JP6975969B2 - 架橋された塗膜用の洗浄剤組成物および床面の管理方法 - Google Patents
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Description
しかし、フロアーポリッシュ塗膜に対しては、一定の塗膜除去性能が得られるものの、近年増えつつある高度に架橋された塗膜に対しては、極表面の洗浄にとどまってしまい、十分な塗膜の洗浄除去効果が得られない。
しかし、この技術では、塗膜の洗浄除去を行ないたい場合、洗浄液と塗膜との接触時間を一定にするのは困難であり、ポリッシャーの掛け方の違いなども影響して、多く除去される部分と少なく除去される部分ができるなど、塗膜の表層を均一に研削洗浄することができず、ムラになりやすい。
一方、水の希釈割合を高めると、とりわけ高度に架橋された塗膜に対しては、含有する有機溶剤成分が少なくなり、塗膜内に十分浸透して軟化させることができず、極表面の洗浄にとどまってしまうため、所望の洗浄除去効果が得られない。
なお、本発明における塗膜の洗浄除去とは、床面に塗り重ねられているすべての塗膜を除去することなく一部の塗膜を除去および洗浄することであり、床面にある全ての塗膜を除去する剥離とは本質的に異なるものである。その際、除去されずに床面上に残る塗膜が一定の厚みを有していれば、洗浄除去後に必要以上に光沢を低下させず、光沢にムラがない状態を保っていることが好ましい。しかしながら、床面に1〜2層程度しか塗膜が塗られていない場合には、塗膜が薄いため、その全てを除去してしまったとしても、本発明の思想から除外するものではない。
即ち、本発明は、床上に形成された架橋された塗膜の汚れや傷を洗浄除去する洗浄剤組成物であって、a)50〜97質量%のフェニル置換アルキルアルコール、b)2〜25質量%のポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンブロックポリマーから選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤、c)1〜25質量%の有機アミンを含むことを特徴とする、架橋された塗膜用の洗浄剤組成物を第1の要旨とする。
即ち、洗浄や剥離が難しい高度に架橋された塗膜であっても、強力に洗浄することができるため、より少ない塗布回数で光沢にムラがない清浄な仕上がり状態の塗膜を形成したり、バフィングによって光沢を向上させるだけで良好な塗膜状態を長期に維持することができる。また、剥離作業が不要になるか、もしくは剥離作業の周期を大幅に延長することができる。
また、必要以上に塗膜が厚くならないので、もしも剥離作業が必要になった際も容易に剥離することができる。
まず、本発明の床面の維持管理方法について詳細に説明する。
上記洗浄剤組成物の希釈液の塗布に用いられるモップ等としては、木綿等の天然繊維、アクリル,ナイロン等の化学繊維、不織布を素材とするものが用いられる。
上記特定の洗浄剤組成物の希釈液を、汚れもしくは傷のついた床面に塗布してから、通常は5〜60分、更に望ましくは10〜30分程度放置してから、ポリッシャーや自動床洗浄機にて洗浄除去作業を行なうことが望ましい。短すぎると洗浄剤組成物の希釈液が戸膜内に浸透できないので十分な洗浄除去効果が得られず、長すぎると清掃時間が長くなって効率が悪い。
特に、機械洗浄除去作業では、ポリッシャーや自動床洗浄機等に装着されるフロアパッドとしては、通常、床面の剥離作業、洗浄作業や床仕上げ剤のつや出し作業用途で用いられるパッド、例えば、黒パッド(例えば、商品名:ストリッピングパッド/住友3M社製)、茶パッド(例えば、商品名:ブラウンストリッパーパッド/住友3M社製)、緑パッド(例えば、商品名:スクラビングパッド/住友3M社製)、青パッド(例えば、商品名:ブルークリーナーパッド/住友3M社製)、赤パッド(例えば、商品名:レッドバッファーパッド/住友3M社製)、白パッド(例えば、商品名:スーパーポリッシュパッド/住友3M社製)でも可能であるが、ダイヤモンド粒子を付着させたパッドであれば、多層の塗膜のうち、汚れと傷が塗膜の内部まで入り込んだ表層の一部の塗膜を均一に研削し、平滑に研磨できるので、洗浄後のリコートを1層で済ませても十分な光沢を得ることが可能になるため、更に好ましい。例えば、ツイスターレッドパッド(HTC社製)、ツイスターホワイトパッド(HTC社製)、ツイスターイエローパッド(HTC社製)、ツイスターグリーンパッド(HTC社製)、ツイスターSCパッド(HTC社製)、TASKIツイスターインテリパッド(シーバイエス社より販売)などが上げられるが、均一な洗浄除去性および研磨による平滑性の点から、ツイスターホワイトパッド、ツイスターイエローパッド、ツイスターグリーンパッドが好ましく、汚れの程度に応じて適宜選択することが望ましい。
