JP6975873B1 - アークスプリングの製造方法及び装置 - Google Patents

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    • F16F1/06Wound springs with turns lying in cylindrical surfaces

Abstract

噴射加工後にアークスプリングに捩じれが生じることを抑制可能なアークスプリングの製造方法を提供する。この製造方法は、軸線Xを湾曲させる前のアークスプリング1の半製品5Aに対し螺旋状の線間9aに楔部21を順次打ち込み、楔部21が順次打ち込まれた打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、半製品5Aを湾曲させてアークスプリング1を成形する際に楔部21の打ち込みによって生じるアークスプリング1の捩じれを増大させ、アークスプリング1に噴射加工を行うことにより、アークスプリング1の捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して捩じれを相殺する。

Description

本発明は、コイルばねの軸線が湾曲したアークスプリングの製造方法及び装置に関する。
従来のアークスプリングの製造方法としては、軸線を湾曲させる前のアークスプリングの半製品に対し、螺旋状の線間に楔部を順次打ち込んで軸線を湾曲させるものがある。
かかるアークスプリングの製造方法では、単純に半製品を軸方向にずらしつつ楔部を順次線間に打ち込むと、楔部が打ち込まれるたびに螺旋状に応じて半製品に捩じれが生じることになる。
このため、従来は、特許文献1のように、楔部の打ち込み位置を漸次周方向にずらすことで、直前の打ち込みによって生じた捩じれを、直後の打ち込みによって生じる捩じれによって相殺していた。
この製造方法によれば、捩じれを抑制しつつ軸線が湾曲したコイルばねを得ることが可能となる。
しかし、アークスプリングは、その後にショットピーニング等の噴射加工が行われることがある。この場合、楔部の打込み時に捩じれを抑制しても、噴射加工後に捩じれが生じてしまっていた。
特許第6538486号公報
解決しようとする問題点は、噴射加工後にアークスプリングに捩じれが生じていた点である。
本発明は、噴射加工後にアークスプリングに捩じれが生じることを抑制可能なアークスプリングの製造方法及び装置を提供する。
アークスプリングの製造方法は、線材が螺旋状に巻かれたコイルばねの軸線が湾曲したアークスプリングの製造方法である。この製造方法は、前記軸線を湾曲させる前の前記アークスプリングの半製品に対し螺旋状の線間に楔部を順次打ち込み、前記楔部が順次打ち込まれた打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、前記半製品の軸線を湾曲させて前記アークスプリングを成形する際に前記楔部の打ち込みによって前記アークスプリングに生じる捩じれを増大又は減少させ、前記アークスプリングに噴射加工を行うことにより、前記アークスプリングの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して前記捩じれを相殺する。
また、アークスプリングの製造装置は、線材が螺旋状に巻かれたコイルばねの軸線が湾曲したアークスプリングの製造装置である。この製造装置は、前記軸線を湾曲させる前の前記アークスプリングの半製品に対し螺旋状の線間に楔部を順次打ち込み、前記楔部が順次打ち込まれた打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、前記半製品の軸線を湾曲させて前記アークスプリングを成形する際に前記楔部の打ち込みによって前記アークスプリングに生じる捩じれを増大又は減少させる打込み部と、前記アークスプリングに噴射加工を行うことにより、前記アークスプリングの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して前記捩じれを相殺する噴射加工部と、を備える。
本発明は、噴射加工を行うことによって捩じれを相殺することができるため、噴射加工後にアークスプリングに捩じれが生じることを抑制できる。
図1(A)は本発明の実施例に係るアークスプリングを示す側面図、図1(B)はS巻のアークスプリングの半製品を示す側面図、図1(C)はZ巻のアークスプリングの半製品を示す側面図である。 図2は、実施例に係るアークスプリングの製造装置をアークスプリングの捩じれ状態と共に示すブロック図である。 図3(A)及び(B)は、実施例に係るアークスプリングの製造装置の打込み部を示す一部省略側面図であり、図3(A)は打込み初期、図3(B)は打込み後期の状態である。 図4(A)及び(B)は、実施例に係る楔部の打込み位置と捩じれの方向を示す半製品の平面図であり、図4(A)はS巻、図4(B)はZ巻である。 図5は、実施例と比較例との比較において、各工程における捩じれ量を示すグラフである。 図6は、図5の捩じれ量の測定方法を示すアークスプリングの概略図である。
