本明細書において、含有量の単位「w/v%」は、「g/100mL」と同義である。
本明細書において、含有量の単位「w/w%」は、「g/100g」の重量%と同義である。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、(A)レバミピド、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種(「(A)成分」ともいう)を含有する。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、水を組成物全体の1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは90重量%以上含む。本発明の局所粘膜用水性組成物に含有される水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等を使用できる。これらの定義は第十六改正日本薬局方に基づく。
本明細書において、(A)成分のレバミピドは、2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロピオン酸((2RS)-2-(4-Chlorobenzoylamino)-3-(2-oxo-1,2-dihydroquinolin-4-yl)propanoic acid)とも称される化合物である。レバミピドは、公知の方法により合成して使用しても、市販の薬剤を入手して使用してもよい。
レバミピド誘導体としては、例えば、レバミピドのエステル化誘導体、エーテル化誘導体、アミド化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体、ニトロソ化誘導体、ハロゲン化誘導体等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、誘導体は、エステル化誘導体及び/又はエーテル化誘導体であり、より好ましくはエステル化誘導体である。
本発明で使用される(A)成分の内、レバミピド又はレバミピド誘導体の塩としては、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容される塩であれば、特に制限されないが、具体的には、有機酸塩、無機酸塩、有機塩基、又は無機塩基が挙げられる。有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等のモノカルボン酸塩;フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等の多価カルボン酸塩;乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等のオキシカルボン酸塩;メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等の有機スルホン酸塩が例示される。無機酸塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩が例示される。有機塩基との塩としては、例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン、エチレンジアミン等の有機アミンとの塩が挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、アンモニウム塩;ナトリウム又はカリウム等アルカリ金属、カルシウム又はマグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム等の金属との塩等の各種の塩が挙げられる。これらのレバミピドの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。「薬学的に又は生理学的に許容される塩」には、塩の溶媒和物又は水和物を含んでいてもよい。
本発明の局所粘膜用水性組成物には、(A)成分として、レバミピド、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の中から、1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、好ましくはレバミピドが用いられる。
本発明の局所粘膜用水性組成物において、局所粘膜用水性組成物総量に対する(A)成分の総含有量は、下記(B)成分若しくは他の配合成分の種類及びそれらの含有量、又は水性組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、(A)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.0001w/v%以上であり、より好ましくは0.001w/v%以上、さらに好ましくは0.01w/v%以上、特に好ましくは0.05w/v%以上である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、(A)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは10w/v%以下であり、より好ましくは5w/v%以下、さらに好ましくは3w/v%以下、特に好ましくは2w/v%以下である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、(A)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.0001w/v%〜10w/v%、より好ましくは0.001w/v%〜5w/v%、さらに好ましくは0.01w/v%〜3w/v%、特に好ましくは0.05w/v%〜2w/v%である。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、(B)油性成分(「(B)成分」ともいう)を含有する。本明細書において、油性成分とは、常温で液状又は固形状で存在する疎水性成分全般をいい、通常水性組成物において用いられ得る成分であればよい。油性成分としては、例えば、植物性油、脂溶性ビタミン類、エステル油、炭化水素類、ロウ類等が挙げられる。
本発明において、(B)成分の植物性油としては、例えば、ゴマ油、ヒマシ油、オリブ油(オリーブ油)、ダイズ油、ラッカセイ油、アルモンド油(アーモンド油)、小麦胚芽油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油及びヤシ油が挙げられる。植物性油は、市販品を用いてもよい。これらの植物性油は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、ヒマシ油、ゴマ油が好ましく、ゴマ油が特に好ましい。
本明細書において、ゴマ油とは、ゴマ科ゴマ属の植物(Sesamum indicum Linne(Pedaliaceae)等)の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができるが、例えば日本薬局方に収載されたゴマ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−1660〜1662参照)、冷圧法で採取した油を精製して得ることできる。
本明細書において、ヒマシ油とは、トウダイグサ科トウゴマ属の植物(Ricinus communis Linne(Euphorbiaceae)等)の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができるが、例えば日本薬局方に収載されたヒマシ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−3748〜3751参照)一般的な圧搾法で採油した後、油滓を遠心分離後、活性白土による脱色を行い、高温(200〜220℃)、高真空で水蒸気蒸留を行い、脱酸・脱臭して精製して得ることができる。
本明細書において、オリブ油とは、モクセイ科オリーブ属の植物(Olea europaea Linne(Oleaceae)等)の果実から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて果実から得ることができるが、例えば日本薬局方に収載されたオリブ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−1036〜1039参照)、成熟果実を直ちに冷圧(加熱せずに搾油する)法により搾油し、その後物理的なろ過や遠心分離で処理し、通常の精製工程にかけて得ることができる。
本明細書において、ダイズ油とは、マメ科ダイズ属(Glycine max Merrill(Leguminosae)等)の植物の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができるが、例えば日本薬局方に収載されたダイズ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−2617〜2618参照)、ダイズを破砕・圧扁後(冷圧又は温圧しても製油できる)、溶剤(ヘキサン)による抽出法で採油することができる。
本明細書において、ラッカセイ油とは、マメ科ラッカセイ属(Arachis hypogaea Linne(Leguminosae)等)の植物の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができるが、例えば、日本薬局方に収載されたラッカセイ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−5093〜5095参照)、種子をロールで粉砕し、加熱し、圧搾し、得られた油をろ過し精製して得ることができる。
