JP6977777B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
例えば、壁紙製造装置もその一つとして挙げられる。壁紙の製造分野では、基材に対する印刷工程の前後に複数の工程があるが、これらの他の工程とインクジェット印刷方式の印刷部による印刷工程とを連続的に行う壁紙製造装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
例えば、壁紙製造装置における印刷以外の他の工程を行う装置、例えば、基材にコーティングを行う装置、エンボス加工を行う装置等のいずれかが搭載されている場合に、その工程の実行速度をインクジェット印刷方式の印刷部に合わさなければならず、高速化の妨げとなり、生産性の低下を生じていた。
しかしながら、シングルパス方式のインクジェット印刷方式の印刷部、ヘッドの構造に起因してインクを適切に射出させるための吐出時間間隔に制限があること、1吐出当たりの液量が決まっている為濃度ムラが発生すること、縦横比が変わること、等々の理由から、印刷時の基材の搬送速度を自在に調節することが難しく、当該搬送速度が他の工程の搬送速度よりも速い場合に搬送速度を合わせることができず、これらの工程を連続して行うことが困難となるという問題が生じる。
長尺シート状の基材を平面状に広げた状態で搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記基材に対して当該基材の幅方向に沿って設けられた複数のノズルからインクを吐出して印刷を行うシングルパス方式のインクジェットによる印刷部と、
前記印刷部に対する前記基材の搬送速度を、互いに異なる第一搬送速度と第二搬送速度との間で変更するように前記搬送部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との間での搬送速度の変更開始前と変更完了後に、前記基材に対して裁断位置情報を形成すると共に、搬送速度が変化している間は画像の形成を行わないように前記印刷部を制御し、
前記第一搬送速度は前記第二搬送速度よりも高速であり、
前記搬送部における搬送方向上流側で前記基材を平面状に広げた状態で搬送する前工程搬送部と、
前記前工程搬送部によって搬送される前記基材に対して印刷以外の処理を行う基材処理部とを備え、
前記前工程搬送部の搬送速度は、前記第一搬送速度よりも低速かつ前記第二搬送速度よりも高速であることを特徴とする。
長尺シート状の基材を平面状に広げた状態で搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記基材に対して当該基材の幅方向に沿って設けられた複数のノズルからインクを吐出して印刷を行うシングルパス方式のインクジェットによる印刷部と、
前記印刷部に対する前記基材の搬送速度を、互いに異なる第一搬送速度と第二搬送速度との間で変更するように前記搬送部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との間での搬送速度の変更開始前と変更完了後に、前記基材に対して裁断位置情報を形成するように前記印刷部を制御し、
前記印刷部は、前記基材に対して所定距離毎の繰り返し画像を前記搬送部の搬送方向に沿って形成し、
前記制御装置は、前記所定距離毎の繰り返し画像の形成後、次の前記所定距離毎の繰り返し画像の形成前に、前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との間での搬送速度の変更を行うよう前記搬送部を制御することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2に記載のインクジェット記録装置において、
前記第一搬送速度をv1、当該第一搬送速度v1における前記印刷部の吐出時間間隔をT1、前記第二搬送速度をv2、当該第二搬送速度v2における前記印刷部の吐出時間間隔をT2とした場合、
v1×T1=v2×T2
が成立することを特徴とする。
前記裁断位置情報は、ライン、マーク、画像の境界、その他の視覚的認識可能な形態であることを特徴とする。
前記第一搬送速度は前記第二搬送速度よりも高速であることを特徴とする。
前記搬送部における搬送方向上流側で前記基材を平面状に広げた状態で搬送する前工程搬送部と、
前記前工程搬送部によって搬送される前記基材に対して印刷以外の処理を行う基材処理部とを備え、
前記前工程搬送部の搬送速度は、前記第一搬送速度よりも低速かつ前記第二搬送速度よりも高速であることを特徴とする。
前記前工程搬送部の搬送方向下流側に、前記基材の弛みが形成される弛み形成部を有することを特徴とする。
前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との切り替えを指示する搬送速度指示部と、
前記弛み形成部の弛み量を検出する弛み検出部とを備え、
前記搬送速度指示部は、前記弛み検出部による検出結果と、前記前工程搬送部の搬送速度と、前記第一搬送速度とに基づく演算結果から切り替えを指示することを特徴とする。
前記制御装置は、前記弛み検出部により検出される前記基材の弛み量が予め規定された距離以下になった場合、前記印刷部による印刷を停止する制御を行うことを特徴とする。
前記基材処理部は、前記基材に対してコロナ処理を行うことを特徴とする。
長尺シート状の基材を平面状に広げた状態で搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記基材に対して当該基材の幅方向に沿って設けられた複数のノズルからインクを吐出して印刷を行うシングルパス方式のインクジェットによる印刷部と、
前記印刷部に対する前記基材の搬送速度を、互いに異なる第一搬送速度と第二搬送速度との間で変更するように前記搬送部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との間での搬送速度の変更開始前と変更完了後に、前記基材に対して裁断位置情報を形成すると共に、搬送速度が変化している間は画像の形成を行わないように前記印刷部を制御し、
