JP6984292B2 - 合わせガラスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂製シートと、該樹脂製シートを介在させて積層された少なくとも2枚の板ガラスとを有する、ガラス積層体を熱圧着してなる合わせガラスの製造方法の技術に関する。
従来より、耐火性、耐貫通性、及び耐衝撃性等に優れたガラスとして、樹脂製シートを用いて複数の板ガラスを熱圧着してなる合わせガラスが知られている。
合わせガラスは一般的に、積層工程及び圧着工程などからなるACV法(オートクレーブ法)により製造される。
具体的には、先ず積層工程において、樹脂製シートを各々介在させつつ複数の板ガラスを積層してガラス積層体を形成し、続いて圧着工程において、オートクレーブ(加圧装置)を用いて加熱処理及び加圧処理を行い、前記ガラス積層体を熱圧着することで、合わせガラスは製造される。
ここで、前記圧着工程において、加熱処理及び加圧処理を行う際には、樹脂製シートと板ガラスとの間に発生する気泡を除去する(脱気する)ために、ガラス積層体の周端部に対して真空引きが行われる。
しかしながら、加熱処理によって樹脂製シートが軟化したガラス積層体に対して、加圧処理及び真空引きを継続して行うと、当該樹脂製シートは流動してガラス積層体の周端部より食み出し易くなり、偏肉を引き起こす要因となっていた。
そこで、このような問題点についての対策手段が、例えば「特許文献1」によって示されている。
即ち、前記「特許文献1」には、第1板ガラスと、第2板ガラスと、前記第1板ガラスと前記第2板ガラスとの間に配置された樹脂製のフィルム(樹脂製フィルム)とを備えた積層体(ガラス積層体)を、大気圧よりも高圧力の雰囲気下で加熱することにより、前記第1板ガラス及び前記第2板ガラスと、前記樹脂製フィルムから形成される樹脂層とを接着する加熱工程を備える合わせガラスの製造方法であって、前記樹脂製フィルムは、エンボス加工が施されたフィルムであり、前記加熱工程の前工程として、前記ガラス積層体を大気圧よりも低圧力の雰囲気下、且つ前記加熱工程の加熱温度よりも低い加熱温度で前記樹脂製フィルムのエンボス模様が消失するまで加熱する予備加熱工程を備えることを特徴とする合わせガラスの製造方法が開示されている。
特開2016−88813号公報
前記「特許文献1」による合わせガラスの製造方法によれば、先ず、予備加熱工程において、真空引きを行い、大気圧よりも低圧力の雰囲気下としたうえで加熱処理を行い、その後、加熱工程において、高圧力の雰囲気下で予備加熱工程の加熱温度よりも高い加熱温度で加熱処理を行うことで、ガラス積層体の周縁部に発生する偏肉を極力抑制することが可能となる。
しかしながら、真空引きを解除するタイミングによっては、依然として偏肉を引き起こす要因が残されており、得られる合わせガラスの偏肉等の品質について、改善の余地が残されていた。
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、ガラス積層体の周縁部において、真空引きにより偏肉が引き起こされるのを抑制し、高品質な合わせガラスを製造することが可能な、合わせガラスの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明に係る合わせガラスの製造方法は、樹脂製シートと、該樹脂製シートを介在させて積層された少なくとも2枚の板ガラスとを有するガラス積層体を、加熱処理によって所定の第1温度にまで加熱し、且つ加圧処理によって所定の第1圧力にまで加圧することにより、前記ガラス積層体を熱圧着する圧着工程を備える、合わせガラスの製造方法であって、前記圧着工程において、前記樹脂製シートと前記板ガラスとの間の真空引きを開始した後に、前記加熱処理及び前記加圧処理を開始し、前記加熱処理による加熱温度が、前記第1温度に比べて低温であって前記樹脂製シートの粘度が85Pa・sとなる第2温度に到達した後、且つ前記加熱処理による加熱、及び前記加圧処理による加圧力が、前記第1温度及び前記第1圧力に各々到達する前に、前記真空引きを解除することを特徴とする。
このように、本発明においては、例えば樹脂製シートが完全に軟化した状態となる第1温度と比べて低温の第2温度にまで、加熱処理による加熱温度が到達した後、且つ前記第1温度に到達する前であって、加圧処理による加圧力が第1圧力に到達する前に、樹脂製シートと板ガラスとの間に発生する気泡の除去を目的とする真空引きを解除することとしている。
よって、加熱処理による樹脂製シートの加熱が進み、当該樹脂製シートの粘度がさらに低下したとしても、従来のような、ガラス積層体の周縁部において、真空引きによって樹脂製シートが流動し、偏肉が引き起こされるのを抑制することができる。
また、本発明に係る合わせガラスの製造方法においては、前記加圧処理を、前記真空引きを解除した後に開始することが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば、真空引きによる影響と相まって2枚の板ガラスの端部より樹脂製シートが食み出すのを抑制し、これらの板ガラスの周縁部に樹脂製シートの偏肉が発生するのを、より確実に防止することができる。
その結果、ガラス積層体の周縁部において、加圧処理による加圧力が任意の箇所に集中するのを抑制することができ、当該加圧力によって製造された合わせガラスの周縁部にクラックや欠け等の破損が生じるのを防止することができる。
また、本発明に係る合わせガラスの製造方法においては、前記加圧処理を、前記加熱処理による加熱温度が前記第1温度に到達した以後に開始することが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば樹脂製シートが完全に軟化した状態において、ガラス積層体に対して加圧処理を行うこととなり、当該加圧処理による加圧力は、ガラス積層体の全領域に対して均等に作用し、より確実に当該ガラス積層体の熱圧着を行うことができる。
