JP6986813B1 - ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents
ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6986813B1 JP6986813B1 JP2021550255A JP2021550255A JP6986813B1 JP 6986813 B1 JP6986813 B1 JP 6986813B1 JP 2021550255 A JP2021550255 A JP 2021550255A JP 2021550255 A JP2021550255 A JP 2021550255A JP 6986813 B1 JP6986813 B1 JP 6986813B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- terephthalate
- hydroxyethyl
- bis
- bhet
- dye
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C67/00—Preparation of carboxylic acid esters
- C07C67/48—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
- C07C67/52—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change in the physical state, e.g. crystallisation
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C67/00—Preparation of carboxylic acid esters
- C07C67/03—Preparation of carboxylic acid esters by reacting an ester group with a hydroxy group
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C67/00—Preparation of carboxylic acid esters
- C07C67/48—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
- C07C67/52—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change in the physical state, e.g. crystallisation
- C07C67/54—Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change in the physical state, e.g. crystallisation by distillation
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C69/00—Esters of carboxylic acids; Esters of carbonic or haloformic acids
- C07C69/76—Esters of carboxylic acids having a carboxyl group bound to a carbon atom of a six-membered aromatic ring
- C07C69/80—Phthalic acid esters
- C07C69/82—Terephthalic acid esters
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G63/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
- C08G63/02—Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
- C08G63/12—Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds derived from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
- C08G63/16—Dicarboxylic acids and dihydroxy compounds
- C08G63/18—Dicarboxylic acids and dihydroxy compounds the acids or hydroxy compounds containing carbocyclic rings
- C08G63/181—Acids containing aromatic rings
- C08G63/183—Terephthalic acids
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08J—WORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
- C08J11/00—Recovery or working-up of waste materials
- C08J11/04—Recovery or working-up of waste materials of polymers
- C08J11/10—Recovery or working-up of waste materials of polymers by chemically breaking down the molecular chains of polymers or breaking of crosslinks, e.g. devulcanisation
- C08J11/18—Recovery or working-up of waste materials of polymers by chemically breaking down the molecular chains of polymers or breaking of crosslinks, e.g. devulcanisation by treatment with organic material
- C08J11/22—Recovery or working-up of waste materials of polymers by chemically breaking down the molecular chains of polymers or breaking of crosslinks, e.g. devulcanisation by treatment with organic material by treatment with organic oxygen-containing compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08J—WORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
- C08J2367/00—Characterised by the use of polyesters obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain; Derivatives of such polymers
