JPWO2020105647A1 - 湾曲部材の製造方法 - Google Patents

湾曲部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020105647A1
JPWO2020105647A1 JP2020509568A JP2020509568A JPWO2020105647A1 JP WO2020105647 A1 JPWO2020105647 A1 JP WO2020105647A1 JP 2020509568 A JP2020509568 A JP 2020509568A JP 2020509568 A JP2020509568 A JP 2020509568A JP WO2020105647 A1 JPWO2020105647 A1 JP WO2020105647A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
curved
vertical wall
molding
top plate
wall portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020509568A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6702522B1 (ja
Inventor
隆司 宮城
隆司 宮城
村上 圭一
圭一 村上
純希 名取
純希 名取
田中 康治
康治 田中
操 小川
操 小川
菅原 稔
稔 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP6702522B1 publication Critical patent/JP6702522B1/ja
Publication of JPWO2020105647A1 publication Critical patent/JPWO2020105647A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D22/00Shaping without cutting, by stamping, spinning, or deep-drawing
    • B21D22/20Deep-drawing
    • B21D22/26Deep-drawing for making peculiarly, e.g. irregularly, shaped articles
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D24/00Special deep-drawing arrangements in, or in connection with, presses
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D24/00Special deep-drawing arrangements in, or in connection with, presses
    • B21D24/04Blank holders; Mounting means therefor
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21DWORKING OR PROCESSING OF SHEET METAL OR METAL TUBES, RODS OR PROFILES WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21D53/00Making other particular articles
    • B21D53/88Making other particular articles other parts for vehicles, e.g. cowlings, mudguards

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
  • Bending Of Plates, Rods, And Pipes (AREA)

Abstract

天板部と縦壁部とを有し、接続部を天板部側及び縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において湾曲を有する湾曲部材の製造方法において、金属板に対して絞り成形を行って中間部材を成形する第1工程と、中間部材に曲げ成形を行う第2工程と、を有し、第1工程では、中間部材の縦壁部の端部の位置が、ダイの湾曲部外側形成面又は金属板保持面に接触する位置若しくは金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置となるよう成形し、且つ第1工程では、縦壁部の端部に湾曲部を形成し、第2工程では、湾曲部を曲げ変形させることにより、縦壁部を最終的な形状に成形する。

