JP3226965B2 - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

樹脂組成物及びその製造方法

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JP3226965B2
JP3226965B2 JP16673792A JP16673792A JP3226965B2 JP 3226965 B2 JP3226965 B2 JP 3226965B2 JP 16673792 A JP16673792 A JP 16673792A JP 16673792 A JP16673792 A JP 16673792A JP 3226965 B2 JP3226965 B2 JP 3226965B2
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哲也 古閑
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、作業性に優れ、しかも
軽量で、物性的に優れた成形品を与え得る樹脂組成物
と、その製造方法に関するものである。本発明の樹脂組
成物は、このような特性を有しているため、自動車用部
材,船舶用部材,SMC(シート状成形材料),BMC
(塊状の成形材料),接着剤,建材などとして有効に利
用することができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
樹脂の軽量化においては、樹脂に中空フィラー及びカッ
プリング剤を添加する方法が一般的に実施されていた。
しかしながら、この方法では中空フィラーを予めカップ
リング剤で処理する必要が生じ、工程が複雑となってい
た。さらに、カップリング処理した中空フィラーを樹脂
原料と混練する際、中空フィラーの嵩密度が極端に小さ
いために、中空フィラーと樹脂原料との混練作業は非常
に困難を極め、中空フィラーが飛散したり、或いは混練
不良を引き起こし、物性へ悪影響を与えていた。また、
混練条件を厳しくすれば混練不良は解消されるものの、
この場合には混練時に中空フィラーの破壊が生じ、その
ため安定した性能を有する樹脂組成物を得ることが難し
く、その改善が求められていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、この
ような従来の問題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、
中空フィラー及びカップリング剤に対し、水酸基含有液
状ジエン系重合体或いはその水素化物を添加することに
より、これらの問題が解決できることを見出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0004】すなわち本発明は、水酸基含有液状ジエン
系重合体或いはその水素化物、中空フィラー、カップリ
ング剤、及び、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる
樹脂組成物を提供するものである。
【0005】本発明においては、配合成分として水酸基
含有液状ジエン系重合体或いはその水素化物を用いる。
後者の水酸基含有液状ジエン系重合体の水素化物は、前
者の水酸基含有液状ジエン系重合体を、公知の方法を用
いて水素化することにより得ることができる。
【0006】本発明において用いる水酸基含有液状ジエ
ン系重合体としては、数平均分子量が、通常、300〜
25000、好ましくは500〜10000のものであ
り、水酸基含有量が0.1〜10meq/g、好ましくは0.4
〜7meq/gのものである。また、構造的にはシス−1,
4構造及びトランス−1,4構造の合計が70%以上を
占めることが好ましい。なお、水酸基は、分子鎖末端、
分子鎖内部のいずれにあっても良いが、特に分子鎖末端
にあるものが望ましい。また、本発明では2種以上の水
酸基含有液状ジエン系重合体を使用してもよい。
【0007】このような水酸基含有液状ジエン系重合体
は公知のものをそのまま用いてもよいが、公知の手法に
より容易に製造することができる。具体的には例えば、
炭素数4〜22のジエンモノマー(より具体的には、ブ
タジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタ
ジエン、シクロペンタジエンなど)の1種或いは2種以
上を、過酸化水素、水酸基を有するアゾ化合物(例え
ば、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒド
ロキシエチル)プロピオンアミド〕等)又は水酸基を有
するパーオキサイド(例えば、シクロヘキサノンパーオ
キサイド等)を重合開始剤として、ラジカル重合するこ
とにより、水酸基含有液状ジエン系重合体が得られる。
【0008】この際の重合開始剤の使用量は、ジエンモ
ノマー100gに対して、例えば、過酸化水素は1.0
〜50gが適当であり、2,2’−アゾビス〔2−メチ
ル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕
又はシクロヘキサノンパーオキサイドは5.0〜100
gが適当である。重合開始剤としては、このうち過酸化
水素を用いるのが好ましい。なお、重合は無溶媒で行な
うことも可能であるが、反応の制御の容易さ等のため、
溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール等が通常用いら
れる。反応温度は80〜150℃、反応時間は0.5〜
15時間が適当である。
【0009】また、ナフタレンジリチウム等の触媒を用
いて、炭素数4〜22のジエンモノマーの1種或いは2
種以上をアニオン重合させて、リビングポリマーを製造
し、さらにモノエポキシ化合物等を反応させることによ
っても、水酸基含有液状ジエン系重合体を得ることがで
きる。この際の重合は無溶媒で行なうことも可能である
が、ラジカル重合の場合と同様の観点から、すなわち反
応の制御の容易さ等のため、溶媒を用いることが好まし
い。その際の溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン
等の飽和炭化水素が好適に用いられる。反応温度は50
〜100℃、反応時間は1〜10時間が適当である。
【0010】なお、重合時には2種以上のジエンモノマ
ーを混合して用いることもできる。また、ジエンモノマ
ーに対し、50mol %以下の割合で、炭素数2〜22の
付加重合性モノマー(例えば、ブテン、ペンテン、スチ
レン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリ
ル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステ
ル、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド等)を添
加することもできる。反応終了後に、溶液を減圧下で蒸
留すれば、溶剤,未反応モノマー等が除去され、水酸基
含有液状ジエン系重合体が得られる。なお、このように
して得られた水酸基含有液状ジエン系重合体に、エポキ
シ基やマレイン酸基を付加させたりすることができる。
【0011】本発明においては、このようにして得られ
る水酸基含有液状ジエン系重合体をそのまま用いてもよ
いし、或いは、これを更に水素化することにより得られ
る、水酸基含有液状ジエン系重合体の水素化物を用いて
もよい。
【0012】このような水酸基含有液状ジエン系重合体
の水素化物は、均一系触媒、不均一系触媒等を用いる公
知の手法により、上記の如く製造した水酸基含有液状ジ
エン系重合体を、水素化することにより得ることができ
る。
【0013】まず均一系触媒を用いる場合には、ヘキサ
ン,シクロヘキサン等の飽和炭化水素やベンゼン,トル
エン,キシレン等の芳香族炭化水素を溶媒とし、常温〜
150℃の反応温度において、常圧〜50kg/cm2 Gの
水素圧下で水素添加反応が行なわれる。均一系触媒とし
ては、還移金属ハライドと、アルミニウム,アルカリ土
類金属若しくはアルカリ金属などのアルキル化物との組
合せによるチーグラー触媒等を、ポリマーの2重結合あ
たり、0.01〜0.1mol %程度使用すればよい。反
応は通常、1〜24時間で終了する。
【0014】一方、不均一系触媒等を用いる場合には、
ヘキサン,シクロヘキサン等の飽和炭化水素、ベンゼ
ン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチル
エーテル,テトラヒドロフラン(THF),ジオキサン
