JP4651336B2 - 耐硫酸性モルタル組成物及びコンクリート防食防水工法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐硫酸性モルタル組成物及びコンクリート防食防水工法に関する。
コンクリート防食防水工法としては、例えば、コンクリート表面に樹脂等を塗装する工法が知られている。この工法では、コンクリート表面に存在する小さな気泡、突起等に起因する塗装の不都合を改善するために、コンクリート表面にポリマーセメントモルタル、樹脂パテ材等からなる素地調整層を設ける場合がある。素地調整層を形成した場合には、コンクリート表面から樹脂層への水分(水蒸気)の放散が抑制されるため、水分の放散に起因する樹脂層のフクレ等の発生を抑制できる。また、特に下水道関連施設に用いられるコンクリート構造物にあっては、下水中に含まれている微生物が生成する硫酸によってコンクリート表面が侵食される問題があるが、素地調整層を形成する場合には、樹脂層に損傷が生じた場合でも、硫酸によるコンクリート表面の侵食を遅らせることができる。
従来、素地調整層としては、防水性モルタルからなるものが知られている。例えば、特許文献1には、セメント、液状エポキシ樹脂水分散体、硬化剤及びポゾランを含む防水性組成物が開示されており、該素地調整層の形成に使用されている。液状エポキシ樹脂水分散体は、有機溶剤を用いた樹脂溶液と異なり、火災、溶剤中毒等を防止できる上、水で容易に希釈できる特徴がある。特許文献2には、水系の架橋型エポキシ樹脂エマルションと水硬性微小セメント系フィラーとを含有する下地層用塗布液が開示されており、該素地調整層の形成に使用されている。また、特許文献3には、水可溶性エポキシ樹脂とセメントモルタルとの複合材が開示されており、該素地調整層の形成に使用されている。具体的には、防食防水工法では、コンクリート表面にプライマー/素地調整層/プライマー/樹脂層を順に形成する工法が知られており、コンクリート表面のプライマーを下塗り層、素地調整層表面のプライマーを中塗り層、樹脂層を上塗り層(仕上げ層とも言う)と称している。プライマー層は、隣接層間の密着性を高めるために設けられる。
しかしながら、これら従来技術に係る素地調整層は、いずれも遮水性が十分ではなく、コンクリート表面からの水分の放散を長期にわたり抑止するには至っておらず、水分の透過により仕上げ層である樹脂層の硬化が不十分となる問題がある。また、素地調整層の耐硫酸性も不十分であるため、樹脂層に損傷が生じた場合には、下水中の硫酸が素地調整層を浸透してコンクリート表面を侵食することを、長期にわたり安定に防止することができない。従って、耐硫酸性の高い素地調整層を形成する技術開発が望まれている。また、耐硫酸性と併せて高い遮水性も発現する素地調整層の開発も望まれている。
特開平5−44421号公報 特開平3−191162号公報 特開平10−176424号公報
本発明は、コンクリート防食防水工法に適した、耐硫酸性(好ましくは耐硫酸性及び遮水性)が高い素地調整層の形成に好適な、耐硫酸性モルタル組成物を提供することを主な目的とする。なお、本明細書では、素地調整層を耐硫酸性層とも称する。
また、本発明は、該耐硫酸性層を形成することを特徴とする、長期安定性に優れた耐硫酸性を付与できるコンクリート防食防水工法を提供することも目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、1)液状エポキシ樹脂、2)該樹脂の硬化剤であって、アミン水溶液及びアミン水分散体からなる群から選択された少なくとも1種、3)セメント、並びに、4)フィラーを含有する組成物であって、セメント100重量部に対して、液状エポキシ樹脂と該樹脂の硬化剤とを、液状エポキシ樹脂の重量と硬化剤中のアミンの重量との合計が5〜50重量部となるように含有し、且つ、セメント100重量部に対して、フィラーを10〜95重量部含有してなる組成物が上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の耐硫酸性モルタル組成物及びそれを用いたコンクリート防食防水工法に係るものである。
1.1)液状エポキシ樹脂、2)該樹脂の硬化剤であって、アミン水溶液及びアミン水分散体からなる群から選択された少なくとも1種、3)セメント、並びに、4)フィラーを含有する組成物であって、セメント100重量部に対して、液状エポキシ樹脂と該樹脂の硬化剤とを、液状エポキシ樹脂の重量と硬化剤中のアミンの重量との合計が5〜50重量部となるように含有し、且つ、セメント100重量部に対して、フィラーを10〜95重量部含有してなる耐硫酸性モルタル組成物。