前記第一搬送速度をv1、当該第一搬送速度v1における前記印刷部の吐出時間間隔をT1、前記第二搬送速度をv2、当該第二搬送速度v2における前記印刷部の吐出時間間隔をT2とした場合、
v1×T1=v2×T2
が成立することを特徴とする。
前記印刷部はピエゾ素子によりインクの吐出を行うヘッドを有することを特徴とする。
そして、制御装置が、印刷部に対する基材の搬送速度を、互いに異なる第一搬送速度と第二搬送速度との間で変更するように搬送部を制御するので、吐出時間間隔を段階的にしか変更することができないシングルパス方式のインクジェットによる印刷部であっても、基材の搬送速度が異なる他の工程と連続的に基材の搬送を行うことが可能となる。
さらに、制御装置が、第一搬送速度と第二搬送速度との間での搬送速度の変更開始前と変更完了後に、基材に対して裁断位置情報を形成するので、速度変更による印刷不良箇所を裁断位置として認識させることができる。
そして、第一搬送速度と第二搬送速度との間での搬送速度の切り替えにおいて、第一搬送速度と第二搬送速度として、それぞれシングルパス方式のインクジェットによる印刷部の吐出時間間隔に対応する速度を選択することにより、濃度ムラの無い、正しい縦横比画像で高画質の印刷を行うことが可能となる。
以下、本発明に係るインクジェット記録装置を適用した発明の実施の形態である壁紙製造装置1を図面に基づいて説明する。図1は壁紙製造装置1の概略構成図である。
そして、搬送部10による繰り出し部101から巻き取り部102までの搬送経路において、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって、コーティング部40、印刷部20、発泡部50、エンボス部60、接着剤塗布部70が順番に並んで配置されている。
従って、搬送部10により繰り出し部101から巻き取り部102に搬送されるまでの間で、基材Sに対して上記各部によるコーティング工程、印刷工程、発泡工程、エンボス加工工程、接着剤塗布工程の各工程が順番に連続的に実施される。
壁紙の基材Sは長尺帯状のシート体であり、製造開始前は芯に巻かれたロールR1の状態を呈している。かかる基材Sは、紙、フリース、ビニール、不織布等からなる。
ロールR1は、基材Sの長手方向に直交する方向に沿った中心軸回りに基材Sを巻いた状態となっている。ロールR1の外周面側となる面に対して印刷が行われる。
繰り出し部101は、前述した基材SのロールR1をその中心軸を水平に向けた状態で回転可能に保持している。この繰り出し部101は、ロールR1を回転させて基材Sを繰り出す駆動源となる図示しないモーターと、ロールR1から引き出された基材Sが受ける張力を検出する図示しないセンサーとを備えている。
そして、繰り出し部101は、搬送方向下流側の搬送部10の搬送により基材Sが張力を受けると、当該張力に応じてロールR1から基材Sが繰り出されるようにモーターの駆動制御を実行する。
後述する固定搬送速度は、コーティング部40における基材Sの適正な搬送速度と一致している。
なお、本実施形態の記載において、搬送部10によって搬送される基材Sの平面に平行であって基材Sの長手方向を搬送方向又はY方向、搬送される基材Sの平面に平行であって搬送方向に直交する方向を基材Sの幅方向又はX方向、搬送される基材Sの平面に垂直な方向をZ方向とする。
コーティング部40は、搬送部10によって搬送される基材Sの印刷面側(搬送時における上面側)に対して、耐久性、耐候性、対刷性等の向上を図るために所定の下地層の形成を行う。
コーティング部40は、上記下地層を形成する下地形成装置41と、その搬送方向下流側に設けられた乾燥装置42とを備えている。
下地層の形成材料としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等が好適である。
また、下地形成装置41は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材Sの印刷面の全幅又は印刷可能範囲の全体に渡って下地層をコーティングする。
そして、下地形成装置41の搬送方向下流側に配置された乾燥装置42は、下地形成装置41により下地層がコーティングされた基材Sの印刷面側を加熱する熱源を備えており、加熱乾燥により、下地層のコーティングを基材Sに定着させる。
また、基材Sは、フリース、紙、ビニール、不織布等を材料とするが、いずれの材料を選択した場合でも、基材Sの印刷面に対する印刷を良好に行うことができ、画質の安定化を図ることが可能となる。
印刷部20は、基材Sに対して温度制御を行う温度制御部21と、基材Sの印刷面に対して画像(模様又は模様のない着色面を含む、以下、同じ)を形成する複数のヘッドユニット20Hと(図4では一つのみ図示)、インラインセンサー23と、定着部24とを備えており、これらは搬送方向上流側から下流側に向かって温度制御部21、各ヘッドユニット20H、インラインセンサー23、定着部24の順番で並んで配置されている。
加熱ローラー211は内部に温度制御可能な熱源を備え、当該加熱ローラー211の搬送方向のすぐ下流側には基材Sの温度を検出する図示しない温度センサーが設けられている。
温度制御部21では、制御装置90により、温度センサーの検出に基づいて基材Sが目標とする温度を維持するように加熱制御が行われる。
なお、この場合の目標温度は、ヘッドユニット20Hから吐出されるインクのブリードやビーディング等の発生を抑えて良好な画像形成を行うための適正温度が選択される。
この温度制御部21により、印刷における温度変化の影響を低減することができ、高い画質を安定的に維持することが可能となる。
なお、ヘッドユニット20Hを正面から見た場合とは、搬送部10によって搬送される基材Sの搬送方向に平行な方向からヘッドユニット20Hを見た場合をいう。
即ち、ヘッドユニット20Hは、ライン式の記録ヘッドユニットであり、シャトル型インクジェット印刷方式のように、画像の記録時に、基材の搬送方向を副走査方向とした場合にこれと直交する主走査方向にヘッドを移動させる動作は行われない。
図3は、記録ヘッド22内のインク流路を正面から見た断面図である。
記録ヘッド22内のインク流路は、インレット223及びアウトレット224が接続される共通インク室222と、各ノズル221からインクを吐出するヘッドチップ225とを有する。
