JP2024001837A - プレス成形方法及びプレス成形品の製造方法 - Google Patents

プレス成形方法及びプレス成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プレス成形後のトリミング工程を必須とすることなく、縮みフランジ変形によって生じるフランジ部のしわを十分に抑制し、曲げ成形にも適用可能なプレス成形方法及びプレス成形品の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係るプレス成形方法及びプレス成形品の製造方法は、外周縁又はその一部が外方に向かって凸状に湾曲した凸状外周縁部3aを有する天板部3と、縦壁部5と、フランジ部7とを有するプレス成形品1を成形する方法であって、金属板を中間成形品15に成形する第1成形工程と、第1成形工程で成形した中間成形品15を目標形状のプレス成形品1に成形する第2成形工程とを備え、中間成形品15は、天板部3の凸状外周縁部に対応する部分において、ダイ肩R部31の曲率半径が目標形状と同じ又は大きく、縦壁部27とフランジ部29とが成す角度が目標形状より小さく、縦壁部27の延長線とフランジ部29の延長線の交点までの天板部3からの距離が目標形状と同じであることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、天板部と、縦壁部と、フランジ部とを有するプレス成形品を成形するプレス成形方法及びプレス成形品の製造方法に関し、特に、前記プレス成形品を成形する際の縮みフランジ変形に伴うしわの発生を抑制するプレス成形方法及びプレス成形品の製造方法に関する。
自動車の衝突安全性基準の厳格化により、車体の衝突安全性の向上が進んでいる。その一方で、二酸化炭素排出規制を受けて、燃費向上やEV化のために車体の軽量化も必要とされている。これら車体の衝突安全性向上と軽量化を両立させるために、車体構造部品への590MPa級以上の高強度鋼板(ハイテン材とも称する)の適用が進んでいる。ハイテン材を車体構造部品にプレス成形する際には、縮みフランジ変形により生じるしわの抑制が課題となっている。
例えば、自動車部品には、AピラーアッパーやAピラーロア、バンパー部品等のように、天板部と、縦壁部と、フランジ部を有する部品がある。このような部品において天板部の外周縁又はその一部が外方に向かって凸状に湾曲した形状となっている場合、プレス成形の際に当該部位の縦壁部やフランジ部は縮みフランジ変形し、フランジ部の端部にしわが発生する場合がある。特にハイテン材の場合、高強度化によって座屈しやすくなり、しわが発生しやすい。
そこで、特許文献1には、天板部と、天板部に連続して先端にフランジのない斜壁部を有し、斜壁部の全体もしくは一部が平面視でプレス成形品の長手方向において前記斜壁部側に凸状に湾曲したプレス成形品を成形する方法が開示されている。特許文献1の方法では、ブランク材における斜壁部に相当する部位よりも端部側の部位をダイとパンチで挟持した状態で斜壁部を形成することにより、ブランク材の板厚方向への座屈を防止して、斜壁部に発生するしわを抑制できる。
また、特許文献2には、天板部とフランジ部とが側壁部を介して幅方向で連続しているハット形断面を有すると共に天板部及びフランジ部が長手方向に沿って天板部側に凸に湾曲した湾曲部分を有するプレス成形品を製造する方法が開示されている。特許文献2の方法は、フランジ部位置よりも外周部分にシワ押さえ領域を設定し段絞りで成形を行う段絞り工程を有し、さらにフランジ部位置の一部にもシワ押さえで押さえる付加領域を設定することにより、フランジ部で発生するしわを抑制できる。
特開2016-221558号公報 特開2018-034176号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプレス成形方法では、ブランク材における斜壁部に相当する部位よりも端部側の部位をダイとパンチで挟持した状態で斜壁部を成形するため、ダイとパンチで挟持した部位を次工程でトリミングする必要がある。
また、特許文献2に記載のプレス成形方法は、フランジ部のしわの発生を抑制できるものの、しわ押さえを使用するため、曲げ(フォーム)成形によるプレス成形には適用できないという課題がある。
