JP6971466B2 - ポリエチレン積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン積層体に関する。
近年、様々なインテリジェンスマテリアルとしての機能を有する側鎖結晶性ブロック共重合体(Side Chain Crystalline Block Co−polymer:SCCBC)が注目されている。側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC)の利用は、例えば特許文献1及び2に開示されている。
特許文献1は、SCCBCのリチウムイオン二次電池のセパレーターの表面処理剤としての利用を開示している。特許文献1は、アルカン鎖の側鎖を有するモノマーと、ポリオキシエチレン構造の側鎖又は3級アミン構造を持つ置換基を有するモノマーが重合されているブロック重合体を、SCCBCとして開示している。
特許文献2は、SCCBCの医療分野への応用例を開示している。特許文献2は、炭素数が8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであるモノマー、及び炭素数7以下のオキシレン構造を有するモノマーが重合されているブロック重合体を、SCCBCの一例として開示している。
特開2015−61900号公報 特開2015−74633号公報
トマト加工品、例えばトマトジュース、又はケチャップ等をポリエチレン容器等、例えばポリエチレン製のボトル、チューブ、袋等に収容等したときに、ポリエチレン容器等にトマト加工品が付着するという問題がある。
本発明は、トマト加工品の付着を抑制することができる、ポリエチレン積層体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、下記のとおりである:
〈態様1〉
ポリエチレン基材、及び前記基材上に積層されている共重合体コーティングを有し、
前記共重合体コーティングは、第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体を含んでおり、
前記第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ
前記第2のモノマー部分は、オキシエチレン構造を側鎖に有する、
トマト加工品の付着を防止するポリエチレン積層体。
〈態様2〉
前記第1のモノマー部分が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を側鎖に有する、態様1に記載のポリエチレン積層体。
〈態様3〉
前記第1のモノマー部分が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートから得られる、態様1又は2に記載のポリエチレン積層体。
〈態様4〉
前記第1のモノマー部分が、ステアリルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレートからなる群より選択されるモノマーから得られる、態様1〜3のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
〈態様5〉
前記第2のモノマー部分の前記オキシエチレン構造が、式−(OCHCH−(n=1〜10)である、態様1〜4のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
〈態様6〉
前記第2のモノマー部分が、ジエチレングリコールエチルエーテルアクリレートから得られる、態様1〜5のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
〈態様7〉
前記共重合体が、前記第1のモノマーの重合ブロック及び前記第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体である、態様1〜6のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
〈態様8〉
前記トマト加工品が、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトピューレ、トマトペースト、トマトケチャップ、トマトソース、及びチリソースからなる群より選択される、態様1〜7のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
〈態様9〉
前記トマト加工品がトマトピューレである、態様8に記載のポリエチレン積層体。
〈態様10〉
態様1〜9のうち一項に記載のポリエチレン積層体を有するトマト加工品収容体。
〈態様11〉
第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体、並びに溶剤を含んでおり、
