JP7099587B1 - プレス成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ癖部の大きさを低減して成形高さの高いプレス成形品をプレス成形する方法を提供する。【解決手段】本発明に係るプレス成形方法は、パンチ側第1傾斜面部11bとパンチ側第2傾斜面部11cとを有し、パンチ側第1傾斜面部11bとパンチ側第2傾斜面部11cとが外側に凸となる山形状を呈すると共にその接続部にパンチ稜線部11dが形成されてなるパンチ11と、フランジ曲げ戻し部13dを有するダイ13と、を用いて、ハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻し、縦壁部123の一部としたプレス成形品120をプレス成形するものであって、縦壁部113の内面側にパンチ稜線部11dを当接させながらダイ13のフランジ曲げ戻し部13dにより曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻し、プレス成形品120の縦壁部123の一部を成形することを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、プレス成形方法に関し、特に、ハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻して縦壁部として成形高さの高いプレス成形品をプレス成形するプレス成形方法に関する。
自動車部品の多くは金属板をプレス成形することで製造される。近年、車体の軽量化と衝突安全性を両立するために、より高強度の金属板が自動車部品に採用されるようになっている。このような自動車部品としてプレス成形されるプレス成形品には、図12に例示するような、コの字断面形状のプレス成形品120(図12(a))やハット断面形状のプレス成形品130(図12(b))がある。
図12(a)に一例として示すようなコの字断面形状のプレス成形品120は、天板部121と、天板部121の両端から連続してプレス成形方向に対して1~10°の範囲で外向きに傾斜する縦壁部123と、天板部121と縦壁部123とを接続するパンチ肩R部125と、を備えて構成される。
また、図12(b)に一例として示すようなハット断面形状のプレス成形品130は、天板部131と、天板部131の両端から連続してプレス成形方向に対して外向きに傾斜する縦壁部133と、縦壁部133の下端から連続するフランジ部135と、天板部131と縦壁部133とを接続するパンチ肩R部137と、縦壁部133とフランジ部135とを接続するダイ肩R部139と、を備えて構成される。
これらのプレス成形品は、フォーム成形(曲げ成形)やドロー成形(絞り成形)により製造され、主に自動車の強度補強部材として用いられるため、強度の高い金属板が利用される。
しかし、金属板が高強度になるほど、材料の延性や伸びフランジ性等の加工性を示す指標も低下する。このため、特に、上面視で略L字状や略T字状等のように長手方向に沿って凹状に湾曲した湾曲部を有するコの字形状プレス成形品を目標形状とするプレス成形では、湾曲部における縦壁部は伸びフランジ変形となって割れが発生しやすい。
さらに、長手方向に沿って凹状に湾曲しハット断面形状のプレス成形品では湾曲部におけるフランジ部が湾曲に沿った方向に引っ張られることにより、フランジ部に割れが発生しやすくなる。これに加え、凹状に湾曲した縦壁部を成形する反力として、湾曲部における天板部やパンチ肩R部では湾曲に沿った方向に縮む変形が起こることで、しわが発生しやくなる。
一方、上面視で長手方向に沿って凸状に湾曲した湾曲部を有するコの字断面形状又はハット断面形状のプレス成形品のプレス成形においては、湾曲部における縦壁部又はフランジ部が湾曲に沿った方向に圧縮されることにより縮みフランジ変形となり、縦壁部にしわが発生しやすくなる傾向がある。また、凸状に湾曲した縦壁部を成形する反力として、パンチ肩R部では湾曲に沿って外向きに引っ張られることにより割れが発生しやすくなる。
そのため、上面視で凹状又は凸状に湾曲したコの字断面形状又はハット断面形状のプレス成形品のうち、特に縦壁部の縦壁長さが長くて成形高さが高いプレス成形品は、プレス成形過程で発生する引張応力や圧縮応力を緩和して割れやしわの発生を防止するために、一般に複数工程でプレス成形が行われる。
例えば、図12(a)に示すコの字断面形状のプレス成形品120を目標形状とする場合、図3に示すようにまず第1成形工程により、割れやしわが発生しないように縦壁部113の長さが短い、すなわち、成形高さが低いハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品110をプレス成形(浅絞り成形)する(図3(a))。そして、続く第2成形工程により、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻して所望の縦壁長さの縦壁部123として成形高さの高いプレス成形品120をプレス成形(リストライク成形)する(図3(b))。
また、図12(b)に示すハット断面形状のプレス成形品130を目標形状とする場合においても同様に、図11に示すようにまず第1成形工程により、成形高さが比較的低いハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品110を成形(浅絞り成形)し(図11(a))、続く第2成形工程により、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻して所望の縦壁長さの縦壁部133とフランジ部135とを形成したプレス成形品130をプレス成形(リストライク成形)する(図11(b))。
このように、浅絞り成形とリストライク成形の複数工程でプレス成形を行うことにより、プレス成形品における割れとしわの発生を抑制することが行われている。
しかしながら、第2成形工程でフランジ部115を曲げ戻す際に、十分には平坦に曲げ戻されずに、例えば図13に示すように、局所的な凹凸状の形状不良である曲げ癖部127(又は曲げ癖部141)が縦壁部123(又は縦壁部133)に残存してしまう。特に、440MPa級を超える板厚1.0mm以上の高張力鋼板では、曲げ癖部127、141の残存が顕著となる。
このような、曲げ癖部127、141が残存すると、図14に示すように、抵抗スポット溶接が困難となる場合があった。すなわち、抵抗スポット溶接は、プレス成形品120の縦壁部123又はプレス成形品130の縦壁部133と他の平坦な部品の平坦面部151とを重ね合わせ、電極153で両側から加圧力を加えながら挟み込み、大電流を短時間流して溶接部155(ナゲット)を作り金属同士を接合するものである。しかしながら、縦壁部123、133に曲げ癖部127、141が残存していると、縦壁部123、133と対向して溶接接合される平坦面部151との間に間隙が生じ、溶接可能な隙間よりも大きくなると電流が流れにくくなるので、溶接が困難となるという問題があった。そのため、曲げ癖部127、141の大きさを小さくすることが重要であった。
こうした問題に対し、曲げ加工を受けた縦壁部を平らにした際に残存する曲げ癖部を矯正する技術がこれまでに提案されている。
例えば特許文献1には、所定の間隔で並設された3つの第1凸状部を有するパンチと、当該3つの第1凸状部の間の2つの凹状の成形空間に対向配置するように設けられた2つの第2凸状部を有するダイと、を用いて、3つの第1凸状部のうち中央の第1凸状部を曲げ癖の凸側から当接させた状態でパンチをダイ側に近づけて押し込み、パンチの第1凸状部とダイの第2凸状部とにより曲げ癖に局所的な小変形を与えることで、曲げ癖を矯正する技術が開示されている。
