以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(スロットマシン100の機械的構成)
図1および図2の外観図に示すように、遊技機としてのスロットマシン100は、前面が開口した筐体102と、筐体102の前面一端に回動可能に上下に並んで配置される前面上扉104および前面下扉106とが設けられている。前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓108が設けられており、筐体102内の図柄表示窓108に対応する位置には、3つのリール110(左リール110a、中リール110b、右リール110c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられている。左リール110a、中リール110b、右リール110cには、図3(a)の図柄配列に示すように、20に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列されており、遊技者は、図柄表示窓108を通じて、上段、中段、下段に位置する、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの3つの連続する合計9個の図柄を視認することができる。
前面下扉106の上部には操作部設置台112が形成され、操作部設置台112には、メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、演出スイッチ122等が設けられている。メダル投入部114は、メダル投入口114aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付ける。ベットスイッチ116は、スロットマシン100の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)されているメダルのうち、1遊技で必要とされる規定数のメダルを投入(ベット)する。
スタートスイッチ118は、例えば傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による遊技の開始操作を検出する。ストップスイッチ120(ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120c)は、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに対応して設けられており、遊技者の停止操作を検出する。演出スイッチ122は、例えば、押圧スイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な画像を表示する液晶表示部124が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ126が設けられる。また、前面上扉104の裏面における液晶表示部124の左右位置や前面下扉106の裏面における左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ128が設けられている。
操作部設置台112には、メインクレジット表示部130およびメイン払出表示部132が設けられている。また、図柄表示窓108と操作部設置台112との間には、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136が設けられている。これらメインクレジット表示部130およびサブクレジット表示部134にはクレジットされているメダルの枚数(クレジット枚数)が表示され、メイン払出表示部132およびサブ払出表示部136にはメダルの払出枚数が表示される。
筐体102内におけるリール110の下方には、メダル排出口140aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)142が設けられている。また、前面下扉106の前面下部には、メダル排出口140aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部140が設けられている。また、筐体102内には、電源スイッチ144が設けられている。電源スイッチ144は、スロットマシン100を管理する管理者が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
また、筐体102内には、後述する主制御基板200に、図示しない設定キーおよび設定変更スイッチ(これらを合わせて設定値設定手段という)が設けられている。スロットマシン100では、設定キーに所定の鍵(操作キー)が挿入されてOFFの位置からONの位置へ回転された状態で電源スイッチ144を介して電源が投入されると設定変更モードに移行し、設定変更が可能な状態となる。そして、設定変更が可能な状態において設定変更スイッチが押下される度に設定値が1ずつ加算され、例えば、6段階の設定値のうちのいずれかの設定値に変更され、スタートスイッチ118が操作されると、設定値が確定し、設定キーを元の位置(OFFの位置)に戻すことで設定変更モードが終了して遊技が可能となる。なお、設定変更は、電源スイッチ144が操作されて電源の投入状態となってから一定期間のみ可能となっている。また、上記の設定変更により変更された設定値が元の設定値と等しかったとしても(所謂、打ち直し)、設定変更スイッチの押下に応じ、内部的には設定変更として扱われ、設定変更に準じた処理が行われる。また、このように設定変更の実行有無の情報は、スロットマシン100の電源が投入された後、設定変更が実行されたか否かに応じて設定変更保持手段で保持され、電源が切断されることにより、その情報が消去される。
スロットマシン100では、遊技が開始可能となり、規定数のメダルがベットされると、有効ラインAが有効化するとともに、スタートスイッチ118に対する操作が有効となる。ここで、ベットは、ベットスイッチ116の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部114を通じてメダルを投入する場合と、詳しくは後述するリプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。また、有効ラインAは、当選役の入賞を判定するためのラインであり、本実施形態では1本である。有効ラインAは、図3(b)に示すように、図柄表示窓108に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、左リール110aの中段、中リール110bの中段、右リール110cの中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインに設定されている。無効ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示する、当選役の入賞判定には用いられない有効ラインA以外のラインであり、本実施形態では、図3(b)に示す4つの無効ラインB1、B2、C1、C2を想定している。
そして、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、遊技が開始され、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転されるとともに、当選種別抽選等が実行される。その後、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cをそれぞれ停止させる。そして、当選種別抽選の抽選結果および有効ラインAに表示された図柄の組み合わせによって、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合にはメダルの払い出しが実行され、メダルの払い出しを受け得る当選種別に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合には左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって、遊技が終了する。
なお、本実施形態において、上記1遊技は、メダル投入部114を通じたメダルの投入、ベットスイッチ116の操作を通じたクレジットされているメダルの投入、または、リプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づくメダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転制御されるとともに当選種別抽選が実行され、当選種別抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、操作されたストップスイッチ120a、120b、120cに対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cがそれぞれ停止制御され、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合、そのメダルの払い出しが実行されるまでの遊技をいう。また、メダルの払い出しを受け得る当選種別に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記のメダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ118の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図4に示すように、スロットマシン100は、遊技の進行を制御する主制御基板200と、遊技の進行に応じた演出を制御する副制御基板202とを含む制御基板が設けられている。また、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。なお、メインRAM200cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データが消去されることなく保持される。
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314、コマンド送信手段316等の機能部を有する。
主制御基板200では、メダル投入口114aへのメダルの投入を検出する投入メダル検出部114b、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118およびストップスイッチ120a、120b、120cから各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。また、初期化手段300は、上述した設定値設定手段や設定変更保持手段としても機能する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118の操作に基づき、詳しくは後述するように、当選役の当否、より詳しくは、当選役が含まれる当選種別の当否を決定する当選種別抽選を行う。
リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止制御する。
また、主制御基板200には、リール駆動制御部150が接続されている。このリール駆動制御部150は、スタートスイッチ118の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ152を駆動する。また、リール駆動制御部150は、ストップスイッチ120の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路154の検出信号に基づいて、ステッピングモータ152の駆動を停止する。
判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。また、主制御基板200には、メダル払出装置142が接続されており、払出制御手段310は、メダルの払出枚数を計数しながらメダルを排出する。
遊技状態制御手段312は、当選種別抽選の結果や判定手段308の判定結果を参照し、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる。また、演出状態制御手段314は、当選種別抽選の結果、判定手段308の判定結果、遊技状態の遷移情報を参照し、複数種類の演出状態のいずれかに演出状態を移行させる。
コマンド送信手段316は、ベット手段302、当選種別抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、遊技状態制御手段312、演出状態制御手段314等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
また、主制御基板200には、乱数発生器200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数(以下、当選種別抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選種別抽選手段304が当選種別を決定するために用いられる。
(副制御基板202)
また、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
また、副制御基板202では、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段334は、演出スイッチ122から検出信号を受信するとともに、受信されたコマンドに基づいて液晶表示部124、スピーカ128、演出用ランプ126の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、液晶表示部124に表示される画像データや、演出用ランプ126、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ128から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。演出には、後述するART遊技状態(AT状態)において、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作態様を報知し、遊技利益の大きい所定の当選役の入賞を補助する補助演出も含まれる。また、演出制御手段334は、後述する示唆演出制御手段や示唆権利保持手段としても機能する。
なお、以下では、液晶表示部124、演出用ランプ126、スピーカ128、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136といった、副制御基板202を含む、主制御基板200以外の基板で管理される報知手段を他報知手段という場合がある。これに対し、メインクレジット表示部130、メイン払出表示部132といった、主制御基板200で管理される報知手段を主報知手段(指示モニタ)という場合がある。
(主制御基板200で用いられるテーブル)
図5は、当選役を説明するための説明図であり、図6および図7は、当選種別抽選テーブルを説明するための説明図である。
スロットマシン100においては、詳しくは後述するように、複数種類の遊技状態および演出状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態および演出状態が移行される。そして、主制御基板200では、遊技状態制御手段312により管理、制御される遊技状態に対応する複数の当選種別抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選種別抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の設定値(遊技利益を得る容易性を段階的に示したもの)と現在の遊技状態に応じて、対応する当選種別抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選種別抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ118の操作信号に応じて取得された当選種別抽選乱数が当選種別抽選テーブル内のいずれの当選種別に対応するか判定する。
ここで、当選種別抽選テーブルで抽出される当選種別を構成する当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役が含まれる。リプレイ役は、リプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度遊技を実行できる役である。小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、遊技状態制御手段312により管理される遊技状態をボーナス遊技状態に移行させることができる役である。
本実施形態における当選役は、図5に示すように、リプレイ役として、当選役「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ4」、「通常リプレイ1」〜「通常リプレイ3」、「チェリーリプレイ1」、「チェリーリプレイ2」、「BAR煽りリプレイ」、「BAR揃いリプレイ」、「チャンスリプレイ」(以下、かかる12個のリプレイ役を単に当選役「リプレイ」と略す場合がある)が設けられている。
また、小役として、当選役「1枚役1」〜「1枚役16」(以下、かかる16個の小役を単に当選役「1枚役」と略す場合がある)、当選役「ベル1」〜「ベル5」(以下、かかる5個の小役を単に当選役「ベル」と略す場合がある)、当選役「チェリー」、当選役「スイカ1」〜「スイカ4」(以下、かかる4個の小役を単に当選役「スイカ」と略す場合がある)、当選役「リーチ目1」〜「リーチ目3」(以下、かかる3個の小役を単に当選役「リーチ目」と略す場合がある)が設けられている。
また、ボーナス役として、当選役「RBB1」、「RBB2」、「CBB1」、「CBB2」(以下、かかる4個のボーナス役を単に当選役「BB」と略す場合がある)が設けられている。図5では、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに、各当選役を構成する1または複数の図柄が対応付けられている。なお、図5中「ANY」は、対応する有効ラインA上にいずれの図柄が停止してもよいことを示す。また、当選役「チェリーリプレイ1」、「チェリーリプレイ2」、「チャンスリプレイ」、「チェリー」、「スイカ」は、当選役「BB」を除く他の当選役よりも得られる特典(遊技利益)が高くなるように設定される所謂レア役である。
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ120が操作されたときに、入賞可能な当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、リール110の回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段306によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、入賞可能な当選役に対応する図柄がリール110中に複数あり、いずれもリール110の引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ120が押圧操作されたときに、入賞可能な当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。また、後述するように、当選種別に含まれる当選役に操作態様(操作順や操作タイミング)が入賞条件として設定されている場合、リール制御手段306は、遊技者の操作態様に応じて当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示可能に停止制御する。
そして、例えば、当選役「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ4」、当選役「通常リプレイ1」〜「通常リプレイ3」、当選役「ベル1」〜「ベル5」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている。このような当選役をPB=1と表す場合がある。一方、例えば、当選役「チェリー」、当選役「スイカ」、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄は、各リール110において、上記の停止制御によって、必ずしも有効ラインA上に表示可能なように配列されていないので、所謂とりこぼしが発生する場合がある。このような当選役をPB≠1と表す場合がある。
図6および図7に示すように、当選種別抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選種別が異なったり、ハズレ(不当選)の有無が異なったりする。図6および図7では、各遊技状態(RT0遊技状態(RT0)、RT1遊技状態(RT1)、RT2遊技状態(RT2)、RT3遊技状態(RT3)、RT4遊技状態(RT4)、内部中遊技状態(内部中)、当選役「RBB1」が入賞したボーナス遊技状態(BB1)、当選役「RBB2」が入賞したボーナス遊技状態(BB2)、当選役「CBB」が入賞したボーナス遊技状態(CBB1)、当選役「CBB2」が入賞したボーナス遊技状態(CBB2))毎に割り当てられた当選領域(当選種別)を「○」や「●」で表しているが、実際には、複数の遊技状態それぞれに対応する当選種別抽選テーブルがメインROM200bに記憶されている。なお、「○」はその当選種別の当選確率に設定差(設定値毎の差)が無い設定差無当選種別であることを示し、「●」はその当選種別の当選確率に設定差が有る設定差有当選種別であることを示している。当選種別抽選テーブルでは、区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選種別が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の置数を合計すると当選種別抽選乱数の総数(65536)となる。当選種別抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選種別抽選テーブルにおける複数の当選領域のうち番号の高い方から、順次、置数を取得し、その置数を当選種別抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選種別を当選種別抽選の抽選結果としている。
