JP6032374B2 - プレス成形体の製造方法及びプレス成形装置 - Google Patents

プレス成形体の製造方法及びプレス成形装置 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形体の製造方法及びプレス成形装置に関する。具体的には、引張強度が390MPa以上の高張力鋼板製の略溝型断面を有するプレス成形体の製造方法、及びそのようなプレス成形体の製造に用いられるプレス成形装置に関する。
自動車車体のフロア(以下、単に「フロア」という)は、車両の走行時に、車体の捻じり剛性や曲げ剛性を第一義的に担うだけではなく、車両の衝突時に、衝撃荷重の伝達を担う。また、フロアは、自動車車体の重量にも大きく影響する。そのため、フロアには、高剛性かつ軽量という二律背反の特性を兼ね備えることが要求される。フロアは、互いに溶接されて接合される平板状のパネルと、車幅方向へ向けて平板状のパネルに固定配置される略溝型断面を有する車幅部材と、車体前後方向へ向けて平板状のパネルに固定配置される略溝型断面を有する車長部材とを備える。
平板状のパネルとしては、例えば、ダッシュパネル、フロントフロアパネル又はリアフロアパネル等が例示される。車幅部材は、溶接により、これら平板状のパネルの車幅方向へ向けて固定配置されて、フロアの剛性や強度を高める部材である。車幅部材としては、例えば、フロアクロスメンバやシートクロスメンバ等が例示される。車長部材は、溶接により、車体前後方向へ向けて固定配置されてフロアの剛性や強度を高める部材である。車長部材としては、例えば、サイドシルやサイドメンバ等が例示される。このうち、車幅部材や車長部材等の補強部材は、通常、その端部に形成される外向きフランジを介して他の部材に接合される。例えば、車幅部材の一例であるフロアクロスメンバは、その両端部に形成される外向きフランジを介して、フロントフロアパネルのトンネル部及びサイドシルに接合される。
図19(a)及び(b)は、長手方向の両端部に形成される外向きフランジ4を介して他の部材に接合される部材の代表例であるフロアクロスメンバ1を示している。図19(a)はフロアクロスメンバ1の斜視図であり、図19(b)は図19(a)におけるA矢視図である。
フロントフロアパネル2は、例えば、フロントフロアパネル2の上面(室内側の面)に接合されるトンネル部(図示せず)、サイドシル3及びフロアクロスメンバ1によって補強される。トンネル部は、フロントフロアパネル2の幅方向の略中心に沿って、室内側に膨出する構造部材である。サイドシル3は、フロントフロアパネル2の車幅方向の両側部においてフロントフロアパネル2の上面にスポット溶接される。フロアクロスメンバ1の両端は、長手方向の両端部に形成される外向きフランジ4を介して、トンネル部及びサイドシル3にそれぞれスポット溶接される。これにより、フロアの剛性及び衝撃荷重負荷時の荷重伝達特性が向上する。
このように、フロアクロスメンバ1は、自動車車体の剛性向上や側面衝突時の衝撃荷重を吸収する役目を担う重要な構造部材である。このため、近年では、軽量化及び衝突安全性の向上の観点から、より薄くかつより強度の高い高張力鋼板、例えば引張強度が390MPa以上の高張力鋼板(高強度鋼板又はハイテン)がフロアクロスメンバ1の素材として用いられている。しかしながら、フロアクロスメンバ1には、衝撃荷重負荷時の荷重伝達特性のさらなる向上も強く求められている。このため、単に材料強度を高めることだけではなく、フロアクロスメンバ1の形状を工夫することによって、衝撃荷重負荷時の荷重伝達特性を向上させることが必要となっている。
特許文献1〜3には、フロアクロスメンバの成形を意図するものではないが、金型のパッド機構に工夫を施すことによって、高強度材料のプレス成形体における形状凍結不良を解決するための発明が開示されている。これらの発明は、パンチ頂部と、パンチ頂部の平坦部に向き合う部分のみの平坦なパッドとの位置関係によって、成形中の素材に意図的にたわみを発生させることによって、成形後の形状凍結性の向上を図るものである。
特許第4438468号 特開2009−255116号公報 特開2012−051005号公報
フロアの剛性及び衝撃荷重負荷時の荷重伝達特性を高めるためには、フロアクロスメンバの端部に形成される外向きフランジを連続フランジとして、フロントフロアパネルのトンネル部やサイドシル等と接合することが好ましい。すなわち、後述するように、外向きフランジが、フロアクロスメンバの稜線部の長手方向の端部にも形成されて、少なくとも溝底部から稜線部に亘って連続するフランジが形成されることが好ましい。なお、本明細書において、略溝型断面を有する成形体の端部を、溝の外側へ折り曲げたフランジを「外向きフランジ」といい、溝底部から少なくとも稜線部に亘って連続する外向きフランジを「外向き連続フランジ」という。
しかし、稜線部の端部を含む外向き連続フランジをプレス成形により成形しようとすると、稜線部の端部に形成される外向きフランジの成形が伸びフランジ成形となって、外向きフランジのエッジに割れを生じやすい。また、稜線部の端部を含む外向き連続フランジをプレス成形により成形しようとすると、稜線部の端部の近傍のフランジの根元付近でしわを生じやすい。これらのプレス成形時の不具合は、プレス成形体の材料強度が高いほど発生しやすい。また、かかる不具合は、稜線部の端部にフランジを成形する際の伸びフランジ率が高いほど、すなわち、図19(b)における溝底部1cと縦壁部1dとの成す角度θが小さいほど発生しやすい。さらに、図19(b)におけるプレス成形体の高さhが高いほど外向きフランジの張力が大きくなるために、かかる不具合が発生し易い。
車幅部材や車長部材等の補強部材は、自動車車体の軽量化に伴って高強度化される傾向にある。また、かかる補強部材は、要求される性能や、他の部材との接合部の形状の関係上、外向き連続フランジを成形しようとすると伸びフランジ率が高くなる形状に設計される傾向にある。そのため、従来のプレス成形法では、外向き連続フランジの割れや、稜線部の端部近傍のしわを抑制することが困難であった。したがって、かかるプレス成形技術上の制約により、高張力鋼板からなる補強部材の端部に形成する外向きフランジには、補強部材の性能の低下を甘受してでも、稜線部の端部に相当する領域に切り欠きを設けざるを得ない。すなわち、図19(a)及び図19(b)に示すように、外向きフランジ4は、稜線部1aの端部の領域に形成された切欠き4aによって、不連続とならざるを得ない。
なお、本明細書において、「フランジに切欠きを設ける」とは、切欠きがフランジの幅方向の全体にわたって設けられ、フランジが不連続となることをいう。また、フランジの幅は、フランジの高さと同じ意味で用いられる。したがって、フランジの幅が部分的に小さくされ、一部のフランジが残される場合には、フランジに切欠きを設けていないものとする。
特許文献1〜3に開示された従来の発明では、いずれも、溝底部、稜線部及び縦壁部を有する略溝型断面を有する、引張張力が390MPa以上の高張力鋼板製のプレス成形体の端部のうち、少なくとも溝底部から稜線部にかけて、所望の外向き連続フランジを形成することは困難である。したがって、特許文献1〜3に開示された従来の発明によって外向きフランジを有するプレス成形体を成形するには、稜線部の端部の領域に切り欠きを設けることが必要となる。あるいは、特許文献1〜3に開示された従来の発明によっては、得られるプレス成形体の歩留まりの低下を生じることなく、外向きフランジを有するプレス成形体を成形することができない。
本発明の目的は、引張強度が390MPa以上の高張力鋼板製の略溝型断面を有し、外向き連続フランジを備えるプレス成形体を成形する際に、外向き連続フランジのエッジの割れや稜線部の端部近傍のフランジの根元付近のしわを抑制することができる、プレス成形体の製造方法及びプレス成形装置を提供することである。
上記課題を解決するにあたり、本発明のある観点によれば、390MPa以上の高張力鋼板製の成形素材をプレス成形することにより、所定方向に延びて形成され、溝底部と、前記溝底部に連続する稜線部と、前記稜線部に連続する縦壁部とを有し、前記所定方向に対して交差する断面が略溝型断面を成し、前記所定方向の少なくとも一方の端部における、少なくとも前記溝底部及び前記稜線部に亘って連続して形成された外向き連続フランジを有するプレス成形体を製造する方法であって、
第1のパンチと、第1のダイと、前記第1のパンチに対向する第1のパッド及び第2のパッドと、を備える第1のプレス成形装置を用いて、
前記第1のパッドにより、前記成形素材のうち前記溝底部に成形される部分の少なくとも一部を押圧して、前記成形素材を前記第1のパンチに押し当てることにより、前記溝底部に成形される部分に連続する前記成形素材の端部を、前記押圧する方向とは反対の方向に立ち上げるとともに、前記第1のパッド及び前記第1のパンチにより前記溝底部に成形される部分の少なくとも一部を拘束した後、
前記第2のパッドにより、前記稜線部に成形される部分の前記所定方向の端部の少なくとも一部を押圧して前記第1のパンチに押し当てることにより、前記稜線部に成形される部分に連続する前記所定方向の端部を、前記押圧する方向とは反対の方向に立ち上げるとともに、前記稜線部に成形される部分を前記押圧する方向に曲げながら、前記第2のパッド及び前記第1のパンチにより前記稜線部に成形される部分の前記少なくとも一部を拘束し、
前記第1のパッド及び前記第2のパッドにより前記成形素材を拘束した状態で、前記第1のパンチ及び前記第1のダイによりプレス成形を行い、中間成形体を成形する第1の工程と、