特開2013-103226号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、プレス成形品に発生した曲げ癖を矯正するための特殊な装置を用いるものであり、プレス成形品の成形工程に加え、曲げ癖を矯正するために追加する別の工程が必要であり、生産性の低下が問題であった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、特殊な装置を用いて曲げ癖を矯正する工程を要せずに、ハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻して縦壁部としたプレス成形品の当該縦壁部に残存する曲げ癖の大きさを低減することができるプレス成形方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、天板部と、該天板部からプレス成形方向に対して傾斜して連続する縦壁部と、該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部と、を有してなるハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品を、パンチとダイとを用いて前記フランジ部を曲げ戻して縦壁部を形成したプレス成形品をプレス成形するものであって、
前記パンチは、
前記曲げ戻し前プレス成形品の前記天板部と同形状の前記プレス成形品の天板部を成形する天板成形面部と、前記縦壁部を成形する縦壁成形面部とを有し、
該縦壁成形面部は、前記天板成形面部から連続して外側に傾斜し、プレス成形方向に対する傾斜角度が前記曲げ戻し前プレス成形品の前記縦壁部の傾斜角度と等しいパンチ側第1傾斜面部と、該パンチ側第1傾斜面部の下端側から連続して該パンチ側第1傾斜面部よりも内側に傾斜するパンチ側第2傾斜面部とを有し、前記パンチ側第1傾斜面部と前記パンチ側第2傾斜面部とが外側に凸となる山形状を呈すると共にその接続部にパンチ稜線部が形成されてなり、
前記ダイは、
前記パンチに載置した前記曲げ戻し前プレス成形品の前記フランジ部を曲げ戻すフランジ曲げ戻し部を有し、
前記パンチに前記曲げ戻し前プレス成形品を載置して前記ダイを前記パンチ側に相対移動させ、前記縦壁部の内面側に前記パンチ稜線部を当接させながら前記フランジ曲げ戻し部により前記フランジ部を曲げ戻し、前記プレス成形品の前記縦壁部を形成することを特徴とするものである。
(2)前記ダイは、パンチ外面に平行なクリアランスを保持した内面形状を有することを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、
前記パンチ稜線部は、下式を満足する位置に形成されていることを特徴とするものである。
h1-R1(1-sinα)-R1/2 ≦ h2 ≦ h1-R1(1-sinα)+2πR1(90-α)/360+R1/2
ここで、
h2は、前記パンチの前記天板成形面部から前記パンチ稜線部までのプレス成形方向における距離(mm)
h1は、前記曲げ戻し前プレス成形品の成形高さ(mm)、
R1は、前記曲げ戻し前プレス成形品のダイ肩R部の曲げ半径(mm)
αは、前記曲げ戻し前プレス成形品の前記縦壁部のプレス成形方向に対する傾斜角度(°)
本発明においては、パンチ側第1傾斜面部とパンチ側第2傾斜面部とパンチ稜線部とを有するパンチと、フランジ曲げ戻し部を有するダイと、を用いて、ハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻して縦壁部を形成するに際し、前記曲げ戻し前プレス成形品における前記縦壁部の内面側に前記パンチ稜線部を当接させながら前記ダイの前記フランジ曲げ戻し部により前記フランジ部を曲げ戻すことで、特殊な装置による工程を追加することなく前記曲げ癖部の大きさを低減することができ、生産性を向上することができる。
本発明の実施の形態に係るプレス成形方法を説明する図である((a)成形開始位置、(b)成形下死点位置)。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法に用いるプレス成形用金型と縦壁部に発生した曲げ癖部との位置関係を説明する図である。 本発明において対象とするハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品と、曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻して縦壁部としたコの字断面形状のプレス成形品と、実施例でのこれらの形状を説明する図である。 従来のプレス成形方法において、ハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻して成形高さを高くしたコの字断面形状のプレス成形品にリストライク成形する工程を説明する図である((a)成形開始位置、(b)成形下死点位置)。 曲げ戻し前プレス成形品をプレス成形品にリストライク成形する過程における曲げ癖部の発生を説明する図である((a)プレス成形用金型の配置、(b)成形開始前、(c)成形開始時、(d)成形下死点、(e)離型後、(f)曲げ癖部)。 プレス成形品の縦壁部に発生した曲げ癖部の曲げ癖山高さの定義を説明する図である((a)プレス成形品の断面図、(b)曲げ癖部の拡大図)。 本実施の形態に係るプレス成形方法において、プレス成形品の縦壁部に発生した曲げ癖部の曲げ癖山高さを説明する図である((a)曲げ癖部の表面形状プロフィール、(b)曲げ癖部の拡大図)。 本実施の形態に係るプレス成形方法において、パンチ稜線部の位置を変更した場合におけるプレス成形品の縦壁部の断面形状を模式的に示した図である((a)従来方法、(b)本発明においてパンチ稜線部をダイ肩Rに当接(矢印11d)、(c)本発明においてパンチ稜線部を曲げ癖部における縦壁部側に当接(11d)、(d)本発明においてパンチ稜線部を曲げ癖部におけるフランジ部側に当接(11d))。 本実施の形態に係るプレス成形方法において、パンチ稜線部の好適位置を説明する図である((a)成形開始位置、(b)成形下死点位置)。 本実施の形態に係るプレス成形方法において、パンチ稜線部の位置とパンチ側第2傾斜面部の傾斜角度β(図2)を変更したときの曲げ癖部の表面形状プロフィールを示した図である((a)従来方法により発生した曲げ癖山高さを基準としたときの本発明における曲げ癖山高さの比、(b)本発明においてパンチ稜線部をダイ肩R部に当接させたときの曲げ癖部の表面形状プロフィール、(c)本発明においてパンチ稜線部を縦壁側塑性曲げ変形領域に当接させたときの曲げ癖部の表面形状プロフィール、(d)本発明においてパンチ稜線部をフランジ側塑性曲げ変形領域に当接させたときの曲げ癖部の表面形状プロフィール)。 本実施の形態に係るプレス成形方法により、ハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻して縦壁部としたハット断面形状のプレス成形品の一例を示す図である((a)曲げ戻し前プレス成形品、(b)ハット断面形状プレス成形品)。 コの字断面形状又はハット断面形状のプレス成形品を説明する図である((a)コの字断面形状のプレス成形品、(b)ハット断面形状のプレス成形品)。 成形高さの低い曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻して縦壁部としたコの字断面形状又はハット断面形状のプレス成形品の縦壁部に発生する曲げ癖部を説明する図である((a)コの字断面形状のプレス成形品、(b)ハット断面形状のプレス成形品、(c)曲げ癖部)。 曲げ癖を有するプレス成形品の縦壁部と他の部品の平坦面部とを抵抗スポット溶接により接合する際の問題点を説明する模式図である。
