本実施の形態を具体的に説明する前に、概要を述べる。本実施の形態は、車両の駐車を支援する駐車支援装置に関する。ここでは、車両の駐車の動作を開始させる位置(以下、駐車開始位置」という)から駐車目標の駐車領域(以下、「駐車目標領域」という)まで車両が移動する場合の操舵を駐車支援装置が自動的に実行するが、アクセル操作、制動操作、シフト操作が運転者によってなされるものとする。この駐車支援装置は、撮像装置で撮像した画像をもとに駐車枠の線を駐車領域として検知し、駐車開始位置から駐車領域まで車両が移動すべき経路(以下、「駐車経路」という)を生成し、駐車経路に沿って車両を移動させる。なお、駐車枠の線は、例えば、白線であるが、オレンジ線のようなその他の色の線であってもよい。ここでは、説明を明瞭にするために白線であるとする。
ここでは、複数の駐車領域が並んで配置されており、そのうちの1つの駐車領域(以下、「目標駐車領域」という)に車両を並列駐車させる場合を想定する。車両の側方に目標駐車領域が存在する場合、車両は前方部分を目標駐車領域の反対側に向け、かつ後方部分を目標駐車領域側に向けるように曲がりながら前進する。車両は、後進開始位置で停車してから、後方部分から目標駐車領域に進入するように曲がりながら後進する。その際、車両の前方部分は、後進開始位置よりも目標駐車領域の反対側にふくらむように移動する。そのため、車両の前方部分において障害物に接触する危険性が高まる。
このような危険性は、駐車経路の生成に反映されるべきである。これに対応するために、車体が進入しない領域(以下、「非進入領域」という)と、進入する領域(以下、「進入領域」という)との境界線を生成して運転者に提示し、進入領域に障害物が存在しないことを運転者が確認してから、駐車経路が生成されればよい。しかしながら、境界線が俯瞰画像上に線で示される場合、境界線が見えづらい。また、俯瞰画像は運転者の視点とは異なる画像であるので、直感的に分かりづらい。そのため、より分かりやすい提示が求められる。
本実施の形態に係る駐車支援装置は、車両の前方を撮像した画像に、前述の境界線を高さ方向に延ばした壁を重畳させて(以下、壁が重畳された画像を「重畳画像」という)表示装置に表示する。つまり、境界線を示す壁が立体的に表示される。そのため、壁の手前側が進入領域に相当し、壁の奥側が非進入領域に相当する。運転者は、表示装置に表示された重畳画像を見て、壁の手前側に障害物が存在していなければ、駐車経路の生成を駐車支援装置に指示する。
以下、本実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態は一例であり、本開示はこれらの実施の形態により限定されるものではない。
図1は、本実施の形態に係る車両100の構成を示し、特に駐車支援に関する構成を示す。車両100は、撮像装置10、操作装置12、表示装置14、検出部16、移動制御装置20、駐車支援装置30を含む。検出部16はセンサ24を含む。駐車支援装置30は、表示処理部40、提示部42、受付部44、取得部46、変換部48、検知部50、制御部52を含み、制御部52は、生成部56、移動処理部58を含む。また、図1に示す各装置の間は、専用線あるいはCAN(Controller Area Network)等の有線通信で接続されてもよい。また、USB(Universal Serial Bus)、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の有線通信または無線通信で接続されてもよい。
検出部16は、車両100の周囲状況および走行状態を検出する。検出部16は、例えば、車両100の位置情報、車両100の周辺の障害物、車両100の状態を検出する。検出部16は、検出した各種情報(以下、「検出情報」という)を駐車支援装置30に出力する。検出部16はセンサ24を含む。