- C08J2367/02—Polyesters derived from dicarboxylic acids and dihydroxy compounds
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
- Y02W30/62—Plastics recycling; Rubber recycling
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Sustainable Development (AREA)
- Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Abstract
Description
また、ポリエステル衣料廃棄物には、衣料用途に応じた要求特性を満足させる目的で使用されている安定剤、帯電防止剤、易染化剤、難燃化剤、吸湿剤、ガスバリア剤等の種々の化合物、衣料に部分的に使用されているナイロン、ウレタン、綿、オレフィン等の異種素材、艶消し剤として使用される酸化チタン等の添加剤、ジッパー、ボタン、金属、ガラス、砂等の不純物等が含まれている。そのため、ポリエステル衣料廃棄物の再生には、これらを効率良く除去することも重要である。
しかしながら、特許文献4、5に記載されている方法は、着色された繊維状ポリエステルからDMTを回収する方法であり、リサイクル工程が長く、多大なエネルギーを必要とするためコスト的に課題が多い。また、精製したリサイクルDMTが、現状、世界的に普及しているテレフタル酸を原料とする重合プロセス(テレフタル酸プロセス)に直接使用できないという大きなデメリットを抱えている。
(1) 色素により着色されたポリエステル廃棄物と、モノエチレングリコールおよび解重合触媒とを混合し、前記ポリエステル廃棄物を解重合して、着色した粗製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む解重合物を得る解重合工程と、
前記解重合物に色素分解剤を添加するとともに冷却し、遠心分離することにより、析出した固形分と前記色素の分解物とを分離し、前記解重合物から、前記分解物の少なくとも一部を除去する色素分解除去工程と、
前記分解物の少なくとも一部が除去された前記解重合物から、前記モノエチレングリコールを含有する低沸点成分を除去して、前記粗製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを濃縮する濃縮工程と、
濃縮された前記粗製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートから、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを蒸留により回収して、前記粗製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートより純度の高いビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得る回収工程と、を有することを特徴とするビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
(3) 前記色素分解剤の添加を、前記解重合物を遠心分離するまでに行う上記(1)または(2)に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
(4) 前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート中に残存する前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート以外のエステル成分の量は、2.5質量%以下であり、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのカラーb値は、0以下である上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
(6) 前記ポリエステル廃棄物は、ポリエステル衣料廃棄物またはペットボトル廃棄物である上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
(7) 前記解重合工程において、前記ポリエステル衣料廃棄物を衣料の形態のままで解重合する上記(6)に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
(8) 前記解重合工程後、さらに、前記解重合物から、前記ポリエステル衣料廃棄物に含まれ、ポリエステルに不溶な固形分を除去する固形物除去工程を有する上記(6)または(7)に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
前記色素分解除去工程は、前記解重合物中に残存する前記窒素原子の量が900ppm以下になるまで行われる上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
(10) 前記回収工程後、さらに、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを溶媒に溶解した溶解液を冷却することにより、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの結晶を析出させるとともに、前記結晶と前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート以外のエステル成分を含有する溶媒成分とを固液分離して、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの純度を高める晶析精製工程を有する上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
前記グリコール系化合物は、炭素原子数が4〜12であるグリコールモノエーテルまたはグリコールジエーテル、および、炭素原子数が2〜6であるグリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する上記(10)に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
(12) 前記晶析精製工程後の前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート中に残存する前記エステル成分の量は、1質量%以下であり、前記晶析精製工程後の前記精製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのカラーb値は、−1以下である上記(10)または(11)に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを重縮合することにより、再生ポリエチレンテレフタレートを得る工程とを有することを特徴とする再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法。
(14) 前記再生ポリエチレンテレフタレートは、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに由来する構造を50質量%以上含有する上記(13)に記載の再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法。
また、本発明により製造される純度の高いリサイクルBHETは、現状、世界的に普及しているテレフタル酸を原料とする重合プロセス(テレフタル酸プロセス)に直接使用できるという大きなメリットを有している。