床仕上げ剤の種類、洗浄パッドの種類、洗浄剤組成物の水希釈倍率、洗浄剤組成物希釈液の放置時間、ポリッシャーや自動床洗浄機による洗浄時間などによって、研削除去される塗膜厚さおよび洗浄後の表面平滑さは変動する。従って、一概には言えないが、本発明においては、床仕上げ剤組成物を概ね10〜20mL/m2の塗布量の割合で1〜3層塗り重ねることが好適である。
洗浄剤組成物は、その主成分として、a)50〜97質量%のフェニル置換アルキルアルコール、b)2〜25質量%のポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンブロックポリマーから選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤、c)1〜25質量%の有機アミンを含むことを特徴としている。
フェニル置換アルキルアルコールは、全洗浄剤組成物の少なくとも50質量%であり、より好ましくは70質量%以上であり、塗膜内に浸透して効果的に軟化させるのでできるだけ多い方が望ましい。しかし、他の2成分とのバランスにより多くても97質量%となる。
プルロニック型ブロックポリマーとしては、平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.05〜4.0の範囲にあるプルロニック型ブロックポリマー、平均分子量が500〜10,000の範囲にありエチレンオキサイドの含有率が総平均分子量の5%〜80%の範囲にあるプルロニック型ブロックポリマー等があげられる。
また、リバースプルロニック型ブロックポリマーとしては、平均分子量が500〜10,000の範囲にありEO/POの重量比が0.05〜1の範囲にあるリバースプルロニック型ブロックポリマーがあげられる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、N−n−ブチルイソプロパノールアミン、N−t−ブチルイソプロパノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルイソプロパノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン、N,N−ジブチルイソプロパノールアミンなどがあげられる。
アルキルアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどがあげられる。
この有機アミンは、塗膜へのフェニル置換アルキルアルコールの浸透性を高め、塗膜の洗浄除去の目的で配合されるもので、各々単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
*A:軽技王エボリューション
(シーバイエス社製水性フロアーポリッシュポリマータイプ/スチレンアクリルポリマーの亜鉛架橋型、不揮発分22%)
*B:サスティナ ソリッドシール
(シーバイエス社製フロアシール剤/アクリル・ウレタンポリマーの共有結合架橋型(高度に架橋された塗膜を形成)、不揮発分20%、主剤:添加剤=10:1で混合した)
*C:ウレテイト水性二液
(大日本塗料社製ポリウレタン塗料/ウレタンポリマーのイソシアネート共有結合型架橋型(高度に架橋された塗膜を形成)、不揮発分37%、主剤:硬化剤=10:1で混合したのち、水で不揮発分20%に調整した)
*アルコール1:ベンジルアルコール(純分100%)
*アルコール2:β―フェニルエチルアルコール(純分100%)
*アルコール3:エチレングリコールフェニルエーテル(純分100%)
*エーテル1:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル
;C12〜15アルコールのエチレンオキサイド(m)・プロピレンオキサイド(n)(m+n=7)モル付加物。
(三洋化成工業社製/商品名:ナロアクティーN−95、純分100%)