Description

本発明は、湾曲部材の製造方法に関する。
鋼板等の金属板を成形して得られる高強度材料は、例えば自動車車体の構成部材として多用されており、地球温暖化防止のための燃費向上や、衝突事故時の一層の安全性向上等の観点で望まれている。具体的には、自動車車体の構成部材のうちフロントピラーリンフォースメント、センターピラーリンフォースメント、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ及びクロスメンバといった強度部材又は補強部材に、高強度材料の成形部材が用いられている。こうした成形部材は、部品単体での強度確保、他の部品との干渉防止又は所望の空間確保といった制約を受けて設計されることから、断面形状の自由度確保又は縦壁高さなどにおいて多様な形状変化を要求されることが多い。
ここで、例えば特許文献1には、平板状のブランクから、ハット形又はコの字形の断面形状を有するとともに、長手方向に沿って幅方向に湾曲した湾曲部とその湾曲部の両端に繋がる直辺部とを有する部品をプレス成形するに際し、天板部と、その天板部の両側端部にフィレット部を介して上端部が繋がる縦壁部と、それらの縦壁部の下端部にフィレット部を介して内側端部が繋がるフランジ部と、を備えるハット形の断面形状を経てハット形又はコの字形の断面形状にドロー成形し、そのドロー成形の際に、前記湾曲部の前記フランジ部に発生する周方向の引張変形又は周方向の圧縮変形を緩和させる前記湾曲部の前記フランジ部の材料移動を生じさせるプレス成形方法が開示されている。
また、特許文献2には、平板状の素材の中央部をパッドによって支持し、素材の端部を平面視したときに曲率を有し、且つ側面視したとき縦壁面の下方にフランジ面を有する形状にプレスする加工方法において、縦壁面に凸形状に張り出した凸状ビードを付与し、その直下のフランジ面には凹形状に窪ませた凹状ビードを付与することにより、素材成形部のしわ発生を抑制するプレス加工方法が開示されている。
なお、特許文献3には、いずれも絞り工程である第1工程及び第2工程によってフランジを有しない湾曲部材を製造する方法が開示されている。また、特許文献4には、いずれもフォーム成形である第1工程及び第2工程によって片方の縦壁部にフランジが形成されていない湾曲部材を製造する方法が開示されている。また、特許文献5には、曲げ工程によってフランジを有しない湾曲部材を製造する方法が開示されている。また、特許文献6には、曲げ工程によって片方の縦壁部にフランジが形成されていない湾曲部材を製造する方法が開示されている。
特許第6028956号公報 特開2010−115674号公報 特開2008−132535号公報 特開2016−150354号公報 特開2006−305627号公報 特開2017−200708号公報
天板部と縦壁部とを有し且つ縦壁部の端部にフランジ部を有さず、天板部を縦壁部側から見た場合に湾曲した形状を有する湾曲部材の製造方法として、特許文献1では、絞り成形工法によりフランジが存在する形状に成形しその後トリムする方法が用いられている。しかし、最終製品を得るためには曲面部のトリムがあるため、強度の高い材料であるほどトリムに用いる刃の寿命が短くなる。
また、上記トリムを省略するため、パッド曲げ工法を用いる方法が挙げられる。しかし、天板部をパッドで押えて曲げ成形を行うと、天板部を縦壁部側から見た場合に湾曲した形状を有する場合、縦壁部の上部の線長よりも縦壁部の下部の線長の方が短くなる場合には、曲げ成形によって縦壁部に縦しわが発生する。また、天板部を縦壁部側から見た場合に湾曲した形状を有する場合、縦壁部の上部の線長よりも縦壁部の下部の線長の方が長くなる場合には、曲げ成形によって縦壁部に割れが発生することもある。
なお、これに対して特許文献2では、縦壁部に凸状ビードを付与することでしわを吸収して、縦しわの発生を抑制している。しかし、凸状ビードの付与により成形部材の形状自由度が低くなり、また凸状ビードの成形のためプレス荷重が増加する。
そのため、トリム工程を経ずとも成形可能であり、且つ縦壁部での縦しわ及び割れの発生が抑制された湾曲部材の製造方法が望まれている。
本発明は、接続部を天板部側から見た場合及び縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において湾曲した箇所を有する形状である湾曲部材であって、縦壁部での縦しわ及び割れの発生が抑制され、且つ第1工程での絞り成形に用いられるダイにおける削れの発生が抑制された湾曲部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、以下の通りである。
<1>
天板部と、前記天板部の両端にそれぞれ接続する一対の縦壁部と、を有し、前記一対の縦壁部のうち一方が前記天板部との接続側とは反対側の端部に接続するフランジ部を有し、他方の縦壁部は前記天板部との接続側とは反対側の端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない形状、又は前記一対の縦壁部の両方が前記天板部との接続側とは反対側の端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない形状であり、且つ前記天板部と前記縦壁部との接続部を、前記天板部側から見た場合及び前記縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において、湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状である湾曲部材を、金属板を成形することで製造する湾曲部材の製造方法であって、
前記金属板の両端部を保持した状態で前記金属板をプレスする成形である絞り成形を行って、中間部材を成形する第1工程と、前記中間部材に対して曲げ成形を行って前記一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部を最終的な形状に成形する第2工程と、を有し、
前記第1工程は、
前記中間部材における前記接続部に相当する箇所の外側表面を成形する接続部外側成形面、前記中間部材における前記縦壁部に相当する箇所の外側表面を成形する縦壁部外側成形面、及びホルダーと対向して前記金属板の両端部を挟んで保持する金属板保持面を有し、且つ前記縦壁部外側成形面における前記金属板保持面と接続する側の端部に、前記金属板保持面側に向かって湾曲する湾曲部外側形成面を有するダイと、
前記中間部材における前記天板部に相当する箇所の内側表面を成形する天板部内側成形面、前記中間部材における前記接続部に相当する箇所の内側表面を成形する接続部内側成形面、及び前記中間部材における前記縦壁部に相当する箇所の内側表面を成形する縦壁部内側成形面を有し、且つ前記縦壁部内側成形面に前記湾曲部外側形成面と対向する湾曲部内側形成面を有するパンチとを有する、第1の金型を用いて、
前記ダイと前記ホルダーとで前記金属板を挟んで保持する金属板保持工程、
前記パンチの前記天板部内側成形面の少なくとも一部を前記金属板の前記ダイと接触する側とは反対側の面に接触させた後、前記ダイ及び前記パンチの少なくとも一方を前記金属板と接触する方向に移動させ、前記一対の縦壁部のうち端部にフランジ部が接続していない縦壁部の端部の位置が、前記湾曲部外側形成面に接触する位置、前記金属板保持面に接触する位置、又は前記金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置となるまで絞り成形することにより、
前記金属板から、前記天板部、前記接続部及び前記縦壁部を成形し、
前記天板部側から見た場合及び前記縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において、前記接続部の少なくとも一部が湾曲した形状に成形し、
前記一対の縦壁部のうち端部にフランジ部が接続していない縦壁部の端部が、該縦壁部がなす面外に湾曲した湾曲部を形成する成形工程、
及び、前記ダイ及び前記パンチの少なくとも一方を中間形状に成形された前記中間部材から離れる方向に移動させて前記中間部材を前記ダイ及び前記パンチから離型させる離型工程、を有し、
前記第2工程は、
前記第1の金型とは異なる第2の金型により、前記中間部材に対して曲げ成形を行って、前記湾曲部を曲げ変形させることにより、前記一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部を最終的な形状に成形する工程を有する、
湾曲部材の製造方法である。
接続部を天板部側から見た場合及び縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において湾曲した箇所を有する形状である湾曲部材を成形する方法として、パッド曲げ成形によって一括で成形する方法が挙げられる。
しかし、例えば図22に示すように、接続部を縦壁部側から見た場合に凸状に湾曲した箇所を有する形状である湾曲部材200をパッド曲げ成形一括で成形する場合、縦壁部の上部の線長よりも縦壁部の下部の線長の方が短くなるため、縦壁部に縦しわ202が発生する。
また、例えば図23に示すように、接続部を縦壁部側から見た場合に凹状に湾曲した箇所を有する形状である湾曲部材210をパッド曲げ成形一括で成形する場合、縦壁部の上部の線長よりも縦壁部の下部の線長の方が長くなるため、縦壁部に割れ212が発生する。
これに対し、前記<1>の製造方法では、金属板に対して絞り成形を行う第1工程と、曲げ成形を行う第2工程と、を有し、第1工程では一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置が、湾曲部外側形成面に接触する位置、金属板保持面に接触する位置、又は金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置となるよう成形する成形工程を備えた絞り成形を行う工程とする。第1工程での成形工程で、少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置を上記位置となるよう制御することで、他の工程(例えばトリム(切除)工程)を経ることなく、第2工程において一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部を最終的な形状に成形し得る。そのため、第2工程での曲げ成形によって変形させる変形量が小さくなり、その結果、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生が抑制される。
なお、前記<1>の製造方法では、第1工程と第2工程との間に他の工程を備えていてもよく、また第2工程の後に他の工程を備えていてもよい。これら他の工程としては、例えば第1工程で得られた中間部材や、第2工程で得られた部材の形状の矯正を目的としたリストライク工程等が挙げられる。
また、第1工程での絞り成形において、ダイ及びパンチの少なくとも一方を金属板と接触する方向に移動させて金属板を変形させ成形する成形工程が終了した後、ダイ及びパンチの少なくとも一方を成形された中間部材から離れる方向に移動させて離型させる際に、中間部材から離型しようとするダイに対して中間部材における端部が引っ掛かって、ダイに削れが生じることがある。特に、金属板における引張強度が高いほど、成形後の跳ね上がり(所謂スプリングバック)が大きくなるため、端部の引っ掛かりによるダイの削れが生じ易くなる。
これに対し、前記<1>の製造方法では、成形工程の終了時(つまり離型工程の開始前)において、中間部材における、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置が、湾曲部外側形成面に接触する位置、金属板保持面に接触する位置、又は金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置である。そのため、離型工程において中間部材から離型しようとするダイに対して中間部材における端部の引っ掛かりが抑制され、ダイに削れが生じることが抑制される。
<2>
前記成形工程は、前記一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置が、前記湾曲部外側形成面に接触する位置又は前記金属板保持面に接触する位置となるよう成形する工程である<1>に記載の湾曲部材の製造方法である。
前記<2>の製造方法では、成形工程の終了時(つまり離型工程の開始前)において、中間部材における、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置が、湾曲部外側形成面に接触する位置又は金属板保持面に接触する位置である。そのため、第2工程での曲げ成形によって変形させる変形量が小さくなり、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生が抑制される。
<3>
前記成形工程は、前記一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置が、前記湾曲部外側形成面に接触する位置となるよう成形する工程である<1>に記載の湾曲部材の製造方法である。
前記<3>の製造方法では、成形工程の終了時(つまり離型工程の開始前)において、中間部材における、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置が、湾曲部外側形成面に接触する位置である。そのため、第2工程での曲げ成形によって変形させる変形量が小さくなり、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生が抑制される。
<4>
前記ダイは、一対の前記縦壁部外側成形面の両方に前記湾曲部外側形成面をそれぞれ有し、且つ一方の前記湾曲部外側形成面の最小曲率半径[R]と、他方の前記湾曲部外側形成面の最小曲率半径[R]と、の差が0mm超え50mm以下である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の湾曲部材の製造方法である。
前記<4>の製造方法では、一方の縦壁部外側成形面の最小曲率半径[R]と、他方の縦壁部外側成形面の最小曲率半径[R]とが差を有し、且つその差が50mm以下である。一方の湾曲部外側形成面と他方の湾曲部外側形成面とで最小曲率半径に差が生じるよう湾曲を調整することで、位置ずれの方向を、曲率半径が小さい湾曲部外側形成面側に向かう方向に変化させることができる。したがって、成形工程で金属板がずれる方向に対して、ずれの下流側に相当する湾曲部外側形成面の曲率半径を、ずれの上流側に相当する湾曲部外側形成面の曲率半径よりも大きくすることで、成形工程での位置ずれの発生が抑制される。
<5>
前記第2工程において、一対の前記接続部同士の距離が最小となる面で切断した横断面における前記湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離に関し、
前記湾曲部材が、前記接続部を前記縦壁部側から見た場合に湾曲し、且つ前記接続部を前記天板部側から見た場合に湾曲しない部位に対しては、下記(1)式を、
前記湾曲部材が、前記接続部を前記天板部側から見た場合に湾曲し、且つ前記接続部を前記縦壁部側から見た場合に湾曲しない部位に対しては、下記(2)式を、
前記湾曲部材が、前記接続部を前記天板部側から見た場合に湾曲し、且つ前記接続部を前記縦壁部側から見た場合に湾曲する部位に対しては、下記(3)式を、
満たす前記第2の金型を用いる<1>〜<4>のいずれか1項に記載の湾曲部材の製造方法である。
H1≦α×R・・・(1)
W1≦α×R・・・(2)
M1≦α×R×R/(R+R)・・・(3)
ただし、α、H1、W1、M1、R及びRは下記とする。
α:0.30
H1:前記第2の金型によるプレス方向における、前記湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
W1:前記第2の金型によるプレス方向と直交する方向における、前記湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