第2のパンチと、第2のダイと、を備える第2のプレス成形装置を用いて、前記第2のパンチ及び前記第2のダイにより前記中間成形体をプレス成形し、前記プレス成形体を成形する第2の工程と、
を備える、プレス成形体の製造方法が提供される。
また、前記第1の工程において、前記第2のパッドにより、前記稜線部に成形される部分のうち、前記稜線部に成形される部分と前記溝底部に成形される部分との接続部を起点とする断面周長の少なくとも1/3の長さの部分を押圧して前記第1のパンチに押し当ててもよい。
また、前記第1のパッド及び前記第2のパッドは前記第1のダイに支持され、前記第1のダイを前記第1のパンチの方向に移動させることにより、前記第1のパッド、前記第2のパッド及び前記第1のダイが順次に前記成形素材を押圧してもよい。
また、前記第1の工程における前記プレス成形が曲げ成形であってもよい。
また、前記第1の工程における前記プレス成形が深絞り成形であってもよい。
また、前記プレス成形体は、前記溝底部の幅及び前記縦壁部の高さの少なくとも一方が、前記外向き連続フランジを有する端部に向かうにつれて増加する成形体であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、所定方向に延びて形成され、溝底部と、前記溝底部に連続する稜線部と、前記稜線部に連続する縦壁部とを有し、前記所定方向に対して交差する断面が略溝型断面を成し、前記所定方向の少なくとも一方の端部における、少なくとも前記溝底部及び前記稜線部に亘って連続して形成された外向き連続フランジを有するプレス成形体を製造するために用いられ、パンチと、ダイと、前記パンチに対向するパッドとを備え、前記パッド及び前記パンチにより390MPa以上の高張力鋼板製の成形素材を拘束した状態で前記パンチ及び前記ダイによりプレス成形を行うプレス成形装置において、
前記パッドは、第1のパッドと、前記第1のパッドとは異なる第2のパッドと、を含み、
前記第1のパッドは、前記成形素材における前記溝底部に成形される部分の少なくとも一部を前記パンチに押し当てて拘束し、
前記第2のパッドは、前記稜線部に成形される部分の端部の少なくとも一部を押圧して前記パンチに押し当てることにより、前記稜線部に成形される部分を前記押圧する方向に曲げながら、前記稜線部に成形される部分の前記少なくとも一部を拘束し、
前記第2のパッドが、前記第1のパッドにより前記溝底部に成形される部分の少なくとも一部を拘束した後に、前記稜線部に成形される部分の前記少なくとも一部を拘束するよう構成される、プレス成形装置が提供される。
前記第2のパッドは、前記稜線部に成形される部分のうち、前記稜線部に成形される部分と前記溝底部に成形される部分との接続部を起点とする断面周長の少なくとも1/3の長さの部分を押圧してもよい。
また、前記第1のパッド及び前記第2のパッドは前記ダイに支持され、前記ダイを前記パンチの方向に移動させることにより、前記第1のパッド、前記第2のパッド及び前記ダイが順次に前記成形素材を押圧してもよい。
本発明によれば、第1のパッドにより溝底部に形成される部分が拘束された後、第2のパッドにより稜線部に形成される分の端部が拘束され、その後に、ダイ及びパンチによるプレス成形が行われる。これにより、成形時における鋼板材料の移動(引き込み)が抑制され、外向き連続フランジのエッジの割れや、稜線部の端部近傍のフランジの根元付近のしわが抑制される。したがって、略溝型断面を有し、端部において少なくとも溝底部から稜線部にかけて外向き連続フランジを有する、引張強度が390MPa以上の高張力鋼板製のプレス成形体を、フランジに切欠きを設けることなく、歩留まりを低下させずに製造することができる。特に、本発明は、溝底部の幅及び縦壁部の高さの少なくとも一方が、外向き連続フランジを有する端部に向かうにつれて増加するプレス成形体である場合に有効である。
図1(a)は、本実施形態により製造されるプレス成形体の一例を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面図である。 図2(a)は、本実施形態にかかるプレス成形装置の一例を示す断面図であり、図2(b)は、同実施形態にかかるプレス成形装置の斜視図である。 図3(a)及び(b)は、第1のパッドにより溝底部に成形される部分が拘束される様子を示す断面図及び斜視図である。 図4(a)及び(b)は、第2のパッドにより稜線部に成形される部分が拘束される様子を示す断面図及び斜視図である。 図5は、第2のパッドによる稜線部に成形される部分の押圧範囲と、稜線部の端部のフランジのエッジにおける板厚減少率の最小値との関係を示す特性図である。 図6は、第2のパッドによる稜線部に成形される部分の押圧範囲と、稜線部の端部のフランジの根元付近における板厚減少率の最小値との関係を示す特性図である。 図7は、ダイ及びパンチにより成形素材がプレス成形される様子を示す断面図である。 図8(a)は、溝底部及び稜線部に成形される部分を同時に押えるパッドを用いた例を示す斜視図であり、図8(b)は、当該パッド用いてプレス成形を行う場合の成形素材について説明するための図である。 図9(a)は、プレス成形体の板厚減少率の解析位置を示す説明図であり、図9(b)は、比較例1の解析結果であり、図9(c)は、比較例2の解析結果であり、図9(d)は、実施例1の解析結果である。 図10(a)は、比較例3にかかる解析モデルを示し、図10(b)は、比較例4にかかる解析モデルを示し、図10(c)は、実施例2にかかる解析モデルを示す。 図11は、各解析モデルの軸方向荷重に関する解析結果を示すグラフである。 図12(a)は、圧壊ストローク10mmの場合における、各解析モデルの衝撃エネルギの吸収量に関する解析結果を示すグラフであり、図12(b)は、圧壊ストローク20mmの場合における、各解析モデルの衝撃エネルギの吸収量に関する解析結果を示すグラフである。 図13(a)〜(c)は、各解析モデルにおける、圧壊ストロークが5mmの場合のX方向応力(MPa)の分布を示すコンター図である。 図14(a)〜(c)は、各解析モデルにおける、圧壊ストロークが5mmの場合のZ方向面外変位の分布を示すコンター図である。 図15(a)〜(c)は、各解析モデルにおける、圧壊ストロークが5mmの場合の相当塑性ひずみ分布を示すコンター図である。 図16(a)〜(c)は、各解析モデルにおける、圧壊ストロークが10mmの場合の相当塑性ひずみ分布を示すコンター図である。 図17(a)〜(c)は、各解析モデルにおける、圧壊ストロークが15mmの場合の相当塑性ひずみ分布を示すコンター図である。 図18(a)〜図18(c)は、各解析モデルにおける、圧壊ストロークが20mmの場合の相当塑性ひずみ分布を示すコンター図である。 図19(a)は、長手方向の両端部に形成される外向き連続フランジを介して他の部材に接合される部材の代表例であるフロアクロスメンバを示す斜視図であり、図19(b)は、図19(a)におけるA矢視図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.プレス成形体>
本発明の実施の形態にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置は、所望の形状の外向き連続フランジを有するプレス成形体を製造するためのものである。したがって、まず、本実施形態において製造されるプレス成形体について説明する。ここでは、溝底部の幅又は縦壁部の高さが、外向き連続フランジを有する端部に向かうにつれて増加するプレス成形体(以下、このようなプレス成形体の形状を「先拡がり形状」ともいう。)を例に採って説明する。
図1(a)及び(b)は、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置を用いて製造されるプレス成形体10の一例を示す説明図である。図1(a)は、プレス成形体10を含む構造部材100の斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A断面図である。
プレス成形体10は、所定方向(図1(a)中に矢印Xで示す方向、軸方向ともいう。)へ延びて形成され、JIS Z 2241に準拠した引張試験により測定される引張強度が390MPa以上の高張力鋼板製のプレス成形体である。図1(a)に示すプレス成形体10は、プレス成形体10の長手方向が所定方向となっているが、所定方向はプレス成形体100の長手方向に限られない。
図1(a)に示すプレス成形体10は、自動車のボディシェルの構造部材100を構成する部材として用いることができる。構造部材100としては、例えば、フロアクロスメンバ、サイドシル、フロントサイドメンバ、あるいはフロアトンネルブレースが例示される。構造部材100が、フロアクロスメンバ、サイドシル、フロントサイドメンバ又はフロアトンネル等の自動車車体用の補強部材として使用される場合、好ましくは590MPa以上、より好ましくは780MPa以上の引張強度を有する高強度鋼板が成形素材として用いられる。
なお、本明細書においては、第2の部材18を含まないプレス成形体(第1の部材)10自体を構造部材100という場合もあれば、プレス成形体(第1の部材)10に第2の部材18が接合された複合部材を構造部材100という場合もある。例えば、構造部材100がフロアクロスメンバの場合、フロアパネルが第2の部材18に相当し、フロアパネルに接合されるプレス成形体10自体が、構造部材100としてのフロアクロスメンバとなる。一方、構造部材100がサイドシルの場合、プレス成形体(第1の部材)10を、クロージングプレートや、第1の部材と類似した略溝型断面を有する第2の部材と接合した筒状の複合部材が構造部材100となる。
