JP6973017B2 - 塗装金属板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗装金属板の製造方法に関する。
塗装金属板は、一般的に、めっき鋼板などの金属板の表面に塗料を塗布することによって製造される。塗料としては、環境負荷を低減する観点などから、溶剤系塗料に代えて、水性塗料が用いられる場合がある。
このような塗装金属板を製造する際には、金属板と塗膜との密着性を高める観点などから、通常、塗料を塗布する前に、金属板の表面に化成処理が施されている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−263564号公報
しかしながら、近年、製造コストの削減などの観点から、化成処理をなくすことが望まれている。すなわち、化成処理を施さなくても、金属板と塗膜との密着性を高めることが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、化成処理を施さなくても、金属板と塗膜との密着性を高めることができる塗装金属板の製造方法を提供することを目的とする。
[1] 金属板と、前記金属板の表面に配置された塗膜とを有する塗装金属板の製造方法であって、前記金属板を準備する工程と、前記金属板の表面に、直接、アニオン性基を有する水分散性樹脂またはカチオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料を塗布する工程と、を有し、前記水性塗料が前記アニオン性基を有する水分散性樹脂を含む場合、前記水性塗料のpHは、前記金属板の等電点よりも低く、前記水性塗料が前記カチオン性基を有する水分散性樹脂を含む場合、前記水性塗料のpHは、前記金属板の等電点よりも高い、塗装金属板の製造方法。
[2] 前記水性塗料のpHと前記金属板の等電点との差の絶対値は、0.3超2.0未満である、[1]に記載の塗装金属板の製造方法。
[3] 前記金属板は、めっき層を有するめっき鋼板である、[1]または[2]に記載の塗装金属板の製造方法。
[4] 前記めっき層は、Znを55質量%以上含むZn系めっき層である、[3]に記載の塗装金属板の製造方法。
[5] 前記めっき層は、Alを55質量%以上含むAl系めっき層である、[3]に記載の塗装金属板の製造方法。
[6] 前記金属板を準備する工程は、鋼板を、少なくとも溶融めっき浴に浸漬して、前記鋼板の表面にめっき層を形成する工程と、前記めっき層に冷却水を接触させる工程と、を有し、前記冷却水を接触させるときの前記めっき層の表面温度は、100℃以上凝固点以下である、[4]または[5]に記載の塗装金属板の製造方法。
[7] 前記冷却水は、Ca2+、Mg2+、V5+、Si4+、Ti2+からなる群より選ばれる一以上の金属イオンを含む、[6]に記載の塗装金属板の製造方法。
[8] 前記水性塗料は、防錆剤をさらに含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の塗装金属板の製造方法。
[9] 前記水性塗料は、pH調整剤をさらに含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の塗装金属板の製造方法。
[10] 前記アニオン性基を有する水分散性樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であり、前記カチオン性基を有する水分散性樹脂のアミン価は、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載の塗装金属板の製造方法。
[11] 前記金属板を準備する工程と、前記金属板の表面に前記水性塗料を塗布する工程との間に、前記金属板の等電点を測定する工程と、前記測定した等電点に基づいて、前記水性塗料のpHを調整する工程とをさらに有する、[1]〜[10]のいずれかに記載の塗装金属板の製造方法。
[12] 前記塗膜は、下塗り塗膜であり、前記下塗り塗膜の表面に、上塗り塗料を塗布する工程をさらに含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の塗装金属板の製造方法。
本発明によれば、化成処理を施さなくても、金属板と塗膜との密着性を高めることができる塗装金属板の製造方法を提供することができる。
1.塗装金属板の製造方法
本発明の塗装金属板の製造方法は、1)塗装原板として、金属板を準備する工程と、2)金属板の表面に、アニオン性基を有する水分散性樹脂またはカチオン性基を有する水分散性樹脂(以下、これらをまとめて、「(親水性基として)アニオン性基またはカチオン性基を有する水分散性樹脂」ともいう)を含む水性塗料を塗布する工程と、を有する。
1)の工程について
(塗装原板)
塗装原板としての金属板は、塗装金属板の用途に応じて適宜選択することができる。金属板の例には、冷延鋼板やステンレス鋼板などの鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板および銅板が含まれる。ステンレス鋼板には、オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、フェライト・マルテンサイト二相系のステンレス鋼板が含まれる。
金属板は、めっき処理されたもの(めっき層を有するもの)であってもよいし、めっき処理されていないもの(めっき層を有しないもの)であってもよい。中でも、水性塗料の塗膜との密着性や耐食性を高めやすい観点から、金属板は、めっき金属板であることが好ましく、さらに強度が高い観点から、めっき鋼板であることがより好ましい。
