JP6977256B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ内面に緩衝層を備えた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、タイヤ質量や転がり抵抗を悪化させることなく、サイド部の損傷を防止することを可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤが縁石やチャッターバー等のある程度の大きさを持った路面上の障害物(以下、「縁石等」という)に乗り上げたときに、サイドウォール部が変形して縁石等とリムフランジとの間に挟まれて損傷(サイドカット)し、パンクに至るという故障が知られている。このような故障は、例えばサイドウォール部のゴム厚さが大きければ発生し難いが、近年、タイヤ性能の更なる向上のためにタイヤ質量や転がり抵抗の低減が強く求められているため、ゴム厚さを増大すること以外での対策が求められている。
例えば、特許文献1では、タイヤが縁石等に乗り上げた際に、衝撃を緩和し、かつ、サイドウォール部の極端な変形を回避させるクッションとして機能する複数の突起をサイドウォール部の内面に設けることを提案している。しかしながら、このような突起であってもサイドカットを必ずしも防止することができず、また、突起の個数や材質によってタイヤ質量や転がり抵抗を充分に低く維持することが難しいため、更なる対策が求められている。
特開2005‐014809公報
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における該カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層とを有した空気入りタイヤにおいて、前記一対のサイドウォール部のそれぞれにおける前記ベルト層のタイヤ幅方向最外側端部からタイヤ内表面に下した垂線L1とリム組み時にリムフランジの径方向外側端部に対応する位置L2との間の領域をタイヤサイド領域Sとしたとき、前記一対のサイドウォール部のうち少なくとも一方のサイドウォール部の前記タイヤサイド領域Sに前記カーカス層の内側でタイヤ全周に亘って存在する緩衝層が局所的に設けられており、該緩衝層は少なくとも一部が発泡ゴムで構成されて硬度が15以上80未満、比重が0.1〜1.1であり、前記発泡ゴムはゴム成分100重量部中にブチルゴムおよび/またはハロゲン化ブチルゴムを40重量部以上含むゴム組成物で構成されており、前記緩衝層を設けた領域における前記カーカス層の最内面から緩衝層の最内面までの厚さG1が前記緩衝層を設けない領域における前記カーカス層の最内面からタイヤ最内面までの厚さG2よりも大きく、前記厚さG1が1.0mm〜8.0mmであることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における該カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層とを有した空気入りタイヤにおいて、前記一対のサイドウォール部のそれぞれにおける前記ベルト層のタイヤ幅方向最外側端部からタイヤ内表面に下した垂線L1とリム組み時にリムフランジの径方向外側端部に対応する位置L2との間の領域をタイヤサイド領域Sとしたとき、前記一対のサイドウォール部のうち少なくとも一方のサイドウォール部の前記タイヤサイド領域Sに前記カーカス層の内側でタイヤ全周に亘って存在する緩衝層が局所的に設けられており、該緩衝層は少なくとも一部が発泡ゴムで構成されて硬度が15以上80未満であり、前記緩衝層を設けた領域における前記カーカス層の最内面から緩衝層の最内面までの厚さG1が前記緩衝層を設けない領域における前記カーカス層の最内面からタイヤ最内面までの厚さG2よりも大きく、前記厚さG1が1.0mm〜8.0mmであることを特徴とする。
本発明では、発泡ゴムで構成されて上述の硬度を有することで適度に柔軟な緩衝層が上述の位置に配置されているので、タイヤが縁石等に乗り上げた際に、衝撃を緩和したり、サイドウォール部が縁石等とリムフランジとの間に強く挟まれることを回避することができ、サイドカットを効果的に防止することができる。このとき、緩衝層が非発泡ゴムに比べて比重(単位体積当たりの重量)が小さい発泡ゴムで構成されていることに加えて、緩衝層が設けられた領域においてもカーカス層の内側のゴムゲージ(厚さG1)を上述の範囲に設定しているので、タイヤ重量を大幅に増大させたり、転がり抵抗を悪化させずに、維持することができる。尚、本発明における「硬度」とは、JIS K6253に準拠して、デュロメータのタイプAにより温度20℃の条件で測定された硬さ(所謂、JIS‐A硬度)であり、硬度の測定対象が発泡ゴムである場合は、原料ゴムの非発泡状態での硬度ではなく、発泡体としての硬度である。
本発明においては、緩衝層がタイヤサイド領域Sにおけるタイヤ最大幅位置Pを除いた部位に設けられることが好ましい。このように、縁石等に乗り上げた際に損傷を受ける可能性が低い部位(タイヤ最大幅位置P)を避けて緩衝層を設けることで、緩衝層の使用量を抑えることができ、サイドカットを確実に防止しながら、タイヤ重量の増加を抑制することができる。また、タイヤ最大幅位置Pはタイヤが転動する際に変形が大きい部位であるので、これを避けることによって転がり抵抗の悪化も効果的に回避することができる。
本発明においては、位置L2からタイヤ最大幅位置Pまでのタイヤ径方向に沿った距離を垂直距離Hとしたとき、緩衝層が位置L2から垂直距離Hの70%までの領域に設けられた仕様にすることもできる。この仕様では、損傷を受け易い領域に緩衝層を限定的に設けることができるため、サイドカットを確実に防止しながら、タイヤ重量および転がり抵抗の悪化を効果的に防止することができる。
