JP3784595B2 - 抗菌処理方法並びに抗菌性濾材 - Google Patents

抗菌処理方法並びに抗菌性濾材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気浄化に用いられる濾材に対して抗菌性を付与するため、比較的細い繊維で構成された濾材や、この濾材が枠材に組み込まれたフィルターユニットに対する抗菌処理方法と、比較的細い繊維を含んで構成され、かつ優れた抗菌性と濾過性能とを実現し得る濾材に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気浄化を目的とする濾材はフィルターユニットとして様々な空調機器に組み込まれ、塵埃などの捕集に利用されている。濾材は、その要求特性に応じて、異なる繊維径の繊維が単独で若しくは複数を組み合わせて用いられるが、捕集効率を高くするためには繊維間距離を小さく採る目的でメルトブロー繊維や分割繊維に代表される5μm以下程度の繊維径の小さいもの(以下、極細繊維と称する)が利用され、塵埃の保持量を多く採るためには上記繊維に較べて太い繊維を用いることで大きな繊維間距離を確保する手法が用いられている。その一例として、極細繊維で構成されたメルトブロー不織布と、20μm程度以上の短繊維不織布とを積層構成した濾材、或いは本出願人が特開平11−104417号公報に提案するように、繊維径1μm未満のメルトブロー繊維と、繊維径5〜100μmの熱融着性繊維とを均一に混合した繊維ウエブが、上記熱融着性繊維によって結合された構造の濾材などが知られている。
【0003】
このように、極細繊維を含むことによって高効率を有する濾材には塵埃の捕集に伴って空気中の様々な細菌やカビも付着し易くなる。このため濾材を構成する繊維素材に抗菌性を付与する技術が必要となる。係る抗菌性付与技術の一例として、繊維を構成する樹脂に種々の抗菌剤を予め混合添加して紡糸する技術が知られている。しかしながら、この技術は比較的太い繊維に適するものであり、紡糸時の繊維直径が比較的小さい場合にはノズル詰まりや紡糸中或いは紡糸後の糸切れを生じやすい。さらには、紡糸時の樹脂温度は極めて高温であり、抗菌剤自体が失活してしまう場合も有った。従って、紡糸による抗菌性の付与は耐熱性の高い抗菌剤に限定されてしまい、しかも糸切れなどを考慮すれば上述の極細繊維への当該技術の適用は著しい困難を伴う。このため、抗菌剤の熱安定性に関わる制約、並びに濾材を構成する繊維の太さに関する制約を受けにくい抗菌処理技術として、抗菌剤及びバインダーが含まれるコーティング液を濾材に付着・乾燥する技術が考えられる。
【0004】
一方、近年の環境に対する配慮、特に産業廃棄物の減量を図るため、従来は使い捨てにしていたフィルターユニットの洗浄再生技術が注目されている。この様な洗浄再生は、濾材を枠材に組み込んで構成されたフィルターユニットを所定の洗浄剤に浸漬して行われる。従って、このような洗浄工程に続いて、抗菌剤を付着させ、フィルターユニットを構成する部材に抗菌性を付与することが要望されている。特に濾材は塵埃、細菌、カビのみならず空気中の水分にも曝されるため、使用環境によっては結露することがあり、抗菌剤の多くは極性を持つために結露によって溶出し易い。このため、フィルターユニットの再生時に抗菌処理を行うには、バインダーによる抗菌剤の被着固定が最も現実的な処理技術となる。バインダーとして種々のものが知られているが、バインダー自体の熱的安定性、光化学的安定性、耐酸化性などの物理化学的な安定性に加えて、エマルジョン形成による取り扱いの容易さなどの利点から、アクリル樹脂が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明者は前述した極細繊維を含む濾材に対して、フィルターユニットの再生時であっても抗菌性を付与することを可能とするため、種々のアクリル樹脂で抗菌剤の被着固定を行い、その抗菌性と濾材性能とを検討した。その結果、反応型アクリル樹脂では例えば100℃以上、通常、130℃程度の加熱を必要とするが、濾材が極細繊維を含む構成、例えば軟化点が比較的低いポリプロピレン樹脂からなるメルトブロー繊維とした場合、この硬化に必要なキュア温度で処理を行うことによって、極細繊維の軟化に伴う濾材の形態変化が生じ、濾材の圧力損失が著しく増大してしまうという知見を得た。この点について詳述すれば、熱融着性繊維を含む繊維組成とした場合にも繊維間接着のための熱処理を施すが、バインダーの熱硬化はエマルジョン液等の液状物が濾材に付着した状態での熱処理となる。従って、繊維間接着のために行われる乾熱処理に較べて、湿熱処理となるバインダーの熱硬化処理は繊維に対する熱影響が大きい。このため、極細繊維を含む濾材に対して、バインダーを高温で硬化させる技術を適用し、濾過性能を損なうことなく抗菌性を付与することは極めて難しいという問題点が有った。