前記第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ前記第2のモノマー部分は、オキシエチレン構造を側鎖に有する、
トマト加工品の付着防止コーティング用組成物。
本発明によれば、トマト加工品の付着を抑制することができる、ポリエチレン積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
トマト加工品の付着を防止する本発明のポリエチレン積層体は、ポリエチレン基材、及び基材上に積層されている共重合体コーティングを有する。ここで、共重合体コーティングは、第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体を含んでいる。第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有する。また、第2のモノマー部分は、オキシエチレン構造を側鎖に有する。
本発明者は、直鎖状アルキル基を側鎖に有する第1のモノマー部分、及びオキシエチレン構造を側鎖に有する第2のモノマー部分を有する共重合体によってポリエチレン基材をコーティングすることにより、トマトジュースやケチャップ等のトマト加工品の付着を抑制することができることを見出した。
原理は明らかではないが、本発明において使用される共重合体が有するオキシエチレン構造が、トマト加工品の付着防止に影響を与えていると考えられる。
トマト加工品を本発明のポリエチレン積層体に接触させた場合、トマト加工品中の水が共重合体中のオキシエチレン構造に濡れ広がることにより、共重合体コーティング上に水の膜が形成され、この膜上をトマト加工品が滑り落ちることで、トマト加工品のポリエチレン積層体への付着を抑制できると考えられる。
〈第1のモノマー部分〉
本発明において、第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有する。第1のモノマー部分の直鎖状アルキル基は、ポリエチレンへの高い接合性を有する。これにより、第1のモノマー部分をポリエチレン基材上に共重合体を接合させることができる。なお、第1のモノマー部分の主鎖の構造は、特に限定されない。
第1のモノマー部分は、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を側鎖に有することが好ましい。これは、直鎖状のアルキル基の炭素数が多いほど、第1のモノマー部分のポリエチレン基材上への吸着強度が向上し、また共重合体の融点が高くなるためである。第1のモノマー部分における直鎖状アルキル基の炭素数は、8以上、10以上、12以上、14以上、又は16以上であってよく、例えば、30以下、28以下、26以下、24以下、22以下、20以下、又は18以下であってよい。
第1のモノマー部分は、例えば、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートから得ることができる。より具体的には、第1のモノマー部分は、ステアリルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレート、及びベヘニルアクリレートからなる群より選択されるモノマー、特に、ステアリルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレートからなる群より選択されるモノマーから得ることができる。
ここで、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタアクリレートの両者を意味する。
〈第2のモノマー部分〉
本発明において、第2のモノマー部分は、側鎖にオキシエチレン構造を有する。オキシエチレン構造とは、―(OCHCH―で表される構造である。nは、例えば1以上又は2以上であってよく、例えば、10以下、8以下、6以下、又は4以下の整数であってよい。
第2のポリマー部分は、例えばジエチレングリコールエチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコール−モノアクリレート、及びメトキシ−ポリエチレングリコール−アクリレートからなる群より選択されるモノマー、特にジエチレングリコールエチルエーテルアクリレートから得ることができる。
〈共重合体〉
本発明において、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、又はトリブロック共重合体等のいずれであってもよい。本発明の共重合体は、ブロック共重合体であることが好ましい。より具体的には、第1のモノマーの重合ブロック及び第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体であることが好ましい。さらにより具体的には、第1のモノマーの重合ブロックを結晶性側鎖として有し、かつ第2のモノマーの重合ブロックを機能性側鎖として有する側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC)であることが好ましい。