さらに、構造部材100がフロントサイドメンバの場合、一般的にはサイドシルと同様に、プレス成形体(第1の部材)10と第2の部材とからなる筒状の複合部材がフロントサイドメンバとされる。ただし、フロントサイドメンバの場合、例えばフードリッジパネルが第2の部材に相当するものとして、フードリッジパネルに接合されるプレス成形体10自体がフロアサイドメンバと呼ばれる場合もある。
図1(a)に示すように、プレス成形体10は、溝底部11と、稜線部12a,12bと、縦壁部13a,13bと、曲面部14a,14bと、フランジ部15a,15bとを有する。二つの稜線部12a,12bは、溝底部11の幅方向の両端に連続して形成される。二つの縦壁部13a,13bは、それぞれ二つの稜線部12a,12bに連続して形成される。二つの曲面部14a,14bは、それぞれ二つの縦壁部13a,13bに連続して形成される。二つのフランジ部15a,15bは、それぞれ二つの曲面部14a,14bに連続して形成される。
また、二つのフランジ部15a,15bは、例えばクロージングプレートやボディシェルを構成する成形パネル(例えばフロアパネル)といった第2の部材18に接合される。これにより、第1の部材であるプレス成形体10と第2の部材18とにより、閉じた横断面形状が形成される。ただし、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置を用いて製造されるプレス成形体において、縦壁部13a,13bに連続する曲面部14a,14bや、曲面部14a,14bに連続するフランジ部15a,15bは省略されていてもよい。
かかるプレス成形体10は、長手方向の端部に外向き連続フランジ16を有する。図1(a)に例示したプレス成形体10では、長手方向の端部において、溝底部11から稜線部12a,12b、さらに縦壁部13a,13bに亘って、断面周方向に連続して、外向き連続フランジ16が形成されている。ただし、本実施形態にかかるプレス成形体10は、長手方向の端部において、少なくとも溝底部11から稜線部12a,12bに亘って外向き連続フランジ16が形成されていればよい。
外向き連続フランジ16は、プレス成形体10の長手方向の端部に、曲率半径r(mm)を有する立ち上がり曲線部17を介して形成される(図1(b)を参照。)。さらに、プレス成形体10は、長手方向に沿って、外向き連続フランジ16を有する端部に向かうにつれて、溝底部11の幅又は縦壁部13a,13bの高さが増加する先拡がり形状を有する。好ましくは、プレス成形体10は、下記式(1)の関係を充足する。
2×1.1<L1 … (1)
上記式(1)において、符号L1及びL2は、それぞれ以下に定義する長手方向の位置における溝底部11の幅(mm)及び縦壁部13a,13bの高さ(mm)の少なくとも一方の大きさを意味する。溝底部11の幅は、溝底部11をなす面を平面視した場合における、長手方向に沿う中心線mに直交する方向の溝底部11の長さを意味する。また、縦壁部13a,13bの高さは、縦壁部13a,13bをなす面を平面視した場合における、長手方向に沿う中心線nに直交する方向の縦壁部13a,13bの長さを意味する。
符号L1は、立ち上がり曲線部17が成す曲線の両終端位置のうちの外向き連続フランジ16側の終端位置Bから、長手方向に沿って外向き連続フランジ16とは反対側へ1.1×r(mm)離れた位置Cでの溝底部11の幅又は縦壁部13a,13bの高さを意味する(図1(b)を参照。)。また、符号L2は、立ち上がり曲線部17が成す曲線の両終端位置のうちの外向き連続フランジ16側の終端位置Bから、長手方向に沿って外向き連続フランジ16とは反対側へ1.1×r+1.5×L1(mm)離れた位置Dでの溝底部11の幅又は縦壁部13a,13bの高さを意味する(図1(b)を参照。)。
また、外向き連続フランジ16のフランジ幅に関し、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法によれば、フランジ幅が25mm以上であっても所望の形状の外向き連続フランジ16を有するプレス成形体10を得ることができる。なお、例えばスポット溶接を行うことを容易にする観点からは、フランジ幅が13mm以上であることが好ましい。ただし、本実施形態にかかるプレス成形体10の外向き連続フランジ16は、稜線部12a,12bの端部に切欠きを有しないフランジである。そのために、外向き連続フランジ16のフランジ幅が13mm以下であっても、プレス成形体10の剛性や衝突安全特性を維持することができる。また、衝突安全特性を維持する観点からは、外向き連続フランジ16と溝底部11あるいは縦壁部13a,13bとが成す角度であるフランジの立ち上がり角度が60°以上であることが好ましい。
かかるプレス成形体10を備える構造部材100は、長手方向の端部に、溝底部11から縦壁部13a,13bにかけて形成された外向き連続フランジ16を有している。これにより、構造部材100の軸方向への圧壊の初期(例えば、圧壊ストローク5mm以下)において、プレス成形体10の端部における稜線部12a,12bへの応力集中を抑制することができる。したがって、かかる稜線部12a,12bの端部に生じる歪みが小さくなり、衝撃荷重負荷時の構造部材100の軸方向への荷重伝達特性が高められている。
また、かかるプレス成形体10を備える構造部材100は、外向き連続フランジ16を有する端部に向かうにつれて溝底部11の幅及び縦壁部13a,13bの高さの少なくとも一方の大きさが増大する先拡がり形状を有する。これにより、構造部材100の軸方向への圧壊の後期(例えば、圧壊ストローク5mm超)において、軸圧壊の座屈ピッチが細かくなって、座屈数が増加する。特に、圧壊ストロークが70mm超の場合の衝撃エネルギ吸収量が増加し、衝撃荷重負荷時の構造部材100の軸方向への荷重伝達特性がさらに高められている。
すなわち、プレス成形体10が先拡がり形状を有するとともに、その端部に外向き連続フランジ16を有することにより、軸方向への圧壊の初期及び後期において、優れた荷重伝達特性が発揮される。ただし、かかる形状のプレス成形体10は、成形上の制約から、外向き連続フランジ16における、稜線部12a,12bの端部に連続して形成されるフランジのエッジの割れや、稜線部12a,12bの端部近傍におけるフランジの根元付近のしわが発生しやすい。したがって、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置は、特に、外向き連続フランジ16を有する先拡がり形状のプレス成形体10の成形に適している。
第1の部材であるプレス成形体10と第2の部材18との、フランジ部15a,15bを介した接合方法は、強度が担保できる限り特に制限されない。実用的には、構造部材100の長手方向に沿って、複数箇所をスポット溶接により接合する方法が一般的である。ただし、例えば、フランジ幅等によっては、レーザー溶接による接合方法であってもよく、その他の接合方法を採用してもよい。
また、外向き連続フランジ16は、プレス成形体10の長手方向の端部のうち、少なくとも溝底部11から稜線部12a,12bに亘って形成されていればよい。好ましくは、外向き連続フランジ16は、プレス成形体10の長手方向の端部において、溝底部11から縦壁部13a,13bに亘って形成されるとよい。かかる外向き連続フランジ16であれば、稜線部12a,12bに負荷される荷重がより分散されやすくなって、稜線部12a,12bへの応力集中を抑制することができる。
また、外向き連続フランジ16のフランジ幅は一定でなくてもよい。例えば、外向き連続フランジ16のうち、稜線部12a,12bに対応する領域でのフランジ幅が小さくなっていてもよい。稜線部12a,12bの端部に形成される外向きフランジの割れや、稜線部12a,12bの端部近傍でのしわを抑制するためには、フランジ幅が小さい方が有利ではある。ただし、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置は、比較的大きいフランジ幅であっても、当該しわや割れを抑制することができる。
<2.プレス成形体の製造方法及びプレス成形装置>
次に、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置について説明する。上述のとおり、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置は、図1(a)に例示した、所定方向の少なくとも一方の端部に外向き連続フランジ16を有するプレス成形体10を製造するために用いられる方法及び装置である。以下、プレス成形体の製造方法の概略を説明した後に、本実施形態にかかるプレス成形装置30及びプレス成形体の製造方法について詳細に説明する。
(2−1.製造方法の概略)
まず、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法の概略を説明する。本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法は、第1のプレス成形装置を用いて行われる第1の工程と、第2のプレス成形装置を用いて行われる第2の工程とを含む。
(2−1−1.第1の工程の概略)
