JP4540154B2 - コンクリート構造物用下地調整材組成物およびその製造方法 - Google Patents

コンクリート構造物用下地調整材組成物およびその製造方法 Download PDF

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    • C04B2111/00482Coating or impregnation materials

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントを結合材として含むコンクリート防食用エポキシ樹脂含有被覆組成物に関するもので、さらに詳しくは、下水道や上水道用のコンクリート構造物の内部表面の下地を調整したり、その他の劣化や湿気のある条件にさらされやすい表面を下地調整するのに適した硬化可能な組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来セメントを主結合材として吹き付材、モルタルなどが建築物の壁面仕上、防水材、コンクリート構造物保護材、床材、舗装材、デッキカバーリング材、防食ライニング材、接着剤等の目的に利用されていることは周知の通りである。これらに使用されるセメントモルタルについて、耐食性や耐衝撃性、機械的物性、耐薬品性や接着性、作業性等を改善するために天然または合成ゴムラテックス、熱可塑性樹脂エマルジョン、或いは熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)等の高分子結合材を添加することは、通常良く行われている。エポキシ樹脂を使用したポリマーセメントについては、一般的にセメント、骨材、エポキシ樹脂、及びエポキシ樹脂の硬化剤を混合し、水を添加して硬化使用されている。
【0003】
一方、これらのポリマーセメントを実用的に利用する場合には、使用する材料例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、セメント、骨材、その他の添加剤等を施工現場で水と混合し混練りして使用する。混合の際の作業の煩雑さから予め工場にて混合し、二材化して作業性を改善する方法がとられている。例えば、エポキシ樹脂と骨材、分散剤及びその他の添加剤を含む一材とセメントを含む硬化剤の二材からなる方法(特開昭56ー50160、特開平3ー69538)が提案されており、また、骨材の表面に液状エポキシ樹脂層を形成させた後、その表面にセメント層を被覆した粒状物の一材と硬化剤の二材からなる方法(特開平8ー81253)が提案されている。
【0004】
エポキシ樹脂を使用するポリマーセメントは、特に、防食性や接着性を向上させることから、その利用は産業上有益である。近年、コンクリート構造物に関して、コンクリートの中性化・塩害・アルカリ骨材反応による耐久性の低下が大きな問題となっている。さらに下水道施設等に於いては、排水処理工程で微生物により硫化水素が酸化されて生成した硫酸によるコンクリート腐食が発生して社会問題となっている。この様な状況から従来以上に耐久性の優れた防食システムが求められてきている。
【0005】
従来、これらのコンクリート施設の防食システムとして、コンクリートの表面層に施工される水性エポキシモルタル材(下地調整材)の層上に、水性エポキシ樹脂プライマー層を施し、その層上にエポキシ樹脂上塗り塗料あるいは尿素樹脂塗料を施工することから構成されている3層構造の防食システムが一般に適用されている。しかし、中間層のプライマー層や上層の上塗り塗料層がどんなに優れた性能であっても、コンクリートの表面層に施される下地調整がきちっと不陸調整されていなければ防食塗膜欠陥が生じて防食機能の維持が困難であるという課題が残り、この課題の解決が重要な問題となっている。
【0006】
