JP7000876B2 - プレス製品の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、略U字状に構成された本体部に負角状に形成されたフランジ部が設けられたプレス製品の製造方法に関する。
負角状に形成されたフランジ部(以下、負角フランジ部という。)を有するプレス製品の製造法として、例えば、特許文献1に記載の発明では、本体部成形工程の終了後、フランジ成形工程が施工される。
本体部成形工程では、金属板にプレス加工が施されて略U字状に構成された本体部が成形される。フランジ成形工程では、本体部成形工程が施された金属板(以下、ワーク)の保持角度が変更される角度変更工程が実行された後、当該ワークにプレス加工が施されて負角フランジ部が成形される。
負角フランジ部が成形される前に、角度変更工程が実行される理由は、以下の通りである。
すなわち、プレス加工は、少なくとも第1金型及び第2金型にて金属板を挟み込むように押圧して当該金属板を所定の形状に成形する加工である。例えば、第1金型が本体部内に位置するプレス加工においては、負角フランジ部は、第1金型側に突出した形状となる。
このため、第1金型及び第2金型では、負角フランジ部を成形することができない。さらに、負角フランジ部は、第1金型側に突出した形状であるので、負角フランジ部を成形するための金型(以下、第3金型という。)を、第1金型と同一の方向から金属板に押圧することができない。
そこで、特許文献1に記載の発明では、特許文献1の図6に示されるように、角度変更工程が実行されたワークに第3金型を押し当てることにより、負角フランジ部を成形している。
特許第5560798号公報
本願は、略U字状に構成された本体部に負角フランジ部が設けられたプレス製品の製造方法において、角度変更工程を廃止可能な製造方法の一例を開示する。
プレス製品の製造方法は、例えば、金属板(P)を折り曲げて負角フランジ部(6)を成形し、かつ、当該金属板(P)の第1折曲部(B3)及び第2折曲部(B4)を折り曲げることにより、第1板状部(3)、第1境界部(B1)、第2板状部(4)及び第2境界部(B2)を成形するフランジ成形工程と、フランジ成形工程により成形された金属板(P)をプレス製品の形状に仕上げる仕上げ工程とを少なくとも備え、フランジ成形工程では、第1折曲部(B3)が第3折曲部(B5)に対して負角フランジ部(6)と反対側に位置するように第3折曲部(B5)が折り曲げられることが望ましい。これにより、プレス製品を製造する者は、角度変更工程を廃止することができ得る。
なお、略U字状に構成された本体部(2)は、空間を介して互いに対向する第1板状部(3)及び第2板状部(4)、並び第1板状部(3)と第2板状部(4)とを繋ぐとともに、当該第1板状部(3)及び当該第2板状部(4)に対して交差した方向に延びる第3板状部(5)を有する。
負角フランジ部(6)は、第1板状部(3)のうち本体部(2)の開口側に位置する端部から第2板状部(4)側に延出している。第1境界部(B1)は、第1板状部(3)と第3板状部(5)との境界部である。
第2境界部(B2)は、第2板状部(4)と第3板状部(5)との境界部である。第1折曲部(B3)は、金属板(P)のうち第1境界部(B1)に相当する位置である。第2折曲部(B4)は、金属板(P)のうち第2境界部(B2)に相当する位置である。
第3折曲部(B5)は、金属板(P)のうち第1折曲部(B3)から第2折曲部(B4)側に負角余弦寸法(L1)以上ずれた位置である。負角余弦寸法(L1)は、第1板状部(3)に直交する仮想面に投影された負角フランジ部(6)と第1板状部(3)との境界部から当該仮想面に投影された負角フランジ部(6)の先端までの寸法である。
なお、当該製造方法は、以下の方法であってもよい。
すなわち、仕上げ工程においては、第3折曲部(B5)の折り曲げ形状を消失させて当該第3折曲部(B5)を平板状に成形するフランジ戻し工程が施工されることが望ましい。これにより、当該プレス製品には、第3折曲部(B5)にショックラインが残存する。
フランジ成形工程は、金属板(P)が折り曲げられて負角フランジ部(6)が成形されるプレフランジ成形工程、及び第1折曲部(B3)が折り曲げられて第1境界部(B1)が成形される境界成形工程を少なくとも備え、プレフランジ成形工程の終了後、境界成形工程が施工されることが望ましい。これにより、プレス製品を製造する者は、角度変更工程を確実に廃止することができ得る。