M1:前記湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
:前記中間部材の前記接続部での前記湾曲を、前記天板部側から見た場合の曲率半径
:前記中間部材の前記接続部での前記湾曲を、前記縦壁部側から見た場合の曲率半径
湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れ発生の抑制の観点から、第2工程での曲げ成形によって変形される変形量は、小さい方が好ましい。一方で、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生し易さは、第2工程における曲げ成形前の中間部材の接続部を天板部側から見た場合における湾曲した箇所の湾曲度合い(曲率半径)、及び接続部を縦壁部側から見た場合における湾曲した箇所の湾曲度合い(曲率半径)と関係がある。
前記<5>の製造方法では、湾曲部材が、接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲し、且つ接続部を天板部側から見た場合に湾曲しない部位に対しては、下記(1)式を、湾曲部材が、接続部を天板部側から見た場合に湾曲し、且つ接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲しない部位に対しては、下記(2)式を、湾曲部材が、接続部を天板部側から見た場合に湾曲し、且つ接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲する部位に対しては、下記(3)式を、満たす第2の金型を用いる。そのため、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生が抑制される。
<6>
前記αが0.20である<5>に記載の湾曲部材の製造方法。
<7>
前記R及び前記Rは、5000mm以下である<5>又は<6>に記載の湾曲部材の製造方法。
<8>
前記金属板の引張強度が590MPa以上である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の湾曲部材の製造方法である。
本発明によれば、接続部を天板部側から見た場合及び縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において湾曲した箇所を有する形状である湾曲部材であって、縦壁部での縦しわ及び割れの発生が抑制され、且つ第1工程での絞り成形に用いられるダイにおける削れの発生が抑制された湾曲部材の製造方法が提供される。
本実施形態により製造される湾曲部材の第一例を示す斜視図である。 本実施形態により製造される湾曲部材の第二例を示す斜視図である。 本実施形態により製造される湾曲部材の第三例を示す斜視図である。 本実施形態により製造される湾曲部材の第四例を示す斜視図である。 図1の湾曲部材に成形される中間部材の一例を示す斜視図である。 図2の湾曲部材に成形される中間部材の一例を示す斜視図である。 本実施形態における第1工程の成形開始前の状態を示す第1の金型の横断面図である。 本実施形態における第1工程の成形終了後の状態を示す第1の金型の横断面図である。 図8のA部拡大図である。 図8のA部の第一変形例を示す図である。 図8のA部の第二変形例を示す図である。 本実施形態における第1工程で用いられる第1の金型の第一変形例を示す横断面図である。 本実施形態における第1工程で用いられる第1の金型の第二変形例を示す横断面図である。 図3に示す湾曲部材の形成に用いられる中間部材を天板部側から見た平面図である。 図14に示す中間部材を成形する絞り成形の第一例を示す横断面図である。 図14に示す中間部材を成形する絞り成形の第二例を示す横断面図である。 図14に示す中間部材を成形する絞り成形の第三例を示す横断面図である。 本実施形態における第2工程の成形開始前の状態を示す第2の金型の横断面図である。 本実施形態における第2工程の成形終了後の状態を示す第2の金型の横断面図である。 展開ブランク及び展開ブランクから形成される湾曲部材の一例を示す斜視図である。 図18の展開ブランクの平面図である。 図18の展開ブランクの側面図である。 第2工程(曲げ成形)による変形前後での縦壁部端部の移動距離の金型によるプレス方向での長さ、及びプレス方向と直交する方向での長さを説明するための横断面図である。 湾曲部材の寸法の一例を示す横断面図である。 従来における曲げ成形により成形された湾曲部材の一例(縦しわが生じる例)を示す斜視図である。 従来における曲げ成形により成形された湾曲部材の他の一例(割れが生じる例)を示す斜視図である。
<湾曲部材の製造方法>
次に、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
−湾曲部材の形状−
まず、本実施形態に係る湾曲部材の製造方法によって製造される湾曲部材(以下単に「本実施形態による湾曲部材」とも称す)の形状について説明する。
本実施形態による湾曲部材は、天板部と、天板部の両端(幅方向両端)にそれぞれ接続する一対の縦壁部と、を有する。なお、天板部と縦壁部との接続部は、湾曲した稜線部を介して両者が接続されていてもよく、また両者が鋭角に接触しておりつまり鋭角な稜線部を介して両者が接続されていてもよい。
本実施形態による湾曲部材は、天板部と縦壁部との接続部を、天板部側から見た場合及び縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において、湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状である。
ただし、この接続部における天板部側又は縦壁部側から見た「湾曲」は、より長い範囲にわたって連続する湾曲であることが好ましい。例えば、接続部の長さ(つまり接続部(稜線部)の一端から他端までの稜線に沿った長さ)に対して、5%以上の長さを有する連続した湾曲であることが好ましく、10%以上の長さを有する湾曲であることがより好ましく、接続部全体にわたって連続した湾曲であることがさらに好ましい。
なお、湾曲部材の天板部や縦壁部にはビード形状や座面形状が設けられることがあり、このビード形状や座面形状が接続部に掛かるように形成される場合がある。しかし、接続部に掛かるように形成されたビード形状や座面形状は、通常は接続部において長い範囲にわたって連続するような形状ではなく、よって上記の接続部の長さに対して5%以上の長さを有する連続した湾曲には、ビード形状や座面形状は含まれない。
天板部及び縦壁部は、それぞれ平面であっても湾曲していてもよく、一部が湾曲し且つ他の部分が平面であってもよく、さらには複数か所が湾曲し且つ他の部分が平面であってもよい。また、一対の縦壁部は両者が非対称であってもよく、例えば一対の縦壁部のそれぞれの壁高さが異なっていてもよい。
例えば、湾曲部材の形状の例として、天板部と縦壁部との接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状が挙げられる。
具体的には、第1の態様として、図1に示す湾曲部材1Aのように、天板部2Aと、一対の縦壁部4Aと、天板部2A及び縦壁部4Aを接続する一対の接続部としての湾曲した稜線部6Aとを有し、接続部である稜線部6Aを縦壁部4A側から見た場合に全体が湾曲した形状が挙げられる。この場合、天板部2Aも、縦壁部4A側から見た場合に全体が湾曲した形状である。なお、図1に示す湾曲部材1Aは、天板部2A側から見た場合、接続部である稜線部6Aも縦壁部4Aも、全体が直線状である。
湾曲部材1Aの横断面(ここで言う「横断面」とは、第2工程における曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって、図1において一対の接続部(稜線部6A)同士の距離が最小となる面で切断した断面を指す)視において、湾曲部材1Aは、平面状である天板部2Aと、平面状である一対の縦壁部4Aと、天板部2A及び縦壁部4Aを接続する湾曲した稜線部6Aと、を有する。一対の縦壁部4Aは、いずれも天板部2Aと接続する側から反対側の端部に向けて広がった形状を有しており、そのため一対の縦壁部4A同士は、対となる面が平行ではない。ただし、これに限られず、一対の縦壁部4A同士が平行であり、天板部2Aと一対の縦壁部4Aとが成す角度が、横断面視において直角であってもよい。
また、湾曲部材1Aは、天板部2Aと縦壁部4Aとが湾曲した稜線部6Aを介して接続されているが、これに限られず、両者が鋭角に接触しておりつまり鋭角な稜線部を介して両者が接続されていてもよい。
また、天板部と縦壁部との接続部を天板部側から見た場合に湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状が挙げられる。
具体的には、第2の態様として、図2に示す湾曲部材1Bのように、天板部2Bと、一対の縦壁部4Bと、天板部2B及び縦壁部4Bを接続する一対の接続部としての湾曲した稜線部6Bとを有し、接続部である稜線部6Bを天板部2B側から見た場合に全体が湾曲した形状が挙げられる。この場合、縦壁部4Bも、天板部2B側から見た場合に全体が湾曲した形状である。なお、図2に示す湾曲部材1Bは、縦壁部4B側から見た場合、接続部である稜線部6Bも天板部2Bも、全体が直線状である。
湾曲部材1Bの横断面(ここで言う「横断面」とは、第2工程における曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって、図2において一対の接続部(稜線部6B)同士の距離が最小となる面で切断した断面を指す)視において、湾曲部材1Bは、平面状である天板部2Bと、平面状である一対の縦壁部4Bと、天板部2B及び縦壁部4Bを接続する湾曲した稜線部6Bと、を有する。一対の縦壁部4Bは、いずれも天板部2Bと接続する側から反対側の端部に向けて広がった形状を有しており、そのため一対の縦壁部4B同士は、対となる面が平行ではない。ただし、これに限られず、一対の縦壁部4B同士が平行であり、天板部2Bと一対の縦壁部4Bとが成す角度が、横断面視において直角であってもよい。
また、湾曲部材1Bは、天板部2Bと縦壁部4Bとが湾曲した稜線部6Bを介して接続されているが、これに限られず、両者が鋭角に接触しておりつまり鋭角な稜線部を介して両者が接続されていてもよい。
また、天板部と縦壁部との接続部を、天板部側から見た場合及び縦壁部側から見た場合のいずれにおいても、湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状が挙げられる。
具体的には、第3の態様として、図3に示す湾曲部材1Cのように、天板部2Cと、一対の縦壁部4Cと、天板部2C及び縦壁部4Cを接続する一対の接続部としての湾曲した稜線部6Cとを有し、接続部である稜線部6Cを天板部2C側から見た場合に一部が湾曲し(他の部分は平面)、且つ稜線部6Cを縦壁部4C側から見た場合に全体が湾曲した形状が挙げられる。この場合、縦壁部4Cも天板部2C側から見た場合に一部が湾曲した形状であり、また天板部2Cも縦壁部4C側から見た場合に全体が湾曲した形状である。
なお、図3に示す湾曲部材1Cの製造途中に相当する中間部材が、図14に示されている。図14に示す中間部材10Cは、天板部側から見た形状である。図14に示す中間部材10Cと同様に、図3に示す湾曲部材1Cは、一対の縦壁部4Cのうち一方が複数か所に湾曲した箇所を有し、他方の縦壁部4Cは湾曲した箇所を一か所にのみ有する形状であり、つまり一対の縦壁部4Cが非対称な形状である。
湾曲部材1Cの横断面(ここで言う「横断面」とは、第2工程における曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって、図3において一対の接続部(稜線部6C)同士の距離が最小となる面で切断した断面を指す)視において、湾曲部材1Cは、平面状である天板部2Cと、平面状である一対の縦壁部4Cと、天板部2C及び縦壁部4Cを接続する湾曲した稜線部6Cと、を有する。一対の縦壁部4Cは、いずれも天板部2Cと接続する側から反対側の端部に向けて広がった形状を有しており、そのため一対の縦壁部4C同士は、対となる面が平行ではない。ただし、これに限られず、一対の縦壁部4C同士が平行であり、天板部2Cと一対の縦壁部4Cとが成す角度が、横断面視において直角であってもよい。
また、湾曲部材1Cは、天板部2Cと縦壁部4Cとが湾曲した稜線部6Cを介して接続されているが、これに限られず、両者が鋭角に接触しておりつまり鋭角な稜線部を介して両者が接続されていてもよい。
なお、上記に示す第1乃至第3の態様の湾曲部材1A乃至1Cは、いずれも、一対の縦壁部の両方が天板部との接続側とは反対側の端部の全部に、フランジ部が接続していない形状である。
本実施形態による湾曲部材には、一対の縦壁部のうち一方が天板部との接続側とは反対側の端部に接続するフランジ部を有し、且つ他方の縦壁部は天板部との接続側とは反対側の端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない形状も含まれる。
具体的には、第4の態様として、図4に示す湾曲部材1Dのように、天板部2Dと、一対の縦壁部4Dと、天板部2D及び縦壁部4Dを接続する一対の接続部としての湾曲した稜線部6Dとを有し、かつ一方の縦壁部4Dは天板部2Dとの接続側とは反対側の端部に、湾曲した第2稜線部86Dを介してフランジ部80Dが接続されている形状が挙げられる。なお、他方の縦壁部4Dは天板部2Dとの接続側とは反対側の端部に、接続するフランジ部を有さない。
湾曲部材1Dは、接続部である稜線部6Dを縦壁部4D側から見た場合に全体が湾曲した形状である。この場合、天板部2Dも、縦壁部4D側から見た場合に全体が湾曲した形状である。なお、図4に示す湾曲部材1Dは、天板部2D側から見た場合、接続部である稜線部6Dも縦壁部4Dも、全体が直線状である。
湾曲部材1Dの横断面(ここで言う「横断面」とは、第2工程における曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって、図4において一対の接続部(稜線部6D)同士の距離が最小となる面で切断した断面を指す)視において、平面状である天板部2Dと、平面状である一対の縦壁部4Dと、天板部2D及び縦壁部4Dを接続する湾曲した稜線部6Dと、平面状であるフランジ部80Dと、フランジ部80D及び一方の縦壁部4Dを接続する湾曲した第2稜線部86Dと、を有する。一対の縦壁部4Dは、いずれも天板部2Dと接続する側から反対側の端部に向けて広がった形状を有しており、そのため一対の縦壁部4D同士は、対となる面が平行ではない。ただし、これに限られず、一対の縦壁部4D同士が平行であり、天板部2Dと一対の縦壁部4Dとが成す角度が、横断面視において直角であってもよい。
また、湾曲部材1Dは、天板部2Dと縦壁部4Dとが湾曲した稜線部6Dを介して接続されているが、これに限られず、両者が鋭角に接触しておりつまり鋭角な稜線部を介して両者が接続されていてもよい。さらに、湾曲部材1Dは、フランジ部80Dと一方の縦壁部4Dとが湾曲した第2稜線部86Dを介して接続されているが、これに限られず、両者が鋭角に接触しておりつまり鋭角な第2稜線部を介して両者が接続されていてもよい。
なお、第4の態様では、一対の縦壁部のうち一方が天板部との接続側とは反対側の端部の全部に接続するフランジ部を有し、且つ他方の縦壁部は天板部との接続側とは反対側の端部の全部にフランジ部が接続していない形状の湾曲部材を示したが、本実施形態による湾曲部材はこれに限定されない。例えば、上記他方の縦壁部(つまりフランジ部が接続していない箇所を有する縦壁部)は、天板部との接続側とは反対側の端部の一部にのみフランジ部が接続しており且つ残りの部分にはフランジ部が接続していない形状であってもよい。