本明細書において、アルモンド油とは、バラ科サクラ属(Prunus amygdalus Batsch(Rosaceae)の変種、甘扁桃等)の植物の核仁から得られる植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて核仁から得ることができる(医薬品添加物規格2003 P93等参照)。
本明細書において、小麦胚芽油とは、イネ科コムギ属(Triticum aestivum Linne(Gramdneae)等)の植物の胚芽から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて胚芽から得ることができる(医薬品添加物規格2003 P306等参照)。
本明細書において、ツバキ油とは、ツバキ科ツバキ属(Camellia japonica Linne(Theaceae)等)の植物の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができるが、例えば、日本薬局方に収載されたツバキ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−2819〜2820参照)、天日又は人工乾燥し種子を粉砕して蒸煮し圧搾し、その後ろ過して精製して得られる。
本明細書において、トウモロコシ油とは、イネ科トウモロコシ属(Zea mays Linne(Gramineae)等)の胚芽から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて胚芽から得ることができるが、例えば、日本薬局方に収載されたトウモロコシ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−2986〜2988参照)、胚芽を穀粒から取り分け、水洗後急熱乾燥後圧搾し、圧搾かすをヘキサンで抽出して採油することができる。
本明細書において、ナタネ油とは、アブラナ科アブラナ属(Brassica campestris Linne subsp. napus Hooker filiuset Anderson var. nippo−oleifera Makino(Cruciferae)等)の植物の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができるが、例えば、日本薬局方に収載されたナタネ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−3239〜3240参照)、種子を加熱し圧搾した後、そのかすを溶剤抽出し、圧搾油と合わせ原油とするのが一般的である。得られた原油を精製して用いる。
本明細書において、ヒマワリ油とは、キク科ヒマワリ属(Helianthus annuus Linne(Compositae)等)の植物の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができる(医薬品添加物規格2003 P523等参照)。
本明細書において、綿実油とは、アオイ科ワタ属(Gossypium hirsutum Linne(Gossypium)又はその同属植物(Malvaceae)等)の植物の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができるが、例えば、種子から圧搾法又は抽出法により得た不揮発性の脂肪油を精製して得ることができる(医薬品添加物規格2003 P710等参照)。
本明細書において、ヤシ油とは、ヤシ科ココヤシ属(Cocos nucifera Linne(Palmae)等)の植物の種子から得た植物性油をいう。公知の搾取方法・公知の精製方法を用いて種子から得ることができるが、例えば、日本薬局方に収載されたヤシ油は(第十六改正 日本薬局方解説書C−5017〜5019参照)、コプラを粉砕して、更に再粉砕し、蒸煮して圧搾し、浮遊物を除いて精製して得られる。
本発明において、(B)成分の脂溶性ビタミン類としては、例えば、ビタミンE類、ビタミンA類若しくはこれらの誘導体、又はこれらの塩が挙げられる。
本発明において、ビタミンE類としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。ビタミンE類として、具体的には、例えば、トコフェロール、トコトリエノール及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩が挙げられる。トコフェロール及びトコトリエノールは、α−、β−、γ−、及びδ−のいずれであってもよく、またd体及びdl体のいずれであってもよい。これらの誘導体としては、例えば、酢酸エステル、ニコチン酸エステル、コハク酸エステル、リノレン酸エステル等のエステルが挙げられる。ビタミンE類は、天然品、合成品のいずれであってもよい。これらの塩としては、例えば、有機酸塩(乳酸塩、酢酸塩、酪酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、無機塩類(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、アミノ酸、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム等の金属との塩等)が挙げられる。
ビタミンE類として、より具体的には、例えば、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、ビタミンE酢酸エステル(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンEコハク酸エステル、ビタミンEリノレン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、酢酸トコフェロール(例えば、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール等)が好ましい。
これらのビタミンE類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本発明において、ビタミンA類としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。ビタミンA類として、例えば、ビタミンA、ビタミンAを含有する混合物(例えば、ビタミンA油)、ビタミンA活性を有する誘導体が挙げられる。なお、ビタミンA油とは、レチノールを含有する水産動物の組織等から得られる脂肪油、若しくはその濃縮物、又はそれらに植物性油を適宜添加したものである。
ビタミンA類としては、例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン、及びこれらの誘導体(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等)、並びにこれらの塩が挙げられる。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールが好ましい。ビタミンA類は、天然品、合成品のいずれであってもよい。
ビタミンA類としては、より具体的には、例えば、0.550μgがビタミンA 1IUである、DSM社製のレチノールパルミチン酸エステル等を挙げることができる。なお、IUとは、第十六改正日本薬局方ビタミンA定量法等に記載の手法により求められる国際単位を意味する。
これらのビタミンA類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、(B)成分のエステル油とは、アルコールと脂肪酸のエステルをいう。具体的には、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸ラウリル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチルなどが挙げられる。エステル油は、公知の方法により合成して使用しても、市販品を入手して使用してもよい。これらのエステル油は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、中鎖脂肪酸トリグリセリドが好ましい。
本明細書において、中鎖脂肪酸トリグリセリドとは、炭素数が4から12の脂肪酸のグリセリントリエステルをいい、大部分がそれらの炭素数の脂肪酸トリグリセリドからなる混合物を含む。限定はされないが、ヤシ油、パーム核油等を一旦加水分解してから精製し、再度化合した、炭素数8(カプリル酸)や10(カプリン酸)等の脂肪酸トリグリセリドを主成分とするものが挙げられる。
中鎖脂肪酸トリグリセリドの具体的な製品(商品名)としては、例えば、ミグリオール(ミツバ貿易社製)、ココナード(登録商標)(花王社製)、ODO(日清オイリオ社製)、パナセート(登録商標)(日本油脂社製)、TCG−M(高級アルコール工業社製)、及びアクター(理研ビタミン社製)、PALMESTER(PALM−OLEO社製)等が挙げられる。
