JP2016065408A - 繊維強化樹脂組成物の製造方法、繊維強化樹脂組成物用の材料、及び、防水構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】歩行や各種衝撃に耐久することが可能であると共に、速乾性を有する繊維強化樹脂組成物、及び、この繊維強化樹脂組成物を含む防水構造体を提供する。【解決手段】防水構造体1は、下地9と、下地9の上に形成された繊維強化樹脂組成物10とを有する。前記繊維強化樹脂組成物10は、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌して得たポリマーセメント組成物11を、ガラスチョップドストランドマット12に含浸させ、硬化させたものである。【選択図】 図1
Description
本発明は、ガラスチョップドストランドマットに含浸させた樹脂を硬化させて形成する繊維強化樹脂組成物の製造方法、前記繊維強化樹脂組成物用の材料、及び、前記繊維強化樹脂組成物を含む防水構造体に関する。
建築物などに用いられる防水材として様々なものが知られている。例えば、特許文献1には、水性のポリマーセメント組成物及びそれを用いた防水材が開示されている。
また、特許文献2には、繊維強化樹脂組成物を含む防水構造体が開示されている。この防水構造体は、下地と、この下地の上に形成された防水層とを有しており、前記防水層に繊維強化樹脂組成物が含まれている。この繊維強化樹脂組成物は、チョップドストランド状の繊維補強布に、水性アクリル樹脂組成物を含浸させ硬化させたものである。
特許文献1に開示されているような防水材を含む防水構造体の一般的な用途として、例えば、建築物の非歩行の屋上や住宅バルコニー向けの防水がある。また、特許文献2に開示されている防水構造体の一般的な用途として、例えば、建築物の歩行用の屋上や住宅バルコニー向けの防水がある。特に後者の用途においては、人の歩行や各種衝撃に耐久する必要がある。また、前記用途における標準的な仕様として、日本建築学会の建築工事標準仕様書・同解説JASS8防水工事(以下、JASS8ともいう)のL−FF仕様に記載されているものがある。
特許文献1に記載のポリマーセメント組成物を含む防水材は、柔軟性をもって防水性能を発揮するものであるため、歩行や各種衝撃に耐久することを前提とした用途には不向きであると考えられている。
特許文献2に記載の防水層構造で使用される水性アクリル樹脂組成物の場合、溶媒である水分を飛散させることで硬化、乾燥に至る。このため、防水層構造の仕様や施工環境などの条件によっては、硬化、乾燥スピードが著しく低下するおそれがある。具体的に説明すると、樹脂使用量を例えば1.0kg/m2以上に厚く塗布した場合、繊維補強布を2枚以上重ねて使用する場合、通風の悪い現場で施工する場合、10℃以下の低温で施工する場合などにおいて、水性アクリル樹脂組成物の硬化、乾燥スピードが著しく低下するおそれがある。つまり、防水層構造の仕様や施工環境は、水性アクリル樹脂組成物の水分の揮発性に大きく影響を与え、条件によっては硬化、乾燥スピードが著しく低下する。
特に、建築物の屋上や住宅バルコニー向けの小面積用途の場合、1〜2日以内の短期間での施工完了が求められるのが一般的であるため、このような用途に対して、特許文献2に記載されている水性アクリル樹脂組成物を用いた防水層構造を適用することは実質的に困難である。
そこで、本発明は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能であると共に、速乾性を有することが可能となる繊維強化樹脂組成物の製造方法、前記繊維強化樹脂組成物用の材料、及び、前記繊維強化樹脂組成物を含む防水構造体を提供することを目的とする。
本発明の繊維強化樹脂組成物の製造方法は、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌して得たポリマーセメント組成物を、ガラスチョップドストランドマットに含浸させ、硬化させる。
本発明によれば、ガラスチョップドストランドマットが繊維補強布として用いられることで、前記製造方法によって製造される繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となる。また、前記ポリマーセメント組成物をガラスチョップドストランドマットに含浸させ硬化させる際、セメントとポリマーの溶媒である水分とが水和反応を起こすため、水分の揮発乾燥による硬化のみならず、層内部から硬化乾燥を促進させることが可能となる。このため、前記製造方法によって製造される繊維強化樹脂組成物は、速乾性を有する。
本発明によれば、ガラスチョップドストランドマットが繊維補強布として用いられることで、前記製造方法によって製造される繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となる。また、前記ポリマーセメント組成物をガラスチョップドストランドマットに含浸させ硬化させる際、セメントとポリマーの溶媒である水分とが水和反応を起こすため、水分の揮発乾燥による硬化のみならず、層内部から硬化乾燥を促進させることが可能となる。このため、前記製造方法によって製造される繊維強化樹脂組成物は、速乾性を有する。
また、本発明の繊維強化樹脂組成物用の材料は、ポリマーエマルションと、前記ポリマーエマルションと混合させるセメントを含む充填材と、前記ポリマーエマルションと前記充填材との混合物を含浸させるガラスチョップドストランドマットとを含むものである。
本発明によれば、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合し、混合物としてポリマーセメント組成物を得ることができ、このポリマーセメント組成物を、ガラスチョップドストランドマットに含浸させ、硬化させることで繊維強化樹脂組成物を得ることができる。