センサ24は、車外の状況および車両100の状態を検出するための各種センサの総称である。車外の状況を検出するためのセンサとして例えばカメラ、ミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、ソナー、気温センサ、気圧センサ、湿度センサ、照度センサ等が搭載される。車外の状況は、自車の走行する道路状況、天候を含む環境、自車周辺状況、近傍位置にある他車両を含む。なお、センサ24が検出できる車外の情報であれば何でもよい。また車両100の状態を検出するためのセンサ24として例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、傾斜センサ、舵角センサ、速度センサ、シフトセンサ等が搭載される。
表示処理部40は、検出部16からの検出情報を受けつける。表示処理部40は地図画面を生成する。地図画面の生成には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、表示処理部40は、地図画面をもとに経路案内を実行してもよいが、ここではその説明を省略する。表示処理部40は、地図画面を提示部42に出力する。提示部42は、表示処理部40から受けつけた地図画面を表示装置14に表示させる。表示装置14は、例えば、車両100のインストルメントパネルに配置されるナビゲーションシステムのディスプレイである。図2a-図2bは、表示装置14に表示される画面を示す。図2aは、地図画面を示す。運転者は、地図画面を確認しながら、車両100を並列駐車可能な場所まで車両100を移動させる。図2bについては後述し、図1に戻る。
操作装置12は、ボタン、ダイヤル等によって構成され、運転者からの指示を受けつける。なお、操作装置12は、表示装置14と一体的に構成されたタッチパネルでもよい。操作装置12は、例えば、駐車支援の開始のボタン(以下、「駐車支援開始ボタン」という)を含み、運転者による駐車支援開始ボタンの押し下げを検出する。受付部44は、操作装置12における駐車支援開始ボタンの押し下げを受けつけると、駐車支援開始を表示処理部40に指示する。表示処理部40は、駐車支援開始の指示を受けつけると「駐車枠検出中」を示す画面を生成して提示部42に出力する。提示部42は、表示処理部40から受けつけた画面を表示装置14に表示させる。図2bは、表示装置14に表示される「駐車枠検出中」の画面を示す。図示のごとく、「駐車枠検出中」の文字が示される。図1に戻る。
撮像装置10は、自車両100の周囲の画像を撮像可能である。なお、複数の画像が時系列に並べられることによって映像が構成されてもよい。図3は、撮像装置10の配置を示し、これは車両100の上面図に相当する。車両100は、撮像装置10と総称される第1撮像装置10a、第2撮像装置10b、第3撮像装置10c、第4撮像装置10dを含む。第1撮像装置10aは、フロントカメラとも呼ばれ、車両100のフロントグリルに設置され、前方の領域を地面に対して斜めに見下ろす方向に撮像する。第2撮像装置10bは、左サイドカメラとも呼ばれ、車両100の左側サイドミラーに設置され、左側方の領域を地面に対して斜めに見下ろす方向に撮像する。第3撮像装置10cは、リアカメラとも呼ばれ、車両100のトランク付近に設置され、後方の領域を地面に対して斜めに見下ろす方向に撮像する。第4撮像装置10dは、右サイドカメラとも呼ばれ、車両100の右側サイドミラーに設置され、右側方の領域を地面に対して斜めに見下ろす方向に撮像する。これらの撮像装置10のうち、第1撮像装置10aと第3撮像装置10cは、車両100の非側方(車両100の前方または後方)に向かって画像を撮像する。これらの撮像装置10は、例えば180°程度の画角を有する広角カメラであり、車両100の全周が撮像されるように配置される。撮像装置10は、撮像した画像を駐車支援装置30に順次出力する。
取得部46は、各撮像装置10において撮像した画像を順次受けつける。取得部46は、画像を表示処理部40、変換部48、検知部50に出力する。変換部48は、取得部46から受けつけた画像、つまり斜め上から撮像した画像に対して、真上からの画像となるような視点変換処理を実行することによって俯瞰画像を生成する。俯瞰画像は、車両100の周囲を撮像した画像である。変換部48は、生成した俯瞰画像を表示処理部40に出力する。検知部50は、取得部46からの画像を受けつける。検知部50は、画像に対して駐車枠の白線を画像認識処理により検知する。