本発明の実施の形態に係るプレス成形方法について説明するに先立ち、本発明に至った経緯として、曲げ癖発生メカニズムと、曲げ癖を低減する方法に関する検討について説明する。
<曲げ癖発生メカニズム>
発明者らは、図4に示すようにパンチ41とダイ43とを備えたプレス成形用金型40を用いて、図3(a)に一例として示すように、天板部111と縦壁部113とフランジ部115とを有してなるハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻し、図3(b)に一例として示すように、縦壁部123の一部としたプレス成形品120にリストライクする過程を対象とし、縦壁部123に曲げ癖部127(図13(a)参照)が発生するメカニズムについて検討した。
図5に、プレス成形品120の縦壁部123に曲げ癖部127が発生するメカニズムを示す。
ここで、図5(a)はプレス成形用金型40のパンチ41及びダイ43との相対的な位置関係を示した図であり、図5(b)~図5(d)は成形開始位置から成形下死点位置までの成形過程における曲げ戻し前プレス成形品110のダイ肩R部119とその周辺の変形挙動を示した図であり、図5(e)はプレス成形用金型40から離型したプレス成形品120の縦壁部123の断面図、図5(f)は縦壁部123に発生した曲げ癖部127を拡大して示した図である。
図5に示すようにダイ43をプレス成形方向に移動させてプレス成形すると、プレス成形開始位置では、パンチ41とダイ43がプレス成形方向に対して傾斜しているため、パンチ側縦壁成形面部41aとダイ側縦壁成形面部43aの垂直な方向の距離である間隙(図5(a)、(c)中のd1)は、成形下死点位置に到達した時点の垂直な方向の距離である間隙(図5(a)、(d)中のd2)よりも広い。
ダイ43のフランジ曲げ戻し部43bが曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115に当接して曲げ戻しを開始すると、図5(c)に示すように、ダイ肩R部119が平坦になるような曲げ戻し変形が開始する。
この時、成形過程におけるパンチ側縦壁成形面部41aとダイ側縦壁成形面部43aとの垂直方向距離である間隙(図5(c)中のd1)は曲げ戻し前プレス成形品110の板厚よりも広いため曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113及びフランジ部115が自由に変形できるスペースが生じる。
このため、ダイ肩R部119の曲げ戻し変形に伴う反力がダイ肩R部119に隣接する縦壁部113及びフランジ部115に加わり、ダイ肩R部119のパンチ41側に凸な形状と逆方向に塑性曲げ変形が付加される。
ここで、ダイ肩R部119前後の縦壁部113側及びフランジ部115側における塑性曲げ変形が発生する領域をそれぞれ縦壁側塑性曲げ変形領域113a及びフランジ側塑性曲げ変形領域115aと称する。
そして、成形下死点位置においては、図5(d)に示すように、パンチ側縦壁成形面部41aとダイ側縦壁成形面部43aとの垂直方向距離である間隙(図5(d)中のd2)はプレス成形品120の板厚とほぼ同等まで狭まり、曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113及びフランジ部115は挟圧されてプレス成形品120の縦壁部123に成形される。
ここで、成形下死点位置(図5(d))でのパンチ側縦壁成形面部41aとダイ側縦壁成形面部43aとの間の成形面部に垂直な方向の距離d2と、プレス成形品120の縦壁部123の板厚と、の差を板厚で除して100を乗じた値(%)をクリアランスと定義する。
成形下死点位置において、パンチ側縦壁成形面部41aとダイ側縦壁成形面部43aとのクリアランスをゼロ、すなわち、平坦なパンチ側縦壁成形面部41aとダイ側縦壁成形面部43aとでプレス成形品120の縦壁部123に発生する曲げ癖部127を押し潰すと、見かけ上は曲げ癖部127は平坦となり矯正できるようにも考えられる。
しかしながら、プレス成形品120においてはプレス成形用金型40から離型すると図5(e)に示すように、スプリングバックが生じるので、曲げ癖部127を平坦な形状へと完全に矯正することはできず、縦壁部123には局所的に凹凸状の形状不良である曲げ癖部127が残存する。図5(f)に、離型したプレス成形品120の縦壁部123に残存した曲げ癖部127の拡大図を示す。
図5(f)に示すとおり、離型したプレス成形品120の縦壁部123においては、曲げ戻し前プレス成形品110のダイ肩R部に相当するダイ肩R相当部127aと、縦壁側塑性曲げ変形領域113aに相当する縦壁側塑性曲げ変形部127bと、フランジ側塑性曲げ変形領域115aに相当するフランジ側塑性曲げ変形部127cと、が曲げ癖部127として残存する。
<曲げ癖の大きさを低減する方法についての検討>
発明者は、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻したプレス成形品120の縦壁部123に曲げ癖部127が発生するメカニズムに関する上記検討に基づいて、プレス成形品120に生じる曲げ癖部127の大きさ(曲げ癖山高さ)を低減する方法についてさらに検討した。
ここで、曲げ癖部127の大きさを定量的に評価する指標として、図6に示すように、縦壁部123と縦壁側塑性曲げ変形部127bのプレス成形品120の内面側における境界127dと、フランジ側塑性曲げ変形部127cと縦壁部123とのプレス成形品120の内面側における境界127eと、を結んだ直線から曲げ癖部127の凸部先端までの垂直方向距離を曲げ癖山高さと定義する。
図5(f)に示すように、曲げ癖部127においては、ダイ肩R部119が曲げ戻された際に残存するダイ肩R相当部127aの曲率方向(パンチ41側に凸)の反りと逆方向の曲率方向(パンチ41側に凹)の反りが縦壁側塑性曲げ変形部127b及びフランジ側塑性曲げ変形部127cに加わり、縦壁側塑性曲げ変形部127b及びフランジ側塑性曲げ変形部127cはパンチ41側に凹状であるため、パンチ41側に凸状である曲げ癖部127の曲げ癖山高さが増長されることが明らかになった。
そこで、プレス成形シミュレーションの結果に基づいて、縦壁側塑性曲げ変形部127b及びフランジ側塑性曲げ変形部127cが発生する範囲について鋭意検討した。その結果、縦壁側塑性曲げ変形部127b及びフランジ側塑性曲げ変形部127cは、いずれも曲げ戻し前プレス成形品110のダイ肩R部119の曲げ半径R1が大きいほど広くなり、ダイ肩R部119の曲げ半径R1のおよそ1/2であるという知見が得られた。
発明者らは、これらの知見に基づいて、曲げ癖部127の曲げ癖山高さを低減する方法について鋭意検討した。その結果、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻す際に、曲げ癖部127の発生する領域を曲げ癖部127とは反対側に折り曲げることで、曲げ癖山高さを低減することができることを見出した。
本発明は、上記検討に基づいて完成したものであり、以下、その構成について説明する。
<プレス成形方法>
