以下、添付図面を参照して、本発明を好適な実施例に従って詳細に説明する。なお、以下の実施例において示す構成は一例にすぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
本実施例では、注文を外部(発注者のPC端末等)からネットワーク経由で受信し、当該注文に従って本等の製造を行う、POD(Print On Demand)印刷システムを例に説明を行う。また、本実施例では、作業指示書と仕掛品との照合が問題となり得る場面として、中綴じ製本が指定された冊子等を成果物とする注文がなされた場合を例に説明を行うものとする。ただし、作業指示書を使用する印刷システムには本発明は幅広く適用可能であり、POD印刷システムに限定されるものではない。
図1は、POD印刷システムの構成例を示す図である。POD印刷システム100は、注文管理サーバ101、ホストコンピュータ(ホストPC)102、プリンタ103、綴じ機104、断裁機105で構成され、これらがネットワーク106を介して相互に接続されている。
注文管理サーバ101は、ネットワーク106に接続された不図示の外部装置(例えば、クライアントPC等)からオンデマンド印刷のWebサービス等を利用してなされた注文(印刷依頼)を管理する。ホストPC102は、本実施例において印刷依頼に係る成果物を得るための各種制御を行う印刷制御装置として機能する。ホストPC102は、注文管理サーバ101から受け取った依頼に係る成果物のデータや依頼内容の詳細に関する情報(以下、「依頼情報」)を基に、プリンタ103、綴じ機104、断裁機105に対して各装置が担当する作業内容に応じた製造指示を行う。プリンタ103は、ホストPC102から受け取る印刷指示(印刷ジョブ)に基づいて、依頼に係る本や冊子といった成果物の原型となる印刷物に加え、前述の作業指示書を印刷する処理を行う。綴じ機104は、ホストPC102からの製造指示に基づいて、プリンタ103から出力された印刷物(中綴じ製本用に面付けされた印刷物)に対して、該印刷物を中折りする中折り処理と、その中央部に指定された個数のステイプルを打つステイプル処理とを、第1の後処理として実行する。なお、プリンタ103と綴じ機104は1つの装置として構成されてもよい。この場合、プリンタ103自体がプリント機能に加えて、中折り機能とステイプル機能を合わせた中綴じ製本機能を後処理機能として有し、プリントされた印刷物に対して中折り処理とステイプル処理の両処理を行って、中綴じされた状態の印刷物(仕掛品)を出力する。断裁機105は、ホストPC102からの製造指示に基づいて、プリンタ103から出力された印刷物や、綴じ機104(またはプリンタのオプション機能)で中綴じされた仕掛品を、指定された線(トンボ)に沿って断裁する処理(第2の後処理)を行う。これにより、中綴じされた仕掛品のフチを断裁して、本や冊子等のフチが綺麗に揃えられた成果物(完成品)を作成したり、或いは実施例2で説明するように用紙(印刷物)を複数に断裁して小さい端物の成果物(例えば、チケットや名刺)を作成したりする。綴じ機104や断裁機105への製造指示は、ホストPC102から行うことを想定しているが、これに限定されない。例えば、綴じ機104や断裁機105の操作パネル等から、ユーザにより直接、製造に関するパラメータ等が入力される構成でもよい。また、小規模なPOD印刷システムであれば、注文管理サーバ101とホストコンピュータ102とが同じ装置であっても構わない。さらに、プリンタ103、綴じ機104、断裁機105は、POD印刷システムの規模に応じてそれぞれ複数接続されていてもよい。上記POD印刷システム100における印刷処理の大まかな流れは以下の通りである。
1)注文管理サーバ101で印刷依頼を受け付ける
2)ユーザ(作業者)が、ホストPC102のアプリケーション画面で依頼内容を確認・選択し、製造開始ボタンを押下する
3)製造開始の指示を受けて、ホストPC102は、注文管理サーバ101から依頼に係る成果物のデータ等をダウンロードすると共に、作業指示書データを生成する
4)作業指示書データが出来ると、ホストPC102は、プリンタ103及び後処理機(ここでは、綴じ機104と断裁機105)に対して該当の製造指示を送信する。
5)作業者は、プリンタ103から出力された作業指示書と印刷物を各後処理機に運び、作業指示書に従って印刷物に対して指定された後処理を行う。