図6および図7の当選種別抽選テーブルによれば、例えば当選領域1には、当選種別「ハズレ」が対応付けられており、かかる当選種別に当選すると、図5に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインA上に表示されることはなく、メダルの払い出し等が行われることはない。ただし、後述するように、BB内部当選フラグが次遊技に持ち越されている場合、当選種別「ハズレ」の当選により、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。
また、当選領域2〜26には、1のリプレイ役が単独で、または、複数のリプレイ役が重複して対応付けられている。そして、複数の当選役が重複して含まれる当選種別に当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に優先的に表示させるかについての入賞条件、例えば、ストップスイッチ120a、120b、120cが操作される順番が設定されている。
以下の説明において、左リール110a、中リール110b、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順1」とし、左リール110a、右リール110c、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順2」とし、中リール110b、左リール110a、右リール110cの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順3」とし、中リール110b、右リール110c、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順4」とし、右リール110c、左リール110a、中リール110bの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順5」とし、右リール110c、中リール110b、左リール110aの順にリールを停止させるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を「打順6」とする。
例えば、RT1遊技状態において、当選種別「移行リプレイ1」に当選し、打順1による操作が行われた場合、RT2遊技状態への移行を示す当選役「移行リプレイ2」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。また、打順2〜打順6による操作が行われた場合、RT3遊技状態への移行を示す当選役「移行リプレイ3」、「移行リプレイ4」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に優先的に表示されるように停止制御がなされる。
また、当選領域28〜39には、当選役「ベル」と当選役「1枚役」とが重複して含まれる当選種別「打順ベル左1」〜「打順ベル右4」(以下、かかる12個の当選種別を単に当選種別「打順ベル」と略す場合がある)がそれぞれ対応付けられている。なお、当選領域28〜39の当選確率(置数の数)は等しくなるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選種別に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選領域28〜39を設けることにより、当選役「ベル」を入賞させにくくしている。また、当選役「1枚役」が優先的に表示される打順でストップスイッチ120a、120b、120cが操作されても、必ずしも当選役「1枚役」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させられるとは限らないので、その操作態様によっては、とりこぼしが発生することがある(PB≠1)。また、当選領域40〜42には、当選役「ベル2」と当選役「ベル3」とが重複して含まれる当選種別「打順ベル左中」〜「打順ベル中右」(以下、かかる3個の当選種別を単に当選種別「補助打順ベル」と略す場合がある)がそれぞれ対応付けられている。なお、当選領域40〜42の当選確率(置数の数)は等しくなるように設定されている。
また、当選領域50〜53には、当選役「RBB1」が含まれる当選種別「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「RBB4」が対応付けられており、当選領域54〜57には、当選役「RBB2」が含まれる当選種別「RBB5」、「RBB6」、「RBB7」、「RBB8」が対応付けられており、当選領域58〜61には、当選役「CBB1」が含まれる当選種別「CBB1」、「CBB2」、「CBB3」、「CBB4」が対応付けられており、当選領域62〜65には、当選役「CBB2」が含まれる当選種別「CBB5」、「CBB6」、「CBB7」、「CBB8」が対応付けられている。なお、以下では、当選種別「RBB1」、「RBB2」、「RBB3」、「RBB4」、「RBB5」、「RBB6」、「RBB7」、「RBB8」、「CBB1」、「CBB2」、「CBB3」、「CBB4」、「CBB5」、「CBB6」、「CBB7」、「CBB8」を単に当選種別「BB」と略す場合がある。
なお、上述したいずれかの当選種別に当選すると、それぞれの当選種別に対応する内部当選フラグが成立(オン)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、各リール110の停止制御がなされることとなる。このとき、小役が含まれる当選種別に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該遊技の終了後に内部当選フラグがオフされる。つまり、小役の当選の権利は小役が含まれる当選種別に当選した遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。これに対して、当選役「BB」が含まれる当選種別に当選した場合には、BB内部当選フラグが成立(オン)するとともに、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、BB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。なお、リプレイ役である当選役「リプレイ」が含まれる当選種別に対応する内部当選フラグが成立した場合には、その当選種別に含まれる当選役「リプレイ」のうちのいずれかの当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがオフされる。
(遊技状態の遷移)
ここで、図8を用い、上記ボーナス遊技状態を含む遊技状態の遷移について説明する。ここでは、RT0遊技状態、RT1遊技状態、RT2遊技状態(後述するART遊技状態となる場合あり)、RT3遊技状態、RT4遊技状態、内部中遊技状態、ボーナス遊技状態といった複数の遊技状態が準備されている。RT0遊技状態、RT1遊技状態、RT2遊技状態、RT3遊技状態、RT4遊技状態は、それぞれリプレイ役の当選確率が設定された(RT0遊技状態=1/7.3、RT1遊技状態=1/1.4、RT2遊技状態=1/1.4、RT3遊技状態=1/7.3、RT4遊技状態=1/7.3)、所謂、RT遊技状態であり、後述するように、所定の当選役が有効ラインA上に表示されることで、あるいは、ボーナス役の当選に関連してRT遊技状態が遷移する。ここでは、RT1遊技状態およびRT2遊技状態のリプレイ役の当選確率が比較的高く設定されており、遊技者はRT1遊技状態やRT2遊技状態に移行することで、遊技を有利に進行することができる。
通常遊技状態におけるRT0遊技状態は、複数の遊技状態における初期状態に相当する遊技状態である。RT0遊技状態において、当選種別「打順ベル」に当選し、いずれの小役(当選役「ベル」、「1枚役」)に対応する図柄の組み合わせも有効ラインA上に表示されなかった場合に表示されるブランク図柄組み合わせに対応する図柄の組み合わせが有効ラインA上に表示された場合に、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRT1遊技状態に移行させる(1)。
また、RT1遊技状態において、当選種別「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ6」のいずれかに当選し、かつ、当選役「移行リプレイ2」に対応する図柄組み合わせが表示された場合に、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRT2遊技状態に移行させる(2)。かかるRT2遊技状態では、所定の条件下で補助演出を行う、所謂、ATを並行して実行すること(AT演出状態)を想定しており、本実施形態においては、RT2遊技状態と並行してATを実行している状態をART遊技状態という。
また、RT2遊技状態において、当選種別「移行リプレイ13」〜「移行リプレイ15」のいずれかに当選し、かつ、当選役「移行リプレイ1」に対応する図柄組み合わせが表示された場合、また、当選種別「打順ベル」に当選し、いずれの小役(当選役「ベル」、「1枚役」)に対応する図柄の組み合わせも有効ラインA上に表示されなかった場合、つまり、ブランク図柄組み合わせに対応する図柄の組み合わせが有効ラインA上に表示された場合に、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRT1遊技状態に移行させる(3)。
また、RT1遊技状態において、当選種別「移行リプレイ1」〜「移行リプレイ12」のいずれかに当選し、かつ、当選役「移行リプレイ3」または当選役「移行リプレイ4」に対応する図柄組み合わせが表示された場合に、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRT3遊技状態に移行させる(4)。また、RT0遊技状態において、当選種別「移行リプレイ7」〜「移行リプレイ12」のいずれかに当選し、かつ、当選役「移行リプレイ3」または当選役「移行リプレイ4」に対応する図柄組み合わせが表示された場合に、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRT3遊技状態に移行させる(5)。また、遊技状態制御手段312は、RT3遊技状態において、当選種別「BB」に当選することなく、所定の遊技数(例えば、16遊技)が経過すると、遊技状態をRT0遊技状態に移行させる(6)。
