JP6094699B2 - プレス成形品の製造方法、プレス成形品及びプレス装置 - Google Patents

プレス成形品の製造方法、プレス成形品及びプレス装置 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形品の製造方法、プレス成形品及びプレス装置に関する。
自動車の車体は、多数の成形パネルの縁部同士を重ね合わせて、スポット溶接により接合して箱体とし、この箱体の要所に構造部材をスポット溶接により接合することにより、組み立てられる。例えば、自動車の車体の側部(ボディサイド)には、構造部材として、フロアパネルの両側部に接合されるサイドシル、サイドシルの前部に上方へ向けて立設されるAピラーロアー及びAピラーアッパー、Aピラーアッパーの上端部に接合されるルーフレール、更には、サイドシル及びルーフレールを接合するBピラー等が用いられる。
Aピラーロアー、Aピラーアッパー、ルーフレール等の構造部材の構成要素(例えば、それぞれのアウターパネル)は、一般的に、長手方向へ延びて存在する天板と、この天板の両側にそれぞれつながる2つの凸稜線部と、これら2つの凸稜線部にそれぞれつながる2つの縦壁と、これら2つの縦壁にそれぞれつながる2つの凹稜線部と、これら2つの凹稜線部にそれぞれつながる2つのフランジとからなる略ハット型の横断面形状を有することが多い。
上述の構成要素は、比較的複雑な横断面形状を有するとともに長尺である。そこで、製造コストの上昇を抑制するために、上述の構成要素は、一般的に、冷間でのプレス成形により製造されている。また、燃費向上のための車体の軽量化及び強度向上を両立するために、上述の構造部材として、例えば、引張強度が440MPa以上の高張力鋼板を用いる薄肉化も推進されている。
しかし、高張力鋼板のブランクを冷間でのプレス成形により、例えば、ルーフレールアウターパネル(以下、ルーフ部材という。ルーフ部材とは、自動車の構造部材である。)のような、長手方向に湾曲している構成要素を製造しようとすると、プレス型から離型の際にスプリングバックが発生して、天板にねじれが生じるおそれがある。その結果、ルーフ部材を所望の形状に成形できないという形状凍結性の問題が生じる。
例えば、特許文献1には、長手方向へ均一なハット型の横断面を有するプレス成形品を製造する際に、段差を付与することにより口開きの発生を抑制して形状凍結性を高める発明が開示されている。
また、特許文献2には、天板、縦壁及びフランジを有し、長手方向に湾曲するプレス成形品を製造する際に、1工程目で形成したフランジを2工程目で曲げ戻してフランジの残留応力を低減することで形状凍結性を高める発明が開示されている。
特開2004−31423号公報 特許第5382281号明細書
特許文献1により開示された発明により、例えば、Aピラーロアー、Aピラーアッパー及びルーフレールの構成部材の構成要素のように、その長手方向に湾曲した形状のプレス成形品を製造すると、離型後のスプリングバックにより湾曲壁に曲がりが生じ、所望の形状に成形できない。
特許文献2により開示された発明により、長手方向及び高さ方向へ湾曲するとともに長手方向中心付近に屈曲部を有するプレス成形品を製造すると、フランジの残留応力、縦壁及び天板の面内の残留応力並びに縦壁及び天板の面内の偏差残留応力が発生する。その結果、プレス成形品には離型後のスプリングバックにより天板側から見た曲がりが生じ、所望の形状に成形できない。
本発明は、天板側から見た曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品の製造方法の提供を目的とする。ここで、特定プレス成形品とは、長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、該稜線部から延びた状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる縦壁とを含んで構成されるプレス成形品のことをいう(以下、本明細書において同様とする)。
本発明に係るプレス成形品の製造方法は、長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、該稜線部から延びた状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる縦壁とを含んで構成されるプレス成形品の製造方法であって、前記天板と、前記両端の稜線部と、前記縦壁とを含んで構成され、前記縦壁が互いに対向する側と反対側に突出している段差部が前記天板の長手方向に亘って前記湾曲壁に形成された中間成形品を、ブランクをプレスして成形する第1工程と、前記段差部の突出幅を狭くするように、前記中間成形品をプレスする第2工程と、を含む。
本発明に係るプレス成形品は、長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、該稜線部から延びた状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる縦壁と、を含んで構成され、前記湾曲壁おける前記天板の位置から前記湾曲壁の高さの40%以上離れた部分には、前記天板の長手方向に亘って、前記縦壁が互いに対向する対向側と反対側に前記天板の短手方向の幅の20%以下の突出幅で突出している段差部が形成されており、前記段差部における前記対向側の端部のビッカース硬さの値は、前記段差部における前記反対側の端部のビッカース硬さの値よりも大きい。
本発明に係るプレス装置は、長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、該稜線部から延びた状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる縦壁とを含んで構成され、前記縦壁が互いに対向する側と反対側に突出している段差部が前記天板の長手方向に亘って前記湾曲壁に形成された中間成形品を、ブランクをプレスして成形する第1プレス装置と、前記段差部の突出幅を狭くするように、前記中間成形品をプレスする第2プレス装置と、を備えている。
また、本発明に係るプレス装置は、第1ダイと第1パンチとでブランクをプレスして中間成形品を成形する第1プレス装置と、第2ダイと第2パンチとで前記中間成形品をプレスする第2プレス装置とを備えたプレス装置であって、前記第1ダイには、長尺な第1底面と、該第1底面の短手方向の両端に繋がる第1側面とを含んで構成される長尺な第1溝が形成され、少なくとも前記第1側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第1底面から前記第1溝の深さの40%以上離れた特定深さとされる位置に前記第1底面の短手方向の幅の20%以下の幅の第1段差部が前記第1側面の長手方向に亘って形成された第1湾曲面とされ、前記第1パンチの形状は、型閉じ時に前記第1溝の形状に合わせて嵌る形状である、第1プレス装置と、前記第2ダイには、長尺な第2底面と、該第2底面の短手方向の両端に繋がる第2側面とを含んで構成される長尺な第2溝が形成され、少なくとも前記第2側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第2底面から前記特定深さとされる位置に前記第2側面の長手方向に亘って第2段差部が形成された第2湾曲面とされ、前記第2段差部は、前記第1段差部よりも幅が狭く、かつ、前記第2底面の短手方向に沿った前記第2底面との離間距離が前記第1底面の短手方向に沿った前記第1底面と前記第1段差部との離間距離よりも長く、前記第2パンチの形状は、型閉じ時に前記第2溝の形状に合わせて嵌る形状である、第2プレス装置と、
を備えている。
本発明に係るプレス成形品の製造方法を用いれば、天板側から見た曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品を製造することができる。
本発明に係るプレス成形品は、天板側から見た曲がりが小さい。