*エーテル2:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル
(ADEKA製/商品名:アデカトールLB−83、純分100%)
*エーテル3:ポリオキシエチレンアルキルエーテル
;C9〜11アルコールのエチレンオキサイド6モル付加物。
(シェルケミカル製/商品名:ネオドール91−6、純分100%)
*有機アミン1:モノエタノールアミン(純分100%)
*有機アミン2:イソプロパノールアミン(純分100%)
*有機アミン3:N−メチルエタノールアミン(純分100%)
容器内にa)成分を入れて攪拌した。次いでb)成分、c)成分、水を順番に入れていき、30分間攪拌を継続して洗浄剤原液を得た。
上記洗浄剤原液を容器に計量し、次いで上から水を加え、溶解するまで入念にかき混ぜ、洗浄剤希釈液を得た。
1)基本的な性能試験に使用する試験板の作成方法
30cm角の白色ホモジニアスビニル床タイル(東リ社製、商品名:ホモジニアスビニル床タイル、MSプレーン5626)に、床用剥離剤「リムーバープロ」(シーバイエス社製)を水で20倍に希釈した剥離液をたらし、「TASKIツイスターホワイトパッド」を装着したハンドポリッシャーにて、入念に剥離洗浄した。乾燥後、各種の床仕上げ剤組成物を1回あたり15mL/m2となるように、ガーゼにて、60分間隔にて3回塗装し、乾燥した。およそ9μmとの塗膜厚となった。室温で1週間経過したのち、その塗布板を試験板Aとして各種試験に適用した。
2)塗膜除去厚測定および塗膜除去均一性の試験にのみ使用する試験床の作成方法
30cm角の白色ホモジニアスビニル床タイル(東リ社製、商品名:ホモジニアスビニル床タイル、MSプレーン5626)を18枚敷いた実際の床に、床用剥離剤「リムーバープロ」(シーバイエス社製)を水で20倍に希釈した剥離液をたらし、「TASKIツイスターホワイトパッド」を装着した14インチポリッシャーにて、入念に剥離洗浄した。乾燥後、各種の床仕上げ剤組成物を1回あたり15mL/m2となるように、モケットモップ(アプソン社製)にて、60分間隔にて3回塗装し、乾燥した。室温で1週間経過したのち、試験床Bとして各種試験に適用した。
上記塗膜作成方法で作成した試験板Aに、水で20倍に希釈した床用剥離剤「リムーバープロ」の剥離液を1mL滴下し、30分放置した。その後、流水で洗い流したのち、滴下した部分の状況を観察した。これにより、剥離されないものを高度に架橋されたと評価した。
<判定基準>
◎:塗膜表面に損傷が殆ど見られず、剥離液を滴下した部分がわからない。
○:塗膜表面に損傷は殆ど見られないが、剥離液を滴下した部分の輪郭が見える。
剥離:塗膜の全ての塗膜が剥離除去された。
日本フロアーポリッシュ工業会が発行しているJFPA規格−11「耐ヒールマーク試験方法」に準じて行ない、靴底の黒いゴムを入れた試験機に、上記塗膜作成方法で作成した試験板Aを貼り付けて回転させながら試験板に歩行に似たダメージを与える試験である。BHMはゴムが黒く付着している状態であり、SCMは黒くはないが、塗膜に損傷や凹みが見られる状態の部分を指す。
<判定基準>
ゴム片が衝突して付着や損傷を起こしている部分(ヒールマーク)の相対的面積比に相当して1〜10点にて評価した。10点は全く付着や損傷がない状態であり、1点は無数に付着や損傷がある状態である。
各仕上げ剤組成物で塗膜を作成した試験板Aに対して上記試験の後、後記の洗浄試験に記載のとおり、各洗浄剤組成物の希釈液で、所定の条件で洗浄した後も、上記判定基準によるBHM及びSCMの状態の評価を行った。
洗浄後のBHMは9であれば、さらに丁寧に洗うことで汚れを除去できると考えられるため許容範囲と考えられる。洗浄後のSCMの結果によらず、洗浄後1層塗装後のSCMは10であれば最良だが、9であればさらにもう1層塗装することで改善されるので許容範囲と考えられる。1層塗装後8以下だと、かなり深い凹みであるため、2層塗装後も塗膜外観上不十分である。
日本フロアーポリッシュ工業会が発行しているJFPA規格−10「60度鏡面光沢度の測定方法」に準じて、市販の光沢計にて測定した。具体的には「JG−100」(シーバイエス社製)にて計測した数値を記録した。
市販の表面洗浄用パッドを、必要に応じてハンドポリッシャーのサイズに切断して使用した。表中では下記の略号で示した。
