JP6999919B2 - 繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂組成物用の材料 - Google Patents

繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂組成物用の材料 Download PDF

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Description

本発明は、液状のラジカル硬化型樹脂にチョップドストランドが拡散して含まれてスラリー状である繊維強化樹脂組成物、及び、この組成物用の材料に関する。
構造物の防水又は防食用として繊維強化樹脂組成物が様々な箇所に用いられている。繊維強化樹脂組成物による防水構造は、FRP(Fiber Reinforced Plastics)防水とも呼ばれ、このFRP防水は、例えば浴室、住宅の屋上、バルコニー、屋上駐車場、プール、工場床等をはじめ、上水又は下水用のコンクリート槽等の土木用途にも広く用いられている。一般的なFRP防水に含まれるFRP層は、次のようにして形成される。すなわち、施工場所において、下地表面上に、シート状のガラス繊維補強基材(以下、「ガラスマット」という。)を敷設し、このガラスマットに液状の防水用ポリエステル樹脂を塗布して含浸させ、これを硬化させてFRP層としている。このような下地表面に形成されたFRP層を含む被覆層構造体は、水密性、下地追従性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐候性、耐薬品性等に優れており、防水層又は防食層として特に適した特性を有している。
FRP防水の代表的な施工方法の概略は、次のとおりである。先ず下地にプライマーを塗布し乾燥させる。次にガラスマットを敷き、このガラスマットに液状のラジカル硬化型樹脂(例えば、防水用ポリエステル樹脂)を含浸させ、脱泡作業を行い、硬化させてFRP層を形成する。このFRP層の上に、防水用ポリエステル樹脂を用いて中塗りを行い、十分に硬化させたのち、研磨等による表面仕上げや清掃を行う。最後に仕上げ塗料を塗り重ね、硬化させて完成となる。これら一連の作業は施工場所において行われる(非特許文献1参照)。
「FRP防水工事施工指針・同解説」、日本建築学会編、2010年11月1日発行、P34-74
前記施工方法では、FRP層(繊維強化層)の形成のために、ガラスマットが用いられており、このガラスマットに防水用ポリエステル樹脂を含浸させて硬化させる手法が採用されている。この施工方法の場合、ガラスマットはシート状(帯状)であることから、下地が複雑な形状であったり、周辺に配管や機器類が設置されていたりする場合、施工場所において、ガラスマットの割付に手間がかかる。例えば、施工箇所に配管や機器が設置されている場合、これらを避けるようにガラスマットを所定の大きさ及び所定の形状に切断しながら敷設し、その上に防水用ポリエステル樹脂を塗布する必要がある。しかし、このようなガラスマットを切断しながら行なう作業は手間を要し、また、場合によっては施工が不可能となることもある。
また、前記のとおり、ガラスマットを施工場所で切断することから、その際に、ガラスマットを構成している繊維(約50mm程度)がばらけて風により飛散し、周辺住民の洗濯物等へ付着する可能性がある。このため、施工の際には繊維の飛散を十分に注意する必要がある。また、ガラスマットに塗布する防水用ポリエステル樹脂は、効率よく塗布できるように、スチレンモノマーにより希釈し低粘度に調整されている。このため、樹脂成分中のスチレンモノマーの揮散による臭気についても、周辺住民への配慮が必要となる。
このように、従来のガラスマットを用いてFRP層を形成するためには、手間を要し、作業効率が悪く、また、繊維の飛散及び臭気の拡散を抑制するために十分な注意をはらって作業環境を管理する必要があり、全体として作業性が好ましくないという問題点がある。
そこで、本発明では、繊維強化層の強度品質を確保すると同時に、効率のよい施工が可能となり、かつ、補強のための繊維の飛散を可及的に低下させるとともに、樹脂の臭気拡散も低減させることを可能とする繊維強化樹脂組成物を提供する。また、このような繊維強化樹脂組成物用の材料を提供することを目的とする。
本発明は、下地表面に塗布して用いる繊維強化樹脂組成物であって、液状のラジカル硬化型樹脂にチョップドストランドが拡散して含まれてスラリー状であり、前記ラジカル硬化型樹脂と前記チョップドストランドとの質量比は、当該ラジカル硬化型樹脂を100とすると当該チョップドストランドが20以上45以下であり、前記チョップドストランドの平均繊維長さが5mm以上13mm以下である。
