JP6989559B2 - 光学ガラスおよび光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光学ガラスおよび光学素子に関する。
近年、撮像光学系、投射光学系等の装置の高機能化、コンパクト化に伴い、有効な光学素子の材料として、高屈折率の光学ガラスの需要が高まってきている。
特許文献1に記載されているような高屈折率の光学ガラスは、通常、ガラス成分としてTi、Nb、W、Bi等の高屈折率成分を多量に含有している。これらの成分は、ガラスの熔融過程で還元されやすく、還元されたこれらの成分は、可視光域の短波長側の光を吸収するため、ガラスの着色(以下、「還元色」ということがある)の原因となる。
特開2007−112697号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、還元色の低減された光学ガラスおよび光学素子を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕Bを1〜45質量%、Laを10〜60質量%含み、
TiO、Nb、WOおよびBiからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含み、
下記式(2)に示すβOHの値が0.1〜2.0mm−1である、光学ガラス。
βOH=−[ln(B/A)]/t …(2)
〔式(2)中、tは外部透過率の測定に用いる前記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。〕
〔2〕SiOを0.1〜25質量%含む、〔1〕に記載の光学ガラス。
〔3〕SiOを0.5〜15質量%、Bを1〜30質量%、Laを20〜60質量%含む、〔1〕に記載の光学ガラス。
〔4〕質量%表示で、Bの含有量がSiOの含有量より大きい、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光学ガラス。
〔5〕BおよびLaの合計含有量に対するTiOの含有量の質量比[TiO/(B+La)]が0.030以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光学ガラス。
〔6〕アッベ数νdが20〜45であり、
屈折率ndが1.75〜2.50である、〔1〕〜〔5〕のいずれかにに記載の光学ガラス。
〔7〕上記〔1〕〜〔6〕のいずれかにに記載の光学ガラスからなる光学素子。
本発明によれば、還元色の低減された光学ガラスおよび光学素子を提供できる。
以下、本発明の一態様について説明する。なお、本発明および本明細書において、ガラス組成は、特記しない限り、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいい、各ガラス成分の表記は慣習にならい、SiO、TiOなどと記載する。ガラス成分の含有量および合計含有量は、特記しない限り質量基準であり、「%」は「質量%」を意味し、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
ガラス成分の含有量は、公知の方法、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)等の方法で定量することができる。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
本明細書では、屈折率は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
アッベ数νdは、分散に関する性質を表す値として用いられるものであり、下記式(1)で表される。ここで、nFは青色水素のF線(波長486.13nm)における屈折率、nCは赤色水素のC線(656.27nm)における屈折率である。
νd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(1)
本発明の実施形態に係る光学ガラスは、
を1〜45質量%、Laを10〜60質量%含み、
TiO、Nb、WOおよびBiからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含み、
下記式(2)に示すβOHの値が0.1〜2.0mm−1である。
βOH=−[ln(B/A)]/t …(2)
〔式(2)中、tは外部透過率の測定に用いる前記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。〕
以下、本実施形態に係る光学ガラス(以下、単に「ガラス」と記載することがある。)について詳しく説明する。
本実施形態に係るガラスは、Bを1〜45%含有する。Bの含有量の下限は、好ましくは2%であり、さらには3%、4%、6%の順により好ましい。また、Bの含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、20%、15%の順により好ましい。
は、ガラスのネットワーク形成成分であり、低分散性を維持し、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Bの含有量が多いと、ガラス熔融時にガラス成分の揮発量が増加するおそれがある。また、耐失透性が低下する傾向がある。そのため、Bの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスは、Laを10〜60%含有する。Laの含有量の下限は、好ましくは20%であり、さらには22%、24%、27%、30%の順により好ましい。また、Laの含有量の上限は、好ましくは57%であり、さらには55%、53%の順により好ましい。
Laは、屈折率ndを高める働きを有する。また、化学的耐久性を高める働きも有する。一方、Laの含有量が多くなると比重が増加し、またガラスの熱的安定性が低下する。そのため、Laの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
本実施形態に係るガラスは、TiO、Nb、WOおよびBiからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む。TiO、Nb、WOおよびBiはいずれも高屈折率化に寄与する成分であり、これらの成分を含むことで、高屈折率の光学ガラスが得られる。
本実施形態に係るガラスにおいて、下記式(2)に示すβOHの値が0.1〜2.0mm−1である。βOHの値の下限は、好ましくは0.2mm−1であり、さらには0.25mm−1、0.3mm−1、0.35mm−1の順により好ましい。また、βOHの値の上限は、好ましくは1.8mm−1であり、さらには1.6mm−1、1.5mm−1、1.4mm−1、1.2mm−1の順により好ましい。
βOH=−[ln(B/A)]/t …(2)
ここで、上記式(2)中、tは外部透過率の測定に用いる前記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、上記式(2)中、lnは自然対数である。βOHの単位はmm−1である。
なお、「外部透過率」とは、ガラスに入射する入射光の強度Iinに対するガラスを透過した透過光の強度Ioutの比(Iout/Iin)、すなわち、ガラスの表面における表面反射も考慮した透過率であり、透過率は、分光光度計を用いて、透過スペクトルを測定することにより得られる。
上記式(2)で表されるβOHは、水酸基に起因する吸光度を意味する。そのため、βOHを評価することにより、ガラスにおける水(および/または水酸化物イオン、以下、単に「水」という。)の含有量を評価することができる。すなわち、βOHが高いガラスは、ガラスにおける水の含有量が高いことを意味している。
