JP6983946B2 - 機能性コーヒー組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
クロロゲン酸:式(I)
クロロゲン酸類はコーヒー豆から初めて見つかった物質群の一つで、クロロゲン酸には脂肪の吸収抑制、発がん予防、糖尿病予防などの機能性が報告され、コーヒー生豆には、カフェオイルキナ酸(QCA)、フェロイルキナ酸(FQA)、ジカフェオイルキナ酸(di-QCA)などのクロロゲン酸類が多く含まれるが、焙煎度が深くなるにつれて、いずれの品種もクロロゲン酸類の含有量が低くなる傾向が見られる。コーヒーにとって焙煎は必須工程であるが、コーヒー中のクロロゲン酸の減量は食後飲料の機能としては重大な欠陥となる。そこで、本発明者はかかる機能欠陥に気付き、鋭意研究の結果、コーヒー飲料の機能性を高めるには発芽コーヒーの焙煎によるコーヒーポリフェノールの減少を補償し、増加するナイアシンとの相乗効果によりコーヒーの機能性を高めることのできるコーヒー組成物を提供することを課題とする。
コーヒー生豆の焙煎により、図1及び図2に示すように、内容成分が変化する。因みに、生豆の焙煎前後、焙煎度合いとポリフェノール含有量との関係は以下の第1表及び第2表の通りである。焙煎による総ポリフェノールにはあまり変化が見られないが、クロロゲン酸類の減量によりコーヒーポリフェノールが低減し、焙煎によるαーグルコシダーゼ阻害活性は低下する。すなわち、コーヒーに含まれるクロロゲン酸はマルトースをグルコースに分解する酵素であるα−グルコシダーゼ阻害活性が認められ、食後のコーヒー通には糖尿病の発症リスクを低減させる効果があるとされるため、焙煎によるクロロゲンサンの低下は発芽コーヒーだけでなく、コーヒー豆の焙煎での唯一の欠点である。本発明によれば、このαーグルコシダーゼ阻害活性を増強することができる。本発明によれば、焙煎により低下する発芽コーヒーのクロロゲン酸含有量の低下を水溶性食物繊維のイヌリンの添加で異なる側面から補償し、元来コーヒーが持つべき機能であるα−グルコシダーゼ阻害活性を損なうことなく、また、飲料としてそのコーヒーとしての味覚を阻害することのない新たな焙煎コーヒー組成物を提供する。すなわち、コーヒーが持つべき機能であるα−グルコシダーゼ阻害活性はコーヒー以外の他の成分の場合、そのポリフェノール増加とともにイヌリンからなる水溶性植物繊維、より好ましくはナイアシンの共存による相乗効果により達成されると思われるからである。発芽コーヒーは培養により、ナイアシン、ギャバを増加させる栄養価の高いものとなるので、推奨されるが、焙煎によりクロロゲン酸を減少させる。その結果、コーヒーポリフェノールが減少し、α−グルコシダーゼ阻害活性が低下するといわれている。しかしながら、菊芋粉末は、同様にクロロゲン酸を含み、焙煎により総ポリフェノール量を増加させるとともに、コーヒーと異なり、イヌリンからなる水溶性食物繊維が共存し、腸内細菌を活性化し、インクレチンを介してインシュリンの分泌を促進するからである。
、これに湯を滴下し、コーヒー成分を抽出してなる。成分は図3に示す通りである。本発明のコーヒー組成物中コーヒー成分は50〜70重量%を占めるのが好ましい。50%より少ないとコーヒー味覚を維持しにくい。70%より多いと、カフェイン減量を達成できない。通常、1杯のコーヒーは焙煎コーヒー粉末7〜10gからなるので、本発明では焙煎コーヒー粉末5〜7gを1カップ組成にするのが好ましい。
本発明において、発芽コーヒーは、pH7.5〜pH9.7の弱アルカリ性温水にコーヒー生豆を浸漬して吸水させ、このコーヒー生豆を50〜200℃の温度の湿潤雰囲気で