或いは、サイドウォール部の外表面にリムプロテクト部が設けられた場合に、緩衝層が垂線L1とタイヤ最大幅位置Pとの間に設けられた仕様にすることもできる。この仕様では、リムプロテクト部を備えたタイヤにおいて損傷を受け易い領域に緩衝層を限定的に設けることができるため、サイドカットを確実に防止しながら、タイヤ重量および転がり抵抗の悪化を効果的に防止することができる。
本発明においては、タイヤサイド領域Sにおけるカーカス層の最外面からサイドウォール部の外表面までの厚さg1の最小値が0.5mm〜2.0mmであることが好ましい。このようにサイドウォール部の厚さを限定することで、タイヤ重量および転がり抵抗を低く維持するには有利になる。
本発明においては、緩衝層がタイヤ内腔に対して露出していることが好ましい。これにより、クッションとして機能する緩衝層が、タイヤが変形した際に対向するタイヤ内面や緩衝層の他の部位と直接当接することができるため、サイドカットを防止するには有利になる。
本発明においては、前述のように、緩衝層の比重が0.1〜1.1である。このように緩衝層の比重を適度な範囲に収めることで、緩衝層として適度な強度を得ながら、緩衝層の重量を抑えることができ、サイドカットの防止とタイヤ重量および転がり抵抗の維持とをバランスよく両立するには有利になる。
本発明においては、緩衝層の少なくとも一部が独立気泡からなる発泡ゴムで構成されることが好ましい。このように緩衝層を構成する発泡ゴムに含まれる気泡を独立気泡とすることで、緩衝層が過度に柔軟になることを避けて、緩衝層として適度な強度を得ることができ、サイドカットを防止するには有利になる。
本発明においては、緩衝層の厚みG3が0.5mm〜5.0mmであることが好ましい。このように緩衝層自体の厚さを適度な範囲に設定することで、サイドカットの防止とタイヤ重量および転がり抵抗の維持とをバランスよく両立するには有利になる。
本発明の上記空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法としては、未加硫の空気入りタイヤの最内面に未加硫の緩衝層を貼り付けた後、加硫ブラダーが前記未加硫の緩衝層に接触した状態にして加硫を行って空気入りタイヤを製造するにあたって、加硫ブラダーの少なくとも未加硫の緩衝層と接触する領域に加硫時に未加硫の緩衝層から発生する気体を逃がすための凹凸を形成し、この加硫ブラダーを用いて加硫を行うことが好ましい。このような製造方法を採用することで、加硫故障を防止することができ、この製造方法によって得られた空気入りタイヤでは、上述の緩衝層を備えた空気入りタイヤとしての優れた性能(サイドカットの防止とタイヤ重量および転がり抵抗の維持)を発揮することが可能になる。
尚、本発明において、タイヤの各種寸法は、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で測定したものである。尚、タイヤ最大幅位置Pとは、この状態においてタイヤの幅が最大となるタイヤ径方向の位置である。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが新車装着タイヤの場合は車両に表示された空気圧とする。「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。 本発明の空気入りタイヤが縁石等に乗り上げた際の変形状態を模式的に示す説明図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線半断面図である。 本発明の別の実施形態からなる空気入りタイヤの一部を展開して示す説明図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、CLはタイヤ赤道を示す。
左右一対のビード部3間にはカーカス層4(図1の例では1層)が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りに車両内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1の例では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の外周側には複数層のベルトカバー層8(図1の例ではベルト層7の両端部を局所的に覆う一対のベルトカバー層8)が設けられている。ベルトカバー層8はいずれもタイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含み、その有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°〜5°に設定されている。
カーカス層4の内側にはインナーライナー層9が設けられている。インナーライナー層9は、空気透過防止性能を有するブチルゴムを主体とするゴム組成物や、空気透過防止性能を有する樹脂等(熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーが分散した熱可塑性エラストマー組成物)で構成され、タイヤ内に充填された空気がタイヤ外に透過することを防いでいる。
本発明は、このような一般的な空気入りタイヤのサイドウォール部2の内面に、後述のように緩衝層10を設けたものである。そのため、緩衝層10を除いた空気入りタイヤの基本的な断面構造は上述の構造に限定されるものではない。