また、本発明に係る合わせガラスの製造方法は、前記加熱処理において、加熱温度が前記第1温度に到達した後、該加熱温度を所定時間維持する第1キープ時間を設け、前記加圧処理は、前記第1キープ時間の終了後に加圧力を開放することが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば樹脂製シートが完全に軟化した状態となる第1温度にまで加熱された状況下において、ガラス積層体の加圧処理をより確実に行うことができ、当該ガラス積層体の熱圧着を十分に行うことができる。
また、本発明に係る合わせガラスの製造方法は、前記加熱処理において、加熱温度が前記第2温度に到達した後、該加熱温度を5min以上維持する第2キープ時間を設け、前記真空引きは、前記第2キープ時間の終了後に解除することが好ましい。
このような構成を有することにより、2枚の板ガラスの周縁部において樹脂製シートの偏肉が発生するのを抑制しつつ、樹脂製シートと板ガラスとの間に存在する気泡の除去をより確実に行うことができる。
また、本発明に係る合わせガラスの製造方法は、前記ガラス積層体の端縁部を枠状の密封部材で密封し、且つ、縦置き姿勢で、前記真空引き、前記加熱処理、および前記加圧処理を行うことが好ましい。
このような構成を有することにより、複数のガラス積層体を、一度に纏めてオートクレーブの炉内に投入することが可能であり、製造される合わせガラスの生産性の向上を図ることができる。
また、本発明に係る合わせガラスの製造方法において、複数の前記板ガラスには、最外層に位置するカバーガラスが含まれ、前記カバーガラスの厚みは、2.0mm以下である
前記カバーガラスの厚みは、2.0mm以下であることを特徴とする。
このような厚みの薄いカバーガラスを有する合わせガラスであっても、本発明によれば、より一層効果的に、周縁部に発生するクラックや欠け等の破損を抑制することができる。
また、本発明に係る合わせガラスの製造方法において、複数の前記板ガラスには、最外層に位置するカバーガラスが含まれ、前記カバーガラスは、周縁部に沿って形成される面取り部を有し、該面取り部の寸法は、0.5mm以下であることを特徴とする。
このような周縁部に面取り加工が施されたカバーガラスを有する合わせガラスであっても、本発明によれば、より一層効果的に、周縁部に発生するクラックや欠け等の破損を抑制することができる。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る合わせガラスの製造方法によれば、ガラス積層体の周縁部において、真空引きにより偏肉が引き起こされるのを抑制することが可能であり、高品質な合わせガラスを製造することができる。
本発明に係る合わせガラスの製造方法に用いられる、密封部材の全体的な構成を示した一部断面正面図である。 密封部材の断面形状を示した図であって、図1中の矢印Xの方向から見た拡大断面図である。 本発明に係る合わせガラスの製造方法に用いられる、縦置き治具の全体的な構成を示した斜視図である。 本実施形態における合わせガラスの製造方法において、加熱・加圧処理を行う際の各条件を示した図表であって、温度、圧力、及び真空度と、時間との関係を示したグラフである。 第1別実施形態における合わせガラスの製造方法において、加熱・加圧処理を行う際の各条件を示した図表であって、温度、圧力、及び真空度と、時間との関係を示したグラフである。 第2別実施形態における合わせガラスの製造方法において、加熱・加圧処理を行う際の各条件を示した図表であって、温度、圧力、及び真空度と、時間との関係を示したグラフである。 第3別実施形態における合わせガラスの製造方法において、加熱・加圧処理を行う際の各条件を示した図表であって、温度、圧力、及び真空度と、時間との関係を示したグラフである。 第4別実施形態における合わせガラスの製造方法において、加熱・加圧処理を行う際の各条件を示した図表であって、温度、圧力、及び真空度と、時間との関係を示したグラフである。
次に、本発明の実施形態について、図1乃至図8を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1および図2の上下方向を密封部材1の上下方向と規定して記述する。
また、図3においては、図中に示した矢印の方向によって、縦置き治具6の上下方向、前後方向、及び左右方向を規定して記述する。
[合わせガラスの製造方法]
本実施形態における合わせガラスの製造方法は、ACV法(オートクレーブ法)に基づく製造方法であって、後述するように、オートクレーブ(加圧装置)2内において加熱処理及び加圧処理を行う際に、所定のタイミングにて真空引きを制御することにより、樹脂製シート13の食み出しによる偏肉の発生を抑制し、高品質な合わせガラス1を製造可能とするものである。
ここで、製造される合わせガラス1としては、例えば放射線遮蔽用ガラスが挙げられる。
具体的には、図2に示すように、合わせガラス1は、主に鉛ガラスからなる第1板ガラス11と、第1板ガラス11の表裏両側の最外層に積層して配置された2枚のカバーガラスからなる第2板ガラス12・12と、これらの第1板ガラス11及び第2板ガラス12の間に各々介在された2枚の樹脂製シート13・13とからなるガラス積層体1Aにより構成される。
つまり、合わせガラス1は、厚み方向に向かって第2板ガラス12(カバーガラス)、樹脂製シート13、第1板ガラス11(鉛ガラス)、樹脂製シート13、第2板ガラス12(カバーガラス)と順に積層されてなるガラス積層体1Aにより構成される。
なお、第1板ガラス11(鉛ガラス)の厚みについては、遮蔽対象とする放射線の線量に基づき、例えば7mm〜24mmの範囲内にて設定されており、本実施形態においては、7mmの厚みに設定されている。
また、第2板ガラス12(カバーガラス)の厚みについては、2.0mm以下にて設定されており、本実施形態においては、1.8mmの厚みに設定されている。
