置2aは、他の画像処理装置2cから受信する回答D2に基づき、そのジョブの実行中に動作している可動部品を特定し、その可動部品の部品順位53cが所定順位よりも高いか否かを判断する。その結果、部品順位53cが所定順位よりも高くない場合、画像処理装置2aは、サーバー5に対するデータ送信を行うようにしても良い。
例えば、動作確認部66は、他の画像処理装置2cからの回答D2に基づいて可動部品が動作していると判断した場合、故障予測リスト53を参照することにより、他の画像処理装置2cにおいて動作している可動部品の部品順位53cを特定し、その特定した部品順位53cが所定順位よりも高いか否かを判断する。部品順位53cが所定順位よりも高いということは、部品の交換時期が近づいていることを意味するため、ジョブの実行途中又は実行終了時に当該部品が故障する可能性がある。これに対し、部品順位53cが所定順位よりも高くない場合は、ジョブの実行途中又は実行終了時に当該部品が故障する可能性がない。そのため、動作確認部66によって他の画像処理装置2cで動作している部品の部品順位53cが所定順位よりも高くないと判定されると、送信可否決定部67は、今回の送信タイミングにおいてデータ送信を行うことを決定する。言い換えると、他の画像処理装置2cで動作している部品の部品順位53cが所定順位よりも高くない場合、動作確認部66は、他の画像処理装置2cをオフ状態として判定するのである。
図12は、他の画像処理装置2cにおいて動作している部品の部品順位53cが低い場合の動作例を示す図である。上記と同様に、画像処理装置2a,2b,2cの順位がそれぞれ「2」、「1」、「3」であるとき、画像処理装置2aにおいて送信タイミングであることが検知されると(プロセスP40)、画像処理装置2aは、まず故障予測リスト53を参照し、故障予測リスト53において総合順位53dが自機よりも高い画像処理装置2cを特定する(プロセスP41)。画像処理装置2aにおいてこれらのプロセスが進行しているとき、画像処理装置2cにおいてジョブの実行が開始される(プロセスP42)。
画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い画像処理装置2cを動作確認対象として特定すると、画像処理装置2cに対して動作状態を確認するためのリクエストD1を送信する(プロセスP43)。このとき、画像処理装置2cは、ジョブの実行中である。そのため、画像処理装置2cは、ジョブの実行中であることを示す回答D2を生成し、その回答D2を画像処理装置2aへ送信する(プロセスP44)。
画像処理装置2aは、回答D2を受信すると、その回答D2に基づいて画像処理装置2cの動作状態を把握する。画像処理装置2aは、画像処理装置2cがジョブの実行中であることを把握すると、画像処理装置2cにおいて動作している部品を特定し、故障予測リスト53を参照することにより、その部品の部品順位53cを判定する(プロセスP45)。すなわち、部品順位53cが所定順位よりも高いか否かを判定するのである。その結果、部品順位53cが所定順位よりも高くないと判定すると、画像処理装置2aは、サーバー5にデータ57を送信することを決定する(プロセスP46)。その後、画像処理装置2aは、サーバー5に対してデータ57を送信する(プロセスP47)。これにより、画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い他の画像処理装置2cよりも優先的にサーバー5に対してデータ57を送信することができるようになる。
また他の画像処理装置2cにおいて動作している部品の部品順位53cが所定順位よりも高い場合、画像処理装置2aは、当該部品の動作中又は動作終了時に当該部品が故障する可能性があるか否かを更に判断するようにしても良い。例えば、動作確認部66は、他の画像処理装置2cからの回答D2に基づいて可動部品が動作していると判断した場合、故障予測リスト53を参照することにより、他の画像処理装置2cにおいて動作している可動部品の部品順位53cを特定し、その特定した部品順位53cが所定順位よりも高いか否かを判断する。部品順位53cが所定順位よりも高いということは、部品の交換時期が近づいていることを意味するため、ジョブの実行途中又は実行終了時に当該部品が故障する可能性がある。そのため、動作確認部66は、回答D2に含まれるジョブの詳細情報を参照し、当該部品がジョブの実行途中又は実行終了時に故障する可能性が高いかどうかを判断するのである。