インレット223から流入したインクは、共通インク室222に送られる。共通インク室222には、インク内の夾雑物の通過を防ぐフィルター226が設けられており、インレット223は、フィルター226の一方側(上流インク室2221)に連通する。アウトレット224は、フィルター226に対してインレット223と同一の側(上流インク室2221)に設けられた第1アウトレット2241と、フィルター226を挟んでインレット223とは反対側(下流インク室2222)に設けられた第2アウトレット2242とからなる。
各ヘッドユニット20Hで吐出されるインクは、温度によってゲル状又は固体状と、液状とに相変化し、40℃以上、100℃未満に相転移点を有するインクである。
インラインセンサー23による読み取りデータは、制御装置90に入力され、基材Sの印刷画像の画質や印刷位置の検査、画欠検査等の印刷画像の検査、あるいは基材Sの異常検出などに用いられる。
このインラインセンサー23により、基材Sの印刷画像の不良を検出することができ、印刷画像について高い画質を維持することが可能となる。
この定着部24により、各ヘッドユニット20Hにより基材Sの印刷面に形成された画像のインクの硬化を促進し、画像の定着を図ることができる。
また、印刷部20よりも搬送方向下流側に別の工程を行う工程部を備えている場合に、印刷画像が定着状態となっているので画質を安定的に維持することが可能となる。
発泡部50は、印刷部20に対して基材Sの搬送方向下流側に配置されている。そして、発泡部50は、アゾ系化合物熱分解型化学発泡剤や熱膨張型マイクロカプセル発泡剤等からなる発泡剤を含んだポリ塩化ビニル樹脂またはアクリル系樹脂等からなる樹脂材料をダイコート法、コンマコート法或いはその他のコート法により基材Sの印刷面側に層状に形成する塗布装置と、形成された樹脂層を所定の目標温度(例えば、およそ200°)で加熱する発泡炉とを備えている。
塗布装置は、基材Sに対してX方向の全幅又は少なくとも印刷可能幅の全幅に渡って上述の樹脂を塗布する。
これらの構成により、基材Sの印刷面に形成された発泡剤を含む樹脂層を加熱することで発泡層を形成することができる。
エンボス部60は、発泡部50に対して基材Sの搬送方向下流側に配置されている。そして、エンボス部60は、搬送部10によって搬送される基材Sに対して印刷面側に接するエンボスローラー61と、基材Sをエンボスローラー61側に圧接させる加圧ローラー62とを備えている。
エンボスローラー61は、基材Sの印刷面上に形成すべき凹凸形状に対応して凹凸が反転して形成された凹凸形状がその外周面上に形成されている。
エンボスローラー61と加圧ローラー62は、いずれも、X方向について基材Sの全幅を挟んで通過させることが可能な幅を有している。
そして、加圧ローラー62によりエンボスローラー61側に押圧された基材Sが、エンボスローラー61と加圧ローラー62の隙間を通過することにより、発泡部50により形成された基材Sの印刷面上の樹脂層にエンボスローラー61の外周面上の凹凸形状が押し込まれて、形成すべき凹凸形状が転写形成される。
冷却部65は、搬送部10によって搬送される基材Sに対して印刷面側に接する冷却ローラー66と、基材Sを冷却ローラー66側に圧接させる加圧ローラー67とを備えている。
冷却ローラー66と加圧ローラー67は、いずれも、X方向について基材Sの全幅を挟んで通過させることが可能な幅を有している。
冷却ローラー66は、空冷、水冷或いは冷却素子により冷却可能であって熱伝導率の高い材料から形成されており、加圧ローラー67により基材Sの印刷面側の樹脂層が冷却ローラー66に圧着することにより当該樹脂層を冷却する。
これにより、エンボス部60により形成された凹凸形状を維持して樹脂層を硬化させることができる。
なお、上述した発泡部50とエンボス部60と冷却部65とからなる構成をエンボス加工部6と総称する場合がある(図4参照)。
接着剤塗布部70は、基材Sの印刷面と逆側の裏面(以下、「基材Sの裏面」という)に、壁紙として壁面に貼り付ける際に、壁面に接着するための接着剤層を形成するためのものであり、発泡部50に対して基材Sの搬送方向下流側に配置されている。
そして、この接着剤塗布部70は、アクリル系、ゴム系又はシリコーン系の粘着性の接着剤をダイコート法、その他のコート法により基材Sの裏面側に層状に形成する塗布装置71と、形成された接着剤層を加熱する加熱部72とを備えている。
これらの構成により、基材Sの裏面に接着剤層を形成し、加熱することにより軟化させて、層圧の均一化を図りやすい状態にすることができる。
なお、接着剤塗布部70には、基材Sの接着剤層の接着面に基材Sと同一幅の剥離シートを貼着する剥離シート貼着装置を付加しても良い。この接着剤塗布部70の次工程において、基材Sの巻き取りが行われるが、その際に、基材Sの接着剤層の接着面に剥離シートを介在させることで、基材Sの印刷面に直接的に接着剤層が付着することを回避することができる。
巻き取り部102は、接着剤塗布部70に対して基材Sの搬送方向下流側に配置されている。
巻き取り部102は、コーティング工程、印刷工程、発泡工程、エンボス加工工程、接着剤塗布工程を経た基材Sを巻き取り、基材SのロールR2を形成する。基材SのロールR2は、その中心軸がX方向に水平となる状態で回転可能な状態で巻き取り部102に保持される。
この巻き取り部102は、ロールR2を回転させて基材Sを巻き取る駆動源となる図示しないモーターと、ロールR2の手前の基材Sの弛みを検出する図示しないセンサーとを備えている。
そして、巻き取り部102は、ロールR2の手前で基材Sに弛みが検出されると、弛みがなくなるようモーターの速度制御を行いつつ基材Sの巻き取りを実行する。
この巻き取り部102により、製造完了後の壁紙の基材Sを自動的に巻き取ることができ、製造完了後の壁紙の基材Sの後処理等の人為的な作業を不要とし、壁紙の生産性の向上を図ることが可能となる。
搬送部10は、繰り出し部101から巻き取り部102に到るまでの搬送経路において基材Sの印刷面が水平状態を維持して当該基材Sが搬送されるように、その搬送経路に沿って並んで設けられた四つの中継ローラー111〜114及び四つの搬送ローラー対121〜124と、各搬送ローラー対121〜124を個別に駆動する図示しない搬送モーター及びその回転量を検出する図示しないエンコーダーとを備えている。