本明細書において、(B)成分の炭化水素類とは、炭素と水素とからなる化合物をいう。炭化水素類は、炭素数が20〜35程度である直鎖状炭化水素を主成分とする。具体的には、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、パラフィン、ワセリン等が挙げられる。炭化水素類は、市販品を入手して使用してもよい。これらの炭化水素類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、流動パラフィンとは、石油から得た液状の炭化水素類の混合物であり、常温常圧において液状のものをいう。また、軽質流動パラフィンとは、比重、粘度ともに小さいものをいう。流動パラフィン、軽質流動パラフィンの具体例としては、例えば、Hydrobrite2100、Hydrobrite1000、Kaydol、Orzol、Britol、Gloria、Protol、Rudol、Ervol、Benol、Blandol、Carnation、Klearol、40oil(以上、Witco社製)、Drakeol5、Drakeol6、Drakeol7、Drakeol9、Drakeol10、Drakeol13、Drakeol15、Drakeol19、Drakeol21、Drakeol32、Drakeol34、Drakeol35(以上、Penreco社製)、Duoprime350、Duoprime400、Duoprime300、Duoprime200、Duoprime180、Duoprime90、Duoprime70(以上、Lyondell社製)、Superla35、Superla31、Superla21、Superla18、Superla13、Superla10、Superla9、Superla7、Superla6、Superla5(以上、Chevron社製)、日本薬局方流動パラフィン(丸石製薬社製、日興製薬社製等)、ハイコールM−52、ハイコールM−72、ハイコールM−172、ハイコールM−202、ハイコールM−352、ハイコールM−502(以上、カネダ社製)、モレスコホワイトP-40〜P-350(シルコールP−70等)、モレスコバイオレスU-6〜8 (MORESCO社製)等が挙げられる。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、第十六改正日本薬局方の規格に適合する、流動パラフィン及び軽質流動パラフィンが好ましく、軽質流動パラフィンがより好ましい。
本明細書において、ワセリンには、石油から得た炭化水素類の混合物を精製したものである「黄色ワセリン」及び、脱色して精製したものである「白色ワセリン」の両者が含まれる。ワセリンの具体例としては、例えば、Perfecta、Protopet Alba、Protopet White 1S、White Fonoline、Protopet White 2L、Protopet White 3C、Yellow Fonoline、Protopet Yellow 1E、Protopet Yellow 2A、Protopet Super White(以上、Witco社製)、Penreco Ultima、Penreco Super、Penreco Snow、Penreco Regent、Penreco Lily、Penreco Cream、Penreco Royal、Penreco Blond、Penreco Amber、Penreco4650、Penreco Snow V、Ointment BaseNo.4、No.6、No.8(以上、Penreco社製)、Perlatum330、Perlatum310/410、Perlatum320/420、Perlatum321、Perlatum325/425、Perlatum325/415(以上、IGI社製)、、Snowwhite Spetial、Snowwhite A4等のSnowwhiteシリーズ、Microwax MA、Sonnecone CM、Sonnecone DM、White Fonoline H、White Protopet1 SH(以上、Sonneborn社製)、日本薬局方白色ワセリン(丸石製薬社製、日興製薬社製等)、日本薬局方黄色ワセリン(丸石製薬社製、日興製薬社製等)、クロラータムV(クローダジャパン社製)、サンホワイトP−1、サンホワイトP−150、サンホワイトP−200、サンホワイトS−200(以上、日興リカ社製)、ノムコートW(日清オイリオグループ社製)、プロペト(丸石製薬社製)、白色ワセリン(Crompton社製)等を挙げることができ、さらに精製したものを用いてもよい。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、第十六改正日本薬局方の規格に適合する白色ワセリンが好ましい。
本明細書において、(B)成分のロウ類とは、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルを指す。具体的には、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、木ロウ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、ラノリンが好ましい。ラノリンとしては、液状ラノリン、硬質ラノリン、還元ラノリン、精製ラノリン等が挙げられるが、特に精製ラノリンが好ましい。これらのロウ類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
これらの(B)成分の中でも、(A)成分と共存することで本発明の効果をより顕著に奏する観点から、植物性油、脂溶性ビタミン、エステル油、炭化水素が好ましく、植物性油、エステル油、炭化水素がより好ましく、植物性油が更に好ましい。また、別の観点から、ゴマ油、ヒマシ油、酢酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、白色ワセリン、ラノリンが好ましく、ゴマ油、ヒマシ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、軽質流動パラフィンがより好ましく、ゴマ油、ヒマシ油、軽質流動パラフィンがさらに好ましく、ゴマ油、ヒマシ油が特に好ましい。眼の不快感を改善する観点からは、植物性油、脂溶性ビタミンが好ましく、脂溶性ビタミンが更に好ましい。また、ゴマ油、ヒマシ油、酢酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、軽質流動パラフィン、白色ワセリンが好ましく、ゴマ油、ヒマシ油、酢酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールがより好ましく、ゴマ油、ヒマシ油、酢酸トコフェロールが更により好ましく、ゴマ油、酢酸トコフェロールが特に好ましく、酢酸トコフェロールが最も好ましい。
本発明の局所粘膜用水性組成物において、局所粘膜用水性組成物総量に対する(B)成分の総含有量は、(B)成分の種類若しくは他の配合成分の種類及びそれらの含有量、又は水性組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、(B)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.00001w/v%以上であり、より好ましくは0.0001w/v%以上、さらに好ましくは0.0005w/v%以上、特に好ましくは0.001w/v%以上、もっとも好ましくは0.005w/v%以上である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、(B)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは5w/v%以下であり、より好ましくは1w/v%以下、さらに好ましくは0.5w/v%以下、特に好ましくは0.1w/v%以下、もっとも好ましくは0.05w/v%以下である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、(B)成分の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.00001w/v%〜5w/v%、より好ましくは0.0001w/v%〜1w/v%、さらに好ましくは0.0005w/v%〜0.5w/v%、特に好ましくは0.001w/v%〜0.1w/v%、もっとも好ましくは0.005w/v%〜0.05w/v%である。
また、本発明の局所粘膜用水性組成物において、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、特に制限されるものではないが、一例として、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が、通常0.0000005重量部以上であり、好ましくは0.000005重量部以上、より好ましくは0.00005重量部以上、更に好ましくは0.0005重量部以上、更により好ましくは0.001重量部以上である。(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、特に制限されるものではないが、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量は、通常20重量部以下であり、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは5重量部以下であり、更に好ましくは1重量部以下であり、更により好ましくは0.5重量部以下であり、特に好ましくは0.2重量部以下である。(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が、通常0.0000005〜5重量部であり、0.0000005〜1重量部とすることが好ましく、0.0000005〜0.1重量部とすることが好ましく、0.000005〜0.02重量部とすることがより好ましく、0.00005〜0.01重量部とすることが特に好ましい。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、上述した(A)成分、(B)成分を少なくとも含有する。本発明の局所粘膜用水性組成物において、(A)成分、(B)成分の具体例として説明した各化合物は任意に組み合わせて用いることができる。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、(A)成分及び(B)成分が共存することにより、ヒスタミン遊離抑制作用が付与される。