本発明は、係る課題を解決するためになされたものであり、プレス成形後のトリミング工程を必須とすることなく、縮みフランジ変形によって生じるフランジ部のしわを十分に抑制し、曲げ成形にも適用可能なプレス成形方法及びプレス成形品の製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、外周縁又はその一部が外方に向かって凸状に湾曲した凸状外周縁部を有する天板部と、該天板部からパンチ肩R部を介して連続する縦壁部と、該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部とを有するプレス成形品を成形する方法であって、金属板を中間成形品に成形する第1成形工程と、該第1成形工程で成形した前記中間成形品を目標形状の前記プレス成形品に成形する第2成形工程とを備え、前記中間成形品は、少なくとも前記天板部の凸状外周縁部に対応する部分において、ダイ肩R部の曲率半径が前記目標形状と同じか又は前記目標形状よりも大きく、縦壁部とフランジ部とが成す角度が目標形状より小さく、縦壁部の延長線とフランジ部の延長線の交点までの天板部からの距離が目標形状と同じであることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第1成形工程は、絞り成形又は曲げ成形を適用し、前記第2成形工程は、曲げ成形を適用することを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記金属板を、引張強度が590MPa級以上の鋼板とすることを特徴とするものである。
(4)本発明に係るプレス成型品の製造方法は、外周縁又はその一部が外方に向かって凸状に湾曲した凸状外周縁部を有する天板部と、該天板部からパンチ肩R部を介して連続する縦壁部と、該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部とを有するプレス成形品を製造する方法であって、金属板を中間成形品に成形する第1成形工程と、該第1成形工程で成形した前記中間成形品を目標形状の前記プレス成形品に成形する第2成形工程とを備え、前記中間成形品は、少なくとも前記天板部の凸状外周縁部に対応する部分において、ダイ肩R部の曲率半径が前記目標形状と同じか又は前記目標形状よりも大きく、縦壁部とフランジ部とが成す角度が目標形状より小さく、縦壁部の延長線とフランジ部の延長線の交点までの天板部からの距離が目標形状と同じであることを特徴とするものである。
(5)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記第1成形工程は、絞り成形又は曲げ成形を適用し、前記第2成形工程は、曲げ成形を適用することを特徴とするものである。
(6)また、上記(4)又は(5)に記載のものにおいて、前記金属板を、引張強度が590MPa級以上の鋼板とすることを特徴とするものである。
本発明においては、第1成形工程で目標形状よりも縮みフランジ変形量の小さい中間成形品を成形し、第2成形工程で中間成形品を目標形状に成形することにより、第2成形工程において縮みフランジ変形による材料移動が生じにくくてしわになりにくい。
このため、本発明は目標形状の成形品の板厚増加を抑制でき、しわのない良好な形状のプレス成形品が得られ、プレス成形における歩留まり向上に繋がる。
また、本発明はパンチとダイでブランクの端部を挟持する必要がないので、従来のトリミング工程を必須としない。
さらに、本発明はしわ押さえも必要としないので、曲げ成形にも適用可能である。
本発明の一実施の形態に係るプレス成形方法の説明図である。 実施の形態で対象とした部品(目標形状)の説明図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は平面図である。 実施の形態の中間成形品の形状を説明する図であり、図3(a)は中間成形品の断面図、図3(b)は目標形状の断面図である。 実施の形態の第2成形工程における成形過程を示す図である。 第1成形工程及び第2成形工程における材料流入量の説明図である。 中間成形品の縦壁部とフランジ部とが成す角度θ1と、各工程における材料流入量との関係を示すグラフである。 実施例に係る角度θ1を変更した3例の中間成形品の断面形状と目標形状の断面形状とを比較して示す図である。 従来のプレス成形方法で成形したプレス成形品の板厚増加率分布及び最大板厚増加率を示す図である。 従来のプレス成形方法における成形過程を示す図である。