図2は、POD印刷システムにおける、ホストPCとプリンタのハードウェア構成を示す機能ブロック図である。なお、以下の構成は一例であって、これらの機能が実行可能であれば、単体の機器であっても、複数の機器から構成されていても、さらにはLANやWAN等のネットワークを介して接続がなされ処理が行われる構成であってもよい。
まず、ホストPCについて説明する。ホストPC102は、コントローラ201、キーボード210、ディスプレイ211、HDD212で構成される。さらに、メインコントローラ201は、CPU202、RAM203、ROM204、キーボードコントローラ205、ディスプレイコントローラ206、ディスクコントローラ107、ネットワークインタフェースカード208で構成される。そして、これら各部がシステムバス209によって相互に接続されている。CPU202は、メインコントローラ201内の各部を総括的に制御するプロセッサである。RAM203は、CPU202の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ROM204は、各種データを記憶した読み出し専用のメモリであり、フォントROM、プログラムROM、データROMで構成される。CPU202は、プログラム用ROMあるいはHDD212に記憶されたプログラムに基づいて、図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等が混在した文書処理や後述する印刷制御処理といった各種の処理を実行する。また、プログラム用ROMあるいはHDD212には、CPU202の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)や後述するプリンタドライバ等が記憶される。そして、フォント用ROMあるいはHDD212には、文書処理において使用するフォントデータ等が記憶され、データ用ROMあるいはHDD212には文書処理等を行う際に使用する各種データが記憶される。キーボードコントローラ(KBC)205は、キーボード210や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。ディスプレイコントローラ(DSPC)206は、ディスプレイ(DSP)211の表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)207は、HDD212とのアクセスを制御する。HDD212は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、プリンタ制御コマンド生成プログラム(プリンタドライバ)を含む各種プログラム等を記憶する。なお、HDD212は、比較的大容量の記憶装置であればよく、SSDなどの他の種類の記憶装置であってもよい。ネットワークインタフェースカード(NIC)208は、ネットワーク106を介した機器との通信制御を行なう。ホストPC102は、このNIC208を介して、注文管理サーバ101、プリンタ103、綴じ機104、断裁機105と双方向の通信が可能になる。
次に、プリンタ103について説明する。プリンタ103は、メインコントローラ301、印刷部(プリンタエンジン)310、操作部311、HDD312で構成される。さらに、メインコントローラ301は、CPU302、RAM303、ROM304、NIC305、印刷部インタフェース(I/F)306、メモリコントローラ(MC)307で構成される。そして、これら各部がシステムバス308によって相互に接続されている。CPU302は、メインコントローラ301内の各部を総括的に制御するプロセッサである。RAM303は、CPU302の主メモリ、ワークエリア等として機能する。また、RAM303は、印刷データ展開領域、環境データ格納領域として用いられ、その一部はNVRAM(Non−Volatile RAM)で構成される。ROM304は、各種データを記憶した読み出し専用のメモリであり、フォントROM、プログラムROM、データROMで構成される。CPU302は、ROM304のプログラム用ROMあるいはHDD312に記憶された制御プログラム等に基づいて、画像信号を印刷部310に出力する。そして、プログラムROMには、CPU302の制御プログラム等が記憶され、フォント用ROMには画像信号を生成する際に使用するフォントデータ等が記憶されている。