めっき鋼板の例には、亜鉛めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板などが含まれる。中でも、耐食性や耐傷付き性、成形加工性などの観点から、Zn−Al合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が好ましい。なお、亜鉛めっき鋼板、ならびにZn−Al合金めっき鋼板およびZn−Al−Mg合金めっき鋼板のうちZnを主成分とする(55質量%以上含む)ものは、Zn系めっき鋼板ともいう。アルミニウムめっき鋼板、ならびにZn−Al合金めっき鋼板およびZn−Al−Mg合金めっき鋼板のうちAlを主成分とする(55質量%以上含むものは、Al系めっき鋼板ともいう。これらのめっき鋼板は、耐食性の観点などから、溶融めっき鋼板であることが好ましい。
金属板の厚さは、塗装金属板の用途に応じて適宜に決めることができ、特に制限されないが、例えば0.1〜2.0mmでありうる。
金属板がめっき鋼板である場合、めっき層の付着量(めっき付着量)は、特に制限されないが、例えば30〜500g/mでありうる。
めっき鋼板は、公知の方法、例えば溶融めっきや電気めっきなどで製造することができる。例えば、溶融めっき鋼板は、1−1)基材となる鋼板を溶融めっき浴に浸漬して、溶融めっき層を形成する工程と、1−2)溶融めっき層が形成された金属板を冷却水と接触させる工程と、を経て製造されうる。
1−1)の工程について
(基材)
基材となる鋼板は、前述の冷延鋼板やステンレス鋼板などでありうる。
(めっき層の形成)
まず、溶融めっき浴に、基材となる鋼板を浸漬した後、ガスワイピングなどを用いることによって、所定量の溶融金属を鋼板の表面に付着させる。
めっき浴の組成は、めっきの種類に応じて適宜設定される。例えば、Zn系めっき層を形成する場合は、Zn:55〜100質量%を含み、必要に応じてAl:0〜45質量%、Mg:0〜15質量%、Si:0〜15質量%、Ti:0〜0.1質量%、B:0〜0.045質量%、その他の不可避不純物の少なくとも一以上をさらに含むものを使用することができる。また、Al系めっき層を形成する場合は、Al:55〜100質量%を含み、必要に応じてZn:0〜45質量%、Mg:0〜15質量%、Si:0〜15質量%、Ti:0〜0.1質量%、B:0〜0.045質量%および不可避不純物の少なくとも一以上をさらに含むものを使用することができる。
次いで、鋼板の表面に付着した溶融金属を冷却し、溶融金属を凝固させる。それにより、鋼板の表面に、めっき浴の成分組成とほぼ同じ組成のめっき層が形成された溶融めっき鋼板を得ることができる。
鋼板の表面に付着した溶融金属の冷却は、例えば溶融金属の凝固点以下の温度(後述するウォータークエンチ工程開始時のめっき層の表面温度)まで行うことができる。鋼板の表面に付着した溶融金属の冷却は、例えばエアジェットクーラーや気水冷却設備(霧状にした冷却水と気体の吹き付けを行う冷却設備)などにより行うことができる。
1−2)の工程について
得られた溶融めっき鋼板のめっき層の表面に、冷却水を接触させる。すなわち、水冷(ウォータークエンチ)工程を行う。
冷却水を接触させる時のめっき層の表面温度(ウォータークエンチ工程開始時のめっき層の表面温度)は、100℃以上かつめっき層の凝固点以下程度であることが好ましい。具体的には、冷却水を接触させる時のめっき層の表面温度は、100〜250℃程度、好ましくは105〜200℃程度でありうる。
冷却水は、後述するように、溶融めっき鋼板の表面の等電点を調整しやすくする観点から、所定の金属イオンをさらに含んでいてもよい。金属イオンの例には、Ca2+、Mg2+、Ti2+、V5+、Si4+などが含まれる。これらの金属イオンは、1種類で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
所定の金属イオンを含む冷却水は、任意の方法で調製されうる。例えば、水に、所定の金属含有化合物と、必要に応じて溶解促進剤とを溶解させればよい。
金属含有化合物の例には、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのCa含有化合物、安息香酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどのMg含有化合物、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、チタントリエタノールアミネートなどのTi含有化合物、メタバナジン酸アンモニウム、アセチルアセトンバナジル、バナジウムアセチルアセトネート、オキシ硫酸バナジウム、五酸化バナジウムなどのV含有化合物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどのSi含有化合物が含まれる。
冷却水における金属イオンの濃度は、0.1g/L以上10.0g/L以下であることが好ましく、1.0g/L以上5.0g/L以下であることがより好ましい。2種以上の化合物を組み合わせて使用する場合は、金属イオンの合計濃度が上記範囲であればよい。
溶解促進剤の例には、2−アミノエタノール、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、エチレンジアミン、2,2’−イミノジエタノール、1−アミノ−2−プロパノールが含まれる。
冷却水における溶解促進剤の含有量は、例えば金属含有化合物100質量部に対して溶解促進剤90〜130質量部としうる。溶解促進剤の含有量が一定以上であると、金属含有化合物を十分に溶解させうる。
冷却水をめっき層の表面に接触させる方法は、特に限定されないが、スプレー方式や浸漬方式でありうる。
2)の工程について