等のエーテル類、エタノール,イソプロパノール,1−
ブタノール等のアルコール類等、或いはこれらの混合系
を溶媒として用い、常温〜200℃の反応温度におい
て、常圧〜100kg/cm2Gの水素圧下で水素添加反応
が行なわれる。不均一系触媒としてはニッケル,コバル
ト,パラジウム,白金,ロジウム,ルテニウム等の触媒
を単独で、或いはシリカ,ケイソウ土,アルミナ,活性
炭等の担体に担持して用いればよい。触媒の使用量はポ
リマー重量に対し、0.05〜10重量%が適当であ
る。これらの触媒は2種以上を混合して用いても良い。
なお、反応は通常、1〜48時間で終了する。
【0015】反応終了後に触媒をろ別して、溶液を減圧
下で蒸留すれば、溶剤が除去され、目的とする水酸基含
有液状ジエン系重合体の水素化物が得られる。このよう
にして得られる水酸基含有液状ジエン系重合体の水素化
物は、数平均分子量は300 〜25,000、好ましくは500 〜
10,000であり、水酸基含有量が0.1〜10meq/gであ
るものが望ましい。
【0016】上記水酸基含有液状ジエン系重合体の水素
化物の水素化率は、50%以上であることが好ましく、
特に70%以上であることが好ましい。更に、2種以上
の水酸基含有ジエン系重合体の水素化物の混合物を用い
ることもできる。また、必要に応じて、水酸基含有液状
ジエン系重合体の水素化物と、水酸基含有液状ジエン系
重合体とを混合して用いることもできる。ここで水素化
率、すなわち水素化反応後における重合体中の不飽和二
重結合の水素化の割合は、下式で表わされる。
【0017】
【数1】
【0018】なお、本発明において、水酸基含有液状ジ
エン系重合体の水素化物としては、1分子当りの平均水
酸基数は、1.7以上、特に2.0以上であるものを用
いることが、良好な物性の硬化体を得る観点から好まし
い。1分子当りの平均水酸基数は、次の式で表わされ
る。
【0019】
【数2】
【0020】次に、本発明においては中空フィラーを用
いる。本発明において用いる中空フィラーは、内部が中
空であって、しかも薄い殻で囲まれたものであり、微小
なピンポン玉のような形状を有する粉体であり、一般に
バルーンと呼ばれているものである。この中空フィラー
の粒径は特に限定はないが、通常、数十μm〜数百μm
である。この中空フィラーの成分は、通常は、セラミッ
ク系,ガラス系,炭素系,アルミナ系などの無機化合物
からなるものであり、天然物としてはシラス,パーライ
ト,フライフィッシュなどがある。また、フェノール
系,ポリ塩化ビニリデン系,エポキシ系などの有機化合
物からなる中空フィラーも用いることができる。これら
のなかでも中空フィラー自体の強度や嵩密度の小ささや
物性の点から、無機化合物からなるもの、特にセラミッ
ク系のものが好ましい。中空フィラーの添加量は、前記
水酸基含有液状ジエン系重合体或いはその水素化物10
0重量部に対して、10〜3000重量部、好ましくは
100〜1000重量部である。中空フィラーの添加量
が多過ぎると、中空フィラーが飛散し易く、混練が困難
となり、破壊が生ずる。一方、中空フィラーの添加量が
少な過ぎると、樹脂成形品とした場合に比重の低下が小
さく、軽量化が難しくなる。
【0021】また、本発明ではカップリング剤を用い
る。本発明において用いるカップリング剤としては、一
般的に用いられているものを使用することができ、シラ
ン系,チタネート系,アルミニウム系などのカップリン
グ剤が挙げられる。具体的には例えばγ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン,ビニル−トリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
などのシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソ
ステアロイルチタネートなどのチタニウム原子にアルコ
キシ基などの加水分解性基が結合したチタネート系カッ
プリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロ
ピレートなどのアルミニウム原子にアルコキシ基などの
加水分解性基が結合したアルミニウム系カップリング剤
などが挙げられる。
【0022】これらのカップリング剤の添加量は、中空
フィラーの添加量により異なるため特に制限はないが、