そして、第2板ガラス12の周縁部には、面取り加工が当該周端部に沿って施されており、形成された面取り部12aの寸法は、0.5mm以下に設定されており、第2板ガラス12は、当該面取り部12aをガラス積層体1Aの外側(第1板ガラス11側との反対側)に向けた状態にて、第1板ガラス11に積層される。
一方、樹脂製シート13は、PVB(ポリビニルブチラール)からなる熱可塑性樹脂シートにより構成されるが、これに限定されることはなく、例えば、フッ素樹脂等の他の材料からなる熱可塑性樹脂シートや、EVA(エチレンビニルアセテート)等からなる熱硬化性樹脂シートなどによって構成することとしてもよい。
このような構成からなる合わせガラス1は、樹脂製シート13と、樹脂製シート13を介在させて積層された少なくとも2枚の板ガラス(第1板ガラス11及び第2板ガラス12)とを有するガラス積層体1Aが、ACV法に基づき熱圧着されることにより製造される。
そして、前述したように、ガラス積層体1Aの外側に露呈する第2板ガラス12(カバーガラス)の厚みは、2.0mm以下と薄く、また、第2板ガラス12の周縁部には、面取り部加工が施されていることから、ガラス積層体1Aが熱圧着される際、加熱処理、加圧処理、及び真空引きを実行するタイミングによっては、第2板ガラス12の面取り部12aに残る微細な加工傷の影響も相まって、クラックや欠け等の破損が生じ易い。
本実施形態における合わせガラスの製造方法は、樹脂製シート13の食み出しによる偏肉の発生を抑制するだけでなく、このような構成からなる合わせガラス1であっても、より一層効果的に、周縁部に発生するクラックや欠け等の破損を抑制することを可能とするものである。
なお、合わせガラス1の構成については、本実施形態によって示されるような、2枚の樹脂製シート13・13を各々介在させて積層された3枚の板ガラス(1枚の第1板ガラス11、及び2枚の第2板ガラス12・12)による構成に限定されるものではなく、例えば、樹脂製シート13を介在させて積層された2枚の板ガラスのみによる構成であってもよく、また、樹脂製シート13を各々介在させて積層された4枚の板ガラスによる構成であってもよい。
ACV法(オートクレーブ法)に基づく、本実施形態における合わせガラス1の製造方法は、主に、積層工程及び圧着工程により構成される。
具体的には、積層工程において、2枚の樹脂製シート13・13を1枚の第1板ガラス11、及び2枚の第2板ガラス12・12の間に各々介在させつつ積層してガラス積層体1Aを形成し、続いて圧着工程において、形成された複数のガラス積層体1A・1A・・・をオートクレーブ2(図3を参照)の炉内に纏めて投入し、各ガラス積層体1Aにおける第1板ガラス11と樹脂製シート13との間、及び第2板ガラス12と樹脂製シート13との間の積層界面14に対して真空引きを行うとともに、前記炉内を加熱・加圧処理してこれらのガラス積層体1A・1A・・・を各々熱圧着させることにより、合わせガラス1は製造される。
ここで、積層工程において形成されたガラス積層体1Aには、当該ガラス積層体1Aの積層状態を保持するための密封部材3が装着され、当該密封部材3を用いて、圧着工程における真空引きが行われる。
密封部材3は、例えばフッ素ゴム、シリコンゴム、またはアクリルゴム等のような、耐熱性を有する弾性部材からなり、図1に示すように、ガラス積層体1Aの外形に即した矩形枠体形状に形成される。
また、密封部材3は、内周側に開口する略「コ」字状の断面形状を有して形成される。
具体的には、図2に示すように、密封部材3は、第1板ガラス11の端面11a、及び第2板ガラス12の端面12b(図2においては、上端面)と各々当接しつつ、当該端面11a・12bに沿って延設される基部31と、基部31における第1板ガラス11及び第2板ガラス12との当接面31aから密封部材3の内周側(図2における下側)へ延出し、且つ第1板ガラス11及び第2板ガラス12の厚み方向に所定の間隔を有して対向配置される一対の支持部32・32とにより構成される。
当接面31aにおける樹脂製シート13との当接箇所には、例えば断面視半円形状の溝形状からなる一対の減圧通路31b・31bが、基部31の延設方向に沿って平行に形成されている。
そして、ガラス積層体1Aの周縁部に沿って密封部材3が装着された状態において、基部31の当接面31aが第1板ガラス11の端面11a、及び第2板ガラス12の端面12bに密着することにより、各減圧通路31bは、ガラス積層体1Aにおける積層界面14と連通するようになっている。
一方、密封部材3における一対の支持部32・32において、各支持部32の内側面(対向面)には、突出部32aが形成される。
突出部32aは、支持部32の延設方向に沿って延設される。
また、突出部32aの突出端面は、基部31の当接面31aに対して直交し、且つ支持部32の延設方向に対して平行な平面形状に形成されている。
なお、一対の支持部32・32において、各々の突出部32a・32a間の間隙は、ガラス積層体1Aの厚みと同等以下となっている。
そして、このような形状からなる密封部材3がガラス積層体1Aの周縁部に装着されることにより、当該ガラス積層体1Aは、周縁部にて厚み方向に挟持された状態にて保持される。
具体的には、ガラス積層体1Aの周縁部に沿って密封部材3を装着する場合、基部31の当接面31aをガラス積層体1Aの側端面に当接させて位置を規制しつつ、一対の支持部32・32の突出部32a・32aによって、2枚の第2板ガラス12・12の周縁部を介して挟持する。
これにより、ガラス積層体1Aは、密封部材3によって周縁部を厚み方向に挟持されつつ、積層状態を保持される。
なお、ガラス積層体1Aの積層状態を保持することを目的とする限りにおいては、本実施形態の密封部材3に限定されることはなく、例えば、ガラス積層体1Aの周縁部を厚み方向に挟持可能とするクリップやチャック装置等によって保持手段を構成することとしてもよい。
