JP6988086B2 - 電池用セパレータ塗液及び電池用セパレータ - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、塗工層を薄く形成する場合においても、塗工性が良好な電池用セパレータ塗液を提供することを目的とする。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 無機粒子の含有量をWAとし、繊維状セルロースの含有量をWBとした場合、WA/WBの値は、0.5以上200以下である[1]に記載の電池用セパレータ塗液。
[3] 基材と、塗工層と、を有する電池用セパレータであって、塗工層は、金属成分を含む無機粒子と、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースと、を含み、金属成分は、金属リン酸塩とした際の20℃における水に対する溶解度が1g/100ml以下であることを満たす金属成分である電池用セパレータ。
[4] 無機粒子の含有量をWAとし、繊維状セルロースの含有量をWBとした場合、WA/WBの値は、0.5以上200以下である[3]に記載の電池用セパレータ。
[5] 塗工層の厚みは、4μm以下である[3]又は[4]に記載の電池用セパレータ。
[6] (a)金属成分を含む無機粒子と、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースと、を分散媒中で混合する工程、もしくは、(b)金属成分を含む溶液中に、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを浸漬し、繊維状セルロース上に金属成分を含む無機粒子を析出させる工程、を含む電池用セパレータ塗液の製造方法であって、金属成分は、金属リン酸塩とした際の20℃における水に対する溶解度が1g/100ml以下であることを満たす金属成分である電池用セパレータ塗液の製造方法。
本発明は、金属成分を含む無機粒子と、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースと、を含む電池用セパレータ塗液に関する。ここで、金属成分は、金属リン酸塩とした際の20℃における水に対する溶解度が1g/100ml以下であることを満たす金属成分である。
本発明の電池用セパレータ塗液から形成された塗工層を含む電池用セパレータは、塗工ムラのない塗工層を有するため安全性が高い。また、本発明においては、塗工層を薄く形成することができるため、電池用セパレータ自体の厚みを薄くすることが可能となり、高性能化も可能となる。
本発明の電池用セパレータ塗液は、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む。なお、本明細書においては、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを、微細繊維状セルロースともいう。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。この場合、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「リン酸化試薬」又は「化合物A」という)を反応させることにより行うことができる。このようなリン酸化試薬は、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーにリン酸化試薬の粉末や水溶液を添加してもよい。
リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のリチウム塩、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩などが挙げられるが、特に限定されない。リン酸のリチウム塩としては、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、またはポリリン酸リチウムなどが挙げられる。リン酸のナトリウム塩としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、またはポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、またはポリリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間にアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
リン酸基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理される。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。好ましい解繊処理方法としては、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミの心配が少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
電池用セパレータ塗液に含まれる無機粒子は、金属成分を含む。ここで、金属成分とは、元素周期表における非金属元素、希ガスを除く元素のイオンである。通常、無機粒子中では対となる陰イオンとイオン結合をして存在している。金属成分は、金属リン酸塩とした際の20℃における水に対する溶解度が1g/100ml以下であることを満たす金属成分である。すなわち、金属成分を、その金属成分を含む金属リン酸塩とした際、該金属リン酸塩の20℃における水に対する溶解度は1g/100ml以下である。なお、金属リン酸塩は、電池用セパレータ塗液中に実際に含まれるものではなく、電池用セパレータ塗液に含まれる無機粒子が有する金属成分が分かれば、その金属成分を含む金属リン酸塩の溶解度は文献値から決定することができる。例えば、金属成分を、金属リン酸塩とした際の20℃における水に対する溶解度は、丸善株式会社発行の化学便覧基礎編(改定3版、昭和59年6月25日発行)に記載された20℃における水に対する溶解度を参考にすることができる。
なお、無機粒子の含有量は例えば1質量%以下であると、無機粒子同士の衝突確率が減り、より沈降し易い傾向が見られる。しかし、本発明の電池用セパレータ塗液は、所定条件の微細繊維状セルロースを含有するため、無機粒子の含有量が少ない場合であっても、無機粒子の沈降を抑制することができる。
電池用セパレータ塗液は分散媒を含むことが好ましい。分散媒としては、水や有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。中でも分散媒は水であることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。なお、本明細書において分散媒とは、電池用セパレータ塗液中において、塗工層形成時の乾燥の際に残る固形分を除いた残りの部分を指す。