フランジ成形工程は、第3折曲部(B5)が折り曲げられるフランジ持ち上げ工程を少なくとも備えており、フランジ持ち上げ工程は、プレフランジ成形工程の終了後に施工されることが望ましい。これにより、プレス製品を製造する者は、角度変更工程をより確実に廃止することができ得る。
上記においては、フランジ持ち上げ工程は、プレフランジ成形工程の終了後、境界成形工程が施工される前に施工されることが望ましい。
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
実施形態に係るフレームを示す図である。 実施形態に係るフレームを示す図である。 実施形態に係るプレス成形方法の説明図である。 実施形態に係るプレス成形方法の説明図である。 実施形態に係るプレス成形方法の説明図である。 実施形態に係るプレス成形方法の説明図である。
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート(以下、乗物用シートという。)に用いられるフレームの製造方法に適用された例である。各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。したがって、本願に係る発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
(第1実施形態)
1.製造対象物(プレス製品)の概要
図1に示されるフレーム1は、乗物用シートの骨格の一部を構成する部材である。なお、本実施形態に係るフレーム1は、シートバック(図示せず。)のサイドフレームを構成する。
フレーム1は、プレス成形法により成形されプレス製品の一例である。つまり、当該フレーム1は、図2に示される1枚の金属板P(図2参照)が当該金属板Pの厚み方向から押圧されることにより、当該金属板Pが折り曲げられてプレス成形されたプレス製品である。
フレーム1の断面形状は、略U字状又は略コの字状に構成された本体部2、第1負角フランジ部6、及び第2負角フランジ部7等を少なくとも有して構成されている。
本体部2は、第1板状部3、第2板状部4及び第3板状部5等を少なくとも有している。第1板状部3と第2板状部4とは、空間を介して互いに対向する壁状の部位を構成する。
第3板状部5は、第1板状部3と第2板状部4とを繋ぐとともに、第1板状部3及び第2板状部4に対して交差した方向(本実施形態では、直交した方向)に延びる壁状の部位を構成する。
第1負角フランジ部6は、第1板状部3のうち本体部2の開口8側に位置する端部から第2板状部4側に延出したフランジ部である。第2負角フランジ部7は、第2板状部4のうち開口8側に位置する端部から第1板状部3側に延出したフランジ部である。
なお、第1負角フランジ部6と第1板状部3とのなす角θ1、及び第2負角フランジ部7と第2板状部4とのなす角θ2は、0より大きい角度であればよく、その角度は不問である。つまり、θ1及びθ2が、例えば90度であってもよい。
2.プレス成形方法
2.1 プレス成形方法の概要
本実施形態に係るプレス成形方法では、フランジ成形工程及び仕上げ工程とを少なくとも備える。
<フランジ成形工程>
フランジ成形工程は、図5に示されるように、金属板Pを折り曲げて第1負角フランジ部6及び第2負角フランジ部7を成形し、かつ、当該金属板Pの第1折曲部B3及び第2折曲部B4を折り曲げることにより、第1板状部3、第1境界部B1、第2板状部4及び第2境界部B2を成形する工程である。
フランジ成形工程では、第1折曲部B3が第3折曲部B5に対して第1負角フランジ部6と反対側に位置するように第3折曲部B5が折り曲げられ、かつ、第2折曲部B4が第4折曲部B6に対して第2負角フランジ部7と反対側に位置するように第4折曲部B6が折り曲げられている。
第1境界部B1は、図2に示されるように、第1板状部3と第3板状部5との境界部である。第2境界部B2は、第2板状部4と第3板状部5との境界部である。第1折曲部B3は、金属板Pのうち第1境界部B1に相当する位置である。第2折曲部B4は、金属板Pのうち第2境界部B2に相当する位置である。
第3折曲部B5は、金属板Pのうち第1折曲部B3から第2折曲部B4側に第1負角余弦寸法L1以上ずれた位置である。第1負角余弦寸法L1は、第1板状部3に直交する仮想面に投影された第1負角フランジ部6と第1板状部3との境界部から当該仮想面に投影された第1負角フランジ部6の先端までの寸法である。