一般的には中空フィラーに対して、0.05〜5重量
%、特に0.5〜2.5重量%が好ましい。カップリン
グ剤の添加量が多過ぎると、物性向上への効果が頭打ち
となるばかりでなく、コストアップとなる。一方、カッ
プリング剤の添加量が少な過ぎると、物性の向上効果が
現れない。
【0023】さらに本発明では熱硬化性樹脂又は熱可塑
性樹脂を用いる。本発明で用いる樹脂としては、樹脂の
軽量化という点から熱硬化性樹脂を用いることがより好
ましい。具体的には、熱硬化性樹脂としては例えば、不
飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹
脂,ユリア樹脂,ジアリルフタレート樹脂,けい素樹脂
などが挙げられる。これらの樹脂は、熱,硬化触媒など
一般的に用いられる方法により硬化させることができ
る。なお、熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレ
ン,ポリプロピレン,ポリスチレン,エチレン−酢酸ビ
ニル樹脂,塩化ビニル樹脂,スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体樹脂,スチレン−イソプレンブロック共重
合体樹脂などが挙げられる。
【0024】この熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の配合
量は、希望する樹脂成型品の比重により異なるが、一般
的には熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂100重量部に対
し、中空フィラー,カップリング剤及び水酸基含有液状
ジエン系重合体或いはその水素化物の合計が、1〜30
0重量部、好ましくは3〜100重量部となるようにす
る。ここで上記成分の添加量が多すぎると、得られる樹
脂成型品の比重は低下するものの、物性が悪化し、実用
に適さなくなる。一方、上記成分の添加量が少なすぎる
と、得られる樹脂成型品の比重があまり低下せず、目的
とする低比重品を得ることができない。
【0025】本発明の樹脂組成物は、基本的には、上記
した如き水酸基含有液状ジエン系重合体或いはその水素
化物、中空フィラー,カップリング剤、及び、熱硬化性
樹脂又は熱可塑性樹脂からなるものであるが、必要に応
じて種々の樹脂用配合剤を配合することもできる。この
ような樹脂用配合剤としては、可塑剤、安定剤、酸化防
止剤及び紫外線吸収剤などの老化防止剤、発泡剤、難燃
剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、溶剤、防黴剤、防蟻
剤、付香剤などがある。可塑剤として例えば、ジオクチ
ルフタレート等のジアルキルフタレート類、パラフィン
系,ナフテン系,アロマ系のプロセスオイル、オレフィ
ンオリゴマー、アルキルベンゼン、アルキルナフタレ
ン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニル、
シリコーンオイル、流動パラフィン、1−デセンオリゴ
マー、パラフィン系オリゴマーなどを用いることができ
る。上記可塑剤の配合量については特に制限はないが、
添加量が多いと熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の物性が
低下するため、できるだけ少ない方が好ましい。
【0026】また、老化防止剤としては、アミン系,ヒ
ンダードフェノール系,ヒンダードアミン系,ベンゾト
リアゾール系等の酸化防止剤の1種又は2種以上を添加
することができる。これら老化防止剤の添加量は、熱硬
化性樹脂又は熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.
05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部であ
る。添加量が少な過ぎると、期待した老化防止効果が得
られず、多過ぎると効果が頭打ちとなる上、コストアッ
プなどの不都合を生ずる。さらに、難燃剤としてリン化
合物,ハロゲン化合物,酸化アンチモン等を用いること
もできる。
【0027】本発明の樹脂組成物は、上記の如く、水酸
基含有液状ジエン系重合体或いはその水素化物、中空フ
ィラー,カップリング剤、及び、熱硬化性樹脂又は熱可