ところで、図1に示すように、密封部材3がガラス積層体1Aの周縁部に沿って装着された状態において、当該密封部材3に設けられる一対の減圧通路31b・31b(図1においては、基部31の延設方向と平行の仮想断面によって示されることから、一方の減圧通路31bのみ記載)は、配管部材4を介して真空ポンプ5等と連結される。
これにより、ガラス積層体1Aにおける積層界面14(図2を参照)は、減圧通路31bおよび配管部材4を介して、真空ポンプ5と連結される。
そして、このような状態にセットされた複数のガラス積層体1A・1A・・・は、図3に示すように、縦置き治具6によって縦置きの姿勢にて纏めて保持され、オートクレーブ2の炉内へと投入される。
その後、オートクレーブ2の炉内において、真空ポンプ5(図1を参照)によって、各ガラス積層体1Aにおける積層界面14(図2を参照)の真空引きが行われるとともに、後述する所定のタイミングにて加熱処理、加圧処理、及び当該真空引きを制御することにより、複数のガラス積層体1A・1A・・・が各々熱圧着される。
このように、本実施形態における合わせガラスの製造方法においては、ガラス積層体1Aの端縁部を枠状の密封部材3で密封し、且つ、縦置き姿勢で、真空引き、加熱処理、及び加圧処理を行うこととしている。
よって、複数のガラス積層体1A・1A・・・を、一度に纏めてオートクレーブ2の炉内に投入することが可能であり、製造される合わせガラス1の生産性の向上を図ることができる。
オートクレーブ2の炉内の温度が所定の温度に到達した後、所定の時間の経過を待って、加熱・加圧処理が停止される。
その後、前記炉内の温度が所定の温度以下にまで低下したのを確認した後、オートクレーブ2の炉内より複数のガラス積層体1A・1A・・・が縦置き治具6とともに取り出される。
こうして、合わせガラスの製造工程は終了し、完成された複数の合わせガラス1・1・・・が纏めて得られる。
[圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法]
次に、圧着工程において、オートクレーブ2の炉内に投入されたガラス積層体1Aに対して加熱処理、加圧処理、及び真空引きを行う際の各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法について、図4を用いて説明する。
前述したように、圧着工程においては、複数のガラス積層体1A・1A・・・が、密封部材3・3・・・を各々装着した状態にてオートクレーブ2の炉内に纏めて投入され、その後、これらのガラス積層体1A・1A・・・に対して、加熱処理、加圧処理、及び真空引きが実施される。
ここで、オートクレーブ2の炉内にて加熱処理を行う場合、樹脂製シート13の素材である熱可塑性樹脂の軟化点が約110℃〜120℃であることから、従来からの経験則なども踏まえ、一般的には、140℃以上の温度(圧着温度)で30min以上且つ2hr以内の時間(圧着時間)に渡って持続するように設定することが好ましい。
また、オートクレーブ2の炉内にて加圧処理を行う場合、樹脂製シート13の物理的性質や従来からの経験則などに基づき、一般的には、1.0MPa以上の圧力(圧着圧力)を加えるように設定することが好ましい。
さらに、ガラス積層体1Aにおける第1板ガラス11と樹脂製シート13との間、及び第2板ガラス12と樹脂製シート13との間の積層界面14に対して真空引きを行う場合、従来からの経験則などに基づき、常に−0.1MPa程度の真空度となるように設定することが好ましい。
なお、加圧処理を行う場合の圧着圧力については、製造される合わせガラス1の外形サイズや、当該合わせガラス1を構成する板ガラス(特に、ガラス積層体1Aの外側に露呈する第2板ガラス12)の厚みに基づき設定されるものであり、本実施形態においては、例えば1220mm×2438mmの外形サイズからなり、厚みが2.0mm以下のソーダ石灰ガラスからなる第2板ガラス(カバーガラス)12を有する合わせガラス1を対象としている。
そして、本実施形態における制御方法においては、オートクレーブ2の炉内にて加熱処理、加圧処理、及び真空引きを行う際、以下によって示されるような制御方法に基づき、各条件(温度、圧力、真空度)を制御することとしている。
具体的には、図4は、縦軸にオートクレーブ2の炉内の温度(単位[℃])及び圧力(単位[MPa])を表し、横軸に時間(単位[min])を表すこととして、加熱処理及び加圧処理を行う場合の、温度と時間との関係(図4中の破線Lt1にて記載)、圧力と時間との関係(図4中の一点鎖線Lp1にて記載)、及び真空引きの真空度についての圧力と時間との関係(図4中の実線Lv1にて記載)をそれぞれ表したグラフである。
本実施形態においては、熱圧着に必要な所定の加熱温度(圧着温度である第1温度H1)および持続時間(圧着時間(T6−T4))を、約140℃にて80min程度に設定し(H1=140℃、(T6−T4)=80min)、熱圧着に必要な所定の加圧力(圧着圧力P1)を約1.3MPaに設定し(P1=1.3MPa)、且つ積層界面14に対して行われる真空引きの真空度V1を、約−0.1MPaに設定することとしている(V1=−0.1MPa)。
また、加熱処理においては、圧着温度(第1温度H1)に比べて低温であって、樹脂製シート13の粘度が85Pa・sとなる加熱温度(脱気温度である第2温度H2)を別途設定し(H1>H2)、当該脱気温度(第2温度H2)によって一旦加熱温度を持続するとともに、この際の持続時間(脱気時間(T3−T2))を30min程度に設定することとしている。
そして、本実施形態においては、真空引きの開始から所定の時間T1が経過した時点で加熱処理を開始し、オートクレーブ2の炉内の温度が脱気温度(第2温度H2)に到達する時間T2より時間T3に渡って、当該脱気温度(第2温度H2)を一旦持続し、前記時間T3にて真空引きを解除するとともに、圧着温度(第1温度H1)に向かって加熱処理による加熱温度の昇温を再開することとしている。