図4a-図4bは、駐車支援装置30による処理の概要を示す。図4aは、検知部50における処理の一例を示す。駐車領域200と総称される第1駐車領域200aから第3駐車領域200cが並んで配置される。各駐車領域200は、車両が並列駐車可能な領域であり、横方向に延びる長辺と縦方向に延びる短辺とによって形成される横長の矩形状を有し、長辺を隣接の駐車領域200に接して配置される。また、駐車領域200の外縁部は例えば白線で囲まれている。駐車領域200の数は「3」に限定されない。ここでは、一例として第1駐車領域200aに第1駐車車両110aが存在し、第3駐車領域200cに第2駐車車両110bが存在する。一方、第2駐車領域200bは空である。
車両100は、駐車領域200に面した通路202を走行したり、あるいは通路202に停車したりする。ここでは、車両100の左側方が駐車領域200に向いている。検知部50によって検知される駐車枠の白線は、各駐車領域200の外縁部を囲む枠に相当する。例えば、検知部50は、長手方向において4m以上幅の駐車枠を検知する。その際、検知部50において検知される駐車枠の中に、駐車車両110が配置されていてもよい。ここでは、一例として、第2駐車領域200bの駐車枠が検知されるとする。つまり、検知部50は、俯瞰画像をもとに第2駐車領域200bを検知する。なお、複数の駐車枠、つまり複数の駐車領域200が検知されてもよい。図4bは後述し、図1に戻る。検知部50は、検知した第2駐車領域200bに関する情報、例えば第2駐車領域200bの座標を表示処理部40に出力する。
表示処理部40は、取得部46からの画像、変換部48からの俯瞰画像、検知部50からの第2駐車領域200bに関する情報を受けつける。表示処理部40は、これらを使用して、駐車支援を設定するための最初の画面(以下、「第1設定画面」という)を生成する。第1設定画面については後述する。表示処理部40は、第1設定画面を提示部42に出力する。
提示部42は、第1設定画面を表示装置14に表示させる。図4bは、表示装置14に表示される画面を示す。図4bにおける第1設定画面では、左側に第1表示エリア70が配置され、右上側に第2表示エリア72が配置され、右下側に第3表示エリア74が配置される。第1表示エリア70には俯瞰画像が表示される。俯瞰画像の中央部分には車両アイコン78が示される。車両アイコン78は、車両100を示すアイコンである。第2表示エリア72には、図4aのような状況の場合、図3の第2撮像装置10bにおいて撮像した画像が表示される。当該画像には駐車枠80が重畳される。駐車枠80は、第2駐車領域200bの外縁部を示す枠型の図形であり、第2駐車領域200bに関する情報をもとに第2駐車領域200bが存在する位置に配置される。つまり、第2表示エリア72には、検知部50において検知された第2駐車領域200bを含んだ画像が表示される。なお、この第2駐車領域200bが駐車目標領域である。第3表示エリア74には、「この駐車スペースで良いですか?」というメッセージとともに、はいメッセージ82、中止メッセージ84が表示される。運転者は、表示装置14に表示された第2表示エリア72を見て、駐車枠80への駐車を望む場合にはいメッセージ82を選択するように操作装置12を操作し、駐車枠80への駐車を望まない場合に中止メッセージ84を選択するように操作装置12を操作する。図1に戻る。
受付部44は、操作装置12におけるはいメッセージ82あるいは中止メッセージ84の選択を受けつける。表示処理部40は、受付部44が中止メッセージ84の選択を受けつけた場合、駐車支援を中止する。表示処理部40は、はいメッセージ82の選択を受けつけた場合、第1設定画面に続く第2設定画面を生成する。第2設定画面の詳細は後述する。表示処理部40は、第2設定画面を提示部42に出力する。提示部42は、第2設定画面を表示装置14に表示させる。