本実施の形態に係るプレス成形方法及びプレス成形品の製造方法が目標とするプレス成形品について、図2の例に基づいて説明する。なお、図2は、プレス成形品の全体又は特徴的な一部を示したものである。図2に示すプレス成形品1は、天板部3と、縦壁部5と、フランジ部7を有するものであって、天板部3の外周縁の一部が外方に向かって凸状に湾曲した部位(以下、「凸状外周縁部3a」という)を有するものである。なお、凸状外周縁部3aと他の部位との境界は、例えば天板部3を平面視したときの凸状外周縁部3aのR止まりまでとする。
また、本例ではプレス成形品1の縦壁部5とフランジ部7とが成す角度を90°とした。
プレス成形品1における天板部3と縦壁部5の境界部は、プレス成形に用いたパンチのパンチ肩部の形状に対応したR形状となっているので、当該部位を「パンチ肩R部9」と称する。また、縦壁部5とフランジ部7の境界部は、ダイのダイ肩部の形状に対応したR形状となっているので「ダイ肩R部11」と称する。以降、本明細書において単に「パンチ肩R部9」、「ダイ肩R部11」と表記したときには金型側ではなくプレス成形品1側の上記部位を指す。
まず、本実施の形態に係るプレス成形方法及びプレス成形品の製造方法を説明するに先立って、従来の方法で図2のようなプレス成形品1をプレス成形する場合の問題点について説明する。
図8は、従来の方法でプレス成形品1をプレス成形した場合についてFEM解析した結果であり、板厚増加率の分布を色の濃淡で示している。板厚増加率は、プレス成形後のプレス成形品1の板厚とプレス成形前のブランクの板厚との差(板厚増分)を求め、ブランクの板厚との比(割合)で表したものであり、値が大きいほど板厚が増加していることを表している。板厚が増加するほど、プレス成形品1の当該部位にしわが発生しやすくなる。さらに、板厚増加が局所的になるほどしわになりやすい。
図2のようなプレス成形品1を成形する従来の方法としては、例えば、目標形状に対応した形状のパンチとダイを用い、平板状のブランクを1工程で目標形状に成形する方法がある。この場合、天板部3の凸状外周縁部3aに連続する縦壁部5、及びこの縦壁部5に連続するフランジ部7は、縮みフランジ変形して材料が集中し、しわが発生しやすい。図2に示すプレス成形品1の場合、最も板厚が増加したのは図8の矢印で示すフランジ部7の端部であり、最大板厚増加率は+12.5%であった。このように、フランジ部7の板厚が局所的に増加することで当該部分にしわが生じ、問題となっていた。フランジ部7の板厚が局所的に増加する理由について図9を用いて説明する。
図9は、上述した従来のプレス成形方法でプレス成形品1を成形する場合の成形過程を示したものである。図9では、ブランク13の変形過程を、正面図(図9の上側の図、図2(b)の矢印方向からみた図)、及び図2(b)のA-A´断面に相当する断面図(図9の下側の図)でそれぞれ示している。
なお、図中の「5mmup」等の数値は、ブランク13の板厚分を考慮したパンチ21とダイ23のプレス方向の距離を示している。したがって、「5mmup」とは、パンチ21のフランジ成形部とダイ23のフランジ成形部との隙間が、ブランク13の板厚に+5mmを加えた状態であることを示している。また、「0mmup」は成形下死点の状態を示している。
天板部3の凸状外周縁部3aに連続する縦壁部5が成形され始めると、図9の「10mmup」の正面図(上側の図)に示すように、縮みフランジ変形によってブランク13の端部に例えば二つの山状の大きなしわが生じる。この二つの大きな山状のしわは、縮みフランジ変形が進むにしたがって中央に集中してくっきりした形状になる(「5mmup」、「3mmup」の正面図参照)。