噴射加工後にアークスプリングに捩じれが生じることを抑制するという目的を、アークスプリングを成形する際の楔部の打込みによって、噴射加工で相殺されるねじれを生じさせることにより実現した。
本発明のアークスプリング(1)の製造方法は、線材(3)が螺旋状に巻かれたコイルばねの軸線(X)を湾曲させてアークスプリング(1)を製造するものである。この製造方法は、アークスプリング(1)の半製品(5A,5B)に対し、楔部(21)の打ち込みと、噴射加工を行う。
楔部(21)の打ち込みは、軸線(X)を湾曲させる前のアークスプリング(1)の半製品(5A,5B)に対し螺旋状の線間(9a)に楔部(21)を順次打ち込む。これら楔部(21)が順次打ち込まれた打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、半製品(5A,5B)の軸線(X)を湾曲させてアークスプリング(1)を成形する際に楔部(21)の打ち込みによって生じるアークスプリング(1)の捩じれを増大又は減少させる。
噴射加工は、アークスプリング(1)の捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して捩じれを相殺する。なお、噴射加工による捩じれの方向は、アークスプリング(1)のコイル状の巻の方向に応じて設定される。捩じれの相殺は、完全に捩じれをなくすことだけでなく、所定の許容範囲内の捩じれが残っている状態とするものであってもよい。
アークスプリング(1)の捩じれの増大又は減少は、噴射加工による逆向きの捩じれと相殺される捩じれを設定するものであり、その逆向きの捩じれに応じて行われる。アークスプリング(1)の捩じれの増大又は減少は、打込み位置をずらす方向、ずらす量、ずらす数によって設定が可能である。
打込み位置のずらしは、半製品(5A,5B)と楔部(21)との間の相対回転によって行うことが可能である。
打込み位置は、漸次周方向にずらしてもよい。この場合において、打込み位置のずらし量は、同一としてもよい。
噴射加工の前に、成形されたアークスプリング(1)に対して熱処理を行ってもよい。熱処理は、アークスプリング(1)の捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して捩じれを部分的に相殺する。この場合、噴射加工では、部分的に相殺された後の残りの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与する。
噴射加工は、アークスプリング(1)の径方向外側から行われるショットピーニングとしてもよい。この場合、アークスプリング(1)の内周よりも外周の圧縮残留応力を大きくする。
アークスプリング(1)の製造装置(13)は、打込み部(15)と、噴射加工部(19)とを備える。打込み部(15)は、軸線(X)を湾曲させる前のアークスプリング(1)の半製品(5A,5B)に対し螺旋状の線間(9a)に楔部(21)を順次打ち込む。打込み部(15)は、これら楔部(21)が順次打ち込まれた打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、半製品(5A,5B)の軸線(X)を湾曲させてアークスプリング(1)を成形すると共に楔部(21)の打ち込みによって生じるアークスプリング(1)の捩じれを増大又は減少させる。噴射加工部(19)は、アークスプリング(1)に噴射加工を行うことにより、アークスプリング(1)の捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して捩じれを相殺する。
[アークスプリング]
図1(A)〜(C)は、それぞれアークスプリングを示す側面図、S巻のアークスプリングの半製品を示す側面図、及びZ巻のアークスプリングの半製品を示す側面図である。
本実施例のアークスプリング1は、線材3が螺旋状に巻かれ、軸線Xが湾曲した弧状のコイルばねである。半製品5Aは、軸線Xが湾曲する前の状態であり、本実施例では直状となっている。アークスプリング1及び半製品5Aは、巻の方向がいわゆるS巻(左巻)であり、端部7a及び7bから見て軸線X周りに反時計回りで巻かれている。
巻きの方向は、半製品5Bのように逆向きにしてもよい。半製品5Bは、いわゆるZ巻(右巻)であり、端部7a及び7bから見て軸線X周りに時計回りで巻かれている。この半製品5Bから成形されるアークスプリング(図示せず)も、同様にZ巻となる。
なお、半製品5A及び5Bは、軸線Xを湾曲させる前のものを意味し、直状である必要はない。このため、半製品5A及び5Bには、製造過程において軸線Xが直状に対して湾曲したり屈曲したもの等も含まれる。