本明細書において、ヒスタミンとは、β‐イミダゾールエチルアミンとも称される血液や多くの組織に存在する生理活性物質をいう。ヒスタミンは、マスト細胞や好塩基球等の顆粒中に存在し、アレルギー反応により遊離・放出され、血管拡張や膜透過性の増大、平滑筋の収縮等の生理活性を引き起こす。本明細書において、アレルギー反応とは、アレルゲンにより引き起こされる免疫反応をいい、その結果、目や皮膚のかゆみ、目のかすみ、目の充血、結膜炎、角膜炎、鼻炎、副鼻腔炎、喘息、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、じんま疹、発疹、発赤、肌荒れ、花粉症症状等のアレルギー症状が生じる。
本明細書において、ヒスタミン遊離抑制とは、ヒスタミンが、マスト細胞や好塩基球等から遊離・放出されること抑えることをいい、これにより、かゆみ等のアレルギー反応を抑えることができる。例えば、(A)及び(B)を含有しない水性組成物、又は、同じ含有量の(B)成分単独の水性組成物と比較して、ヒスタミンの遊離・放出量が減少していることをいう。
また、本発明の局所粘膜用水性組成物は、成分の結晶等の析出が抑制され、低温下や光照射条件下で長期間に亘って保存した場合であっても、良好な状態が保持される。
本明細書において、析出抑制とは、例えば同じ含有量の(A)成分単独溶液での析出量と比較して、析出量が減少していること、または(B)成分以外は同じ組成で、同じ含有量の(A)成分を有する対象溶液での析出量と比較して析出量が減少していることなどをいう。本明細書において、析出抑制とは、(A)成分単独の水性組成物、または(B)成分以外は同じ組成で、同じ含有量の(A)成分を有する対象溶液と比較して、濁度が減少していればよいが、好ましくは5%程度以上減少すること、より好ましくは10%程度以上減少すること、さらに好ましくは20%程度以上減少すること、特に好ましくは30%程度以上減少することを指す。なお、濁度の測定方法は、試験例2に準ずる。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、(A)成分及び(B)成分の他に、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明の水性組成物に配合可能な界面活性剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、のいずれであってもよい。界面活性剤は、公知の方法により合成して使用しても、市販品を入手して使用してもよい。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本発明の局所粘膜用水性組成物に配合可能な非イオン界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン(以下、POEともいう。)−ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう。)ブロックコポリマー(例えば、ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188、POP(200)POE(70)グリコール等のポロクサマー類);ポロキサミン等のエチレンジアミンのPOE−POPブロックコポリマー付加物;モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、POEソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、POEソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE硬化ヒマシ油5、POE硬化ヒマシ油10、POE硬化ヒマシ油20、POE硬化ヒマシ油40、POE硬化ヒマシ油50、POE硬化ヒマシ油60、POE硬化ヒマシ油100等のPOE硬化ヒマシ油類;POEヒマシ油3、POEヒマシ油10、POEヒマシ油35等のPOEヒマシ油類;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;ステアリン酸ポリオキシル40等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
本発明の局所粘膜用水性組成物に配合可能な両性界面活性剤としては、アルキルジアミノエチルグリシン等のグリシン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型、イミダゾリン型等の界面活性剤が例示される。
本発明の局所粘膜用水性組成物に配合可能な陽イオン界面活性剤としては、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が例示される。
また、本発明の局所粘膜用水性組成物に配合可能な陰イオン界面活性剤としては、POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等のPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のN−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウム等のN−アシルタウリン塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が例示される。
これらの界面活性剤の中でも、非イオン界面活性剤が好適である。非イオン界面活性剤の好適な例としては、限定はされないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポロクサマー類、及びモノステアリン酸ポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤であり、さらに好ましくは、ポロクサマー407、ポロクサマー188、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油35、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、及びステアリン酸ポリオキシル40からなる群より選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤であり、特に好ましくは、ポリソルベート80及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60である。
本発明の局所粘膜用水性組成物に界面活性剤を配合する場合、界面活性剤の含有量については、界面活性剤の種類、他の配合成分の種類や含有量、局所粘膜用水性組成物の用途等に応じて適宜設定できる。界面活性剤の含有量の一例として、局所粘膜用水性組成物の総量に対して、界面活性剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.001w/v%以上であり、より好ましくは0.005w/v%以上、さらに好ましくは0.01w/v%以上である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、界面活性剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは5w/v%以下であり、より好ましくは3w/v%以下、さらに好ましくは1w/v%以下である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、界面活性剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.001w/v%〜5w/v%、より好ましくは0.005w/v%〜3w/v%、さらに好ましくは0.01w/v%〜1w/v%である。
本発明の局所粘膜用水性組成物において、(A)成分に対する界面活性剤の含有量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、界面活性剤の総含有量が0.0001〜30重量部が好ましく、0.0005〜20重量部がより好ましく、0.001〜10重量部がよりさらに好ましく、0.005〜1重量部が特に好ましい。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、(A)成分及び(B)成分の他に、緩衝剤を含有することが好ましい。
本発明の水性組成物に配合可能な緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されず、有機系緩衝剤または無機系緩衝剤のいずれも使用することができる。このような緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、イプシロン-アミノカプロン酸、L-アルギニン、Lアルギニン塩酸塩、塩酸、水酸化ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤は、公知の方法により合成して使用しても、市販品を入手して使用してもよい。これらの緩衝剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、及びクエン酸緩衝剤、イプシロン-アミノカプロン酸、L-アルギニン、Lアルギニン塩酸塩が好ましい。
ホウ酸緩衝剤としては、例えば、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、例えば、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、例えば、炭酸、又は炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、例えば、クエン酸、又はクエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、緩衝剤としては、各塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、限定はされないが、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物等)、L-アルギニン又はその塩(L−アルギニン塩酸塩等)等が例示できる。