ガラスにおける水の含有量を高めて、βOHの値を高めることで、還元色が低減され、アニール処理時間を短縮できる。また、脱泡、清澄効果が得られる。一方、βOHの値が高すぎると、熔融ガラスからの揮発物量が増加する傾向にある。そのため、βOHの値を上記範囲とすることが好ましい。
ガラスのβOHを高める方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熔融工程において熔融ガラス中の水分量を高める操作を行うことなどが挙げられる。熔融ガラス中の水分量を高める操作としては、例えば、熔融雰囲気に水蒸気を付加する処理や、熔融物内に水蒸気を含むガスをバブリングする処理等が挙げられる。
(ガラス成分)
本実施形態における上記以外のガラス成分について、以下に詳述する。
本実施形態に係るガラスにおいて、SiOの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、1.5%、2%、3%の順により好ましい。また、SiOの含有量の上限は、好ましくは25%であり、さらには15%、10%、8%、7%の順により好ましい。
SiOは、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する。一方、SiOの含有量が多いと、ガラスの耐失透性が低下するおそれがある。そのため、SiOの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Pの含有量は、好ましくは7%未満であり、さらには5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下の順により好ましい。Pの含有量は0%であってもよい。
は、屈折率ndを低下させる成分であり、ガラスの熱的安定性を低下させる成分でもある。そのため、Pの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Alの含有量は、好ましくは5%以下であり、さらには4%以下、3%以下、2%以下、1%以下の順により好ましい。Alの含有量は0%であってもよい。
Alは、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有するガラス成分であり、ネットワーク形成成分として考えることができる。一方、Alの含有量が多くなると、ガラスの耐失透性が低下する。また、ガラス転移温度Tgが上昇する、熱的安定性が低下する等の問題が生じやすい。そのため、Alの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、SiOおよびBの合計含有量[SiO+B]の下限は、好ましくは2%であり、さらには4%、6%、8%、10%の順により好ましい。また、合計含有量[SiO+B]の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、26%、24%、22%の順により好ましい。
SiOおよびBはガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熱的安定性および耐失透性を改善する成分である。そのため、SiOおよびBの合計含有量[SiO+B]は上記範囲であることが好ましい。
また、本実施形態に係るガラスにおいて、質量%表示で、好ましくはBの含有量[B]がSiOの含有量[SiO]より大きい([B]>[SiO])。より好ましくは、Bの含有量はSiOの含有量の1.3倍より大きい([B]>[SiO]×1.3)。
の含有量をSiOの含有量より大きくすることで、アッベ数を大きくすることができる。
本実施形態に係るガラスにおいて、ZnOの含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、20%、15%、10%、7%、5%の順により好ましい。また、ZnOの含有量は0%超であることが好ましく、その下限は、より好ましくは0.1%であり、さらには0.3%、0.5%、1%の順により好ましい。
ZnOは、ガラスの熱的安定性を改善するとともに、ガラスの熔融性、化学的耐久性を改善する働きを有するガラス成分である。一方、ZnOの含有量が多すぎると比重が上昇する。そのため、ZnOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、BaOの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには19%、18%、17%、16%の順により好ましい。また、BaOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには2%、5%、10%の順により好ましい。
BaOは、高屈折率を維持するのに有効なガラス成分であり、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性を改善させる働きも有する。一方、含有量が多くなると、比重が増加し、耐失透性が低下する。そのため、BaOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、MgOの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、MgOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
本実施形態に係るガラスにおいて、CaOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには8%、6%、4%、2%の順により好ましい。また、CaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
本実施形態に係るガラスにおいて、SrOの含有量の上限は、好ましくは7%であり、さらには5%、4%、3%、1%の順により好ましい。また、SrOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
MgO、CaO、SrOは、いずれもガラスの熱的安定性および耐失透性を改善させる働きを有するガラス成分である。一方、これらガラス成分の含有量が多くなると、比重が増加し、高分散性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下する。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Gdの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、25%、20%、17%、12%の順により好ましい。また、Gdの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、3%、4%、5%の順により好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Yの含有量の上限は、好ましくは25%であり、さらには20%、15%、10%、7%、5%の順により好ましい。また、Yの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%の順により好ましい。
GdおよびYは、いずれもガラスの耐候性の改善や高屈折率化に寄与する成分である。一方、含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Ybの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Ybの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Ybは耐候性の改善や高屈折率化に寄与する成分である。一方、Ybは、La、Gd、Yと比べて分子量が大きいため、ガラスの比重を増大させる。ガラスの比重が増大すると、光学素子の質量が増大する。例えば、質量の大きいレンズをオートフォーカス式の撮像レンズに組み込むと、オートフォーカス時にレンズの駆動に要する電力が増大し、電池の消耗が激しくなる。したがって、Ybの含有量を低減させて、ガラスの比重の増大を抑えることが望ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、ZrOの含有量の上限は、好ましくは18%であり、さらには15%、12%、10%、8%、7%の順により好ましい。また、ZrOの含有量の下限は、好ましくは0%であり、さらには1%、2%、3%の順により好ましい。