2.セメントが、混合セメント及びアルミン酸石灰質セメントからなる群から選択された少なくとも1種を含有する上記項1記載の耐硫酸性モルタル組成物。
3.セメント100重量部に対するフィラー含有量が20〜80重量部である上記項1又は2記載の耐硫酸性モルタル組成物。
4.上記項1〜3のいずれかに記載の耐硫酸性モルタル組成物からなる耐硫酸性層をコンクリート表面に形成する工程を含むコンクリート防食防水工法。
5.上記項1〜3のいずれかに記載の耐硫酸性モルタル組成物からなる耐硫酸性層をコンクリート表面に形成後、該耐硫酸性層の表面に樹脂層を形成することを特徴とするコンクリート防食防水工法。

以下、本発明の耐硫酸性モルタル組成物及びそれを用いたコンクリート防食防水工法について詳細に説明する。
耐硫酸性モルタル組成物
本発明の耐硫酸性モルタル組成物は、1)液状エポキシ樹脂、2)該樹脂の硬化剤であって、アミン水溶液及びアミン水分散体からなる群から選択された少なくとも1種、3)セメント、並びに、4)フィラーを含有する組成物であって、セメント100重量部に対して、液状エポキシ樹脂と該樹脂の硬化剤とを、液状エポキシ樹脂の重量と硬化剤中のアミンの重量との合計が5〜50重量部となるように含有し、且つ、セメント100重量部に対して、フィラーを10〜95重量部含有してなる。
このように、セメント100重量部に対して、液状エポキシ樹脂と該樹脂の硬化剤とを、液状エポキシ樹脂の重量と硬化剤中のアミンの重量との合計が5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部となるように含有し、且つ、セメント100重量部に対して、フィラーを10〜95重量部、好ましくは20〜80重量部含有してなる組成物は、それをコンクリート表面に塗布・乾燥させてなる素地調整層が優れた耐硫酸性を有するため、該層を形成する場合には、コンクリートに対して耐硫酸性の高い防食効果を付与できる。
以下、耐硫酸性モルタル組成物を構成する各成分について説明する。
(液状エポキシ樹脂)
液状エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有するものであって、常温(20℃)において液状で存在し、所定の硬化剤との混合により容易に硬化するものであれば特に限定されない。液状エポキシ樹脂の軟化点は、35℃以下が好ましい。このような液状エポキシ樹脂としては、例えば、汎用性、価格等を考慮すると、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。
液状エポキシ樹脂は、必要に応じて、乳化剤、保護コロイド、消泡剤等の添加剤を混合して用いてもよい。添加剤の種類、添加量等は、液状エポキシ樹脂の種類、所望の特性等に応じて適宜設定できる。
(液状エポキシ樹脂の硬化剤)
液状エポキシ樹脂の硬化剤としては、該樹脂との混合により容易に硬化が達成できるものであれば特に限定されない。本発明の製造方法では、このような硬化剤として、アミン水溶液及び水分散体からなる群から選択された少なくとも1種を使用する。
アミンとしては特に限定されず、液状エポキシ樹脂の硬化に有効なものであればよいが、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン等が好適である。
脂肪族ポリアミンは、常温でエポキシ基と反応する活性水素原子を有するアミノ基及びイミノ基を分子中に少なくとも2個以上有する脂肪族化合物である。例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、イミノビスヘキシルアミン等が挙げられる。
脂環式ポリアミンは、常温でエポキシ基を反応する活性水素原子を有するアミノ基及びイミノ基を分子中に少なくとも2個以上有する脂環式化合物である。例えば、キシリレンジアミン、3,9ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
これらのアミンの誘導体も使用できる。例えば、脂肪族ポリアミンのエチレンオキサイド付加物、エポキシ樹脂付加物、ポリエチレンポリアミン変性物等の変性脂肪族ポリアミン;脂環式ポリアミンのモノグリシジルエーテル付加物、エポキシ樹脂付加物、アクリルニトリル付加物、脂肪酸グリシジルエーテル付加物の変性脂環式ポリアミン;ポリエチレンポリアミン−脂肪酸、ポリエチレンポリアミン−ダイマー酸、キシリレンジアミン−ダイマー酸等の縮合反応生成物であるポリアミドアミン;並びにこれらの変性物等が挙げられる。