共重合体中の第1のモノマーの重合ブロックの分子量は、500以上であることが好ましい。第1のモノマーの重合ブロックの分子量が500以上であると、ブロック共重合体のポリエチレン基材表面への接着性がよいためである。第2のモノマーの重合ブロックの分子量は、300以上であることが好ましい。第2のモノマーの重合ブロックの分子量が300以上であると、ポリエチレン基材表面に、任意の機能を有するように修飾しやすいためである。
第1のモノマーの重合ブロックの分子量は、500以上、1000以上、2000以上、3000以上、5000以上、又は7000以上であってよい。第1のモノマーの重合ブロックの分子量は、20000以下、15000以下、13000以下、10000以下、又は8000以下であってよい。
第2のモノマーの重合ブロックの分子量は、300以上、500以上、1000以上、2000以上、3000以上、5000以上、又は7000以上であってよい。第2のモノマーの重合ブロックの分子量は、10000以下又は8000以下であってよい。
本明細書における、第1のモノマーの重合ブロックの分子量及び第2のモノマーの重合ブロックの分子量は、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
共重合体は、第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分のみから構成されていてもよく、さらにその他のモノマー部分を含んでいてよい。
ステアリルアクリレートから得られる第1のモノマーの重合ブロック、及びジエチレングリコールエチルエーテルアクリレートから得られる第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体は、例えば下記の構造式で表される。ここで、nは第1のモノマーの重合ブロック、mは第2のモノマーの重合ブロックの繰り返しの数をそれぞれ示している。
Figure 0006971466
ヘキサデシルアクリレートから得られる第1のモノマーの重合ブロック、及びジエチレングリコールエチルエーテルアクリレートから得られる第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体は、例えば下記の構造式で表される。ここで、nは第1のモノマーの重合ブロック、mは第2のモノマーの重合ブロックの繰り返しの数をそれぞれ示している。
Figure 0006971466
本発明における共重合体は、当業者に公知の方法によって製造することができる。例えば、特許文献1及び2に記載される方法を参照して製造することができる。具体的には、第1のモノマーを溶媒に溶解させ、開始剤を加えた混合物を加熱することにより第1のモノマーの重合体を合成し、その後、この重合体混合物に第2のモノマーを加えて重合を継続することにより、第1のモノマーの重合ブロック及び第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体を製造することができる。
上記の製造方法において、第2のモノマーの重合を先に行い、その後に第1のモノマーの重合を行ってもよい。
〈共重合体コーティング〉
本発明において、共重合体コーティングは、ポリエチレン基材上をコーティングしている。共重合体コーティングは、第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体を含む。
ポリエチレン基材上に共重合体コーティングを施す方法としては、例えば、共重合体、及び該共重合体を溶解又は分散する溶剤を含有する共重合体コーティング用組成物を、ポリエチレン基材上に塗布する方法を挙げることができるが、これらに限定されない。塗布は、当業者に公知の方法によって行うことができる。
共重合体コーティング用組成物に使用される溶剤の種類としては、例えば、酢酸エチル、エタノール、イソプロピルアルコール等を挙げることができるが、これらに限定されない。
〈ポリエチレン積層体〉
本発明において、ポリエチレン積層体は、ポリエチレン基材上に共重合体コーティングを有する。ポリエチレン積層体のポリエチレン基材は、種々の基材を積層させた多層構成の基材であって、最表面の少なくとも1つがポリエチレンから成るものであってもよい。この場合、共重合体コーティングはポリエチレンから成る最表面上に配置されてよい。
ポリエチレン基材は、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)等からなる基材であってよい。ポリエチレン基材は、好ましくは、LDPE又はLLDPEからなる単層基材であってよく、又はLDPE及びLLDPEから選択される2層以上の積層体からなる多層基材であってよい。