また、RT0遊技状態、RT1遊技状態、RT2遊技状態、RT3遊技状態、RT4遊技状態のいずれかの遊技状態での当選種別抽選において、ボーナス役を含む当選種別のいずれかに当選し、BB内部当選フラグが成立すると、遊技状態制御手段312は、遊技状態をボーナス遊技状態の準備状態に相当する内部中遊技状態に移行する(7)。このとき、ボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグが次遊技に持ち越され(内部中遊技状態が維持され)、次回以降の遊技においてもボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。内部中遊技状態では、その前段(直前)の遊技状態よりリプレイ役(例えば、当選種別「通常リプレイ1」)の当選確率が高く(例えば、1/3.0)設定されるので、メダルの消費を抑えつつ、ボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させるように狙うことができる。そして、遊技者が、ボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させると、遊技状態制御手段312は、遊技状態を、内部中遊技状態からボーナス遊技状態に移行する(8)。また、ボーナス遊技状態において、それぞれのボーナス役に対応付けられた所定枚数を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段312は、ボーナス役を含む当選種別が決定されたときの遊技状態に拘わらず、遊技状態を、ボーナス遊技状態からRT4遊技状態に移行する(9)。したがって、ボーナス役に当選すると、RT0遊技状態〜RT3遊技状態に移行する前に、必ず、RT4遊技状態を経由することとなる。
そして、RT4遊技状態において、当選種別「打順ベル」に当選し、いずれの小役(当選役「ベル」、「1枚役」)に対応する図柄の組み合わせも有効ラインA上に表示されなかった場合に、ブランク図柄組み合わせに対応する図柄の組み合わせが有効ラインA上に表示されて、遊技状態制御手段312は、遊技状態をRT1遊技状態に移行させる(10)。
(演出状態の遷移)
図9は、主制御基板200における演出状態の遷移を説明するための説明図である。以下、主制御基板200において演出状態制御手段314により遷移される演出状態(非AT演出状態、AT演出状態)について詳述する。
(非AT演出状態)
非AT演出状態は、通常演出状態とチャンス演出状態(チャンスゾーン)とが設けられている。非AT演出状態が実行される際、補助演出の実行頻度がAT演出状態より極めて低く、補助演出がほぼ行われないので、獲得できるメダルの枚数が制限される。通常演出状態は、副制御基板202で管理される複数の演出状態のうち、初期状態に相当する遊技状態である。
演出状態制御手段314は、通常演出状態における所定の契機で遊技状態をチャンス演出状態に移行し(1)、チャンス演出状態のまま所定の条件が満たされると、例えば、所定の遊技数が消化されると、通常演出状態に戻す(2)。また、演出状態制御手段314は、通常演出状態およびチャンス演出状態において、演出状態をAT演出状態に移行することができる(3)。ただし、チャンス演出状態の方が通常演出状態よりAT演出状態に移行し易いように設定されている。例えば、通常演出状態およびチャンス演出状態のいずれの遊技状態においても、当選種別抽選により決定された当選種別に基づいてAT演出状態へ移行するか否かが抽選(演出状態抽選)により決定される場合に、当選種別毎に対応付けられたAT演出状態へ移行する確率が通常演出状態よりチャンス演出状態の方が高くなっている。したがって、遊技者は、通常演出状態より、チャンス演出状態に滞在することを望むこととなる。また、AT演出状態に移行することなく非AT演出状態で所定の遊技数が消化されると(所謂、天井到達)、演出状態制御手段314は、遊技状態をAT演出状態へ移行する。
(AT演出状態)
AT演出状態では、補助演出によって正解操作態様が報知されることで、メダルの消費を抑えつつ、多くのメダルを獲得することが可能となる。したがって、遊技者は、AT演出状態において、非AT演出状態と比べ、遊技を有利に進行することができる。
また、AT演出状態では、通常AT演出状態、チャンスAT演出状態(特化ゾーン)といった2つのAT演出状態が設けられている。通常AT演出状態は、所定の継続遊技数(例えば、50遊技)を1セットとしてセット数管理により遊技が進行する。演出状態制御手段314は、演出状態が通常AT演出状態に設定されると、ストック(保持)されているセット数を1減算するとともに、継続遊技数を50遊技に設定する。そして、継続遊技数の遊技が終了すると、演出状態制御手段314は、セット数が0であるか(セット数がストックされているか)判定し、セット数が0でない場合には、ストックされているセット数を1減算して、通常AT演出状態を継続させる(4)。ただし、通常AT演出状態の継続時の継続遊技数は30遊技以上の所定の遊技数となる。一方、ストックされているセット数が0である場合には、演出状態制御手段314は、通常AT演出状態を終了し、演出状態をチャンス演出状態へ移行する(5)。また、演出状態制御手段314は、通常AT演出状態において所定条件を満たすと、演出状態をチャンスAT演出状態に移行することができる(6)。
チャンスAT演出状態は、所定の遊技数が経過するまで継続し、その間に、通常AT演出状態のセット数を上乗せする。そして、所定の遊技数が終了すると、演出状態制御手段314は、演出状態を通常AT演出状態に移行する(7)。
なお、遊技状態および演出状態のいずれにおいても、所定の当選役の入賞または取りこぼしを移行条件とする場合、移行条件を満たすまでの準備状態を経由して(例えば、非AT演出状態から通常AT演出状態(3)、通常AT演出状態からチャンス演出状態(5))、移行先の遊技状態や演出状態に移行する場合がある。
(設定値の示唆)
上述したように、当該スロットマシン100では、遊技利益を得る容易性を段階的に示した設定値が用いられる。かかる設定値は、前面上扉104および前面下扉106を開放した状態で、設定値設定手段として機能する初期化手段300によって設定されるが、設定値の設定が完了すると、前面上扉104および前面下扉106が閉じられるので、その後、遊技者が、正当かつ画一的な手段では設定値を確認することはできないようになっている。ただし、内部的には、主制御基板200において初期化手段300が設定値を有し、副制御基板202は、主制御基板200から受信するコマンドに基づいて設定値を把握することができる。このような、遊技者から設定値を確認できない状況下でも、遊技者にメダルを獲得することの期待感を維持させ、遊技意欲を向上させるため、スロットマシン100では、例えば液晶表示部124を通じて、設定値がいずれであるかを示唆する演出が実行されている。したがって、遊技者は、設定値が低く設定されているスロットマシンより、設定値が高く設定されているスロットマシンで遊技することを望み、設定値が高いことを把握すると、遊技を継続すればするほど多くのメダルを獲得する可能性が高くなると考え、そのスロットマシンで可能な限り遊技を継続しようとする。一方、設定値が低いことを把握すると、メダルの消費を最小限に抑えるため、早期に遊技を終了することができる。なお、上記の設定値を示唆する演出や後述する設定変更の実行有無を示唆する演出の具体的な実行態様については後程詳述する。
(設定変更の実行有無の示唆)
また、設定値を把握する判断材料の一つとして、設定変更がなされているか否かを把握することを望む場合がある。例えば、同一スロットマシン100の前日の挙動が高設定値を示している場合に、設定変更の実行有無に応じて、高設定値が維持されているか、低設定値に変更されているか予測することができる。同様に、同一スロットマシン100の前日の挙動が低設定値を示している場合に、設定変更の実行有無に応じて、低設定値が維持されているか、高設定値に変更されているか予測することができる。なお、このような設定値の把握のみならず、設定変更自体が遊技者に遊技利益をもたらす場合がある。例えば、設定変更によりスロットマシン100の内部状態がリセットされると、AT演出状態の継続率が異なる等、遊技利益を得る容易性が異なる複数のモードのうち、より遊技者に有利なモードが選ばれ易くなったり、遊技者の嵌り救済としての所謂天井に到達するまでに必要な遊技数が短縮されたりする場合がある。このように、遊技者は、遊技しているスロットマシン100の設定値のみならず、設定変更の実行有無についても把握したいと望む場合がある。上述したように、設定変更の実行有無の情報は、スロットマシン100の電源が投入された後、設定変更が実行されたか否かに応じ、設定変更保持手段として機能する初期化手段300で保持され、電源が切断されることにより、その情報が消去される。したがって、初期化手段300を参照することで設定変更の実行有無を確認することができる。
また、遊技者は、遊技の進行状況、例えば、電源スイッチ144を介し電源が投入されて(ホールが営業を開始して)から消化された遊技の総数である総消化遊技数に応じて、把握したい情報が異なる場合がある。例えば、ホールの営業開始直後において、設定変更がなされたか否かを把握したいといった状況が存在する。しかし、設定値や設定変更の実行有無を示唆する演出は、遊技の進行状況に拘わらず、また、両者のうち一方を優先することもなく、画一的なタイミングおよび確率で実行されるので、遊技者が把握したい情報を、適切なタイミングで提供することができなかった。ここでは、遊技の進行状況に応じ、適切なタイミングで、遊技者が望む適切な情報を提供する。また、遊技が進行するに連れ、その情報の精度を高めることで、スロットマシン100の稼働率の向上を図る。
(遊技の進行状況に応じた設定変更の実行有無および設定値の示唆)
図10は、遊技の進行状況に応じた設定変更の実行有無および設定値の示唆の比率を示した説明図である。ここでは、遊技の進行状況として、特に、総消化遊技数を挙げている。示唆演出制御手段として機能する演出制御手段334は、総消化遊技数に応じて、設定変更の実行有無を示唆する演出と、設定値を示唆する演出との実行比率を変化させる。具体的に、演出制御手段334は、総消化遊技数の増加に応じて、設定変更の実行有無を示唆する演出に対する設定値を示唆する演出を実行する比率(実行比率)を高める。
例えば、現在の総消化遊技数が0〜499に含まれる場合、設定値に関する示唆を行う契機が到来すると、設定変更の実行有無を示唆する演出を80%の確率で行い、設定値を示唆する演出を20%の確率で行う。そして、総消化遊技数が増えると、設定変更の実行有無を示唆する演出と、設定値を示唆する演出との比率を変化させ、ここでは、設定値を示唆する演出を行う確率を増加させる。具体的に、総消化遊技数が500〜1999に含まれる場合、設定値に関する示唆を行う契機において、設定変更の実行有無を示唆する演出を50%の確率で行い、設定値を示唆する演出を50%の確率で行う。また、総消化遊技数が2000〜4999に含まれる場合、設定値に関する示唆を行う契機において、設定変更の実行有無を示唆する演出を20%の確率で行い、設定値を示唆する演出を80%の確率で行う。そして、総消化遊技数が5000遊技以上となる場合、設定値に関する示唆を行う契機において、設定変更の実行有無を示唆する演出を0%の確率で行い(行わず)、設定値を示唆する演出を100%の確率で行う。すなわち、総消化遊技数が5000遊技以上となると、設定値を示唆する演出のみが実行されることとなる。