成形の進行に伴って、ダイ23が相対的に移動してダイ23の下面がしわの頂部に到達すると、ダイ23がしわを押し潰すように成形が進行するが、「1mmup」まで成形が進むとブランク13はしわを残したまま拘束され、成形下死点に至る(「0mmup」参照)。
上記のように、従来の成形過程では、パンチ21とダイ23の間の隙間で大きなしわが生じて、このしわを潰しきれないままフランジ部7を成形するため、プレス成形品1にしわが残存し、しわが生じた部分の板厚が局所的に増加していた。
成形過程でしわが生じないようにする手段としては、フランジ部7に相当する部位にしわ押さえを用いるとよいが、しわ押さえを用いない曲げ成形では適用できない。
そこで、フランジ部7におけるしわの発生を従来よりも低減しつつ、曲げ成形でも適用できる手段を講じたのが、本実施の形態のプレス成形方法である。
具体的には、本実施の形態に係るプレス成形方法は、図2のようなプレス成形品1を成形する方法であって、図1に示すように、ブランク13を中間成形品15に成形する第1成形工程と、中間成形品15をプレス成形品1に成形する第2成形工程を備えている。
なお、プレス成形方法を実行することによって、プレス成形品1が製造されるので、プレス成形方法の発明は、プレス成形品の製造方法の発明として構成することができる。したがって、以下に説明するプレス成形方法の実施の形態は、プレス成形品の製造方法の実施の形態と共通するものである。
図1(a)は第1成形工程の成形前の状態のパンチ17、ダイ19及びブランク13の斜視図であり、図1(b)は図1(a)のB断面図である。
また、図1(c)は第2成形工程の成形前の状態のパンチ21、ダイ23及び中間成形品15の斜視図であり、図1(d)は図1(c)のC断面図である。
なお、図1(a)~図1(d)の各金型は肉厚部分を無視して成形面部の形状のみを図示している。
また、図1(d)に示す中間成形品15において、プレス成形品1と同一の部位には同一の符号を付している。
以下、各工程を詳細に説明する。
<第1成形工程>
第1成形工程は、図1(b)に示すように、パンチ17の天板成形面部上面とパッド25でブランク13の一部を挟持した状態でダイ19を相対的に移動させ、金属板であるブランク13を中間成形品15にプレス成形する工程である。
第1成形工程で成形する中間成形品15の形状について、図3を用いて以下詳細に説明する。
図3(a)に中間成形品15の断面形状、図3(b)に目標形状であるプレス成形品1の断面形状を示す。なお、図3(a)、図3(b)は共に図2のA-A´断面に相当するものであり、天板部3の凸状外周縁部3aに対応する部分の断面図である。
中間成形品15は、図3(a)に示すように、少なくとも天板部3の凸状外周縁部3aに対応する部分において、縦壁部27とフランジ部29とが成す角度θ1が目標形状の縦壁部5とフランジ部7とが成す角度(90°)より小さくなっている。
また、中間成形品15における縦壁部27の延長線とフランジ部29の延長線の交点p1までの天板部3からの距離a1は、目標形状における縦壁部5の延長線とフランジ部7の延長線の交点p2までの天板部3からの距離a2と同じになっている。
中間成形品15を上記のような形状としたことにより、中間成形品15の天板部3から縦壁部27の下端までの高さb1は、目標形状の天板部3から縦壁部5の下端までの高さb2より低くなる。以降、中間成形品15の天板部3から縦壁部27の下端までの高さb1を単に「中間成形品15の高さb1」といい、目標形状の天板部3から縦壁部5の下端までの高さb2を単に「目標形状の高さb2」という。
なお、図3の例は中間成形品15のダイ肩R部31の曲率半径Rを目標形状のダイ肩R部11の曲率半径Rと同じとした例であるが、本発明はこれに限られない。中間成形品15のダイ肩R部31の曲率半径は目標形状のダイ肩R部11の曲率半径より大きくてもよく、その場合も中間成形品15の高さb1は目標形状の高さb2より低くなる。
第1成形工程で図3(a)のような中間成形品15を成形すると、中間成形品15のフランジ部29には縮みフランジ変形が生じるが、上述のように中間成形品15の高さb1は目標形状の高さb2よりも低いので、従来の平板状のブランク13を目標形状に成形する場合と比べて縮みフランジ変形量が小さい。
したがって、第1成形工程において中間成形品15のフランジ部29は板厚が増加しにくく、しわが生じにくい。