【0006】
本出願に係る発明者は、上述した種々の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特定のバインダーを用いて抗菌処理することによって濾材としての濾過性能低下を防止し、しかも優れた抗菌性を発揮し得る技術を完成するに至った。従って、本発明の目的は、極細繊維を含む濾材、並びに、これを組み込んだフィルターユニットに対して抗菌剤を被着固定するに際して、優れた濾過性能と抗菌性とを実現し得る技術を提供すると共に、広い抗菌スペクトルを持ち、しかも優れた濾過性能を有する抗菌性濾材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的の達成を図るため、本出願の方法発明に係る抗菌処理方法によれば、繊維径が5μm以下の極細繊維を含む濾材に抗菌剤を被着固定するに当たり、自己架橋型アクリル樹脂と抗菌剤とを含む水系コーティング液を上述した濾材に付着させた後、60℃以下の温度で熱処理することを特徴としている。
【0008】
また、この出願の他の方法発明に係る抗菌処理方法によれば、繊維径が5μm以下の極細繊維を含む濾材が枠材に組み込まれたフィルターユニットに抗菌剤を被着固定するに当たり、自己架橋型アクリル樹脂と抗菌剤とを含む水系コーティング液を前記フィルターユニットに付着させた後、60℃以下の温度で熱処理することを特徴としている。
【0009】
さらに、本出願に係る抗菌性濾材の構成によれば、繊維径が5μm以下の極細繊維を含む濾材に抗菌性が付与された抗菌性濾材であって、銀−有機ヨード系抗菌剤が自己架橋型アクリル樹脂の架橋によって前記極細繊維に被着固定されていることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本出願の方法発明に係る抗菌処理方法に関し、好適な実施形態について説明する。本方法発明によれば、極細繊維を含む濾材、または、この濾材が組み込まれたフィルターユニットに対して、自己架橋型アクリル樹脂と抗菌剤とを含む水系コーティング液を付着させ、所定の温度で熱処理する構成としている。まず、本方法発明に適用する自己架橋型アクリル樹脂としては、濾材を構成する極細繊維の構成樹脂の軟化温度以下で硬化し得るものを任意好適に選択することができるが、熱処理によってへたりを生じやすいポリプロピレン樹脂の場合、60℃以下の熱処理温度で硬化することが望ましく、より好ましくは、50℃以下で硬化するものが良い。このような低温で硬化し得る自己架橋型アクリル樹脂としては平均分子量が1500万以上の分子量を有するものが望ましい。
【0011】
また、水系コーティング液の組成としては、自己架橋型アクリル樹脂の固形分重量の割合を1mass%以上5mass%以下、好ましくは1mass%以上3mass%以下とするのが望ましい。この範囲を超えてアクリル樹脂を多量に添加すると水系コーティング液の比重が上がり、当該液を濾材に付着・乾燥する際に厚さが潰れ易い。さらに、この範囲以下の添加量では抗菌剤を濾材に保持することが難しくなる。
【0012】
次いで、本方法発明に適用する抗菌剤について説明する。本方法発明を適用するに際して、抗菌剤は特に限定されるものではなく、本方法が上記自己架橋型アクリル樹脂を適用することで60℃以下の低温で被着固定できるため、濾材に含まれる極細繊維の形態変化を低減し得るのみならず、抗菌剤の選択範囲を広げることが可能となる。また、本方法発明を適用するフィルターユニットに組み込まれた濾材としては、極細繊維のみで構成された濾材、極細繊維からなる不織布と比較的太径の不織布とを積層構成した濾材、或いは前述の公報に開示されるような極細繊維とこれよりも太径の繊維とが1枚の繊維ウエブとして均一に混合された濾材であっても良い。このうち、異径繊維の混合により構成された濾材の場合、極細繊維の含まれる割合は特に限定されるものではないが、濾材に含まれる極細繊維が20mass%以上の場合に前述した形態変化を来し易く、本方法発明の適用による効果が期待できる。
【0013】
次いで、本出願発明に係る抗菌性濾材について説明する。本濾材の構成は、上述の方法発明でも述べた通り、繊維径5μm以下の極細繊維を含むもので有れば、太径の繊維を含む構成としても良く、これら異なる繊維径の繊維同志が均一に混合されたもの、或いは、各々の繊維からなるウエブを積層構成したものであっても良い。また、極細繊維を構成する樹脂としては、従来知られているものであれば如何なるものでも良いが、濾材として広く用いられている、ポリプロピレン系、ポリエチレン系を始めとするポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられ、特に、メルトブロー繊維として繊維径の制御が容易なポリプロピレン系の樹脂が好適である。
