JP6978280B2 - 表面処理方法、表面処理液、及び表面処理された物品 - Google Patents
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Description
被処理体の表面に、プライマー層形成用の第1液を塗布してプライマー層を形成することと、
プライマー層上に、表面改質層形成用の第2液を塗布して、親水性基、又は疎水性基を有する樹脂からなる表面改質層を形成することと、を含み、
プライマー層の膜厚と、前記表面改質層の膜厚との合計が、0.1nm以上10nm以下であり、
プライマー層と、表面改質層とを共有結合によって結合させる、表面処理方法である。
第1液が、プライマー層を与える化合物を含み、
第2液が、親水性基、又は疎水性基を有する樹脂を含み、
化合物と、樹脂とが互いに反応して共有結合を形成可能である、表面処理液である。
プライマー層の膜厚と、表面改質層の膜厚との合計が、0.1nm以上10nm以下であり、
プライマー層と、表面改質層とが共有結合によって結合している、物品である。
表面処理方法は、被処理体の表面を親水化又は疎水化する方法である。
かかる表面処理方法は、被処理体の表面に、プライマー層形成用の第1液を塗布してプライマー層を形成することと、
プライマー層上に、表面改質層形成用の第2液を塗布して、親水性基、又は疎水性基を有する樹脂からなる表面改質層を形成することと、を含む。
プライマー層の膜厚と、表面改質層の膜厚との合計は、0.1nm以上10nm以下である。
プライマー層と、表面改質層とが共有結合によって結合している。
以下、第1液を用いるプライマー層の形成について説明する。
シラノール基、エポキシ基、イソシアネート基等の反応性基は、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、N−モノ置換アミノ基等の活性水素原子を有する官能基と良好に縮合反応する。
このため、プライマー層を形成させる前には、プライマー層の形成を良好に進行させる目的で、被処理体の表面に水酸基を導入する処理を行ってもよい。かかる処理の好適な例としては、酸素プラズマや水蒸気プラズマ等によるプラズマ処理が挙げられる。
被処理体の表面がポリアミド樹脂からなる場合、第1液に含まれる化合物は、ポリアミド樹脂が有するアミノ末端基やカルボキシ末端基と反応してプライマー層を形成させる。
被処理体の表面がポリイミド樹脂からなる場合、第1液に含まれる化合物は、ポリイミド樹脂が有するカルボン酸無水物末端基や、カルボキシ末端基や、アミノ末端基と反応してプライマー層を形成させる。
1)エポキシ基と、エポキシ基との反応性を有する基(例えば、カルボキシ基、フェノール性水酸基、メルカプト基、アミノ基、及びN−モノ置換アミノ基等)との反応、
2)イソシアネート基と、イソシアネート基との反応性を有する基(例えば、水酸基、メルカプト基、アミノ基、及びN−モノ置換アミノ基等)との反応、
3)第二級アミノ基と、(メタ)アクリロイル基、又はカルバモイル基との反応、
4)オキセタニル基と、オキセタニル基との反応性を有する基(例えば、カルボキシ基、フェノール性水酸基、メルカプト基、アミノ基、及びN−モノ置換アミノ基等)との反応、
5)ハロゲノカルボニル基(例えば、クロロカルボニル基)と、水酸基、又はアミノ基との反応、
6)末端不飽和基(例えば、ビニル基、及びアリル基)と、ヒドロシリル基(−Si−H)との反応、
7)カルボン酸無水物基と、水酸基、又はアミノ基との反応等が挙げられる。
つまり、エポキシ基と、エポキシ基との反応性を有する基との反応か、イソシアネート基と、イソシアネート基との反応性を有する基との反応か、第二級アミノ基と、(メタ)アクリロイル基、又はカルバモイル基との反応によって、プライマー層と表面改質層との間に共有結合が形成されるのが好ましい。
プライマー層が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物に由来する層であり、且つ表面改質層が、第二級アミノ基を有する樹脂に由来する層であるのが好ましい。
この場合、第1液に含まれる化合物と、被処理体の表面との反応性が良好であることから、エポキシ基を有する化合物が、エポキシシランカップリング剤であり、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤であるのが好ましい。
R1a pR2a 3−pSi−R3a−X・・・(1)
(式(1)中、R1aは、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、又はイソシアネート基であり、R2aは炭化水素基であり、R3aは2価の有機基であり、Xは表面改質層と共有結合を形成し得る反応性基であり、pは1以上3以下の整数である。)
で表されるシラン化合物が挙げられる。
アルコキシ基の好適な例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、及びn−ブチルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、及びエトキシ基がより好ましい。
R2aがアルキル基である場合の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基が挙げられ、メチル基、及びエチル基がより好ましい。
アラルキル基としては、ベンジル基、及びフェネチル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ナフタレン−1−イル基、及びナフタレン−2−イル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
反応性基Xの好適な例としては、エポキシ基、イソシアネート基、第二級アミノ基、オキセタニル基、ハロゲノカルボニル基(例えばクロロカルボニル基)、末端不飽和基(例えば、ビニル基、及びアリル基)、及びカルボン酸無水物基等が挙げられる。
−R4a−X・・・(1−1)