また、加熱処理による加熱温度の昇温を再開した後、オートクレーブ2の炉内の温度が圧着温度(第温度H)に到達する時間T4にて、加圧処理を開始し、時間T5にて前記炉内の圧力を圧着圧力P1に到達させることとしている。
その後、前記時間T4より所定の圧着時間(T6−T4)に渡って、前記炉内の温度を圧着温度(第1温度H1)にて維持し、当該圧着時間(T6−T4)の経過を待って、加熱処理による加熱温度を降温するとともに、当該加熱温度が常温(加熱処理の開始前の温度)付近にまで低下した時間T7にて、加圧処理による加圧力を開放することとしている。
以上のように、本実施形態における合わせガラス1の製造方法は、樹脂製シート13と板ガラス(第1板ガラス11または第2板ガラス12)との間の真空引きを開始した後に、加熱処理及び加圧処理を開始し、前記加熱処理による加熱温度が、所定の圧着温度(第1温度H1)に比べて低温であって、樹脂製シート13の粘度が85Pa・sとなる脱気温度(第2温度H2)に到達した時間T2の後、且つ前記加熱処理による加熱温度、及び前記加圧処理による加圧力が、圧着温度(第1温度H1)及び所定の第1圧力としての圧着圧力P1に各々到達する時間T4及び時間T5の前に、前記真空引きを解除することとしている。
このように、本実施形態においては、例えば樹脂製シート13が完全に軟化した状態となる圧着温度(第1温度H1)と比べて低温の脱気温度(第2温度H2)にまで、加熱処理による加熱温度が到達した後、且つ前記圧着温度(第1温度H1)に到達する前であって、加圧処理による加圧力が圧着圧力P1に到達する前に、樹脂製シート13と板ガラス(第1板ガラス11または第2板ガラス12)との間に発生する気泡の除去を目的とする真空引きを解除することとしている。
また、脱気温度(第2温度H2)は、樹脂製シート13の粘度が85Pa・sとなる温度であり、当該温度にまで加熱された樹脂製シート13は、真空引きの影響を受けても未だ大きく流動しない程度の、適度な固さを有した状態にある。
従って、加熱処理による樹脂製シート13の加熱が進み、当該樹脂製シート13の粘度がさらに低下した(軟化状態が進んだ)としても、従来のような、ガラス積層体1Aの周縁部において、真空引きによって樹脂製シート13が流動し、偏肉が引き起こされるのを抑制することができる。
また、本実施形態における合わせガラス1の製造方法において、加圧処理は、真空引きを解除した時間T3より後の時間T4に開始することとしている。
このような構成を有することにより、例えば、真空引きによる影響と相まって2枚の板ガラス(第1板ガラス11及び第2板ガラス12)の端部より樹脂製シート13が食み出すのを抑制し、これらの板ガラスの周縁部に樹脂製シート13の偏肉が発生するのを、より確実に防止することができる。
その結果、ガラス積層体1Aの周縁部において、加圧処理による加圧力が任意の箇所に集中するのを抑制することができ、当該加圧力によって製造された合わせガラス1の周縁部にクラックや欠け等の破損が生じるのを、防止することができる。
また、本実施形態における合わせガラス1の製造方法において、加圧処理は、加熱処理による加熱温度が圧着温度(第1温度H1)に到達した以後(本実施形態においては、時間T4にて加熱温度が圧着温度(第1温度H1)に到達すると同時に)に開始することとしている。
このような構成を有することにより、例えば樹脂製シート13が完全に軟化した状態において、ガラス積層体1Aに対して加圧処理を行うこととなり、当該加圧処理による加圧力は、ガラス積層体1Aの全領域に対して均等に作用し、より確実に当該ガラス積層体1Aの熱圧着を行うことができる。
また、本実施形態における合わせガラス1の製造方法では、加熱処理において、加熱温度が圧着温度(第1温度H1)に到達した後、該加熱温度を所定時間維持する第1キープ時間としての圧着時間(T6−T4)を設け、加圧処理は、圧着時間(T6−T4)の終了後の時間T7に加圧力を開放することとしている。
このような構成を有することにより、例えば樹脂製シート13が完全に軟化した状態となる圧着温度(第1温度H1)にまで加熱された状況下において、ガラス積層体1Aの加圧処理をより確実に行うことができ、当該ガラス積層体1Aの熱圧着を十分に行うことができる。
また、本実施形態における合わせガラス1の製造方法では、加熱処理において、加熱温度が脱気温度(第2温度H2)に到達した後、該加熱温度を5min以上(本実施形態においては、30min)維持する第2キープ時間としての脱気時間(T3−T2)を設け、真空引きは、脱気時間(T3−T2)の終了後の時間T3にて解除することとしている。
このような構成を有することにより、2枚の板ガラス(第1板ガラス11及び第2板ガラス12)の周縁部において、樹脂製シート13の偏肉が発生するのを抑制しつつ、樹脂製シート13と板ガラス(第1板ガラス11または第2板ガラス12)との間に存在する気泡の除去をより確実に行うことができる。
なお、本実施形態では、第2板ガラス12としてソーダ石灰ガラスを用いる場合を例示したが、第2板ガラス12として任意の種類のガラスを用いても良い。
[第1別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法]
次に、第1別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法について、図5を用いて説明する。
第1別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法は、前述した本実施形態における制御方法と同じく、樹脂製シート13が完全に軟化した状態となる圧着温度と比べて低温の脱気温度にまで、加熱処理による加熱温度が到達した後、且つ前記圧着温度に到達する前であって、加圧処理による加圧力が圧着圧力に到達する前に、真空引きを解除する一方、主に加圧処理を開始するタイミングにおいて、本実施形態における制御方法と相違する。
