JP6985914B2 - 塩化マグネシウムを含む即席麺の製造方法 - Google Patents
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工程1:原料粉、水、及びかんすいを混捏し麺生地を製造する工程
工程2:麺生地から麺線を製造する工程
工程3:麺線に、塩化マグネシウムを添加する工程
本発明により製造された即席麺は塩化マグネシウム、かんすい、及び原料粉を含むことが必要である。先ず、これら原料について詳細に説明する。
塩化マグネシウムとしては、純度の高い塩化マグネシウムに限らず、苦汁(にがり)等の塩化マグネシウムを主成分とする添加物を用いることができる。
本発明における“かんすい”とは、中華麺やうどんの製造に用いるアルカリ塩のことを指し、具体的には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸ナトリウム等のピロリン酸塩、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム等のポリリン酸塩、メタ燐酸カリウム、メタ燐酸ナトリウム等のメタリン酸塩、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩などが挙げられる。
(1)かんすいが有機物に作用し、ピロリジンやトリメチルアミン等のアルカリ臭が生じる。
(2)かんすい加えることで、小麦に含まれるグルテンが収斂し、コシや滑らかさが向上する。
(3)かんすいが小麦に含まれるフラボノイド系色素に作用し、淡黄色に呈色する。
原料粉としては、小麦粉、米粉、ライ麦粉、大麦粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉、トウモロコシ粉、小豆粉、大豆粉、ソバ粉及びキヌア粉等の穀粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉及びコーンスターチ等の澱粉、並びにアセチル化澱粉、エーテル化澱粉及び架橋デンプン等の加工澱粉などを使用することができる。
塩化ナトリウムを過剰に摂取すると高血圧症や心疾患等のリスクが高まるといわれているが、塩味を誘起する最も一般的な物質であり、代替物のみでは異味が強くなりすぎる。また、上述の通り、塩化ナトリウムは、グルテンに作用して麺線の弾性や伸展性を強化し、製麺性や食感を改善する。このため、本発明においても塩化ナトリウムを一定量添加することが好ましい。
本発明では、上記原料以外の副原料を添加することができる。具体的には、麺の食感を調整するために使用されるキサンタンガム、ペクチン等の増粘多糖類、色相を調整するために使用される全卵(中華麺)やほうれん草(翡翠麺)、色相や甘味を調整するために添加されるグルコースやフルクトース等の糖、風味を調整するために添加される香料等、製麺性を高めるための油脂等を使用できる。
次に即席麺の製造方法について具体的に説明する。
原料粉に、少なくともかんすいを含有する練水を給水し、これを混捏してドウを製造する。混捏時間には特に限定はないが、5〜30分混捏するのが一般的である。また、混捏に使用するミキサーの種類に特に限定はなく、バッチ型ミキサーやフロージェットミキサー等を適宜使用できる。また、練水には、塩化ナトリウム、還元糖等の色相調整剤、増粘多糖類等の副原料を添加しても良い。
生麺線の製造方法としては、(ア)工程1で得られたドウを複合・圧延して所定の厚さの麺帯を製造し、切刃等を用いて切出す方法(切出麺)、(イ)ドウを所定のサイズの穴から押し出す方法(押出麺)、(ウ)ドウによりをかけながら延ばして麺状に成型する方法(手延麺)等が挙げられる。なお、切出麺としては中華麺、うどん等、押出麺としてはスパゲティー等、手延麺としては素麺等が例示できる。また、これらの方法を組み合わせても良く、例えば、押出によって麺帯を製造し、切出す方法(製法(ア)と製法(イ)の組合せ)等が利用できる。
本発明では、必要に応じて生麺線を蒸煮及び/又はボイルして、α化麺線としてもよい。小麦粉等に含まれる澱粉は、生澱粉と呼ばれ分子構造が緻密で消化が悪いが、水を加えて加熱すれば分子構造が崩れてα化澱粉となり消化しやすくなる。処理温度には特に制限はなく、常圧の水蒸気で蒸煮する場合やボイルする場合の処理温度は95〜100℃、過熱水蒸気を用いる場合には100〜350℃で処理するのが一般的である。