塑性樹脂からなるものである。このような本発明の樹脂
組成物は、種々の方法により製造することができるが、
以下に示す方法によれば、効率よく目的とする樹脂組成
物を製造することができる。すなわち、中空フィラー、
カップリング剤、及び、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂
に、水酸基含有液状ジエン系重合体或いはその水素化
物、さらに必要に応じて加えられる樹脂用配合剤を配合
して混練することにより、目的とする本発明の樹脂組成
物を製造することができる。配合混練方法に特に制限は
なく、通常の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂に用いられ
る配合混練方法、例えばエクストルーダー,ミキシング
ロール,プラストミル,ニーダー,バンバリーミキサ
ー,連続混練機等を用いる配合混練方法の中から、配
合、スケール等により随時選択すればよい。但し、作業
効率の面からは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂に、水
酸基含有液状ジエン系重合体或いはその水素化物、中空
フィラー、カップリング剤、さらに必要に応じて加えら
れる樹脂用配合剤を所定量添加し、ロール,ニーダー,
バンバリーミキサー等の混合機を用いて調製する方法が
好ましい。
【0028】上記のようにして目的とする樹脂組成物を
製造することができる。このようにして得られた樹脂組
成物に対して、加熱,加圧,射出,注型,積層成型,プ
レス,連続成型,注入,塗布等の成形加工を施すことに
より、種々の樹脂成形品が得られる。成形条件は樹脂組
成物の種類により適宜選択すればよい。なお、熱硬化性
樹脂、特に不飽和ポリエステルを用いる場合には、t−
ブチルパーベンゾエートをはじめとする有機過酸化物な
どの硬化触媒を使用して、硬化処理を施した後、成形加
工すればよい。一般に熱硬化性樹脂、特に不飽和ポリエ
ステルに、硬化触媒、ガラス繊維、その他の充填剤、滑
剤等を配合した成形材料は、加熱金型によって成形加工
することが可能である。このような成形材料(湿式成形
材料)には、不飽和ポリエステル、ガラス繊維、多量の
充填剤、離型剤等を混練した塊状の成形材料(BMC=
Bulk Molding Compound )と、ガラス繊維マットに樹脂
を含浸させた後、樹脂を化学的に増粘させたシート状成
形材料(SMC= Sheet Molding Compound )とがあ
る。本発明の樹脂組成物は、このような成形材料として
有効に用いることができる。
【0029】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。なお、本発明の
実施に先立ち、下記の如くして水酸基含有液状ジエン系
重合体或いはその水素化物を製造した。
【0030】製造例1(水酸基含有液状ポリイソプレン
の調製) 1リットル容のステンレス製耐圧反応容器に、イソプレ
ン200g、濃度20%の過酸化水素水40g及びイソ
プロパノール100gを仕込み、温度120℃、反応時
間2時間の条件で反応を行なった。反応中において、圧
力は最大8kg/cm2 Gに達した。反応が終了した後、分
液ロートに反応混合物を入れ、600gの水を添加して
振盪し、3時間静置した後、油層を分取した。この油層
から、溶媒、モノマー、低沸点成分を、2mmHg、100
℃、2時間の条件で留去し、分子鎖末端に水酸基を有す
る液状ポリイソプレン(収率66重量%)を得た。この
ものの数平均分子量は2240であり、水酸基含有量は
0.96meq/g、粘度は64ポイズ/30℃、臭素価は
220g/100gであった。このときの1分子当たり
の平均水酸基数は2.15である。また、 1H−NMR
による構造解析結果は、トランス−1,4構造が57
%、シス−1,4構造が33%、1,2構造が6%、
3,4構造が4%であった。
【0031】製造例2(水酸基含有液状ポリイソプレン
の水素化物の調製) 製造例1で得られた、分子鎖末端に水酸基を有する液状
ポリイソプレン100g、ルテニウム含量5重量%のル
テニウムカーボン触媒5g及び溶媒としてシクロヘキサ
ン100gを仕込み、50kg/cm2 Gの水素圧下で15
0℃にて6時間水素化反応を行なった。反応終了後、0.