第1の工程は、第1のプレス成形装置を用いて行われる。かかる第1のプレス成形装置が、後述する本実施形態にかかるプレス成形装置に相当する。第1の工程では、第1のパッドにより、成形素材のうち溝底部に成形される部分の少なくとも一部が押圧される。これにより、溝底部に成形される部分に連続する成形素材の端部が、第1のパッドの押圧方向とは反対の方向に立ち上げられる。さらに、第1のパッドにより成形素材が第1のパンチに押し当てられて、第1のパッド及び第1のパンチにより、溝底部に成形される部分の少なくとも一部が拘束される。
第1のパッドにより成形素材における溝底部に成形される部分が拘束された後、第1のパッドとは異なる第2のパッドにより、成形素材のうち稜線部に成形される部分の長手方向の端部の少なくとも一部が押圧される。これにより、稜線部に成形される部分に連続する成形素材の端部が、第2のパッドの押圧方向とは反対の方向に立ち上げられる。さらに、第2のパッドにより、成形素材における稜線部に成形される部分を第2のパッドの押圧方向に曲げながら、第2のパッド及び第1のパンチにより、稜線部に成形される部分の少なくとも一部が拘束される。
そして、第1のパッド及び第2のパッドと第1のパンチとにより成形素材が拘束された状態で、第1のダイが第1のパンチに近接させられ、成形素材がプレス成形される。かかる第1の工程により、長手方向の端部に、割れが抑制された外向き連続フランジを有するとともに、稜線部の端部近傍でのしわが抑制された中間成形体が成形される。
(2−1−2.第2の工程の概略)
第2の工程は、第1のプレス成形装置とは異なる第2のプレス成形装置を用いて行われる。第1の工程では、溝底部に成形される部分を拘束する第1のパッド及び稜線部に成形される部分を拘束する第2のパッドを使用するため、第1のダイと第1のパンチによって、完全にはプレスしきれない成形素材の部分が存在する。したがって、第2の工程では、第2のパンチ及び第2のダイによって中間成形体をプレス成形することにより、プレス成形体が成形される。
第2のプレス成形装置は、第1のプレス成形装置では成形しきれない部分をプレス成形できるものであればよい。具体的には、第2のプレス成形装置は、溝底部、稜線部及び縦壁部に成形される部分のうち、第1のパッドあるいは第2のパッドによって拘束されない領域をプレス成形できるものであればよい。さらに、第2のプレス成形装置は、第1のプレス成形装置では成形しきれない外向き連続フランジの部分をプレス成形するものであってもよい。かかる第2のプレス成形装置は、ダイ及びパンチを備えた公知のプレス成形装置により構成することができる。
(2−2.製造装置)
次に、本実施形態にかかるプレス成形装置について説明する。上述のように、本実施形態にかかるプレス成形装置は、プレス成形体の製造方法の第1の工程において中間成形体の成形に用いられる第1のプレス成形装置である。図2(a)及び(b)は、第1のプレス成形装置30の一例を説明するための概略構成図である。図2(a)は、第1のプレス成形装置30における、プレス成形体の端部の領域を成形する部分を概略的に示す断面図であり、図2(b)は、第1のプレス成形装置30を概略的に示す斜視図である。図2(b)では、第1のパンチ31及び第1のパッド34−1を、成形する中間成形体の長手方向に沿う中心線で分割した半分のみの部分が示されている。
第1のプレス成形装置30は、第1のパンチ31と、第1のダイ32と、第1のパンチ31に対向する第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2とを備えている。かかる第1のプレス成形装置30は、基本的に、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2と第1のパンチ31とにより成形素材を拘束した状態で、第1のダイ32を第1のパンチ31に近づけることにより、成形素材をプレス成形する装置として構成されている。
第1のパンチ31は、第1のダイ32、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2に対向する側にパンチ面を有している。第1のパンチ31は、上面31aと、中間成形体の稜線部を成形するための肩部31bと、フランジ成形部31cとを備えている。
第1のパッド34−1は、拘束面34−1aと、フランジ成形部34−1bとを有する。第1のパッド34−1の拘束面34−1aは、パンチ31の上面31aに対向して配置され、パンチ31の上面31aに対して成形素材を押し当てて成形素材を拘束する。拘束面34−1a及び上面31aによって拘束される成形素材の部分は、溝底部に成形される部分である。拘束される成形素材の部分は、溝底部に成形される部分の全部であってもよいし、一部であってもよい。ただし、溝底部に形成される部分のうちの、少なくとも外向き連続フランジが成形される側の端部近傍が拘束されるようにする。第1のパッド34−1のフランジ成形部34−1bは、パンチ31のフランジ成形部31cに対して成形素材を押圧する。これにより、成形素材における溝底部の端部に形成されるフランジ部分が立ち上げられる。
第2のパッド34−2は、拘束面34−2aと、フランジ成形部34−2bとを有する。第2のパッド34−2は、プレス成形時において、第1のパッド34−1に干渉しないように配置される。第2のパッド34−2の拘束面34−2aは、パンチ31の肩部31bに対向して配置され、パンチ31の肩部31bに対して成形素材を押し当てて成形素材を拘束する。拘束面34−2a及び肩部31bによって拘束される成形素材の部分は、稜線部に成形される部分の端部領域の少なくとも一部である。第2のパッド34−2のフランジ成形部34−2bは、パンチ31のフランジ成形部31cに対して成形素材を押圧する。これにより、成形素材における稜線部の端部に形成されるフランジ部分が立ち上げられる。
かかる第2のパッド34−2は、第1のパッド34−1により溝底部に成形される部分が拘束された状態で、外向き連続フランジの近傍の領域で稜線部に成形される部分を拘束する。そのため、外向き連続フランジの近傍の領域での稜線部の形状が、概ね第2のパッド34−2によって押圧される部分の材料を張り出させることによって形成される。したがって、第2のパッド34−2が当接する部分の周辺の材料の移動が抑制されて、しわや割れの原因となる周辺の材料の伸びや縮み変形が抑制される。これにより、外向き連続フランジにおける、稜線部に対応するフランジ部分での伸びフランジ割れや、稜線部の端部近傍での稜線部におけるフランジの根元付近のしわの発生を抑制することができる。
また、第2のパッド34−2は、外向き連続フランジの近傍において、当該領域の材料を張り出させて稜線部を成形することによる周辺材料の移動の抑制効果を狙ったものである。そのため、第2のパッド34−2は、外向き連続フランジに成形される部分の近傍における、稜線部に成形される部分と溝底部に成形される部分との接続部を起点として、稜線部に成形される部分の全域を拘束することが好ましい。
具体的には、第2のパッド34−2の拘束面34−2aにより拘束される成形素材の部分は、溝底部に成形される部分と稜線部に成形される部分との接続部を含むことが好ましい。特に、稜線部12a,12bに成形される部分のうち、上記接続部を起点とする断面周長の少なくとも1/3の長さの部分が、第2のパッド34−2により押圧されることが好ましい。第2のパッド34−2が当該部分を押圧することにより、周辺の鋼板材料の移動を抑制しつつ、第2のパッド34−2の拘束面34−2aにより押圧する部分の鋼板材料を張り出させて稜線部12a,12bの一部を形成することができる。なお、第2のパッド34−2は、稜線部に加えて、縦壁部の一部、例えば、稜線部に連続する縦壁部のうちの20mm以下の長さの部分を押さえるようになっていてもよい。
これ以外の、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2の寸法や材質等の他の要素は、公知のパッドと同じ構成とすることができる。
第1のダイ32は、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2により成形素材を拘束した状態で、第1のパンチ31に近接され、成形素材をプレス成形する。第1のダイ32は、プレス成形時において、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2に干渉しないように配置される。好ましくは、第1のパッド34−1、第2のパッド34−2及び第1のダイ32が、押圧方向に対して最小限の隙間で配置されるとよい。
ここで、本実施形態にかかる第1のプレス成形装置30では、第1のパッド34−1、第2のパッド34−2及び第1のダイ32が、この順に成形素材を押圧するよう構成される。すなわち、第2のパッド34−2は、溝底部に成形される部分の少なくとも一部が第1のパッド34−1によって拘束された後に、稜線部に成形される部分の端部の領域を拘束する。また、第1のダイ32は、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2により成形素材が拘束された状態で、成形素材をプレス成形する。
本実施形態では、ダイ32に、コイルスプリングを介して、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2を懸架させることにより、かかる構成が実現されている。このとき、プレス成形前の状態において、第1のパッド34−1の拘束面34−1a、第2のパッド34−2の拘束面34−2a及び第1のダイ32の押圧面が、第1のパンチ31側からこの順に位置するように配置される。そして、第1のダイ32を第1のパンチ31に向けて移動させることにより、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2が、この順に、成形素材に当接して成形素材を拘束した後に、第1のダイ32が成形素材をプレス成形する。