本発明に係るプレス装置を用いれば、天板側から見た曲がりの発生が抑制された特定プレス成形品を製造することができる。
第1実施形態のルーフ部材(プレス成形品)を示す上面図である。 第1実施形態のルーフ部材を示す側面図である。 図1Aにおける1C−1C断面図である。 図1Aにおける1D−1D断面図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法における第1工程で用いられる第1プレス装置の金型の斜視図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法における第1工程で用いる第1プレス装置の縦断面図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法における第2工程で用いられる第2プレス装置の金型の斜視図である。 第1実施形態のルーフ部材の製造方法における第2工程で用いる第2プレス装置の縦断面図である。 第1実施形態の第1工程により成形された中間成形品における図1Aの1C−1C断面図である。 第1実施形態の第1工程により成形された中間成形品における図1Aの1D−1D断面図である。 第1実施形態の第2工程を経て製造されたルーフ部材における図1Aの1C−1C断面図である。 第1実施形態の第2工程により成形された中間成形品における図1Aの1D−1D断面図である。 第1実施形態の第1工程により成形された中間成形品における図1Aの1C−1C断面図を詳細に示した断面図である。 第1実施形態の第1工程により成形された中間成形品における図1Aの1D−1D断面図を詳細に示した断面図である。 第1実施形態の第2工程を経て製造されたルーフ部材における図1Aの1C−1C断面図を詳細に示した断面図である。 第1実施形態の第2工程を経て製造されたルーフ部材における図1Aの1D−1D断面図を詳細に示した断面図である。 第1実施形態の第1工程により成形された中間成形品における長手方向中央部の断面図である。 第1実施形態の第1工程により成形された中間成形品における図1Aの1C−1C断面図に相当する部分の断面図である。 第1実施形態の第2工程を経て製造されたルーフ部材における長手方向中央部の断面図である。 第1実施形態の第2工程を経て製造されたルーフ部材における図1Aの1C−1C断面図である。 第1実施形態の第1工程により成形された中間成形品における図1Aの1C−1C断面図であって、縦壁とフランジとがなす角を詳細に示した断面図である。 第1実施形態の第1工程により成形された中間成形品における図1Aの1D−1D断面図であって、縦壁とフランジとがなす角を詳細に示した断面図である。 第1実施形態の第2工程を経て製造されたルーフ部材における図1Aの1C−1C断面図であって、縦壁とフランジとがなす角を詳細に示した断面図である。 第1実施形態の第2工程を経て製造されたルーフ部材における図1Aの1D−1D断面図であって、縦壁とフランジとがなす角を詳細に示した断面図である。 第2実施形態のルーフ部材を示す上面図である。 第2実施形態のルーフ部材を示す側面図である。 図8Aの8C−8C断面図である。 図8Aの8D−8D断面図である。 第2実施形態のルーフ部材の製造方法における第1工程で用いる第1プレス装置の縦断面図である。 第2実施形態のルーフ部材の製造方法における第2工程で用いる第2プレス装置の縦断面図である。 段差部の突出幅の定義を説明する図である。 第1実施形態の中間成形品30の長手方向中央部の縦断面図の一部と、ルーフ部材1の長手方向中央部の縦断面図の一部とを重ねた状態の模式図である。 第1実施形態の第2工程において、金型に中間成形品がセットされて、金型が型閉じする前の状態を示す模式図である。 ねじれ及び曲がりの評価方法を説明するための図である。 第1実施形態の実施例(実施例1〜8)のルーフ部材の曲がりと、比較例(比較例1〜5)のルーフ部材の曲がりとについてのシミュレーションによる評価結果を示す表である。 第2実施形態の実施例(実施例10〜16)のルーフ部材の曲がりと、比較例(比較例6〜10)のルーフ部材の曲がりとについてのシミュレーションによる評価結果を示す表である。 比較例1の縦壁のビッカース硬さについての実験による評価結果を示すグラフである。 実施例4の縦壁のビッカース硬さについての実験による評価結果を示すグラフである。
≪概要≫
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)を、3つの実施形態(第1及び第2実施形態)を例示して説明する。次いで、実施例について説明する。
≪第1実施形態≫
以下、第1実施形態について説明する。まず、本実施形態のルーフ部材(図1A、図1B、図1C及び図1D参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のプレス装置17(図2A、図2B、図3A及び図3B参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のルーフ部材の製造方法について説明する。次いで、本実施形態の作用について説明する。
<ルーフ部材の構成>
まず、本実施形態のルーフ部材1の構成について、図面を参照しつつ説明する。ここで、ルーフ部材1は、プレス成形品及び特定プレス成形品の一例である。
図1A、図1B、図1C及び図1Dに示されるように、ルーフ部材1は、天板2と、2つの凸稜線部3a、3bと、2つの縦壁4a、4bと、2つの凹稜線部5a、5bと、2つのフランジ6a、6bと、を一体的に含んで構成されている、断面形状が略ハット型の長尺部材とされている。ここで、凸稜線部3a、3bは、稜線部の一例である。ルーフ部材1は、一例として、引張強度が1310MPa級の高張力鋼板を素材とする冷間プレス成形品とされている。すなわち、本実施形態のルーフ部材1は、例えば、引張強度が440MPa以上1600MPa以下の高張力鋼板を素材とする冷間プレス成形品とされている。
天板2は、長尺とされている(図1A及び図1B参照)。また、天板2は、(天板2の)上側から見ると、図1Aに示されるように、長手方向に沿って湾曲している。2つの凸稜線部3a、3bは、天板2の短手方向の両端に形成されている。2つの縦壁4a、4bは、それぞれ凸稜線部3a、3bから延びた状態で互いに対向している。すなわち、本実施形態のルーフ部材1は、長尺な天板2と、天板2の短手方向の両端の凸稜線部3a、3bと、凸稜線部3a、3bから延びた状態で互いに対向する縦壁4a、4bと、を含んで構成されている。また、2つの縦壁4a、4bは、図1Aに示されるように、天板2の上側から見て、天板2の長手方向に沿って湾曲している。すなわち、本実施形態の2つの縦壁4a、4bは、それぞれ凸稜線部3a、3bから延びた状態で互いに対向し、少なくとも一方(本実施形態の場合は両方)が天板2の上側から見て湾曲している湾曲壁とされている。ここで、縦壁4a、4bは、湾曲壁の一例である。なお、本実施形態では、一例として、縦壁4aは縦壁4b側(縦壁4b側に対向する側)と反対側に向かって凹状に湾曲し、縦壁4bは縦壁4a側(縦壁4a側に対向する側)と反対側に向かって凸状に湾曲している。
また、本実施形態の天板2の長手方向の垂直な各断面は、一例として、長手方向における各位置で、短手方向に直線状に延びている。すなわち、本実施形態の天板2は、その長手方向における垂直な各断面を見ると、長手方向における各位置で、平坦とされている(図1C及び図1D参照)。また、ルーフ部材1は、図1Bに示されるように、長手方向に亘って、天板2側に凸状に湾曲している。ここで、凸稜線部3aは、図1Dに示されるように、天板2と、縦壁4aとを繋ぐ部分であって、天板2の長手方向に垂直な各断面を見ると、湾曲している部分とされている。図中の2本の一点鎖線は、それぞれ天板2及び縦壁4aに繋がる凸稜線部3aの両端を示している。凸稜線部3bは、一点鎖線による両端の図示を省略するが、天板2と、縦壁4bとを繋ぐ部分であって、天板2の長手方向に垂直な各断面を見ると、湾曲している部分とされている。