ここでは、第2設定画面を説明するために、図5a-図5bを使用する。図5a-図5bは、駐車支援装置30による別の処理の概要を示す。図5aは、第2設定画面を生成するための表示処理部40の処理を示す。図5aに示すように、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系が規定される。x軸は、駐車領域200と通路202との間の境界線204が延びる方向を示し、y軸は、駐車領域200と通路202の面内においてx軸に垂直な方向を示す。x軸方向を第1方向と呼ぶ場合、y軸方向は第2方向と呼ばれる。z軸は駐車領域200と通路202の面から天頂に向かう車両100の高さ方向を示し、x軸とy軸に垂直である。また、x軸、y軸、z軸のそれぞれの正の方向は、図5aにおける矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。
ここで、車両100、第1駐車車両110a、第2駐車車両110b、第1駐車領域200aから第3駐車領域200c、通路202は、図4aと同様に示される。つまり、第1駐車領域200aから第3駐車領域200cはx軸方向に並び、第1駐車領域200aから第3駐車領域200cのy軸の正方向側から車両100の後方部分が進入可能であるので、車両100は並列駐車となる。また、第1駐車領域200aから第3駐車領域200cのy軸の正方向側には、第3駐車車両110cから第5駐車車両110eが並列駐車される。車両100にとっては、第3駐車車両110cから第5駐車車両110eも障害物となる。さらに、第1駐車領域200aから第3駐車領域200cと、第3駐車車両110cから第5駐車車両110eとの間に通路202が配置される。
車両100の進行方向は、x軸の負方向側を向く。表示処理部40は、境界線204からy軸の正方向側に第1距離だけ離間した位置に第1壁90を設定する。第1距離の一例は4.5mである。ここで、第1壁90は、目標駐車領域である第2駐車領域200bのy軸方向の長さを有するとともに、第2駐車領域200bのx軸の負方向側端から、x軸の負方向側に固定距離だけ延びる。固定距離の一例は4.0mである。なお、第1壁90は、目標駐車領域である第2駐車領域200bに対応した位置から、x軸の正方向側に延びてもよい。一方、表示処理部40は、第2駐車領域200bにおける境界線204のx軸の負方向側端からx軸の負方向側に固定距離だけ離間した位置に第2壁92を設定する。ここで、第2壁92は、境界線204から、y軸の正方向側に第1距離だけ延びる。このようにして、第2壁92のy軸の正方向側端は、第1壁90のx軸の負方向側端に連結される。
ここで、第1壁90、第2壁92、第2駐車領域200bによって囲まれた領域は、車両100が駐車開始位置から所定の経路を通って目標駐車領域まで走行する動作である駐車動作中に進入しうる進入領域260であるといえる。また、第1壁90と第2壁92とを境界にして進入領域260の反対側は、車両100が駐車動作中に進入しない非進入領域262であるといえる。つまり、第1壁90は、車両100の左側方に位置する第2駐車領域200bから車両100を挟んだ反対側において、進入領域260と非進入領域262との境界に沿って配置される。また、第2壁92は、x軸の負方向側において、進入領域260と非進入領域262との境界に沿って配置される。進入領域260に障害物が存在する場合、駐車の際に車両100に接触するおそれがあるが、非進入領域262に障害物が存在する場合、駐車の際に車両100に接触しない。そのため、第1壁90と第2壁92は、障害物に接触しない経路の境界線を示す。
図5bは、表示装置14に表示される第2設定画面を示す。第2設定画面では、左側に第1表示エリア70が配置され、右上側に第2表示エリア72が配置され、右下側に第4表示エリア76が配置される。第1表示エリア70は図4bと同様であるが、さらに駐車枠80が表示される。第2表示エリア72には、図3の第1撮像装置10aにおいて撮像した画像が表示される。さらに、図5aに示された位置に第1壁90と第2壁92とが立体的に重畳される。つまり、第1壁90と第2壁92が立体表示される。また、第1壁90と第2壁92は、周囲の背景とは異なった色で示されるが、背景が透過して見えるように半透明(透過率は50%に限られない)とするとより好ましい。第4表示エリア76には、「進行方向の障害物を確認して下さい。駐車開始しますか?」というメッセージとともに、はいメッセージ86、いいえメッセージ88が表示される。運転者は、第2表示エリア72における第1壁90と第2壁92の手前側に障害物が存在しない場合に、はいメッセージ86を選択するように操作装置12を操作する。一方、運転者は、第2表示エリア72における第1壁90と第2壁92の手前側に障害物が存在する場合に、いいえメッセージ88を選択するように操作装置12を操作する。図1に戻る。