ZrOは、高屈折率化に寄与する成分であり、ガラスの熱的安定性および耐失透性を改善する働きを有するガラス成分である。一方、ZrOの含有量が多すぎると、熱的安定性が低下する傾向を示す。そのため、ZrOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、TiOの含有量は0%超であることが好ましく、その下限は、より好ましくは0.1%であり、さらには1%、3%、4%、5%の順により好ましい。また、TiOの含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、23%、21%、20%の順により好ましい。
TiOは、高屈折率化に寄与する成分であり、また、化学的耐久性を改善する働きをする成分である。一方、TiOの含有量が多すぎると、耐失透性が低下するおそれがある。そのため、TiOの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Nbの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには1%、3%、4%、5%の順により好ましい。また、Nbの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、25%、20%、16%、15%、14%、12%の順により好ましい。
Nbは、高屈折率化に寄与する成分であり、また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性を改善する働きを有する。一方、Nbの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがあり、また、ガラスの着色が強まる傾向がある。そのため、Nbの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、NbおよびTiOの合計含有量[Nb+TiO]の下限は、好ましくは13%であり、さらには13.5%、14%、14.5%、15%の順により好ましい。また、合計含有量[Nb+TiO]の上限は、好ましくは40%であり、さらには35%、32%、31%、30%の順により好ましい。
NbおよびTiOは、高屈折率化に寄与する成分である。一方、Nbの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下する。そのため、NbおよびTiOの合計含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、WOの含有量の上限は、好ましくは25%であり、さらには20%、15%、10%、5%の順により好ましい。WOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
WOは、ガラス転移温度Tgを低下させる働きを有する。一方、WOの含有量が多くなりすぎると、ガラスの着色が増大し、また比重が増加する。そのため、WOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態において、Biの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、10%、5%、3%の順により好ましい。また、Biの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Biは、適量を含有させることによりガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Biの含有量を高めると、ガラスの着色が増大し、また比重が増加する。そのため、Biの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Nb、TiO、WOおよびBiの合計含有量[Nb+TiO+WO+Bi]の上限は、好ましくは40%であり、さらには37%、35%、33%、32%の順により好ましい。また、合計含有量[Nb+TiO+WO+Bi]の下限は、好ましくは1.0%であり、さらには1.5%、5%、10%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%の順により好ましい。
TiO、WOおよびBiは、Nbとともに、高屈折率化に寄与する成分である。したがって、合計含有量[Nb+TiO+WO+Bi]は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、BおよびLaの合計含有量に対するTiOの含有量の質量比[TiO/(B+La)]は小さい方が好ましく、その下限は、好ましくは0.030であり、さらには0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50の順により小さい方が好ましい。また、質量比[TiO/(B+La)]の上限は、好ましくは1.5であり、さらには1.0、0.8、0.6の順により好ましい。
Nb、TiO、WOおよびBiのうち、質量%表示における単位含有量あたりの屈折率nd増加作用が最も大きい成分はTiOである。また、TiOはガラス熔融の過程で還元されやすく、TiOが還元されると、可視短波長域における透過率が大幅に低下しやすい。一方、本実施形態に係るガラスにおいて主要成分であるBおよびLaは、このような還元による問題は生じない。したがって、可視短波長域における透過率を大幅に低下させるTiOの含有量に対して、このような問題が生じないBおよびLaの合計含有量が大きい、すなわち、質量比[TiO/(B+La)]は小さい方が好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Nb、TiO、WOおよびBiの合計含有量に対するTiOの含有量の質量比[TiO/(Nb+TiO+WO+Bi)]の下限は、好ましくは0.05であり、さらには、0.25、0.30、0.40、0.45の順により好ましい。また、質量比[TiO/(Nb+TiO+WO+Bi)]の上限は、好ましくは1.00であり、さらには0.90、0.80、0.75とすることもできる。
上述のとおり、TiOはガラス熔融の過程で還元されやすく、TiOが還元されると、可視短波長域における透過率が大幅に低下しやすい。本実施形態では、Nb、TiO、WOおよびBiといった高屈折率化に寄与する成分の中でも、特に着色の原因となりやすいTiOの含有量が多い、すなわち、質量比[TiO/(Nb+TiO+WO+Bi)]が上記範囲にある場合でも、熔融工程において雰囲気中にガスを導入したり熔融物にガスをバブリングしたりすることで着色の増大を抑制できる。