1)の工程で準備した金属板(例えば溶融めっき鋼板)の表面に、直接、水性塗料を塗布する。直接、水性塗料を塗布するとは、具体的には、金属板の表面に、化成処理層などの他の層を介さずに水性塗料を塗布することをいう。
(水性塗料)
水性塗料は、親水性基としてアニオン性基を有する水分散性樹脂またはカチオン性基を有する水分散性樹脂と、水性媒体とを含む。
(水分散性樹脂)
アニオン性基を有する水分散性樹脂またはカチオン性基を有する水分散性樹脂(以下、これらをまとめて、「(親水性基として)アニオン性基またはカチオン性基を有する水分散性樹脂」ともいう)は、水性媒体中で、粒子状態で分散してエマルションを形成しうる樹脂である。
なお、アニオン性基を有する水分散性樹脂は、アニオン性基よりも少ない量のカチオン性基をさらに有してもよく、カチオン性基を有する水分散性樹脂は、カチオン性基よりも少ない量のアニオン性基をさらに有してもよい。ただし、アニオン性基とカチオン性基の両方を有する水分散性樹脂は安定性が低い傾向があるため、アニオン性基を有する水分散性樹脂はカチオン性基を有しないことが好ましく、カチオン性基を有する水分散性樹脂はアニオン性基を有しないことが好ましい。
アニオン性基の例には、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基などが含まれる。カチオン性基の例には、3級アミノ基、3級アミノ基の一部または全部を酸性化合物(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸、リン酸など)で中和したもの、3級アミノ基の一部または全部を4級化剤(ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライドなど)で4級化したもの、第4級アンモニウム塩基などが含まれる。
アニオン性基またはカチオン性基を有する水分散性樹脂の例には、アニオン性基またはカチオン性基を有する、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、塩化ビニル樹脂および酢酸ビニル樹脂などが含まれる。中でも、密着性、耐水性、耐食性を高める観点から、アニオン性基またはカチオン性基を有する、ウレタン樹脂およびエポキシ樹脂がより好ましい。
アニオン性基またはカチオン性基を有するウレタン樹脂は、例えばポリイソシアネート成分と、親水性基としてアニオン性基またはカチオン性基を有するポリオールを含むポリオ−ル成分とを反応させて得られる重合体でありうる。
ポリイソシアネート成分の例には、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂肪族環式構造を有するポリイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートが含まれる。これらのポリイソシアネート成分は、一種類で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン性基を有するポリオールの例には、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのカルボキシル基を有するポリオールや;5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸などのジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの低分子ポリオールとを反応させて得られるスルホン酸基を有するポリエステルポリオールなどが含まれる。カチオン性基を有するポリオールの例には、3級アミノ基を有するポリオール、具体的には、N−メチル−ジエタノールアミン、エポキシを2つ有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオールなどが含まれる。ポリオ−ル成分は、アニオン性基を有するポリオールおよびカチオン性基を有するポリオール以外の他のポリオールをさらに含んでもよい。
アニオン性基またはカチオン性基を有するエポキシ樹脂は、原料としてのエポキシ樹脂を、親水性基含有化合物で変性して得られる変性エポキシ樹脂でありうる。原料としてのエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などが含まれる。親水性基含有化合物の例には、アミン化合物;ジカルボン酸やp−アミノ安息香酸などのカルボキシル基含有化合物;無水マレイン酸、無水フタル酸、水添無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物が含まれる。
アニオン性基を有する水分散性樹脂の市販品の例には、スーパーフレックス170(第一工業製薬社製)、HUX232(ADEKA社製)、EM−0434AN(ADEKA社製)などが含まれる。カチオン性基を有する水分散性樹脂の市販品の例には、スーパーフレックス650(第一工業製薬社製)、WEM−505C(大成ファインケミカル社製)が含まれる。
アニオン性基を有する水分散性樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が10mgKOH/g以上であると、親水性基としてのアニオン性基が一定以上含まれることから、水性塗料において水分散性樹脂の分散性を高めやすいだけでなく、金属板の表面との電気的な作用を生じやすい。酸価が50mgKOH/g以下であると、塗膜の耐水性が損なわれにくい。酸価は、JIS K 0070またはISO 3961に準じて測定することができる。具体的には、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のmg数として測定することができる。