受付部44は、操作装置12におけるはいメッセージ86の選択、あるいはいいえメッセージ88の選択を受けつける。表示処理部40は、受付部44がいいえメッセージ88の選択を受けつけた場合、第2設定画面に続く第3設定画面を生成する。第3設定画面の詳細は後述する。表示処理部40は、第3設定画面を提示部42に出力する。提示部42は、第3設定画面を表示装置14に表示させる。
ここでは、第3設定画面を説明するために、図6a-図6bを使用する。図6a-図6bは、駐車支援装置30によるさらに別の処理の概要を示す。図6aは、第3設定画面を生成するための表示処理部40の処理を示す。ここでは、第2設定画面との違いを説明する。第3駐車車両110cから第5駐車車両110eの代わりに壁120が配置されるが、これは、第3駐車車両110cから第5駐車車両110eであってもよい。また、表示処理部40は、境界線204からy軸の正方向側に第2距離だけ離間した位置に第1壁90を設定する。第2距離の一例は4.0mであり、第1距離よりも短くなるように設定される。これによって、第2壁92の長さも短くなる。一方、固定距離は第2設定画面と同一であるので、第1壁90の長さは第2設定画面と同一である。
図6bは、表示装置14に表示される第3設定画面を示す。第3設定画面では、第2設定画面と同じく、第1表示エリア70、第2表示エリア72、第4表示エリア76が表示される。第2表示エリア72には、図6aに示された位置に第1壁90と第2壁92とが立体的に重畳される。つまり、第1壁90と第2壁92は立体表示されるが、第2設定画面における第1距離の代わりに、第2距離が使用される。運転者は、第2表示エリア72における第1壁90と第2壁92の手前側に障害物が存在しない場合に、はいメッセージ86を選択するように操作装置12を操作する。一方、運転者は、第2表示エリア72における第1壁90と第2壁92の手前側に障害物が存在する場合に、いいえメッセージ88を選択するように操作装置12を操作する。つまり、表示処理部40は、駐車領域200から第1壁90までの距離として第1距離あるいは第2距離を設定可能である。図1に戻る。
受付部44は、操作装置12におけるはいメッセージ86の選択、あるいはいいえメッセージ88の選択を受けつける。表示処理部40は、受付部44がいいえメッセージ88の選択を受けつけた場合、駐車支援を中止する。一方、表示処理部40は、第2設定画面に対して受付部44がはいメッセージ86の選択を受けつけた場合、第1距離の使用を決定し、第3設定画面に対して受付部44がはいメッセージ86の選択を受けつけた場合、第2距離の使用を決定する。これは、受付部44が、駐車領域200から第1壁90までの距離として第1距離あるいは第2距離の選択を受けつけることに相当する。表示処理部40は、第1距離の使用あるいは第2距離の使用を特定した場合、特定した第1距離の使用あるいは第2距離の使用を制御部52に通知する。
生成部56は、表示処理部40から、第1距離の使用あるいは第2距離の使用の通知を受けつける。生成部56は、変換部48からの俯瞰画像上に、第1距離あるいは第2距離を使用して第1壁90と第2壁92を設定する。また、生成部56は、第1壁90と第2壁92が設定された俯瞰画像に対して、非進入領域262には進入せず、進入領域260に進入しながら車両100を第2駐車領域200bに駐車させるための駐車経路を生成する。
図7a-図7bは、生成部56により生成される駐車経路を示す。図7aは、第1距離を使用する場合を示す。駐車開始位置230は、車両100の現在位置を示す。車両100は、第1駐車経路210に沿って駐車開始位置230から後進開始位置232まで前進し、後進開始位置232から第2駐車領域200bの方に曲がりながら後進する。また、車両100は、最終駐車位置250に到達する。最終駐車位置250は、目標駐車領域である第2駐車領域200b内に配置される。