【0014】
また、本発明に係る濾材で利用する自己架橋型アクリル樹脂も、上記方法発明で説明したものを利用することができるが、特に、架橋後の固形分率、即ち、付着したアクリル樹脂のうち、完全に架橋した樹脂の重量割合が少なくとも60mass%以上、好ましくは80mass%以上とすることによって、濾材が結露した場合であっても安定した抗菌性を維持することができる。このような固形分率を求めるには周知の方法、例えばガラス板に樹脂を塗布・乾燥後、この塗膜形成されたガラス板を室温の流水に24時間流水に曝し、塗膜形成直後の重量に対して、流水に溶出せずに残存した樹脂重量の百分率を求めることにより算出できる。さらに、本発明の抗菌性濾材に適用する抗菌剤を銀−有機ヨード系抗菌剤とすることによって、後段で述べる通り、広範な抗菌スペクトルを実現することができる。濾材に於ける自己架橋型アクリル樹脂と銀−有機ヨード系抗菌剤の付着量は、設計に応じて任意好適に設計することができる。樹脂の付着量を上記好適範囲よりも少なくすると抗菌剤の被着固定が難しくなり、当該範囲を超えて樹脂を付着させると濾材の形態変化を助長することとなる。また抗菌剤の付着量は、当該抗菌剤のMIC(最小阻止濃度:Minimum Inhibitory Concentration)に基づくものであり、これを下回る濃度では抗菌性を期待することが難しくなる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例として、本方法発明の好適実施例と、これにより得られた抗菌性濾材の効果確認試験とについて説明する。尚、以下に示す実施例では、特定の条件を例示するが、本願発明はこれら実施例にのみ限定されるものではなく、前述した目的の範囲内で任意好適な設計の変更及び変形を行うことができる。
【0016】
まず、市販のポリプロピレンペレットを用い、メルトブロー法によって平均繊維径約2μmの極細繊維からなる面密度約20g/m2の不織布を調製した。また、ポリエチレンテレフタレートからなる3.3デシテックスの短繊維35mass%、同樹脂からなる6.7デシテックスの短繊維35mass%、並びに難燃剤として塩ビを分散配合したモダクリル樹脂からなる7.8デシテックスの短繊維30mass%からなる面密度約75g/m2のカードウエブを調製した。これら2種類の不織布を積層し、超音波シール(シール面積5%)によって融着一体化することにより、濾材を得た。
【0017】
次いで、抗菌処理を行うための自己架橋型アクリル樹脂としてアクリル−スチレン系エマルジョン(平均分子量2000万,流水法による固形分率80%)と、市販の銀−有機ヨード系抗菌剤『MBA−C−0520』(日本応用化学工業(株)製,商品名)とを用い、当該自己架橋型アクリル樹脂2mass%と当該抗菌剤0.25mass%とを含む水系コーティング液を得た。この水系コーティング液に前述した濾材を含浸した後に余剰なコーティング液を自然流下させ、約40℃で15時間乾燥することによって実施例に係る抗菌性濾材を得た。
【0018】
また、乾燥条件を140℃、10分間としたことを除いては、上記実施例と同一の条件で比較例に係る抗菌性濾材を得た。これら実施例及び比較例の夫々に係る抗菌性濾材の圧力損失を面風速10cm/秒の条件で定法に従い測定した。その結果を表1に示す。尚、「初期圧力損失」とは、水系コーティング液による処理を施す前の測定結果を示すと共に、カッコ内は初期圧力損失に対する抗菌処理後の圧力損失の割合を百分率で表したものである。
【0019】
【表1】
Figure 0003784595
【0020】
この表1の結果から理解できるように、本方法発明を適用し、比較的低温で抗菌処理後の加熱を行っても初期の圧力損失と同等とすることができたのに対し、繊維の形態変化を伴うほど高温の加熱を施した場合には約2割の圧損上昇を来した。また、詳細な説明は省略するが、自己架橋型アクリル樹脂の代わりに、市販の反応型アクリル樹脂を用い、上記濾材に対して実施例及び比較例と同一の条件で圧力損失を測定したところ、140℃の熱処理では明らかな圧力損失の増大が認められ、表1と同様な結果が得られた。
【0021】