新設コンクリートの表面層の場合、通常、コンクリートの型材の影響を受け段差が生じることが多々あり、脱泡不完全の状態で固結した鬆穴やクボミが多数ある劣悪な表面層を形成される。また既設コンクリート施設の場合については、すでに記述した種々の腐食により表面に凹凸が生じて劣悪な表面状態となることが余儀なくされている。これらの表層に下地調整材を施すと塗工直後に下地調整材が凹凸部分や鬆穴へ進入していき、鬆穴や凹凸部分に滞留している空気が置換されて追い出され下地調整層の部分に膨れや下地調整材欠落部分が発生し連続した被覆膜が得られないという問題が発生していた。また、段差部分の不陸調整を必要とする場合に於いては下地調整材が部分的に厚塗り状態になる箇所が出来るため施工した下地調整材がだれてしまい段差の不陸調整が一度に出来ないと言う問題が残っていた。これらの問題を解決するために、従来より、下地調整を何回かに分割施工したり、可能な限り厚膜塗りしたりしてこれらの欠陥を除く方法が一般に行われている。数回の塗工で多層化すれば欠陥部の除去は可能となるが施工工事が著しく長時間を必要となり、一度に膜厚を得ようとすると膜が固化するまでに層がだれて不陸調整が不完全となる等の問題が生じてしまい、これらの問題の解決が望まれていた。また、これらの下地調整材の塗工は、施工面に於いて、現場作業となるので防食膜の性能は勿論であるが、施工時の作業性及び混合作業及び物流の煩雑さを出来るだけ簡略化しておくという視点から主剤側、硬化剤側の二材化にしておくことが必然的に必要としていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等はだれを生じることなく二材からなる下地調整剤について種々検討した結果、セメントとエポキシ樹脂と平均粒径が65〜250μmから選択された骨材と湿潤調整剤を含有する湿潤混合材(A材)と、粘弾性調整剤を含有する水希釈可能な硬化剤(B材)の二材にすることによってだれ防止されたコンクリート構造物用下地調整材組成物を得ることを見出し、本発明を完成したもので、本発明の目的はだれを生じない下地調整剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、セメント、エポキシ樹脂、平均粒径が65〜250μmから選択された骨材、及び湿潤分散剤を含有する湿潤混合材(A材)と粘弾性調整剤及び有機系化合物からなる水和促進剤を含有する水希釈可能な硬化剤(B材)の二材からなるコンクリート構造物用下地調整材組成物であって、該コンクリート構造物用下地調整材組成物中、セメント100重量部に対して粘弾性調整剤が0.1〜0.25重量部、有機化合物からなる水和促進剤が0.05〜0.25重量部の割合で配合されていることを特徴とするコンクリート構造物用下地調整材組成物である。しかし、アルカリ増粘型粘弾性剤調整剤を単純に独立して他の材料に添加するだけでは、本発明の効果を得ることが出来ない。本発明では下地調整材である湿潤混合材(A材)に湿潤調整剤を含有させると共に、粘弾性調整剤を含んだ硬化剤(B材)の二材を混合したときに均一な混合物が得られるのである。下地調整材を施工する際に連続層の均質な膜が発現出来なければ本発明の効果を得る事が出来ない。即ち、本発明のもう一つの要件は、粘弾性調整剤を含有する水希釈可能な硬化剤(B材)は均一な水分散体であって、アルカリ増粘型粘弾性調整剤と水和促進剤が添加されている場合、これらが予め硬化剤に均一に予備分散されている必要があり、且つ湿潤混合材(A材)の形状が均一な湿潤混合状態である事が必要である。この湿潤混合材(A材)を得る為に、最初にセメント及び平均粒径が65〜250μmである骨材を均質混合し、混合中又は混合後に於いてエポキシ樹脂溶液を噴霧若しくは滴下していく方法により実現することが出来る。従来、セメント材料にエポキシ樹脂を混合する場合、エポキシ樹脂の粘度が高くセメントに均一に混合することが困難であり、塊状になり易いという問題が発生していた。
【0009】
本発明では、従来困難とされていたセメントと骨材とエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂溶液の均一な湿潤状態を簡単な方法で可能としたものである。すなわち、最初の混合段階で選択された粒子径の骨材を使用し、骨材粒子とそれより細かいセメント粒子との固体同士の分散混合度を高めて均一な固体混合物を形成させた。その後、湿潤分散剤を含有するエポキシ樹脂溶液を添加し、その際に一時的にエポキシ樹脂溶液の不均一な塊状物が生成されてくるが、その塊状物が湿潤(ウエット)状態であるため小さなエネルギーで容易にほぐせる塊状物となり、骨材同士の間隙に湿潤塊状物がからんで効率よく塊状物をほぐすに必要なエネルギーの伝達が行なわれてすぐにほぐれ、安定で均一な湿潤状態の混合材(A)を製造する事を可能としたものである。従来技術は骨材に、エポキシ樹脂及びセメントが層状に被覆してあったり、硬化剤にセメントを配合する等の方法を使用しなくとも容易な混合方法で湿潤状態を作り出すことが可能となった。