この繊維強化樹脂組成物(以下、「組成物」ともいう。)によれば、この組成物が硬化して得られる層は、所望の強度品質を確保することができると共に、施工性が向上する。すなわち、質量比で、ラジカル硬化型樹脂を100とするとチョップドストランドが20以上であり、チョップドストランドの平均繊維長さが5mm以上であることから、所望の強度を有することができる。そして、質量比で、ラジカル硬化型樹脂を100とするとチョップドストランドが45以下であり、チョップドストランドの平均繊維長さが13mm以下であるため、施工場所において、例えばコテ及びローラー等を用いた手作業により、この組成物を下地表面に対して塗布が可能となり、効率よく施工することが可能である。
そして、この組成物は、液状のラジカル硬化型樹脂にチョップドストランドが拡散して含まれてスラリー状となっていることから、チョップドストランドの飛散、及び臭気の拡散が少なくて済む。
また、チョップドストランドの平均繊維長さが5mm以上13mm以下であると共に、前記チョップドストランドの繊維長さの最大値が13mm以下であるのが好ましい。チョップドストランドの平均繊維長さが5mm以上13mm以下にあっても、繊維長さが長いもの(13mmを超えるもの)が多く含まれていると、施工性が低下する。特に、下地形状が凹凸変化するような場合、チョップドストランドが下地に沿って配置されにくく、施工性が低下する。また、チョップドストランドが下地に沿って均一に配置されないと、その部分では繊維が不足して強度不足となる可能性がある。しかし、チョップドストランドの繊維長さの最大値が13mm以下であることにより、下地形状が凹凸変化するような場合であっても、チョップドストランドは下地に沿って配置されやすく、所望の強度を確保することが容易となる。
また、チョップドストランドの平均繊維長さが5mm以上13mm以下であると共に、前記チョップドストランドの繊維長さの最小値が5mm以上であるのが好ましい。チョップドストランドの平均繊維長さが5mm以上13mm以下にあっても、繊維長さが短いもの(5mm未満のもの)が多く含まれていると、この組成物が硬化して得られる層において、強度が低下する可能性がある。しかし、チョップドストランドの繊維長さの最小値が5mm以上であることにより、この組成物が硬化して得られる層において、所望の強度を確保することが容易となる。
また、複数種類の長さの前記チョップドストランドが前記ラジカル硬化型樹脂に含まれていてもよい。例えば、広く平面的な下地以外に、凹凸等、表面形状が変化する下地が含まれる施工場所の場合には、短めのチョップドストランドが凹凸変化する下地に沿って配置されやすく、また、広く平面的な下地では長めのチョップドストランドが有効であり、全体として、施工性がよく、強度確保の面でも有利となる。
また、本発明は、下地表面に塗布して用いる繊維強化樹脂組成物用の材料であって、平均繊維長さが5mm以上13mm以下であるチョップドストランドと、前記チョップドストランドを拡散して含ませるための液状のラジカル硬化型樹脂を含み、前記ラジカル硬化型樹脂と前記チョップドストランドとの質量比は、当該ラジカル硬化型樹脂を100とすると当該チョップドストランドが20以上45以下である。
この材料によれば、施工場所において、チョップドストランドと液状であるラジカル硬化型樹脂とを混合させればよい。これにより得られる繊維強化樹脂組成物は、前記組成物と同様の作用及び効果を奏する。
本発明によれば、ラジカル硬化型樹脂に含まれるチョップドストランドによって強度品質を確保することができると同時に、例えば複雑な形状であったり小面積であったりする下地の場合でも、効率のよい施工が可能となり、かつ、繊維の飛散を可及的に低下させるとともに、樹脂の臭気拡散も低減することが可能となる。
本発明の繊維強化樹脂組成物による繊維強化層を備えている被覆層構造体の一例を示す説明図である。
<本発明の実施形態の概要>
本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
本実施形態の繊維強化樹脂組成物では、従来のFRP防水工法で用いられているガラスマットの代わりに、チョップドストランド(ガラスチョップドストランド、以下、「CS」とも言う。)が用いられている。CSを工場等で事前に液状のラジカル硬化型樹脂に混合攪拌(混練)することで、CSとラジカル硬化型樹脂とによる繊維強化樹脂組成物(以下、「組成物」とも言う。)とする。そして、この組成物に対して、施工場所で硬化剤を配合した後、この組成物を、コテやローラー等を用いて下地に塗布し、硬化させる。または、施工場所において施工直前に、CSとラジカル硬化型樹脂とを混合攪拌することで同様の組成物とし、硬化剤を配合した後、コテやローラーを用いて塗布し、硬化させてもよい。
この組成物によれば、従来のようにシート状のガラスマットを、施工箇所の形状に合わせ切断して割り付ける必要がないため、施工箇所が入り組む等して形状が複雑となる場所等であっても、容易に繊維強化層を施工することが可能となる。つまり、本実施形態によれば、塗料を塗布する感覚で作業できるので、繊維強化層の施工が容易となる。
また、従来のFRP防水施工において必要であったガラスマットの割付作業及び敷設作業が不要となるため、施工の際に発生していたガラス繊維の飛散を低減することができる。このため、周辺環境への負荷低減に大いに貢献することができる。