ただし、第1のパッド34−1、第2のパッド34−2及び第1のダイ32のうちの一つあるいはすべてが、個別に、第1のパンチ31に向けて移動可能に構成されていてもよい。この場合、それぞれの第1のパッド34−1、第2のパッド34−2及び第1のダイ32の移動を制御することで、成形素材に当接する順序が制御される。
なお、第1のパッド34−1又は第2のパッド34−2が存在することにより、第1のダイ32によっても成形素材を第1のパンチ31に押し当てることができない領域が存在する。例えば、押圧方向において、第2のパッド34−2と重なる縦壁部やフランジ部分は、第1のダイ32によってプレス成形することはできない。かかる領域は、第2のプレス成形装置を用いて行われる第2の工程においてプレス成形される。第2のプレス成形装置は、公知のプレス成形装置により構成することができるため、ここでの説明を省略する。
(2−3.製造方法)
次に、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法について具体的に説明する。本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法は、図1(a)に例示した、外向き連続フランジ16を有する先拡がり形状のプレス成形体10の製造方法の例である。
(2−3−1.第1の工程)
図3〜図7は、既に説明した第1のプレス成形装置30を用いて行われる第1の工程を概念的に示す説明図である。図3(a)及び(b)は、第1のパッド34−1により成形素材33が拘束される様子を模式的に示す断面図及び斜視図である。また、図4(a)及び(b)は、第2のパッド34−2により成形素材33が拘束される様子を模式的に示す断面図及び斜視図である。図7は、第1のダイ32により成形素材33がプレス成形される様子を模式的に示す断面図である。
なお、図3〜図7は、先拡がり形状のプレス成形体10を製造する際の第1の工程の様子を示している。また、図3(a)、図4(a)及び図7(a)は、第1の工程において、成形素材33のうち、外向き連続フランジ16が形成される長手方向の端部の領域を成形する様子を示している。また、図3(b)及び図4(b)では、第1のパンチ31、第1のパッド34−1及び成形素材33を、成形する中間成形体の長手方向に沿う中心線で分割した半分のみの部分が示されている。さらに、以下に説明する製造方法では、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2が第1のダイ32に懸架された第1のプレス成形装置30が用いられている。
第1の工程では、まず、図3(a)及び(b)に示すように、第1のダイ32が第1のパンチ31に向けて移動することに伴って、第1のパッド34−1が、成形素材33における溝底部11に成形される部分を拘束する。このとき、図3(b)に示すように、成形素材33における溝底部11に成形される部分の少なくとも一部が、第1のパッド34−1の拘束面34−1aにより拘束される。同時に、成形素材33の長手方向の端部が、押圧方向とは反対の方向に立ち上げられ、第1のパッド34−1のフランジ成形部34−1bと第1のパンチ31のフランジ成形部31cとにより拘束される。
次いで、図4(a)及び(b)に示すように、第1のダイ32が第1のパンチ31に向けてさらに移動することに伴って、第2のパッド34−2が、成形素材33における稜線部12a,12bに成形される部分を拘束する。このとき拘束される成形素材33の部分は、稜線部12a,12bに成形される部分の端部近傍の部分である。すなわち、図4(b)に示すように、成形素材33のうちの稜線部12a,12bに成形される部分の端部が、第2のパッド34−2の拘束面34−2aにより拘束される。同時に、稜線部12a,12bに成形される部分から連続してフランジに成形される部分が、押圧方向とは反対の方向にさらに立ち上げられ、第2のパッド34−2のフランジ成形部34−2bと第1のパンチ31のフランジ成形部31cとにより拘束される。
このとき、稜線部12a,12bに成形される部分のうち、上記接続部を起点とする断面周長の少なくとも1/3の長さの部分が、第2のパッド34−2により押圧されることが好ましい。第2のパッド34−2が当該部分を押圧することにより、周辺の鋼板材料の移動を抑制しつつ、第2のパッド34−2の拘束面34−2aにより押圧する部分の鋼板材料を張り出させて稜線部12a,12bの一部を形成することができる。
図5は、第2のパッド34−2による稜線部に成形される部分の押圧範囲と、形成される外向き連続フランジ16における稜線部12a,12bに連続するフランジ部分のエッジにおける板厚減少率の最小値との関係を示す特性図である。かかる図5において、押圧範囲は、稜線部に成形される部分と溝底部に成形される部分との接続部を0°として第2のパッド34−2が拘束する部分の中心角度を意味する押さえ角度により示されている。押さえ角度が0°とは、稜線部に成形される部分が拘束されない状態を意味する。
かかる図5に示すように、稜線部に成形される部分が拘束されない場合には、フランジのエッジにおける板厚減少率の最小値が36%程度になっており、伸びフランジ割れが発生する可能性が高いことが分かる。一方、押さえ角度が23°以上、すなわち、接続部を起点とする断面周長の少なくとも1/3の稜線部が拘束されていれば、フランジのエッジにおける板厚減少率の最小値が25%未満に抑えられる。したがって、フランジのエッジの割れが抑制されることが分かる。
また、図6は、第2のパッド34−2による稜線部に成形される部分の押圧範囲と、形成される稜線部12a,12bの端部近傍のフランジの根元付近における板厚減少率の最小値との関係を示す特性図である。かかる図6においても、押圧範囲は、図5と同様に押さえ角度によって示されている。かかる図6に示すように、稜線部に成形される部分が拘束されない場合には、フランジの根元付近における板厚減少率の最小値が−65%程度になっており、明らかにしわが発生することが分かる。一方、押さえ角度が23°以上、すなわち、接続部を起点とする断面周長の少なくとも1/3の稜線部が拘束されていれば、フランジの根元付近における板厚減少率の最小値が−35%以上に抑えられる。したがって、フランジの根元付近のしわが抑制されることが分かる。
次いで、図7に示すように、第1のダイ32が第1のパンチ31に向けてさらに移動することに伴って、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2により成形素材33が拘束された状態で、第1のパンチ31及び第1のダイ32により1段階目のプレス成形が行われる。これにより、押圧方向に沿って、第2のパッド34−2の下方に位置する部分(図7の33A)等を除き、成形素材33がプレス成形され、中間成形体が成形される。
第1のパンチ31及び第1のダイ32を用いた1段階目のプレス成形は、第1のダイ32により成形素材33を押圧して折り曲げ、第1のパンチ31に押し当てる曲げ成形であってよい。あるいは、かかる1段階目のプレス成形は、第1のダイ32及びブランクホルダにより、成形素材33における縦壁部に成形される部分を挟持するとともに、第1のダイ32及びブランクホルダを第1のパンチ31に向けて移動させて成形する、深絞り成形であってもよい。
このとき、第2のパッド34−2によって、稜線部12a,12bに成形される部分の端部近傍(稜線部12a,12bと外向き連続フランジ16との会合部付近)が拘束されていることから、当該領域におけるしわの発生が抑制される。また、第2のパッド34−2によって当該領域が拘束されていることから、稜線部12a,12bの端部に連続して形成されるフランジの伸びフランジ率が低減し、外向き連続フランジ16の割れを抑制することができる。なお、図3〜図7には示されていないが、図1に例示したプレス成形体10における曲面部14a,14b及びフランジ部15a,15bの一部は、第1の工程において、第1のパンチ31及び第1のダイ32によってプレス成形される。
本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法により、稜線部12a,12bの端部領域のフランジの根元付近のしわや、外向き連続フランジ16のエッジの割れが抑制される理由を、以下に説明する。図8は、第1のパッド及び第2のパッドが分割されておらず、溝底部に成形される部分及び稜線部に成形される部分を同時に拘束するパッド134を用いたプレス成形の様子を示す説明図である。製造するプレス成形体の形状は、図1(a)に示すような先拡がり形状を有するプレス成形体である。図8(a)は、図4(b)に対応する図であって、パンチ131及びパッド134により、成形素材133における溝底部に成形される部分及び稜線部に成形される部分が拘束された状態を示す斜視図である。また、図8(b)は、ダイにより押圧される際の成形素材133を上方から見た図である。
かかるパッド134を用いた場合、パッド134によって成形素材133をパンチ131に押し当てて拘束しようとすると、最初に、稜線部に成形される部分がパッド134により押圧される。この状態では、溝底部に成形される部分とパッド134との間に隙間が生じ、溝底部に成形される部分はパッドにより押圧されない。また、先拡がり形状を有するプレス成形体の場合、溝底部に成形される部分の端部の近傍では、長手方向の位置よって断面周長差が存在する。すなわち、図8(a)に示すように、位置Z1での断面周長は、位置Z2での断面周長よりも長い。