なお、上記に示す第1乃至第4の態様の湾曲部材1A乃至1Dは、いずれも、横断面視において天板部及び縦壁部が平面状である形状を有する。しかし、これに限られず、横断面視において天板部が少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよく、また横断面視において縦壁部が少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよい。なお、天板部及び縦壁部の少なくとも一方が、横断面視において全体にわたって湾曲した形状を有する場合、天板部と縦壁部とを接続する湾曲した稜線部は、天板部及び縦壁部の全体にわたる湾曲における曲率半径よりも小さい曲率半径を有することが好ましい。
−第1工程−
ついで、本実施形態に係る湾曲部材の製造方法における、各工程について説明する。
本実施形態に係る湾曲部材の製造方法は、金属板の両端部を保持した状態で金属板をプレスする成形である絞り成形を行って、中間部材を成形する第1工程と、中間部材に対して曲げ成形を行って一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部を最終的な形状に成形する第2工程と、を有する。
なお、「金属板」としては、例えば鋼板、アルミ合金板等が挙げられる。第1工程に供する金属板の形状は、平面状の板だけでなく、予め仮形状となるよう予成形を施した予成形板であってもよい。
また、第1工程で行う「絞り成形」としては、例えば絞り成形だけでなく、パッド絞り成形等も含まれる。また、第2工程で行う「曲げ成形」としては、例えば曲げ成形だけでなく、パッド曲げ成形、パッドカム曲げ成形、スタンピング成形等も含まれる。
第1工程は、天板部及び接続部を成形すると共に、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部(以下単に「特定縦壁部」と称す)となる箇所の該端部の位置が、湾曲部外側形成面に接触する位置、金属板保持面に接触する位置、又は金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置となるよう成形する工程である。
第1工程では、天板部と、天板部の両端にそれぞれ接続する一対の縦壁部を成形する。ただし、第1工程によって成形される天板部及び接続部の形状(つまり中間部材における天板部及び接続部の形状)は、第2工程後における天板部及び接続部の形状と一致していなければならないわけではない。例えば、第1工程での絞り成形によって天板部及び接続部の形状がほぼ湾曲部材における形状にまで成形され、その後第2工程での曲げ成形によって天板部及び接続部の形状がさらに僅かに変形され(例えば微調整され)ることで、湾曲部材における形状に成形されてもよい。
また、第1工程後に、他の工程を施してから第2工程を行ってもよく、第2工程の後に他の工程を備えていてもよい。例えばこれら他の工程として、第1工程で得られた中間部材や、第2工程で得られた部材の形状の矯正を目的としたリストライク工程等を設けてもよい。
第1工程では、天板部側から見た場合及び縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において、湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状である中間部材を形成する。
図5は、縦壁部14A側から見た場合において、湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状である中間部材10Aの一例である。この中間部材10Aは、図1の湾曲部材1Aに成形される前の中間部材である。中間部材10Aは、天板部12Aと、天板部12Aの両端に稜線部16Aを介してそれぞれ接続する一対の縦壁部14Aとを有する。縦壁部14Aの端部には、該縦壁部14Aがなす面外に湾曲した(縦壁部14Aの側方へ湾曲した)湾曲部19A(略湾曲部)が形成されている。
図6は、天板部12B側から見た場合において、湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状である中間部材10Bの一例である。この中間部材10Bは、図2の湾曲部材1Bに成形される前の中間部材である。中間部材10Bは、天板部12Bと、天板部12Bの両端に稜線部16Bを介してそれぞれ接続する一対の縦壁部14Bとを有する。縦壁部14Aの端部には、該縦壁部14Aがなす面外に湾曲した(縦壁部14Aの側方へ湾曲した)湾曲部19Aが形成されている。
ここで、第1工程における絞り成形を、一例を挙げて説明する。
図7及び図8は、いずれも絞り成形の一例における途中の状態を示す横断面図である。なお、図7及び図8に示す絞り成形では、最終的に図1に示す第1の態様の湾曲部材1Aが形成される。以下、図7及び図8に示す絞り成形を「第1実施形態に係る絞り成形」とも称す。
第1実施形態に係る絞り成形では、第1の金型として、ダイ20、パンチ30、及び一対のホルダー40を用いる。ダイ20は、中間部材10Aにおける天板部12Aに相当する箇所の外側表面を成形する天板部外側成形面22、中間部材10Aにおける接続部(稜線部16A)に相当する箇所の外側表面を成形する接続部外側成形面26、中間部材10Aにおける縦壁部14Aに相当する箇所の外側表面を成形する縦壁部外側成形面24、及びホルダー40と対向して金属板100を保持する金属板保持面28を有する。縦壁部外側成形面24における金属板保持面28と接続する側の端部には、金属板保持面28側に向かって湾曲する湾曲部外側形成面29が形成されている。
パンチ30は、中間部材10Aにおける天板部12Aに相当する箇所の内側表面を成形する天板部内側成形面32、中間部材10Aにおける接続部(稜線部16A)に相当する箇所の内側表面を成形する接続部内側成形面36、中間部材10Aにおける縦壁部14Aに相当する箇所の内側表面を成形する縦壁部内側成形面34、及び金属板保持面28と対向する金属板保持面38とを有する。縦壁部内側成形面34には、湾曲部外側形成面29と対向する湾曲部内側形成面39が形成されている。
第1実施形態に係る絞り成形では、まず、図7に示すようにダイ20と一対のホルダー40とで、金属板100の横断面視における両端部を挟んで保持する(金属板保持工程)。
次いで、パンチ30の天板部内側成形面32の少なくとも一部が、金属板100のダイ20と接触する側とは反対側の面に接触するよう、パンチ30を配置する。そして、パンチ30を固定すると共に、加圧しながらダイ20及び一対のホルダー40を、矢印Aの方向(つまりダイ20から見て金属板100と接触する方向)に移動させることで、金属板100を変形させる(成形工程)。
図8に示す位置までダイ20及び一対のホルダー40を移動させることで、金属板100が中間形状に成形されて、成形工程が終了する。その後、ダイ20を成形工程とは逆の方向(つまり中間形状に成形された中間部材10Aから離れる方向)に移動させて、ダイ20を中間部材10Aから離型させる。さらに、中間部材10Aをパンチ30から離型させて(離型工程)、中間部材10Aが得られる。
なお、図7では、パンチ30を固定すると共に、ダイ20及び一対のホルダー40を矢印Aの方向に移動させて絞り成形を行っているが、これに限られない。つまり、ダイ20を固定し且つ一対のホルダー40を加圧(例えばクッションで加圧)すると共に、パンチ30を金属板100と接触する方向(つまり矢印Aと逆の方向)に移動させて絞り成形を行ってもよい。また、ダイ20及び一対のホルダー40を矢印Aの方向に移動させ且つパンチ30を矢印Aと逆の方向に移動させて絞り成形を行ってもよい。
・成形工程終了時の中間部材端部の位置
ここで、第1実施形態に係る絞り成形では、ダイ20の縦壁部外側成形面24における金属板保持面28と接続する側の端部に、金属板保持面28側に向かって湾曲する湾曲部外側形成面29を有する。また。パンチ30の縦壁部内側成形面34には、湾曲部外側形成面29と対向する湾曲部内側形成面39が形成されている。したがって、湾曲部外側形成面29及び湾曲部内側形成面39に挟まれることにより、縦壁部14Aの端部には、該縦壁部14Aがなす面外に湾曲した(縦壁部14Aの側方へ湾曲した)湾曲部19Aが形成される。
図9に、図8における湾曲部外側形成面29を拡大した拡大図を示す。図7、図8及び図9に示すように、ダイ20の縦壁部外側成形面24は、湾曲部外側形成面29以外は平面状であり、湾曲部外側形成面29は、金属板保持面28側に向かって湾曲した形状を有する。なお、パンチ30は、縦壁部内側成形面34における、成形工程の終了時に湾曲部外側形成面29に対向する箇所に、湾曲部外側形成面29に沿って湾曲した形状である湾曲部内側形成面39を有する。
そして、成形工程の終了時(つまり離型工程の開始前)においては、図8及び図9に示すように、中間部材10Aにおける縦壁部14Aの端部18Aの位置は、ダイ20の縦壁部外側成形面24における湾曲部外側形成面29に接触する位置にある。
端部18Aの位置が湾曲部外側形成面29に接触する位置にあることで、その後の離型工程において中間部材10Aから離型しようとするダイ20に対して中間部材10Aにおける端部18Aが引っ掛かって、ダイ20に削れが生じることが抑制される。
また、湾曲部19Aがあることで、湾曲部19Aによる稜線効果(中間部材の長手方向の剛性アップ)ができるため、縦壁部14Aのスプリングバックが抑制され、端部18Aが引っ掛かって、ダイ20に削れが生じることの抑制効果がより高まる。
第1工程において、フランジ部が接続していない特定縦壁部において、縦しわ及び割れの発生を防止するためには、金属板の両端部を2つの金型で挟んで保持した状態で、金属板をプレス成型する必要がある。成形工程の終了時に、特定縦壁部の端部の位置が接続部外側成形面24になるようなプレス成型は、金属板の両端部を2つの金型で挟んで保持した状態から特定縦壁部の端部が抜け、さらにその後の成形が曲げ成形となるため、絞り成形の効果が得られない。少なくとも、第1工程のプレス成形中においては、特定縦壁部の端部の位置は、湾曲部外面形成面29又はその外側に位置する必要がある。このような状態でプレス成型することで、特定縦壁部に縦しわ及び割れの発生を防止することができる。
なお、成形工程の終了時(つまり離型工程の開始前)における中間部材の端部の位置は、湾曲部外側形成面29よりもさらに外側であってもよい。
例えば、図10に示すように、ダイ20の湾曲部外側形成面29よりもさらに外側である金属板保持面28に接触する位置に、中間部材10Aの端部18Aがあってもよい。また、例えば、図11に示すように、ダイ20の金属板保持面28に接触する位置よりも外側の位置に、中間部材10Aの端部18Aがあってもよい。
中間部材の端部の位置がダイの湾曲部よりもさらに外側であることで、その後の離型工程において中間部材から離型しようとするダイに対して中間部材における端部が引っ掛かって、ダイに削れが生じることが抑制される。
湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生をより抑制する観点からは、成形工程の終了時(つまり離型工程の開始前)における中間部材10Aの端部18Aの位置が図9に示すように湾曲部外側形成面29に接触する位置及び図10に示すように金属板保持面28のいずれかに接触する位置であることが好ましく、さらに好ましくは、図9に示すように湾曲部外側形成面29に接触する位置である。
端部18Aの位置が湾曲部外側形成面29に接触する位置又は金属板保持面28に接触する位置にあることで、第2工程での曲げ成形によって変形させる変形量(つまり端部18A又は端部18Bの変形による移動距離)が小さくなり、その結果、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生が抑制される。
・湾曲部外側形成面の曲率半径
ダイ20の縦壁部外側成形面24において金属板保持面28と接続する側の端部に存在する湾曲部外側形成面29は、その曲率が小さ過ぎない(つまり曲率半径が大き過ぎない)ことが好ましい。湾曲部外側形成面29の曲率が小さ過ぎない(曲率半径が大き過ぎない)ことで、第2工程での曲げ成形の際に変形が生じる面積を小さくする事ができ、第2工程での曲げ成形時に縦壁部に生じるしわ及び割れがより抑制される。
なお、ダイの縦壁部外側成形面において金属板保持面と接続する側の端部に存在する湾曲部外側形成面の最小曲率半径は、第2工程での縦しわ及び割れ抑制の観点から、60mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、40mm以下がさらに好ましい。一方で、該湾曲部外側形成面の最小曲率半径の下限値は、第1工程での成形終了時の曲げ成形限界の観点から、(0.1×板厚)mm以上が好ましく、(0.3×板厚)mm以上がより好ましく、(0.5×板厚)mm以上がさらに好ましい。第2工程での湾曲部を最終的な形状に成形した後に、湾曲部の曲げ癖など矯正のためのリストライク工程を省略する観点からは、該湾曲部の最小曲率半径の下限値は大きい方がよい。例えば、その下限を、(2.0×板厚)mm以上、(4.0×板厚)mm以上又は(6.0×板厚)mm以上、若しくは、10mm以上、15mm以上又は20mm以上としてもよい。
・第1工程(絞り成形)の変形例
本実施形態では、第1工程で行われる絞り成形は、前記に示した第1実施形態に係る絞り成形には限定されない。
例えば、第1実施形態に係る絞り成形によって得られる中間部材10Aは、横断面視において天板部12A及び縦壁部14Aが平面状である形状を有する。しかし、これに限られず、横断面視において天板部が少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよく、また横断面視において縦壁部が少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよい。また、天板部や縦壁部にはビード形状や座面形状が設けられていてもよい。なお、天板部及び縦壁部の少なくとも一方が、横断面視において全体にわたって湾曲した形状を有する場合、天板部と縦壁部とを接続する湾曲した稜線部は、天板部及び縦壁部の全体にわたる湾曲における曲率半径よりも小さい曲率半径を有することが好ましい。
また、それに応じて、ダイにおける天板部外側形成面及び縦壁部外側形成面も、その少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよく、パンチにおける天板部内側形成面及び縦壁部内側形成面も、その少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよい。
なお、ダイが縦壁部外側形成面に横断面視において湾曲した形状を有し、且つダイの縦壁部外側成形面の金属板保持面と接続する側の端部に存在する湾曲部外側形成面と連続している場合(つまり前者と後者とが間に平面部を介さずに続いている場合)、金属板保持面と接続する側の端部に存在する湾曲部外側形成面は、縦壁部外側形成面の湾曲した部分における最小曲率半径よりも小さい曲率半径を有する。そして、成形工程の終了時(つまり離型工程の開始前)における、中間部材の特定縦壁部となる箇所の横断面視における端部の位置は、金属板保持面と接続する側の端部に存在する湾曲部外側形成面において曲率半径が最小となる位置に接触する位置よりも外側であることが好ましい。
図7、図8に示す第1実施形態に係る絞り成形では、天板部外側成形面22を有するダイ20を用いたが、これに限定されず、例えばパッド絞り成形を行ってもよい。
つまり、図12に示すように、パッド50を用いてもよい。パッド50は、中間部材における天板部に相当する箇所の外側表面を成形する天板部外側成形面52Aを有する。ただし、これに限られず、パッド絞り成形に用いるダイは、中間部材における接続部(稜線部)に相当する箇所の外側表面を成形する接続部外側成形面を有さず、中間部材における縦壁部に相当する箇所の外側表面を成形する縦壁部外側成形面のみを有する形状であってもよい。