本実施例のアークスプリング1は、本体部9と、両側の座巻部11a,11bとを有している。本体部9は、螺旋状の線間9a(隣接するコイル部分9b間の隙間)の軸線Xに沿った方向の距離(以下、「ピッチ」と称する)が相対的に大きく形成され、座巻部11a,11bは、ピッチが相対的に小さく形成されている。座巻部11a,11bには、アークスプリング1の両端面である切削による座面12a,12bが形成されている。なお、座巻部11a,11bは省略することも可能である。
以下において、湾曲した軸線Xに沿った方向は、「軸方向」と称し、湾曲前の軸線Xに沿った方向は、「湾曲前軸方向」と称する。
半製品5Aは、軸線Xが直状であることを除き、アークスプリング1と同一構成である。また、半製品5Bは、軸線Xが直状であること及び巻の方向が異なることを除き、アークスプリング1と同一構成である。
[アークスプリングの製造装置]
図2は、アークスプリングの製造装置をアークスプリングの捩じれ状態と共に示すブロック図である。図3(A)及び(B)は、アークスプリングの製造装置の打込み部を示す一部省略側面図であり、図3(A)は打込み初期、図3(B)は打込み後期の状態である。
本実施例のアークスプリング1の製造装置13(以下、単に「製造装置13」と称する)は、打込み部15と、熱処理部17と、噴射加工部19とを備えている。
打込み部15は、軸線Xを湾曲させる前の半製品5Aの螺旋状の線間9aに楔部21を順次打ち込む。本実施例において、楔部21の打込み位置は、漸次周方向にずらされる(図4参照)。この打込みにより、半製品5Aを湾曲させてアークスプリング1を成形すると共に、楔部21の打ち込みによって生じるアークスプリング1の捩じれを増大させる。なお、周方向とは、半製品5Aの軸心X周りの円周方向をいう。
本実施例の打込み部15は、一対の把持部23a,23bと、楔部21とを備えている。一対の把持部23a,23bは、エアーチャック等の把持機構からなり、それぞれ軸心X周り回転及び湾曲前軸方向への移動が可能となっている。これにより、把持部23a,23bは、楔部21の打込みが行われるたびに、半製品5Aを軸線X周りに所定角度回転させると共に湾曲前軸方向に所定量移動させる。なお、軸心X周り回転及び湾曲前軸方向への移動は、楔部21との相対的なものであれば良い。このため、楔部21を回転させ湾曲前軸方向に移動させる構成とすることも可能である。
把持部23a,23bの回転や湾曲前軸方向への移動は、適宜の駆動部によって行えば良い。例えば、把持部23a,23bの回転は、サーボモーターによって行わせることができる。また、把持部23a,23bの湾曲前軸方向への移動は、サーボモーター及びボールねじによって行わせることができる。
一方の把持部23aは、半製品5Aの一端部7aを把持し、他方の把持部23bは、半製品5Aの他端部7bを把持する。一方の把持部23aによる把持は、楔部21の打ち込み当初から行われ、他方の把持部23bによる把持は、半製品5Aに楔部21を順次打ち込んでいる途中において、一方の把持部23aでの把持から切り替わって行われる。
楔部21は、先端が楔状に形成された拡開ツールである。楔部21は、半製品5Aの移動及び回転と同期して駆動されることで、半製品5Aの線間9aに打ち込まれるようになっている。この打込み時には、楔部21に打込み方向(実施例では上下方向)で対向するダイ25によって半製品5Aが支持される。
なお、楔部21の打込みは、適宜の駆動部により行えば良いが、例えばサーボモーターの回転動作をカムによって打ち込み方向の動作に変換して楔部21に伝達することで行うことができる。
楔部21の打込みによって成形されたアークスプリング1は、図示しない搬送手段によって熱処理部17に搬送される。
熱処理部17は、噴射加工の前に、アークスプリング1に対し、熱処理としての焼鈍しを行うものである。熱処理部17は、周知の電気炉等によって構成することが可能である。このため、熱処理部17の詳細については説明を省略する。
この熱処理部17での熱処理により、楔部21の打込みによるアークスプリング1の捩じれに対する逆向きの捩じれを付与し、アークスプリング1の捩じれを部分的に相殺する。
噴射加工部19は、噴射加工として、アークスプリング1の径方向外側からのショットピーニングを施すものである。噴射加工部19は、周知のショットピーニング装置によって構成することが可能である。このため、噴射加工部19の詳細については説明を省略する。
この噴射加工部19での噴射加工により、楔部21の打込みによるアークスプリング1の捩じれに対し、逆向きの捩じれを付与して相殺する。本実施例では、熱処理によって部分的に相殺された後の残りの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与する。