図7bは、第2距離を使用する場合を示す。車両100は、第2駐車経路212に沿って駐車開始位置230から後進開始位置232まで前進し、後進開始位置232から第2駐車領域200bの方に曲がりながら後進する。また、車両100は、第1切り返し位置240a、第2切り返し位置240bで切り返してから、最終駐車位置250に到達する。図1に戻る。生成部56は、生成した第1駐車経路210あるいは第2駐車経路212を移動処理部58に出力する。
移動処理部58は、生成部56からの第1駐車経路210あるいは第2駐車経路212上のどの部分に車両100が存在するかを順次確認する。移動処理部58は、確認結果に応じて、第1駐車経路210あるいは第2駐車経路212に沿った移動を実行するための舵角情報を生成する。また、移動処理部58は、舵角情報あるいは各種ECUから収集した各種情報を自動駐車のアルゴリズムに適用して、車両100のステアリング舵角の自動制御対象を制御するための制御値を算出する。移動処理部58は制御値を移動制御装置20に出力する。
移動制御装置20は、自動運転制御機能を実装した自動運転コントローラであり、自動駐車における車両100の行動を決定する。なお、以下では、自動運転に関する説明を省略する。移動制御装置20の構成はハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、その他のLSIを利用でき、ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション、ファームウェア等のプログラムを利用できる。移動制御装置20は、駐車支援装置30から入力した制御値を、各制御対象のECUまたはコントローラに伝達する。本実施の形態ではステアリングECUに伝達する。
移動処理部58は、前述の舵角情報の生成に加えて、センサ24からの速度情報、シフト情報をもとに、加速の指示、制動の指示、シフト切替の指示を生成し、これらのうちの少なくとも1つの情報を表示処理部40に出力する。表示処理部40は、受けつけた情報が示された画面を生成し、提示部42に出力する。提示部42は、表示装置14に画面を表示させる。運転者は、表示装置14に表示された画面を見て、画面に示された指示に応じて、アクセル操作、制動操作、シフト操作を実行する。
図8a-図8fは、駐車支援装置30によるさらに別の処理の概要を示す。図8aは、車両100が駐車開始位置230から後進開始位置232に向かって前進すべき場合を示し、図8bは、図8aの場合に表示装置14に表示される画面を示す。第1表示エリア70には後進開始枠96が示される。後進開始枠96は後進開始位置232に相当する。メッセージエリア94には、「左画面の枠に合わせて停止して下さい。」とのメッセージが表示される。
図8cは、車両100が後進開始位置232から最終駐車位置250に向かって後進すべき場合を示し、図8dは、図8cの場合に表示装置14に表示される画面を示す。第1表示エリア70には、駐車枠80が示される。駐車枠80は最終駐車位置250に相当する。メッセージエリア94には、「左画面の枠に合わせて停止して下さい。」とのメッセージが表示される。図8eは、車両100が最終駐車位置250に到達した場合を示し、図8fは、図8eの場合に表示装置14に表示される画面を示す。メッセージエリア94には、「シフトをパーキングにして下さい。」とのメッセージが表示される。
以上の構成による駐車支援装置30の動作を説明する。図9は、駐車支援装置30による駐車支援手順を示すフローチャートである。検知部50が駐車領域200を検知し(S10のY)、受付部44が駐車領域200の決定を受けつけた場合(S12のY)、表示装置14は、第1距離の第1壁90が示された第2設定画面を表示する(S14)。第1距離でよいことを受付部44が受けつけなければ(S16のN)、表示装置14は、第2距離の第1壁90が示された第3設定画面を表示する(S18)。第2距離でよいことを受付部44が受けつけた場合(S20のY)、あるいは第1距離でよいことを受付部44が受けつけた場合(S16のY)、制御部52と移動制御装置20は駐車を開始する(S22)。第2距離でよいことを受付部44が受けつけない場合(S20のN)、処理は終了される。検知部50が駐車領域を検知しない場合(S10のN)、あるいは受付部44が駐車領域200の決定を受けつけない場合(S12のN)、処理は終了される。