具体的には、図5は、縦軸にオートクレーブ2の炉内の温度(単位[℃])及び圧力(単位[MPa])を表し、横軸に時間(単位[min])を表すこととして、加熱処理及び加圧処理を行う場合の、温度と時間との関係(図5中の破線Lt11にて記載)、圧力と時間との関係(図5中の一点鎖線Lp11にて記載)、及び真空引きの真空度についての圧力と時間との関係(図5中の実線Lv11にて記載)をそれぞれ表したグラフである。
第1別実施形態においては、熱圧着に必要な所定の加熱温度(圧着温度である第1温度H11)および持続時間(圧着時間(T14−T13))を、約140℃にて50min程度に設定し(H11=140℃、(T14−T13)=50min)、熱圧着に必要な所定の加圧力(圧着圧力P11)を約1.3MPaに設定し(P11=1.3MPa)、且つ積層界面14に対して行われる真空引きの真空度V11を、約−0.1MPaに設定することとしている(V11=−0.1MPa)。
また、加熱処理においては、圧着温度(第1温度H11)に比べて低温であって、樹脂製シート13の粘度が85Pa・sとなる加熱温度(脱気温度である第2温度H12)を別途設定し(H11>H12)、当該脱気温度(第2温度H12)によって一旦加熱温度を持続するとともに、この際の持続時間(脱気時間(T12−T11))を120min程度に設定することとしている。
そして、第1別実施形態においては、真空引きを開始した直後より直ちに加熱処理を開始し、オートクレーブ2の炉内の温度が脱気温度(第2温度H12)に到達すると、到達した時間T11より時間T12に渡って、当該脱気温度(第2温度H12)を一旦持続し、その後、再び圧着温度(第1温度H11)に向かって、加圧処理による加熱温度の昇温を再開すると同時に、真空引きを解除している。
また、時間T12において、加熱温度の昇温を再開するのと略同時に加圧処理を開始し、オートクレーブ2の炉内の温度が圧着温度(第1温度H11)に到達するのと略同時に、当該炉内の圧力も圧着圧力P11に到達させ、その後、所定の圧着時間(T14−T13)の経過を待って加熱温度を降温し、当該加熱温度が常温(加熱処理の開始前の温度)にまで低下した時間T15にて、加圧処理による加圧力を開放することとしている。
このような第1別実施形態の制御方法に基づき、オートクレーブ2の炉内に投入された複数のガラス積層体1A・1A・・・に対して、一度に纏めて加熱処理、加圧処理、及び真空引きを行う場合であっても、第2板ガラス12(カバーガラス)の厚みによっては、一部の合わせガラス1において、周縁部にクラックや欠け等の破損が生じる要因が残るものの、従来のような、2枚の板ガラス(第1板ガラス11及び第2板ガラス12)の周縁部において、真空引きによって樹脂製シート13が流動し、偏肉が引き起こされるのを抑制することができる。
[第2別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法]
次に、第2別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法について、図6を用いて説明する。
第2別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法は、前述した本実施形態における制御方法と同じく、樹脂製シート13が完全に軟化した状態となる圧着温度と比べて低温の脱気温度にまで、加熱処理による加熱温度が到達した後、且つ前記圧着温度に到達する前であって、加圧処理による加圧力が圧着圧力に到達する前に、真空引きを解除する一方、主に加圧処理による加圧力、及び加熱処理による加熱温度を緩やかに増加させる点において、本実施形態における制御方法と相違する。
具体的には、図6は、縦軸にオートクレーブ2の炉内の温度(単位[℃])及び圧力(単位[MPa])を表し、横軸に時間(単位[min])を表すこととして、加熱処理及び加圧処理を行う場合の、温度と時間との関係(図6中の破線Lt21にて記載)、圧力と時間との関係(図6中の一点鎖線Lp21にて記載)、及び真空引きの真空度についての圧力と時間との関係(図6中の実線Lv21にて記載)をそれぞれ表したグラフである。
第2別実施形態においては、真空引きの開始から所定の時間T21が経過した時点で加熱処理を開始し、オートクレーブ2の炉内の温度が脱気温度(第2温度H22)に到達する時間T22より、加圧処理を開始することとしている。
また、前記時間T22より時間T23に渡って、前記脱気温度(第2温度H22)を一旦持続し、その後、再び圧着温度(第1温度H21)に向かって、加熱処理による加熱温度の昇温を再開し、時間T24にて、前記炉内の温度が圧着温度(第1温度H21)に到達することとしている。
また、前記炉内の温度が圧着温度(第1温度H21)に到達した時点において、真空引きを解除することとしている。
一方、加圧処理においては、時間T22より開始した後、前記時間T24より僅かに時間が経過した時間T25にて、オートクレーブ2の炉内の圧力を圧着圧力P21に到達させることとしている。
ここで、第2別実施形態においては、加圧処理によってオートクレーブ2の炉内の圧力を圧着圧力P21にまで加圧する際の昇圧速度R1(圧力差/時間差)を、0.014MPa/minに設定することとし(P21/(T25−T22)=0.014)、従来の制御方法による上昇角度が0.043MPa/minに設定されていたことから、凡そ3倍程度の緩やかな傾斜にて前記炉内の圧力を上昇させることとしている。
また、これに伴い、第2別実施形態においては、加熱処理によってオートクレーブ2の炉内の温度を圧着温度(第1温度H21)にまで加熱する際の昇温速度R2(温度差/時間差)を、1.2℃/minに設定することとし((H22−H21)/(T24−T23)=1.2)、従来の制御方法による上昇角度が1.8℃/minに設定されていたことから、凡そ1.5倍程度の緩やかな傾斜にて前記炉内の温度を上昇させることとしている。