そうすると、図8(a)に示すように、パッド134によって、溝底部に成形される部分及び稜線部に成形される部分がともに拘束されるまでの間、溝底部に成形される部分から稜線部に成形される部分にかけて、外向きフランジに成形される部分の鋼板材料が移動することとなる。
さらに、先拡がり形状を有するプレス成形体の場合、ダイによって曲げ成形される、縦壁部に成形される部分は、図8(b)に示すように、稜線部に成形される部分112に対して垂直方向に、すなわち、外向きフランジに成形される部分116から離れる方向に向けて曲げられる。そのため、外向きフランジに成形される部分の鋼板材料が、さらに稜線部に成形される部分に向けて移動しやすくなる。したがって、稜線部に成形される部分において、過剰なしわや増肉がより発生しやすくなる。このような理由から、溝底部に成形される部分及び稜線部に成形される部分を同時に拘束するパッド134を用いた場合には、溝底部に成形される部分の端部や稜線部に成形される部分の端部にしわが発生しやすい。
これに対し、本実施形態では、図3(b)及び図4(b)に示すように、第1のパッド34−1により溝底部に成形される部分が拘束された後に、第2のパッド34−2により稜線部に成形される部分の端部が押圧されて拘束される。したがって、第2のパッド34−2により稜線部に成形される部分の端部が押圧される間、溝底部に成形される部分への鋼板材料の移動が抑制される。そのため、溝底部に成形される部分の端部(外向き連続フランジの近傍)における長手方向の位置によって断面周長差が存在する場合であっても、外向き連続フランジに成形される部分の鋼板材料が、溝底部に成形される部分及び稜線部に成形される部分に移動することが抑制される。
また、第1のパッド34−1によって溝底部に成形される部分が拘束された状態で、第2のパッド34−2によって稜線部に成形される部分の端部が押圧されることから、稜線部に成形される部分の端部は、当該押圧される部分の鋼板材料を張り出させることにより成形される。さらに、本実施形態では、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2により成形素材33が拘束された状態で、図7に示すように、第1のパンチ31と第1のダイ32とにより成形素材33がプレス成形される。したがって、稜線部に成形される部分に対して過剰に鋼板材料が移動することが抑制される。その結果、形成される稜線部12a,12bの端部における過剰な増肉やしわが抑制される。
(2−3−2.第2の工程)
以上のようにして第1の工程において1段階目のプレス成形を行った後、第2の工程では2段階目のプレス成形が行われる。第1の工程では、押圧方向に沿って、第2のパッド34−2の下方に相当する部分のうち、第2のパッド34−2に重なる縦壁部13a,13bに成形される部分は、プレス成形体10としての最終形状に成形することができない。また、プレス成形体10における曲面部14a,14b及びフランジ部15a,15aに成形される部分の全部又は一部についても、第1の工程において、最終形状に成形できない場合がある。
さらに、成形素材33に対して、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2が押圧する領域によっては、稜線部12a,12bに成形される部分の一部についても、第1の工程において、最終形状に成形できない場合がある。例えば、第1の工程において、稜線部12a,12bに成形される部分のうち、稜線部12a,12bに成形される部分と溝底部11に成形される部分との接続部を起点とする断面周長の1/3が第2のパッド34−2により成形された場合には、断面周長の残りの2/3を成形する必要がある。
したがって、第2の工程では、第2のプレス成形装置を用いて、第2のパンチ及び第2のダイにより中間成形体に対して2段階目のプレス成形を行い、最終形状としてのプレス成形体10を成形する。第2の工程は、最終形状に成形したい部分の形状に対応する押圧面を有する第2のパンチ及び第2のダイを用いて、公知のプレス成形により行うことができる。また、第2の工程においても最終形状としてのプレス成形体10に成形できない場合には、さらに別の成形工程を追加してもよい。
なお、第2の工程は、パッドを用いないで行われる、ダイ及びパンチのみによるスタンピングプレス成形でもよく、パッドを用いて行われる通常のプレス成形でもよい。
<3.まとめ>
以上説明したように、本実施形態にかかるプレス成形装置(第1のプレス成形装置)30、及び第1のプレス成形装置30を用いた第1の工程を含むプレス成形体の製造方法によれば、所定方向の端部に、溝底部から縦壁部に亘って形成された外向き連続フランジを有するプレス成形体が得られる。第1の工程では、第1のパッドにより溝底部に成形される部分の少なくとも一部が拘束された後、第2のパッドにより稜線部に成形される部分の端部の少なくとも一部が拘束される。さらに、第1の工程では、第1のパッド及び第2のパッドにより成形素材が拘束された状態で、ダイ及びパンチにより成形素材がプレス成形される。
これにより、第2のパッドにより稜線部に成形される部分が押圧される間、稜線部に成形される部分から溝底部に成形される部分への鋼板材料の移動が抑制される。また、稜線部に成形される部分の端部における稜線部の形状が、第2のパッドによって押圧される部分の材料を張り出させることによって形成される。したがって、引張強度が390MPa以上の高張力鋼板からなるプレス成形体を成形する場合であっても、第2のパッドが当接する部分の周辺の材料の移動が抑制されて、しわや割れの原因となる周辺の材料の伸びや縮み変形が抑制される。
その結果、外向き連続フランジにおける、稜線部に対応するフランジ部分での伸びフランジ割れや、稜線部の端部近傍でのフランジの根元付近におけるしわの発生を抑制することができる。かかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置は、特に、外向き連続フランジを有する端部に向かうにつれて溝底部の幅又は縦壁部の高さが増大する先拡がり形状のプレス成形体を製造する際に有効である。このように成形されたプレス成形体により自動車車体用の構造部材を構成することにより、剛性や衝撃荷重の伝達特性を向上させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記の実施形態においては、外向き連続フランジを有する先拡がり形状のプレス成形体10を例に採って、プレス成形体の製造方法及びプレス成形装置について説明したが、本発明により製造するプレス成形体は、かかる例に限られない。プレス成形体が先拡がり形状を有しておらず、溝底部の幅及び縦壁部の高さが一定であるプレス成形体を製造する場合においても、本発明を適用することができる。
以下、本実施形態の実施例について説明する。
(1)実施例1及び比較例1,2
まず、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法により製造されるプレス成形体10における稜線部の端部における板厚減少率を評価した。実施例1では、第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2を用いて、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法によりプレス成形体を製造した。また、比較例1では、第1のパッド及び第2のパッドの代わりに、溝底部のみを押さえるパッドを用いる以外は実施例1と同じ条件で、プレス成形体を製造した。さらに、比較例2では、第1のパッド及び第2のパッドの代わりに、溝底部及び稜線部を同時に押さえるパッドを用いる以外は実施例1と同じ条件で、プレス成形体を製造した。
使用した成形素材33は、JIS Z 2241に準拠した引張試験により測定される引張強度が980MPa級の板厚1.4mmの鋼板である。また、プレス成形体における、略溝型断面の高さは100mm、溝底部の幅L1は76mm、幅L2は148mm、外向き連続フランジの幅は14mmであった。また、使用したパンチの肩部の曲率半径は12mmであった。
図9は、実施例1及び比較例1,2のプレス成形体の板厚減少率の解析結果を示す説明図である。図9(a)は、板厚減少率の解析位置Aを示す図であり、軸方向(x方向)に沿う中心線により分割した一方のプレス成形体10が示されている。図9(b)は、比較例1にかかるプレス成形体の解析結果であり、図9(c)は、比較例2にかかるプレス成形体の解析結果であり、図9(d)は、実施例1にかかるプレス成形体10の解析結果である。解析には、汎用解析ソフトであるLS−DYNAを用いた。
溝底部のみを押さえるパッドを用いた比較例1にかかるプレス成形体は、図9(b)に示すように、外向き連続フランジのうち、稜線部の端部に連続して形成されるフランジにおける位置Iでの板厚減少率が24.8%であった。かかる板厚減少率では、成形不具合(割れ)の発生が懸念される。また、溝底部及び稜線部を同時に押さえるパッドを用いた比較例2にかかるプレス成形体は、図9(c)に示すように、外向き連続フランジのうち、稜線部の端部に連続して形成されるフランジにおける位置H1の板厚減少率は11.2%に低下していた。一方、比較例2にかかるプレス成形体は、図9(c)に示すように、稜線部の端部と、外向き連続フランジとの間の立ち上がり曲線部における位置H2の板厚減少率が−15.5%となっており、許容範囲を超えるしわや増肉の発生が懸念される。