ポリエチレン基材は、単層又は多層のポリエチレンの片面上に、他の材料からなる層が積層されたものであってよい。他の材料は、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等であってよい。
ポリエチレン基材は、メルトフローレートMFRが4.0以下のポリエチレンからなる層を含んでいてよい。ポリエチレンのMFRは、JIS K 7210に準拠して、測定温度190℃及び荷重2.16kgの条件下で測定された値として、例えば、2.0(g/10min)以下、1.5(g/10min)以下、又は1.0(g/10min)以下であってよい。
ポリエチレン基材の製造方法は任意であり、例えば、インフレーション法、押出し法等によって製造されてよい。多層構成のポリエチレン基材は、適宜の方法によって得られたポリエチレンの片面上に、他の材料から成る層を、例えばドライラミネートによって積層することによって製造されてよい。
ポリエチレン基材の厚さは、例えば、30μm以上、40μm以上、50μm以上、又は60μm以上であってよく、例えば、160μm以下、140μm以下、120μm以下、又は100μm以下であってよい。
〈トマト加工品収容体>
トマト加工品収容体は、本発明のポリエチレン積層体を用いて製造されてよい。トマト加工品収容体の種類としては、例えばシート、チューブ、包装袋、容器等を挙げることができるが、これらに限定されない。これらのトマト加工品収容体は、トマト加工品を収容することができる。
〈トマト加工品〉
本発明において、トマト加工品とは、日本農林規格(平成27年5月28日農林水産省告示第1387号)に示される、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトピューレ、トマトペースト、トマトケチャップ、トマトソース、及びチリソースのことである。
〈トマト加工品の付着防止コーティング用組成物>
本発明における共重合体コーティング用組成物は、汎用のトマト加工品の付着防止コーティング用組成物としての使用にも適する。
従って、本発明は、
第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体、並びに溶剤を含んでおり、
共重合体の前記第1のモノマー部分は、直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ前記第2のモノマー部分は、オキシエチレン構造を側鎖に有する、
トマト加工品の付着防止コーティング用組成物にも関する。
トマト加工品の付着防止コーティング用組成物における共重合体及び溶剤は、それぞれ、共重合体コーティング用組成物について上記に説明したところと同様であってよい。
本発明のトマト加工品の付着防止コーティング用組成物を、適当な基材、例えばポリエチレン基材上に塗布することにより、塗布面にトマト加工品が接触したときの付着を抑制することができる。
I.トマト加工品の垂直滑落性
《ケチャップの垂直滑落性》
下記のようにして実施例1及び2、比較例1〜5のフィルムを作製した。その後、下記のようにして作製した各フィルムに対するケチャップの垂直滑落性を評価した。
〈実施例1〉
1.基材の作製
15μmの厚さを有するナイロンと、30μmの厚さを有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、タマポリUB−1)をドライラミネートにより張り合わせて積層体を作製した。この積層体に、50μmの厚さを有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、ユメリット021GT)を押出ラミネートして基材を作製した。作製された基材は、ナイロン層、LLDPE(タマポリU−30)層、及びLLDPE(ユメリット021GT)層を、この順番で有していた。
2.共重合体の作製
(1)第1段階
溶媒としての酢酸ブチル10.0g及び第1のモノマーとしてのステアリルアクリレート(STA)10.0gを三口フラスコに入れた。
開始剤としてのBlocBuilder(登録商標)MA(ARKEMA社製より入手可能(3,7−ジオキサ−4−アザ−6−フォスファノナノ酸,4,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−エトキシ−2,2−ジメチル−,6−オキシド))を三口フラスコに0.762g入れ、温度を105〜110℃に設定し、6時間重合を行った。
(2)第2段階
重合開始から6時間後、酢酸ブチル10.0g及び第2のモノマーとしてのジエチレングリコールエチルエーテルアクリレート(DEEA)10.0gを三口フラスコに添加、投入し、21時間重合した。その後温度を下げ、重合を終了した。