本発明では、サイドウォール部2のタイヤサイド領域Sにおけるカーカス層4の内側に緩衝層10が局所的に設けられている。尚、サイド領域Sとは、図示のように、各サイドウォール部2においてベルト層7のタイヤ幅方向最外側端部からタイヤ内表面に下した垂線L1とリム組み時にリムフランジの径方向外側端部に対応する位置L2との間の領域である。緩衝層10は少なくとも一部が発泡ゴムで構成されており、硬度が15以上80未満に設定されている。また、このように緩衝層10を設けることで、緩衝層10を設けた領域におけるカーカス層4の最内面から緩衝層10の最内面までの厚さG1が、緩衝層10を設けない領域におけるカーカス層4の最内面からタイヤ最内面までの厚さG2よりも大きくなっており、厚さG1が1.0mm〜8.0mmに設定されている。
このように発泡ゴムで構成されて上述の硬度を有することで適度に柔軟な緩衝層10を設けることで、タイヤが縁石等に乗り上げてタイヤ(サイドウォール部2)が変形した際に、図2に示すように緩衝層10が介在するため、衝撃を緩和したり、サイドウォール部2が縁石等とリムフランジとの間に強く挟まれることを回避することができ、サイドカットを効果的に防止することができる。このとき、緩衝層10が非発泡ゴムに比べて比重(単位体積当たりの重量)が小さい発泡ゴムで構成されていることに加えて、緩衝層10が設けられた領域においてもカーカス層の内側のゴムゲージ(厚さG1)を上述の範囲に設定しているので、タイヤ重量を大幅に増大させたり、転がり抵抗を悪化させずに、維持することができる。
緩衝層10の硬度が15未満であると、緩衝層10が柔らか過ぎるため、変形したサイドウォール部2の内面を充分に保護することができず、サイドカットを充分に防止することができない。緩衝層10の硬度が80以上であると、緩衝層10が硬すぎるため、走行時のタイヤ(サイドウォール部2)の変形が阻害されて、タイヤの走行性能に悪影響が出る虞がある。緩衝層10の硬度は、好ましくは16〜80、より好ましくは17〜70、更に好ましくは18〜60、最も好ましくは20〜50に設定するとよい。
厚さG1が1.0mmよりも小さいと、緩衝層10が薄過ぎるため、緩衝層10を設けることによる効果が殆ど得られない。厚さG1が8.0mmよりも大きいと、緩衝層10を含むサイドウォール部2の全体が厚過ぎるため、走行時のタイヤ(サイドウォール部2)の変形が阻害されて、タイヤの走行性能に悪影響が出る虞がある。緩衝層10の厚さG1は、好ましくは1.2mm〜7.5mm、より好ましくは1.4mm〜7.0mm、更に好ましくは1.5mm〜6.5mm、最も好ましくは1.6mm〜6.0mmに設定するといよい。
厚さG1を上記範囲に設定するにあたって、更に、緩衝層10自体の厚さG3を好ましくは0.5mm〜5.0mm、より好ましくは0.8mm〜3.5mmの範囲に設定するとよい。このように緩衝層10自体の厚さG3についても適度な範囲に設定することで、サイドカットの防止とタイヤ重量および転がり抵抗の維持とをバランスよく両立するには有利になる。厚さG3が0.5mmよりも小さいと、緩衝層10が薄過ぎるため、実質的に緩衝層10が存在しないのと同等となり、緩衝層10を設けることによる効果が殆ど得られなくなる。厚さG3が5.0mmよりも大きいと、衝層10が嵩高くなるなり、走行時のタイヤ(サイドウォール部2)の変形が阻害されて、タイヤの走行性能に悪影響が出る虞がある。
尚、上述の厚さG1および厚さG3に対して、タイヤサイド領域Sにおけるカーカス層4の最外面からサイドウォール部2の外表面までの厚さg1の最小値は、例えば0.5mm〜2.0mmに設定することが好ましい。このようにサイドウォール部2の厚さを限定することで、タイヤ重量および転がり抵抗を低く維持するには有利になる。厚さg1が0.5mmよりも小さいと、サイドウォール部2の外表面からカーカス層4までの距離が小さ過ぎるため、タイヤの耐久性を充分に維持することが難しくなる。厚さg1が2.0mmよりも大きいと、サイドウォール部2が厚くなり過ぎるため、タイヤ重量や転がり抵抗を低く維持することが難しくなる。
緩衝層10は上述の硬度を有することが好ましいが、更に、緩衝層10の比重が、好ましくは0.1〜1.1、より好ましくは0.2〜1.0の範囲であるとよい。このように緩衝層10の比重を適度な範囲に収めることで、緩衝層10として適度な強度を得ながら、緩衝層10の重量を抑えることができ、サイドカットの防止とタイヤ重量および転がり抵抗の維持とをバランスよく両立するには有利になる。緩衝層10の比重が0.1よりも小さいと、緩衝層10として充分な強度を得ることが難しくなり、サイドカットを効果的に防止することが難しくなる。緩衝層10の比重が1.1よりも大きいと、緩衝層10の使用量(体積)に比べて、緩衝層10を用いることによる重量増加が顕著になり、サイドカットの防止とタイヤ重量および転がり抵抗の維持とをバランスよく両立することが難しくなる。
上述のように、緩衝層10は発泡ゴムで構成されるが、特に少なくとも一部が独立気泡からなる発泡ゴムで構成されることが好ましい。また、発泡ゴムの発泡率は、例えば1.5倍〜4.0倍であることが好ましい。また、この発泡ゴムの弾性率については、例えば歪み50%における応力が0.2MPa〜0.45MPaになるように設定することが好ましい。このように独立気泡からなる発泡ゴムや、特定の発泡率や弾性率の発泡ゴムを用いることで、緩衝層10が過度に柔軟になることを避けて、緩衝層10として適度な強度を得ることができ、サイドカットを防止するには有利になる。