さらに、CSと液状のラジカル硬化型樹脂とを混合撹拌することでスラリー状となる。このため、発生する臭気を、従来の液状樹脂をガラスマットに塗布・含浸させて行なうFRP防水施工の場合と比較して、大幅に低減することが可能になる。
本実施形態の繊維強化樹脂組成物に用いられるラジカル硬化型樹脂については、主にハンドレイ成形に採用される樹脂とすることができる。このラジカル硬化型樹脂は、防水層施工及び防食層施工に使用されるものであり、従来使用される積層樹脂(積層用樹脂)を採用してもよい。また、繊維強化樹脂組成物に用いられるCSは、ロービングと呼ばれる長繊維を切断した繊維を、更に短く切断した短繊維である。本実施形態の繊維強化樹脂組成物のためには、既に知られている種類のガラスチョップドストランドを使用することができる。
本実施形態の繊維強化樹脂組成物に用いられるラジカル硬化型樹脂は、ハンドレイ成形、防水層施工及び防食層施工に使用される積層樹脂であればその種類を問わず、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルシラップ、エポキシ樹脂、フェノール樹脂を採用することができ、熱硬化性樹脂又は光重合開始剤を添加する光硬化性樹脂とすることができる。なかでも、重合性モノマー架橋型熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、およびビニルエステル樹脂が好適である。なお、採用するラジカル硬化型樹脂は、日本建築学会「FRP防水工事施工指針・同解説のJASS8M-101-2007 防水用ポリエステル」の品質基準を満たすのが好ましい。
本実施形態の繊維強化樹脂組成物に用いられるCSは、従来、用いられるFRP用及びFRTP用の繊維から選ぶことができる。使用されるCSでは、その繊維の長さが重要な要素となる。目標強度を得るために、平均繊維長さが5mm以上となるCSが用いられる。さらに、施工場所において良好な施工作業性を確保するためには、平均繊維長さが13mm以下となるCSが用いられる。すなわち、CSの繊維長さ(平均値)は、強度面の必要物性の観点から5mm以上とし、施工性の観点から13mm以下とする。なお、以下の説明において「繊維長さ」は、特に説明がない限り、平均値とする。
本実施形態の繊維強化樹脂組成物は、液状のラジカル硬化型樹脂とCSとによるコンパウンドであり、スラリー状となっている。CSの繊維長さは前記のとおり5mm~13mmである。ラジカル硬化型樹脂とCSとの配合比率は、目標強度を得るため、質量比でラジカル硬化型樹脂を100部とすると、CSを20部以上とする。CSがこの下限値未満であると、全体として繊維不足による強度低下のおそれがある。さらに、容易な作業を実現する適正粘度を得るために、CSを45部以下とする。CSの配合が前記上限を超える場合、繊維強化樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて(つまり、流動性が低下して)、塗布作業が困難となる。以上より、配合比(質量比)は、ラジカル硬化型樹脂を100部とするのに対して、CSを20部~45部とする。特に、ラジカル硬化型樹脂を100部とするのに対して、CSを25部~35部とするのが、より一層好ましい。
<本発明の実施形態の詳細>
以下、本発明の実施形態の一例を説明する。
〔繊維強化樹脂組成物30及び被覆層構造体1について〕
図1は、繊維強化樹脂組成物30による繊維強化層33を備えている被覆層構造体1の実施の一形態を示す説明図である。本実施形態の被覆層構造体1は、下地10、及び下地10の上に形成された複数(図例では4つ)の被覆層を含む。具体的には、被覆層として、下層側から順に、プライマー層20、繊維強化樹脂組成物30による繊維強化層33、中塗り層40、トップコート層(保護仕上げ層)50が含まれる。プライマー20は、FRP防水及びFRP防食に一般的に用いられるものが使用され、例えば、一液性湿気硬化型ウレタンプライマー又はビニルエステルプライマーが用いられる。
下地10は、一般的な土木構造体又は建築構造体の一部として用いられている下地であり、例えば、コンクリート、モルタル、不燃板、合板、珪酸カルシウム板、鉄、アルミ、その他の金属等である。また、コンクリート等の前記下地(第1の下地)10の上に、各種被覆層により施工された既設被覆層が存在していてもよく、(図1において破線で示すように)この既設被覆層を第2の下地11として、この第2の下地11の上に繊維強化樹脂組成物30による繊維強化層33等が設けられた複合工法による被覆層構造体であってもよい。前記既設被覆層としては、例えば、エポキシ樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗膜、FRP系塗膜、ポリマーセメント系樹脂塗膜、改質アスファルトシートなどがある。さらに、前記各層の施工が完了し、防水層又は防食層として用いられている後、改修工事において、施工が完了している前記防水層又は防食層の表面層(既設の被覆層)を第2の下地11として、その上に、繊維強化樹脂組成物30による繊維強化層33等を設けてもよい。