続いて、抗菌処理を施していない濾材を、各々、プリーツ加工した後、合板及びアルミニウムからなる枠材にホットメルト樹脂で取り付けたフィルターユニットを得た。然る後、このフィルターユニットを空調装置に装着して、2150時間に渡って運転を行い、この使用済みのフィルターユニットの濾材を採取し、フードスタンプ法によるサンプリングの後、ポテトデキストローズアガー(PDA)を培地として培養し、生育した微生物を同定した。この際に同定されたのは主としてカビであったことから、後段で述べる接種試験用の菌種として、以下の70種を選定した。
(1)Acuremonium charticola (2)Alternaria alternata
(3)Alternaria bassicicola (4)Alternaria candidus
(5)Alternaria tenuis (6)Aspergillus flavus
(7)Aspergillus fumigatus (8)Aspergillus glaucus
(9)Aspergillus nidulans (10)Aspergillus niger
(11)Aspergillus ochraceus (12)Aspergillus oryzae
(13)Aspergillus restrictus (14)Aspergillus terreus
(15)Aspergillus versicolor (16)Aureobasidium pullulans
(17)Botrytis cinera (18)Candida albicans
(19)Cerespora beticola (20)Chaetomium globosum
(21)Cladosporium cladosporioides (22)Cladosporium herbarum
(23)Cladosporium resinae (24)Cladosporium shaerospermum
(25)Epicoccum purpurascens (26)Eurotium tonophilum
(27)Fusarium moniliforme (28)Fusarium oxysporum
(29)Fusarium proliferatum (30)Fusarium roseum
(31)Fusarium semitectum (32)Fusarium solani
(33)Geotricham candidum (34)Geotricham lactus
(35)Gliocladium virens (36)Microsporum canis
(37)Monilia fructigana (38)Mucor mucedo
(39)Mucor racemosus (40)Myrothecium verrucaria
(41)Nigrospora oryzae (42)Penicillium citreo-viride
(43)Penicillium citrinum (44)Penicillium digitatum
(45)Penicillium expansum (46)Penicillium funiculosum
(47)Penicillium frequentance (48)Penicillium islandicum
(49)Penicillium lilacinum (50)Penicillium luteum
(51)Penicillium nigricans (52)Penicillium notatum
(53)Penicillium rubrum (54)Pestalotia adusta
(55)Pestalotia neglecta (56)Phoma glomerata
(57)Phoma terrestius (58)Pullularia pullulans
(59)Rhizopus delemar (60)Rhizopus nigricans
(61)Rhizopus oryzae (62)Rhizopus storonifer
(63)Trichoderma koningii (64)Trichoderma viride
(65)Trichophyton ajelloi (66)Trichophyton gypseum
(67)Trichophyton mentagrophytes (68)Trichophyton roseum
(69)Trichophyton rubrum (70)Wallemia sebi
【0022】