また、2つの凹稜線部5a、5bは、それぞれ2つの縦壁4a、4bにおける天板2に繋がっている側と反対側の端部に形成されている。2つのフランジ6a、6bは、それぞれ2つの凹稜線部5a、5bに繋がっている。凹稜線部5aは、一点鎖線による両端の図示を省略するが、縦壁4aと、フランジ6aとを繋ぐ部分であって、天板2の長手方向に垂直な各断面を見ると、湾曲している部分とされている。また、凹稜線部5bは、一点鎖線による両端の図示を省略するが、縦壁4bと、フランジ6bとを繋ぐ部分であって、天板2の長手方向に垂直な各断面を見ると、湾曲している部分とされている。
ルーフ部材1は、図1Aに示されるように、天板2が上側に位置する姿勢で配置された状態において天板2側から見ると、長手方向の一方の端部(前端部)1aから他方の端部(後端部)1bに亘って湾曲している。別の見方をすると、ルーフ部材1は、図1A及び図1Bに示されるように、一方の端部1aを含む第1の部分8と、他方の端部1bを含む第3の部分10と、第1の部分8と第3の部分10とを繋ぐ第2の部分9と、を含んで一体的に構成されているといえる。
ここで、本実施形態では、上面視で(天板2の上側から見ると)、第1の部分8の曲率半径Rが一例として2000(mm)以上9000(mm)以下とされ、第2の部分9の曲率半径Rが一例として500(mm)以上2000(mm)以下とされ、第3の部分10の曲率半径Rが一例として2500(mm)以上9000(mm)以下とされている。また、本実施形態では、図1Bに示されるように、側面視で(天板2の幅方向側から見ると)、第1の部分8の曲率半径Rが一例として3000(mm)以上15000(mm)以下とされ、第2の部分9の曲率半径Rが一例として1000(mm)以上15000(mm)とされ、第3の部分10の曲率半径Rが一例として3000(mm)以上15000(mm)とされている。以上のとおり、第1の部分8の曲率半径Rと、第3の部分10の曲率半径Rとは、第2の部分9の曲率半径Rよりも大きい。
ここで、図1Dに示されるように、凸稜線部3aの天板2側のR開始点(R止まり)の板厚中心、すなわち、天板2の板厚中心から縦壁4aにおける凹稜線部5a側の端(縦壁4aの下端)までの高さを高さhとする。そうすると、縦壁4aには、天板2の板厚中心から高さhの40%以上離れた部分に、長手方向に亘って、段差量a2(mm)の段差部11aが形成されている。また、図1Dに示されるように、凸稜線部3bの天板2側のR開始点(R止まり)の板厚中心、すなわち、天板2の板厚中心から縦壁4bの下端までの高さを高さh’とする。そうすると、縦壁4bには、天板2の板厚中心から高さh’の40%以上離れた部分に、長手方向に亘って、段差量a2’(mm)の段差部11a’が形成されている。本明細書では、天板2の板厚中心を、天板2の高さ方向の位置とする。なお、段差部11a、11a’の突出幅a2、a2’は、天板2の長手方向における各位置で、当該各位置における天板2の短手方向の幅W(図1D参照)の20%以下とされている。
段差部11aの両端のうち天板2に近い側(上側)の部位を凹部11a1、天板2から遠い側(下側)の部位を凸部11a2とする。また、段差部11bの両端のうち天板2に近い側(上側)の部位を凹部11a’1、天板2から遠い側(下側)の部位を凸部11a’2とする。そして、本実施形態では、凸部11a2のビッカース硬さの値は、縦壁4aの長手方向における各位置で、凹部11a1のビッカース硬さの値よりも10(HV)以上小さい(後述する図18参照)。また、凸部11a’2のビッカース硬さの値は、縦壁4bの長手方向における各位置で、凹部11a’1のビッカース硬さの値よりも10(HV)以上小さい(後述する図18参照)。
なお、段差部11a、11a’の両端について一般化すると、以下のように言い換えられる。段差部11aの両端のうち天板2に近い側(上側)の端とされる凹部11a1は縦壁4aの内表面において内表面側に最も大きく凸となる曲率半径を形成する部位、天板2から遠い側(下側)の端とされる凸部11a2は縦壁4aの内表面において外表面側に最も大きく凸となる曲率半径を形成する部位とされている。また、段差部11a’の両端のうち天板2に近い側(上側)の端とされる凹部11a’1は縦壁4bの内表面において内表面側に最も大きく凸となる曲率半径を形成する部位、天板2から遠い側(下側)の端とされる凸部11a’2は縦壁4bの内表面において外表面側に最も大きく凸となる曲率半径を形成する部位とされている。以上より、本実施形態の場合と異なり、縦壁4aの長手方向の垂直な断面を見て、段差部の両端又は両端の何れか一方の端における傾きが45°の部位がない場合であっても、当該段差部の両端は特定されるといえる。
図11は、段差部11a、11a’の突出幅を説明する図である。図11に示されるように、例えば、段差部11aの突出幅a2は、ルーフ部材1の長手方向に垂直の断面を見た場合、天板2の両端を結ぶ仮想線L1(凸稜線部3aと凸稜線部3bとを結ぶ仮想線L1)に対して、凸部11a2を通る垂線L2と凹部11a1を通る垂線L3との離間幅のことをいう。
ルーフ部材1は、図1C及び図1Dに示されるように、フランジ6a、6bの断面形状が長手方向の一方の端部(前端部)1aと他方の端部(後端部)1bとにおいて異なっている。具体的に、縦壁4bに対するフランジ6bの角度は、一方の端部1aでは30°とされ、他方の端部1bでは40°とされている。また、縦壁4aに対するフランジ6a、6bの角度は、それぞれ、長手方向に亘って連続的に変化している。また、天板2の短手方向の幅は、長手方向に亘って前端部1aから後端部1bに亘って連続的に広くなるように変化している。なお、図1A〜図1Dに示されるように、第1の部分8の縦壁4bとフランジ6bとがなす角度は、第3の部分10の縦壁4bとフランジ6bとがなす角度以上であることが好ましい。
以上が、本実施形態のルーフ部材1の構成についての説明である。
<プレス装置の構成>
次に、本実施形態のプレス装置17について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のプレス装置17は、本実施形態のルーフ部材1を製造するためのものである。プレス装置17は、図2A、図2B、図3A及び図3Bに示されるように、第1プレス装置18と、第2プレス装置19と、を含んで構成されている。本実施形態のプレス装置17では、第1プレス装置18を用いてブランク25(図2B参照)を絞り加工によりプレス成形して中間成形品30(図3B参照)を成形し、次いで、第2プレス装置19により中間成形品30をプレス成形して、製品、すなわち、ルーフ部材1を製造するようになっている。なお、ブランク25は、ルーフ部材1を製造するための基材である長尺の高張力鋼板とされている。
ここで、中間成形品30は、図3Bに示されるように、天板2と、2つの稜線部32a、32bと、2つの縦壁33a、33bと、2つの凹稜線部34a、34bと、2つのフランジ35a、35bと、を含んで構成される略ハット型の部材とされている。また、本明細書において、「プレス成形する」とは、成形対象品(例えば、ブランク25、中間成形品30のことをいう。)を金型(例えば、後述する第1金型20、第2金型40のことをいう。)にセットしてから型閉じして型開きをするまでの行為のことをいう。なお、「プレス成形する」とは、成形対象品をプレス(加圧)して成形することを意味する。
[第1プレス装置]
第1プレス装置18は、成形対象品であるブランク25をプレスして、中間成形品30を成形する機能を有する。
第1プレス装置18は、第1金型20と、第1移動装置25と、を含んで構成されている。第1金型20は、図2Bに示されるように、上型(ダイ)21と、下型(パンチ)22と、第1のホルダ23と、第2のホルダ24とを有している。上型21は上側、下型22は下側に配置されている。第1プレス装置18は、ブランク25を中間成形品30に成形する際、ブランク25における天板2が成形される部分を上型21と下型22とで挟んで、ブランク25における天板2が成形される部分を上型21側から下型22側に凹ませるようになっている。