これらのアミンは、水溶液又は水分散体の状態で使用する。水の混合量は特に限定されず、溶解又は分散を十分に行える量であればよいが、本製造方法で調製する耐硫酸性組成物の製造に必要水量を満たすように設定することが好ましい。勿論、硬化剤の取扱い易さを考慮して硬化剤中の水量を低く設定しておき、耐硫酸性組成物の調製に必要な全成分を混合時に不足する水を別途加えてもよい。
なお、液状エポキシ樹脂と硬化剤との混合比は、樹脂及びアミンの種類に応じて変動するため特に限定されないが、当量割合で表して、液状エポキシ樹脂:硬化剤=1〜3:0.4の範囲内が好ましい。
(セメント)
セメントとしては、水との混合により硬化する水硬性セメントであれば限定されない。
例えば、ケイ酸石灰質セメント(例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント;高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメント)、アルミン酸石灰質セメント、ケイ酸アルミン酸石灰質セメント、リン酸セメント等が広く使用できる。これらのセメントは、1種又は2種以上を混合して使用できる。この中でも、混合セメント、アルミン酸石灰質セメント等が好ましく、混合セメントの一種である高炉セメントが特に好ましい。
高炉セメントには、JIS R 5211において、スラグ量が5%を超え30%以下のA種、スラグ量が30%を超え60%以下のB種、スラグ量が60%を超え70%以下のC種があり、この中でもB種が好ましい。
セメント重量に対する、液状エポキシ樹脂と硬化剤との合計重量は、セメント100重量部に対して、液状エポキシ樹脂と硬化剤中のアミンの重量との合計が5〜50重量部であればよく、好ましくは10〜40重量部程度である。硬化剤がアミン水溶液の場合には、水溶液調製前のアミンの重量を考慮する。この範囲内に設定することにより、優れた耐硫酸性を発揮できる。
(フィラー)
フィラーとしては、セメント、コンクリート等の分野で通常使用される骨材を広く使用できる。例えば、珪砂、寒水砂、川砂等の天然骨材;陶磁器片、ガラス粒等の着色骨材、パーライト、バーミキュライト、シラス球等の軽量骨材、汚泥焼成骨材等の再生骨材等の人工骨材が挙げられる。これらの中でも、化学的に安定であって、平均粒子径が0.15mm以上のものが一般に使用される。また、骨材と同様な機能を有する骨材相当物も使用できる。これらの骨材は、1種又は2種以上を混合して使用できる。
フィラーの含有割合としては、セメント100重量部に対して、10〜95重量部であればよく、20〜80重量部が好ましい。この範囲内に設定することにより、本発明モルタル組成物の硬化時に、フィラー周囲に形成される連続気泡の量を低減できるため、高密度の硬化物が得られて耐硫酸性がより向上する。
(他の成分)
本発明の耐硫酸性モルタル組成物に含まれる水量は、セメント硬化に十分な量であれば特に限定されない。通常は、セメント100重量部に対して、30〜100重量部、好ましくは35〜50重量部程度である。水の供給源は特に限定されず、硬化剤に含まれる水のみを用いてもよいし、不足する場合には、別途水を加えて調整してもよい。
本発明の耐硫酸性モルタル組成物は、上記以外の成分を添加剤として含有してもよい。添加剤としては、例えば、混和材、混和剤等が挙げられる。
混和材としては、通常セメントに配合して用いられる混和材を広く用いることができ、具体的には、フライアッシュ、シリカフューム、ポゾラン、高炉スラグ、ケイ酸質微粉末、鉱物質微粉末等が挙げられる。混和材は微粉末であり、平均粒子径は一般に0.15mm以下である。
混和剤としては、AE剤、減水剤、AE減水剤、減水促進剤、減水遅延剤、促進剤、遅延剤、急結剤、防水剤、起泡剤、発泡剤、保水剤、接着剤、防水剤等が例示できる。
より具体的には、AE剤としては、陰イオン系、非イオン系、陽イオン系又は両性イオン系のAE剤が使用できる。この中でも、非イオン系のAE剤が好適である。
減水剤としては、リグニンスルホン酸塩系、高級多価アルコールのスルホン酸塩系、オキシ有機酸、アルキルアリルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオール複合体の減水剤を任意に使用できる。この中でも、リグニンスルホン酸塩系の減水剤が好適である。
混和材及び混和剤の添加量は特に限定されず、耐硫酸性組成物の所望の特性等に応じて適宜設定できる。
耐硫酸性モルタル組成物の製造方法