搬送ローラー対121〜124は、いずれも、搬送される基材Sの印刷面に当接する上ローラーと基材Sの裏面に当接する下ローラーとからなり、上ローラーと下ローラーで基材Sを挟んで搬送するので、基材Sの剛性によって撓みを生じた場合でも当該基材Sが上ローラー又は下ローラーから離間することを防止することができ、安定的に目標とする搬送速度で基材Sを搬送することができる。
なお、搬送ローラー対121〜124の上ローラーと下ローラーは、いずれか一方が搬送モーターにより動力が付与されており、他方は従動回転を行う。
そして、中継ローラー111と搬送ローラー対121とが第一の搬送区間F1内に配置され、これらは「第一の搬送部」又は「前工程搬送部」を構成する。また、搬送ローラー対121は第一の搬送区間F1の搬送方向下流側の端部に配置されている。
また、中継ローラー112と搬送ローラー対122,123とが第二の搬送区間F2内に配置され、これらは「第二の搬送部」を構成する。また、搬送ローラー対122は第二の搬送区間F2の搬送方向上流側の端部に配置され、搬送ローラー対123は第二の搬送区間F2の搬送方向下流側の端部に配置されている。
また、中継ローラー113,114と搬送ローラー対124とが第三の搬送区間F3内に配置され、これらは「第三の搬送部」を構成する。また、搬送ローラー対124は第三の搬送区間F3の搬送方向上流側の端部に配置されている。
また、第二の搬送区間F2内に配置された搬送ローラー対122,123は、制御装置90により制御され、規定の搬送速度(印刷搬送速度とする)で基材Sを連動搬送させる。この印刷搬送速度は、第一搬送速度v1と第二搬送速度v2の二段階の搬送速度が定められており、制御装置90によりこれらが適宜選択され、搬送ローラー対122,123に対していずれの搬送速度で搬送すべきか指令が出される。
また、第三の搬送区間F3内に配置された搬送ローラー対124は、規定の搬送速度(第一の搬送区間F1と同じ固定搬送速度)で基材Sを搬送させる。
即ち、搬送部10における第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の境界部分が、基材Sの弛みが形成される弛み形成部103として機能する。
同様に、第二の搬送区間F2と第三の搬送区間F3の搬送速度が異なる場合には、第二の搬送区間F2と第三の搬送区間F3の境界に配置された搬送ローラー対123と搬送ローラー対124との間で基材Sは弛みを生じる場合がある。
この弛みセンサー125は、下方に弛んだ基材の弛み長さを光学的に検出するセンサーである。
図4は壁紙製造装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
制御装置90は、CPU91(Central Processing Unit)、RAM92(Random Access Memory)、ROM93(Read Only Memory)及び記憶部94を有する。
CPU91は、ROM93に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM92に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。また、CPU91は、壁紙製造装置1の全体動作を統括制御する。
RAM92は、CPU91に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM92は、不揮発性メモリーを含んでいても良い。
ROM93は、CPU91により実行される各種制御用のプログラムや設定データなどを格納する。なお、ROM93に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
記憶部94には、基材Sに対して印刷部20が印刷を行う画像に係る画像データ、及び各種設定データなどが記憶される。記憶部94としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されても良い。
そして、これらの内で、印刷部20の各構成及び搬送部10の搬送ローラー対122,123及び弛みセンサー125は、制御装置90とバス95を介して接続され、相互に信号の送受信を行うことができる。なお、上記各構成は図示しないインターフェイスを介して制御装置90に接続されている。
操作表示部96は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示装置と、操作キーや、表示装置の画面に重ねられて配置されたタッチパネルといった入力装置とを備える。操作表示部96は、表示装置において各種情報を表示させ、また入力装置に対するユーザーの入力操作を操作信号に変換して制御装置90に出力する。
例えば、制御装置90は、通信ネットワークNを通じて外部のサーバー装置98と通信を行い、サーバー装置98から印刷の画像データを取得して記憶部94に格納し、当該画像データに基づいて基材Sに対する印刷を行うことができる。従って、より多種多彩な壁紙のパターン画像を容易かつ高速に取り込むことができ、多様な壁紙を容易に製造することが可能となる。
制御装置90が行う基材Sの搬送制御について説明する。
壁紙製造装置1は、印刷部20の各ヘッドユニット20Hがシングルパス方式で画像を記録するライン式の記録ヘッドユニットであることから、基材Sの印刷面に対して従来よりも高速で印刷を行うことができ、これに伴い、基材Sの搬送速度も高速化を図ることができる。
しかし、印刷部20は、圧電素子を利用したヘッドユニット20Hにより印刷を行うことから、ヘッドユニット20Hの構造に起因した共鳴時間(AL)に応じた吐出時間間隔に制限される。例えば共鳴時間ALが2[μsec]のヘッドユニット20Hの場合、インクを適切に射出させる為の最小吐出時間間隔は5ALであり、その次に速く吐出させるには7ALであり、これ以降、ALの奇数倍で非連続的に決定される。そして、このような吐出時間間隔と共鳴時間ALの関係を無視すると液量が減ったりサテライトが多くなったりして適切に射出できない。つまり、印刷部20における印刷搬送速度は、上記吐出時間間隔と記録密度(ドット間隔)とによって決定され、記録密度は固定されるので印刷搬送速度も吐出時間間隔と同様に非連続的にしか変更することができず、印刷搬送速度を自由に好きな速度に調節することが困難である。