青:ブルークリーナーパッド(住友3M社製)、
TW白:ツイスターホワイトパッド(HTC社製)、
TW黄:ツイスターイエローパッド(HTC社製)、
TW緑:ツイスターグリーンパッド(HTC社製)、
1) 上記塗膜作成方法で作成した試験板A(30cm角、面積0.09m2)に、約150mL/m2となる洗浄剤希釈液13.5gを計量して、試験板上にたらしブラシで塗り広げた。次いで、一定時間希釈液を塗膜面に接触(放置)させたのち、濡れていない洗浄パッドを取り付けたハンドポリッシャーにて、自重にて縦1往復+横1往復させて洗浄した。その後、水で洗い流し、拭き上げて乾燥した。
2) 上記塗膜作成方法で作成した試験床B(30cm角タイルを18枚敷いてある、面積1.62m2)では、約150mL/m2となるように洗浄剤希釈液243gを計量カップで計量して、試験板上にたらしブラシで塗り広げた。次いで、一定時間希釈液を塗膜面に接触(放置)させたのち、濡れていない洗浄パッドを取り付けた14インチポリッシャーにて、30秒/m2となるスピード(合計49秒)にて、洗浄作業を行ない、洗浄汚水をスクイジーでかき集めて回収した。清浄なモップで拭き上げ、乾燥させた。
上記洗浄試験方法2)で回収した洗浄汚水および試験前の洗浄剤希釈液の不揮発分を測定した。2gをステンレス容器に計量し、145℃で1時間乾燥して下記の式にて不揮発分を求めた。次いで下記の式にて塗膜除去厚を計算した。塗膜の比重は一律1.2とした。
N=(WD/WS)×100
ここに、
N:不揮発分(%)
WD:乾燥後の試料の質量(mg)
WS:乾燥前の試料の質量(mg)
次いで、下記の式にて塗膜除去厚を求めた。
T=243×(Na−Nb)/100/1.2/1.62
T:塗膜除去厚(μm)
Na:洗浄汚水の不揮発分(%)
Nb:洗浄剤希釈液の不揮発分(%)
上記洗浄試験方法2)の作業を行ない、目視にて塗膜表面の洗浄除去の均一性を評価した。
<判定基準>
◎:塗膜表面の光沢が均一で、パッド痕やムラがみられない。
○:塗膜表面の光沢がほぼ均一で、パッド痕やムラが少し見える。
△:塗膜表面は光沢のある部分と無い部分が混在し、パッド痕やムラが明らかにわかるため不可である。
×:塗膜表面は光沢のある部分と無い部分が極端に混在するか、全部または部分的に剥離している。この場合は、作業のやり直しが必要になるため、不可である。
上記洗浄試験方法1)の作業を行なった後、各種の床仕上げ剤組成物を15mL/m2となるように、ガーゼにて、1回塗装し、乾燥した。目視にて塗膜表面の外観を評価した。
<判定基準>
◎:塗膜表面に十分な光沢があり、パッド痕やムラがみられない。
○:塗膜表面にほぼ十分な光沢があり、パッド痕やムラが少し見えるものの許容範囲。
△:塗膜表面の光沢が不十分で低かったり、パッド痕やムラが明らかにわかるため、不可である。
×:塗膜表面の光沢が明らかに低く、パッド痕やムラが明らかにわかる。再度洗浄、もしくは剥離作業が必要であり、不可である。
Claims (3)
- 水で40〜500倍に希釈され、床上の架橋された塗膜に塗布された状態で、上記塗膜の一部を洗浄除去するのに用いられる洗浄剤組成物であって、
a)70〜97質量%のフェニル置換アルキルアルコール、
b)2〜25質量%のポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンブロックポリマーから選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤
c)1〜15質量%の有機アミン
を含むことを特徴とする、架橋された塗膜用の洗浄剤組成物。 - フェニル置換アルキルアルコールが、ベンジルアルコールを含む、請求項1に記載の、架橋された塗膜用の洗浄剤組成物。
- イ)請求項1〜2のいずれか1項に記載の、架橋された塗膜用の洗浄剤組成物を、水で40〜500倍に希釈して洗浄液とし、汚れもしくは傷のついた床上の塗膜へ、該洗浄液を塗布する工程、
ロ)汚れもしくは傷のついた床上の塗膜に塗布した該洗浄液を、継続して接触させる工程、並びに
ハ)洗浄用パッドにて、汚れもしくは傷のついた該塗膜の表層の一部を研削・研磨にて洗浄除去する工程
を含む、床上の架橋された塗膜の管理方法。
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