図12に示すパッド絞り成形では、まず、ダイ20と一対のホルダー40とで、金属板100の横断面視における両端部を挟んで保持する(金属板保持工程)。次いで、パンチ30の天板部内側成形面32の少なくとも一部が、金属板100のダイ20と接触する側とは反対側の面に接触するよう、パンチ30を配置する。また、パッド50の天板部外側成形面52Aの少なくとも一部が、金属板100のダイ20と接触する側の面に接触するよう、パッド50を配置する。そして、パンチ30及びパッド50を固定すると共に、加圧しながらダイ20及び一対のホルダー40を、ダイ20から見て金属板100と接触する方向に移動させることで、金属板100を変形させて中間形状に成形される(成形工程)。その後、ダイ20及びパッド50を同期させて成形工程とは逆の方向(つまり中間形状に成形された中間部材から離れる方向)に移動させて、ダイ20を中間部材から離型させるか、または、ホルダー40をロックして固定した状態でダイ20を上げて成形工程とは逆の方向に移動させた後に、中間部材からパンチ30及びパッド50を離型させて(離型工程)、中間部材が得られる。
なお、第1工程においてパッド絞り成形を行うことで、成形工程での位置ずれ(つまり中間部材を得る成形工程においてダイ及びパンチからの圧力のバラツキ等により、横断面視における金属板の一方へのずれ)の発生が抑制される。
図7、図8に示す第1実施形態に係る絞り成形に用いるダイ20では、縦壁部外側成形面24における金属板保持面28と接続する側の端部に有する一対の湾曲部外側形成面29として、両方とも曲率半径が同じである湾曲部外側形成面29の例を示しているが、これに限定されない。つまり、図13に示すように、一方の湾曲部外側形成面29と他方の湾曲部外側形成面29とで曲率半径が異なっていてもよい。
なお、第1工程における絞り成形では、成形工程において位置ずれが発生することがある。これに対し、一方の湾曲部外側形成面29の方が他方の湾曲部外側形成面29よりも曲率半径が大きい場合、ずれの方向を曲率半径が小さい方向、つまり他方の湾曲部外側形成面29から一方の湾曲部外側形成面29に向かう方向に変化させることができる。したがって、成形工程時に金属板がずれる方向に対して、ずれの下流側に相当する湾曲部外側形成面29の曲率半径を、ずれの上流側に相当する湾曲部外側形成面29の曲率半径よりも大きくすることで、成形工程での位置ずれの発生を抑制することができる。
なお、一方の湾曲部外側形成面29と他方の湾曲部外側形成面29とで曲率半径が異なっている場合、その一方の湾曲部外側形成面29の最小曲率半径[R]と、他方の湾曲部外側形成面29の最小曲率半径[R]との差は、0mm超え50mm以下であることが好ましく、40mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることがさらに好ましい。一方で、位置ずれ抑制の観点からは、最小曲率半径[R]と最小曲率半径[R]との差の下限値は、0mm超えが好ましく、1mm以上がより好ましく、2mm以上がさらに好ましく、5mm以上が特に好ましい。
第1実施形態に係る絞り成形では、最終的に(つまり第2工程を経た後に)図1に示す第1の態様の形状を有する湾曲部材1Aが形成される例を示しているが、最終的に得られる湾曲部材の形状はこれに限定されない。
例えば、最終的に図3に示す第3の態様の湾曲部材1Cを形成する場合の、第1工程(絞り成形)について説明する。図3に示す第3の態様の湾曲部材1Cを形成する場合、その中間部材の形状としては、図14に示す中間部材10Cが挙げられる。
そして、中間部材10Cを形成する絞り成形は、図15A乃至図15Cに示すダイ20、パンチ30、及びホルダー40により行われる。なお、図15A乃至図15Cは、中間部材10Cを成形する成形工程の終了時における横断面を示す図であり、図15Aは図14の中間部材10Cにおけるa−a断面を、図15Bは図14の中間部材10Cにおけるb−b断面を、図15Cは図14の中間部材10Cにおけるc−c断面を示す。
図15Aに示すように、成形工程の終了時において、中間部材10Cにおける端部18Cの位置は、湾曲部外側形成面29に接触する位置にある。また、図15Bでは、中間部材10Cにおける端部18Cの位置は、金属板保持面28と接触する位置にある。さらに、図15Cでは、中間部材10Cにおける端部18Cの位置は、湾曲部外側形成面29と金属板保持面28との境界部に接触する位置にある。湾曲部外側形成面29と金属板保持面28との境界部は、湾曲部外側形成面29における金属板保持面28との接続部又は金属板保持面28における湾曲部外側形成面29との接続部である。
このように、端部18Cの位置が湾曲部外側形成面29に接触する位置又は金属板保持面28に接触する位置にあることで、その後の離型工程において中間部材10Cから離型しようとするダイ20に対して中間部材10Cにおける端部18Cが引っ掛かって、ダイ20に削れが生じることが抑制される。
−第2工程−
第2工程は、第1の金型とは異なる第2の金型により、中間部材に対して曲げ成形を行って、湾曲部を曲げ変形させることにより、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部を最終的な形状(つまり第2工程を経た後の形状)に成形する工程である。
なお、第1工程後に、他の工程を施してから第2工程を行ってもよく、第2工程の後に他の工程を備えていてもよい。例えばこれら他の工程として、第1工程で得られた中間部材や、第2工程で得られた部材の形状の矯正を目的としたリストライク工程等を設けてもよい。
ここで、第2工程における曲げ成形を、一例を挙げて説明する。
図16及び図17は、いずれも曲げ成形の一例における途中の状態を示す横断面図である。なお、図16及び図17に示す曲げ成形(パッド曲げ成形)では、図1に示す第1の態様の湾曲部材1Aが形成される。以下、図16及び図17に示す曲げ成形(パッド曲げ成形)を「第1実施形態に係る曲げ成形」とも称す。
第1実施形態に係る曲げ成形では、第2の金型として、ダイ120、パンチ130、及びパッド150を用いる。ダイ120は、湾曲部材1Aにおける接続部(稜線部6A)に相当する箇所の外側表面を成形する接続部外側成形面126、及び湾曲部材1Aにおける縦壁部4Aに相当する箇所の外側表面を成形する縦壁部外側成形面124を有する。パンチ30は、湾曲部材1Aにおける天板部2Aに相当する箇所の内側表面を成形する天板部内側成形面132、湾曲部材1Aにおける接続部(稜線部6A)に相当する箇所の内側表面を成形する接続部内側成形面136、及び湾曲部材1Aにおける縦壁部4Aに相当する箇所の内側表面を成形する縦壁部内側成形面134を有する。パッド150は、湾曲部材1Aにおける天板部に相当する箇所の外側表面を成形する天板部外側成形面152を有する。ただし、これに限られず、パッド曲げ成形に用いるダイは、湾曲部材における接続部(稜線部)に相当する箇所の外側表面を成形する接続部外側成形面を有さず、湾曲部材における縦壁部に相当する箇所の外側表面を成形する縦壁部外側成形面のみを有する形状であってもよい。
第1実施形態に係る曲げ成形では、まず、図16に示すようにパンチ130の天板部内側成形面132の少なくとも一部が、中間部材10Aの天板部12Aの内側となる面に接触するよう、パンチ130を配置する。また、パッド150の天板部外側成形面152の少なくとも一部が、中間部材10Aのパンチ130と接触する側とは反対側の面に接触するよう、パッド150を配置する。そして、パンチ130を固定し、パッド150で加圧しながらダイ120を、ダイ120から見て中間部材10Aと接触する方向(矢印B方向。この矢印B方向をプレス方向という。)に移動させることで、湾曲部19Aを曲げ変形させることにより、縦壁部14Aを変形させて最終的な形状に成形される(成形工程)。これにより、図17に示されるように、天板部2A及び一対の縦壁部4Aを有する湾曲部材1Aが形成される。その後、ダイ120を成形工程とは逆の方向(つまり湾曲部材から離れる方向)に移動させて、ダイ120を湾曲部材1Aから離型させる。さらに、湾曲部材1Aからパンチ130及びパッド150を離型させて(離型工程)、湾曲部材1Aが得られる。
なお、図16では、パンチ130を固定しパッド150で加圧しながらダイ120を矢印Bの方向に移動させて曲げ成形を行っているが、これに限られない。つまり、ダイ120を固定すると共に、パッド150で加圧しながらパンチ130及びパッド150を矢印Bと逆の方向に移動させて曲げ成形を行ってもよく、またパッド150で加圧しながらダイ120を矢印Bの方向に移動させ且つパンチ130及びパッド150を矢印Bと逆の方向に移動させて曲げ成形を行ってもよい。
第1実施形態では、第1工程において天板部及び接続部を成形すると共に、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部(つまり特定縦壁部)となる箇所の該端部の位置が、湾曲部外側形成面に接触する位置、金属板保持面に接触する位置、又は金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置となるよう成形している。その後、他の工程(例えばトリム(切除)工程)を経ることなく、第2工程において特定縦壁部を最終的な形状に成形している。そのため、第2工程での曲げ成形によって変形させる変形量が小さくなり、その結果、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生が抑制される。
なお、第1実施形態では、トリム工程を不要とする観点から、金属板として展開ブランクの使用が好ましい。図18は、展開ブランク300の一例を示す斜視図であり、図19Aは、図18に示す展開ブランク300の平面図、図19Bは図18に示す展開ブランク300の側面図である。図19A、図19Bにおいて、実線は、展開ブランク300を示しており、破線は、湾曲部材1Aを示している。展開ブランク300とは、湾曲部材1Aを成形前の板に展開した形状を有する金属板である。
また、第1工程後に、他の工程(例えばリストライク工程等)を施してから第2工程を行ってもよく、第2工程の後に他の工程(例えばリストライク工程等)を備えていてもよい。
また、湾曲部があることで、湾曲部による稜線効果(中間部材の長手方向の剛性アップ)ができるため、縦壁部における縦しわの発生を抑制できる。さらに、第2工程においても、湾曲部による剛性を保つことで、曲げ成形時に縦壁部における縦しわの発生を抑制できる。
・第2工程での変形量
なお、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れ発生の抑制の観点から、第2工程での曲げ成形によって変形される変形量は、小さい方が好ましい。
また、湾曲部材の縦壁部における縦しわ及び割れの発生し易さは、第2工程における曲げ成形前の中間部材の接続部を天板部側から見た場合における湾曲した箇所の湾曲度合い(曲率半径)、及び接続部を縦壁部側から見た場合における湾曲した箇所の湾曲度合い(曲率半径)と関係がある。
以上の観点から、第2工程での曲げ成形によって変形される変形量は、中間部材の接続部を天板部側又は縦壁部側から見た場合における湾曲した箇所の湾曲度合い(曲率半径)に対して、以下の関係を有することが好ましい。
湾曲部材が、接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲した箇所を少なくとも一部に有し、且つ接続部を天板部側から見た場合に湾曲した箇所を有しない形状である場合、第2工程において、中間部材における接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲した箇所について、曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって一対の接続部同士の距離が最小となる面で切断した横断面で見た場合に、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部(つまり特定縦壁部)となる箇所における該端部の位置の曲げ成形による変形前後での移動距離(例えば図16に示す中間部材10Aが曲げ成形によって図17に示す湾曲部材1Aに成形される際に、中間部材10Aの端部18Aが湾曲部材1Aの端部8Aの位置にまで変形する距離)の金型によるプレス方向での長さH1(つまり図13における矢印B方向の長さ、図20参照)が、横断面における中間部材の接続部での湾曲を縦壁部側から見た場合の曲率半径に対して、0.30倍以下であることが好ましく、0.25倍以下であることがより好ましく、0.20倍以下又は0.10倍以下(さらには0.07倍以下又は0.05倍以下)であることがさらに好ましい。なお、その下限値としては、金型(ダイ)における削れ抑制の観点から、0倍超えが好ましく、0.001倍以上又は0.01倍以上がより好ましい。
中間部材10Aの左右で移動距離の長さH1が異なる場合には、大きい方の値を採用すればよい。
湾曲部材が、接続部を天板部側から見た場合に湾曲した箇所を少なくとも一部に有し、且つ接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲した箇所を有しない形状である場合、第2工程において、中間部材における接続部を天板部側から見た場合に湾曲した箇所について、曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって一対の接続部同士の距離が最小となる面で切断した横断面で見た場合に、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部(つまり特定縦壁部)となる箇所における該端部の位置の曲げ成形による変形前後での移動距離の金型によるプレス方向と直交する方向での長さW1(図20参照)が、横断面における中間部材の接続部での湾曲を天板部側から見た場合の曲率半径に対して、0.30倍以下であることが好ましく、0.25倍以下であることがより好ましく、0.20倍以下又は0.10倍以下(さらには0.07倍以下又は0.05倍以下)であることがさらに好ましい。なお、その下限値としては、金型(ダイ)における削れ抑制の観点から、0倍超えが好ましく、0.001倍以上又は0.01倍以上がより好ましい。
中間部材10Aの左右で移動距離の長さW1が異なる場合には、大きい方の値を採用すればよい。
湾曲部材が、接続部を天板部側から見た場合に湾曲した箇所を少なくとも一部に有し、且つ接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状である場合(以下、この形状を有する部材を「両湾曲部材」と称す)、第2工程において、中間部材における接続部を天板部側から見た場合及び縦壁部側から見た場合のいずれにおいても湾曲した箇所について、曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって一対の接続部同士の距離が最小となる面で切断した横断面で見た場合に、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部(つまり特定縦壁部)となる箇所における該端部の位置の曲げ成形による変形前後での移動距離の長さM1(図20参照)が、以下の式(4)の通り、横断面における中間部材の接続部での湾曲を天板部側から見た場合の曲率半径[R]と接続部での湾曲を縦壁部側から見た場合の曲率半径[R]との積を、曲率半径[R]と曲率半径[R]との和で除した値に対して、0.30倍以下であることが好ましく、0.25倍以下であることがより好ましく、0.20倍以下又は0.10倍以下(さらには0.07倍以下又は0.05倍以下)であることがさらに好ましい。なお、その下限値としては、金型(ダイ)における削れ抑制の観点から、0倍超えが好ましく、0.001倍以上又は0.01倍以上がより好ましい。
曲率半径≦(R×R/(R+R))×0.3・・・(4)
中間部材10Aの左右で移動距離の長さM1が異なる場合には、大きい方の値を採用すればよい。