上記工程により、重量平均分子量6800g/molのSTAの重合ブロックと、重量平均分子量4700g/molのDEEAの重合ブロックとから成る側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC)を得ることができた。
3.共重合体コーティングの作製
SCCBCを1.0wt%、酢酸エチルに40℃で溶解させることにより、SCCBC酢酸エチル溶液(共重合体コーティング用組成物)を作製した。
その後、1.0wt%SCCBC酢酸エチル溶液を、上記1.により得られた基材のLLDPE(ユメリット021GT)層側に1回塗工した。塗工は、バーコーター((株)井元製作所製塗工機7000型)、バーコーターバー(10番手)を用いて行った。その後、基材を80℃のオーブンに30秒入れて乾燥させることにより、表面に共重合体コーティングを有するフィルムを作製した。
4.垂直滑落性の評価
0.2mlのケチャップを、水平に保持したフィルムに滴下した。その後、フィルムを垂直、即ち地面に対して90°に立てて、3分間放置した。3分経過後、ケチャップが滴下された点からケチャップが滑落した点までの距離を測定し、1分間にケチャップが滑落した長さを算出した。さらに、ケチャップが滴下された点の3分経過後におけるケチャップの付着の度合いを、目視で観察した。なお、この評価には、市販されている一般的なケチャップを用いた。
〈実施例2〉
第1のモノマーをヘキサデシルアクリレート(HDA)に変えたことを除いて、実施例1と同様にして実施例2のフィルムを作製・評価した。なお、共重合体の具体的な製造条件は、下記の表1に記載のとおりである。
〈比較例1〉
作製した基材に対して共重合体コーティングを施さなかったことを除いて、実施例1と同様にして比較例1のフィルムを作製・評価した。
〈比較例2〉
第2のモノマーをノルマルブチルアクリレート(nBA)に変えたこと、及び共重合体コーティングの作製において0.5wt%SCCBC酢酸エチル溶液を用いたことを除いて、実施例1と同様にして比較例2のフィルムを作製・評価した。なお、共重合体の具体的な製造条件は、下記の表1に記載のとおりである。
〈比較例3〉
第2のモノマーをノルマル−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)に変えたこと、及び共重合体コーティングの作製においてバーコーター(7番手)を用いたことを除いて、実施例1と同様にして比較例3のフィルムを作製・評価した。なお、共重合体の具体的な製造条件は、下記の表1に記載のとおりである。
〈比較例4及び5〉
第1のモノマーをベヘニルアクリレート(BHA)に変えたこと、かつ第2のモノマーをそれぞれ2−(エチルアミノ)エチルアクリレート(DEAEA)及びトリメトキシ(7−オクタン−1−イル)シランに変えたこと、並びに共重合体コーティングの作製において0.5wt%SCCBC酢酸エチル溶液を用いたこと、及びバーコーター(10番手)による塗工の代わりにディッピングを2秒行ったことを除いて、実施例1と同様にして比較例4及び5のフィルムを作製・評価した。なお、共重合体の具体的な製造条件は、下記の表1に記載のとおりである。
Figure 0006971466
《結果》
ケチャップの垂直滑落性の評価の結果を、表2に示す。なお、表2において、「良」は、ケチャップが滴下された点において、ケチャップがやや付着する程度であったことを示している。また、表2において、「否」は、ケチャップが滴下された点において、ケチャップがかなり付着していたことを示している。
表2において、「STA」はステアリルアクリレートを、「HDA」はヘキサデシルアクリレートを、「BHA」はベヘニルアクリレートを、「DEEA」はジエチレングリコールエチルエーテルアクリレートを、「n−BA」はノルマルブチルアクリレートを、「NIPAM」はノルマル−イソプロピルアクリルアミドを、「DEAEA」は2−(エチルアミノ)エチルアクリレートを、「TOS」はトリメトキシ(7−オクタン−1−イル)シランを、それぞれ表している。
「第1のモノマー」及び「第2のモノマー」の「分子量」とは、ブロック共重合体全体の分子量のうち、第1のモノマーの重合ブロック及び第2のモノマーの重合ブロックに相当する値である。また、「全体の分子量」とは、ブロック共重合体の分子量である。
第1モノマーの重合ブロックの分子量及び第2モノマーの重合ブロックの分子量は、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。重合の第1段階終了後にサンプリングした試料のGPC測定から第1モノマーの重合ブロックの分子量を求め、第2段階終了後の試料のGPC測定からブロック共重合体全体の分子量を求め、両者の差分を第2モノマーの重合ブロックの分子量とした。分子量の測定方法は、以下の実施例等についてもこれと同様に行った。
Figure 0006971466