本実施形態に係るガラスにおいて、Taの含有量の上限は、好ましくは25%であり、さらには20%、16%、12%、8%、4%の順により好ましい。また、Taの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Taは、高屈折率化に寄与する成分であり、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。一方、Taの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラスを熔融するときに、ガラス原料の熔け残りが生じやすくなる。そのため、Taの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、LiOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには7%、5%、4%、3%、2%、1%の順により好ましい。LiOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
本実施形態に係るガラスにおいて、NaOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには7%、5%、4%、2%、1%の順により好ましい。NaOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
本実施形態に係るガラスにおいて、KOの含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには7%、5%、4%、2%、1%の順により好ましい。KOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
LiO、NaOおよびKOは、いずれも液相温度を下げ、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、LiO、NaOおよびKOの各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、CsOの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%の順により好ましい。CsOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
CsOは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、化学的耐久性、耐候性が低下する。そのため、CsOの各含有量は、上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、LiO、NaO、KOおよびCsOの合計含有量[LiO+NaO+KO+CsO]の上限は、好ましくは15%であり、さらには10%、7%、5%、3%、1%の順により好ましい。また、合計含有量[LiO+NaO+KO+CsO]の下限は、好ましくは0%である。
合計含有量[LiO+NaO+KO+CsO]の下限が上記を満たすことで、ガラスの熔融性および熱的安定性を改善し、液相温度を低下できる。また、合計含有量[LiO+NaO+KO+CsO]の上限が上記を満たすことで、耐失透性の低下を抑制できる。
本実施形態に係るガラスにおいて、Scの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Scの含有量の下限は、好ましくは0%である。
本実施形態に係るガラスにおいて、HfOの含有量の上限は、好ましくは2%以下であり、さらには1%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、HfOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Sc、HfOは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、高価な成分である。そのため、Sc、HfOの各含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Luの含有量は、好ましくは2%以下である。また、Luの含有量の下限は、好ましくは0%である。
Luは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、分子量が大きいことから、ガラスの比重を増加させるガラス成分でもある。そのため、Luの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、GeOの含有量は、好ましくは2%以下である。また、GeOの含有量の下限は、好ましくは0%である。
GeOは、ガラスの高分散性を高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。したがって、ガラスの製造コストを低減する観点から、GeOの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスは、主として上述の成分、すなわち、必須成分としてBおよびLa、任意成分としてSiO、P、Al、ZnO、BaO、MgO、CaO、SrO、Gd、Y、Yb、ZrO、TiO、Nb、WO、Bi、Ta、LiO、NaO、KO、CsO、Sc、HfO、LuおよびGeOで構成されていることが好ましく、上述のガラス成分の合計含有量は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
本実施形態において、さらに好ましい態様として、
を1〜45%、Laを10〜60%、TiOを0%超、ZnOを0%超含み、
Nb、TiO、WOおよびBiの合計含有量に対するTiOの含有量の質量比[TiO/(Nb+TiO+WO+Bi)]が0.4以上であり、
下記式(2)に示すβOHの値が0.1〜2.0mm−1である、光学ガラスが挙げられる。
βOH=−[ln(B/A)]/t …(2)
〔式(2)中、tは外部透過率の測定に用いる前記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。〕
上記のさらに好ましい態様における、B、La、TiOおよびZnOの含有量、質量比[TiO/(Nb+TiO+WO+Bi)]、およびβOHの値については、前述したより好ましい数値範囲が適用できる。また、他のガラス成分の含有量および質量比についても、前述した好ましい数値範囲を適宜適用できる。
本実施形態に係るガラスにおいて、白金Ptの含有量は、好ましくは10ppm未満であり、さらには8ppm以下、7ppm以下、5ppm以下の順により好ましい。Ptの含有量の下限は、特に制限されないが、不可避的に0.001ppm程度は含まれる。
Ptの含有量を上記範囲とすることで、Ptに起因するガラスの着色を低減し、透過率を改善することができる。
本実施形態に係るガラスは、その製造工程において、非酸化性雰囲気でガラス原料を熔融している。非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや水蒸気が挙げられる。通常、熔融雰囲気中の酸素が、熔融容器(坩堝等)等の材料である白金と反応して二酸化白金や白金イオン(Pt4+)が生し、それが熔融ガラス中に溶け込むことで着色が生じる。本実施形態では、熔融雰囲気中の酸素分圧を低減することで、白金の酸化を抑制し、熔融ガラスに溶け込むPt量を低減できる。その結果、Pt由来の着色を低減することができる。
<その他の成分組成>
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、いずれも毒性を有する。そのため、本実施形態の光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、本実施形態の光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ceは、ガラスの着色を増大させ、蛍光の発生源となり得る。そのため、本実施形態の光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
硫酸塩は、清澄剤として機能する任意に添加可能な酸化剤である。硫酸塩は熱により分解されて清澄ガスSOおよびOを生成する。硫酸塩としては、特に限定されないが、例えば、硫酸亜鉛、硫酸ジルコニウム等が挙げられる。