ここでは、総消化遊技数が少ない状況下、すなわち、ホールの営業開始直後における設定値に関する示唆を行う契機において、設定値の示唆より高い確率で設定変更の実行有無の示唆を受けることができる。こうして、特に、ホールの営業開始直後に設定変更の実行有無を早急に把握することを望む遊技者が、適切なタイミングで、高い確率で適切な情報を得ることが可能となる。
また、遊技が進行し、総消化遊技数が増えると、遊技者に有利なモードが選ばれ易かったり、所謂天井に到達するまでに必要な消化遊技数が短縮されるといった設定変更に基づく恩恵に乏しくなる。したがって、総消化遊技数が増えるにしたがって、設定変更の実行有無を把握することの重要性が低くなり、代わりに、設定値自体を把握することの重要性が高まる。ここでは、総消化遊技数の増加に連れ、設定値を示唆する演出を実行する確率を設定変更の実行有無を示唆する演出を実行する確率より高めている。こうして、遊技の進行に応じ、比較的重要性の低い設定変更の実行有無の示唆頻度を低め、その分、比較的重要性の高い設定値の示唆頻度を高めることができるので、遊技者は、遊技の進行に応じた適切なタイミングで、設定値の示唆といった適切な情報を受けることが可能となる。
また、遊技者は、遊技しているスロットマシン100の設定値が高いと推測し、その推測に基づいて長期間遊技を継続した場合、自己による高設定値の推測結果が正しかったか否かも把握したくなる。ここでは、遊技の進行に応じ、設定値の示唆頻度を高めることで、長期間遊技した後に、設定値が示唆される可能性が高くなり、自己の推測結果の正否を確かめることが可能となる。
(設定変更の実行有無の示唆の具体的な演出態様)
図11は、設定変更の実行有無の示唆の具体的な演出態様を説明した説明図である。図11(a)に示すように、示唆演出制御手段としての演出制御手段334は、設定値に関する示唆を行う契機が到来すると、液晶表示部124に円形状の画像を表示し、図10を用いて説明した抽選により設定変更の実行有無を示唆する演出の実行を決定すると、その画像を、示唆態様A〜Fのいずれかに変化させる。遊技者は、変化した示唆態様(アイコン)を通じて設定変更の実行有無を把握すること(推測すること)が可能となる。
総消化遊技数が0〜499に含まれる間、図11(b)のテーブルに基づいて示唆態様A〜Fのいずれに変化させるかが決定される。具体的に、まず、演出制御手段334は、初期化手段300で生成されたコマンドを参照して設定変更の実行有無を取得し、設定変更の実行有無に応じて示唆態様A〜Fのいずれかを抽選により決定する。例えば、設定変更が実行されていなければ、演出制御手段334は、抽選により、50%の確率で示唆態様Aに変化させ、25%の確率で示唆態様Bに変化させ、15%の確率で示唆態様Cに変化させ、10%の確率で示唆態様Dに変化させる。ここで、%が表示されていない箇所(ここでは示唆態様E、F)は示唆態様が決定されない(決定確率0%である)ことを示す。また、設定変更が実行されていれば、演出制御手段334は、抽選により、35%の確率で示唆態様Aに変化させ、20%の確率で示唆態様Bに変化させ、15%の確率で示唆態様Cに変化させ、20%の確率で示唆態様Dに変化させ、5%の確率で示唆態様Eに変化させ、5%の確率で示唆態様Fに変化させる。
図11(b)を参照すると、示唆態様Bが決定される確率は、設定変更が実行されていない場合で25%、設定変更が実行されている場合で20%である。すなわち、総消化遊技数が0〜499に含まれる間において、設定値に関する示唆を行う契機が到来したときに、示唆態様Bが出現すると、設定変更が実行されていない確率と、設定変更が実行されている確率との比は25:20となり、それぞれの確率は、56%と44%となる。したがって、遊技者は、示唆態様Bを通じて、44%の確率で設定変更が実行されていると判断することができる。
また、示唆態様E、Fは、設定変更が実行されている場合に決定されることがあるが、設定変更が実行されていない場合に決定されることはない。すなわち、総消化遊技数が0〜499に含まれる間において、設定値に関する示唆を行う契機が到来したときに、示唆態様E、Fが出現すると、設定変更が実行されていることが確定する。したがって、遊技者は、示唆態様E、Fを通じて、100%の確率で設定変更が実行されていると判断することができる。
また、総消化遊技数が増え、現在の総消化遊技数が500〜1999に含まれるようになると、図11(c)のテーブルに基づいて示唆態様A〜Fのいずれに変化させるかが決定される。ここでは、設定変更が実行されなかった場合の決定確率の振り分けは図11(b)と等しいが、設定変更が実行されている場合の決定確率の振り分けは図11(b)と異なる。すなわち、設定変更が実行されていれば、演出制御手段334は、抽選により、10%の確率で示唆態様Aに変化させ、15%の確率で示唆態様Bに変化させ、10%の確率で示唆態様Cに変化させ、25%の確率で示唆態様Dに変化させ、20%の確率で示唆態様Eに変化させ、20%の確率で示唆態様Fに変化させる。
図11(c)を参照すると、示唆態様Bが決定される確率は、設定変更が実行されていない場合で25%、設定変更が実行されている場合で15%である。すなわち、総消化遊技数が500〜1999に含まれる間において、設定値に関する示唆を行う契機が到来したときに、示唆態様Bが出現すると、設定変更が実行されていない確率と、設定変更が実行されている確率との比は25:15となり、それぞれの確率は、63%と37%となる。したがって、遊技者は、示唆態様Bを通じて、37%の確率で設定変更が実行されていると判断することができる。また、図11(b)と図11(c)とを比較して理解できるように、図11(c)では、設定変更が実行されている場合のアルファベットの順が早い示唆態様の決定確率が小さくなるように設定されている。したがって、図11(b)に比べ、図11(c)の方が、設定変更が実行されていない場合、よりアルファベットの順が早い示唆態様が決定され易く、設定変更が実行されている場合、よりアルファベットの順が遅い示唆態様が決定され易くなっている。すなわち、総消化遊技数が増えると、遊技者は、示唆態様を通じて、より高精度に設定変更の実行有無を特定することが可能となる。
また、設定変更が実行されていることが確定する示唆態様Eおよび示唆態様Fの確率は、図11(b)においてそれぞれ5%のところ、図11(c)ではそれぞれ20%になっている。したがって、総消化遊技数が増えると、設定変更が実行されていることが確定する確率も総合的に高くなり、遊技者は、示唆態様を通じて、より高精度に設定変更の実行有無を特定可能となる。
同様に、総消化遊技数が増え、総消化遊技数が2000〜4999に含まれるようになると、図11(d)のテーブルに基づいて示唆態様A〜Fのいずれに変化させるかが決定される。ここでも、設定変更の実行有無による示唆態様A〜Fの決定確率が図11(b)や図11(c)と異なっている。
図11(d)を参照すると、示唆態様Bが決定される確率は、設定変更が実行されていない場合で25%、設定変更が実行されている場合で5%である。すなわち、総消化遊技数が2000〜4999に含まれる間において、設定値に関する示唆を行う契機が到来したときに、示唆態様Bが出現すると、設定変更が実行されていない確率と、設定変更が実行されている確率との比は25:5となり、それぞれの確率は、83%と17%となる。したがって、遊技者は、示唆態様Bを通じて、17%の確率で設定変更が実行されていると判断することができる。また、図11(c)と図11(d)とを比較して理解できるように、図11(d)でも、設定変更が実行されている場合のアルファベットの順が早い示唆態様の決定確率が小さくなるように設定されている。したがって、図11(c)に比べ、図11(d)の方が、設定変更が実行されていない場合、よりアルファベットの順が早い示唆態様が決定され易く、設定変更が実行されている場合、よりアルファベットの順が遅い示唆態様が決定され易くなっている。すなわち、遊技者は、示唆態様を通じて、より高精度に設定変更の実行有無を特定可能となる。
また、設定変更が実行されていることが確定する示唆態様Eおよび示唆態様Fの確率は、図11(c)においてそれぞれ20%のところ、図11(d)ではそれぞれ30%になっている。したがって、総消化遊技数が増えると、設定変更が実行されていることが確定する確率も総合的にさらに高くなる。
このように、演出制御手段334は、総消化遊技数の増加に応じて、設定変更の実行有無の特定精度を高めることができる。ここで、特定精度とは、例えば、設定変更が実行されたか否かの推測において、いずれであるかを特定できる精度(確証)を言う。かかる構成により、遊技者は、設定変更の実行有無を明確に把握しようとするモチベーションで遊技意欲を高め、遊技を継続して総消化遊技数を増やそうとするので、スロットマシン100の稼働率を上げることが可能となる。
なお、図10に示したように、総消化遊技数が5000に到達すると、設定変更の実行有無を示唆する演出自体が実行されないので、ここでは、図11(b)、図11(c)、図11(d)のように、総消化遊技数が0〜4999に含まれる間のみテーブルが存在する。
(設定値の示唆の具体的な演出態様)
図12は、設定値の示唆の具体的な演出態様を説明した説明図である。図12(a)に示すように、示唆演出制御手段としての演出制御手段334は、設定値に関する示唆を行う契機が到来すると、液晶表示部124に円形状の画像を表示し、図10を用いて説明した抽選により設定値を示唆する演出の実行を決定すると、その画像を、示唆態様G〜Oのいずれかに変化させる。遊技者は、変化した示唆態様を通じて設定値を把握すること(推定すること)が可能となる。
総消化遊技数が0〜499に含まれる間、図12(b)のテーブルに基づいて示唆態様G〜Oのいずれに変化させるかが決定される。具体的に、まず、演出制御手段334は、初期化手段300で生成されたコマンドを参照して現在の設定値を取得し、現在の設定値に応じて示唆態様G〜Oのいずれかを抽選により決定する。例えば、設定値が1であれば、演出制御手段334は、抽選により、50%の確率で示唆態様Gに変化させ、25%の確率で示唆態様Hに変化させ、15%の確率で示唆態様Iに変化させ、10%の確率で示唆態様Jに変化させる。ここで、%が表示されていない箇所(ここでは、示唆態様K〜O)は、示唆態様が決定されない(決定確率0%である)ことを示す。
図12(b)を参照すると、示唆態様Jが決定される確率は、設定値が1の場合で10%、設定値が2の場合で20%、設定値が3の場合で15%、設定値が4の場合で20%、設定値が5の場合で15%、設定値が6の場合で20%である。すなわち、総消化遊技数が0〜499に含まれる間において、設定値に関する示唆を行う契機が到来したときに、示唆態様Jが出現すると、設定値1〜6のそれぞれの確率の比は10:20:15:20:15:20となり、それぞれの出現確率は、10%、20%、15%、20%、15%、20%となる。したがって、遊技者は、示唆態様Jを通じて、20%の確率で設定値が6であると判断することができる。