その後、前記時間T24より所定の圧着時間(T26−T24)に渡って、前記炉内の温度を圧着温度(第1温度H21)にて維持し、当該圧着時間(T26−T24)の経過を待って、加熱処理による加熱温度を降温するとともに、当該加熱温度が常温(加熱処理の開始前の温度)付近にまで低下した時間T27にて、加圧処理による加圧力を開放することとしている。
このような第2別実施形態の制御方法に基づき、オートクレーブ2の炉内に投入された複数のガラス積層体1A・1A・・・に対して、一度に纏めて加熱処理、加圧処理、及び真空引きを行う場合であっても、前述した第1別実施形態と同様に、第2板ガラス12(カバーガラス)の厚みによっては、一部の合わせガラス1において、周縁部にクラックや欠け等の破損が生じる要因が残るものの、従来のような、2枚の板ガラス(第1板ガラス11及び第2板ガラス12)の周縁部において、真空引きによって樹脂製シート13が流動し、偏肉が引き起こされるのを抑制することができる。
[第3別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法]
次に、第3別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法について、図7を用いて説明する。
第3別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法は、前述した本実施形態における制御方法と同じく、樹脂製シート13が完全に軟化した状態となる圧着温度と比べて低温の脱気温度にまで、加熱処理による加熱温度が到達した後、且つ前記圧着温度に到達する前であって、加圧処理による加圧力が圧着圧力に到達する前に、真空引きを解除する一方、主に加圧処理による加圧力、及び加熱処理による加熱温度を緩やかに増加させる点において、本実施形態における制御方法と相違する。
また、第3別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法は、前述した第2別実施形態における制御方法と略同等に各条件(温度、圧力、真空度)を制御する一方、真空引きを解除するタイミングについて、第2別実施形態における制御方法と相違する。
具体的には、図7は、縦軸にオートクレーブ2の炉内の温度(単位[℃])及び圧力(単位[MPa])を表し、横軸に時間(単位[min])を表すこととして、加熱処理及び加圧処理を行う場合の、温度と時間との関係(図7中の破線Lt31にて記載)、圧力と時間との関係(図7中の一点鎖線Lp31にて記載)、及び真空引きの真空度についての圧力と時間との関係(図7中の実線Lv31にて記載)をそれぞれ表したグラフである。
第3別実施形態においては、真空引きの開始から所定の時間T31が経過した時点で加熱処理を開始し、オートクレーブ2の炉内の温度が脱気温度(第2温度H32)に到達する時間T32にて、真空引きを解除するとともに、加圧処理を開始することとしている。
なお、前記時間T32以後の各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法については、前述した第3別実施形態における制御方法と同等であるため、説明は省略する。
このような第3別実施形態の制御方法に基づき、オートクレーブ2の炉内に投入された複数のガラス積層体1A・1A・・・に対して、一度に纏めて加熱処理、加圧処理、及び真空引きを行う場合であっても、前述した第1別実施形態及び第2別実施形態と同様に、第2板ガラス12(カバーガラス)の厚みによっては、一部の合わせガラス1において、周縁部にクラックや欠け等の破損が生じる要因が残るものの、従来のような、2枚の板ガラス(第1板ガラス11及び第2板ガラス12)の周縁部において、真空引きによって樹脂製シート13が流動し、偏肉が引き起こされるのを抑制することができる。
[第4別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法]
次に、第4別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法について、図8を用いて説明する。
第4別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法は、前述した本実施形態における制御方法と同じく、樹脂製シート13が完全に軟化した状態となる圧着温度と比べて低温の脱気温度にまで、加熱処理による加熱温度が到達した後、且つ前記圧着温度に到達する前であって、加圧処理による加圧力が圧着圧力に到達する前に、真空引きを解除する一方、主に加圧処理を開始するタイミングについて、本実施形態における制御方法と相違する。
また、第4別実施形態における圧着工程での各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法は、前述した第2別実施形態における制御方法と略同等に各条件(温度、圧力、真空度)を制御する一方、加圧処理における昇圧速度Rについて、第2別実施形態における制御方法と相違する。
具体的には、図8は、縦軸にオートクレーブ2の炉内の温度(単位[℃])及び圧力(単位[MPa])を表し、横軸に時間(単位[min])を表すこととして、加熱処理及び加圧処理を行う場合の、温度と時間との関係(図8中の破線Lt41にて記載)、圧力と時間との関係(図8中の一点鎖線Lp41にて記載)、及び真空引きの真空度についての圧力と時間との関係(図8中の実線Lv41にて記載)をそれぞれ表したグラフである。
第4別実施形態においては、真空引きの開始から所定の時間T41が経過した時点で加熱処理を開始し、オートクレーブ2の炉内の温度が脱気温度(第2温度H42)に到達する時間T42より時間T43に渡って、当該脱気温度(第2温度H42)を一旦持続し、前記時間T43にて真空引きを解除するとともに、圧着温度(第1温度H41)に向かって加熱処理による加熱温度の昇温を再開することとしている。