従って、制御装置90は、次式(1)のように、印刷搬送速度として、固定搬送速度vaより高速の第一搬送速度v1(例えば、記録密度/5AL)と固定搬送速度vaより低速の第二搬送速度v2(例えば、記録密度/7AL)を定め、基材Sの弛みの発生状況に応じて第一搬送速度v1と第二搬送速度v2とを切り替えるように搬送部10の搬送ローラー対122,123を制御する。
(第一搬送速度v1)>(固定搬送速度va)>(第二搬送速度v2) …(1)
この速度切り替え制御により、連続する基材Sの搬送速度が搬送区間F1〜F3ごとに異なる場合でも、基材Sの引っ張りや過剰な弛みの発生を抑制することができる。
従って、制御装置90は、基材Sの弛み長さを弛みセンサー125で検出し、検出された基材Sの弛み長さに応じて印刷搬送速度を切り替える速度切り替え制御を実施しているが、その詳細は後述する。
壁紙の材料となる基材Sの印刷面には、パターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像が搬送方向に沿って印刷される。なお、このパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像は、搬送方向に長さL毎に連続して形成されていれば良く、長さL内により小さなパターン画像Pが複数連続するものでも良いし、長さLの範囲内に空白部分を含んでいてもよい。
さらに、パターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像が連続して形成される場合は各距離Lの繰り返し画像の終了端部に裁断位置情報としてのカットマークMが形成される。
このカットマークMは印刷後の裁断位置の基準となるべきものであり、原則として、搬送方向Yについて、並んで形成されるパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の終了端部ごとに、つまり、距離Lごとに基材Sの印刷面上に形成されるように、制御装置90が印刷部20を制御する。カットマーク(裁断位置情報)Mとしては、ライン、ドット、絵柄や模様や印刷領域の切れ目、色彩の違いによって示された境界、所定のマーキング等、視覚的に裁断位置を特定可能なあらゆる形態が含まれる。
そして、第一搬送速度v1から第二搬送速度v2への速度変化期間中又は第二搬送速度v2から第一搬送速度v1への速度変化期間中は、共鳴時間ALに応じた吐出時間間隔を維持することが難しく、前述した吐出液量の変動やサテライト等が生じ、画質、濃淡、解像度等を一定に維持することが困難である。
従って、制御装置90は、パターン画像Pを有する繰り返し画像の距離Lの搬送から次のパターン画像Pを有する繰り返し画像の距離Lの搬送までの間で、第一搬送速度v1−第二搬送速度v2の速度切り替え(v1からv2への切り替えとv2からv1への切り替えの両方を含む)を行い、搬送速度が変化している間はパターン画像Pの形成を行わないように、印刷部20と搬送部10の搬送ローラー対122,123とを連携させて制御している。
一方、吐出時間間隔を変更した場合であっても、画像の縦横比を一定に維持するために、記録密度(ドット間隔)を一定に維持しなければならない。
このため、第一搬送速度v1における印刷部20の吐出時間間隔をT1とし、第二搬送速度v2における印刷部20の吐出時間間隔をT2とした場合、
v1×T1=v2×T2=記録密度
が成立するように、第一搬送速度v1及び第二搬送速度v2の値が設定されている。
なお、吐出時間間隔T1,T2については、前述したように、それぞれが共鳴時間ALの5以上の奇数倍であり、ここでは、吐出時間間隔T1=5AL,T2=7ALである場合を例示する。
基材Sにおける速度変化領域Rmは壁紙としては不要箇所であることから、速度変化領域Rmの搬送方向上流側のパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の終了端部と下流側のパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の開始端部とにカットマークMを形成するように印刷部20が制御される。この速度変化領域Rmの幅をDとすると、壁紙形成後に、基材Sにおける幅Dの速度変化領域Rmを後で裁断して除去することが可能となる。
そして、図6に示すように、ヘッドユニット20Hが基材Sの搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順番にピッチLpの間隔で配列されている場合、搬送方向における基材位置aで基材Sに対するパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の終了端部のイエロー(Y)のヘッドユニット20Hの印刷動作を停止する。
次いで、搬送方向における基材位置b,c,dで基材Sにおけるパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の終了端部のマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各ヘッドユニット20Hの印刷動作を順番に停止する。
また、少なくも一つのヘッドユニット20Hは、該当する搬送方向における基材位置a,b,c,dの直前でカットマークMを形成するためのインク吐出を実行する。
そして、最下流のヘッドユニット20Hが通過した搬送方向における基材位置dにおいて、全てのヘッドユニット20Hが印刷動作を停止した状態となり、これ以降、次のパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の開始端部がイエロー(Y)の吐出位置を通過する位置eに基材Sが到達するまでの間に第一搬送速度v1と第二搬送速度v2との速度変更が行われる。従って全てのヘッドユニット20Hが第一搬送速度で基材上のカットマークを印刷し通過する事になる。