第4折曲部B6は、金属板Pのうち第2折曲部B4から第1折曲部B3側に第2負角余弦寸法L2以上ずれた位置である。第2負角余弦寸法L2は、上記仮想面に投影された第2負角フランジ部7と第2板状部4との境界部から当該仮想面に投影された第2負角フランジ部7の先端までの寸法である。
なお、図2では、第1板状部3の延長線と第3板状部5の延長線との交点が第1折曲部B3として図示され、第2板状部4の延長線と第3板状部5の延長線との交点が第2折曲部B4として図示されている。
しかし、プレス成形では、金属板Pが折り曲げられたときに、当該金属板Pが延びるように塑性変形する。さらに、第1境界部B1及び第2境界部B2の曲率半径は、プレス成形時(折り曲げ時)に金属板Pが破断しない程度の曲率半径以上とする必要がある。
したがって、第1折曲部B3の位置、及び第2折曲部B4の位置は、図2に示された位置に限定されるものではない。同様に、第3折曲部B5及び第4折曲部B6の位置も図22に示された位置に限定されるものではない。
すなわち、第1折曲部B3の位置が図2と異なる場合には、第3折曲部B5のずれ寸法が第1負角余弦寸法L1未満となる場合もあり得る。同様に、第2折曲部B4の位置が図2と異なる場合には、第4折曲部B6のずれ寸法が第2負角余弦寸法L2未満となる場合もあり得る。
<仕上げ工程>
仕上げ工程は、フランジ成形工程が終了した後に施行される工程である。具体的には、当該仕上げ工程は、フランジ成形工程により成形された金属板Pをフレーム1の形状に仕上げる工程である。
2.1 プレス成形方法の詳細
本実施形態に係るプレス成形方法では、概ね、図3→図4→図5→図6の順に金属板Pに曲げ加工が施行されていく。フランジ成形工程は、プレフランジ成形工程(図3参照)、フランジ持ち上げ工程(図4参照)及び境界成形工程(図5参照)を少なくとも備えている。
<プレフランジ成形工程>
プレフランジ成形工程では、図3に示されるように、平板状の金属板Pが折り曲げられて第1負角フランジ部6及び第2負角フランジ部7が成形される。プレフランジ成形工程を施行するためのプレス装置は、平板状の金属板Pを厚み方向から押圧するプレス金型Pm1、Pm2等を有して構成されている。
<フランジ持ち上げ工程>
フランジ持ち上げ工程は、プレフランジ成形工程の終了後に施工される工程である。当該フランジ持ち上げ工程では、図4に示されるように、第3折曲部B5及び第4折曲部B6が折り曲げられる。フランジ持ち上げ工程を施行するためのプレス装置は、金属板Pを厚み方向から押圧するプレス金型Pm3、Pm4等を有して構成されている。
<境界成形工程>
境界成形工程は、プレフランジ成形工程の終了後に施工される工程である。当該境界成形工程では、図5に示されるように、第1折曲部B3が折り曲げられて第1境界部B1が成形され、かつ、第2折曲部B4が折り曲げられて第2境界部B2が成形される。境界成形工程を施行するためのプレス装置は、金属板Pを厚み方向から押圧するプレス金型Pm5、Pm6等を有して構成されている。
<仕上げ工程>
仕上げ工程では、図6に示されるように、第3折曲部B5及び第4折曲部B6の折り曲げ形状を消失させて第3折曲部B5及び第4折曲部B6を平板状に成形するフランジ戻し工程が施工される。フランジ戻し工程を施行するためのプレス装置は、金属板Pを厚み方向から押圧するプレス金型Pm7、Pm8等を有して構成されている。
3.本実施形態に係るプレス成形方法の特徴
本実施形態に係るプレス成形方法では、概ね、図3→図4→図5→図6の順に金属板Pに曲げ加工が施行されていく。これにより、フレーム1を製造する者は、角度変更工程を廃止することができ得る。
すなわち、本実施形態に係るプレス成形方法では、第1負角フランジ部6及び第2負角フランジ部7、並びに第1境界部B1及び第2境界部B2を成形した後、略U字状の本体部2を成形することにより、角度変更工程を設けることなく、プレス金型Pm5、Pm7等と第1負角フランジ部6及び第2負角フランジ部7との干渉を回避している。
したがって、第1負角余弦寸法L1及び第2負角余弦寸法L2とは、プレス金型Pm5、Pm7等と第1負角フランジ部6及び第2負角フランジ部7との干渉を回避することが可能な寸法と定義することもできる。
なお、フランジ戻し工程が施工されると、第3板状部5のうち第3折曲部B5及び第4折曲部B6にはショックラインが残存する。つまり、ショックラインは、フランジ成形工程が施行されたことを示すものである。