このため、ガラスチョップドストランドマットが繊維補強布として用いられることで、前記材料により製造される繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となる。また、前記ポリマーセメント組成物をガラスチョップドストランドマットに含浸させ硬化させる際、セメントとポリマーの溶媒である水分とが水和反応を起こすため、水分の揮発乾燥による硬化のみならず、層内部から硬化乾燥を促進させることが可能となる。このため、速乾性を有する繊維強化樹脂組成物が得られる。
本発明によれば、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合し、混合物としてポリマーセメント組成物を得ることができ、このポリマーセメント組成物を、ガラスチョップドストランドマットに含浸させ、硬化させることで繊維強化樹脂組成物を得ることができる。
このため、ガラスチョップドストランドマットが繊維補強布として用いられることで、前記材料により製造される繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となる。また、前記ポリマーセメント組成物をガラスチョップドストランドマットに含浸させ硬化させる際、セメントとポリマーの溶媒である水分とが水和反応を起こすため、水分の揮発乾燥による硬化のみならず、層内部から硬化乾燥を促進させることが可能となる。このため、速乾性を有する繊維強化樹脂組成物が得られる。
また、前記繊維強化樹脂組成物用の材料は、前記ポリマーエマルションに添加混合させる水分散性ポリイソシアネート樹脂を更に含むのが好ましい。
この構成によれば、ポリマーエマルションに水分散性ポリイソシアネート樹脂を添加混合し、さらにセメントを含む充填材を混合攪拌してポリマーセメント組成物を得ることができる。ポリマーセメント組成物に水分散性ポリイソシアネート樹脂が添加配合されることで、ポリマーの架橋反応を導入することができ、例えば一般的に硬化乾燥が遅くなる冬場の低温環境施工時においても、層内部からの硬化乾燥を促進させることが可能になる。
この構成によれば、ポリマーエマルションに水分散性ポリイソシアネート樹脂を添加混合し、さらにセメントを含む充填材を混合攪拌してポリマーセメント組成物を得ることができる。ポリマーセメント組成物に水分散性ポリイソシアネート樹脂が添加配合されることで、ポリマーの架橋反応を導入することができ、例えば一般的に硬化乾燥が遅くなる冬場の低温環境施工時においても、層内部からの硬化乾燥を促進させることが可能になる。
また、前記ガラスチョップドストランドマットは、ガラスチョップドストランドの結合剤としてポリマーエマルションが用いられたものであるのが好ましい。
この構成によれば、例えば、施工現場でのガラスチョップドストランドマットのカットや敷設などの取扱い時にガラス繊維の飛散が少なくなり、施工環境の保全を図ることができる。また、前記のとおり、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌してポリマーセメント組成物を得ることができるが、このポリマーセメント組成物を、結合剤としてポリマーエマルションを使用したマット(以下、エマルションマットと呼ぶ)に積層含浸させると、適合性に優れるため、表面が平滑で均一な膜を形成することが可能である。
この構成によれば、例えば、施工現場でのガラスチョップドストランドマットのカットや敷設などの取扱い時にガラス繊維の飛散が少なくなり、施工環境の保全を図ることができる。また、前記のとおり、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌してポリマーセメント組成物を得ることができるが、このポリマーセメント組成物を、結合剤としてポリマーエマルションを使用したマット(以下、エマルションマットと呼ぶ)に積層含浸させると、適合性に優れるため、表面が平滑で均一な膜を形成することが可能である。
また、本発明は、下地と、前記下地の上に形成された繊維強化樹脂組成物とを有する防水構造体であって、前記繊維強化樹脂組成物は、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌して得たポリマーセメント組成物を、ガラスチョップドストランドマットに含浸させ、硬化させたものである。
本発明によれば、防水構造体は、前記繊維強化樹脂組成物を含んで形成されたものであるため、下地の上に形成されたこの繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となる。また、前記ポリマーセメント組成物をガラスチョップドストランドマットに含浸させ硬化させる際、セメントとポリマーの溶媒である水分とが水和反応を起こすため、繊維強化樹脂組成物は、速乾性を有することができる。
本発明によれば、防水構造体は、前記繊維強化樹脂組成物を含んで形成されたものであるため、下地の上に形成されたこの繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となる。また、前記ポリマーセメント組成物をガラスチョップドストランドマットに含浸させ硬化させる際、セメントとポリマーの溶媒である水分とが水和反応を起こすため、繊維強化樹脂組成物は、速乾性を有することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物の製造方法によれば、製造された繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となり、また、速乾性を有することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物用の材料によれば、この材料により製造される繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となり、また、速乾性を有することができる。
本発明の防水構造体によれば、下地の上に形成された繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となり、また、速乾性を有することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物用の材料によれば、この材料により製造される繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となり、また、速乾性を有することができる。
