JP2019005693A - 建造物屋根の塗装方法及びこれに使用するための上塗り塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜の耐久性を改善し、長期間メンテナンスが不要で、長い耐用年数の防水屋根が可能な建造物屋根の塗装方法及びこれに使用するための上塗り塗料を提供する。【解決手段】下塗り材として、2液混合ポリウレタン系発泡塗装材を塗装して常温硬化させ、下記の塗料を上塗り塗料とし、少なくとも2回塗装した後、常温硬化させる。(1)アクリル系合成樹脂エマルジョン。(2)着色顔料。(3)白色体質顔料。(4)真空バルーン。(5)シラスバルーン。(6)塗膜添加剤。(7)水。上塗り塗料には真空バルーンが配合され、塗膜表面に真空バルーンが浮き上がり、上塗り第1層8a、及び上塗り第2層8bそれぞれには、真空バルーン9a,9bが浮き上がって配列する。このため、塗膜表面は親水化されるとともに、それぞれの層間接着性が高くなるうえ、真空バルーンが配列した層が補強層となるため、全体として塗膜強度及び耐久性が高くなる。【選択図】図3

Description

本発明は、断熱防水性が良好であり、長期間メンテナンスが不要で耐久性の高い建造物屋根の塗装方法及びこれに使用するための上塗り塗料に関する。
住宅、ビル、マンション等の建造物の屋根は、従来から断熱材としてポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム等の樹脂系断熱ボードが使用され、防水材として塩化ビニル系樹脂防水シート、ゴム系防水シート、アスファルト系防水工法、塗膜防水工法等が採用されてきた(特許文献1)。特許文献2〜3には塩化ビニル系樹脂防水シートが提案され、特許文献4〜5にはポリウレタン系樹脂防水シートが提案されている。
特開2016−000928号公報 特開2012−132264号公報 特開2009−144391号公報 特開2001−115609号公報 特開2011−156516号公報
しかし、従来の技術は、塗膜の防水性の耐久性に問題があり、長い耐用年数の防水屋根とすることは困難であった。例えば塩化ビニル系樹脂防水シートは、数年で収縮し亀裂が入ってしまい、雨漏れしてしまう問題がある。ほかの断熱材や防水工法も、トップコートに問題があり、長い耐用年数の防水屋根は実現していないのが実情である。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、塗膜の耐久性を改善し、長期間メンテナンスが不要で、長い耐用年数の防水屋根が可能な建造物屋根の塗装方法及びこれに使用するための上塗り塗料を提供する。
本発明の建造物屋根の塗装方法は、下塗り材として、2液混合ポリウレタン系発泡塗装材を塗装して常温硬化させ、下記の塗料を上塗り塗料とし、少なくとも2回塗装した後、常温硬化させることを特徴とする。
(1)アクリル系合成樹脂エマルジョン
(2)着色顔料
(3)白色体質顔料
(4)真空バルーン
(5)シラスバルーン
(6)塗膜添加剤
(7)水
本発明の上塗り塗料は、前記の建造物屋根の塗装方法に使用するための上塗り塗料であって、下記成分を含むことを特徴とする。
(1)アクリル系合成樹脂エマルジョン
(2)着色顔料
(3)白色体質顔料
(4)真空バルーン
(5)シラスバルーン
(6)塗膜添加剤
(7)水
本発明は、下塗り材として2液混合ポリウレタン系発泡塗装材を塗装して常温硬化させた下塗り層と、前記の上塗り塗料を2回以上塗装したトップコート層を組み合わせたことにより、塗膜の耐久性を改善し、長期間メンテナンスが不要で、長い耐用年数の防水屋根を提供できる。すなわち、本発明の上塗り塗料は白色の体質顔料により太陽光線を反射して劣化を防止し、真空バルーンにより断熱・遮熱性を向上し、さらに真空バルーンは塗膜表面に配列するため、雨水により塗膜表面を洗い流されて低汚染性にしたことにより、塗膜の耐久性を改善し、長期間メンテナンスが不要で長い耐用年数の防水屋根を提供できる。加えて、本発明の上塗り塗料は少なくとも2回以上塗装するため、真空バルーンは1層目の塗膜表面に浮き上がり、塗膜表面を親水化させるため、2層目以降の塗膜との接着性が高くなるうえ、真空バルーンが配列した層が補強層となるため、全体として塗膜強度及び耐久性が高くなる。