硫酸塩の含有量は、外割り表示とする。すなわち、硫酸塩以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときの硫酸塩の含有量は、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、さらに好ましくは0.3質量%未満の範囲である。硫酸塩の含有量は0質量%であってもよい。
Sb(Sb)も清澄剤として機能する任意に添加可能な元素である。しかし、Sb(Sb)は酸化性が強く、添加量を多くしていくと、白金坩堝由来の白金の酸化を促進させるおそれがある。また、精密プレス成形のときに、ガラスに含まれるSb(Sb)がプレス成形型の成形面を酸化するため、精密プレス成形を重ねるうちに、成形面が著しく劣化し、精密プレス成形ができなくなるおそれがある。その結果、成形した光学素子の表面品質が低下する。したがって、本実施形態に係るガラスは、好ましくは、Sb(Sb)を含まない。
なお、本実施形態に係るガラスは、基本的に上記ガラス成分により構成されることが好ましいが、本発明の作用効果を妨げない範囲において、その他の成分を含有することも可能である。また、本発明において、不可避的不純物の含有を排除するものではない。
(ガラス特性)
<屈折率nd>
本実施形態に係るガラスにおいて、屈折率ndは、好ましくは1.75以上であり、さらには、1.77以上、1.80以上であってもよい。また、屈折率ndは、好ましくは2.50以下であり、さらには、2.20以下、2.10以下であってもよい。屈折率ndは、Nb、TiO、WOおよびBiの合計含有量[Nb+TiO+WO+Bi]を増加することにより高めることができ、またSiOの含有量を増加することにより低減できる。
<アッベ数νd>
本実施形態に係るガラスにおいて、アッベ数νdは20以上である。アッベ数νdは20〜45、または21〜45の範囲であってもよい。アッベ数νdは、Laの含有量を増加することにより高めることができ、またBの含有量を増加することにより低減できる。
<ガラスの光線透過性>
本実施形態に係る光学ガラスの光線透過性は、着色度λ70により評価できる。
厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料について波長200〜700nmの範囲で分光透過率を測定し、外部透過率が70%となる波長をλ70とする。
本実施形態に係る光学ガラスのλ70は、好ましくは480nm以下であり、より好ましくは470nm以下であり、さらに好ましくは450nm以下であり、特に好ましくは440nm以下である。λ70は、白金Pt含有量を低減することにより低減できる。
また、本実施形態に係る光学ガラスのλ70は、好ましくは下記式(3)を満たす。
λ70≦a×b+373 ・・・(3)
式(3)中、aは好ましくは200であり、さらには195、190、185、180、175の順により好ましい。
また、bは、BおよびLaの合計含有量に対するTiOの含有量の質量比[TiO/(B+La)]である。
質量比[TiO/(B+La)]が増加すると、可視短波長域の透過率が低下し、着色度λ70が増大する。本実施形態に係る光学ガラスでは、還元色が低減されており、λ70を上記式(3)で示す範囲に抑えることができる。
<T450>
本実施形態に係る光学ガラスの光線透過性は、T450によって評価できる。
本実施形態において、T450は、厚さ10.0mmに換算したときの波長450nmにおける外部透過率である。「外部透過率」とは、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工したガラス試料について、光学研磨された一方の平面に垂直に入射する入射光の強度Iinに対するガラスを透過した透過光の強度Ioutの比(Iout/Iin)、すなわち、ガラスの表面における表面反射も考慮した透過率である。透過率は、分光光度計を用いて、透過スペクトルを測定することにより得られる。
なお、測定時のガラスの厚さは10.0mmでもよいが、厚さが10.0mmではない場合には、周知の方法で厚さ10.0mmにおける透過率に換算してもよい。
本実施形態に係る光学ガラスのT450は、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。T450は、ガラスの還元色を低減することにより高めることができる。
<T400>
本実施形態に係る光学ガラスの光線透過性は、T400によっても評価できる。
厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料について、波長400nmにおける外部透過率T400を分光光度計で測定する。周知の方法で厚さ10.0mmにおける透過率に換算してもよい。T400の値が大きいほど、透過率に優れ、ガラスの着色は低減されていることを意味する。
本実施形態に係る光学ガラスのT400は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。T400は、ガラスの還元色を低減することにより高めることができる。
<τ400>
本実施形態に係る光学ガラスの光線透過性は、τ400によっても評価できる。
厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料について、波長400nmにおける内部透過率τ400を分光光度計で測定する。周知の方法で厚さ10.0mmにおける透過率に換算してもよい。τ400の値が大きいほど、透過率に優れ、ガラスの着色は低減されていることを意味する。
本実施形態に係る光学ガラスのτ400は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。τ400は、ガラスの還元色を低減することにより高めることができる。
<ガラスの比重>
本実施形態に係る光学ガラスにおいて、比重は、好ましくは7以下であり、さらには、6.5以下、6以下の順により好ましい。また、比重は、好ましくは2.5以上であり、さらには、3以上、3.5以上の順により好ましい。ガラスの比重を低減することができれば、レンズの重量を減少できる。その結果、レンズを搭載するカメラレンズのオートフォーカス駆動の消費電力を低減できる。一方、比重を減少させすぎると、熱的安定性の低下を招く。
<ガラス転移温度Tg>
本実施形態に係る光学ガラスのガラス転移温度Tgは、好ましくは800℃以下であり、さらには770℃以下、750℃以下の順により好ましい。また、ガラス転移温度Tgは、好ましくは300℃以上であり、さらには350℃以上、400℃以上の順により好ましい。ガラス転移温度Tgは、LiO、NaOおよびKOの合計含有量[LiO+NaO+KO]を増加することにより低減できる。
ガラス転移温度Tgの上限が上記範囲を満たすことにより、ガラスの成型温度およびアニール温度の上昇を抑制することができ、プレス成形用設備およびアニール設備への熱的ダメージを軽減できる。また、ガラス転移温度Tgの下限が上記範囲を満たすことにより、所望のアッベ数、屈折率を維持しつつ、ガラスの熱的安定性を良好に維持しやすくなる。
(光学ガラスの品質)
一般的に光学ガラスの欠点として、泡、ブツ(異物)、脈理がある。
これらの欠点の評価は、単位量あたりのガラス中に含まれる欠点の多少を測定することにより行わる。ガラスの単位断面積当たりの泡、ブツの存在量に応じて、光透過性を阻害する割合が変化する。
ところが、欠点を評価する単位(評価単位)が極めて小さい場合は、泡、ブツが存在しない領域を選定すると、その範囲に於いて光学的な欠点は存在しないということになる。しかし、一般に用いられる工業製品としての光学ガラスには、例えば1mm×1mmの様な微小な範囲における均質性ではなく、例えば100mm×100mm程度の断面積あるいは一定以上の体積を有するガラスの均質性が要求される。