本実施形態の繊維強化樹脂組成物30(以下、「組成物30」とも言う。)は、液状であるラジカル硬化型樹脂31(以下、「樹脂31」とも言う。)と、チョップドストランド32(以下、「CS32」とも言う。)とを混合攪拌して得たコンパウンドであり、この組成物30を、下地10(又は第2の下地11)に塗布し、硬化させる。
本実施形態の組成物30では、CS32が使用されることから、従来工法で要するガラスマットの割付、敷設が不要であるため、施工箇所の形状が入り組み施工が難しい場所や、複雑な形状の下地においても、容易に繊維強化層33を施工することが可能となる。また、本実施形態の場合、従来工法で要するガラスマットの割付、敷設が不要であるため、その際に発生していたガラス繊維の飛散を殆ど無くすことができる。この結果、周辺環境への負荷低減が可能となる。さらに、CS32を事前に樹脂31に混合撹拌することでコンパウンドとしている。このため、前記コンパウンドから生じる臭気は、従来のようにラジカル硬化型樹脂を単体で塗布する場合よりも、大幅に低下する。この観点からも周辺環境への負荷低減が可能となる。
〔樹脂31について〕
樹脂31は、ハンドレイ成形、防水層施工、又は防食層施工に使用される積層樹脂であればその種類を問わず、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルシラップ、又はこれらによる光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、樹脂31は水溶性タイプであってもよい。特に、樹脂31を、重合性モノマー架橋型熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂とするのが好適である。さらには、樹脂31は、日本建築学会「FRP防水工事施工指針・同解説のJASS8M-101-2007防水用ポリエステル」の品質基準を満たすのが好ましい。
液状である樹脂31のための硬化剤としては、当該樹脂31に作用するものであればよく、例えばアゾイソブチロニトリルのようなアゾ化合物、t-ブチルパーベンゾエート、t-パーオクトエース、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等を採用することができる。また、硬化促進剤として、有機酸の金属塩類、特にコバルト塩、例えばナフテン酸コバルト、アセチル酸コバルト、アセチルアセトンコバルト等を用いるのが好ましい。また、硬化促進剤は、アミン類であってもよく、例えばジメチルアニリン、ジエチルアニリン等を採用することができる。
また、施工性を向上させることを目的として、樹脂31に、チキソ剤、増粘剤、顔料及び充填剤を添加してもよい。これらのうちの少なくとも一つを樹脂31に添加することによって、その樹脂の粘度と揺変度(チキソ・インデックス)とを高め、例えば、施工箇所のうちの立ち上がり部の施工性を向上させてもよい。このような添加剤は、樹脂31の製造時に予め配合するか、実際の施工場所で配合してもよい。なお、これらの添加剤類を、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記チキソ剤としては、微粒子のシリカ粉末(例えば、商品名:アエロジル)等が挙げられ、上記充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ、ガラスパウダー、ガラスビーズ、微小中空球体(シラス、フィライト等)等が挙げられる。充填剤は無機充填材であってもよく、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、石こう、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン、鉄粉、カーボンブラックなどが挙げられる。前記増粘剤としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂の官能基と化学的に結合して樹脂粘度を高めるものであればよく、例えば、ジイソシアネート類、金属アルコキシド類、二価金属の酸化物及び水酸化物等が挙げられる。前記顔料は、着色顔料とすることができ、例えば、有機系、無機系のもの、又は各種トナー類が挙げられる。
〔CS32について〕
本実施形態の組成物30に用いられるCS32は、ロービングが短く切断されて得た短繊維である。CS32に用いられるガラスの種類としては公知慣用のものとすることができ、例えば、Eガラス、Cガラス、Rガラス、ARガラス、又は、低ホウ素含有率ガラス等とすることができる。CS32の仕様として、繊維径が9マイクロメートル以上、25マイクロメートル以下であり、線密度が1000~5000g/km(TEX)で集束したものなどを用いることができる。集束剤(サイジング剤)としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂と、シランカップリング剤とを併用することが好ましい。