また上記の両湾曲部材においては、第2工程において、中間部材における接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲し且つ天板部側から見た場合に湾曲していない箇所について、曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって一対の接続部同士の距離が最小となる面で切断した横断面で見た場合に、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部(つまり特定縦壁部)となる箇所における該端部の位置の曲げ成形による変形前後での移動距離の金型によるプレス方向での長さH1(図20参照)が、横断面における中間部材の接続部での湾曲を縦壁部側から見た場合の曲率半径に対して、0.30倍以下であることが好ましく、0.25倍以下であることがより好ましく、0.20倍以下又は0.10倍以下(さらには0.07倍以下又は0.05倍以下)であることがさらに好ましい。なお、その下限値としては、金型(ダイ)における削れ抑制の観点から、0倍超えが好ましく、0.001倍以上又は0.01倍以上がより好ましい。
さらに上記の両湾曲部材においては、第2工程において、中間部材における接続部を天板部側から見た場合に湾曲し且つ縦壁部側から見た場合に湾曲していない箇所について、曲げ成形での金型によるプレス方向に向かって一対の接続部同士の距離が最小となる面で切断した横断面で見た場合に、一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部(つまり特定縦壁部)となる箇所における該端部の位置の曲げ成形による変形前後での移動距離の金型によるプレス方向と直交する方向での長さW1(図20参照)が、横断面における中間部材の接続部での湾曲を天板部側から見た場合の曲率半径に対して、0.30倍以下であることが好ましく、0.25倍以下であることがより好ましく、0.20倍以下又は0.10倍以下(さらには0.07倍以下又は0.05倍以下)であることがさらに好ましい。なお、その下限値としては、金型(ダイ)における削れ抑制の観点から、0倍超えが好ましく、0.001倍以上又は0.01倍以上がより好ましい。
要するに、第2工程において、一対の接続部同士の距離が最小となる面で切断した横断面における湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離に関し、次の式(1)〜(3)のいずれかの条件を満たすに、第1工程において使用する金型を用いることが、好ましい。
すなわち、湾曲部材が、接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲し、且つ接続部を天板部側から見た場合に湾曲しない部位に対しては、下記(1)式を満たす金型を用いる。
また、湾曲部材が、接続部を天板部側から見た場合に湾曲し、且つ接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲しない部位に対しては、下記(2)式を満たす金型を用いる。
また、湾曲部材が、接続部を天板部側から見た場合に湾曲し、且つ接続部を縦壁部側から見た場合に湾曲する部位に対しては、下記(3)式を満たす金型を用いる。
H1≦α×R・・・(1)
W1≦α×R・・・(2)
M1≦α×R×R/(R+R)・・・(3)
ただし、α、H1、W1、M1、R及びRは下記とする。
α:0.30
H1:第2工程の金型によるプレス方向における、湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
W1:第2工程の金型によるプレス方向と直交する方向における、湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
M1:湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
:中間部材の接続部での湾曲を、天板部側から見た場合の曲率半径
:中間部材の接続部での湾曲を、接続部での湾曲を縦壁部側から見た場合の曲率半径
なお、式(1)〜(3)を満たすための手順として、例えば、次を例示することができる。
1)中間部材を縦壁部側から見た場合の接続部の曲率半径が、最終形状に加工された湾曲部材を縦壁部側から見た場合の接続部の曲率半径と等しく、且つ、縦壁部の板厚に変更なしと仮定し、図20のように中間部材の縦壁部の先端を直線化した場合のH1、の上限値を算出する。
2)上述のH1の上限値を元に、中間部材の縦壁部の下端部の「湾曲部形状と湾曲形状部の長さ」の範囲つまり、第1工程の金型の金属保持面側に向かって湾曲する「湾曲部形状と湾曲形状部の長さ」の範囲を検討し、それをもとに金型を設計する。
3)上記と同様に、W1又はM1の上限値を算出して、これらをもとに中間部材の縦壁部の下端部の「曲率半径と弧長(又は角度)」の範囲つまり、第1工程の金型の「曲率半径と弧長(又は角度)」の範囲を検討し、それをもとに金型を設計する。
なお、中間部材の縦壁部の下端部の「曲率半径と弧長(又は角度)」において、ここでの縦壁部の下端部の形状は湾曲形状であり、一律の曲率である必要はない(つまり、R及びRは一定でなくてもよい)。なお、曲率半径は湾曲部形状の曲率半径であり、弧長は湾曲部形状部の長さである。
及びRは、好ましくは、5000mm以下である。
・第2工程(曲げ成形)の変形例
本実施形態では、第2工程で行われる曲げ成形は、前記に示した第1実施形態に係る曲げ成形(パッド曲げ成形)には限定されない。
例えば、第1実施形態に係る曲げ成形によって得られる湾曲部材1Aは、横断面視において天板部2A及び縦壁部4Aが平面状である形状を有する。しかし、これに限られず、横断面視において天板部が少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよく、また横断面視において縦壁部が少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよい。また、天板部や縦壁部にはビード形状や座面形状が設けられていてもよい。なお、天板部及び縦壁部の少なくとも一方が、横断面視において全体にわたって湾曲した形状を有する場合、天板部と縦壁部とを接続する湾曲した稜線部は、天板部及び縦壁部の全体にわたる湾曲における曲率半径よりも小さい曲率半径を有することが好ましい。
また、それに応じて、曲げ成形に用いるダイにおける天板部外側形成面及び縦壁部外側形成面も、その少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよく、曲げ成形に用いるパンチにおける天板部内側形成面及び縦壁部内側形成面も、その少なくとも一部において湾曲した形状を有していてもよい。
第1実施形態に係るパッド曲げ成形では、一対のダイ120が共に矢印B方向に移動する態様を示しているが、これに限定されない。例えば、一対のダイがそれぞれパンチ上に配置された中間部材に対して徐々に近づくように斜めに移動する、所謂パッドカム曲げ成形を行ってもよい。
−用途−
本実施形態による湾曲部材の用途としては、例えば自動車車体の構成部材として用いられる。具体的には、自動車車体の構成部材のうちフロントピラーリンフォースメント、センターピラーリンフォースメント、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、クロスメンバといった強度部材や補強部材が挙げられる。
−強度−
本実施形態による湾曲部材としては高強度部材が挙げられ、例えば引張強度が590MPa以上(さらには引張強度が780MPa以上)の部材が挙げられる。
なお、湾曲部材の強度は用いる金属板の強度によって制御される。本実施形態に係る湾曲部材の製造方法に用いる金属板は、その引張強度が590MPa以上であることが好ましく、さらには引張強度が780MPa以上であることがより好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1には、比較例1〜4、実施例1〜17を示す。いずれの例においても、図21に示す通り、湾曲部材の長手方向の寸法Lは、500mmであり、天板幅の寸法Wは90mmであり、縦壁高さの寸法Hは80mm〜220mmである。
第1工程における絞り成形終了時の、横断面視での縦壁部の端部の位置は、次の通りである。
A:縦壁部外側成形面に接触する位置
B:湾曲部外側形成面に接触する位置
C:金属板保持面に接触する位置
D:金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置
各評価における評価基準は、以下の通りである。
(縦しわ)
作製された湾曲部材の縦壁部における縦しわの発生を目視で確認し、以下の基準で評価した。
A(○):縦しわの発生なし
B(△):縦壁部の高さ方向に5mm未満の縦しわが発生
C(×):縦壁部の高さ方向に5mm以上の縦しわが発生
(金型削れ)
第1工程での絞り成形(ただし比較例1ではパッド曲げ成形)に用いた金型(ダイ)における削れの発生を目視で確認し、以下の基準で評価した。
A(○):削れの発生なし
B(×):削れの発生あり
(位置ずれ)
第1工程での絞り成形(ただし比較例1ではパッド曲げ成形)時における鋼板のずれ、具体的には、横断面視において、鋼板の天板部中央に位置していた箇所の成形前後での移動した距離を測定し、以下の基準で評価した。
A(◎):第1工程での成形前後での位置ずれが1mm未満
B(○):第1工程での成形前後での位置ずれが1mm以上3mm未満
C(×):第1工程での成形前後での位置ずれが3mm以上
(縦壁部の端部の割れ)
作製された湾曲部材の縦壁部の端部における割れの発生を目視で確認し、以下の基準で評価した。
A(○):割れの発生なし
B(×):縦壁部の高さ方向に5mm未満の割れが発生
・比較例1〜4
比較例1〜4では、図1又は図23に示す、接続部(稜線部6A)を縦壁部4A側から見た場合(つまり側面視)に全体が湾曲した形状を有する湾曲部材を、第1工程のみで製品形状までプレス成形した。この第1工程では、第1工程終了時の、横断面視での縦壁部の端部の位置が、縦壁部外側成形面に接触する位置になるように成形した。
なお、材料(鋼板)の引張強度(MPa)、板厚t(mm)、第1工程で用いるダイの湾曲部外側形成面の曲率半径R及びRの大きさ(mm)とその差[|R−R|]、及び接続部(稜線部)の縦壁部側から見た場合(つまり側面視)の全体にわたって均一な湾曲の曲率半径R(mm)を、表1に示す。
その結果、比較例1では、位置ずれと、縦壁部の端部の割れを抑制できるものの、縦壁部の縦しわと、金型削れが発生した。
また、比較例2では、縦壁部の縦しわと、位置ずれと、縦壁部の端部の割れを抑制できるものの、金型削れが発生した。
また、比較例3では、位置ずれと、縦壁部の端部の割れを抑制できるものの、縦壁部に軽微な縦しわが発生し、また金型削れが発生した。
また、比較例4では、縦壁部の縦しわと、位置ずれを抑制できるものの、金型削れと、縦壁部の端部の割れが発生した。
なお、比較例1〜3の結果から、縦壁部の端部のしわは、接続部(稜線部6A)を縦壁部4A側から見た場合(つまり側面視)に湾曲部材を天板部側に凸形状に湾曲するように成形する凸形加工時、すなわち、フランジの端部が縮む場合の加工時に発生しやすいことが分かった。
また、比較例4の結果から、縦壁部の端部の割れは、接続部(稜線部6A)を縦壁部4A側から見た場合(つまり側面視)に湾曲部材を天板部側と反対側に凹形状に湾曲するように成形する凹形加工時、すなわち、フランジの端部が延びる場合の加工時に発生しやすいことが分かった。
・実施例1〜6、11、12、15〜17
実施例1〜6、11、12、15〜17では、図1に示す、接続部(稜線部6A)を縦壁部4A側から見た場合(つまり側面視)に全体が湾曲した形状を有する湾曲部材を、第1工程の絞り成形及び第2工程のパッド曲げ成形にて製品形状へと成形した。第1工程では、絞り成形終了時の、横断面視での縦壁部端部の位置を、湾曲部外側形成面に接触する位置、金属板保持面に接触する位置、又は金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置となるよう成形した。
そして、表1に示すように、材料(鋼板)の引張強度(MPa)、板厚t(mm)、第2工程(曲げ成形)による変形前後での縦壁部端部の移動距離(横断面視での移動距離)の金型によるプレス方向での長さH1(mm)、第1工程で用いるダイの湾曲部外側形成面の曲率半径R及びRの大きさ(mm)とその差[|R−R|]、及び接続部(稜線部)の縦壁部側から見た場合(つまり側面視)の全体にわたって均一な湾曲の曲率半径R(mm)でプレス成形した。
その結果、実施例11、12では、金型削れと、位置ずれと、縦壁部の端部の割れを抑制できるものの、縦壁部に軽微な縦しわが発生した。
一方、実施例1〜6、15〜17では、縦壁部の縦しわなし、金型削れなし、位置ずれなし、縦壁部の端部の割れなしの良好な結果を得た。
・実施例7〜9、13、14
実施例7〜9、13、14では、図2に示す、接続部(稜線部6B)を天板部2B側から見た場合(つまり上面視)に全体が湾曲した形状を有する湾曲部材を、第1工程の絞り成形及び第2工程のパッド曲げ成形にて製品形状へと成形した。第1工程では、絞り成形終了時の、横断面視での縦壁部端部の位置を、湾曲部外側形成面に接触する位置、又は金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置となるよう成形した。
そして、表1に示すように、材料(鋼板)の引張強度(MPa)、板厚t(mm)、第2工程(曲げ成形)による変形前後での縦壁部端部の移動距離(横断面視での移動距離)の金型によるプレス方向と直交する方向での長さW1(mm)、第1工程で用いるダイの湾曲部外側形成面の曲率半径R及びRの大きさ(mm)とその差[|R−R|]、及び接続部(稜線部)の天板部側から見た場合(つまり上面視)の全体にわたって均一な湾曲の曲率半径R(mm)でプレス成形した。
その結果、実施例13では、金型削れと、位置ずれと、縦壁部の端部の割れを抑制できるものの、縦壁部に軽微な縦しわが発生した。
また、実施例14では、金型削れと、縦壁部の端部の割れを抑制できるものの、縦壁部に軽微な縦しわが発生し、また位置ずれが発生した。
一方、実施例7〜9では、縦壁部の縦しわなし、金型削れなし、位置ずれなし、縦壁部の端部の割れなしの良好な結果を得た。特に実施例8では、位置ずれなしに優秀な結果を得た。
・実施例10
実施例10では、接続部(稜線部)を縦壁部側から見た場合(つまり側面視)と天板部側から見た場合(つまり上面視)とのいずれにおいても全体が湾曲した形状を有する湾曲部材を、第1工程の絞り成形及び第2工程のパッド曲げ成形にて製品形状へと成形した。第1工程では、絞り成形終了時の、横断面視での縦壁部端部の位置を、湾曲部外側形成面に接触する位置となるよう成形した。
そして、表1に示すように、材料(鋼板)の引張強度(MPa)、板厚t(mm)、第2工程(曲げ成形)による変形前後での縦壁部端部の移動距離(横断面視での移動距離)の長さM1(mm)、第1工程で用いるダイの湾曲部外側形成面の曲率半径R及びRの大きさ(mm)とその差[|R−R|]、及び接続部(稜線部)の縦壁部側から見た場合(つまり側面視)及び天板部側から見た場合(つまり上面視)の全体にわたって均一な湾曲の曲率半径R及びR(mm)でプレス成形した。
その結果、実施例10では、縦壁部の縦しわなし、金型削れなし、位置ずれなし、縦壁部の端部の割れなしの良好な結果を得た。
なお、第2工程(曲げ成形)による変形前後での縦壁部端部の移動距離(横断面視での移動距離)の金型によるプレス方向での長さとは、図20に示す横断面図における、中間部材I(第1工程終了時の形状)と湾曲部材P(第2工程終了時の形状)との縦壁部端部の移動距離の縦方向の長さ[H1]を指す。
第2工程(曲げ成形)による変形前後での縦壁部端部の移動距離(横断面視での移動距離)の金型によるプレス方向と直交する方向での長さとは、図20に示す横断面図における、中間部材Iと湾曲部材Pとの縦壁部端部の移動距離の横方向の長さ[W1]を指す。
第2工程(曲げ成形)による変形前後での縦壁部端部の移動距離(横断面視での移動距離)の長さとは、図20に示す横断面図における、中間部材Iと湾曲部材Pとの縦壁部端部の移動距離自体(つまり斜め方向の長さ)[M1]を指す。