なお、以下の説明は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も、本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
例えば、本発明において「工程」は、他と区別して認識できる工程のみを意味するものではなく、他の操作と組み合わされたもの、実際上の複数の工程に分散されているもの、この「工程」中に他の工程要素が含まれているもの、および、1つの工程で複数の工程の操作を合わせて実施できるもの、が発明の趣旨に合致する限り、本発明の範疇に属し得る。
本発明のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)の製造方法は、衣料品、ペットボトル、フィルム、樹脂成型品等の各種の着色されたポリエステル廃棄物(以下、「着色ポリエステル廃棄物」とも記載する。)に適用することができる。なお、以下の説明では、着色ポリエステル廃棄物として、着色されたポリエステル製の衣料廃棄物(着色ポリエステル衣料廃棄物)に適用する場合について説明する。
以下、各工程について順に説明する。
まず、染料、顔料等の色素(着色用色素)で着色されたポリエステル衣料廃棄物と、モノエチレングリコール(以下、「MEG」とも記載する。)および解重合触媒とを反応槽に仕込んで混合し、着色ポリエステル衣料廃棄物を解重合して、着色した粗製BHETを含む解重合液(液状の解重合物)を得る。以下、着色した粗製BHETを含む解重合液を「着色解重合液」とも記載する。
ポリエステル衣料を構成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフテレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の他、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。
かかるポリエステル衣料は、ナイロン、ウレタン、綿、オレフィン等の異種素材を含んでいてもよく、衣料用途に応じた要求特性を満足させる目的で使用される安定剤、帯電防止剤、易染化剤、難燃化剤、吸湿剤、ガスバリア剤等の種々の化合物、艶消し剤として使用される酸化チタン等の添加剤、ジッパー、ボタン、金属、ガラス、砂等の固形物を含んでいてもよい。
染料としては、例えば、分散染料、ナフトール染料、媒染染料、建染染料等が挙げられるが、分散染料であることが好ましい。この分散染料は、ポリエステルと分子間力によって結合するため、ポリエステルの着色に最適である。また、本発明者の検討によれば、分散染料を分解、除去するのに本発明を使用すると効果が高いことが判っている。
裁断された薄片の形態では、ハンドリング処理が煩雑であると同時に、嵩密度が小さくなり、解重合において不利になる場合がある。
ハンドリングの容易さ、嵩密度の大きさでは、造粒処理された粒状の形態が有利であるが、ポリエステル衣料廃棄物を粒状の形態にするために、採用する方法によっては、コストが増大する場合がある。
ポリエステル繊維の嵩密度は、衣料の形態で0.10〜0.14g/cm3(圧縮なし)、薄片の形態で0.08〜0.10g/cm3(圧縮なし)である。すなわち、ポリエステル繊維は、衣料の形態の方が嵩密度を大きく維持することができる。
このため、解重合反応を効率的に実施すべく、ポリエステル衣料廃棄物をMEG中に完全に浸漬する場合でも、MEGの使用量を低減することができる。衣料形態のポリエステル衣料廃棄物をMEG中に完全に浸漬して解重合反応を行う場合、MEGの使用量は、ポリエステル衣料廃棄物の質量に対して4.5〜7.0倍程度であることが好ましく、5.0〜6.5倍程度であることがより好ましい。
アルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K等が、アルカリ土類金属としては、例えば、Mg、Ca等が、遷移金属としては、例えば、Ti、Zn、Mn等が挙げられる。
解重合の際の時間は、温度を上記範囲とする場合、1〜10時間程度であるのが好ましく、1.5〜7時間程度であるのがより好ましい。
解重合の際の雰囲気圧力は、60kPa〜160kPa程度であるのが好ましい。
上述したように、ポリエステル衣料廃棄物は、ポリエステル繊維以外の異物(ポリエステルに不溶な固形分)を含んでいることが多いため、必要に応じて、これらの異物を解重合液から除去することが好ましい。
かかる異物としては、例えば、綿、オレフィン等の異種素材、ジッパー、ボタン、金属等の固形物、廃棄物収集時に混入するガラス、砂等の固形物のような粗大固形物が挙げられる。
これらの異物は、目開き20〜40メッシュ程度の目の粗いフィルターで濾過することにより、解重合液から纏めて除去することができる。
これらの微細固形物が再生PET中に混入することは当然好ましくなく、また、これらの微細固形物のサイズによっては、工程内の容器内部や配管内部へ沈降または堆積して液体の流れを遮断する可能性があり、工程通過性の面からも、これらの微細固形物を除去することが好ましい。
具体的には、これらの微細固形物は、数μm〜数十μmサイズの長繊維フィルター等を用いて、濾過または熱時濾過することにより除去することができる。
さらに、着色ポリエステル衣料廃棄物は、染料、顔料等の色素によって着色されている。色素分解除去工程は、着色ポリエステル衣料廃棄物の着色の程度が大きい場合において、最終的に得られるBHETの純度をより高めるべく行われる。
なお、以下では、色素として、ポリエステルの着色に最適な分散染料を代表して説明する。
着色ポリエステル衣料廃棄物に含まれる分散染料が再生ポリエステルに混入すると、再生ポリエステルが着色し、特に黄色度が増大し易くなることが知られている。そのため、着色ポリエステル衣料廃棄物からBHETを製造するに際し、着色ポリエステル衣料廃棄物に含まれる分散染料を色素分解剤によって予め分解して除去することが好ましい。
色素の分解は、例えば、上述した解重合工程終了後の着色解重合液に、オゾン、過酸化水素、濃硫酸、酸素系酸化剤および塩素系酸化剤のうちの少なくとも1種を含有する色素分解剤を添加する酸化分解により好適に行うことができる。中でも、色素の分解能に優れ、安価で入手が容易であることから、塩素系酸化剤を含有する色素分解剤が好ましい。
過硫酸水素塩の具体例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、バリウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはこれらの水和物等が挙げられる。なお、過硫酸水素塩は、硫酸水素塩や硫酸塩との複塩でもよい。
過硫酸塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはこれらの水和物等が挙げられる。
過炭酸塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはこれらの水和物等が挙げられる。
過ホウ酸の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはこれらの水和物等が挙げられる。
クロロアミン化合物類の具体例としては、クロラミンB(N−クロロベンゼンスルホンアミドナトリウム)、ジクロラミンB(N,N’−ジクロロベンゼンスルホンアミド)、クロラミンT(N−クロロ−P−トルエンスルホンアミドナトリウム)、ジクロラミンT(N,N’−ジクロロ−P−トルエンスルホンアミド)等が挙げられる。