カチオン性基を有する水分散性樹脂のアミン価は、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることが好ましい。アミン価が10mgKOH/g以上であると、親水性基としてのカチオン性基が一定以上含まれることから、水性塗料において水分散性樹脂の分散性を高めやすいだけでなく、金属板の表面との電気的な作用を生じやすい。アミン価が40mgKOH/g以下であると、塗膜の耐水性が損なわれにくい。アミン価は、ASTM D2074に準じて測定することができる。具体的には、試料1gを中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウム(KOH)のmg数として測定することができる。
水分散性樹脂の含有量は、水性塗料の全質量100質量部に対して20〜50質量部であることが好ましい。水分散性樹脂の含有量が20質量部以上であると、塗膜と金属板との密着性を高めやすく、50質量部以下であると、水性塗料の粘度を適度な範囲に調整しやすい。
(水性媒体)
水性媒体は、水、または水と水溶性有機溶剤の混合物でありうる。水溶性有機溶剤の例には、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類が含まれる。
水性塗料は、必要に応じて、水分散性樹脂や水性媒体以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、防錆剤やpH調整剤、造膜助剤、顔料(着色顔料および体質顔料)などが含まれる。
(防錆剤)
防錆剤は、塗膜の耐食性を向上させる機能を有する。防錆剤の例には、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸マグネシウム、シリカ、カルシウムイオン交換シリカ、リン酸ジルコニウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、酸化亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウムおよびクロム酸ストロンチウムが含まれる。
防錆剤の含有量は、防錆効果が得られる程度であればよく、水分散性樹脂の全質量100質量部に対して、例えば5〜50質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましい。
(pH調製剤)
pH調整剤は、水性塗料のpHを調整する機能を有する。pH調整剤の例には、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリム、テトラホウ酸ナトリウムなどのアルカリ類や、塩酸、酢酸、クエン酸などの酸類が含まれる。
pH調整剤の含有量は、水性塗料のpHが前述の範囲となるように設定されればよく、水分散性樹脂の全質量100質量部に対して、例えば0.05〜10質量部でありうる。
(造膜助剤)
造膜助剤は、塗膜を形成する際に、水性塗料をレベリングさせやすくする機能を有する。造膜助剤は、水溶性であり、かつ水よりも高い沸点(例えば150〜250℃)を有する有機溶剤でありうる。造膜助剤の例には、ブチルセルソルブ、テキサノール、カルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ジブチルカルビトールおよびN−メチル−2−ピロリドンが含まれる。
(顔料)
顔料の例には、着色顔料や体質顔料が含まれる。着色顔料の例には、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、ベンガラ、チタンイエロー、コバルトブルー、コバルトグリーン、アニリンブラック、フタロシアニンブルーなどが含まれる。体質顔料の例には、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカおよび炭酸カルシウムが含まれる。
水性塗料は、例えば水分散性樹脂の分散体(エマルション)に、必要に応じて防錆剤やpH調整剤などの成分を添加して均一に混合、分散させることによって得ることができる。
このような水性塗料を金属板に塗布する工程において、本発明者らは、金属板の表面の等電点と塗料のpHとを調整することで、化成処理を施さなくても、金属板と塗膜との間で高い密着性が得られることを見出した。具体的には、アニオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料を用いる場合は、水性塗料のpHを金属板の等電点よりも低くする。カチオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料を用いる場合は、水性塗料のpHを金属板の等電点よりも高くする。それにより、金属板と塗膜との密着性が向上することを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。すなわち、アニオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料を用いる場合、水性塗料のpHが金属板の等電点よりも低いと、金属板の表面はプラス(正)に帯電しやすい。それにより、水性塗料に含まれるアニオン性基を有する水分散性樹脂と、プラスに帯電した金属板の表面との間で電気的に引き合う力が生じやすく、塗膜の密着性が高まりやすいと考えられる。