CS32の繊維長さについて説明する。一般的なチョップドストランドは、1.5mm、3mm、6mm、12mm、24mmの繊維長さであるが(製造誤差である±1mmを除く)、本実施形態では、作業性及び強度面の観点から、CS32の繊維長さを5mm以上、13mm以下としている。つまり、本実施形態の組成物30に用いられる多数のCS32は、その平均繊維長さが5mm以上、13mm以下である。なお、前記作業性については、後述の役物作業性の評価(作業性試験)に基づき、前記強度面については、後述の引張強度による評価(引張強度試験)に基づく。
また、本実施形態では、CS32の平均繊維長さが5mm以上、13mm以下であると共に、組成物30に含まれる多数のCS32の繊維長さの最大値は13mm以下となっている。つまり、本実施形態の組成物30には13mmを超えるCS32は含まれていない。更に、本実施形態では、CS32の平均繊維長さが5mm以上、13mm以下であると共に、組成物30に含まれる多数のCS32の繊維長さの最小値は5mm以上となっている。つまり、本実施形態の組成物30には、5mm未満のCS32は含まれていない。
CS32の平均繊維長さが、5mm以上、13mm以下となる条件で、単一の繊維長さのCS32が樹脂31に多数含まれていればよいが、変形例として、CS32の繊維長さについて前記の条件を満たせば、複数種類の長さのCS32が樹脂31に含まれていてもよい。例えば、液状である樹脂31に、繊維長さが6mmである多数のCS32と、繊維長さが12mmである多数のCS32との双方が混合されていてもよい。なお、以下において説明する組成物30(実施例、比較例)では、単一の繊維長さのCS32が用いられている。
〔組成物30及び被覆層構造体1について〕
本実施形態の組成物30は、液状である樹脂31と、CS32とを、混合攪拌することにより得られたコンパウンドである。このコンパウンドは、樹脂31とCS32とを、実際の施工場所において、へら、ハンドミキサー及び電動撹拌機等を用いて混合攪拌する方法と、事前に工場で混合撹拌する方法とがある。いずれの場合においても、組成物30は、液状のラジカル硬化型樹脂31にCS32が拡散して含まれてスラリー状となる。
樹脂31とCS32との配合比について説明する。樹脂31とCS32との質量比は、樹脂31を「100」とすると、CS32を「20以上、45以下」としている。
このようなスラリー状である組成物30を、刷毛塗り、ローラー塗り、コテ塗り等によって下地10に塗布する塗装工程と、FRPハンドレイアップ法で用いられるスチールローラーやスパイラルローラー等を用いて、下地10に塗布した組成物30に対して脱泡する工程とを行ない、組成物30を硬化させることで、防水層又は防食層(の一部)として機能する繊維強化層33が得られる。以上より、下地10の上に組成物30による防水層又は防食層が形成され、下地10と、この下地10の上に形成された組成物30による繊維強化層33と、を含む被覆層構造体1が得られる。
前記のようなコンパウンド(組成物30)は、非常に施工性の優れた混合物となる。施工性が優れる理由の一つとして、液状である樹脂31に混合させるCS32の製造方法に起因していることが挙げられる。すなわち、本実施形態のCS32は、ガラスフィラメント(繊維径が9~25マイクロメートル程度の所定長さの繊維)が数百本から数千本束ねられたガラスストランドを、更に数十本そろえてガラスロービングとし、このガラスロービングを切断してチョップ状にしたものである。そして、このようにガラスロービングを切断して得た繊維(CS31)は、集束剤(バインダー)により束ねられているが、この繊維(CS31)を、液状であるラジカル硬化型樹脂31と混合撹拌することで、この樹脂31中の溶剤(モノマー)に前記集束剤が溶解する。これにより、数百本から数千本の繊維は拡散し、均一に分散した混合物状態となって、組成物30は、流動性を有するスラリー状となる。これにより、組成物30は、刷毛塗り、ローラー塗り、コテ塗り等によって施工が可能となり、施工性の優れる性状を有すると推察される。
このようにして得られた組成物30が塗布される対象(下地10)としては、具体的に説明すると、壁、屋根、ベランダ、バルコニー、ひさし、屋上、床、浴室、厨房、建築物の屋上等の駐車場床、ピット、防液堤等の建築物構造体、又は、ピット、タンク、共同溝、マンホール等の土木構造体が挙げられる。
〔実施例による説明〕
次に実施例に基づき本発明を説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
3種類のラジカル硬化型樹脂(樹脂-A、樹脂-B、樹脂-C)を用いた。各樹脂の種類及び製品名は表1に示すとおりである。なお、硬化剤の成分はいずれもMEKPOであり、重量比で樹脂に対して1.5%添加している。各樹脂の製品は、いずれも双和化学産業株式会社製である。
Figure 0006999919000001
補強材として2種類のチョップドストランド(CS-a、CS-b)と、従来例のために1種類のガラスマット(ガラスマット-c)とを用いた。各補強材の種類及び製品名は表2に示すとおりである。