これに対し、第1のパッド及び第2のパッドを用いた実施例1にかかるプレス成形体は、図9(d)に示すように、外向き連続フランジ16のうち、稜線部の端部に連続して形成されるフランジにおける位置J1の板厚減少率は15.4%であり許容される値であった。また、図9(d)に示すように、稜線部の端部と、外向き連続フランジ16との間の立ち上がり曲線部における位置J2の板厚減少率は−13.9%であり、生じるしわや増肉は許容される範囲であった。
(2)実施例2及び比較例3,4
次に、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法により製造されるプレス成形体10における外向き連続フランジ16を有する端部側から軸方向へ衝撃荷重を与え、衝突時に発生する軸方向荷重と、衝撃エネルギの吸収量とを評価した。ここでは、本実施形態にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置を用いて好適に製造される、外向き連続フランジを有する先拡がり形状のプレス成形体の特性について評価を行った。
図10は、解析に使用した構造部材の解析モデルを示す説明図である。図10(a)は、比較例3にかかる解析モデル50を示し、図10(b)は、比較例4にかかる解析モデル60を示し、図10(c)は、実施例2にかかる解析モデル70を示す。いずれの解析モデル50,60,70も、略溝型断面を有する第1の部材であるプレス成形体10,51,61が、曲面部27を介して縦壁部41に連続するフランジ部26を介して、平板状の第2の部材18に接合されている。
比較例3にかかる解析モデル50は、軸方向の端部に、切欠きのない外向き連続フランジ23を有する。また、解析モデル50は、溝底部の幅及び縦壁部の高さが一定な形状(溝底部の幅=100mm)を有する。かかる解析モデル50のプレス成形体51は、溝底部に成形される部分及び稜線部に成形される部分を同時に拘束するパッド(図8(a)のパッド134)を用いたプレス成形により成形されるものである。
比較例4にかかる解析モデル60は、軸方向の端部に、稜線部25bの端部に達する切欠きを有する不連続な外向きフランジ24を有する。また、解析モデル60は、外向きフランジ24を有する端部に向かうにつれて溝底部の幅が増大する形状を有する。溝底部の幅の最小値は100mmであり、最大値は130mmである。かかる解析モデル60のプレス成形体61は、溝底部に成形される部分のみを拘束するパッドを用いたプレス成形により成形されるものである。
実施例2にかかる解析モデル70は、軸方向の端部に、切欠きのない外向き連続フランジ16を有する。また、解析モデル70は、比較例4と同様に、外向きフランジ24を有する端部に向かうにつれて溝底部の幅が増大する形状(溝底部の幅=100mm→130mm)を有する。かかる解析モデル70のプレス成形体10は、図3〜図7に示す第1のパッド34−1及び第2のパッド34−2を用いたプレス成形により成形されるものである。
上記以外の解析条件は、解析モデル50,60,70すべて同一とした。共通する解析条件は以下に列記したとおりである。
・使用した鋼板:引張強度980MPa級高張力鋼板、板厚1.4mm
・略溝型断面の高さ:100mm
・稜線部の曲率半径:12mm
・フランジ部26に連続する曲面部27の曲率半径:5mm
・外向き連続フランジ16及び外向きフランジ24の幅:14mm
・立ち上がり曲線部28の曲率半径r:3mm
・軸方向長さ:300mm
解析を行うにあたり、図10(a)に示すように、剛体壁29を、外向き連続フランジ16,23、あるいは外向きフランジ24が形成された端部側から軸方向へ、衝突速度20km/hで衝突させて、解析モデル50,60,70に対して軸方向変位を与えた。そして、実施例2及び比較例3,4それぞれにおいて、衝突時に発生する軸方向荷重(kN)と、衝撃エネルギの吸収量(kJ)を算出した。
図11は、解析モデル50,60,70それぞれの、軸方向荷重に関する解析結果を示すグラフである。なお、解析モデル50,60,70の端部の断面周長の影響を排除するために、図11のグラフの縦軸は、軸方向荷重を軸方向端部(図1(b)に示す位置C)の断面周長で除した値(軸方向荷重/周長:kN/mm)とした。この場合の断面周長とは、第2の部材18を含まないプレス成形体10,51,61それぞれの断面の板厚中心の長さを意味する。
圧壊ストロークが5mm以下の、軸方向への圧壊の初期の領域S1において、切欠きのない外向き連続フランジ16,23を有する実施例2及び比較例3の解析モデル50,70は、切欠きのある外向きフランジ24を有する比較例4の解析モデル60に比べて、軸方向荷重(kN/mm)が高められている。また、圧壊ストロークが5mm超の領域S2において、先拡がり形状を有する実施例2及び比較例4の解析モデル60,70は、溝底部の幅及び縦壁部の高さが一定である比較例3の解析モデル50に比べて、軸方向荷重(kN/mm)が概ね高められている。
特に、外向き連続フランジ16を有する先拡がり形状のプレス成形体10を備えた実施例2にかかる解析モデル70は、軸方向への圧壊の初期から後期にかけて、高い軸方向荷重が実現されている。特に、実施例2にかかる解析モデル70は、圧壊ストロークが15mm超の、軸方向への圧壊の後期においても高い軸方向荷重を維持している。
また、図12は、解析モデル50,60,70それぞれの、衝撃エネルギの吸収量(E.A.)に関する解析結果を示すグラフである。図12(a)は、圧壊ストロークが10mmの場合の解析結果を示し、図12(b)は、圧壊ストロークが20mmの場合の解析結果を示している。
図12(a)に示すように、軸方向の端部に、切欠きのない外向き連続フランジ16,23を有する解析モデル50,70は、切欠きのある外向きフランジ24を有する解析モデル60に比べて、圧壊ストロークが10mmの場合の衝撃エネルギの吸収量が増加することが分かる。また、図12(b)に示すように、先拡がり形状を有する解析モデル60,70は、溝底部の幅及び縦壁部の高さが一定の解析モデル50に比べて、圧壊ストロークが20mmの場合の衝撃エネルギの吸収量が増加することが分かる。
このように、実施例2にかかる解析モデル70の荷重伝達特性は、衝突の初期及び後期のいずれの時期においても、比較例3にかかる解析モデル50及び比較例4にかかる解析モデル60よりも、衝撃エネルギの吸収特性に優れていることが分かる。
(3)分析
(3−1)軸方向荷重
上記の実施例2及び比較例3,4の解析モデル50,60,70を用いて、実施例2にかかる解析モデル70の軸方向荷重が高くなる要因について分析を行った。図13(a)〜(c)は、上記の比較例3にかかる解析モデル50、比較例4にかかる解析モデル60及び実施例2にかかる解析モデル70について、圧壊ストロークが5mmの場合の軸方向(x方向)の応力分布を示している。図13(a)〜(c)においては、色が濃いほど、応力が大きいことを示している。また、図14(a)〜(c)は、比較例3にかかる解析モデル50、比較例4にかかる解析モデル60及び実施例2にかかる解析モデル70について、圧壊ストロークが5mmの場合の高さ方向(Z方向)の面外変位分布を示している。図14(a)〜(c)においては、色が濃いほど凹状の変位が大きいことを示し、色が薄いほど凸状の変位が大きいことを示している。
図13(b)に示すように、比較例4にかかる解析モデル60は、衝撃荷重が負荷される端部側の稜線部25a,25bに応力が集中し、稜線部25a,25bにおける反対側の端部へと荷重を十分に伝達できていない。これに対し、図13(c)に示すように、実施例2にかかる解析モデル70は、稜線部25a,25bに発生する応力が比較的大きく、かつ、稜線部25a,25bの全体にわたって応力が比較的均一に分布している。なお、図13(a)に示すように、比較例3にかかる解析モデル50は、稜線部25a,25bに発生する応力に関しては、稜線部25a,25bの全体にわたって比較的均一に分布している。
また、図14(a)に示すように、比較例3にかかる解析モデル50では、溝底部53における、衝撃荷重が負荷される端部から離れた位置において、比較的大きな面外変位(凹、凸)が発生している。また、かかる面外変位が発生した位置よりも、衝撃荷重が負荷される端部からさらに離れた位置において、座屈の起点Pが生じている。また、図14(b)に示すように、比較例4にかかる解析モデル60では、溝底部63の端部63a(外向きフランジ24の近傍)において、過大な面外変位(−8.3mm)が発生している。これに対し、図14(c)に示すように、実施例2にかかる解析モデル70では、溝底部11の端部11a(外向き連続フランジ23の近傍)に面外変位(−7.7mm)が発生しているものの、面外変位の程度は、比較例4にかかる解析モデル60よりも小さくなっている。
このように、外向き連続フランジを有する先拡がり形状の解析モデル70では、衝突時に、外向き連続フランジ16近傍の稜線部25a,25bの端部に応力が集中することなく、反対側の端部にかけて応力が比較的均一に分布する。また、かかる解析モデル70は、外向き連続フランジ16近傍の溝底部11の端部11aにおいて、適正に変形する。したがって、図11に示したように、実施例2にかかる解析モデル70は、軸方向への圧壊の初期及び後期のいずれの時期においても、軸方向荷重が高くなる。
(3−2)衝撃エネルギの吸収量