本発明の防水構造体によれば、下地の上に形成された繊維強化樹脂組成物は、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となり、また、速乾性を有することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔繊維強化樹脂組成物10及び防水構造体1について〕
図1は、本発明の繊維強化樹脂組成物10及びこの組成物10を備えている防水構造体1の実施の一形態を示す説明図である。この防水構造体1は、下地9と、この下地9上に形成されている繊維強化樹脂組成物10とを有している。
〔繊維強化樹脂組成物10及び防水構造体1について〕
図1は、本発明の繊維強化樹脂組成物10及びこの組成物10を備えている防水構造体1の実施の一形態を示す説明図である。この防水構造体1は、下地9と、この下地9上に形成されている繊維強化樹脂組成物10とを有している。
下地9は、一般の建築構造物で用いられている下地を採用することができ、例えば、不燃板、合板、珪酸カルシウム板、モルタル、コンクリートである。
また、このような不燃板等の第1の下地の上に各種防水層が施工済みである場合、この既設の防水層を第2の下地9として、その上から繊維強化樹脂組成物10を設けることができる。前記既設の防水層としては、例えば、アスファルト防水層、改質アスファルト防水層、合成高分子系シート防水層、ウレタン塗膜系防水層、FRP塗膜系防水層、ポリマーセメント系塗膜防水層などがある。
また、このような不燃板等の第1の下地の上に各種防水層が施工済みである場合、この既設の防水層を第2の下地9として、その上から繊維強化樹脂組成物10を設けることができる。前記既設の防水層としては、例えば、アスファルト防水層、改質アスファルト防水層、合成高分子系シート防水層、ウレタン塗膜系防水層、FRP塗膜系防水層、ポリマーセメント系塗膜防水層などがある。
本実施形態の繊維強化樹脂組成物10は、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材(無機充填材)とを混合攪拌して得たポリマーセメント組成物11を、ガラスチョップドストランドマット12に含浸させ、硬化させたものである。
後にも説明するが、本実施形態の繊維強化樹脂組成物10は、前記のようなポリマーセメント組成物11を使用することから、施工時の臭気の原因となる揮発性成分を含まず、かつ、速乾性を兼ね備えた防水層を下地9上に形成することが可能となる。
後にも説明するが、本実施形態の繊維強化樹脂組成物10は、前記のようなポリマーセメント組成物11を使用することから、施工時の臭気の原因となる揮発性成分を含まず、かつ、速乾性を兼ね備えた防水層を下地9上に形成することが可能となる。
ポリマーセメント組成物11は、ポリマー成分と、セメント成分を含む無機充填材とを含む混合物である。以下、ポリマー成分、セメント成分を含む無機充填材について説明する。
〔ポリマー成分について〕
ポリマー成分として、再乳化形樹脂粉末やポリマーエマルションを使用することができるが、特にポリマー粒子が安定化されており、ポリマーセメント組成物11に対して良質な防水性を示す微細構造を形成させやすいことから、ポリマーエマルションを好適に用いることができる。
ポリマー成分として、再乳化形樹脂粉末やポリマーエマルションを使用することができるが、特にポリマー粒子が安定化されており、ポリマーセメント組成物11に対して良質な防水性を示す微細構造を形成させやすいことから、ポリマーエマルションを好適に用いることができる。
ポリマーエマルションとしては、「ポリ酢酸ビニルエマルション」「エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルション」「エチレンと酢酸ビニルと(メタ)クリル酸誘導体の共重合体エマルション」「エチレンと(メタ)クリル酸誘導体との共重合体エマルション」「ポリ(メタ)クリル酸誘導体のエマルション」「スチレンと(メタ)クリル酸誘導体との共重合体エマルション」「ポリクロロプレンラテックス、酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合体エマルション」「スチレンとブタジエンの共重合体エマルション」「アクリロニトリルとブタジエンの共重合体エマルション」「酢酸ビニルと(メタ)クリル酸誘導体のエマルション」など、エチレン、スチレン、酢酸ビニル、及び、(メタ)クリル酸誘導体などのうちの少なくとも1種を含む合成樹脂のエマルションを用いることができる。
特にセメントを含む水硬性成分と混合・混練して調製したポリマーセメント組成物11が、良質な防水塗膜を形成しやすいことから、アクリル共重合体エマルションを好適に用いることができる。本実施形態では、(メタ)クリル酸誘導体は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、これらのエステルなどの酸誘導体を意味し、少なくともこれらの成分を1種以上含むものである。
特にセメントを含む水硬性成分と混合・混練して調製したポリマーセメント組成物11が、良質な防水塗膜を形成しやすいことから、アクリル共重合体エマルションを好適に用いることができる。本実施形態では、(メタ)クリル酸誘導体は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、これらのエステルなどの酸誘導体を意味し、少なくともこれらの成分を1種以上含むものである。
なお、ポリマーエマルションに含まれるポリマー成分のガラス転移温度は、特に限定されるものではなく、様々なものを用いることができる。
また、ポリマーエマルションは、公知の製造方法により得られるものを用いることができ、例えば、乳化剤の存在下に、重合開始剤を用いて、水又は含水溶媒中で合成樹脂の原料となる重合性モノマーを乳化重合する方法などにより製造することができる。