例えば、部品が印刷ジョブの実行時に動作する部品であり、あと500枚の印刷出力を行えば、当該部品が故障する可能性があるとする。この場合、動作確認部66は、回答D2を解析した結果、他の画像処理装置2cにおいて実行されている印刷ジョブが1000枚の印刷出力を行うジョブである場合、当該部品の動作中又は動作終了時に当該部品が故障する可能性があると判断する。これに対し、他の画像処理装置2cにおいて実行されている印刷ジョブが100枚の印刷出力を行うジョブである場合、動作確認部66は、当該部品の動作中又は動作終了時に当該部品が故障する可能性はないと判断する。
そして画像処理装置2aは、上記のような判断の結果に基づき今回の送信タイミングにおいてサーバー5にデータ57を送信するか否かを決定する。例えば、動作確認部66によって、他の画像処理装置2cにおいて動作している部品がその動作中又は動作終了時に故障する可能性がないと判断されると、送信可否決定部67は、今回の送信タイミングにおいて、サーバー5にデータ57を送信することを決定する。
これに対し、動作確認部66によって、他の画像処理装置2cにおいて動作している部品がその動作中又は動作終了時に故障する可能性があると判断されると、送信可否決定部67は、今回の送信タイミングにおいて、サーバー5にデータ57を送信しないことを決定する。この場合、画像処理装置2aは、他の画像処理装置2cがサーバー5に対するデータ送信を完了した後に、データ送信を行うことが好ましい。
図13は、他の画像処理装置2cにおいて動作している部品が故障する可能性がある場合の動作例を示す図である。上記と同様に、画像処理装置2a,2b,2cの順位がそれぞれ「2」、「1」、「3」であるとき、画像処理装置2aにおいて送信タイミングであることが検知されると(プロセスP50)、画像処理装置2aは、まず故障予測リスト53を参照し、故障予測リスト53において総合順位53dが自機よりも高い画像処理装置2cを特定する(プロセスP51)。画像処理装置2aにおいてこれらのプロセスが進行しているとき、画像処理装置2cにおいてジョブの実行が開始される(プロセスP52)。
画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い画像処理装置2cを動作確認対象として特定すると、画像処理装置2cに対して動作状態を確認するためのリクエストD1を送信する(プロセスP53)。このとき、画像処理装置2cは、ジョブの実行中である。そのため、画像処理装置2cは、ジョブの実行中であることを示す回答D2を生成し、その回答D2を画像処理装置2aへ送信する(プロセスP54)。
画像処理装置2aは、回答D2を受信すると、その回答D2に基づいて画像処理装置2cの動作状態を把握する。画像処理装置2aは、画像処理装置2cがジョブの実行中であることを把握すると、画像処理装置2cにおいて動作している部品を特定し、故障予測リスト53を参照することにより、その部品の部品順位53cを判定する(プロセスP55)。すなわち、部品順位53cが所定順位よりも高いか否かを判定するのである。その結果、部品順位53cが所定順位よりも高いと判定すると、画像処理装置2aは、その部品の故障の可能性を判定する(プロセスP56)。すなわち、画像処理装置2aは、他の画像処理装置2cで実行されているジョブを解析し、そのジョブの実行途中又は実行終了時に部品が故障する可能性があるか否かを判定するのである。部品が故障する可能性がある場合、画像処理装置2aは、今回の送信タイミングにおいてサーバー5にデータ57を送信しないことを決定する(プロセスP57)。つまり、他の画像処理装置2cの部品が故障したときに他の画像処理装置2cが即時にデータ送信を開始できるようにするため、画像処理装置2aは、自機のデータ送信を行うことなく、待機する。