そして評価単位だけではなく、光学ガラスの生産単位も議論されるべきである。
1mlのガラスを作製する場合と、1000kgのガラスを作製する場合とでは求められる均質性が同一であっても製造の難易度には雲泥の差がある。つまり、同一原料を熔融、ガラス化させる場合であってもガラス量に応じて必要な熱量は変わり、例えば熔融温度1250℃、熔融時間2時間という条件であっても、1mlのガラスを作製する場合は泡、ブツのない融液(熔融ガラス)を作製することが出来るのに対し、1000kgのガラスを作製する場合は原料の熔解すらままならない。
ガラスの量に応じて、ガラス化に必要な条件が変化してしまうだけでなく、脱泡(清澄)に必要な温度、時間も変える必要が出てくる。ガラス量を増やすとガラス化に必要な熱量は増加し、熔融時間、清澄時間も長くなる。その結果、坩堝を構成する白金Ptの熔融ガラスへの溶出量が増える。
つまり、工業製品である光学ガラスを生産する場合はガラス容量を一定以上にする必要があり、実験や小規模のガラス作製と比較し、熔融・清澄条件や、生産装置(坩堝など)からガラス中に混入するPtの量も変わってくる。
脈理については、さらに均質度が重要な特性である。そもそも「脈理」という欠点は一定の体積の光学的な均質性(空間の屈折率分布)を議論している欠点であることから、自ずと評価単位は一定以上のものである必要が出てくる。同じ1000mlのガラスを作製する場合であっても、一度に1000mlのガラス融液を作製する場合と、10mlのガラス融液を100回作製する場合とでは屈折率の均一性は異なる。
一般に光学ガラスを作製する場合は1000mlのガラス融液を一度で作製する方が、均質性に優れたガラスを得ることができる。
以上の様に、工業製品として扱われる光学ガラスは、一定以上の容量を作製する場合について議論されており、この範囲に於ける高品質の光学ガラスを生産する困難さと、その製造方法に応じた光学ガラスの特性、品質とは一体不可分に議論されている。
極小規模(例えば小規模な実験)のガラス熔解について議論される技術は、そのまま工業製品レベルのガラス熔解に適応できるものではない。そして、ガラス作製規模が異なる場合、それぞれの方法で作製したガラスの特性、品質を一律に比較することはできない。
本実施形態では、これら実験レベルのガラスの特性、品質と、工業レベルのガラスの特性、品質とを区別するため、ガラスの均質度という概念を導入する。ガラスの均質度は、屈折率分布により評価できる。
<屈折率分布>
本実施形態に係る光学ガラスの屈折率分布は、0.00050以内が好ましく、さらに0.00030以内が好ましく、さらに0.00010以内が好ましく、さらに0.00007以内が好ましく、さらに0.00005以内が好ましい。屈折率分布は、ガラス体積100ml以上を有する連続体について測定する。また、屈折率測定に使用する試料のガラス容量は1ml以上とする。
なお、ガラスの体積は、例えばガラスの質量を測定し、測定結果と比重より算出すればよい。
具体的には、100ml以上のガラスaを用意し、任意の箇所Aと、Aと対極にある箇所Bの2ヶ所の屈折率を測定する。
また、屈折率が既知である部位があれば、その部位をAとして、Aより最も離れた部位Bの屈折率を測定する。ガラスaから合計で2ヶ所以上のガラス片を取得し、屈折率測定を行う。
本実施形態では、屈折率分布の評価は屈折率ndを用いて行ったが、適宜他の波長における屈折率を用いて評価を行ってもよい。
(光学ガラスの製造)
本発明の実施形態に係るガラスは、上記所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料により公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を白金坩堝中に入れて粗熔解する(溶解工程)。
本実施形態に係るガラスの熔解工程において、ガラス原料に還元剤を添加することができる。還元剤としては、特に限定されるものではないが、例えばAl、Si、Ti、W、H、CO、Cなど還元性を示す物質が挙げられる。より具体的には、還元性を示す物質としては炭素化合物や活性炭Cを例示することができる。ガラス原料に還元剤を添加することで、ガラス原料がガラス化の際に発生する反応活性の高い酸素と還元剤とが反応し、白金坩堝由来の白金の酸化反応が抑制される。その結果、ガラス中のPt含有量を低減できる。
本実施形態に係るガラスの熔解工程における熔融雰囲気は、非酸化性雰囲気であることが好ましい。熔解工程を非酸化性雰囲気で行うことにより、熔融雰囲気中の酸素分圧が低減され、白金坩堝由来の白金の酸化が抑制されて、熔融ガラスに溶け込むPt量を低減できる。
非酸化性雰囲気としては、特に限定されるものではないが、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気や水蒸気付加雰囲気が挙げられる。最終的に得られるガラスのβOHを高めるためには、水蒸気付加雰囲気が好ましい。
熔融雰囲気に水蒸気を付加することにより、最終的に得られる光学ガラスのβOHの値を高めることができると共に、ガラスへのPt等の溶け込みを有効に防止でき、かつ脱泡性および清澄性を改善するのに十分な溶存ガスをガラスに供給できる。
熔融雰囲気に水蒸気を付加する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熔融装置に設けた開口部から連結パイプを坩堝内へ挿入し、必要に応じてこのパイプを通して水蒸気を坩堝内の空間へと供給する方法等が挙げられる。
熔解工程では、熔融物の攪拌を目的として、バブリングを伴うこともできる。熔解時のバブリングは、調合材料を熔融した後も継続してもよい。溶解工程において熔融物を攪拌することにより、ガラス成分の酸化が進行する一方で、白金坩堝由来の白金の酸化が抑制される。これは、ガラス成分は白金よりも酸化されやすい傾向にあるためである。その結果、ガラス成分の還元反応が抑制されて還元色が低減されるとともに、白金の熔融物への溶け込みが抑制されて白金由来の着色も低減される。
バブリングに用いるガスは、必ずしも限定されるものではなく、公知のガスを用いることができる。例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、空気、および水蒸気を含むこれらのガスが挙げられる。
バブリングに用いるガスとして水蒸気を含むガスを用いることで、最終的に得られる光学ガラスのβOHの値を高め、ガラスへの白金の溶け込みを有効に防止でき、かつ脱泡性および清澄性を改善するのに十分な溶存ガスをガラスに供給できる。
このような水蒸気を含むガス中の水蒸気の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは30体積%以上、一層好ましくは40体積%以上、より一層好ましくは50体積%以上、さらに一層好ましくは60体積%以上、なお一層好ましくは70体積%以上、特に好ましくは80体積%以上、さらに特に好ましくは90体積%以上である。水蒸気の含有量は、高いほど好ましく、特に上記範囲とすることで、最終的に得られる光学ガラスのβOHの値を高めることができる。
粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷して光学ガラスを得る。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
なお、ガラス中に所望のガラス成分を所望の含有量となるように導入することができれば、バッチ原料を調合するときに使用する化合物は特に限定されないが、このような化合物として、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、フッ化物等が挙げられる。
(光学素子等の製造)