上記緩衝剤の中でも、特にホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、及びイプシロン−アミノカプロン酸、L-アルギニン、L−アルギニン塩酸塩、とりわけホウ酸緩衝剤及びイプシロン−アミノカプロン酸、L-アルギニンは好適であり、ホウ酸緩衝剤及びイプシロン−アミノカプロン酸はより好適である。ホウ酸緩衝剤の好適な具体例として、ホウ酸、ホウ酸とその塩との組み合わせ(例えばホウ酸とホウ砂)が挙げられ、好ましくはホウ酸、ホウ酸とホウ砂の組み合わせ、更に好ましくはホウ酸が例示される。また、クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、クエン酸とその塩の組み合わせが挙げられ、好ましくはクエン酸が例示される。
本発明の局所粘膜用水性組成物に緩衝剤を配合する場合、緩衝剤の含有量については、使用する緩衝剤の種類、他の配合成分の種類や含有量、局所粘膜用水性組成物の用途等に応じて適宜設定できる。緩衝剤の含有量の一例として、局所粘膜用水性組成物の総量に対して、緩衝剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.01w/v%以上であり、より好ましくは0.05w/v%以上、さらに好ましくは0.1w/v%以上である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、緩衝剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは10w/v%以下であり、より好ましくは5w/v%以下、さらに好ましくは3w/v%以下であり、特に好ましくは2%以下である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、緩衝剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.01w/v%〜10w/v%、より好ましくは0.05w/v%〜5w/v%、さらに好ましくは0.1w/v%〜3w/v%である。
本発明の局所粘膜用水性組成物において、(A)成分に対する緩衝剤の含有量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、緩衝剤の総含有量が0.001〜50重量部が好ましく、0.01〜10重量部がより好ましく、0.05〜5重量部がよりさらに好ましく、0.1〜2重量部が特に好ましい。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、(A)成分及び(B)成分の他に、溶解補助剤を含有することが好ましい。
本発明の水性組成物に配合可能な溶解補助剤としては、水に極めて難溶であるレバミピド及び/又はその塩が水溶液中に溶解するのを補助する作用を有する成分であればよく、例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K17、K25,K30,K90等)、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;トロメタモール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類;グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(400、4000、6000)等の多価アルコール;あるいはカフェイン等が挙げられる。溶解補助剤は、公知の方法により合成して使用しても、市販品を入手して使用してもよい。これらの溶解補助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
これらの溶解補助剤の中でも、ビニル系高分子、アミン類、多価アルコールが好ましく、ポリビニルピロリドン、トロメタモール、モノエタノールアミン、メグルミン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(400、4000、6000)がより好ましく、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、グリセリンが更に好ましい。
本発明の局所粘膜用水性組成物に溶解補助剤を配合する場合、溶解補助剤の含有量については、使用する溶解補助剤の種類、他の配合成分の種類や含有量、局所粘膜用水性組成物の用途等に応じて適宜設定できる。溶解補助剤の含有量の一例として、局所粘膜用水性組成物の総量に対して、溶解補助剤の総含有量は、限定はされないが、0.001w/v%以上、より好ましくは0.005w/v%以上、さらに好ましくは0.01w/v%以上、特に好ましくは0.1w/v%以上である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、溶解補助剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは20w/v%以下、より好ましくは10w/v%以下、さらに好ましくは7w/v%以下、特に好ましくは5w/v%以下である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、溶解補助剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.001w/v%〜20w/v%、より好ましくは0.005w/v%〜10w/v%、さらに好ましくは0.01w/v%〜7w/v%、特に好ましくは0.1w/v%〜5w/v%である。
本発明の局所粘膜用水性組成物において、(A)成分に対する溶解補助剤の含有量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、溶解補助剤の総含有量が0.0001〜200重量部が好ましく、0.0005〜100重量部がより好ましく、0.001〜50重量部がよりさらに好ましく、0.005〜5重量部が特に好ましい。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、(A)成分及び(B)成分の他に、テルペノイドを含有することが好ましい。本明細書において、テルペノイドとは、イソプレンユニットを構成単位とする構造を有し、清涼化剤として汎用されている公知の化合物である。
本発明の水性組成物に配合可能なテルペノイドとしては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されない。テルペノイドとして、具体的には、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、チモール、シメン、テルピネオール、ピネン、カンフェン、イソボルネオール、フェンチェン、ネロール、ミルセン、ミルセノール、酢酸リナロール、ラバンジュロール、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。ここで、「誘導体」とは、例えば、エステル化誘導体、エーテル化誘導体、アミド化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体、ニトロソ化誘導体、ハロゲン化誘導体等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、エステル化誘導体及び/又はエーテル化誘導体であり、より好ましくはエステル化誘導体である。エステル化誘導体の例としては、吉草酸、酪酸、酢酸、プロピオン酸及び/又はフランカルボン酸等の有機酸でエステル化した誘導体を挙げることができる。また、これらの化合物はd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
テルペノイドとして、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油、チョウジ油等が挙げられる。これらのテルペノイドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
これらのテルペノイドの中でも、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、及びゲラニオールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、これらを含有する精油としてクールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油、ローズ油等が例示される。より好ましくは、メントール、カンフル及びボルネオールが挙げられ、更に好ましくは、メントール及びカンフルが挙げられ、更により好ましくはl−メントール、dl−メントール、d−カンフル、及びdl−カンフルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、特に好ましくはl−メントール及び/又はd−カンフルが挙げられ、最も好ましくはlメントールが挙げられる。これらを含有する精油としてクールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油等が例示される。