なお、製造装置13の各部は、図示しないコンピューターによって制御すれば良い。
[アークスプリングの製造方法]
本実施例のアークスプリング1の製造方法では、有効巻き数が49、外径が15.25mmの半製品5Aからアークスプリング1を製造する場合について説明する。ただし、本実施例の製造方法を適用して、他の寸法の半製品5Aからアークスプリング1を製造することも可能である。
かかる製造方法では、まず半製品5Aに対する楔部21の打込みにより、アークスプリング1が成形される。
打込みの際には、図示しない搬送手段によって半製品5Aが打込み部15に搬送され、図3(A)のように、半製品5Aの一端部7aを一方の把持部23aで把持すると共に他端部7bをダイ25上に位置させる。
そして、図3(B)のように、半製品5Aを軸線X周りに回転させると共に湾曲前軸方向に移動させつつ、半製品5Aの他端部7b側から螺旋状の線間9aに楔部21を順次打ち込む。これにより、軸線Xを湾曲させるように半製品5Aを塑性変形させ、アークスプリング1を成形する。なお、本実施例において、楔部21の打込みは49回行われる。
このとき、アークスプリング1には、楔部21の打込みによる捩じれが生じるが、かかる捩じれは、半製品5Aの回転によって増大又は減少される。
図4(A)及び(B)は、楔部の打込み位置と捩じれの方向を示す半製品の平面図であり、図4(A)はS巻、図4(B)はZ巻である。
S巻の半製品5Aの場合、楔部21の打ち込みによるアークスプリング1の捩じれはS方向に生じる。S方向とは、アークスプリング1又は半製品5Aの他端部7bを軸方向から見て反時計回りに回転させる方向をいう。Z方向は、S方向とは逆向きの方向であり、アークスプリング1又は半製品5Aの他端部7bを軸方向から見て時計回りに回転させる方向をいう。なお、S方向の捩じれにより、捩じれのあるアークスプリング1の他端部7bを軸方向から見た場合、捩じれのないアークスプリング1(図1(A)参照)の軸線Xを中心として、捩じれのあるアークスプリング1の軸線Xt(図6参照)が時計回りに螺旋を描くように変形する。Z巻の半製品5Bの場合は、この逆である。
S巻において捩じれを増大させる場合は、楔部21を打ち込む度に半製品5Aを所定角度だけS方向に回転させることにより、S方向の捩じれを付加する。従って、本実施例では、打込み位置を漸次ずらし、このときの打込み位置のずらし量は、全て同一となっている。逆に、捩じれを減少させる場合は、楔部21を打ち込む度に半製品5Aを所定角度だけZ方向に回転させることにより、Z方向の捩じれを付加してS方向の捩じれを部分的に相殺する。Z巻の場合は、S巻の場合とは逆になる。
本実施例のアークスプリング1は、後述する熱処理及び噴射加工での捩じれに応じ、S巻においてS方向の捩じれを増大させる。このため、楔部21を打ち込む度に半製品5Aを所定角度だけS方向に回転させることになる。半製品5Aの回転は、把持部23a又は23bを初期位置に対して予め逆方向であるZ方向に回転させておき、初期位置に戻すことで行われてもよい。回転による楔部21の打込み位置は、他端部7bから一端部7aにかけて、漸次Z方向にずらされることになる。これら楔部21の打込み位置を連ねた仮想線L1は、図4のとおりである。Z巻の場合の仮想線L2は、S巻の場合の逆になる。
かかる打込み位置のずらしにより、本実施例では、半製品5Aを回転させないときのS方向の8.5度の捩じれに、楔部21を打ち込む度に半製品5Aを0.489度回転させることで49回の打込みによりS方向の24度の捩じれが付加される。従って、成形されたアークスプリング1に生じるS方向の捩じれは32.5度となる。
ここで、角度は、捩じれ量を示し、半製品5Aの他端部7bを初期位置に対して周方向に回転させた角度に相当する。また、角度はS方向をプラスとし、Z方向をマイナスとする。
こうして成形されたアークスプリング1には、熱処理としての焼鈍しが行われる。すなわち、図示しない搬送手段によってアークスプリング1が打込み部15から熱処理部17に搬送され、熱処理部17において適宜の焼鈍しが行われる。
焼鈍し時には、楔部21の打込みによるアークスプリング1の捩じれに対する逆向きの捩じれが付与され、アークスプリング1の捩じれを部分的に相殺する。
S巻の場合、アークスプリング1に、焼鈍しによってZ方向の捩じれが生じる。このため、アークスプリング1に生じているS方向の捩じれが部分的に相殺される。Z巻の場合はS巻の場合とは逆になる。
焼鈍し後は、アークスプリング1には、噴射加工としてのショットピーニングが施される。すなわち、図示しない搬送手段によってアークスプリング1が熱処理部17から噴射加工部19に搬送され、噴射加工部19において適宜のショットピーニングが行われる。
この噴射加工部19でのショットピーニングにより、熱処理によって部分的に相殺されて残ったアークスプリング1の捩じれに対し、逆向きの捩じれを付与して相殺する。