また、データ用ROMには、HDD312等の外部メモリを持たない印刷装置の場合には、ホストPC102上で利用される情報等が記憶される。HDD312は、比較的大容量の記憶装置であればよく、SSDなどの他の種類の記憶装置であってもよい。HDD312は、MC307によってアクセス制御がなされる。HDD312は、オプションとして接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ等を記憶する。また、外部メモリとしてのHDD312は、1個に限定されず、複数個あってもよい。例えば、内蔵フォントに加えてオプションカード、言語系の異なるプリンタ制御言語を解釈するプログラムを格納した外部メモリを複数接続できるように構成されていてもよい。更に、図示しないNVRAMを有し、操作部311からのプリンタモード設定情報を記憶するようにしてもよい。印刷部I/F306は、印刷部310を制御する。操作部311は、例えばタッチパネル機能を有する液晶表示装置等で構成され、さらにユーザが各種操作を行うためのスイッチやLED表示器等が配されている。NIC305は、ネットワーク106を介した機器との通信制御を実行する。CPU214は、NIC305を介してホストPC102との通信処理が可能となっており、プリンタ103内の情報等をホストPC102に通知できる。
図3は、ホストPC102のソフトウェア構成を示す機能ブロック図である。ホストコンピュータ102内のソフトウェアモジュールには、大きく分けてPODアプリケーション(以下、PODアプリ)220と送信部230の2つが存在する。そして、PODアプリ220はさらに、依頼情報取得部221、レイアウト処理部222、後処理情報付与部223、印刷設定情報生成部224、印刷指示部225で構成される。なお、PODアプリ220及び送信部230は、ROM204もしくはHDD212に記憶されたプログラムをCPU202が実行することにより実現される。以下、PODアプリ220を構成する各部を中心に説明する。
依頼情報取得部221は、注文管理サーバ101からの依頼情報を、CSV(Comma−Separated Values)や、国際標準化団体CIP4が定める、JDF(Job Definition Format)などのファイル形式で取得する。CSV形式の依頼情報の一例を以下に示す。下記例では、依頼情報の各項目名がカンマ区切りで記載され、改行コードの後、各項目名に対応する実データがカンマ区切りで記載されている。
納期,ID,依頼者,件名,ファイル,部数,形態,カラー,配送先
2016/05/01,12345678,依頼太郎,資料,Shiryou.pdf,20,中綴じ,モノクロ,東京都○区△町1−2−3
また、依頼情報取得部221は、依頼情報と共に、依頼者が注文管理サーバ101にアップロードした成果物の印刷データ(以下、「成果物データ」)を受け取る。成果物データは、例えばPDF(Portable Document Format)といった所定のファイル形式の印刷データである。
レイアウト処理部222は、依頼情報取得部221が取得した依頼情報を元に、成果物データに対して面付け等のレイアウト処理を行う。ここで、面付けとは、製本工程における折り加工で、折り本が正しいページ順になるようにページを付け合せることをいう。本実施例では、依頼情報から生成する作業指示書の印刷データ(以下、「作業指示書データ」)についても、成果物データの1ページ目に対して適用した面付けと同様の面付けを行う。このように面付け処理することで、依頼に係る製本工程後の成果物(仕掛品)と、同様の製本工程が実行された作業指示書とを重ねて扱いやすくする。例えば、成果物データのレイアウト処理後(面付け処理後)のデータを用いて印刷処理と中綴じ処理を行うと、中折りとステイプルの両処理によって中綴じされた状態の印刷物(または仕掛品)が得られる。また、作業指示書データに同様のレイアウト処理を実行した後のデータを用いて印刷処理と中綴じ処理を行うと、中折りされた状態の印刷物(1枚モノの印刷物に対しては中折り処理だけが実行されステイプル処理は省略される)が得られる。中折りされた作業指示書は、成果物の1ページ目と同じ面に出現するため、重ねて扱うことが容易に行える。なお、レイアウト処理部222で成果物データに対して適用された面付けを含むレイアウト処理の情報(レイアウト情報)は、次の後処理情報付与部223に渡される。