同様に、カチオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料を用いる場合、水性塗料のpHが金属板の等電点よりも高いと、金属板の表面はマイナス(負)に帯電しやすい。それにより、水性塗料に含まれるカチオン性基を有する水分散性樹脂と、マイナスに帯電した金属板の表面との間で電気的に引き合う力が生じやすく、塗膜の密着性が高まりやすいと考えられる。なお、金属板の表面の等電点とは、金属板の表面の電荷がゼロとなるpHである。
金属板の表面の等電点は、E.McCafferty and J.P.Wightman:J.Colloid Interface Sci.,194,344(1999)を参照して、以下の方法で測定することができる。まず、イオン交換水に酸またはアルカリを添加し、pH2〜13まで異なる水溶液を0.5刻みで23点準備する。得られた水溶液を、有機溶剤(ヘキサン)中に浸漬させた金属板の表面に滴下し、室温(25℃)での接触角を協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DMo−701により測定する。そして、横軸をpH、縦軸を接触角(°)としたグラフにおいて、接触角が極大値を示すときのpHを等電点とする。極大値を示すpHが複数あった場合は、極大値を示すpHの最大値と最小値の間の値とする。
水性塗料のpHは、公知のpH計、例えばHORIBA株式会社製 LAQUA F53により測定することができる。
水性塗料のpHと金属板の等電点との差の絶対値は、塗膜と金属板との密着性を一層高めやすくする観点から、0.3超2.0未満であることが好ましい。水性塗料のpHと金属板の等電点との差の絶対値が0.3超であると、金属板の表面に十分な電荷を生じさせやすいので、水性塗料に含まれる水分散性樹脂と金属板の表面との間で電気的な作用が一層得られやすい。水性塗料のpHと金属板の等電点との差の絶対値が2.0未満であると、耐水密着性が損なわれにくい。水性塗料が、アニオン性基を有する水分散性樹脂を含む場合、水性塗料のpHと金属板の等電点との差の絶対値は、0.8以上1.5以下であることがより好ましく、水性塗料が、カチオン性基を有する水分散性樹脂を含む場合、水性塗料のpHと金属板の等電点との差の絶対値は、0.5以上1.5以下であることがより好ましい。
水性塗料のpHは、金属板の表面の等電点と上記の関係を満たしていればよく、特に制限されない。水性塗料がアニオン性基を有する水分散性樹脂を含む場合、水性塗料のpHは、例えば7〜9程度でありうる。水性塗料がカチオン性基を有する水分散性樹脂を含む場合、水性塗料のpHは、例えば4〜8程度でありうる。
金属板の等電点は、例えば、1)めっき層の組成、2)めっき層形成後のウォータークエンチ工程開始時の金属板の表面温度、3)ウォータークエンチ工程での冷却水に含まれる金属イオンの種類や量などによって調整することができる。金属板の等電点を高くするためには、例えばZn系めっき層におけるZnの比率を高くしたり、ウォータークエンチ工程の開始時の金属板の表面温度を低くしたり、冷却水に含まれる金属イオンを、Ca2+やMg2+などにしたりすればよい。金属板の等電点を低くするためには、例えばZn系めっき層におけるZnの比率を低くしたり、ウォータークエンチ工程の開始時の溶融めっき鋼板の表面温度を高くしたり、冷却水に含まれる金属イオンを、V5+やSi4+、Ti2+などにしたりすればよい。
水性塗料のpHは、水分散性樹脂、防錆剤およびpH調整剤の種類または含有量、特にpH調整剤の種類または含有量によって調整することができる。水性塗料のpHを高くするためには、アルカリ類を添加すればよく、低くするためには、酸類を添加すればよい。
水性塗料の塗布は、例えば水性塗料が下塗り塗料である場合、乾燥後の塗膜の厚みが、例えば1〜10μmとなるように行うことが好ましい。乾燥後の塗膜の厚みが1μm以上であると、十分な耐食性が得られやすく、10μm以下であると、塗装金属板の外観や加工性が損なわれにくい。
水性塗料の塗布は、公知の方法で行うことができる。水性塗料の塗布方法の例には、ロールコート法、ローラーカーテンコート法、フローコート法、カーテンフロー法、スプレー法などが含まれる。
そして、金属板の表面に塗布した水性塗料を焼き付けて、塗膜を形成する。塗料の焼き付け温度は、樹脂の種類に応じて適宜設定されるが、例えば到達板温は、200〜260℃でありうる。
3)その他の工程について
本発明の塗装金属板の製造方法は、必要に応じて1)および2)の工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。
例えば、本発明の塗装金属板の製造方法は、1)の工程と2)の工程との間に、3)金属板の表面の等電点を測定する工程と、4)金属板の表面の等電点に基づいて、水性塗料のpHを調整する工程とをさらに有してもよい。金属板の等電点の測定は、前述の方法で行うことができる。水性塗料のpHの調整は、具体的には、3)の工程で得られた金属板の等電点に基づいて、水性塗料のpHと金属板の等電点とが前述の関係を満たすように水性塗料のpHを調整する。水性塗料のpHは、前述の通り、例えば水分散性樹脂や防錆剤、pH調整剤の種類や含有量、好ましくはpH調整剤の含有量などで行うことができる。
また、水性塗料が下塗り塗料である場合、本発明の塗装金属板の製造方法は、4)得られた下塗り塗膜の上に、上塗り塗料を塗布する工程をさらに有していてもよい。
(上塗り塗料)
上塗り塗料は、樹脂と、溶剤とを含む。
(樹脂)
樹脂は、塗装金属板の用途に応じて選択することができ、その例には、アクリル樹脂、ポリエステル、フッ素樹脂、アクリル−スチレン樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂もしくはベンゾグアナミン樹脂、およびこれらの樹脂をウレタン変性、シリコーン変性もしくはエポキシ変性した樹脂、およびこれらの二種以上が混合された樹脂組成物が含まれる。
