JP6983946B2 - 機能性コーヒー組成物及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、焙煎によるクロロゲン酸類等のコーヒーポリフェノールのα―グルコシダーゼ阻害活性の低減を焙煎キクイモ等のイヌリンのインクレチン促進の増強による相乗効果により増強したる機能性新規コーヒー組成物に関する。
コーヒーは高ポリフェノール含有物質で、そこに多く含有されるポリフェノールとは植物が活性酸素と戦うために作り出す物質で、一般に理想的といわれるポリフェノールの1日摂取量は1,000〜1,500mgといわれる。コーヒーには赤ワインに相当するポリフェノールが含まれているので、食後飲料として重宝され、広く受け入れられている。日本人のポリフェノール平均摂取量は800mgと少な目であり、1杯のコーヒーから摂取する凡そ280mgを摂取できると計算すると、理想的にはコーヒー摂取量は毎食後に1杯、1日に2〜3杯の飲料を基準にすべきである。
他方、近年の食生活において、発芽処理することによって、栄養素を高める手段がコーヒー豆の培養において導入され、コーヒー豆の培養方法(特許文献1)及びナイアシンを増強させるコーヒー豆の発芽方法(特許文献2)が提案され、発芽コーヒー生豆に種々のアミノ酸類をバランスよく含有させることができるので、これらの豆を原料に用いたコーヒー飲料は、人の健康に資する飲料となるとされている。コーヒー1杯(約140ml)には約280mgのポリフェノールが含まれ、これは赤ワインと同程度、お茶の約2倍に相当するとされているため、貴重な栄養素であり、発芽コーヒーに至ってはナイアシン(B3)の含量が3倍に増える特徴を有することは特筆できる。
特許第5025725号公報 特開2017−000131号公報
ところで、コーヒー生豆、特に発芽コーヒー生豆は、その焙煎過程で、発芽処理で増加した有効成分ポリフェノールの一種である下記式(I)で示すクロロゲン酸が分解し、クロロゲン酸含有量が生豆2360mg/100gから焙煎で1650mg/100gまで減少することがわかった。
クロロゲン酸:式(I)
Figure 0006983946
クロロゲン酸類はコーヒー豆から初めて見つかった物質群の一つで、クロロゲン酸には脂肪の吸収抑制、発がん予防、糖尿病予防などの機能性が報告され、コーヒー生豆には、カフェオイルキナ酸(QCA)、フェロイルキナ酸(FQA)、ジカフェオイルキナ酸(di-QCA)などのクロロゲン酸類が多く含まれるが、焙煎度が深くなるにつれて、いずれの品種もクロロゲン酸類の含有量が低くなる傾向が見られる。コーヒーにとって焙煎は必須工程であるが、コーヒー中のクロロゲン酸の減量は食後飲料の機能としては重大な欠陥となる。そこで、本発明者はかかる機能欠陥に気付き、鋭意研究の結果、コーヒー飲料の機能性を高めるには発芽コーヒーの焙煎によるコーヒーポリフェノールの減少を補償し、増加するナイアシンとの相乗効果によりコーヒーの機能性を高めることのできるコーヒー組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、コーヒーは食後飲料として広く適用される原因はその機能性にあることに着目し、コーヒー飲料の味覚を阻害することなく、α―グルコシダーゼ阻害活性を高めることにより機能性を高め、維持できるとの観点から鋭意研究の結果、ポリフェノールの総量を高めるだけでなく、イヌリンからなる水溶性食物繊維との相乗効果、好ましくはナイアシンとの相乗効果により、α―グルコシダーゼ阻害活性を高めることができるだけでなく、インクレチンを介してインシュリンの分泌の促進することを見出して完成したものである。 すなわち、クロロゲン酸を含むポリフェノールの血糖値上昇抑制効果は糖分解酵素活性の抑制及び抗酸化作用によるインスリン抵抗性の改善にあると言われているが、イヌリンに代表される水溶性食物繊維は同じ水溶性食物繊維である難消化デキストリンとは異なり、腸内細菌を活性化させ、インクレチンの増加を介してインシュリンの分泌を促進する、いわばサラダ効果により血糖値の上昇を抑制するためか、両者の作用に見事な相乗効果があることを見出した。したがって、本発明はコーヒー豆の焙煎により減少するものの、クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末と、焙煎キクイモ、焙煎チコリ粉末及び焙煎モリンガ粉末からなる群から選択され、水溶性食物繊維イヌリン及び/又はポリフェノールを含む植物焙煎成分粉末とを1対1から4対1の比率でドリップパックに封入してなり、クロロゲン酸を含むポリフェノールと水溶性食物繊維イヌリンとを同時に温水又は熱水中に抽出可能なることを特徴とする高機能性コーヒー組成物にある。本発明において、焙煎コーヒー粉末の50〜100%が焙煎発芽コーヒー粉末であるのがナイアシン含量を高めるので好ましく、水溶性食物繊維の50〜100%が焙煎キクイモ粉末であると、イヌリンからなる水溶性食物繊維の50〜100%が焙煎キクイモ粉末から得られるので好ましい。焙煎キクイモにはイヌリンだけでなく、クロロゲン酸等のポリフェノールを含むからである。
本発明の機能性コーヒー組成物の作用効果はコーヒー焙煎によるクロロゲン酸の減少を焙煎キクイモに代表される植物焙煎成分の添加により補償し、向上させるクロロゲン酸のαグルコシダーゼ阻害活性と水溶性食物繊維イヌリンのサラダ効果(インスリン分泌促進効果)とが互いに補完しあい、優れた相乗効果を発揮することにある。
コーヒー生豆の焙煎により、図1及び図2に示すように、内容成分が変化する。因みに、生豆の焙煎前後、焙煎度合いとポリフェノール含有量との関係は以下の第1表及び第2表の通りである。焙煎による総ポリフェノールにはあまり変化が見られないが、クロロゲン酸類の減量によりコーヒーポリフェノールが低減し、焙煎によるαーグルコシダーゼ阻害活性は低下する。すなわち、コーヒーに含まれるクロロゲン酸はマルトースをグルコースに分解する酵素であるα−グルコシダーゼ阻害活性が認められ、食後のコーヒー通には糖尿病の発症リスクを低減させる効果があるとされるため、焙煎によるクロロゲンサンの低下は発芽コーヒーだけでなく、コーヒー豆の焙煎での唯一の欠点である。本発明によれば、このαーグルコシダーゼ阻害活性を増強することができる。本発明によれば、焙煎により低下する発芽コーヒーのクロロゲン酸含有量の低下を水溶性食物繊維のイヌリンの添加で異なる側面から補償し、元来コーヒーが持つべき機能であるα−グルコシダーゼ阻害活性を損なうことなく、また、飲料としてそのコーヒーとしての味覚を阻害することのない新たな焙煎コーヒー組成物を提供する。すなわち、コーヒーが持つべき機能であるα−グルコシダーゼ阻害活性はコーヒー以外の他の成分の場合、そのポリフェノール増加とともにイヌリンからなる水溶性植物繊維、より好ましくはナイアシンの共存による相乗効果により達成されると思われるからである。発芽コーヒーは培養により、ナイアシン、ギャバを増加させる栄養価の高いものとなるので、推奨されるが、焙煎によりクロロゲン酸を減少させる。その結果、コーヒーポリフェノールが減少し、α−グルコシダーゼ阻害活性が低下するといわれている。しかしながら、菊芋粉末は、同様にクロロゲン酸を含み、焙煎により総ポリフェノール量を増加させるとともに、コーヒーと異なり、イヌリンからなる水溶性食物繊維が共存し、腸内細菌を活性化し、インクレチンを介してインシュリンの分泌を促進するからである。
本発明のコーヒー組成物は、コーヒー生豆と乾燥菊芋チップ又は粉末は両者の配合焙煎により、菊芋の配合量にもよるが、組成物中の発芽コーヒーのクロロゲン酸量は焙煎により減少しても、菊芋の焙煎により組成物全体の総ポリフェノールを増加させ、イヌリン、好ましくはナイアシンを共存させる結果として、α−グルコシダーゼ阻害活性を増大させると同時にインシュリンの分泌を増加させる。両者は別々に焙煎し、これらを発芽コーヒーの焙煎によるα―グルコシダーゼ阻害活性の減量を考慮して菊芋スライスの焙煎によるポリフェノールの増加及び水溶性食物繊維の増加を考慮してその配合量を決定してもよい。通常、菊芋の配合量は焙煎発芽コーヒーの等量からその四分の一量を配合するのが好ましい。菊芋の代替品としてチコリ、モリンガの焙煎物を配合することができる。菊芋、チコリはイヌリンを含むが、モリンガの場合は菊芋、チコリとの併用あるいはアガベイヌリン等のイヌリン成分を配合するのが好ましい。
ブラジル産カネフォラ種の焙煎によるクロロゲン酸類及びポリフェノール量を高速液体クロマトグラフ法及びポリフェノールをフォーリンチオカルト法により測定した結果を示す第1表である。 ブラジル産アラビカ種の焙煎によるクロロゲン酸類及びポリフェノール量を高速液体クロマトグラフ法及びポリフェノールをフォーリンチオカルト法により測定した結果を示す第2表である。 発芽コーヒー生豆とコーヒー生豆とに含有されている各種成分の含有量の比較を示す棒グラフである。 発芽コーヒーだけを飲用した場合と発芽コーヒー3重量部に対し焙煎キクイモ1重量部を併用した機能性コーヒーを飲用した場合の食後血糖値の変化を比較したグラフである。
本発明は焙煎コーヒー粉末50〜100重量部に対し、焙煎キクイモ粉末、焙煎チコリ粉末及び焙煎モリンガ粉末からなる群から選択される植物焙煎成分粉末10〜50重量部、イヌリンからなる水溶性食物繊維5〜25重量部を含み、重量部当たりのカフェイン含量を低減してなることを特徴とする高α―グルコシダーゼ活性を有する機能性コーヒー組成物にあり、焙煎コーヒー粉末の50〜100%が焙煎発芽コーヒー粉末、植物焙煎成分粉末の50〜100%が焙煎キクイモ粉末、イヌリンからなる水溶性食物繊維の50〜100%が焙煎キクイモ粉末から得られるのが好ましい。これにより、カフェイン含量を低減して高α―グルコシダーゼ阻害活性及び高インクレチン活性を有する機能性コーヒー組成物が得られる。ここで、α―グルコシダーゼ阻害活性とは消化酵素α―グルコシダーゼの働きを阻害する活性であり、インクレチン活性とは腸内細菌がインクレチンを介してインシュリンの分泌を促進する活性作用をいう。
本発明のコーヒー成分はコーヒー生豆、特に発芽コーヒー生豆を焙煎し、これを粉砕し
、これに湯を滴下し、コーヒー成分を抽出してなる。成分は図3に示す通りである。本発明のコーヒー組成物中コーヒー成分は50〜70重量%を占めるのが好ましい。50%より少ないとコーヒー味覚を維持しにくい。70%より多いと、カフェイン減量を達成できない。通常、1杯のコーヒーは焙煎コーヒー粉末7〜10gからなるので、本発明では焙煎コーヒー粉末5〜7gを1カップ組成にするのが好ましい。
焙煎コーヒーとして焙煎発芽コーヒーを50〜100%を用いるのが好ましい。多くのナイアシンを含むからである。ナイアシンはピリジンヌクレオチドの形で存在し、消化器官内で分解されてニコチン酸アミドになり、小腸から吸収される。ナイアシンはエネルギー代謝に関与するビタミン(B3)で、食品エネルギー1000Kcalに対し、4.8mgが必要量として算出され、1日の推奨量は男女年齢別に異なるが10mg以上15mg以下とされるからである。
本発明のポリフェノール成分は焙煎コーヒーだけでなく、植物焙煎成分である焙煎キクイモ粉末、焙煎チコリ粉末及び焙煎モリンガ粉末からなる群からも得られる。その粒度は焙煎コーヒー粉末の抽出性を考慮して決定すべきであり、コーヒー成分50〜70重量部に対し植物焙煎成分25〜30重量部を配合すべきである。コーヒー生豆の焙煎によりクロロゲン酸類の減量は凡そ50%である。かかる減量は植物焙煎成分からも得られるが、植物焙煎成分が含むイヌリンの高インクレチン活性効果により補償することができる。したがって、コーヒー成分に対しポリフェノール及びイヌリンを添加する植物焙煎成分は1対1から4対1の範囲で配合して機能性コーヒー組成物を構成するのが好ましい。焙煎キクイモ粉末、焙煎チコリ粉末及び焙煎モリンガ粉末からから得られるポリフェノールのコーヒーポリフェノールとの換算量を考慮してコーヒー味覚を阻害しない範囲で配合される。
本発明のイヌリンからなる水溶性食物繊維は菊芋及びチコリ等の植物焙煎成分から得られるが、直接天然イヌリン及び合成イヌリンを補完してもよい。その配合量はポリフェノール成分と同等量とすべきであり、コーヒー成分50〜70重量部に対し、25〜30重量部を配合すべきである。イヌリンはコーヒーのクロロゲン酸類のポリフェノールとは異なる効果を発揮すると思われるので、ポリフェノールに対し相乗作用が得られやすい量を配合するのが好ましい。但し、コーヒー味覚を阻害しない範囲で配合されるのがよい。
焙煎キクイモ粉末及び焙煎チコリ粉末はポリフェノール及びイヌリンの双方を含むので好ましい。本発明は、菊芋が高いイヌリン含有量を示し、焙煎によりイヌリンの高含有を維持しつつポリフェノール含有量を向上させ、焙煎コーヒーの味覚を害しない成分となるとの知見が得られている。すなわち、焙煎菊芋は、元来コーヒーが持つべき機能であるα−グルコシダーゼ阻害活性だけでなく、インクレチン活性の面からも機能を向上させるので好都合である。
コーヒーの焙煎は菊芋の焙煎と別個に行ってもよいが、同時に行うことができる。同時に行う場合はダブル焙煎法を利用してコーヒー生豆と乾燥菊芋チップの水分量を上手く調合し、調整することができる。また、乾燥菊芋粉末とコーヒー生豆とを一緒にドラムに入れて焙煎する、トレファクト法を用いて焙煎による総ポリフェノール量を調整することができる。
焙煎は従来のコーヒー生豆焙煎時の条件で行うことができる。菊芋の場合は、イヌリンを高温にさらしてもその効果は変化しないので、50〜300℃程度の焙煎としては比較的高温の領域で数時間焙煎することにより、風味を増した焙煎製品が得られる、特に100〜125℃の前後で3〜4時間焙煎するのが好ましい。
(発芽コーヒーの製造)
本発明において、発芽コーヒーは、pH7.5〜pH9.7の弱アルカリ性温水にコーヒー生豆を浸漬して吸水させ、このコーヒー生豆を50〜200℃の温度の湿潤雰囲気で
発芽処理することによって、培養されるのが好ましい。また、コーヒー生豆を発芽処理するときに、浸漬するアルカリ性温水の温度を15〜40℃とし、発芽処理する湿潤雰囲気の温度よりも低くすることが望ましい。さらに、コーヒー生豆を発芽処理するときに、アルカリ性温水を吸収したコーヒー生豆を湿潤雰囲気で4〜8時間発芽処理させることが望ましい。この発芽処理したコーヒー生豆は、常法に従い、熱処理、熱風乾燥、凍結乾燥もしくは冷蔵、冷凍などの処理をすることによって、保存に耐えうる状態とすることができるが、焙煎して発芽コーヒー飲料とする。得られたコーヒー豆に含有される成分を分析した結果を、図3に示す。図3において、白抜きの棒グラフは、従来の発芽処理によるコーヒー生豆に含有される成分を分析した結果であり、併記する模様入り棒グラフは、発芽処理したコーヒー生豆に含有される成分を分析した結果である。発芽コーヒー豆を原料にしてコーヒー飲料を得るには、発芽コーヒー豆を乾燥した後、所望の焙煎を施してから粉砕して熱湯で抽出して得ることができる。この焙煎において、コーヒー生豆に付着している薄皮(チャフ0)が発芽工程で除去されているため、焙煎を容易に行うことができる。なお、焙煎発芽コーヒー粉末はイミ―株式会社から市販されている。
(焙煎キクイモの製造)
菊芋には、イヌリンと呼ばれる多糖類が多く含まれており、このイヌリンは、デンプンと異なり、人間が持つ消化酵素では分解できず、酵素などの作用によってイヌリンが分解したフルクトースは難消化性であるので、糖尿病の人にも安心して提供できる甘味源である。したがって、食後の血糖値の上昇を抑制するコーヒー飲料組成物の添加物として利用可能である。しかしながら、調理が面倒であり、特有の臭いがあり、生または煮て食べても美味とは言い難く、さらに、生の状態では保存が難しい。そして、菊芋は、畑や山などの土壌の中から採取されるので、土壌菌をはじめとする様々な菌が付着している可能性が高く、入念に洗浄しただけでは除去できないし、耐熱性の菌が残存していれば焙煎しても死滅しない。また、土壌には菌以外にも種々の汚染要因が存在する可能性があり、洗浄しても菊芋の皮の間に微量の汚染物質が残る可能性を完全に除去することは難しい。他方、菊芋の場合、皮と中身の境界部分だけではなく、中身にも十分なイヌリンが含まれており、皮を剥くことにより貴重なイヌリンの量が減少することはほとんどない。逆に、菊芋の場合は、軽く皮を剥くことにより、皮と中身の境界部分の灰汁(あく)の強い部分を除くことができ、焙煎された食品の味をまろやかにするという効果をもたらす。そこで、本発明においては、土壌から採取した菊芋を、洗浄するだけでなく、少なくとも軽く皮を剥いた後に乾燥し、その後、焙煎するようにしている。イヌリンは、高温で焙煎してもその働きは損なわれ難く、また、焙煎することにより薫りが加わり、総ポリフェノールが増加することが見出され、さらに、コーヒーの焙煎体と混合してもコーヒーの嗜好性を害するものでないことを見出した。
焙煎菊芋は次のように製造される。工程1では、掘り出してきた生の菊芋を洗浄する。次に、工程2において、洗浄した菊芋の皮(表皮)を剥く。この段階で、表皮はできるだけ完全に剥ぐことが望ましい。表皮自体が有毒であるなどの問題があるわけではないので、表皮を少なくとも軽く剥いで、表皮の大半が剥がされていれば、乾燥後に表皮に付着して菌や汚染物質が残る可能性を大幅に低減でき、また、表皮に起因する灰汁も大幅に少なくできる。要すれば、弱アルカリ溶液で洗浄仕上げ、キチンキトサンオリゴ糖処理することにより、乾燥後の色変わりを防止することができる。次に、工程3において、皮が剥かれた菊芋を、必要に応じて、適当な大きさになるように、薄くスライスしたり、ダイス状にカット(分断)する。工程4において、天日や熱風により十分に乾燥させ、工程5において、乾燥した菊芋を、125℃程度の温度で、3〜4時間焙煎する。焙煎温度は、50〜300℃の範囲で選択でき、温度により焙煎時間を変化させることにより、適度な薫りと味が加わった食品を製造できる。要すれば、さらに、工程6において、乾燥後に焙煎された菊芋を粉砕して100メッシュ程度に粉末化とすることができる。乾燥菊芋粉末(100g)中に平均してイヌリン57.50%、フクトース2.50%、グルコース0.3
0%、食物繊維19.50%、タンパク質9.00%、脂肪1.00%、ミネラル7.20%、ポリフェノール3.40%、水分1.60%が含まれるという報告がされている。
(製造例)
キクイモ塊径を110℃から20℃おきに210℃まで15分間、30分間加熱し、焙煎による総ポリフェノールの変動を評価すると、加熱温度、加熱時間が長くなるにつれて総ポリフェノール含量が増加する傾向が見られる(石黒・横田:焙煎キクイモのポリフェノール)。未処理キクイモで総ポリフェノール5mg/gである場合、130℃30分間で7.5mg/g,170℃15分間10mg/g,170℃30分間15mg/g,190℃15分間20mg/g,190℃30分間25mg/g,210℃15分間18mg/g,210℃30分間7mg/gと変動し、焙煎中に総ポリフェノール含量は190℃、30分間で総ポリフェノール量は最大を示した。これは、キクイモ壊茎に含まれるクロロゲン酸類は焙煎により消失するが、他の成分が増加することで総ポリフェノール含量が増加することを示している。
(高α‐グルコシダーゼ阻害活性及び高インクレチン活性を有するコーヒー組成物の調整)
1) まず、コーヒー組成物中のカフェイン含量を凡そ50%低減させる。
2) 理想的といわれるポリフェノールの1日摂取量は1,000〜
1、500mgであるから、コーヒー1杯中のポリフェノール含量を凡そ250〜
300mgを維持する。
3) コーヒー1杯中のナイアシン含量を凡そ3〜4mgとする。
4) コーヒー1杯中のイヌリン含量を1〜3gとし、菊芋からの抽出量50%と換算する。
理想的にはコーヒー摂取量は毎食後に1杯、1日に2〜3杯の飲料を基準にすべきである。以上により、1杯のコーヒー中のナイアシン、ポリフェノール、イヌリン含有量による相乗効果により、高α‐グルコシダーゼ阻害活性だけでなく、高インクレチン活性を得る機能性コーヒー組成物が提供される。
(焙煎発芽コーヒーと菊芋入り焙煎発芽コーヒーとの血糖値抑制効果の比較)
焙煎発芽コーヒー(イミ―コーヒー社製)8グラム入りのコーヒードリップと焙煎発芽コーヒー6グラム(イミ―コーヒー社製)に焙煎キクイモ粉末(長野産)2グラムを混合した機能性コーヒードリップとから得られるコーヒー(150ml)とともに市販アンパン1個及び市販ミニアンパン2個を15分以内に10人の男女に摂取させ、その食後血糖値の経時変化を120分間にわたり、観測して、その平均値を図示した。この結果を図4に示す。この結果より、焙煎コーヒー及び焙煎キクイモから高α‐グルコシダーゼ阻害活性が得られるだけでなく、焙煎キクイモのイヌリンから高インクレチン活性を得られ、食後血糖値の上昇が焙煎菊芋添加により有意に抑制されているのが観測された。市販の血糖値抑制コーヒーとしてインスタントコーヒー2グラムに難消化性デキストリン6グラムを配合した機能性コーヒーと比べて優位に優れる血糖値抑制効果が得られるだけでなく、味覚にも優れることが確認できる。

Claims (4)

  1. クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末と、焙煎キクイモ粉末とを1対1から4対1の重量比率でドリップパックに 封入してなり、クロロゲン酸を含むポリフェノール成分と水溶性食物繊維イヌリン成分とを同時に温水又は熱水中に抽出するコーヒー組成物であって、前記クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末の50〜100%が焙煎発芽 コーヒー粉末であり、ナイアシンを、前記ポリフェノール及びイヌリンとの同時抽出成分とすることを特徴とする高機能性コーヒー組成物。
  2. クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末50〜100重量部に対し、植物焙煎成分粉末である焙煎キクイモ粉末10〜50重量部と、イヌリンからなる水溶性食物繊維5〜25重量部とを含むコーヒー組成物であって、前記クロロゲン酸をポリフェノールとして含む焙煎コーヒー粉末の50〜100%が焙煎発芽 コーヒー粉末であり、ナイアシンを、前記ポリフェノール及びイヌリンとの同時抽出成分とすることを特徴とする高機能性コーヒー組成物。
  3. コーヒー組成物中に、焙煎キクイモから抽出されるイヌリンの他に、天然イヌリン及び/又は合成イヌリンを添加する請求項1又は2記載の高機能性コーヒー組成物。
  4. コーヒー生豆が50〜100%の発芽 コーヒー豆を含み、コーヒー生豆50〜100重量部の焙煎中に、キクイモ粉末を乾燥粉末として10〜50重量部を配合し、ダブル又はトレファクト 焙煎後、粉砕することを特徴とする機能性コーヒー組成物の製造方法。
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