45μmのメンブランフィルターを通して、反応溶媒か
ら触媒を分離除去した後、2mmHg、110℃、2時間の
条件で溶媒を留去した。その結果、分子鎖末端に水酸基
を有する液状ポリイソプレンの水素化物が得られた。こ
のものの数平均分子量は2310であり、水酸基含有量
は0.94meq/g、粘度は632ポイズ/30℃、臭素
価は1g/100gであった。このときの1分子当たり
の平均水酸基数は2.17である。
【0032】製造例3 (1)水酸基含有液状イソプレン−ブタジエン共重合体
の調製 1リットル容のステンレス製耐圧反応容器に、イソプレ
ン90g、ブタジエン110g、濃度20%の過酸化水
素水40g及びイソプロパノール100gを仕込み、温
度120℃、反応時間2時間の条件で反応を行なった。
反応中において、圧力は最大15kg/cm2 Gに達した。
反応が終了した後、分液ロートに反応混合物を入れ、6
00gの水を添加して振盪し、3時間静置した後、油層
を分取した。この油層から、溶媒、モノマー、低沸点成
分を、2mmHg、100℃、2時間の条件で留去し、水酸
基含有液状イソプレン−ブタジエン共重合体(収率62
重量%)を得た。このものの数平均分子量は2240で
あり、水酸基含有量は0.91meq/g、粘度は44ポイ
ズ/30℃、臭素価は215g/100gであった。こ
のときの1分子当たりの平均水酸基数は2.04であ
る。また、 1H−NMRによる構造解析結果はイソプレ
ン含量45%であり、ブタジエン含量55%であった。
【0033】(2)水酸基含有液状イソプレン−ブタジ
エン共重合体の水素化物の調製 上記(1)の如くして得た水酸基含有液状イソプレン−
ブタジエン共重合体100g、ルテニウム含量5重量%
のルテニウムカーボン触媒5g及び溶媒としてシクロヘ
キサン100gを仕込み、50kg/cm2 Gの水素圧下で
150℃にて6時間水素化反応を行なった。反応終了
後、0.45μmのメンブランフィルターを通して、反応
溶媒から触媒を分離除去した後、2mmHg、110℃、2
時間の条件で溶媒を留去した。その結果、水酸基含有液
状イソプレン−ブタジエン共重合体の水素化物が得られ
た。このものの数平均分子量は2350であり、水酸基
含有量は0.94meq/g、粘度は210ポイズ/30
℃、臭素価は1g/100gであった。このときの1分
子当たりの平均水酸基数は2.21である。
【0034】実施例1〜6 第1表に示す配合により、プレネタリーミキサーを用い
て充分に混練し、得られた組成物を、長さ2.5mmの
ガラス繊維チョップを予め仕込んでおいた型内に流し込
んだ。この状態のまま60℃で48時間加熱熟成した。
得られたシート状物を150℃で3分間プレス成型して
成形品を得た。この場合のガラス繊維チョップの仕込み
量は、成型品の重量の30〜33重量%となるように調
整した。
【0035】このようにして得られた成形品について、
以下のような項目について評価した。結果を第1表に示
す。 成形品の密度 JIS K 6911に準拠して測定した。 機械的物性 ・曲げ強さ:JIS K 6911に準拠して測定し
た。 ・曲げ弾性率:JIS K 6911に準拠して測定し
た。 ・アイゾット衝撃強度:JIS K 6911に準拠し
て測定した。 中空フィラーの破壊率 得られた成形品を電子顕微鏡を用いて観察し、破壊して
いない中空フィラーが一定面積にどれだけするか確認す
ることにより計算した。
【0036】比較例1 水酸基含有液状ジエン系重合体(水酸基含有液状ポリブ
タジエンであるR−45HT)を添加しなかったこと以
外は、実施例1〜6と同様にして組成物を得、成形品を
得た。結果を第1表に示す。
【0037】比較例2 水酸基含有液状ジエン系重合体,カップリング剤及び中
空フィラーを添加しなかったこと以外は、実施例1〜6
と同様にして組成物を得、成形品を得た。結果を第1表
に示す。
【0038】比較例3 中空フィラーを添加しなかったこと以外は、実施例1〜
6と同様にして組成物を得、成形品を得た。結果を第1
表に示す。
【0039】比較例4 中空フィラーであるマイクロセルズの30%水溶液を調
製し、これに第1表に示したカップリング剤を添加し、
緩やかに5時間攪拌した。得られた懸濁液をろ過し、1
00℃にて10時間乾燥させ、中空フィラーのカップリ
ング処理を行なった。このようにしてカップリング処理
した中空フィラーを、未処理の中空フィラーの代わりに
を用いたこと以外は、比較例1と同様にして組成物を
得、成形品を得た。結果を第1表に示す。
【0040】実施例7 第2表に示す配合により、実施例1〜6と同様にして組
成物を得た。これを金型に流し込み、室温にて2週間放
置硬化させて成形品を得た。結果を第2表に示す。
【0041】比較例5 水酸基含有液状ジエン系重合体(水酸基含有液状ポリブ
タジエンであるR−45HT)を添加しなかったこと以
外は、実施例7と同様にして組成物を得、成形品を得
た。結果を第2表に示す。
【0042】比較例6 水酸基含有液状ジエン系重合体,カップリング剤及び中