後処理情報付与部223は、上記レイアウト情報を使用して、面付けが施された成果物データと作業指示書データに対して、後処理用の管理情報(例えば綴じ機104や断裁機105で読み取るための工程管理用バーコード)を付与する。
作業指示書データ生成部224は、依頼情報取得部221から受け取った依頼情報から作業指示書データを生成する。また、作業指示書データに対する印刷設定情報(例えば、用紙指定や、プリンタ103で行う中綴じ処理の指示など)の生成も行う。生成された印刷設定情報は、印刷指示部225に送られ、作業指示書データに付属するデータとして利用される。なお、本実施例では、作業指示書データの生成を、ホストPC102側で行うものとしているがこれに限定されない。例えば、注文管理サーバ101において生成し、ホストPC102は、依頼情報に代えて作業指示書データを受け取る構成であってもよい。
印刷指示部225は、依頼情報取得部221が取得した依頼情報に基づき、後処理情報付与部223によって後処理用の管理情報が付与された成果物データの印刷指示をプリンタ部103に対して行う。この際、作業指示書データ生成部224が生成した作業指示書データの印刷指示も併せて行う。成果物データと作業指示書データの印刷は、どちらが先でもよい。
送信部230は、印刷指示部225の印刷指示に係る成果物データと作業指示書データを、プリンタ103に対し送信する。なお、送信部230の機能が、PODアプリ220に組み込まれていてもよい。
次に、作業指示書データについて説明する。図4は、依頼情報に基づき生成された作業指示書データの一例を示している。図4に示す作業指示書400には、「納期」401、「依頼ID」402、「依頼者」403、「件名」404、「ファイル」405、「部数」20、「形態」407、「カラー」408、「配送先」409の各項目が含まれる。これらの項目は、依頼者が依頼時に注文管理サーバ101に登録した情報、又は、注文管理サーバ101が成果物データの管理のために発行した情報である。作業者は、作業指示書に記載された各項目の内容を見て、成果物を間違いのないように製造し、配送を行う。以下、各項目について説明する。
「納期」401には、依頼者が注文管理サーバ101に入力した内容から逆算した、印刷及び後処理を行う作業場から依頼に係る成果物を出荷するまでの納期が記載される。「依頼ID」402には、依頼内容を識別するための固有の識別番号等の情報をコード化した例えばバーコード等が記載される。この依頼IDを表すコードは、配送作業時に読み取られ配送伝票との照合などに用いられる。「依頼者」403は、Webサービス等を介して依頼を行った依頼者の名称が記載される。「件名」404は、依頼者が入力した、成果物の内容を表わす名称が記載される。作業者は、依頼に係る印刷物を簡易に認識するためにこの「件名」を使用する。「ファイル」405は、依頼者が注文管理サーバ101にアップロードした成果物データのファイル名が記載される。作業者は、プリンタ103での印刷時に、操作部311上で、成果物データを識別するためにこの「ファイル名」を使用する。「部数」406は、依頼に係る成果物が何部必要かを表す数値情報であり、依頼時に依頼者によって指定される。「形態」407は、例えば、中綴じ製本や、くるみ製本といった成果物の形態(仕様)に関する情報であって、依頼時に依頼者によって指定される。この「形態」407は、作業者が、依頼に係る印刷物の後処理(例えば断裁処理)を特定するのに使用する。そのため、後処理の作業内容が特定できる情報であればよく、例えば「名刺」のような一意に成果物を特定可能な名称が、後処理の名称に代えて記載される場合もある。「カラー」408は、依頼に係る成果物の印刷処理をカラーで行うのかモノクロで行うのかを特定する情報であり、依頼時に依頼者によって指定される。例えば、入稿された成果物データが白黒で作成されておりモノクロ印刷であることが推認可能な場合でも、誤った課金をすることがないよう依頼者に明示的に「カラー」408の設定を指定させることがある。「配送先」409は、成果物の配送先を特定する情報であり、依頼時に依頼者によって指定される。作業者は、この「配送先」409によって指定された配送先に、成果物を配送手配する。このように、作業指示書には、後段の作業工程で使用される情報(例えば、断裁などの後処理に関する情報や、配送作業で使用する情報)などが含まれている。