本発明では、麺線に塩化マグネシウムを添加する工程(以下「着味工程」と称する)を設ける必要がある。麺線の形成後に塩化マグネシウムを添加することで、かんすいと塩化マグネシウムの反応が抑制され、塩味を効果的に付与できる。また、麺線の形成後に塩化マグネシウムが添加されるため、製麺性にも悪影響を及ぼさない。
切出麺の場合、麺線は着味工程までは連続してコンベヤ上を運ばれるのが通常であり、切出工程において一食分にとりまとめるために切断される。そして、切断された麺線はリテーナー(金属製型枠)に自動的に型詰される。なお、押出麺や手延麺の場合は切出・型詰工程を経ずに乾燥工程に移行するのが一般的である。
乾燥工程を経る前の麺線は水分を25〜65重量%含有するため、即席麺の保存性を高めるために、水分が1〜15重量%になるまで乾燥する必要がある。代表的な乾燥方法としては、瞬間油熱乾燥法と熱風乾燥法が挙げられる。
瞬間熱乾燥法とは、麺線を100〜200℃の熱油に1〜4分通過させることにより、麺線の水分を2〜5重量%程度まで脱水乾燥させる方法である。なお、瞬間油熱乾燥法は切出麺は、型詰を要しない押出麺や手延麺には一般的には用いられない。
熱風乾燥法とは、麺線を50〜170℃の熱風に10〜180分晒すことにより、麺線の水分を8〜15重量%程度まで乾燥させる方法である。熱風乾燥法では、麺線を型詰する必要が無いため、切出麺だけでなく押出麺や手延麺にも利用することができる。
小麦粉900g、タピオカアセチル化デンプン100部を紛体混合し、水345部、塩化ナトリウム15部、かんすい3部(炭酸カリウム:炭酸ナトリウム=3:2)からなる練り水を加え、バッチ型ミキサーで15分間ミキシングして麺生地(ドウ)を製造した。
α化麺線1を、水、塩化ナトリウム90部、塩化マグネシウム六水和物20部からなる着味液(1000ml)に20秒間浸漬し、比較例1と同様の条件で乾燥させて水分2重量%の即席麺(実施例1)を製造した。
小麦粉900g、タピオカアセチル化デンプン100部を紛体混合し、水345部、塩化ナトリウム15部、かんすい3部(炭酸カリウム:炭酸ナトリウム=3:2)、塩化マグネシウム六水和物8.15部からなる練り水を加え、バッチ型ミキサーで15分間ミキシングしてドウを製造した。
小麦粉900g、タピオカアセチル化デンプン100部、塩化マグネシウム六水和物8.15部を紛体混合し、水345部、塩化ナトリウム15部、かんすい3部(炭酸カリウム:炭酸ナトリウム=3:2)からなる練り水を加え、バッチ型ミキサーで15分間ミキシングしてドウを製造した。
味覚認識装置を用いて湯戻し後の即席麺の塩味及び苦味を測定した。また、塩味と電気伝導率の関連性を確認するため、電気伝導率も測定した。測定条件は以下の通りである。
(1)麺をハンマーで粉砕
(2)粉砕した麺5gを50mL遠沈管に測り取る。
(3)遠沈管に熱湯30gを加えて、ボルテックスミキサーで撹拌後、3分間静置する。
(4)遠心分離(12,000rpm、5min)し、上清液1を分け取る。
(5)沈殿物に熱湯20gを加え、ボルテックスミキサーで3分間撹拌する。
(6)遠心分離(12,000rpm、5min)し、上清液2を分け取る。
(7)沈殿物に再度熱湯20gを加え、ボルテックスミキサーで3分間撹拌する。
(8)遠心分離(12,000rpm、5min)し、上清液3を分け取る。
(9)上清液1〜3をまとめてメスフラスコに移し、50mlにメスアップして測定サンプルを調整する。
(10)電気伝導率計「LAQUA twin COND B-771(HORIBA製)」を用いて、測定サンプルの電気伝導率を測定する。
(11)味覚認識装置「TS-5000Z(インテリジェントセンサー製)」を用いて、測定サンプルの塩味及び苦味を測定する。
即席麺の食感を、熟練したパネラー10名が以下の基準で評価した。なお、ここでいう食感とは、麺の弾力性に由来する”コシ”を指す。
○:“標準(比較例1)と同等、又は同等以上”と評価したパネラーが9名以上
×:“標準と同等、又は同等以上”と評価したパネラーが8名以下
Claims (2)
- 以下の順に工程1〜工程3の処理を行う即席麺の製造方法。
工程1:原料粉、水、塩化ナトリウム、及びかんすいを混捏し麺生地を製造する工程
工程2:麺生地から麺線を製造する工程
工程2−2:麺線をα化させる工程
工程3:麺線に塩化マグネシウムを添加する着味工程 - 原料粉がグルテンを含むことを特徴とする請求項1記載の即席麺の製造方法。
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