上記の実施例2及び比較例3,4の解析モデル50,60,70を用いて、実施例2にかかる解析モデル70の衝撃エネルギの吸収量が大きくなる要因について分析を行った。図15(a)〜(c)は、比較例3にかかる解析モデル50、比較例4にかかる解析モデル60及び実施例2にかかる解析モデル70について、圧壊ストロークが5mmの場合の相当塑性ひずみ分布を示している。また、図16(a)〜(c)は、比較例3にかかる解析モデル50、比較例4にかかる解析モデル60及び実施例2にかかる解析モデル70について、圧壊ストロークが10mmの場合の相当塑性ひずみ分布を示している。
また、図17(a)〜(c)は、比較例3にかかる解析モデル50、比較例4にかかる解析モデル60及び実施例2にかかる解析モデル70について、圧壊ストロークが15mmの場合の相当塑性ひずみ分布を示している。さらに、図18(a)〜(c)は、比較例3にかかる解析モデル50、比較例4にかかる解析モデル60及び実施例2にかかる解析モデル70について、圧壊ストロークが20mmの場合の相当塑性ひずみ分布を示している。
図15(a)及び図16(a)に示すように、比較例3にかかる解析モデル50では、圧壊ストロークが10mmの時点で、衝撃荷重が与えられる端部から離れた位置E1で1回目の座屈が開始している。座屈の生じやすさは溝底部の幅にも依存する。解析モデル50のように溝底部53の幅が一定である場合には、1回目の座屈が必ずしも衝撃荷重が与えられる端部から発生しないことが理解される。これは、上述の図14(a)で、衝撃荷重が与えられる端部から離れた位置で大きな面外変位が発生していることと符合する。
また、図17(a)に示すように、比較例3にかかる解析モデル50では、さらに圧壊ストロークが大きくなると、衝撃荷重が与えられる端部からさらに離れた位置E2で新たな座屈が発生している。そして、図18(a)に示すように、圧壊ストロークが20mmの時点で、衝撃荷重が与えられる端部から離れた広い範囲において、3箇所(E1〜E3)で座屈が発生していることが分かる。
これに対し、図15(c)及び図16(c)に示すように、実施例2にかかる解析モデル70は、外向き連続フランジ16を有するとともに先拡がり形状を有するために、衝撃荷重が与えられる端部側が最も座屈しやすく、より端部に近い位置G1で座屈が開始している。その後、位置G1での溝底部11の幅が徐々に狭まるので、図17(c)に示すように、1回目の座屈を生じた位置G1に隣接する位置G2において、2回目の座屈が発生する。以降これが繰り返される。このように、座屈のピッチが細かく、座屈数が増加するため、実施例2にかかる解析モデル70では、圧壊ストロークが5mm超において衝撃エネルギの吸収量が増加することになる。そのため、図18(c)に示すように、圧壊ストローク20mmの時点で、衝撃荷重が与えられる端部により近い範囲において、3箇所(G1〜G3)で座屈が発生している。
なお、図15(b)、図16(b)、図17(b)及び図18(b)に示すように、比較例4にかかる解析モデル60も先拡がり形状を有していることから、衝撃荷重が与えられる端部に比較的近い位置で座屈が発生する。図18(b)に示すように、圧壊ストロークが20mmの時点で、衝撃荷重が与えられる端部から比較的近い範囲において、2箇所(F1及びF2)で座屈が発生している。したがって、衝撃エネルギの吸収特性は、比較的良好となっている。
以上のように、外向き連続フランジ16を有する先拡がり形状のプレス成形体10を備えた解析モデル70は、軸方向への圧壊の初期及び後期において、軸方向荷重が高められている。また、解析モデル70は、衝撃荷重が負荷される端部に近い位置において、細かい座屈ピッチで座屈が発生する。したがって、解析モデル70は、優れた荷重伝達特性及び衝撃エネルギ吸収特性を有していることが分かる。本発明にかかるプレス成形体の製造方法及びプレス成形装置は、そのような解析モデル70を構成するプレス成形体10を製造するにあたり、外向き連続フランジ16のエッジの割れや、稜線部12a,12bの端部におけるフランジの根元付近のしわの発生を抑制することができる。
10 プレス成形体
11 溝底部
12a,12b 稜線部
13a,13b 縦壁部
14a,14b 曲面部
15a,15b フランジ部
16 外向き連続フランジ
18 第2の部材
30 プレス成形装置(第1のプレス成形装置)
31 パンチ(第1のパンチ)
32 ダイ(第1のダイ)
33 成形素材
34−1 第1のパッド
34−2 第2のパッド
100 構造部材

Claims (9)

  1. 390MPa以上の高張力鋼板製の成形素材をプレス成形することにより、所定方向に延びて形成され、溝底部と、前記溝底部に連続する稜線部と、前記稜線部に連続する縦壁部とを有し、前記所定方向に対して交差する断面が略溝型断面を成し、前記所定方向の少なくとも一方の端部における、少なくとも前記溝底部及び前記稜線部に亘って連続して形成された外向き連続フランジを有するプレス成形体を製造する方法であって、
    第1のパンチと、第1のダイと、前記第1のパンチに対向する第1のパッド及び第2のパッドと、を備える第1のプレス成形装置を用いて、
    前記第1のパッドにより、前記成形素材のうち前記溝底部に成形される部分の少なくとも一部を押圧して、前記成形素材を前記第1のパンチに押し当てることにより、前記溝底部に成形される部分に連続する前記成形素材の端部を、前記押圧する方向とは反対の方向に立ち上げるとともに、前記第1のパッド及び前記第1のパンチにより前記溝底部に成形される部分の少なくとも一部を拘束した後、
    前記第2のパッドにより、前記稜線部に成形される部分の前記所定方向の端部の少なくとも一部を押圧して前記第1のパンチに押し当てることにより、前記稜線部に成形される部分に連続する前記所定方向の端部を、前記押圧する方向とは反対の方向に立ち上げるとともに、前記稜線部に成形される部分を前記押圧する方向に曲げながら、前記第2のパッド及び前記第1のパンチにより前記稜線部に成形される部分の前記少なくとも一部を拘束し、
    前記第1のパッド及び前記第2のパッドにより前記成形素材を拘束した状態で、前記第1のパンチ及び前記第1のダイによりプレス成形を行い、中間成形体を形成する第1の工程と、
    第2のパンチと、第2のダイと、を備える第2のプレス成形装置を用いて、前記第2のパンチ及び前記第2のダイにより前記中間成形体をプレス成形し、前記プレス成形体を形成する第2の工程と、
    を備える、プレス成形体の製造方法。
  2. 前記第1の工程において、前記第2のパッドにより、前記稜線部に成形される部分のうち、前記稜線部に成形される部分と前記溝底部に成形される部分との接続部を起点とする断面周長の少なくとも1/3の長さの部分を押圧して前記第1のパンチに押し当てる、請求項1に記載のプレス成形体の製造方法。
  3. 前記第1のパッド及び前記第2のパッドは前記第1のダイに支持され、前記第1のダイを前記第1のパンチの方向に移動させることにより、前記第1のパッド、前記第2のパッド及び前記第1のダイが順次に前記成形素材を押圧する、請求項1又は2に記載のプレス成形体の製造方法
  4. 前記第1の工程における前記プレス成形が曲げ成形である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
  5. 前記第1の工程における前記プレス成形が深絞り成形である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
  6. 前記プレス成形体は、前記溝底部の幅及び前記縦壁部の高さの少なくとも一方が、前記外向き連続フランジを有する端部に向かうにつれて増加する成形体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
  7. 所定方向に延びて形成され、溝底部と、前記溝底部に連続する稜線部と、前記稜線部に連続する縦壁部とを有し、前記所定方向に対して交差する断面が略溝型断面を成し、前記所定方向の少なくとも一方の端部における、少なくとも前記溝底部及び前記稜線部に亘って連続して形成された外向き連続フランジを有するプレス成形体を製造するために用いられ、パンチと、ダイと、前記パンチに対向するパッドとを備え、前記パッド及び前記パンチにより390MPa以上の高張力鋼板製の成形素材を拘束した状態で前記パンチ及び前記ダイによりプレス成形を行うプレス成形装置において、
    前記パッドは、第1のパッドと、前記第1のパッドとは異なる第2のパッドと、を含み、
    前記第1のパッドは、前記成形素材における前記溝底部に成形される部分の少なくとも一部を前記パンチに押し当てて拘束し、
    前記第2のパッドは、前記稜線部に成形される部分の端部の少なくとも一部を押圧して前記パンチに押し当てることにより、前記稜線部に成形される部分を前記押圧する方向に曲げながら、前記稜線部に成形される部分の前記少なくとも一部を拘束し、
    前記第2のパッドが、前記第1のパッドにより前記溝底部に成形される部分の少なくとも一部を拘束した後に、前記稜線部に成形される部分の前記少なくとも一部を拘束するよう構成される、プレス成形装置。
  8. 前記第2のパッドは、前記稜線部に成形される部分のうち、前記稜線部に成形される部分と前記溝底部に成形される部分との接続部を起点とする断面周長の少なくとも1/3の長さの部分を押圧する、請求項7に記載のプレス成形装置。
  9. 前記第1のパッド及び前記第2のパッドは前記ダイに支持され、前記ダイを前記パンチの方向に移動させることにより、前記第1のパッド、前記第2のパッド及び前記ダイが順次に前記成形素材を押圧する、請求項7又は8に記載のプレス成形装置。
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