その後、画像処理装置2cはジョブの実行を終了させると(プロセスP58)、サーバー5に対してデータ送信を行う。画像処理装置2aは、そのデータ送信が完了するのを待って、自機のデータ57をサーバー5へ送信する(プロセスP59)。この動作例においても、画像処理装置2aは、他の画像処理装置2cと同時にデータ送信を行うことがないため、サーバー5の負荷を上昇させることなく、データ57をサーバー5へ送信することができる。
また他の画像処理装置2cにおいて動作している部品がその動作終了時に故障する可能性がある場合であっても、他の画像処理装置2cにおいて実行されているジョブが長時間を要するジョブである場合、画像処理装置2aは、自機のデータ送信を優先的に行うことができる。例えば、他の画像処理装置2cの部品があと1000枚の印刷出力で故障する可能性があり、他の画像処理装置2cにおいて1000枚の印刷出力を行う印刷ジョブが実行されているとき、送信可否決定部67は、回答D2に含まれるジョブの終了予測時間を取得し、ジョブの実行が終了するまでにサーバー5に対するデータ送信を完了させることが可能であるか否かを判断する。そして送信可否決定部67は、他の画像処理装置2cにおいてジョブの実行が終了するまでの間にサーバー5に対するデータ送信を完了させることができることを条件として、サーバー5に対するデータ送信を行うことを決定する。
図14は、他の画像処理装置2cにおけるジョブの実行が終了するまでの間に画像処理装置2aがデータ送信を行う動作例を示す図である。上記と同様に、画像処理装置2a,2b,2cの順位がそれぞれ「2」、「1」、「3」であるとき、画像処理装置2aにおいて送信タイミングであることが検知されると(プロセスP60)、画像処理装置2aは、まず故障予測リスト53を参照し、故障予測リスト53において総合順位53dが自機よりも高い画像処理装置2cを特定する(プロセスP61)。画像処理装置2aにおいてこれらのプロセスが進行しているとき、画像処理装置2cにおいてジョブの実行が開始される(プロセスP62)。
画像処理装置2aは、自機よりも順位の高い画像処理装置2cを動作確認対象として特定すると、画像処理装置2cに対して動作状態を確認するためのリクエストD1を送信する(プロセスP63)。このとき、画像処理装置2cは、ジョブの実行中である。そのため、画像処理装置2cは、ジョブの実行中であることを示す回答D2を生成し、その回答D2を画像処理装置2aへ送信する(プロセスP64)。
画像処理装置2aは、回答D2を受信すると、その回答D2に基づいて画像処理装置2cの動作状態を把握する。画像処理装置2aは、画像処理装置2cがジョブの実行中であることを把握すると、画像処理装置2cにおいて動作している部品を特定し、故障予測リスト53を参照することにより、その部品の部品順位53cを判定する(プロセスP65)。その結果、部品順位53cが所定順位よりも高いと判定すると、画像処理装置2aは、その部品の故障の可能性を判定する(プロセスP66)。他の画像処理装置2cにおいて動作している部品がジョブの実行終了時に故障する可能性がある場合、画像処理装置2aは、サーバー5に対してデータ57の送信を開始してから完了するまでに要する送信時間を判定する(プロセスP67)。そして画像処理装置2aは、その送信時間と、ジョブの終了予測時間とを比較し、他の画像処理装置2cにおけるジョブの実行が終了するまでの間に自機からサーバー5へのデータ送信を完了させることができる場合に、今回の送信タイミングでデータ送信を行うことを決定する(プロセスP68)。この決定に基づき、画像処理装置2aは、サーバー5へデータ57を送信する(プロセスP69)。
そして画像処理装置2aからサーバー5に対するデータ送信が完了すると、他の画像処理装置2cはジョブの実行を終了する(プロセスP70)。このとき、他の画像処理装置2cにおいて部品が故障して異常が発生すれば、他の画像処理装置2cからサーバー5に対するデータ送信が行われる。
上記のような動作例を採用することにより、複数の画像処理装置2が同時にサーバー5へデータ送信を行う状態をなるべく生じないようにできる。そのため、サーバー5の負荷上昇を抑制することができる。