<第2成形工程>
第2成形工程は、第1成形工程で成形した中間成形品15を目標形状のプレス成形品1に成形する工程である(図1(c))。第2成形工程のパンチ21及びダイ23は目標形状に対応した形状であり、図9の従来例の金型と同様であるので同一の符号を付している。
第2成形工程では、図1(d)に示すように、中間成形品15のパンチ肩R部9をパンチ21の肩部に合わせてセットし、パンチ21とパッド25で中間成形品15の天板部3を挟持した状態でダイ23を相対的に移動させ、中間成形品15を目標形状に成形する。
第2成形工程における成形過程の様子を図4に示す。
図4では、図9と同様に中間成形品15の変形過程を、正面図(図4の上側の図、図2(b)の矢印方向からみた図)、及び断面図(図4の下側の図、図2(b)のA-A´断面に相当する図)でそれぞれ示している。「5mmup」等の数値の意味も図9と同様である。
ダイ23を相対的に移動させると、「1mmup」以降からダイ23が中間成形品15のダイ肩R部31を曲げ戻して縦壁部27の下部とフランジ部29が成形され始める。この成形は縮みフランジ変形を伴うものであるが、中間成形品15は加工硬化しているため、平板状のブランク13よりも剛性が高くて材料が移動しにくくなっている。したがって、図4の各正面図(上側の図)に示すように、従来のような2つの山状のしわが成形過程で生じず、成形完了後のプレス成形品1にもしわが生じにくい。また、山状のしわが生じたとしても、このときダイ23とパンチ21の隙間は板厚+1mmととても小さいので、そのしわは大きくなることなくダイ23に押し潰されて成形下死点に至る。
このように、中間成形品15の剛性が高いことから第2成形工程における成形過程でしわが生じにくく、その結果、プレス成形品1のフランジ部7における板厚増加や、しわ発生を抑制できる。
上記のように本実施の形態では、第1成形工程で縮みフランジ変形量の小さい中間成形品15を成形し、第2成形工程で中間成形品15を目標形状に成形することにより、局所的な板厚増加の問題を解消し、プレス成形品1のフランジ部7に生じるしわを抑制できる。
さらに、パンチとダイでブランクの端部を挟持した状態でプレス成形する必要がないので、特許文献1に示す従来例のようにトリミング工程を必要としない。
また、本実施の形態のプレス成形方法は、しわ押さえを用いることなくフランジ部7のしわを抑制することができるので、曲げ(フォーム)成形によるプレス成形に適用できる。即ち、中間成形品15を成形する第1成形工程で絞り成形又は曲げ成形を適用し、目標形状を成形する第2成形工程で曲げ成形を適用する場合に特に効果的である。
さらに、本実施の形態のプレス成形方法は、縮みフランジ変形によってしわが生じやすい高強度鋼板を用いる場合に特に効果的である。例えば、金属板であるブランクを引張強度が590MPa級以上の鋼板としてもよく、その場合も十分なしわの低減効果を奏することができる。
なお、上述したように、本実施の形態のプレス成形方法は、縮みフランジ変形量が目標形状より小さい中間成形品15を介することで、プレス成形品1に生じるしわを低減できるようにしたものである。この中間成形品15の縮みフランジ変形量は縦壁部27とフランジ部29とが成す角度θ1が小さいほどより小さくなる。この点についてさらに説明する。
図5(a)は、第1成形工程における成形前のブランク13の断面形状を破線、成形後の成形下死点における中間成形品15の断面形状を実線で示したものである。ここで、図5(a)におけるブランク13の端部から中間成形品15のフランジ部29の端部までの距離を第1成形工程での材料流入量と定義する。
詳しくは後述するが、この第1成形工程での材料流入量は、中間成形品15の角度θ1(図3(a)参照)が小さいほど小さくなる。材料流入量が小さいと第1成形工程における縮みフランジ変形量が小さくなるので、中間成形品15の角度θ1を小さくすることで第1成形工程における板厚増加(ブランク13からの板厚増加)を低減できる。
図5(b)は、第1成形工程の成形下死点における中間成形品15の断面形状を破線、第2成形工程の成形下死点におけるプレス成形品1の断面形状を実線で示したものである。ここで、図5(b)における中間成形品15のフランジ部29の端部からプレス成形品1のフランジ部7の端部までの距離を第2成形工程での材料流入量と定義する。