本実施の形態によれば、取得した画像に、進入領域と非進入領域との境界に沿って配置される第1壁と第2壁とを立体的に重畳させて提示するので、車両を駐車させる場合に車両が進入しない領域を視覚的に分かりやすく認識できる。また、境界線からy軸方向に離間した位置にx軸方向に延びる第1壁を配置し、境界線からx軸方向に離間した位置にy軸方向に延びる第2壁を配置するので、駐車の際に車両の前方部分がふくらむ領域を認識できる。また、第1壁と第2壁が車両を囲むように配置されるので、進入領域を分かりやすく提示できる。また、車両の前方に向かって撮像された画像において、車両の前方に第2壁が配置されるので、車両が前進しうる境界を示すことができる。また、取得した画像に第1壁と第2壁とを立体的に重畳させて提示するので、運転者による障害物の確認を直感的に行いやすい表示を提供できる。
以上、本開示に係る実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した装置や各処理部の機能は、コンピュータプログラムにより実現されうる。上述した機能をプログラムにより実現するコンピュータは、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力装置、ディスプレイやスピーカなどの出力装置、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)やUSBメモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置、ネットワークを介して通信を行うネットワークカードなどを備え、各部はバスにより接続される。
また、読取装置は、上記プログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置に記憶させる。また、CPUが、記憶装置に記憶されたプログラムをRAMにコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、上記各装置の機能が実現される。また、障害物として、他のロードユーザを含めてもよい。例えば、バイク(二輪車)と自転車(に人が乗っている)は他車両扱いで、自転車を押す人やスケートボードに乗る人は歩行者扱いとしてもよい。
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の駐車支援装置は、車両の非側方に向かって撮像された画像を取得する取得部と、取得部において取得した画像に第1壁と第2壁とを立体的に重畳させて提示する提示部とを備える。提示部における第1壁は、車両が駐車動作中に進入しうる進入領域と、車両が駐車動作中に非進入となる非進入領域と、の境界のうち、車両の左右何れかの側方に位置する駐車目標である駐車領域から車両を挟んだ反対側、の境界に沿って配置され、提示部における第2壁は、進入領域と非進入領域との境界のうち、車両の進行方向側の境界に沿って配置される。
この態様によると、取得した画像に、進入領域と非進入領域との境界に沿って配置される第1壁と第2壁とを立体的に重畳させて提示するので、車両を駐車させる場合に車両が進入しない領域を視覚的に分かりやすく認識できる。
車両が位置する通路と駐車領域との境界線が延びる方向を第1方向とし、第1方向に交差し駐車領域から離れる方向を第2方向とした場合に、提示部における第1壁は、境界線から第2方向に離間した位置に第1方向に延びて配置され、提示部における第2壁は、境界線から第1方向に離間した位置に第2方向に延びて配置される。この場合、第1壁と第2壁が車両を囲むように配置されるので、進入領域を分かりやすく提示できる。
取得部において取得した画像は、車両の前方に向かって撮像されており、提示部における第2壁は、車両の前方に配置される。この場合、車両の前方に向かって撮像された画像において、車両の前方に第2壁が配置されるので、車両が前進しうる境界を示すことができる。