次に画像処理装置2において行われる動作手順の一例について説明する。図15乃至図18は、画像処理装置2において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば画像処理装置2のCPU50aがプログラム52を実行することによって行われる処理であり、画像処理装置2において一定時間ごとに繰り返し実行される処理である。
画像処理装置2は、この処理を開始すると、まずサーバー5から故障予測リスト53を受信したか否かを判断する(ステップS10)。故障予測リスト53を受信した場合(ステップS10でYES)、画像処理装置2は、その受信した故障予測リスト53を記憶装置51に保存する(ステップS11)。尚、故障予測リスト53を受信していない場合(ステップS10でNO)、ステップS11の処理はスキップする。
次に画像処理装置2は、タイミング判定処理を行う(ステップS12)。図16は、このタイミング判定処理(ステップS12)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。図16に示すように、画像処理装置2は、タイミング処理を開始すると、装置本体の内部からセンサーデータ55及びカウンタデータ56を取得し(ステップS30)、それらのデータを記憶装置51へ保存する(ステップS31)。そして画像処理装置2は、記憶装置51に保存されている、ログデータ54、センサーデータ55及びカウンタデータ56を含むデータ57を判定し(ステップS32)、装置内部の部品に異常が発生しているか否かを判断する(ステップS33)。異常が発生していない場合(ステップS33でNO)、画像処理装置2は、ジョブの実行が終了したタイミングであるか否かを判断する(ステップS34)。ジョブの実行が終了したタイミングでない場合(ステップS34でNO)、画像処理装置2は、サーバー5に対してデータ送信を行うタイミングであるか否かを判断する(ステップS35)。このデータ送信を行うタイミングには、サーバー5に対して定期送信を行うタイミングが含まれる他、例えばサーバー5に対するデータ送信を行わなかった場合にタイミング判定部65によって決定される次の送信タイミングが含まれる。その結果、サーバー5に対してデータ送信を行うタイミングでなかった場合(ステップS35でNO)、画像処理装置2は、現在のタイミングがデータ送信を行うタイミングでないと判定し、タイミング判定処理(ステップS12)を終了する。
一方、異常の発生が検知された場合(ステップS33でYES)、ジョブの実行が終了したタイミングである場合(ステップS34でYES)、或いは、サーバー5に対してデータ送信を行うタイミングである場合(ステップS35でYES)、画像処理装置2は、現在のタイミングがサーバー5に対してデータ送信を行う送信タイミングであると判定する(ステップS36)。以上でタイミング判定処理(ステップS12)が終了する。
図15に戻り、タイミング判定処理(ステップS12)が終了すると、画像処理装置2は、送信タイミングであると判定されたか否かを判断する(ステップS13)。その結果、送信タイミングであると判定されなかった場合(ステップS13でNO)、画像処理装置2による処理は終了する。
これに対し、送信タイミングであると判定された場合(ステップS13でYES)、画像処理装置2は、異常の発生が検知されているか否かを判断する(ステップS14)。異常の発生が検知されていない場合(ステップS14でNO)、画像処理装置2は、故障予測リスト53を読み出し(ステップS15)、自機よりも順位の高い他の画像処理装置2を動作確認対象として特定する(ステップS16)。自機よりも順位の高い全ての画像処理装置2を動作確認対象として特定すると、画像処理装置2は、次に動作確認対象として特定した他の画像処理装置2が所定台数を超えるか否かを判断する(ステップS17)。その結果、動作確認対象である他の画像処理装置2が所定台数を超えている場合(ステップS17でYES)、画像処理装置2は、例えば動作確認対象として特定する順位を1つずつ上げていくことにより、動作確認対象である他の画像処理装置2の台数を所定台数に制限する(ステップS18)。例えば、画像処理装置2は、動作確認対象である他の画像処理装置2の台数を10台程度に絞ることにより、動作確認のために多大な時間を要してしまうことを回避することができる。尚、動作確認対象である他の画像処理装置2が所定台数を超えていない場合(ステップS17でNO)、ステップS18の処理はスキップする。