(溶剤)
溶剤は、樹脂を溶解させることができるものであればよく、特に制限されないが、その例には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、メチルイソブチルケトン(MIBK)などの非プロトン性極性溶剤;ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)やジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG)などのエーテル類;塩化メチレンや四塩化炭素などのハロゲン化脂肪族炭化水素;キシレンなどの炭化水素類;およびアルコール類が含まれる。溶剤は、一種だけ含まれてもよいし、二種以上が含まれてもよい。
上塗り塗料は、必要に応じて樹脂や溶剤以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、硬化剤、着色顔料および体質顔料が含まれる。
(硬化剤)
硬化剤は、樹脂に結合し、樹脂分子間を架橋する成分である。硬化剤は、樹脂の種類や上塗り塗膜の焼付け条件などに応じて、適宜に選択することができる。硬化剤の例には、メラミン化合物およびイソシアネート化合物が含まれる。メラミン化合物の例には、イミノ基型、メチロールイミノ基型、メチロール基型または完全アルキル基型のメラミン化合物が含まれる。
(着色顔料)
着色顔料は、主に塗装金属板の意匠性の観点から選択することができる。着色顔料の例には、無機顔料、複合酸化物焼成顔料、メタリック顔料および有機顔料が含まれる。無機顔料の例には、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック、鉄黒、チタンイエロー、ベンガラ、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、群青、コバルトグリーンおよびモリブデン赤が含まれる。複合酸化物焼成顔料は、金属成分の焼成による酸化物である。金属成分の例には、CoAl、CoCrAl、CoCrZnMgAl、CoNiZnTi、CoCrZnTi、NiSbTi、CrSbTi、FeCrZnNi、MnSbTi、FeCr、FeCrNi、FeNi、FeCrNiMn、CoCr、Mn、CoおよびSnZnTiが含まれる。メタリック顔料の例には、Al、樹脂コーティングAlおよびNiが含まれる。有機顔料の例には、リソールレッドB、ブリリアントスカーレットG、ピグメントスカーレット3B、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、レーキレッドD、パーマネントレッド4R、ボルドー10B、ファストイエローG、ファストイエロー10G、パラレッド、ウォッチングレッド、ベンジジンイエロー、ベンジジンオレンジ、ボンマルーンL、ボンマルーンM、ブリリアントファストスカーレット、バーミリオンレッド、フタロシアニンブロー、フタロシアニングリーン、ファストスカイブルーおよびアニリンブラックが含まれる。
(体質顔料)
体質顔料は、下塗り塗料のそれと同じものが例示される。上塗り塗料の体質顔料は、下塗り塗料のそれと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上塗り塗料の塗布は、乾燥後の塗膜の厚みが5〜30μmとなるように行うことが好ましい。上塗り塗膜の厚みが5μm以上であると、所期の意匠性が得られやすく、30μm以下であると、外観や加工性が損なわれにくい。
上塗り塗膜は、一層以上形成されてよい。例えば、組成が異なる上塗り塗膜が二層以上形成されてもよい。
(効果)
本発明の塗装金属板の製造方法は、金属板に水性塗料を塗布する工程(前述の2)の工程)において、金属板の表面の等電点と塗料のpHとを調整する。
具体的には、アニオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料を用いる場合は、水性塗料のpHを、金属板の等電点よりも低くする。それにより、金属板の表面はプラス(正)に帯電しやすいことから、水性塗料に含まれるアニオン性基を有する水分散性樹脂と、プラスに帯電した金属板の表面との間で電気的に引き合う力が生じやすく、塗膜の密着性が高まりやすい。
一方、カチオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料を用いる場合は、水性塗料のpHを金属板の等電点よりも高くする。それにより、金属板の表面はマイナス(負)に帯電しやすいことから、水性塗料に含まれるカチオン性基を有する水分散性樹脂と、マイナスに帯電した金属板の表面との間で電気的に引き合う力が生じやすく、塗膜の密着性が高まりやすい。
それにより、化成処理を施さなくても、金属板と塗膜との間で高い密着性を得ることができる。それにより、塗装金属板の製造コストを削減することができる。
特に、水性塗料を下塗り塗料として用いることが好ましい。すなわち、下塗り塗膜の表面に上塗り塗膜を形成することで、上塗り塗膜と金属板との密着性を高めることができる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.塗装原板(金属板)の作製
<塗装原板Aの作製>
基材として、板厚0.5mmの冷間圧延鋼板を準備した。この冷間圧延鋼板を、55質量%Al−45質量%Zn合金のめっき浴内に導入し、当該冷間圧延鋼板の両面に、溶融55質量%Al−45質量%Zn合金のめっき層(溶融Al系めっき層)をそれぞれ形成した。次いで、めっき層が形成された上記鋼板を、溶融状態から25℃/秒の速度で130℃まで冷却した後、水冷(ウォータークエンチ)により常温(25℃)まで冷却して、塗装原板Aを作製した。得られた塗装原板Aの片面のめっき付着量は、80g/mであった。