塩素酸塩類の具体例としては、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、塩素酸リチウム、塩素酸アンモニウム、塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸二ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ルビジウム、過塩素酸セシウム、テトラアルキルアンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸銀、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム等が挙げられる。
塩素化イソシアヌル酸類の具体例としては、塩素化イソシアヌル酸、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、塩素化イソシアヌル酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、トリクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸カリウム等が挙げられる。
色素分解剤の添加量は、着色解重合液に含まれるBHET100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であっても、2質量部以下であってもよい。一方、色素分解剤の添加量の下限は、色素および色素分解剤の種類等に応じて適宜設定されるため、特に限定されないが、通常、0.5質量部以上であることが好ましい。
なお、着色解重合液に含まれるBHETの量は、着色されたポリエステル衣料廃棄物の質量×254/192×100により計算される。
色素分解剤を上記範囲で添加することにより、一般的に着色ポリエステル衣料廃棄物に含まれる量の分散染料を酸化分解するのに適切な量となり、コスト的に有利である。
上述のように、色素(分散染料)を酸化分解した後も、色素の分解物(以下、「色素分解物」とも記載する。)中には、分散染料由来の窒素原子が残存している。
分散染料由来の窒素原子が除去された程度を確認する方法の1つとして、解重合液(解重合物)やBHET中に残存する窒素原子の量(N残存量)を測定する方法を使用することができる。
また、ポリエステル衣料廃棄物に含まれる色素に由来する窒素原子の量が900ppm以下であれば、本工程(色素分解除去工程)を省略してもよいが、色素分解物を除去するために本工程を実施することが好ましい。
そのため、一般的に公知の結晶濾過分離機や遠心濾過式結晶分離機では、結晶と液体成分との固液分離が複雑になり易いが、遠心沈降式遠心分離機を使用すれば、小さな微細結晶と液体成分との固液分離も簡便に行うことができる。
一方、着色用の色素成分(色素、その分解物または発色団)は、蒸発残渣、蒸留缶残として濃縮され、産業廃棄物として処理することが好ましい。
また、本工程では、色素分解物の一部のみが除去されてもよく、全てが除去されても(すなわち、N残存量が検出限界以下となっても)よい。
次に、上記固形物を加熱により溶融させ、溶融状態で液状の解重合物(解重合液)を得る。そして、この解重合液中からBHETより沸点の低い低沸点成分を除去して、BHETおよびポリエステルオリゴマーを主成分とする粗製BHETを得る。なお、得られる粗製BHETは、溶融状態で粘稠状の液体であるため、粗製BHET濃縮液とも記載する。ここで、低沸点成分としては、主にMEGやDEG等が挙げられる。また、この粗製BHET濃縮液中には色素成分、ポリアミド成分、ポリウレタン成分、ポリエステル共重合成分、上記固形物除去工程(2)で除去できなかった5μm未満の超微細な酸化チタン等の不純物が残存している場合がある。
特に、蒸発操作時のBHETおよびポリエステルオリゴマーの重合化を防止するために、減圧下に粗製BHET濃縮液の温度を130℃以下に設定して行うことが好ましい。
また、蒸発機内における粗製BHET濃縮液の滞留時間が10分以下となるような構造(型式)の蒸発機を選定することが好ましい。
具体的な蒸発機としては、例えば、流下膜式蒸発機、薄膜式蒸発機が挙げられる。
次に、BHETおよびポリエステルオリゴマーを主成分とし、場合によって、残存色素成分、残存ポリアミド成分、残存ポリウレタン成分、残存ポリエステル共重合成分、残存酸化チタン等の不純物を含有する粗製BHET濃縮液から、BHETを回収して、粗製BHET濃縮液より純度の高いBHETを得る。
BHETの回収は、蒸留、好ましくは真空(減圧)下での蒸留(以下、「真空蒸留」とも記載する。)により好適に行うことができる。この場合、蒸留される成分としては、BHETが圧倒的に多いが、BHETとともに微量の色素成分、ポリエステルオリゴマー成分、ポリアミド成分、ポリウレタン成分、ポリエステル共重合成分等の沸点を有する有機化合物(以下、「沸点を有する有機化合物」とも記載する。)も留出する場合がある。
沸点を有する有機化合物の中でも、色素成分(分散染料等)については、沸点よりも低い温度で昇華する特性を有するため、本工程(5)に供給される粗製BHET濃縮液中に残存する窒素原子の量が900ppm以下になるまで、色素成分が除去されていれば、本工程(5)で得られるBHET中に多量の色素成分が混入するという問題を回避することができる。
これを改善するためには、蒸留には、環流を伴う蒸留(精留)を採用することが好ましい。環流を伴う蒸留によれば、適当な還流比の選定により、BHETの要求品質を容易に満足することができる。
ここで、他のエステル成分としては、モノ−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(MHET)、ジエチレングリコールエステル、ポリエステルダイマー、ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。なお、これらの成分は、再生ポリエチレンテレフタレートを製造する際に、得られる再生ポリエチレンテレフタレートに取り込まれる。
上述の品質を満足するBHETを原料とすれば、重縮合(溶融重縮合)して製造される再生ポリエチレンテレフタレートのカラーb値(黄色度)を8以下とすることができ、バージンポリエチレンテレフタレート並のカラーb値を有する再生ポリエチレンテレフタレートの製造が可能となる。
すなわち、本工程(5)は、沸点を有さない固形物の最終分離工程としての役割も担っていると言うこともできる。
上述したようなBHETを原料とすれば、バージンポリエチレンテレフタレート並のカラーb値を有する再生ポリエチレンテレフタレートの製造は可能であるが、例えば、BHETを試薬等の原料に使用する場合は、BHETの純度をより高かめることが好ましい。
本発明者らは、上記回収工程(5)で得られたBHETの純度をより高かめる方法について鋭意検討を行った結果、以下の方法が好適であることをも見い出した。
また、晶析精製に際し、晶析溶媒の種類に応じて、BHETと晶析溶媒との混合比率を調整することによって、上記精製対象除去物をより効率よく除去することができる。
グリコール系化合物としては、グリコールモノエーテル、グリコールジエーテル、グリコールが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
すなわち、晶析溶媒は、水、炭素原子数が4〜12であるグリコールモノエーテルまたはグリコールジエーテル、および、炭素原子数が2〜6であるグリコールからなる群より選択される少なくとも1種のグリコール系化合物を含有することが好ましい。水および/またはグリコール系化合物を含む溶媒を晶析溶媒として使用することにより、BHET中に残存する精製対象除去物の除去効果をより高めることができる。
これらの中でも、精製対象除去物の除去能が高い観点から、グリコールモノエーテルを含む晶析溶媒がより好ましい。