緩衝層10を構成する発泡ゴムとしては、例えば、ゴム成分100重量部に対してブチルゴムおよび/またはハロゲン化ブチルゴムを40重量部以上含むゴム組成物に、後述の化学発泡剤を所定量配合して、この化学発泡剤を加硫時に発泡させて得た発泡ゴムを用いることができる。ハロゲン化ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)を例示することができる。ブチルゴムおよび/またはハロゲン化ブチルを40重量部以上含むことにより、加硫時に発泡剤から発生したガスにより効率的に発泡し、低比重のゴムを得ることができる。ブチルゴムおよび/またはハロゲン化ブチル以外のゴムは特に限定されないが、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等を例示することができ、これらを単独または任意のブレンドとして使用することができる。またエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンイソプレンゴム、スチレンイソプレンブタジエンゴム、イソプレンブタジエンゴムなどのオレフィン系ゴムを配合することもできる。上述のゴム組成物の中でも、ジエン系ゴムとして天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴムを用いることが好ましい。特に、ゴム組成物の引張り破断強度やインナーライナー層との接着性を高めるために、天然ゴムを好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%含有するとよい。
化学発泡剤としては、例えばカルボンアミド系発泡剤、ニトロソ系発泡剤、スルホニルヒドラジド系発泡剤、アゾ系発泡剤、アジド系発泡剤等を例示することができる。なかでもカルボンアミド系発泡剤、ニトロソ系発泡剤、スルホニルヒドラジン系発泡剤から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。尚、物理発泡剤(発泡性マイクロカプセル等)は、得られる発泡ゴムの硬度が著しく高くなるため、本発明の緩衝層10として用いるには不適当である。カルボンジアミド系発泡剤としてはアゾジカルボンアミド(ADCA)等、ニトロソ系発泡剤としてはN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等を例示することができる。スルホニルヒドラジド系発泡剤としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等を例示することができる。アゾ系発泡剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AZBN)、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等を例示することができる。アジド系発泡剤としては、カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジド等を例示することができる。これらの化学発泡剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
上述の化学発泡剤を用いるにあたって、ゴム組成物に、尿素系発泡助剤を配合することが好ましい。尿素系発泡助剤を配合することにより、化学発泡剤が熱分解する温度を低く調節することが可能になり、緩衝層10として用いるのに好適な発泡ゴムを得ることが可能になる。
緩衝層10を構成する発泡ゴムは、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、ゴム補強剤、軟化剤(可塑剤)、老化防止剤、加工助剤、脱泡剤、活性剤、金型離型剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、増粘剤等の工業用ゴム組成物や発泡ゴム成形体に通常用いられる配合剤を添加することができる。これらの配合剤は本発明の目的に反しない限り、通常用いられる配合量を適用することができ、また通常の調製方法で添加、混練又は混合することができる。
緩衝層10は、予め発泡した発泡ゴムをタイヤ内面に接着することで設けてもよいが、未加硫の空気入りタイヤの最内面に未加硫の緩衝層を貼り付けて加硫を行って設けてもよい。後者の場合、上記のように発泡剤によって緩衝層10から気体が発生するが、緩衝層10は気体遮断性の優れる加硫ブラダーとインナーライナーの間で加硫されるため、発生した気体を逃がすための対策をすることが好ましい。具体的には、未加硫の空気入りタイヤの最内面に未加硫の緩衝層を貼り付けた後、加硫ブラダーを未加硫の緩衝層に接触させた状態にして加硫を行って空気入りタイヤを製造するにあたって、加硫ブラダーの少なくとも未加硫の緩衝層と接触する領域に加硫時に未加硫の緩衝層から発生する気体を逃がすための凹凸を形成し、この加硫ブラダーを用いて加硫を行うことが好ましい。このような製造方法を採用することで、加硫故障を防止することができ、この製造方法によって得られた空気入りタイヤでは、上述の緩衝層10を備えた空気入りタイヤとしての優れた性能(サイドカットの防止とタイヤ重量および転がり抵抗の維持)を発揮することが可能になる。
緩衝層10は、図2に示すようにサイドウォール部2が変形した際には、タイヤ内面、緩衝層10の他の部位、或いは、対となる緩衝層10と当接することになるので、上述のように発泡ゴムで構成するにあたって、タイヤ内腔に露出する緩衝層10の表層は、気泡を持たない層(スキン層)にすることが好ましい。これにより、他の部位と当接する緩衝層10の表層の強度を高めることができ、サイドカットを防止するには有利になる。