電池用セパレータ塗液は、上記成分のほかに、バインダー成分をさらに含んでもよい。上記バインダー成分の具体例としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルメタクリレート共重合体などの(メタ)アクリル酸共重合体;フッ素系ゴム;スチレン−ブタジエンゴム(SBR);ポリウレタン;エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのバインダー成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのバインダー成分は、それ単体では水に不溶であるため、適当な界面活性剤と共に、エマルションの形で提供される。電池用セパレータ塗液がバインダー成分をさらに含むことにより、後述する電池用セパレータ基材との接着性を高めることができる。上記バインダー成分の含有量は電池用セパレータ塗液中の無機粒子の全質量に対して15質量%以下であることが好ましい。
本発明は、以下の(a)工程もしくは(b)工程を含む電池用セパレータ塗液の製造方法に関するものでもある。
(a)工程:金属成分を含む無機粒子と、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースと、を分散媒中で混合する工程。
(b)工程:金属成分を含む溶液中に、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを浸漬し、繊維状セルロース上に金属成分を含む無機粒子を析出させる工程。
但し、(a)及び(b)工程において金属成分は、金属リン酸塩とした際の20℃における水に対する溶解度が1g/100ml以下であることを満たす金属成分である。
本発明は、基材と、塗工層と、を有する電池用セパレータに関するものでもある。塗工層は、金属成分を含む無機粒子と、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースと、を含む。但し、金属成分は、金属リン酸塩とした際の20℃における水に対する溶解度が1g/100ml以下であることを満たす金属成分である。
電池用セパレータは基材を含む。基材は、電解液に対し安定なものであって、多孔性基材であることが好ましい。
中でも基材の構成材料は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましく、ポリプロピレン又はポリエチレンであることがより好ましい。基材はポリプロピレン又はポリエチレンからなる不織布もしくはフィルムであることが特に好ましい。
また、必要に応じて、他の樹脂を併用することもできる。併用可能な樹脂としては、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂や、SBR、NBR等のゴム系エマルジョンなどが挙げられる。
電池用セパレータの製造工程は、基材の少なくとも一方の面に電池用セパレータ塗液を塗布する工程と、電池用セパレータ塗液が塗布された基材を乾燥する工程とを含むことが好ましい。電池用セパレータ塗液を基材表面に塗布する際には、従来から知られている塗工機を用いることができる。塗工機としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、スクイズロールコーター、カーテンコーター、ブレードコーター、ナイフコーターなどを挙げることができる。なお、電池用セパレータ塗液は基材の片面に塗布されることが好ましい。
本発明の電池用セパレータは、リチウム二次電池等に代表される電気化学素子に好ましく用いられる。電気化学素子としては、有機電解液を用いるリチウム電池(一次電池および二次電池)の他、スーパーキャパシタなどの用途にも用いることができる。
負極としては、従来から知られているリチウム二次電池に用いられている負極であれば特に制限はない。負極はLi+イオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する。
乾燥質量100質量部の針葉樹クラフトパルプに、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を含浸させ、リン酸二水素アンモニウムが49質量部、尿素が130質量部となるように圧搾し、薬液含浸パルプを得た。得られた薬液含浸パルプを105℃の乾燥機で乾燥し、水分を蒸発させてプレ乾燥させた。その後、140℃に設定した送風乾燥機で、10分間加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
乾燥質量100質量部相当の未乾燥の針葉樹晒クラフトパルプと、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)1.25質量部と、臭化ナトリウム12.5質量部とを水10000質量部に分散させた。次いで、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が8.0mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上11以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。
<繊維幅の測定>
微細繊維状セルロースの繊維幅を下記の方法で測定した。
湿式微粒化装置にて処理をした微細繊維状セルロースの上澄み液を、微細繊維状セルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。微細繊維状セルロース1及び2は、繊維幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることを確認した。
置換基導入量は、繊維原料へのリン酸基もしくはカルボン酸基の導入量であり、この値が大きいほど、多くのリン酸基もしくはカルボン酸基が導入されている。置換基導入量は、対象となる微細繊維状セルロースをイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測した。すなわち、図1(リン酸基)及び図2(カルボキシル基)に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とした。算出した結果は以下の表1に示した。
チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を、湿式ボールミルを用いて、1次平均粒子径が1μm以下となるまで微粉砕を行い、微粉砕BaTiO3スラリーを得た。得られた微粉砕BaTiO3スラリーの組成が、BaTiO3100質量部に対して、イオン交換水51質量部となるよう、イオン交換水を加えた。さらに、固形分濃度が2質量%の微細繊維状セルロース1の懸濁液50g(微細繊維状セルロース1の固形分1gと水49gの懸濁液)を加え、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)で3000rpmにて1時間撹拌した。このようにして、微粉砕BaTiO350質量%、分散媒100質量部(上記分散媒51g+水49g)に対する微細繊維状セルロースの固形分濃度が1質量部の電池用セパレータ塗液を得た。
BaTiO3粉末の代わりにアルミナ(Al2O3)粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして、電池用セパレータ塗液を得た。
BaTiO3粉末の代わりに炭酸カルシウム(CaCO3)粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして、電池用セパレータ塗液を得た。
BaTiO3粉末の代わりにリン酸三リチウム(Li3PO4)粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして、電池用セパレータ塗液を得た。
<CNF−Ca懸濁液の調製>
固形分濃度が2.0質量%の微細繊維状セルロース1の懸濁液500g(微細繊維状セルロース1の固形分10gと水490gの懸濁液)に、0.2質量%濃度の水酸化カルシウム水溶液500g(水酸化カルシウム1.0g、イオン交換水499g)を加え、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)で8000rpmにて15分攪拌し、微細繊維状セルロースのカルシウム添加懸濁液(以下、CNF−Ca懸濁液とする)を得た。得られたCNF−Ca懸濁液を密閉容器に入れ、4日間無攪拌状態で保持した。
4日経過後、CNF−Ca懸濁液を孔径500nmのPTFEメンブレンフィルターでろ過し、PTFEメンブレンフィルター上に210gの回収物を得た。
回収物に、飽和水酸化カルシウム水溶液を290g加え、さらに4日静置後、同様のろ過方法で回収物を得て、イオン交換水で、余剰の水酸化カルシウム水溶液が除かれるまでろ過洗浄を繰返し、PTFEメンブレンフィルター上に回収物を得た。
得られた回収物に、表2に組成を示すSBF(Simulated Body Fluid)290mLを加え、7日間静置した。7日間の静置中、<ろ過・再浸漬工程>に記載の方法と同様にして、得られた回収物に1日毎に新たなSBF290mLを加えた。7日間の静置後、同様のろ過方法で回収物を得て、イオン交換水で、余剰のSBFが除かれるまでろ過洗浄を繰返し、PTFEメンブレンフィルター上に精製されたCNF−Ca含有組成物を得た。
得られたCNF−Ca含有組成物の絶乾固形分質量は、18gであり、8gの無機粒子が微細繊維状セルロースに析出していた。析出した無機粒子は、X線回析分析の結果から、ヒドロキシアパタイト(水酸化リン酸カルシウム)と同様のピークが確認され、少なくともカルシウム元素を含んでいた。
得られたCNF−Ca含有組成物18gにイオン交換水250gを加え、スリーワンモーターで緩やかに攪拌し、CNF−Ca含有組成物の懸濁液(電池用セパレータ塗液)を得た。
微細繊維状セルロース1の代わりに、微細繊維状セルロース2を用いた以外は実施例2と同様にして、電池用セパレータ塗液を得た。
BaTiO3粉末の代わりに炭酸ナトリウム(Na2CO3)粉末を用いた以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータ塗液を得た。なお、後述する塗工性の評価において電池用セパレータを作製する際、比較例2では塗工層の厚みを2.5μmとして、比較例3では、塗工層の厚みを5.0μmとした。
Al2O3粉末の代わりに炭酸ナトリウム(Na2CO3)粉末を用いた以外は比較例1と同様にして、電池用セパレータ塗液を得た。なお、後述する塗工性の評価において電池用セパレータを作製する際、比較例4では塗工層の厚みを2.5μmとして、比較例5では、塗工層の厚みを5.0μmとした。
微細繊維状セルロース1の代わりに、微細繊維状セルロース2を用いた以外は実施例4と同様にして、電池用セパレータ塗液を得た。
得られた電池用セパレータ塗液の塗工性を、下記の方法により評価した。
ポリエチレン繊維(繊維長:5mm、繊維強度:28cN/dtex、弾性率:900cN/dtex)を0.2質量%となるように水に分散し、湿式抄紙法にて、ランダムな配向のウェブを形成した。このウェブに接着剤としてエチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂(東邦化学製、ハイテックS−3148、エチレン/アクリル酸=80質量部/20質量部、樹脂末端にウレタン基を有する)を対ポリエチレン繊維比で10質量%となるように噴霧した後、110℃に設定した熱風乾燥機にて乾燥することによって30g/m2の不織布を得た。この不織布に対しカレンダー処理を行い密度が0.64g/cm3の不織布を得た。この不織布を、電池用セパレータ塗液を塗工するための不織布基材とした。
不織布基材に電池用セパレータ塗液を塗工し、乾燥後の塗工層厚みが2.5μm(全ての実施例、比較例3及び5以外の比較例)または5μm(比較例3及び5)になるようにして、電池用セパレータを作製した。この際の塗工性を以下の基準で評価した。
○:塗工後の外観観察で全面にムラがない。
△:塗工後の外観観察で一部にムラ部分がある。
×:塗工後の外観観察で全面にムラがみられる。もしくは塗工自体が出来ない。
これらの結果は、無機粒子を構成する金属を含む金属リン酸塩の溶解度が低いこと、すなわち、無機粒子と、微細繊維状セルロースが有するリン酸基の親和性が高いことに起因するものと考えられる。
Claims (2)
- 基材と、塗工層と、を有する電池用セパレータであって、
前記塗工層は、
金属成分を含む無機粒子と、
リン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維幅が10nm以下の繊維状セルロースと、を含み、
前記金属成分は、金属リン酸塩とした際の20℃における水に対する溶解度が1g/100ml以下であることを満たす金属成分であり、
前記塗工層の厚みは、4μm以下である、電池用セパレータ。 - 前記無機粒子の含有量をWAとし、前記繊維状セルロースの含有量をWBとした場合、WA/WBの値は、0.5以上200以下である請求項1に記載の電池用セパレータ。
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