また、ポリマーエマルションは、公知の製造方法により得られるものを用いることができ、例えば、乳化剤の存在下に、重合開始剤を用いて、水又は含水溶媒中で合成樹脂の原料となる重合性モノマーを乳化重合する方法などにより製造することができる。
さらに、ポリマーエマルションは、水又は含水溶媒を含むものであり、ポリマーセメント組成物単独で混練してモルタルを得ることができ、また粘度及びTI値(揺変度)を調整する目的で揺変剤を添加したり、さらに必要に応じて水を加えたりすることができる。
〔セメント成分について〕
本実施形態で用いられる前記セメント成分は、公知慣用の各種セメントを使用することができる。例えばアルミナセメント、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントなどの混合セメントなどを用いるができる。
これらの中でも好ましいのはアルミナセメントであり、その特徴として速やかな水和反応性を有し、結晶構造中に取り込んで安定した水和反応物を生成することができる。またアルミナセメントと他のポルトランドセメントなどの混合物を使用することもできる。
本実施形態で用いられる前記セメント成分は、公知慣用の各種セメントを使用することができる。例えばアルミナセメント、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントなどの混合セメントなどを用いるができる。
これらの中でも好ましいのはアルミナセメントであり、その特徴として速やかな水和反応性を有し、結晶構造中に取り込んで安定した水和反応物を生成することができる。またアルミナセメントと他のポルトランドセメントなどの混合物を使用することもできる。
本実施形態で用いられる無機充填材には、珪砂、川砂、海砂、山砂、砕砂などの砂類、スラグ粉、フライアッシュ、シリカヒューム、石灰石粉、タルク、カオリン、アルミナ粉、酸化チタン、水酸化アルミニウム、石膏などが含まれていてもよく、これらのうちの1種または2種以上用いることができる。なお、珪砂を用いる場合には5〜7号のものが好ましい。
〔ポリマーセメント組成物11について〕
ポリマーセメント組成物11は、前記のようなポリマーエマルションと、セメントを含む無機充填材とを混合攪拌して得たものであり、ポリマーセメント組成物11は、ポリマーエマルションのポリマー固形分100質量部(100質量%)に対し、セメント成分を15〜175質量部(15〜175質量%)含むものが好ましく、さらに好ましくはセメント成分を15〜100質量部含むものであり、より好ましくはセメント成分を20〜75質量部含むものである。
また、ポリマーセメント組成物11は、ポリマーエマルションのポリマー固形分100質量部(100質量%)に対し、セメントを含む無機充填材を15〜350質量部(15〜350質量%)含むものが好ましく、さらに好ましくはセメントを含む無機充填材を30〜300質量部含むものであり、より好ましくは60〜250質量部含むものである。
ポリマーセメント組成物11は、前記のようなポリマーエマルションと、セメントを含む無機充填材とを混合攪拌して得たものであり、ポリマーセメント組成物11は、ポリマーエマルションのポリマー固形分100質量部(100質量%)に対し、セメント成分を15〜175質量部(15〜175質量%)含むものが好ましく、さらに好ましくはセメント成分を15〜100質量部含むものであり、より好ましくはセメント成分を20〜75質量部含むものである。
また、ポリマーセメント組成物11は、ポリマーエマルションのポリマー固形分100質量部(100質量%)に対し、セメントを含む無機充填材を15〜350質量部(15〜350質量%)含むものが好ましく、さらに好ましくはセメントを含む無機充填材を30〜300質量部含むものであり、より好ましくは60〜250質量部含むものである。
さらに、ポリマーセメント組成物11は、ポリマーエマルションとセメント成分を含む無機充填材以外に、本発明の特性を損なわない範囲で、流動化剤、増粘剤、消泡剤及び凝結調整剤から選ばれる材料を1種又は2種以上含むことができる。
増粘剤としては、ポリエーテル系、ウレタン系、アクリル系などの水溶性ポリマー系の増粘剤や、セルロース系、蛋白質系などの増粘剤を用いることができる。特に水溶性ポリウレタン系などの水溶性ポリマー系の増粘剤を用いるのが好ましい。
また、本実施形態では、ローラー、コテ及び吹き付け(スプレーなど)などの一般的方法を使用することにより、ポリマーセメント組成物11を、下地9に載せたガラスチョップドストランドマット12に塗布し、含浸させる。そして、これが硬化することにより、繊維強化樹脂組成物10が形成され、下地9と、この下地9の上に形成された繊維強化樹脂組成物10とを含む防水構造体1を得ることができる。
以上より、本実施形態の繊維強化樹脂組成物10用の材料は、ポリマーエマルションと、このポリマーエマルションと混合させるセメントを含む充填材(本実施形態では無機充填材)と、これらポリマーエマルションと充填材との混合物(ポリマーセメント組成物11)を含浸させるガラスチョップドストランドマット12とを含む。
更に、本実施形態の繊維強化樹脂組成物10用の材料には、ポリマーエマルションに添加混合させる水分散性ポリイソシアネート樹脂が含まれる。つまり、ポリマーエマルションに水分散性ポリイソシアネート樹脂を添加混合し、さらにセメントを含む無機充填材を混合攪拌してポリマーセメント組成物11を得ることができる。
更に、本実施形態の繊維強化樹脂組成物10用の材料には、ポリマーエマルションに添加混合させる水分散性ポリイソシアネート樹脂が含まれる。つまり、ポリマーエマルションに水分散性ポリイソシアネート樹脂を添加混合し、さらにセメントを含む無機充填材を混合攪拌してポリマーセメント組成物11を得ることができる。
本実施形態における水分散性ポリイソシアネート組成物としては、疎水性ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物であって、水分散性を有するものであればよい。例えば、疎水性ポリイソシアネートと、これを水分散させることが可能な水分散性化合物との混合物などが挙げられる。具体例としては、