発芽処理することによって、培養されるのが好ましい。また、コーヒー生豆を発芽処理するときに、浸漬するアルカリ性温水の温度を15〜40℃とし、発芽処理する湿潤雰囲気の温度よりも低くすることが望ましい。さらに、コーヒー生豆を発芽処理するときに、アルカリ性温水を吸収したコーヒー生豆を湿潤雰囲気で4〜8時間発芽処理させることが望ましい。この発芽処理したコーヒー生豆は、常法に従い、熱処理、熱風乾燥、凍結乾燥もしくは冷蔵、冷凍などの処理をすることによって、保存に耐えうる状態とすることができるが、焙煎して発芽コーヒー飲料とする。得られたコーヒー豆に含有される成分を分析した結果を、図3に示す。図3において、白抜きの棒グラフは、従来の発芽処理によるコーヒー生豆に含有される成分を分析した結果であり、併記する模様入り棒グラフは、発芽処理したコーヒー生豆に含有される成分を分析した結果である。発芽コーヒー豆を原料にしてコーヒー飲料を得るには、発芽コーヒー豆を乾燥した後、所望の焙煎を施してから粉砕して熱湯で抽出して得ることができる。この焙煎において、コーヒー生豆に付着している薄皮(チャフ0)が発芽工程で除去されているため、焙煎を容易に行うことができる。なお、焙煎発芽コーヒー粉末はイミ―株式会社から市販されている。
菊芋には、イヌリンと呼ばれる多糖類が多く含まれており、このイヌリンは、デンプンと異なり、人間が持つ消化酵素では分解できず、酵素などの作用によってイヌリンが分解したフルクトースは難消化性であるので、糖尿病の人にも安心して提供できる甘味源である。したがって、食後の血糖値の上昇を抑制するコーヒー飲料組成物の添加物として利用可能である。しかしながら、調理が面倒であり、特有の臭いがあり、生または煮て食べても美味とは言い難く、さらに、生の状態では保存が難しい。そして、菊芋は、畑や山などの土壌の中から採取されるので、土壌菌をはじめとする様々な菌が付着している可能性が高く、入念に洗浄しただけでは除去できないし、耐熱性の菌が残存していれば焙煎しても死滅しない。また、土壌には菌以外にも種々の汚染要因が存在する可能性があり、洗浄しても菊芋の皮の間に微量の汚染物質が残る可能性を完全に除去することは難しい。他方、菊芋の場合、皮と中身の境界部分だけではなく、中身にも十分なイヌリンが含まれており、皮を剥くことにより貴重なイヌリンの量が減少することはほとんどない。逆に、菊芋の場合は、軽く皮を剥くことにより、皮と中身の境界部分の灰汁(あく)の強い部分を除くことができ、焙煎された食品の味をまろやかにするという効果をもたらす。そこで、本発明においては、土壌から採取した菊芋を、洗浄するだけでなく、少なくとも軽く皮を剥いた後に乾燥し、その後、焙煎するようにしている。イヌリンは、高温で焙煎してもその働きは損なわれ難く、また、焙煎することにより薫りが加わり、総ポリフェノールが増加することが見出され、さらに、コーヒーの焙煎体と混合してもコーヒーの嗜好性を害するものでないことを見出した。
0%、食物繊維19.50%、タンパク質9.00%、脂肪1.00%、ミネラル7.20%、ポリフェノール3.40%、水分1.60%が含まれるという報告がされている。
キクイモ塊径を110℃から20℃おきに210℃まで15分間、30分間加熱し、焙煎による総ポリフェノールの変動を評価すると、加熱温度、加熱時間が長くなるにつれて総ポリフェノール含量が増加する傾向が見られる(石黒・横田:焙煎キクイモのポリフェノール)。未処理キクイモで総ポリフェノール5mg/gである場合、130℃30分間で7.5mg/g,170℃15分間10mg/g,170℃30分間15mg/g,190℃15分間20mg/g,190℃30分間25mg/g,210℃15分間18mg/g,210℃30分間7mg/gと変動し、焙煎中に総ポリフェノール含量は190℃、30分間で総ポリフェノール量は最大を示した。これは、キクイモ壊茎に含まれるクロロゲン酸類は焙煎により消失するが、他の成分が増加することで総ポリフェノール含量が増加することを示している。