続いて、本実施例に係るPOD印刷システム100において、中綴じ製本が指定された成果物をプリンタ103と断裁機105を利用して製造する場合の製造過程を、図面を参照して説明する。ここでは、プリンタ103が中綴じ機能(ステイプル機能と中折り機能)を有する場合について説明する。図5(a)は、依頼に係る成果物の仕掛品(印刷物)がプリンタ103から出力されるまでの過程を示している。入稿時の成果物データ501は、レイアウト処理部222によって依頼情報に基づいた製本用の面付けが施されて、面付け後成果物データ502に変換される。この面付け後成果物データ502は、両面印刷処理とステイプル処理と中折り処理とが行われた結果、中綴じ製本の成果物ができるように各ページが面付けされる。その後、後処理情報付与部223によって、次の工程の後処理(断裁処理)で使用する管理情報503(ここではバーコード)が、面付け後成果物データ502に対して付与される。そして、印刷指示部225によって、印刷設定で中綴じ製本を指定した印刷ジョブがプリンタ103に送信され、両面印刷された複数枚のシートをまとめてステイプル処理し更に中折り処理することによって、中綴じ製本された印刷物504がプリンタ103の排紙口(不図示)から出力される。このとき、印刷物504は、プリンタ103内の中綴じ製本用の後処理機構(不図示)を通って専用の排紙口から出力されることになる。
図5(b)は、上記印刷物504と一緒に出力される、作業指示書の出力過程を示している。作業指示書データ生成部224で生成された作業指示書データ505は、レイアウト処理部222によって、依頼に係る成果物と同一の面付けが施され、面付け後作業指示書データ506に変換される。作業指示書は1ページで構成されるため、面付け後の作業指示書データ506では、作業指示書のページは、面付け後成果物データ502の1ページ目の面付け位置と同様の位置に面付けされる。その後、面付け後作業指示書データ506は、成果物データと同内容の印刷設定情報と共に、印刷指示部225によって、上記面付け後成果物データ502に続いて、プリンタ103に送信される。この結果、印刷物504と同様に中綴じ(中折り)された作業指示書508が、印刷物504と同じ排紙口(不図示)から出力される。このように本実施例では、作業指示書データは、依頼に係る印刷物の印刷設定と同様の印刷設定で出力され、当該印刷物と同じ後処理が施される。これにより、作業指示書は、依頼に係る印刷物と同じ排紙口から出力されることになる。なお、作業指示書へのステイプルは不要であり、成果物データと完全に同じ印刷設定にする必要はない。上述のようにしてプリンタ103から出力された印刷物504と508は、不要な部分の断裁処理のために断裁機105に回される。
また、変形例として、プリンタ103の中綴じ製本機能に代えて、綴じ機104を使用して中綴じ製本の工程を行ってもよい。この場合、面付け後成果物データ502に対して付与される管理情報503は、第1の後処理工程として中綴じ処理(ステイプル処理+中折り処理)で使用する情報と、第2の後処理工程として断裁処理で使用する情報と、の両方に関する情報を含むようにしてもよい。また、綴じ機104において、依頼に係る印刷物と同じ折りが作業指示書に対してもなされるように、面付けが施された作業指示書データ506に対して、面付け後成果物データ502の管理情報503と同位置に同内容の管理情報507を付与する。これにより、プリンタ103から出力されたものの中から作業指示書を抜き取ることなく、依頼に係る成果物の印刷物と合わせて、綴じ機104の給紙口にセットすることができる。
図5(c)は、印刷物504と作業指示書508が排紙される様子を示した図である。図示されるように、依頼に係る中綴じ処理された印刷物504、及び当該印刷物504と同様の中折り処理が実行された作業指示書508は、プリンタ103の共通の排紙口から出力され、さらに作業指示書508は印刷物504の上に排紙される。複数の異なる成果物を連続して作成した場合は、図5(c)のように、成果物の上にその成果物に関する作業指示書が重ねて排出され、さらにその上に、別の成果物とその別の成果物の作業指示書とが重ねて排出されることになる。