表2に示されるように、実施例1及び2のフィルム(第2のモノマー部分がオキシエチレン構造を有している共重合体を使用しているフィルム)は、比較例1〜5のフィルム(共重合体コーティングを有さないフィルム)よりも、ケチャップの滑落速度が大きく、かつケチャップの付着量が少なかった。
《トマトピューレの垂直滑落性》
〈実施例3及び4、並びに比較例6〉
ケチャップの代わりにトマトピューレを用いたことを除いて、それぞれ実施例1及び2、並びに比較例1と同様にして、実施例3及び4、並びに比較例6のフィルムを作製・評価した。なお、フィルムの評価には、市販されている一般的なトマトピューレを用いた。
《結果》
トマトピューレの垂直滑落性の評価の結果を、表3に示す。なお、表3における記載の方法は、表2と同様である。
Figure 0006971466
表3に示されるように、実施例3及び4のフィルム(第2のモノマー部分がオキシエチレン構造を有する共重合体を使用しているフィルム)は、比較例6のフィルム(共重合体コーティングを有さないフィルム)よりも、トマトピューレの滑落速度が大きく、かつトマトピューレの付着量が少なかった。
《トマトソースの垂直滑落性》
〈実施例5及び6、並びに比較例7〉
ケチャップの代わりにトマトソースを用いたことを除いて、それぞれ実施例1及び2、並びに比較例1と同様にして、実施例5及び6、並びに比較例7のフィルムを作製・評価した。なお、フィルムの評価には、市販されている一般的なトマトソースを用いた。
《結果》
トマトソースの垂直滑落性の評価の結果を、表4に示す。なお、表4における記載の方法は、表2と同様である。
表4において、実施例5及び6、並びに比較例7の「滑落速度」は、「測定不能」と記載されている。これは、フィルムを垂直に立て始めると同時にトマトソースがフィルムから流れ始めたため、滑落速度を測定していないことを示している。
Figure 0006971466
表4に示されるように、実施例5及び6のフィルム(第2のモノマー部分がオキシエチレン構造を有する共重合体を使用しているフィルム)は、比較例7のフィルム(共重合体コーティングを有さないフィルム)よりもトマトソースの付着量が少なかった。
《トマトジュースの垂直滑落性》
〈実施例7及び8、並びに比較例8〉
ケチャップの代わりにトマトジュースを用いたことを除いて、それぞれ実施例1及び2、並びに比較例1と同様にして、実施例7及び8、並びに比較例8のフィルムを作製・評価した。なお、フィルムの評価には、市販されている一般的なトマトジュースを用いた。
《結果》
トマトジュースの垂直滑落性の評価の結果を、表5に示す。なお、表5における記載の方法は、表4と同様である。
Figure 0006971466
表5に示されるように、実施例7及び8のフィルム(第2のモノマー部分がオキシエチレン構造を有しない共重合体を使用しているフィルム)は、比較例8のフィルム(共重合体コーティングを有するフィルム)よりもトマトジュースの付着量が少なかった。
《マヨネーズの垂直滑落性》
〈参考例及び比較参考例〉
ケチャップの代わりにマヨネーズを用いたことを除いて、それぞれ実施例2及び比較例1と同様にして参考例及び比較参考例のフィルムを作製・評価した。なお、フィルムの評価には、市販されている一般的なマヨネーズを用いた。
《結果》
マヨネーズの垂直滑落性の評価の結果を、表6に示す。なお、表5における記載の方法は、表2と同様である。
Figure 0006971466
参考例のフィルム(第2のモノマー部分がオキシエチレン構造を有する共重合体を使用しているフィルム)では、比較参考例のフィルム(共重合体コーティングを有さないフィルム)よりも滴下したマヨネーズの滑落速度が小さかった。また、参考例、比較参考例いずれにおいてもマヨネーズがかなり付着していた。
II.トマト加工品のピロー袋耐付着性
下記のようにして実施例9及び10、参考例1、並びに比較例9のフィルムを作製した。その後、下記のようにして作製した各フィルムに対するトマト加工品のピロー袋耐付着性を評価した。
〈実施例9〉
1.基材の作製
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、ペトロセン70、東ソー(株)製、MFR:1.0g/10min(JIS K 7210、190℃、2.16kg)、水接触角:90°)を原料樹脂として用い、インフレーション法によって厚さ70μmのポリエチレンフィルム基材「P170」を得た。
2.共重合体の作製
共重合体の製造条件を表7に記載のとおりに変えたことを除いて、実施例1と同様にしてブロック共重合体を得た。
3.共重合体コーティングの作製
上記で得られたブロック共重合体及び上記で作製した基材を用い、更に塗工条件を表8に記載のとおりに変えたことを除いて、実施例1と同様にして実施例9のフィルムを作製した。
4.ピロー袋耐付着性の評価