なお、溶解液の冷却温度については、晶析溶媒に溶解するBHETの量を減らし、BHETの収率を上げるという観点からは冷却温度が低い方が好ましい。ただし、冷却に要するエネルギー量、低温化に伴う晶析溶媒の粘度上昇による固液分離の操作性等を考慮すると、冷却温度を20〜25℃程度とするのが好ましい。
また、溶解液は、急冷してもよいが、十分なサイズを有するBHETの結晶を得る観点からは、徐冷(自然放冷含む)が好ましい。
晶析精製操作を行う回数については、特に限定されないが、1回目の操作で得られた精製BHETの品質が上記品質に達しない場合は、再度、晶析精製操作を行うことが好ましい。
本発明者らによれば、晶析精製操作を少なくとも3回行えば、着色の程度にかかわらず、精製BHETの品質が上記品質に到達することを確認している。
一方、精製対象除去物は、蒸発残渣、蒸留缶残として回収され、産業廃棄物として処理することが好ましい。
以上のような本工程(6)において、本実施形態のBHETの精製方法が実施される。
重縮合により再生PETを製造する際には、BHETとテレフタル酸とを任意の割合で混合することで、再生PETを容易に製造することができる。この場合、サステナブルクローズドループのリサイクル構築に寄与するためには、再生PET中のBHETに由来する構造を50質量%以上含有することが好ましく、65質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがさらに好ましい。
例えば、本発明のBHETの製造方法および再生PETの製造方法は、それぞれ、同様の効果が発揮される任意の工程と置換されてもよく、任意の目的の工程を追加するようにしてもよい。また、本発明の工程は、回分式(バッチ式)、連続式、またはこれらの組合せのいずれであってもよい。
また、本発明に適用し得る着色されたポリエステル廃棄物は、着色されたペットボトル廃棄物も好ましい。着色されたペットボトル廃棄物の場合、例えば、粉砕された後、解重合工程に供される。また、その処理条件は、着色されたポリエステル衣料廃棄物の場合と同様に設定することができる。
(実施例1)
<(1)解重合工程>
まず、裁断されていない黒色分散染料、青色分散染料、赤色分散染料および黄色分散染料により着色されたPET衣料廃棄物(以下、「着色衣料廃棄物」とも記載する。)を4着で合計400g(嵩密度:0.12g/cm3、着色衣料廃棄物に含まれる窒素原子の総量:1,150ppm)を用意した。
なお、解重合液中のBHETの量(g)は、着色衣料廃棄物の質量(400g)×254/192×100により計算した。
次に、着色解重合液を、目開き30メッシュの金網ストレーナーにより粗大固形物を熱時濾過し、粗大固形物を除去した着色解重合液を得た。この段階では、主に、PET以外の異種素材(綿、オレフィン類)、ジッパー、ボタン、金属、ガラス、砂等の粗大固形物を除去した。
次に、着色解重合液の温度を95℃まで冷却し、10μmのステンレス製の長繊維フィルター(ナスロンフィルター)で熱時濾過し、10μm以上のポリエステルに不溶な酸化チタン等の微細固形物を除去した。
次に、95℃の着色解重合液に、色素分解剤として、濃度30質量%の過酸化水素水176.4g(過酸化水素:52.9g)を添加して30分間撹拌した。
次に、色素分解物を含有する着色解重合液を25℃まで冷却した。これにより、BHETやポリエステルオリゴマーの微細結晶を固形分として析出させ、分離板型(ディスク型)の遠心沈降式遠心分離機を使用して、析出した固形分と解重合液中のMEGおよびMEGに溶解している色素分解物とを固液分離した。遠心分離機の条件は、遠心力を4,000Gとし、遠心分離の時間を30分間とした。
なお、遠心分離機で分離された色素分解物を含有するMEGの比率は、着色解重合液全体に対して56質量%であり、固形分中に残存する窒素原子の量は425ppmであった。
次に、上記固形分を125℃まで加熱することにより溶融させた後、薄膜蒸発機に送液した。薄膜蒸発機の条件は、ジャケット加熱熱媒温度を140℃とし、蒸発機内圧力を400Pa(3.0mmHg)とした。これにより、BHETより沸点の低い低沸点成分を蒸発・留去して、粗製BHET濃縮液を得た。得られた粗製BHET濃縮液は、着色した粘稠状の液体であった。
次に、粗製BHET濃縮液を短行程薄膜蒸発機に送液した。薄膜蒸発機の条件は、ジャケット加熱熱媒温度を180℃とし、蒸発機内圧力を10Pa(0.08mmHg)とした。これにより、粗製BHET濃縮液からBHETを単蒸留して、BHETを回収した(以下、「単蒸留BHET」とも記載する)。
なお、得られた単蒸留BHET中に残存する他のエステル成分の量は、3.5質量%であり、単蒸留BHETのカラーb値は、0.9であった。また、単蒸留BHET中に残存する窒素原子の量(N残存量)は、40ppmであった。
回収工程における単蒸留を、環流を伴う蒸留(還流比:2.0)である精留に変更した以外は、実施例1と同様にして、BHET(以下、「精留BHET」とも記載する。)および再生PETを得た。
色素分解除去工程における着色解重合液の温度を25℃に変更し、色素分解剤を濃度96%の濃硫酸53gに変更した以外は、実施例1と同様にして、単蒸留BHETおよび再生PETを得た。
回収工程における単蒸留を、環流を伴う蒸留(還流比:2.0)である精留に変更した以外は、実施例3と同様にして、精留BHETおよび再生PETを得た。
色素分解除去工程における色素分解剤を、濃度12質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液441.0g(次亜塩素酸ナトリウム:52.9g)に変更した以外は、実施例1と同様にして、単蒸留BHETおよび再生PETを得た。
回収工程における単蒸留を、環流を伴う蒸留(還流比:2.0)である精留に変更した以外は、実施例5と同様にして、精留BHETおよび再生PETを得た。
色素分解除去工程における色素分解剤を、濃度12質量%の次亜塩素酸カルシウム水溶液441.0g(次亜塩素酸カルシウム:52.9g)に変更した以外は、実施例1と同様にして、単蒸留BHETおよび再生PETを得た。
回収工程における単蒸留を、環流を伴う蒸留(還流比:2.0)である精留に変更した以外は、実施例7と同様にして、精留BHETおよび再生PETを得た。
1質量部の実施例1で得られた単蒸留BHETと、晶析溶媒として4質量部のジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(炭素原子数:10)とを5Lのフラスコに投入し、液内温が80℃になるまで加熱した。これにより、単蒸留BHETをジエチレングリコールモノヘキシルエーテルに溶解させて、溶解液を得た。その後、この溶解液を自然放冷で液温を20℃まで降下させて、BHETの結晶を析出させた。
なお、精製BHET中に残存する他のエステル成分の量は、0.5質量%であり、精製BHETのカラーb値は、−1.5であった。また、精製BHET中に残存する窒素原子の量(N残存量)は、9.8ppmであった。
晶析溶媒を、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(炭素原子数:10)に変更した以外は、実施例9と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
晶析溶媒を、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(炭素原子数:8)に変更した以外は、実施例9と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