本発明の実施の形態に係るプレス成形方法は、図3(a)に示すように、天板部111と、天板部111からプレス成形方向に対して傾斜して連続する縦壁部113と、縦壁部113からダイ肩R部119を介して連続するフランジ部115と、を有してなるハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品110を、図1及び図2に一例として示すようなパンチ11とダイ13を備えたプレス成形用金型10を用いてフランジ部115を曲げ戻し、図3(b)に一例として示すような縦壁部123を形成したプレス成形品120をプレス成形するものである。
曲げ戻し前プレス成形品110においては、天板部111と縦壁部113とを接続するパンチ肩R部117と、縦壁部113とフランジ部115と接続するダイ肩R部119と、が形成されている。
さらに、プレス成形品120においては、天板部121と縦壁部123とを接続するパンチ肩R部125が形成されている。ここで、天板部121とパンチ肩R部125は、曲げ戻し前プレス成形品110の天板部111とパンチ肩R部117とそれぞれ同形状であるものとする。
さらに、曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113のプレス成形方向に対する傾斜角度αは、プレス成形品120の縦壁部123の傾斜角度αと等しいものとする。
パンチ11は、図1に示すように、天板成形面部11eと、パンチ側縦壁成形面部11aと、を有する。
天板成形面部11eは、曲げ戻し前プレス成形品110の天板部111と同形状の天板部121を成形するものである。
パンチ側縦壁成形面部11aは、曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113を成形するものであり、図1に示すように、パンチ側第1傾斜面部11bと、パンチ側第2傾斜面部11cと、パンチ稜線部11dと、を有する。なお、パンチ側縦壁成形面部11aは、本願の特許請求の範囲に記載の「縦壁成形面部」に対応するものである。
パンチ側第1傾斜面部11bは、図2に示すように、天板成形面部11eから連続して外側に傾斜し、プレス成形方向に対する傾斜角度が曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113のプレス成形方向に対する傾斜角度αと等しいものである。
パンチ側第2傾斜面部11cは、図2に示すように、パンチ側第1傾斜面部11bの下端側から連続してパンチ側第1傾斜面部11bよりも内側に傾斜するものである。
本実施の形態において、パンチ側第2傾斜面部11cは、図2に示すように、パンチ側第1傾斜面部11bを基準としてパンチ11側に向けて内側に傾斜角度β(0<β≦α)で傾斜している。
パンチ稜線部11dは、図1に示すように、パンチ側第1傾斜面部11bとパンチ側第2傾斜面部11cとの接続部に形成されたものである。これにより、パンチ側縦壁成形面部11aは、パンチ側第1傾斜面部11bとパンチ側第2傾斜面部11cがパンチ11の外側に凸となる山形状を呈する。
ダイ13は、図1に示すように、パンチ11に対向して配置され、ダイ側縦壁成形面部13aと、フランジ曲げ戻し部13dと、を有する。
ダイ側縦壁成形面部13aは、パンチ側縦壁成形面部11aと協働して曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113を成形するものであり、図1に示すように、ダイ側第1傾斜面部13bと、ダイ側第2傾斜面部13cと、を有する。
ダイ側第1傾斜面部13bは、図2に示すように、プレス成形方向に対して傾斜角度αで傾斜し、パンチ側第1傾斜面部11bと平行である。
ダイ側第2傾斜面部13cは、図2に示すように、ダイ側第1傾斜面部13bの下端側からプレス成形方向に対してパンチ11側にむけて傾斜して連続するものである。
本実施の形態において、ダイ側第2傾斜面部13cは、図2に示すように、ダイ側第1傾斜面部13bを基準としパンチ11側にむけて傾斜角度β(0<β≦α)だけ傾斜し、パンチ側第2傾斜面部11cと平行である。
フランジ曲げ戻し部13dは、ダイ側第2傾斜面部13cから連続し、パンチ11に載置した曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115に当接して曲げ戻すものである。
本実施の形態において、フランジ曲げ戻し部13dは、図2に示すように、フランジ部115を成形するフランジ成形面部13eと、フランジ成形面部13eとに接続するダイ肩部13fと、を有する。
そして、パンチ11に曲げ戻し前プレス成形品110を載置し、ダイ13をパンチ11側に相対移動させ、縦壁部113の内面側にパンチ11のパンチ稜線部11dを当接させながらダイ13のフランジ曲げ戻し部13dによりフランジ部115の全部又は一部を曲げ戻し、プレス成形品120の縦壁部123を成形する。
この時、天板部121は曲げ戻し前プレス成形品110の天板部111と同形状に成形される。
パンチ11のパンチ稜線部11dは、図2に示すように、プレス成形品120の縦壁部123における曲げ癖部127の発生する領域に相当する、曲げ戻し前プレス成形品110のダイ肩R部119又は縦壁側塑性曲げ変形領域113a、あるいは、フランジ側塑性曲げ変形領域115a(図5(c)参照)に当接するように設定するとよい。
そして、図1(b)に示すように、ダイ13をパンチ11側に相対移動させて、図2に示すように、プレス成形品120の縦壁部123における曲げ癖部127の発生する領域(図5(f)における127a、127b、127c)の内側にパンチ11のパンチ稜線部11dを当接させながらフランジ部115を曲げ戻す。
≪曲げ癖山の大きさを低減することができる理由≫
次に、本実施の形態に係るプレス成形方法により、プレス成形品120の縦壁部123に発生する曲げ癖部127の大きさを低減することができる理由について説明する。
図7に、プレス成形品120の縦壁部123のパンチ11側の表面形状のプロフィールを示す。横軸は、プレス成形品120の縦壁部123の下端から上端に向かう方向(X方向)の位置を示し、縦軸は、縦壁部123に垂直な方向(Y方向)における縦壁部123のパンチ11側の表面から曲げ癖部127の表面までの距離(表面形状プロフィール)を示す。
図7(a)中に示すAは、従来のプレス成形用金型40(図4)により曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻してプレス成形したプレス成形品120の曲げ癖部127のパンチ41側の表面形状プロフィールであり、曲げ癖山高さは、縦壁部123に垂直な方向における曲げ癖部127の表面までの距離の最大値である(図7(a)中のha)。
図7(a)中に示すBは、本実施の形態に係るプレス成形用金型10を用いてプレス成形したプレス成形品120の縦壁部123に曲げ癖部127が発生しないとした場合における曲げ癖部127のパンチ11側の表面形状プロフィールである。
図7(a)中に示すCは、本実施の形態に係るプレス成形用金型10を用いてプレス成形したプレス成形品120の縦壁部123に発生する曲げ癖部127のパンチ11側の表面形状プロフィールであり、表面形状プロフィールAと表面形状プロフィールBとを合成して求めたものである。
表面形状プロフィールCにおける曲げ癖山高さhcは、図6(b)に示した曲げ癖山高さの定義のとおり、曲げ癖部127の両端(曲げ癖部127の発生する領域と縦壁部123における縦壁部113に相当する部位との境界127d及びフランジ部115に相当する部位との境界127e)を結ぶ仮想直線(図7中の点線)からの垂直方向距離の最大値(図7(a)中のhc)であり、従来のパンチ31を用いたときの表面形状プロフィールAの曲げ癖山高さha(図7(a)中のha)よりも低い。