空フィラーを添加しなかったこと以外は、実施例7と同
様にして組成物を得、成形品を得た。結果を第2表に示
す。
【0043】比較例7 中空フィラーを添加しなかったこと以外は、実施例7と
同様にして組成物を得、成形品を得た。結果を第2表に
示す。
【0044】比較例8 中空フィラーであるマイクロセルズの30%水溶液を調
製し、これに第2表に示したカップリング剤を添加し、
緩やかに5時間攪拌した。得られた懸濁液をろ過し、1
00℃にて10時間乾燥させ、中空フィラーのカップリ
ング処理を行なった。このようにしてカップリング処理
した中空フィラーを、未処理の中空フィラーの代わりに
用いたこと以外は、比較例5と同様にして組成物を得、
成形品を得た。結果を第2表に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】*1:製造例1で得られた水酸基含有液状
ポリイソプレン *2:製造例2で得られた水酸基含有液状ポリイソプレ
ンの水素化物 *3:製造例3(2)で得られた水酸基含有液状イソプ
レン−ブタジエン共重合体の水素化物 *4:水酸基含有液状ポリブタジエン、水酸基含量=0.
81meq/g 、数平均分子量=2650、出光アトケム
(株)製 *5:商品名SL150、高強度軽量フィラー、セラミ
ックス製中空微小球、平均粒径100μm、小野田セメ
ント(株)製 *6:商品名A−187、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、日本ユニカー製 *7:商品名PS−9164、イソフタル酸系不飽和ポ
リエステル樹脂、日立化成工業(株)製 *8:t−ブチルパーベンゾエート(試薬1級) *9:商品名PS−9145、スチレン系収縮剤、日立
化成工業(株)製 *10:ステアリン酸亜鉛(試薬1級) *11:酸化マグネシウム(試薬1級) *12:商品名タマパールTP−121、軽質炭酸カルシ
ウム、奥多摩工業(株)製 *13:水酸基含有液状エポキシ化ポリブタジエン、エポ
キシ等量=205、ナガセ化成工業(株)製 *14: 商品名エピコート828、エポキシ等量=18
9、油化シェルエポキシ(株)製 *15: 商品名エポメートB−002、アミン系硬化剤、
油化シェルエポキシ(株)製
【0048】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、中空フィラーの
カップリング処理が不要であり、しかも混練時における
中空フィラーの飛散がほとんどなく、かつ、破壊が少な
い。しかも、この樹脂組成物を成形してなる成形品は、
軽量であって、かつ、機械的物性にも優れたものであ
る。また、本発明の製造方法によれば、中空フィラーの
カップリング処理などを必要とすることなく、このよう
な樹脂組成物を効率よく得ることができる。本発明の樹
脂組成物は、このような特性を有しているため、自動車
用部材,船舶用部材,SMC,BMC,接着剤,建材な
どとして有効に利用することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−27418(JP,A) 特開 平3−234761(JP,A) 特開 昭52−117950(JP,A) 特開 昭63−295626(JP,A) 特開 昭59−147035(JP,A) 特開 平4−96918(JP,A) 特開 昭64−48855(JP,A) 特開 平5−331257(JP,A) 特開 平5−320420(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 15/00 C08K 5/56 C08K 7/24 C08L 101/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基含有液状ジエン系重合体或いはそ
    の水素化物、中空フィラー、カップリング剤、及び、熱
    硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 樹脂が熱硬化性樹脂であることを特徴と
    する請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 中空フィラーが無機化合物からなること
    を特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 中空フィラー、カップリング剤、及び、
    熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂に、水酸基含有液状ジエ
    ン系重合体或いはその水素化物を配合して混練すること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成
    物の製造方法。
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