S巻の場合は、アークスプリング1の内周と外周へのショット粒の衝突量差により、アークスプリング1の内周よりも外周の圧縮残留応力が大きくなり、ショットピーニングによる捩じれがZ方向に生じる。なお、捩じれ量は、内周及び外周の圧縮残留応力によって設定することが可能である。Z巻の場合は、S巻の場合とは逆になる。
本実施例のショットピーニングによるZ方向の捩じれは、焼鈍しによる捩じれと合わせて、−32.5度となる。このため、本実施例では、ショットピーニング完了後、アークスプリング1の捩じれが除去され、捩じれのない平坦なアークスプリング1を得ることができる。なお、焼鈍しによる捩じれ量は、ショットピーニングによる捩じれ量と比較して大幅に小さい。このため、焼鈍しによる捩じれ量は、無視することも可能である。
なお、ショットピーニング後にも、熱処理としての焼鈍しを行ってもよい。この焼鈍しでは、ショットピーニングの後に残った捩じれを相殺する。ただし、ショットピーニング前の焼鈍しと同様、ショットピーニング後の焼鈍しによる捩じれ量は、ショットピーニングによる捩じれ量と比較して大幅に小さいので、無視することも可能である。この場合、ショットピーニング前後の焼鈍しによる捩じれ量の何れか一方のみを無視してもよい。
前述した捩じれの相殺に関する角度の関係は、下式で表すことができる。θがゼロに近づくほど、アークスプリング1の平坦度が高くなる。なお、角度は、周方向に方向性を有し、一方の周方向への角度をプラスとした場合、他方の周方向への角度はマイナスとなる。
θ=α+β×N+γ
ここで、αは、半製品5Aを回転させずに楔部21を打ち込んだときに生じる捩じれの角度、βは、楔部21を打ち込む度に半製品5Aを回転させる角度、Nは、楔部21を打ち込む回数、γは、楔部21の打込み後の工程で生じる捩じれの角度の合算値である。
図5は、実施例と比較例との比較において、各工程における捩じれ量を示すグラフである。図6は、図5の捩じれ量の測定方法を示すアークスプリングの概略図である。
図5中、実施例は、上記実施例の製造方法によって製造されたアークスプリング1を示す。比較例は、実施例と同一の半製品5Aを使用し、楔部の打込み時にアークスプリングの捩じれを除去し、その後に焼鈍しとショットピーニングを行ったものである。すなわち、比較例は、半製品を回転させることによって−8.5度のZ方向の捩じれを付加し、楔部の打込みによる8.5度のS方向の捩じれと相殺している。
図5において、高さHは、アークスプリング1の捩じれ量を角度とは別の尺度で表すものであり、平坦な面F上にアークスプリング1を載置した状態で、面Fに対するアークスプリング1の頂部の高さを示している。この高さHは、それぞれ左端の工程後に測定し、対応する捩じれの角度は、右端に示す。高さHの値は、半製品5Aの外径である15.25mmに近づくほどアークスプリング1の平坦度が高くなることを意味する。これを、図5において(高さH−外径)として示している。なお、右端の角度において、熱処理後及び噴射加工後は合算してある。
実施例では、アークスプリング1を成形した後に32.5度のS方向の捩じれが生じているのに対し、比較例では、捩じれが相殺されている。このため、実施例よりも比較例の方が、(高さH−外径)の値が大幅に小さい。
しかし、焼鈍しを経てショットピーニングまで終了すると、実施例では、S方向の捩じれがZ方向の捩じれによって相殺されている。これに対し、比較例では、−32.5度のZ方向の捩じれが生じている。このため、実施例よりも比較例の方が、(高さH−外径)の値が大幅に大きくなっている。
[実施例の効果]
以上説明したように、本実施例のアークスプリング1の製造方法は、軸線Xを湾曲させる前のアークスプリング1の半製品5Aに対し螺旋状の線間9aに楔部21を順次打ち込み、楔部21を順次打ち込んだ打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、半製品5Aを湾曲させてアークスプリング1を成形する際に楔部21の打ち込みによって生じるアークスプリング1の捩じれを増大させ、アークスプリング1に噴射加工を行うことにより、アークスプリング1の捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して捩じれを相殺する。
従って、本実施例では、楔部21の打込み時に捩じれをコントロールし、コントロールされた捩じれを噴射加工時に逆向きの捩じれによって相殺することができる。このため、噴射加工後にアークスプリング1に捩じれが生じることを確実に抑制できる。
本実施例では、噴射加工の前にアークスプリング1に対して熱処理を行うことにより、アークスプリング1の捩じれを逆向きの捩じれによって部分的に相殺し、噴射加工で部分的に相殺された後の残りの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与する。