このように、本実施の形態に係るプレス成形方法によれば、曲げ戻し前プレス成形品110における曲げ癖部127の発生する領域(図6(b)、図7(a)、(b)の境界127dと境界127eの間)にパンチ稜線部11dを当接させながらフランジ部115を曲げ戻すことで、パンチ11側に凹状に折り曲げて曲げ癖部127の表面形状プロフィールを変更し、曲げ癖部127の曲げ癖山高さを低減することができる。
≪パンチにおけるパンチ稜線部の好適位置≫
図8は、本実施の形態に係るプレス成形方法で用いるパンチ11のパンチ稜線部11dの位置(矢印11d)を変更した場合の、プレス成形品120の縦壁部123の断面形状を模式的に示した図である。ここで、図8(a)は、従来のパンチ41を用いた場合、図8(b)はパンチ11のパンチ稜線部11dをダイ肩R部119に当接させた場合、図8(c)及び図8(d)は曲げ癖部127が発生する領域の外側にパンチ稜線部11dを当接させた場合であり、図8(b)~図8(d)における白抜き矢印はパンチ稜線部11dを当接させる位置を示している。
本実施の形態に係るパンチ11(図1参照)を用いた場合と従来のパンチ41(図4参照)を用いたの場合の曲げ癖部127の表面形状プロフィールを比較すると、図8(a)及び図8(b)に示すように、曲げ癖部127の曲げ癖山高さは低くなっている(ha>hb)。
さらに、パンチ11のパンチ稜線部11dが当接する位置を曲げ癖部127の発生する領域の外側である縦壁部113側とした場合又はフランジ部115側とした場合、図8(c)及び図8(d)に示すように、曲げ癖部127の発生する領域内にパンチ稜線部11dが位置する場合(図8(b))に比べると曲げ癖山高さは高く、従来のパンチ41を用いた場合(図8(a))に比べても曲げ癖山高さは改善されていない。
図8(b)~図8(d)の結果から、パンチ11に設けるパンチ稜線部11dについては、曲げ癖部127の大きさを低減させるための好適位置があることが分かる。そこで、パンチ稜線部11dの好適位置について、図9に基づいて説明する。
図9(a)は、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻したときに曲げ癖部127が発生する領域を模式的に示した図である。
曲げ戻し前プレス成形品110のダイ肩R部119の領域の長さl1(図9(a)参照)は、縦壁部113のプレス成形方向に対する傾斜角度α(°)とダイ肩R部119の曲げ半径R1との幾何学的な関係より式(1)で算出できる。
l1=2πR1×(90°-α)/360° ・・・式(1)
また、曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113における縦壁側塑性曲げ変形領域113aの長さl2と、フランジ部115におけるフランジ側塑性曲げ変形領域115aの長さl3は、前述の曲げ癖発生メカニズムで述べたように、曲げ戻し前プレス成形品110のダイ肩R部119の曲げ半径R1のおよそ1/2であるので式(2)及び式(3)で与えられる。
l2=R1×1/2 ・・・式(2)
l3=R1×1/2 ・・・式(3)
これらより、曲げ癖部127の発生する領域の長さは、曲げ戻し前プレス成形品110のダイ肩R部119の長さl1、縦壁側塑性曲げ変形領域113aの長さl2及びフランジ側塑性曲げ変形領域115aの長さl3の合計値として算出できる。
例えば、ダイ肩R部119の曲げ半径R1が5mm、曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113のプレス成形方向に対する傾斜角度αが3°の場合、ダイ肩R部119の長さl1は式(1)より7.6mm、縦壁側塑性曲げ変形領域113aの長さl2及びフランジ側塑性曲げ変形領域115aの長さl3は式(2)及び式(3)よりいずれも2.5mmである。この場合、曲げ戻し前プレス成形品110における曲げ癖部127の発生する領域の長さはこれらの合計値12.6mm(=7.6mm+2.5mm+2.5m)となる。
パンチ側第1傾斜面部11bの傾斜角度を、曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113の傾斜角度αと同じとし、曲げ戻し前プレス成形品110の成形高さをh1とすると、ダイ肩R部119と縦壁側塑性曲げ変形領域113aとの境界のプレス成形方向における天板成形面部11eからの距離hdは、図9(a)に示す幾何学的関係より、
hd=h1-R1・(1-sinα)・・・式(4)
で与えられる。
図9(b)に、曲げ戻し前プレス成形品110の天板部111を基準としたときの、曲げ癖部127の発生する領域とその境界の位置を、示す。
曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113の傾斜角度αが1~10°の範囲内である場合、cosα≒1と近似できるため、プレス成形方向における天板部111から縦壁部113側の境界までの距離hs及びフランジ部115側の境界までの距離heは、それぞれ、式(1)~式(4)を用いると、式(5)及び式(6)で与えられる。
hs=h1-R1・(1-sinα)-R1×1/2 ・・・式(5)
he=h1-R1・(1-sinα)+2πR1×(90°-α)/360°+R1×1/2 ・・・式(6)
よって、パンチ稜線部11dのプレス成形方向における天板成形面部11eからの距離h2とすると、パンチ稜線部11dの位置は、hs≦h2≦he、すなわち、以下の式(7)を満足するように決定することで、曲げ癖部127の発生する領域における縦壁部113の内面側にパンチ稜線部11dを当接させながら曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻すことが可能となり、曲げ癖部127の発生する領域を急峻に折り曲げて曲げ癖山高さをより低減することができて好ましい。
h1-R1(1-sinα)-R1/2 ≦ h2 ≦ h1-R1(1-sinα)+2πR1(90-α)/360+R1/2 ・・・式(7)
ここで、
h2は、パンチ11の天板成形面部11eからパンチ稜線部11dまでのプレス成形方向における距離(mm)
h1は、曲げ戻し前プレス成形品110の成形高さ(mm)
R1は、曲げ戻し前プレス成形品110のダイ肩R部119の曲げ半径(mm)
αは、曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113のプレス成形方向に対する傾斜角度(°)
≪パンチ側第2傾斜面部の傾斜角度≫
図10(a)は、パンチ側第1傾斜面部11bのプレス成形方向に対する傾斜角度αを10°とし、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βを10°とし、さらに、β×1/2及びβ×1/4にした場合において、パンチ稜線部11dの位置を曲げ癖部が発生する縦壁側塑性曲げ変形領域113a、ダイ肩R部119及びフランジ側塑性曲げ変形領域115a内で変更したときの曲げ癖山高さを、従来のパンチ41を用いてプレス成形したプレス成形品120における曲げ癖部127の曲げ癖山高さha(図7(a)の表面形状プロフィールAを参照)を100%としたときの比率で示した図である。
図10(b)~図10(d)は、図10(a)中のプロット(b)~(d)の曲げ癖部127のパンチ側の表面形状プロフィールを示した図である。そして、図10(b)~図10(d)の横軸(X方向)、縦軸(Y方向)、A、B及びCは、前述した図7と同様である。