晶析溶媒を、エチレングリコールモノブチルエーテル(炭素原子数:6)に変更した以外は、実施例9と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
晶析溶媒を、エチレングリコール(炭素原子数:2)に変更した以外は、実施例9と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
晶析溶媒を、ジエチレングリコール(炭素原子数:4)に変更した以外は、実施例9と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
実施例1で得られた単蒸留BHETを、実施例5で得られた単蒸留BHETに変更し、晶析溶媒を、水に変更した以外は、実施例9と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
実施例5で得られた単蒸留BHETを、実施例6で得られた精留BHETに変更した以外は、実施例15と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
晶析溶媒を、エチレングリコール(炭素原子数:2)に変更した以外は、実施例15と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
実施例5で得られた単蒸留BHETを、実施例6で得られた精留BHETに変更した以外は、実施例17と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
晶析溶媒を、エチレングリコールモノブチルエーテル(炭素原子数:6)に変更した以外は、実施例15と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
実施例5で得られた単蒸留BHETを、実施例6で得られた精留BHETに変更した以外は、実施例19と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
色素分解除去工程における色素分解剤を、濃度12質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液220.5g(次亜塩素酸ナトリウム:26.5g)に変更した以外は、実施例5と同様にして、単蒸留BHETおよび再生PETを得た。
色素分解除去工程において、まず、着色解重合液を25℃まで冷却して固形分を析出させた後、色素分解剤を添加した以外は、実施例5と同様にして、単蒸留BHETおよび再生PETを得た。
色素分解除去工程を省略した以外は、実施例1と同様にして、単蒸留BHETおよび再生PETを得た。
色素分解除去工程を省略した以外は、実施例12と同様にして精製BHETおよび再生PETを得た。
晶析精製操作を3回行った以外は、比較例2と同様にして、精製BHETおよび再生PETを得た。
2−1.窒素原子の量の測定
着色衣料廃棄物、色素分解除去後の固形物、蒸留BHET、精製BHET中に残存する窒素原子の量(N残存量)は、それぞれ微量全窒素分析装置(三菱ケミカルアナリテック社製、「TN−2100H」)で測定した。
2−2.カラーb値の測定
蒸留BHET、精製BHET、再生PETのカラーb値は、色差計(日本電色社製、「SE−7700」)で測定した。
2−3.他のエステル成分の量の測定
蒸留BHET、精製BHET中に残存する他のエステル成分の量は、高速液体クロマトグラフィー装置(島津製作所製、「LC−2010AHT」)で測定した。
DEGHE:ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル
TEGBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
MEGHE:エチレングリコールモノヘキシルエーテル
MEGBE:エチレングリコールモノブチルエーテル
MEG :エチレングリコール
DEG :ジエチレングリコール
特に、色素分解剤として塩素系酸化剤を使用すれば、その効果が顕著である。色素を効率良く除去し得ることが判る。
また、色素分解剤としてオゾンまたは酸素系酸化剤を使用した場合も、上記と同様の結果が得られる。
Claims (14)
- 色素により着色されたポリエステル廃棄物と、モノエチレングリコールおよび解重合触媒とを混合し、前記ポリエステル廃棄物を解重合して、着色した粗製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを含む解重合物を得る解重合工程と、
前記解重合物に色素分解剤を添加するとともに冷却し、遠心分離することにより、析出した固形分と前記色素の分解物とを分離し、前記解重合物から、前記分解物の少なくとも一部を除去する色素分解除去工程と、
前記分解物の少なくとも一部が除去された前記解重合物から、前記モノエチレングリコールを含有する低沸点成分を除去して、前記粗製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを濃縮する濃縮工程と、
濃縮された前記粗製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートから、ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを蒸留により回収して、前記粗製ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートより純度の高い高純度ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得る回収工程と、を有することを特徴とするビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。 - 前記色素分解剤は、オゾン、過酸化水素、濃硫酸、酸素系酸化剤および塩素系酸化剤のうちの少なくとも1種を含有する請求項1に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 前記色素分解剤の添加を、前記解重合物を遠心分離するまでに行う請求項1または2に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 前記高純度ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート中に残存する前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート以外のエステル成分の量は、2.5質量%以下であり、前記高純度ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのカラーb値は、0以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 前記ポリエステル廃棄物は、65質量%以上のポリエチレンテレフタレートを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 前記ポリエステル廃棄物は、ポリエステル衣料廃棄物またはペットボトル廃棄物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 前記解重合工程において、前記ポリエステル衣料廃棄物を衣料の形態のままで解重合する請求項6に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 前記解重合工程後、さらに、前記解重合物から、前記ポリエステル衣料廃棄物に含まれ、ポリエステルに不溶な固形分を除去する固形物除去工程を有する請求項6または7に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 前記色素は、窒素原子を含有する発色団を有し、