次いで、前述の手順で得られた実施例に係る抗菌性濾材を用いてフィルターユニットを作製し、これに対して上記70種のカビを接種した。まず、定法に従い、界面活性剤を添加した生理的食塩水に各菌種毎に菌体を分散させ、ガラスビーズフィルターで発芽した菌体を除去後、濾過された分散液を遠心分離、再分散を経て濃縮し、この分散液中の胞子数を比濁法によって計数した。この後、各菌種の胞子数が等量となるように混釈し、接種用の胞子分散液を調製した。続いて、ポテトデキストローズアガー(PDA)培地を入れたシャーレを調製し、これに所定の大きさに裁断した実施例の濾材を離間して並べ、このシャーレ全面に上記接種用胞子分散液を噴霧することにより行った。然る後、接種を終えたシャーレを孵卵器(温度30℃,相対湿度95%)中に静置培養し、開始から7日、14日、21日並びに30日の各経過日にカビの生育状況を観察した。
【0023】
その結果、濾材内部及び表面にはカビの生育が全く認められず、実施例に係る濾材は、極めて優れた抗菌性を有することが判った。また、前述した接種用胞子分散液が直接噴霧された培地部分にはカビの生育が認められ、試験方法の適性が確認された。さらに、反応型アクリル樹脂を用い、40℃で15時間に渡って熱処理を施した他の比較例に係る濾材を調製し、上述の実施例に係る濾材と共に、24時間に渡って流水に曝した。この後、上記抗菌性試験を実施した結果、自己架橋型アクリル樹脂を用いた実施例の濾材では、流水暴露前と同等の抗菌性が保たれていたのに対して、反応型アクリル樹脂を用いた他の比較例の濾材では顕著なカビの生育が観察された。このことから、反応型アクリル樹脂を適用した場合、極細繊維を含む濾材の形態変化を来さない程度の熱処理条件では硬化不足となり、結露等に対する耐水性に欠けることが明らかとなった。
【0024】
加えて、実施例の抗菌性濾材を組み込んだフィルターユニットを空調機に装着し、2150時間に渡って運転した結果、カビの生育は認められなかった。このことから、本実施例に係る濾材の抗菌性は長時間持続していることが明らかとなった。
【0025】
次いで、抗菌処理を施していない前述の濾材を用いてフィルターユニットを組み上げた後に、当該ユニットを前述の水系エマルジョン液中に浸漬したことを除いては、上述の実施例と同様に抗菌処理を行い、抗菌性のフィルターユニットを作製した。このフィルターユニットを構成する濾材、並びに枠材を採取して、上述した方法により接種試験を行った。その結果、フィルターユニットの使用・未使用に関わらず、濾材のみに抗菌処理した場合と同等の抗菌性が枠材に関しても認められた。このことから、本出願に係る方法発明は、使用済みのフィルターユニットに対して適用した場合、濾材のみならず、フィルターユニットを構成する部材に対しても抗菌性を付与し得ることが明らかとなった。また、フィルターユニットに対する抗菌処理の前後で圧力損失の有意な増大は認められなかった。これらのことから、本出願に係る方法発明は、単に濾材に対しての抗菌処理のみならず、使用済みのフィルターユニットへの適用も有効であり、環境に配慮した当該ユニットの洗浄再生にも応用し得ることが明らかとなった。
【0026】
【発明の効果】
上述した説明からも明らかなように、本出願に係る方法発明を適用することによって、抗菌処理時に必要な熱処理に伴う極細繊維の形態変化を低減することが可能となり、従って、濾過性能低下を防止し、しかも優れた抗菌性を発揮し得る濾材並びにこの濾材を組み込んだフィルターユニットを提供することができる。また、本出願に係る濾材の構成により、広い抗菌スペクトルを持ち、しかも優れた濾過性能を有する抗菌性濾材が実現される。

Claims (5)

  1. 繊維径が5μm以下の極細繊維を含む濾材に抗菌剤を被着固定するに当たり、自己架橋型アクリル樹脂と抗菌剤とを含む水系コーティング液を前記濾材に付着させた後、60℃以下の温度で熱処理することを特徴とする濾材の抗菌処理方法。
  2. 繊維径が5μm以下の極細繊維を含む濾材が枠材に組み込まれたフィルターユニットに抗菌剤を被着固定するに当たり、自己架橋型アクリル樹脂と抗菌剤とを含む水系コーティング液を前記フィルターユニットに付着させた後、60℃以下の温度で熱処理することを特徴とするフィルターユニットの抗菌処理方法。
  3. 前記自己架橋型アクリル樹脂が平均分子量1500万以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の抗菌処理方法。
  4. 前記抗菌剤が銀−有機ヨード系抗菌剤であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の抗菌処理方法
  5. 繊維径が5μm以下の極細繊維を含む濾材に抗菌性が付与された抗菌性濾材であって、銀−有機ヨード系抗菌剤が自己架橋型アクリル樹脂の架橋によって前記極細繊維に被着固定されていることを特徴とする抗菌性濾材。
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