本発明の局所粘膜用水性組成物にテルペノイドを配合する場合、テルペノイドの含有量については、使用するテルペノイドの種類、他の配合成分の種類や含有量、局所粘膜用水性組成物の用途等に応じて適宜設定できる。テルペノイドの含有量の一例として、局所粘膜用水性組成物の総量に対して、テルペノイドの総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.00001w/v%以上であり、より好ましくは0.0001w/v%以上、さらに好ましくは0.0002w/v%以上、特に好ましくは0.001w/v%以上である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、テルペノイドの総含有量は、限定はされないが、好ましくは1w/v%以下であり、より好ましくは0.5w/v%以下、さらに好ましくは0.1w/v%以下、特に好ましくは0.08w/v%以下である。局所粘膜用水性組成物の総量に対して、テルペノイドの総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.00001w/v%〜1w/v%、より好ましくは、0.0001w/v%〜0.5w/v%、より好ましくは0.0002w/v%〜0.1w/v%、さらに好ましくは、0.001w/v%〜0.08w/v%である。
本発明の局所粘膜用水性組成物において、(A)成分に対するテルペノイドの含有量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、テルペノイドの総含有量が0.00001〜10重量部が好ましく、0.00005〜5重量部がより好ましく、0.0001〜2重量部がよりさらに好ましく、0.0001〜1重量部が特に好ましい。
本発明の局所粘膜用水性組成物のpHについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではないが、一例としては、pHが4.0〜9.5、好ましくは5.0〜9.0、より好ましくは、6.0〜8.5、更に好ましくは6.0〜8.0、特に好ましくは6.5〜8.0となる範囲が挙げられる。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、さらに必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は適用部位、剤型等により異なるが、通常0.5〜5.0、より好ましくは0.6〜3.0、更に好ましくは0.7〜2.0となる範囲が挙げられる。浸透圧の調整は無機塩、多価アルコール等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十六改正日本薬局方に基づき286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)に従って測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
本発明の局所粘膜用水性組成物の粘度は、生理学的又は薬学的に許容される範囲内であれば、配合成分の種類及び含有量、該局所粘膜用水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター;1°34‘×R24)で測定した20℃における粘度が0.01〜10000mPa・sとすることが好ましく、0.05〜8000mPa・sとすることがより好ましく、0.5〜1000mPa・sとすることがさらに好ましく、1〜1000mPa・sとすることが更により好ましい。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。このような薬理活性成分や生理活性成分としては、例えば、一般用医薬品製造販売承認基準2012年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会 監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。具体的には、次のような成分が挙げられる。
本発明の局所粘膜用水性組成物においては、(A)成分及び(B)成分の他に、通常局所粘膜用水性組成物に用いることができる任意の成分を含有させることができる。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された有効成分が例示できる。具体的には次のような成分が挙げられる。
抗ヒスタミン剤又は抗アレルギー剤:例えば、フマル酸ケトチフェン、イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ペミロラストカリウム、マレイン酸クロルフェニラミン、クロモグリク酸ナトリウム等。充血除去剤:例えば、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硫酸ナファゾリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン等。殺菌剤:例えば、アクリノール、セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸ポリヘキサメチレンビグアニド等。ビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム等。アミノ酸類:例えば、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等。消炎剤:例えば、グリチルレチン酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アズレンスルホン酸、アラントイン、トラネキサム酸、ベルベリン、リゾチーム、グリチルリチン酸ニカリウム、インドメタシン、プラノプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、ケトプロフェン、フェルビナク等。収斂剤:例えば、亜鉛華、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。その他:例えば、メチル硫酸ネオスチグミン、ヒアルロン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、紫根、セイヨウトチノキ、及びこれらの塩等。
さらに、本発明の局所粘膜用水性組成物においては、担体、増粘剤、一般的な糖アルコール類や糖類、一般的な等張化剤、pH調整剤、安定化剤、キレート剤、防腐剤又は抗菌剤、等の添加剤を選択し、少なくとも1種を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:水、含水エタノール等の水性担体。増粘剤:例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等。糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。等張化剤:亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等。pH調節剤:例えば、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸、ポリリン酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム等。安定化剤:例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン等。キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸、EDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。防腐剤、又は抗菌剤:例えば、安息香酸ナトリウム、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサメチレンビグアニド等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
本発明において、(A)成分以外の成分における、「生理学的又は薬学的に許容される塩」とは、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基等との塩が例示され、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、又はジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。これらの塩は、たとえば、その物質に存在する硫酸基やカルボキシル基を公知の方法により塩に変換することで得られる。さらには、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、L−グルカミン等のアミンの塩;又はリジン、δ−ヒドロキシリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。また、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸の塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩なども挙げられる。
本発明でいう「生理学的又は薬学的に許容される塩」には、塩の溶媒和物又は水和物を含んでいてもよい。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、所望量の上記(A)及び(B)成分、必要に応じて他の配合成分を所望の含有量となるように添加することにより調製される。本発明の局所粘膜用水性組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。例えば、本発明の局所粘膜用水性組成物の製剤形態として、液剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。好ましくは液剤である。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、角膜及び結膜等の眼粘膜、鼻粘膜、歯茎、舌、口唇、口腔粘膜、咽頭部粘膜、肛門部粘膜、直腸粘膜、外陰部粘膜、膣粘膜等の局所粘膜に直接的に又は間接的に投与することを目的とする水性組成物である。これらの中でも、本発明の局所粘膜用水性組成物は、角膜及び結膜等の眼粘膜、鼻粘膜、口腔粘膜への使用に適し、特には眼粘膜に適用する製剤への使用に適している。