そして、次のパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の開始端部がイエロー(Y)の吐出位置を通過する搬送方向における基材位置eに基材Sが到達すると当該ヘッドユニット20Hが印刷動作を再開し、これ以降、搬送方向における基材位置f,g,hで基材Sにおけるパターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の開始端部がマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各ヘッドユニット20Hの吐出位置を順番に通過すると各々のヘッドユニット20Hが印刷動作を順番に再開する。
また、各ヘッドユニット20Hは、搬送方向における基材位置e,f,g,hの直後にカットマークMを形成するためのインク吐出を実行する。従って全てのヘッドユニット20Hが第二搬送速度になった後で基材上のカットマークを印刷する事になる。
制御装置90のCPU91が実行する、印刷搬送速度の速度切り替え制御を含む基材の搬送制御について図5及び図7のフローチャートに基づいて説明する。
また、当初は、第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の間では基材Sについて予め所定長さの弛みが予め形成されており、第二の搬送区間F2と第三の搬送区間F3の間では基材Sについて弛みは形成されていない状態にある。
なお、パターン画像Pを有する繰り返し画像の距離L分の搬送は、基材Sの搬送距離を第二の搬送区間F2の搬送ローラー対122を駆動するモーターに設けられたエンコーダーや基材Sの搬送距離を光学的に検出するセンサー等で検出することができる。
一方、弛み長さLfraが最小限度となる距離Lmin以上の場合には、そのまま印刷と印刷搬送速度v1又はv2の搬送を継続する(ステップS29)。
そして、第一搬送速度v1で搬送中の場合には(ステップS3:YES)、第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の間の基材Sの弛み長さLfraが減少するので、残りの弛み長さLfraが判定値(下限値)Lrem未満となったか否かを判定する(ステップS5)。
この弛み長さの判定値Lremは、第一搬送速度v1でパターン画像Pを有する繰り返し画像の距離Lを印刷する時間で減少する第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の間の基材Sの弛み長さを示している。
この弛み長さ判定値Lremは次式(2)により求めることができる。
Lrem=L-(va*L/v1) …(2)
もし、残りの弛み長さLfraが消費される弛み長さの判定値Lremより短い状態で第一搬送速度v1で次のパターン画像Pを有する繰り返し画像の距離Lの搬送を開始してしまうと、パターン画像Pを有する繰り返し画像の距離L分の搬送が行われる前に、残りの弛み長さLfraが全て消費され尽くしてしまい、第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の間の基材Sが第二の搬送部により過剰に引っ張られてしまう。
従って、そのようなことが生じないように、残りの弛み長さLfraが判定値Lrem未満の場合には(ステップS5:YES)、CPU91の制御により、カットマークMを印刷し(ステップS7)、印刷搬送速度の速度切り替え制御を実行して第一搬送速度v1から第二搬送速度v2へ減速するように制御が行われる(ステップS9)。
一方、残りの弛み長さLfraが判定値Lrem以上の場合には(ステップS5:NO)、第一搬送速度v1のままで次のパターン画像Pを有する繰り返し画像の距離Lの搬送が行われる(ステップS29)。
これ以降は、パターン画像Pを有する繰り返し画像の距離L分の搬送を継続し(ステップS29)、ステップS1に処理を戻して、パターン画像Pを有する距離Lの繰り返し画像の終了端部への到達を監視する。
印刷搬送速度を第二搬送速度v2として基材Sの搬送を行っている間は、第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の間の基材Sの弛み長さが増加するので、再び、第一搬送速度v1に速度切り替えが行われた場合に、少なくともパターン画像Pを有する繰り返し画像の距離L分の搬送をすることができる長さまで基材Sの弛み長さを蓄える必要がある。
従って、第二搬送速度v2における判定値(上限値)は、Lremに限らず、Lrem以上の値であれば良い。
例えば、第二搬送速度v2における判定値(上限値)をLremのn倍(nは自然数)とした場合には、弛み長さがLremのn倍以上まで蓄えられるので、パターン画像Pが連続してn個形成される度に速度切り替え制御が実施されることになる。
一方、弛み長さLfraが判定値Lrem未満の場合には(ステップS17:NO)、さらに、弛み長さLfraが前述した最小限度となる距離Lmin未満か否かを判定し(ステップS31)、距離Lmin未満である場合には、印刷部20による印刷を停止させる(ステップS33)。また、弛み長さLfraが最小限度となる距離Lmin以上の場合には、第二搬送速度v2のままで次のパターン画像Pを有する繰り返し画像の距離L分の搬送が行われる(ステップS29)。
これ以降は、パターン画像Pを有する繰り返し画像の距離L分の搬送を継続し(ステップS29)、ステップS1に処理を戻して、距離L分の搬送が行われてパターン画像Pを有する繰り返し画像の終了端部への到達を監視する。
即ち、第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の間の基材Sの弛み長さが増加する際には第二の搬送区間F2と第三の搬送区間F3の間の基材Sの弛み長さは減少し、第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の間の基材Sの弛み長さが減少する際には第二の搬送区間F2と第三の搬送区間F3の間の基材Sの弛み長さは増加する。
従って、第二の搬送区間F2と第三の搬送区間F3の間の基材Sの弛みは、第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2の間の基材Sの弛みと同様に制御され、基材Sの引っ張りや過剰な弛みの発生が抑制される。