図10(a)より、曲げ癖部が発生する領域内にパンチ稜線部11dが位置することで、曲げ癖山高さを低減することができ、さらに、曲げ癖部が発生する領域の中央にパンチ稜線部11dが位置するときに曲げ癖山高さが最も低減していることがわかる(図10(b)と図10(c)に示す表面形状プロフィールCを参照)。
また、図10(a)より、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度を大きくすることで、見かけ上の曲げ癖山高さを低減する効果が向上することがわかる(図10(b)と図10(d)に示す表面形状プロフィールCを参照)。そのため、曲げ癖山高さを低減するためには、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βを大きくすることが好ましい。
しかしながら、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βをパンチ側第1傾斜面部11bの傾斜角度αよりも大きくすると、パンチ側第2傾斜面部11cがパンチ稜線部11dよりも天板成形面部11e側となってしまう。そのため、プレス成形用金型10のダイ13をプレス成形方向に対して平行に相対移動させる場合においては、成形下死点位置でのパンチ側第2傾斜面部11cとダイ側第2傾斜面部13cとの垂直方向の間隙が広くなってしまって曲げ戻されるフランジ部115を十分に拘束できないので、曲げ癖部127の曲げ癖山高さを低くする効果も飽和してしまう。
よって、ダイ13をパンチ11側へとプレス成形方向に対して平行に相対移動させる場合において、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βは、パンチ側第1傾斜面部11bの傾斜角度α以下(0<β≦α)とすればよい。
もっとも、ダイ13がプレス成形方向に対して傾斜してパンチ11側に可動する機構を備えたプレス成形用金型10を用いて寄せ曲げする場合においては、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βについて上記のような上限は存在せず、適宜設定すればよい。
また、プレス成形後にプレス成形用金型10からプレス成形品120を離型すると、フランジ部115を曲げ戻して成形した縦壁部123がパンチ11側に凸状となるスプリングバックする(図5(e)参照)。そのため、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βは、プレス成形過程におけるプレス成形品120の縦壁部123の折り曲げ量(パンチ11側に凹状)が、スプリングバック量(パンチ11側に凸状)を超えない範囲内に留めるのが好ましい。
ただし、離型後の縦壁部123のスプリングバック量は、プレス成形品120の断面形状及び長手方向形状、ブランク100に用いる金属板の引張強度及び板厚、プレス成形品120に生じた残留応力やひずみの分布等、様々な因子の影響を受けるので、一律に決めることはできない。
そのため、縦壁部123のスプリングバック量は、あらかじめ有限要素法による数値シミュレーションや予備実験により求めておくことが好ましい。
また、ダイ13は、パンチ11外面に平行なクリアランスを保持した内面形状を有することが好ましい。ここで、ダイ13の有する内面形状とは、ダイ側第1傾斜面部13b及びダイ側第2傾斜面部13cの形状のことをいう。また、パンチ11外面とは、パンチ側第1傾斜面部11b及びパンチ側第2傾斜面部11cの形状をいう。そして、ダイ13のダイ側第1傾斜面部13bは、プレス成形方向に対して傾斜角度αであってパンチ側第1傾斜面部11bと平行とし、ダイ側第2傾斜面部13cは、ダイ側第1傾斜面部13bを基準としてパンチ11側にむけて傾斜角度βだけ傾斜させてパンチ側第2傾斜面部11cと平行とするのが好ましい。
そして、ダイ13をプレス成形方向に対して平行に相対移動させてパンチ11に近接させた成形下死点位置において、ダイ側第1傾斜面部13b及びダイ側第2傾斜面部13cは、パンチ側第1傾斜面部11b及びパンチ側第2傾斜面部11cのそれぞれに対して垂直方向距離が所定の間隙を保って対向させるように設けることが好ましい。これは、図1(b)に示す成形下死点位置の状態のとおり、パンチ11とダイ13との間において縦壁部113が自由に変形できる空間を狭くして縦壁部113を拘束できるので、パンチ側第1傾斜面部11b及びパンチ側第2傾斜面部11cとダイ側第1傾斜面部13bとダイ側第2傾斜面部13cの形状を転写しやすくなるからである。
≪パンチとダイのクリアランス≫
ここで、図1及び図2に示すプレス成形用金型10において、パンチ11とダイ13とのクリアランスは、ブランクの板厚の0%以上50%以下となるように、パンチ11とダイ13とを設置することが好ましい。パンチ11とダイ13のクリアランスとは、パンチ側第1傾斜面部とダイ側第1傾斜面部との垂直方向距離、及び、パンチ側第2傾斜面部とダイ側第2傾斜面部の垂直方向距離を前記板厚で除して100を乗じて算出される値(%)のことをいう。
クリアランスが0%未満の場合は、いわゆる「しごき加工」となり、摺動面の異常摩耗や、いわゆる「かじり」と称される疵が発生するおそれがあるため、好ましくない。
また、クリアランスが50%超えた場合、ブランクが自由に動けるスペースを生じさせることとなるため、本発明の効果を発揮しにくくなるため好ましくない。
特に、プレス成形用金型とブランクとの間で「かじり」が生じやすい引張強度1600MPa級超や板厚3.6mmより厚い金属板をブランクとして用いる場合、クリアランスを適切に調整することが重要となる。
なお、本実施の形態に係るプレス成形方法の説明は、ハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115の全部を曲げ戻して縦壁部123の一部としたコの字断面形状のプレス成形品120をプレス成形する場合についてのものであったが、本発明は、図11に一例として示すように、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115の一部を曲げ戻して縦壁部133の一部とし、フランジ部115の残りの部位を新たなフランジ部135としたハット断面形状のプレス成形品130をプレス成形するものであってもよい。
この場合においても、図4に示すコの字断面形状のプレス成形品120をプレス成形する場合と同様、パンチ11のパンチ稜線部11dを曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113の内面側に当接させながらフランジ部115を曲げ戻すことで、ハット断面形状のプレス成形品130の縦壁部133に残存する曲げ癖部141の大きさ(曲げ癖山高さ)を低減することができる。
また、本発明は、上面視で長手方向に沿って湾曲したプレス成形品を目標形状とする場合においては、プレス成形品の縦壁部に残存する曲げ癖部の大きさ(曲げ癖山高さ)を低減することができることに加え、湾曲したプレス成形品における伸びフランジ成形による割れや縮みフランジ成形によるしわを抑制することができる。
本実施の形態では、ダイ13は、パンチ側第1傾斜面部11b及びパンチ側第2傾斜面部11cのそれぞれに平行なダイ側第1傾斜面部13b及びダイ側第2傾斜面部13cを備え、パンチ側第1傾斜面部11b及びパンチ側第2傾斜面部11cと協働して曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113を挟圧するものであった。