上型21と下型22とは、図2Aに示されるように、それぞれ長尺とされている。上型21と下型22とを、上型21と下型22との対向方向から見ると、下型22は、長手方向に沿って湾曲して突出し、上型21には、下型22に沿って湾曲する溝が形成されている(図2A及び図2B参照)。また、上型21と下型22とを、上型21と下型22との対向方向に直交する方向(上型21及び下型22の短手方向)から見ると、下型22は、上型21側に凸状に湾曲し、上型21には、下型22に沿って湾曲する溝が形成されている(図2A及び図2B参照)。さらに、上型21の溝の底は、長手方向から見ると、下型22側に曲率半径R(mm)で突出し、下型22における上型21の溝の底に対向する部分は、上型21側に曲率半径R(mm)で凹んでいる(図2B参照)。なお、本実施形態の曲率半径R(mm)は、一例として100(mm)とされている。また、上型21は、上型21の短手方向から見ると、溝の底から溝の開口側に向けて(上側から下側に向けて)、溝の幅が連続的に広くなっている。下型22は、下型22の短手方向から見ると、下側から上側に向けて、突出する部分(後述する第1突出部)の幅が連続的に狭くなっている。
また、図2Bに示されるように、下型22を長手方向から見ると、下型22の両側面には、それぞれ段差部22aが形成されている。また、上型21の溝の両側面には、それぞれ段差部22aに沿った段差部21aが形成されている。
第1のホルダ23及び第2のホルダ24は、上型21及び下型22に沿って、長尺とされている。第1のホルダ23と、第2のホルダ24とは、図2Bに示されるように、それぞれ下型22の短手方向の両側に配置されている。また、第1のホルダ23及び第2のホルダ24は、ばね26、27により上側に付勢されている。
第1移動装置25は、上型21を下型22に向けて移動させるようになっている。すなわち、第1移動装置は、上型21を下型22に対して相対的に移動させるようになっている。
そして、上型21と下型22との隙間の定められた位置にブランク25が配置された状態で、第1移動装置が上型21を下型22に向けて移動させると、図2Bに示されるように、ブランク25における短手方向の両端側がそれぞれ第1のホルダ23及び第2のホルダ24と上型21とに挟まれた状態で、ブランク25がプレスされて中間成形品30が成形されるようになっている。なお、中間成形品30の成形に伴い、段差部22aと段差部21aとでブランク25がプレスされることで、縦壁33a、33bにおける天板2の位置から縦壁33a、33bの高さの40%以上離れた部分に、突出幅a1(mm)の段差部11a、11a’が形成されるようになっている(図5A、図5B、図6A及び図6B参照)。なお、上型21の溝の形状及び下型22の突出部(第1突出部)の形状は、前述のとおりであることから、段差部11a、11a’は、天板2の短手方向から見て、天板2側よりも開口側において互いの対向間隔が大きくなるように傾斜している。別の見方をすると、以上のとおり、段差部11a、11a’が天板2側よりも開口側において互いの対向間隔が大きくなるように傾斜していることから、段差部11a、11a’が形成された中間成形品30はプレスにより成形されるといえる。
以上のとおり、第1プレス装置18について説明したが、第1プレス装置18について別の見方をすると、以下のとおりとなる。すなわち、上型21(第1ダイ)には、長尺な底面(第1底面)と、底面の短手方向の両端に繋がる側面(第1側面)とを含んで構成される長尺な溝(第1溝)が形成されている。そして、側面(第1側面)は、型閉じ方向(上型21と下型22との対向方向)から見て湾曲し、底面(第1底面)から溝(第1溝)の深さの40%以上離れた特定深さとされる位置に底面(第1底面)の短手方向の幅の20%以下の幅の第1段差部(一例として段差部11a、11a’)が側面(第1側面)の長手方向に亘って形成された湾曲面(第1湾曲面)とされている。また、下型22(第1パンチ)には、型閉じ時に溝(第1溝)内に合わせて嵌るようになっている。
[第2プレス装置]
第2プレス装置19は、成形対象品である中間成形品30をプレスして、中間成形品30の縦壁33a、33bに形成された突出幅a1の段差部36a、36a’の突出幅を狭くする、すなわち、突出幅a1よりも狭いa2(mm)にする機能を有する。
第2プレス装置19は、第2金型40と、第2移動装置45と、を含んで構成されている。第2金型40は、図3Bに示されるように、上型41と、下型43と、ホルダ42とを有している。上型41は上側、下型43は下側に配置されている。下型43は、ばね46により下側から付勢されている。そして、第2プレス装置19は、下型43に中間成形品30が嵌め込まれた状態で、第2移動装置により上型41を下型43側に移動させて、中間成形品30における2つのフランジ35a、35bの角度を変更するようになっている。
また、図3Bに示されるように、下型43を短手方向から見ると、下型43の両側面には、それぞれ段差部43aが形成されている。また、上型41の溝の両側面には、それぞれ段差部43aに沿った段差部41aが形成されている。段差部43a(41a)の幅(下型43の短手方向における幅)は、第1プレス装置18の段差部22a(21a)の幅よりも狭い。なお、上型41は、上型43の短手方向から見ると、溝の底から溝の開口側に向けて(上側から下側に向けて)、溝の幅が連続的に広くなっている。下型43は、下型43の短手方向から見ると、下側から上側に向けて、突出する部分(後述する第2突出部)の幅が連続的に狭くなっている。
そして、下型43にブランク25が配置された状態で、第1移動装置が上型41を下型43に向けて移動させると、中間成形品30がプレスされてルーフ部材1が成形されるようになっている。なお、中間成形品30の成形に伴い、縦壁33a(33b)における段差部36a(36a’)よりも上側(天板2側)の部分は縦壁33a、33bが互いに対向する側と反対側(外側)に曲げられるとともに、突出幅a1の段差部36a、36a’は突出幅a1よりも狭いa2にされるようになっている。なお、上型41の溝の形状及び下型43の突出部(第2突出部)の形状は、前述のとおりであることから、段差部43a、41aは、天板2の短手方向から見て、天板2側よりも開口側において互いの対向間隔が大きくなるように傾斜している。別の見方をすると、以上のとおり、段差部11a、11a’が天板2側よりも開口側において互いの対向間隔が大きくなるように傾斜していることから、段差部11a、11a’が形成されたプレス成形品1はプレスにより成形されるといえる。
以上のとおり、第2プレス装置19について説明したが、第2プレス装置19について別の見方をすると、以下のとおりとなる。すなわち、上型41(第2ダイ)には、第1プレス装置18の上型21の底面(第1底面)と型閉じ方向から見て、同じ形状の底面(第2底面)と、第2底面の短手方向の両端に繋がる側面(第2側面(とを含んで構成される長尺な溝(第2溝)が形成されている。そして、第2側面は、型閉じ方向(上型41と下型43との対向方向)から見て湾曲し、第2底面から前述の特定深さとされる位置に第2側面の長手方向に亘って第2段差部が形成された第2湾曲面とされている。さらに、第2段差部は、第1プレス装置18の上型21の第1段差部よりも(第1底面又は第2底面の短手方向における)幅が狭く、かつ、第2底面の短手方向に沿った第2底面との離間距離が第1底面の短手方向に沿った第1底面と第1段差部との離間距離よりも長い。また、下型43(第2パンチ)は、型閉じ時に溝(第2溝)の形状に合わせて嵌るようになっている。すなわち、下型43(第2パンチ)の形状は、型閉じ時に溝(第2溝)に合わせて嵌る形状とされている。
以上が、本実施形態のプレス装置17の構成についての説明である。
<ルーフ部材の製造方法>