壁紙製造装置1では、搬送部10が搬送経路の全体に渡って基材Sを幅方向に広げた状態で搬送し、印刷部20が搬送部10により搬送される基材Sに対してシングルパス方式の吐出構造により印刷を行うことから、印刷部20において、従来よりも高速で搬送することが可能となる。
従って、従来のように、搬送経路に設けられた基材処理部としてのコーティング部40、発泡部50、エンボス部60又は接着剤塗布部70における基材Sの搬送速度を従来のシャトル型インクジェット印刷方式の印刷部に合わせて低速で行う必要がなくなり、壁紙製造装置1における壁紙の製造の高速化を図ることが可能となる。
さらに、制御装置90は、第一搬送速度v1と第二搬送速度v2との間での印刷搬送速度の変更開始前と変更完了後に、基材Sに対してカットマークMを形成するように印刷部20を制御するので、速度変更による印刷が困難な箇所を裁断位置として認識させることができる。
また、第一搬送速度v1と第二搬送速度v2として、それぞれシングルパス方式のインクジェットによる印刷部20の吐出時間間隔に対応する速度が選択されているので、濃度ムラの無い、正しい縦横比画像で高画質の印刷を行うことが可能となる。
また、搬送速度の変更中の長さDとなる速度変化領域Rmは、その両端部にカットマークMが形成されるので、印刷後には容易に除去することが可能である。
このため、第一の搬送区間F1と第二の搬送区間F2との間において基材Sの弛みに増減が生じるが、シングルパス方式のインクジェットによる印刷部20において適正な搬送速度v1又はv2を維持しつつ、基材Sの引張や過剰な弛みの発生を抑制し、基材Sを保護し、良好な印刷画像を維持して搬送を行うことが可能となる。
このため、搬送速度が異なる場合でも、記録密度及び画像の縦横比を一定に維持することができ、搬送速度の変更が行われても形成画像の品質を一定に維持することが可能となる。
上記壁紙製造装置1では、第一の搬送区間F1内に配置される基材処理部としてコーティング部40を例示しているが、これに限定されない。
例えば、図8に示すように、基材処理部としてコロナ処理部40Aを設けてもよい。
このコロナ処理部40Aは、基材Sの裏面に圧接する接地された誘電体ローラー42Aと、誘電体ローラー42Aの圧接位置において基材Sの印刷面側に近接対向配置された電極41Aとからなり、電極41Aは高周波高電圧の電源に接続されている。これにより、通過する基材Sの印刷面にコロナ放電による加速電子を衝突させて、基材Sの印刷面の改質を図り、印刷性の向上を図るものである。
なお、コーティング部40とコロナ処理部40Aは、いずれも基材処理部として併存させてもよい。その場合、コーティング部40をコロナ処理部40Aよりも搬送方向上流側に配置し、形成された下地層の改質を行うことが望ましい。
上記壁紙製造装置1は、制御装置90は、搬送部10の第二の搬送区間及び印刷部20のみを制御対象として、繰り出し部101、搬送部10の第一及び第三の搬送区間、コーティング部40、エンボス加工部6、接着剤塗布部70、巻き取り部102は独立的に駆動して印刷動作を行っている例を示したが、これに限定されない。
例えば、図9に示すように、制御装置90は、搬送部10の全ての搬送ローラー対121〜124、印刷部20、繰り出し部101、コーティング部40、エンボス加工部6の発泡部50、エンボス部60冷却部65、接着剤塗布部70、巻き取り部102について図示しないインターフェイスを介してバス接続を行い、これらに対して制御信号等の送受を可能に構成しても良い。
その場合、制御装置90は、繰り出し部101、コーティング部40、エンボス加工部6、接着剤塗布部70、巻き取り部102の各動作も連係するよう動作制御を行い、これらを一括的に制御しながら、壁紙の製造の各工程を実行することができる。また、搬送部10の第一及び第三の搬送区間の搬送速度も制御装置90により制御することができる。
また、制御装置90が一括的に全構成を制御する場合に限らず、繰り出し部101、搬送部10、コーティング部40、エンボス加工部6、接着剤塗布部70、巻き取り部102のそれぞれが制御部を個々に有しており、これらの制御部が制御装置90と通信して連携的に動作制御を行い壁紙の製造の各工程を実行する構成としても良い。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
例えば、第一搬送速度v1は固定搬送速度vaよりも高速、第二搬送速度v2は固定搬送速度vaよりも低速であれば良く、第一搬送速度v1と第二搬送速度v2における吐出時間間隔5AL、7ALに限定されず、これらは5以上の奇数であれば良い。
また、第一搬送速度v1は固定搬送速度vaよりも高速、第二搬送速度v2は固定搬送速度vaよりも低速であれば、それぞれ、固定搬送速度vaに極力近い速度とすることが望ましく、これに応じて、吐出時間間隔も5以上の奇数の中でより適正な数値を選択すべきである。
また、発泡部50、エンボス部60のいずれか一つ又は両方を第一の搬送区間F1に配置しても良い。その場合、コーティング部40を省略した構成としても良い。
また、基材処理部としては、上記コーティング部40、発泡部50、エンボス部60、接着剤塗布部70を例示しているが、壁紙製造に関する処理に限らず、長尺シート状の基材に対する画像形成に伴うあらゆる処理を行う構成を基材処理部とすることが可能である。
6 エンボス加工部
10 搬送部
111〜114 中継ローラー
121〜124 搬送ローラー対
125 弛みセンサー
20 印刷部
20H ヘッドユニット
22 記録ヘッド
22M ヘッドモジュール
40 コーティング部(基材処理部)
40A コロナ処理部(基材処理部)
50 発泡部(基材処理部)
60 エンボス部(基材処理部)
70 接着剤塗布部(基材処理部)
90 制御装置(搬送速度指示部)
91 CPU
221 ノズル
F1 第一の搬送区間
F2 第二の搬送区間
F3 第三の搬送区間
M カットマーク(裁断位置情報)
P パターン画像
Rm 速度変化領域
S 基材
v1 第一搬送速度
v2 第二搬送速度
va 固定搬送速度
Claims (12)
