JP7310712B2 - プレス成形方法 - Google Patents
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Description
しかし、高強度鋼板は強度の低い鋼板と比較して延性に乏しく、加工中に破断を生じやすい。また、高強度鋼板を用いた場合、さらなる軽量化のために薄肉化も同時に行うため、鋼板の座屈が生じやすくてプレス成形中にしわが発生しやすいという問題もある。そのため、破断やしわを抑制するためのプレス成形工法の開発が強く求められている。
特許文献1に開示された方法によれば、製品内部のしわや割れを生じやすい自動車部品を、成形不具合なく製造することができるとされる。
前記凸辺部に形成されたフランジ部と、該フランジ部に連続して前記連結辺部に形成され前記凹辺部に向かってねじれた形状のねじり形状部と、を有する中間成形品を成形する第1成形工程と、該第1成形工程で成形された中間成形品を、前記ねじり形状部をフランジ部に成形すると共に前記凹辺部にフランジ部を形成して、目標形状に成形する第2成形工程とを備えたことを特徴とするものである。
図6に示すプレス成形品1は、自動車部品であるスライドドアレールの斜視図であり、天板部3と、フランジ部5とを有している。
天板部3は、面内方向で外側に突出する凸部7と凸部7に隣接して面内方向で内側に凹む凹部9を有しており、天板部3の外周辺は、凸部7の外周辺である凸辺部11aと、凹部9の外周辺である凹辺部11bと、凸辺部11aと凹辺11b部を連結する連結辺部11cによって構成された凹凸辺部11となっている。そして、凹凸辺部11にフランジ部5が形成されている。
なお、実際のスライドドアレールの場合には、天板部3におけるフランジ部5が形成された凹凸辺部11に対向する辺部に屈曲部が形成されるが、図6においては、当該屈曲部の図示を省略している。
図7は、図6の破線で囲んだEE部における成形過程における材料流れを説明する図であり、図6を上面視(図7(a))及び側面視(図7(b))した状態を示している。また、図7において、破線が成形前のブランクの先端であり、実線が目標形状に成形されたフランジ部5の端辺である。
また、図中のD点及びB点は成形前のブランクにおける凸辺部11aのR止まりに相当する点であり、これらに対応して上面図においてD点及びB点から目標形状の端辺に対して垂直に向かう線と目標形状の端辺との交点が、D´点及びB´点である。
同様に、図中のA点及びE点は成形前のブランクにおける凹辺部11bのR止まりに相当する点であり、これらに対応して上面図においてE点及びA点から目標形状の端辺に対して垂直に向かう線と目標形状の端辺との交点が、A´点及びE´点である。
図7(a)上面図に示すように、材料は稜線(曲げの線)にほぼ垂直に流れるので、a部では材料が寄る方向に流れ、b部では材料が離れる方向に流れる。そのため、a部ではしわが発生しやすくてb部では割れが発生しやすい。
以下、各工程を説明する。なお、図1において、目標形状を示した図6と同一部分には同一の符号が付してある。
第1成形工程S1はブランクから中間成形品15を成形する工程であり、中間成形品15は、凸辺部11aに形成されたフランジ部5と、フランジ部5に連続して目標形状の連結辺部11cに形成されたねじり形状部17と、を有している。
ねじり形状部17の成形の際には、図2の矢印で示すように、形成されるフランジ部5側から平坦な方向に向かって材料流入が生じ、縮みフランジ変形における材料余りが緩和され、しわの発生が抑制される。
図3は、図2の破線で囲んだCC部における成形過程における材料流れを説明する図であり、図2を上面視及び側面視した状態を示している。また、図3において、目の細かい破線が成形前のブランクの端辺であり、目の粗い破線が中間成形品15の端辺であり、実線が目標形状におけるフランジ部5の端辺である。
図中のA~E点及びA´~E´点は、図7に示したものと同一の点である。
すなわち、図中A点は、ブランクにおける湾曲部のR止まりであり、ねじり形状部17の先端位置となる。B点は、従来の縮みフランジ変形を生じるブランク部位の一方のR止まりに対応する点で、B´点は上面図においてB点からねじり形状部17の端辺に対して垂直に向かう線とねじり形状部17の端辺との交点である。
D点はブランクにおける湾曲部のR止まり、上面図においてD´点はD点から目標形状の端辺に対して垂直に向かう線と目標形状の端辺との交点である。