次に、本実施形態のルーフ部材1の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のルーフ部材1の製造方法は、プレス装置17を用いて行われる。また、本実施形態のルーフ部材1の製造方法は、第1プレス装置18により行われる工程(第1工程)と、第2プレス装置19により行われる工程(第2工程)と、を含む。
[第1工程]
第1工程では、上型21と下型22との隙間の定められた位置にブランク25を配置する。次いで、作業者が第1プレス装置18を操作すると、第1移動装置により上型21が下型22側に移動されて、ブランク25が絞り加工によりプレス成形される。すなわち、第1工程では、上型21と下型22とを用いて成形対象品であるブランク25をプレスする。その結果、ブランク25から中間成形品30が成形される。
具体的に、第1工程では、図5A、図5B、図6A及び図6Bに示されるように、中間成形品30の2つの縦壁33a、33bに、フランジ35a、35bから高さhの60%未満の範囲の部分に下記の式(2)及び式(3)により規定される突出幅a1の段差部36a、36a’が形成される。別言すると、第1工程では、中間成形品30の2つの縦壁33a、33bにおける、天板2の位置から縦壁33a、33bの高さの40%以上離れた部分に、下記の式(2)及び式(3)により規定される突出幅a1の段差部11a、11a’が形成される。すなわち、下記の式(1)より、第1工程で形成される段差部36a、36a’の突出幅a1は、製品とされるルーフ部材1における突出幅a2よりも広く、かつ、ルーフ部材1の天板2の短手方向の幅Wの20%以下の幅とされる。
a1≧a2 ・・・(1)
a1≦0.2W ・・・(2)
ここで、符号a1は中間成形品30における突出幅(mm)、符号a2はルーフ部材1における突出幅(mm)、符号Wはルーフ部材1における天板2の短手方向の幅(mm)を示す。
また、第1工程では、中間成形品3の縦壁33aとフランジ35aとがなす角度DI1が下記の式(3)を満足するように、縦壁33a及びフランジ35aが形成される(図7A及び図7B参照)。
1.0×DI2≦DI1≦1.2×DI2 ・・・(3)
ここで、符号DI1は中間成形品30の縦壁33aとフランジ35aとがなす角度であり、符号DI2はルーフ部材1の縦壁4aとフランジ6aとがなす角度である。
また、第1工程では、下記の式(4)を満足するように、中間成形品30の縦壁33b及びフランジ35bが形成される。
0.9≦DOF1/DOR1≦1 ・・・(4)
ただし、DOF1は中間成形品30の一方の端部を含む縦壁33bとフランジ35bとのなす角度であり、DOR1は中間成形品30の他方の端部を含む縦壁33bとフランジ35bとのなす角度である。
また、第1工程では、ブランク25の材料端を流入させてブランク25を撓ませることにより、中間成形品30における外側のフランジ35bが成形される。
次いで、第1金型20から中間成形品30が取り外されて、第1工程が終了する。
なお、第1金型20が型開きすると(第1工程が終了すると)、中間成形品30における天板2の長手方向における断面は、型閉じ時よりも平坦に近づくように変形した(その曲率半径が大きくなった)状態となる(図4A及び図4B参照)。すなわち、第1工程では、型閉じするまでにブランク25が上側に凸状に変形させ、次いで型閉じ時にブランク25における天板2が形成される部分が下側に凸状となるように変形させ、次いで型開きして中間成形品30が成形されるようになっている。そのため、本実施形態の中間成形品30の天板2及び凸稜線部3a、3bは、上側に塑性変形した後に上側から下側に向けて荷重を受けることで、バウシンガー効果の作用が及ぼされた状態となっている。
[第2工程]
次いで、中間成形品30は、第2プレス装置19の第2金型40の下型43に嵌め込まれる。そして、作業者が第2プレス装置19を操作すると、第2移動装置により上型41が下型43側に移動されて、中間成形品30がプレスされる。すなわち、第2工程では、上型21と下型22とを用いて第1工程で成形されたブランク25をプレスする。その結果、中間成形品30からルーフ部材1が成形される。
具体的に、第2工程では、中間成形品30の2つのフランジ35a、35bの角度が変更される。また、第2工程では、中間成形品30の縦壁33a、33bにおける段差部36a、36a’よりも上側(天板2側)の部分の角度を変えて、段差部36a、36a’の突出幅がa1よりも狭いa2にされる(図6A、図6B、図6C及び図6D、図12参照)。ここで、本実施形態では、図12に示されるように、第1工程で成形された中間成形品30の縦壁33aにおける段差部36aよりも上側の部分は、凸稜線部3a(32a)を軸として縦壁33a、33b同士の対向方向と反対方向(図12における矢印A方向)側に回転する。その結果、中間成形品30は、下型43に拘束されたまま段差部11aの凸部11a2を移動させることなく、上型41によって凹部11a1を矢印A方向側に移動させる。また、図示を省略するが、第1工程で成形された中間成形品30の縦壁33bにおける段差部36bよりも上側の部分は、凸稜線部3b(32b)を軸として矢印A方向と反対側に回転する。その結果、中間成形品30は、段差部11a’の凸部11a2を移動させることなく、凹部11a1を矢印A方向と反対側に移動させる。以上のようにして、第2工程では、中間成形品30の段差部11a、11a’の突出幅a1、a1’を、それぞれ、a1、a1’よりも狭い突出幅a2、a2’にする。なお、図13は、第2工程において、下型43に中間成形品30が嵌め込まれ、第2金型40が型閉じする前の状態を模式的に示している。ここで、縦壁33aの段差部36aよりも上側の部分の天板2に対する角度(傾斜角度)をθ1とすると、上型41及び下型43における縦壁33aの段差部36aよりも上側の部分を挟む部分の角度(傾斜角度)θ2は、θ1よりも大きい。また、図示は省略するが、上型41及び下型43における縦壁33bの段差部36bよりも上側の部分を挟む部分の角度(傾斜角度)は、縦壁33bの段差部36bよりも上側の部分の天板2に対する角度よりも大きい。その結果、本実施形態の第2工程では、中間成形品30の縦壁33a、33bにおける段差部36a、36a’よりも上側(天板2側)の部分の角度を変えて、段差部36a、36a’の突出幅がa1よりも狭いa2にする。また、第2工程では、中間成形品30における縦壁33a及びフランジ35aがルーフ部材1における縦壁4a及びフランジ6aとなるように、中間成形品30がプレスされる(図7A、図7B、図7C及び図7D参照)。また、第2工程では、中間成形品30における縦壁33b及びフランジ35bがルーフ部材1における縦壁4b及びフランジ6bとなるように、中間成形品30がプレスされる(図7A、図7B、図7C及び図7D参照)。
以上が、本実施形態のルーフ部材1の製造方法についての説明である。
<作用>
次に、本実施形態の作用について図面を参照しつつ説明する。
[第1の作用]
一般的に、ブランクをプレスして、上側(天板側)から見ると他方の壁側に凹状に湾曲する湾曲壁を含んで構成される成形品(図示省略)を製造すると、形成された湾曲壁には、圧縮残留応力が発生し易い。そのため、当該成形品における当該湾曲壁の圧縮残留応力が解放されると、当該成形品は、天板側から見て曲がり易い。
本実施形態の場合、第1工程において縦壁33b側に凹状に湾曲する縦壁33aに突出幅a1の段差部36aを形成し(図2B、図4A及び図4B参照)、次いで、第2工程において段差部36aの突出幅をa1からa1よりも狭いa2にする(図3B、図4C及び図4D参照)。なお、第2工程を経て製造されたルーフ部材1において、縦壁33a及び段差部33aは、それぞれ縦壁4a及び段差部11aになる。
そして、本実施形態のルーフ部材1は、後述する比較形態(段差部が形成されていない形態とされる図15の表の比較例1〜4)の場合に比べて、天板2側から見て曲がり難い(曲がり量が少ない)といえる(後述する図15の表の参照)。この理由は以下のメカニズムによると推認される。すなわち、本実施形態の場合、第1工程において縦壁33aに段差部36aが形成されることで縦壁33aが塑性変形される。次いで、第2工程において段差部36aの突出幅が狭くされる。そのため、ルーフ部材1の段差部11aは、第1工程の場合と逆向きの荷重を受けて形成されるため、バウシンガー効果の作用が及ぼされた状態となっていると推認される。