−R4a−O−R4a−X・・・(1−2)
−R4a−NH−R4a−X・・・(1−3)
(式(1−1)〜(1−2)において、R4aはそれぞれ独立に、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基、又はフェニレン基であり、Xは、表面改質層と共有結合を形成し得る反応性基である。)
で表される基が好ましい。
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基含有シラン;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の非脂環式エポキシ基含有シシラン;
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等の脂環式エポキシ基含有シラン;
〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン等のオキセタニル基含有シラン;
3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン;及び、
3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、その他の酸無水物基(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸無水物基、4−メチル−シクロヘキサンジカルボン酸無水物基、5−メチル−シクロヘキサンジカルボン酸無水物基、ビシクロヘプタンジカルボン酸無水物基、7−オキサ−ビシクロヘプタンジカルボン酸無水物基、フタル酸無水物基等)を有するトリアルコキシシラン等の酸無水物基含有シランが挙げられる。
第1液中の、プライマー層を形成する化合物の濃度は特に限定されない。所望する膜厚のプライマー層を形成しやすいことから、第1液中の、プライマー層を形成する化合物の濃度は、典型的には、0.1質量%以上100質量%以下が好ましく、1質量%以上80質量%以下がより好ましく、1質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
有機材料としては、PET樹脂やPBT樹脂等のポリエステル樹脂、各種ナイロン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂等、種々の樹脂材料が挙げられる。
また、種々のレジスト材料に含まれる感光性の樹脂成分や、アルカリ可溶性の樹脂成分も有機材料として好ましい。
無機材料としては、ガラス、シリコンや、銅、アルミニウム、鉄、タングステン等の種々の金属が挙げられる。金属は、合金であってもよい。
プライマー層の膜厚が上記の範囲内であると、被処理体の表面をプライマー層によりむらなく被覆しやすく、また、被処理体の表面にプライマー層を介して表面改質層を強固に保持しやすい。
プライマー層上に、表面改質層形成用の第2液を塗布して、親水性基又は疎水性基を有する樹脂からなる表面改質層を形成する。表面改質層を形成させる際、プライマー層と、表面改質層とを、共有結合させる。
表面改質層が、親水性基又は疎水性基を有することにより、第1液及び第2液からなる2液型の表面処理液により処理された被処理体の表面が、親水化、又は疎水化される。
樹脂の例としては、(メタ)アクリル樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中では、官能基の導入や、官能基を有する単位の含有比率の調整が容易である事から(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
アニオン部としての1価アニオンの好適な例としては、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、種々の有機カルボン酸又は有機スルホン酸に由来する有機酸イオン等が挙げられる。これらの中では、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオンがより好ましく、塩化物イオン、及び臭化物イオンがさらにより好ましく、塩化物イオンが特に好ましい。
これらのカチオン性基の中では、樹脂への導入が容易であることや、親水化の効果が高いこと等から、4級アンモニウム塩基を含む基が好ましい。
−R4a−N+R1aR2aR3a・X−・・・(A−I)
(式(A−I)中、R1a、R2a、及びR3aは、それぞれ独立にN+に結合する炭素原子数1以上4以下のアルキル基であり、R1a、R2a、及びR3aのうちの2つは互いに結合して環を形成してもよく、R4aは炭素原子数1以上4以下のアルキレン基であり、X−は1価のアニオンである。)
で表される基が好ましい。
−NH−R1・・・(A1)
(式(A1)中、R1は、アミノ基、スルホン酸基、及び水酸基からなる群より選択される1以上の基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基、前述の式(A−I)で表される4級アンモニウム塩基、又は水素原子である。)
で表される基が好ましい。
直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基の炭素原子数は1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましい。
直鎖状、又は分岐鎖状の脂肪族基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
環状の脂肪族基の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、及びテトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基や、これらのポリシクロアルカンのC1−C4アルキル置換体から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、及びビフェニリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は、メチル基、エチル基等のC1−C4アルキル基で置換されていてもよい。