他方、A点からB´点までの距離は、3次元的にみると、A点からB点までの距離よりも長い(AB´>AB)ため、材料はA点側に引っ張られて「稜線にほぼ垂直」からずれて流れる。そのため、従来の図7のしわ発生領域での矢印の材料流れに比べて、A点寄りの図3の矢印で示す材料流れが生じ、この材料流れにより、第1成形工程S1で成形される縮みフランジ変形での材料余りが緩和され、しわの発生が防止される。
第2成形工程S3は、第1成形工程S1で成形された中間成形品15の、ねじり形状部17をフランジ部5に成形すると共に、凹辺部11bにフランジ部5を形成して、目標形状に成形する工程である。
第2成形工程S3の成形過程では、図4の矢印で示すように、図2の材料余りを吸収したねじり形状部17のねじりを戻すことで、余った材料により伸びフランジ変形部へと材料流入が生じるため、伸びフランジ変形部の材料不足が緩和され、割れの発生が抑制される。
図5は、図4の破線で囲んだDD部の成形過程における材料流れを説明する図であり、図4を上面視及び側面視した状態を示している。また、図5において、目の細かい破線が成形前のブランクの端辺、目の粗い破線がねじり形状部17の端辺、実線が目標形状におけるフランジ部5の端辺である。
すなわち、図中A´点は、上面図においてA点から目標形状の稜線に対して垂直に向かう線と目標形状との交点である。E点は、従来の伸びフランジ変形を生じるブランク部位の一方のR止まりに対応する点で、E´点は上面図においてE点から目標形状の端辺に対して垂直に向かう線と目標形状の端辺との交点である。
伸びフランジ変形のため、A´点からE´点までの距離は、A点からE点までの距離より長く(A´E´>AE)、材料不足により凹辺部11bに形成されるフランジ部5では割れが発生しようとする。
他方、3次元的にみると、D´点からE´点までの距離は、D´点からE点までの距離よりも短い(D´E´<D´E)ため、材料はA´側に押されて「稜線にほぼ垂直」からずれて流れる。そのため、従来の図7の割れ発生領域での矢印の材料流れに比べてA´点寄りの図5の矢印で示す材料流れが生じ、この材料流れにより、第2成形工程S3で成形される伸びフランジ変形での材料不足が緩和され、割れの発生が防止される。
あるいは、第1成形工程と第2成形工程を一つの金型で行うこともできる。
材料は、引張強度が1180MPa級、板厚1.4mmの鋼板とした。
まず、比較例として、中間成形品15を成形することなく一工程で目標形状を成形し、天板部をパッドで押さえるパッドフォーム成形によるプレス成形を行った。次に、本発明の実施例として、実施の形態で説明した縮みフランジ変形部のみを成形する中間成形品15を成形する第1成形工程S1と、中間成形品15を目標形状に成形する第2成形工程S3を有し、いずれの成形工程も天板部をパッドで押さえるパッドフォーム成形としたプレス成形を行った。
他方、本発明の実施例では、フランジ部5の割れ・しわともに発生せず、高品質なプレス成形品を得ることができた。
以上により、天板部3に面内方向に凹凸を有するプレス成形部品の成形に際し、伸びフランジ割れおよび縮みフランジしわを抑制するために本発明が有効であることが示された。
3 天板部
5 フランジ部
7 凸部
9 凹部
11 凹凸辺部
11a 凸辺部
11b 凹辺部
11c 連結辺部
13 金属板
15 中間成形品
17 ねじり形状部
Claims (3)
- 面内方向で外側に突出する凸辺部と面内方向で内側に凹む凹辺部が連結辺部を介して連続する凹凸辺部を有する天板部と、該天板部における前記凹凸辺部に形成され連続したフランジ部とを有するプレス成形品を成形するプレス成形方法であって、
前記凸辺部に形成されて縮みフランジ変形となるフランジ部と、該フランジ部に連続して前記連結辺部に形成され、平坦な前記凹辺部に向かってねじれた形状のねじり形状部と、を有する中間成形品を成形する第1成形工程と、
該第1成形工程で成形された中間成形品を、前記ねじり形状部のねじりを戻してフランジ部に成形すると共に前記凹辺部に伸びフランジ変形となるフランジ部を形成して、目標形状に成形する第2成形工程とを備えたことを特徴とするプレス成形方法。 - 前記第1成形工程と前記第2成形工程を別の金型で成形することを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
- 前記第1成形工程と前記第2成形工程を一つの金型で行うことを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
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