次に画像処理装置2は、動作確認対象である他の画像処理装置2のそれぞれに対し、動作確認を行うためのリクエストD1を送信し(ステップS19)、他の画像処理装置2のそれぞれから回答D2を受信する(ステップS20)。回答D2を受信すると、画像処理装置2は、動作確認処理を実行する(ステップS21)。
図17は、動作確認処理(ステップS21)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像処理装置2は、動作確認処理(ステップS21)を開始すると、まず動作確認対象として特定された複数の画像処理装置2のうちの1つの画像処理装置2に着目する。そして画像処理装置2は、着目している他の画像処理装置2から受信した回答D2に基づき、他の画像処理装置2の動作状態を確認する(ステップS40)。そして画像処理装置2は、着目している他の画像処理装置2がサーバー5に対してデータ送信を行っている状態であるか否かを判断する(ステップS41)。他の画像処理装置2がデータ送信を行っている場合(ステップS41でYES)、画像処理装置2は、着目している他の画像処理装置2をオン状態の装置として特定する(ステップS42)。
これに対し、着目している他の画像処理装置2がデータ送信を行っていない場合(ステップS41でNO)、画像処理装置2は、次に着目している他の画像処理装置2がジョブの実行中であるか否かを判断する(ステップS43)。他の画像処理装置2がジョブの実行中である場合(ステップS43でYES)、画像処理装置2は、他の画像処理装置2において動作している可動部品を特定する(ステップS44)。また画像処理装置2は、故障予測リスト53を読み出し(ステップS45)、他の画像処理装置2において動作している可動部品の部品順位53cを特定する(ステップS46)。そして画像処理装置2は、他の画像処理装置2において動作している可動部品の部品順位53cが所定順位よりも高いか否かを判断する(ステップS47)。その結果、部品順位53cが所定順位よりも高い場合(ステップS47でYES)、画像処理装置2は、他の画像処理装置2において実行されているジョブを解析し(ステップS48)、そのジョブの実行終了時に故障の可能性があるか否かを判断する(ステップS49)。その結果、故障の可能性があると判断した場合(ステップS49でYES)、画像処理装置2は、故障予測フラグをオンに設定する(ステップS50)。尚、ジョブの実行終了時に故障の可能性がない場合(ステップS49でNO)、ステップS50の処理はスキップする。そして画像処理装置2は、着目している他の画像処理装置2をオン状態の装置として特定する(ステップS42)。
一方、着目している他の画像処理装置2がジョブの実行中でなかった場合(ステップS43でNO)、又は、他の画像処理装置2において動作している可動部品の部品順位53cが所定順位よりも高くない場合(ステップS47でNO)、画像処理装置2は、着目している他の画像処理装置2をオフ状態の装置として特定する(ステップS51)。
その後、画像処理装置2は、動作確認対象として特定された複数の画像処理装置2の全てについてオン状態であるかオフ状態であるかを判別したか否かを判断する(ステップS52)。その結果、未だオン状態であるか否かを判別していない他の画像処理装置2が存在する場合(ステップS52でYES)、画像処理装置2による処理は、ステップS40に戻り、上述した処理を繰り返す。これに対し、動作確認対象として特定された複数の画像処理装置2の全てについてオン状態であるかオフ状態であるかの判別処理を終了した場合(ステップS52でNO)、動作確認処理(ステップS21)が終了する。
図15に戻り、動作確認処理(ステップS21)が終了すると、画像処理装置2は、動作確認対象として特定された他の画像処理装置2の中にオン状態の装置が存在するか否かを判断する(ステップS22)。ここでは、少なくとも1つの装置がオン状態であれば、YESと判断される。オン状態の装置が存在する場合(ステップS22でYES)、画像処理装置2は、送信可否判定処理を実行する(ステップS23)。