図6は、PODアプリ220のUI画面の一例を示す図である。PODアプリ220のUI画面600には、「ジョブID」603、「件名」604、「デバイス名」605、「ステータス」606の4つの項目からなる情報がリスト表示される。リストには、1行につき1つの機器へ送信する製造指示の情報が表示される。例えば、プリンタ103で印刷し、綴じ機104で製本という製造プロセスを経る商材が依頼された場合、UI画面600のリスト上には、その印刷ジョブと綴じ処理ジョブの2行で表示され、それぞれを独立に制御できるようになっている。
UI画面600において、「送信ボタン」601は、ユーザが選択した行のジョブを、対象の機器(本実施例では、プリンタ103、綴じ機104、断裁機105)に送信するためのボタンである。ユーザは、「チェックボックス」602を用いて、送信対象とするジョブを選択する。「ジョブID」603には、作業指示書の「依頼ID」402に記載されたコードに含まれる依頼毎に割り当てられたIDの情報が表示される。複数行に亘って同じジョブIDが存在する場合は、それぞれが同じ成果物についての別工程のジョブを指す。いまUI画面600において、例えばジョブID「00000023」は、“プリンタ1”に送信される印刷ジョブと“綴じ機”に送られる綴じ処理ジョブの2種類のジョブが2行に亘って表示されている。「件名」604には、作業指示書に対応する成果物を一意に識別する名称が表示される。「デバイス名」605には、各ジョブの送信先となる機器の名称が表示される。通常、ホストPC102とネットワーク106で繋がったプリンタ103や後処理機104及び105が例えばコンボボックス形式でリスト表示され、必要に応じてユーザが変更を加えられるようになっている。「ステータス」606には、対象のジョブが各機器に送信済みか否かが表示される。“送信済み”となっていれば、当該ジョブが対象機器に到達していることを意味する。“未送信”となっていれば、当該ジョブを送信していないか、対象機器に当該ジョブが到達していないことを意味する。「検索窓」607は、PODアプリ220で保持されているジョブの中から特定のジョブを検索して表示数に絞り込みをかけるために使用する。この機能を使うことで、例えば未送信のものだけをリストに表示させることができる。
上述の通り、図6に示すリスト表示の例では、1つの成果物の各工程を別々に制御できるようジョブ毎に表示しているが、1つの成果物に関するジョブをまとめて制御できるよう同じ成果物についての全ジョブを1行で表示してもよい。また、後処理機として“綴じ機”や“断裁機”以外の加工機器があってもよい。
次に、本実施例のPODアプリ220による、依頼に係る成果物データ等の取得から各機器への製造指示完了までを時系列に説明する。図7は、本実施例に係る、中綴じ製本が指定された冊子を成果物とする依頼を処理する場合の、一連の流れを示すフローチャートである。この一連の処理は、ホストPC102のCPU202がROM204もしくはHDD212に格納されたプログラムを読み出してRAM203に展開し、これを実行することにより実現される。
ステップ701において、依頼情報取得部221は、注文管理サーバ101から成果物データとその依頼情報を取得する。次に、ステップ702において、レイアウト処理部222は、取得した依頼情報に含まれる成果物の形態・仕様の情報(本例では“中綴じ”であり、前述の「形態」407に相当)に従って、成果物データに対して面付け処理(すなわち、中綴じ製本用の面付け処理)を実行する。なお、ページの配置を変更する面付け処理に加え、色変換や余白領域の調整といった他の画像処理も、必要に応じて本ステップで行うようにしてもよい。例えば、取得した成果物データはフルカラーのデータであったが、依頼情報の「形態」では“モノクロ”が指定されているようなケースでは、本ステップにおいて、モノクロデータに変換する処理も併せて実行される。そして、ステップ703において、後処理情報付与部223は、中綴じ製本用の面付け処理が施された成果物データに対し、その次の工程で用いる後処理用の管理情報(例えば、断裁機105で読み取るためのバーコード)を付与する。
次に、ステップ704において、作業指示書データ生成部224は、ステップ701で取得した依頼情報に基づいて作業指示書データを生成する。その際、後述のステップ708で付加するための印刷設定情報も併せて生成する。作業指示書データは、予め用意・保持した雛形の画像ファイルを参照し、注文管理サーバ101から取得した依頼情報を使用して、当該画像ファイルに文字を埋め込むことにより生成する。生成された作業指示書データはレイアウト処理部222に渡され、印刷設定情報は印刷指示部225に渡される。