本発明の耐硫酸性モルタル組成物の製造方法は特に限定されず、該組成物の製造に必要な各材料を混合(混練り)することにより製造できる。例えば、耐硫酸性組成物の調製に必要な成分を各々計量し、一度に混練りする方法の他、工場で予め、セメント及びフィラー(記の固体の混和材、固体の混和剤等も含めてよい)を混合した固体材料;液状エポキシ樹脂;及び硬化剤その他の液体材料を各々セットにして調製し、施工現場で適宜混合する方法が挙げられる。
混合の際は、例えば、ハンドミキサー、コンクリートミキサー、シャベル等で全体が均一になるまで十分に混合(混練り)すればよい。各成分の混合比については、前記の通りである。
このように、本発明の耐硫酸性モルタル組成物の製造方法は限定的ではないが、液状エポキシ樹脂を予め水溶液又は水分散体とすることなく、他の成分と混合する場合には、耐硫酸性モルタル組成物に耐硫酸性のみならず、優れた遮水性も付与できる。
即ち、1)液状エポキシ樹脂、2)該樹脂の硬化剤であって、アミン水溶液及びアミン水分散体からなる群から選択された少なくとも1種、3)セメント、並びに、4)フィラーを混合する製造方法であって、液状エポキシ樹脂を予め水溶液又は水分散体とすることなく他の成分と混合する製造方法は、耐硫酸性のみならず遮水性も付与できる観点から好ましい。液状エポキシ樹脂の水溶液又は水分散体を予め調製することとならない態様で混合することが、遮水性の発現に寄与する。
コンクリート防食防水工法
本発明の耐硫酸性モルタル組成物は、コンクリート防食防水工法に好適に適用できる。
本発明のコンクリート防食防水工法は、該耐硫酸性モルタル組成物からなる耐硫酸性層をコンクリート表面に形成する工程を含むことを特徴とする。
耐硫酸性層は、コンクリート表面に本発明の耐硫酸性モルタル組成物を塗布後、乾燥させることにより形成できる。塗布に際しては、コテ塗り、吹き付け塗り、ハケ塗り、へら塗り等の方法が採用できる。液状エポキシ樹脂をそのまま用いる製造方法により耐硫酸性モルタル組成物を調製した場合には、耐硫酸性層は遮水性も優れている。
耐硫酸性層の厚みは特に限定的ではないが、通常0.3〜3mm、好ましくは0.5〜1.5mm程度である。0.3mm未満の場合には、耐硫酸性が不十分となる場合がある。3mmを超える場合には、所定の効果の向上が少なく、不経済である。
耐硫酸性層の密度は、耐硫酸性組成物の組成に応じて変動するが、特に液状エポキシ樹脂をそのまま使用する製造方法では、高密度な耐硫酸性層を形成できる。具体的には、1〜2.5g/cm3、好ましくは1.3〜1.8/cm3程度である。この程度の高密度化された耐硫酸性層であれば、遮水効果も十分に発揮できる。
このような耐硫酸性に優れた耐硫酸性層は、コンクリート防食防水工法において最表面に形成された樹脂層に損傷が生じた場合でも、下水等に含まれる硫酸成分による侵食を十分に抑制し、コンクリートの防食効果を発揮する。また、高密度な耐硫酸性層を形成した場合には、コンクリート表面から放散される水分の透過を十分に抑制でき、さらに遮水性層の表面に後記する樹脂層を直接形成しても、樹脂層との密着性が高く、樹脂層のフクレ等も十分に抑制できる。
なお、耐硫酸性層の形成前に、コンクリート表面にプライマー層を形成してもよい。この場合には、コンクリートと耐硫酸性層との密着強度を高めることができる。プライマー層は、例えば、1液型ウレタン樹脂、水系ウレタン樹脂、無溶剤型エポキシ樹脂、水系エポキシ樹脂等の公知のプライマー剤をコンクリート表面に塗布し、乾燥させることにより形成できる。
耐硫酸性層の表面には、樹脂層(上塗り層)を形成する。樹脂は特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ノンスチレン型ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の中から、目的、用途に応じて選択することができる。樹脂層は、必要に応じて、ガラスクロス等の補強材を含めた態様で形成することもできる。樹脂の塗布方法、塗膜の厚み等は特に限定されず、防食防水工法の目的等に応じて適宜設定できる。
本発明のコンクリート防食防水工法では、本発明の耐硫酸性組成物からなる耐硫酸性層を形成することにより、コンクリートに優れた耐硫酸性を付与できる。そのため、該防食防水工法を施したコンクリートは、下水道関連施設に好適に適用できる。また、上記特別の製造方法により耐硫酸性組成物を調製した場合には、耐硫酸性層に耐硫酸性のみならず、優れた遮水性も付与できる。そのため、耐硫酸性層の層強度の補填、引き剥がし抵抗性の補填等を目的として、耐硫酸性層と樹脂層との間にプライマー層を形成する必要がない。