よって、本発明の局所粘膜用水性組成物は、医薬品や医薬部外品等の製剤として使用でき、例えば、眼粘膜用水性組成物、鼻粘膜用水性組成物、口唇用又は口腔粘膜用水性組成物、耳粘膜用水性組成物等の様々な用途で使用することができる。
眼粘膜用水性組成物には、点眼剤(コンタクトレンズ装用中にも使用することができる点眼剤を含む)、人工涙液(コンタクトレンズ装用中にも使用することができる人工涙液を含む)、洗眼剤、眼軟膏、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用剤(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤等が含まれる)等が含まれる。
鼻粘膜用水性組成物には、点鼻剤、鼻軟膏、鼻洗浄液等が含まれる。
口腔粘膜用水性組成物には口腔咽頭用クリーム剤、口腔咽頭用ゲル剤、口腔咽頭用軟膏剤、口腔咽頭用スプレー剤、含嗽薬、吸入剤等が含まれる。
耳粘膜用水性組成物には、点耳薬、耳軟膏が含まれる。
上記用途の中でも、眼粘膜用水性組成物は、経口用水性組成物等の他の用途の組成物に比べて、配合成分の含有量(含有割合)が非常に低いことが多く、僅かの含有量低下であっても大きな問題となりかねない。とりわけ眼粘膜用水性組成物の中でも点眼剤は、1回の使用量が極微量であるため含有量低下の影響は大きい。また、洗眼剤やコンタクトレンズケア用剤等は洗面台等の室温下で保管されることが多いのに対し、点眼剤は、使用者により冷蔵庫内で保存されたりする場合もあることから、低温下で保存される可能性が高い製剤形態といえる。また、このような保存により結晶が析出すると眼粘膜に適用する製剤としての安全性を含む品質の低下や商品価値の低下を招いてしまうため、点眼剤は、結晶等の異物発生の抑制がとりわけ強く求められる。
本発明の局所粘膜用水性組成物によれば、レバミピド、レバミピド誘導体、及び/又はそれらの塩を含有する局所粘膜用水性組成物でありながら、低温下や光照射条件下で長期間に亘り保存されても結晶析出が顕著に抑制されており、長期に亘り澄明で製剤的に非常に安定な局所粘膜用水性組成物とすることができる。かかる本発明の効果に鑑みれば、本発明の局所粘膜用水性組成物の好適な一例として、眼粘膜用水性組成物が挙げられ、特に好適な例として点眼剤が挙げられる。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、(B)成分を配合した局所粘膜用水性組成物を生体に適用した場合であっても、細胞からのヒスタミン遊離が抑制される局所粘膜用水性組成物を提供し得る。ヒスタミン遊離が抑制されるため、アレルギー性疾患用、かゆみ抑制用、その他のアレルギー症状用等の用途の局所粘膜用水性組成物、中でも特に眼粘膜用水性組成物に有用である。また、眼粘膜用水性組成物の場合には、上記の症状に加えて、コンタクトレンズ装着時の不快感抑制用、かすみ眼の治療または予防等にも有用である。
また本発明の局所粘膜用水性組成物は、(A)成分に基づいて、ドライアイ又はドライマウスの改善作用を発揮できるため、特にドライアイ疾患の治療又は予防効果を有する眼粘膜用水性組成物として、又はドライマウス疾患の予防、治療又は改善効果を有する口腔粘膜用水性組成物として用いられることが好ましい。さらには、本発明の局所粘膜用水性組成物は、疲れ目改善の為の眼粘膜用水性組成物として提供され得る。例えば、ドライアイ疾患の治療又は予防用点眼剤、あるいは疲れ目改善用点眼剤として提供され得る。
さらに、本発明の局所粘膜用水性組成物は、特に、眼の不快感(特にコンタクトレンズ装用時)を改善する為の眼粘膜用組成物であることが好ましい。本発明の局所粘膜用水性組成物を眼粘膜用組成物として用いる場合には、眼表面における液体の流動性が向上しており、例えば、瞬目又は涙液交換等による液滴の運動時に、眼瞼、角膜、又はコンタクトレンズ等の固体に対して濡れが広がりやすい。このため、本発明の局所粘膜用水性組成物は、眼の不快感、特にコンタクトレンズ装用中の不快感を効果的に改善することができる。
ここで、限定はされないが、眼表面における液体の流動性の指標としては、例えば、インビトロでの培養角膜細胞あるいはコンタクトレンズを用いた、動的接触角(前進角) の大きさで表わすことができる。動的接触角が大きい程液体の流動性が低く、濡れ広がりにくい。動的接触角が小さいほど、またはマイナスの値の絶対値が大きくなるほど液体の流動性が高く、濡れ広がりやすいことになる。このような「濡れ広がり性」が向上すると、瞬目時等における不快感が解消され得る。
また、限定はされないが、特に点眼剤は、使用が簡便であることから、瞬目時等における目の不快症状を感じた際には、その使用方法において許容される範囲で、速やかに点眼することが可能である。かかる本発明の効果に鑑みれば、本発明の眼粘膜用組成物の好適な一例として、点眼剤が挙げられる。
目のかゆみ、目のかすみ、目の充血等のアレルギー症状を感じた際には、その使用方法において許容される範囲で、速やかに点眼することが可能である。これらの観点からも、本発明の眼粘膜用組成物の好適な一例として、点眼剤が挙げられる。
本明細書において、コンタクトレンズは、ハードコンタクトレンズ、酸素透過性ハードコンタクトレンズ、およびソフトコンタクトレンズのいずれも指す。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、任意の容器に収容して提供される。本発明の局所粘膜用水性組成物を収容する容器については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、また樹脂製であってもよい。本発明の局所粘膜用水性組成物を収容する容器は、さらに、樹脂をガラス繊維等の補強剤を含んで強化した樹脂容器であってもよい。
具体的には、本発明の局所粘膜用水性組成物は、容器の少なくとも一部が、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリエチレンナフタレート(PEN)製、ポリプロピレン(PP)製、ポリアリレート(PAR)製、ポリブチレンテレフタレート(PBT)製、ポリカーボネート(PC)製、ポリエチレン(PE)製からなる群から選択されるいずれかの容器に収容される。好ましくは、PET製、PEN製、PP製、PAR製、PBT製、PC製、PE製、であり、より好ましくはPET製、PBT製、PP製、PE製であり、さらに好ましくはPET製、PP製、PE製であり、特に好ましくはPET製、PP製であり、最も好ましくはPET製である。
本明細書において、容器とは、主としてレバミピド含有局所粘膜用水性組成物を直接収容する容器(一次容器)を意味する。また、容器は、容器本体部に蓋部や抽出口部が付随されていることもある。上記の材質は、主として容器本体部の材質を意味する。
本実施形態に係る局所粘膜用水性組成物を収容する容器が樹脂製である場合、容器は単一の樹脂のみから成形されていてもよく、また、複数の合成樹脂を組み合わせて成形されていてもよい。複数の合成樹脂を組み合わせる場合、上記合成樹脂同士(PET、PEN、PP、PAR、PBT、PC及びPE)を組み合わせてもよく、上記合成樹脂に加えて、通常、合成樹脂製容器を成形するのに用いられる合成樹脂を組み合わせてもよい。かかる合成樹脂として、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等)、セルロースアセテート類等の樹脂が挙げられる。また、樹脂に含まれる重合体が複数のモノマー成分で構成される場合には、その組み合わせの方法は、限定されない。これらのモノマー成分の共重合体でもよく、ホモポリマーを単に混合してもよく、また共重合体同士を混合してもよい。共重合体は、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体のいずれでもよい。
本実施形態に係る局所粘膜用水性組成物を収容する容器が合成樹脂製容器の場合、容器の構成材質全体の重量に対する、PET、PEN、PP、PAR、PBT、PC及びPEの合計重量は特に限定されないが、好ましくは容器の構成材質全体の重量に対し、PET、PEN、PP、PAR、PBT、PC及びPEが含有されていればよく、中でも好ましくは、合計重量10w/w%以上であり、より好ましくは30w/w%以上であり、さらに好ましくは50w/w%以上であり、さらにより好ましくは65w/w%以上であり、特に好ましくは80w/w以上%である。より好ましい実施形態では、PET、PEN、PP、PAR、PBT、PC及びPEのいずれか一つの合成樹脂の重量が、容器の構成材質全体の重量に対し、10w/w%以上、30w/w%以上、50w/w%以上、65w/w%以上又は80w/w%以上である。
例えば、本発明でいうPET樹脂とは、テレフタル酸又はそのジメチルエステルとエチレングリコールとの縮重合物を構成ポリマーとする樹脂を指す。PET樹脂は本願の(A)成分の光安定性が改善される観点、(B)成分の容器への吸着が抑制されている観点から好ましい。このようなポリマーに、安定化剤や難燃助剤等の添加剤を加えてポリエチレンテレフタレート樹脂とすることもできる。本発明で用いるポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はそのジメチルエステルとエチレングリコールとを重縮合して合成したポリマーを、樹脂を構成するポリマー成分中に含有していればよいが、好ましくは、10w/w%以上、より好ましくは30w/w%、さらに好ましくは、50w/w%以上、さらにより好ましくは60w/w%以上を占めるものである。このような樹脂として、あるいは樹脂素材の容器としては市販のものを用いることができる。