したがって、本実施形態によれば、天板の上側から見て他方の壁側に凹状に湾曲する湾曲壁を含んで構成される成形品の湾曲壁に段差部が形成されていない場合に比べて、ルーフ部材1の曲がりの発生が抑制される。なお、本実施形態の場合、第2工程において、縦壁33aにおける段差部36aよりも天板2側の部分の角度が変えられることで、段差部36aの突出幅が狭くされる。そのため、本実施形態によれば、縦壁33aにおける段差部36aよりも天板2側と反対側(下端側)の部分の角度を変えることなく、ルーフ部材1の曲がりの発生が抑制される。
[第2の作用]
また、一般的に、ブランクをプレスして、上側(天板側)から見ると他方の壁側に凸状に湾曲する湾曲壁を含んで構成される成形品(図示省略)を製造すると、形成された湾曲壁には、引張残留応力が発生し易い。そのため、当該成形品における当該湾曲壁の引張残留応力が解放されると、当該成形品は、天板側から見て曲がり易い。
本実施形態の場合、第1工程において縦壁33a側に凸状に湾曲する縦壁33bに突出幅a1の段差部36a’を形成し(図2B、図4A及び図4B参照)、次いで、第2工程において段差部36a’の突出幅をa1からa1よりも狭いa2にする(図3B、図4C及び図4D参照)。なお、第2工程を経て製造されたルーフ部材1において、縦壁33b及び段差部33bは、それぞれ縦壁4b及び段差部11a’になる。
そして、本実施形態のルーフ部材1は、後述する比較形態(段差部が形成されていない形態とされる図15の表の比較例1〜4)の場合に比べて、曲がり難い(曲がり量が少ない)といえる(後述する図15の表の参照)。この理由は以下のメカニズムによると推認される。すなわち、本実施形態の場合、第1工程において縦壁33bに段差部36a’が形成されることで縦壁33bが塑性変形される。次いで、第2工程において縦壁33bにおける段差部36a’よりも天板2側の部分の角度が変えられて、段差部36a’の突出幅が狭くされる。そのため、ルーフ部材1の段差部11a’は、第1工程の場合と逆向きの荷重を受けて形成されるため、バウシンガー効果の作用が及ぼされた状態となっていると推認される。
したがって、本実施形態によれば、天板の上側から見て他方の壁側に凸状に湾曲する湾曲壁を含んで構成される成形品の湾曲壁に段差部が形成されていない場合に比べて、ルーフ部材1の曲がりの発生が抑制される。
[第3の作用]
前述の第1及び第2の作用では、湾曲壁とされる2つの縦壁4a、4bについてそれぞれ別個に説明した。しかしながら、本実施形態の場合、2つの縦壁4a、4bには、それぞれ第1工程及び第2工程により段差部11a、11a’が形成されている。
そのため、本実施形態の場合、2つの縦壁4a、4bにおけるそれぞれの残留応力が低減され易く、2つの縦壁4a、4b同士の偏差残留応力が低減され易い。その結果、ルーフ部材1の曲がりの発生が抑制される(図15の表参照)。
以上が、本実施形態の作用についての説明である。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態について説明する。まず、本実施形態のルーフ部材1A(図8A、図8B、図8C及び図8D参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のプレス装置17A(図9及び図10参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態のルーフ部材の製造方法について説明する。次いで、本実施形態の作用について説明する。なお、以下の説明では、本実施形態について第1実施形態と異なる部分について説明する。
<ルーフ部材の構成>
まず、本実施形態のルーフ部材1Aの構成について、図面を参照しつつ説明する。ここで、ルーフ部材1Aは、プレス成形品及び特定プレス成形品の一例である。
本実施形態のルーフ部材1A(図8A、図8B、図8C及び図8D)は、フランジ6a、6b(図1A、図1B、図1C及び図1D)を備えていない。本実施形態のルーフ部材1Aは、この点以外、第1実施形態のルーフ部材1と同様の構成とされている。
<プレス装置の構成>
次に、本実施形態のプレス装置17Aについて、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のプレス装置17Aは、本実施形態のルーフ部材1Aを製造するためのものである。
本実施形態の第1プレス装置18A(図9)は、ホルダ23、24(図2B)を備えていない。ここで、第1プレス装置18Aは、プレス装置の一例である。本実施形態のプレス装置17Aは、この点以外、第1実施形態のプレス装置17と同様の構成とされている。ここで、中間成形品30Aは、2つのフランジ35a、35bを備えていない点以外は、第1実施形態の中間成形品30と同様の構成とされている。すなわち、本実施形態の中間成形品30Aは、溝型の部材とされている。
<ルーフ部材の製造方法>
次に、本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法について説明する。本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法は、プレス装置17Aを用いて行われる。また、本実施形態のルーフ部材1Aの製造方法は、第1工程が第1プレス装置18Aにより行われる点以外は、第1実施形態と同様である。なお、本実施形態の場合、第1工程において、ブランク25が曲げ加工によりプレス成形されて、中間成形品30A(図10参照)が成形される。
<作用>
本実施形態の作用は、第1の実施形態の作用と同様である。
以上が、第2実施形態についての説明である。
≪実施例≫
次に、実施例及び比較例の第1及び第2のシミュレーション並びに第3の実験について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、本実施形態及び比較形態で用いた部品等の符号と同様の部品等の符号を用いる場合、その部品等の符号をそのまま用いる。
<第1のシミュレーション>
第1のシミュレーションでは、第1実施形態のルーフ部材の製造方法に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材1(実施例1〜8)と、以下に説明するルーフ部材の製造に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材(比較例1〜5)とについて、前端側及び後端側での曲がりを評価した。具体的には、本シミュレーションにおける評価方法では、コンピュータ(図示省略)を用いて、各実施例(実施例1〜8)のルーフ部材1及び各比較例(比較例1〜5)のルーフ部材についてのデータと、設計データとを比較した。具体的には、天板2の長手方向の中心部分の断面を一致(ベストフィット)させて、設計データにおける前端面(後端面)の中心位置に対する、測定した各データの前端面(後端面)の中心位置の幅方向におけるずれ量を、曲がりとして評価した(図14参照)。
[図15の表についての説明]
図15の表には、実施例1〜8及び比較例1〜5についてのシミュレーションの条件と、評価結果とが記載されている。ここで、図15の表について説明すると、板厚とは、シミュレーションに用いたブランク25の厚みである。強度とは、シミュレーションに用いたブランク25の引張強度である。湾曲内側オフセット量とは、第1工程で形成される段差部36aの突出幅a1から第2工程で狭くされる段差部11aの突出幅a2を引いた値を意味する。湾曲外側オフセット量とは、第1工程で形成される段差部36a’の突出幅a1から第2工程で狭くされる段差部11a’の突出幅a2を引いた値を意味する。評価断面1曲がり(mm)とは前端から中央側に長手方向に10mmの部分の曲がり、評価断面2曲がり(mm)とは後端から中央側に長手方向に10mmの部分の曲がりである。平均曲がり量とは、評価断面1曲がりと評価断面2曲がりとの平均である。