セメント100重量部に対して、液状エポキシ樹脂と該樹脂の硬化剤とを、液状エポキシ樹脂の重量と硬化剤中のアミンの重量との合計が5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部となるように含有し、且つ、セメント100重量部に対して、フィラーを10〜95重量部、好ましくは20〜80重量部含有してなる組成物は、それをコンクリート表面に塗布・乾燥させてなる素地調整層が優れた耐硫酸性を有するため、該層を形成する場合には、コンクリートに対して耐硫酸性の高い防食効果を付与できる。
特定の製造方法により耐硫酸性組成物を調製した場合には、耐硫酸性のみならず遮水性も付与できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1及び比較例1〜2
下記表1に示す成分を含有する耐硫酸性組成物を調製した。
耐硫酸性組成物は、各成分を十分に混合(混練り)することにより調製した。
Figure 0004651336
*1:商標「ジョリシールJBX-104A」アイカ工業(株)製、ビスフェノール系エポキシ樹脂
*2:商標「エピレッツ7148」ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノール系エポキシ樹脂(軟化点0℃以下)70重量部を30重量部の水に分散させたもの
*3:商標「ゼナミド♯250」コグニスジャパン(株)製、アミン価425〜450
*4:商標「ゼナミド♯2000」コグニスジャパン(株)製、アミン価580〜620
*5:商標「ジョリシールJBX−104SB」アイカ工業(株)製
*6:商標「マイクロシリカ」昭和化学工業(株)製、平均粒径0.15μm
*7:減水剤
実施例1及び比較例2では、アミンは水分散体としてから使用した。
表1に示す配合により3種類の円筒状コンクリート試験体を作製した。試験体の大きさはφ75mm×高さ150mmであり、JIS A 1132 (コンクリートの強度試験用試験体の作り方)に準じて作製した。
試験体は作製1日後に脱型し、材齢28日まで20±2℃で湿空養生を行った。
次いで、3種類の試験体を、20±2℃の5重量%の硫酸溶液中に30日間浸漬した。硫酸溶液は7日毎に新しいものに交換した。30日後に試験体の表面を観察し、コンクリート表面からの硫酸浸透深さを調べた。該硫酸浸透深さ試験は、東京都の「コンクリート改修技術マニュアル」規定の方法に従って行った。
試験結果を下表2に示す。
Figure 0004651336



Claims (5)

  1. 1)液状エポキシ樹脂、
    2)該樹脂の硬化剤であって、アミン水溶液及びアミン水分散体からなる群から選択された少なくとも1種、
    3)セメント、並びに、
    4)フィラー
    混合する工程を含む、耐硫酸性モルタル組成物の製造方法であって、
    前記混合する工程は、以下の(i)〜(iii)で示される材料、
    (i)前記3)セメント及び前記4)フィラーを含む固体材料、
    (ii)予め水溶液又は水分散体としていない、常温(20℃)において液状で存在する前記1)液状エポキシ樹脂、及び
    (iii)前記2)硬化剤を含む液体材料
    を混合する工程である、耐硫酸性モルタル組成物の製造方法であり、
    前記モルタル組成物は、セメント100重量部に対して、液状エポキシ樹脂と該樹脂の硬化剤とを、液状エポキシ樹脂の重量と硬化剤中のアミンの重量との合計が5〜50重量部となるように含有し、且つ、
    セメント100重量部に対して、フィラーを10〜95重量部含有る、
    耐硫酸性モルタル組成物の製造方法
  2. セメントが、混合セメント及びアルミン酸石灰質セメントからなる群から選択された少なくとも1種を含有する請求項1記載の耐硫酸性モルタル組成物の製造方法
  3. セメント100重量部に対して、フィラー20〜80重量部含有する、請求項1又は2記載の耐硫酸性モルタル組成物の製造方法
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって得られた耐硫酸性モルタル組成物からなる耐硫酸性層をコンクリート表面に形成する工程を含むコンクリート防食防水工法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって得られた耐硫酸性モルタル組成物からなる耐硫酸性層をコンクリート表面に形成後、該耐硫酸性層の表面に樹脂層を形成することを特徴とするコンクリート防食防水工法。
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