- 長尺シート状の基材を平面状に広げた状態で搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記基材に対して当該基材の幅方向に沿って設けられた複数のノズルからインクを吐出して印刷を行うシングルパス方式のインクジェットによる印刷部と、
前記印刷部に対する前記基材の搬送速度を、互いに異なる第一搬送速度と第二搬送速度との間で変更するように前記搬送部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との間での搬送速度の変更開始前と変更完了後に、前記基材に対して裁断位置情報を形成すると共に、搬送速度が変化している間は画像の形成を行わないように前記印刷部を制御し、
前記第一搬送速度は前記第二搬送速度よりも高速であり、
前記搬送部における搬送方向上流側で前記基材を平面状に広げた状態で搬送する前工程搬送部と、
前記前工程搬送部によって搬送される前記基材に対して印刷以外の処理を行う基材処理部とを備え、
前記前工程搬送部の搬送速度は、前記第一搬送速度よりも低速かつ前記第二搬送速度よりも高速であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 長尺シート状の基材を平面状に広げた状態で搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記基材に対して当該基材の幅方向に沿って設けられた複数のノズルからインクを吐出して印刷を行うシングルパス方式のインクジェットによる印刷部と、
前記印刷部に対する前記基材の搬送速度を、互いに異なる第一搬送速度と第二搬送速度との間で変更するように前記搬送部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との間での搬送速度の変更開始前と変更完了後に、前記基材に対して裁断位置情報を形成するように前記印刷部を制御し、
前記印刷部は、前記基材に対して所定距離毎の繰り返し画像を前記搬送部の搬送方向に沿って形成し、
前記制御装置は、前記所定距離毎の繰り返し画像の形成後、次の前記所定距離毎の繰り返し画像の形成前に、前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との間での搬送速度の変更を行うよう前記搬送部を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 長尺シート状の基材を平面状に広げた状態で搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記基材に対して当該基材の幅方向に沿って設けられた複数のノズルからインクを吐出して印刷を行うシングルパス方式のインクジェットによる印刷部と、
前記印刷部に対する前記基材の搬送速度を、互いに異なる第一搬送速度と第二搬送速度との間で変更するように前記搬送部を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との間での搬送速度の変更開始前と変更完了後に、前記基材に対して裁断位置情報を形成すると共に、搬送速度が変化している間は画像の形成を行わないように前記印刷部を制御し、
前記第一搬送速度をv1、当該第一搬送速度v1における前記印刷部の吐出時間間隔をT1、前記第二搬送速度をv2、当該第二搬送速度v2における前記印刷部の吐出時間間隔をT2とした場合、
v1×T1=v2×T2
が成立することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記第一搬送速度をv1、当該第一搬送速度v1における前記印刷部の吐出時間間隔をT1、前記第二搬送速度をv2、当該第二搬送速度v2における前記印刷部の吐出時間間隔をT2とした場合、
v1×T1=v2×T2
が成立することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記第一搬送速度は前記第二搬送速度よりも高速であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記搬送部における搬送方向上流側で前記基材を平面状に広げた状態で搬送する前工程搬送部と、
前記前工程搬送部によって搬送される前記基材に対して印刷以外の処理を行う基材処理部とを備え、
前記前工程搬送部の搬送速度は、前記第一搬送速度よりも低速かつ前記第二搬送速度よりも高速であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。 - 前記前工程搬送部の搬送方向下流側に、前記基材の弛みが形成される弛み形成部を有することを特徴とする請求項1又は6に記載のインクジェット記録装置。
- 前記第一搬送速度と前記第二搬送速度との切り替えを指示する搬送速度指示部と、
前記弛み形成部の弛み量を検出する弛み検出部とを備え、
前記搬送速度指示部は、前記弛み検出部による検出結果と、前記前工程搬送部の搬送速度と、前記第一搬送速度とに基づく演算結果から切り替えを指示することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。 - 前記制御装置は、前記弛み検出部により検出される前記基材の弛み量が予め規定された距離以下になった場合、前記印刷部による印刷を停止する制御を行うことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
- 前記基材処理部は、前記基材に対してコロナ処理を行うことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記裁断位置情報は、ライン、マーク、画像の境界、その他の視覚的認識可能な形態であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記印刷部はピエゾ素子によりインクの吐出を行うヘッドを有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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