図18は、送信可否判定処理(ステップS23)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像処理装置2は、送信可否判定処理(ステップS23)を開始すると、まずオン状態として特定された他の画像処理装置2がサーバー5に対してデータ送信を行っている最中であるか否かを判断する(ステップS60)。他の画像処理装置2がデータ送信を行っている場合(ステップS60でYES)、画像処理装置2は、今回の送信タイミングにおいてデータ送信を行わないことを決定する(ステップS61)。
これに対し、オン状態として特定された他の画像処理装置2がデータ送信を行っていない場合(ステップS60でNO)、画像処理装置2は、故障予測フラグがオンに設定されているか否かを判断する(ステップS62)。故障予測フラグがオフである場合(ステップS62でNO)、画像処理装置2は、今回の送信タイミングにおいてデータ送信を行わないことを決定する(ステップS61)。
また故障予測フラグがオンである場合(ステップS62でYES)、画像処理装置2は、故障予測フラグをオフにする(ステップS63)。そして画像処理装置2は、他の画像処理装置2において実行されているジョブの実行終了時間を予測し(ステップS64)、自機がサーバー5に対してデータ送信を行う場合のデータ送信時間を見積もる(ステップS65)。そして画像処理装置2は、他の画像処理装置2においてジョブの実行が終了するまでに自機のデータ送信を完了させることができるか否かを判断する(ステップS66)。その結果、他の画像処理装置2においてジョブの実行が終了するまでに自機のデータ送信を完了させることができない場合(ステップS66でNO)、画像処理装置2は、今回の送信タイミングにおいてデータ送信を行わないことを決定する(ステップS61)。これに対し、他の画像処理装置2においてジョブの実行が終了するまでに自機のデータ送信を完了させることができる場合(ステップS66でYES)、画像処理装置2は、今回の送信タイミングにおいてデータ送信を行うことを決定する(ステップS67)。したがって、他の画像処理装置2がオン状態であっても、所定の条件を満たしている場合には、画像処理装置2が今回の送信タイミングにおいてデータ送信を行うことを決定することがある。以上で送信可否判定処理(ステップS23)が終了する。
再び図15に戻り、画像処理装置2は、送信可否判定処理(ステップS23)が終了すると、サーバー5に対してデータ57を送信することが決定されたか否かを判断する(ステップS24)。データ57を送信することが決定された場合(ステップS24でYES)、画像処理装置2は、データ57をサーバー5へ送信する(ステップS25)。この場合、画像処理装置2は、他の画像処理装置2においてジョブの実行が終了までの間にサーバー5に対するデータ送信を完了させることが可能である。
また送信タイミングであると判定されたときに異常の発生が検知されている場合(ステップS14でYES)、画像処理装置2は、データ57をサーバー5へ送信する(ステップS25)。この場合、画像処理装置2は、他の画像処理装置2の動作状態を確認することなく、サーバー5に対するデータ送信を開始することになる。部品などに異常が発生していると画像処理装置2においてジョブの実行ができないため、異常が発生しているときのデータ57は最も緊急度の高いデータである。そのため、画像処理装置2は、他の画像処理装置2の動作状態を確認することなく、緊急度の高いデータ57を速やかにサーバー5へ送信するのである。ただし、画像処理装置2は、他の画像処理装置2の動作状態を確認することなく、データ送信を行うと、他の画像処理装置2と同時にサーバー5へデータ送信を行う事態が発生する可能性がある。これを防止するためには、他の画像処理装置2がサーバー5へデータ送信を行っていないことだけを確認してからデータ57をサーバー5へ送信するようにしても良い。
また動作確認対象として特定された他の画像処理装置2の中にオン状態の装置が存在しない場合(ステップS22でNO)、画像処理装置2は、データ57をサーバー5へ送信する(ステップS25)。この場合、他の画像処理装置2からサーバー5に対するデータ送信が行われる可能性がないため、画像処理装置2は、サーバー5の負荷を上昇させることなく、効率的にデータ57を送信することができる。