Claims (8)

  1. 天板部と、前記天板部の両端にそれぞれ接続する一対の縦壁部と、を有し、前記一対の縦壁部のうち一方が前記天板部との接続側とは反対側の端部に接続するフランジ部を有し、他方の縦壁部は前記天板部との接続側とは反対側の端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない形状、又は前記一対の縦壁部の両方が前記天板部との接続側とは反対側の端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない形状であり、且つ前記天板部と前記縦壁部との接続部を、前記天板部側から見た場合及び前記縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において、湾曲した箇所を少なくとも一部に有する形状である湾曲部材を、金属板を成形することで製造する湾曲部材の製造方法であって、
    前記金属板の両端部を保持した状態で前記金属板をプレスする成形である絞り成形を行って、中間部材を成形する第1工程と、前記中間部材に対して曲げ成形を行って前記一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部を最終的な形状に成形する第2工程と、を有し、
    前記第1工程は、
    前記中間部材における前記接続部に相当する箇所の外側表面を成形する接続部外側成形面、前記中間部材における前記縦壁部に相当する箇所の外側表面を成形する縦壁部外側成形面、及びホルダーと対向して前記金属板の両端部を挟んで保持する金属板保持面を有し、且つ前記縦壁部外側成形面における前記金属板保持面と接続する側の端部に、前記金属板保持面側に向かって湾曲する湾曲部外側形成面を有するダイと、
    前記中間部材における前記天板部に相当する箇所の内側表面を成形する天板部内側成形面、前記中間部材における前記接続部に相当する箇所の内側表面を成形する接続部内側成形面、及び前記中間部材における前記縦壁部に相当する箇所の内側表面を成形する縦壁部内側成形面を有し、且つ前記縦壁部内側成形面に前記湾曲部外側形成面と対向する湾曲部内側形成面を有するパンチとを有する、第1の金型を用いて、
    前記ダイと前記ホルダーとで前記金属板を挟んで保持する金属板保持工程、
    前記パンチの前記天板部内側成形面の少なくとも一部を前記金属板の前記ダイと接触する側とは反対側の面に接触させた後、前記ダイ及び前記パンチの少なくとも一方を前記金属板と接触する方向に移動させ、前記一対の縦壁部のうち端部にフランジ部が接続していない縦壁部の端部の位置が、前記湾曲部外側形成面に接触する位置、前記金属板保持面に接触する位置、又は前記金属板保持面に接触する位置よりも外側の位置となるまで絞り成形することにより、
    前記金属板から、前記天板部、前記接続部及び前記縦壁部を成形し、
    前記天板部側から見た場合及び前記縦壁部側から見た場合の少なくとも一方において、前記接続部の少なくとも一部が湾曲した形状に成形し、
    前記一対の縦壁部のうち端部にフランジ部が接続していない縦壁部の端部が、該縦壁部がなす面外に湾曲した湾曲部を形成する成形工程、
    及び、前記ダイ及び前記パンチの少なくとも一方を中間形状に成形された前記中間部材から離れる方向に移動させて前記中間部材を前記ダイ及び前記パンチから離型させる離型工程、を有し、
    前記第2工程は、
    前記第1の金型とは異なる第2の金型により、前記中間部材に対して曲げ成形を行って、前記湾曲部を曲げ変形させることにより、前記一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部を最終的な形状に成形する工程を有する、
    湾曲部材の製造方法。
  2. 前記成形工程は、前記一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置が、前記湾曲部外側形成面に接触する位置又は前記金属板保持面に接触する位置となるよう成形する工程である請求項1に記載の湾曲部材の製造方法。
  3. 前記成形工程は、前記一対の縦壁部のうち端部の少なくとも一部にフランジ部が接続していない縦壁部となる箇所の該端部の位置が、前記湾曲部外側形成面に接触する位置となるよう成形する工程である請求項1に記載の湾曲部材の製造方法。
  4. 前記ダイは、一対の前記縦壁部外側成形面の両方に前記湾曲部外側形成面をそれぞれ有し、且つ一方の前記湾曲部外側形成面の最小曲率半径[R]と、他方の前記湾曲部外側形成面の最小曲率半径[R]と、の差が0mm超え50mm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の湾曲部材の製造方法。
  5. 前記第2工程において、一対の前記接続部同士の距離が最小となる面で切断した横断面における前記湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離に関し、
    前記湾曲部材が、前記接続部を前記縦壁部側から見た場合に湾曲し、且つ前記接続部を前記天板部側から見た場合に湾曲しない部位に対しては、下記(1)式を、
    前記湾曲部材が、前記接続部を前記天板部側から見た場合に湾曲し、且つ前記接続部を前記縦壁部側から見た場合に湾曲しない部位に対しては、下記(2)式を、
    前記湾曲部材が、前記接続部を前記天板部側から見た場合に湾曲し、且つ前記接続部を前記縦壁部側から見た場合に湾曲する部位に対しては、下記(3)式を、
    満たす前記第2の金型を用いる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の湾曲部材の製造方法。
    H1≦α×R・・・(1)
    W1≦α×R・・・(2)
    M1≦α×R×R/(R+R)・・・(3)
    ただし、α、H1、W1、M1、R及びRは下記とする。
    α:0.30
    H1:前記第2の金型によるプレス方向における、前記湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
    W1:前記第2の金型によるプレス方向と直交する方向における、前記湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
    M1:前記湾曲部の端部の曲げ成形前後の移動距離の最大値
    :前記中間部材の前記接続部での前記湾曲を、前記天板部側から見た場合の曲率半径
    :前記中間部材の前記接続部での前記湾曲を、前記縦壁部側から見た場合の曲率半径
  6. 前記αが0.20である請求項5に記載の湾曲部材の製造方法。
  7. 前記R及び前記Rは、5000mm以下である請求項5又は請求項6に記載の湾曲部材の製造方法。
  8. 前記金属板の引張強度が590MPa以上である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の湾曲部材の製造方法。
JP2020509568A 2018-11-19 2019-11-19 湾曲部材の製造方法 Active JP6702522B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018216329 2018-11-19
JP2018216329 2018-11-19
PCT/JP2019/045322 WO2020105647A1 (ja) 2018-11-19 2019-11-19 湾曲部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6702522B1 JP6702522B1 (ja) 2020-06-03
JPWO2020105647A1 true JPWO2020105647A1 (ja) 2021-02-15