この第2成形工程での材料流入量は、中間成形品15の角度θ1が小さいほど大きくなる。材料流入量が大きいと第2成形工程における縮みフランジ変形量が大きくなるので、中間成形品15の角度θ1を小さくすることで第2成形工程における板厚増加(中間成形品15からの板厚増加)は大きくなる。
上述したように、中間成形品15の角度θ1が小さいほど、第1成形工程での材料流入量が小さく、第2成形工程での材料流入量が大きくなる。上記関係の一例として、中間成形品15の角度θ1と各工程の材料流入量との関係を図6に示す。なお、図6において、中間成形品15のダイ肩R部31の曲率半径Rは目標形状のダイ肩R部11の曲率半径Rと同じ4mm一定とした。
中間成形品15の角度θ1を小さくした場合、第1成形工程での材料流入量を少なくし板厚増加を低減できるが、第2成形工程での材料流入量が多くなり板厚増加が増大して目標成形品の板厚増加を十分に低減できない場合もある。したがって、第2成形工程後の板厚増加がなるべく低減するように中間成形品15の角度θ1を設定することで、本発明はより効果的になる。この点については、下記の実施例でも本発明の効果とともに具体的に説明する。
なお、中間成形品15の角度θ1は目標形状の当該角度の3割~9割とするのが好ましい。
本発明のプレス成形方法における縮みフランジ変形でのしわの抑制効果について、FEM解析を用いて具体的な検討を行ったので、その結果について以下に説明する。
本実施例では、板厚1.0mm、引張強度が980MPa級の鋼板をブランクとして用い、図2のプレス成形品1を目標形状としてプレス成形する場合について確認した。なお、目標形状におけるダイ肩R部11の曲率半径は4mm、縦壁部5とフランジ部7が成す角度は90°とした。
鋼板を1工程で目標形状に成形する従来例と、鋼板を2工程で目標形状に成形する本発明例についてFEM解析を実施し、縮みフランジ変形部位における最大板厚増加率を求めた。なお、従来例の解析結果は図8で説明したとおりであるので、以下では本発明例の解析結果について説明する。
本発明例では、中間成形品15の縦壁部27とフランジ部29が成す角度θ1を60°、70°、80°とした3例についてFEM解析を行った。なお、3つの本発明例はいずれも中間成形品15のダイ肩R部31の曲率半径Rを目標形状と同じ4mmとした。図7に、3つの本発明例の中間成形品15の断面形状(縦壁部27とフランジ部29が成す角度θ1=60°、70°、80°)と目標形状の断面形状(縦壁部5とフランジ部7が成す角度=90°)を図示した。図7ではそれぞれの形状違いを比較するため、天板部3の位置を一致させて図示した。
従来例における目標成形品の最大板厚増加率及び本発明例の第1成形工程、第2成形工程における中間成形品15と目標成形品の最大板厚増加率を表1に示す。なお、表1に示す中間成形品の最大板厚増加率と目標成形品の最大板厚増加率はいずれもブランク13の板厚を基準とする増加率を示したものである。
Figure 2024001837000002
表1に示すように、従来例(No.1)では目標成形品(プレス成形品1)の最大板厚増加率が12.5%であったのに対し、本発明例(No.2~No.4)では目標成形品の最大板厚増加率がすべて従来例より低減した。その結果、上記のように本実施例では、本発明によって縮みフランジ変形によるフランジしわを従来よりも抑制できることが示された。
なお、第2成形工程後の目標成形品の板厚増加がなるべく低減するように中間成形品15の角度θ1を設定することで、より効果的にしわを抑制することができる。この点について、以下具体的に説明する。
No.2~No.4の中間成形品15の最大板厚増加率を比較すると分かるように、中間成形品15の縦壁部27とフランジ部29が成す角度θ1が小さいほど、第1成形工程における中間成形品15の最大板厚増加率が減少している。これは、図7に示すように、角度θ1が小さい中間成形品15ほど高さb1(図3(a)参照)が低くなるので、フランジ部29の端部が紙面右側にせり出し、第1成形工程での材料流入量(図5(a)参照)が小さくなるからである。第1成形工程での材料流入量が小さくなれば、中間成形品15の縮みフランジ変形量は小さくなるので、最大板厚増加率も低減する。