本発明の実施形態に係る光学ガラスを使用して光学素子を作製するには、公知の方法を適用すればよい。例えば、上記の熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、本発明に係る光学ガラスからなるガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のカットピースを作製する。
カットピースを加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形(リヒートプレス)し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作製する。光学素子ブランクをアニールし、
公知の方法で研削、研磨して光学素子を作製できる。
カットピースを粗研磨加工(バレル研磨)して重量を均等化するとともに表面に離型剤を付着し易くして、再加熱し、軟化したガラスを所望の光学素子の形状に近似した形状にプレス成形し、最後に研削・研磨して光学素子を製造することもできる。
または、所定重量の熔融ガラスを成形型上に分離して直接にプレス成形し、最後に研削および研磨して光学素子を製造してもよい。
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
表1に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
[光学ガラスの製造]
(実施例1−A)
まず、ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られる光学ガラスのガラス組成が、表1に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。こうして得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1250℃〜1400℃で2時間加熱して熔融して熔融ガラスとし(熔解工程)、1300〜1400℃で1〜2時間攪拌して均質化を図り、清澄した(均質化・清澄工程)。熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tgより100℃低い温度で30分間熱処理し、炉内で室温まで放冷することにより、ガラスサンプルを得た。
熔解工程、均質化・清澄工程では、下記の操作を行った。
熔融炉外から白金製パイプを炉内に配置した白金製坩堝内に挿入し、この白金製パイプを通して、水蒸気を白金製坩堝内の空間へと供給した。供給した水蒸気の流量は、25cc/minとした。
また、上記白金製パイプを通して窒素を白金製坩堝内の空間へと供給するとともに、坩堝の下部に設置した管から、熔融物中に水蒸気をバブリングした。供給した窒素および水蒸気の流量は、窒素30L/min、水蒸気0.1cc/minとした。
さらに、添加材の有無、熔解工程および均質化・清澄工程での条件を表2〜4に示すとおりに変更して、ガラスサンプルを作製した。具体的には以下のとおりである。
(実施例1−B)
表1に記載のNo.1に対応する調合原料を、表2に示す添加材とともに白金坩堝に投入し、表2に示す条件1−1〜条件1−9の各条件で加熱、熔融して熔融ガラスとし(熔解工程)、攪拌して均質化を図り、清澄した(均質化・清澄工程)他は、実施例1−Aと同様にガラスサンプルを得た。
(実施例1−C)
表1に記載のNo.2に対応する調合原料を、表3に示す添加材とともに白金坩堝に投入し、表3に示す条件2−1〜条件2−4の各条件で加熱、熔融して熔融ガラスとし(熔解工程)、攪拌して均質化を図り、清澄した(均質化・清澄工程)他は、実施例1−Aと同様にガラスサンプルを得た。
(実施例1−D)
表1に記載のNo.4に対応する調合原料を、表4に示す添加材とともに白金坩堝に投入し、表4に示す条件4−1〜条件4−5の各条件で加熱、熔融して熔融ガラスとし(熔解工程)、攪拌して均質化を図り、清澄した(均質化・清澄工程)他は、実施例1−Aと同様にガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表1に示す各組成のとおりであることを確認した。
[ガラス中のPt量の測定]
ガラス中の白金Ptの含有量を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により定量した。定量結果を表1〜4に示す。
[脱泡・清澄効果の確認]
得られたガラスサンプルについて、ガラス内部に観察される気泡の数を数え、単位質量(kg)当たりに含まれる気泡(残留泡)の数を算出した。算出結果を表2〜4に示す。
[光学特性の測定]
得られたガラスサンプルについて、βOH、λ70、T400およびT450を測定した。また、得られたガラスサンプルを、さらに710℃で72時間アニール処理した後、炉内で降温速度−30℃/時間で室温まで冷却してアニールサンプルを作製し、屈折率nd、ng、nFおよびnC、アッベ数νd、λ70およびT400を測定した。
(i)屈折率nd、ng、nF、nCおよびアッベ数νd
上記アニールサンプルについて、JIS規格 JIS B 7071−1の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、nCを測定し、式(1)に基づきアッベ数νdを算出した。結果を表1に示す。
νd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(1)
(ii)βOH
上記ガラスサンプルを、厚さ1mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有する板状ガラス試料に加工した。この板状ガラス試料の研磨面に垂直方向から光を入射して、波長2500nmにおける外部透過率Aおよび波長2900nmにおける外部透過率Bを、分光光度計を用いてそれぞれ測定し、下記式(2)により、βOHを算出した。結果を表1〜4に示す。
βOH=−[ln(B/A)]/t ・・・(2)
上記式(2)中、lnは自然対数であり、厚さtは上記2つの平面の間隔に相当する。また、外部透過率は、ガラス試料表面における反射損失も含み、ガラス試料に入射する入射光の強度に対する透過光の強度の比(透過光強度/入射光強度)である。
(iii)λ70
実施例1−Aで得られたガラスサンプルを、厚さ10mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長280nmから700nmまでの波長域における分光透過率を測定した。光学研磨された一方の平面に垂直に入射する光線の強度を強度Aとし、他方の平面から出射する光線の強度を強度Bとして、分光透過率B/Aを算出した。分光透過率が70%になる波長をλ70とした。なお、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。結果を表1に示す。
実施例1−B〜1−Dで得られたガラスサンプルについては、アニール処理前(熱処理前)およびアニール処理後(熱処理後)のλ70を上記と同様に測定した。表2〜4に、アニール処理前(熱処理前)およびアニール処理後(熱処理後)におけるλ70を示す。
(iv)T400
実施例1−Bで得られたガラスサンプルについて、アニール処理前(熱処理前)およびアニール処理後(熱処理後)のT400を測定した。具体的には、ガラスサンプルまたはアニールサンプルを、厚さ10mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長400nmにおける分光透過率を測定した。なお、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。
表2に、アニール処理前(熱処理前)およびアニール処理後(熱処理後)におけるT400を示す。
(v)T450