前記色素分解除去工程は、前記解重合物中に残存する前記窒素原子の量が900ppm以下になるまで行われる請求項1〜8のいずれか1項に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。 - 前記回収工程後、さらに、前記高純度ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを溶媒に溶解した溶解液を冷却することにより、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの結晶を析出させるとともに、前記結晶と前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート以外のエステル成分を含有する溶媒成分とを固液分離して、前記高純度ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの純度を高める晶析精製工程を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 前記溶媒は、水および/またはグリコール系化合物を含み、
前記グリコール系化合物は、炭素原子数が4〜12であるグリコールモノエーテルまたはグリコールジエーテル、および、炭素原子数が2〜6であるグリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項10に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。 - 前記晶析精製工程後の前記高純度ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート中に残存する前記エステル成分の量は、1質量%以下であり、前記晶析精製工程後の前記高純度ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートのカラーb値は、−1以下である請求項10または11に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法により、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを得る工程と、
前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを重縮合することにより、再生ポリエチレンテレフタレートを得る工程とを有することを特徴とする再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法。 - 前記再生ポリエチレンテレフタレートは、前記ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに由来する構造を50質量%以上含有する請求項13に記載の再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021191788A JP2022022286A (ja) | 2020-06-29 | 2021-11-26 | ビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020111719 | 2020-06-29 | ||
JP2020111719 | 2020-06-29 | ||
PCT/JP2021/022690 WO2022004359A1 (ja) | 2020-06-29 | 2021-06-15 | ビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021191788A Division JP2022022286A (ja) | 2020-06-29 | 2021-11-26 | ビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP6986813B1 true JP6986813B1 (ja) | 2021-12-22 |
JPWO2022004359A1 JPWO2022004359A1 (ja) | 2022-01-06 |
Family
ID=79193206
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021550255A Active JP6986813B1 (ja) | 2020-06-29 | 2021-06-15 | ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 |
JP2021191788A Pending JP2022022286A (ja) | 2020-06-29 | 2021-11-26 | ビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021191788A Pending JP2022022286A (ja) | 2020-06-29 | 2021-11-26 | ビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (2) | JP6986813B1 (ja) |
KR (1) | KR20230027276A (ja) |
CN (1) | CN115803377A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024034609A1 (ja) * | 2022-08-09 | 2024-02-15 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | ポリエステル分解方法、ポリエステル製造方法およびポリエステル分解物回収方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN117510326A (zh) * | 2023-11-02 | 2024-02-06 | 浙江佳人新材料有限公司 | 一种废旧纺织品回收解聚液浓缩工艺 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4783193A (en) * | 1985-06-10 | 1988-11-08 | Laury Pensa | Composition and process for stripping color from synthetic polymer products |
JP3715812B2 (ja) * | 1998-12-10 | 2005-11-16 | 株式会社アイエス | ポリエチレンテレフタレート廃棄物のケミカルリサイクル方法 |
JP2005330444A (ja) * | 2004-05-21 | 2005-12-02 | Is:Kk | 繊維状ポリエステルからエステルモノマーを回収する方法 |
JP2008088096A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-04-17 | Nisuko:Kk | ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法およびポリエチレンテレフタレートの製造方法 |
JP6659919B1 (ja) * | 2019-04-15 | 2020-03-04 | 株式会社シンテック | 脱色ポリエステルの製造方法、脱色ポリエステルおよび脱色剤 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5134563B1 (ja) | 1971-07-15 | 1976-09-27 | ||