また、No.2~No.4の目標成形品の最大板厚増加率を比較すると分かるように、中間成形品15の縦壁部27とフランジ部29が成す角度θ1が70°のNo.3が、第2成形工程における目標成形品の最大板厚増加率が最も減少した。従って、中間成形品15の角度θ1には第2成形工程での最大板厚増加率を最も低減する最適値があることがわかった。
このように、第2成形工程後の目標成形品の板厚増加がなるべく小さくなるように中間成形品15の角度θ1を設定すればよく、これにより、しわ抑制効果を最大限に奏することができて効果的である。
1 プレス成形品(目標形状)
3 天板部
3a 凸状外周縁部
5 縦壁部(プレス成形品)
7 フランジ部(プレス成形品)
9 パンチ肩R部
11 ダイ肩R部(プレス成形品)
13 ブランク(金属板)
15 中間成形品
17 パンチ(第1成形工程)
19 ダイ(第1成形工程)
21 パンチ(第2成形工程又は従来工程)
23 ダイ(第2成形工程又は従来工程)
25 パッド
27 縦壁部(中間成形品)
29 フランジ部(中間成形品)
31 ダイ肩R部(中間成形品)

Claims (6)

  1. 外周縁又はその一部が外方に向かって凸状に湾曲した凸状外周縁部を有する天板部と、該天板部からパンチ肩R部を介して連続する縦壁部と、該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部とを有するプレス成形品を成形するプレス成形方法であって、
    金属板を中間成形品に成形する第1成形工程と、
    該第1成形工程で成形した前記中間成形品を目標形状の前記プレス成形品に成形する第2成形工程とを備え、
    前記中間成形品は、少なくとも前記天板部の凸状外周縁部に対応する部分において、ダイ肩R部の曲率半径が前記目標形状と同じか又は前記目標形状よりも大きく、縦壁部とフランジ部とが成す角度が目標形状より小さく、縦壁部の延長線とフランジ部の延長線の交点までの天板部からの距離が目標形状と同じであることを特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記第1成形工程は、絞り成形又は曲げ成形を適用し、
    前記第2成形工程は、曲げ成形を適用することを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
  3. 前記金属板を、引張強度が590MPa級以上の鋼板とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス成形方法。
  4. 外周縁又はその一部が外方に向かって凸状に湾曲した凸状外周縁部を有する天板部と、該天板部からパンチ肩R部を介して連続する縦壁部と、該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部とを有するプレス成形品の製造方法であって、
    金属板を中間成形品に成形する第1成形工程と、
    該第1成形工程で成形した前記中間成形品を目標形状の前記プレス成形品に成形する第2成形工程とを備え、
    前記中間成形品は、少なくとも前記天板部の凸状外周縁部に対応する部分において、ダイ肩R部の曲率半径が前記目標形状と同じか又は前記目標形状よりも大きく、縦壁部とフランジ部とが成す角度が目標形状より小さく、縦壁部の延長線とフランジ部の延長線の交点までの天板部からの距離が目標形状と同じであることを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  5. 前記第1成形工程は、絞り成形又は曲げ成形を適用し、
    前記第2成形工程は、曲げ成形を適用することを特徴とする請求項4記載のプレス成形品の製造方法。
  6. 前記金属板を、引張強度が590MPa級以上の鋼板とすることを特徴とする請求項4又は5に記載のプレス成形品の製造方法。
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