Family

ID=70773123

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020509568A Active JP6702522B1 (ja) 2018-11-19 2019-11-19 湾曲部材の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6702522B1 (ja)
WO (1) WO2020105647A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7396415B1 (ja) 2022-09-05 2023-12-12 Jfeスチール株式会社 プレス成形品の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107530752B (zh) * 2015-04-22 2019-02-15 新日铁住金株式会社 冲压成型件的制造方法、冲压成型件以及冲压装置
JP6011680B1 (ja) * 2015-06-02 2016-10-19 Jfeスチール株式会社 プレス成形方法及びプレス成形金型

Also Published As

Publication number Publication date
JP6702522B1 (ja) 2020-06-03
WO2020105647A1 (ja) 2020-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101718269B1 (ko) 프레스 성형품의 제조 방법
EP2896467B1 (en) Method for producing curved article
KR101472645B1 (ko) L자 형상을 갖는 부품의 프레스 성형 방법
TWI555593B (zh) 毛坯、成形板、及壓製成形品之製造方法
JP5151784B2 (ja) センターピラーアウターパネルの製造方法およびセンターピラーアウターパネル用ブランク
KR102007557B1 (ko) 프레스 성형품의 제조 방법 및 프레스 금형
JP2010023078A (ja) ワークの曲げ加工方法および装置
JP6512191B2 (ja) 金型の設計方法およびプレス成形品の製造方法
KR20190022838A (ko) 프레스 성형품의 제조 방법
KR20180027547A (ko) 프레스 부품의 제조 방법 및 제조 장치
CN111727089B (zh) 冲压部件的制造方法、冲压成型装置和冲压成型用的金属板
KR20200108069A (ko) 프레스 성형용의 금속판, 프레스 성형 장치 및 프레스 부품의 제조 방법
JP6702522B1 (ja) 湾曲部材の製造方法
JP6729841B1 (ja) プレス成形方法およびプレス装置
JP6323414B2 (ja) プレス成形方法
KR102450454B1 (ko) 프레스 성형 방법
JPWO2019187863A1 (ja) プレス成形品の設計方法、プレス成形金型、プレス成形品およびプレス成形品の製造方法
JP7448464B2 (ja) 鋼部品の製造方法
KR101834850B1 (ko) 프레스 성형 방법, 및 프레스 성형 부품의 제조 방법
JP2021176646A (ja) プレス部品の製造方法、プレス成形用の金属板、及び高張力鋼板
JP2020124726A (ja) プレス成形品及びプレス加工方法
JP7439802B2 (ja) プレス成形方法及びプレス成形金型
JP2023120562A (ja) プレス成形品の製造方法およびプレス成形用金型
JP6330766B2 (ja) プレス成形方法
JP2023075017A (ja) プレス成形方法およびプレス成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200218

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200218

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200420

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6702522

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151