以上のように、本発明は、従来技術として知られている多層構造とは異なるものである。本発明は、エポキシ樹脂湿潤混合材(A材)と粘弾性調整剤、望ましくは、更に水和促進剤が含まれている水希釈可能なエポキシ樹脂硬化剤(B材)のアミンとセメントの水和剤である水とを混合した時、混合系が著しくアルカリ性となるので、この様な系の状態に於いて揺変・増粘性の作用が有効に働く事が可能な粘弾性調整剤を選択使用した事により、粘弾性調整剤が、セメント粒子、アミン粒子及びエポキシ樹脂エマルジョン粒子に結合し、網目構造を形成し揺変・増粘効果が顕著に発現し本発明の効果を奏でることができたことである。比重の大きい且つ比較的荒い粒子を含む組成物の場合、従来、揺変・増粘効果を容易に作り出す事は極めて困難な事であった。本発明により、コンクリート構造物に於ける耐久性の向上に貢献する防食システム用の下地調整剤の供給が可能となった。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明する。
本発明に基づくだれ防止されたコンクリート構造物用下地調整材組成物は、セメントとエポキシ樹脂と平均粒径が65〜250μmから選択された骨材と湿潤分散剤を含有する湿潤混合材(A材)と粘弾性調整剤を含有する水希釈可能な硬化剤(B材)の二材から構成されている。本発明のA材に於いて使用するセメントとは汎用されているセメントであり、例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色セメント等のセメント或いは高炉セメント、コロイドセメント、シリカセメント、フライアツシユセメント等の混合セメントが挙げられ、これらの1種又は2種以上混合して使用することができる。本発明では、更に必要に応じてセメント用添加剤として、メラミン樹脂スルホン酸塩や公知の消泡剤、起砲剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、防錆剤、防水剤、膨張剤、分散剤等を使用することができる。
【0011】
本発明組成物に加える骨材としては珪砂を使用することができる。珪砂の利用に当たり、その粒度を選択する必要があり、6号(平均粒径320μm)、7号(平均粒径190μm)、8号(平均粒径100μm)の細粒珪砂から選ばれる珪砂が有効である。特に8号珪砂が有効である。粒子の荒い3号(平均粒径1380μm)、4号(平均粒径870μm)、5号(平均粒径430μm)を使用するとセメントと骨材とエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂溶液との混合分散が不均一となり均一な湿潤状態のA材が得られなくなり、本発明による効果の実現が困難である。また、8号珪砂に他の粒度の荒い珪砂を配合することが可能であるが、少なくとも8号珪砂が珪砂全体の50重量%以上の割合で配合されていなければならない。50重量%以下になると、セメントと骨材とエポキシ樹脂分散体との混合が不均一となり容易にほぐすことが困難な塊状のものが形成され均一な湿潤状態のA材を得ることができない。又、53μm以下の微粉末が10重量%範囲以内で含有されていても本発明の効果を阻害するものでない。一方、珪砂以外の骨材として川砂、石材破砕物、磁器破砕物、ガラス破砕物、ガラスビーズ等が例示できるが、何れの場合も珪砂の場合に適用される粒度分布を参考にして粒度調整すれば同様に使用することが出来る。本発明の骨材の選択意図は、骨材とセメント粒子が均一に分散混合されることを満たし、且つエポキシ樹脂の添加の際に一時的に生成する塊状物をすりつぶす機能が得られれば骨材の種類を限定するものではない。
【0012】