Figure 0006999919000002
前記ラジカル硬化型樹脂A,B,Cと、補強材としてのCS-a,CS-b及びガラスマット-cとを用いて、実施例1~6、比較例1,2(表7及び表8参照)、及び従来例1~3(表9)を得た。
(実施例1)
実施例1の組成物30は、ラジカル硬化型樹脂Aとして汎用の防水用不飽和ポリエステル樹脂に、6mmのCS-aを撹拌混合したスラリー状のものであり、樹脂AとCS-aとの配合比を、質量比で100:20としたものである。
(実施例2)
実施例2の組成物30は、ラジカル硬化型樹脂Aとして汎用の防水用不飽和ポリエステル樹脂に、6mmのCS-aを撹拌混合したスラリー状のものであり、樹脂AとCS-aとの配合比を、質量比で100:25としたものである。
(実施例3)
実施例3の組成物30は、ラジカル硬化型樹脂Bとして汎用の防水用メタクリル樹脂に、6mmのCS-aを撹拌混合したスラリー状のものであり、樹脂BとCS-aとの配合比を、質量比で100:25としたものである。
(実施例4)
実施例4の組成物30は、ラジカル硬化型樹脂Cとして汎用の防食用ビニルエステル樹脂に、6mmのCS-aを撹拌混合したスラリー状のものであり、樹脂CとCS-aとの配合比を、質量比で100:35としたものである。
(実施例5)
実施例5の組成物30は、ラジカル硬化型樹脂Cとして汎用の防食用ビニルエステル樹脂に、6mmのCS-aを撹拌混合したスラリー状のものであり、樹脂CとCS-aとの配合比を、質量比で100:40としたものである。
(実施例6)
実施例6の組成物30は、ラジカル硬化型樹脂Aとして汎用の防水用不飽和ポリエステル樹脂に、13mmのCS-bを撹拌混合したスラリー状のものであり、樹脂AとCS-bとの配合比を、質量比で100:45としたものである。
(比較例1)
比較例1の組成物は、ラジカル硬化型樹脂Aとして汎用の防水用不飽和ポリエステル樹脂に、6mmのCS-aを撹拌混合したスラリー状のものであり、樹脂AとCS-aとの配合比を、質量比で100:19としたものである。
(比較例2)
比較例2の組成物は、ラジカル硬化型樹脂Aとして汎用の防水用不飽和ポリエステル樹脂に、13mmのCS-bを撹拌混合したスラリー状のものであり、樹脂AとCS-bとの配合比を、質量比で100:46としたものである。
(従来例1)
従来例1は、ラジカル硬化型樹脂Aとして汎用の防水用不飽和ポリエステル樹脂を、ガラスマット-cに含浸させたものである。
(従来例2)
従来例2は、ラジカル硬化型樹脂Bとして汎用の防水用メタクリル樹脂を、ガラスマット-cに含浸させたものである。
(従来例3)
従来例3は、ラジカル硬化型樹脂Cとして汎用の防食用ビニルエステル樹脂を、ガラスマット-cに含浸させたものである。
実施例1~6、比較例1,2、及び従来例1~3それぞれについて、役物作業性、臭気拡散性、及び繊維飛散性の評価を行った。ケイカル板(900■1800mm)を下地とし、この下地の上に木製の箱(450■300■300)を等間隔に3個固定し、模擬的に、実際の塗装現場のような複雑な下地形状とした。これを作業性試験の下地とし、実施例1~6、比較例1,2、及び従来例1~3それぞれを用いて、ラジカル硬化型樹脂の使用量を1.6kg/mに固定し、室内23°Cの条件下において、1名の技能員がコテ、ローラー、及びスパイラルローラーにより、それぞれ繊維強化層を成形するための施工を行った。また、前記ケイカル板の一方側の端の外側に扇風機を設置して、このケイカル板の一方側からその反対側となる他方側に向けて風を流して、模擬的に、実際の現場で想定しうる風の流れを発生させた。前記ケイカル板の他方側には作業性状況等をチェックする判定員(技能員判定員)を配置した。
(役物作業性の評価)
役物作業性評価の判定に関して、判定員が施工時間を測定した。判定は作業時間60分を目安とし、次の表3に示す判定基準を用いて評価を行った。なお、役物とは凹凸等形状変化のある下地基盤をいう。
Figure 0006999919000003
(臭気拡散性の評価)
臭気拡散性評価の判定は、判定員の感覚に基づいて、次の表4に示す判定基準を用いて評価を行った。
Figure 0006999919000004
(繊維飛散性の評価)
繊維飛散性評価の判定は、判定員の目視確認において、次の表5に示す判定基準を用いて評価を行った。
Figure 0006999919000005
(引張強度による評価)
実施例1~6、比較例1,2、及び従来例1~3それぞれを硬化させて板状とし、その引張強度に関する評価を行った。実施例1~6、比較例1,2、及び従来例1~3それぞれを用いて、23°Cの雰囲気下で試験片(300mm■300mm■3mm)を作成し、2週間養生を行った。これらに対してJISK7113に準拠する引張試験を実施した。その評価を、次の表6に示す判定基準を用いて行った。