従って、本実施例では、噴射加工前に熱処理を行っても、噴射加工後にアークスプリング1に捩じれが生じることを確実に抑制できる。
噴射加工は、アークスプリング1の径方向外側から行われるショットピーニングであり、アークスプリング1の内周よりも外周の圧縮残留応力を大きくする。
これにより、本実施例では、噴射加工により楔部21の打込みによる捩じれとは逆向きの捩じれを確実に付与し、より確実に噴射加工後にアークスプリング1に捩じれが生じることを抑制できる。
また、本実施例では、楔部21を順次打ち込む際に打込み位置を漸次ずらし、このときの打込み位置のずらし量が全て同一となっている。このため、容易且つ確実にアークスプリング1の捩じれを増大させることができる。
製造装置13は、軸線Xを湾曲させる前のアークスプリング1の半製品5Aに対し螺旋状の線間9aに楔部21を順次打ち込み、楔部21を順次打ち込んだ打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、半製品5Aを湾曲させてアークスプリング1を成形する際に楔部21の打ち込みによって生じるアークスプリング1の捩じれを増大させる打込み部15と、アークスプリング1に噴射加工を行うことにより、アークスプリング1の捩じれに対する逆向きの捩じれを付与してアークスプリング1の捩じれを相殺する噴射加工部19と、を備える。
従って、製造装置13は、上記製造方法と同様、噴射加工後にアークスプリング1に捩じれが生じることを確実に抑制できる。
1 アークスプリング
3 線材
5A,5B 半製品
9a 線間
13 製造装置
15 打込み部
17 熱処理部
19 噴射加工部
21 楔部

Claims (6)

  1. 線材が螺旋状に巻かれたコイルばねの軸線が湾曲したアークスプリングの製造方法であって、
    前記軸線を湾曲させる前の前記アークスプリングの半製品に対し前記螺旋状の線間に楔部を順次打ち込み、前記楔部が順次打ち込まれた打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、前記半製品の軸線を湾曲させて前記アークスプリングを成形する際に前記楔部の打ち込みによって前記アークスプリングに生じる捩じれを増大又は減少させ、
    前記アークスプリングに噴射加工を行うことにより、前記アークスプリングの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して前記捩じれを相殺する、
    アークスプリングの製造方法。
  2. 請求項1記載のアークスプリングの製造方法であって、
    前記噴射加工の前に前記アークスプリングに対して熱処理を行うことにより、前記アークスプリングの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して前記捩じれを部分的に相殺し、
    前記噴射加工では、前記部分的に相殺された後の残りの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与する、
    アークスプリングの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のアークスプリングの製造方法であって、
    前記噴射加工は、前記アークスプリングの径方向外側から行われるショットピーニングであり、前記半製品の内周よりも外周の圧縮残留応力を大きくする、
    アークスプリングの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のアークスプリングの製造方法であって、
    前記打込み位置は、漸次周方向にずらされる、
    アークスプリングの製造方法。
  5. 請求項4記載のアークスプリングの製造方法であって、
    前記漸次周方向にずらされる前記打込み位置のずらし量は、同一である、
    アークスプリングの製造方法。
  6. 線材が螺旋状に巻かれたコイルばねの軸線が湾曲したアークスプリングの製造装置であって、
    前記軸線を湾曲させる前の前記アークスプリングの半製品に対し前記螺旋状の線間に楔部を順次打ち込み、前記楔部が順次打ち込まれた打込み位置の内、少なくとも一つを周方向にずらし、前記半製品の軸線を湾曲させて前記アークスプリングを成形する際に前記楔部の打ち込みによって前記アークスプリングに生じる捩じれを増大又は減少させる打込み部と、
    前記アークスプリングに噴射加工を行うことにより、前記アークスプリングの捩じれに対する逆向きの捩じれを付与して前記捩じれを相殺する噴射加工部と、
    を備えるアークスプリングの製造装置。


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