上記フィルムを用いて幅115mm×長さ170mmのピロー袋を作製し、この中に所定量のトマト加工品を充填し、常温で1日保存した。1日後にピロー袋の袋上部を幅方向にカットして開封した。次いで、開封後のピロー袋を逆さに吊るし、所定時間そのまま静置した後、ピロー袋中に残ったトマト加工品を秤量し、その残存割合を付着残存率として評価した。トマト加工品としては、一般的なトマトケチャップ、トマトソース、及びトマトピューレを使用した。各食品についての充填量は300gとし、開封後の逆さ吊り静置時間は、それぞれ以下のとおりとした。
トマトケチャップ:静置時間1分
トマトソース:静置時間20秒
トマトピューレ:静置時間30秒
(参考例1)
共重合体製造時のモノマー及び製造条件をそれぞれ表7に記載のとおりに変えたことを除いて、実施例1と同様にしてブロック共重合体を得た。このブロック共重合体を用い、塗工条件を表8に記載のとおりに変えたことを除いて、実施例9と同様にして参考例1のフィルムを作製し、各トマト加工品のピロー袋耐付着性の評価を行った。
(比較例9)
実施例9と同様に作製したポリエチレンフィルム基材を用いてピロー袋を作製し、各トマト加工品のピロー袋耐付着性の評価を行った。比較例9のピロー袋は、重合体コーティングを有さないポリエチレンフィルム基材からなる。
《結果》
各トマト加工品のピロー袋耐付着性の評価の結果を、表8に示す。
表7〜表8におけるモノマー等の略称は、表1及び表2と同じであり、「Vac」は酢酸ビニルを示す。
Figure 0006971466
Figure 0006971466
本発明のポリエチレン積層体のトマト加工品の付着性を上記のように調べたところ、本発明のポリエチレン積層体は、トマトケチャップ、トマトピューレ、トマトソース、及びトマトジュースのすべてのトマト加工品に対して優れた垂直滑落性を示した。特に、トマト加工品がトマトピューレである場合には、垂直滑落性及びピロー袋耐付着性の双方に優れていた。
従って、本発明のポリエチレン積層体は、トマト加工品の包装容器の材料として好適であり、トマトピューレの包装容器材料として使用したときに、極めて優れた付着防止性能を示すことができる。

Claims (10)

  1. ポリエチレン基材、及び前記基材上に積層されている共重合体コーティングを有し、
    前記共重合体コーティングは、第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体を含んでおり、
    前記第1のモノマー部分は、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ
    前記第2のモノマー部分は、オキシエチレン構造を側鎖に有する、
    トマト加工品の付着を防止するポリエチレン積層体。
  2. 前記第1のモノマー部分が、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートから得られる、請求項記載のポリエチレン積層体。
  3. 前記第1のモノマー部分が、ステアリルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレートからなる群より選択されるモノマーから得られる、請求項1又は2に記載のポリエチレン積層体。
  4. 前記第2のモノマー部分の前記オキシエチレン構造が、式−(OCHCH−(n=1〜10)である、請求項1〜のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
  5. 前記第2のモノマー部分が、ジエチレングリコールエチルエーテルアクリレートから得られる、請求項1〜のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
  6. 前記共重合体が、前記第1のモノマーの重合ブロック及び前記第2のモノマーの重合ブロックを有するブロック共重合体である、請求項1〜のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
  7. 前記トマト加工品が、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトピューレ、トマトペースト、トマトケチャップ、トマトソース、及びチリソースからなる群より選択される、請求項1〜のうち一項に記載のポリエチレン積層体。
  8. 前記トマト加工品がトマトピューレである、請求項に記載のポリエチレン積層体。
  9. 請求項1〜のうち一項に記載のポリエチレン積層体を有するトマト加工品収容体。
  10. 第1のモノマー部分及び第2のモノマー部分を有する共重合体、並びに溶剤を含んでおり、
    前記共重合体の前記第1のモノマー部分は、炭素数8以上の直鎖状アルキル基を側鎖に有し、かつ前記第2のモノマー部分は、オキシエチレン構造を側鎖に有する、
    トマト加工品の付着防止コーティング用組成物。
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