1) まず、コーヒー組成物中のカフェイン含量を凡そ50%低減させる。
2) 理想的といわれるポリフェノールの1日摂取量は1,000〜
1、500mgであるから、コーヒー1杯中のポリフェノール含量を凡そ250〜
300mgを維持する。
3) コーヒー1杯中のナイアシン含量を凡そ3〜4mgとする。
4) コーヒー1杯中のイヌリン含量を1〜3gとし、菊芋からの抽出量50%と換算する。
理想的にはコーヒー摂取量は毎食後に1杯、1日に2〜3杯の飲料を基準にすべきである。以上により、1杯のコーヒー中のナイアシン、ポリフェノール、イヌリン含有量による相乗効果により、高α‐グルコシダーゼ阻害活性だけでなく、高インクレチン活性を得る機能性コーヒー組成物が提供される。
焙煎発芽コーヒー(イミ―コーヒー社製)8グラム入りのコーヒードリップと焙煎発芽コーヒー6グラム(イミ―コーヒー社製)に焙煎キクイモ粉末(長野産)2グラムを混合した機能性コーヒードリップとから得られるコーヒー(150ml)とともに市販アンパン1個及び市販ミニアンパン2個を15分以内に10人の男女に摂取させ、その食後血糖値の経時変化を120分間にわたり、観測して、その平均値を図示した。この結果を図4に示す。この結果より、焙煎コーヒー及び焙煎キクイモから高α‐グルコシダーゼ阻害活性が得られるだけでなく、焙煎キクイモのイヌリンから高インクレチン活性を得られ、食後血糖値の上昇が焙煎菊芋添加により有意に抑制されているのが観測された。市販の血糖値抑制コーヒーとしてインスタントコーヒー2グラムに難消化性デキストリン6グラムを配合した機能性コーヒーと比べて優位に優れる血糖値抑制効果が得られるだけでなく、味覚にも優れることが確認できる。
Claims (4)
- クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末と、焙煎キクイモ粉末とを1対1から4対1の重量比率でドリップパックに 封入してなり、クロロゲン酸を含むポリフェノール成分と水溶性食物繊維イヌリン成分とを同時に温水又は熱水中に抽出するコーヒー組成物であって、前記クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末の50〜100%が焙煎発芽 コーヒー粉末であり、ナイアシンを、前記ポリフェノール及びイヌリンとの同時抽出成分とすることを特徴とする高機能性コーヒー組成物。
- クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末50〜100重量部に対し、植物焙煎成分粉末である焙煎キクイモ粉末10〜50重量部と、イヌリンからなる水溶性食物繊維5〜25重量部とを含むコーヒー組成物であって、前記クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末の50〜100%が焙煎発芽 コーヒー粉末であり、ナイアシンを、前記ポリフェノール及びイヌリンとの同時抽出成分とすることを特徴とする高機能性コーヒー組成物。
- コーヒー組成物中に、焙煎キクイモから抽出されるイヌリンの他に、天然イヌリン及び/又は合成イヌリンを添加する請求項1又は2記載の高機能性コーヒー組成物。
- コーヒー生豆が50〜100%の発芽 コーヒー豆を含み、コーヒー生豆50〜100重量部の焙煎中に、キクイモ粉末を乾燥粉末として10〜50重量部を配合し、ダブル又はトレファクト 焙煎後、粉砕することを特徴とする機能性コーヒー組成物の製造方法。
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