また、加熱処理による加熱温度の昇温を再開した後、時間T44より加圧処理を開始し、オートクレーブ2の炉内の温度が圧着温度(第1温度H41)に到達する時間T45より、僅かに時間が経過した時間T46にて、前記炉内の圧力を圧着圧力P41に到達させることとしている。
ここで、第4別実施形態においては、加圧処理によってオートクレーブ2の炉内の圧力を圧着圧力P41にまで加圧する際の昇圧速度R3(圧力差/時間差)を、従来の制御方法による昇圧速度と略同等の約0.043MPa/minに設定することとしている(P41/(T46−T44)=0.043)。
一方、第4別実施形態においては、加熱処理によってオートクレーブ2の炉内の温度を圧着温度(第1温度H41)にまで加熱する際の昇温速度R4(温度差/時間差)を、前述した第2別実施形態と同じく、1.2℃/minに設定することとし((H42−H41)/(T45−T43)=1.2)、従来の制御方法による昇温速度が1.8℃/minに設定されていたことから、凡そ1.5倍程度の緩やかな傾斜にて前記炉内の温度を上昇させることとしている。
なお、前記時間T46以後の各条件(温度、圧力、真空度)の制御方法については、前述した第2別実施形態における制御方法と同等であるため、説明は省略する。
このような第4別実施形態の制御方法に基づき、オートクレーブ2の炉内に投入された複数のガラス積層体1A・1A・・・に対して、一度に纏めて加熱処理、加圧処理、及び真空引きを行う場合であっても、従来のような、2枚の板ガラス(第1板ガラス11及び第2板ガラス12)の周縁部において、真空引きによって樹脂製シート13が流動し、偏肉が引き起こされるのを抑制することができる。
また、第4別実施形態の制御方法によれば、前述した他の第1別実施形態、第2別実施形態、及び第3別実施形態と比べて、一部の合わせガラス1の周縁部にクラックや欠け等の破損が生じるのを、より確実に防止することができる。
1 合わせガラス
1A ガラス積層体
5 真空ポンプ
6 縦置き治具
11 第1板ガラス(鉛ガラス)
11a 端面
12 第2板ガラス(カバーガラス)
12a 面取り部
12b 端面
13 樹脂製シート
14 積層界面
31 基部
31a 当接面
31b 減圧通路
32 支持部
32a 突出部
H1 圧着温度(第1温度)
H11 圧着温度(第1温度)
H12 脱気温度(第2温度)
H2 脱気温度(第2温度)
H21 圧着温度(第1温度)
H22 脱気温度(第2温度)
H32 脱気温度(第2温度)
H41 圧着温度(第1温度)
H42 脱気温度(第2温度)
R1 昇圧速度
R2 昇温速度
R3 昇圧速度
R4 昇温速度
V1 真空度
V11 真空度
P1 圧着圧力(第1圧力)
P11 圧着圧力(第1圧力)
P21 圧着圧力(第1圧力)
P41 圧着圧力(第1圧力)
(T3−T2) 脱気時間(第2キープ時間)
(T6−T4) 圧着時間(第1キープ時間)
(T12−T11) 脱気時間(第2キープ時間)
(T14−T13) 圧着時間(第1キープ時間)
(T26−T24) 圧着時間(第1キープ時間)

Claims (7)

  1. 樹脂製シートと、該樹脂製シートを介在させて積層された少なくとも2枚の板ガラスとを有するガラス積層体を、加熱処理によって所定の第1温度にまで加熱し、且つ加圧処理によって所定の第1圧力にまで加圧することにより、前記ガラス積層体を熱圧着する圧着工程を備える、合わせガラスの製造方法であって、
    前記圧着工程において、
    前記樹脂製シートと前記板ガラスとの間の真空引きを開始した後に、前記加熱処理及び前記加圧処理を開始し、
    前記加熱処理による加熱温度が、前記第1温度に比べて低温であって前記樹脂製シートの粘度が85Pa・sとなる第2温度に到達した後、且つ
    前記加熱処理による加熱温度、及び前記加圧処理による加圧力が、前記第1温度及び前記第1圧力に各々到達する前に、
    前記真空引きを解除し、
    前記加圧処理を、前記加熱処理による加熱温度が前記第1温度に到達した以後に開始する
    ことを特徴とする合わせガラスの製造方法。
  2. 前記加圧処理を、前記真空引きを解除した後に開始する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の合わせガラスの製造方法。
  3. 前記加熱処理において、
    加熱温度が前記第1温度に到達した後、該加熱温度を所定時間維持する第1キープ時間を設け、
    前記加圧処理は、前記第1キープ時間の終了後に加圧力を開放する、
    ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の合わせガラスの製造方法。
  4. 前記加熱処理において、
    加熱温度が前記第2温度に到達した後、該加熱温度を5min以上維持する第2キープ時間を設け、
    前記真空引きは、前記第2キープ時間の終了後に解除する、
    ことを特徴とする、請求項1〜請求項の何れか一項に記載の合わせガラスの製造方法。
  5. 前記ガラス積層体の端縁部を枠状の密封部材で密封し、且つ、縦置き姿勢で、前記真空引き、前記加熱処理、および前記加圧処理を行う、
    ことを特徴とする、請求項1〜請求項の何れか一項に記載の合わせガラスの製造方法。
  6. 複数の前記板ガラスには、最外層に位置するカバーガラスが含まれ、
    前記カバーガラスの厚みは、2.0mm以下である、
    ことを特徴とする、請求項1〜請求項の何れか一項に記載の合わせガラスの製造方法。
  7. 複数の前記板ガラスには、最外層に位置するカバーガラスが含まれ、
    前記カバーガラスは、周縁部に沿って形成される面取り部を有し、
    該面取り部の寸法は、0.5mm以下である、
    ことを特徴とする、請求項1〜請求項の何れか一項に記載の合わせガラスの製造方法。
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