<塗装原板Bの作製>
溶融状態から25℃/秒の速度で冷却するときの終点の温度(ウォータークエンチ開始時の温度)を150℃に変更した以外は塗装原板Aの作製と同様にして、塗装原板Bを作製した。
<塗装原板Cの作製>
ウォータークエンチの冷却水として、濃度1.0質量%(Tiイオン換算の濃度2.4g/L)のヘキサフルオロチタン酸アンモニウム水溶液を用いた以外は塗装原板Aの作製と同様にして、塗装原板Cを作製した。
<塗装原板Dの作製>
上記ウォータークエンチの冷却水として、濃度0.5質量%(Vイオン換算の濃度2.1g/L)のメタバナジン酸アンモニウム水溶液を用いた以外は塗装原板Aの作製と同様にして、塗装原板Dを作製した。
<塗装原板Eの作製>
めっき浴の組成を、91質量%Zn−6質量%Al−3質量%Mgに変更し、溶融Zn系めっき層を形成した以外は塗装原板Aの作製と同様にして、塗装原板Eを作製した。
<塗装原板Fの作製>
溶融状態から25℃/秒の速度で冷却するときの終点の温度(ウォータークエンチ開始時の温度)を150℃に変更した以外は、塗装原板Eの作製と同様にして、塗装原板Fを作製した。
得られた塗装原板A〜Fの表面の等電点を、以下の方法で測定した。測定結果を、後述の表2に示す。
(等電点の測定)
イオン交換水に、酢酸またはトリエタノールアミンの添加量を調整して、pH2〜13まで異なる水溶液を0.5刻みで23点準備した。得られた水溶液を、有機溶剤(ヘキサン)中に浸漬させた塗装原板の表面に滴下し、室温(25℃)での接触角を協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DMo−701を用いて測定した。そして、横軸をpH、縦軸を接触角(°)としたグラフにおいて、接触角が極大値を示すときのpHを等電点とした。極大値を示すpHが複数あった場合は、極大値を示すpHの最大値と最小値の間の値とした。
2.水性塗料の調製
<水分散性樹脂の水分散体>
1)アニオン性基を有する水分散性樹脂の水分散体
アニオンA:第一工業製薬(株)製 スーパーフレックス170(ウレタン樹脂、樹脂濃度:30質量%、pH:7.8、酸価:21mgKOH/g)
アニオンB:(株)ADEKA製 HUX232(ウレタン樹脂、樹脂濃度:34質量%、pH:8.5、酸価:20mgKOH/g)
アニオンC:(株)ADEKA製 EM−0434AN(エポキシ樹脂、樹脂濃度:32質量%、pH:7.5、酸価:25mgKOH/g)
2)カチオン性基を有する水分散性樹脂の水分散体
カチオンA:第一工業製薬(株)製 スーパーフレックス650(ウレタン樹脂、樹脂濃度:26質量%、pH:6.8、アミン価:24mgKOH/g)
カチオンB:大成ファインケミカル(株)製 WEM−505C(アクリルウレタン樹脂、樹脂濃度:31質量%、pH:4.3、アミン価:20mgKOH/g)
<防錆剤>
防錆剤A:リン酸マグネシウム(キクチカラー製 MP−620)
防錆剤B:イオン交換型シリカ(冨士シリシア製 サイロマスク02)
<pH調整剤>
酸:酢酸
アルカリ:トリエタノールアミン
<水性塗料1〜17の調製>
表1に示される水分散性樹脂の水分散体に、表1に示される防錆剤を、水分散性樹脂100質量部に対して30質量部添加し、必要に応じて表1に示されるpHとなるようにpH調整剤をさらに添加し、攪拌して、水性塗料1〜17を得た。
Figure 0006973017
得られた水性塗料1〜17のpHは、以下の方法で測定した。
(pHの測定)
得られた水性塗料のpHは、HORIBA株式会社製 LAQUA F53により測定した。
3.塗装金属板の作製
<塗装金属板1〜23の作製>
(1)下塗り塗膜の形成
表2に示される塗装原板の表面に、表2に示される水性塗料をバーコーターで塗布した。次いで、塗布した塗料を、到達板温150℃で30秒間焼き付けて、塗装原板の表面に乾燥膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。
(2)上塗り塗膜の形成
ポリエステル系クリア塗料「NSC250HQ」(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製)に酸化チタン「タイペークWHITE R−930」(石原産業株式会社製、「タイペーク」は同社の登録商標)を樹脂固形分100質量部に対して5質量部添加し、混合して均一に分散させて上塗り塗料を調製した。
そして、上記形成した下塗り塗膜の表面に、上記調製した上塗り塗料をバーコーターで塗布し、到達板温230℃で40秒間焼き付けて、下塗り塗膜の表面に乾燥膜厚10μmの上塗り塗膜を形成した。それにより、塗装金属板1〜23を得た。
得られた塗装金属板1〜23の塗膜の密着性を、以下の方法で評価した。
(密着性)
塗装金属板1〜23について、JIS K5600−5−6:1999(ISO 2409:1992)に準拠した碁盤目試験を実施した。具体的には、塗装金属板の塗膜の表面に、1mm間隔の切れ目によって100個のマス目ができるように基盤目状の切り込みを入れた。形成された切り込み部にテープを貼り付け、テープを剥離後、当該切り込み部における塗膜の剥離面積を求め、以下の基準により密着性を評価した。
◎:剥離面積が0%
○:剥離面積が0%超10%以下
△:剥離面積が10%超20%以下
×:剥離面積が20%超
◎、○および△は、実用可能であることを示す。
塗装金属板1〜23の評価結果を表3に示す。
Figure 0006973017