そして、ステップ705において、レイアウト処理部222は、成果物データと同一内容の面付け処理(すなわち、中綴じ製本用の面付け処理)を作業指示書データに対して施す。続くステップ706において、後処理情報付与部223は、面付け処理が施された作業指示書データに対して、依頼に係る成果物データと同一内容の後処理用の管理情報を付与する。
ステップ707において、印刷指示部225は、S703で後処理用の管理情報が付与された面付け後成果物データに中綴じ処理を実行するための印刷設定情報を付加し、プリンタ103に対して印刷指示を行う。この印刷指示の際の成果物データは、入稿時のデータ形式(例えばPDF形式)のままでもよいし、不図示のプリンタドライバによってPDL(Page Description Language)に変換したデータであってもよい。どのようなデータ形式で送信するかは、プリンタ103が持つ機能等に応じて決定すればよい。
ステップ708において、印刷指示部225は、後処理用の管理情報が付与された面付け後作業指示書データに成果物データと同じ印刷設定情報を付加して、印刷指示をプリンタ103に対して行う。作業指示書データの印刷指示を、成果物データの印刷指示の後に行うことによって、中折りされた作業指示書が、依頼に係る中綴じされた印刷物の上に重ねて出力される。すなわち、依頼に係る成果物と当該成果物に対応する作業指示書とが1組になって互いに紐付いて出力される。これにより、作業者は、依頼に係る印刷物の件名や内容を認識しやすくなる。
本実施例によれば、オンデマンド印刷などで、中綴じ製本を指定する冊子等を成果物とする依頼がなされるケースにおいて、依頼に係る成果物と当該成果物に対応する作業指示書とが対の組合せで印刷出力される。その結果、作業指示書と仕掛品との照合における作業者の負担が軽減し、人為的なミスの発生を抑えることができる。
例えば名刺やチケットのような、1枚の用紙に複数の成果物をレイアウトして印刷し、その後に断裁処理することで最終的な成果物を製造するケースに実施例1の手法を適用すると、作業指示書の数が多くなり過ぎる。そこで、名刺などを製造するケースでは、成果物と当該成果物に対応する作業指示書とが互いに紐付くように面付け処理した1の印刷データを生成する態様を、実施例2として説明する。これにより、上述のようなケースにおいても、依頼に係る成果物と必要十分な数の作業指示書とが紐付いた状態で断裁機105の排紙口から出力させることが可能になる。なお、実施例1と共通する部分は説明を省略ないしは簡略化し、本実施例では差異点を中心に説明するものとする。
以下では、50枚を1ロットとする“A〜E”の5種類の名刺を製造する場合を例に説明を行うものとする。図8は、本実施例においてプリンタ103に送られる、依頼に係る成果物データ(名刺の印刷データ)の一部に作業指示書のイメージが配置された、面付け後成果物データの一例を示す図である。レイアウト処理部222は、依頼情報において「形態」に“名刺”が指定されていると、使用する用紙サイズや別途保持した断裁機105の性能情報を参照し、成果物と必要十分な数の作業指示書とが互いに紐付くように面付けする。具体的には、図8に示すように、成果物データと作業指示書データとを合成し、合成後の印刷データ800のいずれかのページにおいて成果物と作業指示書のイメージが並ぶように面付けする。50枚を1ロットとする5種類の名刺を製造する場面では、名刺のイメージ801をA3サイズのページの長辺方向に4個ずつ配置し、計13ページに面付けすることになる。この場合において、13ページ目の右から2つ目において、名刺イメージの数は50個に達する。そこで、当該ページ左側の余白部分に、作業指示書のイメージ802を予備の名刺イメージ(Ap〜Ep)と共に並べて配置している。このように、各名刺の種類毎に対応する1の作業指示書が紐付くように同一ページに並べて面付けすることで、成果物である夫々の名刺が出力されたときに、各名刺に対応する1の作業指示書が上に載った状態となる。なお、予備の名刺イメージ(Ap〜Ep)は、名刺2枚分の余白が生じたために配置したもので、なくてもよい。また、図8で示した配置は一例であり、名刺イメージの配置方向や作業指示書イメージの位置は、用紙サイズや後処理機の性能に応じて決定される。例えば、名刺よりも一回り大きいチケット“x、y、z”3種類各15枚の製造依頼があったとする。この場合、断裁機105の仕様によっては、“x”チケットのイメージをA3サイズの1ページ内に15個並べた上で当該ページ内にそのチケットに対応する作業指示書のイメージを配置し、残りの“y”と“z”についても同様に配置するといった具合である。いずれしても、断裁処理によって得られる成果物が断裁機105から出力されたときに、対応する作業指示書がその上に載った状態となるような配置になっていればよい。