また、本発明に於いてA材の湿潤分散性を高める為に水に対する溶解性のある湿潤分散剤を使用する事が必要である。使用できる湿潤分散剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類が有効であり代表的には、メタノール、エタノール、ブタノール、イソブタノール等、グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等、グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、A材中に4重量%以下の範囲で使用される。2重量%以下が望ましく4重量%以上になると、物性を低下させることら好ましくない。
必要に応じ他の配合剤として、チヨップドストランドーガラス繊維、合成樹脂短繊維、パルプ、ガラスフレーク、雲母粉、マイカ粉、鱗片状酸化鉄、タルク、クレー、ワックス、瀝青質、石膏、高炉スラグ粉末、ミクロシリカ等が挙げられ用途によって適宜使用することができる。
【0013】
本発明においてA材に使用されるエポキシ樹脂としては、液状及び固形状のいずれも使用することが可能であり、その分子中にエポキシ基を2個以上有し、本発明の硬化剤と常温で反応し、硬化するものであれば良く、種類等の制限はない。汎用性、価格等の面からビスフェノールA型、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が好ましい。エポキシ樹脂に、乳化剤、消泡剤、増粘揺変剤等の添加剤を含むものでも良い。また、一般に市販されているものを使用しても良い。
【0014】
本発明に於いて、B材の水希釈可能な硬化剤成分としては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン及びこれらの誘導体の少なくとも一種を使用する。脂肪族ポリアミンとしては、常温でエポキシ基と反応する活性水素原子を有するアミノ基又は/及びイミノ基を分子中に少なくとも2個以上有する脂肪族化合物であり、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、イミノビスヘキシルアミン等が挙げられる。脂環式ポリアミンとしては、常温でエポキシ基と反応する活性水素原子を有するアミノ基又は/及びイミノ基を分子中に少なくとも2個以上有する脂環化合物であり、例えばキシレンジアミン、3、9ビス(3ーアミノプロピル)ー2、4、8、10テトラオキサスピロ(5、5)ウンデカン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4ーアミノシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。これらの2つのポリアミン誘導体としては例えば脂肪族ポリアミンのエチレンオキサイド付加物、エポキシ樹脂付加物、ポリエチレンポリアミン変性物等の変性脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミンのモノグリシジルエーテル付加物、エポキシ樹脂付加物、アクリルニトリル付加物、脂肪酸グリシジルエステル付加物等の変性脂環式ポリアミン、ポリエチレンポリアミンー脂肪酸、ポリエチレンポリアミンーダイマー酸、キシリレンジアミンーダイマー酸等の縮合反応生成物であるポリアミドアミン並びにその変性物等が挙げられる。以上のポリアミン及びポリアミン誘導体のうち水希釈可能な硬化剤が選択される。ここで水希釈可能な硬化剤に限定しているのは、B材は最終的に粘弾性調整剤、水和促進剤が硬化剤と混合した際に均一な水溶液として安定に維持されることが重要であり、且つ必要条件であることによるものである。これらの水希釈可能な硬化剤中に硬化剤成分が50〜100重量%溶液である事が好ましい。B材は、これらの硬化剤にアルカリ増粘型粘弾性調整剤とA材とB材を混合した際に水和を促進させる働きを示す水和促進剤(例えばエタノールアミン)及び水の順番に加えてディスパーにて均一に攪拌混合して水希釈溶液とする。
【0015】