緩衝層10は、上述のようにカーカス層4の内側に設けられるが、特に、タイヤ内腔に対して露出するように設けることが好ましい。このように、緩衝層10がタイヤ内腔に露出する場合、緩衝層10が空気遮断性を備えていれば、緩衝層10を設けた部位においてはインナーライナー9は不要になり、これを省略することも可能になる。
緩衝層10は、タイヤサイド領域S内であればどのように設けてもよい。例えば、図1に示すように、タイヤサイド領域Sのビード部3側の端部からトレッド部1側の端部にかけてタイヤサイド領域Sの略全域を覆うように設けてもよい。或いは、図3に示すように、タイヤサイド領域Sの一部(図示の例では、タイヤ最大幅位置Pよりもビード部3側)に限定的に配置してもよい。或いは、図4に示すように、タイヤ最大幅位置Pに対してトレッド部1側とビード部3側とに一対の緩衝層10を設けるようにしてもよい。いずれの場合も、図2に示すようにサイドウォール部2が変形した際に、縁石等とリムフランジとの間に挟まれる部位のタイヤ内面に緩衝層10が介在することになるため、サイドウォール部2が縁石等とリムフランジとの間に強く挟まれることを回避して、サイドカットを防止することができる。
特に図3,4に示すように、緩衝層10がタイヤサイド領域Sにおけるタイヤ最大幅位置Pを避けて設けられていると、緩衝層の使用量を抑えることができ、タイヤ重量の増加を抑制することができる。即ち、図2に示すように、タイヤが縁石等に乗り上げる際に、タイヤ最大幅位置Pやその近傍は屈曲点となり、縁石とリムフランジとによって押し潰され難く、サイドカットは生じ難いため、緩衝層10は必ずしも設ける必要はない。その一方で、タイヤ最大幅位置Pは、タイヤが転動する際の変形が最も大きい箇所であるため、ゴム厚さが大きくなったり、緩衝層10のような追加部材が取り付けられたりすると、転がり抵抗に悪影響が出る虞がある。そのため、緩衝層10を、タイヤサイド領域Sにおけるタイヤ最大幅位置Pを除いた部位に設けることで、サイドカットの防止と転がり抵抗の維持には有利になる。
図3に示すように、タイヤサイド領域Sの一部(タイヤ最大幅位置Pよりもビード部3側)に緩衝層10を設ける場合、位置L2からタイヤ最大幅位置Pまでのタイヤ径方向に沿った距離(垂直距離H)に対して、緩衝層10が位置L2から垂直距離Hの70%までの領域に設けられることが好ましい。この位置に緩衝層10を配置することで、損傷を受け易い領域に緩衝層10を限定的に設けることができるため、サイドカットを確実に防止しながら、タイヤ重量および転がり抵抗の悪化を効果的に防止することができる。
勿論、図3の例と逆に、タイヤ最大幅位置Pよりもトレッド部1側に緩衝層10を設けることもできる。特に、図5に示すように、サイドウォール部2の外表面にリムプロテクト部20(タイヤが縁石等に乗り上げた際にリムRが損傷することを防止するための厚肉部)が設けられた場合に、緩衝層10を垂線L1とタイヤ最大幅位置Pとの間(タイヤ最大幅位置Pよりもトレッド部1側)に設けることが好ましい。リムプロテクト部20を設けることで、タイヤ最大幅位置Pよりもビード部3側については補強されているので、リムプロテクト部20を備えたタイヤにおいて損傷を受け易い領域に緩衝層10を限定的に設けることができ、サイドカットを確実に防止しながら、タイヤ重量および転がり抵抗の悪化を効果的に防止することができる。
上述の観点から、図6に示すように、緩衝層10をタイヤサイド領域Sのビード部3側の端部からトレッド部1側の端部にかけてタイヤサイド領域Sの略全域を覆うように設ける場合に、タイヤ最大幅位置Pに向かって緩衝層10の厚さが小さくなるようにしてもよい。
緩衝層10の配置は、ビードフィラー6および/またはカーカス層4の構造によって決定してもよい。即ち、ビードフィラー6の構造(特に、ビードフィラー6のタイヤ径方向外側端の位置)や、カーカス層4の構造(特に、カーカス層4の数や折り返し端の位置)によって、サイドカットの生じ易い位置が変わるため、それに応じて緩衝層10を配置することが好ましい。
具体的には、カーカス層4の折り返し端やビードフィラー6のタイヤ径方向外側端が位置L2から前述の垂直距離Hの70%の位置まで達して、カーカス層4の折り返し部やビードフィラー6が位置L2から垂直距離Hの70%までの領域を覆っている場合には、この領域ではサイドカットが生じ難くなるため、図5に示すように、緩衝層10をタイヤ最大幅位置Pよりもトレッド部1側に設けることが好ましい。
或いは、複数層のカーカス層4が設けられている場合、位置L2から垂直距離Hの70%までの領域の近傍では、少なくともビードフィラー6のタイヤ幅方向内側に複数層のカーカス層4が存在し、カーカス層4の折り返し部の構造によって、更にビードフィラー6のタイヤ幅方向外側にもカーカス層4(折り返し部)が追加されるので、カーカス層4によって位置L2から垂直距離Hの70%までの領域が充分に補強されてサイドカットが抑制されるので、図5に示すように、緩衝層10をタイヤ最大幅位置Pよりもトレッド部1側に設けることが好ましい。
尚、上述のようにカーカス層4やビードフィラー6の構造によってビード部3近傍(位置L2から垂直距離Hの70%までの領域)が補強されて、この領域のサイドカットが予め抑制されている場合、タイヤの基本構造によるビード部3近傍の補強効果が少ない他の例に比べて緩衝層10の厚さを薄くしても充分な効果を得ることができる。