(1)疎水性ポリイソシアネートと、水分散性を有するポリイソシアネートとの混合物
(2)疎水性ポリイソシアネートと、イソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤との混合物
などが挙げられる。
(1)疎水性ポリイソシアネートと、水分散性を有するポリイソシアネートとの混合物
(2)疎水性ポリイソシアネートと、イソシアネート基を有さないが親水性基を有する分散剤との混合物
などが挙げられる。
前記水分散性ポリイソシアネート組成物は、ポリマーセメント組成物11における、ポリマーエマルションのポリマー固形分100質量部(100質量%)に対し、3〜50質量部(3〜50質量%)を含むものを用いるのが好ましく、より好ましくは水分散性ポリイソシアネート組成物を3〜40質量部含むものである。
〔ガラスチョップドストランドマット12について〕
本実施形態のガラスチョップドストランドマット12として、「JISR3411:ガラスチョップドストランドマット」または「JASS8 M−102−2007:防水用ガラスマット」の規格に準じたものを使用することができる。
本実施形態のガラスチョップドストランドマット12として、「JISR3411:ガラスチョップドストランドマット」または「JASS8 M−102−2007:防水用ガラスマット」の規格に準じたものを使用することができる。
ガラスチョップドストランドマット12の製造方法として、以下に説明する二種類の方法があり、この二種類の製造方法では、結合剤(結合剤の供給方法)が相違する。
先ず、一つ目の製造方法は、多数本のガラスフィラメント表面に付着量が0.1〜2質量%程度となるように集束剤を塗布し、これらを集束することによって得られたガラスストランドを所定長に切断し、ガラスチョップドストランドの多数本を、均等無秩序にシート状に堆積した後、その上から結合剤として粉末ポリエステル樹脂を散布する方法である。このようにして製造されたガラスチョップドストランドマット12は、一般にFRP成形加工業界などで流通しているマット(以下、汎用マットという)である。
次に、2つ目の製造方法は、ガラスチョップドストランドのシート状堆積物にポリマーエマルションを塗布し、その後乾燥させることによって製造される、ポリマーエマルション供給方式である。すなわち、結合剤としてポリマーエマルションを使用したマット(以下、エマルションマットという)である。
なお、ガラス繊維の目付け量は特に限定されるものではないが、300g/m2、380g/m2、420g/m2、450g/m2、500g/m2程度のガラスチョップドストランドマット12が好適に用いられる。
なお、前記エマルションマットは、前記汎用マットと比較して、現場での施工時においてガラス繊維の飛散が少ないため、環境の保全を図ることができる。これは、前記エマルションマットに対して結合剤としてポリマーエマルション液を噴霧し、溶媒である水分を蒸発させて、固めていることによる。すなわち、乾燥後のポリマーは一定の水分を残しており、ポリマーは水分により粘着性を発現するからである。また、前記エマルションマットに前記ポリマーセメント組成物11を含浸させると、相溶性に優れるため、均一な膜(塗膜)を形成することが可能である。
前記エマルションマットに使用するポリマーエマルションとしては、アクリル、EVA、ポリエステル、スチレンまたはその共重合体等の公知慣用のポリマーエマルションが使用される。
本実施形態では、ローラー、コテ及び吹き付け(スプレーなど)などの一般的方法を使用することにより、ポリマーセメント組成物11を、下地9上のガラスチョップドストランドマット12に塗布し、含浸させ、硬化させる。これにより、下地9上に繊維強化樹脂組成物10が形成される。つまり、下地9と、この下地9の上に形成された繊維強化樹脂組成物10を含む防水構造体1を得ることができる。
〔実施例〕
実施例について説明する。なお、以下の文中及び表中の(%)は、特に断りのない限り質量基準である。
3種類の樹脂組成物(樹脂組成物1、樹脂組成物2、樹脂組成物3)を準備した。各樹脂組成物の種類及び製品名について下記の表1に示す。
樹脂組成物2,3には、無機骨材(セメントを含む無機充填材)が含まれるが、樹脂組成物1には、無機骨材(セメントを含む無機充填材)が含まれていない。樹脂組成物3の水分散型ウレタンは、水分散性ポリイソシアネート樹脂であり、また、この樹脂組成物3は、樹脂組成物2に水分散性ポリイソシアネート樹脂を添加混合したものであり、その他は樹脂組成物2と同じである。
実施例について説明する。なお、以下の文中及び表中の(%)は、特に断りのない限り質量基準である。
3種類の樹脂組成物(樹脂組成物1、樹脂組成物2、樹脂組成物3)を準備した。各樹脂組成物の種類及び製品名について下記の表1に示す。
樹脂組成物2,3には、無機骨材(セメントを含む無機充填材)が含まれるが、樹脂組成物1には、無機骨材(セメントを含む無機充填材)が含まれていない。樹脂組成物3の水分散型ウレタンは、水分散性ポリイソシアネート樹脂であり、また、この樹脂組成物3は、樹脂組成物2に水分散性ポリイソシアネート樹脂を添加混合したものであり、その他は樹脂組成物2と同じである。
また、補強材として、下記の表2に示す3種類のチョップドストランドマット(マット1、マット2、マット3)を準備した。
(実施例1)
下地9として珪酸カルシウム板(以下、ケイカル板という)を用意し、このケイカル板の上に、前記表1の樹脂組成物1を水で5倍希釈してプライマーとし、0.2kg/m2塗布して乾燥させ、プライマー層を形成した。
次いで、このプライマー層の上に、繊維補強布として、結合剤をポリマーエマルションとする前記表2のマット3を設け、このマット3に前記表1の樹脂組成物2(ポリマーセメント組成物A)を1.4kg/m2を塗布した。そして、これを乾燥させた後、更に、このマット3に、前記表1の樹脂組成物2を1.4kg/m2塗り重ね、2層からなる繊維強化樹脂層、すなわち防水層を形成した。
そして、この繊維強化樹脂層の上に、前記表1の樹脂組成物2(ポリマーセメント組成物A)を0.3kg/m2塗布し、トップコート樹脂層を形成した。