図1は、本発明の一実施形態における新築仕様の上塗り塗装した建造物屋根の模式的断面図である。 図2は同、塩ビシート防水の改修仕様の模式的断面図である。 図3は同、トップコート層の模式的拡大断面図である。
本発明は、建造物屋根の塗装方法であって、まず下塗り材として、2液混合ポリウレタン系発泡塗装材を塗装して常温硬化させる。下塗り材は、ウレタン原料2液を混合し、エアーで吹き付けることにより、一例として発泡倍率2倍の断熱ウレタン防水ゴム層が形成される。断熱ウレタン防水ゴム層の厚さは1〜5mmが好ましく、さらに好ましくは2〜4mmである。このような下塗り材としては、例えば(株)ダイフレックス社製、商品名"GET−1000"がある。
次に、下記の塗料を上塗り塗料とし、少なくとも2回塗装した後、常温硬化させる。硬化後のトップコート層の厚さは0.5〜1.5mmが好ましい。
(1)アクリル系合成樹脂エマルジョン
(2)着色顔料
(3)白色体質顔料
(4)真空バルーン
(5)シラスバルーン
(6)塗膜添加剤
(7)水
アクリル系合成樹脂エマルジョンは、塗料成分のマトリックスバインダー成分となるものであり、水系塗料には有用で耐久性も良い。アクリル系合成樹脂エマルジョンは上塗り塗料中15〜30重量%(固形分で10〜20重量%)添加するのが好ましい。
着色顔料は酸化チタン、酸化鉄(III)等が好ましい。着色顔料は目的とする塗膜の色調によって適宜選択できる。着色顔料は上塗り塗料中5〜15重量%添加するのが好ましい。
白色体質顔料は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム及びクレーから選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。ここで体質顔料とは、それ自体の屈折率は低く隠ぺい性に大きな影響はないが、増量剤として加えられ、流動性、強度、光学的性質の改善に用いられる白色顔料であてる。白色体質顔料は上塗り塗料中15〜25重量%添加するのが好ましい。
真空バルーンは、セラミック真空バルーンであるのが好ましい。真空バルーンは、上塗り塗料中5〜25重量%添加するのが好ましい。さらに好ましくは10〜20重量%である。真空バルーンの一例としては、大倉ケミテック(株)社製、商品名“UTP−101"(平均粒子径10〜100μm)がある。
シラスバルーンは、トップコート層の表面を親水性にし、防汚性を向上するために使用する。シラスバルーンは、上塗り塗料中5〜15重量%添加するのが好ましい。シラスバルーンの一例としては、株式会社アクシーズ社製、商品名"ウィンライトMSB−3011S"(平均粒子径10〜100μm)、豊和直株式会社社製、商品名"トワナライトSYB−5000”(平均粒子径10〜100μm)がある。
塗膜添加剤は、塗膜形成助剤、分散剤、凍結防止剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤及び防藻剤から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。塗膜添加剤は、上塗り塗料中5〜15重量%添加するのが好ましい。さらに詳しくは、上塗り塗料中、塗膜形成助剤は上塗り塗料中0.5〜1重量%、分散剤は0.4〜0.8重量%、凍結防止剤は0.4〜0.8重量%、消泡剤は0.2〜0.6重量%、防腐・防黴・防藻剤は0.1〜0.5重量%それぞれ添加するのが好ましい。
水は5〜25重量%添加するのが好ましく、さらに好ましくは10〜20重量%である。水を加えて、粘度8000〜14000センチポイズ(B型粘度計、10rpm,温度25℃)とするのが好ましい。固形分の好ましい割合は55〜65重量%である。以上の塗料成分とその配合割合をまとめると次の表1のようになる。
Figure 2019005693