DE60042656D1 (de) | 1999-10-22 | 2009-09-10 | Teijin Ltd | Verfahren zur abtrennung und rückgewinnung von dimethylterephthalat und ethylenglykol aus polyesterabfällen |
JP4537288B2 (ja) | 2005-08-08 | 2010-09-01 | 帝人ファイバー株式会社 | 染着ポリエステル繊維からの有効成分回収方法 |
-
2021
- 2021-06-15 CN CN202180044661.2A patent/CN115803377A/zh active Pending
- 2021-06-15 KR KR1020237002625A patent/KR20230027276A/ko unknown
- 2021-06-15 JP JP2021550255A patent/JP6986813B1/ja active Active
- 2021-11-26 JP JP2021191788A patent/JP2022022286A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4783193A (en) * | 1985-06-10 | 1988-11-08 | Laury Pensa | Composition and process for stripping color from synthetic polymer products |
JP3715812B2 (ja) * | 1998-12-10 | 2005-11-16 | 株式会社アイエス | ポリエチレンテレフタレート廃棄物のケミカルリサイクル方法 |
JP2005330444A (ja) * | 2004-05-21 | 2005-12-02 | Is:Kk | 繊維状ポリエステルからエステルモノマーを回収する方法 |
JP2008088096A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-04-17 | Nisuko:Kk | ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法およびポリエチレンテレフタレートの製造方法 |
JP6659919B1 (ja) * | 2019-04-15 | 2020-03-04 | 株式会社シンテック | 脱色ポリエステルの製造方法、脱色ポリエステルおよび脱色剤 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024034609A1 (ja) * | 2022-08-09 | 2024-02-15 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | ポリエステル分解方法、ポリエステル製造方法およびポリエステル分解物回収方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
KR20230027276A (ko) | 2023-02-27 |
JPWO2022004359A1 (ja) | 2022-01-06 |
JP2022022286A (ja) | 2022-02-03 |
CN115803377A (zh) | 2023-03-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2022004359A1 (ja) | ビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 | |
JP6986813B1 (ja) | ビス−(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 | |
JP4067306B2 (ja) | ポリエステル廃棄物からテレフタル酸ジメチル及びエチレングリコールを分離回収する方法 | |
JP4908415B2 (ja) | 染着ポリエステル繊維からの有用成分製造方法 | |
JP4647625B2 (ja) | 廃棄ポリエチレンテレフタレート(pet)の化学的リサイクル手法 | |
WO2019001137A1 (zh) | 一种将废弃纺织物制备可应用于纺织品加工的纤维级聚酯切片的方法 | |
JP4537288B2 (ja) | 染着ポリエステル繊維からの有効成分回収方法 | |
JP7101390B2 (ja) | 高純度ビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法、再生ポリエチレンテレフタレート、脱色溶媒およびビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの精製方法 | |
KR101561528B1 (ko) | Pet 폐기물의 화학적 재활용 방법 | |
JP2006232701A (ja) | ポリエステル繊維屑からエステルモノマーを回収する方法 | |
JP2004217871A (ja) | 染着ポリエステル繊維からの有用成分回収方法 | |
JP4365592B2 (ja) | ポリエステル廃棄物からの有効成分回収方法 | |
JP7252585B1 (ja) | ビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートの製造方法および再生ポリエチレンテレフタレートの製造方法 | |
JP2009173554A (ja) | ペットボトル廃棄物より色相を改善したテレフタル酸ジメチルを回収する方法 | |
JP2002060369A (ja) | ポリエステル廃棄物のリサイクル方法 | |
JP2011207823A (ja) | ポリエステルからテレフタル酸ジメチルを製造する方法 | |
JP3866876B2 (ja) | テレフタル酸ジメチルの回収方法 | |
JP3866872B2 (ja) | テレフタル酸ジメチルの回収方法 | |
JPS5859214A (ja) | テレフタル酸成分の回収方法 | |
JP2009143829A (ja) | ポリエステル廃棄物のリサイクル方法 | |
JP2012116779A (ja) | ポリエステルからポリエステルモノマーを製造する方法 | |
JP2002167354A (ja) | テレフタル酸組成物 | |
JPH11302227A (ja) | テレフタル酸ジメチルの回収方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210827 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20210827 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211102 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211108 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211124 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211126 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6986813 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |