JP6979575B2 - 繊維集合物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物及びその製造方法に関する。詳細には、金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含み、消臭性及び抗菌性を有する繊維集合物及びその製造方法に関する。
生理用ナプキンや紙オムツ等の吸収性物品に用いる繊維素材は、消臭性や抗菌性を有することが求められている。例えば、特許文献1には、金属フタロシアニンを紙質基材の少なくとも一部に担持させた消臭性機能を備えた紙を生理用ナプキンや紙オムツ等に使用することが提案されている。また、特許文献2には、金属フタロシアニン・カルボン酸を担持させた第1の短繊維と、銅イオン等の金属イオンを担持させた第2の短繊維を含む消臭性湿式不織布をオムツ、ナプキン等の衛生材料に用いることが提案されている。特許文献3には、金属フタロシアニン物質等の臭い/抗菌物質の大部分を不織布等のキャリア手段に物理結合させて臭い/抗菌性層を設けた吸収製品が提案されている。
特開昭62−33900号公報 特公平5−51718号公報 特表2003−516184号公報
しかし、特許文献1に記載の消臭性機能を備えた紙や特許文献2に記載の消臭性湿式不織布を用いた生理用ナプキンや紙オムツ等の衛生材料、及び特許文献3の臭い/抗菌性層を設けた吸収製品において、金属フタロシアニン物質が尿等の排泄物によって流出してしまう恐れがある。
本発明は、前記の従来の問題を解決するため、消臭性及び抗菌性が良好であり、金属フタロシアニン誘導体が尿等の排泄物によって流出しない繊維集合物及びその製造方法を提供する。
本発明は、金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物であって、前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体であり、前記高分子化合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上であり、前記高分子化合物は、繊維集合物を構成する繊維の表面に化学結合によって付着しており、前記金属フタロシアニン誘導体と前記高分子化合物は、イオン結合していることを特徴とする繊維集合物に関する。
Figure 0006979575
但し、化学式(I)中、MはFe及びCoからなる群から選ばれる一種以上の金属であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
本発明は、また、金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物の製造方法であって、前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体であり、前記高分子化合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上であり、繊維を含むスラリーに、前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を添加して混合した後、該スラリーを抄紙してシートにし、前記シートを乾燥することで、前記高分子化合物が前記繊維の表面に化学結合によって付着しており、前記金属フタロシアニン誘導体と前記高分子化合物がイオン結合している繊維集合物を得ることを特徴とする繊維集合物の製造方法に関する。
Figure 0006979575
但し、化学式(I)中、MはFe及びCoからなる群から選ばれる一種以上の金属であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
本発明は、また、金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物の製造方法であって、前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体であり、前記高分子化合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上であり、繊維を含むスラリーを抄紙してシートにし、前記シートの両面に前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を塗布し、前記機能剤組成物が塗布されたシートを乾燥することで、前記高分子化合物が前記繊維の表面に化学結合によって付着しており、前記金属フタロシアニン誘導体と前記高分子化合物がイオン結合している繊維集合物を得ることを特徴とする繊維集合物の製造方法に関する。
Figure 0006979575
但し、化学式(I)中、MはFe及びCoからなる群から選ばれる一種以上の金属であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
本発明は、また、金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物の製造方法であって、前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体であり、前記高分子化合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上であり、繊維を含む繊維集合物に、前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を塗布し、前記機能剤組成物が塗布された繊維集合物を乾燥することで、前記高分子化合物が前記繊維の表面に化学結合によって付着しており、前記金属フタロシアニン誘導体と前記高分子化合物がイオン結合している繊維集合物を得ることを特徴とする繊維集合物の製造方法に関する。
Figure 0006979575
但し、化学式(I)中、MはFe及びCoからなる群から選ばれる一種以上の金属であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
本発明の一実施形態において、前記繊維集合物は、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量%とした場合、セルロース系繊維を30質量%以上含むことが好ましい。本発明の一実施形態において、前記高分子化合物は、セルロース系繊維の表面にイオン結合によって固着していることが好ましい。本発明の一実施形態において、前記高分子化合物は、カチオン化澱粉であることが好ましい。本発明の一実施形態において、前記高分子化合物は、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量部とした場合、0.1〜10質量部付着されていることが好ましい。本発明の一実施形態において、前記金属フタロシアニン誘導体は、高分子化合物100質量部に対して0.1〜10質量部結合していることが好ましい。前記繊維集合物は、湿式不織布であることが好ましい。
本発明は、特定の金属と官能基を有する金属フタロシアニン誘導体とカチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上の高分子化合物を併用し、繊維集合物を構成する繊維の表面に前記高分子化合物を化学結合によって付着させ、前記高分子化合物と前記金属フタロシアニン誘導体をイオン結合させることで、消臭性及び抗菌性が良好であり、金属フタロシアニン誘導体が尿等の排泄物によって流出しない繊維集合物を提供することができる。また、本発明の繊維集合物の製造方法によれば、繊維集合物を構成する繊維の表面に前記高分子化合物が化学結合によって付着され、前記高分子化合物と前記金属フタロシアニン誘導体がイオン結合されている繊維集合物を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態において、セルロース系繊維表面にカチオン性高分子化合物が化学結合(イオン結合)によって付着され、且つカチオン性高分子化合物が金属フタロシアニン誘導体とイオン結合している状態を示す模式図である。
本発明者らは、繊維集合物に消臭性及び抗菌性を付与しつつ、金属フタロシアニン誘導体が尿等の排泄物によって流出しないようにすることについて検討を重ねた。その結果、特定の金属と官能基を有する金属フタロシアニン誘導体とカチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上の高分子化合物を併用し、繊維集合物を構成する繊維の表面に前記高分子化合物を化学結合によって付着させ、前記高分子化合物と前記金属フタロシアニン誘導体をイオン結合させることで、消臭性及び抗菌性が良好であり、金属フタロシアニン誘導体が尿等の排泄物によって流出しないことを見出し、本発明に至った。本発明の一の好ましい実施態様において、繊維集合物における前記金属フタロシアニン誘導体と前記高分子化合物の含有量を調整することによって、ダニ等のアレルゲンを除去する抗アレルゲン機能を付与することもできる。
前記繊維集合物は、特に限定されず、編物、織物、不織布等のいずれの繊維集合物であってもよいが、通気性、濾過性及びコストの観点から、不織布であることが好ましい。前記不織布は、特に限定されず、湿式不織布や乾式不織布のいずれであってもよいが、ムラが少なく、異なる種類の繊維を混抄しやすい観点から、湿式不織布であることが好ましい。本発明において、湿式不織布は、繊維素材と水を含むスラリーをシート化して得られるものを意味し、紙を含む。
前記繊維集合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上の高分子化合物と化学結合しやすい観点から、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量%とした場合、セルロース系繊維を30質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことがさらに好ましい。繊維集合物がセルロース系繊維を含むことによって、例えば、図1に示すように、前記高分子化合物のカチオンサイトがセルロース系繊維の表面に化学結合によって付着している。具体的には、前記高分子化合物のカチオンサイトが、セルロース系繊維の水酸基とイオン結合してセルロース系繊維の表面に固着している。そして、セルロース系繊維の表面にイオン結合によって固着した前記高分子化合物に、前記金属フタロシアニン誘導体がイオン結合する。具体的には、前記金属フタロシアニン誘導体のカルボキシル基やスルホン酸基が前記高分子化合物のカチオンサイトにイオン結合する。
前記セルロース系繊維は、特に限定されず、天然セルロース繊維、再生セルロース繊維及び半合成セルロース繊維のいずれであってもよい。前記天然セルロース繊維としては、例えば、木材パルプや麻、ケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材パルプ等を用いることができる。再生セルロース繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、ポリジック、リヨセル等を用いることができる。半合成セルロース繊維としては、例えば、アセテート繊維を用いることができる。
前記繊維集合物は、セルロース系繊維に加えて、他の繊維を含んでもよい。他の繊維としては、特に限定されないが、繊維集合物を構成する繊維を結合しやすい観点から、ビニロンや熱接着性繊維を用いることが好ましい。前記繊維集合物は、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量%とした場合、他の繊維を30質量%以下含むことが好ましく、10質量%以下含むことがさらに好ましい。
前記繊維集合物は、前記高分子化合物の固着性及び繊維の結合性を両立させる観点から、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量%とした場合、セルロース系繊維を
70〜99質量%含み、他の繊維を1〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは、セルロース系繊維を90〜99質量%含み、他の繊維を1〜10質量%含む。
前記繊維集合物の目付は、特に限定されず、用途や目的によって適宜決めることができる。オムツ等の吸収性物品において、高分子吸収体等の吸収体のラッピング材として用いる場合は、例えば、目付を10〜30g/m2にしてもよく、15〜25g/m2にしてもよい。
前記高分子化合物としては、カチオン性高分子化合物及び/又は両性高分子化合物を用いる。後述する抄紙工程の生産性を高める観点から、カチオン性高分子化合物及び/又は両性高分子化合物は、例えば、通常の製紙用の紙力増強剤を用いることが好ましい。カチオン性高分子化合物としては、特に限定されないが、例えば、カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド等を用いることができる。両性高分子化合物としては、両性澱粉、両性ポリアクリルアミド等を用いることができる。これらの高分子化合物は、カチオンサイドを有することから、セルロースの水酸基とイオン結合することにより、セルロース系繊維の表面に固着することができる。セルロース系繊維の表面にイオン結合によって固着しやすく、かつ、前記金属フタロシアニン誘導体のカルボキシル基及び/又はスルホン酸基とイオン結合しやすい観点から、カチオン性高分子化合物であることが好ましく、カチオン化澱粉であることがより好ましい。また、カチオン化澱粉は、セルロースと直接水素結合して化学結合をより強固にする。また、カチオン化澱粉等のカチオン性高分子化合物の場合、セルロース及び金属フタロシアニン誘導体と結合した後に残ったカチオンサイドがプラスチャージされているので、金属フタロシアニン誘導体の抗菌及び抗アレルゲンの機能を補助することができる。
前記カチオン化澱粉等のカチオン性高分子化合物において、カチオン基は特に限定されず、一般的なカチオン基を用いることができる。例えば、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
前記カチオン化澱粉等の高分子化合物は、繊維の表面に化学結合によって付着しやすく、前記金属フタロシアニン誘導体とイオン結合しやすい観点から、繊維集合物を構成する繊維の合計質量を100質量部とした場合、0.1〜10質量部付着されていることが好ましく、0.3〜7質量部付着されていることが好ましい。さらに好ましくは、繊維集合物を構成するセルロース系繊維を100質量部とした場合、0.5〜5質量部付着されており、0.5〜3質量部付着されていることがさらにより好ましい。
前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体である。
Figure 0006979575
前記化学式(I)中、MはFe及び/又はCoであり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
抗菌性が高いという観点から、前記R1、R2、R3及びR4はスルホン酸基であることが好ましい。前記R1、R2、R3及びR4がスルホン酸基であると、金属フタロシアニン誘導体が単分子で存在しやすく、活性反応種が生成しやすいことにより抗菌性が高くなると思われる。
また、抗菌性が高いという観点から、上記中心金属Mは、Feであることが好ましい。上記中心金属MがFeであると、抗菌性を発現するための活性反応種の生成が増加し、抗菌性が高くなると思われる。
前記R1、R2、R3及びR4がスルホン酸基である場合、官能基の数、すなわちn1、n2、n3及びn4の合計が1又は2であることが好ましい。すなわち、1分子の金属フタロシアニン誘導体において、スルホン酸基の合計の数は1又は2であることが好ましい。スルホン酸基は親水基であり、分子が大きいので、官能基が少ない方が、細菌等が吸着しやすく、抗菌性能がより向上する。
前記R1、R2、R3及びR4がカルボキシル基である場合は、nは4〜8であることが好ましい。より好ましくは、nが5〜8である。カルボキシル基が電子吸引性基であるため、nが4〜8であると、金属フタロシアニン誘導体間の電子密度が大きくなり、細菌等を吸着しやすく、抗菌性能が高くなる。
前記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体としては、例えば、金属フタロシアニンモノスルホン酸、金属フタロシアニンジスルホン酸、金属フタロシアニンテトラスルホン酸、金属フタロシアニンオクタスルホン酸、金属フタロシアニンモノカルボン酸、金属フタロシアニンジカルボン酸、金属フタロシアニンテトラカルボン酸、金属フタロシアニンオクタカルボン酸等が挙げられる。
前記化学式(I)中、MがCoであり、R1及びR3がスルホン酸基であり、nが2である場合、化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体は、例えば、下記化学式(II)で示すコバルトフタロシアニンジスルホン酸となる。
Figure 0006979575
前記化学式(I)中、MがFeであり、R1がスルホン酸基であり、n1が1である場合、化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体は、例えば、下記化学式(III)で示す鉄フタロシアニンモノスルホン酸となる。
Figure 0006979575
前記化学式(I)中、MがFeであり、R1、R2、R3及びR4の全てがカルボキシル基であり、n1、n2、n3及びn4がそれぞれ1である場合、化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体は、例えば、下記化学式(IV)で示す鉄フタロシアニンテトラカルボン酸となる。
Figure 0006979575
前記化学式(I)中、MがFeであり、R1、R2、R3及びR4の全てがカルボキシル基であり、n1、n2、n3及びn4がそれぞれ2である場合、化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体は、例えば、下記化学式(V)で示す鉄フタロシアニンオクタカルボン酸となる。
Figure 0006979575
前記金属フタロシアニン誘導体は、市販のものであってもよく、公知の方法により製造したものであってもよい。例えば、鉄フタロシアニンテトラカルボン酸は、ニトロベンゼンにトリメリット酸無水物と、尿素と、モリブデン酸アンモニウムと、塩化第二鉄無水物とを加えて撹拌し、加熱還流させて沈殿物を得、得られた沈殿物にアルカリを加えて加水分解し、次いで酸を加えて酸性にすることで得られる。コバルトフタロシアニンオクタカルボン酸は、トリメリット酸無水物に替えてピロメリット酸無水物、塩化第二鉄無水物に替えて塩化第二コバルトを用いる以外は、上述した鉄フタロシアニンテトラカルボン酸の製造方法と同様の方法で製造可能である。コバルトフタロシアニンモノスルホン酸は、無官能のコバルトフタロシアニンにクロルスルホン酸を反応させてスルホン化を行うことで得ることができる。
前記金属フタロシアニン誘導体は、高分子化合物100質量部に対して0.1〜10質量部結合していることが好ましく、0.3〜5質量部結合していることがより好ましく、0.5〜3質量部がさらにより好ましい。抗菌性、消臭性及び抗アレルゲン性が高まるとともに、オムツ等の吸収性物品に用いても排泄物によって流出しない。
前記繊維集合物は、上述した金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物に加えて、他の機能剤を含んでもよい。他の機能剤としては、例えば、消臭性を補助する金属塩、有機酸及びその塩等が挙げられる。消臭性を補助する金属塩としては、例えば、硫酸亜鉛、硝酸銀等が挙げられる。他の機能剤は、繊維集合物を構成する繊維の合計質量を100質量部とした場合、0.1〜5質量部付着されていることが好ましく、1〜3質量部付着されていることが好ましい。
前記繊維集合物は、繊維集合物を構成する繊維の表面に化学結合で付着している前記高分子化合物及び該高分子化合物にイオン結合している前記金属フタロシアン誘導体によって、硫化水素、メチルメルカプタン等の悪臭物質を酸化分解し、優れた消臭性を有する。また、前記繊維集合物は、前記高分子化合物がカチオン性高分子化合物である場合、繊維と結合せずに残ったカチオンサイト(残基)が、アンモニアに対しても消臭性を有する。
前記繊維集合物は、繊維集合物を構成する繊維の表面に化学結合で付着している前記高分子化合物及び該高分子化合物にイオン結合している前記金属フタロシアン誘導体によって、黄色ぶどう球菌及び大腸菌等の細菌に対して優れた抗菌性を有する。前記繊維集合物において、前記高分子化合物がカチオン性高分子化合物である場合、繊維と結合せずに残ったカチオンサイト(残基)が、大腸菌に対する抗菌性がより高まる。
前記繊維集合物は、ダニ等のアレルゲンに対して抗アレルゲン性を有することが好ましい。前記繊維集合物を構成する繊維の表面に化学結合で付着している前記高分子化合物及び該高分子化合物にイオン結合している前記金属フタロシアン誘導体の量を増加することで、ダニ等のアレルゲンに対する抗アレルゲン性が高まる。
本発明の繊維集合物は、例えば、下記のような製造方法で作製することができる。まず、繊維を含むスラリーに、前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を添加して混合した後、該スラリーを抄紙してシートにする。次に、前記シートを乾燥することで湿式不織布(繊維集合物)を得る。前記シートの乾燥時に、前記高分子化合物が繊維の表面に化学結合によって付着し、前記金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物がイオン結合することになる。このように、抄紙用のスラリーに前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を添加する方法は内添法とも称される。繊維としては、上述したセルロース系繊維や他の繊維等を用いればよい。シートの乾燥は、例えば、熱板によるプレス、回転式の乾燥機(シリンダードライヤー(ヤンキードライヤーとも称す。))で行うことができる。
本発明の繊維集合物は、また、下記のような製造方法で作製することができる。まず、繊維を含むスラリーを抄紙してシートにする。次に、前記シートの両面に金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む機能剤組成物を塗布する。次に、前記機能剤組成物が塗布されたシートを乾燥することで湿式不織布(繊維集合物)を得る。前記機能剤組成物が塗布されたシートの乾燥時に、前記高分子化合物が繊維の表面に化学結合によって付着し、前記金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物がイオン結合することになる。このように、抄紙後のシートに前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を添加(塗布)する方法は外添法とも称される。繊維としては、上述したセルロース系繊維や他の繊維等を用いればよい。シートの乾燥は、例えば、熱板によるプレス、回転式の乾燥機(シリンダードライヤー)で行うことができる。
本発明の繊維集合物は、また、例えば、下記のような製造方法で作製することができる。まず、繊維を含む繊維集合物(乾式不織布)に、金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む機能剤組成物を塗布する。次に、前記機能剤組成物が塗布されたシートを乾燥することで本発明の一実施形態の繊維集合物(乾式不織布)を得る。前記機能剤組成物が塗布された繊維集合物を乾燥することで、前記高分子化合物が繊維の表面に化学結合によって付着し、前記金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物がイオン結合することになる。以下において、乾式法と記す。繊維集合物の乾燥は、例えば、熱風乾燥機で行うことができる。
前記機能剤組成物は、前記高分子化合物、前記金属フタロシアニン誘導体及び水を含む。前記機能剤組成物において、機能剤組成物の全体質量を100質量%とした場合、前記高分子化合物の含有量は1〜50質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。また、前記金属フタロシアニン誘導体は、前記高分子化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましい。
前記繊維のスラリーは、繊維と水を含む。前記繊維のスラリーは、繊維のスラリーの全体質量を100質量%とした場合、セルロース系繊維0.1〜1.0質量%含み、ビニロン繊維及び/又は熱接着性繊維を0.003〜0.01質量%含むことが好ましい。前記繊維のスラリーは、また、分散剤を含んでもよい。分散剤としては、例えば、リン酸エステルカリウム塩等を用いることができる。
前記内添法において、繊維のスラリーにおけるセルロース系繊維100質量部に対して、前記高分子化合物が0.1〜10質量部になるように、繊維のスラリーに機能剤組成物を添加することが好ましい。より好ましくは、繊維のスラリーにおけるセルロース系繊維100質量部に対して、前記高分子化合物が0.5〜5質量部になるように、繊維のスラリーに機能剤組成物を添加する。
前記外添法において、セルロース系繊維100質量部に対して、前記高分子化合物が0.1〜10質量部になるように、抄紙後のシートに機能剤組成物を添塗布することが好ましい。より好ましくは、繊維のスラリーにおけるセルロース系繊維100質量部に対して、前記高分子化合物が0.5〜5質量部になるように、抄紙後のシートに機能剤組成物を塗布する。
前記乾式法において、乾式不織布におけるセルロース系繊維100質量部に対して、前記高分子化合物が0.1〜10質量部になるように、乾式不織布に機能剤組成物を添塗布することが好ましい。より好ましくは、繊維のスラリーにおけるセルロース系繊維100質量部に対して、前記高分子化合物が0.5〜5質量部になるように、乾式不織布に機能剤組成物を塗布する。
前記機能剤組成物は、また、目的や用途に応じて、前記高分子化合物及び前記金属フタロシアニン誘導体に加えて、他の機能剤を含んでもよい。他の機能剤としては、例えば、消臭性を補助する金属塩、有機酸及びその塩等が挙げられる。消臭性を補助する金属塩としては、例えば、硫酸亜鉛、硝酸銀等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、前記金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物の使用量が同様の場合、得られた繊維集合物の抗菌性及び消臭性を高める観点から、外添法によって繊維集合物を作製することが好ましい。外添法によって繊維集合物を作製した場合、繊維集合物の表面に前記金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物が多量に存在しやすく、抗菌性及び消臭性を発揮しやすいと推測される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<機能剤組成物の調製>
機能剤組成物A:カチオン化澱粉(日澱化学社製、品番「エキセルDH」、カチオン基:第4級アンモニウム塩)10質量部、コバルトフタロシアニンモノスルホン酸塩及びコバルトフタロシアニンジスルホン酸塩を合計で0.1質量部、水100質量部を混合して機能剤組成物Aを得た。
機能剤組成物B:両性ポリアクリルアミド(荒川化学社製、品番「ポリストロン」)10質量部、コバルトフタロシアニンモノスルホン酸塩及びコバルトフタロシアニンジスルホン酸塩を合計で0.1質量部、及び水100質量部を混合して機能剤組成物Bを得た。
機能剤組成物C:カチオン化澱粉(日澱化学社製、品番「エキセルDH」、カチオン基:第4級アンモニウム塩)10質量部、鉄フタロシアニンモノスルホン酸塩及び鉄フタロシアニンジスルホン酸塩を合計で0.1質量部、水100質量部を混合して機能剤組成物Cを得た。
<繊維のスラリーの調製>
木材パルプ1.52質量部、ビニロン((株)クラレ社製、品名「VPB107−1×3」、繊維長3mm、繊度1.1dtex)0.05質量部、分散剤(丸菱油化工業(株)社製、品名「DPM−20」)10質量部及び水1000質量部を混合撹拌して繊維のスラリーを得た。
(実施例1)
木材パルプとビニロンの合計質量:カチオン化澱粉の質量が100:1となるように、繊維のスラリーに機能剤組成物Aを添加した。得られたスラリーを抄紙機(熊谷理機工業(株)社製、型番「250mm角形シートマシーン」)にて抄紙してシートにし、その後、回転型乾燥機(熊谷理機工業(株)社製)を用い、該シートを温度120℃で片面ずつ両面を乾燥させ、湿式不織布(目付25g/m2)を得た。
(実施例2)
木材パルプとビニロンの合計質量:両性ポリアクリルアミドの質量が100:1となるように、繊維のスラリーに機能剤組成物Bを添加した。得られたスラリーを抄紙機(熊谷理機工業(株)社製、型番「250mm角形シートマシーン」)にて抄紙してシートにし、回転型乾燥機(熊谷理機工業(株)社製)を用い、該シートを温度120℃で片面ずつ両面を乾燥させ、湿式不織布(目付25g/m2)を得た。
(実施例3)
繊維のスラリー抄紙機(熊谷理機工業(株)社製、型番「250mm角形シートマシーン」)にて抄紙してシートにした。得られたシートの表面に機能剤組成物Aを、木材パルプとビニロンの合計質量:カチオン化澱粉の質量が100:1となるようにスプレーした。その後、回転型乾燥機(熊谷理機工業(株)社製)を用い、機能剤組成物Aが塗布されたシートを温度120℃で片面ずつ両面を乾燥させ、湿式不織布(目付25g/m2)を得た。
(実施例4)
繊維のスラリー抄紙機(熊谷理機工業(株)社製、型番「250mm角形シートマシーン」)にて抄紙してシートにした。得られたシートの表面に機能剤組成物Bを、木材パルプとビニロンの合計質量:両性ポリアクリルアミドの質量が100:1となるようにスプレーした。その後、回転型乾燥機(熊谷理機工業(株)社製)を用い、機能剤組成物Bが塗布されたシートを、温度120℃で片面ずつ両面を乾燥させ、湿式不織布(目付25g/m2)を得た。
(実施例5)
繊維のスラリー抄紙機(熊谷理機工業(株)社製、型番「250mm角形シートマシーン」)にて抄紙してシートにした。得られたシートの表面に機能剤組成物Aを、木材パルプとビニロンの合計質量:カチオン化澱粉の質量が100:2となるようにスプレー塗布した。その後、回転型乾燥機(熊谷理機工業(株)社製)を用い、機能剤組成物Aが塗布されたシートを、温度120℃で片面ずつ両面を乾燥させ、湿式不織布(目付25g/m2)を得た。
(実施例6)
繊維のスラリー抄紙機(熊谷理機工業(株)社製、型番「250mm角形シートマシーン」)にて抄紙してシートにした。得られたシートの表面に機能剤組成物Aを、木材パルプとビニロンの合計質量:カチオン化澱粉の質量が100:5となるようにスプレー塗布した。その後、回転型乾燥機(熊谷理機工業(株)社製)を用い、機能剤組成物Aが塗布されたシートを、温度120℃で片面ずつ両面を乾燥させ、湿式不織布(目付25g/m2)を得た。
(実施例7)
機能剤組成物Aを機能剤組成物Cに代えた以外は、実施例3と同様の方法で、湿式不織布(目付25g/m2)を得た。
(比較例1)
繊維のスラリー抄紙機(熊谷理機工業(株)社製、型番「250mm角形シートマシーン」)にて抄紙してシートにした。その後、回転型乾燥機(熊谷理機工業(株)社製)を用い、得られたシートを、温度120℃で片面ずつ両面を乾燥させ、湿式不織布(目付25g/m2)を得た。
実施例及び比較例の湿式不織布の消臭性、抗菌性及び抗アレルゲン性を下記のように測定評価し、その結果を下記表1〜表6に示した。
(消臭性の評価)
消臭性能の評価は、社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)で規定している機器分析(検知管法)に準じ、次のように評価した。
(1)硫化水素及びメチルメルカプタン
試料(10cm×10cm)を5Lのテドラーバックに入れて密封した。次に、所定濃度の臭気成分ガス3Lをテドラーバックに注入し、経時毎にガス検知感でガス濃度を測定した。
(2)アンモニア
試料(10cm×10cm)を10Lのテドラーバックに入れて密封した。次に、所定濃度の臭気成分ガス5Lをテドラーバックに注入し、経時毎にガス検知感でガス濃度を測定した。
(抗菌性の評価)
JIS L1902:2015に規定の菌液吸収法に基づいて抗菌性能を測定した。
静菌活性値[S]=(Mb−Ma)−(Mc−Mo)[S]≧2.0
Ma:標準布の試験菌液接種直後の常用対数値の平均値
Mb:標準布の18時間培養後の常用対数値の平均値
Mo:試験試料の接種直後の常用対数値の平均値
Mc:試験試料の18時間培養後の常用対数値の平均値
(抗アレルゲン性能の評価)
試料(2cm×2cm)に精製ダニ抗原Der f II(株式会社シバヤギ製、)を水で希釈して濃度1μg/mL液を100μL滴下し、12時間後にダニ検査用マイティチェッカー(登録商標、住化エンバイロメンタルサイエンス社製)にて、下記の判定基準で、ダニアレルゲンの検出判定を行った。
判定 判定の目安 ダニアレルゲンレベル
++ ハッキリしたライン >35μg(>350匹)/m2
+ ラインであることが 10μg (100匹)/m2
確認できる
+− うっすらと発色して 5μg (50匹)/m2
いるのがわかる
− 全く発色していない <1μg (<10匹)/m2
Figure 0006979575
Figure 0006979575
Figure 0006979575
Figure 0006979575
Figure 0006979575
Figure 0006979575
表1及び表2の結果から分かるように、実施例の繊維集合物(湿式不織布)は、硫化水素、メチルメルカプタンに対する消臭性が高かった。また、表3の結果から分かるように、高分子化合物としてカチオン澱粉を用いた実施例の繊維集合物(湿式不織布)は、アンモニアに対しても消臭性を有する。
表4の結果から分かるように、実施例の繊維集合物(湿式不織布)は、黄色ぶどう球菌に対して優れた抗菌性を有する。また、表5の結果から分かるように、高分子化合物としてカチオン澱粉を用いた実施例の繊維集合物(湿式不織布)は、大腸菌に対しても優れた抗菌性を有する。
表6の結果から分かるように、高分子化合物及び金属フタロシアニン誘導体の付着量が大きい実施例の繊維集合物(湿式不織布)は、ダニ抗原に対して高い抗アレルゲン性を有する。
実施例1、実施例2及び実施例7の繊維集合物(湿式不織布)も、消臭性及び抗菌性を有するものであった。
実施例の繊維集合物において、金属フタロシアニン誘導体の流出性を下記のように測定評価した。
(金属フタロシアニン誘導体の流出性)
実施例6で作製したサンプル(青色に染まった紙)を用い、オーストラリアのレンチングAGにより製造されるリスター型透過装置を使用して、0.9%生理食塩水5mLlを5回透過させ、その後の色のにじみを目視で確認した。色のにじみは全くなく、セルロース繊維と高分子化合物および金属フタロシアニン誘導体が強固に結合していることが確認できた。
本発明の繊維集合物は、高い消臭効果を発揮するので、例えば、吸収性物品の吸収体、吸収体のラッピング材、表面シート、セカンドシート(拡散性シート)、シート状化粧料、フィルター、包装紙、ワイパー等に用いることができる。

Claims (11)

  1. 金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物であって、
    前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体であり、
    前記高分子化合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上であり、
    前記カチオン性高分子化合物は、カチオン化澱粉であり、
    前記高分子化合物は、繊維集合物を構成する繊維の表面に化学結合によって付着しており、前記金属フタロシアニン誘導体と前記高分子化合物は、イオン結合しており、
    前記高分子化合物は、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量部とした場合、〜10質量部付着されていることを特徴とする繊維集合物。
    Figure 0006979575
    但し、化学式(I)中、MはFe及びCoからなる群から選ばれる一種以上の金属であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
  2. 前記繊維集合物は、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量%とした場合、セルロース系繊維を30質量%以上含む請求項1に記載の繊維集合物。
  3. 前記高分子化合物は、セルロース系繊維の表面にイオン結合によって固着している請求項2に記載の繊維集合物。
  4. 前記高分子化合物は、カチオン化澱粉である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維集合物。
  5. 前記高分子化合物は、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量部とした場合、〜7質量部付着されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維集合物。
  6. 前記金属フタロシアニン誘導体は、高分子化合物100質量部に対して0.1〜10質量部結合している請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維集合物。
  7. 前記繊維集合物は、湿式不織布である請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維集合物。
  8. 金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物の製造方法であって、
    前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体であり、
    前記高分子化合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上であり、
    前記カチオン性高分子化合物は、カチオン化澱粉であり、
    繊維を含むスラリーに、前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を添加して混合した後、該スラリーを抄紙してシートにし、
    前記シートを乾燥することで、前記高分子化合物が前記繊維の表面に化学結合によって付着し、前記金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物がイオン結合している繊維集合物を得ることを特徴とする繊維集合物の製造方法。
    Figure 0006979575
    但し、化学式(I)中、MはFe及びCoからなる群から選ばれる一種以上の金属であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
  9. 金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物の製造方法であって、
    前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体であり、
    前記高分子化合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上であり、
    繊維を含むスラリーを抄紙してシートにし、
    前記シートの両面に前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を塗布し、
    前記機能剤組成物が塗布されたシートを乾燥することで、前記高分子化合物が前記繊維の表面に化学結合によって付着し、前記金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物がイオン結合している繊維集合物を得ることを特徴とする繊維集合物の製造方法。
    Figure 0006979575
    但し、化学式(I)中、MはFe及びCoからなる群から選ばれる一種以上の金属であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
  10. 金属フタロシアニン誘導体及び高分子化合物を含む繊維集合物の製造方法であって、
    前記金属フタロシアニン誘導体は、下記化学式(I)で示される金属フタロシアニン誘導体であり、
    前記高分子化合物は、カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上であり、
    繊維を含む繊維集合物に、前記金属フタロシアニン誘導体及び前記高分子化合物を含む機能剤組成物を塗布し、
    前記機能剤組成物が塗布された繊維集合物を乾燥することで、前記高分子化合物が前記繊維の表面に化学結合によって付着し、前記金属フタロシアニン誘導体と高分子化合物がイオン結合している繊維集合物を得ることを特徴とする繊維集合物の製造方法。
    Figure 0006979575
    但し、化学式(I)中、MはFe及びCoからなる群から選ばれる一種以上の金属であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれカルボキシル基又はスルホン酸基であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なってもよく、n1、n2、n3及びn4はそれぞれ0〜4の整数であり且つ1≦n1+n2+n3+n4≦8を満たす。
  11. 前記繊維集合物は、繊維集合物を構成する繊維の全体質量を100質量%とした場合、セルロース系繊維を30質量%以上含み、前記高分子化合物は、セルロース系繊維の表面にイオン結合によって固着している請求項8〜10のいずれか1項に記載の繊維集合物の製造方法。
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