下地9として珪酸カルシウム板(以下、ケイカル板という)を用意し、このケイカル板の上に、前記表1の樹脂組成物1を水で5倍希釈してプライマーとし、0.2kg/m2塗布して乾燥させ、プライマー層を形成した。
次いで、このプライマー層の上に、繊維補強布として、結合剤をポリマーエマルションとする前記表2のマット3を設け、このマット3に前記表1の樹脂組成物2(ポリマーセメント組成物A)を1.4kg/m2を塗布した。そして、これを乾燥させた後、更に、このマット3に、前記表1の樹脂組成物2を1.4kg/m2塗り重ね、2層からなる繊維強化樹脂層、すなわち防水層を形成した。
そして、この繊維強化樹脂層の上に、前記表1の樹脂組成物2(ポリマーセメント組成物A)を0.3kg/m2塗布し、トップコート樹脂層を形成した。
(実施例2)
実施例2は、実施例1の樹脂組成物2の代わりに、前記表1の樹脂組成物3を用いた。それ以外の点は、実施例1と同じである。
実施例2は、実施例1の樹脂組成物2の代わりに、前記表1の樹脂組成物3を用いた。それ以外の点は、実施例1と同じである。
(実施例3)
実施例3は、実施例1のマット3の代わりに、前記表2のマット2を用いた。それ以外の点は、実施例1と同じである。
実施例3は、実施例1のマット3の代わりに、前記表2のマット2を用いた。それ以外の点は、実施例1と同じである。
(比較例1)
比較例1では、繊維補強布を使用しないで樹脂層を形成した。繊維補強布を使用していない点以外は、実施例1と同じである。
比較例1では、繊維補強布を使用しないで樹脂層を形成した。繊維補強布を使用していない点以外は、実施例1と同じである。
(比較例2)
下地9としてケイカル板を用意し、このケイカル板の上に、前記表1の樹脂組成物1を水で5倍希釈してプライマーとし、0.2kg/m2塗布して乾燥させ、プライマー層を形成した。
次いで、このプライマー層の上に、繊維補強布としてビニロン繊維が使用された前記表2のマット1に、前記表1の樹脂組成物1(水性アクリル樹脂組成物)を1.4kg/m2を塗布した。そして、これを乾燥させた後、更に、このマット1に、前記表1の樹脂組成物1を1.4kg/m2塗り重ねて、2層からなる繊維強化樹脂層、すなわち防水層を形成した。
そして、この繊維強化樹脂層の上に、前記表1の樹脂組成物1(水性アクリル樹脂組成物)を0.2kg/m2塗布し、トップコート樹脂層を形成した。
下地9としてケイカル板を用意し、このケイカル板の上に、前記表1の樹脂組成物1を水で5倍希釈してプライマーとし、0.2kg/m2塗布して乾燥させ、プライマー層を形成した。
次いで、このプライマー層の上に、繊維補強布としてビニロン繊維が使用された前記表2のマット1に、前記表1の樹脂組成物1(水性アクリル樹脂組成物)を1.4kg/m2を塗布した。そして、これを乾燥させた後、更に、このマット1に、前記表1の樹脂組成物1を1.4kg/m2塗り重ねて、2層からなる繊維強化樹脂層、すなわち防水層を形成した。
そして、この繊維強化樹脂層の上に、前記表1の樹脂組成物1(水性アクリル樹脂組成物)を0.2kg/m2塗布し、トップコート樹脂層を形成した。
次の表3は、前記実施例1,2,3及び前記比較例1,2に関し、防水層部分を分かりやすくするために、樹脂組成物及び繊維補強布の有無等を一覧表としてまとめたものである。
表3に示す実施例1〜3及び比較例1〜2の強度性能及び施工性能について説明する。
(引張性能評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2における、プライマーとトップコートを省いた防水層部分において、基礎的な物理特性を把握すべく、引張強度値をもって比較評価を行った。すなわち、JISA6021に準じて引張性能評価を行った。まず、23℃雰囲気下で、実施例1〜3及び比較例1〜2について、プライマーとトップコートを省いた防水層部分の試験片を作成し、2週間養生を行った。これらに対して引張試験を行い、引張強度を算出した結果を次の表4に示す。
(引張性能評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2における、プライマーとトップコートを省いた防水層部分において、基礎的な物理特性を把握すべく、引張強度値をもって比較評価を行った。すなわち、JISA6021に準じて引張性能評価を行った。まず、23℃雰囲気下で、実施例1〜3及び比較例1〜2について、プライマーとトップコートを省いた防水層部分の試験片を作成し、2週間養生を行った。これらに対して引張試験を行い、引張強度を算出した結果を次の表4に示す。
(衝撃性能評価)
防水構造体1(図1参照)を露出防水用として使用するために重要な性能として、耐衝撃性が挙げられる。これを、日本建築学会制定のJASS8(防水工事)における、メンブレン防水層の性能評価試験方法、3.2耐衝撃試験に準じて評価を行った。まず、23℃雰囲気下で、実施例1〜3及び比較例1〜2について、プライマーとトップコートを省いた防水層部分の試験片(300×300mm)を作成し、2週間養生を行った。これらに対して、23℃雰囲気下において、所定の高さ(0.5m,1.0m,1.5m)から、先端が半球形状であるおもりを落下させる。試験片はN=3とし、衝撃箇所における穴あき有無を目視確認し、次の表5に示す判定区分を用いて評価を行った。試験結果を表6に示す。
防水構造体1(図1参照)を露出防水用として使用するために重要な性能として、耐衝撃性が挙げられる。これを、日本建築学会制定のJASS8(防水工事)における、メンブレン防水層の性能評価試験方法、3.2耐衝撃試験に準じて評価を行った。まず、23℃雰囲気下で、実施例1〜3及び比較例1〜2について、プライマーとトップコートを省いた防水層部分の試験片(300×300mm)を作成し、2週間養生を行った。これらに対して、23℃雰囲気下において、所定の高さ(0.5m,1.0m,1.5m)から、先端が半球形状であるおもりを落下させる。試験片はN=3とし、衝撃箇所における穴あき有無を目視確認し、次の表5に示す判定区分を用いて評価を行った。試験結果を表6に示す。
(作業性及び仕上がり感の評価)