勿論、上述のようにカーカス層4やビードフィラー6の構造によってビード部3近傍のサイドカットの抑制が見込める場合であっても、タイヤ最大幅位置Pよりもビード部3側に配置された緩衝層10を併用することは可能である。このとき、カーカス層4やビードフィラー6による補強効果と緩衝層10による効果とをバランス化させるために、タイヤ最大幅位置Pよりもビード部3側であって、ビードフィラー6と重複しない領域やビードフィラー6の厚さが小さい領域(ビードフィラー6のタイヤ径方向外側部分と重複する領域)、カーカス層4の折り返し部と重複しない領域に緩衝層10を設けることが好ましい。これによりカーカス層4やビードフィラー6による補強効果が弱い部位を緩衝層10によって保護することができるので、サイドカットを効率良く防止することができる。
また、図7〜10に示すように、ビードフィラー6のタイヤ径方向外側端が位置L2よりもビード部3側に位置する場合は、ビードフィラー6が位置L2から垂直距離Hの70%までの領域と重複しないため、この領域がビードフィラー6によって補強されず、ビード部3の近傍でサイドカットが生じ易くなる。そのため、カーカス層4の折り返し端の位置が図7に示すように位置L2から垂直距離Hの70%までの領域内に位置していても、図8に示すように位置L2から垂直距離Hの70%の領域よりもトレッド部1側に位置していても、緩衝層10をタイヤ最大幅位置Pよりもビード部3側(特に、位置L2から垂直距離Hの70%までの領域)に設けることが好ましい。このとき、カーカス層4による補強効果を考慮して、図9に示すように位置L2から垂直距離Hの70%の領域内でカーカス層4の折り返し部と重複しない範囲に緩衝層10を限定的に配置するようにしてもよい。勿論、このようにビード部3側(位置L2から垂直距離Hの70%までの領域)を積極的に保護する場合であっても、図10に示すようにタイヤ最大幅位置Pよりもトレッド部1側に配置した緩衝層10を併用することは可能である。
上述のビードフィラー6のタイヤ径方向外側端の位置だけでなく、ビードフィラー6の強度に応じて、ビードフィラー6と緩衝層10との重複の度合いを制御してもよい。即ち、ビードフィラー6の強度が弱い場合には、ビードフィラー6と緩衝層10とを充分に重複させて、ビードフィラー6と緩衝層10との共働により優れたサイドカット防止効果を得るとよい。逆に、ビードフィラー6の強度が強い場合には、ビードフィラー6と緩衝層10との重複量を減らすか重複させずにずらして配置することで、ビードフィラー6によって補強されない領域を緩衝層10によって保護して効率良くサイドカットを防止するとよい。
同様に、カーカス層4の強度に応じて、カーカス層4の折り返し部と緩衝層10との重複の度合いを制御してもよい。即ち、カーカス層4の強度が弱い場合には、カーカス層4と緩衝層10とを充分に重複させて、カーカス層4と緩衝層10との共働により優れたサイドカット防止効果を得るとよい。逆に、カーカス層4の強度が強い場合には、カーカス層4と緩衝層10との重複量を減らすか重複させずにずらして配置することで、カーカス層4によって補強されない領域を緩衝層10によって保護して効率良くサイドカットを防止するとよい。
サイドウォール部2のゴム厚さが大きい部位では当然サイドカットは生じ難いので、サイドウォール部2のゴム厚さに応じて緩衝層10の配置を決定してもよい。具体的には、サイドウォール部2のゴム厚さが大きい部位を避けて、ゴム厚さが小さい部位に緩衝層10を配置することで、効率良くサイドカットを防止することができる。このとき、カーカス層4やビードフィラー6の構造についても併せて考慮して緩衝層10の配置を決定することが好ましい。
尚、上述のようにタイヤの基本構造を考慮して緩衝層10を配置する場合、その基本構造において緩衝層10を配置することが好ましい部位(タイヤ最大幅位置Pよりもトレッド部1側またはビード部3側の一方)のみに限定的に緩衝層10を設けるだけでなく、他の部位(タイヤ最大幅位置Pよりもトレッド部1側またはビード部3側の他方)に設けてもよい。言い換えれば、図4に示すように、タイヤ最大幅位置Pに対してトレッド部1側とビード部3側とに一対の緩衝層10を設ける場合に、トレッド部1側および/またはビード部3側の緩衝層10を上述のようにタイヤの基本構造を考慮した好適な位置に配置するようにしてもよい。
上述のようにタイヤの基本構造を考慮した場合、本発明の緩衝層10は、タイヤ重量と転がり抵抗を低減するために、図11に示すように、カーカス層4を1層にして、カーカス層4の折り返し端とビードフィラー6のタイヤ径方向外側端とを共に位置L2よりもビード部3側に配置した構造の空気入りタイヤにおいて、更にサイドウォール部2のゴム厚さを薄くした場合に、サイドカットを抑制する手段として最も効果を発揮する。
緩衝層10は、少なくとも一部が発泡ゴム層で構成されていればよいので、例えば、図12に示すように、発泡部(図の斜線部)と非発泡部とからなる構造を採用することもできる。或いは、図4に示すように、一対の緩衝層10(タイヤ最大幅位置Pよりもトレッド1側の緩衝層10とタイヤ最大幅位置Pよりもビード部3側の緩衝層10)とを設ける場合に、一方を発泡ゴムで構成し、他方を非発泡ゴムで構成することもできる。このように非発泡ゴムを併用した場合であっても、発泡ゴムがクッションとして機能するため優れたサイドカット防止性能を得ることができる。尚、このように非発泡ゴムを用いる場合、非発泡ゴムとしては、発泡ゴムから発泡剤を除いたゴム組成物ではなく、例えばポリウレタン、ナイロン等を用いることができる。
緩衝層10は、一対のサイドウォール部2のうちの少なくとも一方に設ければよく、緩衝層10が設けられた側ではサイドカットを防止することができる。好ましくは一対のサイドウォール部2の両方に緩衝層10を設けるとよい。或いは、車両に対する装着方向が指定されたタイヤであれば、車両に対して外側となるサイドウォール部2(サイドカットが生じ易い側)のみに設けるようにしてもよい。