なお、判定基準として、引張強度40MPa以上を「合格(○又は◎)」としているが、この引張強度の合格基準値(40MPa)は、次のようにして設定したものである。すなわち、日本建築学会の「FRP防水工事施工指針・同解説のJASS8 M-101-2007 防水用ポリエステル」によれば、引張強度の品質基準の範囲が10~50MPaと規定されているが、これは樹脂板の値であり、繊維強化樹脂板による値ではない。そこで、一般的に、繊維強化樹脂は、樹脂のみの場合の4倍~5倍の引張強度を有することから、前記指針・解説に準拠する樹脂のみの場合の品質基準最低値「10MPa」の4倍である「40MPa」を、今回、繊維強化樹脂の合格基準値として設定した。
Figure 0006999919000006
(各種性能の総合評価:まとめ)
各種性能の試験結果をまとめたものを、表7、表8及び表9に示す。なお、CSの欄における配合率は、樹脂を100とした場合におけるCSの部数(質量比)である。
Figure 0006999919000007

Figure 0006999919000008

Figure 0006999919000009
役物作業性の評価の結果によれば、CSの配合率が小さく、繊維長さが短いほど作業性が良い。これは、比較例2に示すように、CSの配合率が高くなりすぎると(樹脂が100に対してCSが46以上となる場合)、その繊維強化樹脂組成物の流動性が低くなることから、刷毛塗り、ローラー塗り、コテ塗りのいずれの手法によっても、施工が困難となる。実施例1~6のように、樹脂とCSとの配合(質量比)について樹脂を100とするとCSが20以上45以下であるという条件において、繊維長さが13mm以下である場合、問題なく作業が可能である。
なお、樹脂とCSとの配合(質量比)について樹脂を100とするとCSが20以上45以下であるという条件であっても、(比較例としては挙げていないが)繊維長さが14mm以上のCSを含む組成物の場合、流動性が低くなることから、やはり、刷毛塗り、ローラー塗り、コテ塗りのいずれの手法によっても、全く施工ができなかった。すなわち、作業性の観点から、CSの繊維強化は13mm以下とする必要がある。
また、引張強度試験の結果によれば、CSの配合率が小さく、繊維長さが短いほど強度が低くなる。引張強度試験で40MPa以上を得るためには、樹脂とCSとの配合(質量比)について樹脂を100とするとCSが20以上であり、繊維長さが5mm以上である必要がある。
以上のように、作業性及び引張強度試験の結果から、CSの繊維長さを5~13mmの範囲とし、樹脂とCSとの配合については、質量比で樹脂:CSを、100:20~100:45の範囲とする。なお、樹脂とCSとの配合(質量比)については、樹脂を100とすると、CSを25以上35以下とするのがより一層好ましい。
〔本実施形態の繊維強化樹脂組成物について〕
以上のように、本実施形態の組成物30は、下地10の表面に塗布して用いられる。この組成物30は、液状であるのラジカル硬化型樹脂31(樹脂31)にチョップドストランド32(CS32)が拡散して含まれてスラリー状である。このため、組成物30は、高粘度化していて、チョップドストランド32の飛散、及び臭気の拡散が少なくて済む。
そして、この組成物30では、樹脂31とCS32との質量比が、樹脂31を「100」とすると、CS32が「20以上、45以下」であり、CS32の平均繊維長さが「5mm以上、13mm以下」である。この組成物30によれば、硬化して得られる層(繊維強化層33)は、所望の強度品質を確保することができると共に、施工性が向上する。すなわち、質量比において樹脂31を「100」とするとCS32が「20」以上であり、そのCS32の平均繊維長さが「5mm」以上であることから、この組成物30が硬化した繊維強化層33において、CS32は補強材として十分機能することができ、所望の強度を有することができる。そして、質量比において樹脂31を「100」とするとCS32が「45」以下であり、そのCS32の平均繊維長さが「13mm以下」であるため、この組成物30は、適度な流動性を有することから、施工場所において、例えばコテ及びローラー等を用いた手作業により、この組成物30を下地10の表面に対して塗布が容易となり、効率よく施工することが可能である。また、本実施形態の組成物30は、チキソ性を有することから、下地10の表面が例えば垂直な面であっても施工が可能となる。
CS32の平均繊維長さが5mm以上、13mm以下にあっても、繊維長さが長いもの(13mmを超えるもの)が多く含まれていると、施工性が低下する。特に、下地10の表面形状が凹凸変化するような場合に、長いCS32は下地10に沿って配置されにくく、施工性が低下する。また、CS32が下地10に沿って配置されないと、その部分ではCS32が不足して強度不足となる可能性がある。そこで、CS32の平均繊維長さを5mm以上、13mm以下とすると共に、CS32の繊維長さの最大値を13mm以下とするのが好ましい。このように、CS32の繊維長さの最大値を13mm以下とすることにより、下地10の表面形状が凹凸変化するような場合であっても、CS32は、下地10に沿って配置されやすく、所望の強度を確保することが容易となる。