作業性及び仕上がり感の観点から評価した。すなわち室内23℃雰囲気下で、実施例1〜3及び比較例1〜2について1m2の施工を実際に行った。判定は作業者の感覚に基づいて、次の表7に示す判定基準を用いて評価を行った。
作業性及び仕上がり感の観点から評価した。すなわち室内23℃雰囲気下で、実施例1〜3及び比較例1〜2について1m2の施工を実際に行った。判定は作業者の感覚に基づいて、次の表7に示す判定基準を用いて評価を行った。
更に、乾燥後の表面の仕上がり感を目視により、次の表8に示す判定基準を用いて評価を行った。以上の結果を表9に示す。
(乾燥時間の評価)
10m2程度の範囲を1日以内で施工が可能であるか否かを評価すべく、実施例1〜3及び比較例1〜2について、プライマーとトップコートを省いた防水層部分の乾燥時間を測定した。すなわち、室内の5℃、15℃、25℃雰囲気下において、防水層を形成する樹脂組成物の乾燥時間を測定した。樹脂組成物の使用量を0.7kg/m2と1.4kg/m2との二種類とし、また、使用量1.4kg/m2の場合には、補強布を用いた(ただし、比較例1は補強布を有していない仕様であるため補強布は無い)。指触確認により、塗膜が締め固まり、表面の粘着性がなくなるまでの時間を測定した。以上の結果を表10に示す。表10において、乾燥時間が180分(3時間)を超えるものは1日以内での施工が不可能であるとして「×」を記載している。
10m2程度の範囲を1日以内で施工が可能であるか否かを評価すべく、実施例1〜3及び比較例1〜2について、プライマーとトップコートを省いた防水層部分の乾燥時間を測定した。すなわち、室内の5℃、15℃、25℃雰囲気下において、防水層を形成する樹脂組成物の乾燥時間を測定した。樹脂組成物の使用量を0.7kg/m2と1.4kg/m2との二種類とし、また、使用量1.4kg/m2の場合には、補強布を用いた(ただし、比較例1は補強布を有していない仕様であるため補強布は無い)。指触確認により、塗膜が締め固まり、表面の粘着性がなくなるまでの時間を測定した。以上の結果を表10に示す。表10において、乾燥時間が180分(3時間)を超えるものは1日以内での施工が不可能であるとして「×」を記載している。
(各種性能の総合評価:まとめ)
前記表4から前記表10までの試験の結果を総合したものを表11に示す。表11に示すとおり、実施例1〜3それぞれは引張性能、耐衝撃性、作業性、仕上がり感、乾燥性能において優れた特性を有することがわかる。
前記表4から前記表10までの試験の結果を総合したものを表11に示す。表11に示すとおり、実施例1〜3それぞれは引張性能、耐衝撃性、作業性、仕上がり感、乾燥性能において優れた特性を有することがわかる。
〔本実施形態について〕
(1)以上のように、本実施形態の繊維強化樹脂組成物10(図1参照)は、ポリマーエマルションと、セメントを主成分とする無機充填材とを混合攪拌することにより形成されたポリマーセメント組成物11を、ガラスチョップドストランドマット12に含浸させ、硬化させて製造されたものである。
この製造方法によって製造された繊維強化樹脂組成物10は、ガラスチョップドストランドマット12が繊維補強布として用いられることで、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となる。また、前記ポリマーセメント組成物11をガラスチョップドストランドマット12に含浸させ硬化させる際、セメントとポリマーの溶媒である水分とが水和反応を起こすため、水分の揮発乾燥による硬化のみならず、層内部から硬化乾燥を促進させることが可能となる。このため、繊維強化樹脂組成物10は、速乾性を有することができる。
(1)以上のように、本実施形態の繊維強化樹脂組成物10(図1参照)は、ポリマーエマルションと、セメントを主成分とする無機充填材とを混合攪拌することにより形成されたポリマーセメント組成物11を、ガラスチョップドストランドマット12に含浸させ、硬化させて製造されたものである。
この製造方法によって製造された繊維強化樹脂組成物10は、ガラスチョップドストランドマット12が繊維補強布として用いられることで、歩行や各種衝撃に耐久することが可能となる。また、前記ポリマーセメント組成物11をガラスチョップドストランドマット12に含浸させ硬化させる際、セメントとポリマーの溶媒である水分とが水和反応を起こすため、水分の揮発乾燥による硬化のみならず、層内部から硬化乾燥を促進させることが可能となる。このため、繊維強化樹脂組成物10は、速乾性を有することができる。
(2)また、本実施形態のポリマーセメント組成物11は、ポリマーエマルションに水分散性ポリイソシアネート樹脂を添加混合し、さらにセメントを主成分とする無機充填材を混合攪拌して形成されたものである。
このように、ポリマーセメント組成物11に水分散性ポリイソシアネート樹脂が添加配合されることで、ポリマーの架橋反応を導入することができ、例えば一般的に硬化乾燥が遅くなる冬場の低温環境施工時においても、層内部からの硬化乾燥を促進させることが可能になる。つまり、セメント水和反応と、水分散性ポリイソシアネート樹脂によるウレタン架橋反応とが併用されることで、硬化乾燥時間をより一層短縮することができ、施工効率のよい防水施工が可能となる。
このように、ポリマーセメント組成物11に水分散性ポリイソシアネート樹脂が添加配合されることで、ポリマーの架橋反応を導入することができ、例えば一般的に硬化乾燥が遅くなる冬場の低温環境施工時においても、層内部からの硬化乾燥を促進させることが可能になる。つまり、セメント水和反応と、水分散性ポリイソシアネート樹脂によるウレタン架橋反応とが併用されることで、硬化乾燥時間をより一層短縮することができ、施工効率のよい防水施工が可能となる。
(3)また、本実施形態のガラスチョップドストランドマット12は、ガラスチョップドストランドの結合剤としてポリマーエマルションが用いられたものである。