[比較例1〜5のルーフ部材]
比較例1〜4のルーフ部材は、縦壁4a、4bに段差部が形成されていない。具体的には、比較例1〜4のルーフ部材は、第1工程でも第2工程でも段差部が形成されない。比較例1〜4のルーフ部材は、この点以外は、第1実施形態のルーフ部材1の製造方法(絞り加工)を前提にシミュレーションにより作成された。また、比較例5は、第1工程において各段差部36a、36bの突出幅a1が5(mm)とし、第2工程において各段差部11a、11a’の突出幅a2が5(mm)のままとした。すなわち、比較例5の場合、第2工程において段差部36a、36bは第1工程で形成されたままの形状を維持している。
[実施例1〜8のルーフ部材]
実施例1〜8のルーフ部材は、第1実施形態のルーフ部材1の製造方法(絞り加工)を前提にシミュレーションにより作成された。なお、実施例1〜8では、第1工程において各段差部36a、36bの突出幅a1が5(mm)とした。
[評価結果及び考察]
図15の表から、実施例1〜8のルーフ部材は、比較例1〜5のルーフ部材に比べて、曲がりが小さい(曲がり量が少ない)ことがわかる。例えば、実施例1〜4と比較例1とは、それぞれ板厚、強度についてのシミュレーションの条件が同等である。そして、評価断面1曲がりのシミュレーションの結果を比較すると、実施例1〜4のルーフ部材は、比較例1のルーフ部材に比べて、曲がりが小さいことがわかる。また、評価断面2曲がりのシミュレーションの結果を比較すると、実施例1〜4のルーフ部材は、比較例1のルーフ部材に比べて、曲がりが小さいことがわかる。なお、実施例1における評価断面2曲がりは、−1.12(mm)とあるが、「−」の意味は、図14の曲がりの説明図の場合と反対方向に曲がったことを意味する。そのため、角度の絶対値で比較すると、実施例1のルーフ部材は、比較例1のルーフ部材に比べて、曲がりが小さいといえる。以上のことから、第1実施形態の実施例である実施例1〜5は、縦壁に段差が形成されていない比較例(比較例1〜4)に比べて、第1実施形態の第3の作用を奏すると考えられる。
また、実施例1及び2の場合、第2工程において、第1工程で形成された段差部36a、36bのうちの何れか一方しか突出幅a1が狭くなっていない。しかしながら、実施例1及び2は、比較例1に比べて、曲がりが小さい。以上のことから、第1実施形態の実施例である実施例1及び2は、縦壁に段差部が形成されていない比較例(比較例1)に比べて、曲がりが小さい、すなわち、第1実施形態の第1又は第2の作用を奏すると考えられる。
また、実施例7の場合、板厚、強度についてのシミュレーションの条件が同等である比較例5に比べて、曲がりが小さいことがわかる。以上のことから、実施例7は、比較例5に比べて、第1実施形態の第1、第2及び第3の作用を奏すると考えられる。
さらに、板厚、強度についてのシミュレーションの条件が同等である組み合せ(例えば、実施例1と比較例1、実施例5と比較例2等)を比較すると、各実施例は、各比較例に比べて、曲がり(平均曲がり量)が小さいことがわかる。以上のことから、実施例1〜8は、比較例1〜5に比べて、強度(ブランク25の引張強度)の違いによらず、第1実施形態の第1、第2又は第3の作用を奏すると考えられる。
<第2のシミュレーション>
第2のシミュレーションでは、第2実施形態のルーフ部材の製造方法に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材1(実施例9〜16)と、以下に説明するルーフ部材の製造に基づくシミュレーションで作成したルーフ部材(比較例6〜10)とについて、前端側及び後端側での曲がりを評価した。
[図16の表についての説明]
図16の表には、実施例10〜16及び比較例6〜10についてのシミュレーションの条件と、評価結果とが記載されている。なお、図16の表の見方及び曲がりの意味は、第1のシミュレーションの場合と同様である。
[比較例6〜10のルーフ部材]
比較例6〜10のルーフ部材は、第1工程において各段差部36a、36bの突出幅a1が5(mm)とし、第2工程において各段差部11a、11a’の突出幅a2が5(mm)のままとした。すなわち、比較例6〜10の場合、第2工程において段差部36a、36bは第1工程で形成されたままの形状を維持している。なお、比較例6〜10は、上記の点以外は、第2実施形態のルーフ部材1Aと同様、曲げ加工で成形された溝型の部材とされている。
[実施例9〜16のルーフ部材]
実施例9〜16のルーフ部材は、第1実施形態のルーフ部材1の製造方法(曲げ加工)を前提にシミュレーションにより作成された。なお、実施例9〜16では、第1工程において各段差部36a、36bの突出幅a1が5(mm)とした。
[評価結果及び考察]
図16の表から、実施例9〜12のルーフ部材は、板厚、強度についてのシミュレーションの条件が同等である、比較例6のルーフ部材に比べて、曲がりが小さい(曲がり量が少ない)ことがわかる。以上のことから、第1実施形態の実施例である実施例9〜12は、縦壁に段差が形成されていない比較例(比較例1〜4)に比べて、第1実施形態の第3の作用を奏すると考えられる。
また、実施例9及び10の場合、第2工程において、第1工程で形成された段差部36a、36bのうちの何れか一方しか突出幅a1が狭くなっていない。しかしながら、実施例9及び10は、比較例6に比べて、曲がりが小さい。以上のことから、第2実施形態の実施例である実施例9及び10は、第1工程で縦壁に形成された段差部が第2工程で狭くされない比較例(比較例6)に比べて、曲がりが小さい、すなわち、第1実施形態の第1又は第2の作用を奏すると考えられる。
また、実施例7の場合、板厚、強度についてのシミュレーションの条件が同等である比較例5に比べて、曲がりが小さいことがわかる。以上のことから、実施例7は、比較例5に比べて、第1実施形態の第1、第2及び第3の作用を奏すると考えられる。
さらに、板厚、強度についてのシミュレーションの条件が同等である組み合せ(例えば、実施例9と比較例6、実施例13と比較例7等)を比較すると、各実施例は、各比較例に比べて、曲がり(平均曲がり量)が小さいことがわかる。以上のことから、実施例9〜16は、比較例6〜10に比べて、強度(ブランク25の引張強度)の違いによらず、第2実施形態の第1、第2又は第3の作用を奏すると考えられる。
<第3の実験>
第3の実験では、実施例4のルーフ部材の縦壁4aのビッカース硬さの値と、比較例1のルーフ部材の縦壁4aのビッカース硬さの値とを、測定して比較した。なお、第3の実験において、ビッカース硬さの値は、JIS規格(JIS Z 2244)に記載のビッカース硬さ測定方法に従い測定した。ただし、ビッカース硬さの値は、JIS規格(JIS Z 2244)に記載のビッカース硬さ測定方法に限られず、他の方法で測定し、硬さ変換表(図示省略)を用いてビッカース硬さの値に換算して求めてもよい。