また、示唆態様K、Lは、設定値が2以上でのみ決定され、示唆態様Mは設定値が4以上でのみ決定され、示唆態様Nは設定値が5以上でのみ決定され、示唆態様Oは設定値が6でのみ決定される。したがって、総消化遊技数が0〜499に含まれる間において、設定値に関する示唆を行う契機が到来したときに、示唆態様Oが出現すると設定値が6であることが確定する。したがって、遊技者は、示唆態様Oを通じて、100%の確率で設定値が6であると判断することができる。
また、総消化遊技数が増え、総消化遊技数が500〜1999に含まれるようになると、図12(c)のテーブルに基づいて示唆態様G〜Oのいずれに変化させるかが決定される。ここでは、設定値が1の場合の決定確率の振り分けは図12(b)と等しいが、他の設定値の決定確率は図12(b)と異なる。例えば、示唆態様Jが決定される確率の設定値1〜6それぞれの比は10:25:15:15:10:15となる。すなわち、総消化遊技数が500〜1999に含まれる間において、設定値に関する示唆を行う契機が到来したときに、示唆態様Jが出現すると、設定値が6である確率は17%(15/90×100)となる。したがって、遊技者は、示唆態様Jを通じて、17%の確率で設定値が6であると判断することができる。また、図12(b)と図12(c)とを比較して理解できるように、図12(c)では、設定値が低い場合のアルファベットの順が早い示唆態様の決定確率が大きくなるように設定されている。したがって、図12(b)に比べ、図12(c)の方が、設定値が低い場合、よりアルファベットの順が早い示唆態様が決定され易く、設定値が高い場合、よりアルファベットの順が遅い示唆態様が決定され易くなっている。すなわち、総消化遊技数が増えると、遊技者は、示唆態様を通じて、より高精度に設定値を特定可能となる。
また、設定値が6であることが確定する示唆態様Oの確率は、図12(b)において1%のところ、図12(c)では4%になっている。したがって、総消化遊技数が増えると、設定値が6であることが確定する確率も総合的に高くなり、遊技者は、示唆態様を通じて、より高精度に設定値を特定可能となる。
同様に、総消化遊技数が増え、総消化遊技数が2000以降となると、図12(d)のテーブルに基づいて示唆態様G〜Oのいずれに変化させるかが決定される。ここでも、設定値による示唆態様G〜Oの決定確率が図12(b)や図12(c)と異なっている。
図12(d)を参照すると、示唆態様Jが決定される確率の設定値1〜6それぞれの比は10:35:15:10:5:10となる。すなわち、総消化遊技数が2000以降となると、設定値に関する示唆を行う契機が到来したときに、示唆態様Jが出現すると、設定値が6である確率は12%(10/85×100)となる。したがって、遊技者は、示唆態様Jを通じて、12%の確率で設定値が6であると判断することができる。また、図12(c)と図12(d)とを比較して理解できるように、図12(d)でも、設定値が低い場合のアルファベットの順が早い示唆態様の決定確率が大きくなるように設定されている。したがって、図12(c)に比べ、図12(d)の方が、設定値が低い場合、よりアルファベットの順が早い示唆態様が決定され易く、設定値が高い場合、よりアルファベットの順が遅い示唆態様が決定され易くなっている。すなわち、遊技者は、示唆態様を通じて、より高精度に設定値を特定可能となる。
また、設定値が6であることが確定する示唆態様Oの確率は、図12(c)において4%のところ、図12(d)では14%になっている。したがって、総消化遊技数が増えると、設定値が6であることが確定する確率も総合的にさらに高くなる。
このように、演出制御手段334は、総消化遊技数の増加に応じて、設定値の特定精度を高めることができる。そうすると、遊技者は、設定値を明確に把握しようとするモチベーションで遊技意欲を高め、総消化遊技数を増やそうとするので、スロットマシン100の稼働率を上げることが可能となる。
また、遊技者は、遊技しているスロットマシン100の設定値が高いと推測し、その推測に基づいて長期間遊技を継続した場合、自己による高設定値の推測結果が正しかったか否かも把握したくなる。ここでは、総消化遊技数の増加に応じ設定値の特定精度が高まるので、長期間遊技するほど設定値が示唆される可能性が高くなり、自己の推測結果の正否を確かめ易くなる。
なお、ここでは、総消化遊技数が2000〜4999と、5000以降とで、図12(d)に示した共通のテーブルを用いることとしている。
また、設定変更の実行有無や設定値を示唆する示唆態様は、図11、図12を用いて説明した数に限らず、任意に決定することができる。また、それぞれの示唆態様を決定する確率も、図11、図12に示した例に限らず、任意に決定することができる。また、図11、図12におけるテーブルの切換タイミング、すなわち、総消化遊技数の範囲も任意に決定することができる。
(設定値に関する示唆を行う契機)
上述したように、演出制御手段334は、設定値に関する示唆を行う契機が到来すると、設定変更の実行有無を示唆する演出および設定値を示唆する演出のいずれか一方を選択的に実行する。本実施形態では、このような設定値に関する示唆を、遊技者が所望するタイミングで受けることができる。
図13は、設定値に関する示唆の実行手順を説明するための説明図である。例えば、演出制御手段334は、設定変更の実行有無を示唆する演出または設定値を示唆する演出を実行させる示唆権利を、毎遊技、抽選により決定する。かかる抽選における示唆権利の決定確率は、例えば、電源の投入後は1/100であり、電源の投入後に少なくとも1回示唆権利が決定された後は、1/500となる。決定された示唆権利は、示唆権利保持手段として機能する演出制御手段334が保持する。このように演出制御手段334が示唆権利を保持すると、図13(a)のように、液晶表示部124に、示唆権利が保持されていることが示される。
そして、保持された示唆権利が消化されることなく、さらに示唆権利が付与された場合、付与される度に示唆権利がストックされる。すなわち、演出制御手段334は、複数の示唆権利を保持することができる。示唆権利が複数保持されている場合、遊技者は、図13(b)のように、液晶表示部124に表示されている数値(ここでは「2」)によって、示唆権利の数を把握することができ、その数値分、設定変更の実行有無の示唆や設定値の示唆を受けることが可能となる。
ここで、遊技者が、設定変更の実行有無の示唆や設定値の示唆を受けたい場合、そのタイミングで演出スイッチ122を操作する。このとき、演出制御手段334が示唆権利を少なくとも1個保持していれば、演出制御手段334は、その保持を条件に、設定変更の実行有無を示唆する演出および設定値を示唆する演出のいずれか一方を選択的に実行する。具体的に、図13(c)のように、まず、液晶表示部124に円形状の画像が表示され、所定時間経過後に、図13(d)のように、示唆態様A〜Oのいずれか(ここではD)に変化する。遊技者は、かかる示唆態様を通じて、設定変更の実行有無または設定値を推定する。
ここでは、遊技者が、設定変更の実行有無または設定値の示唆を受けるタイミングを任意に決定することができるので、例えば、ホールの営業開始直後に設定変更の実行有無を早急に把握したい場合、総消化遊技数が小さいうちに示唆権利を消化すればよい。また、同一のスロットマシン100で長期間遊技した後に、自己の設定値推測の結果の正否を確かめたい場合、総消化遊技数が大きくなってから示唆権利を消化することもできる。かかる構成により、遊技者は、適切なタイミングで、所望する適切な示唆を受けることができる。
また、上述したように、総消化遊技数が増えるほど、設定変更の実行有無や設定値の特定精度が高まるので、遊技者は、特定精度を踏まえて示唆を受けるタイミングを選択することができる。例えば、スロットマシン100の設定値が低いと判断した場合、メダルの消費を最小限に抑えるため、特定精度は低いものの早期に示唆権利を消化する。一方、スロットマシン100の設定値が高いと判断した場合、可能な限り遊技を継続し、自己の設定値推測の結果の正否を確かめるため、総消化遊技数が増加して特定精度が高くなってから示唆権利を消化する。かかる構成により、示唆を受けるタイミングと、その特定精度を遊技者が見極める新たな遊技性を構築することができる。
なお、ここでは、演出制御手段334が、電源の投入後は1/100で、電源の投入後に示唆権利が決定された後は1/500で一律抽選する例を挙げて説明したが、その決定確率は変動してもよい。例えば、電源の投入後に示唆権利が決定された直後の決定確率を1/500とし、示唆権利が決定されないまま100遊技を消化したら、その決定確率を1/50と高くすることができる。かかる構成により、遊技者は、示唆権利を取得するため、決定確率が高くなる遊技まで遊技を継続することとなるので、スロットマシン100の稼動の向上を図ることができる。
また、ここでは、示唆権利を抽選により取得する例を挙げたが、それに加え、または、それに代えて、所定のタイミングで示唆権利を付与してもよい。例えば、1000遊技といった所定の消化遊技数毎に周期的に付与したり、3000遊技等、所定の総消化遊技数に到達したときに付与したりすることができる。また、電源投入時、設定変更時、設定変更後に電源を再投入したとき、所定のレア役の当選時等に画一的に示唆権利を付与するとしてもよい。
以下、主制御基板200、副制御基板202における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
(主制御基板200のメイン処理)
図14は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。また、ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が遂行される際、各処理において用いられるスイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120a、120b、120c)は、処理の開始時に有効化され、処理の終了時に無効化される。
(ステップS100)
電源スイッチ144を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、リール110の回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール110が回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。
(ステップS200)
続いて、遊技者によるベットスイッチ116の操作、または、メダル投入部114へのメダルの投入を通じ、ベット手段302がメダルをベットする。また、コマンド送信手段316は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。