本発明において、緩衝層10は、全周に亘って連続的に延在する構造(同一断面がタイヤ全周に亘って連続する構造)だけでなく、例えば図13に示すように全周に亘って断続的に存在する構造であってもよい。言い換えれば、緩衝層10がタイヤ周方向に間隔を置いて配列された複数の緩衝体で構成されていてもよい。但し、このように断続的に存在する場合であっても、緩衝体の周方向の一部どうしが重複して、全周に亘って緩衝層10が存在していることが必要である。図13の例では、ビード部3側の緩衝層10とトレッド部1側の緩衝層10とが平面視で同方向に傾斜しているため、図2に示すように変形した際にはこれらが交差して接触することになるため、効果的に緩衝効果を発揮することができる(ビード部3側の緩衝層10とトレッド部1側の緩衝層10とが接触時に交差しない場合、ビード部3側またはトレッド部1側の緩衝層10の一方においてタイヤ周方向に隣り合う緩衝体どうしの隙間に他方の緩衝体が入り込んでしまい充分な緩衝効果を発揮できない虞がある)。
緩衝層10をどのように設ける場合であっても、子午線断面において、各タイヤサイド領域Sにおける緩衝層10の総断面積は40mm2 〜400mm2 の範囲であることが好ましい。また、各タイヤサイド領域Sにおける緩衝層10の総質量は30g〜300gの範囲であることが好ましい。
いずれにしても、タイヤ本体の構造や特性を考慮して、そのタイヤにおいて最もサイドカットが懸念される箇所において、サイドウォール部2が変形した際にクッションとして機能するように緩衝層10を限定的に配置することが、サイドカットの防止とタイヤ重量および転がり抵抗の維持とを両立するには有効である。
表1に示す配合からなる8種類の発泡ゴム(発泡ゴム1〜8)について、それぞれ硫黄、加硫促進剤、硬化剤、化学発泡剤または物理発泡剤、および発泡助剤を除く配合成分を秤量し、1.7L密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、温度150℃でマスターバッチを放出し室温冷却した。その後このマスターバッチを加熱ロールに供し、硫黄、加硫促進剤、硬化剤、化学発泡剤及び尿素系発泡助剤を加えて混合し、8種類のゴム組成物を調製すると共に、これらゴム組成物からなる未加硫のゴム成形体を成形した。そして、各未加硫ゴム成形体を、所定形状(縦100mm、横100mm)の金型に充填し、これらを温度180で、15分間加熱し加硫成形した。これにより各未加硫ゴム成形体は、加硫と発泡が同時に進行し、厚さが約15mmの発泡ゴム成形体が成形された。得られた発泡ゴム成形体(発泡ゴム1〜8)の硬度、発泡率、比重を測定し、得られた結果を表1に併せて示した。尚、硬度はJIS K6253に準拠して測定し、発泡率はJIS K7222に準拠して測定し、比重はJIS K6268に準拠して測定した。
Figure 0006977256
表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・BrIIR:臭素化ブチルゴム、Exxonmobile Chemical Company社製 EXXON Bromobutyl 2255
・NR:天然ゴム、PT.NURISA社製 SIR20
・CB:カーボンブラック、新日化カーボン社製 HTC#G
・酸化亜鉛:正同化学工業社製 酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:千葉脂肪酸社製 ビーズステアリン酸 桐
・老化防止剤:バイエル社製 VULKANOX 4020
・粘着付与剤:AIR WATER社製 FR−12016年10月31日
・オイル:出光興産社製 ダイアナプロセスNH−60
・硫黄:鶴見化学工業社製 金華印微粉硫黄 150mesh
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製 ノクセラーDM
・化学発泡剤:永和化成工業社製 セルラーD
・物理発泡剤:発泡性マイクロカプセル、松本油脂製薬社製 FRY-2012
・発泡助剤:永和化成工業社製 セルペーストK4
次いで、タイヤサイズが195/65R15であり、上述の発泡ゴム(発泡ゴム1〜8)または非発泡ゴムを用いた緩衝層を備えて、子午線断面における緩衝層の配置、タイヤ周方向における緩衝層の配置、緩衝層の材料、緩衝層の硬度、緩衝層の発泡率、緩衝層の比重、厚さG1、厚さG3、厚さg1を表2,3のように設定した従来例1、比較例1〜2、実施例1〜18の21種類の空気入りタイヤを作製した(尚、臭素化ブチルゴム(BrIIR)の配合量が40重量部未満である「発泡ゴム8」を用いた実施例7は参考例である)
尚、表2,3の「緩衝層の配置(断面)」の欄には、各例の子午線断面における緩衝層の配置に対応する図面の番号を示した。「緩衝層の配置(周方向)」の欄については、緩衝層がタイヤ全周に亘って連続して設けられた場合を「全周」、図8のように断続的に設けられた場合を「図8」と示した。「緩衝層の材料」の欄については、表1の発泡ゴム1〜8(表中は「発泡1」〜「発泡8」と表示)のいずれを用いたかを示し、非発泡ゴムを用いた場合は「非発泡」と表示した。
これら21種類の空気入りタイヤについて、下記の評価方法により、縁石等を乗り越える際の損傷速度、タイヤ重量、転がり抵抗を評価し、その結果を表2,3に併せて示した。
損傷速度
各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとして排気量2Lクラスの試験車両に装着し、高さ90mmの縁石を乗り越す試験を行い、サイドが損傷して空気が漏れるまで、速度を10km/hから2.5km/hずつ段階的に増加し、損傷時の速度を測定した。評価結果として測定値を示した。この測定値が大きいほどサイドカットが生じ難いことを意味する。