実施例1−Aで得られたガラスサンプルを、厚さ10mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長450nmにおける分光透過率を測定した。なお、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。結果を表1に示す。
Figure 0006989559
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表1の結果より、熔融雰囲気中に水蒸気を導入したり、水蒸気を熔融ガラス中にバブリングしてβOHの値を高めた結果、着色が少なく、波長450nmにおける透過率が高い光学ガラスを得ることができた。
表2〜4の結果より、ガラスのβOHの値を高めることにより、ガラス成形の後、酸化性雰囲気中で長時間にわたる熱処理を行うことなしに、着色が少なく、可視域の透過率が高い光学ガラスを得られることがわかった。
(実施例2)
表1に示すNo.1の組成を有し、表2の条件1−1により作製したガラスからなる15mm×175mm×1500mmのガラスブロックを作製し、これを切断して5等分し、15mm×175mm×300mmのガラスブロック5個を取得した。5等分した各ガラスブロックを用いて5個の屈折率測定用試料1〜5を作製し、各試料の屈折率ndを測定した。切断前の2つの端部のうち一方にあった試料1の屈折率ndを基準にして、試料2〜5の屈折率分布は以下のとおりであった。
試料1と隣り合う部位から採取した試料2の屈折率ndと試料1の屈折率ndとの差は+0.00001、中央部より採取した試料3の屈折率ndと試料1の屈折率ndとの差は+0.00002、試料3と隣り合う部位から採取した試料4の屈折率と試料1との屈折率の差は0.00000、切断前の2つの端部のうち試料1の対極の端部より採取した試料5の屈折率と試料1の屈折率との差は−0.00003であった。
以上のように5ヶ所の屈折率分布は0.00005であった。
表1に示すNo.1の組成を有し、表2の条件1−2〜条件1−9により作製したガラスについても同様の方法で屈折率分布を測定したところ、5ヶ所の屈折率分布は0.00005以内であった。
さらに、表1に示すNo.2〜17の各組成を有し、実施例1−Aの条件で作製したガラスについても同様の方法で屈折率分布を測定したところ、5ヶ所の屈折率分布は0.00005以内であった。
(実施例3)
実施例1−A〜1−Dにおいて作製した各光学ガラスを用いて、公知の方法により、レンズブランクを作製し、レンズブランクを研磨等の公知方法により加工して各種レンズを作製した。
作製した光学レンズは、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ等の各種レンズである。
各種レンズは、他種の光学ガラスからなるレンズと組合せることにより、二次の色収差を良好に補正することができた。
また、ガラスが低比重であるため、各レンズとも同等の光学特性、大きさを有するレンズよりも重量が小さく、各種撮像機器、特に省エネ可能という理由等によりオートフォーカス式の撮像機器用として好適である。同様にして、実施例1−A〜1−Dで作製した各種光学ガラスを用いてプリズムを作製した。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記に例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを作製することができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。

Claims (16)

  1. を3〜45質量%、Laを20〜60質量%含み、
    TiO、Nb、WOおよびBiからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含み、
    の含有量が2質量%以下であり、
    屈折率ndが1.83481以上であり、
    下記式(2)に示すβOHの値が0.1〜2.0mm−1である、光学ガラス。
    βOH=−[ln(B/A)]/t …(2)
    〔式(2)中、tは外部透過率の測定に用いる前記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。〕
  2. SiOを0.1〜25質量%含む、請求項1に記載の光学ガラス。
  3. SiOを0.5〜15質量%、Bを3〜30質量%、Laを20〜60質量%含む、請求項1に記載の光学ガラス。
  4. 質量%表示で、Bの含有量がSiOの含有量より大きい、請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. およびLaの合計含有量に対するTiOの含有量の質量比[TiO/(B+La)]が0.030以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. アッベ数νdが20〜45であり、
    屈折率ndが1.83481〜2.50である、請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラス。
  7. NbおよびTiOの合計含有量が13質量%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の光学ガラス。
  8. NbおよびTiOの合計含有量が40質量%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の光学ガラス。
  9. Nb、TiO、WOおよびBiの合計含有量が40質量%以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の光学ガラス。
  10. Nb、TiO、WOおよびBiの合計含有量が1.0質量%以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の光学ガラス。
  11. 、La、SiO、P、Al、ZnO、BaO、MgO、CaO、SrO、Gd、Y、Yb、ZrO、TiO、Nb、WO、Bi、Ta、LiO、NaO、KO、CsO、Sc、HfO、LuおよびGeOの合計含有量が95質量%より多い、請求項1〜10のいずれかに記載の光学ガラス。
  12. を3〜45質量%、Laを20〜60質量%、TiOを0質量%超、ZnOを0質量%超含み、
    Nb、TiO、WOおよびBiの合計含有量に対するTiOの含有量の質量比[TiO/(Nb+TiO+WO+Bi)]が0.4以上であり、
    の含有量が2質量%以下であり、
    屈折率ndが1.83481以上であり、
    下記式(2)に示すβOHの値が0.1〜2.0mm−1である、光学ガラス。
    βOH=−[ln(B/A)]/t …(2)
    〔式(2)中、tは外部透過率の測定に用いる前記ガラスの厚み(mm)を表し、Aは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは前記ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。〕
  13. 白金Ptの含有量が10質量ppm未満である、請求項1〜12のいずれかに記載の光学ガラス。
  14. 体積が100ml以上であり、屈折率分布が0.00050以内である、請求項1〜13のいずれかに記載の光学ガラス。
  15. 屈折率ndが1.85135以上である、請求項1〜14のいずれかに記載の光学ガラス。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
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