(ステップS300)
次に、当選種別抽選手段304は、スタートスイッチ118に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ118の操作待ち状態に移行する。ここで、当選種別抽選手段304は、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選種別抽選乱数から、スタートスイッチ118が操作された時点における1の当選種別抽選乱数を取得する。そして、当選種別抽選手段304は、図6、図7に示した当選種別抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選種別抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選種別抽選乱数が、決定した当選種別抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選種別または不当選を抽選結果として決定する。
また、コマンド送信手段316は、スタートスイッチ118の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選種別抽選の抽選結果(当選種別または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む当選種別コマンドを生成し、生成された当選種別コマンドを副制御基板202に送信する。
(ステップS400)
スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、ステッピングモータ152を駆動して左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転を開始し、左リール110a、中リール110b、右リール110cの全てが定速回転となったところで、ステップS500に処理を移す。
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を受け付けると、その操作に対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cのいずれかを停止制御する。
また、コマンド送信手段316は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ120a、120b、120cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。
(ステップS600)
次に、判定手段308は、図3(b)に示した有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。また、コマンド送信手段316は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、遊技状態制御手段312は、ボーナス遊技状態においてメダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態をボーナス遊技状態からRT4遊技状態に移行する。このように、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該1遊技を終了する。また、コマンド送信手段316は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。
ステップS200からステップS700までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までを繰り返すこととなる。
(副制御基板202のサブ処理)
図15は、副制御基板202のサブ処理を示したフローチャートである。
(ステップS1100)
電源スイッチ144を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化決定手段330は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化決定手段330は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをサブRAM202cに保持している。
(ステップS1200)
コマンド受信手段332は、主制御基板200からのコマンドが受信されているか否か判定する。その結果、コマンドが受信されていれば、ステップS1300に処理を移し、コマンドが受信されていなければ、ステップS1400に処理を移す。
(ステップS1300)
上記ステップS1200においてコマンドが受信されていると判定されれば、コマンド受信手段332は、当該受信されたコマンドに基づいて種々の処理を実行する。かかるコマンド受信処理S1300は後程詳述する。
(ステップS1400)
次に、演出制御手段334は、演出スイッチ122の検出信号を解析し、その解析結果に基づいて種々の処理を行う。かかる検出信号解析処理S1400は後程詳述する。
(ステップS1500)
演出制御手段334は、実行が決定された各種演出の実行情報(タイムテーブル)を参照して、当該タイムテーブルに記憶された該当時間に対応する処理を実行するタイムスケジュール管理処理を行い、ステップS1200からの処理を繰り返す。この処理では、液晶表示部124の表示画像を挿入したり切り換えたりし、また、各種のコマンドを各デバイスに送信する。これにより各種演出が実行されることとなる。
(コマンド受信処理S1300)
図16は、上記ステップS1300のコマンド受信処理を示したフローチャートである。
(ステップS1301)
まず、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが投入コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが投入コマンドであれば、ステップS1302に処理を移し、受信したコマンドが投入コマンドでなければ、ステップS1303に処理を移す。
(ステップS1302)
上記ステップS1301において受信したコマンドが投入コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、次の遊技のための遊技開始準備が行われたとして、それまで実行されていた演出を所定条件下で切り換えたり、終了させる。
(ステップS1303)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが当選種別コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが当選種別コマンドであれば、1遊技が開始されたとし、ステップS1304に処理を移し、受信したコマンドが当選種別コマンドでなければ、ステップS1306に処理を移す。
(ステップS1304)
上記ステップS1303において受信したコマンドが当選種別コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当選種別コマンドに基づいて遊技の演出を決定する。かかる演出決定処理S1304については後程詳述する。
(ステップS1305)
次に、演出制御手段334は、決定した演出を実行開始する。
(ステップS1306)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが停止コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが停止コマンドであれば、ステップS1307に処理を移し、受信したコマンドが停止コマンドでなければ、ステップS1308に処理を移す。
(ステップS1307)
上記ステップS1306において受信したコマンドが停止コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、その停止コマンドが、第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンドのいずれであるか、また、その停止操作は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれになされた停止操作かを判定し、その判定結果と演出の内容に基づいて、種々の処理を行うとともに、演出態様を変動させる。
(ステップS1308)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが入賞コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが入賞コマンドであれば、ステップS1309に処理を移し、受信したコマンドが入賞コマンドでなければ、ステップS1310に処理を移す。
(ステップS1309)
上記ステップS1308において受信したコマンドが入賞コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当該入賞コマンドに基づく演出をタイムテーブルに設定する。
(ステップS1310)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが払出コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが払出コマンドであれば、ステップS1311に処理を移し、受信したコマンドが払出コマンドでなければ、当該コマンド受信処理S1300を終了する。
(ステップS1311)
上記ステップS1310において受信したコマンドが払出コマンドであると判定されれば、演出制御手段334は、当該払出コマンドに基づく演出をタイムテーブルに設定し、当該コマンド受信処理S1300を終了する。そうすると、メダルの払出に応じて、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136の数値が更新される。
(演出決定処理S1304)
図17は、上記ステップS1304の演出決定処理を示したフローチャートである。ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(ステップS1304−1)
まず、演出制御手段334は、毎遊技、抽選により示唆権利を付与するか否か決定する。なお、示唆権利の決定確率は、例えば、電源の投入後は1/100であり、電源の投入後に示唆権利が決定された後は1/500とする。
(ステップS1304−2)
次に、示唆権利保持手段として機能する演出制御手段334は、抽選により示唆権利が決定されたか否か判定する。その結果、示唆権利が決定されていれば、ステップS1304−3に処理を移し、示唆権利が決定されていなければ、当該演出決定処理S1304を終了する。
(ステップS1304−3)
上記ステップS1304−2において示唆権利が決定されたと判定されれば、演出制御手段334は、現在保持している示唆権利の数を1だけインクリメントし、示唆権利の数を更新する。そして、演出制御手段334は、その更新した数を液晶表示部124に表示し、当該演出決定処理S1304を終了する。