比較例1の測定結果(図17参照)及び実施例4の測定結果(図18参照)によれば、何れの場合も、凸部11a2のビッカース硬さの値が、凹部11a1のビッカース硬さの値に比べて小さいことがわかった。ここで、比較例1の測定結果の場合、凹部11a1のビッカース硬さの値と、凸部11a2のビッカース硬さの値との差(以下、差Δとする。)が7(HV)であった。これに対して、実施例4の測定結果の場合、差Δが10(HV)であった。このように、実施例4の差Δが比較例1の差Δに比べて大きい(凸部11a2が凹部11a1に比べて軟化する)。理由は、以下のように推認される。すなわち、ブランク25が第1工程によりプレス成形されると、段差部36aが形成され、凸部11a2は外表面側が引っ張られる(外側に引張応力が働く)。次いで、第2工程により中間成形品30の段差部36aの突出幅が狭くなると、凹部11a1が凸部11a2側に移動する。その結果、凸部11a2は第1工程後第2工程前の時点の状態よりも、内表面側が圧縮された状態となる。これに対して、凹部11a1は第1工程後第2工程前の状態でも、第2工程後の状態でも引っ張られた状態となる。以上のことから、凸部11a2は、凹部11a1よりも軟化する。なお、別の見方をすると、凹部11a1が凸部11a2よりも硬い、すなわち、第1実施形態及び第2実施形態の場合のルーフ部材1、1Aは、比較例6に比べて、高精度である(曲がりが抑制されている)といえる。なお、測定結果の図示は省略するが、例えば、比較例2の差Δを測定したところ8(HV)であった。また、比較例1及び2以外のすべての比較例の差Δを測定したところ、何れも10(HV)未満であった。これに対して、例えば、実施例5及び7について差Δを測定したところ、それぞれ30(HV)、20(HV)であった。また、実施例5及び7以外のすべての実施例について差Δを測定したところ、何れも10(HV)以上であった。すなわち、第1及び第2実施形態並びに各実施例のルーフ部材は、何れも差Δが10(HV)以上となることがわかった。
なお、各実施例のルーフ部材は、各比較例のルーフ部材に比べて、寸法精度がよい結果、他の部材と溶接して接合する差異に矯正しながら溶接されることがない(矯正する必要がない、又は矯正しても矯正する量が少ない。)ため、当該他の部材と接合した部材(以下、接合部材という。)の寸法精度もよくなる効果がある。また、接合部材における溶接した部分に応力が残留しない又は残留し難いことから、接合部材の強度が良好となる効果がある。
以上のとおり、本発明を特定の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲には前述した本実施形態以外の形態も含まれる。例えば、本発明の技術的範囲には、下記のような形態も含まれる。
各実施形態では、プレス成形品の一例はルーフ部材であるとして説明した。しかしながら、式(1)の条件を満たすプレス成形により製造される物であれば、プレス成形品は、ルーフ部材以外の自動車用の部品であってもよい。また、式(1)の条件を満たすプレス成形により製造される物であれば、自動車用の部品以外の部品であってもよい。
各実施形態では、湾曲壁とされる縦壁4a、4bにはそれぞれ段差部11a、11a’が形成されているとして説明した。しかしながら、何れか一方の縦壁4a、4bに段差36a、36a’が形成されていれば、他方の縦壁4a、4bに段差36a、36a’が形成されていなくてもよい。
各実施形態では、縦壁4a、4bは、湾曲壁とされているとして説明した。しかしながら、何れか一方の縦壁4a、4bが湾曲壁であり、かつ、当該湾曲壁に段差部に各実施形態のルーフ部材1、ルーフ部材1Aの製造方法により製造された段差部11a、11a’が形成されていれば、他方の縦壁4a、4bは、湾曲壁でなくてもよい。例えば、当該他の縦壁4a、4bは、長手方向に沿った直線状の壁であってもよい。
各実施形態では、第1工程で形成した湾曲壁の段差部の突出幅a1を、第2工程において狭くして、a1よりも狭いa2にするとして説明した。しかしながら、第2工程において、第1工程で形成した段差部の突出幅a1が狭くなれば、第2工程において、第1工程で形成された段差部をなくしてもよい。すなわち、本発明において、「段差部の突出幅を狭くすること」には、段差部の突出幅を無くすこと、別言すれば、段差部自体をなくすことも含まれる。
1 ルーフ部材(プレス成形品の一例)
2 天板
3a、3b 稜線部
4a、4b 縦壁
17 プレス装置
18 第1プレス装置
19 第2プレス装置
25 ブランク
30 中間成形品
段差部 36a、36a’
突出幅 a1

Claims (5)

  1. 長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、該稜線部から延びた状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる縦壁とを含んで構成されるプレス成形品の製造方法であって、
    前記天板と、前記両端の稜線部と、前記縦壁とを含んで構成され、前記縦壁が互いに対向する側と反対側に突出している段差部が前記天板の長手方向に亘って前記湾曲壁に形成された中間成形品を、ブランクをプレスして成形する第1工程と、
    前記段差部の突出幅を狭くするように、前記中間成形品をプレスする第2工程と、
    を含むプレス成形品の製造方法。
  2. 前記第1工程では、前記天板の位置を基準として、前記天板の位置から前記湾曲壁の下端までの高さの40%以上離れた前記湾曲壁の部分に、前記突出幅が前記天板の短手方向の幅の20%以下とされる段差部を形成し、
    前記第2工程では、前記湾曲壁における前記段差部よりも前記天板側の部分の角度を変えて、前記第1工程で形成した前記段差部の前記突出幅を狭くする、
    請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  3. 長尺な天板と、
    該天板の短手方向の両端の稜線部と、
    該稜線部から延びた状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる縦壁と、
    を含んで構成され、
    前記湾曲壁おける前記天板の位置から前記湾曲壁の高さの40%以上離れた部分には、前記天板の長手方向に亘って、前記縦壁が互いに対向する対向側と反対側に前記天板の短手方向の幅の20%以下の突出幅で突出している段差部が形成されており、
    前記段差部における前記対向側の端部のビッカース硬さの値は、前記段差部における前記反対側の端部のビッカース硬さの値よりも10(HV)以上大きい、
    プレス成形品。
  4. 長尺な天板と、該天板の短手方向の両端の稜線部と、該稜線部から延びた状態で互いに対向し、少なくとも一方が前記天板の上側から見て湾曲している湾曲壁とされる縦壁とを含んで構成され、前記縦壁が互いに対向する側と反対側に突出している段差部が前記天板の長手方向に亘って前記湾曲壁に形成された中間成形品を、ブランクをプレスして成形する第1プレス装置と、
    前記段差部の突出幅を狭くするように、前記中間成形品をプレスする第2プレス装置と、
    を備えたプレス装置。
  5. 第1ダイと第1パンチとでブランクをプレスして中間成形品を成形する第1プレス装置と、第2ダイと第2パンチとで前記中間成形品をプレスする第2プレス装置とを備えたプレス装置であって、
    前記第1ダイには、長尺な第1底面と、該第1底面の短手方向の両端に繋がる第1側面とを含んで構成される長尺な第1溝が形成され、
    少なくとも前記第1側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第1底面から前記第1溝の深さの40%以上離れた特定深さとされる位置に前記第1底面の短手方向の幅の20%以下の幅の第1段差部が前記第1側面の長手方向に亘って形成された第1湾曲面とされ、
    前記第1パンチの形状は、型閉じ時に前記第1溝の形状に合わせて嵌る形状である、
    第1プレス装置と、
    前記第2ダイには、長尺な第2底面と、該第2底面の短手方向の両端に繋がる第2側面とを含んで構成される長尺な第2溝が形成され、
    少なくとも前記第2側面の一方は、型閉じ方向から見て湾曲し、前記第2底面から前記特定深さとされる位置に前記第2側面の長手方向に亘って第2段差部が形成された第2湾曲面とされ、
    前記第2段差部は、前記第1段差部よりも幅が狭く、かつ、前記第2底面の短手方向に沿った前記第2底面との離間距離が前記第1底面の短手方向に沿った前記第1底面と前記第1段差部との離間距離よりも長く、
    前記第2パンチの形状は、型閉じ時に前記第2溝の形状に合わせて嵌る形状である、
    第2プレス装置と、
    を備えたプレス装置。
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