もっとも、本発明は、ダイ13がパンチ側第1傾斜面部11b及びパンチ側第2傾斜面部11cのそれぞれに平行なダイ側第1傾斜面部13b及びダイ側第2傾斜面部13cを備えたものに限るものではない。パンチ稜線部を当接させながらフランジ部を曲げ戻してパンチ側第1傾斜面部及びパンチ側第2傾斜面部に沿わせるように縦壁部を形成するものであってもよい。
また、本発明は、予め準備されたハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻す1工程のみのものに限らず、ハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品をプレス成形する第1成形工程と、曲げ戻し前プレス成形品のフランジ部を曲げ戻して縦壁部を形成する第2成形工程と、の2工程で目標形状のプレス成形品をプレス成形するものを含む。
なお、本発明で成形対象とするプレス成形品が自動車部品である場合、自動車部品の種類としては、高強度の金属板を使うAピラーやBピラー、ルーフレール、サイドレール、フロントサイドメンバー、リアサイドメンバー、クロスメンバー等の骨格部品、等が例示できる。
本実施例1では、図3(a)に示すハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品110をプレス成形する第1成形工程と、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻して図3(b)に示すプレス成形品をプレス成形する第2成形工程、のそれぞれについてプレス成形シミュレーションを行い、プレス成形品120の縦壁部123に発生する曲げ癖部の曲げ癖山高さを求めた。
第1成形工程では、板厚1.2mm、引張強度1180MPa級の金属板をブランク100とし、パンチとダイとホルダーとを備えたプレス成形用金型(図示なし)を用いて、図3(a)に示す天板部111と縦壁部113とフランジ部115を有する曲げ戻し前プレス成形品110をプレス成形した。
曲げ戻し前プレス成形品110の目標形状は、成形高さhを50mm、天板部111の長さlTを50mm、縦壁部113の傾斜角度αを3°、フランジ部115の幅WFを50mm、パンチ肩R部117の曲げ半径及びダイ肩R部119の曲げ半径をいずれも10mmとした。
そして、第1成形工程で用いるパンチ及びダイの寸法は、曲げ戻し前プレス成形品の目標形状に対応するように設定した。
続く第2成形工程では、図1に示すように、パンチ11とダイ13とを備えたプレス成形用金型10を用い、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115の全部を曲げ戻し、天板部121と縦壁部123とを有するコの字断面形状のプレス成形品120をプレス成形した。
プレス成形品120の目標形状は、天板部121の長さ、パンチ肩R部125の曲げ半径は曲げ戻し前プレス成形品110と同一とした。
プレス成形用金型10の寸法は、パンチ11の天板成形面部11eの幅は50mm、パンチ側第1傾斜面部11b及びダイ側第1傾斜面部13bは、いずれも、曲げ戻し前プレス成形品110の縦壁部113の傾斜角度αと等しい3°とした。
また、パンチ稜線部11dの天板成形面部11eからの距離h2は50mm、パンチ側第1傾斜面部11bの傾斜角度はα=3°、パンチ側第1傾斜面部11bを基準としたパンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度はβ=0~3°、ダイ肩R部119の曲げ半径は10mm、成形下死点におけるパンチ側第1傾斜面部11bとダイ側第1傾斜面部13bのクリアランス及びパンチ側第2傾斜面部11cとダイ側第2傾斜面部13cのクリアランスは、いずれも、ブランク100の板厚に対して3%とした。
そして、第2成形工程で成形されたプレス成形品120の縦壁部123に発生した曲げ癖部127の曲げ癖山高さを算出した。ここで、曲げ癖山高さは、縦壁部123に垂直な方向における曲げ癖部127の表面までの距離の最大値とした。
本実施例1では、以下に示すように、プレス成形品120のプレス成形に用いるパンチ11のパンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βとパンチ稜線部11dの位置を変更してプレス成形シミュレーションを行い、曲げ癖山高さの低減効果について検討した。
[パンチ側第2傾斜面部の傾斜角度]
本実施例では、まず、第2成形工程で用いるパンチ11のパンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βを変更し、曲げ癖部の曲げ癖山高さを検討した。
パンチ側第1傾斜面部11bのプレス成形方向から外側の傾斜角度α(=3°)以下の範囲内でパンチ側第2傾斜面部11cのパンチ側第1傾斜面部11bから内側の傾斜角度をβ=1°、2°又は3°としたものを発明例1-1、発明例1―2及び発明例1―3とし、曲げ癖部127の曲げ癖山高さを求めた。
また、比較対象として、図4に示す従来のプレス成形用金型40を用いて、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻して縦壁部123の一部としたプレス成形品120をプレス成形したものを比較例1とし、発明例1-1~発明例1-3と同様に、曲げ癖部127の曲げ癖山高さを求めた。
表1に、発明例1-1~発明例1-4及び比較例1におけるプレス成形品120の曲げ癖山高さ結果を示す。
Figure 0007099587000002
比較例1における曲げ癖山高さは1.72mmであった。
これに対し、発明例1-1、発明例1-2及び発明例1-3における曲げ癖山高さは1.24mm、1.35mm及び1.52mmであり、いずれも、比較例1よりも低減した。
これより、パンチ稜線部11dを設けたパンチ11を用いることで、曲げ癖部127の曲げ癖山高さを低減できることが示された。
さらに、発明例1-1~発明例1-3の結果から、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βを大きくすることによって、曲げ癖山高さを低減する効果が大きくなることが示された。これは、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部を曲げ戻す際に、ダイ肩R部119を逆方向に曲げる変形が促進されるためである。
なお、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度βを、パンチ側第1傾斜面部11bの傾斜角度αよりも大きい4°とした場合についても、プレス成形シミュレーションを行った。
この場合、ダイ13を水平方向への移動も可能として、パンチ11側へと寄せ曲げすることで、パンチ側第2傾斜面部11cの傾斜角度がパンチ側第1傾斜面部11bの傾斜角度αよりも大きい場合であっても、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部を曲げ戻してプレス成形品120をプレス成形することができる。
[パンチ稜線部の位置の影響]
次に、第2成形工程で用いるパンチ11のパンチ稜線部11dの位置を本発明の好適範囲内で変更した場合についてプレス成形シミュレーションを行い、曲げ癖部の曲げ癖山高さを求めた。
ここでは、発明例として、パンチ側第1傾斜面部11bのプレス成形方向から外側の傾斜角度α以下の範囲内でパンチ側第2傾斜面部11cのパンチ側第1傾斜面部11b方向から内側の傾斜角度をβ=3°としたものを、それぞれ、発明例2-1、発明例2―2及び発明例2―3とした。