この場合、例えば、施工現場でのガラスチョップドストランドマット12のカットや敷設などの取扱い時にガラス繊維の飛散が少なくなり、施工環境の保全を図ることができる。また、前記のとおり、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌してポリマーセメント組成物11を得ることができるが、このポリマーセメント組成物11を、結合剤としてポリマーエマルションを使用したマット(エマルションマット)に積層含浸させると、適合性に優れるため、表面が平滑で均一な膜を形成することが可能である。
この場合、例えば、施工現場でのガラスチョップドストランドマット12のカットや敷設などの取扱い時にガラス繊維の飛散が少なくなり、施工環境の保全を図ることができる。また、前記のとおり、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌してポリマーセメント組成物11を得ることができるが、このポリマーセメント組成物11を、結合剤としてポリマーエマルションを使用したマット(エマルションマット)に積層含浸させると、適合性に優れるため、表面が平滑で均一な膜を形成することが可能である。
(4)また、本実施形態の防水構造体1(図1参照)は、下地9と、この下地9の上に形成された繊維強化樹脂組成物10を有するものであって、この繊維強化樹脂組成物10は、前記(1)〜(3)に記載の繊維強化樹脂組成物を含むものである。
以上より、ポリマーセメント組成物11をガラスチョップドストランドマット12に含浸させ、硬化させて形成される繊維強化樹脂組成物10を防水層として提供することが可能である。ポリマーセメント組成物11は、水系材料であるため、環境にやさしい。
また、ガラスチョップドストランドマット12を補強材として使う強化プラスチックの採用により、引張強さや衝撃性能に優れた被膜層を下地9に形成することが可能となる。
この結果、本実施形態の防水構造体1を、苛酷な条件で使用される建物の屋上防水や住宅のバルコニー防水に適合した防水層として用いることが可能となる。
また、本実施形態に係る繊維強化樹脂組成物10及び防水構造体1に使用される樹脂組成物として、ポリマーセメント組成物11が使用されているので、施工時の臭気の原因となる揮発成分は含まず、使用にあったっての環境保全を図ることができる。
また、ガラスチョップドストランドマット12を補強材として使う強化プラスチックの採用により、引張強さや衝撃性能に優れた被膜層を下地9に形成することが可能となる。
この結果、本実施形態の防水構造体1を、苛酷な条件で使用される建物の屋上防水や住宅のバルコニー防水に適合した防水層として用いることが可能となる。
また、本実施形態に係る繊維強化樹脂組成物10及び防水構造体1に使用される樹脂組成物として、ポリマーセメント組成物11が使用されているので、施工時の臭気の原因となる揮発成分は含まず、使用にあったっての環境保全を図ることができる。
〔付記〕
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
1:防水構造体
9:下地
10:繊維強化樹脂組成物
11:ポリマーセメント組成物
12:ガラスチョップドストランドマット
9:下地
10:繊維強化樹脂組成物
11:ポリマーセメント組成物
12:ガラスチョップドストランドマット
Claims (5)
- ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌して得たポリマーセメント組成物を、ガラスチョップドストランドマットに含浸させ、硬化させることを特徴とする繊維強化樹脂組成物の製造方法。
- ポリマーエマルションと、
前記ポリマーエマルションと混合させるセメントを含む充填材と、
前記ポリマーエマルションと前記充填材との混合物を含浸させるガラスチョップドストランドマットと、
を含むことを特徴とする繊維強化樹脂組成物用の材料。 - 前記ポリマーエマルションに添加混合させる水分散性ポリイソシアネート樹脂を更に含む請求項2に記載の繊維強化樹脂組成物用の材料。
- 前記ガラスチョップドストランドマットは、ガラスチョップドストランドの結合剤としてポリマーエマルションが用いられたものである請求項2又は3に記載の繊維強化樹脂組成物用の材料。
- 下地と、前記下地の上に形成された繊維強化樹脂組成物と、を有する防水構造体であって、
前記繊維強化樹脂組成物は、ポリマーエマルションと、セメントを含む充填材とを混合攪拌して得たポリマーセメント組成物を、ガラスチョップドストランドマットに含浸させ、硬化させたものであることを特徴とする防水構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014195536A JP2016065408A (ja) | 2014-09-25 | 2014-09-25 | 繊維強化樹脂組成物の製造方法、繊維強化樹脂組成物用の材料、及び、防水構造体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109020366A (zh) * | 2018-08-06 | 2018-12-18 | 南通科顺建筑新材料有限公司 | 一种改性纤维改性的防水浆料及其制备方法 |
JP2019065199A (ja) * | 2017-10-02 | 2019-04-25 | 双和化学産業株式会社 | 繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂組成物用の材料 |
JP2021522149A (ja) * | 2018-04-27 | 2021-08-30 | ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー | 繊維マットタイルバッカーボードのためのフライアッシュを含まないコーティング配合物 |
CN116134000A (zh) * | 2020-08-03 | 2023-05-16 | Each DreaM株式会社 | 复合材料及其制造方法 |
-
2014
- 2014-09-25 JP JP2014195536A patent/JP2016065408A/ja active Pending
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