−SiR5aR6a−(−O−SiR5aR6a−)n−R7a・・・(A2)
で表される基であり、R5a、R6a、及びR7aは、それぞれ独立に炭素原子数1以上6以下の炭化水素基であり、nは0以上の整数である。)
式(A2)中、nの上限は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。nは、0以上35以下の整数であるのが好ましく、0以上10以下の整数であるのがより好ましい。
CH2=CR2−(R3)a−CO−R4・・・(A3)
(式(A2)中、R2は水素原子又はメチル基であり、R3は2価の炭化水素基であり、aは0又は1であり、R4は、水素原子、−O−R5、又は−NH−R5であり、R5は、水素原子、親水性基、疎水性基、親水性基を含有する炭化水素基、又は疎水性基を含有する炭化水素基である。)
で表される単量体に由来する基であるのが好ましい。
R5の基の主骨格を構成する炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基の炭素原子数は1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましい。
直鎖状、又は分岐鎖状の脂肪族基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
環状の脂肪族基の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、及びテトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基や、これらのポリシクロアルカンのC1−C4アルキル置換体から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、及びビフェニリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は、メチル基、エチル基等のC1−C4アルキル基で置換されていてもよい。
なお、親水性基又は疎水性基を有する構成単位は、プライマー層が有する反応性基と共有結合を形成し得る構成単位でもある場合がある。
第2液中の、樹脂の濃度は特に限定されない。所望する膜厚の表面改質層を形成しやすいことから、第2液中の、樹脂の濃度は、典型的には、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
第2液を、被処理体の表面に塗布した後は、必要に応じて第2液からなる塗布膜を加熱して、溶媒の少なくとも一部を塗布膜から除去してもよい。
表面改質層の膜厚が上記の範囲内であると、被処理体の表面を表面改質層によりむらなく被覆しやすく、また、被処理体の表面にプライマー層を介して表面改質層を強固に保持しやすい。
被処理体として、フッ酸で自然酸化膜を除去したシリコンウエハーを用いた。シリコンウエハーに、エタノール中に濃度10質量%で3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが溶解した第1液をスピンコート法により塗布した後、アセトンによるリンスを行い、膜厚1nmのプライマー層を形成した。
プライマー層上に、下記の構成単位からなる樹脂を、水/エタノール(10/90質量%)中に濃度1質量%で含む第2液をスピンコート法により塗布し、50度5分間ホットプレートで加熱した後、水によるリンスを行い、膜厚2nmの表面改質層を形成した。
なお、下記式において、括弧の右下の数字は、樹脂中の全構成単位に対する各構成単位の含有量(モル%)を表す。
被処理体として、フッ酸で自然酸化膜を除去したシリコンウエハーを用いた。シリコンウエハーに、エタノール中に濃度5質量%で3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが溶解した第1液をスピンコート法により塗布した後、純水によるリンスを行い、膜厚1nmのプライマー層を形成した。
プライマー層上に、ポリエチレンイミンを水中に濃度2質量%で含む第2液をディップコート法により塗布し、50度5分間ホットプレートで加熱した後、水によるリンスを行い、膜厚2nmの表面改質層を形成した。
被処理体として、フッ酸で自然酸化膜を除去したシリコンウエハーを用いた。シリコンウエハーに、エタノール中に濃度5質量%で3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが溶解した第1液をスピンコート法により塗布した後、エタノールによるリンスを行い、膜厚1nmのプライマー層を形成した。
プライマー層上に、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートと、アクリル酸とのモル比1:1の共重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に濃度1質量%で含む第2液をスピンコート法により塗布し、50度5分間ホットプレートで加熱した後、アセトンによるリンスを行い、膜厚2nmの表面改質層を形成した。
被処理体として、フッ酸で自然酸化膜を除去したシリコンウエハーを用いた。シリコンウエハーに、プライマー層を処理せず、実施例1で用いた樹脂を水/エタノール中に1質量%含む溶液をスピンコートし、100nm膜厚の親水膜を得た。
被処理体として、フッ酸で自然酸化膜を除去したシリコンウエハーを用いた。シリコンウエハーに、プライマー層を処理せず、実施例2で用いたポリエチレンイミンをイソプロピルアルコール(IPA)中に1質量%含む溶液をスピンコートし、100nm膜厚の親水膜を得た。
被処理体として、フッ酸で自然酸化膜を除去したシリコンウエハーを用いた。シリコンウエハーに、プライマー層を処理せず、実施例3で用いた樹脂をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に1質量%含む溶液をスピンコートし、100nm膜厚の親水膜を得た。