本発明の局所粘膜用水性組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。
本発明において、容器の形状、内部に収容できる容量は特に限定はされない。例えば点眼剤や点鼻剤等の局所粘膜用剤用途に供される場合の容器であれば、内容量を0.1mL以上500mL以下、好ましくは、1mL以上100mL以下、より好ましくは、2mL以上50mL以下、さらに好ましくは3mL以上25mL以下収容できる容器であり得る。
本発明の局所粘膜用水性組成物は、単独あるいはキットの形態において、樹脂容器内に収容されて提供される。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、表1〜4における各成分量の単位は、w/v%である。
試験例1 ヒスタミン遊離抑制効果試験
10容量%ウシ胎児血清(MP BIOMEDICALS社製)を添加したDMEM培地(Gibco社製)に懸濁したラット好塩基球(性)白血病細胞株(RBL−2H3)を、1×105 cells/cm2 の密度で、96ウェルマイクロタイタープレート(コーニング社製)に播種し、37℃、5%CO2下で24時間培養した。その後、培養上清を吸引除去し、表1に示す濃度となるよう被験物質を溶解したPIPES緩衝液を1ウェル当たり0.1mLずつ添加し、1時間、37℃、5%CO2下でインキュベートした。PIPES緩衝液は、0.1w/v%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を添加したPIPES緩衝液(119mM NaCl、7.4mM KCl、5.6mM グルコース、0.85mM MgCl2、25mM PIPES, 1mg/mL BSA、4.0mM CaCl2、pH7.2)を用いた。ウェル中の試験液を吸引除去し、PIPES緩衝液0.1mLを添加した後に吸引除去した(洗浄操作)。その後1mM A23187(カルシマイシン:シグマ社製)を0.2mLずつ各ウェルに添加し、更に30分間、37℃、5%CO2下でインキュベートした。各ウェルの上清を回収し、ヒスタミンの含有量をELISAキット(Oxford Biochemical Research社製)を用いて定量した。
また別途、Cell Counting Kit-8(DOJINDO社製)を用いて、上記試験の各サンプルに対応する細胞毒性を求め、得られた細胞生存率(%)の値を用いて、細胞あたりのヒスタミン遊離量を算出し、下記の算出式(式1)に従って、比較例1に対する各サンプルのヒスタミン遊離抑制率(%)を算出した。
(式1)ヒスタミン遊離抑制率(%)=100−(各サンプルのヒスタミン遊離量/比較例1のヒスタミン遊離量×100)
得られた結果を表1及び図1に示す。ゴマ油、ヒマシ油を配合した眼粘膜用水性組成物では、ヒスタミン遊離抑制率はマイナスとなり、すなわちヒスタミンの遊離が増加したことを示している(比較例2、3)。一方、さらにレバミピドを配合した眼粘膜用水性組成物では、意外なことに、ヒスタミン遊離抑制率が上昇し、すなわちヒスタミンの遊離が抑制されていることが確認された(実施例1、2)。このような眼粘膜用水性組成物は、抗アレルギー、かゆみ、かすみ抑制等の用途の眼科用製剤に有用である。
試験例2 白濁度評価試験
(実施例3〜5)
表2に示す組成の眼粘膜用水性組成物を常法に従って調製した。具体的には、各成分を100mL容量ガラスバイアルに量り取り、必要量の精製水を添加した。加温しながら攪拌し、室温にて最終pHを調節して均一な製剤を得た。ここで、レバミピドとしては、日本薬局方適合のレバミピドを用いた。
(比較例4)
表2に示す組成の眼粘膜用水性組成物を、実施例3と同様に調製した。
調製した各眼粘膜用水性組成物を10mL容量のガラスヘッドスペースバイアルに5mLずつ充填し、4℃の恒温器内に遮光下にて保存した。7日間保存した後に、各眼粘膜用水性組成物中の析出物の有無を確認し、濁度測定による白濁度を評価した。なお、濁度は、濁度計であるNDH−300A(NIPPONDENSHOKU社製)を用いて測定し、精製水をブランクとして用いた。
上記方法で測定した、各比較例及び実施例の眼粘膜用水性組成物の白濁の度合いについて、比較例4の値を基準(100)とした場合の各サンプルの濁度を下記式(式2)に基づき算出した。
(式2)濁度相対値(%)=[(各眼粘膜用水性組成物の濁度)/(基準となる比較例(比較例4)の濁度)]×100
その結果を表2及び図2に併せて示す。また、保存7日後の比較例4(左側)及び実施例3(右側)の各眼粘膜用水性組成物の状態を示す写真を図3に示す。
表2、図2及び図3に示す通り、レバミピドを含有する眼粘膜用水性組成物において析出物が認められた(比較例4)。これに対して、ゴマ油、軽質流動パラフィン、中鎖脂肪酸トリグリセリドをさらに含有する眼粘膜用水性組成物では、濁度が顕著に減少し、析出の発生が抑制された(実施例3〜実施例5)。
試験例3 光安定性試験
(実施例6、7)
表3に示す組成の眼粘膜用水性組成物を、実施例3と同様に調製した。
(比較例5)
表3に示す組成の眼粘膜用水性組成物を、比較例4と同様に調製した。
調製した各眼粘膜用水性組成物を10mL容量のガラスヘッドスペースバイアルに5mLずつ充填し、光安定性試験装置(「LT−120A−WCD」、ナガノサイエンス社製)を用いて、D65蛍光ランプを光源として、室温25℃の下、4000lxの光を照射することにより、積算照射量66.17万lx・hの光を曝光した。その後、各眼粘膜用水性組成物の析出の程度を評価した。
析出の程度については、下記評価基準に基づいて評価した。
50cm離れた場所から観察し、結晶が20個以上確認できる ×
50cm離れた場所から観察し、結晶が10〜20個確認できる △
50cm離れた場所から観察し、結晶が1〜10個確認できる ○
50cm離れた場所から観察し、結晶が確認できない ◎
その結果を表3に併せて示す。
表3に示す通り、レバミピドを含有する眼粘膜用水性組成物において光照射により析出物が認められた(比較例5)。これに対して、軽質流動パラフィン、中鎖脂肪酸トリグリセリドをさらに含有する眼粘膜用水性組成物では、濁度が顕著に減少し、析出の発生が抑制された(実施例6、7)
試験例4:動的接触角(前進角)の評価
(実施例8、9)
表4に示す組成の眼粘膜用水性組成物(点眼剤)を、実施例3と同様に調製した。
(比較例6、7)
表4に示す組成の眼粘膜用水性組成物(点眼剤)を、比較例4と同様に調製した。
実施例8、9および比較例6、7の眼粘膜用水性組成物について、下記試験を行った。すなわち、接触角計DM−501(協和界面科学株式会社製)を用い、各点眼剤の動的接触角を測定した。動的接触角は、固体と液体の界面が運動する際の接触角である。
同接触角計の拡張/収縮法による動的接触角(前進角)の測定手順に従った。まず、新品の酸素透過性ハードコンタクトレンズ(メニコンEX,(株)メニコン社製)を精製水で十分にすすぎ、表面の水分を拭き取った後、接触角計のステージの上に置いた。接触角計のディスペンサに試験液(点眼剤)をセットした。室温下で試験液の液滴1μLをハードコンタクトレンズ上に滴下して半球状に着滴させた。次に、速やかに、試験液の半球上部にディスペンサの液吐出部の先端を着液させた。その状態で、試験液を吐出速度6μL/秒で連続的に吐出し、液滴の形状を側面から0.1秒毎に15回撮影した。撮影した画像を接触角計の解析ソフトFAMASで解析し、各画像から接触角を求めた。ここで、接触角は、ハードコンタクトレンズの表面、試験液及び空気の接触点Pから試験液に引いた接線と、ハードコンタクトレンズの表面に引いた接線のなす角のうち、試験液を含む側の角を意味する。接触点Pは、各液滴について左右の2点存在しており、2点の接触角の平均値を算出した。次に、画像を撮影した順番に接触角(2点の平均値)を並べて連続した5つの接触角を選択し、標準偏差を算出した。すなわち、1回の測定で11の標準偏差が算出される。連続した5つの接触角の標準偏差が最初に2.5°以下になった最初の接触角を、動的接触角とした。全ての試験液について、標準偏差が最初に2.5°以下となった以降に、2.5°より大きい標準偏差は認められなかった。
各試験液について、上記測定と算出を3回繰り返し行い、対応する比較例に対する対照の実施例の動的接触角の改善率を下記式(式3)により算出した。算出した結果を表4に示す。
(式3)動的接触角(前進角)改善率(%)={1−(実施例の動的接触角の平均値/対応する比較例の動的接触角の平均値)}×100
対応する比較例とは、(A)成分を含有しないこと以外は対応する実施例と同じ組成の水性組成物を意味する。具体的には、実施例8については比較例6、実施例9については比較例7である。
(A)成分及び(B)成分(ゴマ油、又は酢酸トコフェロール)を組み合わせて使用した場合、(A)成分を含まない点眼剤と比べて、動的接触角の改善率が向上する、すなわち、液体の流動性が改善されることで濡れ広がりやすくなり、点眼による不快感改善効果が向上することが確認された。
尚、培養した角膜細胞を使用して動的接触角を測定した場合にも同様の結果が得られた。
製剤例
下記表5〜表8に記載の処方で、点眼剤(製剤例1〜19、22〜28)、口腔用スプレー剤(製剤例20)、含嗽液(製剤例21)が調製され、表中に記載の容器に収容される。表5〜表8の製剤例中、塩酸及び水酸化ナトリウムはpH調整に用いられ、局所粘膜用水性組成物が表5〜表8に記載のpHとなるように加えられる。精製水は各液剤の全量が100mLとなるよう加えられる。