また、CS32の平均繊維長さが5mm以上、13mm以下にあっても、繊維長さが短いもの(5mm未満のもの)が多く含まれていると、この組成物30が硬化して得られる繊維強化層33において、強度が低下する可能性がある。そこで、CS32の平均繊維長さを5mm以上、13mm以下とすると共に、CS32の繊維長さの最小値を5mm以上とするのが好ましい。このように、CS32の繊維長さの最小値を5mm以上とすることにより、この組成物30が硬化して得られる繊維強化層33は、十分な強度を有することができる。
また、複数種類の長さのCS32が樹脂31に含まれていてもよい。例えば、広く平面的な下地10以外に、凹凸等、表面形状が変化する下地10が含まれる施工場所の場合、短めのCS32が凹凸変化する下地に沿って配置されやすく、また、広く平面的な下地では長めのCS32が有効であり、全体として、施工性がよく、強度確保の面でも有利となる。
前記実施形態では、主に、工場において、液状である樹脂31とCS32とを混合攪拌して組成物30とする場合を説明しているが、この混合攪拌は、施工場所において行われてもよい。この場合、工場から施工場所に出荷される商品は、繊維強化樹脂組成物30用の材料であって、この材料は、平均繊維長さが5mm以上、13mm以下である多数のチョップドストランド32(前記CS32と同じ)と、このチョップドストランド32を拡散して含ませるための液状のラジカル硬化型樹脂31(前記樹脂31と同じ)とを、別梱包として、含むセット品となる。そして、これらラジカル硬化型樹脂31とチョップドストランド32との質量比は、ラジカル硬化型樹脂31を100とすると、チョップドストランド32が20以上、45以下となる。このような繊維強化樹脂組成物30用の材料によれば、施工場所においてチョップドストランド32と、液状であるラジカル硬化型樹脂31とを混合させればよい。これにより得られる繊維強化樹脂組成物30は、工場において混合撹拌して得た前記組成物30と同様の作用及び効果を奏する。
以上のように、本実施形態の組成物30によれば、実用的なFRP被覆防水層及びFRP被覆防食層として十分な強度を得ることが可能となる。そして、この組成物30を塗布する施工箇所が、複雑な形状であって施工の難しい場所や、複雑な形状の下地においても、容易に施工することが可能となる。また、本実施形態では、従来工法において必要であるガラスマットの割付、敷設の必要がないため、繊維の飛散を低減することができるため、周辺環境への負荷低減が可能となる。さらに、CS32を事前に樹脂31に混合攪拌することでコンパウンドとしている。このため、発生する臭気は、ガラスマット上に液状の樹脂を塗布する従来技術の場合よりも、大幅に低下するため、この観点からも周辺環境への負荷低減が可能となる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、被覆層構造体1の積層構成は本実施形態の例に限定されるものではなく、プライマー層20、中塗り層40、トップコート層50の有無、及び各層の層数等は、用途や要求性能、更には下地10の状態等により適宜変更可能である。また、各層の具体的な材質(樹脂の種類)は、FRP防水やFRP防食の分野で使用されている他のものを使用してもよい。
1:被覆層構造体
10:下地
11:第2の下地
20:プライマー層
30:繊維強化樹脂組成物(組成物)
31:ラジカル硬化型樹脂(樹脂)
32:チョップドストランド(CS)
33:繊維強化層
40:中塗り層
50:トップコート層(保護仕上げ層)

Claims (4)

  1. 下地表面に塗布して用いる防水又は防食用の繊維強化樹脂組成物であって、
    液状のラジカル硬化型樹脂にチョップドストランドが拡散して含まれてスラリー状であり、
    前記ラジカル硬化型樹脂と前記チョップドストランドとの質量比は、当該ラジカル硬化型樹脂を100とすると当該チョップドストランドが20以上45以下であり、
    前記チョップドストランドの平均繊維長さが5mm以上13mm以下であると共に、前記チョップドストランドの繊維長さの最大値が13mm以下である、繊維強化樹脂組成物。
  2. 前記チョップドストランドの繊維長さの最小値が5mm以上である、請求項1に記載の繊維強化樹脂組成物。
  3. 複数種類の長さの前記チョップドストランドが前記ラジカル硬化型樹脂に含まれている、請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂組成物。
  4. スラリー状であり下地表面に塗布して用いる防水又は防食用の繊維強化樹脂組成物用の材料であって、
    平均繊維長さが5mm以上13mm以下であって、繊維長さの最大値が13mm以下であるチョップドストランドと、
    前記チョップドストランドを拡散して含ませるための液状のラジカル硬化型樹脂と、を含み、
    前記ラジカル硬化型樹脂と前記チョップドストランドとの質量比は、当該ラジカル硬化型樹脂を100とすると当該チョップドストランドが20以上45以下である、繊維強化樹脂組成物用の材料。
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