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るプレス成形方法は、第2負角フランジ部7を有するフレーム1に適用されたものであった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記プレス成形方法は、第2負角フランジ部7を有していないフレーム1にも適用可能である。
上述の実施形態に係るプレス成形方法は、乗物用シートのシートフレームの製造方法に適用されたものであった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該プレス成形方法は、負角フランジ部及び略U字状の本体部を有する部材であれば、その他の物にも適用可能である。
上述の実施形態に係るプレス成形方法は、順送にて連続的に複数のフレーム1をプレス成形する方法は勿論のこと、順送以外のプレス成形にも適用可能である。
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
1… フレーム 2… 本体部 3… 第1板状部 4… 第2板状部
5… 第3板状部 6… 第1負角フランジ部 7… 第2負角フランジ部
P… 金属板 B3… 第1折曲部 B4… 第2折曲部
B1… 第1境界部 B2… 第2境界部 B5… 第3折曲部
B6… 第4折曲部 L1… 第1負角余弦寸法 L2… 第2負角余弦寸法

Claims (4)

  1. 略U字状に構成された本体部であって、空間を介して互いに対向する第1板状部及び第2板状部、並び前記第1板状部と前記第2板状部とを繋ぐとともに、当該第1板状部及び当該第2板状部に対して交差した方向に延びる第3板状部を有する本体部と、
    前記第1板状部のうち前記本体部の開口側に位置する端部から前記第2板状部側に延出した負角フランジ部とを備えるプレス製品の製造に適用され、
    1枚の金属板を当該金属板の厚み方向から押圧することにより、当該金属板を折り曲げて当該プレス製品をプレス成形するプレス製品の製造方法において、
    前記第1板状部に直交する仮想面に投影された前記負角フランジ部と前記第1板状部との境界部から当該仮想面に投影された前記負角フランジ部の先端までの寸法を負角余弦寸法とし、
    前記第1板状部と前記第3板状部との境界部を第1境界部とし、前記第2板状部と前記第3板状部との境界部を第2境界部とし、前記金属板のうち前記第1境界部に相当する位置を第1折曲部とし、前記金属板のうち前記第2境界部に相当する位置を第2折曲部とし、
    前記金属板のうち前記第1折曲部から前記第2折曲部側に前記負角余弦寸法以上ずれた位置を第3折曲部としたとき、
    前記金属板を折り曲げて前記負角フランジ部を成形し、かつ、当該金属板の前記第1折曲部及び前記第2折曲部を折り曲げることにより、前記第1板状部、前記第1境界部、前記第2板状部及び前記第2境界部を成形するフランジ成形工程と、
    前記フランジ成形工程により成形された金属板を前記プレス製品の形状に仕上げる仕上げ工程とを少なくとも備え、
    前記フランジ成形工程では、前記第1折曲部が前記第3折曲部に対して前記負角フランジ部と反対側に位置するように前記第3折曲部が折り曲げられ
    前記フランジ成形工程は、
    前記金属板が折り曲げられて前記負角フランジ部が成形されるプレフランジ成形工程、及び、
    前記第1折曲部が折り曲げられて前記第1境界部が成形される境界成形工程を少なくとも備え、
    前記プレフランジ成形工程の終了後、前記境界成形工程が施工されるプレス製品の製造方法。
  2. 前記フランジ成形工程は、前記第3折曲部が折り曲げられるフランジ持ち上げ工程を少なくとも備えており、
    前記フランジ持ち上げ工程は、前記プレフランジ成形工程の終了後に施工される請求項に記載のプレス製品の製造方法。
  3. 前記フランジ持ち上げ工程は、前記プレフランジ成形工程の終了後、前記境界成形工程が施工される前に施工される請求項に記載のプレス製品の製造方法。
  4. 前記仕上げ工程においては、前記第3折曲部の折り曲げ形状を消失させて当該第3折曲部を平板状に成形するフランジ戻し工程が施工される請求項1から3までのいずれか一項に記載のプレス製品の製造方法。
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