提示部は、駐車領域から第1壁までの距離として第1距離、あるいは第1距離よりも短い第2距離を設定可能であり、駐車領域から第1壁までの距離として第1距離あるいは第2距離の選択を受けつける受付部をさらに備える。この場合、駐車領域から第1壁までの距離として第1距離あるいは第2距離を選択可能であるので、障害物の存在に応じた駐車経路を設定できる。
本開示の別の態様は、車両である。この車両は、自車両の非側方に向かった画像を撮像可能な撮像装置と、撮像装置が撮像した画像に第1壁と第2壁とを立体的に重畳させる駐車支援装置と、駐車支援装置において第1壁と第2壁とが立体的に重畳された画像を表示する表示装置とを備える。駐車支援装置における第1壁は、自車両が駐車動作中に進入しうる進入領域と、自車両が駐車動作中に非進入となる非進入領域と、の境界のうち、自車両の左右何れかの側方に位置する駐車目標である駐車領域から自車両を挟んだ反対側、の境界に沿って配置され、駐車支援装置における第2壁は、進入領域と非進入領域との境界のうち、自車両の進行方向側の境界に沿って配置される。
この態様によると、取得した画像に、進入領域と非進入領域との境界に沿って配置される第1壁と第2壁とを立体的に重畳させて表示するので、車両を駐車させる場合に車両が進入しない領域を視覚的に分かりやすく認識できる。
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施の形態において、第1距離の第1壁90が重畳された重畳画像を表示してから、第2距離の第1壁90が重畳された重畳画像を表示している。しかしながらこれに限らず例えば、これらの重畳画像を同時に表示してもよい。本変形例によれば、第1距離あるいは第2距離を選択するための処理を簡易にできる。
本実施の形態において、車両100を並列駐車する場合を一例としている。しかしながらこれに限らず例えば、車両100を縦列駐車する場合に適用してもよい。本変形例によれば、本実施の形態の適用範囲を拡大できる。
本実施の形態において、第1壁90が、進入領域260と非進入領域262との境界のうち、駐車領域200から車両100を挟んだ反対側に配置される。また、第2壁92が、進入領域260と非進入領域262との境界のうち、車両100の進行方向側の境界に沿って配置される。しかしながらこれに限らず例えば、駐車領域200側にも別の壁(以下、「内壁」という)が配置されてもよい。図10a-図10bは、駐車支援装置30によるさらに別の処理の概要を示す。図10aは、第2設定画面あるいは第3設定画面を生成するための表示処理部40の処理を示す。ここでは、縦列駐車を一例として示す。
駐車領域200は、車両100のy軸の負方向側に配置される。表示処理部40は、第1壁90と第2壁92をこれまでと同様に設置する。また、表示処理部40は、駐車領域200の境界線204のx軸の負方向側端から第2壁92まで延びるように第1内壁130を設置する。つまり、第1内壁130は、第1壁90と略平行にx軸方向に延びる。さらに、表示処理部40は、第1内壁130のx軸の正方向側端から駐車領域200の外縁部に沿ってy軸の負方向に向かって第2内壁132を設置する。
図10bは、表示装置14に表示される第2設定画面あるいは第3設定画面を示す。これまでと同様に、第1表示エリア70、第2表示エリア72、第4表示エリア76が表示される。第2表示エリア72には、図10aに示された位置に第1内壁130と第2内壁132とが立体的に重畳される。なお、ここでは、第1壁90と第2壁92とを省略する。運転者は、第2表示エリア72における第1内壁130と第2内壁132の手前側に障害物が存在しない場合に、はいメッセージ86を選択するように操作装置12を操作する。一方、運転者は、第2表示エリア72における第1内壁130と第2内壁132の手前側に障害物が存在する場合に、いいえメッセージ88を選択するように操作装置12を操作する。本変形例によれば、車両100を駐車させる場合に車両100が進入しない領域をさらに視覚的に分かりやすく認識させることができる。