図9は、名刺と作業指示書が同一ページ上に面付けされた印刷物を断裁機105で断裁処理して、排紙口から出力する様子を示す図である。断裁機105へ給紙される印刷物901は、図8の合成後の印刷データ800を印刷したものである。プリンタ103から出力された13枚1組の印刷物901を、作業者が断裁機105まで運び、当該印刷物901を給紙段に設定する。そして、断裁機105は、印刷物901の1枚目から順に断裁処理し、印刷物901の右列の名刺から順に排紙していく。印刷物901の13枚目(作業指示書が印刷されているページ)が断裁処理されると、最後に作業指示書(802)が排出されることになる。成果物902は、印刷物901が順に断裁処理されて排紙されたものである。この例では、成果物である“A〜E”の5通りの名刺が51枚ずつ出力され、その上に名刺サイズの作業指示書が出力されている。なお、プリンタ103が印刷物901をフェイスダウンで出力する場合は、作業者は、プリンタで出力された印刷物901の表裏を返した状態で断裁機105の給紙段に置くことになる。一方、プリンタ103が印刷物901をフェイスアップで出力する場合は、印刷データ800を逆順および表面を上向きにして印刷することで、作業者がプリンタで出力された印刷物901の表裏を返すことなく、断裁機に印刷物を設定することもできる。また、プリンタ103と断裁機105とをコンベア等で自動的に受け渡しできるよう構成したシステムであれば、13枚1組でなく、1枚ずつプリンタ103から断裁機105へ自動給紙するようにしてもよい。
図10は、PODアプリ220による、名刺を成果物とする依頼を処理する場合の、一連の流れを示すフローチャートである。この一連の処理は、ホストPC102のCPU202がROM204もしくはHDD212に格納されたプログラムを読み出してRAM203に展開し、これを実行することにより実現される。
ステップ1001において、依頼情報取得部221は、注文管理サーバ101から成果物データとその依頼情報を取得する。続く、ステップ1002において、作業指示書データ生成部224は、取得した依頼情報に基づいて、作業指示書データを生成する。
次に、ステップ1003において、レイアウト処理部222は、取得した依頼情報のうち「形態」で指定された内容(ここでは“名刺”)に従って、依頼に係る成果物データ(名刺のイメージデータ)とステップ1002で生成された作業指示書データとを合成する。例えば、前述の50枚1ロットの5種類の名刺を製造する場合は、図8のように、1〜12ページ目に各名刺イメージを4個ずつ配置し、13ページ目には各名刺イメージを3個(予備ありの場合)と名刺の種類毎に1個の作業指示書のイメージとを配置した、印刷データを生成する。なお、予備無しの場合、13ページ目には各名刺イメージを2個と名刺の種類毎に1個の作業指示書のイメージとを配置する。これにより、断裁処理によって得られる成果物とその作業指示書とが紐付くように面付け処理が施された、1の印刷データが得られる。
ステップ1004において、後処理情報付与部223は、合成処理によって得られた印刷データに対し、断裁処理用の管理情報を付与する。そして、ステップ1005において、印刷指示部225は、後処理用の管理情報が付与された合成後印刷データの印刷指示をプリンタ103に対して行う。
こうしてプリンタ103からは、図9で示したように、各名刺と夫々対応する作業指示書とがセットになって出力される。
本実施例によれば、断裁処理を行って1枚の印刷物から依頼に係る複数の成果物を得るケースにおいて、作業指示書と仕掛品との照合における作業者の負担を軽減して作業効率を向上させ、人為的なミスの発生を抑えることができる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。