Dropmaster700(協和界面科学株式会社製)を用いシリコンウエハーの表面処理された表面に純水液滴(2.0μL)を滴下して、滴下10秒後における接触角として、水の接触角を測定した。
<防曇性>
呼気を吹きかけ、防曇性があるか否かを評価した。実施例3、及び比較例3で得たシリコンウエハーについては、表面改質層の形成に用いた樹脂に防曇機能がないため、未評価である。
<耐薬品性>
表1に記載の各薬品にシリコンウエハーを72時間室温で浸漬した後の水の接触角を測定した。
これらの結果から、実施例で得たシリコンウエハーの表面には、スチールウールによる摩擦によって容易に剥離しない、シリコンウエハーの表面に強固に結合した、プライマー層と表面改質層とからなる安定な複合層が形成されていることが分かる。
また、比較例1及び比較例2で得たシリコンウエハーでは、擦傷試験の有無によらず、各種薬液浸漬後の水の接触角が、40°から50°程度に上昇していること分かる。つまり、比較例1及び比較例2で得たシリコンウエハーでは、薬液への浸漬により、表面改質層が容易に剥離することが分かる。
さらに、比較例3では、擦傷試験前の薬液の浸漬であれば、表面改質層による疎水化の効果が維持される場合があるが、擦傷試験後に薬液に浸漬すると、シリコンウエハー表面の水の接触角が顕著に低下した。つまり、比較例3で得たシリコンウエハーでは、薬液への浸漬により表面改質層が剥離しやすく、擦傷試験後であれば薬液への浸漬による表面改質層の剥離が顕著であることが分かる。
Claims (14)
- 被処理体の表面を親水化又は疎水化する表面処理方法であって、
前記被処理体の表面に、プライマー層形成用の第1液を塗布してプライマー層を形成することと、
前記プライマー層上に、表面改質層形成用の第2液を塗布して、親水性基、又は疎水性基を有する樹脂からなる表面改質層を形成することと、を含み、
前記第2液は、含フッ素ポリマー及びシラン化合物を含まず、
前記プライマー層の膜厚と、前記表面改質層の膜厚との合計が、0.1nm以上10nm以下であり、
前記プライマー層と、前記表面改質層とを共有結合によって結合させる、表面処理方法。 - 前記共有結合が、エポキシ基又はイソシアネート基と、エポキシ基又はイソシアネート基との反応性を有する基との反応か、第二級アミノ基と、(メタ)アクリロイル基、又はカルバモイル基との反応によって形成される、請求項1に記載の表面処理方法。
- 前記プライマー層が、エポキシ基を有する化合物に由来する層であり、且つ前記表面改質層がエポキシ基との反応性を有する基を有する樹脂に由来する層であるか、
前記プライマー層が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物に由来する層であり、且つ前記表面改質層が、第二級アミノ基を有する樹脂に由来する層である、請求項2に記載の表面処理方法。 - 前記エポキシ基を有する化合物が、エポキシシランカップリング剤であり、前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤である、請求項3に記載の表面処理方法。
- 前記プライマー層の膜厚が0.1nm以上5nm以下である、請求項4に記載の表面処理方法。
- 前記第1液の塗布後、及び/又は前記第2液の塗布後に、有機溶剤又は水によるリンスを行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理方法。
- 請求項1に記載の前記表面処理方法に用いられ、前記第1液と、前記第2液とからなる2液型の表面処理液であって、
前記第1液が、前記プライマー層を与える化合物を含み、
前記第2液が、親水性基、又は疎水性基を有する樹脂を含み、
前記化合物と、前記樹脂とが互いに反応して共有結合を形成可能である、表面処理液。 - 前記化合物と前記樹脂との一方がエポキシ基を有し、他方がエポキシ基との反応性を有する基を有するか、前記化合物と前記樹脂との一方が第二級アミノ基を有し、他方が(メタ)アクリロイル基、又はカルバモイル基を有する、請求項7に記載の表面処理液。
- 前記化合物がエポキシ基を有し、且つ前記樹脂がエポキシ基との反応性を有する基を有するか、
前記化合物が(メタ)アクリロイル基を有し、且つ前記樹脂が第二級アミノ基を有する、請求項8に記載の表面処理液。 - エポキシ基を有する前記化合物が、エポキシシランカップリング剤であり、(メタ)アクリロイル基を有する前記化合物が、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤である、請求項9に記載の表面処理液。
- その表面上にプライマー層と、親水性基、又は疎水性基を有する樹脂からなる表面改質層とをこの順で備え、
前記樹脂は、含フッ素ポリマー及びシラン化合物ではなく、
前記プライマー層の膜厚と、前記表面改質層の膜厚との合計が、0.1nm以上10nm以下であり、
前記プライマー層と、前記表面改質層とが共有結合によって結合している、物品。 - 前記プライマー層が、エポキシ基を有する化合物に由来する層であり、且つ前記表面改質層がエポキシ基との反応性を有する基を有する樹脂に由来する層であるか、
前記プライマー層が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物に由来する層であり、且つ前記表面改質層が、第二級アミノ基を有する樹脂に由来する層である、請求項11に記載の物品。 - 前記エポキシ基を有する化合物が、エポキシシランカップリング剤であり、前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤である、請求項12に記載の物品。
- 前記プライマー層の膜厚が0.1nm以上5nm以下である、請求項11〜13に記載の物品。
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