また今回の送信タイミングではサーバー5へのデータ送信を行わないことが決定された場合(ステップS24でNO)、画像処理装置2は、次の送信タイミングを決定する(ステップS26)。すなわち、画像処理装置2は、今回の送信タイミングから5分後などの、所定時間が経過したタイミングを次の送信タイミングとして決定する。したがって、今回の送信タイミングにおいてサーバー5へのデータ送信が行われなかったとしても、所定時間が経過すると次の送信タイミングとなり、サーバー5へのデータ送信を行うことができるようになる。
画像処理装置2は、上記のような処理を行うことにより、サーバー5に対してデータ送信を行う送信タイミングにおいてデータ57をサーバー5へ送信するとき、他の画像処理装置2と同時にデータ送信を行ってしまう可能性を低減することができる。そのため、サーバー5に対して一時にデータ送信が集中してしまうことを抑制することが可能であり、サーバー5の負荷を軽減することができるようになる。
特に画像処理装置2は、故障となる可能性が高い順に、或いは、部品の交換時期が近づいている順に、複数の画像処理装置2が順位付けされた故障予測リスト53をサーバー5から取得して保存しており、送信タイミングであることを検知すると、その故障予測リスト53を参照して自機と同じ順位又は自機よりも高い順位の他の画像処理装置2の動作状態を確認し、他の画像処理装置2からデータ送信が行われないことを確認してからサーバー5にデータ57を送信する。そのため、画像処理装置2は、自機と同じ順位又は自機よりも高い順位の他の画像処理装置2からデータ送信が行われない状態でサーバー5にデータ57を送信することが可能であり、サーバー5の負荷を上げることなく、効率的にデータ送信を行うことが可能である。
尚、画像処理装置2は、自機よりも順位の低い他の画像処理装置2の動作状態を確認することなく、サーバー5へのデータ送信を開始してしまうと、自機よりも順位の低い他の画像処理装置2が既にデータ送信を行っているときにはサーバー5に対して一時的に大きな負荷をかけてしまう可能性がある。これを防止するためには、例えば画像処理装置2は、送信タイミングであることを検知した場合に、さらに自機よりも順位の低い他の画像処理装置2がサーバー5に対してデータ送信を行っていないことを確認するようにしても良い。この場合、画像処理装置2は、自機よりも順位の低い他の画像処理装置2がサーバー5に対してデータ送信を行っていないことを付加的条件として、サーバー5にデータ57を送信することを決定するようにすれば良い。
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、データ送信部68がサーバー5に対してデータ57を送信するときには、前回送信したデータ57から変動しているデータだけを抽出してサーバー5へ送信するようにしても良い。
また上記実施形態では、画像処理装置2がMFPなどによって構成され、スキャン機能、プリント機能、コピー機能などの複数の機能を備える場合を例示した。しかし、画像処理装置2は、必ずしもスキャン機能、プリント機能、コピー機能などの複数の機能を備えるものに限られない。例えば、画像処理装置2は、スキャン機能のみを備えたスキャナであっても良いし、プリント機能のみを備えたプリンタであっても構わない。また画像処理装置2は、スキャン機能やプリント機能以外の他の画像処理機能を備えたものであっても構わない。
また上記実施形態では、CPU50aによって実行されるプログラム52は画像処理装置2に予めインストールされている場合を例示した。しかし、プログラム52は、画像処理装置2に予めインストールされているものに限られず、それ単独で取引の対象となるものであっても構わない。その場合、プログラム52は、インターネットなどを介してユーザー自身がダウンロードする形態で画像処理装置2に提供されるものであっても良いし、CD-ROMやUSBメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で画像処理装置2に提供されるものであっても構わない。またサーバー5に記憶されるプログラム59についても同様である。