前記下塗り材を塗装する前には、下地表面にプライマー塗料を塗装しておくのが好ましい。下地が金属の場合は2液エポキシ系プライマー(溶剤系)、砂付きアスファルト・シングル屋根の場合は2液エポキシ系プライマー(水系)、塩化ビニル樹脂シートの場合は1液エポキシ系プライマーの場合は2液エポキシ系プライマー(弱溶剤系)、繊維強化樹脂(FRP)の場合は2液ポリエステル複合系プライマーの場合は2液エポキシ系プライマー(溶剤系)がそれぞれ好ましい。
以下図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。図1は、本発明の一実施形態における新築仕様の上塗り塗装した建造物屋根の模式的断面図である。ALC(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート,Autoclaved Lightweight aerated Concreteの略)、鉄筋PC(プレキャスト コンクリート)等の屋根躯体1の上にポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム等の樹脂系断熱ボード等の樹脂発泡断熱材3を接着剤により固定する。その表面に厚さ1〜5mmのゴム化改質アスファルトシート防水層4を形成する。これは自着シートである。立ち上がり部2には補強材7を入れる。その後、ゴム化改質アスファルトシート防水層4の表面に厚さ1〜5mmの断熱ウレタン防水ゴム層5を形成し、その表面に本発明のトップコート層6を形成する。
図2は同、塩ビシート防水の改修仕様の模式的断面図である。躯体1の上にポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム等の樹脂系断熱ボード等の断熱材10と、その上の不織布層11と、その表面の塩化ビニルシート12が積層されている。固定ピン13aは断熱材10を固定しており、固定ピン13bは塩化ビニルシート12を固定し、塩化ビニルシート12は固定ピン13bの座金に熱融着されている。
ここまでは既設である。塩化ビニルシート12の表面に厚さ1〜5mmのゴム化改質アスファルトシート防水層14を形成する。これは自着シートである。立ち上がり部2には補強材7を入れる。その後、ゴム化改質アスファルトシート防水層14の表面に厚さ1〜5mmの断熱ウレタン防水ゴム層5を形成し、その表面に本発明のトップコート層6を形成する。
図3は同、トップコート層6の模式的拡大断面図である。上塗り塗料には真空バルーンが配合され、塗膜表面に真空バルーンが浮き上がり、上塗り第1層8a、及び上塗り第2層8bそれぞれには、真空バルーン9a,9bが浮き上がって配列した層である。このため、塗膜表面は親水化されるとともに、それぞれの層間接着性が高くなるうえ、真空バルーンが配列した層が補強層となるため、全体として塗膜強度及び耐久性が高くなる。
以下実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(各特性の測定試験方法)
(1)メタルハライド式ウェザーメーターによる促進耐候性試験
(a)試験機:岩崎電気株式会社製、型番“SUV−W161”
(b)光源:メタルハライドランプ
(c)光線波長:295〜450nm
(d)放射照度:150±8W/cm2
(e)温度:63±3℃
(f)シャワー:60分中10秒間降雨先降り運転
(g)有効照射面積:190mm×422mm
(h)運転サイクル:250Hr
(2)ひび割れ有無
メタルハライド式ウェザーメーターによる促進試験後の試料表面を目視により観察し、次のように評価した。
A:ひび割れなし
B:僅かにひび割れあり、補修必要
C:大きなひび割れあり、補修必要
(4)変色
メタルハライド式ウェザーメーターによる促進試験後の試料表面を目視により観察し、次のように評価した。
A:変色なし
B:変色あるが実用的に問題ない程度で目立たない、補修不要
C:やや目立つ変色、補修必要
D:明らかに変色しており、補修必要
(実施例1〜4)