タイヤ重量
各試験タイヤの重量を測定した。評価結果は、従来例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤ重量が小さいことを意味する。尚、指数値が「92」以上であれば、従来レベルを維持して充分に小さいタイヤ重量を維持したことを意味する。
転がり抵抗
各試験タイヤを、リムサイズ15×6Jのホイールに組み付け、ISO28580に準拠して、ドラム径1707.6mmのドラム試験機を用い、空気圧210kPa、荷重4.82kN、速度80km/hの条件で転がり抵抗を測定した。評価結果は、従来例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど転がり抵抗が低いことを意味する。尚、指数値が「94」以上であれば、従来レベルを維持して充分に低い転がり抵抗を維持したことを意味する。
Figure 0006977256
Figure 0006977256
表2,3から明らかなように、実施例1〜18はいずれも、損傷速度が大きくなり、サイドカットが発生し難くなった。また、緩衝層を備えない従来例1に対してタイヤ重量および転がり抵抗を低く維持することができた。特に、BrIIRが充分に配合されて、発泡剤として化学発泡剤が用いられて、緩衝層の硬度や発泡率や比重が好ましい範囲に含まれる実施例2〜4および実施例8〜18はタイヤ重量および転がり抵抗を低く維持しながら、サイドカットを効果的に防止し、これら性能をバランスよく両立した。
一方、比較例1は、緩衝層として非発泡ゴムを用いているため、サイドカットを充分に防止することができず、またタイヤ重量および転がり抵抗を維持することができなかった。比較例2は、緩衝層の硬度が低すぎるため、充分な緩衝効果が得られず、サイドカットを充分に防止することができなかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
9 インナーライナー層
10 緩衝層
CL タイヤ赤道
R リム
P タイヤ最大幅位置

Claims (9)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における該カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層とを有した空気入りタイヤにおいて、
    前記一対のサイドウォール部のそれぞれにおける前記ベルト層のタイヤ幅方向最外側端部からタイヤ内表面に下した垂線L1とリム組み時にリムフランジの径方向外側端部に対応する位置L2との間の領域をタイヤサイド領域Sとしたとき、前記一対のサイドウォール部のうち少なくとも一方のサイドウォール部の前記タイヤサイド領域Sに前記カーカス層の内側でタイヤ全周に亘って存在する緩衝層が局所的に設けられており、該緩衝層は少なくとも一部が発泡ゴムで構成されて硬度が15以上80未満、比重が0.1〜1.1であり、前記発泡ゴムはゴム成分100重量部中にブチルゴムおよび/またはハロゲン化ブチルゴムを40重量部以上含むゴム組成物で構成されており、前記緩衝層を設けた領域における前記カーカス層の最内面から緩衝層の最内面までの厚さG1が前記緩衝層を設けない領域における前記カーカス層の最内面からタイヤ最内面までの厚さG2よりも大きく、前記厚さG1が1.0mm〜8.0mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記緩衝層が前記タイヤサイド領域Sにおけるタイヤ最大幅位置Pを除いた部位に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記位置L2からタイヤ最大幅位置Pまでのタイヤ径方向に沿った距離を垂直距離Hとしたとき、前記緩衝層が前記位置L2から垂直距離Hの70%までの領域に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイドウォール部の外表面にリムプロテクト部が設けられ、前記緩衝層が前記垂線L1とタイヤ最大幅位置Pとの間に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤサイド領域における前記カーカス層の最外面から前記サイドウォール部の外表面までの厚さg1の最小値が0.5mm〜2.0mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記緩衝層がタイヤ内腔に対して露出していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記緩衝層が、少なくとも一部が独立気泡からなる発泡ゴムで構成されたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記緩衝層の厚みG3が0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 未加硫の空気入りタイヤの最内面に未加硫の緩衝層を貼り付けた後、加硫ブラダーが前記未加硫の緩衝層に接触した状態にして加硫を行って請求項1〜に記載の空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、前記加硫ブラダーの少なくとも前記未加硫の緩衝層と接触する領域に加硫時に前記未加硫の緩衝層から発生する気体を逃がすための凹凸を形成し、該加硫ブラダーを用いて前記加硫を行うことを特徴とする空気入りタ
    イヤの製造方法。
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