(検出信号解析処理S1400)
図18は、上記ステップS1400の検出信号解析処理を示したフローチャートである。ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(ステップS1401)
演出制御手段334は、演出スイッチ122の検出信号を解析し、その解析結果が示唆権利を消化する旨の操作入力であるか否か判定する。その結果、示唆権利消化の操作入力であれば、ステップS1402に処理を移し、示唆権利消化の操作入力でなければ、当該検出信号解析処理S1400を終了する。
(ステップS1402)
上記ステップS1401において解析結果が示唆権利消化の操作入力であると判定されれば、演出制御手段334は、示唆権利を1以上保持しているか否か判定する。その結果、示唆権利を1以上保持していれば、ステップS1403に処理を移し、示唆権利が0であれば、当該検出信号解析処理S1400を終了する。
(ステップS1403)
上記ステップS1402において演出制御手段334が示唆権利を1以上保持していると判定されれば、演出制御手段334は、図10のテーブルを参照し、現在の総消化遊技数に応じて、設定変更の実行有無を示唆するか、設定値を示唆するか、いずれの種別(示唆種別)を行うかを抽選により決定する。
(ステップS1404)
そして、示唆種別として、設定変更の実行有無を示唆することが決定されると、演出制御手段334は、図11のテーブルを参照し、現在の総消化遊技数に応じて、示唆態様A〜Fのいずれかを抽選により決定する。また、示唆種別として、設定値を示唆することが決定されると、演出制御手段334は、図12のテーブルを参照し、現在の総消化遊技数に応じて、示唆態様G〜Oのいずれかを抽選により決定する。
(ステップS1405)
次に、演出制御手段334は、現在保持している示唆権利の数を1だけデクリメントし、示唆権利の数を更新する。そして、演出制御手段334は、その更新した数を液晶表示部124に表示し、当該検出信号解析処理S1400を終了する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態においては、示唆演出制御手段として機能する演出制御手段334が、設定変更の実行有無を示唆する演出および設定値を示唆する演出のいずれか一方を実行する例を挙げて説明したが、設定変更の実行有無を示唆する演出および設定値を示唆する演出のいずれか一方を決定する処理を行うことなく、いずれか一方のみを常に単独で実行するとしてもよい。この場合に、演出制御手段334は、総消化遊技数の増加に応じて、設定変更の実行有無および設定値のいずれか一方の特定精度を高める。例えば、演出制御手段334は、所定の契機に、設定値を示唆する演出を実行することを前提に、図12に示したように、総消化遊技数の増加に応じて、設定値の特定精度を高めることができる。かかる構成により、遊技者は、設定値を明確に把握しようとするモチベーションで遊技意欲を高め、総消化遊技数を増やそうとするので、スロットマシン100の稼働率を上げることが可能となる。
また、上述した実施形態においては、設定変更の実行有無と設定値とを示唆する例を挙げて説明したが、これに加え、または、いずれかの代わりに、他のパラメータを示唆してもよい。例えば、チャンス演出状態を周期的に行い、チャンス演出状態でAT演出状態が決定されなかった場合に、次のチャンス演出状態までの遊技数が抽選により決定される仕様において、そのチャンス演出状態までの遊技数を示唆してもよい。同様に、AT演出状態に移行することなく非AT演出状態で所定の遊技数が消化されるとAT演出状態に移行する、所謂、天井機能を採用している仕様において、その天井までの遊技数を示唆してもよい。また、AT演出状態の継続率が異なる等、遊技利益を得る容易性が異なる複数のモードを抽選により決定する仕様において、そのモードを示唆してもよい。また、AT演出状態の継続遊技数を報知しない仕様において、残りの継続遊技数を示唆してもよい。また、内部中遊技状態において、決定しているボーナス役を示唆してもよいし、遊技利益を得る容易性が異なる複数のAT演出状態を抽選により決定する仕様において、AT演出状態への移行が決定された後の前兆中に、移行後のAT演出状態の種別を示唆してもよい。
また、演出制御手段334は、このような各パラメータの任意の組み合わせから、遊技の進行に応じて、いずれのパラメータを示唆するか抽選により決定することもできる。例えば、チャンス演出状態までの遊技数と、天井までの遊技数のいずれか一方を示唆する場合に、演出制御手段334は、AT演出状態が終了した後の消化遊技数の増加に応じて、チャンス演出状態までの遊技数を示唆する演出に対する天井までの遊技数を示唆する演出の実行比率を高める。こうすることで、遊技者は、適切なタイミングで所望する適切な情報を得ることが可能となる。
また、上述した実施形態においては、演出制御手段334が、総消化遊技数の増加に応じて、設定変更の実行有無を示唆する演出に対する設定値を示唆する演出の実行比率を高める例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、総消化遊技数の増加に応じて、設定値を示唆する演出に対する設定変更の実行有無を示唆する演出の実行比率を高めるとしてもよい。こうして、遊技者は、ホールの営業開始直後の方が設定値を把握し易くなるので、営業開始から遊技することが多くなり、営業開始時の稼働率の向上を図ることができる。また、演出制御手段334が、総消化遊技数の増加に応じて、設定変更の実行有無または設定値の特定精度を高める例を挙げて説明したが、総消化遊技数が小さくとも所定の条件を満たすと一時的に特定精度を高めるとしてもよい。例えば、ホールの営業開始直後の1000遊技間のみ設定変更の実行有無または設定値の特定精度を高めることで、上記同様、遊技者は、営業開始から遊技することが多くなり、営業開始時の稼働率の向上を図ることができる。
(遊技システムS)
また、上述した実施形態では、スロットマシン100単独で示唆権利を付与する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、スロットマシン100を含む遊技システムS全体で示唆権利を付与することもできる。
図19は、遊技システムSの概略的な構成を示した説明図である。遊技システムSは、スロットマシン100と、情報端末10と、通信基地局20が含まれた通信網21と、サーバ30とを含んで構成され、スロットマシン100における遊技結果とサーバ30のWebサイトとを連動させる、所謂、サイト連動型のサービスを提供する。なお、スロットマシン100については既に説明したので、ここでは他の情報端末10および通信基地局20について詳述する。
情報端末10は、スマートフォン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ等、Webブラウザを利用可能な電子機器等であり、通信基地局20および通信網21を介してサーバ30との通信を確立することができる。また、情報端末10は、スロットマシン100から遊技情報を、識別子等を通じて取得することが可能である。ここで、遊技情報は、遊技の進行に応じて付与される情報であり、例えば、ボーナス役やAT演出状態の決定数やその履歴、スロットマシン100で定義されているミッション等の条件を満たしたか否か、ミッション等を満たした回数等を示す。
通信基地局20は、通信網21と接続され、情報端末10と無線によりデータの送受信を行うものである。また、通信基地局20は、情報端末10から無線により送信されたデータが入力され、入力されたデータを、通信網21を介してサーバ30に送信する。なお、サーバ30から情報端末10にデータを送信する場合も、通信経路は逆であるものの同様である。通信網21は、携帯電話網、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線等で構成され、通信基地局20を介して情報端末10とサーバ30とを通信接続する。
サーバ30は、Webサイトを管理し、情報端末10が取得した情報を蓄積する等、様々なサービスを提供する。ここで、Webサイト(ポータルサイト)は、サーバ30により特定されるドメイン下にあるWebページ群を言う。
当該遊技システムSにおいて、遊技者は、例えば、任意のスロットマシン100における遊技開始から遊技終了までの遊技情報等を、遊技者自身の情報端末10に取り込み、サーバ30に送信して蓄積させる。また、遊技者は、このようにサーバ30に蓄積された遊技情報を、情報端末10において確認することができる。このような遊技システムSで実行される一連の機能を「打−WIN機能」と称することもある。そして、遊技システムSでは、遊技者の遊技情報に基づき、例えば、遊技者がスロットマシン100の1機種を遊技した総遊技数に応じて示唆権利を付与することができる。また、特定日等、所定の条件を満たすと、通常より多くの示唆権利が付与される場合もある。したがって、遊技者は、付与された示唆権利を消化して、所定のタイミングで、設定変更の実行有無や設定値の示唆を受けることが可能となる。
また、上述した実施形態においては、遊技機として、スタートスイッチの操作に基づき、複数種類の当選種別のいずれかを当選種別抽選により決定する当選種別抽選手段と、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数の回転リールを回転制御し、回転している回転リールに対応するストップスイッチの操作に応じ、当選種別抽選手段の抽選結果に基づいて、操作されたストップスイッチに対応する回転リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、当選種別抽選で決定した当選種別に含まれる小役の入賞に基づいて、小役に対応する遊技媒体を払い出す払出制御手段と、を備えるスロットマシンを例示したが、かかる場合に限らず、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されると、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備える、図示しないパチンコ機にも適用できる。かかるパチンコ機を採用した場合、設定値の数値が大きいほど(設定値が高いほど)、大当たりに当選し易い(大当たりの確率が高い)等、遊技者が遊技球を獲得することに期待できるようになっている。そして、示唆演出制御手段としての演出実行手段が、所定の契機に、設定変更の実行有無を示唆する演出および設定値を示唆する演出のいずれか一方を選択的に実行することを前提に、電源が投入されてから消化された遊技の総数である総消化遊技数に応じて、あるいは、アウト口もしくはアウト球排出経路上においてアウト口計数スイッチで計数される球数であるアウト球数に応じて、設定変更の実行有無を示唆する演出と、設定値を示唆する演出との実行比率を変化させることとなる。
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。