本発明で使用される水和促進剤は、有機系化合物の内、アミン系化合物が挙げられるが特にアルカノールアミン類が有効である。具体的にはジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が使用され、且つB材に配合されている必要がある。配合量は、セメント100部に対して0.05〜0.25重量部の割合で配合される。0.05重量部以下では促進効果が得られず、0.25重量部以上では、増粘して塗布作業性が悪化して最終的に外観不良をきたしてしまう。無機系化合物、例えば塩化物CaCL2、NaCL、KCLや、亜硝酸塩、硫酸塩等の酸性系は、だれ性の効果を阻害し本発明に適さない。本発明の重要な要素である粘弾性調整剤については、一般に無機系、金属石鹸系、天然物系、セルロース誘導体系、ポリカルボン酸系、ポリエーテル誘導体系、ポリビニル系があるが、本発明に於いては高分子の強固な網目構造を有する高分子型が適用される。最適にはポリカルボン酸誘導体系が好ましく、A材が強いアルカリ性を示すこと、並びにA材とB材の混合過程でpH値範囲が11以上に維持される事を考慮し、中でもアルカリ増粘型粘弾性調整剤が本発明の効果を高めることからより好ましい。配合量は、好ましくはセメント100部に対して0.1〜0.25重量部の割合で配合される。0.1重量部以下では、たれ性、レベリング性の効果が低減し、0.25重量部以上では、硬化性や塗布作業性が悪化して付着強度の低下をきたしてしまうことから好ましくない。このようにして選択された材料を湿潤混合材(A材)及び水希釈可能な硬化剤溶液(B材)のそれぞれに調合され本発明の下地調整材組成物を得ることができる。二材の配合割合は、湿潤混合材(A材)75重量部に対して硬化剤溶液(B材)25部に一定比率で使用出来るように調合して本発明の下地調整材を完成させている。
【0016】
以下、本発明の湿潤混合材(A材)及び硬化剤溶液(B材)の製造方法を例示例示するが、以下の参考例に制限されるものでない。
参考例1(セメント、エポキシ樹脂、平均粒径が65〜250μmから選択された骨材及び湿潤分散剤を含有する湿潤混合材(A材)の製造例)
5Lの万能混合機に、珪砂6号を337.5gと珪砂8号975gにポルトランドセメント2175g投入し室温にて10分攪拌する。次に湿潤分散剤37.5gを含有するエポキシ樹脂溶液262.5gを順次投入し30分攪拌混合する。液体成分を添加した直後は塊状の固まりが見られるが、混合時間が進むに従い、ほぐれ30分攪拌終了時には均一な湿潤状態のA材が得られた。
【0017】
参考例2(粘弾性調整剤を含有する水希釈可能な硬化剤(B材)の製造例)
2Lのディスパー攪拌機を有する混合機に、水希釈可能な硬化剤225gを投入し、水和促進剤(トリエタノールアミン)0.3125gポリカルボン酸誘導体系アルカリ増粘型粘弾性調整剤0.3125gを加え、回転数200rpmで5分間室温にて混合する。次に水を968.75gを10分間で徐々に投入し、投入終了後15分攪拌混合し硬化剤溶液(B材)が得られた。
【0018】
以下、配合処方表1、表2及び表3の処方に基ずく配合量の変更した以外は、参考例1及び2に準じてA材及びB材が得られた。なお表1、表2及び表3の数値は、重量部を示す。
【0019】
【表1】
Figure 0004540154
【0020】
【表2】
Figure 0004540154
【0021】
【表3】
Figure 0004540154
【0022】
本発明の下地調整材組成物は、参考例により製造されたA材とB材を施工前にそれぞれ所定量計量しハンドミキサー、コンクリートミキサー、シャベル、コテ等で全体が均等になるまで充分混練した後、コテ塗り、ヘラ塗り等の方法で塗工することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を詳細に説明する。
実施例1〜7及び比較例1〜7
実施例1〜7及び比較例1〜7について表1、表2に示す各配合剤を夫々の表に表示してある配合割合をもって混合してA材とB材を形成した。なお、比較例1は塩化物である塩化物カルシュウムを使用した場合、比較例2及び比較例3は骨材の平均粒径が大きい場合、比較例4は湿潤分散剤を含まない場合、比較例5はアルカリ増粘型粘弾性調整剤を増やした場合、比較例6はトリエタノールアミンを増やした場合、及び比較例7は骨材の平均粒径の小さい場合として骨材粉(平均粒径10μm)を添加した場合をそれぞれ示す。
次いで、A材及びB材を混合して全体が均一な分散混合系となるように充分混練してコンクリート構造物用下地調整剤とした。
得られたコンクリート構造物用下地調整剤をコンクリート表面へ塗工試験した。その結果を表4に示す。
【0024】
【表4】
Figure 0004540154
【0025】
下地調整材の塗工試験は、試験用コンクリートを用い、実施例、比較例の下地調整材組成物を作成し、A材の外観性状を観察後、コンクリート表面に塗布量1Kg/m2で膜厚0.5mmになる様に規定のB材を均一混合し、塗膜の作業性、だれ性、硬化性、塗膜外観、上塗り含浸性、付着強度を測定比較し表4の結果を得た。
【0026】
判定基準は以下の方法により判定した。
◇A材の外観 湿潤状態で塊状の固まりがない 判定 ○
性状 湿潤状態で塊状の固まりが存在する。 判定 ×
◇塗布作業性 塗工時コテ切れが良く、下地に対してなじみが良い・・・・判定 ○
塗工時コテ切れが悪く、下地に対してなじみが不良・・・・判定 ×
◇だれ性 垂直面に3mm厚を塗工して5分後にだれていない・・・・判定 ○
垂直面に3mm厚を塗工して5分後にだれ現象発生・・・・判定 ×
◇硬化性 20℃60%湿度雰囲気で10時間後に指触硬化・・・・判定 ○
20℃60%湿度雰囲気で10時間後に未硬化・・・・判定 ×
◇塗膜外観 塗面にフクレが無く平滑な表面が得られている・・・判定 ○
塗面にフクレが発生し平滑な表面が得られていない・・・判定 ×
◇上塗り含浸性 塗布して1日後に塗布したプライマーが浸透している・・・判定 ○
塗布して1日後に塗布したプライマーが浸透していない・・・判定 ×
◇付着強度 20℃60%湿度雰囲気で14時間養生後に付着強度を測定する
10kg/cm2以上 判定 ○
10kg/cm2以下 判定 ×
【0027】
【発明の効果】
セメントと粒度調整を行った骨材とエポキシ樹脂の均一な湿潤状態を簡単な方法で製造可能とし、安定で均一に分散混合したエポキシ樹脂湿潤混合材(A材)とアルカリ増粘型粘弾性調整剤と水和促進剤を含む水希釈可能なエポキシ樹脂硬化剤(B材)の二材を混合することにより、混合時にアルカリ性が維持されて、B材に含まれるアルカリ増粘型粘弾性調整剤が、セメント粒子、アミン粒子及びエポキシ樹脂エマルジョン粒子に結合し、網目構造を形成し揺変・増粘効果が顕著に発現させることにより、だれ性を防止したコンクリート下地調整材組成物を見いだすことが出来た。この事により、比重の重い且つ比較的荒い粒径を含む組成物であるにもかかわらず、だれ性が改善され、コンクリートの下地調整能が飛躍的に向上させることが可能となった。また、現場施工面に於いては一度の塗工で厚塗りが可能となり、鬆穴からの膨れの発生を押さえ連続層からなる下地調整が可能となり防食性の向上と工期の短縮が同時に達成することができる。

Claims (5)

  1. セメント、エポキシ樹脂、平均粒径が65〜250μmから選択された骨材、及び湿潤分散剤を含有する湿潤混合材(A材)と粘弾性調整剤及び有機系化合物からなる水和促進剤を含有する水希釈可能な硬化剤(B材)の二材からなるコンクリート構造物用下地調整材組成物であって、該コンクリート構造物用下地調整材組成物中、セメント100重量部に対して粘弾性調整剤が0.1〜0.25重量部、有機化合物からなる水和促進剤が0.05〜0.25重量部の割合で配合されていることを特徴とするコンクリート構造物用下地調整材組成物
  2. 水希釈可能な硬化剤が、水溶性変性アミン系硬化剤である請求項1記載のコンクリート構造物用下地調整材組成物。
  3. 骨材が、平均粒径が65〜250μmから選択された珪砂である請求項1または2記載のコンクリート構造物用下地調整材組成物。
  4. B材配合の粘弾性調整剤がアルカリ増粘型粘弾性調整剤である請求項1〜3の何れかの項記載のコンクリート構造物用下地調整材組成物。
  5. セメント及び骨材との混合中又は混合後にエポキシ樹脂と湿潤分散剤、更に必要に応じて増粘揺変剤等の添加剤を含むエポキシ樹脂溶液を噴霧若しくは滴下して、セメント、骨材、エポキシ樹脂及び湿潤分散剤を含む請求項1〜4の何れかの項記載の湿潤混合材(A材)を製造する方法。
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