表2に、発明例2-1~発明例2-5と、前述した比較例1におけるプレス成形品120の曲げ癖山高さ結果を示す。
Figure 0007099587000003
発明例2-1は、パンチ稜線部11dの位置を本発明の好適範囲内としたものであり、発明例2-1は縦壁側塑性曲げ変形領域113a、発明例2-2はダイ肩R部119、発明例2-3はフランジ側塑性曲げ変形領域115aの範囲となるようにパンチ稜線部11dの位置を設定したものである。
発明例2-1、発明例2-2及び発明例2-3における曲げ癖山高さは、それぞれ、1.24mm、1.23mm及び1.24mmであり、比較例1における曲げ癖山高さに比べて大きく低減した。
発明例2-4及び発明例2-5は、パンチ稜線部11dの位置を本発明の好適範囲外としたものであり、発明例2-4は縦壁側塑性曲げ変形領域113aよりもパンチ肩R部117側に、発明例2-5はフランジ側塑性曲げ変形領域115aよりもフランジ部115先端側にパンチ稜線部11dを設定したものである。
発明例2-4及び発明例2-5における曲げ癖山高さはいずれも1.45mmであり、比較例1における曲げ癖山高さよりは小さいが、発明例2-1~発明例2-3より大きかった。
本実施例2では、図11(a)に示すハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品110をプレス成形する第1成形工程と、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻して図11(b)に示すハット断面形状のプレス成形品130をプレス成形する第2成形工程と、のそれぞれについてプレス成形シミュレーションを行い、プレス成形品130の縦壁部133に発生する曲げ癖部141の大きさを検討した。
当該プレス成形シミュレーションでは、前述した実施例1と同様、パンチ側第1傾斜面部とパンチ側第2傾斜面部とパンチ稜線部とを有するパンチと、フランジ曲げ戻し部を有するダイと、を備えたプレス成形用金型(図示なし)を用い、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115における縦壁部113側の一部を曲げ戻して縦壁部133とし、フランジ部115における縦壁部113と反対側の部位をフランジ部135としたハット断面形状のプレス成形品130をプレス成形したもの発明例3とした。
プレス成形品130の目標形状は、成形高さをH=80mm、フランジ部135の幅をWF=20mmとした。また、プレス成形品130のプレス成形に用いるパンチは、パンチ側第1傾斜面部の傾斜角度をα=3°、パンチ側第2傾斜面部の傾斜角度をβ=3°とした。そして、プレス成形品130の目標形状及びプレス成形用金型の寸法についてのその他の条件は、前述した実施例1と同様とした。
また、実施例2では、従来のプレス成形用金型40を用いて、曲げ戻し前プレス成形品110のフランジ部115を曲げ戻してプレス成形品130をプレス成形したものを比較例2とした。
そして、発明例3及び比較例2のそれぞれについて、ハット断面形状のプレス成形品130の縦壁部133に残存した曲げ癖部141の曲げ癖山高さを求めた。曲げ癖山高さは、前述した実施の形態と同様に求めた(図6参照)。
表3に、発明例3及び比較例2における曲げ癖山高さの結果を示す。
Figure 0007099587000004
比較例2における曲げ癖山高さは1.71mmであった。
これに対し、発明例3における曲げ癖山高さは1.24mmであり、比較例2よりも低減した。
これより、本発明に係るプレス成形方法によれば、ハット断面形状のプレス成形品130品を目標形状とする場合においても、曲げ癖部141の曲げ癖山高さを低減できることが示された。
10 プレス成形用金型
11 パンチ
11a パンチ側縦壁成形面部
11b パンチ側第1傾斜面部
11c パンチ側第2傾斜面部
11d パンチ稜線部
11e 天板成形面部
13 ダイ
13a ダイ側縦壁成形面部
13b ダイ側第1傾斜面部
13c ダイ側第2傾斜面部
13d フランジ曲げ戻し部
13e フランジ成形面部
13f ダイ肩部
40 プレス成形用金型
41 パンチ
41a パンチ側縦壁成形面部
43 ダイ
43a ダイ側縦壁成形面部
43b フランジ曲げ戻し部
110 プレス成形品
110 曲げ戻し前プレス成形品
111 天板部
113 縦壁部
113a 縦壁側塑性曲げ変形領域
115 フランジ部
115a フランジ側塑性曲げ変形領域
117 パンチ肩R部
119 ダイ肩R部
120 プレス成形品
121 天板部
123 縦壁部
125 パンチ肩R部
127 曲げ癖部
127a ダイ肩R相当部
127b 縦壁側塑性曲げ変形部
127c フランジ側塑性曲げ変形部
127d 境界
127e 境界
130 プレス成形品
131 天板部
133 縦壁部
135 フランジ部
137 パンチ肩R部
139 ダイ肩R部
141 曲げ癖部
151 平坦面部
153 電極
155 溶接部

Claims (3)

  1. 天板部と、該天板部からプレス成形方向に対して傾斜して連続する縦壁部と、該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部と、を有してなるハット断面形状の曲げ戻し前プレス成形品を、パンチとダイとを用いて前記フランジ部を曲げ戻して縦壁部を形成したプレス成形品のプレス成形方法であって、
    前記パンチは、
    前記曲げ戻し前プレス成形品の前記天板部と同形状の前記プレス成形品の天板部を成形する天板成形面部と、前記縦壁部を成形する縦壁成形面部とを有し、
    該縦壁成形面部は、前記天板成形面部から連続して外側に傾斜し、プレス成形方向に対する傾斜角度が前記曲げ戻し前プレス成形品の前記縦壁部の傾斜角度と等しいパンチ側第1傾斜面部と、該パンチ側第1傾斜面部の下端側から連続して該パンチ側第1傾斜面部よりも内側に傾斜するパンチ側第2傾斜面部とを有し、前記パンチ側第1傾斜面部と前記パンチ側第2傾斜面部とが外側に凸となる山形状を呈すると共にその接続部にパンチ稜線部が形成されてなり、
    前記ダイは、
    前記パンチに載置した前記曲げ戻し前プレス成形品の前記フランジ部を曲げ戻すフランジ曲げ戻し部を有し、
    前記パンチに前記曲げ戻し前プレス成形品を載置して前記ダイを前記パンチ側に相対移動させ、前記縦壁部の内面側に前記パンチ稜線部を当接させながら前記フランジ曲げ戻し部により前記フランジ部を曲げ戻し、前記プレス成形品の前記縦壁部を形成することを特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記ダイは、パンチ外面に平行なクリアランスを保持した内面形状を有することを特徴とする請求項1に記載のプレス成形方法。
  3. 前記パンチ稜線部は、下式を満足する位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形方法。
    h1-R1(1-sinα)-R1/2 ≦ h2 ≦ h1-R1(1-sinα)+2πR1(90-α)/360+R1/2
    ここで、
    h2は、前記パンチの前記天板成形面部から前記パンチ稜線部までのプレス成形方向における距離(mm)
    h1は、前記曲げ戻し前プレス成形品の成形高さ(mm)、
    R1は、前記曲げ戻し前プレス成形品のダイ肩R部の曲げ半径(mm)
    αは、前記曲げ戻し前プレス成形品の前記縦壁部のプレス成形方向に対する傾斜角度(°)
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