表2に示されるように、塗装金属板1〜17は、いずれも塗装原板に対する塗膜(下塗り塗膜と上塗り塗膜)の密着性が良好であることがわかる。これは、塗装金属板1〜13では、アニオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料のpHが、塗装原板の表面の等電点よりも低く、塗装原板の表面が正に帯電しており、水性塗料に含まれる水分散性樹脂と塗装原板の表面との間に電気的な親和力が生じるためであると考えられる。同様に、塗装金属板14〜17では、カチオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料のpHが、塗装原板の表面の等電点よりも高く、塗装原板の表面が負に帯電しており、水性塗料に含まれる水分散性樹脂と塗装原板の表面との間に電気的な親和力が生じるためであると考えられる。
特に、塗装原板の等電点と水性塗料のpHとの差を0.3以上2.0以下とすることで、上塗り塗膜の密着性を一層高めることができることがわかる(塗装金属板5と6の対比、塗装金属板7と8の対比)。
これに対して、塗装金属板18〜23は、いずれも塗装原板に対する塗膜の密着性が低いことがわかる。これは、塗装金属板18〜20では、カチオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料のpHが、塗装原板の表面の等電点よりも低く、塗装原板の表面がプラス(正)に帯電しており、水性塗料に含まれるカチオン性基を有する水分散性樹脂と、プラス(正)に帯電した塗装原板の表面との間に電気的な反発力が生じるためであると考えられる。同様に、塗装金属板21〜23では、アニオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料のpHが、塗装原板の表面の等電点よりも高く、塗装原板の表面がマイナス(負)に帯電しており、水性塗料に含まれるアニオン性基を有する水分散性樹脂と、マイナス(負)に帯電した塗装原板の表面との間に電気的な反発力が生じるためであると考えられる。
本発明の塗装金属板の製造方法では、化成処理を施さなくても、金属板と塗膜との密着性を十分に高めることができる。それにより、塗装金属板の製造コストを削減できる。また、水性塗料を用いることができるので、塗装金属板の製造時の環境負荷を低減することができる。

Claims (11)

  1. 金属板と、前記金属板の表面に配置された塗膜とを有する塗装金属板の製造方法であって、
    前記金属板を準備する工程と、
    前記金属板の表面に、直接、アニオン性基を有する水分散性樹脂またはカチオン性基を有する水分散性樹脂を含む水性塗料を塗布する工程と、
    を有し、
    前記水性塗料が前記アニオン性基を有する水分散性樹脂を含む場合、前記水性塗料のpHは、前記金属板の等電点よりも低く、
    前記水性塗料が前記カチオン性基を有する水分散性樹脂を含む場合、前記水性塗料のpHは、前記金属板の等電点よりも高く、
    前記水性塗料のpHと前記金属板の等電点との差の絶対値は、0.3超2.0未満である、
    塗装金属板の製造方法。
  2. 前記金属板は、めっき層を有するめっき鋼板である、
    請求項に記載の塗装金属板の製造方法。
  3. 前記めっき層は、Znを55質量%以上含むZn系めっき層である、
    請求項に記載の塗装金属板の製造方法。
  4. 前記めっき層は、Alを55質量%以上含むAl系めっき層である、
    請求項に記載の塗装金属板の製造方法。
  5. 前記金属板を準備する工程は、
    鋼板を、少なくとも溶融めっき浴に浸漬して、前記鋼板の表面にめっき層を形成する工程と、
    前記めっき層に冷却水を接触させる工程と、
    を有し、
    前記冷却水を接触させるときの前記めっき層の表面温度は、100℃以上凝固点以下である、
    請求項3または4に記載の塗装金属板の製造方法。
  6. 前記冷却水は、Ca2+、Mg2+、V5+、Si4+、Ti2+からなる群より選ばれる一以上の金属イオンを含む、
    請求項に記載の塗装金属板の製造方法。
  7. 前記水性塗料は、防錆剤をさらに含む、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の塗装金属板の製造方法。
  8. 前記水性塗料は、pH調整剤をさらに含む、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の塗装金属板の製造方法。
  9. 前記アニオン性基を有する水分散性樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であり、
    前記カチオン性基を有する水分散性樹脂のアミン価は、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の塗装金属板の製造方法。
  10. 前記金属板を準備する工程と、前記金属板の表面に前記水性塗料を塗布する工程との間に、
    前記金属板の等電点を測定する工程と、
    前記測定した等電点に基づいて、前記水性塗料のpHを調整する工程と
    をさらに有する、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の塗装金属板の製造方法。
  11. 前記塗膜は、下塗り塗膜であり、
    前記下塗り塗膜の表面に、上塗り塗料を塗布する工程をさらに含む、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の塗装金属板の製造方法。
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