本実施例は新築の建築物屋根の例である。図1に示すように、屋根材パネル1の上に樹脂発泡断熱材3を接着剤により固定し、その表面に厚さ1.9mmのゴム化改質アスファルトシート防水層4を形成し、立ち上がり部2には補強材7を入れた。その後、ゴム化改質アスファルトシート防水層4の表面に厚さ3mmの断熱ウレタン防水ゴム層5を形成し、その表面にトップコート層6(2層で厚さ計1mm)を形成した。トップコート層6の塗料は次の表2のとおりであった。
Figure 2019005693
得られた塗装物のメタルハライド式ウェザーメーターによる促進試験の結果はまとめて表3に示す。また紫外線透過試験は、320〜380nmの紫外線を99%カットし、透過部分は1%であった。
(比較例1)
真空バルーンの代わりに石英等の骨材を配合した以外は実施例1と同様に実験した。得られた塗装物のメタルハライド式ウェザーメーターによる促進試験の結果はまとめて表3に示す。
(実施例5)
新築の建築物屋根に代えて、既存のプレハブ住宅の屋根に塩化ビニル樹脂シートを施行して7年間使用した補修用屋根とした以外は実施例1と同様に実験した。得られた塗装物のメタルハライド式ウェザーメーターによる促進試験の結果はまとめて表3に示す。
Figure 2019005693
表3から明らかなとおり、本発明の実施例1〜5の屋根は、耐久性が高く、光沢がよく、ひび割れはなく、変色もないことが確認できた。これに対し、比較例1の耐久性は低かった。
本発明は一般の建造物、ビル、マンション、工場、事務所などの屋根に好適である。とくに集合住宅(マンション)などで通常行われている10〜15年ごとの大規模修繕工事を大幅に延長することができ、修繕管理コストを大幅に低下することができる。
1 屋根躯体
2 立ち上がり部
3 樹脂発泡断熱材
4,14 ゴム化改質アスファルトシート防水層
5 断熱ウレタン防水ゴム層
6 トップコート層
7 補強材
8a 上塗り第1層
8b 上塗り第2層
9a,9b 真空バルーン
10 断熱材
11 不織布層
12 塩化ビニルシート
13a,13b 固定ピン

Claims (7)

  1. 建造物屋根の塗装方法であって、
    下塗り材として、2液混合ポリウレタン系発泡塗装材を塗装して常温硬化させ、
    下記の塗料を上塗り塗料とし、少なくとも2回塗装した後、常温硬化させることを特徴とする建造物屋根の塗装方法。
    (1)アクリル系合成樹脂エマルジョン
    (2)着色顔料
    (3)白色体質顔料
    (4)真空バルーン
    (5)シラスバルーン
    (6)塗膜添加剤
    (7)水
  2. 前記着色顔料は、酸化チタン及び/又は酸化鉄(III)である請求項1に記載の建造物屋根の塗装方法。
  3. 前記白色体質顔料は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム及びクレーから選ばれる少なくとも一つである請求項1又は2に記載の建造物屋根の塗装方法。
  4. 前記塗膜添加剤は、塗膜形成助剤、分散剤、凍結防止剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤及び防藻剤から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜3のいずれかに記載の建造物屋根の塗装方法。
  5. 前記真空バルーンは、セラミック真空バルーンである請求項1〜4のいずれかに記載の建造物屋根の塗装方法。
  6. 前記下塗り材を塗装する前に、下地表面にプライマー塗料を塗装しておく請求項1〜5のいずれかに記載の建造物屋根の塗装方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の建造物屋根の塗装方法に使用するための上塗り塗料であって、下記成分を含むことを特徴とする上塗り塗料。
    (1)アクリル系合成樹脂エマルジョン
    (2)着色顔料
    (3)白色体質顔料
    (4)真空バルーン
    (5)シラスバルーン
    (6)塗膜添加剤
    (7)水
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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